説明

ジェルディスペンサーにて使用する方法及び組成物

【課題】ディスペンサーからの水性アルコールジェル組成物の誤った方向へのアウトプットを低減する方法、及び凝固したジェル堆積物の形成を低減する方法及び分配可能な水性アルコールジェル組成物を提供する。
【解決手段】C1-4アルコール、有効量のポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を合わせて、分配可能なジェル組成物を形成する工程であって、ここで、前記詰り防止添加剤が、C6-10アルカンジオールを含んでなり、前記組成物は、前記アルコール少なくとも約30質量%を含んでなるものである工程;及び分配可能なジェルを、吐出口を含み、定期的に作動されるポンプタイプのディスペンサーに格納する工程であって、ここで、誤った方向へのアウトプットの頻度が、詰り防止添加剤を含まない分配可能なゲルと比較して低減されている工程を含んでなる、誤った方向へのアウトプットの頻度の低減法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許仮出願第61/187,041号(2009年6月15日出願)の優先権を主張するものであり、その記載のすべてを参照することにより本明細書に含める。
【0002】
本発明の1以上の具体例は、ディスペンサーからの水性アルコールジェルの誤った方向へのアウトプットの頻度を低減する方法を提供する。凝固したジェル堆積物の形成を低減する方法及び分配可能な(dispensable)水性アルコールジェル組成物も提供される。
【背景技術】
【0003】
パーソナルケア及び消毒組成物は、しばしば、水性アルコールジェルとして製剤化される。これらの製品は、高頻度で、ディスペンサーに収容される。ディスペンサーの吐出口(ノズル等)は、時間の経過と共に、ジェルの凝固により、ノズルにおいて堆積物が形成されるため、詰まり又は部分的な閉塞を生ずるようになる。ノズルの詰まりのため、ディスペンサーを次に使用する際には、誤った方向へ製品がアウトプットされようになる。使用者の手に直接製品を分配する代わりに、製品は、詰まったノズルから斜め方向へアウトプットされる。誤った方向へアウトプットされた製品は、壁、衣服、床等に当たり、これらの物品又は区域を汚す原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ディスペンサーノズルの詰まりの発生が低減された水性アルコールジェル組成物についての要求が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1以上の具体例は、ジェルディスペンサーからの誤った方向へのアウトプットの頻度を低減する方法を提供するものであり、該方法は、C1-6アルコール、有効量のポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を合わせて、分配可能なジェル組成物を形成し(ここで、前記詰り防止添加剤がC6-10アルカンジオールを含んでなり、前記組成物は、分配可能なジェル組成物の総質量基準で、前記アルコール少なくとも約30質量%を含んでなるものである)、及び分配可能なジェルを、吐出口を含み及び定期的に作動されるポンプタイプのディスペンサーに格納することを含んでなり、誤った方向へのアウトプットの頻度が、詰り防止添加剤を含まない分配可能なジェルと比較して低減されていることを特徴とする。
【0006】
1以上の具体例において、本発明は、凝固ジェル堆積物の形成を低減する方法を提供するものであり、該方法は、C1-6アルコール、有効量のポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を合わせて、分配可能なジェル組成物を形成する工程であって、ここで、前記詰り防止添加剤がC6-10アルカンジオールを含んでなり、前記組成物は、分配可能なゲル組成物の総質量基準で、前記アルコール少なくとも約30質量%を含んでなるものである工程、及び分配可能なジェルを、定期的に作動されるポンプタイプのディスペンサーに格納する工程を含んでなり、凝固ジェル堆積物の形成の頻度が、詰り防止添加剤を含まない分配可能なゲルと比較して低減されていることを特徴とする。
【0007】
1以上の具体例において、本発明は、ジェル組成物を提供するものであり、該ジェル組成物は、ジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約30質量%のC1-6アルコール;有効量のポリアクリレート増粘剤;及びC6-10アルカンジオールを含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1以上の具体例では、本発明の分配可能な水性アルコールジェル組成物は、水性アルコールキャリヤー、ポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を含む。1以上の具体例では、水性アルコールキャリヤーは水及びアルコールを含む。
【0009】
1具体例では、アルコールは、低級アルカノール、すなわち、炭素数1−6、他の具体例では、炭素数1−4のアルコールである。代表的には、これらのアルコールは抗菌特性を有する。低級アルカノールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3級ブタノール、及びそれらの混合物があるが、これらに限定されない。1具体例では、アルコールはエタノールを含んでなる。
【0010】
一般に、水性アルコールジェル組成物は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約30質量%の量のアルコールを含んでなる。1具体例では、水性アルコールゲル組成物は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約35質量%の量のアルコールを含んでなり、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、少なくとも約40質量%の量のアルコールを含んでなり、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、少なくとも約50質量%の量のアルコールを含んでなり、他の具体例では、水性アルコールゲル組成物は、少なくとも約60質量%の量のアルコールを含んでなり、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、少なくとも約65質量%の量のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、少なくとも約70質量%の量のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、少なくとも約78質量%の量のアルコールを含んでなる。特定のケースでは、特に、組成物において使用される他の成分及び/又はその量に応じて、多少のアルコールが要求される。特定の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約50−約98質量%の量のアルコールを含んでなり、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、約60−約95質量%の量のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、約65−約90質量%の量のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、約70−約85質量%の量のアルコールを含んでなる。
【0011】
1以上の具体例では、詰り防止剤は、1以上のC6-10アルカンジオール、すなわち、炭素鎖長6−10を有するジオールを含んでなる。1以上の具体例では、ジオールは直鎖ジオールを含んでなる。1以上の具体例では、ジオールとしては、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、又はその混合物がある。1,2-オクタンジオールは、しばしば、カプリリルグリコールと称される。1以上の具体例では、ジオールは、1以上のC6-8ジオール、すなわち、炭素鎖長6−8を有するジオールを含んでなる。
【0012】
1具体例では、ジオールの有効量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.05質量%であり、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.1質量%、さらに他の具体例では、少なくとも約0.15質量%である。
【0013】
一般に、ジオールの有効量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.05−約4質量%である。1具体例では、ジオールは、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の量で存在し、ジオールは、他の具体例では、約0.15−約0.7質量%、さらに他の具体例では、約0.2−約0.6質量%、さらに他の具体例では、約0.25−約0.5質量%の量で存在する。必要により、より多い量のジオールを使用することも可能であり、少なくとも同等の能力を発揮するものと予測されることが理解されるであろう。
【0014】
1具体例では、ジオール詰り防止添加剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約4質量%以下の量で存在する。他の具体例では、ジオール詰り防止添加剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約1質量%以下の量で存在し、さらに他の具体例では、ジオール詰り防止添加剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.7質量%以下の量で存在し、さらに他の具体例では、ジオール詰り防止添加剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.5質量%以下の量で存在する。
【0015】
特定の具体例では、ジオールは、溶液又はエマルジョンとして、水性アルコールジェル組成物に添加される。換言すれば、ジオールは、溶液又はエマルジョンを形成すように、予めキャリヤーと混合されてもよいが、ただし、キャリヤーは組成物の消毒性に有害な影響を及ぼすものであってはならない。キャリヤーの例としては、水、アルコール、グリコール(例えば、プロピレン又はエチレングリコール)、ケトン、直鎖状及び/又は環状炭化水素、トリグリセリド、カーボネート、シリコーン、アルケン、エステル(例えば、酢酸エステル、安息香酸エステル、脂肪酸エステル、グリセリルエステル)、エーテル、アミド、ポリエチレングリコール及びPEG/PPGコポリマー、無機塩溶液(例えば、食塩水)、及びその混合物がある。ジオールを予め混合してジオール溶液又はエマルジョンを形成する場合、水性アルコールジェル組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、ジオールの量が上述の範囲内に入るように選択されることが理解されるであろう。
【0016】
抗菌剤は、当分野において一般的に使用される及び/又は公知のもののようなポリアクリレート増粘剤によって増粘化される。ポリアクリレート増粘剤の例としては、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸及びアルキル(C5-C10)アクリレートのコポリマー、アクリル酸及び無水マレイン酸のコポリマー、及びそれらの混合物がある。
【0017】
1以上の具体例では、ポリマー増粘剤は、架橋剤約0.5−約4質量%を含む。架橋剤の例としてはポリアルケニルポリエーテルがある。
【0018】
市販のポリアクリレートタイプのポリマーとしては、商標名Carbopol(登録商標)、Acrysol(登録商標)ICS-1、Polygel(登録商標)、Sokalan(登録商標)、Carbopol(登録商標)1623、Carbopol 695、Ultrez 10、及びPolygel DBがある。
【0019】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、水性アルコールジェルの粘度を粘度範囲約1,000−約65,000センチポイズに調整するように適切な量のポリマー増粘剤を含む。1具体例では、水性アルコールジェルの粘度は約5,000−約35,000であり、他の具体例では、粘度は約10,000−約25,000である。なお、粘度は、RV及び/又はLVスピンドルを使用するBrookfield RV粘度計によって、22℃±3℃において測定したものである。
【0020】
当業者によって理解されるように、増粘剤の有効な量は、水性アルコールジェル組成物におけるアルコール及び他の成分の量を含む多くのファクターに応じて変動する。1以上具体例では、増粘剤の有効な量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.01質量%である。他の具体例では、有効な量は、少なくとも約0.02質量%であり、さらに他の具体例では、少なくとも約0.05質量%であり、さらに他の具体例では、少なくとも約0.1質量%である。1具体例では、増粘剤の有効な量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約0.5質量%であり、他の具体例では、少なくとも約0.75質量%である。1以上の具体例では、本発明による組成物は、組成物の総質量基準で、約10質量%以下のポリマー増粘剤を含んでなる。特定の具体例では、増粘剤の量は、水性アルコールジェルの総質量基準で、約0.01−約1質量%であり、他の具体例では、約0.02−約0.4質量%であり、さらに他の具体例では、約0.05−約0.3質量%である。1具体例では、増粘剤の量は、水性アルコールジェルの総質量基準で、約0.1−約10質量%であり、他の具体例では、約0.5−約5質量%であり、さらに他の具体例では、約0.75−約2質量%である。
【0021】
1以上の具体例では、水性アルコールジェルは、さらに、中和剤を含有できる。カルボマーポリマーの塩を形成するために中和剤を使用することは公知である。中和剤の例としては、アミン、アルカノールアミン、アルカノールアミド、無機塩基、アミノ酸(塩を含む)、エステル及びそのアシル誘導体がある。
【0022】
一般的な中和剤の例を、これらの中和剤の製造者、及びポリマー増粘剤が約76±4当量を有する場合に中和(pH7.0)を達成するために推奨された割合(ポリマー増粘剤1部当たり)と共に、表1に示す。
【表1】

【0023】
1以上の具体例において、中和剤は、ゲル化されるべきアルコールの量に基づいて選択される。表2は、水性アルコール系用の一般的に推奨される中和剤を示す。
【表2】

【0024】
上述したように、ジェル製品はディスペンサーにおいて提供される。ディスペンサーのタイプは制限されないが、持ち運び可能なポンプボトルを含む。ノズルのようなディスペンサーの吐出口は、時間の経過によって、ジェルが凝固して、ノズルにおいて堆積物が形成されるため、閉塞又は部分的に詰まるようになる。このように詰まったノズルは、ディスペンサーが次に使用される際に、製品を誤った方向にアウトプットする原因となる。有利なことには、C6-10アルカンジオールは水性アルコールジェル製品の有効な詰り防止剤であることが認められた。1以上の具体例では、C6-10アルカンジオール詰り防止添加剤を含有する抗菌性水性アルコールジェルは、詰り防止剤を含有しない水性アルコールジェルよりも、分配される際の製品の誤った方向へのアウトプットが少ない。1以上の具体例では、添加剤は、水性アルコールジェルが、固形又は半固形物質として凝固し、表面に堆積し又はディスペンサーノズルを詰まらせることを防止する。
【0025】
上述したように、本発明の水性アルコールジェル組成物は、増粘化された水性アルコールジェル及び詰り防止添加剤を含む。組成物は、さらに、広い範囲の任意成分を含有できるが、ただし、これらは、組成物の消毒効力、又はディスペンサーからの誤った方向へのアウトプットの頻度に有害な影響を及ぼすものであってはならない。消毒効力に関して、「有害な」とは、FDA TFMヘルスケアパーソナルハンドウォッシュテストによる対数減少の低減が最小ではない、すなわち、対数減少が、約0.5以上低減しないことを意味する。誤った方向に関して、「有害な」とは、任意の成分が、ディスペンサーからの誤った方向へのアウトプット頻度を約5%以上増大させないことを意味する。
【0026】
CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 11版、2005及び2004 CTFA International Buyer's Guide(いずれも、参照することにより本明細書に含める)には、スキンケア工業において一般的に使用される広範囲の非限定的な化粧品用又は医薬用成分が記載されており、これらは、本発明の組成物での使用に好適なものである。これらの参考文献の第537頁には、成分の機能的種類の非限定的な例が記載されている。これらの機能的種類の例としては、研磨剤、抗ニキビ剤、固化防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤;着色料、化粧用アストリンゼン、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用アストリンゼン、乳化剤、外用鎮痛剤、膜形成剤、芳香成分、保湿剤、乳白剤、可塑化剤、保存料(しばしば、抗菌剤と呼ばれる)、噴射剤、還元剤、皮膚漂白剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、保湿剤、及び水分蒸発防止剤(occlusive))、皮膚保護剤、溶媒、界面活性剤、気泡力増進剤、ヒドロトープ、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外線吸収剤、脱粘着剤、増粘剤(水性又は非水性)がある。ここで使用できる当業者によく知られている他の機能的種類の例としては、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、角質溶解剤、局所活性成分等がある。
【0027】
特定の具体例では、水性アルコールジェル組成物は1以上の保湿剤を含んでなる。保湿剤の例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,4-ジヒドロキシヘキサン、1,2,6-ヘキサントリオール、ソルビトール、ブチレングリコール、プロパンジオール(例えば、メチルプロパンジオール)、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ポリエチレンソルビトール、及びその組合せがある。他の保湿剤としては、グリコール酸、グリコール酸塩、乳酸塩、乳酸、ナトリウムピロリドンカルボン酸、ヒアルロン酸、キチン等がある。1具体例では、保湿剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約20質量%の量で存在する。他の具体例では、保湿剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約1−約8質量%の量で存在し、他の具体例では、約2−約3質量%の量で存在する。
【0028】
これらの又は他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、1以上のコンディショニング又は保湿用エステルを含んでなる。エステルの例としては、ミリスチン酸セチル、ミリストレイン酸セチル及び他のセチルエステル、セバシン酸ジイソプロピル及びミリスチン酸イソプロピルがある。1具体例では、エステルは、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、10質量%以下の量で存在する。他の具体例では、エステルは、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.5−約5質量%の量で存在し、他の具体例では、約1−約2質量%の量で存在する。
【0029】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物は1以上の乳化剤を含む。乳化剤の例としては、ステアリルアルコール、ソルビタンオレイン酸エステルトリデセス-2、ポロキサマー、及びPEG/PPG-20/6ジメチコーンがある。1具体例では、乳化剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、10質量%以下の量で存在する。他の具体例では、乳化剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約5質量%の量で存在し、他の具体例では、約0.5−約2質量%の量で存在する。
【0030】
1以上の具体例では、水性アルコールゲル組成物は1以上の増粘剤及び任意に1以上の安定剤を含む。増粘剤及び安定剤の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カロボキシメチルセルロース、及びアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマーがある。1具体例において、増粘剤又は安定剤がデンプン系である場合、増粘剤又は安定剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、10質量%以下の量で存在し、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約5質量%の量で存在し、さらに他の具体例では、約0.2−約1質量%の量で存在する。他の具体例において、増粘剤又は安定剤が合成ポリマーである場合、増粘剤又は安定剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、15質量%以下の量で存在し、他の具体例では、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約10質量%の量で存在し、さらに他の具体例では、約1−約2質量%の量で存在する。
【0031】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物は1以上の安定剤を含む。安定剤の例としては、PEG-40水素化ヒマシ油、ポリソルベート-80、PEG-80ソルビタンラウレート、セテアレス-20、オレス-20、PEG-4、及びプロピレングリコールがある。安定剤の量は、水性アルコールジェル組成物の消毒効力に有害な影響を及ぼさない限り、特に制限されない。
【0032】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、1以上の抗菌剤又は抗菌作用エンハンサーを含む。抗菌剤の例としては、ローズマリー酸、テトラヒドロクルクミノイド(tetrahydrocurcuminoid)、オレウロペン(oleuropen)、オレアノール酸、ルイボス(Aspalathus linearis)エキス、白茶、紅茶、緑茶エキス、ニーム油リモノイド、コリウスオイル、甘草エキス、ワレモコウ、ショウガ及び桂皮エキス、アルファグルカンオリゴサッカライド、ペリラ・オシモイデス(perilla ocymoides)の葉の粉末、樟脳、カメリア・オレイフェラ(Camellia oleifera)の葉のエキス、ショウガ、メントール、ユーカリ油、キャピリシル(capillisil hc)、ヒドロキシプロリシラン(hydroxyprolisilane)、サンドルウッズ(sandlewood)オイル/樹脂、キンセンカ(calendula)オイル、ローズマリーオイル、ライム/オレンジオイル、及びホップ酸のようなハーブが含まれる。使用する場合、抗菌剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の量で存在する。
【0033】
抗菌作用エンハンサーの例としては、プロトンドナー、カチオン性オリゴマー及びポリマー、カオトロピック剤、及び銅化合物及び亜鉛化合物がある。抗菌作用エンハンサーは、米国特許出願公開第2007/0184013号、第2007/0185216号及び第2009/0018213号に記載されており、いずれも、参照することによって本明細書に含める。
【0034】
特定の具体例では、水性アルコールジェル組成物は補助抗菌成分を含有しない。アルコール以外の何らかの抗菌成分は補助抗菌剤と呼ばれる。1具体例では、補助抗菌剤(保存料を含む)の量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満である。他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は補助抗菌剤を欠いている。
【0035】
他の具体例では、補助抗菌剤を含有できるが、ただし、抗菌成分は、組成物の消毒性に有害な影響を及ぼすものであってはならない。補助抗菌剤の例としては、トリクロサン(5-クロロ-2(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(PCMX)としても知られており、Ciba-Geigy社から、商標名IRGASAN(登録商標)として市販されている);クロロキシレノール(4-クロロ-3,5-キシレノールとしても知られており、Nipa Laboratories社から、商標名NIPACIDE(登録商用)MX又はPXとして市販されている);ヘキセチジン(5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルへキシル)-5-メチル-ヘキサヒドロピリミジンとしても知られている);クロロヘキシジングルコネート及びN,N''-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,14-テトラアザテトラデカンジイミジアミドの塩を含むクロロヘキシジン塩;2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1;3-ジオール塩化ベンザルコニウム;塩化セチルピリジニウム;塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム;ヨウ素;フェノール、ビスフェノール、ジフェニルエーテル、フェノール誘導体、ポリビニルピロリドン-ヨウ素を含むポビドン-ヨウ素;パラベン;ジメチロール5,5-ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン又はグリダントとしても知られている)と共に、2,4-イミダゾリンジオン及び2,4-イミダゾリンジオン誘導体を含むヒダントイン及びその誘導体;フェノキシエタノール;塩化1-(3-クロロアリル)-3,5,6-トリアザ-1-アゾニアアダマンタン(クオタニウム-15としても知られており、Dow Chemical社から商標名DOWCIL 2000として市販されている)のシス異性体;ジアゾリジニル尿素;塩化ベンゼトニウム;塩化メチルベンゼトニウム;グリセリルラウレート、銀、銅、マグネシウム、亜鉛化合物のような遷移金属化合物、過酸化水素、二酸化塩素、アニリド、ビスグアニジン、トロポロン及びその混合物がある(これらに限定されない)。使用する場合、補助抗菌剤は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の量で存在する。
【0036】
有利なことには、現在の消毒組成物にとって重要であるとされている特定の成分は、本発明の水性アルコールジェル組成物では制限される。例えば、亜鉛の有機塩、グルコン酸亜鉛、亜鉛ピリチオン、又はジンクピリチオンのような亜鉛化合物は必ずしも必要ではなく、必要であれば、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.5質量%未満、他の具体例では、約0.1質量%未満、又は他の具体例では、約0.05質量%未満に制限される。他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は亜鉛の有機塩を含まない。
【0037】
1以上の具体例では、酸の量が制限される。さらに詳しくは、1以上の具体例では、有機酸の量が制限される。1以上の具体例では、次の酸:すなわち、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及び酢酸の量が制限される。制限される場合、1以上の具体例では、酸の量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、0.125質量%未満、他の具体例では、約0.08質量%未満である。他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及び酢酸を含まない。
【0038】
1以上の具体例では、精油の量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、0.1質量%未満であり、他の具体例では、約0.05質量%未満である。他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は精油を含まない。さらに詳しくは、1具体例では、水性アルコールジェル組成物は、次の精油:すなわち、桂皮油、バジルオイル、ベルガモットオイル、クラリー・セージオイル、イランイランオイル、ネロリオイル、ビャクダンオイル、フランキセンスオイル、ジンジャーオイル、ペパーミントオイル、ラベンダーオイル、ジャスミンオイル、ゼラニウムブルボンオイル、スペアミントオイル、クローブオイル、パチョリオイル、ローズマリーオイル、ローズウッドオイル、ティーツリーオイル、バニラオイル、レモングラスオイル、ツェーデルオイル、バルサムオイル、タンジェリンオイル、ヒノキオイル、ヒバオイル、ギンナンオイル、ユーカリオイル、レモンオイル、オレンジオイル、スィートオレンジオイル、及びカレンデュラオイルを、0.1質量%未満、他の具体例では、0.05質量%未満の量で含有し、さらに他の具体例では、これら精油を含有しない。なお、前記の量は水性アルコールジェル組成物の総質量基準である。
【0039】
1以上の具体例では、精油の特殊な成分の量も制限される。さらに詳しくは、1具体例では、水性アルコールジェル組成物は、次の精油成分:すなわち、ファルネソール、ネノリドール、ビサボロール、アプリトーン、カマズレン、サンタロール、ジンギベロール、カロトール、及びカリオフィレン、クルクミン、1-シトロネロール、α-アミルシンナムアルデヒド、Lyral、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、オイゲノール、カンファー、ユーカリプトール、リナロール、シトラール、チモール、リモネン及びメントールを、0.1質量%未満、他の具体例では、0.05質量%未満の量で含有し、さらに他の具体例では、これら精油成分を含有しない。なお、前記の量は水性アルコールジェル組成物の総質量基準である。
【0040】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物は一般的な保存料を含まない。一般的な保存料としては、パラベン、安息香酸、ソルビタン酸カリウム、インドプロピニルブチルカルバメート、トロポロン、ジブロモジシアノブタン、1,2-ベンゾイソスチアゾリン-3-オン、及びフェノキシエタノールがある。1以上の具体例では、グリセリンの量は、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約20質量%未満、他の具体例では、約15質量%未満、さらに他の具体例では、約10質量%未満である。実際、粘性化された水性アルコールジェル及びジオール詰り防止添加剤以外の成分は必ずしも必要ではなく、約0.5質量%未満、必要であれば約0.1質量%未満、必要であれば約0.01質量%未満、又は必要であれば約0.001質量%未満に制限される。
【0041】
1以上の具体例では、水性アルコールゲル組成物の残余分は、水又は他の好適な溶媒である。1具体例では、蒸発プロセスをさらに助長するために、組成中に、1以上の揮発性のシリコーン系物質が含まれる。代表的な揮発性シリコーンは、アルコールよりも低い蒸発熱を有する。特定の具体例では、シリコーン系物質の使用により、流体組成物の表面張力が低減される。これにより、表面との接触がより大きくなる。1具体例では、シクロメチコーン、トリメチルシロキシシリケート又はその組み合わせのようなシリコーン系物質は、組成中に、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約4−約50質量%、他の具体例では、約5−約35質量%、さらに他の具体例では、約11−約25質量%の濃度で含まれる。1具体例では、水性アルコールジェル組成物は、アルコール、増粘剤、中和剤、ジオール詰り防止添加剤及び任意の水又は他の好適な溶媒以外の成分を含まない。
【0042】
分配可能な水性アルコールジェル組成物は、単に、成分を混合することによって調製される。添加の順序は特に制限されない。1以上の成分が固状粉末である1具体例では、水性アルコールジェル組成物は、固状粉末を水に分散させてジェルを形成し、緩やかに−温和に撹拌しながらアルコール添加し、ついで、所望の他の成分を添加し、及び混合物が均質となるまで撹拌することを含んでなる方法によって調製される。添加の順序は特に制限されない。他の具体例では、水性アルコールジェル組成物は、緩やかに−温和に撹拌しながら、ポリマー性増粘剤をアルコールに分散させ、水を添加し、ついで、詰り防止添加剤を添加し、及び混合物が均質となるまで混合することを含んでなる方法によって調製される。他の1具体例では、水性アルコールジェル組成物は、緩やかに−温和に撹拌しながら、ポリマー性増粘剤を水に分散させ、アルコール、詰り防止添加剤を添加し、及び混合物が均質となるまで混合することを含んでなる方法によって調製される。1以上の具体例では、増粘剤を中和し、ジェルを形成するために、混合物に中和剤を添加する。当業者であれば、任意成分を、混合プロセスの間の各種の時点で添加できることが理解できるであろう。また、増粘剤が水又はアルコールと混合される際に膨潤するものである場合には、中和剤を使用することなく、ジェルを形成できることも理解できるであろう。
【0043】
水性アルコールジェル組成物が液状である1具体例では、水性アルコールジェル組成物における固形分(%)は約6%未満、他の具体例では、約5%未満、さらに他の具体例では、約4%未満、さらに他の具体例では、約3%未満、さらに他の具体例では、約2%未満、さらに他の具体例では、約1%未満である。固形分は、当分野において公知の各種の方法によって測定される。
【0044】
1以上の具体例では、水性アルコールジェル組成物のpHは、約1.5−約10、他の具体例では、約4.5−約9.5、他の具体例では、約7−約8である。
【0045】
本発明の水性アルコールジェル組成物は、ジェル製品について一般的に使用される各種のタイプのディスペンサー、例えば、ポンプディスペンサーで使用される。各種のポンプディスペンサーが好適である。ポンプディスペンサーは、ボトル又は他の自立構造の容器に固着される。ポンプディスペンサーは、壁取り付け型ディスペンサーに組み込まれる。ポンプディスペンサーは、手又は足ポンプによって手動式で作動されるか、又は自動式で作動される。有用なディスペンサーとしては、一般的なバッグインボックスディスペンサーと共に、GOJO Industriesから名称NXT(登録商標)及びTFX(商標名)として市販のものがある。ディスペンサーの例は、米国特許第5,265,772号、同第5,944,227号、同第6,877,642号、同第7,028,861号、及び米国特許出願公開第2006/0243740号及び同第2006/0124662号に開示されており、いずれも、参照することにより、本明細書に含める。1以上の具体例において、ディスペンサーはノズルのような吐出口を含むものであり、吐出口を介して、水性アルコールジェル組成物が分配される。
【0046】
1以上の具体例では、本発明の水性アルコールジェル組成物は、ディスペンサーからの誤った方向へのアウトプットを生ずる散乱を防止する。水性アルコールジェルは、ジェルの有効な量がターゲットの表面に分配される可能性がより大きいため、より効果的である。無駄になる製品の量が少なく、使用者の満足度がより高い。
【0047】
1以上の具体例では、本発明の水性アルコールジェル組成物は、分配される際、詰り防止剤を含有しない一般的な水性アルコールジェル組成物よりも誤った方向にアウトプットされることが少ない。誤った方向へのアウトプットの頻度は、総ディスペンサー作動の百分率として測定される。各種の作動率において対比測定を行う。アウトプットのターゲットは、許容されるアウトプットと、誤った方向へのアウトプットとを区別するように作製される。1以上の具体例では、アウトプットターゲットはディスペンサーの使用者の手をシミュレートするものである。アウトプットターゲットは許容されるアウトプットの領域を区分する。
【0048】
1以上の具体例では、有効量の詰り防止添加剤を水性アルコールジェル組成物に添加する場合、誤った方向へのアウトプットの頻度が低減される。特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度50%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度30%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度20%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度15%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。
【0049】
特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度10%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度1%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度0.5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.1作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、実質的に、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となることはない。
【0050】
特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度40%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度30%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度20%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度15%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。
【0051】
特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度10%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度1%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度0.5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が0.5作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、実質的に、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となることはない。
【0052】
特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度40%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度30%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度20%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度15%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。
【0053】
特定の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度10%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。他の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度1%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、頻度0.5%未満で、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となる。1以上の具体例では、ディスペンサーの作動率が3作動/時間である場合、ディスペンサーからのアウトプットは、ディスペンサーノズルの真下約7.5cm(3インチ)において、実質的に、16.3 cm2(2.5インチ2)の区域外となることはない。
【0054】
1以上の具体例では、詰り防止添加剤の有効性は、誤った方向の頻度の減少率(%)として表される。すなわち、詰り防止添加剤を含有する水性アルコールジェル組成物を、詰り防止添加剤を含有しないコントロールと対比テストする。誤った方向の頻度を上述のように測定し、コントロールと対比して、詰り防止添加剤を含有する組成物について誤った方向の頻度の減少率(%)を算定する。より一般的には、誤った方向の頻度の減少率(%)を、各種の作動率及び各種のアウトプットターゲット区域について、全く詰り防止添加剤を含有せず、同じ条件下でテストしたコントロール組成物に対して算定する。1以上の具体例では、誤った方向の頻度における減少率(%)は少なくとも約50%である。他の具体例では、誤った方向の頻度における減少率(%)は少なくとも約60%、さらに他の具体例では、少なくとも約70%、さらに他の具体例では、少なくとも約80%である。1以上の具体例では、誤った方向の頻度における減少率(%)は、少なくとも約90%、さらに他の具体例では、少なくとも約95%、さらに他の具体例では、少なくとも約97%である。
【0055】
本発明の実施を示すために、以下の実施例を調製及びテストした。しかし、実施例は本発明の精神を制限するものではない。特許請求の範囲が発明を限定するものである。
【実施例】
【0056】
実施例1及び2は、エタノール約70質量%を含有する水性アルコールジェル製剤である。これら製剤は、それぞれ、同じ量の次の成分:アクリレート/C10-30アルキルアクリレートコポリマー、グリセリン、アミノメチルプロパノール、及び水を含有する。実施例1は、実施例2が、さらに、1,2-オクタンジオール1質量%を含有する点で実施例2と相違する。DP1ポンプを有する1000 ml詰めのGOJO NXT(登録商標)サイドバイサイドディスペンサーを使用することによって、実施例1及び2を分配した。ディスペンサーはADAに準拠するものであり、ワンハンドプッシュ操作を特徴とするものである。作動率をすべてのサンプルについて一定とした。アウトプットターゲットをノズルの先端の下約7.5cm(3インチ)に配置し、16.3 cm2(2.5インチ2)とした。
【0057】
テストを15日間で行い、各組成物について、誤った方向の頻度を、操作総数当たりの誤った方向の百分率として算定した。各サンプルを複数個のディスペンサーにおいてテストし、結果を平均化し、下記の表に示した。各製剤について、作動約900回で観察した。実施例2について、誤った方向の頻度の減少を、実施例1との比較としても算定した。誤った方向の頻度が比較的高い場合には、ディスペンサーのノズル表面において、凝固したゲルの堆積物が観察された。
【表3】

【0058】
1以上の具定例では、本発明の組成物は、良好な保湿特性を発揮し、ディスペンサーの詰り及び誤った方向へのアウトプットは減少する。
【0059】
1以上の具体例では、本発明の水性アルコールジェル組成物は、長期間の保存寿命において、良好な製品の安定性を示す。特定の具体例では、本発明の水性アルコールジェル組成物の安定性は、エマルジョン又は固体懸濁液の製品の安定性よりも良好である。製品の安定性には、粘性及びpH値の経時的安定性のような物理特性が含まれる。また、製品安定性としては、製品が均一なコンシステンシー及び外観を維持し、色及び臭いが、時間経過した製品と新たに製造された製品とが明らかに異なるほど変化しないことを含む。1以上の具体例では、本発明の水性アルコールジェル組成物は、約3年の保存寿命にわたり、良好な製品安定性を示す。
【0060】
本発明の範囲及び精神から逸脱しない各種の変更及び変形は、当業者にとっては明らかであろう。本発明は、上述の説明のために示す具体例には限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェルディスペンサーからの誤った方向へのアウトプットの頻度を低減する方法であって、該方法は、
1-4アルコール、有効量のポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を合わせて、分配可能なジェル組成物を形成する工程であって、ここで、前記詰り防止添加剤が、C6-10アルカンジオールを含んでなり、前記組成物は、前記アルコール少なくとも約30質量%を含んでなるものである工程;及び
分配可能なジェルを、吐出口を含み、定期的に作動されるポンプタイプのディスペンサーに格納する工程であって、ここで、誤った方向へのアウトプットの頻度が、詰り防止添加剤を含まない分配可能なゲルと比較して低減されている工程
を含んでなる、誤った方向へのアウトプットの頻度の低減法。
【請求項2】
アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3級ブタノール、メタノール、又はそれらの混合物を含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
詰り防止添加剤が、1,2-オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、又はその混合物を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリアクリレート増粘剤が、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸及びアルキル(C5-C10)アクリレートのコポリマー、アクリル酸及び無水マレイン酸のコポリマー、カルボマー、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ジオールが、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.05−約4質量%の量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
組成物が、組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の1,2-オクタンジオールを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
組成物が約1,000−約65,000センチポイズの粘度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
組成物がC1-4アルコール少なくとも50質量%を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
誤った方向へのディスペンサーのアウトプットの頻度が、詰り防止添加剤を含まない分配可能なジェルと比べて、少なくとも約50%低減される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
凝固したジェル堆積物の形成を低減する方法であって、該方法は、
1-4アルコール、有効量のポリアクリレート増粘剤、及び詰り防止添加剤を合わせて、分配可能なジェル組成物を形成する工程であって、ここで、前記詰り防止添加剤が、C6-10アルカンジオールを含んでなり、前記組成物は、前記アルコール少なくとも約30質量%を含んでなるものである工程;及び
分配可能なジェルを、定期的に作動されるポンプタイプのディスペンサーに格納する工程であって、ここで、凝固ゲル堆積物の形成は、詰り防止添加剤を含まない分配可能なジェルと比較して低減されている工程
を含んでなる、凝固ゲル堆積物の形成の低減法。
【請求項11】
アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3級ブタノール、又はそれらの混合物を含んでなるものである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
詰り防止添加剤が、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、又はその混合物を含んでなる、請求項10記載の方法。
【請求項13】
ポリアクリレート増粘剤が、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸及びアルキル(C5-C10)アクリレートのコポリマー、アクリル酸及び無水マレイン酸のコポリマー、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項10記載の方法。
【請求項14】
ジオールが、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.05−約4質量%の量で存在する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
組成物が、組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の1,2-オクタンジオールを含んでなる、請求項10記載の方法。
【請求項16】
組成物が約1,000−約65,000センチポイズの粘度を有する、請求項10記載の方法。
【請求項17】
組成物がC1-4アルコール少なくとも50質量%を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項18】
分配可能な水性アルコールジェル組成物であって、
水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、少なくとも約50質量%のC1-6アルコール;
有効量のポリアクリレート増粘剤;
約1,000−約65,000センチポイズの粘度を有する粘性化ジェルを形成するために有効な量のポリアクリレート増粘剤;及び
水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.05−約4質量%のC6-10アルカンジオール
を含んでなるものである、分配可能な水性アルコールジェル組成物。
【請求項19】
組成物がアルコール少なくとも50質量%を含んでなり、アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、又はそれらの混合物を含んでなるものである、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項20】
ジオールが、C6-8アルカンジオール、又はその混合物を含んでなるものである、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項21】
ジオールが、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、又はその混合物を含んでなる、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項22】
ジオールが、水性アルコールジェル組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%の量で存在する、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項23】
ポリアクリレート増粘剤が、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸及びアルキル(C5-C10)アクリレートのコポリマー、アクリル酸及び無水マレイン酸のコポリマー、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項24】
組成物がアルコール少なくとも50質量%を含んでなり、ここで、アルコールが、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、メタノール、又はそれらの混合物を含んでなるものであり;ジオールが、C6-8アルカンジオール、又はその混合物を含んでなるものであり;及びポリアクリレート増粘剤が、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、カルボマー、アクリル酸及びアルキル(C5-C10)アクリレートのコポリマー、アクリル酸及び無水マレイン酸のコポリマー、及びそれらの混合物から選ばれるものである、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項25】
組成物が、組成物の総質量基準で、0−約0.1質量%の精油を含んでなる、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。
【請求項26】
組成物が、組成物の総質量基準で、0−約0.5質量%の一般的な保存料を含んでなる、請求項18記載の水性アルコールジェル組成物。

【公開番号】特開2011−148759(P2011−148759A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−135922(P2010−135922)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】