説明

シール構造及び温度膨張弁

【課題】弁ハウジング10とダイヤフラム装置20との間を封止し、圧力上昇時においても高いシール性を得る。
【解決手段】弁ハウジング10の第1円筒部1の外周に雄ねじ部11と段部12を形成する。ダイヤフラム装置20の下蓋20bの第2円筒部2の内周に雌ねじ部21を形成する。第2円筒部2の開口端部2Aに突条22を形成する。段部12と突条22の対向面をそれぞれ第1シール面12A、第2シール面22Aとする。第2シール面22Aの面積を第1シール面12Aの面積より小さくする。例えば、第2シール面22Aを軸線Lに直角なフラット面とし、第1シール面12Aをテーパ面とする。第2円筒部2と第1円筒部1との締付けにより発生する推力により、第2円筒部2の開口端部2Aに内向きの応力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの円筒部のうち一方の円筒部の外周に雄ねじが形成され、他方の円筒部の内周に雌ねじが形成され、この雄ねじと雌ねじを螺合して両円筒部を結合し、該円筒部内に流体が充填される装置要素において、2つの円筒部の結合部分を封止するシール構造、該シール構造を適用した温度膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度膨張弁として、例えば特開平9−79703号公報(特許文献1)に開示されたものがある。特許文献1の温度膨張弁(温度式膨張弁)は、蒸発器の出口配管に取り付けられた感温筒を備え、この感温筒に連通されたダイヤフラム装置(エレメント部4′)が弁本体の弁ハウジング(ハウジング部材40)に取り付けられている。ダイヤフラム装置はステンレス等でプレス成形された蓋部材(56)と受け部材(55)によりケース体を構成し、このケース体内にダイヤフラムで区画された感圧室(第1の圧力室50)と均圧室(第2の圧力室51)を設けている。感圧室には感温筒の封入ガスの圧力が導入され、均圧室には冷媒圧力が導入される。
【0003】
ダイヤフラム装置のケース体の受け部材(下蓋)は、その下端に均圧室に連通する円筒部を有し、弁ハウジングはダイヤフラム装置側から弁体に通じる円筒部を有している。そして、受け部材の円筒部に雌ねじ部と弁ハウジングの円筒部の雄ねじ部を螺合させることで、ケース体が弁ハウジングに結合されている。この結合部分のシール構造は、受け部材の円筒部の下端部を弁ハウジングの円筒部の段部に当接し、この下端部と段部との面接触により結合部分を封止する構造となっている。
【0004】
しかしながら、このような温度膨張弁において、ダイヤフラム装置のケース体内の圧力は高圧になるので、ケース体の円筒部と弁本体の円筒部との結合部分に高いシール性が要求される。
【0005】
なお、2つの円筒部を結合するものにおいて、この円筒部両者間を封止するシール構造として、例えば特表平4−503559号公報(特許文献2)に開示されたものがある。この特許文献2の技術は、雌ねじ部が形成された外側の円筒部(62)内に閉塞用円盤(69)を内挿し、雄ねじ部が形成された内側の円筒部(71)を外側の円筒部内に螺合して結合している。外側の円筒部(62)の内部と内側の円筒部(71)との間は、閉塞用円盤(69)の端部に形成した当接部(66)のテーパ面と外側の円筒部(62)の内周に形成したテーパ面(支持面65)との面接触により封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−79703号公報
【特許文献2】特表平4−503559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、温度膨張弁では、ダイヤフラム装置のケース体と弁ハウジングとを雄ねじ部及び雌ねじ部によりねじ込むことで互いの気密を確保しているだけであるので、均圧室の圧力上昇によりケース体側の円筒部(受け部材の円筒部)が変形すると、円筒部下端部と段部との接触面(シール面)がずれてしまい、シール性が保てないという問題がある。なお、特許文献2のように両方のシール面をテーパ面とすると、一方の円筒部が変形するとシール面がずれるという同様の問題がある。
【0008】
本発明は、雄ねじと雌ねじを螺合して2つの円筒部を結合し、この円筒部内に流体が充填される装置要素において、2つの円筒部の結合部分のシール性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のシール構造は、第1円筒部と第2円筒部を結合し、該第1円筒部及び第2円筒部内に流体が充填される装置要素の第1円筒部と第2円筒部の結合部分を封止するシール構造であって、前記第1円筒部の外周には該第1円筒部の開口端部から雄ねじ部が形成されるとともに、前記第2円筒部の内周には雌ねじ部が形成され、前記第1円筒部の外周には、前記雄ねじ部の前記開口端部とは反対側の位置に該第1円筒部の軸線を中心とする環状の第1シール面が形成され、前記第2円筒部の開口端部には、該第2円筒部の軸線を回転中心とする環状の第2シール面であって前記第1シール面内に収まるような該第1シール面より面積の小さな第2シール面が形成され、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部を螺合して前記第1シール面と前記第2シール面を圧着することで第1円筒部と第2円筒部を結合するよう構成され、前記雄ねじ部と雌ねじ部の締付けにより発生する推力により、前記第2円筒部の開口端部に内向きの応力を発生させるように、前記第1シール面または前記第2シール面の少なくともいずれか一方が、前記軸線と直交する平面から傾斜したテーパ面となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項2のシール構造は、請求項1に記載のシール構造であって、前記第1円筒部の前記第1シール面が前記前記テーパ面であり、前記第2シール面が軸線に直角なフラット面であることを特徴とする。
【0011】
請求項3のシール構造は、請求項1に記載のシール構造であって、前記第1円筒部の前記第1シール面が前記軸線に直角なフラット面であり、前記第2シール面が前記テーパ面であることを特徴とする。
【0012】
請求項4のシール構造は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシール構造であって、前記第1円筒部が真鍮であり、前記第2円筒部がステンレスであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の温度膨張弁は、弁ハウジングに形成された弁ポートを弁体により開閉して冷媒の流れを制御する弁本体と、ケース体内をダイヤフラムにより区画して受圧室と均圧室とを形成したダイヤフラム装置とを備え、前記受圧室の圧力と前記均圧室の圧力との差圧に応じて作動する前記ダイヤフラム及び前記弁体により前記弁ポートの弁開度を制御するようにした温度膨張弁において、前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシール構造を備え、前記弁ハウジングは、前記弁体を収容する円筒状の前記第1円筒部を有するとともに、前記ダイヤフラム装置のケース体は前記均圧室に連通する円筒状の前記第2円筒部を有し、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部を螺合して前記第1シール面と前記第2シール面を圧着することで前記弁ハウジングに対して前記ケース体を結合するよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のシール構造によれば、雄ねじ部と雌ねじ部を螺合して第2円筒部の第2シール面を第1円筒部の第1シール面に圧着することで第1円筒部と第2円筒部が結合され、第1シール面または第2シール面の少なくともいずれか一方のテーパ面により、雄ねじ部と雌ねじ部の締付けにより発生する推力により、第2円筒部の開口端部に内向きの応力が発生するので、第1円筒部及び第2円筒部内の流体の圧力上昇により第1シール面と第2シール面からなるシール面が動いてしまうのを防止でき、流体が高圧となった時にもシール性を確保することができる。第2円筒部が第1円筒部よりも硬質な材質であれば、第2シール面の少なくとも一部が第1シール面に食い込み、第2円筒部の開口端部が外側に動くのをさらに防止することができる。
【0015】
請求項2のシール構造によれば、第2シール面が軸線に直角なフラット面であり、前記第1円筒部の前記第1シール面が、ねじ込み方向の移動時に前記第2シール面の外縁部が第1シール面に最初に当接する構造であり、第2シール面の外縁部よりも外側に第1シール面のテーパ面の一部が存在するので、第2円筒部の開口端部が外側に動くのを機械的にさらに防止することができ、シール性を確保することができる。
【0016】
請求項3のシール構造によれば、請求項1と同様な効果が得られる。
【0017】
請求項4のシール構造によれば、第1円筒部が真鍮、第2円筒部がステンレスであり、第2シール面の内縁部または外縁部が第1シール面に当接しても、内縁部あるいは外縁部が変形し難くなる分、この第2シール面を第1シール面に確実に食い込ませることができ、第2円筒部の開口端部が外側に動くのを確実に防止することができ、シール性を確保することができる。
【0018】
請求項5の温度膨張弁によれば、請求項1乃至4のいずれか一項の作用効果により、弁ハウジングとダイヤフラム装置との間のシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の温度膨張弁の一部拡大断面図である。
【図2】本発明の実施形態の温度膨張弁のシール構造の第1実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態の温度膨張弁のシール構造の第2実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態の温度膨張弁のシール構造の第3実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態の温度膨張弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明のシール構造及び温度膨張弁の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態の温度膨張弁の一部拡大断面図、図2は実施形態の温度膨張弁のシール構造の第1実施形態を示す要部拡大断面図、図3は実施形態の温度膨張弁のシール構造の第2実施形態を示す要部拡大断面図、図4は実施形態の温度膨張弁のシール構造の第3実施形態を示す要部拡大断面図、図5は実施形態の温度膨張弁の縦断面図である。
【0021】
この実施形態の温度膨張弁は、弁本体を構成する真鍮製の弁ハウジング10とダイヤフラム装置20とを有している。弁ハウジング10には、一次側継手管10a1が接続された第1ポート10aと二次側継手管10b1が接続された第2ポート10bが形成され、第1ポート10aと第2ポート10bとの間に弁ポート10cが形成されている。また、弁ハウジング10には、均圧管10d1が接続された均圧路10dが形成されている。一次側継手10a1は凝縮器の出口側配管に接続され、二次側継手10b1は蒸発器の入口側配管に接続される。また、均圧管10d1は蒸発器の出口側配管に接続される。
【0022】
弁ハウジング10のダイヤフラム装置20側には円筒形状の第1円筒部1が形成され、この第1円筒部1には、第1ポート10aが側部に開口されるガイド孔1aが形成されている。このガイド孔1aは、弁ポート10c側を一端にして弁ポート10cの中心軸を軸線Lとする円筒状の形状をしており、弁ポート10cと反対側はダイヤフラム装置20内に開口している。ガイド孔1a内には弁体30が配設されている。弁体30は、弁ポート10cに対して第2ポート10b側に位置する弁部30aと、ガイド孔1aの内周面に対してクリアランスを有し、ガイド孔1a内に嵌挿される円柱状のニードル部30bとを有している。これにより、弁体30はガイド孔1a内に軸線L方向に移動自在に収容され、軸線L方向の移動により弁部30aが弁ポート10cを開閉する。
【0023】
ニードル部30bの上部には押え部材40aによりシール部材40が取り付けられており、さらに、このニードル部30bの端部には、当金50が装着され、弁体30は当金50を介してダイヤフラム装置20のダイヤフラム20cに連結されている。なお、弁ポート10cの下部には軸線Lを軸とする略円筒形状の取付け孔10eが形成されており、取付け孔10eには調整スピンドル10fが取り付けられている。そして、調整スピンドル10fを回すことにより、調整ばね10gによる弁体30への付勢力が調整される。これにより、過熱度設定が調整される。
【0024】
ダイヤフラム装置20は、いずれもステンレス製の上蓋20aと下蓋20bにより「ケース体」を構成している。上蓋20aと下蓋20bの間にはダイヤフラム20cを備えており、上蓋20aと下蓋20bとからなるケース体内部は、このダイヤフラム20cによって受圧室20Aと均圧室20Bとして区画されている。均圧室20Bは、弁ハウジング10の前記均圧路10dを介して蒸発器の出口側配管に導通され、この均圧室20Bには蒸発圧力が導入される。
【0025】
受圧室20Aは、キャピラリチューブ20dを介して感温筒20eに連結されている。なお、感温筒20e、キャピラリチューブ20d及び受圧室20A内には、例えば冷凍サイクルの冷媒と同じガス(及び液)が封入されており、この感温筒20eは、蒸発器の出口側配管に取り付けられる。これにより、受圧室20Aの内圧は、感温筒20eによる感知温度に応じて変化する。そして、ダイヤフラム20cは、受圧室20Aと均圧室20Bの圧力差に応じて変位し、この変位は、当金50によって弁体30に伝達される。この構成により、感温筒20eの感知温度と蒸発圧力との差圧に応じて、凝縮器側の一次配管から蒸発器側の二次配管に冷媒を流す弁ポート10cの開度を制御し、冷凍サイクルの過熱度制御を行う。
【0026】
下蓋20bの下部には円筒状の第2円筒部2が形成されている。弁ハウジング10の前記第1円筒部1の外周には雄ねじ部11が形成されている。第2円筒部2の内周には雌ねじ部21が形成されている。そして、第2円筒部2の雌ねじ部21と第1円筒部1の雄ねじ部11を螺合することにより、ダイヤフラム装置20は弁ハウジング10に取り付けられている。
【0027】
また、第1円筒部1の外周には、雄ねじ部11の開口端部1Aとは反対側の位置に雄ねじ部11より径の大きな段部12が形成されている。そして、この段部12の第2円筒部2と対向する面は、第1円筒部1の軸線Lを回転中心とする環状の第1シール面12Aとなっている。第2円筒部2の開口端部2Aには、リング状の突条22が形成されている。そして、この突条22の第1シール面12A側の対向面は、第2円筒部2の軸線Lを回転中心とする環状の第2シール面22Aとなっている。なお、図2及び図3に示すように、第1シール面12Aの半径方向の幅D1は第2シール面22Aの半径方向の幅D2より大きくなっており、且つ第2シール面22Aは第1シール面12A内に収まる位置にある。これにより、第2シール面22Aの面積は第1シール面12Aの面積より小さくなっている。なお、軸線Lは、第1円筒部1及び第2円筒部2で共通である。
【0028】
次に、第1シール面12Aと第2シール面22Aによるシール構造の各実施例を説明する。なお、図2〜図4は図1における左側の一点鎖線の部分の拡大図であるが、全体の構造は、図2〜図4の断面を軸線Lを回転軸として回転させた回転体の構造となっている。図2は第1実施例を示す図であり、図2(A) 、図2(B) 、図2(C) の順に第1円筒部1に対して第2円筒部2が次第にねじ込まれていく状態を示している。第1実施例は、第2円筒部2の第2シール面22Aが軸線Lに直角なフラット面である。そして、第1シール面12Aが、第2円筒部2のねじ込み方向(矢印R方向)の移動により第2シール面22Aの外縁部22A2(図2(B) )が第1シール面12Aに最初に当接するようなテーパ面である。
【0029】
第2シール面22Aの外縁部22A2が第1シール面12Aに最初に当接したときから、ねじ込み方向に進むと、第1シール面12Aがテーパ面になっていることから、突条22(開口端部2A)には内向きに応力が発生し、第2シール面22Aの少なくとも外縁部22A2が第1シール面12Aに食い込んでいるので、第2円筒部2の開口端部2Aが外側に動くのを防止することができる。これにより、シール性を確保することができる。また、図2(C) のように、第1シール面12Aに対して第2シール面22Aを完全に食い込ませると、さらに第2円筒部2の開口端部2Aが外側に動くのを確実に防止することができ、シール性を確保することができる。
【0030】
図3は第2実施例を示す図であり、図3(A) 、図3(B) 、図3(C) の順に第1円筒部1に対して第2円筒部2が次第にねじ込まれていく状態を示している。第2実施例は、第1円筒部1の第1シール面12Aが軸線Lに直角なフラット面である。そして、第2シール面22Aが、第2円筒部2のねじ込み方向(矢印R方向)の移動により第2シール面22Aの内縁部22A1(図3(B) )が第1シール面12Aに最初に当接するようなテーパ面である。
【0031】
第2シール面22Aの内縁部22A1が第1シール面12Aに最初に当接したときから、ねじ込み方向に進むと、図3(B) の状態のように第2シール面22Aがテーパ面になっていることから、突条22(開口端部2A)には内向きに応力が発生し、第2シール面22Aの少なくとも一部が第1シール面12Aに食い込んでいるので、第2円筒部2の開口端部2Aが外側に動くのを防止することができる。これにより、シール性を確保することができる。また、図3(C) のように、第1シール面12Aに対して第2シール面22Aを完全に食い込ませると、さらに第2円筒部2の開口端部2Aが外側に動くのを確実に防止することができ、シール性を確保することができる。
【0032】
以上の実施例では、第1シール面12Aと第2シール面22Aの何れか一方が軸線Lに直角なフラット面の例を示したが、例えば図4に示す第3実施例のように、第1シール面12Aと第2シール面22Aの両方がテーパ面であってもよい。この場合は、第2円筒部2の第2シール面22Aが僅かにテーパ面となっており、第1シール面12Aが、第2円筒部2のねじ込み方向(矢印R方向)の移動により第2シール面22Aの外縁部22A2(図4(B) )が第1シール面12Aに最初に当接するようなテーパ面である。
【0033】
以上の実施形態では本発明のシール構造を温度膨張弁の弁ハウジングとダイヤフラム装置との間を封止する場合について説明したが、2つの円筒部材をねじ込んで結合する場合にその結合部分に、実施形態の第1円筒部と第2円筒部の構造を適用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 第1円筒部
11 雄ねじ部
12 段部
12A 第1シール面
2 第2円筒部
21 雌ねじ部
22 突条
22A 第2シール面
22A1 内縁部
22A2 外縁部
10 弁ハウジング
10c 弁ポート
20 ダイヤフラム装置
20a 上蓋
20b 下蓋
20c ダイヤフラム
30 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1円筒部と第2円筒部を結合し、該第1円筒部及び第2円筒部内に流体が充填される装置要素の第1円筒部と第2円筒部の結合部分を封止するシール構造であって、
前記第1円筒部の外周には該第1円筒部の開口端部から雄ねじ部が形成されるとともに、前記第2円筒部の内周には雌ねじ部が形成され、
前記第1円筒部の外周には、前記雄ねじ部の前記開口端部とは反対側の位置に該第1円筒部の軸線を中心とする環状の第1シール面が形成され、
前記第2円筒部の開口端部には、該第2円筒部の軸線を回転中心とする環状の第2シール面であって前記第1シール面内に収まるような該第1シール面より面積の小さな第2シール面が形成され、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部を螺合して前記第1シール面と前記第2シール面を圧着することで第1円筒部と第2円筒部を結合するよう構成され、
前記雄ねじ部と雌ねじ部の締付けにより発生する推力により、前記第2円筒部の開口端部に内向きの応力を発生させるように、前記第1シール面または前記第2シール面の少なくともいずれか一方が、前記軸線と直交する平面から傾斜したテーパ面となっていることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記第1円筒部の前記第1シール面が前記前記テーパ面であり、前記第2シール面が軸線に直角なフラット面であることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
【請求項3】
前記第1円筒部の前記第1シール面が前記軸線に直角なフラット面であり、前記第2シール面が前記テーパ面であることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
【請求項4】
前記第1円筒部が真鍮であり、前記第2円筒部がステンレスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシール構造。
【請求項5】
弁ハウジングに形成された弁ポートを弁体により開閉して冷媒の流れを制御する弁本体と、ケース体内をダイヤフラムにより区画して受圧室と均圧室とを形成したダイヤフラム装置とを備え、前記受圧室の圧力と前記均圧室の圧力との差圧に応じて作動する前記ダイヤフラム及び前記弁体により前記弁ポートの弁開度を制御するようにした温度膨張弁において、前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシール構造を備え、
前記弁ハウジングは、前記弁体を収容する円筒状の前記第1円筒部を有するとともに、前記ダイヤフラム装置のケース体は前記均圧室に連通する円筒状の前記第2円筒部を有し、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部を螺合して前記第1シール面と前記第2シール面を圧着することで前記弁ハウジングに対して前記ケース体を結合するよう構成されていることを特徴とする温度膨張弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36505(P2013−36505A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171640(P2011−171640)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】