説明

シールド管、シールド管の製造方法、ケーブルスペーサ付シールド管とその敷設方法

【課題】 可撓性に優れ、周方向および長手方向に対して均一なシールド特性を得ることが可能なシールド管等を提供する。
【解決手段】 シールド管1は、主に波付管3、導電布5、シールド層7、保護層9等から構成される。波付管3の内面には、筒状の導電布5が設けられる。導電布5は、ニット編みなどによりストッキング等と同様な伸縮性を有する布体に、銅・ニッケルメッキが施されたものである。波付管3の内面に形成される導電布5は、導電性を有するため、シールド管1の断面においてシールド層7となる。導電布5は、波付管3の両端部から所定長さだけ露出するように余長部11が形成される。すなわち、筒状の導電布5は、波付管3よりも長く形成され、導電布5が波付管3お両端から突出するように設けられる。導電布5の内面側には、保護層9が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気電子機器、自動車、建築用壁部配管やその他の用途に用いることができる、内部に電線が通線され、電磁ノイズの影響を抑制可能なるシールド管等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等に用いられるケーブルの保護管としては、鋼管やアルミニウムパイプなどの金属管が用いられている。金属管は、通常、自動車の車体下部に設けられる。保護管が金属管であるため、外部からの電磁ノイズに対しては、保護管自体が電磁シールド性を有し、電磁ノイズの影響を受けにくい。しかし、金属管を所定の形状に加工するため、加工費がかさみ、電子機器等のレイアウトや配置の自由度が低い。また、金属製であるため重さの問題もある。したがって、シールド性を有する樹脂管が検討されている。
【0003】
このような、電磁シールド性を有する樹脂製のシールド管としては、例えば、樹脂製の鞘チューブの内部に、金属シートを円筒状に形成して挿入された電磁シールドチューブがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−221085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の電磁シールドチューブは、内部に挿入される導電性チューブが金属シートであるため、円筒状に形成された状態では、十分な可撓性を得ることが困難である。すなわち、金属シートを円筒状にすることで、当該導電性チューブ自体が可撓性をほとんど有さないため、電磁シールドチューブを無理に曲げようとすると、樹脂製のシールドチューブの内部で円筒状に成形された金属シートが、円筒形状の円断面の扁平化やシートの座屈により、金属シートの折れやしわなどが発生する。このため、金属シートが樹脂管からはがれる恐れがあり、周方向および長手方向において、均一なシールド特性を得ることも困難である。
【0006】
また、樹脂製のシールド管の内部に挿入される金属シートは、可撓性が小さいため、当該電磁シールドチューブを曲げながら設置対象物に設置する際、作業性が悪く、また、曲げ半径を大きくする必要があることから、設置レイアウトの自由度が小さい。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、可撓性に優れ、周方向および長手方向に対して均一なシールド特性を得ることが可能なシールド管等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、内部に電線が通線されるシールド管であって、波付管と、前記波付管の内面側に設けられ、伸縮可能な筒状の導電布により形成されるシールド層と、を具備し、前記導電布は周方向の全周に渡って導通するように絶縁部材を介さずに筒状に形成されており、前記導電布は、シールド管に接続される接続コネクタを覆うことが可能なように、前記波付管の端部から所定長さ露出する余長部が形成されることを特徴とするシールド管である。
【0009】
前記導電布は、シート状の素材を一部がラップするように丸めることで筒状に形成されるとともに、外周に設けられる接着層によって前記波付管の内面側に貼り付けられ、前記導電布のラップ部において、内側に位置する前記素材の端部の外周面には前記接着層が形成されない導電布露出部が形成され、外側に位置する前記素材の端部の内周面には、前記導電布と直接導通するアース線が設けられ、前記ラップ部において、前記アース線が前記導電布露出部において、前記導電布と直接導通することが望ましい。
【0010】
前記シールド層の内面には保護層が設けられることが望ましい。
【0011】
前記シールド管の最内周部には、ケーブルスペーサが設けられ、挿通されるケーブルを前記シールド管の断面略中央に保持可能であることが望ましい。
【0012】
前記シールド管の内面には、凹凸形状が形成されることが望ましい。
【0013】
第1の発明によれば、シールド層が伸縮性に富んだ導電布により形成されるため、高い可撓性を得ることができる。したがって、シールド管を曲げながら設置する作業が容易であるとともに、シールド層が導電布で形成されていることから、曲げによってもシールド層の少なくとも一部が拡縮して、シールド層にしわや折れなどが生じないため、各部位に対して均一なシールド特性を得ることができる。
【0014】
また、導電布は、絶縁部材(例えば接着剤など)を介さずに筒状に形成されるため、周方向に対して抵抗値の変化がなく、シールド管の周方向に対してシールド特性が変化することない。このため、周方向に対して均一なシールド特性を得ることができる。
【0015】
また、伸縮可能な筒状の導電布が、波付管の端部から所定長さ露出するように余長部が形成されるため、内部の電線と接続されるコネクタを設けた際に、コネクタ全体を導電布で覆うことが可能である。したがって、コネクタ部においても、全周(360°)に渡って導電布で覆うことができ、シールド層を形成可能であるため、高いシールド性を確保することができる。
【0016】
また、導電布の一部がラップするようにして筒状とし、外周が波付管の内面に接着するように接着層を形成するとともに、ラップ部に該当する部位には接着層を有さない導電布露出部を形成し、さらに、ラップ部に対応する部位の内周面側にアース線を設けることで、当該導電布露出部導とアース線とを直接接触させることができる。このため、筒状の導電布の周方向に対して確実に導通を得ることができる。
【0017】
また、シールド層の内面に保護層を形成することで、電線をシールド管に挿通する際に、電線の滑りが良く、また、電線でシールド層を損傷したりすることがない。また、振動によって、電線とシールド層とがこすれあうことで、シールド層のシールド特性が劣化することがない。なお、シールド層の内面に形成する保護層は、筒状の導電布の内周面側に形成するが、導電布をシールド層として設けた樹脂製チューブのシールド層の内部に、別途管体等を挿入して形成してもよい。
【0018】
また、シールド管の最内周に、内部に挿通される電線を保持するためのケーブルスペーサが設けられることで、電線をシールド管の中心近傍に保持することができる。このため、電線表面からシールド層までの径方向の距離を略一定にすることができるため、周方向に対してほぼ均一なシールド特性を得ることができる。
【0019】
また、シールド管の最内面を凹凸形状(軸方向断面において凹凸形状)とすることで、電線の挿通時に、電線とシールド管の内面との接触に伴う通線抵抗を小さくすることができる。このため、通線作業が容易となる。なお、凹凸形状は、保護層を形成する際には保護層の内面形状であってもよく、また、ケーブルスペーサが設けられる際には、ケーブルスペーサの内面にシボ加工等を施すことで形成すればよい。また、内面凹凸形状の管体等を内部に挿入してもよい。ここで、ケーブルスペーサの内面にしぼ加工するなど凹凸を設けたり、管体を波付管の内部に設けたりするのではなく、保護層を形成するシートの表面に凹凸を形成する場合においては、この凹凸形状が通線抵抗の低減だけでなく、保護層を形成するシートに導電布の伸縮性を付与する働きを有することになる。いずれの場合においても、電線をシールド管の断面略中心に配置することができ電線とシールド層との距離が周方向において略均一となるため、周方向で均一なシールド特性を得ることができる。
【0020】
第2の発明は、シールド管の製造方法であって、波付管の内部に、伸縮可能な筒状の導電布と、前記筒状の導電布の内部に、断面の一部に割りの入った割り管を、割り部が重なるように縮径して挿入し、前記割り管の割り部の重なりがなくなるように拡径することで、前記割り管の外周面で前記導電布を前記波付管の内面に押し付けることを特徴とするシールド管の製造方法である。
【0021】
また、シールド管の製造方法として、波付管の内部に、外周面にホットメルト接着剤が塗布され、伸縮可能な筒状の導電布と、前記筒状の導電布の内部に、伸縮可能なチューブを挿入し、前記チューブに、所定の圧力および温度の流体を流すことで、前記チューブを拡径するとともに流体の温度で前記接着剤を溶融し、前記チューブに、より低温の流体を流すことで、前記接着剤を冷却して前記導電布を前記波付管の内面に接着し、前記流体を止めて前記チューブを元の径に戻して抜き取ることを特徴とするシールド管の製造方法を適用することもできる。
【0022】
第2の発明によれば、簡易に導電布を用いてシールド層を形成することが可能である。特に、割り管を用いて、割り管によって導電布を波付管の内面に押し付けることで、導電布を波付管の内面に接着するための接着剤等を用いる必要がなく、確実に割り管によって導電布を保持することができる。
【0023】
また、伸縮可能なチューブを用いて、内部を流れる流体の圧力によってチューブを拡径するとともに、流体温度を上げることによってホットメルト接着剤を溶融し、次いで流体温度を下げることで、接着剤を冷却して確実に導電布を波付管の内面に接着することができ、接着後はチューブ内の流体圧力を抜き去ることで、容易にチューブのみを取り除くことができる。
【0024】
第3の発明は、ケーブルスペーサ付シールド管であって、波付管と、前記波付管の内面側に設けられ、伸縮可能な筒状の導電布により形成されるシールド層とを具備し、前記導電布は周方向の全周に渡って導通するように絶縁部材を介さずに筒状に形成されており、前記シールド管の最内周部には、ケーブルスペーサが設けられ、前記スペーサ内部には電線が挿通され、前記電線は前記シールド管の断面略中央に保持され前記電線の両端はコネクタが接続され、前記コネクタは、前記波付管から所定長さ露出する前記導電布の余長部により被覆されることを特徴とするケーブルスペーサ付シールド管である。
【0025】
第3の発明によれば、コネクタが全周から導電布によって被覆されるため、確実にシールド性を確保することができる。また、ケーブルスペーサによって電線がシールド管内部の中心に配置されるため、電線表面とシールド層との距離を周方向において略一定に保つことができる。したがって、均一なシールド特性を確保することができる。
【0026】
第4の発明は、ケーブルスペーサ付シールド管の設置方法であって、第3の発明にかかる複数本のケーブルスペーサ付シールド管を、断面における互いの配置が移動可能なように所定間隔で結束部材により結束し、一列に整列された状態の複数のケーブルスペーサ付シールド管を、整列方向と曲げ方向とが同一平面を形成しないように、設置対象の曲げ方向に応じて配置を移動させながら、三次元的に曲げ加工を行い、曲げ加工後のケーブルスペーサ付シールド管を設置対象に固定することを特徴とするケーブルスペーサ付シールド管の設置方法である。このように、成形を行うことで、三次元的な曲げ加工が容易になり、取り付けも容易になる。ここで、整列方向と曲げ方向とが同一平面を形成するように曲げ加工を行うと、隣接するケーブルスペーサ付シールド管同士が接触干渉して曲げ加工の障害となるが、本発明の方法では、この障害を回避することができる。尚、三次元的曲げを行わない場合でも、ケーブルスペーサ付シールド管の配列方向(配列面)と曲げ方向が異なる面を形成するように曲げることが望ましい。
【0027】
第4の発明によれば、ケーブルスペーサ付シールド管の断面における配置を自由に変化させることができるため、複数本のケーブルスペーサ付シールド管を、容易に三次元的に曲げることができる。このため、ケーブルスペーサ付シールド管の設置作業が容易であり、設置レイアウトの自由度が高い。また、ケーブルスペーサが設けられているために、三次元曲げを行ったあとでも、ケーブルスペーサ付シールド管中の電線とシールド層との距離が周方向において略均一となるように保つことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、可撓性に優れ、周方向および長手方向に対して均一なシールド特性を得ることが可能なシールド管等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】シールド管1を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】シールド管1の軸方向断面図であり、図1(a)のB部断面拡大図。
【図3】シート素材13を筒状に形成する状態を示す図で、(a)はシート素材13を示す図、(b)はシート素材13を筒状にした状態を示す図、(c)は(b)のD部拡大図。
【図4】シールド管20を示す図で、(a)は周方向断面図、(b)は軸方向断面図。
【図5】シールド管30を示す図で、(a)は周方向断面図、(b)は軸方向断面図。
【図6】シールドケーブル40を示す図で、(a)は全体図、(b)は(a)のE部拡大図。
【図7】チューブ45を用いたシールド管の製造工程を示す図。
【図8】割り管49を示す図。
【図9】割り管49を用いたシールド管の製造工程を示す図。
【図10】シールド管1a、1bを結束部材55で結束した状態を示す図。
【図11】シールド管1a、1bを三次元的に曲げた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態にかかるシールド管1について説明する。図1は、シールド管1を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。シールド管1は、主に波付管3、導電布5(シールド層7)、保護層9等から構成される。
【0031】
波付管3は、軸方向に山部と谷部とが繰り返して形成され、可撓性を有する樹脂管である。波付管3としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート等を用いることができる。
【0032】
波付管3の内面には、筒状の導電布5が設けられる。導電布5は、ニット編みなどによりストッキング等と同様な伸縮性を有する布体に、銅・ニッケルメッキ等の金属メッキが施されたものである。なお、導電性を有し、伸縮性を有する導電布であれば、難磁性体メッキ、銀メッキや、ステンレス不織布、金属メッシュ等を用いてもよい。導電布5としては、例えば、セーレン株式会社製のセーレン(登録商標)導電性繊維や、ウラセ株式会社製の導電性繊維等を用いることができる。
【0033】
波付管3の内面に形成される導電布5は、導電性を有するため、シールド管1の断面においてシールド層7となる。
【0034】
通常は導電布5の余長部11を形成させることが多いが、コネクタが波付管3の端部にはめ込まれる嵌入型の場合には、導電布の長さと、波付管3の長さを同一とすることもできる。しかし、コネクタの接続作業などの作業性を考えると、余長部を設ける方が波付管3の外部で取り付け作業が行えることから好ましい。
具体的には、筒状に形成された導電布5は、波付管3の両端部から所定長さだけ露出するように余長部11が形成される。すなわち、筒状の導電布5は、波付管3よりも長く形成され、導電布5が波付管3お両端から突出するように設けられる。なお、余長部11の長さは、用いられるコネクタの全周を被覆できるだけの長さであればよい。又余長部は適当な長さで波付管3の円周状にパイプカッター等で導電布を残し切断すれば容易に得られるが、その他の方法で、形成しても良い。
【0035】
導電布5の内面側には、必要に応じて保護層9が設けられる。保護層9は、電線との滑り性を高め、内部に挿通される電線によってシールド層が損傷することを防ぐために設けられる層である。保護層9としては、難燃性を有する樹脂が望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム等の樹脂を用いることができる。
【0036】
図2は、図1(a)のB部断面の拡大図であり、シールド管1の軸方向断面図である。導電布5は、図示を省略したホットメルト接着剤等により波付管3の内面に貼り付けられる。図2(a)に示すように、波付管3は軸方向に波形状を有し、波付管3の内面には、内面凸部3a、内面凹部3bが繰り返し形成される。
【0037】
導電布5は、少なくとも内面凸部3aにおいて、波付管3と接着される。この際、保護層9は導電布5の内面に形成されるため、波付管3の内面に導電布5および保護層9が配置される。この場合、波付管3の内面凹部3bにおいては、導電布5は接着されず、わずかにたるみが形成されて、波付管3の内面とは隙間が形成される。このように波付管内部で導電布に形成されるたるみは、波付管を曲げ加工する場合に、波付管の変形に導電布が追従して変形することを助ける役割を果たすため、たるみが形成されている方が望ましいが、製造条件を制御して、このたるみ量を必要に応じて制御してほとんど無くすこともできる。
【0038】
図2(b)は、導電布5の他の貼り付け状態を示す図である。図2(b)に示すように、導電布5(保護層9)を波付管3の内面凹凸形状に沿って貼り付けてもよい。この場合、導電布5は、内面凸部3a、内面凹部3bの両方において内面に接着される。ここで、図2(a)と図2(b)とでは、電磁シールド性能の点では、導電布が伸ばされていない図2(a)が好ましい。以下の説明では、特に記載がない限り、図2(a)の状態で導電布5が設けられる例について説明する。
【0039】
次に、シールド層7の形成方法について説明する。図3は、シールド層7を構成するために、導電布を筒状に成形する構成を示す図である。本発明では、図3(a)に示すようなシート素材13が用いられる。シート素材13は、導電布5の一方の面に、保護層9を構成する樹脂15が設けられ、他方の面にホットメルト型の接着剤17が設けられて形成される。
【0040】
シート素材13の樹脂15が設けられる面の端部には、樹脂15が設けられずにアース線19が長手方向に渡って設けられる。アース線19は、金属繊維等の導電体であり、導電布5に直接縫合等により設けられる。すなわち、アース線19と導電布5との間には、接着剤や樹脂等の絶縁材が設けられずに直接導通する。なお、アース線は波付管3の長手方向端部から外部に導出されてアースされることで、シールド管1のシールド層7がアースされる。尚アース線は導電布同士が
縫合、シームレス編みなどの手段で導通されていれば、それで代用しても良い。
【0041】
導電布5の接着剤17側の面において、アース線19とは反対側の端部には、導電布露出部18が形成される。すなわち、導電布露出部18においては、接着剤17が設けられず、導電布5が露出する。
【0042】
帯状のシート素材13は、縦添え巻き(長手方向の両側部同士を接合)により筒状に形成される(図中矢印C方向)。すなわち、シート素材13の両端部が互いにラップするようにして筒状に形成される。
【0043】
図3(c)は、筒状に形成されたシート素材13のラップ部の拡大図であり、図3(b)のD部拡大図である。前述の通り、シート素材13は、樹脂15が内面側に来るように筒状に形成される。この際、ラップ部において、外周側にくるシート素材13端部の内面には、アース線19が設けられる。一方、ラップ部において内周側に来るシート素材13端部の外面には、導電布露出部18が設けられる。このため、導電体であるアース線19を介してラップ部の導電布5同士が直接導通する。
【0044】
すなわち、ラップ部において、導電布5同士の間に接着剤や樹脂等の絶縁材は設けられない。したがって、筒状に形成されたシート素材13は、その周方向において、抵抗値が大きく変わる部分がなく、全周にわたって略均一な導電性を得ることができる。なお、周方向に渡って均一に導通すれば、図3に示す構成には限られない。例えば、導電布が筒状に縫製されるのであれば、ラップ部は不要である。このような縫製を行うには、筒状シームレス編物を製造する方法が用いられる。例えば、手袋編機や靴下編機として使用される針列が2列あり、1列目の終わりの編針で2列目の最初の編針に受け渡し、2列目の終わりの編針で1列目の最初の編針に受け渡して筒状シームレス編物を編成する島精機製の自動横編機を使用して、筒状シームレス編物を編成することができる。さらに、必要な場合には、編物を、二重編物とすることができる。二重編物とすることで、さらに電磁シールド性を向上させることができる。また、筒状シームレス編物の外周の一部を二重に構成して、二重に構成した一部にアース線を挿入することもできるこのような構成とすることにより、導電布の一部が千切れたりした場合でも、全体としては安定した電磁シールド性が確保できる。
【0045】
また、筒状に形成されたシート素材13の外周面の略全体に接着剤17が設けられるため、波付管3の内面に対して、図2に示す所望の形態で導電布5を貼り付けることができる。
【0046】
以上、第1の実施の形態にかかるシールド管1によれば、伸縮可能な導電布5が波付管3の内面に設けられるため、高い可撓性と、シールド性を確保することができる。また、筒状に形成される導電布5は、絶縁体等を介さずに周方向にわたって導通するため、周方向の位置によらず、略均一なシールド特性を得ることができる。
【0047】
また、導電布5が、波付管3の端部より露出し、余長部11が形成されるため、シールドケーブルとして用いられる際に、コネクタ自体を導電布5で全周から被覆することができる。したがって、コネクタの全周に対してもシールド層を形成することができ、このため、高いシールド性を確保することができる。
【0048】
また、シールド層7の内面側に保護層9が設けられるため、電線挿通時の滑りがよく、また、電線等の挿通時にシールド層7が損傷等を受けることがない。さらに、振動等によって、電線とシールド層とが直接擦れることで、シールド特性が劣化することがない。
【0049】
次に、第2の実施の形態にかかるシールド管20について説明する。図4はシールド管20を示す図で、図4(a)は周方向断面図、図4(b)は軸方向拡大断面図である。なお、以下の実施の形態において、図1等と同一の機能を奏する構成については、図1等と同一の記号を付し、重複する説明を省略する。シールド管20は、シールド管1と略同様の構成であるが、保護層9に代えて管体21が設けられる点でシールド管1と異なる。
【0050】
シールド管20は、波付管3の内面に筒状の導電布5が配置される。導電布5の内面側には、管体21が設けられる。管体21は、波付管3と同様に可撓性を有する樹脂管である。管体21としては、内面の軸方向に対して凹凸形状が繰り返し形成される波付管であることが望ましい。ここで、波付管3の谷部ピッチより、管体21の山部ピッチが大きいものが望ましい。このようにすることで、導電布5の内面側に配置する管体21が波付管3の内面に食い込むことを防ぐことができる。
【0051】
シールド管20では、導電布5は波付管3の内面に接着剤等によって貼り付けられてもよく、または、管体21の外周面に導電布5が貼り付けられて、波付管3の内部に挿入されてもよい。また、管体21の外径と波付管3の内径が略一致するような場合には、導電布5は波付管3および管体21のいずれにも接着されず、管体21外面と波付管3内面とで挟み込まれるようにしてもよい。
【0052】
第2の実施の形態にかかるシールド管20によれば、シールド管1と同様の効果を奏することができる。なお、シールド管20における管体21は、保護層としても機能する。また、管体21が波付管であれば、電線の挿通時に、電線と管体21内面との接触に伴う通線抵抗を小さくすることができ、また、電線をシールド管20の中心に近い位置に配置することができる。したがって、通線作業を悪化させることなく、電線をシールド管20の中心近くに配置し、電線とシールド層との距離を、周方向において略均一にすることができる。
【0053】
たとえば、管体21の全厚を厚くしたのでは、重量増およびコスト増を招き、可撓性は低下するが、管体21の内面を凹凸することで、可撓性をおよび軽量化等を確保しつつ、電線を波付管3の断面において、より中央に配置することができる。より具体的には、管体21の内径(凹凸の最内径)が電線の外径よりもわずかに大きければ、電線はシールド管の断面の略中心に配置される。したがって電線表面とシールド層7との距離が、周方向において略一定となる。このため、周方向において、略均一なシールド特性を得ることができる。
【0054】
次に、第3の実施の形態にかかるシールド管30について説明する。図5はシールド管30を示す図で、図5(a)は周方向断面図、図5(b)は軸方向拡大断面図である。シールド管30は、シールド管1と略同様の構成であるが、保護層9に代えてスペーサ31が設けられる点でシールド管1と異なる。
【0055】
ケーブルスペーサであるスペーサ31は、可撓性を有する部材であり、例えばスポンジ状の発泡樹脂等である。スペーサ31は、筒状の部材であり、内径は挿通される電線33と略一致する。また、スペーサ31の外径は波付管3の内径とほぼ一致する。したがって、シールド管30では、波付管3の内周に導電布5が設けられ、その内周にスペーサ31が設けられる。
【0056】
なお、導電布5は、波付管3の内面に接着剤等によって接着されてもよく、またはスペーサ31の外周に貼り付けられ、スペーサ31とともに波付管3内部に挿入されてもよい。また、スペーサ31の外周面と波付管3の内周面との間に導電布5を挟み込んで保持可能であれば、接着は不要である。
【0057】
図5(b)に示すように、スペーサ31の内面には、必要に応じてシボ加工等が施され、軸方向に凸部35と凹部37が繰り返して形成される。すなわち、スペーサ31の内周面には凹凸形状が形成される。
【0058】
第3の実施の形態にかかるシールド管30によれば、シールド管1と同様の効果を奏することができる。なお、シールド管30におけるスペーサ31は、保護層としても機能する。また、スペーサ31の内面が凹凸形状であるため、電線とスペーサ31内面との接触に伴う通線抵抗を小さくすることができるとともに、電線33をシールド管31の断面中心に配置することができる。したがって電線表面とシールド層との距離が、周方向において略一定となる。このため、周方向において、略均一なシールド特性を得ることができる。
【0059】
次に、本発明にかかるシールド管を用いたシールドケーブル40について説明する。図6は、シールドケーブル40を示す図で、図6(a)は全体図、図6(b)は図6(a)のE部拡大図である。なお、以下の説明では、シールド管1を用いたシールドケーブル40について説明するが、他の実施形態にかかるシールド管についても同様に用いることができる。
【0060】
シールドケーブル40は、シールド管1の内部に電線41が挿通され、シールド管1の両端部おいて、コネクタ43が設けられる。コネクタ43は、接続される対象に応じて適宜選択される。電線41とコネクタ43とは電気的に接続される。
【0061】
図6(b)に示すように、導電布5(図中実線)は、シールド管1の端部(波付管とコネクタ43(図中点線部)との間)から余長部として導出され、コネクタ43の全周に被せられる。導電布5は極めて伸縮性に優れるため、コネクタ43の形状に応じて伸び、コネクタ43全体を被覆することができる。なお、前述の通り、通常、導電布5の余長部の長さは、コネクタ43の全周を覆うことが可能な長さで設定されるが、余長部の長さをコネクタ43の長さの2倍に設定して、折り返して、コネクタの全周を覆うことができる。
また、図6(c)に示すように、コネクタ43aがシールド管1の内部に内蔵されるようにする場合には、導電布5の余長部は必ずしも必要ではない。この場合には、コネクタ43aの端部には、コネクタ43aがシールド管1の内部に入り込むことを防止するためのフランジ部が設けられる。フランジ部は、シールド管1の内径よりも大きく、コネクタ43aがシールド管1の内部に引っ張り込まれることを防止する。したがって、コネクタ43aの導体部は、シールド管1の内部において、導電布5で全周を被覆される。
なお、アース線を使用しない場合には、コネクタ43、43aを導電体で形成し、または、コネクタ43、43aの一部に導体である接地部を設け、導電布5を直接コネクタ43、43a、または接地部に導通させればよい。すなわち、コネクタ43、43aを被覆する部位においては、必要に応じて導電布5の内周面側の保護層等が除去される。
【0062】
シールドケーブル40によれば、シールド管1が極めて可撓性に優れ、シールド管1のいずれの位置においても確実にシールド性を得ることができる。また、コネクタ43が導電布5で全周に渡って被覆されるため、コネクタ部においても、周方向に均一なシールド特性を得ることができる。
【0063】
次に、本発明にかかるシールド管の製造方法について説明する。図7は、シールド管の製造工程を示す図であり、導電布5を波付管3の内周面に貼り付ける方法を示す図である。まず、図7(a)に示すように、波付管3の内部に筒状に形成された導電布5を挿通する。筒状の導電布5は、例えば図3に示す方法で形成すればよい。導電布の外周側には、図示を省略したホットメルト接着剤が塗布される。また、導電布5の内周面には、図示を省略した保護層を形成してもよい。
【0064】
次に、筒状の導電布5の内部に、チューブ45を挿通する。チューブ45は、伸縮性に優れ、内部に水等の流体を流すことが可能であればよく、例えばシリコーンチューブである。チューブ45は、例えばポンプ等に接続される。
【0065】
次に、図7(b)に示すように、チューブ45の内部に所定以上の圧力で流体を流す。流体の圧力は、チューブ45を拡径させ、チューブ45の外面で導電布5を波付管3内面に押し付けることができる程度の圧力とする。また、流体は、例えば85℃程度の高温とする。流体温度は、チューブ45、波付管3等の耐熱温度以下であって、接着剤の融点以上とする。すなわち、ホットメルト接着剤としては、導電布5と波付管3とを接着可能であり、例えば85℃程度の融点のものが使用できる。
【0066】
チューブ45に流体を流すことで、導電布5は波付管3の内周面に押し付けられるとともに、導電布5の外周面のホットメルト接着剤が流体の熱によって溶融する。次に、内部が同一の圧力で保持された状態で、より低温(例えば室温)の流体を流す。このようにすることで、溶融した接着剤が固化し、導電布5が波付管3内面に確実に接着される。
【0067】
導電布5が接着した後、流体を止めてチューブ45内部の圧力を抜くことで、チューブ45が縮径する。縮径したチューブ45を波付管3から抜き取ることで、図7(c)に示すように、導電布5が波付管3に接着される。その後、必要に応じて、管体21(図4)を挿入してもよく、スペーサ31(図5)を挿入してもよい。以上により、シールド管が製造される。
【0068】
次に、シールド管20について、他の製造方法について説明する。図8は、割り管50を示す図である。図8(a)に示すように、割り管50は、割り部51、51によって軸方向に割り部が形成される。両割り部51、51を突き合わせることで、割り管50は略真円の管状となる。
【0069】
まず、図8(b)に示すように、割り管50の割り部51同士が一部重なるようにして、ラップ部53を形成して縮径する。すなわち、この状態の割り管50の外径は、割り部51を突き合わせて筒状(略真円状)に形成した場合と比較して小さくなる。
【0070】
次に、図9(a)に示すように、筒状の導電布5が挿通された波付管3に縮径された割り管50を挿入する。なお、導電布5を筒状にする方法としては、例えば図3に示す方法を用いればよい。但し、本製造方法においては、導電布5の外周面には接着剤は必ずしも必要ではない。
【0071】
次に、ラップ部53の重なりをなくして、割り管50を拡径する(図中矢印F方向)。すなわち、図9(b)に示すように、割り管50の割り部51同士が突き当たるように、略真円となるように割り管50を拡径する。この際、割り管50が拡径された状態(略真円となった状態)の外径は、波付管3の内径と略等しいか、わずかに割り管50の外径を大きくしてもよい。したがって、割り管50の外周面で、導電布5を波付管3の内周面に押し付けることができる。
【0072】
割り管50の外径が波付管3の内径と略同一以上であれば、拡径された割り管50によって確実に導電布5を波付管3内面に押し付けることができ、導電布5に接着剤を用いなくても、導電布5を波付管3の内周面に確実に配置することができる。また、接着剤を用いる必要がないため、導電布5の端部をラップさせて筒状とした場合にも、導電布5を周方向で確実に導通させることができる。
【0073】
なお、割り管50の拡径は、例えば、前述したチューブ45等を挿入して、内部に高圧流体を流すことでチューブ45を拡径し、これにより割り管50のラップ部53のラップを外して環状に拡径してもよい。また、割り管50の内部には、直接電線を挿通してもよく、さらにスペーサ31(図5)を挿入してスペーサ31内部に電線を挿通してもよい。
【0074】
次に、シールドケーブルの設置方法について説明する。図10はシールド管1a、1bの結束状態を示す図である。なお、以下の説明では、電線およびコネクタの図示を省略し、シールド管の設置方法について説明するが、電線が挿通されたシールドケーブルも同様の方法で設置することができる。
【0075】
複数のシールド管1a、1bは互いに隣り合うように結束部材55で結束される。なお、シールド管1a、1bは、前述したいずれのシールド管であってもよい。結束部材55は、シールド管1a、1bが離れないように保持可能である。結束部材55としては、可撓性を有し、自らの外形を変化させることができるものであればよく、例えば樹脂製である。
【0076】
結束部材55の内周面は、シールド管1a、1bの外周面に対して滑ることができる。したがって、図10(b)に示すように、シールド管1bを固定した状態(回転しない状態)であっても、シールド管1aをシールド管1bの外周面に対して滑らせるように移動させることができる(図中矢印G方向)。すなわち、結束部材55で結束されたシールド管1a、1bは、管断面の互いの配置(並列方向)を変えることができるように移動が可能に結束される。なお、シールド管1a、1bは、長さ方向の所定間隔で複数の結束部材55によって結束される。
【0077】
図11は、結束部材55によって結束された一対のシールド管1a、1bの設置状態を示す図である。自動車等の底面側に配置されるシールドケーブルは、通常、極めて複雑な三次元曲げによって形成されて設置される。しかし、可撓性を有するシールド管を設置する場合には、あらかじめ工場等で三次元曲げを施す必要がなく、現場で現物に合わせるように必要な方向に曲げながら設置され固定される。このため、輸送時には、直管または円形または螺旋形に巻いた状態で運搬することができ、輸送効率が良い。
【0078】
しかしながら、設置するシールド管が1本であれば、シールド管の可撓性によって自由な方向に曲げることが可能であるが、複数本のシールド管を結束して設置する場合には、曲げが困難である場合がある。例えば、複数のシールド管の並列方向に対して、同一面内に曲げるのでなく、垂直な方向などの同一平面を形成しないように曲げるのであれば、シールド管を一本設置した場合とほとんど曲げ性は変わらないが、複数のシールド管の並列方向に曲げる場合には、前述したように、極めて曲げが困難となる。
【0079】
これに対し、本発明では、図11に示すように、結束されたシールド管1a、1bに対し、常に曲げ方向に垂直な方向に並列するように(曲げ方向と並列方向とが同一平面上にならないように)、断面における互いの配置を入れ替えながら設置される。例えば、図11の例では、先端側(図中左下)が固定された状態で、まず、I1方向に曲げられる。この部位においては、曲げ方向(I1)に対して垂直な方向(図中H1方向)にシールド管1a、1bが並列するように位置する。この状態で、当該曲げ部近傍のシールド管1a、1bを車体等に固定する。
【0080】
次に、当該曲げ位置の先で、I1とは異なる方向(図中矢印I2方向)に曲げる必要がある場合、それぞれの曲げ部の中間に、管配置入替部57を形成する。管配置入替部57では、図10(b)に示すように、シールド管1a、1bの互いに配置が入れ替えられる。すなわち、管配置入替部57において、シールド管1a、1bの並列方向を変える。
【0081】
例えば、図11の例では、曲げ方向がI2であれば、これと垂直な方向にシールド管1a、1bが並列するように(図中H2方向)、シールド管1a、1bが管配置入替部57において、互いに配置を入れ替える。すなわち、曲げ部同士の間に、その都度並列方向を変化させる管配置入替部57を形成することで、曲げが容易である。なお、曲げられたシールド管1a、1bは所定の位置で、車体等に固定される。以上により、複雑な三次元曲げが必要な配管レイアウトであっても、結束状態で容易に設置することができる。これにより相互のシールド管に内装されている電線が略ツイスト状に配線されるため、電線からの電磁波ノイズが緩和される効果がある。
【0082】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、内部に電線が通線され、電磁ノイズの影響を抑制可能なるシールド管等に関するものであり、電気電子機器、自動車、建築用壁部配管などの用途に関しては、例示であり、使用上特別の制約を受けない限り、他の用途にも使用でき、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上述した各シールド管の構成は当然に互いに組み合わせることができる。また、波付管の形状や内部に挿入される管体、割り管等の形状は、図示した例に限られない。
【符号の説明】
【0084】
1、
20………シールド管
30………ケーブルスペーサ付シールド管
3………波付管
3a………内面凸部
3b………内面凹部
5………導電布
7………シールド層
9………保護層
11………余長部
13………シート素材
15………樹脂
17………接着剤
18………導電布露出部
19………アース線
21………管体
31………スペーサ
33………電線
40………シールドケーブル
41………電線
43、43a………コネクタ
45………チューブ
50………割り管
51………割り部
53………ラップ部
55………結束部材
57………管配置入替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電線が通線されるシールド管であって、
波付管と、
前記波付管の内面側に設けられ、伸縮可能な筒状の導電布により形成されるシールド層と、
を具備し、
前記導電布は周方向の全周に渡って導通するように絶縁部材を介さずに筒状に形成されており、
前記導電布は、シールド管に接続される接続コネクタを覆うことが可能なように、前記波付管の端部から所定長さ露出する余長部が形成されることを特徴とするシールド管。
【請求項2】
前記導電布は、シート状の素材を一部がラップするように丸めることで筒状に形成されるとともに、外周に設けられる接着層によって前記波付管の内面側に貼り付けられ、
前記導電布のラップ部において、内側に位置する前記素材の端部の外周面には前記接着層が形成されない導電布露出部が形成され、外側に位置する前記素材の端部の内周面には、前記導電布と直接導通するアース線が設けられ、
前記ラップ部において、前記アース線が前記導電布露出部において、前記導電布と直接導通することを特徴とする請求項1記載のシールド管。
【請求項3】
前記シールド層の内面には保護層が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールド管。
【請求項4】
前記シールド管の最内周部には、ケーブルスペーサが設けられ、挿通される電線を前記シールド管の断面略中央に保持可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシールド管。
【請求項5】
前記ケーブルスペーサの内面には、凹凸形状が形成されることを特徴とする請求項4記載のシールド管。
【請求項6】
シールド管の製造方法であって、
波付管の内部に、伸縮可能な筒状の導電布と、前記筒状の導電布の内部に、断面の一部に割りの入った割り管を、割り部が重なるように縮径して挿入し、
前記割り管の割り部の重なりがなくなるように拡径することで、前記割り管の外周面で前記導電布を前記波付管の内面に押し付けることを特徴とするシールド管の製造方法。
【請求項7】
シールド管の製造方法であって、
波付管の内部に、外周面にホットメルト接着剤が塗布され、伸縮可能な筒状の導電布と、前記筒状の導電布の内部に、伸縮可能なチューブを挿入し、
前記チューブに、所定の圧力および温度の流体を流すことで、前記チューブを拡径するとともに流体の温度で前記接着材を溶融し、
前記チューブに、より低温の流体を流すことで、前記接着材を冷却して前記導電布を前記波付管の内面に接着し、
前記流体を止めて前記チューブを元の径に戻して抜き取ることを特徴とするシールド管の製造方法。
【請求項8】
ケーブルスペーサ付シールド管であって、
波付管と、前記波付管の内面側に設けられ、少なくとも一部が伸縮可能な筒状の導電布により形成されるシールド層とを具備し、前記導電布は周方向の全周に渡って導通するように絶縁部材を介さずに筒状に形成されており、
前記シールド管の最内周部には、ケーブルスペーサが設けられ、
前記ケーブルスペーサの内部には電線が挿通され、前記電線は前記シールド管の断面略中央に保持され
前記電線の両端はコネクタが接続され、
前記コネクタは、前記波付管から所定長さ露出する前記導電布の余長部により被覆されることを特徴とするケーブルスペーサ付シールド管。
【請求項9】
ケーブルスペーサ付シールド管の敷設方法であって、
請求項8記載の複数本のケーブルスペーサ付シールド管を、断面における互いの配置を移動可能なように結束部材により結束し、
一列に整列された状態の複数のケーブルスペーサ付シールド管を、整列方向と曲げ方向とが略垂直となるように、敷設対象の曲げ方向に応じて断面における配置を移動させながら、三次元的に曲げ、設置対象に固定することを特徴とするケーブルスペーサ付シールド管の敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−104727(P2012−104727A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253454(P2010−253454)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(500480355)株式会社フォーム化成 (5)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】