説明

スイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネル

【課題】製造しやすく、スイッチの誤操作を防止でき、かつ押動作を長期間スムーズに維持できるスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルを得る。
【解決手段】硬度の異なる2以上の樹脂層を合わせて成るスイッチパネル3であって、硬度の高い硬質樹脂層10をスイッチ4の表面側に、硬度の低い軟質樹脂層11をスイッチ4の裏面側に配置し、各スイッチ4の一部又は全部を溝にて区分けした一体型のスイッチパネル3とし、その溝5は、硬質樹脂層10から軟質樹脂層11の内部まで達し、軟質樹脂層の一部を残すように形成されるスイッチパネル3としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、電卓、パーソナルコンピュータ、リモートコントローラ、家電等の操作スイッチを有する電子機器に使用されるスイッチパネル、およびスイッチを有する化粧パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等の電子機器のスイッチパネルには、個々に分離されたスイッチ(キートップ)が配置されている(例えば、特許文献1参照)。一方、最近では、携帯電話等の電子機器の薄型化の要求が益々強くなってきており、より薄いスイッチパネルが要求されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−039369号公報(段落番号0017等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スイッチパネルの薄型化が進むと、個々のスイッチを正確に配置することが難しくなる。このため、スイッチが正確に配置されない不良品の多発、かかる不良品の多発を防止するための工数の増大を招くという問題がある。このため、できるだけ、個々のスイッチを一体化させたまま、電子機器の製造工程を行うのが望ましい。また、電子機器が完成した後の使用においては、スイッチの誤操作を防止でき、かつスイッチの押圧動作を長期間、スムーズに維持できるのが好ましい。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、製造しやすく、スイッチの誤操作を防止でき、かつ押圧動作を長期間スムーズに維持できるスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、硬度の異なる2以上の樹脂層を合わせて成るスイッチパネルであって、硬度の高い硬質樹脂層をスイッチの表面側に、硬度の低い軟質樹脂層をスイッチの裏面側に配置し、各スイッチの一部又は全部を溝にて区分けした一体型のスイッチパネルとし、その溝は、硬質樹脂層から軟質樹脂層の内部まで達し、軟質樹脂層の一部を残すように形成されるスイッチパネルとしている。各スイッチの領域を溝によって区分けした一体型のスイッチパネルを採用することにより、各スイッチを個別に配置する必要がない。したがって、各スイッチを正確に配置する工数が不要となる。また、スイッチ毎に立体的な区分けがなされているので、押圧動作の際に誤動作を防止できる。さらに、溝を、硬質樹脂層から軟質樹脂層の内部まで達するようにし、軟質樹脂層の一部を残すように形成しているので、スイッチの押圧動作を繰り返し行っても、溝の下方に存在する残部領域の靭性と曲げ強度が高いため、長期間の使用が可能である。
【0007】
また、別の本発明は、先の発明における軟質樹脂層の裏面に、金属薄膜層、暗色層の順に層を形成したスイッチパネルとしている。このため、使用者は、硬質樹脂層を通して、軟質樹脂層の裏側に形成された金属薄膜層を視認することにより、金属の質感を得ることができる。
【0008】
また、別の本発明は、先の発明における金属薄膜層および暗色層の内、少なくとも暗色層を貫通する穴を1つまたは2つ以上形成し、その穴の一部または全部に有色層を形成したスイッチパネルとしている。このため、暗色層の裏側から照光すると、有色層を通じて、その有色層の上方に形成された穴の部分が有色発光する。穴は、金属薄膜層と暗色層の両方の層を貫通する穴の他、暗色層のみを貫通する穴も含む。金属薄膜層の光透過率が高い場合には、暗色層のみを貫通する穴を形成した場合でも、暗色層の裏側から照光すると、その穴の形状に光らせることが可能である。
【0009】
また、別の本発明は、先の各発明における硬質樹脂層をアクリル樹脂製のパネルとし、軟質樹脂層をポリカーボネート樹脂製のパネルとしたスイッチパネルとしている。アクリル樹脂の高硬度を活かしてスイッチパネルの外側を傷つきにくくできると共に、ポリカーボネート樹脂の靭性と曲げ強度の高さを活かして長期間の押圧動作の繰り返しにも耐えられる優れたスイッチパネルができる。
【0010】
また、別の本発明は、先の各発明における硬質樹脂層を、軟質樹脂層の表面に形成されたハードコート層としたスイッチパネルとしている。このため、硬質樹脂層の形成が容易であり、かつ硬質樹脂層をより薄く形成することができる。
【0011】
また、別の本発明は、硬度の異なる2以上の樹脂層を合わせて成るスイッチを有する化粧パネルであって、硬度の高い硬質樹脂層を化粧パネルの表面側に、硬度の低い軟質樹脂層を化粧パネルの裏面側に配置し、化粧パネルに形成される各スイッチの一部又は全部を溝にて区分けし、その溝は、硬質樹脂層から軟質樹脂層の内部まで達し、軟質樹脂層の一部を残すように形成した、スイッチを有する化粧パネルとしている。各スイッチの領域を溝によって区分けした一体型の化粧パネルを採用することにより、各スイッチを個別に配置する必要がない。したがって、各スイッチを正確に配置する工数が不要となる。また、スイッチ毎に立体的な区分けがなされているので、押圧動作の際に誤動作を防止できる。さらに、溝を、硬質樹脂層から軟質樹脂層の内部まで達するようにし、軟質樹脂層の一部を残すように形成しているので、スイッチの押圧動作を繰り返し行っても、溝の下方に存在する残部領域の靭性と曲げ強度が高いため、長期間の使用が可能である。
【0012】
また、別の本発明は、先の発明における軟質樹脂層の裏面に、金属薄膜層、暗色層の順に層を形成した、スイッチを有する化粧パネルとしている。このため、使用者は、硬質樹脂層を通して、軟質樹脂層の裏側に形成された金属薄膜層を視認することにより、金属の質感を得ることができる。
【0013】
また、別の本発明は、先の発明における金属薄膜層および暗色層の内、少なくとも暗色層を貫通する穴を1つまたは2つ以上形成し、その穴の一部または全部に有色層を形成した、スイッチを有する化粧パネルとしている。このため、暗色層の裏側から照光すると、有色層を通じて、その有色層の上方に形成された穴の部分が有色発光する。穴は、金属薄膜層と暗色層の両方の層を貫通する穴の他、暗色層のみを貫通する穴も含む。金属薄膜層の光透過率が高い場合には、暗色層のみを貫通する穴を形成した場合でも、暗色層の裏側から照光すると、その穴の形状に光らせることが可能である。
【0014】
また、別の本発明は、先の各発明における硬質樹脂層をアクリル樹脂製のパネルとし、軟質樹脂層をポリカーボネート樹脂製のパネルとした、スイッチを有する化粧パネルとしている。アクリル樹脂の高硬度を活かして化粧パネルの外側を傷つきにくくできると共に、ポリカーボネート樹脂の靭性と曲げ強度の高さを活かして、長期間の押圧動作の繰り返しにも耐えられる優れた化粧パネルができる。
【0015】
また、別の本発明は、先の各発明における硬質樹脂層を、軟質樹脂層の表面に形成されたハードコート層とした、スイッチを有する化粧パネルとしている。このため、硬質樹脂層の形成が容易であり、かつ硬質樹脂層をより薄く形成することができる。
【0016】
本発明において、「スイッチパネル」とは、操作スイッチを有する電子機器における操作盤のことである。このような電子機器における操作盤であれば、複数の操作スイッチを有する限り、その形状、設置状態、設置場所、設置目的等を問わず、本発明のスイッチパネルに含まれる。このようなスイッチパネルの例としては、携帯電話、電卓、リモートコントローラ、パーソナルディジタルアシスタンス(PDA)、ラジオ、MP3プレーヤ等の小型電子機器の操作盤、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のキーボードを有する電子機器の操作盤、エアーコンディショナ、インターホン等の壁面設置型の電子機器の操作盤、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、ガスレンジ、電話機等の家電の操作盤、自動販売機、券売機等の商業用機械、管理システム等の産業用機械の操作盤を挙げることができる。
【0017】
本発明において、「化粧パネル」とは、スイッチを有し、上述のスイッチパネルを含むパネルを意味する。例えば、携帯電話であれば、スイッチを含む外側ケースは、化粧パネルの範疇に入る。
【0018】
本発明のスイッチパネルを構成する樹脂層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等のいずれの樹脂でも良い。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル樹脂(E/VAC)、エチレン/ビニルアルコール樹脂(E/VAL)、ポリメチルペンテン(PMP)、環状オレフィン共重合体(COC)、塩素化ポリエチレン(PE−C)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン/塩化ビニル樹脂(E/VC)、塩素化ポリ塩化ビニル(PVC−C)等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、スチレン/N−フェニルマレイミド樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミドMXD6(PA−MXD6)、変性ポリアミド6T、モノマーキャスティングポリアミド等のポリアミド(PA)類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の熱可塑性ポリエステル類、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロポレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂類、液晶ポリエステル(LCP)等の液晶ポリマー、ポリアクリレート(PAR)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等の熱可塑性イミド系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールケトン(PAEK)、脂肪族ポリケトン(APK)等のケトン系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾール(PBI);ポリパラバン酸(PPA)レーヨン、セロファン、セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、エチルセルロース等の多糖類、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)類を挙げることができる。
【0019】
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、アルキド樹脂、シリコーン樹脂(SI)、エポキシ樹脂(EP)、ウレタン樹脂(PUR)、ポリビニルエステル、ポリフタル酸ジアリル(PDAP)、ポリイミド(PI)、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)、フラン樹脂(FF)、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、マレイン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)、熱硬化性強化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。本発明では、硬質樹脂層を外面側に、軟質樹脂層を内面側にそれぞれ配置すれば、硬質樹脂層および軟質樹脂層の組み合わせとして、いかなる種類の樹脂層を選択しても良い。硬質と軟質は、弾性係数を基準に判断される。
【0020】
硬質樹脂層と軟質樹脂層との組み合わせとしては、硬質樹脂製パネルおよび軟質樹脂製パネルに、それぞれ、アクリル樹脂製のパネルおよびポリカーボネート樹脂製のパネルを用いる組み合わせの他(以後、先出の樹脂製パネルが硬質樹脂層に相当し、後出の樹脂製パネルが軟質樹脂層に相当する。)、アクリル樹脂製のパネルおよびオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等)製のパネルの組み合わせ、硬質塩化ビニル樹脂製のパネルおよびオレフィン系樹脂製のパネルの組み合わせ、アクリル樹脂製のパネルおよびポリエステル樹脂製のパネルの組み合わせ、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のパネルおよびABS樹脂製のパネルの組み合わせ、アクリル樹脂製のパネルおよびABS樹脂製のパネルの組み合わせ、アクリル樹脂製のパネルおよびウレタン樹脂の組み合わせ、硬質塩化ビニル樹脂製のパネルおよびウレタン樹脂の組み合わせ、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のパネルおよびウレタン樹脂の組み合わせが、好適な組み合わせである。
【0021】
また、軟質樹脂層の表面に、硬質樹脂層としてハードコート層を形成する場合、ハードコート層および軟質樹脂製パネルの組み合わせとして、それぞれUV硬化型アクリル系樹脂および熱可塑性のアクリル系樹脂製のパネルの組み合わせの他(以後、先出の樹脂層がハードコート層に相当し、後出の樹脂製パネルが軟質樹脂層に相当する。)、UV硬化型アクリル系樹脂およびポリカーボネート樹脂製のパネルの組み合わせ、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂およびポリカーボネート樹脂製のパネルの組み合わせ、UV硬化型アクリル系樹脂およびウレタン樹脂の組み合わせ、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂およびウレタン樹脂の組み合わせが、好適な組み合わせである。
【0022】
また、「金属薄膜層」は、アルミニウム、インジウム、ニッケル、クロム、錫等の金属の薄膜層であり、その形成方法は、スパッタリング等に代表される物理的な薄膜形成法であるか、CVD等に代表される化学的な薄膜形成法であるかを問わない。さらに、金属薄膜層をメッキにより形成したり、ホットスタンプあるいは転写にて形成しても良い。また、「金属」とは、単一元素から成るか、二以上の元素から成るかを問わず、広義に解釈されるものとする。したがって、合金も、本発明における「金属」に含まれる。
【0023】
「暗色層」は、好ましくは黒色の層であるが、黒以外の色であっても、外からの光を暗色層より奥に入射させにくくし、金属薄膜層にて入射光を外に反射しやすくできる層であれば良い。「有色層」は、透明を除くように広義に解釈される層である。「暗色層」および「有色層」の形成は、顔料、インク等を用いた印刷の他、蒸着等の他の手法で行っても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、製造しやすく、スイッチの誤操作を防止でき、かつ押圧動作を長期間スムーズに維持できるスイッチパネル、およびスイッチを有する化粧パネルが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係るスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルの好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はかかる実施の形態に限定されない。
【0026】
1.スイッチパネル
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチパネル3を含む押釦スイッチ用部材1の平面図である。
【0027】
押釦スイッチ用部材1は、透明なゴム状弾性体2の上に、スイッチパネル3を貼り付けた構造を有している。スイッチパネル3の表面(図1の紙面の表側)には、複数のスイッチ4が配置されている。各スイッチ4は、裏側にへこむ溝(図1では、斜線で示す部分)5にて区分けされている。円形のスイッチ4の一段下には、有色模様6,8が描かれた2つのスイッチ4が、別のスイッチ4を挟むように配置されている。当該別のスイッチ4には、「C」という文字7が描かれている。なお、「透明」は、全ての部材において、無色透明、有色透明の他、半透明も含み、全く透過しない不透明な状態を除く意味に広義に解釈されるものとする。
【0028】
図2は、押釦スイッチ用部材1を図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【0029】
スイッチパネル3は、硬質樹脂層10の裏側に軟質樹脂層11を付けて、軟質樹脂層11の裏側に各種の層を形成した構造を有している。この実施の形態では、硬質樹脂層10としてアクリル樹脂製のパネルを、軟質樹脂層11としてポリカーボネート樹脂製のパネルを、それぞれ用いている。ただし、かかる組み合わせに限定されず、外側に硬質樹脂層10を、内側に軟質樹脂層11を配置すれば、他の種類の樹脂製パネルを使用しても良い。さらに、硬質樹脂層10を、UV硬化型のアクリル樹脂からなるハードコート層とし、軟質樹脂層11の表面に形成するようにしても良い。
【0030】
軟質樹脂層11の裏側には、金属薄膜層12、暗色層15が順に形成されている。金属薄膜層12には、有色模様6,8および文字7の形に穴16が形成されている。金属薄膜層12は、光透過率5〜50%の層とするのが好ましい。有色模様6,8の部分に形成された穴16,16には、それぞれ、有色層(図2では、斜線で示す部分)13,14が形成されている。暗色層15のさらに裏側には、穴16の部分を埋めるように、接着剤層17が形成されている。スイッチパネル3は、硬質樹脂層10から暗色層15(若しくは接着剤層17を含む)まで積層させた構造を有する。
【0031】
スイッチパネル3の裏側には、透明なゴム状弾性体2が接着剤層17を介して貼り付けられている。スイッチ4の押圧動作により、透明なゴム状弾性体2の下方に配置されるタクトスイッチ(不図示)を押すことができるように、透明なゴム状弾性体2の裏側におけるタクトスイッチ上方に、押圧子2aが形成されている。
【0032】
溝5は、硬質樹脂層10を貫通し、軟質樹脂層11の所定の深さに至るように形成されている。硬質樹脂層10の厚さをL1、軟質樹脂層11の厚さをL2、溝5の内底部から軟質樹脂層11の裏面までの厚さをL3とする。L1+L2は、0.2〜2.0mmの範囲、特に、0.3〜0.6mmの範囲の厚さとするのが好ましい。L1+L2を0.2mm以上とすることにより、溝5を形成しやすく、かつスイッチ4の突出を指で認識しやすい。また、L1+L2を2.0mm以下とすることにより、スイッチパネル3の薄型化、さらには電子機器の薄型化に貢献できる。
【0033】
L3は、L1+L2に対して0.1以上0.5以下の厚さとするのが好ましい。L3をL1+L2に対して0.1以上の厚さとすると、溝5の深さが硬質樹脂層10と軟質樹脂層11の両厚みの総和に対して極端に浅くならないので、溝5の形成後の製造工程において、溝5から割れる危険性をより低くすることができる。また、L3をL1+L2に対して0.5以下の厚さとすると、各スイッチ4を押した際に溝5の残部がたわみやすくなる。L1+L2を0.2〜2.0mmの範囲の厚さとした場合、L3は、L1+L2に対して0.1以上0.5以下の厚さなので、20〜1000μmの範囲で変化する。L1+L2とL3のより好ましい関係は、L1+L2が0.3〜0.5mmに対して、L3が0.03〜0.25mmであり、特に、かかる条件下ではL3を0.20mm前後とするのが好ましい。
【0034】
ここで、硬質樹脂層10と軟質樹脂層11の組み合わせを変えた3種類のスイッチパネル3を用意し、好適なL3の長さを評価した結果について説明する。
【0035】
(1) スイッチパネルA
スイッチパネルAは、厚さ0.4mmのPC製の軟質樹脂層11(帝人化成株式会社製のパンライトL1250ZW)の表面に、厚さ0.1mmのPMMA製の硬質樹脂層10(住友化学株式会社製のスミペックスEX)を付けた構成を有する。L3が0.03〜0.35mmの範囲となるように溝5を形成したスイッチパネルAを、20個用意した。
【0036】
(2) スイッチパネルB
スイッチパネルBは、厚さ0.4mmのABS製の軟質樹脂層11(東レ株式会社製のトヨラック920)の表面に、厚さ0.1mmのPMMA製の硬質樹脂層10(住友化学株式会社製のスミペックスEX)を付けた構成を有する。スイッチパネルAと同じ深さの溝5を形成したスイッチパネルBを、20個用意した。
【0037】
(3) スイッチパネルC
スイッチパネルCは、厚さ0.4mmのPE製の軟質樹脂層11(株式会社プライムポリマー製のハイゼックス730F)の表面に、厚さ0.1mmのPP製の硬質樹脂層10(株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロE185G)を付けた構成を有する。スイッチパネルAおよびBと同じ深さの溝5を形成したスイッチパネルCを、20個用意した。
【0038】
上記3種類のスイッチパネルを、指による各キーの認識のしやすさ、割れの生じにくさ、撓みやすさの観点で評価した結果、スイッチパネルAの場合には、特に、L3が0.15〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。また、スイッチパネルBの場合には、特に、L3が0.15〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。さらに、スイッチパネルCの場合には、特に、L3が0.05〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。
【0039】
スイッチパネルA〜Cの場合、L1+L2は、共に0.5mmである。このため、スイッチパネルAおよびBの好適なL3の長さは、それぞれ、L1+L2に対して0.3〜0.5の範囲であることがわかった。同様に、スイッチパネルCの好適なL3の長さは、L1+L2に対して0.1〜0.5の範囲であることがわかった。このような結果から、L3としては、L1+L2に対して0.1以上0.5以下の範囲の長さがより好ましいと考えられる。
【0040】
さらに、硬質樹脂層10と軟質樹脂層11の組み合わせを変えた別の3種類のスイッチパネル3を用意し、好適なL3の長さを評価した結果について説明する。
【0041】
(4)スイッチパネルD
スイッチパネルDは、厚さ0.3mmの透明スチレン系熱可塑性エラストマーであるラバロンFJ7370C(三菱化学株式会社製)の軟質樹脂層の表面に厚さ0.3mmのPMMA製の硬質樹脂層(住友化学株式会社製スミペックスEX)を付けた構成を有する。L3が0.03〜0.35mmの範囲となるように溝5を形成したスイッチパネルDを、20個用意した。
【0042】
(5)スイッチパネルE
スイッチパネルEは、厚さ0.3mmの透明スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社のアサフレックスを30%混入したPSジャパン株式会社のポリスチレンSC004)を軟質樹脂層とし、その表面に、厚さ0.2mmの三菱レイヨン株式会社製アクリペットV001からなる硬質樹脂層を付けた構成を有する。スイッチパネルDと同じ深さの溝5を形成したスイッチパネルEを、20個用意した。
【0043】
(6)スイッチパネルF
スイッチパネルFは、厚さ0.3mmのポリエステル系透明熱可塑性エラストマー(三菱化学株式会社製プリマロイA1706C)を軟質樹脂層とし、その表面に厚さ0.3mmのPMMA製の硬質樹脂層(住友化学株式会社製スミペックスEX)を付けた構成を有する。スイッチパネルDおよびEと同じ深さの溝5を形成したスイッチパネルFを、20個用意した。
【0044】
上記3種類のスイッチパネルを、指による各キーの認識のしやすさ、割れの生じにくさ、撓みやすさの観点で評価した結果、スイッチパネルDの場合には、特に、L3が0.15〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。また、スイッチパネルEの場合には、特に、L3が0.15〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。さらに、スイッチパネルFの場合には、特に、L3が0.15〜0.25mmの範囲にあるサンプルで、各キーの認識がしやすく、割れが生じにくく、かつ撓みやすいという評価結果が得られた。
【0045】
スイッチパネルDおよびスイッチパネルFの場合、L1+L2は、共に0.6mmである。このため、スイッチパネルDおよびFの好適なL3の長さは、それぞれ、L1+L2に対して0.25〜0.41の範囲であることがわかった。また、スイッチパネルEの場合、L1+L2は、0.5mmである。このため、スイッチパネルEの好適なL3の長さは、L1+L2に対して0.3〜0.5の範囲であることがわかった。このような結果から、L3としては、L1+L2に対して0.25以上0.5以下の範囲の長さがより好ましいと考えられる。
【0046】
ここで、好適なL3とL1+L2の関係を理論的に導くための一例につき説明する。
【0047】
曲げ応力W(kg)は全曲げモーメントM(kg・cm)によって引き起こされる発生応力である。その発生応力が、外力P(kg)を下回るとき、規定量までの曲げという現象を発生させる。
【0048】
スイッチパネル3の長辺をK(cm)、スイッチの押し込み量をD(cm)とすると、スイッチパネル3をD(cm)押した際の近似半径R(cm)を計算で求めることができる。スイッチパネル3の縦弾性係数をE(kgf/cm)、断面二次モーメントをI(cm)とすると、全曲げモーメントM(kg・cm)およびそのMによって引き起こされる曲げ応力W(kg)は、次のように表すことができる。
M=E×I/R
W=(M−Z×X)/(X−K)
Z:片方の支持はりにかかる反力(kg)
X:支持はりから押す位置までの距離(cm)
ここで、W<Pとなれば、D(cm)まで曲がることができる。
【0049】
スイッチパネル3の全投影面積をS(cm)、スイッチパネル3の硬質樹脂層10の投影面積をS’(cm)、硬質樹脂層10の厚みをL1(cm)、軟質樹脂層11の厚みをL2(cm)、硬質樹脂縦弾性係数をEh(kgf/cm)、軟質樹脂縦弾性係数をEs(kgf/cm)とする。溝5の深さL(=L1+L2−L3)を未知数とした断面二次モーメントI(cm)を硬質樹脂層10の厚みL1、軟質樹脂層11の溝形成部分の厚み(L−L1)、軟質樹脂層11の溝形成部分の厚み(L1+L2−L)毎にLの文字式で表し、その未知数Lの含まれる曲げ応力の不等式を作成し、その解を求めることで、L3の理論上必要となる厚みを導き出すことが可能である。M(kg・cm)は、次の式のように表すことができる。
【0050】
【数1】

【0051】
また、発生応力Wが最大になるように考えておくことで、計算上の安全をみる。Wが最大となるのは、W=2×M/(D/2)のときであり、そこからWが求められる。
【0052】
また、スイッチパネル3内のスイッチ4を押す力を0.3(kg)とした場合、スイッチパネル3の発生応力の他に、ゴム状弾性体2、接着剤層17、タクトスイッチ、押圧子2a等に発生する他の応力も考慮する必要がある。そのために必要な補正係数をQとすると、スイッチパネル3自体を押すために割かれる力Pは、0.3×Q(kg)となる(Q:実際の仕様より実験値として求める。)。よって、W<Pで表される不等式より、理論上、Lの範囲を導き出し、その結果よりL3の範囲を導き出すことができる。
【0053】
先に評価した6種類のスイッチパネルの内の3種類のスイッチパネルA、BおよびCについて、上記の計算により好適なL3を求めると、スイッチパネルAの場合、好適なL3の長さは、0.26mm以下である。スイッチパネルBの場合、好適なL3の長さは、0.27mm以下である。また、スイッチパネルCの場合、好適なL3の長さは、0.35mm以下である。ただし、補正係数Qは、0.0036とした。割れを生じにくくするための最低限の厚みを考慮した実験結果との差はあるが、理論的に、好適なL3のおおよその範囲を把握することが可能であることがわかった。
【0054】
図3は、スイッチパネル3を含む押釦スイッチ用部材1の製造工程の流れを示すフローチャートである。
【0055】
まず、硬質樹脂層10と軟質樹脂層11を接合する(ステップS101)。ステップS101は、例えば、共押し出しによる押し出し加工、ドライラミネートあるいは熱融着による貼り付け、ハードコート材の塗布およびその硬化等の手法により行われる。樹脂製のパネルを加工するので、射出成形に必要とされる金型が不要である。このため、品種変更の際に容易に対応できる。
【0056】
次に、軟質樹脂層11の裏側に、金属薄膜層12を形成する(ステップS102)。ステップS102では、アルミニウムを蒸着する方法が採用されているが、スパッタリング等の他の方法で、アルミニウム若しくは他種金属の層を形成しても良い。
【0057】
次に、金属薄膜層12に形成される穴16の一部若しくは全部に、有色層13,14を形成する(ステップS103)。有色層13,14は、印刷によって形成するのが好ましい。
【0058】
次に、有色層13,14の部分と、有色層13,14を形成していない穴16の部分を除き、金属薄膜層12の裏側に暗色層15を形成する(ステップS104)。暗色層15は、黒色の印刷層が好ましいが、黒色以外の色でも、暗色層15より裏側に光を透過させにくい色の層であれば良い。なお、有色層13,14の形成と暗色層15の形成を、一度の印刷で行っても良い。さらに、ステップS103とステップS104とを逆順にしても良い。
【0059】
次に、硬質樹脂層10から軟質樹脂層11の所定深さまで、溝5を形成する(ステップS105)。溝5の形成は、好ましくは、NC切削加工機を用いた切削加工にて行われる。切削用の刃は、好ましくは、超硬合金製のエンドミル、刃先をダイヤモンドコートしたダイヤモンドカッターであるが、スイッチパネル3の材質、切削の形状等により適切なものを選択できる。さらに、溝5を、レーザ加工により形成しても良い。
【0060】
次に、透明なゴム状弾性体2とスイッチパネル3とを接着剤層17を介して接合する(ステップS106)。透明なゴム状弾性体2は、好ましくはシリコーンゴムである。
【0061】
上記の製造工程は、次のように変えても良い。例えば、溝5の形成を、ステップS101の前または直後に行うようにしても良い。また、硬質樹脂層10と軟質樹脂層11との接合(ステップS101)を、ステップS102〜ステップS106のいずれのステップの直後に行うようにしても良い。また、ステップS101は、硬質樹脂層10と軟質樹脂層11とを接着剤で接着する工程でも良い。
【0062】
また、スイッチパネル3の金属調の質感をより高めるために、硬質樹脂層10若しくは軟質樹脂層11の表若しくは裏面に、スピンカット、ヘアライン等の形状に切削痕あるいは研磨痕を形成しても良い。かかる切削痕あるいは研磨痕は、例えば、切削加工、プレス加工等により形成することができる。この工程は、上記ステップS101〜ステップS106のいずれのステップの直後に行っても良い。また、硬質樹脂層10の表面に、文字等の形状にエンボス加工を施したり、硬質樹脂層10より硬度の高いハードコート層を形成しても良い。
【0063】
以上説明したように、複数のスイッチ4が一体化した状態で製造工程を流れるため、スイッチを個別に貼り付ける場合と異なり、組み立て工程が容易で、かつスイッチの正確な配置が実現できる。また、溝5の部分とスイッチ4の部分とは同じ材質から成るので、裏面全面への印刷により装飾することが極めて容易になる。さらに、各スイッチ4間が溝5で隔てられており、隙間がないので、スイッチパネル3の裏側から照光した場合、スイッチ4同士の隙間から光が漏れることはない。したがって、スイッチ4をより明るく光らせることができる。
【0064】
スイッチ4の境界に溝5が存在するので、フラットパネルとは異なり、スイッチの誤操作を低減でき、操作性の極めて良いスイッチパネル3ができる。また、スイッチパネル3において、溝5を、硬質樹脂層10から軟質樹脂層11の内部まで達し、軟質樹脂層11の一部を残すように形成しているので、スイッチ4の押圧動作を繰り返し行っても、溝5の下方に存在する残部領域の靭性と曲げ強度が高いため、長期間の使用が可能である。また、押圧したスイッチ4の沈み込みに引きずられて、隣接するスイッチ4が沈むことによる誤作動を低減することもできる。さらに、溝5の下方に存在する残部を、当該残部と溝5の深さとの合計の長さに対して、0.1以上0.5以下としているので、スイッチパネル3が溝5から割れる危険性を低減でき、かつスイッチ4の押圧を長期間繰り返し行いやすくできる。
【0065】
金属薄膜層12を形成することにより、樹脂製のスイッチパネル3でありながら、使用者は金属の質感を得ることができる。また、金属薄膜層12の裏に暗色層15を形成することにより、さらに外部からの光を効果的に反射させることができる。したがって、金属の質感がより高まる。また、金属を使用していないので、軽量で、温かみがあり、着色の自由度が大きく、電波シールド作用もなく、金属の鋭いエッジ部分で指等を接触させることにより傷つくこともないスイッチパネル3を実現できる。特に、透明な樹脂材料を使用して、裏側からの照光によりスイッチ4の表面に形成された文字等を光らせることができるという長所が得られる。
【0066】
2.スイッチを有する化粧パネル
図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチを有する化粧パネル30の平面図である。
【0067】
スイッチを有する化粧パネル(単に、「化粧パネル」という。)30は、先に説明したスイッチパネル3を含むように周縁領域31を備えた電子機器用のカバーである。スイッチパネル3の上方には、透明のウィンドウ32が形成されている。ウィンドウ32の位置は、電子機器の表示画面の位置に相当する。化粧パネル30は、複数のスイッチ4と各スイッチ4の周囲に形成された溝5を有している。また、図4では図示されていないが、各スイッチ4の裏側には、タクトスイッチを押すことができるように、ゴム状弾性体が備えられている。なお、スイッチを有する化粧パネルは、ウィンドウ32のないものでも良い。
【0068】
図4に示す化粧パネル30において、各スイッチ4を溝5で区分けすることにより、前述のスイッチパネル3と同様の作用・効果を得ることができる。化粧パネル30の製造工程については、図3に示すフローチャートと共通するので、その説明を省略する。
【0069】
以上、本発明に係るスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルの各実施の形態について説明したが、本発明に係るスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルは、上述の実施の形態に限定されることなく、種々変形を施した形態にて実施可能である。
【0070】
上述の実施の形態では、溝5は、硬質樹脂層10から軟質樹脂層11の内部まで達し、軟質樹脂層11の一部を残すように形成されている。しかし、スイッチパネル3若しくは化粧パネル30の厚さを、硬質樹脂層10から暗色層15までの厚さの総和と定義し、軟質樹脂層11の残部がスイッチパネル3若しくは化粧パネル30の厚さに対して0.1以上0.5以下となるように形成することもできる。金属薄膜層12および暗色層15の厚さは、軟質樹脂層11の厚さに比べて極めて薄い。このため、スイッチパネル3若しくは化粧パネル30の厚さを、硬質樹脂層10から暗色層15までの厚さの総和と定義しても、同様の作用・効果が得られる。
【0071】
また、金属薄膜層12、暗色層15、有色層13,14、接着剤層17は、必須の層ではない。金属の質感を持たせる必要がない場合、あるいは金属の質感を持たせる必要があっても、スピンカット、ヘアライン等の形状に切削痕あるいは研磨痕を形成することにより十分実現できれば、金属薄膜層12は不要である。また、金属薄膜層12による光の反射が十分高ければ、暗色層15を形成しなくても良い。また、有色層13,14は、有色の模様の部分を形成しなければ、不要である。さらに、接着剤層17は、スイッチパネル3と透明なゴム状弾性体2とを熱融着等により貼り付ける場合には不要である。
【0072】
スイッチパネル3若しくは化粧パネル30は、硬度の異なる3以上の樹脂層から構成されていても良い。最表面の樹脂層の硬度が、溝5の内底部から下方の残部の硬度よりも高ければ、3以上の樹脂層を積層したスイッチパネル3若しくは化粧パネル30であっても良い。
【0073】
また、溝5は、スイッチ4を区分けする全てのラインに形成するのではなく、一部のラインに形成し、残りに溝5を形成しないようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るスイッチパネルおよびスイッチを有する化粧パネルは、操作キーを有する各種電子機器における操作面に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチパネルを含む押釦スイッチ用部材の平面図である。
【図2】図1に示す押釦スイッチ用部材を図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【図3】図1に示す押釦スイッチ用部材の製造工程の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るスイッチを含む化粧パネルの平面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 押釦スイッチ用部材
2 ゴム状弾性体
2a 押圧子
3 スイッチパネル
4 スイッチ
5 溝
6 有色模様
7 文字
8 有色模様
9 スイッチパネル
10 硬質樹脂層
11 軟質樹脂層
12 金属薄膜層
13 有色層
14 有色層
15 暗色層
16 穴
17 接着剤層
30 化粧パネル(スイッチを有する化粧パネル)
31 周縁領域
32 ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬度の異なる2以上の樹脂層を合わせて成るスイッチパネルであって、
硬度の高い硬質樹脂層をスイッチの表面側に、硬度の低い軟質樹脂層をスイッチの裏面側に配置し、
各スイッチの一部又は全部を溝にて区分けした一体型のスイッチパネルとし、
その溝は、上記硬質樹脂層から上記軟質樹脂層の内部まで達し、上記軟質樹脂層の一部を残すように形成されることを特徴とするスイッチパネル。
【請求項2】
前記軟質樹脂層の裏面に、金属薄膜層、暗色層の順に層を形成していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチパネル。
【請求項3】
前記金属薄膜層および前記暗色層の内、少なくとも前記暗色層を貫通する穴を1つまたは2つ以上形成し、その穴の一部または全部に有色層を形成していることを特徴とする請求項2に記載のスイッチパネル。
【請求項4】
前記硬質樹脂層をアクリル樹脂製のパネルとし、前記軟質樹脂層をポリカーボネート樹脂製のパネルとすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチパネル。
【請求項5】
前記硬質樹脂層は、前記軟質樹脂層の表面に形成されたハードコート層であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチパネル。
【請求項6】
硬度の異なる2以上の樹脂層を合わせて成るスイッチを有する化粧パネルであって、
硬度の高い硬質樹脂層を化粧パネルの表面側に、硬度の低い軟質樹脂層を化粧パネルの裏面側に配置し、
上記化粧パネルに形成される各スイッチの一部又は全部を溝にて区分けし、
その溝は、上記硬質樹脂層から上記軟質樹脂層の内部まで達し、上記軟質樹脂層の一部を残すように形成されることを特徴とする、スイッチを有する化粧パネル。
【請求項7】
前記軟質樹脂層の裏面に、金属薄膜層、暗色層の順に層を形成していることを特徴とする請求項6に記載のスイッチを有する化粧パネル。
【請求項8】
前記金属薄膜層および前記暗色層の内、少なくとも前記暗色層を貫通する穴を1つまたは2つ以上形成し、その穴の一部または全部に有色層を形成していることを特徴とする請求項7に記載のスイッチを有する化粧パネル。
【請求項9】
前記硬質樹脂層をアクリル樹脂製のパネルとし、前記軟質樹脂層をポリカーボネート樹脂製のパネルとすることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のスイッチを有する化粧パネル。
【請求項10】
前記硬質樹脂層は、前記軟質樹脂層の表面に形成されたハードコート層であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のスイッチを有する化粧パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−280837(P2007−280837A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107526(P2006−107526)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】