説明

シールド掘進機及びシールド掘進機の構築方法

【課題】エレクタ装置の旋回範囲と干渉し難く、またシールド掘進機の組立作業にも支障を来たさない可動デッキを備えたシールド掘進機に係る技術を提供する。
【解決手段】前胴部3から後胴部5に向かって排土用のスクリューコンベア49を備えるシールド掘進機1であって、シールド掘進機1内に設置された固定デッキ17と、固定デッキ17に設置された可動デッキ19とを有し、可動デッキ19は作業台となるデッキ部21の一端側が固定デッキ17側に回動可能に連結されて、シールド掘進機1の掘進方向と交差する面内で回動動作をすることによりセグメントを運搬するエレクタ装置11と干渉しないように構成されていることを特徴とするシールド掘進機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクタ装置に干渉しないように変形可能な可動デッキを備えたシールド掘進機、該シールド掘進機の構築方法に関する。
以下において、エレクタ装置が、セグメントを旋回させて運搬する運搬装置を備える場合、該運搬装置の旋回範囲又はその旋回範囲として画される空間を、エレクタ装置の旋回範囲又は旋回空間という場合がある。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機により掘り進められたトンネル掘削面に対してセグメントが組みつけられる。この組み付けはエレクタ装置によって行われるが、セグメント同士のボルトによる締結は作業員によって手作業によって行われる場合が多く、また位置の微調整に際して、作業員がセグメントに接近して目視確認する必要がある場合も多い。それ故、シールド掘進機には作業員の足場となる作業デッキが必要となる。このような作業デッキは、シールド掘進機に対して固定されているもの(固定デッキ)と、可動なもの(可動デッキ)とに大別され、固定デッキと可動デッキの両方を備えるものもある。
【0003】
作業デッキは、その構成部材及び付属部材を含めて、エレクタ装置によるセグメント運搬作業時において運搬装置に干渉しないものでなければならない。固定デッキはそれ自体が固定であるため、エレクタ装置のいずれの状態においても干渉しないことが必要である。他方、可動デッキはそれ自体が可動であるため、エレクタ装置のセグメント運搬時には干渉しないように退避することが必要であるが、その運搬時の後、作業者によるセグメントへの必要なアクセスを可能にするために掘削壁面側に張り出すように構成される。
【0004】
このような可動デッキを備えたシールド掘進機の例として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。このシールド掘進機は、複数段のスライド足場装置を上下方向に有する作業デッキを備えており、各スライド足場装置は、エレクタ装置の旋回動作を阻害することのないタイミングで、エレクタ装置の旋回範囲内外に足場を設けることが可能になるように構成されている。
各足場装置は、作業デッキとして、固定手摺付きの固定足場(固定デッキ)とその固定足場にスライド可能に設けられた可動手摺付きの可動足場(可動デッキ)とを備えている。
(なお、以下の説明においては、従来技術との関係上区別して記載する場合を除き、可動足場は可動デッキとし、固定足場は固定デッキとして表記を統一して説明する。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−120198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術において、複数のスライド足場装置のうち一部は、可動デッキ及び可動手摺のスライド方向が、掘進方向であり、残りは掘進方向と垂直な方向である。
可動デッキが掘進方向と垂直な方向にスライドする場合、固定デッキ側に退避したときに、可動デッキが固定デッキ側すなわちシールド掘進機の中央側に出っ張ることになる。
しかし、可動デッキが掘進方向と垂直な方向にスライドするような形式のものであると、前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって斜めに立ち上がるようにスクリューコンベアが設置される泥土式のシールド掘進機や、機体内(特に機体中央部)に装置・機器・部材等(スクリューコンベア以外の排土機構を含む)が設置される構造のシールド掘進機の場合には、次のような非常に不都合なことが生ずる(以下、理解の便のため、機体内に設置されている装置・機器・部材等が排土用のスクリューコンベアである例を挙げて説明するが、いうまでもなく本発明はその例に限定されない)。
【0007】
第1に、スクリューコンベアがシールド掘進機の中央部に配置されるので、特許文献1で示されたようなスライド式の可動デッキの場合には可動デッキが固定デッキ側にスライドした場合に可動デッキとスクリューコンベアとが干渉してしまうという問題が生ずる。この問題は、シールド掘進機の径、スクリューコンベアの配置角度、作業デッキ形状、セグメント組立位置等の諸条件によってそのようなケースが生じ得る。
【0008】
この場合、次のような対処策を施すことが考えられる。
(i) 可動デッキ位置を例えば前方にずらすことによってスクリューコンベアとの干渉を回避する。
しかしながら、このようにすると、本来可動デッキを張り出したい位置(=セグメント組立作業に効率的な位置)からずれることになり、またエレクタ装置とも近くなるので、使い勝手が悪化する。
(ii) スライド型の可動デッキのスライドストロークを短縮して、可動デッキも小さくすることで、収納時でもシールド掘進機中心側のスクリューコンベア49と干渉しないようにする。
しかしながら、このようにすれば可動デッキの張り出し量不足となり使い勝手が悪化する。
(iii) 可動デッキ設置位置を上方に移動して、スクリューコンベアと干渉しない位置に可動デッキを配置する。
しかしながら、デッキ上部空間が圧迫されるので、可動デッキのみならず、固定デッキとしても使い勝手が悪化する。
【0009】
上記のようにスライド式の可動デッキの場合であっても対策を講じることによりスクリューコンベアとの干渉を回避することは可能であるものの、いずれの対策であっても可動デッキの本来有するべき又は望ましい機能を犠牲にすることになり、十分な対策であるとは言えない。
【0010】
また、シールド掘進機が小径であると、可動デッキが退避しようとしても、機体内(特に機体中央部)に装置・機器・部材等(スクリューコンベア及びその他の排土機構を含む)と干渉(衝突)することなく可動デッキが退避することができない場合もあり得る。このような場合には、スライド足場装置を設置すること自体困難になるので、上記のような対策自体意味をもたない。
【0011】
第2に、シールド掘進機の各ブロック(前胴、後胴、エレクタ装置、後方台車、カッタドラム、カッタディスク、カッタモータ、旋回ベアリング、シールドジャッキなど(中胴に相当するものがあれば、これを含む))の組立完成以降の工程は、概ね、図11に示すとおり、(i)工場内全体仮組立→(ii)工場内試運転・立会検査→(iii)解体→(iv)分割輸送→(v)現地組立→(vi)現地検査・試運転というものである(より詳しくは、後述の説明及び、各工程の呼称・名称の多少の相違はあるが、地盤工学・実務シリーズ3「シールド工法の調査・設計から施工まで」(訂正第2刷、発行:社団法人地盤工学会、発売:丸善株式会社)149〜155頁、など参照)。
なお、「現地」とは、トンネルを掘削するためにシールド掘進機が組み立てられる又は設置される若しくは仮置きされる場所或いはシールド掘進機又はそれを構成する複数個のブロックの少なくとも一つが引き渡される場所をいう。「工場」とは、シールド掘進機を構成する複数個のブロックが現地に搬送される前に、当該シールド掘進機又は当該複数個のブロックのうち少なくとも一つが製造又は組み立てられる場所をいう。
【0012】
このとき、スクリューコンベアと干渉するような可動デッキであると、その干渉に起因する組立や解体の際の問題を回避しようとする一方で、シールド掘進機の組立や解体を煩雑化させてしまうことがある。即ち、スクリューコンベアと干渉するような可動デッキであると、(i)の工場内全体仮組立工程においては、前胴部と後胴部とを連結して(固定デッキを装備する)後胴部とスクリューコンベアとの相対位置関係が確定してからでないと可動デッキを設置することができない、(iii)の解体工程においては、先に可動デッキを解体撤去してやらないと前胴部と後胴部の解体(例えば相対的な引き離し)ができない、また、(iv)の現地組立工程においては、(i)の工場内全体仮組立工程と同様の手順を取ることが多いため、(i)の工場内全体仮組立工程の場合と同様、可動デッキの組立タイミングに制約を受ける、という問題が生じる。また、(iv)の現地組立工程において可動デッキの組立タイミングに制約を受けるということは、その前の(iii)の解体工程において、可動デッキを一旦、固定デッキ側から解体撤去しなければならない、という別の制約を受けることでもある。
スクリューコンベアとスライド式の可動デッキを備えるシールド掘進機を構築する際には、往々にして上記のような問題が生じ易い(別の見方をすれば、上記のような問題が生じないような可動デッキやそれを備えるシールド掘進機が望まれているということでもある)。
【0013】
なお、工場において組み立てられたシールド掘進機は、解体されずに一体物として現地に輸送されることがある。例えば、シールド掘進機が目的地に海上輸送される場合がこれに該当し、シールド掘進機の口径がより小さい場合ほど、解体されずに一体物として現地に輸送されることに適している。このような取扱いは、図12に示すとおり、概ね(i)工場内全体組立→(ii)工場内試運転・立会検査→(iii)一体物としての輸送→(iv)現地据付→(v)現地検査・試運転、という工程となる。このとき、スクリューコンベアと干渉するような可動デッキであると、(i)の工場内全体組立工程において、前胴部と後胴部とを連結して(固定デッキを装備する)後胴部とスクリューコンベアとの相対位置関係が確定してからでないと可動デッキを設置することができない、という制約を受ける。この点で、図11に示す流れ図のケースと同様である。
【0014】
以上のように、シールド掘進機がその機体内(特に機体中央部)に前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かってスクリューコンベアのような排土機構その他の装置・機器・部材等を備える場合、当該シールド掘進機に設置される可動デッキがスライド式であることは種々の問題の原因となる。
【0015】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、エレクタ装置の旋回範囲と干渉し難く、またシールド掘進機の組立作業にも支障を来たさない可動デッキを備えたシールド掘進機及びその構築方法に係る各技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための、本発明の第1の形態に係るシールド掘進機は、前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって排土機構を備えるシールド掘進機であって、シールド掘進機内に設置された固定デッキと、該固定デッキに設置された可動デッキとを有し、該可動デッキは作業台となるデッキ部の一端側が前記固定デッキ側に回動可能に連結されて、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をすることによりセグメントを運搬するエレクタ装置と干渉しないように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第2の形態に係るシールド掘進機は、上記第1の形態に係るものにおいて、前記可動デッキは、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内において、折畳み可能な手摺を備えることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第3の形態に係るシールド掘進機は、上記第1又は第2の形態に係るものにおいて、前記エレクタ装置は、セグメントを旋回させて運搬する運搬装置を備え、
前記可動デッキは、掘進方向と交差する面内において、前記運搬装置の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に、前記手摺とともに配置可能であることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第4の形態に係るシールド掘進機は、上記第2又は3に記載のものにおいて、前記手摺は、前記可動デッキの回動動作との連動を可能にするリンク機構を備えることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第5の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって設置される排土機構とを備えるシールド掘進機の構築方法であって、
前記固定デッキの側面側においてシールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をする可動デッキを備える固定デッキを予め用意する工程と、前記前胴部の後方に前記後胴部を設置する際に又は前記前胴部の後方への前記後胴部の設置が完了する前に、前記前胴部側に前記スクリューコンベアの少なくとも一部を連結する工程と、前記後胴部に前記固定デッキを設置する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第6の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置される可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する方法であって、
前記可動デッキを前記固定デッキの側面側においてシールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をするように設置する工程と、前胴部を設置する工程と、前記前胴部の後方に後胴部の下部側を設置する工程と、前記前胴部側にスクリューコンベアを連結する工程と、前記後胴部の下部側に前記可動デッキを設置した固定デッキを設置する工程と、後胴部の上部側を設置する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第7の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、上記第6の形態に係るものにおいて、前記後胴部の上部側を設置する工程の後、前記後胴部を前胴部側に押し込む工程を有することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第8の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する方法であって、
シールド掘進機を複数個のブロックに解体する解体工程と、前記複数個のブロックを現地に搬送する分離輸送工程と、前記複数個のブロックから、可動デッキと固定デッキとを分離することなく前記シールド掘進機を現地で組み立てる現地組立工程と、を有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第9の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、上記第8の形態に係るものにおいて、前記解体工程が、シールド掘進機を、工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく複数個のブロックに解体する工程であることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第10の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、上記第9の形態に係るものにおいて、前記シールド掘進機が、前記工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく組み立てられたシールド掘進機であることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第10の形態に係るシールド掘進機の構築方法は、前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する方法であって、
工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなくシールド掘進機を組み立てる工程と、工場において組み立てられたシールド掘進機を複数個のブロックに解体することなく一体物として現地に輸送する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
また、上記の各形態の説明において、エレクタ装置の旋回範囲に対して出入りするとは、それぞれ、エレクタ装置の旋回範囲から出ること及びエレクタ装置の旋回範囲に入ることを意味している。エレクタ装置の旋回範囲から出ると、エレクタ装置の旋回範囲外に配置されることになるので、エレクタ装置と干渉しないような位置関係になる。また、エレクタ装置の旋回範囲に入ると、エレクタ装置の旋回範囲内に配置されることになるので、エレクタ装置と干渉するような位置関係になる。
また、「掘進方向と交差する面内」とは、作業台となるデッキ部の回動動作における回動方向が掘進方向と平行なものを排除する趣旨である。もっとも、回動動作によってデッキ部がエレクタ装置との干渉をよりよく避けることができるようにすることを考慮すると、この「掘進方向と交差する面内」は、掘進方向と垂直に近くなる方向であることがより望ましい。
「前胴部側から後胴部側に向かって」とは、前胴部と後胴部との間に中胴部が存在すると否とに拘らず、「シールド掘進機の進行方向(前方)からそれとは逆方向(後方)に」の意であり、「前胴部側から後方に向かって」もこれと同義である。「排土機構」の典型例は、排土用のスクリューコンベアであるが、これに限定されない。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1の形態に係るシールド掘進機においては、前胴部側から後胴部側に向かって又は前胴部側から後方に向かって設置された排土機構を備えるシールド掘進機であって、シールド掘進機内に設置された固定デッキと、該固定デッキに設置された可動デッキとを有し、該可動デッキは作業台となるデッキ部の一端側が前記固定デッキ側に回動可能に連結されて、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をすることによりセグメントを運搬するエレクタ装置と干渉しないように構成されている。それ故、この第1の形態によれば、固定デッキ側に配置される排土機構と干渉する心配がない。それ故、可動デッキを排土機構の配置状況に拘らず配置でき、その結果、使い勝手のよい可動デッキを備えた、作業員にとって安全なシールド掘進機を実現できる。また、現地組立時に排土機構と干渉する心配もないため、工場出荷前に固定デッキ側に可動デッキを本固定(溶接固定)することが可能となり、現地構築工程の簡素化(工期短縮)が図れる。
また、上記のような可動デッキであれば、シールド掘進機が大径である場合は勿論、小径である場合であっても設置可能であるため、可動デッキを備えた小径のシールド掘進機を実現できる。
【0029】
本発明の第2の形態に係るシールド掘進機は、可動デッキが、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内において、折畳み可能な手摺を備えている。それ故、この第2の形態によれば、変形に要する空間も小さくて済むので、よりコンパクトで嵩張らない可動デッキを備えたシールド掘進機となる。また、展開された手摺により、作業員の安全性を更に高めることができる安全性に優れたシールド掘進機となる。
なお、当該手摺が回動動作をすることにより折畳み可能であれば、可動デッキ全体として見たときに上下方向の変形が可能になる。このような構成により、上下方向においても変形に要する空間が小さくて済む、よりコンパクトなシールド掘進機になる。
【0030】
本発明の第3の形態に係るシールド掘進機は、可動デッキが、掘進方向と交差する面内において、エレクタ装置が備える運搬装置の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に、手摺とともに配置可能である。それ故、この第3の形態によれば、シールド掘進機の径の大小に拘らず望ましい可動デッキや固定デッキを備えたシールド掘進機を実現することができる。
【0031】
本発明の第4の態様に係るシールド掘進機は、可動デッキの回動動作との連動を可能にするリンク機構を備えるため、手摺の折畳み動作をさせるために別途駆動源を必要としない。それ故、この第4の形態によれば、手摺の折畳み動作に別途駆動源やアクチュエーターを使わないため、それらの故障発生リスクも低く、従来同様のコンパクトなスペースに装備可能なシールド掘進機となる。
また、可動デッキの回動動作に連動するように構成すれば、可動デッキが必要とされるときに手摺を使用可能な状態に設置することができ、作業者が手摺を別途設置するというような負担がなく合理的な構造のシールド掘進機にすることができる。
【0032】
本発明の第5の形態に係るシールド掘進機の構築方法によれば、固定デッキの側面側においてシールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をする可動デッキを備える固定デッキが予め用意されているので、シールド掘進機を現場(例えば立抗など)で構築する際に可動デッキの設置作業が不要になる。また、固定デッキの側面側において回動動作を行う可動デッキであれば、排土機構と干渉することがないので、後胴部に固定デッキを設置する際、排土機構が邪魔にならない。従って、シールド掘進機の構築作業の迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0033】
本発明の第6の形態に係るシールド掘進機の構築方法によれば、後胴部の下部側に固定デッキを設置する際には又は後胴部の下部側への固定デッキの設置が完了する前には、既に可動デッキが固定デッキに設置されているので、上記の第5の形態に係るシールド掘進機の構築方法が奏するものと同様の効果を奏する。即ち、シールド掘進機を現場(例えば立抗など)で構築する際に可動デッキの設置作業が不要になり、後胴部に固定デッキを設置する際、排土機構が邪魔にならないので、シールド掘進機の構築作業の迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0034】
本発明の第7の形態に係るシールド掘進機の構築方法によれば、後胴部の上部側を設置する工程の後、後胴部を前胴部側に押し込む工程を備えているので、中折れ式のシールド掘進機の構築が可能である。これは、可動デッキが固定デッキ側に延出せず、後胴部を前胴部側に対して相対移動させても可動デッキがスクリューコンベアと干渉する心配がないために、実現できるものである。
【0035】
本発明の第8の形態に係るシールド掘進機の構築方法によれば、固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えているので、シールド掘進機を複数個のブロックに解体し、現地に輸送した後に、可動デッキと固定デッキとを分離することなく当該シールド掘進機を組み立てることができ、従って、シールド掘進機の構築作業の迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0036】
本発明の第9の形態に係るシールド掘進機の構築方法においても、固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えているので、解体工程の際、シールド掘進機を、工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく複数個のブロックに解体することができ、従って、シールド掘進機の構築作業の更なる迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0037】
本発明の第10の形態に係るシールド掘進機の構築方法においても、固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えているので、シールド掘進機が、工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく組み立てることができ、工場においてシールド掘進機を組み立てる段階で、可動デッキと固定デッキとを分離する必要がなくなり、従ってシールド掘進機の構築作業の更なる迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0038】
本発明の第11の形態に係るシールド掘進機の構築方法によれば、固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えているので、工場において組み立てたシールド掘進機を、解体することなく一体物として現地に輸送する場合であっても、工場においてシールド掘進機を組み立てる段階で、可動デッキと固定デッキとを分離する必要がなくなり、従ってシールド掘進機の構築作業の迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【0039】
本発明のその他の形態が奏する効果については、本発明の実施形態又は実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機の内部の平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機の内部の側面図である。
【図3】エレクタ装置の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの動作説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの動作説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの動作説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの動作説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機の構築方法の説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機の構築方法の説明図である。
【図11】シールド掘進機の各ブロックの組立完成以降の工程を示す流れ図である。
【図12】シールド掘進機の各ブロックの組立完成以降の工程を示す他の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施形態又は実施例により本発明を詳細に説明する。その際、必要に応じて図面を参照しつつ説明するが、各図面において同じ部分又は相当する若しくは共通する部分には共通の符号を付し、一部の説明を省略する場合がある。
なお、言うまでもなく、本発明は、図面に記載された実施の形態や実施例に限定されない。また、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。更に本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものであり、本発明に関する用語の定義はその均等の適用を妨げるものではない。
【0042】
[実施の形態1]
図1は本実施の形態のシールド掘進機の内部構造を説明する説明図でありシールド掘進機を平面視した図、図2は同じく本実施の形態の可動デッキを備えたシールド掘進機の側面図、図3は本実施の形態のシールド掘進機に設置されるエレクタ装置の説明図、図4〜図8は本発明の実施の形態に係るシールド掘進機に設置される可動デッキの説明図である。
【0043】
シールド掘進機1は、前胴部3と後胴部5を備えてなる。前胴部3の前端にはカッタヘッド7を有している。前胴部3の後部から後胴部5にかけてシールド掘進機1を推進させるためのシールドジャッキ9が設置されている。そして、このシールドジャッキ9のすぐ後方には、セグメント10を把持して所望の位置まで運搬して設置するエレクタ装置11が設けられている(図3参照)。エレクタ装置11はセグメント10を把持する把持部13と、把持部13を所望の位置まで移動するアーム部15とを備えている。
エレクタ装置11の後方には固定デッキ17が設置されている。
また、前胴部3から後胴部5に向かって斜め上方に延びるように、排土用のスクリューコンベア49が設置されている。そして、スクリューコンベア49の後端部が固定デッキ17の上方に延出している。
固定デッキ17の上部でかつ前方寄りの部分の両側に可動デッキ19が設置されている。
可動デッキ19は、図2の配置から容易に推察できるように、エレクタ装置11のアーム部15の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に設置されている。
【0044】
可動デッキ19は、シールド掘進機1の進行方向に対して直交する面内で回動可能に構成されている。図1においては、シールド掘進機1の後方から前方に向かって左側に設定されている可動デッキ19は、水平になって使用可能な状態になっており、右側の可動デッキ19は、先端側が下方に向くように回動して使用できない状態になっている。
なお、図1においては、可動デッキ19の構造は簡略化して示している。
【0045】
以上の説明から理解されるように、可動デッキ19は、シールド掘進機1の後胴部5における固定デッキ17に設置され、エレクタ装置11の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に配置されることから、エレクタ装置11の稼動状況に応じてエレクタ装置11の旋回範囲に入ったり、あるいは出たりするようになっている。
【0046】
次に、図4に基づいて本実施の形態のシールド掘進機1に設置された可動デッキ19の構造を説明する。図4は可動デッキ19が外方に張り出して使用可能な状態を示しており、図4(a)が斜視図、図4(b)が側面図である。なお、説明に必要なときには図5〜図7を適宜参照する。
【0047】
可動デッキ19は、固定デッキ17に設置されたブラケット20を介して固定デッキ17に取り付けられている。可動デッキ19を固定デッキ17に取り付けるためのブラケット20は、略矩形の枠状に形成されており、その上辺側が固定デッキ17の上面に固定され、下辺側を固定デッキ17の外側部に張り付くように設置されている。
なお、可動デッキ19は本例に示したようなブラケット20を介して取り付けなくても、固定デッキ17側に可動デッキ19を取り付けるための部材等があればそれで代用してもよい。
【0048】
可動デッキ19は、シールド掘進機1の進行方向に略直交する面内で回動可能なデッキ部21と、デッキ部21の回動に連動して折畳み動作を行う折畳式手摺23と、デッキ部21の回動を駆動する駆動機構部25とを備えている。
デッキ部21は、矩形状のデッキ枠27と、デッキ枠27の枠内に設置されて作業台となるデッキプレート29を備えている。そして、デッキ部21は、デッキ枠27の両端部をブラケット20の縦辺中程よりも少し上の位置に回動可能に設置することによって、ブラケット20に取り付けられている。
【0049】
折畳式手摺23は、デッキ部21の両側部に配置された側方手摺31と、デッキ部21の前部に設けられた前手摺33から構成されている。側方手摺31は、一端側がブラケット20の上端部に回動可能に連結され、他端側が前手摺33にピン結合された一対の管部材によって構成されている。前手摺33は側方手摺31と同様に管部材からなり、下端側がデッキ枠27の先端側に回動可能に取り付けられた矩形枠部35と、この矩形枠部35の上辺に逆U字状に形成された逆U字部37を連結して構成されている。
上記のように構成された折畳式手摺23によってデッキ部21の両側部と前部が囲まれ、デッキ部21上の作業者がデッキ部21から落下するのを防止できるようになっている。
【0050】
駆動機構部25は、基端側がブラケット20の下部に回動可能に取り付けられた矩形枠状の第1駆動枠部材39と、第1駆動枠部材39の先端側に一端側が回動可能に連結され、他端側がデッキ枠27の先端側に回動可能に連結された矩形枠状の第2駆動枠部材41と、本体部43がブラケット20に回動可能に取り付けられ、ロッド45の先端が第1駆動枠部材39に回動軸を介して連結された一対の駆動ジャッキ47を備えて構成されている。
このように構成された駆動機構部25は、駆動ジャッキ47のロッド45を伸縮することによって、第1駆動枠部材39を回動させ、これに連動して第2駆動枠部材41が連動し、さらに第2駆動枠部材41の回動に連動してデッキ部21が回動すると共に折畳式手摺23の折畳み及び折拡げ動作が行われる。
【0051】
図5〜図8は上記のように構成された可動デッキ19の動作を説明する動作説明図であり、図5はデッキ部21の先端側が斜め下方に向き、折畳式手摺23が折り畳まれた状態を示している。また、図6以降は図5の状態からデッキ部21が回動して行く様子を示しており、図7の状態が図4と同様にデッキ部21がほぼ水平になってデッキ部21が使用可能になると共に折畳式手摺23が組み立てられた状態(設置された状態)を示している。図8は図5〜図7に示した側面図を連続して示すものである。
以下、図5〜図8に基づいて可動デッキ19の動作を説明する。
【0052】
図5に示すように、デッキ部21の先端側が斜め下方に向いた状態にあるときは、折畳式手摺23は折り畳まれた状態にある。この状態では、デッキ部21は、全体が固定デッキ17の側部に近接して配置される。また、折畳式手摺23における前手摺33及び側方手摺31はデッキ部21のデッキプレート29に倒れこむように近接して配置されている。したがって、図5に示す状態では、可動手摺全体が固定デッキ17の側面に張り付くように配置され、エレクタ装置11の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置にあり、エレクタ装置11と干渉することはない。
【0053】
図5に示す状態から、駆動ジャッキ47のロッド45を伸張させると、第1駆動枠部材39が一端側を基点にして図6(b)の矢印Aに示す方向に回動して外方に押し出されるように動作する。また、第1駆動枠部材39の動作に連動して第2駆動枠部材41は、全体が外方に押し出されると共に、基端側を回動の支点として図6(b)の矢印Bに示す方向に回動する。さらに、第2駆動枠部材41の動作に連動して、デッキ部21が基端側を回動の支点として図6(b)の矢印Cで示す方向に回動する。またさらに、デッキ部21が回動することにより、これに連結された前手摺33が下端側を回動の支点として図6(b)の矢印Dに示す方向に回動し、これに連れて側方手摺31が基端側を回動の支点として図6(b)の矢印Eに示す方向に回動する。
すなわち、駆動ジャッキ47のロッド45が伸張を開始すると、デッキ部21が張り出しを開始すると共に折畳式手摺23は、図6(a)に示されるように、デッキ部21を囲むような矩形枠状に組み立てられていく。
【0054】
さらに、駆動ジャッキ47のロッド45が伸張されると、可動デッキ19を構成する各部材が図6に示した状態からさらに回動する。そして、図7に示すように、デッキ部21が略水平状態になると共に前手摺33が垂直に立ち上がり、側方手摺31がほぼ水平な状態となる。この状態では、折畳式手摺23が完全に折り広げられ、すなわち組み立てられ、デッキ部21の両側部には側方手摺31が設置され、デッキ部21の前端部には前手摺33が設置されてデッキ部21を囲む状態となる。前手摺33は、矩形状枠部と逆U字枠部の2段構造になっており、高さがあるので作業者の落下を確実に防止できる。
【0055】
この状態においてデッキ部21上に作業者が乗ると、デッキ部21に作用する力が第2駆動枠部材41及び第1駆動枠部材39を回動させるように作用する。そのため、これらの部材が回動しないようにするためのストッパを設ける必要がある。
本実施の形態においては、図7(b)に示すように、第1駆動枠部材39と第2駆動枠部材41で形成される外角αが180°を超えるように設定されている。デッキ部21に作業者が乗ると、第2駆動枠部材41を介して第1駆動枠部材39に荷重が作用するが、この作用する力の方向が第1駆動枠部材39を、図7(b)の矢印Aで示す方向となり、これは駆動ジャッキ47のロッド45を伸張させる方向となる。したがって、図7に示す状態で駆動ジャッキ47のロッド45が最大伸張されているように設定すれば、ロッド45はそれ以上伸張せず、ロッド45が第1駆動枠部材39の回動を規制するストッパとして機能する。したがって、万が一の不具合、例えば油圧ホースからの油漏れなどが発生しても、可動デッキ19が回動することはなく安全である。
なお、本実施の形態では可動デッキ19のデッキ部21が図7に示すように水平になった状態で、駆動ジャッキ47のロッド45が最大伸張されるように設定されているので、別途ストッパを設ける必要がない。もっとも、デッキ部21が水平にセットされた状態で駆動機構部25を構成する各部材間の回動を規制するための機械的ストッパを設けるようにしてよく、そのようにすれば、より安全性が増す。
【0056】
なお、可動デッキ19を張り出し操作の途中で停止させた場合、折畳式手摺23の設置が不十分であったり、デッキ部21が傾斜した状態となっていたりして危険であるため、以下に示すような安全機構を設けるのが望ましい。
<安全機構>
駆動ジャッキ47又は可動デッキ19本体に「デッキの張り出し完了状態」を検知できるリミットスイッチ(以下「LS」という。)を設けておき、使用時の手順を以下のように行う。
(i) 操作者が、例えば操作スイッチ等を押して可動デッキ19の張り出し動作を指示する。
(ii) 駆動ジャッキ47が所定動作(一般的にはロッド伸張動作)を開始する。
(iii) 上記LSが検知されると、駆動ジャッキ47は所定動作を自動的に停止し、同時に、別途設置されている操作完了報知装置(または灯)にて、周囲に「可動デッキ張り出し完了」を知らしめる合図を発する。なお、操作完了報知の態様としては「音声(ブザー音等含む)」または「音声と回転灯の回転(視覚的表示)との併用」などが考えられる。
(iv) 作業者(可動デッキ19に乗り込む人)は、上記3の合図を確認した上で、作業デッキに乗り込むようにする。
なお、可動デッキ19の乗り込み口付近に別の安全柵(手摺)を設けておき、「張り出し完了」後にこの安全柵を自動的に開けるようにしたり、あるいは安全柵のロックを自動的に解除したりして、手動操作にて安全柵を開けられるようにしてもよい。
【0057】
次に、上記のように構成された可動デッキ19を、図7に示す状態から固定デッキ17側に回動させて図5に示す状態に戻す動作について説明する。この場合の動作は、上述した図5〜図7の動作の逆の動作になる。すなわち、図7に示される状態から、駆動ジャッキ47のロッド45を縮退させると、第1駆動枠部材39、第2駆動枠部材41、デッキ部21、前手摺33、側方手摺31の各部材が、それぞれ図6に示した矢印A〜Eと反対の方向に回動する。このような回動動作に従って、デッキ部21は固定デッキ17側に近接してゆき、また折畳式手摺23もデッキ部21側に折畳まれると共にデッキ部21と共に固定デッキ17側に近接してゆき、最終的には図5の状態になる。
図5の状態では、可動デッキ19はエレクタ装置11の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に収まっており、エレクタ装置11と干渉することはない。
【0058】
図8は図5〜図7の各図の(b)図を上から順に(A)〜(C)として並べたものであり、デッキ部21が回動動作を行い、かつ折畳式手摺23がデッキ部21の回動動作に連動して折り拡げられて設置される状況を説明する説明図である。
【0059】
<デッキ部の回動動作について>
デッキ部21は、前述のように、基端側がブラケット20に回動可能に連結されており、この連結部を回動の支点として、図8の矢印Cで示す方向に回動する。
なお、図8(B)において矢印Cの両端に矢印を付けたのは、図8(B)の状態では両方向に回動できることを示すためである。このことは、後述する矢印D、Eにおいても同様である。
【0060】
<折畳式手摺の動作について>
1.回動動作としての側面
折畳式手摺23を構成する前手摺33は、下端側を駆動機構部25の第2駆動枠部材41に回動可能に連結されており、デッキ部21の回動動作に従って図8の矢印Dで示す方向に回動する。
また、側方手摺31はデッキ部21の回動動作に従って図8の矢印Eで示す方向に回動する。折畳式手摺23は前手摺33と側方手摺31で構成されるものであるため、折畳式手摺23全体として回動動作を行っていると見ることができる。
【0061】
2.並進移動動作としての側面
上記1において説明した側方手摺31の動作は、シールド掘進機とそれにより掘削されたトンネル壁面との間で水平移動する成分を有するような動作でもある。即ち、側方手摺31は、図8の矢印C示すようなデッキ部21の回動動作に伴い同図の矢印Eで示すように回動する。この側方手摺31の回動動作を、水平方向に投影すると、図8(C)の矢印Sで示す範囲を水平方向に移動する水平方向(特にシールド掘進機とそれにより掘削されたトンネル壁面との間の水平方向)の動作になる。前手摺33は、図8の矢印C示すようなデッキ部21の回動動作に伴い同図の矢印Dに示すように回動するので、これを水平方向に投影すると、水平方向(特にシールド掘進機とそれにより掘削されたトンネル壁面との間の水平方向)の移動を伴うものになる。また、前手摺33は、図8の矢印C示すようなデッキ部81の回動動作に伴い同図の矢印Sに示す水平距離に近い距離を水平移動することになる。要するに、折畳式手摺23を構成する側方手摺31、前手摺33はいずれも、水平移動成分を伴う動作を、デッキ部21の回動動作に応じて行うことになる。
【0062】
<折畳式手摺のデッキ部21の回動動作との連動について>
上記のとおり、折畳式手摺23の回動動作は、直接的にはデッキ部21に連結された前手摺33がデッキ部21の回動動作に連動して行われるものである。そして、折畳式手摺23は回動動作に連動して折り畳み動作と折り拡げ動作を行うものである。したがって、折畳式手摺23はデッキ部21の回動動作に連動して回動すると共に折畳動作を行うものである。
また、上記のとおり、折畳式手摺23を構成する側方手摺31、前手摺33はいずれも、水平移動成分を伴う移動動作を、デッキ部21の回動動に連動して行うものである。
【0063】
以上のように、本実施の形態のシールド掘進機1のように泥土式の場合には、シールド掘進機1の前胴部から後胴部に向けて斜めにスクリューコンベア49が設置されることになるが、本実施の形態のシールド掘進機1においては、固定デッキ17の側方に回動式の可動デッキ19を設置しているので、スクリューコンベア49との干渉を考慮する必要がない。それ故に、可動デッキ19をスクリューコンベア49の配置状況に拘らず自由に配置できる。その結果、可動デッキ19を本来張り出したい位置に設置でき、また張り出し量を十分に確保することもでき、さらには固定デッキ17側のスペースを圧迫することもなく、使い勝手のよい可動デッキ19を備えたシールド掘進機1を実現できる。
【0064】
また、可動デッキ19には次に掲げる長所がある。
(1) 可動デッキ19は、そのデッキ部21がシールド掘進機1の進行方向に垂直な面内において、固定デッキ17側を支点として回動動作をするため、先端が下方に向いて固定デッキ17側に近接した状態においてエレクタ装置11のアームの旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に確実に入れることができ、それ故にエレクタ装置11との干渉を確実に回避することができる。また、可動デッキ19においては、デッキ部21が張り出す方向に回動するときには、その動作に連動して折畳式手摺23が組み立てられ、またデッキ部21が固定デッキ17側に向けて回動するときにはその動作に連動して折畳式手摺23が移動する又は折り畳まれるので、変形に要する空間が小さくて済む。それ故、シールド掘進機が大口径である場合は勿論、小口径である場合であっても設置可能な可動デッキとなる。
【0065】
(2) 可動デッキ19では、個別の手摺の設置や除去動作が不要になる。つまり、可動デッキ19は、その動作に連動して自動的に設置される折畳式手摺23を装備しているので、作業者が意識することなく、常に可動デッキ19の利用時には手摺がセッティングされることになり、可動デッキ19使用時の安全性が向上する。また、特別なアクチュエーター等を使用することなく手摺が動作するので、当該アクチュエーター等の故障発生リスクも低く、従来同様のコンパクトなスペースに装備できる。
【0066】
(3) 可動デッキ19は、基端側を回動の支点とし、固定デッキ17の側面側から外方に張り出すように動作するので、固定デッキ17の内側(即ち、シールド掘進機の機体軸側)には可動デッキ19を構成する部材が配置されず、それ故に固定デッキ17側に可動デッキ19に関係する部材を設置するためのスペースを確保する必要がなく、また固定デッキ17側に設置される部材との干渉を考慮する必要もない。
【0067】
それ故、可動デッキ19を備えることにより、以上述べてきた可動デッキ19に係る効果を奏するシールド掘進機(例えば、可動デッキに占有される空間が小さく、それでいて安全なシールド掘進機)を実現することができる。
【0068】
なお、エレクタ装置11の動作としては、セグメント組み立て動作を行う場合のように通常の作業時の速度で旋回動作を行う場合(通常速度旋回動作)と、通常速度旋回動作よりもゆっくりした動作を行う微速旋回動作を行うことができる。そのため、このようなエレクタ装置11の動作と可動デッキ19の動作とを関連付けしておくことが安全上望ましい。
そのための具体的手段としては、可動デッキ19の退避状態(デッキ部21の先端が下方に向いて固定デッキ17側に近接した状態)をリミットスイッチで監視しており、可動デッキ19が退避している時に限り、エレクタ装置11に通常速度旋回を許可するようにインターロックをプログラミングし、このプログラムに基づいて制御するようにすればよい。このようにすれば、デッキ部21が回動を始め、リミットスイッチが切れた時点でエレクタ装置11側にインターロックが働き、エレクタ装置11が停止する。
また、さらに安全性を増すには、上記の制御に加えて可動デッキ19側にもインターロックをプログラミングし、エレクタ装置11が通常速度旋回動作を行っているときには可動デッキ19が動作しないように制御すればよい。
【0069】
[実施の形態2]
シールド掘進機1の工場完成以降の工程の一例は、既述のとおり、概ね、(i)工場内全体仮組立→(ii)工場内試運転・立会検査→(iii)解体→(iv)分割輸送→(v)現地組立→(vi)現地検査・試運転、である(図11参照)。
このとき、スクリューコンベアと干渉するような可動デッキであると、シールド掘進機の構築工程は煩雑化する。即ち、(i)の工場内全体仮組立工程においては、前胴部と後胴部とを連結して(固定デッキを装備する)後胴部とスクリューコンベアとの相対位置関係が確定してからでないと可動デッキを設置することができない、(iii)の解体工程においては、先に可動デッキを解体撤去してやらないと前胴部と後胴部の解体(例えば相対的な引き離し)ができない、また、(iv)の現地組立工程においては、(i)の工場内全体仮組立工程と同様の手順を取ることが多いため、(i)の工場内全体仮組立工程の場合と同様、可動デッキの組立タイミングに制約を受ける、という問題が生じる。また、(iv)の現地組立工程において可動デッキの組立タイミングに制約を受けるということは、その前の(iii)の解体工程において、可動デッキを一旦、固定デッキ側から解体撤去しなければならない、という別の制約を受けることでもある。
これに対して、実施の形態1において説明した可動デッキ19を備えたシールド掘進機であれば、上記のような問題や制約が生じないので、シールド掘進機の構築工程を簡略化できる。
この点を以下に具体的に説明する。
【0070】
図9、図10はスクリューコンベア49を備えるシールド掘進機1の組立過程を説明する説明図であり、図中の(a)〜(f)の順に組み立てが進行する様子を示している。
以下、図9〜12に基づいてスクリューコンベア49を備えるシールド掘進機1の組立過程を概説する。なお、図9及び図10に組立過程が例示されているシールド掘進機は、中折れ式のシールド掘進機である。
【0071】
(i) まず、工場又はその他の場所において固定デッキ17に可動デッキ19を設置し、シールド掘進機1を構成するその他の部材やブロックの製造も済ませておく。次に、工場において、それらの部材やブロックからシールド掘進機1全体を組み立てる。この組立ては、組み立てたシールド掘進機を解体して現地に輸送する場合には、仮組立というのが適切であり(図11に示す工程(i)参照)、組み立てたシールド掘進機を解体することなく一体物として現地に輸送する場合には、仮組立ではなく、本組立というのが適切である(図12に示す(i)参照)。いずれの場合であれ、可動デッキ19は、固定デッキ17側に延出することがなく、故にスクリューコンベア49と干渉することがないので、シールド掘進機を組み立てる際、前胴部と後胴部とを連結して(固定デッキを装備する)後胴部とスクリューコンベアとの相対位置関係が確定してからでないと可動デッキを設置することができない、という工程・手順上の制約を受けない(従って、少なくとも工場においてシールド掘進機を組み立てる際、その組立工程を簡略化できる)。
【0072】
(ii) 工場において組み立てたシールド掘進機の試運転と、立会試験を済ませた後に(図11に示す工程(ii)参照)、当該シールド掘進機を解体して複数個のブロックにし(図11に示す工程(iii)参照)、当該複数個のブロックに必要な梱包を施して現地に輸送する場合(図11に示す工程(iv)参照)、可動デッキ19は、固定デッキ17側に延出することがなく、故にスクリューコンベア49と干渉することがないので、工程・手順上の制約を受けることがなく、解体が容易になる(従って、少なくとも工場においてシールド掘進機を解体する際、その解体工程を簡略化できる)。
なお、組み立てたシールド掘進機を解体することなく一体物として現地に輸送する場合には、工場において試運転と立会検査を済ませた後(図12(ii)参照)、その輸送を行い、現地の所定の場所に据え付けた後、必要な検査と試運転を行う(図12(iv)(v))。
【0073】
(iii) 複数個のブロックに解体されたシールド掘進機を現地において組み立てる場合(図11に示す工程(v)参照)、まず、発進立抗下の発進架台(図示なし)上に、上下分割された前胴部3(下前胴部3a)(上前胴部3b)、カッター駆動部(図示なし)、カッタヘッド7等前胴側機器の大半を投入して仮組立を行う。仮組立が完了した状態が図9(a)に示されている。
次に、半割分割構造の後胴部5の下半分である下後胴部5aを投入する(図9(b))。中折れ式のシールド掘進機を組み立てるに当たっては、後工程での溶接作業や作業員の出入りを考慮して後胴部5は前胴部3から少し後方に離した位置、具体的には後胴部5に設置されている中折れ部6と前胴部3との間に隙間が形成され、その隙間が溶接作業や作業員の出入りを可能にする程度になるように仮置きするとよい。
(iv) 引き続き、スクリューコンベア49を下後胴部5aの上方から投入し、前胴部3側に連結して設置する(図9(c))。スクリューコンベア49が複数の部分が接続されて構成されるものである場合には、スクリューコンベア49の先頭部分をまず前胴3a側に連結し、当該先頭部分に次の部分を接続し、更に次の部分を接続する、といった作業を必要回数繰返して当該スクリューコンベア49全体を最終的に完成させればよい。スクリューコンベア49の一部のみをまず構成しておいて、引き続く下記の(v)以降の作業を行った後に、スクルーコンベア49の残部を構成するようにしてもよい。
(v) 可動デッキ19が設置された固定デッキ17を投入し、下後胴部5a内の支柱に仮固定する(図13(d))。可動デッキ19は固定デッキ17に設置されるものであるため、固定デッキ17との相対位置は変わらないが、この時点では後胴部5の前胴部3に対する相対位置が正規の位置よりも後方にずれている。このとき、仮に可動デッキ19がスライド式のように固定デッキ17側に延出するものであったとすると、当該可動デッキ19はスクリューコンベア49と干渉してしまうはずである。
しかし、実際には、可動デッキ19は、固定デッキ17側に延出することがないので、スクリューコンベア49と干渉することがなく、それ故、予め設置しておくことが可能である。(従って、少なくともシールド掘進機を現場で組み立てる際、可動デッキと固定デッキとを分離するまでもなく、その現場組立工程(図11に示す工程(v)参照)を簡略化できる)。
(vi) 次に、後胴部5の上半分である上後胴部5bを投入して下後胴部5aと仮固定する(図10(e))
(vii) その後、分割各部の本組立(溶接作業を含む)を行って、前後胴部3、5それぞれの組立(部分組立)を完了した後、発進架台上で後胴部5を前進させて中折れ部6を前胴部3側に差し込む。この時点で初めて前後胴部3、5が正規の相対位置関係となる(図10(f))。
このように、シールド掘進機1が中折れ式の場合には、シールド掘進機1の組立の最終段階で後胴部5を前胴部3側に押し込む作業があるため、この押込み作業による前後胴部3、5の相対移動範囲においてもスクリューコンベア49に干渉するものがあってはならない。このとき、可動デッキがスライド式であると、固定デッキ側に延出する部材があるため、スクリューコンベアとの干渉の可能性が高く、事前に可動デッキを固定デッキに設置しておくことができない。
これに対して、本実施の形態では、可動デッキ19は固定デッキ17側に延出することがなく、スクリューコンベア49と干渉することがないので、上記の押込み作業に支障が生じない(従って、この場合においても、可動デッキと固定デッキとを分離するまでもなく、その現場組立工程(図11に示す工程(v)参照)を簡略化できる)。
(viii) シールド掘進機1の現地組立が終了した後、必要な検査と試運転を行う(図11(vi))。
【0074】
以上の説明、特に図9及び図10に基づく説明から分かるように、可動デッキが固定デッキ17側に延出する場合には、(シールド掘進機の完成状態において)可動デッキがスクリューコンベア49と干渉するようであれば、シールド掘進機1の構築工程が煩雑化してしまう。たとえ可動デッキがスクリューコンベア49と干渉することがなくても、シールド掘進機1の構築工程(図11に示すもの)のいずれかの工程において、当該可動デッキの設置時期に制約を受けることになる。
例えば、上記(vii)の場合には、前後胴部3、5が正規の相対位置関係になった後(即ち、現地構築工程の終盤)でなければ可動デッキを固定デッキに設置することができず、そのような設置を行うためには、事前に可動デッキを固定デッキ17から取り外しておかなければならないので、現場組立工程が煩雑化する。現場組立工程の煩雑化を回避するためには、例えば可動デッキ全体をユニット化するなどの工夫がさらに必要になる。
これに対して、本実施の形態の可動デッキ19は、固定デッキ17側に延出するものがないので、シールド掘進機1の構築工程のいずれの工程においてもスクリューコンベア49と干渉することがない。それ故、可動デッキ19をいつの時点で設置してもよく、工場出荷前に固定デッキ17側に本固定(溶接固定)しておくこともできる。
【0075】
要するに、本発明に係るシールド掘進機の構築方法によれば、工場において組み立てたシールド掘進機を、解体することなく一体物として現地に輸送する場合であれ、複数個のブロックに解体し、現地に輸送した後、現場において組み立てる場合であれ、工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなくシールド掘進機を組み立てることができ、更に後者の場合には、可動デッキと固定デッキとを分離することなく複数個のブロックに解体することができ、現場において、複数個のブロックからシールド掘進機を可動デッキと固定デッキとを分離することなく組み立てることができるので、シールド掘進機の構築作業の迅速化(延いては工期の短縮)が図られる。
【符号の説明】
【0076】
1 シールド掘進機
3 前胴部
3a 下前胴部
3b 上前胴部
5 後胴部
5a 下後胴部
5b 上後胴部
6 中折れ部
7 カッタヘッド
9 シールドジャッキ
10 セグメント
11 エレクタ装置
13 把持部
15 アーム部
17 固定デッキ
19 可動デッキ
20 ブラケット
21 デッキ部
23 折畳式手摺
25 駆動機構部
27 デッキ枠
29 デッキプレート
31 側方手摺
33 前手摺
35 矩形枠部材
37 逆U字部
39 第1駆動枠部材
41 第2駆動枠部材
43 本体部
45 ロッド
47 駆動ジャッキ
49 スクリューコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴部側から後胴部側に向かって排土機構を備えるシールド掘進機であって、シールド掘進機内に設置された固定デッキと、該固定デッキに設置された可動デッキとを有し、該可動デッキは作業台となるデッキ部の一端側が前記固定デッキ側に回動可能に連結されて、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をすることによりセグメントを運搬するエレクタ装置と干渉しないように構成されていることを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記可動デッキは、シールド掘進機の掘進方向と交差する面内において、折畳み可能な手摺を備えることを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記エレクタ装置は、セグメントを旋回させて運搬する運搬装置を備え、
前記可動デッキは、掘進方向と交差する面内において、前記運搬装置の旋回範囲よりも内側で前記旋回範囲と干渉しない位置に、前記手摺とともに配置可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記手摺は、前記可動デッキの回動動作との連動を可能にするリンク機構を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって設置される排土機構とを備えるシールド掘進機の構築方法であって、
前記固定デッキの側面側においてシールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をする可動デッキを備える固定デッキを予め用意する工程と、前記前胴部の後方に前記後胴部を設置する際に又は前記前胴部の後方への前記後胴部の設置が完了する前に、前記前胴部側に前記スクリューコンベアの少なくとも一部を連結する工程と、前記後胴部に前記固定デッキを設置する工程と、を有することを特徴とするシールド掘進機の構築方法。
【請求項6】
前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置される可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する方法であって、
前記可動デッキを前記固定デッキの側面側においてシールド掘進機の掘進方向と交差する面内で回動動作をするように設置する工程と、前胴部を設置する工程と、前記前胴部の後方に後胴部の下部側を設置する工程と、前記前胴部側に前記スクリューコンベアの少なくとも一部を連結する工程と、前記後胴部の下部側に前記可動デッキを設置した固定デッキを設置する工程と、後胴部の上部側を設置する工程と、を有することを特徴とするシールド掘進機の構築方法。
【請求項7】
前記後胴部の上部側を設置する工程の後、前記後胴部を前胴部側に押し込む工程を有することを特徴とする請求項6記載のシールド掘進機の構築方法。
【請求項8】
前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する構築方法であって、
シールド掘進機を複数個のブロックに解体する解体工程と、前記複数個のブロックを現地に搬送する分離輸送工程と、前記複数個のブロックから、可動デッキと固定デッキとを分離することなく前記シールド掘進機を現地で組み立てる現地組立工程と、を有することを特徴とするシールド掘進機の構築方法。
【請求項9】
前記解体工程が、シールド掘進機を、工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく複数個のブロックに解体する工程であることを特徴とする請求項8に記載のシールド掘進機の構築方法。
【請求項10】
前記シールド掘進機が、前記工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなく組み立てられたシールド掘進機であることを特徴とする請求項9に記載のシールド掘進機の構築方法。
【請求項11】
前胴部と、後胴部と、前記前胴部側から後胴部側に向かって設置される排土機構と、前記後胴部に設置される固定デッキと、該固定デッキに設置されて、その固定デッキの側面側において前記後胴部の断面と平行な面内で回動動作をする可動デッキとを備えてなるシールド掘進機を構築する方法であって、
工場において、可動デッキと固定デッキとを分離することなくシールド掘進機を組み立てる工程と、工場において組み立てられたシールド掘進機を複数個のブロックに解体することなく一体物として現地に輸送する工程と、を有することを特徴とするシールド掘進機の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−222960(P2010−222960A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255602(P2009−255602)
【出願日】平成21年11月7日(2009.11.7)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】