説明

ジヒドロベンゾフラニル誘導体およびその使用方法

本発明は、式I:


のジヒドロベンゾフラニル誘導体またはその医薬的に許容される塩に関し、それらは、モノアミン再取り込み阻害剤、これらの誘導体を含む組成物、および特に、血管運動症状性的機能不全、胃腸障害や尿生殖器障害、うつ障害、内因性行動障害、認知障害、糖尿病性神経障害、疼痛、および他の疾患または障害を含む状態の予防および治療のためのそれらの使用方法である。別の実施形態では、血管運動症状、性機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、糖尿病性神経障害、疼痛、およびそれらの組み合わせから選択される症状の治療または予防を必要とする被験者において、それらの症状を治療または予防するための医薬の製造における式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本発明は、モノアミン再取り込み阻害剤であるジヒドロベンゾフラニル誘導体、これらの誘導体を含む組成物、および血管運動症状うつ疾患、内因性行動障害、認知障害、性機能不全、または疼痛状態、特に血管運動症状を含む疾患または障害の予防および治療をするためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
顔面潮紅および寝汗と呼ばれる血管運動症状(VMS)は、自然な、または手術により誘発された更年期後の全ての女性の60%〜80%において起こる、更年期に伴う最も一般的な症状である。VMSは、性ステロイドの減退に対する中枢神経系(CNS)の適応応答である可能性が高い。今日までのところ、VMSの最も有効な治療法は、エストロゲンおよび/またはあるプロゲスチンを包含するホルモン療法である。ホルモン療法は、VMSを軽減するのに非常に有効であるが、全ての女性に対して適切であるとは限らない。
【0003】
VMSは性ステロイドレベルの変動により引き起こされ、男性および女性のどちらにおいても破壊的で、支障をきたすことがある。顔面潮紅は、最高30分まで継続することがあり、頻度は1週間に数回から1日に複数回までとさまざまである。患者は、顔面から胸および背中、次に体の残りの部分へと急速に広がる突然の体熱感としての顔面潮紅を経験する。通常、大量の発汗を伴い、時には、1時間に数回起こることもあり、夜にしばしば起こる。夜間に起こる顔面潮紅および発汗は、睡眠不足を引き起こし得る。心理学的および感情的症状、例えば、緊張感、疲労、イライラ感、不眠、抑うつ、記憶喪失、頭痛、不安、緊張感または集中できないことなどもまた観察され、顔面潮紅および寝汗後の睡眠不足によりもたらされると考えられる(非特許文献1)。
【0004】
顔面潮紅は、乳癌の治療を受けた女性において一層重くなる可能性があり、その理由はいくつかある。乳癌の生存者の多くには、タモキシフェンが投与され、それの最も一般的な副作用は、顔面潮紅であって、そして、乳癌の治療を受けた多くの女性は化学療法により時期尚早な更年期を経験する。乳がんの病歴をもつ女性はまた、通常、乳癌の潜在的再発に対する懸念のため、エストロゲン療法は否定されてきた(非特許文献2)。
【0005】
男性もステロイドホルモン(アンドロゲン)休薬後に顔面潮紅を経験する。年齢に関連するアンドロゲン減少の場合(非特許文献3)ならびに前立腺癌の治療に伴うホルモン不足という極端な場合(非特許文献4)がこれに当てはまる。これらの患者の1/3もが、持続性でかつ高頻度の深刻な症状を経験することにより、著しい不快感および不都合を引き起こされる。
【0006】
これらの血管運動症状の正確なメカニズムは知られていないが、一般に、体温調節および血管運動活性を制御する正常な恒常性メカニズムの撹乱を意味すると考えられる(非特許文献5。
【0007】
エストロゲン治療(例えば、エストロゲン置換療法)が症状を軽減するという事実により、これらの症状とエストロゲン不足の間の関連性が確立される。例えば、人生の更年期は広範囲に及ぶ前記のような他の急性症状を伴い、これらの症状は一般にエストロゲン応答性である。
【0008】
エストロゲンは、ノルエピネフリン(NE)および/またはセロトニン(5−HT)系の両方の活性を刺激し得ることが示唆されている(非特許文献6)。エストロゲンはNEおよび5−HTレベルを調節し、視床下部の体温調節中枢において恒常性をもたらすと仮定される。視床下部から脳幹/脊髄および副腎を経由して皮膚へと下行する経路が、正常な皮膚温度の維持に関与する。NEおよび5−HT再取り込み阻害剤の作用は、CNSおよび末梢神経系(PNS)の両方に関して影響を及ぼすことが知られている。VMSの病態生理は、中枢および末梢メカニズムの両方により媒介され、従ってCNSおよびPNS間の相互作用は、体温調節機能不全の治療における2重作用SRI/NRIの有効性を説明する。実際、生理学的面およびVMSにおけるCNS/PNSの関与は、VMSを治療するために提案されている用量が、抑うつの行動面を治療するために用いられる用量と比較して低用量であることを説明しうる(非特許文献7)。VMSの病態生理におけるCNS/PNSの相互作用は、ノルエピネフリン系がVMSを治療するための標的となり得るという主張を支持する。
【0009】
VMSは最も一般的にはホルモン療法により治療されるが、エストロゲン療法に耐性でない患者もいる(非特許文献8)。加えて、ホルモン置換療法は、ホルモン感受性癌(例えば、乳癌または前立腺癌)にかかっているかまたはその危険性がある女性または男性に関しては通常、推奨されない。従って、非ホルモン療法(例えば、フルオキセチン、パロキセチン[SRIs]およびクロニジン)が臨床的に評価されている。特許文献1は、フルオキセチンを投与することによりヒトの女性における顔面潮紅を減少させる方法を開示している。顔面潮紅の治療に関して、ステロイド、α−アドレナリンアゴニスト、およびβ−遮断薬をはじめとする他の選択肢が研究されているが、成果は様々である(非特許文献9)。
【0010】
α−アドレナリン受容体が体温調節機能不全に関与することが報告されている(非特許文献10)。これらの受容体は、シナプス前およびシナプス後に位置し、中枢および末梢神経系における阻害的役割を媒介する。アドレナリンα受容体には4つの異なるサブタイプ、すなわち、α2A、α2B、α2Cおよびα2Dがある(非特許文献11)。非選択的α−アドレナリン受容体アンタゴニストのヨヒンビンは赤面を引き起こし、α−アドレナリン受容体アゴニストのクロニジンは、ヨヒンビンの効果を軽減することが示唆されている(非特許文献12、非特許文献13)。クロニジンは顔面潮紅を治療するために使用されてきた。しかしながら、このような治療の使用は、本明細書に記載され、当該分野において公知の顔面潮紅を軽減するために必要な高用量により引き起こされる多くの望ましくない副作用を伴う。
【0011】
慢性的な疼痛は、内臓の、炎症性の、または神経障害性のいろいろな形態で起きて、すべての治療領域で交差している。それは生産性、経済的影響および生活の質に関して高い社会的コストを費やさせる衰弱性の症状であり、現在の治療法は有効性に限界があった。現在、神経因性疼痛(すなわち、糖尿病性神経障害および帯状疱疹後の神経痛)および線維筋痛症の第1次薬理学的治療は、3環系抗うつ薬(TCA)抗うつ薬(例えばアミトリプチリン)と抗けいれん薬(例えばガバペンチン)の適応外使用を含む(非特許文献14;非特許文献15)。しかし、これらの治療は患者の30〜50%にのみ効果的であり、痛みの部分的な減少(〜50%)をもたらすだけである。そのうえ、これらの療法の臨床的な利益は、口腔乾燥症や鎮静作用を含む副作用により、しばしば打ち消される。したがって、非TCA抗うつ剤を含む化合物のより新しい種類が、慢性疼痛の適応症について前臨床的および臨床的に評価されており、最近では、デュロキセチンが糖尿病性神経障害の治療のために承認された。以前の3環系抗うつ剤より許容できるけれども、これらのより新しい化合物は、性的機能不全、体重増加および吐き気を含む副作用を有する。
【0012】
慢性疼痛状態の発生と維持に関与する正確な病態生理学的メカニズムは、十分に理解されてはいないが、痛みの認識と調節に関与する経路は、充分記述され、特徴付けられている(非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19)。この下行性の疼痛抑制系の主要構成要素は、ノルアドレナリン経路を含む(非特許文献20)。ノルエピネフリン(NE)およびより小さい範囲でのセロトニン(5−HT)再取り込み阻害剤(NRIsとSRIs)は、シナプス後NE/5−HTレベルの増加とこの下行性の疼痛抑制経路の持続的活性化につながるNE/5−HTのシナプス前再取り込みを防ぐことによって痛みを減らすと仮定される。公知のNRIs、混合NRI/SRIs、およびSRIsの効力を比較する抗うつ剤と神経因性疼痛のメタアナリシスは、NRI活性を有する化合物が、痛みを減少させるのにより効果的であり、選択的SRIsは偽薬と有意差がなかったことを決定した(非特許文献21)。この分析は、より大きなNRI対SRI活性を有する化合物が痛みの治療には、より効果的になるであろうということを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第99/44601号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Kramerら、In: Murphyら、3rd Int’l Symposium on Recent Advances in Urological Cancer Diagnosis and Treatment−Proceedings、Paris,France:SCI:3−7 (1992)
【非特許文献2】Loprinziら、Lancet、2000、356(9247):2059−2063
【非特許文献3】Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【非特許文献4】Berendsenら、European Journal of Pharmacology、2001、419(1): 47−54
【非特許文献5】Kronenbergら、“Thermoregulatory Physiology of Menopausal Hot Flashes: A Review,”Can.J.Physiol.Pharmacol.、1987、65:1312−1324)
【非特許文献6】J.Pharmacology & Experimental Therapeutics、1986、236(3)646−652
【非特許文献7】Loprinziら、Lancet、2000、356:2059−2063;Stearnsら、JAMA、2003、289:2827−2834
【非特許文献8】Berendsen、Maturitas、2000、36(3):155−164、Finkら、Nature、1996、383(6598):306
【非特許文献9】Waldingerら、Maturitas、2000、36(3):165−168
【非特許文献10】Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3
【非特許文献11】Mackinnonら、TIPS、1994、15:119;French、Pharmacol.Ther.、1995、68:175
【非特許文献12】Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【非特許文献13】Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3
【非特許文献14】Collinsら、J.Pain Symptom Manage.2000、20(6):449−58
【非特許文献15】Marcus Expert Opin Pharmacother.2003、4(10):1687−95
【非特許文献16】Gebhart、Yaksh TL,editor.Spinal afferent processing,New York:Plenum,1986.pp 391−416
【非特許文献17】Fieldsら、Annual Review of Neuroscience 1991、14:219−245
【非特許文献18】Fieldsら、Wall PD、Melzack R, editors.Textbook of pain,London:Churchill Livingstone,1999,pp 309−329
【非特許文献19】Millanら、Progress in Neurobiology;2002、66:355−474
【非特許文献20】Zhuoら、Brain Research 1991; 550:35−48;Holdenら、Neuroscience 1999; 91:979−990
【非特許文献21】Collinsら、J.Pain Symptom Manage.2000,20(6):449−58
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
疼痛と体温調節の複雑で多面的な性質ならびに体温調節のホメオスタシスの維持におけるCNSとPNSとの間の相互作用を考えると、疼痛と血管運動症状を標的とするために多数の治療およびアプローチを開発することが可能である。本発明は、これらのおよび他の重要な使用に関する新規化合物およびこれらの化合物を含む組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明はジヒドロベンゾフラン誘導体に関するものであり、それはモノアミン再取り込み阻害剤、これらの誘導体を含む組成物、および特に、血管運動症状(例えば、顔面潮紅)、性的機能不全(例えば、性的欲求および/または性的興奮に関連する機能不全)、胃腸障害と尿生殖器障害(例えば、腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁)、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害(例えば、大うつ病性障害、全般性不安障害、パニック障害、多動性を有するまたは有さない注意欠陥障害、睡眠障害、および社会不安障害)、糖尿病性神経障害、疼痛、およびそれらの組合せを含む症状の予防およびまたは治療のためのそれらの使用方法である。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、式I:
【0018】
【化1】

(式中、
mは、0〜3の整数であり、
nは、0〜4の整数であり、
Xは、O、S、SO、またはNRであり、
Yは、0〜3個のRで置換されたアリールまたは0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり、
は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のRで置換されたアリールアルコキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のRで置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のRで置換されたアリールアミドであり、または、
2つの隣接したRはまた、メチレンジオキシを表し、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはORであり、
各Rは、 存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはOR10であり、
はH、C−Cアルキル、0〜3個のR11で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、または
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、または
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR12で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR12で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
各Rは、存在毎に独立して、H、アルキル、またはペルフルオロアルキルであり、
は、H、アルキル、または0〜3個のR13で置換されたアリールであり、または、
およびYは、それらが結合している窒素原子と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
、R11、R12、およびR13は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであり、または、
2つの隣接したR、または2つの隣接したR11、または2つの隣接したR13、または2つの隣接したR13は、また、メチレンジオキシを表し、
およびR10は、存在毎に独立して、HまたはC−Cアルキルであり、および環A中の1〜3個の炭素原子は、場合によりNで置換されていてもよい)の化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0019】
さらに他の実施形態では、本発明は、
a.式Iの少なくとも1つの化合物、および
b.少なくとも1つの医薬的に許容される担体
を含む組成物に関する。
【0020】
別の実施形態では、血管運動症状、性機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、糖尿病性神経障害、疼痛、およびそれらの組み合わせから選択される症状の治療または予防を必要とする被験者において、それらの症状を治療または予防するための医薬の製造における式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0021】
更なる実施形態では、本発明は、式Ia:
【0022】
【化2】

(式中、
Zは、OHまたは
【0023】
【化3】

であり、
nは、0〜4の整数であり、
Xは、O、S、SO、またはNRであり、
Yは、0〜3個のRで置換されたアリールまたは0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり、
は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のRで置換されたアリールアルコキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のRで置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のRで置換されたアリールアミドであり、または、
2つの隣接したRはまた、メチレンジオキシを表し、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはOR10であり、
はH、C−Cアルキル、0〜3個のR11で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素および炭素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、または
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR12で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR12で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
は、H、アルキル、またはペルフルオロアルキルであり、
は、H、アルキル、または0〜3個のR13で置換されたアリールであり、または、
およびYは、それらが結合している窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、CO、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
、R11、R12、およびR13は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであり、または、
2つの隣接したR、または2つの隣接したR11、または2つの隣接したR12、または2つの隣接したR13は、また、メチレンジオキシを表し、
10は、HまたはC−Cアルキルであり、および
環A中の1〜3個の炭素原子は、場合によりNで置換されていてもよい)の化合物の製造方法を提供するものであり、該方法は、以下の式II:
【0024】
【化4】

(式中、Z、n、X、Y、R、R、およびRは、式Iaに対して上で定義したとおりであり、Lは、脱離基である)の化合物を閉環反応に付して上記式Iaのジヒドロベンゾフラン環を形成させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
下記の定義は、本明細書中において使用される用語および略語の完全な理解のために提供される。
【0026】
本明細書中においておよび添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈により明らかに異なるとわかるものを除き、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「それ(the)」は、複数形への言及を含む。したがって、例えば、「アンタゴニスト(an antagonist)」に対する言及は、複数のこのようなアンタゴニストをも対象とし、そして「化合物(a compound)」への言及は、1つ以上の化合物および当業者に公知のその均等物、その他に対する言及ともなる。
【0027】
測定、技術、特性、または化合物の単位に対応する本明細書中の略語は、下記の通りである:「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mM」はミリモルを意味し、「M」はモルを意味し、「mmole」はミリモルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「SEM」は標準誤差を意味し、そして「IU」は国際単位を意味する。「Δ℃」およびΔ「ED50値」は、観察される状態または効果の50%軽減を生じさせる用量を意味する(50%平均最大エンドポイント)。
「ノルエピネフリントランスポーター」は、NETと省略される。
「ヒトノルエピネフリントランスポーター」は、hNETと省略される。
「セロトニントランスポーター」は、SERTと省略される。
「ヒトセロトニントランスポーター」は、hSERTと省略される。
「ノルエピネフリン再取り込み阻害剤」は、NRIと省略される。
「選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤」は、SNRIと省略される。
「セロトニン再取り込み阻害剤」は、SRIと省略される。
「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」は、SSRIと省略される。
「ノルエピネフリン」は、NEと省略される。
「セロトニン」は、5−HTと省略される。
「皮下」は、scと省略される。
「腹腔内」は、ipと省略される。
「経口」は、poと省略される。
【0028】
本開示の文脈において、多数の用語が使用される。用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、本明細書中において使用される場合、予防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))、治癒的または緩和的治療を含む。
【0029】
「有効量」の用語は、本明細書中において使用される場合、所定の疾患または障害の治療に関して所望の結果を達成するために必要な時間および用量における、有効な量を指す。有効量は、また、その成分の任意の毒性または有害な効果が、治療的に有効な効果により凌駕される量でもある。特に、血管運動症状に関して、「有効量」は、ノルエピネフリンレベルを増加させて、血管運動症状に苦しむ被検者におけるステロイド利用能の欠如を部分的にまたは全体的に補う、化合物または化合物の組成物の量を指す。種々のホルモンレベルが、本発明において必要とされる化合物の量に影響を与える。例えば、閉経前状態は、閉経周辺期よりも、ホルモンレベルが高いために、より低いレベルの化合物を必要とする。
【0030】
本発明の成分の有効量は、選択された特定の化合物、成分または組成物、投与経路、および個人において所望の応答を誘発する成分(単独で、または1つ以上の併用薬物と組み合わせて)の能力だけでなく、因子(例えば、緩和される状態の疾患状態または重篤度、ホルモンレベル、年齢、性別、個人の体重、患者の状態、および治療される病理学的状態の重篤度、併用薬物または特定の患者のその後の特別食)により、および当業者により認識される他の因子によって異なり、最終的には担当医の裁量による用量で患者により変動するであろう。投薬計画は、改善された治療応答をもたらすように調節することができる。
【0031】
好ましくは、本発明の化合物は、治療開始前の顔面潮紅の回数と比較して、顔面潮紅の回数が減少するような用量および期間で投与される。このような治療はまた、依然として経験される顔面潮紅の全体的な重篤度または強度分布を、治療開始前の顔面潮紅の重篤度と比較して減少させるために有益である。性的機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、内因性行動障害、認知障害、糖尿病性神経障害または痛みに関して、本発明の化合物は、その徴候または状態を治療するのに十分な用量および期間で投与される。
【0032】
例えば、患者に関して、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、好ましくは、約0.1mg/日〜約1500mg/日の用量で投与することができ、毎日1回または2回投与され、さらに好ましくは、約1mg/日〜約200mg/日、最も好ましくは約1mg/日〜約100mg/日で、顔面潮紅あるいは性機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、内因性行動障害、認知障害、糖尿病性神経障害、または疼痛の症状または状態の回数および/または重篤度を減少および/または実質的に排除するために十分な期間で投与することができる。
【0033】
本明細書で使用する場合、「成分」、「組成物」、「化合物の組成物」、「化合物」、「薬物」、または「薬理学的に活性な薬剤」または「有効薬剤」または「医薬」の用語は、本明細書中で互換的に使用され、被験者(ヒトまたは動物)に投与された場合、局所および/または全身作用により所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘発する化合物もしくは化合物群または組成物を指す。
【0034】
「調節」の用語は、生物学的活性またはプロセスの機能的特性、例えば、レセプター結合またはシグナル化活性を増強するか、または阻害するかのいずれかの能力を意味する。このような増強または阻害は、特定の事象の発生、例えば、シグナル伝達経路の活性化の際に起きる可能性があり、および/または特定の細胞型だけにおいて出現する可能性がある。モジュレータは、任意の化合物、例えば、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、好ましくは小分子、またはペプチドを含むように意図される。
【0035】
本明細書で使用する場合、「阻害剤」の用語は、ノルエピネフリン再取り込み活性などの特異的活性を阻害、抑制、抑圧、または減少させる任意の薬剤である。「阻害剤」の用語は、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、ノルエピネフリン再取り込みまたはセロトニン再取り込みおよびノルエピネフリン再取り込みの両方に対して部分的な、完全な、競合的な、および/または阻害性の効果を示し、かくして、内因性ノルエピネフリン再取り込みまたはセロトニン再取り込みおよびノルエピネフリン再取り込みの両方の生物学的効果の一部または全部を減少または遮断(好ましくは減少)させる、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質(好ましくは、小分子またはペプチド)などの任意の化合物を含むことを意図する。
本発明中において、式Iの化合物は、医薬的に許容される塩の形態で調製できる。本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される塩」の用語は、医薬的に許容される非毒性の酸から調製される塩を指し、無機塩および有機塩を含む。適切な非毒性の塩には、無機および有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、および硫酸であり、最も好ましいのは塩酸塩である。
【0036】
本明細書で使用する場合、「投与すること」の用語は、本発明の化合物または組成物をそのまま投与すること、または体内で当量の有効な化合物または物質を形成するプロドラッグ、誘導体または類似体を投与することを意味する。
【0037】
本明細書で使用する場合、「被験者」または「患者」の用語は、本発明の化合物、組成物、および/または方法を用いて治療できる、ヒト種を含む動物を指す。「被験者」または「複数の被験者」の用語は、一方の性別が特に示されていない限り、男性および女性の双方を指すと解釈される。したがって、「患者」の用語は、疾患または障害の治療から利益を得ることのできる任意の哺乳動物、例えばヒトを含み、特に哺乳動物が雌である場合には閉経期前の、閉経周辺期の、または閉経期後の期間における雌を含む。さらに、「患者」の用語は、ヒトを含む雌動物が含まれ、ヒトの中には、閉経期を過ぎた高年齢女性のみならず、子宮摘出術を受けた女性、または幾つかのその他の理由のためエストロゲンの産生を抑制している女性、例えば、コルチコステロイドの長期投与を受けている女性、クッシング症候群に罹患している女性、または性腺形成不全症を有する女性が含まれる。しかし、用語「患者」は、女性に限定することを意図するものではない。
【0038】
本明細書で使用する場合、「副作用」の用語は、その投与によって利益を得ることを求めた系以外の組織または器官系に薬剤によって生じた1つ以上の有害な結果のような、薬剤または手段を使用した目的と異なる結果を指す。例えば、NRIsまたはNRI/SRI化合物を単独で高用量投与した場合には、「副作用」の用語は、例えば、嘔吐、悪心、発汗、およびほてりなどの状態を指すことができる(Janowskyら、Journal of Clinical Psychiatry、1984、45(10Pt2):3〜9)。
【0039】
本明細書で使用する場合、「血管運動症状」、「血管運動不安定症状」および「血管運動障害」の用語には、限定はしないが、とりわけ体温調節機能不全により惹起される、顔面潮紅(潮紅)、不眠症、睡眠障害、気分障害、いらいら、過剰発汗、寝汗、疲労などが含まれる。
【0040】
本明細書で使用する場合、「hot flush:顔面潮紅」(hot flashとも呼ばれる)の用語は、突然の皮膚のほてりからなるのが典型的であり、被験者における発汗を伴うのが通常である体温の一時的異常を指す、当技術分野で認められている用語である。
【0041】
本明細書で使用する場合、「早発閉経」または「人工閉経」の用語は、40歳前に発現しうる原因不明の卵巣不全を指す。それは、喫煙、高地居住、または貧栄養状態と関連している可能性がある。人工閉経は、卵巣摘出、化学療法、骨盤の放射線療法、または卵巣血液供給を傷害するなんらかのプロセスに由来する可能性がある。
【0042】
本明細書で使用する場合、「閉経期前の」の用語は、閉経の前を意味し、「閉経周辺期の」の用語は、閉経期中を意味し、「閉経後の」の用語は、閉経の後を意味する。「卵巣摘出」は、卵巣または複数の卵巣の除去を意味し、Merchenthalerら、Maturitas、1998、30(3):307〜316に従って実施できる。
【0043】
用語「性機能不全」は、性的欲求および/または性的興奮に関連する状態を含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において使用される場合、「胃腸障害および尿生殖器障害」としては、過敏性腸症候群、症候性GERD、過敏性食道、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、胆道ジスキネジー、乳頭括約筋機能不全、失禁(即ち、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、真性腹圧性尿失禁、および混合型尿失禁)(括約筋制御を変える病理、認知機能の損失、膀胱の過度の膨満、反射亢進および/または不随意の尿道括約筋弛緩、膀胱または神経異常に関連する筋肉の衰弱が挙げられるがこれらに限定されない1つのもしくは複数の原因に起因し得る、糞または尿の不随意の排泄、および糞または尿の垂れまたは漏れを含む)、間質性膀胱炎(過敏性膀胱)、ならびに慢性骨盤痛(心因性外陰部疼痛、前立腺痛、および直腸痛が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0045】
本明細書において使用される場合、「慢性疲労症候群」(CFS)は、虚弱、筋肉痛および疼痛、過度の睡眠、倦怠感、発熱、咽喉炎、圧痛のあるリンパ節、記憶障害および/または精神集中、不眠症、睡眠障害、限局性圧痛、拡散痛および疲労、ならびにそれらの組み合わせから選択される生理的症状を特徴とする状態であり、エプスタイン・バーウイルス感染と関連があるかどうかは問わない。
【0046】
本明細書において使用される場合、「線維筋痛症候群」(FMS)は、うつ病、身体化障害、転換性障害、疼痛性障害、心気症、身体醜形障害、未分化身体表現性障害、および身体表現性NOSに関連するFMSを含む、FMSおよびその他の身体表現性障害を含む。FMSおよびその他の身体表現性障害は、感覚的刺激の全身性知覚の高揚、異痛症の形態の痛覚異常(無害刺激での疼痛)、痛覚過敏の形態の痛覚異常(疼痛刺激に対する感度の亢進)、ならびにそれらの組み合わせから選択される生理的症状を伴う。
【0047】
本明細書において使用される場合、「うつ障害」の用語は、大うつ病性障害、全般性不安障害、パニック障害、多動性を有する、または有しない注意欠陥障害、睡眠障害、社会不安障害、およびそれらの組合せを含む。
【0048】
本発明の化合物は、認知障害または内因性行動障害を治療するのに用いられることもできる。本明細書で使用される場合、「認知障害」は、注意力の変化または欠陥;目立つか、試験によって見つけられる程に十分厳しいが、日常生活に大きく支障をきたす程には十分深刻でない、記憶、言語、または他の精神的機能に関する問題によって特徴づけられる軽度認知障害(MCI);せん妄、痴呆または健忘の障害の基準を満たさない認知障害の症候群によって特徴づけられる認知障害NOS(明示されていないもの);加齢関連認知低下(ARCD);および認知覚醒(例えば増加した覚醒状態)を含む。認知障害は、特発性であり、いろいろな他の要因、例えば、先天性欠損、アルコールもしくは薬物の耽溺性、薬物の一時的もしくは永久的な薬理的影響、器質性もしくは伝染性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、エイズ)、精神的外傷(例えば、脳損傷、脳卒中)または高齢に起因することがある。本明細書で使用される場合、「内因性行動障害」は、注意欠陥障害/注意欠如多動性障害(主に不注意であるか、主に多動性であるか、または複合タイプの大人および小児の形態を含むADD/ADHD)、強迫性障害(OCD)、反抗的行為障害もしくは反抗的爆発的行為障害(ODD/OEDD)、不安およびパニック障害(APD)、ならびにかんしゃくを起こす、激怒する、および爆発する行動障害(TROBD)を含む。
【0049】
本明細書において用いられる「疼痛」は、急性疼痛および慢性疼痛の両方、または神経因性疼痛を含み、これらは中心性疼痛、末梢性疼痛またはこれらの組み合わせであり得る。この用語は、限定されるものではないが、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨痛、癌性疼痛、炎症性疼痛およびこれらの組み合わせであり、例えば、腰痛、非典型的胸痛、群発頭痛、片頭痛のような頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、骨盤痛、筋膜性顔面痛、腹痛、頸部痛、中心性疼痛、歯痛、オピオイド耐性痛、内臓痛、手術疼痛、骨損傷痛、陣痛時および出産時の痛み、火傷による痛み、分娩後の痛み、狭心痛、末梢神経障害および糖尿病性神経障害、術後痛および本明細書に記載する神経系障害との合併症である疼痛などを包含する、多くの異なる種類の疼痛を含む。
【0050】
本明細書において用いられる、「急性疼痛」という用語は、本質的には、激痛、限局痛、鋭痛や刺痛および/または鈍痛、うずく痛み、広範な痛みまたは灼熱痛であり、短時間生じる、中心性または末梢性疼痛のことである。
【0051】
本明細書において用いられる、「慢性疼痛」という用語は、本質的には、激痛、限局痛、鋭痛や刺痛および/または鈍痛、うずく痛み、広範な痛みまたは灼熱痛であって、長時間生じる(すなわち持続性および/または定期的に再発する)中心性または末梢性疼痛のことであり、本発明では、神経因性疼痛および癌性疼痛を包含する。慢性疼痛には、神経因性疼痛、痛覚過敏および/または異痛症が含まれる。
【0052】
本明細書において用いられる、「神経因性疼痛」という用語は、末梢神経系や中枢神経系の損傷または病理変化により引き起こされる慢性疼痛のことである。神経因性疼痛に関連する病理変化の例は、遷延性の末梢神経感作または中枢神経感作、中枢神経阻害機能および/または顕在機能に対する中心感作関連性損傷および副交感神経と交感神経間の異常な相互作用を含む。広範囲の臨床状態が、神経因性疼痛に関連するか、またはその基礎をなす可能性があり、それらには、例えば、糖尿病、切断の外傷後疼痛(幻肢痛のような末梢性および/または中枢性感作を引き起こす損傷が起因となる神経損傷)、腰痛、癌、化学傷害、毒素、他の大手術、外傷圧迫による末梢神経損傷、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰椎または頸椎神経根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、灼熱痛、視床症候群、神経根引き抜き損傷、反射性交感神経性ジストロフィ、または開胸術後疼痛、栄養障害あるいは帯状疱疹またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルスまたは細菌感染症およびこれらの組み合わせを包含する。神経因性疼痛の定義には、転移性浸潤、有痛脂肪症、火傷、視床症状に関連する中心性疼痛症状およびこれらの組み合わせも含まれる。
【0053】
本明細書において用いられる「痛覚過敏」という用語は、典型的侵害刺激に対する感受性の亢進がある疼痛のことである。
【0054】
本明細書において用いられる「異痛症」という用語は、典型的非侵害刺激に対する感受性の亢進を指す。
【0055】
本明細書において用いられる「内臓痛」という用語は、例えば、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器感染症、胆管傷害およびこれらの組み合わせなどの内臓疾患と関連するかまたはこのような疾患から生じる疼痛のことである。
【0056】
本明細書において用いられる「女性特有の疼痛」という用語は、女性の健康状態に関連した急性および/または慢性の疼痛のことである。このような疼痛は、女性のみまたは主に女性が直面する疼痛を含み、例えば、月経、排卵、妊娠または出産、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤臓器虚血、閉塞症、腹腔内癒着、骨盤内臓器の解剖学的歪み、卵巣膿瘍、骨盤支持体の喪失、腫瘍、骨盤うっ血または非婦人科的原因による関連痛、ならびにそれらの組み合わせを包含する。
【0057】
本明細書で使用する場合、「アルキル」は、炭素原子約1個〜約20個を有する、場合により置換されていてもよい、飽和の直鎖、分枝鎖または環状の炭化水素を指す。アルキル基としては、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル基(例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられる。低級アルキル基は、最大6個の炭素原子を有する。様々な実施形態において、アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有し、「Cアルキル基」と称される。Cアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル基(例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、t−ペンチル)、およびヘキシル基(例えば、n−ヘキシル、イソヘキシル)が挙げられるが、これらに限定されない。分子鎖のアルキル基は、少なくとも3個の炭素原子(例えば、イソプロピル基)を有し、様々な実施形態では、6個までの炭素原子、すなわち分子鎖の低級アルキルを有する。分子鎖の低級アルキルの例としては、
【0058】
【化5】

が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
「アルケニル」は、本明細書中において使用される場合、1個以上の2重結合を有する少なくとも2個の炭素原子のアルキル基を指し、ここで、アルキルは、本明細書で定義される通りである。アルケニル基は、場合により、置換されることができる。
【0060】
「アルキニル」は、本明細書中において使用される場合、1個以上の3重結合を有する少なくとも2個の炭素原子のアルキル基を指し、ここで、アルキルは、本明細書で定義される通りである。アルキニル基は、場合により、置換されることができる。
【0061】
「ハロ」は、本明細書中において使用される場合、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0062】
「アリール」は、本明細書で使用する場合、約5個〜約50個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定数の全ての組み合わせおよびサブ組み合わせ)を有する、場合により置換されていてもよい、単環式、2環式、3環式、またはその他の多環式芳香環系を指し、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を有するものである。非限定的な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルが挙げられる。
【0063】
「ヘテロアリール」は、本明細書で使用する場合、硫黄、酸素および窒素から選択される少なくとも1個、好ましくは1個〜約4個のヘテロ原子環構成員を含む、場合により置換されていてもよい、単環式、2環式、3環式またはその他の多環式芳香環系を指す。ヘテロアリール基は、例えば、約3個〜約50個の炭素原子(ならびに、その中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよびサブ組み合わせ)を有することができ、好ましくは、約4個〜約10個の炭素原子を有するものである。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、例えば、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、およびイソオキサゾリルが挙げられる。
【0064】
「複素環」は、本明細書で使用する場合、飽和、部分不飽和または不飽和(芳香族)の安定な4員〜12員の単環式の、もしくは2環式または7員〜10員の2環式の、複素環を指し、これは炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群から独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を含有し、上記定義の複素環のいずれかがベンゼン環と縮合している2環式基を含む。窒素および硫黄のヘテロ原子は、場合により、酸化されていてもよい。該複素環は、安定な構造を生成する任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基と結合していてもよい。本明細書で記載される複素環は、得られる化合物が安定であるならば、炭素原子または窒素原子上で置換されることができる。特記すれば、複素環中の窒素原子は、場合により4級化されていてもよい。複素環中のS原子およびO原子の合計数が1を超える場合、これらのヘテロ原子はお互いに隣接しないのが好ましい。複素環中のS原子およびO原子の合計数が2以下であるのが好ましい。複素環の例としては、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダザロニル、カルバゾリル、4H−カルバゾリル、α−、β−またはγ−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェノキサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい複素環としては、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、またはイサチニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば上記複素環を含む縮合環およびスピロ化合物も含まれる。
【0065】
「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、基R−O−を指し、ここで、Rは本明細書で定義されるアルキル基である。
【0066】
「アリールアルキル」は、本明細書で使用される場合、基R’−R−を指し、ここで、R’は、本明細書で定義されるアリール基であり、そしてRは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0067】
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で使用される場合、基R”−R−を指し、ここで、R”は、本明細書で定義されるヘテロアリール基を指し、そしてRは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0068】
「アリールアルコキシ」は、本明細書で使用される場合、基R’−R−O−を指し、ここで、R’は、本明細書で定義されるアリール基であり、そしてRは、本明細書で定義されるアルキル基である。1例として、ベンジルオキシを含む。
【0069】
「ヘテロアリ−ルメトキシキシ」は、本明細書で使用される場合、基R”−CH−O−を指し、ここで、R”は、本明細書で定義されるヘテロアリール基である。
【0070】
「アルカノイルオキシ」は、本明細書で使用される場合、基R−C(=O)−O−を指し、ここで、Rは、本明細書で定義される1個から5個の炭素原子のアルキル基である。
【0071】
「アルキルスルホキシド」は、本明細書で使用される場合、本明細書で使用されるように、−S(=O)−Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0072】
「アリールスルホキシド」は、本明細書で使用される場合、本明細書で使用されるように−S(=O)−R’を指し、ここで、R’は、本明細書で定義されるアリール基である。
【0073】
「アルキルスルホン」は、本明細書で使用される場合、−S(=O)−Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるアルキル基である。
【0074】
「アリールスルホン」は、本明細書で使用される場合、−S(=O)−R’を指し、ここで、R’は、本明細書で定義されるアリール基である。
【0075】
「アルキルスルホンアミド」は、本明細書で使用される場合、−NR−S(=O)−Rを指し、ここで、各Rは、独立して上に定義されるアルキル基であるか、またはNR部分は、NHであってもよい。
【0076】
「アリールスルホンアミド」は、本明細書で使用される場合、−NR−S(=O)−R’を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるHまたはアルキルであり、そして、R’は、本明細書で定義されるアリールである。
【0077】
「ヘテロアリールスルホンアミド」は、本明細書で使用される場合、−NR−S(=O)−R”を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるHまたはアルキルであり、そして、R”は、本明細書で定義されるアリールである。
【0078】
「アルキルアミド」は、本明細書で使用される場合、−NR−C(=O)−Rを指し、ここで、各Rは、独立して、上に定義されるアルキル基であるか、またはNR部分は、NHであってもよい。
【0079】
「アリールアミド」は、本明細書で使用される場合、−NR−C(=O)−R”を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるHまたはアルキルであり、そして、R”は、本明細書で定義されるアリールである。
【0080】
「ペルフルオロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1個〜8個の炭素原子、好ましくは1個〜3個の炭素原子を有する、場合により置換された直鎖または分枝鎖の脂肪族炭化水素鎖を指し、そこで、全ての水素原子はフッ素で置換されている。
【0081】
本明細書のいろいろな場所で、化合物の置換基は、群または範囲で開示される。説明は、そのような群と範囲のメンバーの各々、および個々のサブコンビネーションの全てを含むことが具体的に意図される。例えば、用語「Cアルキル」は、個々にC、C、C、C、C、C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、およびC−Cのアルキルを開示することを具体的に意図する。別の例として、用語「5員〜9員のヘテロアリール基」は、個々に、5個、6個、7個、8個、9個、5〜9個、5〜8個、5〜7個、5〜6個、6〜9個、6〜8個、6〜7個、7〜9個、7〜8個、および8〜9個の環原子を有するヘテロアリール基を個々に具体的に開示することを意図する。
【0082】
一実施形態において、本発明は、式I:
【0083】
【化6】

(式中、
mは、0〜3の整数であり、
nは、0〜4の整数であり、
Xは、O、S、SO、またはNRであり;
Yは、0〜3個のRで置換されたアリールまたは0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり、
は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のRで置換されたアリールアルコキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のRで置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のRで置換されたアリールアミドであり、または、
2つの隣接したRはまた、メチレンジオキシを表し;
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはORであり、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはOR10であり、
はH、C−Cアルキル、0〜3個のR11で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、または
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく;または
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR12で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR12で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
各Rは、存在毎に独立して、H、アルキル、またはペルフルオロアルキルであり、
は、H、アルキル、または0〜3個のR13で置換されたアリールであり、または、
およびYは、それらが結合している窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
、R11、R12、およびR13は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであり、または、
2つの隣接したR、または2つの隣接したR11、または2つの隣接したR12、または2つの隣接したR13は、また、メチレンジオキシを表し、
およびR10は、存在毎に独立して、HまたはC−Cアルキルであり、および環A中の1〜3個の炭素原子は、場合によりNで置換されていてもよい)の化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0084】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、nは0から2、より好ましくは、0から1の整数である。
【0085】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、mは1から2、より好ましくは、1の整数である。
【0086】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、C−Cアルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ニトリル、または0〜3個のRで置換されたアリールである。特定のより好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、メチル、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、CF、OCF、ニトリル、またはフェニルである。
【0087】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、H、フッ素、メチル、エチル、ヒドロキシ、またはメトキシ、特にHまたはヒドロキシである。特定の好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、ヒドロキシである。
【0088】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、H、フッ素、メチル、エチル、またはメトキシ、特に各々の存在においてHである。
【0089】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、HまたはC−Cアルキルであり、より好ましくは、Rは Hまたはメチルである。
【0090】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、HまたはC−Cアルキルであり、より好ましくは、Rは、Hまたはメチルである。
【0091】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素および炭素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよい。
【0092】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素および炭素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよい。
【0093】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよい。式Iの化合物の特定のより好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と共に、モルホリニルを形成し、ここで任意の炭素環原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよい。
【0094】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Rは、存在毎に独立して、H、メチル、エチル、またはペルフルオロメチルであり、より好ましくは、Rは、存在毎に独立してHである。
【0095】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Xは、NRであり、特にRは、H、メチル、エチルまたはフェニルである。特定の他の好ましい実施形態では、XはOである。なお他の好ましい実施形態では、Xは、SまたはSOである。
【0096】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、Xは、NRであり、特にRおよびYは、それらが結合している窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、CO、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよい。特定のさらにより好ましい実施形態では、RおよびYは、それらが結合している窒素と共に、C−Cアルキル、FもしくはCFで場合により置換された、オキソインドリル、ベンゾイミダゾロニル、インドリニル、またはインドリルを形成する。
【0097】
式(I)の好ましい化合物は、
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−{[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
N−{[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン;
1−[3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
7−フルオロ−1−{7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン
およびその医薬的に許容される塩を含む。
【0098】
特に好ましい式(I)の化合物は、
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン;
1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン;
1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン;
1−[(2R,3S)−3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
7−フルオロ−1−{(2S,3R)−7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン;
4−フルオロ−3−{(2SR,3RS)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{(2S,3R)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{(2R,3S)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
およびその医薬的に許容される塩を含む。
【0099】
式Iの化合物の特定の好ましい実施形態では、医薬的に許容される塩は、塩酸塩である。
【0100】
本発明の化合物のいくつかは、キラル中心を含むことができ、そのような化合物は、立体異性体(即ち、エナンチオマー)の形態で存在し得る。本発明は、全てのこのような立体異性体、およびラセミ混合物を含むそれらの任意の混合物を含む。実質的に純粋な立体異性体と同様に立体異性体のラセミ混合物も、本発明の範囲内にある。用語「実質的に純粋な」は、本明細書中において使用される場合、少なくとも約90モル%、より好ましくは少なくとも約95モル%、そして最も好ましくは少なくとも約98モル%の所望の立体異性体が他の可能な立体異性体に対して存在することを意味する。好ましいエナンチオマーは、キラル塩の形成および結晶化ならびに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離されることができるか、または本明細書中に記載の方法によって調製され得る。例えば、Jacquesら、Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,S.H.ら、Tetrahedron,33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds,(McGraw−Hill,NY,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions,p.268(E.L.Eliel,Ed.,University of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。
【0101】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグを含む。「プロドラッグ」は、本明細書中において使用される場合、化学的または代謝手段(例えば、加水分解)によってインビボで式Iの化合物へ変換可能である化合物を意味する。種々の形態のプロドラッグが、当該分野において公知であり、例えば、Bundgaard,(編),Design of Prodrugs,Elsevier(1985);Widderら(編),Methods in Enzymology,vol.4,Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら(編)“Design and Application of Prodrugs,”Textbook of Drug Design and Development,Chapter 5,113−191(1991),Bundgaardら,Journal of Drug Deliver Reviews,1992,8:1−38,Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,1988,77:285頁以下;ならびにHiguchi and Stella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975)において議論されており、これらの全開示は引用により本明細書に取り込まれる。
【0102】
さらに、式Iの化合物は、非溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどの医薬的に許容される溶媒での溶媒和物の形態で存在し得る。一般的に、溶媒和物の形態は、本発明の目的に関して非溶媒和物の形態と均等であると考えられる。
【0103】
本発明の化合物は、当業者に周知の多数の様式で調製され得る。前記化合物は、例えば、下記に記載の方法または当業者によって認識されるその変形法によって合成され得る。本発明に関連して開示される全てのプロセスは、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商工業規模を含む、任意の規模で実施されることが考慮される。
【0104】
一実施形態において、本発明は、式Ia:
【0105】
【化7】

(式中、
Zは、OHまたは
【0106】
【化8】

であり、
nは、0〜4の整数であり、
Xは、O、S、SO、またはNRであり、
Yは、0〜3個のRで置換されたアリールまたは0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり、
は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のRで置換されたアリールアルコキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のRで置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のRで置換されたアリールアミドであり、または、
2つの隣接したRはまた、メチレンジオキシを表し、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはOR10であり、
はH、C−Cアルキル、0〜3個のR11で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、または
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR12で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR12で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
は、存在毎に独立して、H、アルキル、またはペルフルオロアルキルであり、
は、H、アルキル、または0〜3個のR13で置換されたアリールであり、または、
およびYは、それらが結合している窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、CO、またはSOで場合により置換されており、任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
、R11、R12、およびR13は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであり、または、
2つの隣接したR、または2つの隣接したR11、または2つの隣接したR12、または2つの隣接したR13は、また、メチレンジオキシを表し、
10は、HまたはC−Cアルキルであり、および
環A中の1〜3個の炭素原子は、場合によりNで置換されていてもよい)の化合物の製造方法を提供するものであり、該方法は、以下の式II:
【0107】
【化9】

(式中、Z、n、X、Y、R、R、およびRは、式Iaに対して上で定義したと同じであり、Lは、脱離基である)の化合物を閉環反応に付して式Iaのジヒドロベンゾフラン環を形成させることを含む。
【0108】
式Iaの化合物を製造する方法の一実施形態では、閉環反応は、式IIの化合物の脱離基Lの分子内求核置換反応を含む。特定の実施形態において、分子内求核置換反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施される。
【0109】
式Iaの化合物を製造する方法の別の実施形態では、閉環反応は、分子内カップリング反応である。特定の実施形態において、分子内カップリング反応は、遷移金属触媒およびホスフィンリガンドの存在下で実施される。さらに、いくつかの実施形態では、分子内カップリング反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施される。
【0110】
式Iaの化合物を製造する方法のある好ましい特定の実施形態では、式IIの化合物のZは、OHであり、前記方法が、Zを脱離基に変換し、該脱離基を
【0111】
【化10】

(式中、RおよびRは、式Iaに対して上で定義したと同じである)で置換することを含む。
【0112】
式Iaの化合物を製造する方法の他の好ましい実施形態では、式IIの化合物が、下記式III:
【0113】
【化11】

(式中、Z、n、R、R、RおよびAは、式Iaに対して上で定義したものと同じであり、Lは脱離基である)の化合物のエポキシド環を開環することにより形成される。
【0114】
前記の方法のいくつかの実施形態では、式IIIの化合物のエポキシド環の開環が、式XYの適切な求核性化合物をエポキシド化合物と反応させることを含み、ここでXおよびYは、式Iaについて上で定義したものと同じである。
【0115】
特定の実施形態では、式XVの化合物が、式IIIのエポキシド化合物との反応の前に、または反応の過程で、塩基で処理される。特定の他の実施形態では、式IIIのエポキシド化合物が、式XYの化合物との反応の前に、または反応の過程で、ルイス酸で処理される。
【0116】
上に記述された任意の実施形態では、エポキシド環の開環が、溶媒の存在下で実施されてもよい。
【0117】
容易に理解されるように、存在する官能基は、合成の過程の間、保護基を含むことができる。保護基は、例えば水酸基やカルボキシル基などの官能性に選択的に付加される、または選択的に除去される化学的官能基としてそれ自体公知である。これらの基は、化合物中に存在し、該化合物が曝露される化学反応条件に対する不活性をこのような官能性に与える。任意の種々の保護基が、本発明で使用され得る。本発明に従って使用され得る保護基は、Greene,T.W.およびWuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis 2d.Ed.,Wiley & Sons,1991に記載されており、引用によりその全体的開示が、本明細書に取り込まれる。
【0118】
本発明の化合物は、当業者に周知の多数の方法で調製され得る。前記化合物は、例えば、下記に記載の方法または当業者によって認識されるその変法によって合成され得る。本発明に関連して開示される全てのプロセスは、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商工業的規模を含む、任意の規模で実施されることを意図する。
【0119】
本発明の化合物は、下記の一般的な説明に従って適切に製造され得る。使用される変数は、特に明記されない限り、式Iについて定義される通りである。本発明の化合物の製造において使用される試薬は、商業的に入手し得るか、または文献に記載される標準的な手順によって製造することができる。本発明によれば、式Iの化合物(式Iのmが0である)は、以下の反応スキーム(スキームIおよびII)によって製造することができる。類似する反応スキームを、mが1、2または3の整数である式Iの化合物を製造するために用いることができる。
【0120】
【化12】

(式中、X、Y、n、R、R、RおよびRは前述のとおりであり、そして、Lは脱離基である)
スキームIで図示されるように、式3の化合物は、式YXの適切に置換された化合物を用いて、式2の適切に置換されたエポキシド(適切に置換されたアリルアルコールのエポキシ化を経て形成される)の位置選択的および立体選択的な開環を経て形成することができる。エポキシドの位置選択的および立体選択的な開環についての任意の従来法が、この変換に使用されうる。本発明の好ましい実施形態によれば、式YXの化合物は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド)で処理され、それから式2のエポキシドで適切な溶媒中で、例えば、THF、DMF、水、塩化メチレン、およびエタノールにおいて処理されるが、これらの溶媒に限定されるものではない。式2のエポキシドは、ルイス酸、例えば、チタンイソプロポキシド、3フッ化ホウ素、その他で前処理され、位置選択的開環を増強することができる。反応は、約2時間から約72時間、室温から80℃の範囲の温度で実施することができる。あるいはまた、十分に求核性である式YXの化合物、例えば、インドリンは、式2のエポキシドを約50℃から約170℃の温度で、如何なる溶媒もなしで加熱して、式3の化合物を形成することができる。さらに、十分に求核性である式YXの化合物、例えば、インドリンによる式2の化合物のエポキシド開環は、また、ルイス酸(例えば、チタンイソプロポキシド)の存在下、適切な溶媒(例えば、THF)中、室温において実施することができる。ジヒドロベンゾフラン4を形成する閉環は、脱離基Lの分子内求核置換反応または式3の化合物の分子内カップリング反応を含むが、これらに限らずいろいろな反応の実施により実施しうる。求核置換反応は、式3の化合物を室温から80℃でDMFやTHFを含むがこれに限らない適切な溶媒中、適切な塩基(例えば、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムを含むがこれに限らない)で処理することによって一般に実施される。カップリング反応は、適切なホスフィンリガンドの存在下、遷移金属によって一般に促進される。本発明の好ましい実施形態によれば、カップリング反応は、THF、エーテル、トルエン、およびベンゼンなどの適切な溶媒中、適切な塩基(例えば、CsCO、KF、およびKPO)の存在下、室温から使われる溶媒の沸点にわたる温度で窒素またはアルゴンの不活性雰囲気の下で実施することができる。このカップリング反応で使用される遷移金属触媒は、Pd(OAc)や塩化ニッケルなどの形態のパラジウムやニッケルを含むがこれらに制限されない。適切なホスフィンリガンドは、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(n,n−ジメチルアミノ)ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルを含むが、これらに限定されるものではない)。式4の化合物の本発明の式Iの化合物への変換は、末端のアルコールを選択的に脱離基に変換し、それを所望のアミンで置換することによって提供することができる。末端アルコールの脱離基への選択的な変換に関する任意の従来法、および末端脱離基をアミンで置換する任意の従来法が、この変換に利用されうる。本発明の好ましい実施形態によれば、式4のアルコールは、ピリジン中で塩化p−トルエンスルホニルで処理されることでトシラートを形成し、これは、過剰のアルコールアミン溶液と室温または約40℃から約80℃に封管中で加熱処理することにより本発明の化合物である式Iの化合物に変換することができる。あるいはまた、式4の化合物の末端水酸基は、光延プロトコルにより活性化し、適切なスルファミドとアミドで処理し、次いで保護基を除去することにより式Iの所望のアミンを与えることができる。光延の手順は、文書で十分に裏付けられており(例えば、Hughes,David L.Organic Preparations and Procedures International(1996),28(2),127−64)、その全体の開示は、引用により本明細書に取り込まれる。
【0121】
本発明の好ましい実施形態によれば、式Iの化合物は、THFなどの非プロトン性溶媒中、式4の化合物、および適切な2−ニトロベンゼンスルファミドおよびトリフェニルホスフィンの混合物をDIAD(ジイソプロピルアゾジカルボキシラート)で処理することにより生じさせうる。反応は、通常、約2〜72時間の長さで、室温において不活性ガス雰囲気下で実行される。2−ニトロベンゼンスルホニル基は、式Iの化合物を生成するために、チオフェノールなどの穏やかな求核剤で、光延付加物を処置することによって、その後除去することができる。式Iの化合物の遊離塩基は、任意の従来法を使用して、医薬的に許容される塩に変換することができる。
【0122】
【化13】

トランスアリルアルコールのエポキシ化は、文献に記述された方法を使用して、ラセミ的にまたは不斉的に実施することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、ラセミのエポキシ化は、過酢酸またはメタクロル過安息香酸のいずれかを用いて実施される。式Iの化合物の単一のエナンチオマーを製造することを希望する場合は、アリルアルコールの不斉エポキシ化は、適切な酒石酸塩エステル、チタン(IV)イソプロポキシド、および分子篩の存在下で、tert−ブチルヒドロペルオキシドまたはクメンヒドロペルオキシドを用いて実施することができる。この方法は、文献(例えば、K.B.Sharpless,ら,J.Org.Chem.1986,51,3710)で確立されており、その全体の開示は、引用により本明細書に取り込まれる。式YXの化合物と原料のアリルアルコールは、商業源から入手可能であるか、または文献でよく確立された方法によって入手できる。
【0123】
他の実施形態において、本発明は医薬組成物に向けられ、それは
a.式Iの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、および
b.少なくとも1つの医薬的に許容される担体
を含む。
【0124】
一般的に、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩は、医薬組成物の総重量に基づき、医薬組成物の総重量の約0.1重量%〜約90重量%のレベルで存在する。好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩は、医薬組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%のレベルで存在する。より好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩は、医薬組成物の総重量に基づいて、少なくとも約5重量%のレベルで存在する。なおより好ましくは、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩は、医薬組成物の総重量に基づいて、少なくとも約10重量%のレベルで存在する。なおさらにより好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩は、医薬組成物の総重量に基づいて、少なくとも約25重量%のレベルで存在する。
【0125】
このような組成物は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,ed.Alfonoso R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA(1985)に記載される、許容される薬学的手順に従って調製され、その全体的な開示は、引用により本明細書に取り込まれる。医薬的に許容される担体は、製剤中の他の成分と適合性でありかつ生物学的に許容されるものである。
【0126】
本発明の化合物は、経腸的(例えば、経口的)に、または非経口的に、そのまま、または従来の医薬用担体と組み合わせて、投与され得る。適用可能な固体担体は、矯味矯臭剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤またはカプセル化材料として機能し得る1つ以上の物質を含むことができる。散剤中において、担体は、微細に粉砕された有効成分と混合されている、微細に粉砕された固体である。錠剤中において、有効成分は、適切な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、そして所望の形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは、約99%までの有効成分を含有する。好適な固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、乳糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス類およびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0127】
液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を調製する際に使用することが可能である。本発明の有効成分は、医薬的に許容される液体担体、例えば、水、有機溶媒、両方の混合物、または医薬的に許容される油もしくは脂肪中に、溶解または懸濁することができる。液体担体は、他の適切な医薬的添加剤、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤、または浸透圧調節剤を含有することができる。経口および非経口投与のための液体担体の適切な例としては、水(特に上記の添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含む)、アルコール類(1価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコール類を含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分留ココナッツ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与について、担体はまた、油状エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであり得る。滅菌液体担体が、非経口投与のための滅菌液体形態組成物中において使用される。
【0128】
滅菌液剤または懸濁剤である、非経口投与のための液体医薬組成物は、例えば、筋肉内注射、腹腔内注射または皮下注射によって投与することができる。滅菌液剤はまた、静脈内投与することができる。経口投与の組成物は、液体または固体組成物の形態であってよい。
【0129】
好ましくは、医薬組成物は、単位投薬形態、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、または坐剤である。このような形態において、組成物は、適切な量の有効成分を含有する単位用量に再分割され、単位投薬形態は、包装された組成物、例えば小包にされた散剤、バイアル、アンプル、予め充填された注射器、または液体を含有するサシェ剤とすることができる。単位投薬形態は、例えば、カプセル剤もしくは錠剤自体とすることができ、またはそれは、包装形態の適切な数の任意のこのような組成物とすることができる。
【0130】
本発明の別の実施形態において、本発明において有用な化合物は、哺乳動物中に存在する任意の他の病状を治療するために使用される薬剤などの1つ以上の他の医薬的に活性な薬剤と共に、哺乳動物へ投与され得る。このような医薬的に活性な薬剤の例としては、鎮痛剤、抗血管新生剤、抗新生物剤、抗糖尿病剤、抗感染剤、もしくは胃腸薬、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
1つ以上の他の医薬的に活性な薬剤が、1つ以上の本発明の化合物と同時に(例えば、同時に個々に、または医薬組成物中において一緒に)、および/または連続的に、治療的に有効な量で投与され得る。
【0132】
用語「併用療法」は、本開示中に記載される治療的状態または障害、例えば、顔面潮紅、発汗、体温調節関連状態もしくは障害、またはその他の状態もしくは障害を治療するための2つ以上の治療剤または化合物の投与を指す。このような投与は、各タイプの治療剤を同時に使用する方法を含む。いずれの場合においても、治療レジメは、本明細書中に記載される状態または障害を治療することにおいて薬物併用の有利な効果を提供する。
【0133】
投与経路は、適切なまたは所望の作用部位へ式Iの活性化合物、またはその医薬的に許容される塩を効率的に輸送する、任意の経腸的または非経口的な経路であり、例えば、経口、経鼻、経肺、経皮(例えば、受動的またはイオン導入送達)、あるいは非経口、例えば、直腸、デポ製剤、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、関節内、鼻腔内、点眼剤または軟膏剤の経路とすることができる。さらに、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩の、他の有効成分との投与は、連続的または同時であってよい。
【0134】
一実施形態において、本発明は、血管運動障症状、性的機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、内因性行動障害、認知障害、糖尿病性神経障害、疼痛およびそれらの組合せからなる群から選択される状態の治療または予防を必要とする被験者における、治療または予防のための医薬の製造における式Iの活性化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0135】
特定の実施形態において、血管運動症状は、顔面潮紅である。
【0136】
特定の実施形態において、性的機能不全は、性的欲求および/または性的興奮に関連する。
【0137】
特定の実施形態において、胃腸障害または尿生殖器障害は、腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁である。
【0138】
特定の実施形態において、状態は、慢性疲労症候群である。
【0139】
特定の実施形態において、状態は、線維筋痛症候群である。
【0140】
特定の実施形態において、状態は、大うつ病性障害、全般性不安障害、パニック障害、多動性を有するまたは有さない注意欠陥障害、睡眠障害、社会不安障害、およびそれらの組み合わせから選択されるうつ障害である。
【0141】
特定の実施形態において、状態は、糖尿病性神経障害である。
【0142】
特定の実施形態において、状態は、疼痛である。
【0143】
特定の実施形態において、疼痛は、急性中心性疼痛、急性末梢性疼痛、またはそれらの組合せである。
【0144】
特定の実施形態において、疼痛は、慢性中心性疼痛、慢性末梢性疼痛、またはそれらの組合せである。
【0145】
特定の実施形態において、疼痛は、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格性疼痛、骨痛、癌疼痛、炎症痛、またはそれらの組み合わせである、
特定の実施形態において、神経因性疼痛は、糖尿病、切断術の外傷後疼痛、低背部疼痛、癌、化学薬品損傷、毒素、大手術、外傷性損傷圧迫による末梢神経傷害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、腰部または頸部神経根障害、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、灼熱痛、視床症候群、神経根剥離、反射性交感神経ジストロフィまたは開胸術後疼痛、栄養障害、ウイルス感染、細菌感染、転移浸潤、有痛性脂肪症、火傷、視床状態に関連した中心性疼痛、またはそれらの組み合わせに関連する、
特定の実施形態において、神経因性疼痛は、帯状疱疹後神経痛である。
【0146】
特定の実施形態において、内臓痛が、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、器官の感染症、胆道疾患、またはそれらの組み合わせに関係する。
【0147】
特定の実施形態において、疼痛は、女性特有の疼痛である。
【0148】
本発明は、ノルエピネフリンの低下した活性を回復する方法による血管運動症状の治療のための、式Iの化合物の使用を提供する。どんな理論にも束縛されることを望むものではないが、視床下部または脳幹のノルエピネフリン活性は、(i)NEトランスポータの活性を遮断すること、(ii)シナプス前αアドレナリン受容体の活性をアンタゴニストで遮断すること、または(iii)NEニューロン上の5−HTの活性を5−HT2aアンタゴニストで遮断することにより、上昇させることができる。
【0149】
本発明の化合物はまた、疼痛を予防または治療するのに有用である。疼痛は、例えば、急性疼痛または慢性疼痛であり得る。疼痛はまた、中心性または末梢性であり得る。
【0150】
急性または慢性であり、本発明の方法に従って治療され得る疼痛の例としては、炎症性疼痛、筋骨格性疼痛、骨性疼痛、腰仙痛、首もしくは上背部の疼痛、内臓性疼痛、体性痛、神経因性疼痛、癌性疼痛、外傷もしくは手術によって引き起こされる疼痛(例えば、熱傷痛もしくは歯痛)、または頭痛(例えば、片頭痛もしくは緊張性頭痛)、あるいはそれらの疼痛の組み合わせが挙げられる。当業者は、これらの疼痛が互いに重複し得ることを認識する。例えば、炎症によって引き起こされる疼痛はまた、本来は内臓性または筋骨格性であり得る。
【0151】
本発明の好ましい実施形態において、本発明において有用な化合物は、以下の慢性疼痛を治療するために哺乳動物へ投与される。すなわち例えば、末梢または中枢神経系の損傷または病理学的変化に関連する神経因性疼痛;癌性疼痛;例えば腹部、骨盤、および/または会陰部あるいは膵炎に関連する内臓性疼痛;例えば、腰背部もしくは上背部、脊柱、線維筋痛、顎関節、または筋膜疼痛症候群に関連する筋骨格性疼痛;例えば、骨または関節変性障害、例えば、変形性関節症、関節リウマチ、もしくは脊柱管狭窄に関連する骨性疼痛;片頭痛または緊張性頭痛などの頭痛;あるいは、感染、例えば、HIV、鎌状赤血球貧血、自己免疫疾患、多発性硬化症、または炎症、例えば、変形性関節症もしくは関節リウマチに関連する疼痛、である。
【0152】
より好ましい実施形態において、本発明において有用な化合物は、本明細書中に記載される方法に従って、神経因性疼痛、内臓性疼痛、筋骨格性疼痛、骨性疼痛、癌性疼痛、炎症性疼痛、あるいはそれらの組み合わせである慢性疼痛を治療するために使用される。炎症性疼痛は、変形性関節症、関節リウマチ、手術、または損傷などの、種々の病状と関連し得る。神経因性疼痛は、例えば、糖尿病性神経障害、末梢性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰部または頚部の神経根障害、線維筋痛症、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、灼熱痛、視床症候群、神経根裂離、または末梢性および/または中枢性感作(例えば、幻肢痛)を生じさせる損傷による神経損傷原因、反射性交感神経性ジストロフィまたは開胸後疼痛、癌、化学薬品傷害、毒素、栄養失調、またはウイルスもしくは細菌感染(例えば、帯状ヘルペスもしくはHIV)、あるいはそれらの組み合わせと関連し得る。本発明の化合物の使用方法は、さらに、神経因性疼痛が、転移性浸潤、有痛脂肪症、熱傷、または視床状態に関連する中心性疼痛状態に続発する状態である、治療を含む。
【0153】
前述されるように、本発明の化合物は、本来は体性および/または内臓性である疼痛を治療するために使用され得る。例えば、本発明の方法に従って治療することができる体性疼痛としては、手術の間に経験される構造組織もしくは軟組織損傷、歯科的処置、火傷、または外傷性体損傷と関連する疼痛が挙げられる。本発明の方法に従って治療され得る内臓性疼痛の例としては、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器の感染、もしくは胆管障害、またはそれらの組み合わせなどの内臓器官の疾患に関連するかまたはそれから生じるタイプの疼痛が挙げられる。当業者はまた、本発明の方法に従って治療される疼痛もまた、痛覚過敏、異痛症、または両方に関連し得ることを認識する。さらに、慢性疼痛は、末梢性または中枢性感作を伴うかもしれないし、伴わないかもしれない。
【0154】
本発明において有用な化合物はまた、女性特有の疼痛とも呼ばれ得る女性の状態に関連する急性および/または慢性疼痛を治療するために使用され得る。このような疼痛の群は、女性のみまたは主に女性が遭遇するものを含み、月経、排卵、妊娠もしくは出産、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内蔵の過敏、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染および炎症、骨盤内器官虚血、閉塞症、腹腔内癒着、骨盤内蔵の解剖学的歪曲、卵巣膿瘍、骨盤支持の喪失、腫瘍、骨盤うっ血または非婦人科学原因由来の関連痛に関連する疼痛を含む。
【0155】
本発明は、下記の実施例においてさらに定義され、ここで、特に記載されない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、そして温度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のためのみに与えられることが理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、そしてその精神および範囲を逸脱することなく、本発明の変更および修飾を行い、種々の用途および条件へそれを適応させることができる。
【実施例】
【0156】
実施例1:1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0157】
【化14】

工程1:トルエン(770mL)とアセトニトリル(77mL)中、2−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(25g、153.8mmol)とトリフルオロ酢酸(34.3mL、461.4mmol)の混合物を、窒素で20分間脱気した後、イソブチルアルデヒド(14mL、153.8mmol)の脱気溶液を添加した。反応混合物は、35℃で12時間加熱した。ヒドラジンが消失したら、反応物を0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(7g、184.6mmol)を慎重に加えた。添加終了後、トルエンを減圧除去し、10%の炭酸カリウム水溶液(500mL)を加えた。混合物は、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して7−フルオロ−3,3−ジメチルインドリンをオフホワイト色の固体として得た。MS(ES)m/z 166.1。
【0158】
工程2:アセトン(500mL)中、2−ブロモケイ皮酸(50g、220.2mmol)、炭酸セシウム(107.6g、330.3mol)およびヨウ化メチル(219.8mL、3523.2mmol)の混合物を密封容器中で12時間加熱した。反応混合物を濾過し、アセトンを減圧除去した。残渣(52.8g)の1部(20g)を、ジクロロメタン(50mL)に取り上げ、純な水素化ジイソブチルアルミニウム(18mL、103.8mmol)で−78℃から25℃において処理した。2時間後、反応混合物を−78℃に冷却し、メタノール(50mL)で慎重にクエンチした。混合物を室温まで加温し、ジクロロメタンを減圧除去し、残渣をシリカゲルカラム(ISCO、0〜70%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して(2E)−3−(2−ブロモフェニル)プロパ−2−エン−1−オール(12.8g、72%)を得た。(ES)m/z 211.1。
【0159】
2つのオーブン乾燥した滴下ロートとゴム栓を付けた、オーブン乾燥した3頸の1L丸底フラスコに、D−酒石酸ジイソプロピル(4.4mL、21mmol)、4Åの粉末活性化分子篩(〜10g)および乾燥ジクロロメタン(350mL)を窒素雰囲気下で充填した。−25℃まで冷却した後に、反応混合物に、チタンイソプロポキシド(99.99%、4.2mL、13.98mmol)を皮下注射器によりゆっくりと加えた。10分間攪拌した後に、無水t−ブチルヒドロペルオキシド(デカン中、〜5.5M、Fluka、50.0mL、275mmol、使用前に活性化された4Å分子篩ペレットで10分間さらに乾燥した)を滴下ロートから適度な速度で加えた。得られた混合物は、30分間−20℃で攪拌した。乾燥ジクロロメタン(20mL)中の(2E)−3−(2−ブロモフェニル)プロパ−2−エン−1−オール(14.9g、69.9mmol)を、温度を−20℃に維持しながら、滴下ロートから滴下して加えた。滴下後、反応混合物は、−20℃で1時間、−15℃でさらに3時間攪拌した。反応が完了した後、塩化ナトリウムが飽和された冷却した30%水酸化ナトリウム水溶液(8mL)を冷却し、ゆっくりと−20℃で加えた。ジエチルエーテル(100mL)を加えた後、冷却浴は取り除き、混合物を〜5℃に加温し、1時間攪拌した。混合物に硫酸マグネシウム(無水、〜20g)を加え、20分間攪拌し、次いで、シリカゲルのパッドを通して濾過し、エーテル(100mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、トルエンを用いて過剰なt−BuOOHを共沸的に取り除いた。残渣の油を、シリカゲル(ISCO、0〜30%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールを得た。MS(ES)m/z 228.8。ラセミの生成物は、キラルHPLC(Chiralpak AD−H、超臨界流体80%CO上の20%MeOH)を使用して分割して[(2R,3R)−3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(4.6g、29%)と[(2S,3S)−3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(2.1g、13%)を得た。
【0160】
工程3:[(2R,3R)−3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(2.7g、11.8mmol)とチタンイソプロポキシド(3.9mL、13mmol)のジクロロメタン(40mL)中の混合物に、7−フルオロ−3,3−ジメチルインドリン(1.9g、11.8mmol)をジクロロメタン(20mL)中で加えた。反応混合物を12時間攪拌し、塩化アンモニウム(25mL)の飽和水溶液へ注ぎ、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して(2S,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールを薄紅色の固体(2.5g、56%)として得た。MS(ES)m/z 393.7;HRMS:C1921BrFNO+Hに対する計算値394.08124;実測値(ESI、[M+H])、394.0825。
【0161】
工程4:(2S,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(2.5g、5.6mmol)、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(0.18g、0.6mmol)および炭酸セシウム(3g、9.2mmol)のトルエン(60mL)中の混合物に、50℃に加熱しながら、窒素を吹き込んだ。酢酸パラジウム(0.09g、0.4mmol)を加え、反応混合物を80℃まで加熱した。80℃に12時間維持した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−(2R、3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(0.85g、43%)を得たが、これは、さらに精製することなく次の工程で使用された。MS(ES)m/z 314.1。
【0162】
工程5:1−[(2R、3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(0.65g、2.1mmol)、N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(0.5g、2.3mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.21g、4.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.89mL、4.6mmol)を加えた。室温で12時間攪拌したあと、反応混合物を飽和塩化アンモニウムの溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、N−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(>90%)を得た。
【0163】
工程6:N−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(1.1g、2.2mmol)と炭酸カリウム(0.91g、6.6mmol)のジメチルホルムアミド(20mL)混合物に、チオフェノール(0.24mL、2.31mmol)を加えた。1時間攪拌したあと、反応混合物を飽和塩化アンモニウムの溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜30%のメタノール/塩化メチレン)により精製して、1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン(0.48g、61%)を油として得た。塩酸塩は、遊離塩基をエーテルに溶解し、0℃に冷却し、エーテル中の1N塩酸を加えることにより調製された。エーテルを除去した後、残渣を酢酸エチルで粉末にして表題化合物の塩酸塩を白色固体として得た。MS(ES)m/z 327.0;[α]25=+143.2°(c=10mg/mL、MeOH)。
【0164】
実施例2。1−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0165】
【化15】

工程1:実施例1の工程1と類似した方法で、5−フルオロ−3,3−ジメチルインドリン(0.91g、57%)が、4−フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(1.6g、10.0mmol)から製造された。MS(ES)m/z 166.1。
【0166】
工程2:実施例1の工程3と類似した方法で、(2S,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールが、[(2R,3R)−3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール0.45g(2.0mmol)と5−フルオロ−3,3−ジメチルインドリン0.36g(2.0mmol)gから製造された。MS(ES)m/z 393.7。
【0167】
工程3:実施例1の工程4と類似した方法で、 1−[(2R、3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールが、(2S,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールから製造された。MS(ES)m/z 314.1。
【0168】
工程4:実施例1の工程5と類似した方法で、N−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドが、1−[(2R、3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールから製造された。
【0169】
工程5:実施例1の工程6と類似した方法で、1−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミンが、N−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−2−イルメチル]−N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドから製造された。
MS(ES)m/z 326.9;HPLC純度100.0%;210〜370nmで8.5分;Xterra RP18、3.5u、150×4.6mmのカラム、1.2mL/分、85/15〜5/95(ギ酸アンモニウム緩衝剤pH=3.5/CAN(硝酸セリウムアンモニウム)+MeOH)、10分間、4分間保持。
HRMS:C2023FNO+H+に対する計算値327.18672;実測値(ESI、[M+H]+)、327.1877。
【0170】
実施例3:1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン塩酸塩
【0171】
【化16】

1−[(2R、3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(0.08g、0.26mmol)のピリジン(3mL)溶液に、塩化p−トルエンスルホニル(0.15g、0.78mmol)を加えた。室温で12時間攪拌したあと、反応混合物を1N塩酸(10mL)の水溶液に注ぎ、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗製のトシラート残渣を、エタノール(10mL)中、33%のイソプロピルアミン溶液に取り込み、封管中、80℃で12時間加熱した。混合物を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、40%の酢酸エチル/ヘキサン、次いで10%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミンを油として得た。塩酸塩は、遊離塩基の生成物をエーテルに溶解し、0℃に冷却し、エーテル中の1N塩酸を加えることにより調製された。エーテルを除去した後、残渣を酢酸エチルで粉末にして表題化合物の塩酸塩を白色固体として得た。MS(ES)m/z 341.0;HRMS:C2125FNO+H+に対する計算値341.20237;実測値(ESI、[M+H])、341.2022。
【0172】
実施例4:1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン塩酸塩
【0173】
【化17】

実施例3と類似した方法で、1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン塩酸塩が、エタノール中、1−[(2R、3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールと7Nアンモニアから製造された。MS(ES)m/z 312.7。
【0174】
実施例5:1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0175】
【化18】

実施例3と類似した方法で、1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩が、1−[(2S、3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールと33重量%のメチルアミンからエタノール中で製造された。HRMS:C2023FNO+Hに対する計算値327.18672;実測値(ESI、[M+H])、327.1867。
【0176】
実施例6:N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン塩酸塩
【0177】
【化19】

実施例3と類似した方法で、N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン塩酸塩が、1−[(2S、3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールとイソプロピルアミンから製造された。MS(ES)m/z 355.1。
【0178】
実施例7:1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン塩酸塩
【0179】
【化20】

実施例3と類似した方法で、1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン塩酸塩が、1−[(2S、3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールとジメチルアミンから製造された。MS(ES)m/z 341.1;HRMS:C2125FNO+Hに対して計算値341.20237;実測値(ESI、[M+H])、341.2024。
【0180】
実施例8:N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン塩酸塩
【0181】
【化21】

実施例3と類似した方法で、N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン塩酸塩が、1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールとエチルアミンから製造された。MS(ESI)m/z 341。
【0182】
実施例9:1−[(2R,3S)−3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0183】
【化22】

工程1:2−エトキシフェノール(10mL、78mmol)、[(2R,3R)−3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(5.95g、26mmol)および水酸化ナトリウム(1.04g、26mmol)の混合物を水(30mL)中で、6時間70℃に加熱した。反応終了時に、反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)に注ぎ、エーテル(50mL)で分離した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、残渣をシリカゲル(ISCO 0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して(2R,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(2−エトキシフェノキシ)プロパン−1,2−ジオール(6.01g、63%)を得た。MS(ES)m/z 348.8;HRMS:C1719BrO+Na+に対して計算値、389.03589;実測値(ESI、[M+Na])、389.0359;
エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールは、(2R,3S)−3−(2−ブロモフェニル)−3−(2−エトキシフェノキシ)プロパン−1,2−ジオールから製造された。MS(ES)m/z 297.2。
【0184】
工程3:実施例1の工程5と6と類似した方法で、白色固体としての1−[(2R,3S)−3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩が、[(2R,3S)−3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールから製造された。MS(ES)m/z 300.0;HRMS:C1821NO+H+、300.15942;実測値(ESI、[M+H])、300.1596。
【0185】
実施例10:(+/−)−1−[3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0186】
【化23】

工程1:(2E)−3−(2−ブロモフェニル)プロパ−2−エン−1−オール(6.4g、30mmol)、過酢酸(15.2mL、72mmol)、炭酸ナトリウム(9g、84mmol)の混合物を塩化メチレン中(75mL)、室温で18時間攪拌した。混合物を飽和炭酸ナトリウム溶液(50mL)で処理した。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(炭酸ナトリウム)し、濃縮して3−(2−ブロモフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールを白色固体(5.2g、75%)として得た。MS(ES)m/z 229.0。
工程2〜5:実施例1(工程3および4)と実施例2に類似した方法で、表題化合物が、(3−(インドリン−1−イル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)メタノールとメチルアミンから製造された。MS(ES)m/z 281.1。
【0187】
実施例11:(+/−)−1−[3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0188】
【化24】

工程1:ジクロロメタン(20mL)中、3−(2−ブロモフェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(1g、2.9mmol、実施例10工程2から)と二酸化マンガン(5g、57.4mmol)との混合物を、室温で12時間攪拌した。反応混合物を、セライト製プラグを通して濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)で精製して3−(2−ブロモフェニル)−3−(1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(0.87g、87%)をオフホワイト色の固体として得た。MS(ES)m/z 345.8。
【0189】
工程2〜4:実施例1(工程4)および実施例2と類似した方法で、表題化合物が、(3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)メタノールとメチルアミンから製造された。MS(ES)m/z 278.9;HRMS:C1818O+H+に対する計算値、279.14919;実測値(ESI、[M+H])、279.1477。
【0190】
実施例12。7−フルオロ−1−{(2S,3R)−7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン塩酸塩
【0191】
【化25】

工程1:氷酢酸(250mL)中、過ホウ酸ナトリウム4水和物(65g、422mmol)の混合物を80℃で攪拌した。氷酢酸(50mL)中の2,6−ジフルオロアニリン(11.0g、85mmol)をゆっくりと混合物に加えた。温度は、80℃〜90℃に1時間維持した。冷却した反応混合物を水へ注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム希釈溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発した。残渣をBiotageクロマトグラフィ(FlasH90i、シリカ、10%のTHF/ヘキサン)によって精製し、生成物はヘキサンで洗浄して2,6−ジフルオロニトロベンゼン(7.0g)(52%)を得た。MS(ESI)m/z 160([M+H])。
【0192】
工程2:2,6−ジフルオロニトロベンゼン(5.0g、31.44mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)溶液に、炭酸カリウム(4.41g、32mmol)とマロン酸ジメチル(3.6mL、31.44mmol)を添加した。反応混合物を65℃まで加熱し、24時間攪拌した。室温に冷却後、混合物は塩酸の希釈水溶液で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧濃縮した。5%の酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して2−(6−フルオロ−2−ニトロ−フェニル)−マロン酸ジメチルエステルの4.6g(54%)を得た。MS(ESI)m/z 272[M+H])。
【0193】
工程3:2−(6−フルオロ−2−ニトロ−フェニル)−マロン酸ジメチルエステル(12g、44mmol)を塩酸の6N水溶液(200mL)中で、4時間加熱還流した。混合物を冷却して、水250mLで希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。5%の酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して(6−フルオロ−2−ニトロ−フェニル)−酢酸(54%)の7.6gを得た。MS(ESI)m/z 200([M+H])。
【0194】
工程4:酢酸(100ml)中、(6−フルオロ−2−ニトロ−フェニル)−酢酸(9.6g、48mmol)と10%のパラジウム/炭素(1.3g)の混合物を50psiで24時間水素化した。触媒はセライトを通して濾過して除き、溶媒を蒸発した。次いで、残渣をエタノール(100mL)に溶かし、ピリジニウムパラ−トルエンスルホナート(50mg)を加え、混合物を1時間加熱還流した。混合物を冷却し、水へ注ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濾過し、減圧濃縮した。固体を5%の酢酸エチル/ヘキサンで粉末にして7−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの6.0g(83%)得た。MS(ESI)m/z 152([M+H]))。
【0195】
工程5:7−フルオロ−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン(7.3g、48mmol)と塩化リチウム(6.67g、158mmol)を、テトラヒドロフラン(200mL)に溶解した。溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(40mL、100mmol)を15分間にわたってゆっくりと加えた。−78℃で20分後に、ヨウ化メチル(6mL、96mmol)を加え、混合物を室温にまで加温した。24時間後に、混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧濃縮した。粗製の生成物をBiotageクロマトグラフィ(Flash40i、シリカ、次いで20%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して7−フルオロ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンの4.1g(48%)を得た。MS(ESI)m/z 180、([M+H])。
【0196】
工程6:特許出願の実施例1の工程2と類似した方法で、(2E)−3−(2,3−ジフルオロフェニル)プロパ−2−エン−1−オールが、(2E)−3−(2,3−ジフルオロフェニル)アクリル酸から製造された。MS(ES)m/z 152.8[M−HO])。
【0197】
塩化メチレン(35mL)中、(2E)−3−(2,3−ジフルオロフェニル)プロパ−2−エン−1−オール(1.75g、10.3mmol)、m−クロ濾過安息香酸(3.5mL、15.4mmol)および飽和炭酸ナトリウム水溶液(2mL)の混合物を、室温で16時間攪拌した。混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)で処理し、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上に蒸発させた。粗生成物を、Isco(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して3−(2,3−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールを白色固体(1.44g、76%)として得た。
【0198】
工程7:7−フルオロ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.71g、4mmol)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、20℃より下に反応温度を維持しながら、テトラヒドロフラン(10mL、10mmol)中の1Mリチウムヘキサメチルジシラジドを加えた。添加終了後、反応物を20分間攪拌した。別のフラスコにおいて、テトラヒドロフラン(10mL)中、[3−(2,3−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(0.78g、4.2mmol)とチタンイソプロポキシド(1.2mL、4.2mmol)が調製され、この溶液をオキシインドール溶液に加えた。3時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)と酢酸エチル(100mL)に分配した。2N塩酸(20mL)を加えて、エマルジョンを分解するために加えた。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥して、シリカゲル上に濃縮した。粗生成物は、Isco(20〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して1−[1−(2,3−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−7−フルオロ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを黄色の無定形の固体(1.3g、89%)として得た。MS(ES)m/z 366.1[M+H]
【0199】
工程8:1−[1−(2,3−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−7−フルオロ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.66g、1.8mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.43g、3.6mmol)を加え、そして、反応を70℃で2時間加熱した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)と酢酸エチル(50mL)に分配した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上に濃縮した。粗生成物は、Isco(シリカゲル、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して7−フルオロ−1−[7−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを黄色の固体(0.25g、40%)として得た。MS(ES)m/z 346.2([M+H]+)。
【0200】
工程9:7−フルオロ−1−[7−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.14g、0.41mmol)とピリジン(3mL)に、塩化トシル(0.085g、0.45mmol)を加え、反応を一晩中攪拌した。反応物を2N塩酸(25mL)に注ぎ、酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(25mL)、続いて飽和塩化アンモニウム(25mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、さらに精製することなく次の工程において使用した。トシラート(0.52g、1mmol)を、メタノール中、33%のメチルアミンの過剰を用いて封管中で処理し、80℃で1時間加熱した。反応物は飽和重炭酸ナトリウム水溶液(25mL)に注ぎ、酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上に濃縮した。粗生成物は、Isco(シリカゲル、80%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製してラセミの7−フルオロ−1−{7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを得た。ラセミ体は、Chiralpak AD−Hカラム(0.2%のDMEAを含む10%メタノール)を使って分取SFCにより分離された。エーテル中、1N塩酸で精製処理して表題化合物である7−フルオロ−1−{(2S,3R)−7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを白色塩(0.013g、8%)として得た;MS(ES)m/z 359.2[M+H]
【0201】
実施例13。1−[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0202】
【化26】

工程1:実施例1の工程2と類似した方法で、[(2R、3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールが、(E)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)アクリル酸から白色固体として製造された。MS(ES)m/z 186.8。
工程2:実施例1の工程3と類似した方法で、(2S,3S)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールが、7−フルオロ−3、3−ジメチルインドリンと[(2R、3R)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールから白色固体として製造された。MS(ES)m/z 351.8。
【0203】
工程3:実施例12の工程8と類似した方法で、[(2S,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノールが、(2S,3S)−3−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールから透明な油として製造された。MS(ESI)m/z 332.1。
【0204】
工程4:[(2S,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(0.4g、1.21mmol)、N−メチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(0.33g、1.45mmol)、トリフェニルホスフィン(0.41g、1.45mmol)のTHF(10mL)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.3mL、1.45mmol)を室温で窒素雰囲気下に加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:アセタート=3:1)で精製してN−{[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−N−メチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミドを黄色がかったガム(0.5g、79%)として得た。MS(ES)m/z 529.7。
【0205】
工程5:N−[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}−N−メチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(0.5g、0.9mmol)のDMF(5mL)溶液に、炭酸カリウム(0.37g、2.7mmol)とチオフェノール(0.1mL、1.4mmol)を室温で窒素雰囲気下、加えた。18時間攪拌したあと、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(ISCO 0〜30%のメタノール/塩化メチレン)で精製して表題化合物1−[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン)を得て、これをオフホワイト色の固体としてそのHCl塩(0.26g、76%)に変換した。[α]25=+130.4°(c=1%、MeOH);MS(ES)m/z 344.9[M+H];HRMS:C2022O+Hに対する計算値、345.17729;実測値(ESI、[M+H]観測)、345.1775。
【0206】
実施例14:1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン塩酸塩
【0207】
【化27】

工程1:実施例1の工程4および5と類似した方法で、2−ニトロフェニル酢酸が、3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンに変換された。MS(ES)m/z 162.1。
【0208】
工程2:実施例12の工程6と類似した方法で、[3−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールが、(2E)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸から製造された。MS(ES)m/z 169.1。
工程3:実施例12の工程7と類似した方法で、3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.55g、3.4mmol)を[3−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(0.82g、3.6mmol)で処理して1−[1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを無定形の固体(0.91g、76%)として得た。MS(ES)m/z 347.7。
【0209】
工程4:実施例12の工程8と類似した方法で、1−[1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.51g、1.5mmol)をカリウムtertブトキシド(0.35g、3mmol)で処理して[6−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.25g、52%)を得た。MS(ES)m/z 327.2。
【0210】
工程5。実施例12の工程9と類似した方法で、[6−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.19g、0.58mmol)をトシラートに変換し、エタノール中、過剰の33%メチルアミンで処理し、続いてエーテル中1N塩酸で処理して1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンHCl塩をオフホワイト色の塩(0.087g、40%)として得た。MS(ES)m/z 341.2[M+H]
【0211】
実施例15:3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン塩酸塩
【0212】
【化28】

工程1:特許の実施例12、工程6と類似した方法で、[3−(2−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールが、(2E)−3−(2−フルオロフェニル)アクリル酸から製造された。MS(ES)m/z 168.0。
【0213】
工程2。実施例12の工程7と類似した方法で、3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(1.62g、10mmol)を[3−(2−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(1.8g、11mmol)で処理して、1−[1−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを黄色油(2.7g、82%)として得た。MS(ES)m/z 330.0。
【0214】
工程3。実施例12の工程8と類似した方法で、1−[1−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(2.6g、7.9mmol)をカリウムtert−ブトキシド(1.9g、15.8mmol)で処理して、1−(2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル)−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンを得た。MS(ES)m/z 309.1。
【0215】
工程4。実施例12の工程9と類似した方法で、1−(2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル)−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(0.6g、1.9mmol)をトシラートに変換し、エタノール中で、過剰の33%メチルアミンで処理し、続いてエーテル中、1N塩酸で処理して3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンHCl塩をオフホワイト色の塩(0.086g、13%)として得た。MS(ES)m/z 322.6;HRMS:C2022+Hに対する計算値、323.17540;実測値(ESI、[M+H]観測)、323.1759。
【0216】
実施例16:1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン塩酸塩
【0217】
【化29】

工程1:[3−(2−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例15、工程1、2.71g、16.1mmol)とチタンイソプロポキシド(5.8mL、19.3mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に、ジクロロメタン(5mL)に溶解された市販の1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(2.1g、16.1mmol)を加えた。16時間攪拌した後、反応混合物を1N塩酸(25mL)へ注ぎ、酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮して3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−3−(2−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオール(2.73g、56%)を得た。MS(ES)m/z 2301.1。
【0218】
工程2。実施例12の工程8と類似した方法で、3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−3−(2−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオール(2.73g、9.1mmol)をカリウムtertブトキシド(2.7g、22.6mmol)で処理して[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(1.73g、75%)を得た。MS(ES)m/z 282.1;
工程3:[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタノール(0.17g、0.6mmol)、N−メチル−1−(2−ニトロフェニルスルホニル)メタンアミン(0.14g、0.66mmol)、およびトリフェニルホスフィン(0.34g、1.3mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.26mL、1.3mmol)を室温で滴下して加えた。窒素雰囲気下で4時間攪拌したあと、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(25mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上へ濃縮した。粗生成物は、Isco(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン 0〜100%)により精製してN−((3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)メチル)−N−メチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミドを得た。MS(ES)m/z 479.1。
【0219】
ジメチルホルムアミド(4mL)中、N−((3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)メチル)−N−メチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(0.29g、0.6mmol)に、炭酸カリウム(0.25g、1.8mmol)とチオフェノール(0.065mL、0.63mmol)を添加した。1時間攪拌したあと、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(25mL)に注ぎ、酢酸エチル(2×25mL)を用いて抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲル上に濃縮し、Isco(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン、0〜100%;メタノール/ジクロロメタン 0〜20%)により精製して遊離塩基として表題化合物を得た。遊離塩基をエーテル中、1N塩酸で処理して1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミンHCl塩をオフホワイト色の固体(0.023g、3%)として得た。MS(ES)m/z 295.1[M=H]
【0220】
実施例17:N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン塩酸塩
【0221】
【化30】

工程1:実施例16の工程1と類似した方法で、N−メチルアニリン(1.8g、16.7mmol)を[3−(2−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(2.8g、16.7mmol)で処理して3−(2−フルオロフェニル)−3−(メチル(フェニル)アミノ)プロパン−1,2−ジオール(1.27g、28%)を得た。MS(ES)m/z 275.1。
【0222】
工程2。実施例12の工程8と類似した方法で、3−(2−フルオロフェニル)−3−(メチル(フェニル)アミノ)プロパン−1,2−ジオール(1.27g、4.6mmol)をカリウムtertブトキシド(1.1g、9.2mmol)で処理して3−[メチル(フェニル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル}メタノールを透明な油(0.53g、44%)として得た。MS(ESI)m/z 256。
【0223】
工程3:実施例16の工程3と類似した方法で、3−[メチル(フェニル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル}メタノール(0.1g、0.39mmol)が、N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミンHCl塩にオフホワイト色の固体(0.015g、13%)として変換された。MS(ES)m/z 269.1[M=H]
【0224】
実施例18。4−フルオロ−3−{(2SR,3RS)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩
【0225】
【化31】

工程1:窒素雰囲気下、2,6−ジフルオロニトロベンゼン(6.37g、40.0mmol)のトリエチルアミン(70mL)溶液に、イソプロピルアミン(4.3mL、50mmol、12.5当量)を滴下ロートから加えた。反応混合物は、室温で一晩中攪拌した。すべての揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をエタノール(50mL)に溶解した。炭素粉末上のパラジウム(10重量%、〜0.4g)を加え、混合物を30分間水素雰囲気下(20psi)で攪拌した。反応混合物はセライトを通して濾過し、濃縮乾固した。粗製の黒い液体残渣をIsco CombiFlash Companionカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、120−gカラム、0〜15%の酢酸エチル/ヘキサン)によって精製し、得られた紫色の固体を再結晶(温かいヘキサン/−25℃)させて3−フルオロ−N−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミンを薄紫色の結晶として得た。収率:4.21g(63%)。MS(ES)m/z 168.7([M+H]);HRMS:C13FN+Hに対する計算値、169.1136;実測値(ESI、[M+H]、169.1139。
【0226】
工程2:3−フルオロ−N−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミン(2.02g、12.0mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に、トリホスゲン(1.19g、4.0mmol、1/3当量)のジクロロメタン(20mL)溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を一晩中攪拌し、次いで、水(100mL)に注ぎ、抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、乾燥(無水NaSO)し、濾過し、濃縮して白色固体を得て、これを再結晶(温かいクロロホルム/ヘキサン/−25℃)させて純粋な4−フルオロ−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンを白色結晶として得た。収率:1.56g(67%)。MS(ES)m/z 195.2([M+H])。
工程3:実施例12の工程7と類似した方法で、3−(1RS,2RS)[1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−4−フルオロ−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンが、4−フルオロ−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンと(2RS,3RS)−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例1、工程2)から白色針状晶として製造された。MS(ES)m/z 381.0([M+H]);HRMS:C1919+Hに対する計算値、381.1421;実測値(ESI、[M+H])、381.1420。
【0227】
工程4:実施例12の工程8と類似した方法で、4−フルオロ−3−[(2RS,3RS)−6−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンが、3−(1RS,2RS)[1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−4−フルオロ−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンから白い泡として製造された。MS(ES)m/z 360.9([M+H]);HRMS:C1918+Hに対する計算値、361.1358;実測値(ESI、[M+H])、361.1363。
【0228】
工程5:実施例12の工程9と類似した方法で、4−フルオロ−3−{(2SR,3RS)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩が、4−フルオロ−3−[(2RS,3RS)−6−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンから白色粉末として製造された。MS(ES)m/z 374.0([M+H]);HRMS:C2021+Hに対する計算値、374.1675;実測値(ESI、[M+H]、374.1682。
【0229】
実施例19。4−フルオロ−3−{(2S,3R)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩
【0230】
【化32】

工程1:ラセミの4−フルオロ−3−{(2SR,3RS)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩(実施例18)をメタノール(40mg/5mL)に溶解した。得られた溶液は、超臨界流体クロマトグラフィ装置に0.4mLの増分で段階的に注入された。以下に記載した条件を用いて、ベースライン分割エナンチオマーを回収した。各エナンチオマーのエナンチオマー純度を、同様の超臨界流体クロマトグラフィ条件下、Chiralcel OJ−H 5u、250 mm L×4.6mm IDカラムを用いて、2mL/分の流量で、分析用超臨界流体クロマトグラフィ(Berger Instruments、Inc.Newark、DE USA)を用いて測定した。各々のエナンチオマーは、>99.9%のキラル純度を示した。
【0231】
【化33】

工程2:遊離塩基の4−フルオロ−3−{(2S,3R)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン(それはキラル分離(工程1)のピーク1として単離された)をメタノールの最小量に溶解した。塩化水素(エチルエーテル中、1.0M、〜2当量)を渦流攪拌しながら加えた。次いで、すべての揮発性物質は減圧下で除去され、得られた白色固体を温かいメタノールの最小量に再溶解した。エチルエーテルを溶液がわずかに濁るまで加えた。混合物は、−25℃に数時間冷却した。形成した白色固体は、傾瀉法によって集め、エチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥して純粋な4−フルオロ−3−{(2S,3R)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩を得た。絶対的立体化学を随意帰属させた。キラル純度:99.9%。MS(ES)m/z 374.0([M+H]);HRMS:C2021+Hに対する計算値、374.1675;実測値(ESI、[M+H])、374.1681。
【0232】
実施例20。4−フルオロ−3−{(2R,3S)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩
【0233】
【化34】

実施例20の工程2と類似した方法で、4−フルオロ−3−{(2R,3S)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン塩酸塩が、4−フルオロ−3−{(2R,3S)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オンから製造され、それはキラル分離のピーク2(実施例19、工程1)として単離された。絶対的立体化学は、任意に帰属された。キラル純度:99.2%。MS(ES)m/z 374.0([M+H]);HRMS:C2021+Hに対する計算値、374.1675;実測値(ESI、[M+H])、374.1683。
【0234】
細胞株、培養試薬、およびアッセイ
ヒトhNETを用いて安定してトランスフェクトされたMDCK−Net6細胞(Pacholczyk,T.,R.D.Blakely and S.G.Amara,Nature,1991,350(6316):350−4頁)を、高グルコースDMEM(Gibco、カタログ番号11995)、10%FBS(透析され、熱不活化されたFBS、US Bio−Technologies、Lot FBD1129HI)および500μg/mlのG418(Gibco、カタログ番号10131)を含有する増殖培地で培養した。300,000個/T75フラスコの細胞を平板培養し、週に2回細胞を分割させた。
【0235】
機能的ノルエピネフリン(NE)取り込みアッセイ
第1日目に、細胞を増殖培地中において3,000細胞/ウェルで平板培養し、細胞インキュベータ(37℃,5%CO)中に維持した。第2日目に、増殖培地を、0.2mg/mlのアスコルビン酸および10μMのパージリンを含有する200μLのアッセイ緩衝液(25mM HEPES;120mM NaCl;5mM KCl;2.5mM CaCl;1.2mM MgSO;2mg/ml グルコース(pH7.4,37℃))で置換した。スクリーニングのために、4%DMSO中の化合物の25μlが、各ウェルに直接添加され、そのプレートを37℃で5分間インキュベーションする。
【0236】
ノルエピネフリン再取り込みを開始させるために、アッセイ緩衝液中の16nM(最終濃度)Hノルエピネフリン(比活性;40〜80Ci/mmol)を、25μlの一定量で各ウェルに送達し、プレートを5分間、37℃でインキュベートした。反応物をプレートから吸引し、細胞を50mMのTris緩衝液250μl(4℃)で洗浄した。プレートは、放置して1時間乾燥させた。細胞は、0.25MのNaOH溶液を使って溶解し、振盪テーブル上に配置し、そして10分間激しく振盪した。細胞溶解の後、Microscint 20(PerkinElmer;#87−051101)の100μlをプレートに加え、プレートをフィルムテープで密封し、最低10分間振盪テーブルに戻した。プレートは、TopCountカウンター(PerkinElmer)で計数した。
【0237】
結果の評価
1点法をスクリーニングするために、各々の化合物プレートは、20μMのデシプラミン(最小限NE再取り込み決定要素)を加えて測定された少なくとも3つの対照ウェル(最大NE再取り込み決定要素)と3つの非特異性ウェルを含む。活性化合物の測定は、以下の式を適用するMicrosoft Excelのスプレッドシートを使って計算される。
【0238】
%阻害=[1−((平均cpm試験化合物ウェル−平均cpm非特異的ウェル)/(平均cpm対照ウェル−平均cpm非特異的ウェル))]×100
IC50の決定のために、生のcpm値が、TopCountカウンターからのデータファイル中に生成された。データは、Microsoft Excelを用いてまとめられ、PRIZMによるグラフ化および統計プログラムに移され、それが推定IC50値を計算する。IC50値の計算は、可変的な傾きを有するシグモイド用量応答を有する非線形回帰分析を用いて行われた。統計プログラムは、最大限NE再取り込み決定要素としてHノルエピネフリンのみを含むウェルならびに最小限NE再取り込み決定要素(非特異的決定要素)としてHノルエピネフリン+20μMデシプラミンを含むウェルを使用した。IC50値の評価は、ログスケールで完了し、直線は最大および最小のNE再取り込み値の間で適合した。最大試験濃度が50%の再取り込み阻害を超えない場合には、データは試験された最大濃度における最大NE再取り込み(%)として報告される。その結果は、表1で報告される。
【0239】
【表1】

本明細書中で、分子量などの物理的特性または化学式などの化学的特性について範囲が用いられる場合、その中の範囲の特定の実施形態の全ての組み合わせおよび下位の組み合わせが含まれることを意図する。
【0240】
本明細書中で引用または記載された各特許、特許出願および刊行物の開示内容は、引用によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0241】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して様々な変更および修飾がなされ得ること、ならびにそのような変更および修飾が本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲内に含まれるような全ての同等なバリエーションを含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化35】

(式中、
mは、0〜3の整数であり、
nは、0〜4の整数であり、
Xは、O、S、SO、またはNRであり、
Yは、0〜3個のRで置換されたアリールまたは0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり、
は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のRで置換されたアリールアルコキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のRで置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールスルホンアミド、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のRで置換されたアリールアミドであり、あるいは、
2つの隣接したRはまた、メチレンジオキシを表し、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはORであり、
各Rは、存在毎に独立して、H、F、C−Cアルキル、またはOR10であり、
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR11で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであり、あるいは、
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、あるいは
1個のRおよび1個のRは、それらが結合している窒素原子および炭素原子と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、あるいは
は、H、C−Cアルキル、0〜3個のR12で置換されたアリールアルキル、0〜3個のR12で置換されたヘテロアリールアルキル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチルであり、または、
およびRは、それらが結合している窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式または2環式の環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
各Rは、存在毎に独立して、H、アルキル、またはペルフルオロアルキルであり、
は、H、アルキル、または0〜3個のR13で置換されたアリールであり、あるいは、
およびYは、それらが結合している窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素は、N、O、S、またはSOで場合により置換されてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子は、C−Cアルキル、F、またはCFで場合により置換されていてもよく、
、R11、R12、およびR13は、存在毎に独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであり、あるいは、
2つの隣接したR、または2つの隣接したR11、または2つの隣接したR13、または2つの隣接したR13は、また、メチレンジオキシを表し、
およびR10は、存在毎に独立して、HまたはC−Cアルキルであり、そして環A中の1〜3個の炭素原子は、場合によりNで置換されていてもよい)の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
XがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがSまたはSOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがNRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、H、メチル、エチルまたはフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
とYが、それらが結合する窒素と共に、アリール縮合複素環を形成し、ここで、1個の炭素がN、O、S、CO、またはSOで場合により置換されていてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子が、場合により、C−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
とYが、それらが結合する窒素と共に、場合によりC−Cアルキル、F、またはCFで置換された、オキソインドリル、ベンゾイミダゾロニル、インドリニル、またはインドリルを形成する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
nが0〜2の整数である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
mが1〜2の整数である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、存在毎に独立して、C−Cアルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ニトリル、または0〜3個のRで置換されたアリールである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、存在毎に独立して、メチル、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、CF、OCF、ニトリル、またはフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、存在毎に独立して、H、フッ素、メチル、エチル、ヒドロキシ、またはメトキシである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が、存在毎に独立して、ヒドロキシである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、存在毎に独立して、H,フルオロ、メチル、エチル、またはメトキシである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
が、存在毎に独立して、Hである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、HまたはC−Cアルキルである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
が、Hまたはメチルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、HまたはC−Cアルキルである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が、Hまたはメチルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
とRが、それらが結合する窒素と共に、3〜7個の環原子の単環式環または2環式環を形成し、ここで、1個の炭素がN、O、S、またはSOで場合により置換されていてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子が、場合により、C−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
とRが、それらが結合する窒素および炭素と共に、3〜7個の環原子の単環式環または2環式環を形成し、ここで、1個の炭素がN、O、S、またはSOで場合により置換されていてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子が、場合により、C−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
とRが、それらが結合する窒素および炭素と共に、3〜7個の環原子の単環式環または2環式環を形成し、ここで、1個の炭素がN、O、S、またはSOで場合により置換されていてもよく、そして任意の炭素環原子またはさらなるN原子が、場合により、C−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
が、存在毎に独立して、H、メチル、エチル、またはペルフルオロメチルである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
が、存在毎に独立して、Hである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−{[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン;
1−[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
N−{[3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン;
1−[3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
7−フルオロ−1−{7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン
およびそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(5−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
1−[(2R,3S)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メタンアミン;
1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}プロパン−2−アミン;
1−[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N,N−ジメチルメタンアミン;
N−{[(2S,3R)−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]メチル}エタナミン;
1−[(2R,3S)−3−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−[3−(1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
7−フルオロ−1−{(2S,3R)−7−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[(2R,3S)−5−フルオロ−3−(7−フルオロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
1−{6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
3,3−ジメチル−1−{2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン;
1−[3−(3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−イル]−N−メチルメタンアミン;
N−メチル−2−[(メチルアミノ)メチル]−N−フェニル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン;
4−フルオロ−3−{(2SR,3RS)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{(2S,3R)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
4−フルオロ−3−{(2R,3S)−6−フルオロ−2−[(メチルアミノ)メチル]−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル}−1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン;
および
それらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
前記医薬的に許容される塩が、塩酸塩である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物、および
b.少なくとも1つの医薬的に許容される担体
を含む、組成物。
【請求項29】
血管運動症状、性機能不全、胃腸障害、尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、うつ障害、糖尿病性神経障害、疼痛、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される状態の治療または予防を必要とする被験者において、該状態を治療または予防するための医薬の製造における請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項30】
前記血管運動症状が、顔面潮紅である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記性機能不全が、性的欲求または性的興奮に関連する請求項29に記載の使用。
【請求項32】
前記胃腸障害または前記の尿生殖器障害が、腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁である、請求項29に記載の使用。
【請求項33】
前記状態が、慢性疲労症候群である、請求項29に記載の使用。
【請求項34】
前記状態が、線維筋痛症候群である、請求項29に記載の使用。
【請求項35】
前記状態が、大うつ病性障害、全般性不安障害、パニック障害、多動性を有するまたは有しない注意欠陥障害、睡眠障害、社会不安障害、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるうつ障害である、請求項29に記載の使用。
【請求項36】
前記状態が、糖尿病性神経障害である、請求項29に記載の使用。
【請求項37】
前記状態が、疼痛である、請求項29に記載の使用。
【請求項38】
前記疼痛が、急性中心性疼痛、急性末梢性疼痛、またはそれらの組み合わせである、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記疼痛が、慢性中心性疼痛、慢性末梢性疼痛、またはそれらの組み合わせである、請求項37に記載の使用。
【請求項40】
前記疼痛が、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格性疼痛、骨痛、癌疼痛、炎症痛、またはそれらの組み合わせである、請求項37に記載の使用。
【請求項41】
前記神経因性疼痛が、糖尿病、切断術の外傷後疼痛、低背部疼痛、癌、化学薬品損傷、毒素、大手術、外傷性損傷圧迫による末梢神経傷害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、腰部または頸部神経根障害、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、灼熱痛、視床症候群、神経根剥離、反射性交感神経ジストロフィまたは開胸術後疼痛、栄養障害、ウイルス感染、細菌感染、転移浸潤、有痛性脂肪症、火傷、視床状態に関連した中心性疼痛、またはそれらの組み合わせに関連する、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記神経因性疼痛が、帯状疱疹後神経痛である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記内臓痛が、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、器官の感染症、胆道疾患、またはそれらの組み合わせに関連する、請求項40に記載の使用。
【請求項44】
前記疼痛が、女性特有の疼痛である、請求項37に記載の使用。
【請求項45】
式Ia:
【化36】

(式中、
Zは、OHまたは
【化37】

であり;
n、R、R〜R、X、Y、およびAは、請求項1で定義したとおりである)の化合物の調製方法であって、該方法は、以下の式II:
【化38】

(式中、Z、n、X、Y、R、R、およびRは、式Iaに対して上で定義したとおりであり、Lは、脱離基である)の化合物を閉環反応に付して式Iaのジヒドロベンゾフラン環を形成させることを含む、方法。
【請求項46】
前記閉環反応が、式IIの化合物の脱離基Lの分子内求核置換反応を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記分子内求核置換反応が、塩基の存在下、溶媒中で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記閉環反応が、分子内カップリング反応を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記分子内カップリング反応が、遷移金属触媒およびホスフィンリガンドの存在下で実施される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記分子内カップリング反応が、塩基の存在下、溶媒中で実施される、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
式IIの化合物のZが、OHであり、前記方法が、Zを脱離基に変換し、該脱離基を
【化39】

(式中、RおよびRは、式Iaに対して上で定義したとおりである)で置換することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
式IIの化合物が、下記式III:
【化40】

(式中、Z、n、R、R、RおよびAは、式Iaに対して上で定義したとおりであり、Lは脱離基である)の化合物のエポキシド環を開環することにより形成される、請求項45〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記エポキシド環の開環が、式XY(ここで、XおよびYは、式Iaに対して上で定義したとおりである)の適切な求核性化合物を式IIIのエポキシド化合物と反応させることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
式XYの化合物が、式IIIのエポキシド化合物との反応の前に、または反応の過程で、塩基で処理される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
式IIIのエポキシド化合物が、式XYの化合物との反応の前に、または反応の過程で、ルイス酸で処理される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記エポキシド環の開環が、溶媒の存在下で実施される、請求項52〜55のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−512420(P2010−512420A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541534(P2009−541534)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087103
【国際公開番号】WO2008/073943
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】