説明

シール装置、包装充填装置及びシール方法

【課題】包装容器製造装置の中で、シール装置と加熱処理手段とを1カ所にまとめて設置し、シール加熱及び処理加熱を同時に行って、簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置を容易に制御することができるシールする装置を提供する。
【解決手段】シール装置は、包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面11と、作用面11に設けられた高周波誘導加熱用導電部材12とを有するシールジョー13、及びカウンタージョーを備え、シールジョー13の側面14には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材15が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料をシールする装置、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填する包装容器用包装充填装置及び包装材料のシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの常温保存可能な紙包装容器は、例えば、熱可塑性材料最外層、紙基材層、導電性バリア層(例えば、アルミ箔)、ヒートシール性最内層からなる包装積層材料から得られる。
【0003】
図4及び5に液体食品用紙包装容器の例を示す。
液体食品用紙包装容器には、頂面に開封部を有する紙製包装容器と、液体食品を注ぎ出すための再封止可能な開封装置を備える包装容器とがある。通常、開封装置はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのプラスチックから成形されている。
図4(A)、(B)及び図5(A)、(B)に液体食品用紙包装容器の例を示す。これらの包装容器は、紙容器1(図(A))とプラスチック開封装置2をも含む容器1(図(B))とがある。
プラスチック開封装置2を備える紙容器1は、頂面3に、開封装置取付前の紙製包装容器の斜視図をも示す図4(A)及び図5(A)のように、開封部4を有する。開封部4は、容易に開封されるように、弱め線若しくはパンチ穴にフィルムが貼られたプリラミネートホール(PLH)からなる。開封装置2は、注出口とこれを覆う再封止可能なキャップと、開封部4の外周面と接合される下面が取付面のフランジとからなる。使用(開封)時には、開封装置3が開封部4を破断して開封する。
【0004】
図3に、図4に示す包装容器を製造する装置の一例を示す。
その例に示す充填機では、紙基材層の内外層に熱可塑性材料層を有しロール状に巻かれた包装材料ウェブ31を巻き出し、ローラにより充填機内を搬送し、滅菌剤槽32内で包装材料ウェブを滅菌し、成形ローラ34によりチューブ状に成形し、包装材料の両端部を重ねてオーバーラップを形成し、オーバーラップで縦線方向に縦シールエレメント36によりチューブ縦方向にシールし、そのチューブ内に充填パイプ35から液体食品を充填し、このチューブを包装容器1個分に相当する長さ分だけ下方に送りながら、横シール装置(図示せず)により横断方向に横シールし、同時に枕状予備成形体37に連続的に成形し、繋がった枕状予備成形体のシール帯域の中間をナイフなどにより切断して個々の枕状予備成形体に切り離し、最終成形機38で枕状予備成形体の上下のフラップを折り曲げて最終形態の包装充填容器39に成形する。
【0005】
従来、例えば、紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料を横断方向に横シールするシール装置であって、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面と、作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材とを有するシールジョー、及びチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して作用面と対向して横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョーを備えるシール装置、(特許文献1参照)、及び
最内層が樹脂フィルムによって形成された包材の開封手段対応箇所(注出口)を加熱して、その最内層の樹脂フィルムを脆くし、開封手段によって注出口を開口するときに、樹脂フィルムが容易に破断させるように包装積層材料の加熱処理すべき領域を加熱処理する加熱処理手段(特許文献2参照)などがある。
【0006】
しかし、上記の従来の技術では、シール装置と加熱処理手段とが別々に包装容器製造装置の中に設置され、シール加熱及び処理加熱が行われている。
そのために、煩雑な装置構造になっている。また、加熱手段・装置を制御することが難しい。
【0007】
【特許文献1】特許公開2003−155005号公報
【特許文献2】特開平11−59632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、包装容器製造装置の中で、シール装置と加熱処理手段とを1カ所にまとめて設置し、シール加熱及び処理加熱を同時に行って、簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置を容易に制御することができるシールする装置、包装充填装置及び包装材料のシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決する本発明のシール装置は、少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料を横断方向に横シールするシール装置であって、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面と、作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材とを有するシールジョー、及びチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して作用面と対向して横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョーを備え、シールジョー又は/及びカウンタージョーの側面には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されていることを特徴とする。
【0010】
この発明の好ましい態様において、高周波誘導加熱用導電部材には、作用面から突出した突条が設けられている。
【0011】
この発明の好ましい態様において、横シールすべき帯域に隣接する帯域に対応する作用面に溝が形成されている。
【0012】
この発明の好ましい態様において、作用面の一部若しくは全部に、傾斜面を有する。
【0013】
この発明の好ましい態様において、予備加熱用導電部材と高周波誘導加熱用導電部材とが同じ高周波電源に接続されている。
【0014】
この発明の好ましい態様において、予備加熱用導電部材と高周波誘導加熱用導電部材とが異なる高周波電源に接続されている。
【0015】
この発明の包装充填装置において、少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料に流動性食品を充填し、チューブ状包装積層材料を横断方向にシール装置によって横シールして横シール帯域を形成し、横シール帯域を切断して予備形状容器を形成し、フラップを折り畳んで最終形状容器を得る包装充填装置であって、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面と、作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材とを有するシールジョー、及びチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して作用面と対向して横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョーを備え、シールジョー又は/及びカウンタージョーの側面には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されていることを特徴とする。
【0016】
この発明の好ましい態様において、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域が、開封容易に積層シールされた容器開口部である。
【0017】
この発明の好ましい態様において、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域が、折り畳まれるフラップ対応箇所である。
【0018】
この発明のシール方法において、少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料を横断方向にシールジョーとカウンタージョーとを有するシール装置で横シールするシール方法であって、シールジョーの作用面をチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触させ、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して作用面と対向するシールジョーのカウンタージョーで横シールすべき帯域を押圧し、作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材に高周波電流を通電して横シールを形成し、横シール形成時に、シールジョー又は/及びカウンタージョーの側面に配設された予備加熱用導電部材に、高周波電流を通電してチューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱することを特徴とする。
【0019】
この発明の好ましい態様において、高周波誘導加熱用導電部材に通電して横シールを形成する高周波電流と、予備加熱用導電部材に通電して予備加熱する高周波電流とが、独立して制御される。
【発明の効果】
【0020】
以上の本発明によれば、以下の有利な効果が得られる。
この発明の横シール装置は、横シールするシールジョー又は/及びカウンタージョーの側面には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されている。
この構成によって、包装容器製造装置の中で、シール装置と加熱処理手段とを1カ所にまとめて設置し、シール加熱及び処理加熱を同時に行って、簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置を容易に制御することができる。
この発明の好ましい態様において、高周波誘導加熱用導電部材には、作用面から突出した突条が設けられている。
この突条によって、2枚の重ねられた包装積層材料の加熱溶融ヒートシール性最内層同士が、突条対応領域から隣接領域に押出され混合して良好な横シール帯域を形成することができる。この横シールにおける誘導加熱によって、高周波誘導加熱用導電部材から高周波磁界によて導電性バリア層にうず電流が生じ加熱して隣接するヒートシール性最内層が溶融する。
【0021】
この発明の好ましい態様において、横シールすべき帯域に隣接する帯域に対応する作用面に溝が形成されている。
上述のように、横シールにおける誘導加熱によって、高周波誘導加熱用導電部材から高周波磁界が発生し、導電性バリア層が生じ加熱して隣接するヒートシール性最内層が溶融する。この溝によって、2枚の重ねられた包装積層材料の加熱溶融ヒートシール性最内層同士が、作用面上の溝に押出され混合して良好な横シール帯域を形成することができる。
この発明の好ましい態様において、作用面の一部若しくは全部に、傾斜面を有する。
上述のように、横シールにおける誘導加熱によって、ヒートシール性最内層が溶融する。この傾斜面によって、2枚の重ねられた包装積層材料の加熱溶融ヒートシール性最内層同士が、作用面上の傾斜面を良好に混合しながら、シール領域から隣接領域に押出され、良好な横シール帯域を形成することができる。
【0022】
この発明の好ましい態様において、予備加熱用導電部材と高周波誘導加熱用導電部材とが同じ高周波電源に接続されている。
同じ高周波電源を使用するので、より簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置をより容易に制御することができる。
この発明の好ましい態様において、予備加熱用導電部材と高周波誘導加熱用導電部材とが異なる高周波電源に接続されている。
横シール加熱と処理加熱とは、加熱の目的及び被加熱対象とが異なるので、加熱手段・装置をそれぞれの目的に応じて最適に制御することができる。
【0023】
この発明の包装充填装置において、包装積層材料に流動性食品を充填し、シール装置によって横シールし、切断して予備形状容器を形成し、フラップを折り畳んで最終形状容器を得、横シール装置のシールジョー又は/及びカウンタージョーの側面には、積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されている。
この構成によって、包装容器製造装置の中で、シール装置と加熱処理手段とを1カ所にまとめて設置し、シール加熱及び処理加熱を同時に行って、簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置を容易に制御することができる。
この加熱処理によって、包装積層材料中の樹脂フィルム、樹脂層がその樹脂の特性から脆くしたり、また、加熱条件及び樹脂の種類によって包装積層材料中の樹脂フィルム、樹脂層、接着剤層などが靭性、可撓性、固さ、脆さ、伸び特性などの特性をコントロールすることができる。
【0024】
この発明の好ましい態様において、包装積層材料の予備加熱すべき領域が、開封容易に積層シールされた容器開口部である。
樹脂フィルムが積層された包装積層材料の開封手段対応箇所(注出口)を加熱して、その樹脂フィルムを脆くし、開封手段によって注出口を開口するときに、樹脂フィルムを容易に破断させることができる。
【0025】
この発明の好ましい態様において、包装積層材料の予備加熱すべき領域が、折り畳まれるフラップ対応箇所である。
この発明の包装充填装置において、チューブ状包装積層材料に流動性食品を充填して横シールし、切断して予備形状容器を形成し、フラップを折り畳んで最終形状容器を得る。
最終形状容器を得る際に生じるフラップは、包装積層材料が約180度にまた逆に約180度折り曲げられ、包装積層材料の各層にストレスがかかる。そのストレスによって、積層中に割れ、ピンホール、剥離などの不都合が生じる恐れがある。この場合、このストレス負荷対応箇所が予備加熱すべき領域に対応する。
この発明の予備加熱用導電部材によって、ストレス負荷対応箇所を加熱処理して包装積層材料の可撓性、若しくは伸び特性を改善して、包装積層材料中の割れ、ピンホール、剥離などの不都合を未然に防ぐことができる。
【0026】
この発明のシール方法において、シールジョーとカウンタージョーとを有するシール装置で横シールし、横シール形成時に、シールジョー又は/及びカウンタージョーの側面に配設された予備加熱用導電部材に、高周波電流を通電してチューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する。
この構成によって、シール加熱及び処理加熱を同時に行って、加熱手段・装置を容易に制御することができる。
【0027】
この発明の好ましい態様において、高周波誘導加熱用導電部材に通電して横シールを形成する高周波電流と、予備加熱用導電部材に通電して予備加熱する高周波電流とが、独立して制御される。
この態様において、横シール加熱と処理加熱とは、加熱の目的及び被加熱対象とが異なるので、加熱手段・装置をそれぞれの目的に応じて最適に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による第1の態様のシール装置の外観を示す斜視図及び概略回路図である。
図2は、この発明による第2の態様のシール装置の外観を示す斜視図及び概略回路図である。
図3は、この発明に用いられる包装容器を製造する包装充填機の外観を示す斜視図である。
図4は、この発明による包装充填機で製造される包装容器例の外観図である。
図5は、この発明による包装充填機で製造される包装容器例の外観図である。
図6は、この発明によるシール装置の動作を説明する拡大断面図である。
図7は、この発明による包装充填機によって、包装容器が成形される様子を示す外観図である。
図8は、図6に示すシール装置のシール加熱及び処理加熱の動作を説明する拡大断面図である。
【0029】
図3に示す態様の包装充填装置は、紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料31に流動性食品を充填し、チューブ状包装積層材料を横断方向にシール装置によって横シールして横シール帯域を形成し、横シール帯域を切断して予備形状容器37を形成し、フラップを折り畳んで最終形状容器39を得る。
図1に示すシールジョー(シール装置の)を備える包装充填装置は、図1に示すように、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面11と、作用面11に設けられた高周波誘導加熱用導電部材12とを有するシールジョー13、及びチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して作用面と対向して横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョー(図示せず)を備え、シールジョー13の側面14には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材15が配設されている。
【0030】
図1に示すように、シールジョー13の裏面側には、高周波電源に接続するための端子17が設けられている。
シールジョー13内の回路図を図1の円内に概略的に示す。高周波誘導加熱におけるコイルに相当する高周波誘導加熱用導電部材12、12と、予備加熱用導電部材15とは、並列に接続され、同じ高周波電源16に接続されている。
同じ高周波電源を使用するので、より簡素な装置構造にすることができると共に、加熱手段・装置をより容易に制御することができる。
【0031】
図2に、第2の態様のシール装置のシールジョー外観を示す。チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面11と、作用面11に設けられた高周波誘導加熱用導電部材12とを有するシールジョー13を備え、シールジョー13の側面14には、チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する2カ所の予備加熱用導電部材15、15が配設されている。
シールジョー13の裏面側には、高周波電源に接続するための端子17、17が設けられている。
シールジョー13内の回路図を図2の円内に概略的に示す。高周波誘導加熱におけるコイルに相当する高周波誘導加熱用導電部材12、12と、予備加熱用導電部材15、15とは、独立に接続され、それぞれ異なる高周波電源16、16に接続されている。
横シール加熱と処理加熱とは、加熱の目的及び被加熱対象とが異なるので、加熱手段・装置をそれぞれの目的に応じて最適に制御することができる。
【0032】
図6、図7、及び図8を参照して、この態様のシール方法を説明する。この態様のシール方法は、紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料21を横断方向にシールジョー13とカウンタージョー22とを有するシール装置20で横シールする。
この態様では、2対のシール装置20(ジョー13、22)が交互に、チューブ状包装積層材料21を横シールしながら引き下ろし、カウンタージョー22に内蔵されたナイフ23で切断しする。
この態様では、1対のジョー13、22に接続された1対のフラップ24、24がチューブ状から容器形状に成形する。
【0033】
図8に、図6に示す2対の横シール装置20を更に拡大した1対の横シール装置20を示す。この態様のシール方法では、シールジョーの作用面11をチューブ状包装積層材料21の横シールすべき帯域82と接触させ、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域82を介して作用面11と対向するシールジョーのカウンタージョー22で横シールすべき帯域82を押圧し、作用面11に設けられた高周波誘導加熱用導電部材12に高周波電流を通電して横シールを形成し、この横シール形成時に、シールジョー13又は/及びカウンタージョー22の側面14に配設された予備加熱用導電部材15に、高周波電流を通電してチューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域83を加熱する。
【0034】
この図8の態様では、高周波誘導加熱用導電部材12に、作用面11から突出した突条12aが設けられている。
包装積層材料21は、紙基材層21a、導電性バリア層21b及びヒートシール性最内層21cからなる。この横シールにおける誘導加熱によって、高周波誘導加熱用導電部材12から高周波磁界によて導電性バリア層21bにうず電流が生じて加熱し、隣接するヒートシール性最内層21cが溶融する。この突条12aによって、2枚の重ねられた包装積層材料21の加熱溶融ヒートシール性最内層同士21c、21cが、突条対応領域から隣接領域に押出され混合して良好な横シール帯域を形成することができる。
【0035】
図7を用いて、高周波誘導加熱用導電部材12と予備加熱用導電部材15とによるシール加熱及び処理加熱を説明する。
図7は、チューブ状包装積層材料21が予備形状容器37に成形され(a)、フラップを折り畳んで(b)最終形状容器を得る(c)、様子を示す外観図である。
図7(a)は、図1に示すシールジョー13を用いた場合のシール加熱及び処理加熱における、横シールすべき帯域82と予備加熱すべき領域83とを斜線で示す。
横シールすべき帯域82と予備加熱すべき領域83とは、高周波誘導加熱用導電部材12と予備加熱用導電部材15に対応する。
【0036】
この態様において、包装積層材料の予備加熱すべき領域83は、図4及び図5の(A)に示す開封容易に積層シールされた容器開口部4である。
この処理加熱によって、開封手段対応箇所(注出口)の樹脂フィルムを脆くし、開封手段によって注出口を開口するときに、樹脂フィルムを容易に破断させることができる。
包装積層材料の予備加熱すべき領域が、折り畳まれるフラップ対応箇所である態様を説明する。
【0037】
図2の第2の態様のシール装置は、チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面11と、作用面11に設けられた高周波誘導加熱用導電部材12とを有するシールジョー13を備え、シールジョー13の側面14には、包装積層材料の予備加熱すべき領域83を加熱する2カ所の予備加熱用導電部材15、15が配設されている。
【0038】
予備加熱すべき領域83(折り畳まれるフラップ対応箇所)の一例を、図7(b)に斜線で示す。
最終形状容器を得る際に生じるフラップは、包装積層材料が大きく折り曲げられ、包装積層材料の各層にストレスがかかる。そのストレスによって、積層中に割れ、ピンホール、剥離などの不都合が生じる恐れがある。予備加熱用導電部材15によって、ストレス負荷対応箇所を加熱処理して包装積層材料の可撓性、若しくは伸び特性を改善して、包装積層材料中の割れ、ピンホール、剥離などの不都合を未然に防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した包装容器の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、この発明による第1の態様のシール装置の外観を示す斜視図及び概略回路図である。
【図2】図2は、この発明による第2の態様のシール装置の外観を示す斜視図及び概略回路図である。
【図3】図3は、この発明に用いられる包装容器を製造する包装充填機の外観を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明による包装充填機で製造される包装容器例の外観図である。
【図5】図5は、この発明による包装充填機で製造される包装容器例の外観図である。
【図6】図6は、この発明によるシール装置の動作を説明する拡大断面図である。
【図7】図7は、この発明による包装充填機によって、包装容器が成形される様子を示す外観図である。
【図8】図8は、図6に示すシール装置のシール加熱及び処理加熱の動作を説明する拡大断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11 ・・・作用面1
12 ・・・高周波誘導加熱用導電部材
13 ・・・シールジョー
14 ・・側面
15 ・・予備加熱用導電部材
16 ・・高周波電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料を横断方向に横シールするシール装置であって、
チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面と、該作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材とを有するシールジョー、及び
該チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して該作用面と対向して該横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョーを備え、
該シールジョー又は/及び該カウンタージョーの側面には、該チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記高周波誘導加熱用導電部材には、前記作用面から突出した突条が設けられている、請求項1記載のシール装置。
【請求項3】
前記横シールすべき帯域に隣接する帯域に対応する作用面に溝が形成されている、請求項1記載のシール装置。
【請求項4】
前記作用面の一部若しくは全部に、傾斜面を有する、請求項1記載のシール装置。
【請求項5】
前記予備加熱用導電部材と前記高周波誘導加熱用導電部材とが同じ高周波電源に接続されている、請求項1記載のシール装置。
【請求項6】
前記予備加熱用導電部材と前記高周波誘導加熱用導電部材とが異なる高周波電源に接続されている、請求項1記載のシール装置。
【請求項7】
少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料に流動性食品を充填し、該チューブ状包装積層材料を横断方向にシール装置によって横シールして横シール帯域を形成し、該横シール帯域を切断して予備形状容器を形成し、フラップを折り畳んで最終形状容器を得る包装充填装置であって、
チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触する作用面と、該作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材とを有するシールジョー、及び
該チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して該作用面と対向して該横シールすべき帯域を押圧するカウンタージョーを備え、
該シールジョー又は/及び該カウンタージョーの側面には、該チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱する予備加熱用導電部材が配設されていることを特徴とする包装充填装置。
【請求項8】
前記チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域が、開封容易に積層シールされた容器開口部である、請求項7記載の包装充填装置。
【請求項9】
前記チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域が、折り畳まれる前記フラップ対応箇所である、請求項7記載の包装充填装置。
【請求項10】
少なくとも紙基材層、導電性バリア層及びヒートシール性最内層からなるチューブ状包装積層材料を横断方向にシールジョーとカウンタージョーとを有するシール装置で横シールするシール方法であって、
該シールジョーの作用面をチューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域と接触させ、該チューブ状包装積層材料の横シールすべき帯域を介して該作用面と対向する該シールジョーのカウンタージョーで横シールすべき帯域を押圧し、
該作用面に設けられた高周波誘導加熱用導電部材に高周波電流を通電して横シールを形成し、
該横シール形成時に、該シールジョー又は/及び該カウンタージョーの側面に配設された予備加熱用導電部材に、高周波電流を通電して該チューブ状包装積層材料の予備加熱すべき領域を加熱することを特徴とするシール方法。
【請求項11】
高周波誘導加熱用導電部材に通電して横シールを形成する高周波電流と、予備加熱用導電部材に通電して予備加熱する高周波電流とが、独立して制御される、
請求項10記載のシール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−269357(P2007−269357A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96859(P2006−96859)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】