説明

ジアルキルカーボネートからのジアリールカーボネートまたはアリールアルキルカーボネートの調製方法

【課題】効率のより良いエネルギー統合が可能であるか、あるいは、向上したエネルギー統合を達成できるような芳香族カーボネートの調製方法の提供。
【解決手段】ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートを調製する方法であって、(a)エステル交換触媒存在下のエステル交換塔において、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物を反応させ、(b)エステル交換塔の塔頂から蒸気を除去してコンデンサーにて凝縮させることを含んでなり、エステル交換塔は、その上方部分に濃縮部及び該濃縮部の下方に反応領域を有して成り、エステル交換塔の濃縮部には中間コンデンサーが備えられ、かかる中間コンデンサーで凝縮に起因して得られる凝縮熱が直接的又は間接的にプロセスに戻すことを特徴とする芳香族カーボネートの調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱統合(heat integration)が向上するように、1以上の中間コンデンサー(または中間凝縮器)を有する少なくとも1つの反応塔(または反応カラム)を用いて、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートを調製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族炭酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合物から出発するエステル交換によって芳香族および脂肪族―芳香族の炭酸エステル(カーボネート)を調製することは知られている。これは平衡位置がほぼ完全に脂肪族置換カーボネートへとシフトする平衡反応である。したがって、芳香族カーボネートおよびアルコールから脂肪族カーボネートを調製することは比較的簡単である。しかしながら、芳香族カーボネートへ向かう逆向きの反応を行うためには、芳香族カーボネートの側へと非常に逆行する位置に平衡を効果的にシフトさせねばならず、非常に活性な触媒だけでなく、好適な手法を用いる必要がある。
【0003】
塔内でこのように平衡反応を行うことによって、効果的に平衡反応を所望の生成物の形成する方向へとシフトさせることは周知である(例えば、U.ブロック(Block),ケム.−イング.−テクノ.(Chem.−Ing.−Techn.)49,151(1977);ドイツ特許出願第DE−OS 38 09 417号公報;B.シュレッパー(Schleper),B.グッシェ(Gutsche),J.ニック(Wnuck)およびL.ジェロミン(Jeromin),ケム.−イング.−テクノ.(Chem.−Ing.−Techn.)62,226(1990);ウルマンズ・エンサイクロペディエ・デア・テクノ.ヘミー(Ullmanns Encyclopaedie der techn. Chemie),第4版,Vol.3;P.375ff.1973)。
【0004】
従って、周知の方法では、エステル交換は、好ましくは1以上の反応塔内で向流エステル交換として連続的に実施される。
【0005】
欧州特許出願第0 461 274号公報には、一連の接続された1または複数の多段塔において芳香族カーボネートを調製する連続エステル交換法が開示されている。欧州特許出願第0 461 274号公報では、ジアルキルカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートをフェノール反応させ、容易に揮発する生成物(主に反応アルコールおよびジアルキルカーボネート)を塔頂から除去し、高沸点生成物(たとえば、ジアリールカーボネート)を塔のサンプにて除去する。しかし、上記本エステル交換に固有の問題に対して装置および手法を適合させことによって、エステル交換をより有益に実施させうるといった特定の処理手段は記載されていない。特に、エステル交換で使用される塔が濃縮部を有するように構成されるのが好ましいのか有さないように構成されるのが好ましいのかは当業者に示されていない。
【0006】
濃縮部を有する構成では、塔頂から除去された蒸気混合物は、反応で過剰に使用されたジアルキルカーボネートおよび反応で形成された対応するアルコールを実質的に含み、混合物の凝縮はジアルキルカーボネートの蒸発温度以下の温度で、反応時の圧力で行うので、その結果得られる凝縮熱は反応領域の温度に比べて低い温度レベルに消散させることしかできない。エステル交換塔が濃縮部を有さないように構成される場合には、塔頂から除去された蒸気混合物および更には塔からの蒸留物は、少なからず反応で使用された芳香族ヒドロキシ化合物および、任意により高沸点の成分をも含有する。
【0007】
過剰に使用されたジアルキルカーボネートを、たとえば、蒸留により反応アルコールから分離することによって除去する場合、多量の比較的高沸点の成分(例えば、芳香族ヒドロキシ化合物)によって、更なる分離の問題または熱供給時の温度レベルを少なくとも上げるといったことが引き起こされる。
【0008】
ドイツ特許出願第42 26 756号公報には、ジアリールカーボネートの調製について2段階処理が開示されている。かかる2段階処理では、第1段階において、芳香族ヒドロキシ化合物をジアルキルカーボネートと向流エステル交換において反応させており、濃縮部を有するように構成されうる場合と濃縮部を有さないように構成されうる場合の両方の向流エステル交換塔を用いている。濃縮部を有する構成の場合、凝縮温度レベルは比較的低いので、これによって形成される凝縮熱を他の処理セクションを操作するために効率よく使用することはできない。濃縮部を有さない構成の場合、ジアルキルカーボネートおよび反応で形成されたアルコールをも含有する蒸留物は、さらに、多量の芳香族ヒドロキシ化合物をも含有する。ジアルキルカーボネートの回収時、このことによって塔のサンプ領域の温度レベルを上げねばならず、この時点でのエネルギー供給をより困難にする。
【0009】
ドイツ特許出願第42 26 755号公報には、2つの反応塔おけるジアリールカーボネートの調製方法が開示されている。かかる調製方法では、これらの塔はエネルギーおよび物質に関して互いに連結しており、芳香族ヒドロキシ化合物およびジアルキルカーボネートを第1段階で反応させ、これによって形成されたアルキルアリールカーボネートを第2段落で芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換によってまたは不均化反応によってジアリールカーボネートへと変換させる。しかしながら、この処理の問題は、エネルギーおよび物質に関して処理が一体化しているために、2つの工程における圧力がほぼ同じであることによって、アルキルアリールまたはジアリールカーボネートを形成するための反応条件は決定付けられるので、これを最適に選択することができないことである。したがって、開示されている処理はエネルギー統合に関しては有効ではない。
【0010】
欧州特許出願第781 760号公報には、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を触媒の存在中で反応させ、連続的に反応で形成された芳香族カーボネート、アルコール性副生成物、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物を除去することによる芳香族カーボネートの連続調製方法が開示されている。かかる連続調製方法では、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物が再度反応にフィードバックされる。開示されている処理工程は、反応手順に関して言えば時間と空間的に高収率である点で、加工に関して言えば可能な限り効率的な分離シーケンスである点で有効であるものの、エネルギーに関して、反応と加工の一体化の可能性は全く示していない。
【0011】
国際特許出願第2006/001256号公報には、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を触媒の存在中で反応させる方法、さらにそのために好適な技術的装置が開示されている。かかる公報でも、エネルギー統合に関して参照する点は示されていない。
【0012】
適度に効果的なエネルギー統合がなければ、前述の処理のエネルギー消費量が高いことは周知であり、よって環境および経済的観点からホスゲンなしのアリールカーボネートの調製の利益について疑問が生じる。
【0013】
国際特許出願第2004/016577号公報には、複数の別個の一連に接続された反応領域を有する反応装置配列において、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から触媒の存在中で芳香族カーボネートを調製する方法が開示されている。かかる方法では、最終の反応領域の蒸気ストリームの凝縮で形成された凝縮熱を用いて、第1の反応領域に導入される液体ストリームを加熱する。しかしながら、この方法は、反応装置配列が複雑であるといった点で不都合である。更に、この方法のエネルギー統合は改良する価値があるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、上述の不都合を有すことなく、上述の周知の方法に比べて効率の良いエネルギー統合が可能であるか、あるいは、向上したエネルギー統合を達成できるような芳香族カーボネート(即ち、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネート、好ましくはジアリールカーボネート)の調製方法を提供する必要性があった。
【0015】
したがって、本発明の目的は、周知の方法に比べて効率の良いエネルギー統合が可能であるか、あるいは、向上したエネルギー統合を達成できるような芳香族カーボネート(即ち、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネート、好ましくはジアリールカーボネート)の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的は、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物からの芳香族カーボネート、すなわち、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートの調製方法において、1以上の中間コンデンサーを好適に使用することによって達成され、手法が単純であるにもかかわらずエネルギー統合を著しく改良することができる。
【0017】
従って、本発明によって提供される方法は、
少なくとも1つ(少なくとも1種類)のジアルキルカーボネートおよび少なくとも1つ(少なくとも1種類)の芳香族ヒドロキシ化合物から少なくとも1つ(少なくとも1種類)のジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートを調製する方法であって、
(a)少なくとも1つのエステル交換塔において、少なくとも1つ(少なくとも1種類)のエステル交換触媒の存在中で、少なくとも1つ(少なくとも1種類)のジアルキルカーボネートを芳香族ヒドロキシ化合物と反応させ、
(b)エステル交換塔の上部で除去した蒸気を、少なくとも1つのコンデンサーにおいて全部凝縮させること又は部分的に凝縮させること
を含んで成り、
エステル交換塔は、その上方部分に「少なくとも2つのセクションを有する少なくとも1つの濃縮部」および濃縮部の下方に少なくとも1つの反応領域を有して成り、
エステル交換塔の少なくとも1つの濃縮部には少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられ、かかる中間コンデンサーでの凝縮によって得られた凝縮熱を直接または間接的に再度「本発明の方法(プロセス)」に戻す、方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
明細書で使用される単数形の用語「a」および「the」は同義であり、「1以上」という意味で使用することができる。従って、たとえば、明細書または特許請求の範囲で「塔」という用語は、単一のカラムまたは1よりも多いカラムを意図している。更には、全ての数値は、特に明記しない限り、「約」という単語を付して解される。
【0019】
本発明の範囲内において調製されるジアリールカーボネートは、好ましくは以下の一般式(I)で表される:

一般式(I)において、R、R’およびR”は互いに独立して、Hであるか、あるいは、直鎖、分岐もしくは場合によっては置換のC〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、特に好ましくはC〜C−アルキル、C〜C34−アルコキシ、好ましくはC〜C−アルコキシ、特に好ましくはC〜C−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリール、C〜C34−アリールまたはハロゲン基、好ましくは塩素基である。また、一般式(I)において、末端のR、R’およびR”は、同じであっても異なっていてもよい。また、Rは、−COO−R'''と表すことができ、この場合、R'''はHであってもよいし、あるいは、場合によっては分岐のC〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、特に好ましくはC〜C−アルキル、C〜C34−アルコキシ、好ましくはC〜C−アルコキシ、特に好ましくはC〜C−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリールまたはC〜C34−アリールであってよい。好ましくは、一般式(I)の末端のR、R’およびR”は同じである。最も特に好ましくは、R、R’およびR”はHである。
【0020】
一般式(I)のジアリールカーボネートは、例えば、ジフェニルカーボネート、メチルフェニル−フェニルカーボネートおよびジ−(メチルフェニル)カーボネートであり、更にはそれらの混合物の形態である(尚、メチル基はフェニル環のいずれの位置にあってもよい)。更には、一般式(I)のジアリールカーボネートは、例えば、ジメチルフェニル−フェニルカーボネートおよびジ−(ジメチルフェニル)カーボネートであり、更にはそれらの混合物の形態である(尚、メチル基は、フェニル環のいずれの位置にあってもよい)。また、一般式(I)のジアリールカーボネートは、例えば、クロロフェニル−フェニルカーボネートおよびジ−(クロロフェニル)カーボネートである(尚、メチル基はフェニル環のいずれの位置にあってもよい)。更には、一般式(I)のジアリールカーボネートは、例えば、4−エチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−エチルフェニル)カーボネート、4−n−プロピルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−n−プロピルフェニル)カーボネート、4−イソプロピルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−イソプロピルフェニル)カーボネート、4−n−ブチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−n−ブチルフェニル)カーボネート、4−イソブチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−イソブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−n−ペンチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−n−ペンチルフェニル)カーボネート、4−n−ヘキシルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−n−ヘキシルフェニル)カーボネート、4−イソオクチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−イソオクチルフェニル)カーボネート、4−n−ノニルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−n−ノニルフェニル)カーボネート、4−シクロヘキシルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル−フェニルカーボネート、ジ−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル]カーボネート、ビフェニール−4−イル−フェニルカーボネート、ジ−(ビフェニール4−イル)カーボネート、(1−ナフチル)−フェニルカーボネート、(2−ナフチル)−フェニルカーボネート、ジ−(1−ナフチル)カーボネート、ジ−(2−ナフチル)カーボネート、4−(1−ナフチル)−フェニル−フェニルカーボネート、4−(2−ナフチル)−フェニル−フェニルカーボネート、ジ−[4−(1−ナフチル)−フェニル]カーボネート、ジ−[4−(2−ナフチル)フェニル]カーボネート、4−フェノキシフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、4−トリチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−トリチルフェニル)カーボネート、メチルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(メチルサリチレート)カーボネート、エチルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(エチルサリチレート)カーボネート、n−プロピルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(n−プロピルサリチレート)カーボネート、イソプロピルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(イソプロピルサリチレート)カーボネート、n−ブチルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(n−ブチルサリチレート)カーボネート、イソブチルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(イソブチルサリチレート)カーボネート、tert−ブチルサリチレート−フェニルカーボネート、ジ−(tert−ブチルサリチレート)カーボネート、ジ−(フェニルサリチレート)−カーボネートおよびジ−(ベンジルサリチレート)カーボネートである。
【0021】
好ましいジアリールカーボネートはジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニル−フェニルカーボネート、ジ−(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニール4−イル−フェニルカーボネート、ジ−(ビフェニール−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル−フェニルカーボネートおよびジ−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル]カーボネートである。
【0022】
ジフェニルカーボネートが特に好ましい。
【0023】
本発明の範囲内において好ましく使用されるジアルキルカーボネートは以下の一般式(II)で表される:

一般式(II)において、RおよびRは、互いに独立して、直鎖、分岐または場合によっては置換のC〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、特に好ましくはC〜C−アルキルを表している。RおよびRは同じであっても異なっていてもよい。好ましくはRおよびRは同じである。
【0024】
本発明の範囲のC〜C−アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。更には、C〜C−アルキルは、例えば、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、または1−エチル−2−メチルプロピルである。更には、C〜C34−アルキルは、例えば、n−ヘプチルおよびn−オクチル、ピナシル、アダマンチル、異性体メンチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルである。同様のことが、例えば、アラルキルまたはアルキルアリール基内の対応するアルキル基に対してもいえる。対応するヒドロキシアルキルまたはアラルキルまたはアルキルアリール内のアルキレン基は、例えば、上述のアルキル基に対応するアルキレン基である。
【0025】
アリールは6〜34個の骨格炭素原子を有する環状炭素の芳香族基を表す。同様のことは、アラルキル基としても称されるアリールアルキル基の芳香族部に対していえるだけでなく、更には、より複雑な基(例えば、アリールカルボニル基)のアリール構造に対してもいえる。
【0026】
アリールアルキルおよびアラルキルは、互いに独立して、アリール基(上記で規定されたアリール基)によって単置換、多置換または完全に置換され得る「直鎖、環状、分岐または非分岐のアルキル基(上記で規定されたアルキル基)」を表している。
【0027】
上記で列挙したものは、あくまでも例示にすぎず、限定的に解すべきではない。
【0028】
好ましいジアルキルカーボネートはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(n−プロピル)カーボネート、ジ(イソプロピル)カーボネート、ジ(n−ブチル)カーボネート、ジ(sec−ブチル)カーボネート、ジ(tert−ブチル)カーボネートまたはジヘキシルカーボネートである。ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートが特に好ましい。その中でもジメチルカーボネートが最も好ましい。
【0029】
本発明の範囲内において好適とされる芳香族ヒドロキシ化合物は好ましくは一般式(III)で表される:

一般式(III)において、R、R’およびR”は互いに独立して、一般式(I)で説明したのと同じものを成し得る。
【0030】
かかる芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、更にはそれらクレゾール類の混合物の形態である。または、芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、ジメチルフェノール、その混合物の形態である。尚、メチル基はフェノール環のいずれの位置にあってもよい。例えば、2,4−、2,6−または3,4−ジメチルフェノール、o−、m−またはp−クロロフェノール、o−、m−またはp−エチルフェノール、o−、m−またはp−n−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−イソオクチルフェノール、4−n−ノニルフェノール、o−、m−またはp−メトキシフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノール、ビフェニール4−オール、1−ナフトール、2−1−ナフトール、4−(1−ナフチル)フェノール、4−(2−ナフチル)フェノール、4−フェノキシフェノール、3−ペンタデシルフェノール、4−トリチルフェノール、メチルサリチル酸、エチルサリチル酸、n−プロピルサリチル酸、イソプロピルサリチル酸、n−ブチルサリチル酸、イソブチルサリチル酸、tert−ブチルサリチル酸、フェニルサリチル酸およびベンジルサリチル酸である。
【0031】
好ましいジアリール化合物は、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、ビフェニール−4−オールおよび4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノールである。
【0032】
フェノールが特に好ましい。
【0033】
本発明の範囲内において調製されるアルキルアリールカーボネートは、好ましくは以下の一般式(IV)で表される:

一般式(IV)において、R、R’およびR”は、一般式(I)で説明したのと同じものを成し得る。また、Rは一般式(II)で説明したのと同じものを成し得る。
【0034】
好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチル−フェニルカーボネート、エチル−フェニルカーボネート、プロピル−フェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネートおよびヘキシル−フェニルカーボネート、メチル−(o−クレジル)カーボネート、メチル−(p−クレジル)カーボネート、エチル−(o−クレジル)カーボネート、エチル−(p−クレジル)カーボネート、または、メチル−もしくはエチル−(p−クロロフェニル)カーボネートである。特に好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチル−フェニルカーボネートおよびエチル−フェニルカーボネートである。その中でもメチル−フェニルカーボネートが最も好ましい。
【0035】
本発明の方法に好適とされるジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシ化合物は、当業者にとって周知であって、市販されているか、あるいは、当業者に周知の方法によって調製できる。
【0036】
本発明の方法では、芳香族ヒドロキシ化合物およびジアルキルカーボネートは、1:0.1〜1:10、特に好ましくは1:0.2〜1:5、最も特に好ましくは1:0.5〜1:3のモル比で使用される。かかるモル比は、芳香族ヒドロキシ化合物またはジアルキルカーボネートをエステル交換塔へと1以上の塔頂コンデンサー(以下の(b)参照)または1以上のサンプ用エバポレーター(設けられる場合)を介して戻すことが考慮されていない。
【0037】
本発明の方法はエステル交換塔で実施される。本発明の方法の好ましい実施形態では、エステル交換塔のサンプ(または液だめ、sump)から(場合によっては濃縮後に)除去された液体ストリームは、1以上の更なる工程で、不均化反応、更なるエステル交換および/または精製に付してよい。好ましくは、このような更なる工程は、個々にまたは全て1以上の更なる塔で行うことができる。
【0038】
当業者にとって知られている塔(カラム)は、エステル交換塔として用いるのに適当であり、あるいは、必要に応じて設けられる第2のまたは更なる塔として用いるのに適当である。このような塔は、例えば、蒸留塔または精留塔、好ましくは反応蒸留塔または反応精留塔である。
【0039】
エステル交換塔は、塔の上方部分に設けられた「少なくとも2つのセクションを有する少なくとも1つの濃縮部」および濃縮部の下方に設けられた「少なくとも1つの反応領域」を含んでいる。また、エステル交換塔の少なくとも1つの濃縮部には少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられている。2つのセクションは、それぞれ互いに独立に、好ましくは0〜20、より好ましくは0.1〜20の理論段を有している。中間コンデンサーは、濃縮部の2つのセクションの間に配置されることが好ましい。かかる場合、濃縮部は上方濃縮部と下方濃縮部とに分けられる。
【0040】
好ましくは、エステル交換塔は向流状態で運転される。この場合、好ましくは、芳香族ヒドロキシ化合物は液体の形態で、塔頂からサンプへ向かって塔の少なくとも1つの反応領域に案内される一方、ジアルキルカーボネートは気体形態で液体ストリームに対して向流の方向となるように案内される。好ましくは、少なくとも1つの反応領域へと、好ましくは反応領域の上部3分の1の箇所に、好ましくは塔のかかる時点の温度にて、芳香族ヒドロキシ化合物および場合によっては溶解したエステル交換触媒を含有した液体形態の1以上のストリーム(または、気体含有量が好ましくは20重量%未満の低含有量の気体を含有しているストリーム)が計量供給されるようにエステル交換塔は操作される。更に、ジアルキルカーボネートを含有する1以上のストリームを反応領域(好ましくは反応領域の下部3分の1)へと供給する。かかるストリームの供給は、好ましくは計量供給され気体または過熱された形態で行われる。好ましい実施形態では、蒸気ストリームの過熱は0〜50℃であってよい。更に、好ましくは、露点温度は、ジアルキルカーボネートを含有する特定のストリームの供給時点における反応領域の圧力で決まる。
【0041】
反応領域を通過した後、反応アルコールは、濃縮部を通過してエステル交換塔の塔頂から除去される。本発明の範囲において、反応アルコールとはエステル交換で遊離したアルコールのことであり、好ましくはR−OHまたはR−OHである(RおよびRは一般式(II)で説明したのと同じものを成し得る)。反応アルコールに加えて、エステル交換塔の塔頂から除去されるストリームは、一般に、過剰のまたは未反応のジアルキルカーボネートを含んでいる。濃縮部が設けられていることに起因して、エステル交換塔の塔頂から除去されるストリームは、比較的高沸点成分(例えば、芳香族ヒドロキシ化合物)をごく僅かにしか含んでいない。濃縮部は、低沸点の反応アルコールまたはジアルキルカーボネートから「反応領域で蒸発される比較的高沸点の成分(例えば、芳香族ヒドロキシ化合物またはアルキルアリールカーボネート)」を分離する機能を有している。このことは、反応アルコールのジアルキルカーボネートからの分離を低温レベルで行うことができるといった利益を有する。
【0042】
好ましい実施形態では、エステル交換塔を還流条件下で操作する。還流条件とは、蒸気ストリームを濃縮部の上端にて部分的または完全に凝縮させ(反応工程(b)参照)、得られた凝縮物の幾分かまたは全部を還流として濃縮部の上端に戻す手法を意味するものとして理解される。還流比は、好ましくは、0.1〜20、特に好ましくは0.1〜10および最も特に好ましくは0.1〜3である。尚、本発明の範囲において、還流比とは、「凝縮物を戻すことなく塔頂から除去される蒸気」に対する「塔へと戻される凝縮物」の重量比に相当する。
【0043】
好ましい実施形態では、エステル交換塔は反応領域の下方に少なくとも1つのストリッピング部を有している。
【0044】
更に、エステル交換塔は、好ましくは、1以上のサンプ用エバポレーター(sump evaporator)を有し得る。エステル交換塔がストリッピング部を備えるように構成される場合、サンプ用エバポレーターを用いることが好ましく、サンプ用エバポレーターによってストリッピング部から流れてくる液体を全体的または部分的に蒸発させる。このように全体的または部分的に蒸発させた液体ストリームの全部または一部は、エステル交換塔へと戻される。ストリッピング部を備えていない実施形態の場合では、反応領域から流れてくる液体を、任意に使用されるサンプ用エバポレーターで全体的にまたは部分的に蒸発させて、その全部または一部をエステル交換塔へと戻す。
【0045】
エステル交換塔の濃縮部には、少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられている。好ましくは濃縮部は下方濃縮部と上方濃縮部と2つのセクションに分けられている。この場合、下方濃縮部は中間コンデンサーの下方に設けられる一方、上方濃縮部は中間コンデンサーの上方に設けられる。
【0046】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの中間コンデンサーを有する濃縮部は、反応部および任意の少なくとも1つのストリッピング部と共に、エステル交換塔内に収容されている。これにより、反応領域から流れてきた蒸気混合物は濃縮部の下側セクション(または任意の下方濃縮部)へと下側から案内されることになる。尚、濃縮部の下側セクション(または任意の下方濃縮部)では、芳香族ヒドロキシ化合物が消費される。かかる下側セクション(または任意の下方濃縮部)から流れてくる蒸気混合物は、中間コンデンサーへと案内される。中間コンデンサーでは、蒸気混合物が部分的に凝縮され、得られた凝縮物が濃縮部の下側セクション(または任意の下方濃縮部)の上端へと供給される。
【0047】
本発明の方法の更に好ましい実施形態では、中間コンデンサーがエステル交換塔に一体化されておらず、エステル交換塔の外側にて別個の中間コンデンサー(中間凝縮器)の形態を成している。
【0048】
本発明の方法の更に好ましい実施形態では、中間コンデンサーおよび濃縮部の上側セクションがエステル交換塔に一体化されておらず、エステル交換塔の外側にて別個に設けられている。
【0049】
反応領域および場合によっては設けられるストリッピング部の下方においては、反応により形成された又は出発原料中に元々存在している「アルキルアリールカーボネート、過剰のまたは未反応のフェノール、ジアリールカーボネート、エステル交換触媒、ジアルキルカーボネート、反応アルコールおよび高沸点化合物を含んで成る混合物」が得られる。ストリッピング部が使用される場合、低沸点化合物、たとえば、ジアルキルカーボネートおよび反応アルコールの含有量が減じられ、更には、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートがエステル交換触媒の存在下にてある条件で形成される。このために必要とされるエネルギーが1以上のエバポレーターによって供給されることが好ましい。
【0050】
エステル交換塔のあらゆるセクション(即ち、濃縮部、任意のストリッピング部、および反応領域)では、充填材または規則充填物(regular packing)を使用することができる。使用される充填材または規則充填物は、たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディエ・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmann’s Encyclopaedie der Technischen Chemie)、第4版、Vol.2、p.528ffに記載されるように、蒸留で常套的に使用されるものである。充填材の例としては、ラシング(Raschig)またはポール(Pall)およびノバロックス(Novalox)リング、ベール(Berl)、インタレックス(Intalex)またはトーラス・サドル、インターパック(Interpack)を挙げることができる。また、規則充填物の例としては、各種材料、たとえば、ガラス、磁器材料、陶器材料、ステンレススチール、プラスチック材料のシート状金属および不織充填物(たとえば、BXパッキング、モンツ・パック(Montz Pak)、メラパック(Mellapak)、メラドゥラ(Melladur)、ケラパック(Kerapak)およびCYパッキング)を挙げることができる。表面積が大きく良好な湿潤性と十分な液相の滞留時間をもたらす充填材または規則充填物が好ましく、例えば、ポール(Pall)およびノバロックス(Novalox)リング、ベール(Berl)サドル、BXパッキング、モンツ・パック(Montz Pak)、メラパック(Mellapak)、メラドゥラ(Melladur)、ケラパック(Kerapak)およびCYパッキングを挙げることができる。
【0051】
場合によっては、塔プレート(例えば、多孔プレート、バブルキャップ・プレート、バルブタイププレートおよびトンネルタイププレートも好適に用いることができる。エステル交換塔の反応領域には、高滞留時間を有するとともに良好な物質交換をもたらす塔プレート、たとえば、バブルキャップ・プレート、バルブタイププレートまたは高い溢流防御性を有するトンネルタイププレートが特に好ましい。反応領域の理論段数は、好ましくは3〜50、特に好ましくは10〜50および最も特に好ましくは10〜40である。液体ホールドアップ(liquid hold-up)は、反応領域の塔内部体積の好ましくは1〜80%、特に好ましくは5〜70%および最も特に好ましくは7〜60%である。当業者にとってみれば、反応領域、任意に設けられるストリッピング部および濃縮部のより正確な設計は行うことができる。
【0052】
反応領域の温度は好ましくは100〜300℃、特に好ましくは120〜250℃、最も特に好ましくは150〜240℃の範囲内である。好ましい実施形態では、反応領域における最適反応温度は、一方で操作条件を選択することよって、他方で1以上の反応プレート領域にて更に熱供給することによって、確立することができる。反応プレートにおける熱供給は、熱交換器によって又は熱導入可能な反応プレートを介して行うことができる。本発明に従って行われるエステル交換を常圧だけでなく、加圧下または減圧下で行うことは有益である。それゆえ、反応領域の圧力は、好ましくは0.5〜20bar、特に好ましくは0.8〜15bar、最も特に好ましくは0.9〜10barの範囲内である。上述または後述において本明細書で用いられる圧力は、特に明記しない限り、絶対圧力である。
【0053】
文献で周知のエステル交換触媒をエステル交換塔内で生じる反応工程に使用することができる。これらはジアルキルカーボネート−フェノールエステル交換についての文献で周知の触媒であって、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウムおよびカルシウム、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム、および特に好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムのハイドライド、オキサイド、ヒドロキシド、アルコレート、アミドおよび他の塩である(たとえば、米国特許第3 64に 858号公報、米国特許第3 803 201号公報または欧州特許出願第1082号公報参照)。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩は有機または無機酸、たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、ステアリン酸、炭酸(炭酸塩または炭酸水素)、リン酸、シアン化水素酸、チオシアン酸、ホウ酸、けい皮酸、C14−錫酸またはアンチモン酸の塩でもあってもよい。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の好適な化合物は、好ましくは、オキサイド、ヒドロキシド、アルコレート、アセテート、プロピオネート、ベンゾエート、カーボネートおよび炭酸水素塩であり、特に好ましくは、ヒドロキシド、アルコレート、アセテート、ベンゾエートまたはカーボネートの使用である。上述のアルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物は、反応する反応混合物の重量基準で、好ましくは、0.001〜2重量%、より好ましくは0.005〜0.9重量%および特に好ましくは0.01〜0.5重量%の量で使用される。
【0054】
本発明で使用できる更なる触媒としては、金属化合物、たとえば、AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnX4(尚、Xはハロゲン、アセトキシ、アルコキシまたはアリールオキシ基を表す)を挙げることができる(ドイツ特許出願第2 58 412号公報)。本発明で使用できる特に好ましい触媒は、金属化合物、たとえば、AlX、TiX、PbXおよびSnX4、たとえば、チタンテトラクロライド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロピレート、チタンテトラドデシレート、錫テトライソオクチレートおよびアルミニウムトリイソプロピレートである。金属化合物TiXが最も特に好ましい。上述の金属化合物は、反応する反応混合物の重量基準で、好ましくは、0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜5重量%および最も特に好ましくは0.01〜5重量%の量で使用される。
【0055】
本発明の範囲において、ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素、好ましくはフッ素または塩素、特に好ましくは塩素を示している。
【0056】
本発明で使用できる更なる触媒は、0.001〜20重量%の量の、一般式(R114−x−Sn(Y)の有機錫化合物(ここで、Yは基OCOR12、OHまたはORを表し、R12はC〜C12−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C13−アルキルアリールを表し、(R12の)R11は独立してR12の意味を有し、xは1〜3の整数を表す)、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有するジアルキル錫化合物、またはビス−(トリアルキル錫)化合物、たとえば、トリメチル錫アセテート、トリエチル錫ベンゾエート、トリブチル錫アセテート、トリフェニル錫アセテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫アジピネート、ジブチルジメトキシ錫、ジメチル錫グリコレート、ジブチルジエトキシ錫、トリエチル錫ヒドロキシド、ヘキサエチルスタノキサン、ヘキサブチルスタノキサン、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ブチル錫トリイソオクチレート、オクチル錫トリイソオクチレート、ブチル錫酸およびオクチル錫酸(欧州特許第879号公報、欧州特許第880号公報、欧州特許第39 452号公報、ドイツ特許出願第DE−OS34 45 555号公報、日本特許第79/63023号公報参照)、ジアルキルカーボネートに基づいて0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜5重量%の量の、式−[−RR11Sn−O−]−のポリマー状錫化合物(ここで、RおよびR11は互いに独立して上でR12について与えられた意味を有する)、たとえば、ポリ[オキシ(ジブチルスタンニレン)]、ポリ[オキシ(ジオクチルスタンニレン)]、ポリ[オキシ(ブチルフェニルスタンニレン)]およびポリ[オキシ(ジフェニルスタンニレン)](ドイツ特許出願第DE−OS34 45 555号公報)、式−[−RSn(OH)−O−]−のポリマー状ヒドロキシスタノキサン、たとえば、ポリ(エチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ブチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(オクチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ウンデシルヒドロキシスタノキサン)およびポリ(ドデシルヒドロキシスタノキサン)(ドイツ特許出願第DE−OS 40 06 420号公報参照)である。本発明で使用できる更なる錫化合物は、次の一般式のSn(II)オキサイドであり、
X−RSn−O−RSn−Y
【0057】
ここで、XおよびYは互いに独立して、OH、SCN、OR13、OCOR13またはハロゲンを表し、Rはアルキル、アリールを表し、R13は上記にてR12について説明した意味を有する(欧州特許第0 338 760号公報)。
【0058】
本発明で使用できる更なる触媒は、ジアルキルカーボネートのmol当たり0.001〜1、好ましくは0.005〜0.25molの量の、任意にトリオルガノホスファンを有する鉛化合物、キレート化合物またはアルカリ金属ハライド、たとえば、Pb(OH)−2PbCO、Pb(OCO−CH、Pb(OCO−CH・2LiCl、Pb(OCO−CH・2PPh(日本特許第57/176932号公報、日本特許第01/093580号公報)、さらには他の鉛(II)および鉛(IV)化合物、たとえば、PbO、PbO、鉛丹、亜鉛酸塩および鉛酸塩(日本特許第01/093560号公報)、鉄(III)アセテート(日本特許第61/1 72 852号公報)、さらには銅塩および/または金属錯体、たとえば、アルカリ、亜鉛、チタンおよび鉄の錯体(日本特許第89/005588号公報)である。
【0059】
更には、本発明の方法では、不均等な触媒系を使用することができる。このような系は、たとえば、シリコンとチタンの混合酸化物であり、これらはシリコンとチタンハライドとの(日本特許第54/125617号公報)または>20m/gの高BET表面積を有する二酸化チタンとの(ドイツ特許出願第DE−OS 40 36 594号公報)共加水分解によって得ることができる。
【0060】
本発明の方法に好ましい触媒は、上述の金属化合物AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnXである。AlX、TiX、PbXおよびSnXが特に好ましく、その例として、チタンテトラクロライド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロピレート、チタンテトラドデシレート、錫テトライソオクチレートおよびアルミニウムトリイソプロピレートを挙げることができる。金属化合物TiXは特に非常に好ましい。チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシドおよびチタンテトラエトキシドは特に好ましい。
【0061】
好ましくは、触媒は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリームと共に溶解または懸濁した形態でエステル交換塔へと導入される。場合によっては、触媒は、たとえば、反応アルコールまたは好適な不活性溶媒中に別に計量添加することもできる。不均等な触媒を使用する場合には、これらを、本明細書に記載した充填材との混合物の形態で、または、充填材以外の好適な形態で使用することができ、あるいは、いずれかの塔プレート上に固定されたバルク充填物として使用できる。
【0062】
エステル交換塔での反応に必要なエネルギーは、内部または外部装置たとえば、熱交換器、エバポレーターおよび/または加熱可能な塔プレートを介して生成することができる一方で、および/または他方では芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液体ストリームと共にまたは気体形態で計量添加されるジアルキルカーボネート含有ストリームと共に導入することができる。特に反応領域では熱の供給はこの方法で行うことができる。反応領域でのこの熱は好ましくは、エバポレーターまたは加熱可能な塔プレートによって全体的にまたは部分的に供給される。エステル交換塔での反応に必要なエネルギーを、エステル交換塔へと、芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液体ストリームと共にかつ気体形態で計量添加されるジアルキルカーボネート含有ストリームと共に少なくとも部分的に導入し、かつ、内部および/または外部熱交換器によっても更に導入することが特に好ましい。
【0063】
本発明によれば、中間コンデンサーでの凝縮によって得られた凝縮熱を再度この本発明のプロセス(本発明の方法)に直接的または間接的にフィードバックする。本発明の範囲では、本発明のプロセスへの凝縮熱の直接フィードバックとは、たとえば、エステル交換塔または任意の第2の塔へと供給されるストリームを加熱するために、または1以上の塔セクションを加熱するために、凝縮熱を中間加熱媒体なしで本発明のプロセス(本発明の方法)にフィードバックすることを意味するものと理解されたい。これはたとえば、熱交換器で行うことができる。好ましくは、このような熱交換器は中間コンデンサーと組み合わされる。本発明の範囲では、本発明のプロセス(本発明の方法)への凝縮熱の間接フィードバックとは、凝縮熱によって加熱媒体を生成させ、この加熱媒体を用いて凝縮熱を本発明のプロセス(本発明の方法)へとフィードバックすることを意味するものと理解されたい。かかる加熱媒体を用いると、たとえば、エステル交換塔へとまたは任意の第2の塔へと供給されるストリームを加熱でき、または1以上の塔セクションを加熱することができる。好適な加熱媒体は、気体、蒸気または液体、好ましくは蒸気または液体技術の熱交換媒体、たとえば、水、ミネラルオイルに基づく熱キャリア、または合成物熱キャリアである(たとえば、ジフィル(DiphylTM、マーロサーモ(Marlotherm)[登録商標])。特に好ましい加熱媒体は水または水蒸気である。本発明の方法の特に好ましい実施形態では、中間コンデンサーで得られた凝縮熱の全部または一部をエステル交換塔へと導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるために直接的にまたは間接的に使用する。
【0064】
本発明の方法は連続的にまたは不連続的に実施することができる。好ましくは連続的に実施する。
【0065】
エステル交換塔において1以上の中間コンデンサーを使用することによって、凝縮で得られた凝縮熱を著しくより高温レベルで移送でき、したがって、より効率よく使用することができる。その結果、加熱および冷却キャパシティを同程度に低減することができる。したがって、先行技術の方法に比べて本発明の方法の実質的利益は、ジアリールカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートの調製におけるエネルギー消費量を著しく低減できることである。また、塔アレンジメントに起因して、本方法は、一連の別個の複数の反応領域を備えた複雑な反応装置アレンジメントを必要とせずに、単純な装置を用いて実施できる。
【0066】
図1〜3を参照することによって本発明の方法を例示的に説明する。図1〜3で示される本発明の方法は、引き続いて行われる工程、例えば、更なる塔での不均化反応、更なるエステル交換または精製は省かれている。得られる凝縮熱をフィードバックする実施形態は図2にのみ示す。
【0067】
図面は本発明の例示に供されるにすぎず、本発明を限定する意図はない。
【0068】
図1はエステル交換塔K1を示している。エステル交換塔K1には、2つの出発原料ストリーム、即ち、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2とジアルキルカーボネートを含有するストリーム1とが供給される。芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2とジアルキルカーボネートを含有するストリーム1とは、反応領域RZの向流エステル化領域内に向流状態で案内されることによって、反応してアルキルアリールカーボネートおよび少量のジアリールカーボネートを形成する。
【0069】
特に連続処理の場合、ジアルキルカーボネートを含有するストリーム1は、ジアルキルカーボネートに加えて、芳香族ヒドロキシ化合物、反応で得られた脂肪族ヒドロキシ化合物R−OHおよび/またはR−OH(反応アルコール)、エステル交換で得られた微量のアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネート、および反応により形成された不所望の副成分も部分的に含んで成る。ジアルキルカーボネートを含有するストリーム1は、例えば、0〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%および特に好ましくは0.05〜2重量%の反応アルコール、0〜40重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%の芳香族ヒドロキシ化合物、0〜5重量%のアルキルアリールカーボネート、0〜5重量%のジアリールカーボネートおよび0〜5重量%の反応で形成された他の副化合物(例えば、アルキルアリールエーテル)または出発原料中に既に含まれていた不純物を含んで成るものであってよい(いずれも、ジアルキルカーボネート含有ストリームの全重量を基準とする)。好ましくは、ジアルキルカーボネートを含有するストリーム1は、ジアルキルカーボネート含有ストリームの全重量基準で50〜100重量%のジアルキルカーボネートを有して成る(上記個々の成分を含めた合計は100重量%となる)。特に連続処理の場合、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2は、芳香族ヒドロキシ化合物に加えて、ジアルキルカーボネート、エステル交換で形成されたアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネート、微量の反応アルコールおよび反応で得られた不所望の副生成物も部分的に含んで成る。例えば、ジアルキルカーボネートの含有量は0〜50重量%、反応アルコールの含有量は0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、アルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートの含有量は各々0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、および不所望の副生成物の含有量は0〜5重量%、好ましくは0〜1重量%であってよい(いずれも、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリームの全重量を基準とする)。触媒を、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2と共にエステル交換塔へと付加的に供してもよい。かかる場合、触媒含有量は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリームの全重量基準で0〜5重量%であることが好ましい。芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2は、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリームの全重量基準で50〜100重量%の芳香族ヒドロキシ化合物を含有している(上記個々の成分を含めた合計は100重量%となる)。
【0070】
塔K1に導入するに先立って、ジアルキルカーボネートを含有するストリーム1は、蒸発させ、場合によっては過熱状態にする。また、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム2は、塔K1に導入するに先立って加熱する。出発原料ストリーム7および8は、それぞれ蒸発および場合によっては過熱させた後ならびに加熱の後に、互いに向流状態となるように反応領域RZへと案内される。換言すれば、芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム7は加熱された液体の形態で反応領域RZの上端側に供給される一方、ジアルキルカーボネートを含有するストリーム8は蒸気の形態または場合によっては僅かに過熱された形態で反応領域の下端側(底側)に供給される。反応で得られた脂肪族ヒドロキシ化合物R−OHおよび/またはR−OHは、気体の形態(13)で塔頂から未反応ジアルキルカーボネートと共に取り除かれる。容易に揮発しないアルキルアリールカーボネートは、塔K1の塔底(5)から、未反応の芳香族ヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネートおよび場合によっては更に「容易に揮発しない化合物」と共に、液体ストリームの形態で除去される。所望の温度プロファイルを得るのに必要なエネルギーは、1以上のエバポレーターEによって、特に塔のサンプにて得ることができる。そのために、ストリッピング部から流れてくる液体混合物(15)、あるいは、ストリッピング部が存在しない場合には反応領域から流れてくる液体混合物(15)が部分的に蒸発に付されることになる。エバポレーターの構造に左右されるが、蒸気のみまたは蒸気−液体混合物(ストリーム16)がエバポレーターの出口側で得られる。ストリーム16に含まれる蒸気はストリッピング部(AT)へと下方から供給される。あるいは、ストリッピング部が存在しない場合には、ストリーム16に含まれる蒸気は反応領域へと下方から供給される。更なる中間エバポレーターE−Eによって反応領域へと熱を供給してもよい。反応領域RZとエバポレーターEとの間に設けられたストリッピング部ATでは、得られたアルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートの濃縮が行われる。尚、かかる塔K1のストリッピング部ATでは、ジアルキルカーボネートの消費に起因して、アルキルアリールカーボネートのジアリールカーボネートへの不均化反応が既に開始されており、ある程度促進された状態となっている。
【0071】
反応により形成された脂肪族ヒドロキシ化合物の濃縮および過剰のジアルキルカーボネートの濃縮は、コンデンサーC1と反応領域RZとの間に設けられた濃縮部で行われる。かかる濃縮時において、蒸留物4中の芳香族ヒドロキシ化合物の含有量は、0〜40重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%となる(蒸留物4の全重量基準)。濃縮部は少なくとも2つのセクションに分けられている。即ち、濃縮部は、中間コンデンサーCを間に挟んで上方濃縮部VTと下方濃縮部VTとに分けられている。中間コンデンサーCでは、下方濃縮部VTから上がってきた蒸気10の一部が凝縮される。中間コンデンサーCに供される蒸気混合物10は、好ましくは、10〜70重量%の芳香族ヒドロキシ化合物を含有する。中間コンデンサーCでの凝縮温度は、芳香族ヒドロキシ化合物が比較的大量であることに起因して、塔頂コンデンサーC1での凝縮温度よりも相当に高くなっている。濃縮プロファイルの操作圧力および位置に依存するが、中間コンデンサーでの凝縮温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、更に好ましくは150〜240℃の範囲であり、また、塔頂コンデンサーでの凝縮温度は、好ましくは0〜250℃、より好ましくは40〜200℃の範囲である。中間凝縮Cで形成された凝縮物12およびその上の上方濃縮部VTから流れてくる液体11は、下方濃縮部VTへと案内される。中間コンデンサーの下流側の蒸気混合物は上方濃縮部VTを通過することになる。上方濃縮部VTから流れてくる蒸気13は、コンデンサーC1でできる限り凝縮され、凝縮物の一部が還流(14)として上方濃縮部VTへと戻されたり、凝縮物の一部が蒸留物ストリーム4として除去されたりする。蒸留物ストリーム4は、実質的に過剰に使用されたジアルキルカーボネートおよび反応に起因して形成された対応する脂肪族ヒドロキシ化合物R−OHおよび/またはR−OH、および場合によっては更に少量の芳香族ヒドロキシ化合物を含有している。コンデンサーC1から得られる残留蒸気混合物は蒸気ストリーム3として除去する。
【0072】
中間コンデンサーCで放出される凝縮熱は、本発明の方法に用いるために、上述したように直接的または間接的に本発明の方法のプロセスへと戻すことができる(図1に図示せず)。
【0073】
図2は本発明の方法の特に好ましい実施形態を示している。図2に示す実施態様では、中間コンデンサーが塔の外側に別個に構成されており、中間コンデンサーCにおいてストリーム10の凝縮で得られた凝縮熱が、「エステル化塔K1の向流状態のエステル化に使用されることになるジアルキルカーボネート含有ストリーム1の蒸発」に使用される。それゆえ、ジアルキルカーボネート含有ストリーム1は蒸発ユニットCへと供給されることによって、ジアルキルカーボネート含有ストリーム1を全体的または部分的に蒸発させ、場合によっては過熱状態に付す。下方濃縮部VTの蒸気混合物10は中間コンデンサーCへと供給され、部分的に凝縮に付される。これにより形成された凝縮物12は下側濃縮器VTへと再度戻す一方、凝縮しなかった蒸気は上方濃縮部VTへ供給する。その他の点では、図2に示す方法は図1に示す方法に相当している。従って、図1で行った説明が同様に適用される。
【0074】
更に、図3は本発明の方法の特に好ましい実施形態を示している。図3に示す態様では、中間コンデンサーCおよび上方濃縮部VTがエステル交換塔K1に一体化されておらず、塔K1の外側に別個に構成されている。下方濃縮部VTから流れてくる蒸気混合物10は中間コンデンサーCへと供給し、そこで部分的に凝縮させる。中間コンデンサーCにて残留した蒸気は、別個の塔K2に収容されている上方濃縮部VTへと供給する。上方濃縮部VTから流れてくる液体11は、中間コンデンサーCで得られる凝縮物12と共に、下方濃縮部へと供給する(12a)。上方濃縮部VTから流れてくる蒸気13は、できる限り凝縮させ、得られた凝縮物の一部を上方濃縮部VTへと還流(14)として戻し、別の一部を蒸留物ストリーム4として除去する。蒸留物ストリーム4は、実質的には、過剰に使用されたジアルキルカーボネートおよび反応で形成された対応する脂肪族ヒドロキシ化合物R−OHおよび/またはR−OH、ならびに場合によっては少量の芳香族ヒドロキシ化合物を含んで成る。コンデンサーC1から得られる残留蒸気混合物は、蒸気ストリーム3として除去する。その他の点では、図3に示す方法は図1に示す方法に相当している。従って、図1で行った説明が同様に適用される。
【0075】
本発明の方法にとって好適な「少なくとも1つの中間コンデンサーを有して成るエステル交換塔」については、これまでにどの文献にも記載されていない。それゆえ、本発明では、ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートが調製されるように、少なくとも1つのエステル交換触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させるための塔が更に提供される。
かかる本発明の塔は、
・ジアルキルカーボネート用の少なくとも1つの入口および芳香族ヒドロキシ化合物用の少なくとも1つの入口、
・塔の上方部分に設けられたガス状塔頂生成物用の少なくとも1つの出口、および、塔の下方部分に設けられた液状サンプ生成物用の少なくとも1つの出口、
・塔の上方部分に設けられた少なくとも1つの濃縮部(濃縮部は少なくとも2つのセクションを有する)および濃縮部の下方に設けられた少なくとも1つの反応領域
を有して成り、
少なくとも1つの濃縮部には少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられている。
【0076】
好ましくは、本発明のエステル交換塔は、反応領域にて400〜20000mmの直径DRZを有している(かかる反応領域は5000〜60000mmの長さLRZを有している)。また、本発明のエステル交換塔は、反応領域にて5〜50個と複数の理論段数nRZを有していることが好ましい。
【0077】
更に、反応領域は、複数の中間ヒータnを有していてもよい。理論段数nRZに対する「反応領域における中間ヒータnの数」の割合(比)は0〜2であることが好ましい。
【0078】
本発明のエステル交換塔は、場合によって設けられるストリッピング部の領域において、100〜20000mmの直径DATを有し、かかるストリッピング部が100〜20000mmの長さLATを有していることが好ましい。また好ましくは、本発明のエステル交換塔は、ストリッピング部にて、0〜20個の複数の理論段数nATを有している。
【0079】
本発明のエステル交換塔の濃縮部は200〜10000mmの直径DVTを有していることが好ましい。上方濃縮部、下方濃縮部および中間コンデンサー(設けられる場合)を含んだ濃縮部の全領域は、100〜30000mm、好ましくは500〜30000mmの長さLVTを有している。また、濃縮部は、全部で2〜20の理論段nVTを有していることが好ましい。
【0080】
好ましい実施形態では、本発明のエステル交換塔の下方濃縮部は、200〜10000mmの直径DVT1および200〜10000mmの長さLVT1を有している。また、好ましい実施形態では、本発明のエステル交換塔の上方濃縮部は、200〜10000mmの直径DVT2および200〜10000mmの長さLVT2を有している。反応領域における塔直径に対する下方濃縮部の直径の割合DVT1:DRZは0.3〜1であることが好ましい。反応領域における塔直径に対する上方濃縮部の直径の割合DVT2:DRZは0.1〜1であることが好ましい。
【0081】
更に好ましい実施形態では、本発明のエステル交換塔の中間コンデンサーは、100〜10000mmの長さLC2を有し、反応領域における塔直径に対する中間コンデンサーの直径の割合DC2:DRZは好ましくは0.1〜1である。また、中間コンデンサーは1〜5000mの伝熱面積AC2を有していることが好ましい。
【0082】
中間コンデンサーは、エステル交換塔に一体化させてもよいし、あるいは、エステル交換塔の外側にて別個の中間コンデンサー(中間凝縮器)の形態を成していてもよい。更には、中間コンデンサーおよび濃縮部の上側部分が、エステル交換塔に一体化しておらず、エステル交換塔の外側にて別個に設けてもよい。本発明では、中間コンデンサーは種々の構成・構造を有していてよく、例えば、プレート式熱交換器またはチューブ式熱交換器であってよい(かかる構成・構造は当業者には既知である)。
【0083】
上述した「本発明のエステル交換塔の寸法および特徴的データ」は、好ましくは、100kg/hよりも多い生成量について当てはまる(尚、ここでいう「生成量」とは、サンプ生成物に含まれているアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートの総量を意味するものと必要に応じて理解される)。当業者にとってみれば、上述の寸法をより少量の生成物用に変換する方法が分かるものである。従って、本発明では、かかる変換に起因して得られるエステル交換塔も提供される。
【0084】
本発明の方法において第1のエステル交換塔について上述した好ましい範囲は、本発明の塔に対して適用される。
【0085】
本発明の塔の特に好ましい実施形態の例は図1〜3に示している。
【0086】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明を限定する意図はない。
【実施例】
【0087】
実施例1(本発明の例)
−4個の理論段を有する上方濃縮部(VT)、
−中間コンデンサー(C)、
−4個の理論段を有する下方濃縮部(VT)、
−30個の反応プレート(滞留量:12l)を有する反応領域(RZ)(3個の反応プレートは加熱要素を備えている)、および
−6個のプレート(滞留量:12l)を有するストリッピング部AT
を含むエステル交換塔において、
85.4重量%のフェノール、9.2重量%のジメチルカーボネート、3.2重量%のジフェニルカーボネート、1.5重量%のチタンテトラフェノレート、0.3重量%のアニソール、0.3重量%のメチルフェニルカーボネートおよび0.1重量%のメタノールの混合物を400kg/hで反応領域の上端に計量供給する。反応領域の底端では、98.8重量%のジメチルカーボネート、0.9重量%のフェノール、0.2重量%のアニソールおよび0.1重量%のメタノールの蒸気混合物を5℃過熱して539.6kg/hで供給する。
【0088】
51重量%のフェノール、27.3重量%のMPC(124.7kg/h)、11.9重量%のDPC(54.3kg/h)、8.1重量%のDMC、0.4重量%のアニソールおよび1.3重量%のチタンテトラフェノレートからなる生成物の混合物456.9kg/hが塔のサンプにて得られる。
【0089】
エステル交換塔は、3.6barの上部圧力(VTの上)および1.15の還流比で運転される。塔のサンプでは温度を230℃とし、反応領域では平均反応温度を215℃とする。反応領域のサンプ用エバポレーターEおよび中間エバポレーターE−Eは熱蒸気を用いて35barの蒸気圧力で運転させ、自然に再循環するエバポレーターをサンプ用エバポレーターEとして使用し、反応プレートに一体化されたダンピングレジスタを中間エバポレーターとして使用する。中間コンデンサーへの入口の温度は205℃であり、出口温度は193℃であり、冷却キャパシティは57kwである。中間コンデンサーで得られた凝縮熱を用いて、8barの熱蒸気圧力を有する熱蒸気(露点:170.4℃)を生成することができる。ジメチルカーボネート含有ストリームの蒸発に必要な加熱キャパシティは52kWである。ジメチルカーボネートの蒸発および過熱は135〜152℃の温度で行われ、この目的のために中間コンデンサーで使用された蒸気を容易に使用することができる。
【0090】
中間コンデンサーCの使用およびこれにより生成された廃熱の使用がなければ、エバポレーターEおよびE−Eの加熱キャパシティを含め、ジメチルカーボネート含有ストリームの蒸発に必要なエステル交換のエネルギー消費量は183kWである。中間コンデンサーを使用することによって、52kW、すなわち28%の加熱キャパシティに関する節約が可能である。さらに、中間コンデンサーでは57kWの熱を移送することを考慮すれば、過剰の蒸気(5kW)をさらに生成させ、任意にこれを別の方面に使用することができる。上部コンデンサー(C1)での凝縮熱は126kWであり、137〜115℃の温度範囲で行われる。中間コンデンサーの使用がなければ、これは約183kWである。したがって、冷却キャパシティは中間コンデンサーを使用することによって著しく低減され、すなわち31%低減される。
【0091】
実施例2(本発明の例)
−6個の理論段を有する上方濃縮部(VT)、
−中間コンデンサー(C)、
−6個の理論段を有する下方濃縮部(VT)、
−35個の反応プレート(滞留量:12l)を有する反応領域(RZ)(中間エバポレーターを有していない)、および
−9個のプレート(滞留量:12l)を有するストリッピング部(AT)
を含む塔において、
94.46重量%のフェノール、1.41重量%のジメチルカーボネート、2.75重量%のジフェニルカーボネート、1.3重量%のチタンテトラフェノレート、0.01重量%のアニソール、0.02重量%のメチルフェニルカーボネートおよび0.05重量%のメタノールの混合物を473.2kg/hで反応領域の上端に計量供給する。反応領域の底端では、98.3重量%のジメチルカーボネート、1.5重量%のフェノール、0.1重量%のアニソールおよび0.1重量%のメタノールからなる蒸気混合物を20℃過熱して477.4kg/hで供給する。
【0092】
69.18重量%のフェノール、6.32重量%のMPC(30.9kg/h)、23.03重量%のDPC(112.7kg/h)、0.2重量%のDMC、0.01重量%のアニソールおよび1.26重量%のチタンテトラフェノレートからなる生成物の混合物489.2kg/hが塔のサンプに得られる。
【0093】
エステル交換塔は2barの上部圧力(VTの上)および1.15の還流比で操作する。蒸留物中のフェノール含有量は2重量%であった。塔のサンプでは温度を227℃とし、反応領域では平均反応温度を200℃とする。サンプ用エバポレーターEを熱蒸気を用いて35barの蒸気圧力で操作し、自然に再循環するエバポレーターをサンプ用エバポレーターEとして使用する。
【0094】
中間コンデンサーへの入口の温度は190℃であり、出口温度は183℃であり、冷却キャパシティは46kwである。中間コンデンサーで形成された凝縮熱を用いて、8barの熱蒸気圧力を有する熱蒸気(露点:170.4℃)を生成することができる。ジメチルカーボネートの蒸発および過熱は122〜153℃の温度で行われ、この目的のために中間コンデンサーで使用された蒸気を容易に使用することができる。ジメチルカーボネート含有ストリームの蒸発に必要な加熱キャパシティは46kWである。
【0095】
中間コンデンサーCの使用およびこれにより生成された廃熱の使用がなければ、エバポレーターEおよびE−Eの加熱キャパシティを含め、ジメチルカーボネート含有ストリームの蒸発に必要なエステル交換のエネルギー消費量は190kWである。中間コンデンサーを使用することによって、46kW、すなわち24%の加熱キャパシティに関する節約が可能である。上部コンデンサー(C1)での凝縮熱は144kWであり、137〜115℃の温度範囲で行われる。中間コンデンサーの使用がなければ、これは約190kWである(比較例3参照)。したがって、冷却キャパシティは中間コンデンサーを使用することによって、著しく低減され、すなわち24%低減される。
【0096】
比較例3
中間コンデンサーがないことを除けば実施例2と同じ条件下でエステル交換塔を運転した。蒸留物中のフェノール含有量2重量%を達成するために、還流比は2にまで上げねばならなかった。
【0097】
上部コンデンサーC1の冷却キャパシティは190kWであり、エバポレーターの冷却キャパシティは144kWであった。上部コンデンサーC1での凝縮は125〜97℃で行った。
上部コンデンサーでの凝縮が比較的低温レベルであるために、生じる凝縮熱はもはや多くのプロセスで使用することはできず、したがって、冷却水や空冷によって最終的に消失させねばならない。
【0098】
従って、本発明によれば、中間コンデンサーを有する構造によって、上部コンデンサーよりも高温レベルのエネルギーを塔内の材料ストリームから除去し、そのエネルギーを塔に供給されるストリームの蒸発に使用することができる。加えて多量のエネルギーの節約につながる。
【0099】
上記で触れた全での文献は、全ての有用な目的のためにその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0100】
本発明を具体化したある特定の構造を示して説明したものの、種々の変更および部品の再配列を本質的な本発明の概念および範囲から逸脱することなく行ってもよく、明細書で説明した特定の形態に限定されないことは当業者にとって明らかであろう。
【関連出願の相互参照】
【0101】
本願は2007年5月25日に出願されたドイツ特許出願第10 2007 024574号の利益を主張する。ドイツ特許出願第10 2007 024574号公報およびそこに示されている文献は、全て有用な目的のために、その全体を参照することによって本願明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、一般的に、中間コンデンサーを備えたエステル交換塔を用いて行う反応精留を示している。
【図2】図2は、中間コンデンサーが外部に設けられ、得られた凝縮熱を戻すためにジアルキルカーボネートの蒸発と組み合わせた態様を有する反応精留を示している。
【図3】図3は、中間コンデンサーが外部に設けられ、上方濃縮部が別個の塔にて外部に設けられた態様を有する反応精留を示している。
【符号の説明】
【0103】
K1 エステル交換塔
K2 別個にされた濃縮部を備えた塔
C1 コンデンサー
中間コンデンサー
VT 下方濃縮部
VT 上方濃縮部
RZ 反応領域
AT ストリッピング部
サンプ生成物用のエバポレーター
−E 反応領域の中間エバポレーター

図1〜3で示されているストリーム:
1 ジアルキルカーボネートを含有するストリーム(液体)
2 芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム
3 コンデンサーC1での凝縮後の残留蒸気混合物
4 コンデンサーC1での凝縮後のエステル交換塔の蒸留物
5 サンプ用エバポレーターEでの濃縮後に得られるエステル交換塔のサンプ生成物
6 加熱後の芳香族ヒドロキシ化合物を含有するストリーム
7 蒸発(場合によっては更に過熱)後のジアルキルカーボネートを含有するストリーム
8 中間コンデンサーCの下流の蒸気混合物
9 中間コンデンサーCへの蒸気混合物
10 上方濃縮部VTを出た液体
11 中間コンデンサーCの凝縮物
12 コンデンサーC1への蒸気混合物
12a 下方濃縮部VTへの液体
13 上方濃縮部VTへの戻り
14 ストリッピング部ATからの液体混合物の流れ
15 エバポレーターEの出口での蒸気/液体混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのジアルキルカーボネートおよび少なくとも1つの芳香族ヒドロキシ化合物から少なくとも1つのジアリールカーボネートもしくはアルキルアリールカーボネートまたはその混合物を調製する方法であって、
(a)少なくとも1つのエステル交換塔において、少なくとも1つのエステル交換触媒の存在下にてジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させること、ならびに、
(b)エステル交換塔の塔頂から蒸気を除去して、少なくとも1つのコンデンサーにて全体的または部分的に凝縮させること
を含んで成り、
エステル交換塔は、その上方部分に少なくとも1つの濃縮部(少なくとも2つのセクションを有している)および前記濃縮部の下方に少なくとも1つの反応領域を有して成り、
エステル交換塔の少なくとも1つの濃縮部には少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられ、かかる中間コンデンサーで凝縮に起因して得られる凝縮熱が直接的または間接的に前記方法に戻される、方法。
【請求項2】
エステル交換塔が、反応領域の下方に少なくとも1つのストリッピング部を有して成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エステル交換塔の塔頂から除去された蒸気を凝縮することで得られた凝縮物の一部を還流としてエステル交換塔に戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
得られた凝縮熱の全部または一部を、エステル交換塔に導入されるジアルキルカーボネートを蒸発させるのに直接的または間接的に用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
中間コンデンサーが、エステル交換塔と一体化している又はエステル交換塔の外側にて別個の中間コンデンサーの形態を成している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられているエステル交換塔の濃縮部が、中間コンデンサーの下方に設けられている下方濃縮部と、中間コンデンサーの上方に設けられている上方濃縮部とに分けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
中間コンデンサーおよび上方濃縮部が、エステル交換塔と一体化している又はエステル交換塔の外側にて別個のデバイスの形態を成している、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応領域の温度が100〜300℃の範囲であって、反応領域の圧力が0.5〜20barの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
反応領域の温度が120〜250℃の範囲であって、反応領域の圧力が0.8〜15barの範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
反応領域の温度が150〜240℃の範囲であって、反応領域の圧力が0.9〜10barの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ジアリールカーボネートが一般式(I)

で表され、式中、R、R’およびR”は互いに独立して、Hであるか、あるいは、直鎖、分岐または場合によっては置換のC〜C34−アルキル、C〜C34−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリール、C〜C34−アリールまたはハロゲン基であり、一般式(I)の末端のR、R’およびR”は同じであっても異なっていてもよく、更には、Rは、−COO−R'''であってもよく(R'''はHであるか、あるいは、場合によっては分岐のC〜C34−アルキル、C〜C34−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリールまたはC〜C34−アリールであってよい)、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
R、R’およびR”がHである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートであって、ジアルキルカーボネートがジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートであって、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ジアリールカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートが調製されるように、少なくとも1つのエステル交換触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させるための塔であって、
・ジアルキルカーボネート用の少なくとも1つの入口および芳香族ヒドロキシ化合物用の少なくとも1つの入口、
・塔の上方部分に設けられたガス状塔頂生成物用の少なくとも1つの出口、および、塔の下方部分に設けられた液状サンプ生成物用の少なくとも1つの出口、
・塔の上方部分に設けられた少なくとも1つの濃縮部(少なくとも2つのセクションを有している)および濃縮部の下方に設けられた少なくとも1つの反応領域
を有して成り、
少なくとも1つの濃縮部には少なくとも1つの中間コンデンサーが備えられている、塔。
【請求項15】
塔が、反応領域の下方に少なくとも1つのストリッピング部を有している、請求項14に記載の塔。
【請求項16】
少なくとも1つの中間コンデンサーを備えた濃縮部が、中間コンデンサーの下方に設けられている下方濃縮部と、中間コンデンサーの上方に設けられている上方濃縮部とに分けられている、請求項14に記載の塔。
【請求項17】
中間コンデンサーおよび必要に応じて設けられる上方濃縮部が塔と一体化している又は塔の外側にて別個のデバイスの形態を成している、請求項14に記載の塔。
【請求項18】
エステル交換塔の反応領域が3〜50の理論段を有する、請求項14に記載の塔。
【請求項19】
エステル交換塔の反応領域が10〜40の理論段を有する、請求項14に記載の塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−51814(P2009−51814A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−135361(P2008−135361)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】