説明

ジアリルアミンを含むポリマー

本発明は、モノマー単位として、(ポリ)アルキレンオキシドで置換されているジアリルアミン及びエチレン性不飽和モノマーBを含み、さらに、場合により1種類以上のさらなるエチレン性不飽和モノマーも含み、また、場合により硬化剤も含んでいるポリマーに関する。本発明は、さらに、化粧品調製物における添加剤としてのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー構成単位(building block)として、(ポリ)アルキレンオキシドで置換されているジアリルアミン及びエチレン性不飽和モノマーBを含み、さらに、適切な場合には、1種類以上のさらなるエチレン性不飽和モノマーも含み、適切な場合には、架橋剤も含んでいるポリマーに関し、また、化粧品調製物における添加剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
US-3,585,148には、エトキシル化第4級ジアリルアミン類とアクリルアミドのコポリマー、及び、非油性連続相に分散させた油用の解乳化剤としてのその使用について記載されている。
【0003】
EP-111965及びEP-112592では、洗浄剤中でのポリエトキシル化ジアリルアミンの使用について特許請求されている。同様に、ジアリルアミンからのエトキシル化ジアリルアミン類の合成、及び、ホモポリマーの調製についても開示されている。
【0004】
US-5,478,883には、ジアリルアミンとエチレンオキシドとプロピレンオキシドの反応生成物の乳化重合における水溶性非イオン性界面活性物質としての使用について記載されている。
【0005】
頭髪用化粧品については、乾いているときと濡れているときの櫛のとおり易さ(combability)、感触、輝き及び外観を改善するために、また、頭髪に帯電防止性を付与するために、例えばコンディショナーとして、皮膜形成ポリマーが使用される。
【0006】
市販されている標準的なカチオン性コンディショニングポリマーは、例えば、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、N-ビニルピロリドンをベースとするカチオン性ポリマー、例えば、N-ビニルピロリドンと4級N-ビニルイミダゾールのコポリマー、又は、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドのコポリマーなどである。
【0007】
モノマー構成単位としてジアリルアミン誘導体を含んでいるポリマーは、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のホモポリマー及びコポリマーなどである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の基礎を形成する目的は、化粧品調製物で使用するために、特に、コンディショニングポリマーとして使用するために、費用効率の高い方法で調製可能なカチオン性ポリマーを提供することであった。使用に際して、特にヘアケアに使用しているとき、これらのポリマーは、良好な機械的特性を有する皮膜を形成し、頭髪が濡れているときと乾いているときの櫛のとおりを良くし、もつれにくくし(detanglability)、髪に強度を付与し、また、髪に、手触り、ボリューム及び扱いやすさなどの知覚可能な良好な感覚的特性を付与すべきである。さらに、そのようなポリマーは、洗い落としが容易であるべきであり、また、製剤中の他の成分との相溶性を有するべきであり、その結果として、透明な水性調製物として利用可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
モノマー構成単位として、
(a) 一般式(I):
【化1】

【0010】
[式中、
A-Oは、C1-C12-アルキレンオキシド、スチレンオキシド又はそれらを任意に組み合わせたものであり;
nは、2〜200の整数であり;
xは、0又は1であり;
R1は、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
R2は、水素、C1-C30-アルキル、C5-C8-シクロアルキル、C6-C20-アリール、C1-C30-アルカノイル、C7-C21-アロイル、硫酸(半)エステル、リン酸エステル、アミノ又はアンモニウムであり;
R3は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又はアリールである]
で表される、中性形態又は4級化形態にある少なくとも1種類のジアリルアミン(モノマーA);
(b) 以下のものからなる群から選択される少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマー(モノマーB):
(i) N-ビニルラクタム;
(ii) N-ビニルアミド;
(iii) N-ビニルイミダゾール;
(iv) モノマーAとは異なるN,N-ジアリルアミン;
及びこれらモノマーの任意の混合物又はそれらの塩;
(c) 適切な場合には、1種類以上のエチレン性不飽和モノマーC;
(d) 適切な場合には、少なくとも1種類の架橋剤;
を含んでいるポリマーが、化粧品調製物における添加剤として有利な特性を有しているということが見いだされた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
C1-C12-アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1-ブチレンオキシド、ブチレンオキシドの異性体、高級アルキレンオキシド、例えば、ドデセンオキシド、スチレンオキシド、及び、それらの任意の混合物を意味するものと理解される。好ましくは、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物である。
【0012】
混合物の場合、種々の構造単位は、例えば、ブロック様、交互又はランダムなどの様々な配列に配置され得る。
【0013】
nは、2〜200の整数、好ましくは、5〜150、特に好ましくは、10〜100の整数である。
【0014】
C1-C20-アルキル基又はC1-C30-アルキル基は、20個以下又は30個以下の炭素原子、好ましくは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、1-デシル、1-ドデシルなどを意味するものと理解され、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル又はi-プロピルを意味するものと理解される。
【0015】
C5-C8-シクロアルキル基は、5〜8個の炭素原子を有するシクロ脂肪族基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルなどを意味するものと理解され、ここで、これらは、1、2、3又は4の上記で明記したC1-C4-アルキル基で場合により置換されていてもよい。
【0016】
C6-C20-アリールは、アルキレン単位を介して結合可能な、6〜20個の炭素原子を有し得るアリール基、例えば、ベンジル、フェニル又はエチルフェニルなどである。
【0017】
C1-C30-アルカノイルは、カルボニル基を介して結合しているアルキル基である。特に、ホルミル、アセチル、プロピオニル及びn-ブチリルを挙げることができる。
【0018】
C7-C21-アロイルはC7-C21-アリールカルボニルに相当し、それは、カルボニル基を介して結合しているアリール基である。特に、ベンゾイル及びナフトイルを挙げることができる。
【0019】
R1は、好ましくは、水素、C1-C6-アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル又はベンジルであり、特に好ましくは、水素又はメチルである。
【0020】
R2は、好ましくは、水素、C1-C6-アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル又はフェニルであり、特に好ましくは、水素又はメチルである。
【0021】
R2は、さらに、NR'R''(アミノ)又はNR'R''R'''+(アンモニウム)であり、ここで、R'、R''及びR'''は、いずれの場合にも、互いに独立して、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素、直鎖若しくは分枝鎖のC1-C20-アルキル基又は直鎖若しくは分枝鎖のC1-C20-ヒドロキシアルキル基であることができ、好ましくは、水素、メチル、エチル又は2-ヒドロキシエチルである。
【0022】
R3は、2つのN-アリル基の置換基であり、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又はアリールである。好ましい実施形態では、R3は水素である。
【0023】
使用するモノマーAは、好ましくは、2〜100molのアルキレンオキシドを有するアルコキシル化ジアリルアミンであり、これは、好ましくは、さらなる基R1として水素又はメチルを有している。本発明において好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドであり、これらは、モノマーA内において、それら自体で、ランダムに、交互に又はブロック様配列で存在し得る。特に好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシドである。
【0024】
特に、一般式(I)で表されるモノマーAは、本発明のポリマー中では4級化形態で存在しており、その際、xは1であり、R1はメチルである。
【0025】
N-ビニルラクタム(i)は、場合により、1以上の置換基(例えば、C1-C6-アルキル置換基)を有していてもよい。
【0026】
好ましいN-ビニルラクタムは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム及びN-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタムである。
【0027】
好ましいN-ビニルアミド化合物(ii)は、カルボン酸単位内に1〜4個の炭素原子を有し、窒素原子上に水素又はC1-C4-アルキル(特に、メチル基又はエチル基)を有しているものである。
【0028】
その例として挙げることができるものは、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド及びN-ビニルブチルアミドである。
【0029】
好ましいN-ビニルイミダゾール(iii)は、一般式(II):
【化2】

【0030】
[式中、R4〜R6は、互いに独立して、水素、C1-C4-アルキル(例えば、メチル又はエチル)又はフェニルである]
で表されるN-ビニルイミダゾールである。このN-ビニルイミダゾールも、塩としての4級化形態で存在し得る。
【0031】
好ましいN,N-ジアリルアミン(iv)は、一般式(III):
【化3】

【0032】
[式中、R10は、水素又はC1-C24-アルキルである]
で表されるN,N-ジアリルアミンである。このジアリルアミンも、その塩の形態で存在し得る。特に好ましいのは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)である。
【0033】
N-ビニルイミダゾール(iii)及びN,N-ジアリルアミン(iv)の好ましい塩は、クロリド及び硫酸塩である。
【0034】
本発明は、特に、モノマーBとしてN-ビニルカプロラクタム又はN-ビニルピロリドン又はそれらの混合物を含んでいるポリマーを提供する。
【0035】
モノマーA対モノマーBのモル比は、一般に、20:1〜1:50、好ましくは、10:1〜1:50、特に、1:1〜1:30である。
【0036】
モノマーA及びモノマーBに加えて、本発明のポリマーは、場合により、モノマーCを含んでいてもよい。適切なモノマーCは、原則として、A及びBとは異なっている全てのエチレン性不飽和化合物である。
【0037】
適するモノマーCは、好ましくは、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸とC1-C30-アルカノール及びC1-C30-アルカンジオールのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸とC2-C30-アミノアルコール(ここで、これは、第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有している)のアミド、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸とそのN-アルキル誘導体及びN,N-ジアルキル誘導体の第1級アミド、ビニルアルコール及びアリルアルコールとC1-C30-モノカルボン酸のエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族、ビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物、C1-C8-モノオレフィン、少なくとも2つの共役二重結合を有する非芳香族炭化水素並びにそれらの混合物から選択される。
【0038】
適するモノマーCは、メチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセレニル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びそれらの混合物である。
【0039】
使用可能なモノマーCは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸若しくはマレイン酸のアルキルエステル若しくはヒドロキシアルキルエステル、又は、2〜50molのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはそれらの混合物でアルコキシル化されたアクリル酸、メタクリル酸若しくはマレイン酸とC1-C18-アルコールのエステルである。適するモノマーCは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレート及び3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレートなどである。
【0040】
(メタ)アクリルアミドは、アクリル酸のアミド又はメタクリル酸のアミドである。適するモノマーCは、さらに、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセレニル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド及びモルホリニル(メタ)アクリルアミドである。
【0041】
好ましい実施形態では、モノマーCは、メタクリルアミドである。
【0042】
適するさらに別のモノマーCは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びそれらの混合物である。
【0043】
適するモノマーCは、さらに、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソプレン、イソブチレン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン及びそれらの混合物である。
【0044】
モノマーCは、単独で使用し得るか、又は、任意の混合物の形態で使用し得る。
【0045】
本発明のポリマーは、一般に、1〜95mol%のモノマーA、5〜99mol%のモノマーB及び0〜50mol%のモノマーCを含んでいる。
【0046】
該アルキレンオキシドは、例えば、ジアリルアミンを複数のステップでアルコキシル化することにより調製し得る。第1のステップでは、溶媒の存在下又は非存在下で、ジアリルアミンを少なくとも1当量のアルキレンオキシドと反応させる。このようにして得られた前駆物質を触媒の存在下でさらにアルキレンオキシドと反応させる。アルキレンオキシドの重合について従来技術で知られている全ての触媒を使用することができる。適する触媒は、アルキレンオキシドの重合について従来技術により知られていて、且つ、アミン類と適合性を有する全ての触媒である。多くの種類の触媒について、例えば、以下の文献において概説されている:F.E. Bailey, Jr, J.V. Koleske, Alkylene Oxides and their Polymers, NY and Basel 1991, p. 35 ff。NaOH、KOH、CsOH、カリウムt-ブトキシド、NaOMe又はこれら塩基とクラウンエーテルの混合物などの塩基性触媒を使用するのが特に好ましい。
【0047】
アルキレンオキシドとジアリルアミンの付加生成物は、さらに官能基化することができる。例えば、アルキル化剤を用いて4級化することが可能であり、OH基は、スルフェート、スルホネート、ホスフェート又はホスホネートに変換可能である。アミン窒素は、プロトン化、例えば、カルボン酸(例えば、乳酸)若しくは鉱酸(例えば、リン酸、硫酸及び塩酸)を用いたプロトン化により、又は、4級化、例えば、アルキル化剤(例えば、ハロゲン化C1-C4-アルキル又は硫酸C1-C4-アルキル)を用いた4級化により、荷電したカチオン基に変換することができる。
【0048】
そのようなアルキル化剤の例は、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルである。プロトン化又は4級化は、一般に、重合させる前又は重合させた後で行うことができる。これにより、カチオン性構造、アニオン性構造、両性構造又はベタイン性構造がもたらされる。
【0049】
ポリマーの調製
本発明は、さらに、本発明のポリマーを調製する方法も提供し、ここで、該調製方法では、モノマーA及びモノマーB及び場合によりモノマーC及び場合により架橋剤をラジカル重合させる。
【0050】
該重合は、塊状重合又は溶液重合として、また、モノマーの溶解性が低い場合には、さらに、乳化重合、分散重合又は懸濁重合として、慣習的な重合方法に準じて実施することができる。該重合は、さらにまた、反応混合物中におけるポリマーの溶解度が充分に低い場合には、沈澱重合として実施することも可能である。
【0051】
ここで挙げた重合方法の場合、酸素を排除して行うのが好ましく、特に、不活性ガス流中(特に好ましくは、窒素流中)で行うのが好ましい。全ての重合方法について、慣習的な装置、例えば、撹拌槽、撹拌槽カスケード、オートクレーブ、管型反応器及び混練機などを使用する。溶液重合法及び乳化重合法が好ましい。本発明のポリマーをラジカル水性乳化重合により調製する場合、当該反応媒体に界面活性剤又は保護コロイドを添加するのが望ましい。適切な乳化剤及び保護コロイドのリストは、例えば、以下の文献に記載されている:Houben Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of organic chemistry], volume XIV/1 Makromolekulare Stoffe [Macromolecular substances], Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1961, p. 411 ff。
【0052】
該重合は、例えば、トルエン、o-キシレン、p-キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族類の工業用グレードの混合物、シクロヘキサン、工業用グレードの脂肪族混合物、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコール類及びグリコール誘導体、ポリアルキレングリコール類及びその誘導体、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸メチル、イソプロパノール、エタノール、水又は混合物(例えば、イソプロパノール/水混合物)などの溶媒又は希釈剤中で実施することができる。使用する溶媒又は希釈剤は、好ましくは、水であり、これは、場合により60重量%以下のアルコール類又はグリコール類を含んでいてもよい。水を使用するのが特に好ましい。
【0053】
該重合は、20℃〜300℃の温度、好ましくは、40℃〜150℃の温度で実施することができる。
【0054】
重合開始剤
該重合は、好ましくは、フリーラジカルを形成する化合物の存在下で実施する。当該重合において用いるモノマーに基づいて、一般に30重量%以下のそのような化合物を使用し、好ましくは、0.05〜15重量%、特に好ましくは、0.2〜8重量%のそのような化合物を使用する。多成分開始剤系(例えば、レドックス重合開始剤系)の場合、上記重量は、該成分の総重量である。
【0055】
適切な重合開始剤は、例えば、過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸塩、過炭酸塩、過酸化物エステル、過酸化水素及びアゾ化合物などである。水溶性であり得るか又は水不溶性であり得る重合開始剤の例は、過酸化水素、過酸化ジベンゾイル、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボネート、ジラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジ-t-ブチルヒドロペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルネオデカン酸t-ブチル、過ピバル酸t-アミル、過ピバル酸t-ブチル、過安息香酸t-ブチル、ペルオキソ二硫酸リチウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及びアゾジイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩である。
【0056】
これらの重合開始剤は、単独で使用できるか、又は、互いの混合物(例えば、過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムの混合物)として使用できる。水性媒体中で重合させる場合、水溶性重合開始剤を用いるのが好ましい。
【0057】
重合開始剤として、既知レドックス重合開始剤系も使用することができる。そのようなレドックス重合開始剤系は、例えば還元効果を有する硫黄化合物(例えば、アルカリ金属及びアンモニウム化合物の重亜硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ジチオン酸塩及びテトラチオン酸塩)などのレドックス共開始剤(coinitiator)と組み合わせて、少なくとも1種類のペルオキシド含有化合物を含んでいる。例えば、ペルオキソ二硫酸塩と亜硫酸水素アルカリ金属又は亜硫酸水素アンモニウムの組合せ(例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと二亜硫酸アンモニウム)を使用することが可能である。レドックス共開始剤に対するペルオキシド含有化合物の量は、30:1〜0.05:1であり得る。
【0058】
上記重合開始剤又はレドックス重合開始剤系と組み合わせて、さらに、遷移金属触媒(例えば、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、バナジウム塩及びマンガン塩など)を使用することも可能である。適する塩は、例えば、硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)又は塩化銅(I)である。この還元性遷移金属塩は、モノマーに基づいて、0.1ppm〜1000ppmの濃度で使用する。例えば、過酸化水素と鉄(II)塩の組合せ、例えば、0.5〜30%の過酸化水素と0.1〜500ppmのモール塩を使用することが可能である。
【0059】
有機溶媒中で重合させる場合も、上記重合開始剤(例えば、ベンゾイン、ジメチルアニリン、アスコルビン酸及び重金属(例えば、銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル及びクロム)の有機溶解性錯体)と組み合わせてレドックス共開始剤及び/又は遷移金属触媒を一緒に使用することができる。レドックス共開始剤又は遷移金属触媒の慣習的な使用量は、使用するモノマーの量に基づいて、約0.1〜1000ppmである。
【0060】
分子量
上記ポリマーの分子量(数平均分子量M又は重量均分子量M)は、例えば、溶媒、調整剤、架橋剤、重合開始剤の量、反応時間及び/又は温度などの、反応パラメータの選択に左右され得る。
【0061】
重合条件の選択に応じて、例えば、1000〜2000000、好ましくは、5000〜50000の重量平均分子量(M)を確立することが可能である。Mは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定する。
【0062】
該コポリマーの水性ナトリウム塩溶液のK値は、文献(H. Fikentscher, Cellulose-Chemie, volume 13, 58-64 and 71-74 (1932))に従い、pH7、25℃の温度及び該コポリマーのナトリウム塩のポリマー濃度1重量%の水溶液中で測定した。
【0063】
調整剤
ポリマーの平均分子量を制御するために、多くの場合、調整剤の存在下で共重合を実施するのが適切である。この目的のためには、慣習的な調整剤、例えば、SH基を含んでいる有機化合物、例えば、2-メルカプトエタノール、2-メルカプトプロパノール、3-メルカプトプロピオン酸、システイン、N-アセチルシステインなどを使用することが可能であり、さらに、次亜リン酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムも使用することが可能である。使用する調整剤は、好ましくは、アルカンチオール類である。2種類以上の調整剤の混合物を使用することも可能である。
【0064】
使用し得るアルカンチオールは、C10〜C22の炭素鎖長を有する直鎖及び分枝鎖のアルカンチオールである。直鎖アルカンチオールが好ましく、C12〜C22の鎖長を有するアルカンチオールが特に好ましく、C12〜C18の鎖長を有するアルカンチオールが特に極めて好ましい。挙げることができる好ましいアルカンチオールは、n-デカンチオール、n-ドデカンチオール、t-ドデカンチオール、n-テトラデカンチオール、n-ペンタデカンチオール、n-ヘキサデカンチオール、n-ヘプタデカンチオール、n-オクタデカンチオール、n-ノナデカンチオール、n-エイコサンチオール及びn-ドコサンチオールである。特に好ましいのは、直鎖状で偶数鎖のアルカンチオールである。
【0065】
上記アルカンチオールは、混合物としても同様に使用することができる。アルカンチオールは、通常、モノマーと一緒に重合に添加する。重合調整剤は、モノマーに基づいて、一般に、0.1〜10重量%の量で使用する。
【0066】
平均分子量は、さらにまた、適切な溶媒の選択にも左右され得る。例えば、ベンジル性H原子を有する希釈剤の存在下で重合させることにより、連鎖移動の結果として平均分子量は小さくなる。
【0067】
架橋剤
ポリマーの分子量を増大させるために、架橋剤の存在下で共重合させるのが適切であり得る。
【0068】
適切な架橋剤は、例えば、少なくとも二価アルコールのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエーテル又はビニルエーテルである。ここで、親アルコールのOH基は、完全に又は部分的にエステル化又はエーテル化されていてもよいが、該架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含んでいる。
【0069】
親アルコールの例は、二価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ブタ-2-エン-1,4-ジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及び3-チオペンタン-1,5-ジオールなどであり、さらに、いずれの場合にも分子量が200〜10000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドロフランである。エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのホモポリマーの他に、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドのブロックコポリマー、又は、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基を合体した形態で含んでいるコポリマーを使用することも可能である。2つを超えるOH基を有する親アルコールの例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン及び糖類(例えば、スクロース、グルコース、マンノース)である。もちろん、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応に続いて、対応するエトキシレート又はプロポキシレートの形態にある多価アルコールを使用することも可能である。その多価アルコールは、最初に、エピクロロヒドリンと反応させることにより対応するグリシジルエーテルに変換することも可能である。
【0070】
適切なさらに別の架橋剤は、ビニルエステル類又は一価不飽和アルコールとエチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸)とのエステル類である。そのようなアルコールの例は、アリルアルコール、1-ブテン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、9-デセン-1-オール、ジシクロペンテニルアルコール、10-ウンデセン-1-オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコール又はシス-9-オクタデセン-1-オールである。しかしながら、一価不飽和アルコール類を多塩基性カルボン酸(例えば、マロン酸、酒石酸、トリメリト酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸又はコハク酸)でエステル化することも可能である。
【0071】
適切なさらに別の架橋剤は、不飽和カルボン酸(例えば、オレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸又は10-ウンデカン酸)と上記多価アルコールのエステルである。
【0072】
適切な架橋剤は、さらに、少なくとも2つの二重結合(ここで、脂肪族炭化水素の場合、二重結合は、共役していてはならない)を有している直鎖又は分枝鎖の線状又は環状の脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン若しくはトリビニルシクロヘキサン又は分子量が200〜20000のポリブタジエンなどである。
【0073】
適切な架橋剤は、さらに、アクリルアミド類、メタクリルアミド類及び少なくとも二価アミンのN-アリルアミン類である。そのようなアミンは、例えば、1,2-ジアミノメタン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,12-ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン又はイソホロンジアミンなどである。同様に適切なものは、アリルアミンと不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、又は、上記で記載した少なくとも二塩基性のカルボン酸)のアミドである。
【0074】
特に適切な架橋剤は、トリアリルアミン及びトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、例えば、塩化トリアリルメチルアンモニウム又はメチル硫酸トリアリルメチルアンモニウムなどである。
【0075】
同様に適しているのは、尿素誘導体、少なくとも二価のアミド、シアヌレート又はウレタンのN-ビニル化合物、例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素又はテトラジアミドのN-ビニル化合物、例えば、N,N'-ジビニルエチレン尿素又はN,N'-ジビニルプロピレン尿素などである。
【0076】
適切なさらに別の架橋剤は、ジビニルジオキサン、テトラアリルシラン又はテトラビニルシランである。
【0077】
もちろん、上記化合物の混合物を用いることも可能である。当該モノマーの溶液又は分散液に可溶性の架橋剤を用いるのが好ましい。
【0078】
特に好ましい架橋剤は、例えば、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミン及びトリアリルアルキルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、N,N'-ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸の反応生成物、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はエピクロロヒドリンと反応させた多価アルコール又はポリアルキレンオキシドのメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルなどである。
【0079】
特に極めて好ましい架橋剤は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ジビニルエチレン尿素、トリアリルアミン及びトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、並びに、グリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン若しくはグリセロールのアクリル酸エステル、又は、エチレンオキシド及び/若しくはエピクロロヒドリンと反応させたグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン若しくはグリセロールのアクリル酸エステルである。
【0080】
該架橋剤は、通常、モノマーA、モノマーB及びモノマーCの総量に基づいて、0.01〜5重量%の量で使用する。
【0081】
後処理
該ポリマーが、水の中の溶液重合法により得られる場合、通常、必ずしも溶媒を分離する必要はない。それでもなお、ポリマーを単離するのが望ましい場合、例えば、噴霧乾燥などを行うことができる。
【0082】
該ポリマーが、蒸気揮発性の(steam-volatile)溶媒又は溶媒混合物中の溶液重合法、沈澱重合法又は懸濁重合法で調製される場合、水溶液又は水分散液を得るために水蒸気を導入して溶媒を分離することができる。該ポリマーは、乾燥プロセスによっても有機希釈剤から分離することができる。
【0083】
好ましい実施形態では、本発明のポリマーは、水溶性であるか又は水分散性である。
【0084】
本発明の目的のために、水溶性のモノマー及びポリマーは、1リットルの水に少なくとも1gの量が溶解するモノマー及びポリマーを意味するものと理解される。
【0085】
水分散性のモノマー及びポリマーは、例えば撹拌による剪断力を与えた場合に、崩壊して分散可能な粒子となるモノマー及びポリマーを意味するものと理解される。親水性モノマーは、好ましくは、水溶性であるか、又は、少なくとも水分散性である。本発明のポリマーは、一般に、水性媒体中で分散性であるか又は可溶性である。
【0086】
好ましくは、該ポリマーは、固体成分含有量が好ましくは10〜80重量%である水分散液又は水溶液の形態にある。
【0087】
該ポリマーのK値は、好ましくは、20〜120の範囲である。
【0088】
該ポリマーは、溶解した形態又は固体形態(これは、重合に際して製造されたポリマー溶液又はポリマー分散液を乾燥(例えば、噴霧乾燥)させることにより得られる)で化粧品調製物用に提供し得る。該ポリマーは、好ましくは、液体で、即ち、溶解形態、乳化形態又は懸濁形態で使用し、例えば、特に、化粧品調製物を製造するための水性重合溶液の形態で使用する。
【0089】
化粧品調製物における使用
上記ポリマーは、化粧品組成物及び皮膚科学的組成物を調製するのに非常に適している。かくして、本発明は、さらに、化粧品組成物又は皮膚科学的組成物における本発明ポリマーの使用も提供する。
【0090】
本発明は、さらに、モノマー構成単位として、
(a) 上記で定義した一般式(I)で表される少なくとも1種類のジアリルアミン(モノマーA);
(b) 上記で定義した1種類以上のエチレン性不飽和モノマーB及び/又はエチレン性不飽和モノマーC;
及び
(c) 適切な場合には、少なくとも1種類の架橋剤
を含んでいるポリマーの、化粧品調製物又は皮膚科学的調製物における使用も提供する。
【0091】
本発明のポリマーは、例えば、ボディーケア(これは、皮膚、頭髪及び爪などの角質表面に化粧品調製物を適用することを含む)用の調製物や、さらに、マウスケア調製物における、高分子皮膜形成剤として使用される。それらは、非常に多岐にわたる化粧品調製物において、普遍的に使用及び配合が可能であり、また、慣用の成分と適合性を示す。本発明の分散液は、特に、優れたコンディショナー特性を有することを特徴とする。
【0092】
かくして、本発明は、さらに、
・ 本発明の少なくとも1種類のポリマー;
及び、
・ 化粧品的に又は皮膚科学的に許容される少なくとも1種類の担体;
を含む化粧品組成物又は皮膚科学的組成物も提供する。
【0093】
これらの化粧品組成物において、さらにまた、モノマーBの代わりに、該ポリマー内の構成単位としてモノマーCを存在させてもよい。
【0094】
本発明の組成物は、化粧品的又は皮膚科学的に許容される担体を有し、ここで、該担体は、好ましくは、
(1) 水;
(2) 水混和性有機溶媒、好ましくは、C1-C4-アルカノール;
(3) 油、脂肪、蝋;
(4) (3)とは異なる、C6-C30-モノカルボン酸と一価、二価又は三価アルコールのエステル;
(5) 飽和非環式炭化水素又は飽和環式炭化水素;
(6) 脂肪酸;
(7) 脂肪アルコール;
(8) シリコーン油;
及びそれらの混合物から選択される。
【0095】
本発明の組成物は、例えば、油成分又は脂肪成分を有し、ここで、該油成分又は脂肪成分は、例えば、以下のものから選択される:
・ 低極性の炭化水素、例えば、鉱油;
・ 直鎖飽和炭化水素、好ましくは、8個を超える炭素原子を有する直鎖飽和炭化水素、例えば、テトラデカン、ヘキサデカン及びオクタデカンなど;
・ 環式炭化水素、例えば、デカヒドロナフタレン;
・ 分枝鎖炭化水素;
・ 動物油及び植物油;
・ 蝋及び蝋エステル;
・ ワセリン,
・ エステル、好ましくは、脂肪酸エステル、例えば、C1-C24-モノアルコールとC1-C22-モノカルボン酸のエステル、例えば、イソプロピルイソステアレート、n-プロピルミリステート、イソプロミリステート、n-プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ヘキサコサニルパルミテート、オクタコサニルパルミテート、トリアコンタニルパルミテート、ドトリアコンタニルパルミテート、テトラトリアコンタニルパルミテート、ヘキサコサニルステアレート、オクタコサニルステアレート、トリアコンタニルステアレート、ドトリアコンタニルステアレート、テトラトリアコンタニルステアレートなど;
・ サリチル酸エステル、例えば、C1-C10-サリチル酸エステル、例えば、オクチルサリチレート;安息香酸エステル、例えば、C10-C15-アルキルベンゾエート、ベンジルベンゾエート;
・ 化粧品用の他のエステル、例えば、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、C10-C15-アルキルラクテートなど;
並びにそれらの混合物。
【0096】
好ましいさらに別の油成分及び脂肪成分は、以下から選択される:パラフィン及びパラフィン油、天然の脂肪及び油、例えば、ヒマシ油、大豆油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、アボカド油、カカオ脂、アーモンド油、桃仁油、ヒマシ油、タラの肝油、ラード、鯨蝋、鯨蝋油、鯨油、小麦胚芽油、マカダミアナッツ油、マツヨイグサ油、ホホバ油;脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール;脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、並びに、それらと異なる飽和、不飽和及び置換された脂肪酸;蝋、例えば、蜜蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋(candililla wax)、鯨蝋;並びに、上記で挙げた油及び脂肪成分の混合物。
【0097】
適切なシリコーン油は、例えば、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)及び環状シロキサン、並びに、アミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシド及び/又はアルキルで変性させた室温で液体であるか又は樹脂形態にあるシリコーン化合物、並びに、これらの混合物などである。ポリジメチルシロキサン及びポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、好ましくは、約1000〜150000g/molの範囲である。好ましい環状シロキサンは、4〜8員環である。適切な環状シロキサンは、例えばシクロメチコンという商品名で、市販されている。
【0098】
化粧品的及び皮膚科学的に適切な適合性の油成分及び脂肪成分については、以下の文献に記載されている: Karl-Heinz Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], 2nd edition, Verlag Huthig, Heidelberg, pp. 319-355。これは、参照により本明細書に組み入れる。
【0099】
特に適切な親水性担体は、水、及び、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する一価、二価又は多価のアルコール(例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなど)から選択される。
【0100】
本発明の化粧品組成物は、皮膚用化粧品組成物、頭髪用化粧品組成物、皮膚科学的組成物、衛生用組成物又は医薬組成物であり得る。上記ポリマーは、皮膜形成特性を有していることから、頭髪用化粧品及び皮膚用化粧品のための添加剤として特に適しており、特に極めて好ましくは、頭髪用化粧品調製物のための添加剤として適している。
【0101】
本発明の組成物は、好ましくは、ゲル、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、ローション、乳液又はペーストの形態にある。必要に応じ、リポソームやミクロスフェアも使用することができる。
【0102】
本発明の化粧品として活性な組成物又は皮膚科学的に活性な組成物は、化粧品的及び/又は皮膚科学的に活性な成分及び補助剤をさらに含み得る。
【0103】
好ましくは、本発明の化粧品組成物は、本発明の少なくとも1種のポリマー、上記で定義した少なくとも1種の担体、及び、該ポリマーとは異なる少なくとも1種の成分を含んでおり、ここで、該成分は、化粧品として活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、増粘剤(thickener)、頭髪用ポリマー、ヘアコンディショナー、スキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性又は水分散性のシリコーン含有ポリマー、光保護剤、ブリーチ剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤、頭髪用染料(tint)、日焼け剤、染料、顔料、増粘剤(bodying agent)、保湿剤、再脂肪化剤(refatting agent)、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤及び柔軟剤から選択される。
【0104】
適切な場合には、該化粧品調製物は、香油を含有し得る。香油としては、例えば、天然臭気物質と合成臭気物質の混合物などを挙げることができる。
【0105】
天然臭気物質は、以下のものの抽出物である:花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイランノキ)、茎及び葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニシード、コリアンダー、クミン、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンゼリカ、セルリ、カルダモン、コスタス(costus)、アヤメ、カルムス(calmus))、材木(マツ材、ビャクダン材、グアヤク材、シーダー材、シタン材)、ハーブ及びイネ科植物(タラゴン、レモングラス、サルビア、ジャコウソウ)、針状葉及び枝(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン(dwarf-pine))、樹脂及びバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポパナックス(opoponax))。
【0106】
動物性素材、例えば、麝香(cibet)及び海狸香なども、適している。典型的な合成臭気化合物は、エステルタイプ、エーテルタイプ、アルデヒドタイプ、ケトンタイプ、アルコールタイプ及び炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの臭気化合物は、例えば、酢酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸リナリル、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート及びサリチル酸ベンジルなどである。エーテル類としては、例えば、ベンジルエチルエーテルなどがあり、アルデヒド類としては、例えば、8〜18個の炭素原子を有する線状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルゲオナールなどがあり、ケトン類としては、例えば、イオノン類、cc-イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンなどがあり、アルコール類としては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロオール、フェニルエチルアルコール及びテリオネオール(terioneol)などがあり、炭化水素類としては、主として、テルペン類及びバルサム類などがある。
【0107】
しかしながら、一緒になって心地良い香り成分を産み出す異なった臭気物質の混合物を用いるのが好ましい。低揮発性の精油は、芳香成分として一般に使用されているが、そのような低揮発性の精油は、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、バルサム油、ハッカ油、ケイ皮油(cinnamon leaf oil)、ライム花油(lime blossom oil)、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油(labolanum oil)及びラバンジン油なども、香油として適している。ベルガモット油、ジヒドロミリセノール、リリアール、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロオール、Boisambrene(登録商標)Forte、アンブロキサン、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリセ(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラバンジン油、ムスカテルセージ油(muscatel sage oil)、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン(geranium oil bourbon)、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix(登録商標)Coeur、Iso-E-Super、Fixolide(登録商標)NP、エバニール、イラルデインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラト(romillat)、イロチル(irotyl)及びフロラマト(floramat)を単独で使用するか又は混合物として使用するのが好ましい。
【0108】
慣習的な増粘剤(thickener)は、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、多糖類、例えば、キサンタンガム、寒天、アルギネート若しくはチローゼ(Tylose)、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース若しくはヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪アルコール類、モノグリセリド類及び脂肪酸類、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンである。適切な増粘剤は、さらに、Rohm and Haas社製のAculyn(登録商標)グレード、例えば、Aculyn(登録商標)22(ステアリル基を有するアクリレートとメタクリル酸エトキシレートのコポリマー(20 EO単位))及びAculyn(登録商標)28(ベヘニル基を有するアクリレートとメタクリル酸エトキシレートのコポリマー(25 EO単位))などである。
【0109】
化粧品的及び/又は皮膚科学的に活性な適する成分は、例えば、着色活性成分、皮膚及び頭髪用顔料着色剤(pigmentation agent)、染色剤(tinting agent)、日焼け剤、ブリーチ剤、ケラチン強化物質、抗菌活性成分、光フィルター活性成分、忌避活性成分、充血作用を有する物質、角質溶解効果及び角質形成効果(keratoplastic effect)を有する物質、抗フケ活性成分、消炎薬、角化効果を有する物質、抗酸化効果又はフリーラジカル除去効果(free-radical scavenging effect)を有する活性成分、皮膚を湿らせるか若しくは保湿する物質、再脂肪化(refatting)活性成分、抗紅斑性活性成分又は抗アレルギー活性成分、及び、これらの混合物である。
【0110】
皮膚を人為的に日焼けさせ、また、紫外線の自然照射又は人為的な照射を伴うことなく皮膚を日焼けさせるのに適する活性成分は、例えば、ジヒドロキシアセトン、アロキサン及びクルミ殻抽出物などである。
【0111】
適切なケラチン強化物質は、一般に、制汗薬においても使用される活性成分であり、例えば、硫酸カリウムアルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどがある。
【0112】
抗菌活性成分は、微生物を破壊するか又はそれらの増殖を阻害するために使用され、従って、防腐剤として作用し且つ体臭の発生やその強度を抑える脱臭性物質としても作用する。それらには、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などの慣習的な防腐剤が包含される。そのような脱臭性物質は、例えば、リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである。
【0113】
適切な光フィルター活性成分は、紫外線B領域及び/又は紫外線A領域の紫外線を吸収する物質である。適切な紫外線フィルターは、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンであり、ここで、該アリール基は、いずれの場合にも、好ましくは、ヒドロキシ、アルコキシ(特に、メトキシ)、アルコキシカルボニル(特に、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニル)及びそれらの混合物から選択される少なくとも1の置換基を有することができる。さらにまた、p-アミノ安息香酸エステル、ケイ皮酸エステル、ベンゾフェノン類及びカンファー誘導体や、紫外線を遮断する顔料、例えば、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛なども適している。
【0114】
適切な忌避活性成分は、特定の動物(特に、昆虫)を、追い払うか又はヒトに寄せ付けないようにすることができる化合物である。そのようなものとしては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミドなどを挙げることができる。充血活性を有する適切な物質は、皮膚を介して血流を刺激するが、そのような物質は、例えば、精油、例えば、ドワーフパイン、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、焼き栗(roast chestnut)抽出物、カバノキの葉の抽出物、乾草種子(hay seed)抽出物、酢酸エチル、カンファー、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油などである。
【0115】
適切な角質溶解性物質及び角質形成性物質(keratoplastic substance)は、例えば、サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸及びその塩、硫黄などである。適切な抗フケ活性成分は、例えば、硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレート、硫黄リシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンなどである。
【0116】
適切な消炎薬は、皮膚の炎症を阻止するが、そのような消炎薬は、例えば、アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール(dragosantol)、カモミール抽出物、パンテノールなどである。
【0117】
化粧品調製物及び皮膚科学的調製物で使用される光保護フィルターは、太陽光がヒトの皮膚に及ぼす有害な影響を防止する役割を有しているか、又は、その結果を少なくとも低減する役割を有している。さらに、これらの光保護フィルターは、紫外線による分解又は劣化に対してさらに別の成分を保護する作用も有している。頭髪用化粧品製剤では、紫外線によるケラチン繊維の損傷は低減されるべきである。
【0118】
紫外線Bに対して保護するために、非常に多くの化合物が知られており、それらの化合物は、とりわけ、3-ベンジリデンカンファー誘導体、4-アミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体及び2-フェニルベンゾイミダゾール誘導体である。
【0119】
使用し得る紫外線保護フィルターは、油溶性の有機紫外線Aフィルター及び/若しくは有機紫外線Bフィルター並びに/又は水溶性の有機紫外線Aフィルター及び/若しくは有機紫外線Bフィルターである。紫外線保護フィルターの総量は、当該調製物の総重量に基づいて、一般に、0.1重量%〜30重量%、好ましくは、0.5〜15重量%、特に、1〜10重量%である。
【0120】
紫外線保護フィルターは、有利には、該調製物が紫外線の全範囲に対して皮膚を保護するように選択される。
【0121】
紫外線保護フィルターの例は、以下のとおりである:
4-アミノ安息香酸;
3-(4'-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オン メチル スルフェート;
3,3,5-トリメチルシクロヘキシル サリチレート(ホモサレート);
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾナム(oxybenzonum));
2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸とそのカリウム塩、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩;
3,3'-(1,4-フェニレンジメチン)ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)及びその塩;
ポリエトキシエチル 4-ビス(ポリエトキシ)アミノベンゾエート;
2-エチルヘキシル 4-ジメチルアミノベンゾエート;
2-エチルヘキシル サリチレート;
2-イソアミル 4-メトキシシンナメート;
2-エチルヘキシル 4-メトキシシンナメート;
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(スリソベンゾナム(sulisobenzonum))及びそのナトリウム塩;
3-(4'-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン及び塩;
3-ベンジリデンボルナン-2-オン;
1-(4'-イソプロピルフェニル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオン;
4-イソプロピルベンジルサリチレート;
2,4,6-トリアニリノ-(o-カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン;
3-イミダゾール-4-イルアクリル酸及びそのエチルエステル;
メンチル o-アミノベンゾエート類、又は、5-メチル-2-(1-メチルエチル)-2-アミノベンゾエート類;
グリセリル p-アミノベンゾエート、又は、1-グリセリル 4-アミノベンゾエート;
2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(ジオキシベンゾン);
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4-メチルベンゾフェノン(メキセノン);
トリエタノールアミン サリチレート;
ジメトキシフェニルグリオキサル酸、又は、ナトリウム 3,4-ジメトキシフェニルグリオキサレート;
3-(4'-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン及びその塩;
2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン;
2,2'-メチレンビス[6(2H-ベンゾトリアゾール-2イル)-4-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)フェノール];
2,2'-(1,4-フェニレン)ビス-1H-ベンゾイミダゾール-4,6-ジスルホン酸, Na塩;
2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン;
3-(4-メチルベンジリデン)カンファー;
ポリエトキシエチル 4-ビス(ポリエトキシ)パラアミノベンゾエート;
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;
2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン-5,5'-ジナトリウム スルホネート。
【0122】
適切な増粘剤(bodying agent)は、12〜22個の炭素原子(好ましくは、16〜18個の炭素原子)を有する第1級脂肪アルコール又はヒドロキシ脂肪アルコールであり、また、部分グリセリド、脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸も適切である。これらの物質とアルキルオリゴグリコシド及び/又は同じ鎖長の脂肪酸N-メチルグルカミド及び/又はポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートの組合せが好ましい。適切な増粘剤は、例えば、多糖類、特に、キサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギネート及びチローゼ(Tylose)、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどであり、さらに、脂肪酸の高分子量ポリエチレングリコールモノエステル及びジエステル、ポリアクリレート類(例えば、Goodrich製のCarbopolTM 又は Sigma製のSynthalenTM)、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド類、脂肪酸とポリオール類(例えば、ペンタエリトリトール又はトリメチロールプロパン)のエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレート又はアルキルオリゴグルコシド類、並びに、電解質、例えば、塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムなども適している。
【0123】
使用し得る過脂肪化剤は、例えば、ラノリン及びレシチン、並びに、ポリエトキシル化又はアクリル化されたラノリン誘導体及びレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド類及び脂肪酸アルカノールアミドなどの物質であり、後者は、フォーム安定化剤としても作用する。
【0124】
酸化防止剤は、通常、自体公知の化合物である。酸化防止剤は、有利には、カロテノイド類、カロテン類(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、さらに、(金属)キレート化剤、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びそれらの誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール類及び誘導体(例えば、ビタミンE酢酸)、ビタミンA及び誘導体(ビタミンAパルミチン酸)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、並びに、化粧品調製物で慣習的に使用されている別の酸化防止剤からなる群から選択される。
【0125】
最終調製物中の上記酸化防止剤(a)の量は、例えば、0.001〜30重量%、好ましくは、0.01〜10重量%、特に、1〜5重量%である。
【0126】
さらに、抗菌性の添加剤も使用することができる。そのようなものには、一般に、グラム陽性細菌に対して特異的な作用を有する全ての適切な防腐剤が包含され、例えば、トリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)、クロルヘキシジン(1,1'-ヘキサメチレンビス[5-(4-クロロフェニル)ビグアニド)及びTTC(3,4,4'-トリクロロカルバニリド)などが挙げられる。
【0127】
第4級アンモニウム化合物も、概ね、同様に適切であるが、これらは、好ましくは、消毒石けん及びウォッシングローションに使用する。
【0128】
多くの種類の臭気物質は、抗菌特性も有している。いわゆるデオドラントパフュームといわれている組成物には、グラム陽性細菌に対して特に有効な特定の組合せを使用する。
【0129】
非常に多くの種類の精油又はその特有の成分、例えば、チョウジノキの油(オイゲノール)、ハッカ油(メントール)又はサイム油(チモール)なども、優れた抗菌効果を示す。
【0130】
抗菌効果を示す上記物質は、一般に、該調製物の約0.1〜0.3重量%の濃度で使用される。
【0131】
適切なパールワックス(pearlescent wax)の例は、例えば、以下のものである:アルキレングリコールエステル類、特に、エチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルマノールアミド類、特に、ココナッツ脂肪酸ジエタノアミド;部分グリセリド類、特に、ステアリン酸モノグリセリド;場合によりヒドロキシで置換されていてもよい多塩基カルボン酸と6〜22個炭素原子を有する脂肪アルコールのエステル、特に、酒石酸の長鎖エステル;合計で少なくとも24個の炭素原子を有する脂肪族物質、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテル及び脂肪カルボネート、特に、ラウロン及びジステアリルエーテル;脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸又はベヘン酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドと12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール及び/又は2〜15個の炭素原子と2〜10のヒドロキシル基を有するポリオールの開環生成物、並びに、それらの混合物。
【0132】
さらなるポリマー
本発明の化粧品組成物は、本発明のポリマーとは異なる、化粧品的に又は皮膚科学的に許容される少なくとも1種類のさらに別のポリマーを含有させて、望ましい組成物特性を確立させることができる。この目的のために適しているポリマーは、極めて一般的には、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー及び中性ポリマーである。
【0133】
アニオン性ポリマーは、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー又はその塩、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマー及びその塩;ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性又は水分散性のポリエステル、ポリウレタン、例えば、BASF製Luviset PUR(登録商標)、及び、ポリ尿素などである。特に適しているポリマーは、t-ブチルアクリレートとエチルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー(例えば、Luvimer(登録商標)100P)、エチルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー(例えば、Luviflex(登録商標)Soft 及び Luvimer(登録商標)MAE)、N-t-ブチルアクリルアミドとエチルアクリレートとアクリル酸のコポリマー(Ultrahold(登録商標)8、ストロング)、酢酸ビニルとクロトン酸と適切な場合にはさらにビニルエステルのコポリマー(例えば、Luviset(登録商標)グレード、INCI:VA/クロトネートコポリマー)、アルコール、アニオン性ポリシロキサン、例えばカルボキシ官能性、t-ブチルアクリレート、メタクリル酸と場合により反応させた、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Luviskol(登録商標)VBM)、アクリル酸及びメタクリル酸と疎水性モノマー(例えば、メタ(アクリル酸)のC4-C30-アルキルエステル、C4-C30-アルキルビニルエステル、C4-C30-アルキルビニルエーテル及びヒアルロン酸など)のコポリマーである。さらに、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー(これは、例えば、Resyn(登録商標)(National Starch)及びGafset(登録商標)(GAF)の名称で、市販されている)及びビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー(これは、例えば、Luviflex(登録商標)(BASF)の商品名で、入手可能である)も、アニオン性ポリマーの例である。適切なさらに別のポリマーは、ビニルピロリドン/アクリレートターポリマー(これは、Luviflex(登録商標)VBM-35(BASF)の名称で入手可能である)、及び、スルホン酸ナトリウム含有ポリアミド又はスルホン酸ナトリウム含有ポリエステルである。
【0134】
さらに、本発明のポリマーと組み合わせるのに適したポリマーの群は、例えば、以下のものである:Balance(登録商標)CR(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)0/55(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)47(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Aquaflex(登録商標)FX 64(ISP;イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー)、Aquaflex(登録商標)SF-40(ISP/National Starch;VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー)、Allianz(登録商標)LT-120(ISP/Rohm & Haas;アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー)、Aquarez(登録商標)HS(Eastman;ポリエステル-1)、Diaformer(登録商標)Z-400(Clariant;メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-711(Clariant;メタクリロイルエチル N-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-712(Clariant;メタクリロイルエチル N-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Omnirez(登録商標)2000(ISP;エタノール中のポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、Amphomer(登録商標)HC(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Amphomer(登録商標)28-4910(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Advantage(登録商標)HC 37(ISP;ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー)、Advantage(登録商標)LC55及びLC80又はLC A及びLC E、Advantage(登録商標)Plus(ISP;VA/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー)、Aculyne(登録商標)258(Rohm & Haas;アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー)、Luviset(登録商標)P.U.R.(BASF, ポリウレタン-1)、Luviflex(登録商標)Silk(BASF)、Eastman(登録商標)AQ 48(Eastman)、Styleze(登録商標)CC-10(ISP;VP/DMAPAアクリレートコポリマー)、Styleze(登録商標)2000(ISP;VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー)、DynamX(National Starch;ポリウレタン-14 AMPアクリレートコポリマー)、Resyn XP(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Fixomer A-30(Ondeo Nalco; ポリメタクリル酸(及び)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、Fixate G-100(Noveon;AMPアクリレート/アリルメタクリレートコポリマー)。
【0135】
適切なさらに別のポリマーは、ポリクオタニウムのINCI名を有するカチオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Ultracare)、硫酸ジエチルで4級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11, INCI:ポリクオタニウム-11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold;INCI:ポリクオタニウム-46);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及びポリクオタニウム-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)、キトサン、カチオン性デンプン誘導体(INCI:デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、変性コーンスターチ(Corn Starch Modified))、カチオン性グアー誘導体(INCI:ヒドロキシプロピルグアー ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、カチオン性ヒマワリ油誘導体(INCI:サンフラワーシードアミドプロピル ヒドロキシエチルジモニウムクロリド)、アクリル酸とアクリルアミドとメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドのコポリマー(INCI:ポリクオタニウム-53)、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-28などである。適切なカチオン性(4級化)ポリマーは、さらに、Merquat(登録商標)(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドをベースとするポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンを第4級アンモニウム化合物と反応させることにより生成される第4級ポリマー)、ポリマーJR(カチオン性基を有するヒドロキシエチルセルロース)、及び、植物性カチオン性ポリマー、例えば、グアーポリマー、例えば、Rhodia製のJaguar(登録商標)グレードなどである。
【0136】
適切なさらに別のポリマーは、中性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン類、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン類、ポリビニルカプロラクタム及びN-ビニルピロリドンを含んでいる別のポリマー、N-ビニルピロリドンとC1-C18-アルキル鎖を有するアルキルアクリレートモノマー又はアルキルメタクリレートモノマーのコポリマー、ポリビニルアルコールをポリアルキレングリコールにグラフトさせたグラフトコポリマー、例えば、Kollicoat(登録商標)IR(BASF)、他のビニルモノマーをポリアルキレングリコールにグラフトさせたグラフトコポリマー、ポリシロキサン類、ポリビニルカプロラクタム及びN-ビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレンイミン類及びその塩、ポリビニルアミン類及びその塩、セルロース誘導体、キトサン、ポリアスパラギン酸塩及び誘導体、ポリエチレンイミン類及びその塩、ポリビニルアミン類及びその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩及び誘導体などである。これらのもとしては、例えば、Luviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニルとポリエチレングリコールの部分的に鹸化されたコポリマー, BASF)などを挙げることができる。
【0137】
適切なポリマーは、さらに、水溶性又は水分散性の非イオン性ポリマー又はオリゴマー、例えば、ポリビニルカプロラクタム、例えば、Luviskol(登録商標)Plus(BASF)、又は、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、特に、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマー、例えば、Luviskol(登録商標)VA 37(BASF);ポリアミド、例えば、イタコン酸と脂肪族ジアミンをベースとするポリアミド(これは、例えば、DE-A-4333238に記載されている)などである。
【0138】
適切なポリマーは、さらに、両性ポリマー又は双性イオン性ポリマー、例えば、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/t-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー(これは、Amphomer(登録商標)(National Starch)の名称で得ることができる)、並びに、例えば、DE-A-3929973、DE-A−2150557、DE-A-2817369及びDE-A-3708451などに開示されている双性イオン性ポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸又はメタクリル酸コポリマー並びにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩は、好ましい双性イオン性ポリマーである。適切なさらに別の双性イオン性ポリマーは、メタクロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー(これは、Amersette(登録商標)(AMERCHOL)の名称で市販されている)、及び、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー(Jordapon(登録商標))である。
【0139】
適切なポリマーは、さらに、水溶性又は水分散性の非イオン性シロキサン含有ポリマー、例えば、ポリエーテルシロキサン、例えば、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)又はBelsil(登録商標)(Wacker)などである。
【0140】
医薬組成物
本発明の製薬上許容されるポリマーは、有利には、医薬組成物の調製にも使用することができる。製薬上許容される補助剤は、製薬や食品技術の分野及び関連する分野における使用が知られている補助剤であり、特に、関係する薬局方(例えば、DAB Ph. Eur. BP NF)に明記されている補助剤、及び、その特性により生理学的用途から除外されていることのない他の補助剤である。
【0141】
適切な補助剤は、以下のものであり得る:滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、防腐剤、酸化防止剤、抗刺激性物質、キレート化剤、乳化安定剤、皮膜形成剤、ゲル形成剤、矯味剤(taste-masking agent)、樹脂、親水コロイド、溶媒、溶解性促進剤、中和剤、浸透性促進剤、顔料、4級アンモニウム化合物、再脂肪化剤(refatting agent)、過脂肪剤(superfatting agent)、軟膏基剤、クリーム基剤、オイル基剤、シリコーン誘導体、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白剤、増粘剤、蝋、皮膚軟化剤、白油。これに関連した製剤は、例えば、文献「Fiedler, H.P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields], 4th ed., Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996」に記載されているような、専門的知識に基づく。
【0142】
本発明の皮膚科学的組成物を調製するために、該活性成分を、適切な補助剤(賦形剤)と混合するか又は適切な補助剤(賦形剤)で希釈することができる。賦形剤は、該活性成分のためのビヒクル、担体又は媒体として作用し得る、固体、半固体又は液体の物質であることができる。必要に応じ、さらなる補助剤を当業者に既知の方法で混合する。さらに、上記ポリマーは、調剤における補助剤として適しており、好ましくは、(a)コーティング中の補助剤又は(b)固体薬物形態用の結合剤中の補助剤として適している。
【0143】
皮膚清浄用組成物
さらに別の好ましい実施形態では、本発明のポリマーは、皮膚清浄用の調製物で使用する。
【0144】
好ましい皮膚清浄用組成物は、液体からゲル様の粘稠度を有する石鹸、例えば、透明石鹸、高級石鹸、デオドラント石鹸、クリーム石鹸、ベビー石鹸、皮膚保護石鹸(skin protection soap)、研磨石鹸(abrasive soap)及び合成洗剤、ペースト石鹸、軟石鹸及び洗浄用ペースト、液体洗浄剤、シャワー及び浴用調製物(例えば、洗浄用ローション、シャワーバス及びシャワーゲル)、フォームバス、オイルバス及びスクラブ洗浄調製物、シェービングフォーム、シェービングローション及びシェービングクリームなどである。
【0145】
ヘアトリートメント組成物
特に好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、ヘアトリートメント組成物である。
【0146】
本発明のヘアトリートメント組成物は、好ましくは、本発明の少なくとも1種類のポリマーを、該組成物の総重量に基づいて、約0.1〜30重量%、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲の量で含有する。
【0147】
本発明のヘアトリートメント組成物は、好ましくは、セッティングフォーム、ヘアムース、ヘアゲル、シャンプー、ヘアスプレー若しくはヘアフォームの形態、又は、パーマネントウェーブ、頭髪の着色及びブリーチ若しくはホットオイルトリートメント用の最終的な液状中和剤の形態にある。使用分野に応じて、該頭髪用化粧品調製物は、(エーロゾル)スプレー、(エーロゾル)フォーム、ゲル、ゲルスプレー、クリーム、ローション又はワックスの形態で適用し得る。ヘアスプレーには、エーロゾルスプレーが包含されるとともに、噴射ガスを含まないポンプスプレーも包含される。ヘアフォームには、エーロゾルフォームが包含されるとともに、噴射ガスを含まないポンプフォームも包含される。ヘアスプレー及びヘアフォームは、好ましくは、主として、水溶性若しくは水懸濁性の成分を含有するか、又は、水溶性若しくは水懸濁性の成分のみを含有する。本発明のヘアスプレー及びヘアフォームにおいて使用される化合物が水分散性である場合、それらは、通常、1〜350nm、好ましくは、1〜250nmの粒径を有する水性ミクロ分散液(microdispersion)の形態で適用することができる。本発明におけるこれら調製物の固体成分含有量は、一般に、約0.5〜20重量%の範囲である。このようなミクロ分散液は、一般に、乳化剤を必要としないか、又は、ミクロ分散液の安定化のための界面活性剤を必要としない。
【0148】
好ましい実施形態では、本発明の頭髪用化粧品製剤は、
I. 0.05〜20重量%の本発明の少なくとも1種類のポリマー;
II. 20〜99.95重量%の水及び/又はアルコール;
III. 0〜79.5重量%のさらなる成分;
含有する。
【0149】
アルコールは、化粧品で慣習的に使用されている全てのアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール)を意味するものと理解される。
【0150】
さらなる成分は、化粧品において慣習的な添加剤を意味するものと理解され、その一部については上記で既に言及されており、例えば、噴射剤、消泡剤、界面活性性化合物、即ち、界面活性剤、乳化剤、フォーム形成剤及び安定剤などである。使用される界面活性性化合物は、アニオン性、カチオン性、両性又は中性であり得る。慣習的なさらなる成分は、さらに、例えば、防腐剤、香油、乳白剤、活性成分、酸化防止剤、紫外線フィルター、ケア用物質(care substance)、例えば、パンテノール、コラーゲン、ビタミン類、タンパク質加水分解物、α-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロキシカルボン酸、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調節剤、染料、粘度調節剤、ゲル形成剤、塩類、保湿剤、再脂肪化剤、錯化剤、及び、さらに別の慣習的な添加剤などである。
【0151】
慣習的なさらなる成分には、さらに、特別な特性を付与しようとするときに本発明のポリマーと組み合わせて使用し得る、化粧品において知られている全てのスタイリングポリマー及びコンディショニングポリマーも包含される。
【0152】
慣習的な適する頭髪用化粧品用ポリマーは、例えば、上記で挙げたカチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、中性ポリマー、非イオン性ポリマー及び両性ポリマーなどであり、これらは、参照によりここに組み入れる。
【0153】
特定の特性を付与するために、該調製物には、さらに、シリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質も含有させ得る。適切なシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂若しくはジメチコンコポリオール(CTFA)、並びに、アミノ官能性シリコーン化合物、例えば、Amodimethicone(CTFA)、"GP4 Silicone Fluid(登録商標)“及び"GP 7100(登録商標)"(Genesee)、"Q2 8220(登録商標)"(Dow Corning)、“AFL 40(登録商標)"(Union Carbide)、又は、EP-B-852488(第4頁第1行〜第6頁第16行)に開示されているポリマーなどである。これは、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0154】
適切なさらなる混合相手成分は、さらに、シリコーングラフトポリマーであり、ここで、シリコーングラフトポリマーは、シリコーン含有ポリマー主鎖とシリコーン非含有側鎖を有するか、又は、シリコーン非含有ポリマー主鎖とシリコーン含有側鎖を有するか、又は、シリコーン含有ポリマー主鎖とシリコーン含有側鎖を有する。そのようなポリマーの例は、Luviflex(登録商標)Silk(BASF)、又は、EP-B-852488(第3頁第20〜58行)に記載されているポリマーである。
【0155】
さらに、シリコーンゴムも、化粧品調製物中における本発明ポリマーの混合相手として適している。そのようなシリコーンゴムは、EP-B-852488(第6頁第17行〜第7頁第6行)に開示されている。これは、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0156】
本発明のポリマーは、ヘアスタイリング調製物におけるセット剤として、特に、ヘアスプレー(エーロゾルスプレー及び噴射ガスを含まないポンプスプレー)及びヘアフォーム(エーロゾルフォーム及び噴射ガスを含まないポンプフォーム)におけるセット剤として、特に適している。
【0157】
好ましい実施形態では、これらの調製物は、
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のポリマー;
(b) 20〜99.9重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 0〜70重量%の少なくとも1種類の噴射剤;
(d) 0〜20重量%のさらなる成分;
含有する。
【0158】
噴射剤は、ヘアスプレー又はエーロゾルフォームに慣習的に使用されている噴射剤である。好ましい噴射剤は、プロパン/ブタン混合物、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、二酸化炭素、窒素又は圧縮空気である。
【0159】
本発明の好ましいエーロゾルヘアフォームの製剤は、
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のポリマー;
(b) 55〜99.8重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 5〜20重量%の噴射剤;
(d) 0.1〜5重量%の乳化剤;
(e) 0〜10重量%のさらなる成分;
を含有する。
【0160】
乳化剤
使用し得る乳化剤は、ヘアフォームに慣習的に使用されている全ての乳化剤である。適切な乳化剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性であり得る。
【0161】
非イオン性乳化剤の例(INCI名)は、ラウレス、例えば、ラウレス-4;セテス、例えば、セテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル;セテアレス、例えば、セテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、ヒドロキシル化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシドである。
【0162】
カチオン性乳化剤の例は、セチルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム二水素リン酸、セチルトリモニウムクロリド、セチルトリモニウムブロミド、ココトリモニウムメチルスルフェート、クオタニウム-1〜クオタニウム-x(INCI)である。
【0163】
アニオン性乳化剤は、例えば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩、並びに、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩からなる群から選択することができる。上記アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、該分子内に、1〜10のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0164】
好ましいヘアトリートメント組成物は、ゲルの形態にある。そのようなヘアトリートメント組成物は、例えば、
(a) 0.1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%の、上記で定義した本発明の少なくとも1種類のポリマー;
(b) 0〜40重量%の、C2-C5-アルコールから選択される少なくとも1種類の担体(溶媒)、特に、エタノール;
(c) 0.01〜5重量%、好ましくは、0.2〜3重量%の少なくも1種類の増粘剤;
(d) 0〜50重量%の噴射剤;
(e) 0〜10重量%、好ましくは、0.1〜3重量%の、(a)とは異なる少なくとも1種類のセッティングポリマー、好ましくは、水溶性非イオン性ポリマー;
(f) 0〜1重量%の少なくとも1種類の再脂肪化剤、好ましくは、グリセロール及びグリセロール誘導体から選択される再脂肪化剤;
(g) 0〜30重量%のさらなる活性成分及び/又は補助剤、例えば、少なくとも1種類のシリコーン化合物;
(h) 100重量%までの水;
を含有する。
【0165】
スタイリングゲルに関して本発明による適切な調製物は、例えば、以下の組成を有することもできる:
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のポリマー;
(b) 60〜99.85重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 0.05〜10重量%のゲル形成剤;
(d) 0〜20重量%のさらなる成分。
【0166】
使用可能なゲル形成剤は、化粧品に慣習的に使用されている全てのゲル形成剤である。そのようなゲル形成剤としては、僅かに架橋されているポリアクリル酸、例えば、カルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性セルロース(cationically modified cellulose)、多糖類、例えば、キサンタンガム、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリド、ナトリウムアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-32(及び)パラフィナムリクイダム(INCI)、ナトリウムアクリレートコポリマー(及び)パラフィナムリクイダム(及び)PPG-1 トリデセス-6、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10 アリルエーテルアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-37(及び)パラフィナムリクイダム(及び)PPG-1 トリデセス-6、ポリクオタニウム-37(及び)プロピレングリコールジカプレートジカプリレート(及び)PPG-1 トリデセス-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-44などを挙げることができる。
【0167】
本発明のポリマーは、化粧品調製物中のコンディショニング剤として使用することができる。
【0168】
本発明のポリマーは、好ましくは、セット剤及び/又はコンディショニング剤として、シャンプー製剤中で使用することができる。好ましいシャンプー製剤は、
(a) 0.05〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のポリマー;
(b) 25〜94.95重量%の水;
(c) 5〜50重量%の界面活性剤;
(c) 0〜5重量%のさらなるコンディショニング剤;
(d) 0〜10重量%のさらなる化粧品成分;
を含有する。
【0169】
シャンプーで慣習的に使用されている全てのアニオン界面活性剤、中性界面活性剤、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤を、上記シャンプー製剤中で使用することができる。
【0170】
界面活性剤
適切なアニオン界面活性剤は、例えば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩、並びに、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩である。上記アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、該分子内に、1〜10のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0171】
例えば、ナトリウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネートなどが適している。
【0172】
適切な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテート又はアルキルアンホジプロピオネートなどである。
【0173】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はナトリウムココアンホプロピオネートなどを使用することができる。
【0174】
適切な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキル鎖(ここで、これは、直鎖又は分枝鎖であり得る)内に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの反応生成物などである。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり、約6〜60molである。アルキルアミンオキシド、モノアルキルアルカノールアミド、ジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルも適している。
【0175】
さらに、該シャンプー製剤は、慣習的なカチオン性界面活性剤、例えば、4級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(INCI:セトリモニウムクロリド又はセトリモニウムブロミド)、ヒドロキシエチルセチルジモニウムホスフェート(INCI:クオタニウム-44)、Luviquat(登録商標)Mono LS(INCI:ココトリモニウムメトスルフェート)、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、((オクタデシルニトリロ)トリ-2,1-エタンジイル)トリス(ヒドロキシ)ホスフェート(1:1)(塩)(INCI クオタニウム-52)などを含有し得る。
【0176】
該シャンプー製剤では、本発明のポリマーと組み合わせて慣習的なコンディショニング剤を用いることにより、特定の効果を得ることが可能である。そのようなコンディショニング剤としては、例えば、ポリクオタニウムのINCI名を有する上記で挙げたカチオン性ポリマー、特に、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Ultracare)、硫酸ジエチルで4級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及びポリクオタニウム-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)などを挙げることができる。タンパク質加水分解物、及び、シリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂なども用いることもできる。さらに別の適切なシリコーン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能性シリコーン化合物、例えば、アモジメチコン(CTFA)などである。さらに、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(INCI)などのカチオン性グアー誘導体も使用することができる。
【実施例】
【0177】
下記実施例は、本発明についてさらに詳細に説明することを目的としており、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0178】
I.分析
平均分子量の測定
重量平均分子量Mは、水性溶離液を用いるゲル透過クロマトグラフィー(=GPC)で測定した。
【0179】
GPCは、Agilent製の機器を組み合わせたもの(シリーズ1100)を用いて実施した。それには、以下のものが含まれている:
脱気装置 Model G 1322 A
イソクラティックポンプ Model G 1310 A
オートサンプラー Model G 1313 A
カラムオーブン Model G 1316 A
コントロールモジュール Model G 1323 B
示差屈折計 Model G 1362 A。
【0180】
水に溶解させたポリマーの場合、使用した溶離液は、蒸留水中の0.08mol/L TRIS-バッファー(pH=7.0)+0.15mol/Lのクロリドイオン(NaCl及びHCl由来)であった。分離は、分離カラムの組合せ中で実施した。PSS製のカラムNo.787及びカラムNo.788(各8×30mm)を、GRAL BIO線状剥離材と一緒に使用した。通過流量(throughflow rate)は、カラム温度23℃で0.8mL/分であった。
【0181】
較正は、PPS製のポリエチレンオキシド標準(分子量 M=194-1700000[mol/g])を用いて行う。
【0182】
K値の測定
コポリマーの水性ナトリウム塩溶液のK値は、文献(H. Fikentscher, Cellulose-Chemie, volume 13, 58-64 and 71-74(1932))に従い、pH7、温度25℃で、コポリマーのナトリウム塩のポリマー濃度1重量%の水溶液中で測定した。
【0183】
固体成分含有量の測定
確定した量のサンプル(約0.5〜1g)をアルミニウム製の皿の中に量り取った(初期重量)。そのサンプルを、IRランプ(160ボルト)の下で30分間乾燥させた。次いで、そのサンプルの重量を再度測定した(最終重量)。固体成分含有量の割合(SC)を以下のように計算する:
SC=最終重量×100/初期重量[重量%]
ジアリルモノマー及びコポリマーの調製
反応性アルコキシレートモノマーの調製
実施例M1: ジアリルアミン+20EO(EO=エチレンオキシド)
ジャケット冷却器、オキシド計量器及び内部温度計を備えた20L容のスチール製反応器に、最初に、2.471kgのジアリルアミン及び0.126kgの脱塩水を導入した。その反応器を少しの間排気した後、25℃で、窒素ガスを用いて15.4barの圧力とした。50分間経過した後、その系を減圧して3barとし、80℃に加熱した。次いで、80分間かけて、圧力が2.8barと4.3barの間で維持され且つ温度が95℃を超えないように、1.120kgのエチレンオキシドを計量して導入した。エチレンオキシドを計量して導入した後、得られた混合物を120分間撹拌し、次いで、50℃に冷却した。その反応器から、1.217kgを取り出した。残った物質に、0.1463kgの45% KOH水溶液を添加した。その温度を103℃まで上昇させ、10mbar未満の圧力下で水分を除去した。次いで、窒素を用いて圧力を2barとし、その混合物を122℃まで加熱した。21時間かけて14.817kgのエチレンオキシドガスを供給し、その際、圧力は2barと5.5barの間に維持し、温度は135℃を超えなかった。240分後にエチレンオキシドの計量添加を中断し、118℃で撹拌を継続した。残りのオキシドを110分間で計量添加し、同温度で129分間撹拌を継続した。その混合物を80℃に冷却し、反応器から10.36kgを取り出した。生成物のOH数は、62.9mgのKOH/gであった。
【0184】
実施例M2: ジアリルアミン+40EO
実施例M1終了後の反応器の中に残った生成物を同じ反応器内で86℃に加熱し、窒素を用いて不活性とし、圧力を2barとした。その混合物を、次いで、115℃に加熱し、240分間かけて、温度が130℃を超えず且つ圧力が2barと5.8barの間で維持されるように、6.964kgのエチレンオキシドガスを供給した。計量添加が完了した後、その混合物を117℃で120分間撹拌し、13.24kg生成物を反応器から取り出した。生成物のOH数は、32.03mgのKOH/gであった。
【0185】
実施例M3: ジアリルアミン+80EO
実施例M1に準じて調製した3.574kgの生成物を、実施例1で使用した反応器内で、0.04464kgの45%濃度のKOH水溶液で処理し、実施例2と同様に、10.105kgのエチレンオキシドと反応させた。これにより、13.51kgの反応生成物が得られ、そのOH数は、24.13mgのKOH/gであった。
【0186】
4級化
実施例Q1
4級化されたジアリルアミン+20EO
548.18gのジアリルアミン+20EO(実施例M1)を60℃で溶融させた。この溶融物に、1時間かけて、67.10gの硫酸ジメチルを均一に滴下して加えた。添加が完了したとき、該反応を完結させるために、その混合物を60℃でさらに2.5時間撹拌した。
【0187】
実施例Q2
4級化されたジアリルアミン+40EO
260.00gのジアリルアミン+40EO(実施例M2)を65℃で溶融させた。この溶融物に、1時間かけて、16.74gの硫酸ジメチルを均一に滴下して加えた。添加が完了したとき、該反応を完結させるために、その混合物を65℃でさらに2時間撹拌した。
【0188】
コポリマーの調製
実施例P1
アンカー型撹拌機、温度計、窒素注入口、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた2リットル容のガラス製反応器に、緩やかな窒素流下で、最初に、853gの脱イオン水、80gのN-ビニルピロリドン、40gの50重量%濃度の4級化ジアリルアミン+20EO(実施例Q1)水溶液及び1.5gのトリアリルアミンを導入し、次いで、6.2gの20重量%濃度の硫酸を用いてpH6.8に調節し、65℃に加熱した。
【0189】
所望の温度である65℃に達した後、すぐに、1.5gの重合開始剤(Wako(登録商標)V50)を60.5gの水に溶解させた溶液のうちの20gを3時間かけて添加した。次いで、その混合物を70℃に加熱し、さらに1時間撹拌した後、残りの重合開始剤溶液(42g)を1時間かけて添加した。最後に、その混合物を、2時間、後重合させた。
【0190】
その溶液の固体成分含有量は、約10%であった。
【0191】
実施例P2
緩やかな窒素流下で、最初に、856gの脱イオン水、80gのN-ビニルピロリドン、40gの50重量%濃度の4級化ジアリルアミン+20EO(実施例Q1)水溶液及び0.75gのトリアリルアミンを導入し、次いで、19gの5重量%濃度の硫酸を用いてpH6.8に調節し、65℃に加熱した。
【0192】
所望の温度である65℃に達した後、すぐに、1.5gの重合開始剤(Wako(登録商標)V50)を60.5gの水に溶解させた溶液のうちの20gを3時間かけて添加した。次いで、その混合物を70℃に加熱し、さらに1時間撹拌した後、残りの重合開始剤溶液(42g)を1時間かけて添加した。最後に、その混合物を、2時間、後重合させた。
【0193】
その溶液の固体成分含有量は、約10%であった。
【0194】
実施例P3
緩やかな窒素流下で、最初に、846gの脱イオン水、70gのN-ビニルピロリドン、60gの50重量%濃度の4級化ジアリルアミン+20EO(実施例Q1)水溶液及び0.75gのトリアリルアミンを導入し、次いで、19gの5重量%濃度の硫酸を用いてpH6.8に調節し、65℃に加熱した。
【0195】
所望の温度である65℃に達した後、すぐに、1.5gの重合開始剤(Wako(登録商標)V50)を60.5gの水に溶解させた溶液のうちの20gを3時間かけて添加した。次いで、その混合物を70℃に加熱し、さらに1時間撹拌した後、残りの重合開始剤溶液(42g)を1時間かけて添加した。最後に、その混合物を、2時間、後重合させた。
【0196】
その溶液の固体成分含有量は、約10%であった。
【0197】
実施例P4
緩やかな窒素流下で、最初に、836gの脱イオン水、60gのN-ビニルピロリドン、80gの50重量%濃度の4級化ジアリルアミン+40EO(実施例Q2)水溶液及び0.75gのトリアリルアミンを導入し、次いで、19gの5重量%濃度の硫酸を用いてpH6.8に調節し、65℃に加熱した。
【0198】
所望の温度である65℃に達した後、すぐに、1.5gの重合開始剤(Wako(登録商標)V50)を60.5gの水に溶解させた溶液のうちの20gを3時間かけて添加した。次いで、その混合物を70℃に加熱し、さらに1時間撹拌した後、残りの重合開始剤溶液(42g)を1時間かけて添加した。最後に、その混合物を、2時間、後重合させた。
【0199】
その溶液の固体成分含有量は、約10%であった。
【0200】
本発明のポリマーP1〜ポリマーP4を用いて、10重量%濃度の水溶液の形態にある下記調製物を調製する。従って、定量的なデータは、10重量%濃度の水溶液に基づいている。特に別途明示されていない限り、パーセントは重量パーセントである。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表13a】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【表39】

【表40】

【表41】

【表42】

【表43】

【表44】

【表45】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー構成単位として、
(a) 一般式(I):
【化1】

[式中、
A-Oは、C1-C12-アルキレンオキシド、スチレンオキシド又はそれらを組み合わせたものであり;
nは、2〜200の整数であり;
xは、0又は1であり;
R1は、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
R2は、水素、C1-C30-アルキル、C5-C8-シクロアルキル、C6-C20-アリール、C1-C30-アルカノイル、C7-C21-アロイル、硫酸(半)エステル、リン酸エステル、アミノ又はアンモニウムであり;
R3は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又はアリールである]
で表される、中性形態又は4級化形態にある少なくとも1種類のジアリルアミン(モノマーA);
(b) 以下のものからなる群から選択される少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマー(モノマーB):
(i) N-ビニルラクタム;
(ii) N-ビニルアミド;
(iii) N-ビニルイミダゾール;
(iv) モノマーAとは異なるN,N-ジアリルアミン;
及びこれらモノマーのいずれかの混合物又はそれらの塩;
(c) 適切な場合には、1種類以上のエチレン性不飽和モノマーC;
(d) 適切な場合には、少なくとも1種類の架橋剤;
を含むポリマー。
【請求項2】
モノマーBが、N-ビニルカプロラクタム又はN-ビニルピロリドンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーの重量平均分子量Mが1000〜2000000の範囲である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーが20〜120のK値を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
重合させるモノマー混合物が、
a. 1〜95mol%のモノマーA
b. 5〜99mol%のモノマーB
及び
c. 0〜50mol%のモノマーC
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーが、モノマーA、モノマーB及びモノマーCの総量に基づいて、0.01〜5重量%の架橋剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ポリマーが、水溶性又は水分散性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーを調製する方法であって、モノマーA及びモノマーBと、さらに、場合によりモノマーCと、場合により架橋剤を、ラジカル重合させる、前記方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーを含み、さらに、化粧品において慣習的な添加剤も含む、化粧品調製物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーを含み、さらに、ヘアケアにおいて慣習的な添加剤も含む、ヘアケア組成物。
【請求項11】
モノマー構成単位として、
(a) 一般式(I):
【化2】

[式中、
A-Oは、C1-C12-アルキレンオキシド、スチレンオキシド又はそれらを組み合わせたものであり;
nは、2〜200の整数であり;
xは、0又は1であり;
R1は、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又は場合により置換されていてもよいベンジル基であり;
R2は、水素、C1-C30-アルキル、C5-C8-シクロアルキル、C6-C20-アリール、C1-C30-アルカノイル、C7-C21-アロイル、硫酸(半)エステル、リン酸エステル、アミノ又はアンモニウムであり;
R3は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、水素、C1-C20-アルキル、C2-C20-アルケニル、C5-C10-シクロアルキル又はアリールである]
で表される、中性形態又は4級化形態にある少なくとも1種類のジアリルアミン(モノマーA);
(b) 1種類以上のエチレン性不飽和モノマー;
(c) 適切な場合には、少なくとも1種類の架橋剤;
を含むポリマーの、化粧品調製物又は皮膚科学的調製物における使用。
【請求項12】
成分(b)として、
(i) N-ビニルラクタム;
(ii) N-ビニルアミド;
(iii) N-ビニルイミダゾール;
(iv) モノマーAとは異なるN,N-ジアリルアミン;
及びこれらモノマーのいずれかの混合物又はそれらの塩;
からなる群から選択される少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマーが、化粧品調製物中に存在しているか、又は、ヘアケア組成物として存在している、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項12で定義されているポリマーを含み、さらに、化粧品において慣習的な添加剤も含む、化粧品組成物。

【公表番号】特表2007−530755(P2007−530755A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505468(P2007−505468)
【出願日】平成17年3月26日(2005.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003215
【国際公開番号】WO2005/095479
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】