説明

スイッチング素子装置

【課題】スイッチング素子のスイッチングによりコモンモードノイズが発生するのをより適正に抑制する。
【解決手段】スイッチング素子を含むカード状の素子部22と、素子部22から互いに対面した状態で延出するPバスバ26pおよびNバスバ26nと、を間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却器31,32は、両バスバ26p,26nの間に配置され導体により形成された板状の接続部36によって接続されており、2つの冷却器31,32を接地し、両バスバ26p,26nにおける素子部22から接続部36に対面する所定位置までのインダクタンスをそれぞれLp,Lnとし、両バスバ26p,26nと接続部36との間のキャパシタンスをそれぞれCp,Cnとしたときに、Ln・Cn−Lp・Cp=0の関係式が成立するように両バスバ26p,26nと接続部36とを形成かつ配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子装置に関し、詳しくは、P型およびN型の半導体により形成されたスイッチング素子を含むカード状の素子部と、P型およびN型の半導体の各々に接続されて素子部から互いに対面した状態で延出するバスバであるPバスバおよびNバスバと、少なくともスイッチング素子を冷却するために素子部とPバスバおよびNバスバとを間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却部と、を備えるスイッチング素子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、インバータとモータ等の電気機器との間にコモンモードチョークコイルを接続し、コモンモードチョークコイルとモータ間の三相の各線にコンデンサと抵抗との直列接続体の一方を接続し、その直列接続体の他方を共通接続し、共通接続された直列接続体の他端を交流電源より高い周波数成分に対して接地と同等の電位を持つ仮想接地電位部に接続するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、これにより、比較的小型のコモンモードチョークコイルとコンデンサを使用し、インバータのスイッチング素子のスイッチングによる高周波ノイズを低減すると共に、モータ等の電気機器の漏洩電流を低減するフィルタを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−69762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、スイッチング素子のスイッチングによる高周波ノイズ(コモンモードノイズ)を低減するためにコモンモードチョークコイルやコンデンサを追加するため、スイッチング素子を含む装置の部品点数の増加や装置の大型化,電気的なシステムの複雑化などの不都合が生じたり、システムのインダクタンスや電気容量の変化により対策すべきノイズの周波数帯にLC共振が発生する可能性が生じたり、インバータの出力側(モータ等の電気機器側)のインピーダンスが変化した場合にその都度コモンモードチョークコイルやコンデンサの定数調整の必要が生じたりしてしまう。
【0005】
本発明のスイッチング素子装置は、スイッチング素子のスイッチングによりコモンモードノイズが発生するのをより適正に抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチング素子装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のスイッチング素子装置は、
P型およびN型の半導体により形成されたスイッチング素子を含むカード状の素子部と、前記P型およびN型の半導体の各々に接続されて前記素子部から互いに対面した状態で延出するバスバであるPバスバおよびNバスバと、少なくとも前記スイッチング素子を冷却するために前記素子部と前記Pバスバおよび前記Nバスバとを間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却部と、を備えるスイッチング素子装置において、
前記2つの冷却部は、前記Pバスバおよび前記Nバスバの間に配置され前記導体により形成された板状の接続部によって接続されており、
前記2つの冷却部を接地し、前記Pバスバ,前記Nバスバにおける前記素子部から前記接続部に対面する所定位置までのインダクタンスをそれぞれLp,Lnとし、前記Pバスバ,前記Nバスバと前記接続部との間のキャパシタンスをそれぞれCp,Cnとしたときに、Ln・Cn−Lp・Cp=0の関係式が成立するように前記Pバスバおよび前記Nバスバと前記接続部とを形成かつ配置する、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明のスイッチング素子装置では、P型およびN型の半導体により形成されたスイッチング素子を含むカード状の素子部と、P型およびN型の半導体の各々に接続されて素子部から互いに対面した状態で延出するバスバであるPバスバおよびNバスバと、を間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却部は、PバスバおよびNバスバの間に配置され導体により形成された板状の接続部によって接続されており、2つの冷却部を接地し、Pバスバ,Nバスバにおける素子部から接続部に対面する所定位置までのインダクタンスをそれぞれLp,Lnとし、Pバスバ,Nバスバと接続部との間のキャパシタンスをそれぞれCp,Cnとしたときに、Ln・Cn−Lp・Cp=0の関係式が成立するようにPバスバおよびNバスバと接続部とを形成かつ配置する。これにより、装置の等価回路においてスイッチング素子のスイッチングにより生じるコモンモード電流を理想的に値0とすることができるから、コモンモードチョークコイルやコンデンサを追加することなくコモンモードノイズの発生を抑制することができる。即ち、スイッチング素子のスイッチングによりコモンモードノイズが発生するのをより適正に抑制することができる。ここで、所定位置は、接続部の素子部側の端部に向かい合う位置と接続部の素子部側とは反対側の端部に向かい合う位置との間の位置などとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例としてのスイッチング素子装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】図1のスイッチング素子装置20をA方向からみた正面図である。
【図3】図1のスイッチング素子装置20をB方向からみた側面図である。
【図4】スイッチング素子装置20の構造の等価回路を示す説明図である。
【図5】スイッチング素子装置20の構造に適用する基本原理を示す説明図である。
【図6】従来例のスイッチング素子装置に対して接続部36を取り付けて実施例のスイッチング素子装置20を構築する際の様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例としてのスイッチング素子装置20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、図1のスイッチング素子装置20をA方向から(正面から)みた正面図であり、図3は、図1のスイッチング素子装置20をB方向から(側面から)みた側面図である。実施例のスイッチング素子装置20は、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載された三相交流電動機としての走行用モータを駆動するために車載バッテリからの直流電力を交流電力に変換するスイッチング機器であるインバータの一部(三相のうち一相に相当)を構成している。このインバータは、車体に固定されたインバータケースに収納されている。
【0012】
スイッチング素子装置20は、P型半導体およびN型半導体により形成された例えばIGBTとして構成された2つのスイッチング素子24(図2参照)を含むカード状(平らな直方体形状)の素子部22と、2つのスイッチング素子24のP型半導体およびN型半導体の各々に接続されてカード状の素子部22の一端(図1中、平らな直方体形状の6面のうち最も広い2面を除いた4面の1つ)から垂直に且つ互いに対面した状態で延出する2つのバスバであるPバスバ26pおよびNバスバ26nと、素子部22のスイッチング素子24やPバスバ26p,Nバスバ26nを冷却するために素子部22とPバスバ26pおよびNバスバ26nとを間に挟んで両側に配置された2つの冷却器31,32と、を備える。即ち、スイッチング素子装置20は、カード状の素子部22を両面から冷却する両面冷却構造を採用している。図1中、冷却器32は、見やすさを考慮して輪郭のみを点線で示した。また、実施例では、Pバスバ26pとNバスバ26nとは同一形状であるものとした。
【0013】
素子部22は、2つのスイッチング素子24や、2つのスイッチング素子24と電気的には逆方向に並列に接続された図示しない2つのダイオードが、図示しない基板に実装されて絶縁体である樹脂によりモールドされた状態で、カード状に形成されている。図2および図3では、見やすさを考慮して、素子部22内のスイッチング素子24を破線により示した。
【0014】
Pバスバ26pおよびNバスバ26nは、例えば銅などの導体により形成されており、素子部22とは反対側の端部が車載バッテリと走行用モータとを接続する電力ラインの正極母線および負極母線にそれぞれ接続されている。
【0015】
冷却器31,32は、走行用モータなどを冷却する冷却系における冷却水の循環経路の一部を構成すると共に、内部に複数のフィンが形成された例えばアルミニウムなどの導体によって形成されており、この内部を冷却水が通過することによって素子部22のスイッチング素子24やPバスバ26p,Nバスバ26nを冷却する。また、冷却器31,32は、Pバスバ26pおよびNバスバ26nの各々に対面するようPバスバ26pとNバスバ26nとの中間位置に配置された接続部36によって接続されている。冷却器31,32は、電気的には車体を介して接地されており、接続部36は、冷却器31,32と一体に同じ導体によって形成されている。
【0016】
図4は、上述のように構成されたスイッチング素子装置20の構造の等価回路(ノーマルモード的な等価回路)を示し、図5は、スイッチング素子装置20の構造に適用される基本原理を示す説明図である。図4中、スイッチング素子24のスイッチングにより発生するコモンモードノイズのノイズ源となる素子部22側を「素子部側」として示し、このコモンモードノイズの出力側を「出力側」として示した。図4に示すように、スイッチング素子装置20の構造の等価回路では、素子部側と出力側とがPバスバ26pとNバスバ26nとによって接続され、Pバスバ26pにおける素子部22から接続部36に対面する所定位置P1までの(長さL1に相当する)インダクタンス(寄生インダクタンス)を「Lp」とすると共に、Nバスバ26nにおける素子部22から接続部36に対面する所定位置P2までの(同じく長さL1に相当する)インダクタンス(寄生インダクタンス)を「Ln」とし、Pバスバ26pと接続部36との間のキャパシタンス(静電容量)を「Cp」とすると共に、Nバスバ26nと接続部36との間のキャパシタンス(静電容量)を「Cn」とし、さらに、接続部36は、接地されている。また、この等価回路では、素子部側に最も近い位置でPバスバ26pとNバスバ26nとがコンデンサ(いわゆるXコンデンサ)を介して接続されている。なお、この等価回路では、出力側に最も近い位置でPバスバ26pとNバスバ26nとがコンデンサ(いわゆるXコンデンサ)を介して接続されており、インダクタンス成分「Lp」とキャパシタンス成分「Cp」との接続点と出力側との間には、Pバスバ26pの「Lp」以外のインダクタンス成分を示すと共に、インダクタンス成分「Ln」とキャパシタンス成分「Cn」との接続点と出力側との間には、Nバスバ26nの「Ln」以外のインダクタンス成分を示した。ここで、所定位置P1は、図2に示すように、Pバスバ26pにおいて、接続部36の素子部22側の端部に向かい合う位置P1aと接続部36の素子部22側とは反対側の端部に向かい合う位置P1bとのちょうど中間の位置であるものとした。また、所定位置P2も、同様に図2に示すように、Nバスバ26nにおいて、接続部36の素子部22側の端部に向かい合う位置P2aと接続部36の素子部22側とは反対側の端部に向かい合う位置P2bとのちょうど中間の位置であるものとした。
【0017】
図4の等価回路は、高周波的にはブリッジ回路を用いて図5に示す等価回路として表現することができる。即ち、スイッチング素子装置20は、キャパシタンス成分「Cp」とキャパシタンス成分「Cn」との接続点を接地すると共に、インダクタンス成分「Lp」とインダクタンス成分「Ln」との接続点を図4の出力側に対応するインピーダンス成分「Zc」に接続し、さらに、キャパシタンス成分「Cp」およびインダクタンス成分「Lp」の接続点とキャパシタンス成分「Cn」およびインダクタンス成分「Ln」の接続点とにノイズ源によるコモンモード電圧の変動成分「Vd」を接続したブリッジ回路として表現することができる。図5中、キャパシタンス成分「Cp」とキャパシタンス成分「Cn」との接続点の接地は、接続部36の接地(即ち、冷却器31,32の接地)によって実現されており、インダクタンス成分「Lp」とインダクタンス成分「Ln」との接続は、図4の素子部側のコンデンサ(いわゆるXコンデンサ)によってこれらの接続点が高周波的には同電位になることに基づいている。また、図5のノイズ源の位置は、回路上どの位置を起点としてノイズの伝播が開始すると考えてもよいことに基づいている。こうして表現された図5のブリッジ回路の出力側のコモンモード電圧「Vc」については、次式(1)の関係が成立する。したがって、式(2)の関係が成立すれば、コモンモード電圧「Vc」を値0とすると共に、ブリッジ回路の出力側に流れるコモンモード電流「Ic」を値0とすることができる。
【0018】
Vc=Vd・(Ln・Cn-Lp・Cp)/[(Lp+Ln)・(Cp+Cn)] (1)
Ln・Cn-Lp・Cp=0 (2)
【0019】
そこで、実施例のスイッチング素子装置20では、上述の式(2)が成立するようにPバスバ26p,Nバスバ26n,接続部36を形成かつ配置するものとした。具体的には、実施例では、接続部36をPバスバ26pとNバスバ26nとの間のちょうど中間位置にPバスバ26p,Nバスバ26nと平行に配置することによって式(2)の成立を実現するものとした。
【0020】
また、式(2)の成立の実現は、以下のように行なってもよい。まず、接続部36を除いた両面冷却構造のスイッチング素子装置を従来例として考えた場合、図6に示すように、この従来例のPバスバ26pとNバスバ26nとの中間位置に、Pバスバ26p,Nバスバ26nと同一の厚さで表面積Sをもつように形成した接続部36を、Pバスバ26pにおける素子部22から前述の所定位置P1までの長さが長さLaとなるように(Nバスバ26nにおける素子部22から前述の所定位置P2までの長さが同じく長さLaとなるように)配置して取り付ける。このとき、Pバスバ26pとNバスバ26nとは予め長さLbだけ離れて配置されている。そして、装置外部の計測器(アナライザ)を用いてスイッチング素子装置20における前述のキャパシタンス成分「Cp」「Cn」と前述のインダクタンス成分「Lp」「Ln」とを計測することによって、式(2)の関係式が成立するように必要に応じて長さLa,Lbや表面積Sを変更した装置を構築する。こうした手法によっても、Pバスバ26p,Nバスバ26n,接続部36の形成と配置とを行なうことができる。なお、こうして実施例のスイッチング素子装置20を構築する際に接続部36の形状(例えば、スリット状にするなど)や厚みを変更するものとしてもよい。
【0021】
ハイブリッド自動車や電気自動車では、インバータなどのスイッチング素子のスイッチングにより発生するコモンモード電流が車体を通じて大きな閉ループを構成すると、ラジオノイズ性能が悪化することが知られている。これに対し、実施例のようにスイッチング素子装置20を構築することによって、コモンモードチョークコイルやコンデンサなどの追加部品のために部品点数を増加させることなく且つ装置の大型化による車載スペースの確保に困難さを生じさせることなく、コモンモードノイズを低減することができる。さらに、出力側のインピーダンス成分「Zc」が変化しても、コモンモード電圧「Vc」を値0とすることによってコモンモード電流「Ic」を値0とすることができるから、出力側の構成によらずにコモンモードノイズを低減することができる。しかも、素子部22のスイッチング素子24直近のPバスバ26p,Nバスバ26nを利用してキャパシタンス成分「Cp」「Cn」を構成するから、調整すべきインダクタンス成分「Lp」「Ln」を小さな値とすることができ、「Cp」「Cn」を小さな値とする、即ちPバスバ26p,Nバスバ26nと接続部36との間のスペースを小さくすることができる。また、Pバスバ26pとNバスバ26nとに接続部36が並んで配置されるため、Pバスバ26pおよびNバスバ26n全体のインダクタンス成分Lによる磁界の一部が打ち消され、両バスバ全体のインダクタンス成分Lが低減したとみなすことができ、出力側へのサージ電圧(低減したとみなされた後のインダクタンス成分と電流の時間微分値との積)を抑制することもできる。
【0022】
以上説明した実施例のスイッチング素子装置20によれば、P型半導体およびN型半導体により形成されたスイッチング素子24を含むカード状の素子部22と、P型半導体およびN型半導体の各々に接続されて素子部22から互いに対面した状態で延出するPバスバ26pおよびNバスバ26nと、を間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却器31,32は、Pバスバ26pおよびNバスバ26nの間に配置され導体により形成された板状の接続部36によって接続されており、2つの冷却器31,32を接地し、Pバスバ26p,Nバスバ26nにおける素子部22から接続部36に対面する所定位置P1,P2までのインダクタンスをそれぞれLp,Lnとし、Pバスバ26p,Nバスバ26nと接続部36との間のキャパシタンスをそれぞれCp,Cnとしたときに、Ln・Cn−Lp・Cp=0の関係式が成立するようにPバスバ26pおよびNバスバ26nと接続部36とを形成かつ配置するから、装置の等価回路においてスイッチング素子24のスイッチングにより生じるコモンモード電流を理想的に値0とすることができ、コモンモードチョークコイルやコンデンサを追加することなくコモンモードノイズの発生を抑制することができる。即ち、スイッチング素子24のスイッチングによりコモンモードノイズが発生するのをより適正に抑制することができる。
【0023】
実施例のスイッチング素子装置20では、同一形状のPバスバ26pとNバスバ26nとを用いるものとしたが、PバスバとNバスバとは異なる形状であってもよい。
【0024】
実施例のスイッチング素子装置20は、走行用モータを駆動するインバータの一部を構成するものとしたが、車載バッテリからの電力を昇圧して走行用モータに供給する昇圧コンバータの一部を構成するものなど、如何なるスイッチング機器を構成するためのものとしても構わない。
【0025】
実施例のスイッチング素子装置20では、Pバスバ26pとNバスバ26nとは銅などの導体により形成されると共に、冷却器31,32と接続部36とはアルミニウムなどの導体により形成されるものとしたが、Pバスバ26pとNバスバ26nとは銅以外の導体により形成されるものとしてもよいし、冷却器31,32と接続部36とはアルミニウム以外の導体により形成されているものとしてもよい。
【0026】
実施例では、本発明をハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されるものに適用して説明したが、自動車以外の移動体に搭載されるものに適用してもよいし、移動しない設備に組み込まれるものに適用してもよい。
【0027】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、素子部22が「素子部」に相当し、Pバスバ26pが「Pバスバ」に相当し、Nバスバ26nが「Nバスバ」に相当し、冷却器31,32が「冷却部」に相当し、接続部36が「接続部」に相当する。
【0028】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0029】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、スイッチング素子装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
20 スイッチング素子装置、22 素子部、24 スイッチング素子、26n Nバスバ、26p Pバスバ、31,32 冷却器、36 接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型およびN型の半導体により形成されたスイッチング素子を含むカード状の素子部と、前記P型およびN型の半導体の各々に接続されて前記素子部から互いに対面した状態で延出するバスバであるPバスバおよびNバスバと、少なくとも前記スイッチング素子を冷却するために前記素子部と前記Pバスバおよび前記Nバスバとを間に挟んで両側に配置され導体により形成された2つの冷却部と、を備えるスイッチング素子装置において、
前記2つの冷却部は、前記Pバスバおよび前記Nバスバの間に配置され前記導体により形成された板状の接続部によって接続されており、
前記2つの冷却部を接地し、前記Pバスバ,前記Nバスバにおける前記素子部から前記接続部に対面する所定位置までのインダクタンスをそれぞれLp,Lnとし、前記Pバスバ,前記Nバスバと前記接続部との間のキャパシタンスをそれぞれCp,Cnとしたときに、Ln・Cn−Lp・Cp=0の関係式が成立するように前記Pバスバおよび前記Nバスバと前記接続部とを形成かつ配置する、
ことを特徴とするスイッチング素子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99001(P2013−99001A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236401(P2011−236401)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】