説明

ジヒドロ−2,3−ベンゾジアゼピンの光学異性体及びその立体選択的合成

本発明は、一般式(I)で表される高鏡像異性純度のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物(ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物の4位に不斉中心を有する)、及びその製法及び使用する中間体に関する。これら化合物は、その非競合AMPA拮抗特性のため、抗痙攣、筋弛緩及び神経保護作用を有する。
一般式(I)
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)
【化1】

による高鏡像異性純度のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物(ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン環の4位にメチル基及び水素が存在し、この位置に不斉中心をする)に関する。さらに、本発明は、高鏡像異性純度の新規な中間体を提供する。及びその製法及び使用する中間体に関する。これら化合物は、抗痙攣、筋弛緩及び神経保護作用を有する非AMPA受容体拮抗剤である。
さらに詳述すれば、本発明は、一般式(I)において、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子又はアルコキシ基であり、Yは、水素又はハロゲン原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基であるジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物、及びその薬学上許容される酸付加塩に関する。さらに、本発明は中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンに相当するラセミ化合物の合成は、ハンガリー国特許出願第P99 02291号に開示されている。同様のラセミ化合物の合成は、ハンガリー国特許出願第P00 04994号にも開示されている。
【0003】
米国人の著者は、ヨーロッパ特許出願第EP 699 677号において、絶対配置Rを有する左旋性ジヒドロ23ベンゾジアゼピン化合物を調製するためのエナンチオ選択的合成法を開示している。ヨーロッパ出願に開示された合成法によれば、第1段階は、絶対配置Sを有する光学的に純粋なフェニルプロパノール化合物の調製である。該化合物は、対応するフェニルアセトン誘導体の微生物学的還元により、又は5-ブロモベンゾ[1,3]ジオキソールから調製されたリチウム誘導体の光学活性プロピレンオキシドとの反応を介して調製される。このようにして調製されたS配置を有するフェニルプロパノール化合物を、光学的に活性なイソクロマンに転換し、ついで、温和な条件下での酸化段階及び続く酢酸ヒドラジドでの縮合段階により、光学的に活性なヒドラゾン化合物とする。メシル化反応に続いて、塩基性条件下において、キラル炭素原子の反転を伴って閉環が生じ、その結果、絶対配置Rを有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物が生ずる。絶対配置Sを有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物は、従来技術には開示されていない。
【0004】
ラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物及びハンガリー国特許出願第P00 04994号及びP99 02291号に開示された化合物は、AMPA受容体の非競合阻害剤である。
よく知られているように、グルタミン酸塩は、中枢神経系における最も重要な刺激性神経伝達物質である。グルタミン酸塩の作用は、とりわけ、NMDA、AMPA及びカイニン酸タイプ受容体(イオンチャンネルに関連する)によって伝達される。
AMPA受容体の非競合拮抗剤としての上述の化合物は、かなりの筋弛緩、神経保護及び抗痙攣作用を有し、AMPA/カイニン酸受容体の阻害が有効である特定の疾患(例えば、癲癇、筋肉の痙縮を伴う臨床像、各種の神経変性疾患、卒中)において使用される。
治療用途の観点では、このような新規の活性な医薬成分(公知の活性な成分と比べて、よりの高い治療上の活性を有し、より少ない治療上の用量で有効であるか、又は治療上の副作用が少ない)を開発することは重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術から公知の化合物よりも、治療の観点から有利である新規の活性な医薬成分を開発することにある。
このような目的は、高鏡像異性純度のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンの調製によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般式(I)
【化2】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子又はアルコキシ基であり、Yは、水素又はハロゲン原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基であり;アルコキシ基は、C1-4アルコキシ基、好ましくはメトキシ基である)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物又はその薬学上許容される酸付加塩に関する。
【0007】
X及びYが一緒になってメチレンジオキシ基を表す場合、一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンは、8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン環を形成する。化学物質命名法の原則に従って、各置換基の位置は変化する。この変化は、本発明の本質に影響を及ぼさず、従って、これらの置換体は、ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンと称される。しかし、対応する化合物は、実施例では、8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン誘導体として定義されている。
【0008】
化学構造式において、高純度鏡像異性体を有する化合物の不斉中心を、アスタリスクによって表示するが、これは、アスタリスクが付された炭素原子の配置がR又はSであることを意味する。
本発明によれば、表示「高鏡像異性純度の鏡像異性体」は、実質的に、可能な2つの異なる鏡像異性体の外に、もっぱら、ただ1つの鏡像異性体を含有する、又は1つの鏡像異性体を非常に高い濃度で含有するような鏡像異性体を意味する。発明を実施する際、いくつかのケースでは、高立体化学純度のジアステレオマーが調製される。これらは、少なくとも2つの不斉中心を含有し、4つの可能なジアステレオマーの外に、もっぱら、1つジアステレオマー又は高濃度で1つのジアステレオマーのみを含有するようなジアステレオマーである。高濃度とは、98%であることを意味する。
【0009】
発明者らは、驚くべきことには、絶対配置Rを有する左旋性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体(例えば、(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン)
【化3】

が、絶対配置Sを有する右旋性誘導体(例えば、(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン)
【化4】

よりも、かなり有効なAMPA受容体の拮抗物質であるとの知見を得た。
【0010】
さらに、絶対配置Sを有する右旋性化合物が、ラットに経口投与した場合、胸腺及び骨髄におけるコルチコステロン支配に関する1週間の処置後に、胸腺及び骨髄における壊死性の組織学的変化を生ずることは、極めて予測できないことであり、驚くべきことである。絶対配置Rを有する一般式(I/R)の化合物の、上述の組織学的像に対する影響の度合は非常に低い。
【0011】
上記の事実に基づき、絶対配置Rを有する左旋性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物(I/R)の治療目的の使用は、予測される治療上の利点を保持し、一方では、絶対配置Sを有する一般式(I/S)の不在が、特性の副作用の可能性をかなり低減させるため、有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述の驚くべき結果は、下記の方法の結果によって支持される。
ニワトリの網膜における「拡延性抑制」テスト
Sheardownの方法(1993)に従ってテストを行った。
5〜7日齢のニワトリ(Shaver red-brown)の単離した眼杯を使用した。ニワトリの雌雄は特定されていない。動物の眼球を、エーテルによる麻酔下で摘出し、眼球の後部を切り取り、栄養溶液に入れた。
栄養溶液の組成は、100 mM NaCl、3mM KCl、1mM MgSO4、1mM CaCl2、30mM NaHCO3、1mM NaH2PO4、10mM D-グルコースである(pH=7.3)。
5μM S-AMPAによって生じた拡延性抑制(SD)の潜時を、90分間の安定期間後、室温において測定した。この値をコントロール値とした。ついで、AMPAによって生じた潜時を、テスト化合物の存在下、30分間のインキュベーションの後に測定し、さらに60分間洗浄した後に、コントロール値に対する潜時の回帰をチェックした。
コントロール潜時の30分間の延長は、100%の拮抗に相当する。
文献:Sheardown, M.J., ニワトリの網膜における拡延性抑制のトリガリング:薬理的研究, Brain Research 1993, 607: 189-194
【0013】
ラットにおける毒性テスト
雌Wiatarラットを使用して実験を行った。処置の前日、動物を、その体重に基いて、ランダムにグループ分けした(10匹/グループ)。各活性成分を、0.4%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocell F4 M, Dow Chemical Company, 米国)溶液に懸濁化し、胃カニューレによって、1日1回、7日間投与した。日用量は30mg/kgであり、コントロールグループの動物については、溶媒にて処置した。実験の終了時、動物を、エーテルによる麻酔下、大腿動脈を切開することによって犠牲にした。
胸腺を取出した後、リン酸塩にて緩衝化したホルマリン溶液中で胸腺を固定し、ついで、パラフィンに埋め込み、ヘマラム‐エオシンにて着色した。
動物の大腿から、骨髄フィルムプレパレーションを形成し、Grimsa法(Sheenan D.C., Hrapchak B.B.: 病理組織技術の理論と実践,(第2版), Mosby Company, St. Lous, 米国)に従って着色した。
組織学的萎縮を下記のようにスコアー付けした:0‐変化なし;1‐変化あり;2‐わずかな変化;3‐中程度の重い変化、著しい変化;4‐重く、明白な、広い変化。評価を、処置に関する情報なし状況で行った。
グループを、KRUSKAL WALLIS ANOVAテスト(Ranks and Median)によって比較した。偏差が有意(p<0.05)の場合、比較のため、WALD-WOLFOWITZテストを使用した。
【0014】
【表1】

【0015】
上記表1に示す結果によれば、実施例4による化合物(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンは、拡延性抑制テストにおいて、AMPA受容体の作用が(EC50)値1.8μMで阻止されるため、効果的なAMPA拮抗化合物であるが、実施例6による(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンは、そのEC50値が100μMより大であるため、AMPA受容体に対する作用はほんのわずかである。実施例4による化合物(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンは、7日間の経口投与後、ラットの胸腺及び骨髄の組織学的像に対して、最少程度でのみ影響を及ぼすが、一方、同じ用量で使用された実施例6による(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンは、胸腺及び骨髄において、有意の組織学的萎縮を生じた。
【0016】
ラットにおける血漿コルチコステロン濃度の測定
体重250〜300gの雄Wistarラットを使用して実験を行った。動物を空調室内に維持し、人工的に、12時間の明を、ついで、12時間の暗を形成した。実験前4日間、胃カニューレによって、動物に水0.5mlを毎日与えた。実験前、夕方に動物の体重を測定し、ついで、動物を別個のケージに入れた。
実験を、朝に、9〜12時間で行った。処置前、動物をランダムにグループ分けした(動物7匹/グループ)。
胃カニューレを使用して、テスト化合物を、用量15mg/kg(体重)、溶媒容量5ml/kgで投与した。コントロール動物については溶媒で処置した。溶媒組成物は、2.5M HCl 0.2ml及び蒸留水19.8 mlを含有する。
処置の1時間後、動物を断頭し、血液約2mlを、2%(W/V) K-EDTA 100μlを収容する、氷で冷却した試験管に集めた。
【0017】
コルチコステロンのラジオイムノアッセイ
コルチコステロン濃度の測定のため、ウサギで調製したコルチコステロン-3-CMO-BSA抗体を、1:40000で希釈して使用した。デゾキシコルチコステロンとの抗体交叉反応は1.5%であり、プロゲステロンとの交叉反応は2.3%であった。コルチゾール、コルチゾン、コルテキソロン、11-デヒドロコルチコステロン、20-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-β-エストラジオール、エストロン、エストリオール、テストステロン及びデヒドロエピアンドロステロンとの交叉反応はなかった。標識化合物として、I125コルチコステロン-3-CMO-TME(Izotop, Intezet, ブダペスト)を使用した。
血漿10μlから、抽出なしで、コルチコステロン濃度を測定した。較正曲線は、コルチコステロン0.027〜40pモル/試験管を含む。LKB Clinigamma装置にて、放射能を測定した。
統計学的分析の際、ワン-アスペクト分散分析及びNewman-Keulsポストホックテストを使用した。
【0018】
実験結果:
【表2】

【0019】
上記表2に示す結果によれば、実施例15による化合物(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンは、拡延性抑制テストにおいて、AMPA受容体の作用が(EC50)値3.9μMで阻止されるため、効果的なAMPA拮抗化合物であるが、実施例16による(S)-(+)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンは、そのEC50値が100μMより大であるため、AMPA受容体に対する作用はほんのわずかである。これに対して、実施例15による(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンは、ラットにおける経口投与後、血漿コルチコステロン濃度に対して影響を及ぼさないが、一方、同じ用量で使用された実施例16による(S)-(+)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンは、血漿コルチコステロン濃度を上昇させた。
【0020】
上述の結果は、絶対配置Rを有する一般式(I/R)の左旋性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物(例えば、(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン)、又は(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン)が、絶対配置Sを有する一般式(I/S)による右旋性化合物(例えば、(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン、又は(S)-(+)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン)よりもかなり良好なAMPA拮抗薬であることを証明している。
【0021】
一般式(I/R)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物の使用は、中枢神経の疾患(グルタミン酸系の病理学的活性又は病理生理学的役割が証明又は推測され、従って、AMPA受容体に対する拮抗作用が求められる)の治療にとって有益である。
一般式(I/R)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物の治療のための使用は、治療効果を達成及び/又は維持するために、AMPA受容体拮抗薬の長期間の投与を必要とする、このような中枢神経系障害の治療には、非常に有益である。
上記の事実に基づき、一般式(I/R)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物は、本質的に、卒中、外傷性脳損傷及び脊椎損傷、癲癇、統合失調症、中枢神経腫瘍(例えば、神経膠腫、グリア芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫)、筋肉痙縮と関連する疾患及び神経変性疾患(特に、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS))の治療に、さらに、痙攣、痛み、吐き気、嘔吐への影響、偏頭痛、排尿障害、退薬症候群、又は不安症の治療に使用される。
【0022】
絶対配置Sを有する一般式(I/S)の右旋性化合物は、1週間の経口投与後、ラットの胸腺又は骨髄における有意の組織学的萎縮を生ずるが、一般式(I/R)の左旋性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物は、組織学的像に、無視できるほどの影響を及ぼすのみである。
これらの組織学的変化は、長期間続く血漿コルチコステロン濃度の上昇によって生ずる(Gopinath C., Prentice D.E., Lewis D.J., Atlas of Experimental Toxicological Pathology, MTP Press Limited, 1987, Lancaster, England, p. 124)。
上記の事実に基づき、絶対配置Rを有する左旋性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物(I/R)の治療上の使用は有益である。
【0023】
予測される治療上の利点は変わらないが、絶対配置Sを有する一般式(I/S)のこれら化合物が存在しないことにより、有害な副作用の可能性をかなり低減できる。
さらに詳述すれば、本発明の目的は、一般式(I)(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、ハロゲン又はクロル原子、好ましくはクロル原子であり;Yは、水素又はハロゲン原子、好ましくは水素原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基である)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物又はその薬学上許容される酸付加塩にある。
【0024】
本発明の他の目的は、ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の調製に使用される、高鏡像異性純度を有する新規な中間体にある。
このような中間体は、一般式(V)
【化5】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり、Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子、又はアルコキシ基、好ましくは水素又はクロル原子であり、Yは、水素又はハロゲン原子、好ましくは水素原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基である)による高鏡像異性純度のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体である。
【0025】
本発明の他の目的は、一般式(XII)
【化6】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Vは、水素原子又はヒドロキシル基であり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子、又はアルコキシ基であり、Yは、水素又はハロゲン原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)によるベンゾ[b]ピラン誘導体にある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、一般式(XIV)
【化7】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Lは、ヒドロキシル、アルキル又はアリールスルホニル基であり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子又はアルコキシ基であり、Yは、水素又はハロゲン原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基である)のヒドラゾン誘導体(E及びZの混合物である)にある。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、一般式(III)
【化8】

(式中、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;R'は、置換アリーレン基、アルキレン基、好ましくはシス-又はトランス-アルキニレン基、さらに好ましくはシス-エチレン基である)によるラセミ又は鏡像異性ベンゾジアゼピン化合物又はそのキラル塩基にて形成された塩にある。
【0028】
本発明の他の目的は、一般式(VI)
【化9】

(式中、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)によるラセミ又は鏡像異性ベンゾジアゼピン化合物にある。
鏡像異性ベンゾジアゼピン化合物は、一般式(VII)
【化10】

(式中、R1、R2、R3の各々は異なるものであって、水素原子、置換又は未置換、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和のアルキル基、置換又は未置換のアリール又はアラルキル基であり、R1は好ましくは水素原子を表し、R2はメチル基を表し、R3はフェニル基を表す)で表される。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、一般式(VIII)
【化11】

(式中、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)によるラセミベンゾジアゼピン化合物、又は光学活性の酸にて形成されたその酸付加塩にある。
【0030】
本発明の他の目的は、一般式(VIII/A)
【化12】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)による鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物、又は光学活性の酸にて形成されたその酸付加塩にある。
【0031】
本発明の他の目的は、下記のグループの化合物にある:
(S)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(S)-(+)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩;
(S)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(R)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(S)-(+)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(R)-(+)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;
(S)-(−)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;
(5RS,7R)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(izochromane);
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン;
(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン;
(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン;
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン-5-オール;
(5RS,7R)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン-5-オール;
(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール;
(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール;
(S)-酢酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)-酢酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)-プロピオン酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)-プロピオン酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)-酢酸-[[5-クロロ-2(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-酢酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-酢酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-プロピオン酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-酢酸-[[5-クロロ-2(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-プロピオン酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)酢酸[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)酢酸[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(S)-(−)-及び(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(±)-、(S)-(+)-及び(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸;
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸(R)-(+)-α-メチル-ベンジルアンモニウム塩;
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸(S)-(−)-α-メチル-ベンジルアンモニウム塩;
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-カルボン酸イミダゾリド;
(+)-7-(N-(1(R)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(R)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(−)-7-(N-(1(S)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(S)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(±)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(S)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及び光学的に活性なカルボン酸にて形成されたその塩;
(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及び光学的に活性なカルボン酸にて形成されたその塩。
【0032】
本発明のさらに他の目的は、有効成分として、一般式(I)(ここで、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子又はアルコキシ基、好ましくは、メトキシ基のようなC1〜C4アルコキシ基であり、Yは、水素又はハロゲン原子、好ましくは水素原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基である)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される塩を含有する、又は薬学上許容されるビヒクルとの混合物として含有する医薬組成物にある。
【0033】
本発明の最も有利な具体例によれば、有効成分は、(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン又は(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン又はこれらの薬学上許容される酸付加塩である。
本発明による医薬組成物は、有効成分0.1〜95質量%、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%を含有する。
医薬組成物は、経口、非経口、直腸、経皮又は局所ルートで投与される。組成物の剤形は固体又は液体である。
【0034】
経口投与される固体剤形は、例えば、粉末、錠剤、フィルムコーティング錠、マイクロカプセルであり、これらは、ビヒクル結合剤として、例えば、ソルビトール、ポリビニルピロリドン;賦形剤として、例えば、乳糖、グルコース、デンプン、リン酸カリウム;添加剤として、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ;滑沢剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有できる。
経口投与される液体剤形は、例えば、溶液、懸濁液又はエマルジョンがあり、これらは、懸濁剤として、例えば、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース;乳化剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート;溶媒として、例えば、水、油、プロピレングリコール、エタノール;保存料として、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピルエステルを含有する。
非経口投与用の剤形は、一般に、有効成分の殺菌溶液である。
上記の剤形は、従来技術(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18ed., Mack Publishing Co., Easton, USA (1990))から知られている。
【0035】
医薬組成物は、一般に、1用量単位を含有する。一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物又は対応する酸付加塩の代表的な日用量は、大人について、0.1〜1000 mg/kg(体重)である。日用量を、1日当たり1回以上で投与する。有効用量は、いくつかのファクターに左右され、医師によって決定される。
医薬組成物は、一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物又は対応する酸付加塩を1以上のビヒクルと混合し、このようにして得られた混合物を公知の様式で医薬組成物に変換することによって調製される。
利用できる方法は、例えば、上記のハンドブック(Remington's Pharmaceutical Sciences)から公知である。
【0036】
本発明の他の目的は、一般式(I)(ここで、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、水素、ハロゲン又はクロル原子、好ましくは、ハロゲン又はクロロ原子であり、Yは、水素又はハロゲン原子、好ましくは水素原子であるか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基である)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンの製法であって、対応する式(V)の化合物のニトロ基を還元することと特徴とする製法にある。還元反応は、塩化スズ(II)、亜ジチオン酸ナトリウムを使用することによって、又は触媒環境下で行われる。
触媒環境とは、ラネーNi、パラジウム又は白金のような触媒を使用することを意味する。触媒環境下で操作する場合、水素源として、水素、ヒドラジン水化物、ギ酸、ギ酸トリアルキルアンモニウム塩又はギ酸アルカリ塩が使用される。
【0037】
高エナンチオ選択性を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の調製のため、高鏡像異性純度を有する一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物を使用する。一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのエナンチオ選択性合成の過程で、一般式(X)
【化13】

(ここで、X、Y及びRは、上記のとおりである)のフェニル-2-プロパノール誘導体を、式(XI)
【化14】

の4-ニトロベンズアルデヒド誘導体と反応させる。
このようにして得られた一般式(XII)(ここで、X及びYは上記のとおりであり;Vは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン誘導体のジアステレオマー混合物を酸化して、一般式(XIII)
【化15】

(ここで、X及びYは上記のとおりである)のヘミケタール誘導体とする。
一般式(XIII)のヘミケタール化合物のジアステレオマー混合物を、カルボン酸ヒドラジド、好ましくは酢酸ヒドラジドと反応させる。
得られた一般式(XIV)
【化16】

(ここで、X、Y及びRは上記のとおりであり;Lはヒドロキシル基を表す)のヒドラゾン化合物(E及びZ異性体の混合物である)を、アルキルスルホニルハロゲン化物又はアリールスルホニルハロゲン化物と、好ましくは、塩化メタンスルホニルと反応させる。この反応の過程で、一般式(XV)
【化17】

(ここで、X、Y及びRは上記のとおりであり、R2は、アリール、C1〜4アルキル、好ましくはメチル基である)のアリール又はアルキルスルホニルヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)が得られる。
【0038】
この生成物を、分子内環化反応によって、高鏡像異性純度を有する一般式(V)のジヒドロベンゾジアゼピン誘導体に転化し、さらに、一般式(V)の化合物を、一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンに、又は必要であれば、その酸付加塩に転化する。
一般式(XII)(ここで、X及びYは上記のとおりであり;Vは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン誘導体は、高鏡像異性純度を有する一般式(X)のフェニル-2-プロパノール誘導体と一般式(XI)の4-ニトロベンズアルデヒド誘導体との反応によって調製される。反応は、不活性溶媒中、好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒中、さらに好ましくは、ベンゼン又はトルエン中、温度−20〜150℃、好ましくは20〜80℃で行われる。
一般式(XII)(ここで、Vは水素原子を表し;X及びYは上記のとおりである)のベンゾ[b]ピラン誘導体を酸化して、対応する一般式(XIII)(ここで、X及びYは上記のとおりである)のヘミケタール誘導体とする。反応は、双極性の非プロトン性溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド中、温度−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、水酸化ナトリウム/ジメチルスルホキシド/空気の組み合せを使用して行われる。
一般式(XIII)のヘミケタールタイプのジアステレオマー混合物を、芳香族又はプロトン性溶媒又はその混合物中、温度−20〜150℃において、脂肪族カルボン酸ヒドラジドと反応させる。反応は、好ましくは、使用する溶媒の沸点で行われる。
【0039】
このようにして得られる一般式(XIV)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)のヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を、不活性溶媒中、温度−20〜150℃において、第3級アミン化合物、好ましくはトリメチルアミンの存在下、アルキルスルホニルハロゲン化物又はアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化メタンスルホニルと反応させる。不活性溶媒として、極性に乏しい溶媒、好ましくは塩化脂肪族又は芳香族溶媒、最も好ましくはジクロロメタンが使用される。
得られた一般式(VI)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりであり、R2は、アリール、C1〜4アルキル、好ましくはメチル基を表す)のヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を、塩基を添加すること、好ましくはアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、水素化物又はアルコキシド、好ましくは水酸化ナトリウムを添加することによって、分子内環化反応によって環化する。環化は、不活性溶媒中、好ましくはアルコール又はエーテルタイプの溶媒中、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はそれらの混合物中において、温度−20〜150℃で行われる。このようにして得られる一般式(V)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)の環化誘導体を、高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体に変換し、必要であれば、得られた生成物を、その酸付加塩に変換する。
環化反応(一般式(XV)のスルホネート化合物を一般式(V)のベンゾジアゼピン化合物に変換する)は、キラリティー中心の反転によって達成される。
【0040】
高鏡像異性純度を有する(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩の調製に関する本発明の最も有利な具体例によれば、高鏡像異性純度の(S)-α-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-オールを、3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒドと反応させる。このようにして得られる一般式(XII)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Vは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン化合物のジアステレオマー混合物を酸化して、一般式(XIII)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)のヘミケタールタイプの誘導体とする。
このようにして得られる一般式(XIII)のヘミケタールタイプの誘導体を酢酸ヒドラジドと反応させる。続いて、得られるヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物であり、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Lはヒドロキシル基を表す)を、アルキルスルホニルハロゲン化物又はアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化メタンスルホニルと反応させる。得られる一般式(XV)(ここで、R2は、アルキル又はアリール、好ましくはメチル基を表す)のアリール又はアルキルスルホニル化されたヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を、不活性溶媒中、好ましくはアルコール又はエーテルタイプの溶媒中、最も好ましくは、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はそれらの混合物中において、塩基、好ましくは、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ水素化物又はアルカリアルコラート、さらに好ましくは水酸化ナトリウムを使用して、温度−20〜150℃で環化させる。環化反応は、キラリティー中心の反転によって達成される。得られる一般式(V)の誘導体のニトロ基を還元する。得られる高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、必要であれば、薬学上許容される酸付加塩に変換する。
【0041】
本発明の他の非常に有利な具体例は、上記合成法による、高鏡像異性純度を有する(S)-1-(4-クロロフェニル)-プロパノール-2を使用する(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン及びその薬学上許容される酸付加塩の調製である。
【0042】
高鏡像異性純度を有する一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体(高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の調製用の中間体である)は、下記のようにしても調製される。
一般式(II)
【化18】

(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸にて、好ましくはマレイン酸にてアシル化する。得られる一般式(III)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりであり、R'は、置換アリーレン、アルキレン又はアルケニレン、好ましくはシス又はトランスアルキレン、最も好ましくはシスエチレン基を表す)のラセミ体半アミド-半酸誘導体を、一般式(IV)
【化19】

(ここで、*BH+は、キラルアミン化合物のプロトン化鏡像異性形、好ましくは、(S)-(−)-α-メチル-ベンジルアミン又は(R)-(+)-α-メチル-ベンジルアミンのプロトン化形を表す)の対のジアステレオマー塩に変換させる。その後、対のジアステレオマー塩を、公知の方法によって分離し、公知の方法を適用することによって、一般式(III/A)
【化20】

の所望の鏡像異性半アミド-半酸誘導体を、そのジアステレオマー塩から放出させる。このようにして、得られる一般式(II/A)の鏡像異性ベンゾジアゼピン誘導体を脂肪族カルボン酸化合物にてアシル化して、高鏡像異性純度を有する対応する一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを生成する。
【0043】
一般式(II)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体のアシル化について、脂肪族又は芳香族のジカルボン酸誘導体、好ましくはマレイン酸誘導体、最も好ましくは酸無水物が使用できる。アシル化は公知の様式で行われる。最も好適な具体例によれば、反応を不活性溶媒中で行う。好ましくは、ラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、ジクロロメタン中、ジカルボン酸無水物を使用して行われる。反応は、有機又は無機塩基の存在下又は不存在下で、温度−20〜150℃、好ましくは20〜80℃において行われる。塩基としてトリエチルアミンを使用することが好ましい。
得られるラセミ体のアセチル化された一般式(III)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の鏡像異性体を、一般式(IV)(ここで、X、Y及びR'は上記のとおりである)のジアステレオマー塩を介して、上記のプロセスにて分離する。
ラセミ体塩の各鏡像異性体への分割が、好適な溶媒及び環境を使用して、キラル塩基の鏡像異性形を持つ塩を形成することによって達成されることは公知である。この場合、熱力学的により安定な鏡像異性の塩が溶媒から結晶化する。キラル酸の一方の鏡像異性体を含有する、得られる純粋な鏡像異性の塩を、再結晶によって精製して、鏡像異性純度を増大させる。
【0044】
ジアステレオマー塩の調製用のキラル塩基として、キラル塩基、好ましくはキラルアミン、例えば、(R)-(+)-α-メチル-ベンジルアミン、(S)-(−)-α-メチル-ベンジルアミン、(+)-デヒドロアビエチルアミン、キニン、(−)-1-(4-ニトロフェニル)-2-アミノ-1,3-プロパンジオール又は(S)-(+)-2ベンジル-アミノ-1-ブタノールが使用される。最も好ましくは、α-メチル-ベンジルアミンの(R)-(+)-又は(S)-(−)-異性体が使用される。
【0045】
ジアステレオマー塩の調製に最も好適なキラル塩基の選択は、適切なジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体に左右され、当業者にとって裁量の範囲である。塩は、双極性の非プロトン性溶媒中、好ましくは酢酸エチル中において、室温で調製される。
ジアステレオマー塩は、公知の様式で、例えば、熱力学的により安定な結晶の晶出、続く、得られた結晶の母液からの分離を介して分離される。分離され、鏡像異性的に単一の鏡像異性体を富有する結晶を、再結晶によって、さらに精製する。
単一の異性体を含有する一般式(IV)の単離されたジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体が、希釈した無機酸によって、そのジアステレオマー性の塩から放出される。得られた一般式(III/A)(ここで、キラル炭素原子の配置はS又はRである)の鏡像異性酸を、水酸化リチウム及び過酸化水素の存在下において加水分解する。反応は、不活性溶媒中、好ましくはエーテルタイプの溶媒中、最も好ましくはテトラヒドロフラン中において、温度−20〜150℃、好ましくは20〜80℃、最も好ましくは50℃で行われる。
加水分解の結果として、一般式(II/A)
【化21】

の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンが得られ、この化合物は、アシル化後、一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを生成する。
【0046】
一般式(II/A)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのアシル化は、ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、好適なカルボン酸を使用することによって行われる。例えば、酸ハロゲン化物、好ましくは酸塩化物、又は酸無水物のような酸誘導体の使用は、より好ましい。最も好適なプロセスによれば、無水酢酸又は無水プロピオン酸が使用される。
アシル化は、酸結合化合物を使用して又は使用することなく行われる。酸結合化合物として、有機又は無機化合物が使用される。有機性の酸結合化合物としては、第3級アミノ化合物、ピリジン、好ましくはトリエチルアミンが適している。無機性の酸結合剤としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩がある。
アシル化は、不活性溶媒中、又は溶媒を使用することなく、20〜150℃において行われる。不活性溶媒として、極性に乏しい溶媒、エーテルタイプの溶媒、双極性の非プロトン性溶媒が使用される。極性に乏しい溶媒として、ハロゲン化された脂肪族又は芳香族溶媒、好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム又は芳香族溶媒又はその混合物;エーテルタイプの溶媒として、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はその混合物;双極性の非プロトン性溶媒として、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、アセトン又はその混合物が使用される。
【0047】
本発明によれば、高鏡像異性純度を有する一般式(I)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンの調製用の中間体として使用される一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンは、不活性溶媒中での、一般式(II)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンと、1,1'-カルボニル-ジイミダゾールとの反応によって調製される。有利な1具体例では、この反応は、エーテルタイプの溶媒中、好ましくはテトラヒドロフラン中、温度−20〜+150℃、好ましくは20〜80℃、最も好ましくは溶媒の沸点において行われる。
得られた一般式(VI)のラセミ体カルボニルイミダゾール誘導体を、双極性の非プロトン性溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、アセトン又はその混合物中、最も好ましくはジメチルホルムアミド中、温度20〜150℃、好ましくは60〜120℃において、キラルアミンの単一の鏡像異性体と反応させる。キラルアミンとして、最も好ましくは、(R)-(+)-又は(S)-(−)-α-メチル-ベンジルアミンが使用される。
得られた一般式(VII)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのジアステレオマー混合物の成分を通常の様式で分離する。一般式(VII)において、1つのジアステレオマージヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのキラル炭素原子の配置はRであり、他はSであり、このジアステレオマー化合物の他のキラル炭素原子の配置は、使用したキラルアミンのものと同じであり、X、Y及びRは上記のとおりであり、置換基R1、R2、R3は相互に異なり、水素原子、置換又は未置換、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和のアルキル、置換又は未置換のアリール、アラルキル基であり、好ましくは、R1が水素原子、R2がメチル基、R3がフェニル基である。
【0048】
ジアステレオマーの物理特性、例えば、溶解度は、かなり異なる。適切な溶媒中での熱力学的平衡のため、より安定なジアステレオマーが溶液から析出し、一方、安定性の劣るジアステレオマーは溶液中に留まる。適切な溶媒は、アルコール、例えば、イソプロピルアルコール又はエタノールである。2つのジアステレオマーは濾過によって相互に分離され、濾過された塩の光学純度は、再結晶によって増大される。
分離された、高鏡像異性純度を有する一般式(VII)(ここで、1つのキラル炭素原子の配置はR又はSであり、他のキラル炭素原子の配置は、使用したキラルアミン化合物に左右される)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体は、再結晶によって、光学的に精製され、その後、高立体化学純度を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンジアステレマーを、好ましくは温度20〜80℃、最も好ましくは25℃において加水分解し、ついで、得られた一般式(II/A)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、公知の様式で、脂肪族カルボン酸誘導体にてアシル化して、高鏡像異性純度を有する一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを生成する。一般式(II/A)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物は、上述のように、アシル化される。
【0049】
上述のプロセスのいずれかに従って調製された、アシル化ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体、例えば、(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-アミノ-4-メチルフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン、又は(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンを、必要によって、薬学上許容される塩に変換する。
【0050】
本発明の目的は、一般式(I)(ここで、キラル炭素原子の配置はR又はSであり、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し、RはC1-4アルキル基を表す)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の他の製法であって、一般式(VIII/A)
【化22】

の対応するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、脂肪族カルボン酸誘導体にてアシル化することを含んでなる製法にある。アシル化は、非活性溶媒の存在下又は不存在下、任意に、有機性又は無機性の酸結合剤の存在下、温度−20〜150℃において、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、又はカルボン酸誘導体、好ましくは、酸塩化物、酸無水物、好ましくは酸無水物、最も好ましくは、無水酢酸又は無水プロピオン酸を使用して行われる。無機性の酸結合剤として、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩が選択でき、有機性の酸結合剤として、第3級アミン化合物、ピリジン、好ましくはトリエチルアミンが選択される。
【0051】
不活性溶媒は、極性に乏しい溶媒、エーテルタイプの溶媒、又は双極性の非プロトン性溶媒である。極性に乏しい溶媒としては、ハロゲン化脂肪族又は芳香族溶媒、好ましくはクロロホルム、ジクロロエタン、クロロホルム又はその混合物が選択される。エーテルタイプの溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はその混合物である。双極性の非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、アセトン又はその混合物である。
【0052】
高鏡像異性純度を有する一般式(VIII/A)(ここで、X、Y及びRは上記のとおりである)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の調製の過程で、一般式(II)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを還元し、ついで、得られた一般式(VIII)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、光学活性の有機酸の単一の鏡像異性体を使用して、対のジアステレオマー性塩に変換し、ついで、このようにして得られた対のジアステレオマー塩を公知の方法によって分離する。
分離に続いて、得られた一般式(IX)
【化23】

(ここで、*A-は、光学活性の酸のアニオンであり;ベンゾジアゼピン誘導体のキラル炭素原子の配置はR又はSである)のジアステレオマー塩を、再結晶によって精製する。得られた高鏡像異性純度のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体含有塩から、塩基を放出させる。
上述の一般式(II)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンの還元は、塩化スズ(II)、亜ジチオン酸ナトリウムを使用することによって行われるか、又は触媒環境下で行われる。
触媒環境下では、使用される触媒は、ラネーニッケル、パラジウム又は白金であり、一方、水素源は、水素、ヒドラジン水化物、ギ酸、ギ酸トリアルキルアンモニウム又はアルカリホルメートである。
【0053】
ジアステロマー塩の調製に関して、双極性の非プロトン性溶媒中又はアルコールタイプの溶媒中において、光学的に活性な有機酸、最も好ましくはL-又はD-酒石酸又はセミ4-クロロアニリドが使用される。双極性の非プロトン性溶媒は、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチルであり、アルコールタイプの溶媒は、エタノール又はイソプロパノールである。塩の形成は、温度−20〜150℃、好ましくは20〜80℃、最も好ましくは室温において行われる。得られたジアステレオマー塩を、濾過によって分離する。
濾過したジアステレオマー塩(主に、ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の一方の鏡像異性体を含有する)を、さらに、再結晶工程によって精製できる。他の鏡像異性化合物を含有する母液を蒸発させ、得られた結晶性生成物を再結晶して、対応する鏡像異性体を調製する。
濾過によって又は単一鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン塩を含有する蒸発した母液の残渣の再結晶によって得られたジアステレオマー塩は、塩基を使用することによって、遊離の単一鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン塩基に変換される。この目的には、有機性の又は無機性の塩基、例えば、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムが好適である。
【0054】
得られた鏡像異性的に純粋な一般式(VIII/A)(ここで、キラル炭素原子の配置はR又はSである)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、上述のようにしてアシル化して、対応する高鏡像異性純度の一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物を得る。
必要であれば、得られたジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン、例えば、(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-メチルフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン又は(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンを、薬学上許容される塩に変換できる。
【0055】
本発明によれば、塩の形成のために、各種の薬学上許容される有機性又は無機性の酸、例えば、塩酸、臭化水素、硫酸、リン酸を使用できる。同様に、脂肪族又は芳香族のモノ-、ジ-、トリ-及びポリカルボン酸、さらに、アリール又はアルキルスルホン酸、例えば、安息香酸又はメタンスルホン酸を使用できる。ポリ塩基酸を使用する場合、好ましくは、硫酸水素塩、ヘミフマル酸塩のような酸性塩が形成される。
【0056】
本発明のさらに他の態様は、医薬組成物の調製における、一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体又はその薬学上許容される酸付加塩の使用にある。
これらの組成物は、卒中、外傷性脳損傷及び脊椎損傷、癲癇、統合失調症、中枢神経腫瘍(例えば、神経膠腫、グリア芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫)、筋肉痙縮と関連する疾患及び慢性の神経変性疾患(特に、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS))の治療に、さらに、痙攣、痛み、吐き気、嘔吐への影響、偏頭痛、排尿障害、退薬症候群、又は不安症の治療に使用される。
本発明のさらに他の態様は、卒中、外傷性脳損傷及び脊椎損傷、癲癇、統合失調症、中枢神経腫瘍(例えば、神経膠腫、グリア芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫)、筋肉痙縮と関連する疾患及び慢性の神経変性疾患(特に、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS))、さらに、痙攣、痛み、吐き気、嘔吐への影響、偏頭痛、排尿障害、退薬症候群、又は不安症を治療する方法であって、一般式(I)(ここで、キラル炭素原子の配置はR又はSであり;X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;RはC1〜4を表す)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される酸付加塩を、このような治療を必要とする患者に、薬学上有効な量で投与することを特徴とする治療法にある。
本発明による新規なキラルジヒドロ23ベンゾジアゼピン誘導体は、非常に有利な治療効果を発揮し、加えて、これらの化合物は、公知の活性な医薬成分と比べて、副作用が少なく、このため、公知の有効成分のように、危険な副作用を考慮することなく、治療用量を増大できる。
【0057】
さらに、本発明は、特定の化合物の合成について経済的なプロセスを提供する。一般式(X)について説明した高鏡像異性純度のアリール-2-プロパノール化合物は、ハンガリー国特許出願第P 04 1267号に記載のようにして調製され、これらは、立体選択的合成の原料物質として使用される。
【0058】
下記の実施例において、本発明をさらに詳述するが、これら実施例は、保護の範囲を限定するものではない。生成物及び中間体を、上記の合成法の符号に沿って下記に示す。実施例によって示される一般式の符号を、各実施例のタイトルにおいて示している。
立体選択的合成
【実施例1】
【0059】
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(XII)
(S)-α-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-エタノール20.0g(110.9ミリモル)及び3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒド18.31g(110.9ミリモル)のトルエン(220 ml)溶液に、濃塩酸16.2 ml(200ミリモル)を添加した。混合物を室温において24時間撹拌した。沈殿した結晶を濾過し、トルエン30mlずつにて3回、水30mlずつにて3回、ついで、エタノール20mlにて洗浄した。濾液を、水200 ml、飽和炭酸ナトリウム溶液100 ml、ついで、水100 ml(3回)にて洗浄し、無水の硫酸ナトリムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。残渣を反応混合物から濾過した結晶と合せ、熱いエタノール400 mlに溶解し、ついで、室温において16時間結晶化させた。沈殿した結晶を濾取し、エタノール30mlずつにて3回洗浄した。
このようにして、題記生成物21.35gを得た(収率:59%)。
融点:150〜152℃
[α]20D=+29.2ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1483, 1360, 1241, 1038 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=9.0 Hz, 1H), 7.31 (m, 2H), 6.59(s, 1H), 6.07(s, 1H), 5.87(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.85(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.66(s, 1H), 3.97(m, 1H), 2.82(dd, J1=10.9 Hz, J2=16.0 Hz, 1H), 2.68(dd, J1=1.9 Hz, J2=16.1 Hz, 1H), 2.59(s, 3H), 1.38(d, J=6.1 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):148.71, 147.67, 146.54, 146.05, 134.05, 132.82, 129.40, 127.21, 127.06, 124.99, 108.31, 106.08, 100.85, 79.84, 71.40, 36.31, 21.65, 20.55 ppm
【実施例2】
【0060】
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(XII)
実施例1に従って、ただし、原料物質として、(R)-α-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-エタノールを使用して反応を行った。
このようにして、題記生成物を得た(収率:84%)
融点:151〜153℃
[α]20D=−29.5ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1483, 1360, 1241, 1038 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=9.0 Hz, 1H), 7.31 (m, 2H), 6.59(s, 1H), 6.07(s, 1H), 5.87(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.85(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.66(s, 1H), 3.97(m, 1H), 2.82(dd, J1=10.9 Hz, J2=16.0 Hz, 1H), 2.68(dd, J1=1.9 Hz, J2=16.1 Hz, 1H), 2.59(s, 3H), 1.38(d, J=6.1 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):148.71, 147.67, 146.54, 146.05, 134.05, 132.82, 129.40, 127.21, 127.06, 124.99, 108.31, 106.08, 100.85, 79.84, 71.40, 36.31, 21.65, 20.55 ppm
【実施例3】
【0061】
(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
工程A
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン-5-オール(XIII)
ジメチルスルホキシド23ml及びジメチルホルムアミド83mlの混合物中に(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン9.82g(30.0ミリモル)を含有する溶液を、氷-水浴において冷却し、ついで、10N 水酸化ナトリウム水溶液4.2ml(42.0ミリモル)を添加した。室温において、6時間、反応混合物を通して空気を発泡させた。ついで、反応混合物を、1N塩酸230 ml(230.0ミリモル)にゆっくりと添加し、氷-水にて冷却した。沈殿した生成物を濾取し、水にて洗浄し、恒量(9.15g)となるまで乾燥した。生成物は異性体の混合物であり、さらに精製することなく、次の反応工程において使用した。
IR(KBr):3442, 1521, 1484, 1346, 1238, 1037 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): (主異性体) 7.92(d, J=9.2 Hz, 1H), 7,54(m, 2H), 6.57(s, 1H), 6.41(s, 1H), 6.48(s, 1H), 5.87(d, J=0.9 Hz, 1H), 5.85(d, J=1.5 Hz, 1H), 4.38(m, 1H), 3.34,(bs, 1H), 2.65-2.85(m, 2H), 2.59(s, 3H), 1.41(d, J=6.2 Hz, 3H), (副異性体) 7.98(d, J=8.3 Hz, 1H), 7.69(d, J=1.7 Hz, 1H), 7.68(dd, J1=1.7 Hz, J2=7.5 Hz, 1H), 6.88(s, 1H), 6.75(s, 1H), 6.05(d, J=0.8 Hz 1H), 6.04(d, J=0.8 Hz, 1H), 3.98(m, 1H), 3.15,(bs, 1H), 2.65-2.85(m, 2H) 2.63(s, 3H), 1.42(d, J=6.0 Hz, 3H) ppm
【0062】
工程B
(S)-酢酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XIV)
(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン-5-オール(工程Aで調製した)3.68g(10.7ミリモル)の
イソプロパノール(26ml)溶液に、酢酸ヒドラジド1.03g(13.9ミリモル)及び濃塩酸0.22 ml(2.67ミリモル)を添加した。
溶液を6時間沸騰させ、ついで、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル100 mlに溶解し、ついで、得られた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、ついで、飽和塩化ナトリウム溶液50mlずつにて3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。
乾燥剤を濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。生成物は、混合比約1:1のE及びZ異性体の混合物でなる黄色のオイルであり(3.78g,88%)であり、さらに精製することなく、次の反応工程で使用できた。
IR(KBr):3420, 1675, 1517, 1485, 1342, 1229, 1037cm-1
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz):8.95(bs, 0.5H), 8.79(bs, 0.5H), 7.94(d, J=8.4 Hz, 0.5H), 7.94(d, J=9.2 Hz), 7.53(m, 2H), 6.97(s, 0.5H), 6.94(s, 0.5H), 6.50(s, 0.5H), 6.07(d, J=1.2 Hz, 0.5H), 6.04(d, J=1.2 Hz, 0.5H), 6.02(d, J=1.2 Hz, 0.5H), 3.88(m, 0.5H), 3.72(m, 0.5H), 2.59(s, 3H), 2.42(s, 1.5H), 2.38(s, 1.5H), 2.20-2.40(m, 2H), 1.10(d, J=6.1 Hz, 1.5H), 1.10(d, J=6.1Hz, 1.5H) ppm
【0063】
工程C
(S)-酢酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XV)
(S)-酢酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(工程Bで調製した)3.78g(9.5ミリモル)のジクロロメタン(38ml)溶液に、トリメチルアミン1.94 ml(14ミリモル)を添加し、ついで、反応混合物を、氷-水にて、温度0〜5℃に冷却した。ついで、反応混合物に、塩化メタンスルホニル0.77 ml(9.9ミリモル)を1滴ずつ添加し、反応混合物を冷たい状態に維持して、さらに3時間撹拌した。混合物をジクロロメタン30mlにて希釈し、水30ml、1N塩酸30ml、飽和塩化ナトリウム溶液30mlずつにて3回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、有機相を減圧下で蒸発させた。このようにして、光学活性ヒドラジドの混合物として黄色のオイル4.36gを得て、さらに精製することなく、次の反応工程において使用した。
【0064】
工程D
メタノール90ml中に、(S)-酢酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(工程Cで調製した)4.36gを溶解させた。氷-水にて、溶液を温度0〜5℃に冷却し、10N水酸化ナトリウム水溶液1.0ml(10.0ミリモル)を添加した。反応混合物を3時間撹拌し、ついで、減圧下で蒸発させた。さらに水30mlによって残渣を固化させ、濾過し、水5mlずつで5回洗浄した。ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を使用し、得られた粗製の生成物を、シリカゲル上にてクロマトグラフィー処理した。生成物をイソプロパノールから再結晶した。
このようにして、所望の生成物1.93gを得た(イソクロマン化合物について算定した収率:30%)。
生成物の融点:124〜127℃
[α]20D=−44.4ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1682, 1658, 1503, 1341, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.02(s, 2H), 5.36(m, 1H), 300(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, J2=14.6Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 2.29(s, 3H), 1.08(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66, 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71 , 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例4】
【0065】
(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/R)
ジクロロメタン100 ml及びメタノール10mlの混合物に、(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.91g(5.0ミリモル)を溶解し、10%パラジウム/炭0.10gの存在下、圧力5.065 105 Pa、室温において、1.5時間で水素化した。水素化反応が終了した後、触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、粗製の生成物をメタノール20mlから再結晶した。
このようにして、所望の化合物1.41gを得た(80%)。
融点:123〜130℃
[α]20D=−479.3ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3484, 1658, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):7.47 (d, J=1.3 Hz, 1H),7.32(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.77(s, 1H), 6.65(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.58(s, 1H), 6.01(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.97(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.21(m, 1H), 3.99(bs, 2H), 2.66(m, 2H), 2.19(s, 3H) 2.01(s, 3H), 1.31(d, J=6.3 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:173.91 , 168.63, 149.02, 147.94, 146.08, 135.19, 131.61 , 129.25, 127.24. 125.97, 121.61, 113.97, 109.28, 108.63, 101.44, 61.21, 38.77, 22.53, 18.20, 17.29 ppm
【実施例5】
【0066】
(S)-(+)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
実施例3に従い、ただし、原料物質として、(5RS,7R)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(実施例2)を使用して、反応を行った。
このようにして、題記生成物を得た(収率:30%)。
融点:123〜127℃
[α]20D=+44.2ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1682, 1658, 1503, 1341, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s,1H), 6.02(s, 2H), 5.36(m, 1H), 3.00(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, J2=14.6Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 2.29(s, 3H), 1.08(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66, 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71, 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例6】
【0067】
(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/S)
実施例4に記載のモル比、反応条件及び反応混合物の処理に従い、ただし、原料物質として、(S)-(+)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(実施例5)を使用して、反応を行った。題記生成物を収率80%で得た。
融点:122〜130℃
[α]20D=+478.1ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3484, 1658, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):7.47 (d, J=1.3 Hz, 1H),7.32(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.77(s, 1H), 6.65(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.58(s, 1H), 6.01(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.97(d, J=1.4 Hz, 1H), 5.21(m, 1H), 3.99(bs, 2H), 2.66(m, 2H), 2.19(s, 3H) 2.01(s, 3H), 1.31(d, J=6.3 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:173.91, 168.63, 149.02, 147.94, 146.08, 135.19, 131.61 , 129.25, 127.24, 125.97, 121.61, 113.97, 109.28, 108.63, 101.44, 61.21, 38.77, 22.53, 18.20, 17.29 ppm
【実施例7】
【0068】
(R)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
実施例3に記載のモル比、反応条件及び反応混合物の処理に従い、ただし、原料物質として、(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(実施例1)を使用し、工程Bにおける酸ヒドラジドとしてプロピオン酸ヒドラジドを使用して、反応を行った。
生成物は、さらに精製することなく使用できた。
1H-NMR (CDCl3):8.00(1H, d, J=9.6 Hz), 7.54(2H, m), 6.77 (1H, s), 6.49(1H, s), 6.01(2H, s), 5.37(1H, m), 2.98(1H, dd, J=14.5, J=3.4 HZ), 2.76(1H, dd, J=14.6, J=8.7 Hz), 2.66(2H, m), 2.64(3H, s), 1.14(3H, t, J=7.4 Hz), 1.09(3H, d, J=6.5 Hz) ppm
【実施例8】
【0069】
(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/R)
ジクロロメタン100 ml及びメタノール10mlの混合物中で、(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.91g(5.0ミリモル)を、10%パラジウム/炭触媒0.10gの存在下、圧力5.065 105 Pa、室温において、1.5時間で水素化した。水素化反応が終了した後、触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、粗製の生成物をメタノール20mlから再結晶した。
このようにして、所望の生成物1.40gを得た(80%)。
融点:175〜177℃
[α]20D=−415.4ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3355, 3245, 1631, 1038cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):7.46 (bs, 1H), 7.33(dd, J1=1.8 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 6.66(d, J=8.3 Hz, 1H), 6.57(s, 1H), 6.00(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.95(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.21(m, 1H) 4.05(b, 1H), 2.65(m, 2H), 2.47(m, 1H), 1.19(m, 1H), 2.19(s, 3H), 1.30(d, J=6.4 Hz, 3H), 1.03(t, J=7.5 Hz, 3H) ppm
【実施例9】
【0070】
(S)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
実施例3に記載のモル比、反応条件及び反応混合物の処理に従い、ただし、原料物質として、(5RS,7R)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン(実施例2)を使用し、工程Bにおける酸ヒドラジド化合物として、プロピオン酸ヒドラジドを使用して、反応を行った。
生成物は、さらに精製することなく使用できた。
1H-NMR (CDCl3):8.00(1H, d, J=9.6 Hz), 7.54(2H, m), 6.77 (1H, s), 6.49(1H, s), 6.01(2H, s), 5.37(1H, m), 2.98(1H, dd, J=14.5, J=3.4 Hz), 2.76(1H, dd, J=14.6, J=8.7 Hz), 2.66(2H, m), 2.64(3H, s), 1.14(3H, t, J=7.4 Hz), 1.09(3H, d, J=6.5 Hz) ppm
【実施例10】
【0071】
(S)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/S)
ジクロロメタン100 ml及びメタノール10mlの混合物中で、(S)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.91g(5.0ミリモル)を、10%パラジウム/炭触媒0.10gの存在下、圧力5.065 105 Pa、室温において、1.5時間で水素化した。水素化反応が終了した後、触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、粗製の生成物をメタノール20mlから再結晶した。
このようにして、所望の生成物1.40gを得た(80%)。
融点:176〜178℃
[α]20D=+433.7ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3355, 3245, 1631 1038cm-1
1H-NMR (CDCI3, i400):7.46 (bs, 1H), 7.33(dd, J1=1.8 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 6.66(d, J=8.3 Hz, 1H), 6.57(s, 1H), 6.00(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.95(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.21(m, 1H) 4.05(b, 1H), 2.65(m, 2H), 2.47(m, 1H), 1.19(m, 1H), 2.19(s, 3H), 1.30(d, J=6.4 Hz, 3H), 1.03(t, J=7.5 Hz, 3H) ppm
【実施例11】
【0072】
(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン(XII)
(S)-(+)-1-(4-クロロフェニル)-2-プロパノール8.9g(52.0ミリモル)及び3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒド8.58g(52.0ミリモル)の無水ベンゼン(80ml)溶液に、乾燥した溶融性の無水塩化亜鉛末10.63g(78.0ミリモル)を添加し、ついで、激しく撹拌しながら、反応混合物に乾燥した塩酸ガスを5時間導入した。ついで、反応混合物を1.5時間還流した。有機相を、デカンテーションによって、融解した塩化亜鉛相から分離し、ついで、有機相をトルエン80mlずつと3回撹拌した。集めた有機相を合わせ、25%亜硫酸水素ナトリウム水溶液80mlずつ(5回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液80ml、水80mlずつ(3回)にて洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。残渣を熱いエタノール15mlに溶解し、冷蔵庫内に16時間保持した。沈殿した結晶を濾取し、エタノール5mlずつにて3回洗浄した。
このようにして、所望の生成物3.51gを得た(収率:21.2%)。
融点:142〜147℃
[α] D 20=+43.91ー(c=0.5, CHCl3), [α]43620=+120.76ー (c=0.5, CHCl3)
IR(KBr):1518, 1342, 1075 cm-1
1H-NMR (CDCI3):7.98(m, 1H), 7.31(m, 2H), 7.15(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 7.08(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.60(d, J=1.6 Hz, 1H), 5.70(s, 1H), 4.00(m, 1H), 2.85(dd, J1=10.7 Hz, J2=16.4 Hz, 1H), 2.78(dd, J1= 2.9 Hz, J2=16.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.40(d, J=6.1 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):146.73, 138.30 134.22, 132.90, 132.38, 131.83, 130.15 127.28, 127.13, 126.08, 125.15, 79.59, 71.51, 35.69, 21.72, 20.60 ppm
【実施例12】
【0073】
(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン(XII)
(R)-(−)-1-(4-クロロフェニル)-2-プロパノール8.53g(50.0ミリモル)及び3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒド8.25g(50.0ミリモル)の無水ベンゼン(80ml)溶液に、乾燥した溶融性の無水塩化亜鉛末10.22g(75.0ミリモル)を添加し、ついで、激しく撹拌しながら、反応混合物に、乾燥した塩酸ガスを5時間導入した。ついで、反応混合物を1.5時間還流した。有機相を、デカンテーションによって、融解した塩化亜鉛相から分離し、ついで、有機相をトルエン80mlずつと3回撹拌した。集めた有機相を合わせ、25%亜硫酸ナトリウム水溶液80mlずつ(5回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液80ml、水80mlずつ(3回)にて洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。残渣を熱いエタノール15mlに溶解し、冷蔵庫内に16時間保持した。沈殿した結晶を濾取し、エタノール5mlずつにて3回洗浄した。
このようにして、所望の生成物3.42gを得た(収率:21.5%)。
融点:141〜144℃
[α] D 20=−43.19ー(c=0.5, CHCl3)
IR(KBr):1518, 1342, 1075 cm-1
1H-NMR (CDCl3):7.98(m, 1H), 7.31(m, 2H), 7.15(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 7.08(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.60(d, J=1.6 Hz, 1H), 5.70(s, 1H), 4.00(m, 1H), 2.85(dd, J1=10.7 Hz, J2=16.4 Hz, 1H), 2.78(dd, J1= 2.9 Hz, J2=16.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.40(d, J=6.1 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):146.73, 138.30, 134.22, 132.90, 132.38, 131.83, 130.15, 127.28, 127.13, 126.08, 125.15, 124.84, 79.59, 71.51, 35.69, 21.72, 20.60 ppm
【実施例13】
【0074】
(R)-(+)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(V)
工程A
(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール(XIII)
ジメチルスルホキシド8ml及びジメチルホルムアミド27mlの混合物中に(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン3.35g(10.0ミリモル)を含有する溶液を、氷-水浴において冷却し、ついで、10N 水酸化ナトリウム水溶液1.8ml(18.0ミリモル)を添加した。室温において、6時間、反応混合物を通して空気を発泡させた。ついで、反応混合物を、氷-水にて冷却した1N塩酸67ml(67ミリモル)に添加した。沈殿した生成物を濾取し、水にて洗浄し、恒量(3.65g)となるまで乾燥した。生成物は異性体の混合物であり、さらに精製することなく、次の反応工程において使用できた。
IR(KBr):3333, 1653, 1520, 1347, 1172, 1066 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.96(d, J=9.2 Hz, 1H), 7.56(m, 2H), 7.18(dd, J1=2.2 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 7.09(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.96(d, J=2.2 Hz, 1H),4.45(m, 1H), 2.80(m, 2H), 2.61(s, 3H), 1.43(d, J=6.2 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):149.38, 138.49, 133.72, 132.33, 132.18, 130.55, 129.97, 128.98, 128,47, 127.88, 124.84, 124.79, 97.26, 65.70, 35.55, 21.30, 20.70 ppm
【0075】
工程B
(S)-酢酸-[[5-クロロ-2-(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XIV)
工程Aで調製した(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール3.52g(10.0ミリモル)のイソプロパノール(15ml)溶液に、酢酸ヒドラジド1.16g(15.7ミリモル)及び濃塩酸0.23 ml(2.8ミリモル)を添加した。
溶液を6時間沸騰させ、ついで、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル100 mlに溶解し、得られた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液50mlにて、飽和塩化ナトリウム溶液50mlずつ(3回)にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。生成物は、混合比約1:1のE及びZ異性体の混合物でなる黄色のオイル(3.66g、94%)であった。混合物は、さらに精製することなく、次の反応工程で使用できた。
IR(KBr):3423, 1670, 1518, 1339, 732 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.95(m, 1H), 7.46(m, 4H), 7.15(m, 0.5H), 7.09(m, 0.5H), 3.93(m, 0.5H), 3.71(m, 0.5H), 5.59(s, 3H), 2.42(s, 1.5H), 2.39(m, 2H), 2.35(s, 1.5H), 1.14(d, J=6.1 Hz, 1.5H), 1.13(d, J=6.2 Hz, 1.5H) ppm
【0076】
工程C
(S)-酢酸-[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XV)
工程Bに従って調製した(S)-酢酸-[[5-クロロ-2-(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド3.66g(9.38ミリモル)のジクロロメタン(30ml)溶液に、トリメチルアミン1.93 ml(15ミリモル)を添加し、ついで、反応混合物を温度0〜5℃に冷却した。反応混合物に、塩化メタンスルホニル0.86 ml(11.0ミリモル)を1滴ずつ添加し、反応混合物を冷たい状態に維持して、さらに4時間撹拌した。ついで、混合物をジクロロメタン30mlにて希釈し、水25ml、1N塩酸25ml、飽和塩化ナトリウム溶液25mlずつ(3回)にて洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、真空下で、溶液を蒸発させた。このようにして、光学活性ヒドラジドの混合物である黄色のオイル4.14g(94%)を得て、さらに精製することなく、次の反応工程において使用した。
IR(KBr):3181, 1683, 1520, 1330, 1172 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):8.33(bs, 0.4*1H), 8.30(bs, 0.6*1H), 7.38−7.56(m,4H), 7.16(d, J=2.2 Hz 0.4*1H), 7.14(d, J=2.2 Hz, 0.6*1H), 4.83(m, 1H), 2.90(s, 0.6*3H), 2.83(s, 0.4*1H), 2.65(m, 2H), 2.60(s, 0.4*3H), 2.59(s, 0.6*3H),2.48(s, 0.6*3H)), 2.47(s, 0.4*3H), 1.32(d, J=6.5 Hz, 0.4*3H), 1.31(d, J=6.3 Hz, 0.4*3H) ppm
【0077】
工程D
(R)-(+)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(V)
メタノール62ml中に、(S)-酢酸-[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド4.14g(8.8ミリモル)を溶解させた。氷-水にて、溶液を温度0〜5℃に冷却し、10N水酸化ナトリウム水溶液1.0ml(10.0ミリモル)を添加した。反応混合物を4時間撹拌し、ついで、真空下で蒸発させた。さらに水30mlによって残渣を固化させ、ついで濾過し、水5mlずつで5回洗浄した。ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を使用し、得られた粗製の生成物を、シリカゲル上にてクロマトグラフィー処理した。生成物をイソプロパノールから再結晶した。
このようにして、所望の生成物1.25gを得た(イソクロマン化合物について算定した収率:33.6%)。
生成物の融点:165〜167℃
[α]D=+140.0ー(c=1, CHCl3)
IR(KBr):1682, 1658,1503 1341, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6,02((s, 2H), 5.36(m, 1H),3.00(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71, 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例14】
【0078】
(S)-(−)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(V)
工程A
(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール(XIII)
ジメチルスルホキシド8ml及びジメチルホルムアミド27mlの混合物に、(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン3.35g(10.0ミリモル)を溶解させ、氷-水浴において冷却し、ついで、10N 水酸化ナトリウム水溶液1.8ml(18.0ミリモル)を添加した。室温において、4時間、反応混合物を通して空気を発泡させた。反応混合物を、氷-水にて冷却した1N塩酸67ml(67ミリモル)に添加した。沈殿した生成物を濾取し、水にて洗浄し、恒量(3.59g)となるまで乾燥した。生成物は異性体の混合物であり、さらに精製することなく、次の反応工程において使用できた。
IR(KBr):3333, 1653, 1520, 1347, 1172, 1066 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.96(d, J=9.2 Hz, 1H), 7.56(m, 2H), 7.18(dd, J1=2.2 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 7.09(d, J=8.2 Hz, 1H), 6.96(d, J=2.2 Hz, 1H),4.45(m, 1H), 2.80(m,2H), 2.61(s, 3H), 1.43(d, J=6.2 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCl3):149.38, 138.49, 133.72, 132.33, 132.18, 130.55, 129.97, 128.98, 128.47, 127.88, 124.84, 124.79, 97.26, 65.70, 35.55, 21.30, 20.70 ppm
【0079】
工程B
(R)-酢酸-[[5-クロロ-2-(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XIV)
工程Aで調製した(1RS,3R)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール3.52g(10.0ミリモル)のイソプロパノール(25ml)溶液に、酢酸ヒドラジド1.16g(15.7ミリモル)及び濃塩酸0.23 ml(2.8ミリモル)を添加した。溶液を6時間沸騰させ、ついで、室温まで冷却し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル100 mlに溶解し、ついで、得られた溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液50mlにて、ついで、飽和塩化ナトリウム溶液50mlずつ(3回)にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。乾燥剤を濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させた。生成物は、混合比約1:1のE及びZ異性体の混合物でなる黄色のオイル(3.69g、95%)であった。生成物は、さらに精製することなく、次の反応工程で使用できた。
IR(KBr):3423, 1670, 1518, 1339, 732 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.95(m, 1H), 7.46(m, 4H), 7.15(m, 0.5H), 7.09(m, 0.5H), 3.93(m, 0.5H), 3.71(m, 0.5H), 5.59(s, 3H), 2.42(s, 1.5H), 2.39(m, 2H), 2.35(s, 1.5H), 1.14(d, J=6.1 Hz, 1.5H), 1.13(d, J=6.2 Hz, 1.5H) ppm
【0080】
工程C
(R)-酢酸-[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド(XIV)
工程Bに従って調製した(R)-酢酸-[[5-クロロ-2-(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド3.69g(9.46ミリモル)のジクロロメタン(30ml)溶液に、トリメチルアミン1.93 ml(15ミリモル)を添加し、ついで、反応混合物を温度0〜5℃に冷却した。反応混合物に、塩化メタンスルホニル0.86 ml(11.0ミリモル)を1滴ずつ添加し、反応混合物を冷たい状態に維持して、さらに4時間撹拌した。ついで、混合物をジクロロメタン30mlにて希釈し、水25ml、1N塩酸25ml、飽和塩化ナトリウム溶液25mlずつ(3回)にて洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、真空下で、溶媒を蒸発させた。このようにして、光学活性ヒドラジドの混合物である黄色のオイル4.12g(93%)を得て、さらに精製することなく、次の反応工程において使用した。
IR(KBr):3181, 1683, 1520, 1330, 1172 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):8.33(bs, 0.4*1H), 8.30(bs, 0.6*1H), 7.38−7.56(m,4H), 7.16(d, J=2.2 Hz 0.4*1H), 7.14(d, J=2.2 Hz, 0.6*1H), 4.83(m, 1H), 2.90(s, 0.6*3H), 2.83(s, 0.4*1H), 2.65(m, 2H), 2.60(s, 0.4*3H), 2.59(s, 0.6*3H),2.48(s, 0.6*3H)), 2.47(s, 0.4*3H), 1.32(d, J=6.5 Hz, 0.4*3H), 1.31(d, J=6.3 Hz, 0.4*3H) ppm
【0081】
工程D
(S)-(−)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(V)
メタノール62ml中に、(R)-酢酸-[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド4.12g(8.8ミリモル)を溶解させた。氷-水にて、溶液を温度0〜5℃に冷却し、10N水酸化ナトリウム水溶液1.0ml(10.0ミリモル)を添加した。反応混合物を4時間撹拌し、ついで、真空下で蒸発させた。さらに水30mlによって残渣を固化させ、ついで濾過し、水5mlずつで5回洗浄した。ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を使用し、得られた粗製の生成物を、シリカゲル上にてクロマトグラフィー処理した。生成物をエタノールから再結晶した。
このようにして、生成物1.28gを得た(イソクロマン化合物について算定した収率:34.4%)。
生成物の融点:164〜167℃
[α]D=−138.6°(c=1, CHCl3
IR(KBr):1682, 1658, 1503, 1341, 1039cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s,1H), 6.02(s, 2H), 5.36(m, 1H), 3.00(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, J2=14.6Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 2.29(s, 3H), 1.08(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66, 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71, 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例15】
【0082】
(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(I/R)
メタノール20ml及びジクロロメタン6mlの混合物に、(R)-(+)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(実施例13による)1.15g(3.1ミリモル)を溶解した。激しく撹拌しながら、反応混合物に、ラネーニッケル触媒約0.5g、ついで、98%ヒドラジン水化物0.54 ml(11.1ミリモル)を添加した。
還元は1時間で進行し、激しいガスの発生及び反応混合物の温度のわずかな上昇を伴うものであった。
還元の終了後、触媒を反応混合物から濾去し、反応混合物を真空下で蒸発させ、粗製の生成物を水20mlにて処理し、固化させた。
このようにして、化合物0.92gを得た(87%)。融点は100〜103℃である。生成物の光学純度は、99.7 e.e.(キラルHPLCによって測定)より大である。
[α] D20=−637.3°(c=1, CHCl3)
IR(KBr):3453, 3335, 3222, 1625 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz):7.48(d, J=1.3 Hz 1H), 7.35(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.1 Hz 1H),7.28(dd, J1=2.0 Hz, J2=8.2 Hz, 1H),7.22(d, J78.2 Hz, 1H), 7.12(d, J=2.2 Hz, 1H), 6.67(d, J=8.3 Hz 1H), 5.21(m, 1H), 4.01(bs, 2H), 2.79(dd, J1=5.5 Hz, J2=13.7 Hz, 1H), 2.65(dd, J1=12.0 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.20(s, 3H),1.30(d, J=6.4 Hz, 3H)ppm
13C-NMR: 172.14, 169.21, 148.14, 138.46, 135.83, 132.35, 131.43, 130.27, 129.40, 129.24, 128.72 125.45, 121.79, 114,03, 60.47, 38.28, 22.60, 18.32, 17.32 ppm
【実施例16】
【0083】
(S)-(+)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(I/S)
メタノール20ml及びジクロロメタン6mlの混合物に、(S)-(−)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン(実施例14による)1.15g(3.1ミリモル)を溶解した。激しく撹拌しながら、反応混合物に、ラネーニッケル触媒約0.5g、ついで、98%ヒドラジン水化物0.54 ml(11.1ミリモル)を添加した。
還元は1時間で進行し、激しいガスの発生及び反応混合物の温度のわずかな上昇を伴うものであった。
還元の終了後、触媒を反応混合物から濾去し、反応混合物を真空下で蒸発させ、粗製の生成物を水20mlにて処理し、固化させた。
このようにして、化合物0.94gを得た(89%)。融点は100〜103℃である。生成物の光学純度は、99.7 e.e.(キラルHPLCによって測定)より大である。
[α] D20=+635.1ー(c=1, CHCl3)
IR(KBr):3453, 3335, 3222, 1625 cm-1
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz):7.48(d, J=1.3 Hz 1H), 7.35(dd, J1=2.1 Hz, J2=8.1 Hz 1H), 7.28(dd, J1=2.0 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 7.22(d, J78.2 Hz, 1H), 7.12(d, J=2.2 Hz, 1H), 6.67(d, J=8.3 Hz 1H), 5.21(m, 1H), 4.01(bs, 2H), 2.79(dd, J1=5.5 Hz, J2=13.7 Hz, 1H), 2.65(dd, J1=12.0 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.20(s, 3H), 1.30(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR: 172.14, 169.21, 148.14, 138.46, 135.83, 132.35, 131.43, 130.27, 129.40, 129.24, 128.72 125.45, 121.79, 114.03, 60.47, 38.28, 22.60, 18.32, 17.32 ppm
【0084】
B.ジカルボン酸にてアシル化したジヒドロ23ベンゾジアゼピン誘導体を経由するプロセス
【実施例17】
【0085】
4-(8-メチル-5(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸(III)
ジクロロメタン50ml中に無水マレイン酸6.2g(0.063ミリモル)を含有する溶液を、温度3〜6℃において、30分間で、8-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン9.8g(0.0289モル)、トリエチルアミン5ml(0.0357モル)及びクロロメタン80mlの混合物に添加した。ついで、反応混合物を還流温度において3時間撹拌し、室温に冷却した。有機相を5%塩酸水溶液25mlずつにて3回、及び水30mlずつにて2回抽出し、ついで、硫酸マグネシウムにて乾燥し、真空下で蒸発させた。残渣にヘキサンを添加し、真空下で蒸発させ、ついで、ジイソプロピルエーテルを添加し、再度、蒸発させた。残渣にジイソプロピルエーテル80mlを添加し、2時間撹拌した。得られた結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテルにて洗浄し、赤外線ランプの下で乾燥させた。
このようにして、題記の生成物10.88g(86.2%)を得た。
融点:158〜160℃
IR(KBr):3450, 3091, 2415, 1720,1341 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):8.02(d, J=8.2 Hz, 1H), 7.61(m, 2H), 6.97(d, J=13.1 Hz, 1H), 6.85(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.37(d, J=13.1 Hz, 1H), 6.08(d, J=1.3 Hz, 1H), 6.05(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.37(m, 1H), 2.90(dd, J1=4.7 Hz, J2=14.4 Hz, 1H), 2.75(dd, J1=11.3 Hz, J2=14.3 Hz, 1H), 2.65(s, 3H), 1.35(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(CDCI3:i400):169.52, 165.05, 163.72, 150.78, 150.52, 146.99, 140.40, 135.34, 134.78, 133.90, 133.67, 128.31, 128.09, 124.93, 124.85, 109.25, 109.14, 102.13, 62.87, 37.97, 20.39, 18.28 ppm
【実施例18】
【0086】
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸のR-(+)-α-メチル-ベンジルアミンとの塩(IV)
4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸(III)の酢酸エチル(310 ml)溶液に、室温において、R-(+)-α-メチル-ベンジルアミン1.57 mlを添加した。室温において2時間撹拌した後、沈殿した結晶を濾取し、酢酸エチル及びジエチルエーテルにて洗浄した。得られた粗製の生成物を酢酸エチルから再結晶した。
このようにして、題記の生成物2.48g(72%)を得た。
融点:148〜150℃
[α]20D:+122.6ー(c=1, CH3OH)
IR(KBr):3440, 2974, 1670, 1625, 1517, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):8.01(d, J=8.3 Hz, 1H), 7.60(m, 2H), 7.44(m, 1H), 7.32(m, 4H), 6.86(d, J=12.9 Hz, 1H), 6.82(s, 1H), 6.48(s, 1H), 6.31(d, J=12.9 Hz, 1H), 6.06(d, J=1.2 Hz, 1H), 6.04(d, J=1.2 Hz, 1H), 5.31(m, 1H), 4.32(q, J=6.8 Hz, 1H), 2.89(dd, J1=4.4 Hz, J2=14.5 Hz, 1H), 2.73(dd, J1=10.9 Hz, J2=14.5 Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 1.62(d. J=6.9 Hz, 1H), 1.28(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
【実施例19】
【0087】
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸のS-(−)-α-メチル-ベンジルアミンとの塩(IV)
4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸(III)の酢酸エチル(310 ml)溶液に、室温において、R-(+)-α-メチル-ベンジルアミン1.57 mlを添加した。室温において2時間撹拌した後、沈殿した結晶を濾取し、酢酸エチル及びジエチルエーテルにて洗浄した。得られた粗製の生成物を酢酸エチルから再結晶した。
このようにして、題記の生成物2.45g(70.6%)を得た。
融点:148〜150℃
[α]20D:−124.1ー(c=1, CH3OH)
IR(KBr):3440, 2974, 1670, 1625, 1517, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):8.01(d, J=8.3 Hz, 1H), 7.60(m, 2H), 7.44(m, 1H), 7.32(m, 4H), 6.86(d, J=12.9 Hz, 1H), 6.82(s, 1H), 6.48(s, 1H), 6.31(d, J=12.9 Hz, 1H), 6.06(d, J=1.2 Hz, 1H), 6.04(d, J=1.2 Hz, 1H), 5.31(m, 1H), 4.32(q, J=6.8 Hz, 1H), 2.89(dd, J1=4.4 Hz, J2=14.5 Hz, 1H), 2.73(dd, J1=10.9 Hz, J2=14.5 Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 1.62(d. J=6.9 Hz, 1H), 1.28(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
【実施例20】
【0088】
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸(III/A)
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸のR-(+)-α-メチル-ベンジルアミン塩9.3g(0.0167モル)を、ジクロロメタン94ml中で撹拌し、この混合物に、濃塩酸及び水の混合物(混合比1:1)94mlを添加した。混合物をさらに15分間撹拌した。有機相を分離し、濃塩酸及び水の混合物(混合比1:1)70mlずつにて2回、ついで、水150 mlずつにて2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、真空下で蒸発させ、残渣にヘキサン100 mlずつを2回添加し、真空下で蒸発させた。残渣を、室温において、ジイソプロピルエーテル125 mlと共に撹拌し、沈殿した結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテル30mlずつにて3回洗浄し、赤外線ランプの下で乾燥した。
このようにして、題記の生成物6.13g(84.2%)を得た。
融点:170〜172℃
[α]20D=+349.5ー(c=1, CHCI3)
IR(KBr):3450,3091,2415,1720,1341 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):8.02(d, J=8.2 Hz, 1H), 7.61(m, 2H),6.97(d, J=13.1 Hz, 1H), 6.85(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.37(d, J=13.1 Hz 1H),6.08(d, J=1.3 Hz, 1H), 6.05(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.37(m, 1H), 2.90(dd, J1=4.7 Hz, J2=14.4 Hz, 1H), 2.75(dd, J1=11.3 Hz, J2=14.3 Hz, 1H), 2.65(s, 3H), 1.35(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR (CDCl3, i400):169.52, 165.05, 163.72, 150.78, 150.52, 146.99, 140.40, 135.34, 134.78, 133.90, 133.67, 128.31, 128.09, 124.93, 124.85, 109.25, 109.14, 102.13, 62.87, 37.97, 20.39, 18.28 ppm
【実施例21】
【0089】
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸(III/A)
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸のS-(−)-α-メチル-ベンジルアミン塩9.3g(0.0167モル)を、ジクロロメタン94ml中で撹拌し、濃塩酸及び水の混合物(混合比1:1)94mlを添加し、ついで、混合物をさらに15分間撹拌した。有機相を分離し、濃塩酸及び水の混合物(混合比1:1)70mlずつにて2回、ついで、水150 mlずつにて2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥し、真空下で蒸発させ、残渣にヘキサン100 mlずつを2回添加し、真空下で蒸発させた。残渣を、室温においてジイソプロピルエーテル125 mlと共に撹拌し、沈殿した結晶を濾取し、ジイソプロピルエーテル30mlずつにて3回洗浄し、赤外線ランプの下で乾燥した。
このようにして、題記の生成物6.20g(85.2%)を得た。
融点:170〜172℃
[α]20D:−350.2ー(c=1, CHCI3)
IR(KBr):3450,3091,2415,1720,1341 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):8.02(d, J=8.2 Hz, 1H), 7.61(m, 2H),6.97(d, J=13.1 Hz, 1H), 6.85(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.37(d, J=13.1 Hz 1H),6.08(d, J=1.3 Hz, 1H), 6.05(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.37(m, 1H), 2.90(dd, J1=4.7 Hz, J2=14.4 Hz, 1H), 2.75(dd, J1=11.3 Hz, J2=14.3 Hz, 1H), 2.65(s, 3H), 1.35(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR (CDCl3, i400):169.52, 165.05, 163.72, 150.78, 150.52, 146.99, 140.40, 135.34, 134.78, 133.90, 133.67, 128.31, 128.09, 124.93, 124.85, 109.25, 109.14, 102.13, 62.87, 37.97, 20.39, 18.28 ppm
【実施例22】
【0090】
(S)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(II/A)
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸6.0g(0.0137モル)のテトラヒドロフラン(136 ml)溶液に、水36ml及び30%過酸化水素溶液15.2 mlを添加した。ついで、混合物に、水51mlに溶解した水酸化リチウム4.8gの溶液を添加し、50℃に2時間維持した、反応が終了した後、有機相を真空下で蒸発させ、ついで、水相をジクロロメタンにて3回洗浄した。合せた有機相を、5%炭酸ナトリウム水溶液にて及び水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。ジクロロメタンを含有する相を真空下で蒸発させ、残渣を、メタノール中で30分間沸騰させ、氷-水にて冷却し、結晶を濾取した。
このようにして、題記の生成物3.21g(69.2%)を得た。
融点152〜155℃
[α]20D=−152.9ー(c=1, CHCI3)
IR(KBr):1035, 1250, 1335, 1504, 3386 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=8.5 Hz 1H), 7.53(m, 1H), 7.45(m, 1H), 6.74(s, 1H), 6.50(s, 1H), 5.98(s, 2H), 5.59(bs, 1H), 4.09(m. 1H), 2.86(dd, J1=4.0 Hz, J2=13.9 Hz, 1H), 2.64(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.27(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:150.25, 148.28, 145.86, 144.74, 135.57, 133.69, 132.40, 126.83, 126.78, 124.67, 109.05, 108.87, 101.35, 63.93, 40.10, 22.00, 20.72 ppm
【実施例23】
【0091】
(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(II/A)
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブテン-2カルボン酸6.0g(0.0137モル)のテトラヒドロフラン(136 ml)溶液に、水36ml及び30%過酸化水素溶液15.2 mlを添加した。ついで、混合物に、水51mlに溶解した水酸化リチウム4.8gを添加し、50℃に2時間維持した、反応が終了した後、有機相を真空下で蒸発させ、ついで、水相をジクロロメタンにて3回洗浄した。合せた有機相を、5%炭酸ナトリウム水溶液にて及び水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。ジクロロメタンを含有する相を真空下で蒸発させ、残渣を、メタノール中で30分間沸騰させ、氷-水にて冷却し、結晶を濾取した。
このようにして、題記の生成物3.16g(68.12%)を得た。
融点:152〜155℃
[α]20D=+152.9ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1035, 1250, 1335, 1504, 3386 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=8.5 Hz 1H), 7.53(m, 1H), 7.45(m, 1H), 6.74(s, 1H), 6.50(s, 1H), 5.98(s, 2H), 5.59(bs, 1H), 4.09(m. 1H), 2.86(dd, J1=4.0 Hz, J2=13.9 Hz, 1H), 2.64(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.27(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:150.25, 148.28, 145.86, 144.74, 135.57, 133.69, 132.40, 126.83, 126.78, 124.67, 109.05, 108.87, 101.35, 63.93, 40.10, 22.00, 20.72 ppm
【実施例24】
【0092】
(S)-(+)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
(S)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.70g(5.0ミリモル)及び無水酢酸10mlを、室温において、24時間撹拌した。撹拌後、混合物を、水100 ml及びジクロロメタン75mlの混合物に注加した。得られた混合物を1時間撹拌し、ついで、pH値が8に上昇するまで、炭酸ナトリウムを少量ずつ添加した。相を分離し、水相をジクロロメタン25mlずつにて2回抽出した。合せた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた粗製の生成物をメタノール15mlから再結晶した。
このようにして、所望の再結晶性生物1.62g(85%)を得た。
融点:124〜128℃
[α]20D=+44.2ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1682, 1658, 1503, 1341, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.02(s, 2H), 5.36(m, 1H), 3.00(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, J2=14.6Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 2.29(s, 3H), 1.08(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66, 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71, 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例25】
【0093】
(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.70g(5.0ミリモル)及び無水酢酸10mlの混合物を、室温において、24時間撹拌した。ついで、混合物を、水100 ml及びジクロロメタン75mlの混合物に注加し、得られた混合物を1時間撹拌した。その後、pH値が8に上昇するまで、炭酸ナトリウムを少量ずつ混合物に添加した。相を分離し、水相をジクロロメタン25mlずつにて2回抽出した。合せた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた粗製の生成物をメタノール15mlから再結晶した。
このようにして、所望の再結晶性生物1.61g(85%)を得た。
融点:124〜128℃
[α]20D=−44.4ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):1682, 1658, 1503, 1341, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):8.00(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.53(m, 2H), 6.76(s, 1H), 6.49(s, 1H), 6.02(s, 2H), 5.36(m, 1H), 3.00(dd, J1=3.2 Hz, J2=14.6 Hz, 1H), 2.76(dd, J1=8.5 Hz, J2=14.6Hz, 1H), 2.64(s, 3H), 2.29(s, 3H), 1.08(d, J=6.5 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:171.84, 154.56, 149.32, 146.27, 144.19, 135.40, 133.62, 133.32, 127.66, 125.58, 124.67, 109.54, 109.51, 101.71, 58.20, 38.38, 22.83, 20.59, 18.68 ppm
【実施例26】
【0094】
(S)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
(S)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.70g(5.0ミリモル)及び無水プロピオン酸10mlを、室温において、24時間撹拌した。ついで、混合物を、水100 ml及びジクロロメタン75mlの混合物に注加し、得られた混合物を1時間撹拌し、ついで、pH値が8に上昇するまで、炭酸ナトリウムを少量ずつ混合物に添加した。相を分離し、水相をジクロロメタン25mlずつにて2回抽出した。合せた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた粗製の生成物は、さらに精製することなく使用できた。
1H-NMR (CDCl3):8.00(1H, d, J=9.6 Hz), 7.54(2H, m), 6.77 (1H, s), 6.49(1H, s), 6.01(2H, s), 5.37(1H, m), 2.98(1H, dd, J=14.5, J=3.4 Hz), 2.76(1H, dd, J=14.6, J=8.7 Hz), 2.66(2H, m), 2.64(3H, s), 1.14(3H, t, J=7.4 Hz), 1.09(3H, d, J=6.5 Hz) ppm
【実施例27】
【0095】
(R)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(V)
(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン1.70g(5.0ミリモル)及び無水プロピオン酸10mlを、室温において、24時間撹拌した。ついで、混合物を、水100 ml及びジクロロメタン75mlの混合物に注加し、得られた混合物を1時間撹拌し、ついで、pH値が8に上昇するまで、炭酸ナトリウムを少量ずつ混合物に添加した。相を分離し、水相をジクロロメタン25mlずつにて2回抽出した。合せた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた粗製の生成物は、さらに精製することなく使用できた。
1H-NMR (CDCl3):8.00(1H, d, J=9.6 Hz), 7.54(2H, m), 6.77 (1H, s), 6.49(1H, s), 6.01(2H, s), 5.37(1H, m), 2.98(1H, dd, J=14.5, J=3.4 Hz), 2.76(1H, dd, J=14.6, J=8.7 Hz), 2.66(2H, m), 2.64(3H, s), 1.14(3H, t, J=7.4 Hz), 1.09(3H, d, J=6.5 Hz) ppm
【0096】
実施例19、18、20及び21によるニトロ化合物の還元を、対応する実施例(4、6、8及び10)に記載のようにして実施した。
C.光学活性アミンからなるジアステロマー塩を経由する分割
【実施例28】
【0097】
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-カルボン酸イミダゾリド(VI)
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.37g(10.0ミリモル)、1,1'-カルボニル-ジイミダゾール1.95g(12.0ミリモル)及び無水テトラヒドロフラン20mlの混合物を、15時間還流した。ついで、反応混合物を氷-水にて冷却し、沈殿した生成物を濾取し、ジエチルエーテル10mにて洗浄した。
このようにして、題記生成物3.90gを得た(収率:90%)。
融点:223〜226℃
1H-NMR((CD3)2SO):8.06(d, J=8.5 Hz, 1H), 7.96(s, 1H), 7.57(s, 1H), 7.54(dd, J=8.5 Hz, J=1.5 Hz, 1H), 7.38(s, 1H), 7.04(s, 1H), 7.13(s, 1H), 6.87(s, 1H), 6.13(d, J=0.8 Hz, 1H), 6.10(d, J=0.9 Hz, 1H), 5.08(m, 1H), 3.30(s, 1H), 3.05(dd, J=14.3, J=5.0 Hz, 1H), 2.73(dd, J=14.2, 10.2 Hz, 1H), 1.30(d. J=6.2 Hz, 3H) ppm
【実施例29】
【0098】
(+)-7-(N-(1(R)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(R)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(VII)
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-カルボン酸イミダゾリド11.08g(25.0ミリモル)の無水ジメチルホルムアミド(75ml)懸濁液に、(R)-フェニルエチルアミン3.82 ml(30.0ミリモル)を添加した。油浴を使用して、110℃において、反応混合物を24時間撹拌した。ついで、溶媒を圧力55Paで蒸発させ、残渣をジクロロメタン200 mlに溶解した。有機相を、水75ml、6N HCl 75ml、水75ml、飽和塩化ナトリウム水溶液75mlにて洗浄し、ついで、硫酸マグネシウムにて乾燥し、真空下で蒸発させた。このようにして得られた生成物を、エタノール150ml中で3時間沸騰させ、冷却させ、濾過した。濾過した生成物(融点201〜204℃を有する)5.22g(84%)を、エタノール100 ml中で3時間還流し、ついで、冷却し、濾過した。
このようにして、題記の生成物5.00gを得た(収率:82%)。
融点:202〜205℃
[α]20D=+157.3ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3420, 1688, 1482, 1353, 1037cm-1
1H-NMR (CDCl3):7.97(d, J=8.4 Hz, 1H), 7.36(m, 7H), 6.99(bd, J=8.0 Hz, 1H), 6.71(s, 1H), 6.48(s, 1H), 6.00(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.98(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.42(m, 1H), 5.02(~qn, J=7.3 Hz, 1H), 3.13(dd, J1=1.6 Hz, J2=14.7 Hz, 1H), 2.87(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.7 Hz, 1H), 2.58(s, 3H), 1.50(d, J=6.9 Hz, 3H), 0.93(d, J=6.6 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:155.08, 148.90, 148.44, 146.60, 146.03, 144.18, 142.23, 135.43, 133.80, 133.12, 128.71, 127.33, 127.24, 125.83, 125.46, 124.71, 110.15, 109.99, 101.62, 55.46, 50.15, 39.04, 22.98, 20.65, 19.64 ppm
【実施例30】
【0099】
(−)-7-(N-(1(S)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(S)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(VII)
実施例29に記載のモル比、反応条件及び反応混合物の処理法に従い、キラル塩基として(S)-フェニルエチルアミンを使用して、題記の生成物5.10g(82%)を得た。
融点:202〜204℃
[α]20D=−157.7ー(c=1, CHCI3)
IR(KBr):3420, 1688, 1482, 1353, 1037 cm-1
1H-NMR (CDCI3):7.97(d, J=8.4 Hz, 1H), 7.36(m, 7H), 6.99(bd, J=8.0 Hz, 1H), 6.71(s, 1H), 6.48(s, 1H), 6.00(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.98(d, J=1.3 Hz, 1H), 5.42(m, 1H), 5.02(~qn, J=7.3 Hz, 1H), 3.13(dd, J1=1.6 Hz, J2=14.7 Hz, 1H), 2.87(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.7 Hz, 1H), 2.58(s, 3H), 1.50(d, J=6.9 Hz, 3H), 0.93(d, J=6.6 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:155.08, 148.90, 148.44, 146.60, 146.03, 144.18, 142.23, 135.43, 133.80, 133.12, 128.71, 127.33, 127.24, 125.83, 125.46, 124.71, 110.15, 109.99, 101.62, 55.46, 50.15, 39.04, 22.98, 20.65, 19.64 ppm
【実施例31】
【0100】
(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(II/A)
(+)-7-(N-(1(R)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(R)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン12.16g(25.0ミリモル)及び33%臭化水素の酢酸溶液10mlの混合物を、閉鎖容器内で、室温において、24時間撹拌した。ついで、混合物を、氷-水にて冷却し、ついで、飽和塩化ナトリウム水溶液120 ml及び酢酸エチル12mlを添加した。20分間撹拌した後、沈殿した生成物を濾過した。得られた臭化水素酸塩を、酢酸エチル150 ml及び飽和炭酸ナトリウム溶液150 mlの混合物中で撹拌した。相を分離し、水相を酢酸エチル75mlずつで2回洗浄した。合せた有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液50mlにて洗浄し、ついで、硫酸マグネシウムにて乾燥し、真空蒸留によって、溶媒を除去した。得られた粗製の生成物をメタノール75ml中で30分間沸騰させ、氷-冷水にて冷却した。得られた結晶を濾過した。
このようにして、題記の生成物6.36g(75%)を得た。
融点:144〜147℃
[α]20D=+163.4ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3386,1504, 1335, 1250, 1035 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=8.5 Hz 1H), 7.53(m, 1H), 7.45(m, 1H), 6.74(s, 1H), 6.50(s, 1H), 5.98(s, 2H), 5.59(bs, 1H), 4.09(m. 1H), 2.86(dd, J1=4.0 Hz, J2=13.9 Hz, 1H), 2.64(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.27(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:150.25, 148.28, 145.86, 144.74, 135.57, 133.69, 132.40, 126.83, 126.78, 124.67, 109.05, 108.87, 101.35, 63.93, 40.10, 22.00, 20.72 ppm
【実施例32】
【0101】
(S)-(−)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(II/A)
実施例31に記載のモル比、反応条件及び反応混合物の処理法に従い、ただし、原料物質として、(−)-7-(N-(1(S)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(S)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピンを使用して、題記の生成物を収量6.30g(74%)で調製した。
融点:143〜147℃
[α]20D=−163.1ー(c=1, CHCl3
IR(KBr):3386,1504, 1335, 1250, 1035 cm-1
1H-NMR(CDCl3):7.96(d, J=8.5 Hz 1H), 7.53(m, 1H), 7.45(m, 1H), 6.74(s, 1H), 6.50(s, 1H), 5.98(s, 2H), 5.59(bs, 1H), 4.09(m. 1H), 2.86(dd, J1=4.0 Hz, J2=13.9 Hz, 1H), 2.64(dd, J1=6.4 Hz, J2=14.0 Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 1.27(d, J=6.4 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:150.25, 148.28, 145.86, 144.74, 135.57, 133.69, 132.40, 126.83, 126.78, 124.67, 109.05, 108.87, 101.35, 63.93, 40.10, 22.00, 20.72 ppm
実施例31及び32の生成物のアシル化を、特に、実施例24、25、26及び27に示してあり、これら実施例の還元は、実施例4、6、8及び10に従って実施される。
【0102】
D.4-アミノ3メチルフェニル置換基を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物のラセミ分割及び選択的アシル化
【実施例33】
【0103】
(±)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(VIII)
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.39g(10.0ミリモル)の、メタノール50ml及びジクロロメタン100 mlの混合物溶液に、ラネーニッケル触媒約3.0gを添加し、ついで、激しく撹拌しながら、98%ヒドラジン水化物1.7ml(35.0ミリモル)を添加した。さらに撹拌を45分間続けた後、触媒を濾去し、ジクロロメタンにて洗浄し、濾液を蒸発させ、残渣を水50mlにて処理し、固化させた。粗製の生成物をアセトニトリルから再結晶した。
このようにして、得られた題記の生成物は、オレンジ色の結晶2.41g(78%)であった。
融点:97〜100℃
IR(KBr):3483, 3344, 2626, 1574, 1316, 1033 cm-1
1H-NMR(CDCl3, mp200):7.60(s, 1H), 7.52(d, J=8.8 Hz, 1H), 6.88(s, 1H), 6.76(s, 1H), 6.72(d, J=8.8 Hz, 1H), 6.09(d, J=1.1 Hz, 1H), 6.08(d, 1H), 4.32(bm, 3H), 2.93(dd, J1=5.9 Hz, J2=14.3 Hz, 1H), 2.47(dd, J1=4.0 Hz, J2=14.7 Hz, 1H), 2.20(s, 1H), 1.29(d. J=6.2 Hz, 3H) ppm
【実施例34】
【0104】
(S)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(VIII/A)
工程a)
無水エタノール144 mlに、溶媒の沸点において、(±)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)及びL-酒石酸セミ-4-クロロアニリド0.98g(4.0ミリモル)を溶解させた。ついで、室温において、塩を20時間で結晶化させた。沈殿した結晶を無水エタノールにて洗浄し、ついで、乾燥させた。得られた塩1.4gを無水エタノール98mlから再結晶した。
このようにして、題記の生成物1.04gを得た(収率:36%)。
融点:193〜196 ℃
[α]20D=−22.12ー (c= 1, MeOH)
IR(KBr):3440, 3347, 3260, 1675, 1647, 1597, 1036 cm-1
1H-NMR(DMSO-d6):9.77(bs, 1H), 7.77(d, J=8.9 Hz, 2H), 7.36(d, J=8.9 Hz, 2H), 7.13(s, 1H), 7.03(dd, J1=1.6 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.90(s, 1H),6.76(d, J=8.3 Hz), 6.48(s, 1H), 6.03(s, 2H), 4.39(,m, 2H), 3.89(hz, J=5.0 Hz, 1H), 2.67(dd, J1=6.1 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.32(dd, J1=4.3 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.04(s, 3H), 1.06(d, J=6.3 Hz, 3H) ppm
13C-NMR(DMSO-d6):173.70, 170.92, 159.80, 147.83, 147.28, 145.16, 137.63, 134.76, 130.10, 128.65, 127.23, 127.16, 126.24, 121.27, 120.38, 113.30, 108.80, 108.44, 101.20, 73.73, 72.03, 62.76, 20.76, 17.70 ppm.
【0105】
工程b)
工程a)で調製した塩1.04gのクロロホルム(20ml)懸濁液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlと混合し、ついで、混合物を、透明な相が形成されるまで撹拌した。有機相を水20mlずつにて3回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた生成物は、さらに精製することなく使用できた。
【実施例35】
【0106】
(R)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(VIII/A)
工程a)
沸騰する無水エタノール144 mlに、(±)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)及びD-酒石酸セミ-4-クロロアニリド0.98g(4.0ミリモル)を溶解させた。ついで、室温において、塩を20時間で結晶化させた。沈殿した結晶を無水エタノールにて洗浄し、ついで、乾燥させた。得られた塩1.43gを無水エタノール98mlから再結晶した。
このようにして、題記の生成物1.06gを得た(収率:37%)。
融点:193〜196 ℃
[α]20D = +22.41ー (c= 1, MeOH)
IR(KBr):3440, 3347, 3260, 1675, 1647, 1597, 1036 cm-1
1H-NMR(DMSO-d6):9.77 (bs, 1H), 7.77 (d, J=8.9 Hz, 2H), 7.36 (d, J=8.9 Hz, 2H), 7.13 (s, 1H), 7.03 (dd, J1=1.6 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.76 (d, J=8.3 Hz)6.48 (s, 1H), 6.03 (s, 2H), 4.39 (m, 2H), 3,89 (hz, J=5.0 Hz, 1H), 2.67 (dd, J1=6.1 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.32 (dd, J1=4.3 Hz, J2=13.6 Hz, 1H), 2.04 (s, 3H), 1.06 (d, J=6.3 Hz, 3H).
13C-NMR(DMSO-d6):173.70, 170.92, 159.80, 147.83, 147.28, 145.16, 137.63, 134.76, 130.10, 128.65, 127.23, 127.16, 126.24, 121.27, 120.38, 113.30, 108.80, 108.44, 101.20, 73.73, 72.03, 62.76, 20.76, 17.70.
【0107】
工程b)
工程a)で調製した塩1.06gのクロロホルム(20ml)懸濁液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液20mlと混合し、ついで、混合物を、透明な相が形成されるまで撹拌した。有機相を水20mlずつにて3回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ついで、蒸発させた。得られた生成物は、さらに精製することなく使用できた。
【実施例36】
【0108】
(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/S)
(S)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)のクロロホルム(10ml)溶液に、トリエチルアミン1.39 ml(10.0ミリモル)を添加した。ついで、反応混合物を−10℃に冷却し、無水酢酸0.94 ml(10.0ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。ついで、反応混合物を、撹拌下、飽和炭酸水素ナトリウム溶液70mlに添加し、有機相を分離し、水15mlずつにて5回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を無水エタノールから再結晶した。
淡黄色の生成物2.12g(60%)を得た。
融点:119〜122 ℃
[α]20D=+478.1ー (c=1, CHCI3)
IR (KBr): 3484, 1658, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCI3):7.47 (d, J=1.3 Hz, 1H), 7.32 (dd, J1=2.1 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.65 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.01 (d, J=1.4 Hz, 1H), 5.97 (d, J=1.4 Hz, 1 H), 5.21 (m, 1H), 3.99 (bs, 2H), 2.66 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1.31 (d, J=6.3 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:173.91, 168.63, 149.02, 147.94, 146.08, 135.19, 131.61, 129.25, 127.24, 125.97, 121.61, 113.97, 109.28, 108.63, 101.44, 61.21, 38.77, 22.53, 18.20, 17.29 ppm
【実施例37】
【0109】
(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/R)
(R)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)のクロロホルム(10ml)溶液に、トリエチルアミン1.39 ml(10.0ミリモル)を添加した。ついで、反応混合物を−10℃に冷却し、無水酢酸0.94 ml(10.0ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。ついで、反応混合物を、撹拌下、飽和炭酸水素ナトリウム溶液70mlに添加し、有機相を分離し、水15mlずつにて5回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を無水エタノールから再結晶した。
淡黄色の生成物2.14g(61%)を得た。
融点:121〜124℃
[痾]20D= −479.3°(c= 1, CHCI3)
IR (KBr):3484, 1658, 1342, 1039 cm-1
1H-NMR (CDCl3):7.47 (d, J=1.3 Hz, 1H), 7.32 (dd, J1=2.1 Hz, J2=8.3 Hz, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.65 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.01 (d, J=1.4 Hz, 1H), 5.97 (d, J=1.4 Hz, 1H), 5.21 (m, 1H), 3.99 (bs, 2H), 2.66 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1.31 (d, J=6.3 Hz, 3H) ppm
13C-NMR:173.91 , 168.63, 149.02, 147.94, 146.08, 135.19, 131.61, 129.25, 127.24, 125.97, 121.61, 113.97, 109.28, 108.63, 101.44, 61.21, 38.77, 22.53, 18.20, 17.29 ppm
【実施例38】
【0110】
(S)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/S)
(S)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)のクロロホルム(10ml)溶液に、トリエチルアミン1.39 ml(10.0ミリモル)を添加した。ついで、反応混合物を−10℃に冷却し、無水プロピオン酸1.28 ml(10.0ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。ついで、反応混合物を、撹拌下、飽和炭酸水素ナトリウム溶液70mlに添加し、有機相を分離し、水15mlずつにて5回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を無水エタノールから再結晶した。
淡黄色の生成物2.64g(64%)を得た。
融点:176〜178℃
[痾]20D= +433.7ー (c= 1, CHCI3)
IR (KBr):3355, 3245, 1631, 1038 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):7.46 (bs, 1H), 7.33 (dd, J1=1.8 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.66 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 6.57 (s, 1H), 6.00 (d, J=1.3 Hz, 1H), 5.95 (d, J=1.3 Hz, 1 H), 5.21 (m, 1H), 4.05 (b, 1H), 2.65 (m, 2H), 2.47 (m, 1H), 1.19 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 1.30 (d, J=6.4 Hz, 3H), 1.03 (t, J=7.5 Hz, 3H) ppm
【実施例39】
【0111】
(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン(I/R)
(R)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン3.09g(10.0ミリモル)のクロロホルム(10ml)溶液に、トリエチルアミン1.39 ml(10.0ミリモル)を添加した。ついで、反応混合物を−10℃に冷却し、無水プロピオン酸1.28 ml(10.0ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。ついで、反応混合物を、撹拌下、飽和炭酸水素ナトリウム溶液70mlに添加し、有機相を分離し、水15mlずつにて5回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を無水エタノールから再結晶した。
淡黄色の生成物2.58g(60%)を得た。
融点:175〜178℃
[痾]20D= −415.4ー (C=1, CHCI3)
IR (KBr): 3355, 3245, 1631, 1038 cm-1
1H-NMR (CDCl3, i400):7.46 (bs, 1H) 7.33 (dd, J1=1.8 Hz, J2=8.2 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.66 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 6.57 (s, 1 H), 6.00 (d, J=1.3 Hz, 1H), 5.95 (d, J=1.3 Hz, 1H), 5.21 (m, 1H), 4.05 (b, 1H), 2.65 (m, 2H), 2.47 (m, 1H), 1.19 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 1.30 (d, J=6.4 Hz, 3H), 1.03 (t, J=7.5 Hz, 3H) ppm.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又は塩素クロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表す)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体、又はその薬学上許容される酸付加塩。
【請求項2】
一般式(V)
【化2】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;X、Y及びRは、請求項1に記載の定義のとおりである)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体。
【請求項3】
一般式(XII)
【化3】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はクロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Vは、水素原子又はヒドロキシル基を表す)の鏡像異性ベンゾ[b]ピラン誘導体
【請求項4】
一般式(XIV)
【化4】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;X、Y及びRは、請求項1に記載の定義のとおりであり;Lは、ヒドロキシル基又はアルキル-又はアリールスルホニル基である)のヒドラゾン誘導体(ヒドラゾン化合物はE及びZ異性体の混合物である)。
【請求項5】
一般式(III)
【化5】

(式中、Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はクロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;R'は、置換アリーレン、アルキレン又はアルケニレン、好ましくは、シス-又はトランス-アルケニレン、最も好ましくは、シス-エチニレン基を表す)のラセミ体又は鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体、又はそのキラル塩基との付加塩。
【請求項6】
一般式(VI)
【化6】

(式中、Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はクロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)のラセミ体又は鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体。
【請求項7】
一般式(VII)
【化7】

(式中、Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はクロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;R1、R2、R3は、相互の異なるものであって、水素原子、置換又は未置換の脂肪族、又は分枝状の置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のアリール又はアラルキル基を表し、好ましくは、R1は水素原子、R2はメチル基、R3はフェニル基を表す)の、高立体化学純度を有するジアステレオマージヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体。
【請求項8】
一般式(VIII)
【化8】

(式中、Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はクロル原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物。
【請求項9】
一般式(VIII/A)
【化9】

(式中、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はハロゲン原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物、又はその光学活性の酸との酸付加塩。
【請求項10】
(R)-(−)-又は(S)-(+)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(R)-(−)-又は(S)-(+)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(S)-(+)-又は(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン;及び
これらの薬学上許容される酸付加塩からなる群から選ばれる化合物。
【請求項11】
(R)-(−)-又は(S)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;
(R)-(−)-又は(S)-(+)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;又は
(S)-(−)-又は(R)-(+)-3-アセチル-8-クロロ-4-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン。
【請求項12】
(5RS,7S)-又は(5RS,7R)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン;又は
(1RS,3R)-又は(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン。
【請求項13】
(5RS,7R)-又は(5RS,7S)-7-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-1,3-ジオキソロ[4,5-g]イゾクロマン-5-オール;又は
(1RS,3R)-又は(1RS,3S)-7-クロロ-3-メチル-1-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-イゾクロマン-1-オール。
【請求項14】
(R)-又は(S)-酢酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-又は(S)-プロピオン酸-[[6-(2-ヒドロキシプロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;又は
(R)-又は(S)-酢酸-[[5-クロロ-2(2-ヒドロキシプロピル)-フェニル]-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド。
【請求項15】
(R)-又は(S)-酢酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;
(R)-又は(S)-プロピオン酸-[[6-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-1,3-ベンゾジオキソル-5-イル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド;又は
(S)-又は(R)-酢酸[[2-[2-[(メチルスルホニル)-オキシ]-プロピル)-5-クロロフェニル](3-メチル-4-ニトロフェニル)-メチレン]ヒドラジド。
【請求項16】
(S)-(−)-又は(R)-(+)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン。
【請求項17】
(±)-、(S)-(+)-又は(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸、又はそのキラル塩基との付加塩。
【請求項18】
(S)-(+)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸(R)-(+)-α-メチル-ベンジルアンモニウム塩;又は
(R)-(−)-4-(8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-イル)-4-オキソ-ブタ-2-エンカルボン酸(S)-(−)-α-メチル-ベンジルアンモニウム塩。
【請求項19】
(±)-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン-7-カルボン酸イミダゾリド。
【請求項20】
(+)-7-(N-(1(R)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(R)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン;又は
(−)-7-(N-(1(S)-フェニルエチル)-カルバモイル)-8(S)-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン。
【請求項21】
(±)-、(S)-(−)-又は(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン、又はそれらの光学活性なカルボン酸にて形成された塩。
【請求項22】
請求項1に記載の一般式(I)(ここで、キラル炭素原子の配置がR又はSであり;Xは、ハロゲン又はクロル原子、アルコキシ基を表し、Yは、ハロゲン又はハロゲン原子を表すか、又はX及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Rは、C1-4アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表す)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物又はその薬学上許容される酸付加塩、及び一般的なキャリヤーを含んでなる医薬組成物。
【請求項23】
有効成分として、(R)-(−)-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-7-プロピオニル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン、(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン、又は(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピン、又はこれらの薬学上許容される酸付加塩を含んでなる請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
有効成分0.1〜95質量%、好ましくは1〜50質量%、最も好ましくは5〜30質量%を含有する請求項22又は23記載の医薬組成物。
【請求項25】
経口、非経口、直腸、経皮又は局所投与に適するものである請求項22又は23記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の一般式(I)(ここで、X、Y及びRは、請求項1において定義するとおりである)の高鏡像異性純度を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を製造する方法であって、一般式(V)(ここで、X、Y及びRは、請求項1において定義するとおりである)の対応するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物のニトロ基を還元し、還元生成物を光学的に変換して、その薬学上許容される酸付加塩とする、高鏡像異性純度を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体の製法。
【請求項27】
工程a)一般式(X)
【化10】

(ここで、X、Y及びRは、請求項1において定義するとおりである)の、高鏡像異性純度を有するフェニル-プロパノール-2誘導体を、式(XI)
【化11】

の4-ニトロベンズアルデヒド誘導体と反応させ、その後、
工程b)得られた一般式(XII)(ここで、X及びYは、請求項1において定義するとおりであり;Vは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン誘導体(異性体の混合物である)を酸化して、一般式(XIII)
【化12】

(ここで、X及びYは、請求項1において定義するとおりである)のヘミケタールタイプの化合物とし、
工程c)このようにして得られた一般式(XIII)のジアステレオマーヘミケタールタイプの誘導体を、脂肪族カルボン酸ヒドラジド、好ましくは酢酸ヒドラジドと反応させ、
工程d)さらに、得られた一般式(XIV)(ここで、X及びYは、請求項1において定義するとおりであり;Lはヒドロキシル基を表す)のヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を、アルキルスルホニルハロゲン化物、又はアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化メタンスルホニルと反応させて、一般式(XV)
【化13】

(ここで、X及びYは、請求項1において定義するとおりであり;R2は、アリール、C1〜4アルキル、好ましくはメチル基を表す)のアリール又はアルキルスルホニル化ヒドラゾン誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を生成し、
工程e)スルホニル化ヒドラゾン誘導体を、分子内環化反応を介して、高鏡像異性純度を有する一般式(V)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体に変換し、
工程f)最後に、得られた生成物を還元して、一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体とし、任意に、その薬学上許容される酸付加塩を形成する、
請求項26記載の製法。
【請求項28】
高鏡像異性純度を有する一般式(I)の(R)-(−)-7-アセチル-5-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-メチル-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される酸付加塩を製造する方法であって、
工程a)高鏡像異性純度の(S)-α-メチル-1,3-ベンゾジオキソル-5-オール(X)を、3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒドと反応させ、
工程b)得られた一般式(XII)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Vは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン誘導体(ジアステロマーの混合物である)を酸化して、一般式(XIII)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Vはヒドロキシル基を表す)のヘミケタール誘導体とし、
工程c)このようにして得られたヘミケタールタイプの化合物を、酢酸ヒドラジドと反応させ、
工程d)得られた一般式(XIV)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;Lはヒドロキシル基を表す)のヒドラゾンタイプの誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を、アルキルスルホニルハロゲン化物、又はアリールスルホニルハロゲン化物、好ましくは塩化メタンスルホニルと反応させ、
工程e)一般式(XV)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し、Lは、アルキルスルホニルオキシ又はアリールスルホニルオキシ基、好ましくはメジルオキシ(mezyloxy)基を表す)のアリール-又はアルキルスルホニル化ヒドラゾン誘導体(E及びZ異性体の混合物である)を生成し、
工程f)この生成物を、分子内環化反応によって、高鏡像異性純度を有する一般式(V)(ここで、X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表す)のジヒドロ-ベンゾジアゼピン誘導体に変換し、その後、ニトロ基をアミノ基に還元し、必要であれば、得られた生成物を、その薬学上許容される酸付加塩を形成する、
(R)-(−)-7-アセチル-8-メチル-5-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-8,9-ジヒドロ-7H-1,3-ジオキソロ[4,5-h][2,3]ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される酸付加塩の製法。
【請求項29】
高鏡像異性純度を有する一般式(I)の(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンを製造する方法であって、
工程a)高鏡像異性純度を有する(S)-1-(4-クロロフェニル)-プロパノール-2を、3-メチル-4-ニトロベンズアルデヒドと反応させて、一般式(XII)(ここで、Xはクロロ原子を表し;Y及びVは水素原子を表す)のベンゾ[b]ピラン化合物(ジアステロマーの混合物である)を生成し、
工程b)ベンゾ[b]ピラン化合物を酸化して、一般式(XIII)(ここで、Xはクロロ原子を表し;Yは水素原子を表し;Vはヒドロキシル基を表す)のヘミケタール化合物とし、
工程c)このようにして得られた生成物を酢酸ヒドラジドと反応させ、一般式(XIV)(ここで、Xはクロロ原子を表し、Yは水素原子を表し;Lはヒドロキシル基を表す)のヒドラゾン化合物(E及びZ異性体の混合物である)を生成し、
工程d)このヒドラゾン化合物を、アルキルスルホニル又はアリールスルホニル化合物、好ましくは塩化メタンスルホニルと反応させ、
工程e)さらに、得られた一般式(VII)のアリール-又はアルキルスルホニル化ヒドラゾン化合物を、分子内環化反応によって反応させて、ジヒドロ-ベンゾジアゼピン化合物を生成し、
工程f)高鏡像異性純度を有する一般式(VIII)の化合物のニトロ基を還元して、高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロベンゾジアゼピン化合物を生成し、任意に、得られた生成物を、その薬学上許容される酸付加塩に変換する、
(R)-(−)-3-アセチル-1-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-8-クロロ-4-メチル-4,5-ジヒドロ-3H-2,3-ベンゾジアゼピンの製法。
【請求項30】
高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を製造する請求項26による方法であって、
工程a)一般式(II)
【化14】

のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン化合物を、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸、好ましくはマレイン酸にてアシル化して、一般式(III)(ここで、R'は、置換アリーレン、アルキレン又はアルケニレン、好ましくは、シス-又はトランス-アルケニレン、最も好ましくは、シス-エチニレン基を表す)の半酸-半アミド化合物を生成し、
工程b)一般式(III)の化合物を、キラル塩基、好ましくはキラルアミンの単一鏡像異性体と反応させて、一般式(IV)
【化15】

(ここで、*BH+は、キラルアミンの単一鏡像異性体のプロトン化形である)の対のジアステレオマー塩を生成し、前記ジアステレオマー塩を公知の様式で分離して、所望の鏡像異性体形のジアステレオマー塩を得た後、
工程c)ジアステレオマー塩から、一般式(III/A)
【化16】

(ここで、R'は、置換又は未置換のアリーレン、アルキレン又はアルキニレン、好ましくは、シス-又はトランス-アルケニレン、最も好ましくは、シス-エチレニレンを表す)の半酸-半アミド化合物を放出させ、
工程d)ついで、この化合物を公知の様式で加水分解して、一般式(II/A)
【化17】

の半酸-半アミドを生成し、
工程e)脂肪族カルボキシル誘導体を使用し、公知の様式にて、一般式(IIA)の化合物をアシル化し、
工程f)その後、得られた一般式(I)の高鏡像異性純度を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのニトロ基を還元し、任意に、この化合物を、その薬学上許容される酸付加塩に変換する、
請求項26記載の製法。
【請求項31】
高鏡像異性純度を有する一般式(I)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を製造する請求項26による方法であって、
工程a)一般式(II)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを、1,1'-カルボニルジイミダゾールと反応させ、ついで、
工程b)得られた一般式(IV)のラセミ体カルボニル-ジイミダゾール誘導体を、キラル塩基、好ましくはキラルアミンの鏡像異性体と反応させ、ついで、
工程c)得られた一般式(VII)(ここで、ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのキラル炭素原子の配置はR又はSであり、他のキラル炭素原子の配置は、使用するアミンに左右され;X及びYは、一緒になって、メチレンジオキシ基を表し;R1、R2、R3は、相互に異なるものであって、水素原子、置換又は未置換の脂肪族又は置換又は未置換の分枝状アルキル、置換又は未置換のアリール又はアラルキル基を表し、好ましくは、R1は水素原子、R2はメチル基、R3はフェニル基を表す)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体のジアステロマー混合物の成分を、公知の様式で分離し、ついで、必要であれば、再結晶を行い、
工程d)ついで、この化合物を酸性条件下で加水分解し、
工程e)一般式(II/A)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を、脂肪族カルボン酸誘導体にてアシル化し、最後に、
工程f)得られた一般式(I)の高鏡像異性純度を有するジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンのニトロ基を還元し、任意に、その薬学上許容される酸付加塩に変換する、
請求項26記載の製法。
【請求項32】
高鏡像異性純度を有する一般式(I)(ここで、X、Y及びRの意義は請求項1に記載のとおりである)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン誘導体を製造する請求項26による方法であって、一般式(VIII/A)(ここで、X、Y及びRの意義は請求項1に記載のとおりである)の対応する鏡像異性ベンゾジアゼピン化合物の3位における未置換の環状窒素原子を、C1〜4カルボン酸誘導体、好ましくは、カルボン酸塩化物又は酸無水物、最も好ましくは、酸無水物にてアシル化し、任意に、得られた一般式(I)の生成物を、その薬学上許容される酸付加塩に変換する、
請求項26記載の製法。
【請求項33】
請求項32記載の製法であって、
工程a)一般式(II)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを還元し、
工程b)得られた一般式(VIII)のラセミ体ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンを、キラルカルボン酸の単一の立体異性体にて変換して、ジアステロマー酸塩対とし、
工程c)ジアステレオマー塩の成分を、公知の様式で分離し、その後、任意に、一般式(IX)
【化18】

(ここで、*A-は、光学活性カルボン酸のアニオンを表し;ベンゾジアゼピン基のキラル炭素原子の配置はR又はSである)のジアステレオマー塩を再結晶し、その後、
工程d)塩を含有する鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピンから、一般式(VIII/A)の鏡像異性ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン塩基を放出させ、
工程e)対応する一般式(VIII/A)(ここで、X、Y及びRの意義は請求項1に記載のとおりである)の鏡像異性ベンゾジアゼピン塩基の3位における未置換の環状窒素原子を、C1〜4、好ましくは、カルボン酸塩化物又は酸無水物、最も好ましくは、酸無水物にてアシル化し、最後に、任意に、得られた一般式(I)の生成物を、その薬学上許容される酸付加塩に変換する、
請求項32記載の製法。
【請求項34】
医薬組成物を製造する方法であって、請求項1記載の一般式(I)(ここで、X、Y及びRの意義は、請求項1に記載のとおりである)又はその薬学上許容される酸付加塩を、薬学上許容されるビヒクルと混合し、得られた混合物を製剤することを含んでなる、医薬組成物の製法。
【請求項35】
請求項1に記載の一般式(I)(ここで、X、Y及びRの意義は、請求項1に記載のとおりである)ジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される酸付加塩の、卒中、外傷性脳損傷及び脊椎損傷、癲癇、統合失調症、中枢神経腫瘍(例えば、神経膠腫、グリア芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫)、筋肉痙縮と関連する疾患及び神経変性疾患(特に、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS))の治療、さらに、痙攣、痛み、吐き気、嘔吐への影響、偏頭痛、排尿障害、退薬症候群、又は不安症の治療のための医薬組成物の製造における使用。
【請求項36】
卒中、外傷性脳損傷及び脊椎損傷、癲癇、統合失調症、中枢神経腫瘍(例えば、神経膠腫、グリア芽腫、星状細胞腫、乏突起膠腫)、筋肉痙縮と関連する疾患及び神経変性疾患(特に、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、運動ニューロン疾患(ALS))、さらに、痙攣、痛み、吐き気、嘔吐への影響、偏頭痛、排尿障害、退薬症候群、又は不安症を治療する方法であって、請求項1記載の一般式(I)(ここで、X、Y及びRの意義は、請求項1に記載のとおりである)のジヒドロ-2,3-ベンゾジアゼピン又はその薬学上許容される酸付加塩を、このような治療を必要とする患者に、薬学上有効な用量で投与することを含んでなる、治療法。

【公表番号】特表2009−522245(P2009−522245A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548033(P2008−548033)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/HU2006/000130
【国際公開番号】WO2007/077469
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(507333074)
【Fターム(参考)】