説明

スイッチング電源装置

【課題】突入防止回路に設けたサイリスタの雷サージに対する保護を簡単な回路で確実にできるようにする。
【解決手段】突入電流防止回路3は、アクティブフィルタ回路4の入力ラインに設けた電流制限抵抗R1に並列的に接続されたサイリスタSCR1,SCR2を有し、アクティブフィルタ回路4の動作開始で生成される補助巻線L1の出力に基づくトリガ信号によりサイリスタSCR1,SCR2をオン通制御して電流制限抵抗をバイパスする。サージ保護回路12a,12bは、入力側に加わる雷サージ13のサージ電圧によりツェナーダイオードZD1,DZ2をオンしてトリガ電流をゲートに流し、サイリスタSCR1,SCR2を強制的にオンしてサージ保護を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制限抵抗に並列接続したサイリスタを電源起動後にオンする突入電流防止回路を備えたスイッチング電源装置に関し、特に突入電流防止回路のサイリスタを雷サージから保護するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスイッチング電源装置にあっては、落雷時など異常に高いサージ電圧が交流電圧に重畳して加わることでインバータのスイッチング素子を破損する恐れがあることから、インバータの入力側にサージ吸収回路を設けている。
【0003】
このサージ吸収回路としては、サージアブソーバ等のサージ吸収素子の配置、異常電圧除去フィルタの配置などもあるが、サージ吸収効果やコスト面で問題があることから、ツェナーダイオードによりサージ電圧を検出してサイリスタをオンすることで、サージ電流をインバータの入力段に設けた大容量の入力コンデンサに流してサージ電圧を吸収するようにしたスイッチング電源装置が提案されている。
【0004】
また近年、容量の大きなスイッチング電源装置にあっては、電磁妨害波(EMI)対策としてスイッチングレギュレータの交流入力段にアクティブフィルタを設け、インバータのスイッチング制御で交流電圧と交流電流の位相を一致させて力率を改善しており、アクティブフィルタを設けた場合には、交流電源を投入した際に大きな突入電流が流れることから、突入電流防止回路を設けるようにしている。
【0005】
突入電流防止回路は、アクティブフィルタの入力ラインに電流制限抵抗を設けてインバータが起動するまでに過渡的に流れる突入電流を制限し、起動が完了したらインバータコイルの補助巻線の発生電圧を使用してサイリスタをオンし、電流制限抵抗をバイパスして電力損失を防ぐようにしている。
【特許文献1】特開2002−101650
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の突入電流防止回路を備えたスイッチング電源装置にあっては、突入電流防止回路に設けたサイリスタを駆動するトリガ信号を、インバータに設けた昇圧チョークコイル又はトランスの補助巻線電圧を整流し、インバータのスイッチングに同期したパルス的なトリガ信号を得るようにしていたため、交流入力位相や負荷の重さによってトリガ信号の発生状態が変化し、特に交流電圧又は全波整流電圧となる入力電圧のゼロクロス近傍でアノード・カソード間の順方向電圧が導通維持電圧以下となるためオフし、このオフ期間に雷サージ電圧が加わるとサイリスタの耐圧オーバが発生して破損する恐れがある。
【0007】
このため、交流入力ラインの相間にサージ吸収素子を接続して相間に加わるサージ電圧を減衰したり、サイリスタのアノード・カソード間にサージ吸収素子を接続してサージ電圧を抑制しているが、サージ吸収部品が大型になり、コストアップや装置の大型化などの問題があった。
【0008】
本発明は、突入電流防止回路に設けたサイリスタの雷サージに対する保護を簡単な回路で確実にできるようにしたスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、交流入力を整流して直流出力する際に、交流電圧と交流電流の位相を一致させるようにインバータをスイッチング制御するアクティブフィルタ回路と、記アクティブフィルタ回路からの直流入力をインバータによるスイッチングで一定電圧の直流出力に変換して負荷に供給するスイッチングレギュレータ回路とを備えたスイッチング電源装置に於いて、アクティブフィルタ回路の入力ラインに設けた電流制限抵抗に並列的に接続されたサイリスタを有し、アクティブフィルタ回路又はスイッチングレギュレータ回路の動作開始で生成される補助電源の出力に基づきサイリスタを導通制御して電流制限抵抗をバイパスする突入電流防止回路と、アクティブフィルタ回路の入力ラインに加わるサージ電圧を検出した際に、サージ電圧を信号源として突入電流防止回路のサイリスタを導通制御するサージ保護回路を設けたことを特徴とする。
【0010】
ここで、サージ保護回路は、サイリスタのアノード端子とゲート端子間に、サージ電圧を整流してゲート端子にトリガ信号を供給するダイオード、所定のツェナー電圧を超えるサージ電圧の印加で導通するツェナーダイオード、及びゲート端子に流れるトリガ電流を制限する抵抗を直列接続したことを特徴とする。
【0011】
本発明のスイッチング電源装置は、突入電流防止回路をアクティブフィルタ回路の入力側に設けた全波整流回路の整流出力ラインに設ける。この場合、突入電流防止回路のサイリスタは一方向サイリスタである。
【0012】
また本発明のスイッチング電源装置は、突入電流防止回路をアクティブフィルタ回路の入力側に設けた全波整流回路の交流入力ラインに設けるようにしても良い。この場合、突入電流防止回路のサイリスタは双方向サイリスタとして機能するトライアックである。
【0013】
突入電流防止回路の補助電源は、アクティブフィルタ回路又はスイッチングレギュレータ回路に設けたインバータ用コイルの補助巻線である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、突入電流防止回路のサイリスタのアノード・ゲート間に、ダイオード、ツェナーダイオード及び抵抗を直列接続し、全波整流電圧又は交流電圧のゼロクロス近傍でサイリスタがオフしている期間に、雷サージなどが入ってサイリスタの耐圧を超えそうになると、サージ電圧を利用してツェナーダイオードを導通させ、サイリスタのゲートにトリガ電流を流し込み、サイリスタを強制的にオンさせることによって、サージによる順方向電圧のブレークオーバを防止し、雷サージ耐量を向上させる。このためサイリスタに対しサージ吸収素子を設けることを不要にし、またサイリスタのトリガ回路としてインバータの補助巻線信号を全波整流するという簡単な回路で実現し、コストダウンとダウンサイジングが達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路図である。図1において、本発明のスイッチング電源装置は、交流入力端子1a,1bに続いて2回路のダイオードブリッジ2a,2bを設けており、ダイオードブリッジ2a,2bのプラス側整流出力ラインを、電流制限抵抗R1を介してアクティブフィルタ回路4に入力接続している。
【0016】
また電流制限抵抗R1に対するバイパス用の並列ラインとして、交流入力端子1a,1bからのラインに、それぞれサイリスタSCR1,SCR2を接続している。サイリスタSCR1,SCR2に対しては、アクティブフィルタ回路4に設けている昇圧チョークコイルCH1の補助巻線L1の発生電圧をダイオードD5で整流し、これをトリガ信号としてゲート端子に加えている。
【0017】
この電流制限抵抗R1、サイリスタSCR1,SCR2、補助巻線L1、ダイオードD5によって、突入電流防止回路3が構成されている。また交流入力端子1a,1b間にはサージ吸収素子SK1が接続され、相間に加わるサージ電圧を減衰している。サージ吸収素子SK1としては、ギャップ式放電素子、シリコンPN接合素子、酸化亜鉛バリスタ、モリブデン素子など、適宜のサージ吸収素子が使用できる。
【0018】
突入電流防止回路3に続いて設けられたアクティブフィルタ回路4は、昇圧チョークコイルCH1、ダイオードD1,D2、コンデンサC1、制御回路6及びスイッチング素子としてのトランジスタ7を備え、昇圧インバータを構成している。制御回路6はトランジスタ7をスイッチング制御し、ダイオードブリッジ2a,2b及びサイリスタSCR1,SCR2より入力される全波整流電圧の電圧波形に対し、トランジスタ7のスイッチングにより高周波のスイッチング電流を流し、スイッチング電流の平均電流による交流電流の位相が全波整流の交流電圧の位相と一致するように制御することで、力率を1に制御し、電磁波妨害を抑えている。
【0019】
昇圧チョークコイルCH1は、トランジスタ7のスイッチングによる電力エネルギーの変換出力でダイオードD1を介してコンデンサC1に昇圧した電圧をチャージする。例えば入力電圧が100ボルトであれば、コンデンサC1の電圧は例えば140ボルトとなる。
【0020】
ダイオードD2は、交流電源を投入した際の起動時におけるコンデンサC1のチャージを行う。アクティブフィルタ回路4のインバータが起動するとコンデンサC1の電圧が入力電圧を超えることで、ダイオードD2は逆バイアスを受けてオフする。
【0021】
アクティブフィルタ回路4に続いて設けたスイッチングレギュレータ回路5は、1次巻線8aと2次巻線8bを備えたインバータトランス8、スイッチング素子としてのFET9、制御回路10、整流回路を構成するダイオードD3,D4、チョークコイルCH2及び平滑用のコンデンサC2で構成される。制御回路10は、負荷に対する出力端子11a,11bの出力電圧を一定電圧に保つように、FET9をスイッチング制御している。
【0022】
なお、ダイオードブリッジ2a,2b及びサイリスタSCR1,SCR2を2回路設けることで、スイッチング電源装置の効率を高めている。
【0023】
このような突入電流防止回路3、アクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5で構成されるスイッチング電源装置について、本発明にあっては更に、突入電流防止回路3に設けているサイリスタSCR1,SCR2に対しサージ保護回路12a,12bを設けている。
【0024】
サージ保護回路12aを例にとると、突入電流防止回路3に設けているサイリスタSCR1のアノード・ゲート間に、ダイオードD7、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R2を直列接続している。この点はサージ保護回路12bについても同様であり、サイリスタSCR2のアノード・ゲート間にダイオードD8、ツェナーダイオードZD2及び抵抗R3を直列接続している。
【0025】
サージ保護回路12a,12bのツェナーダイオードZD1,ZD2は、交流入力端子1a,1bに加わる雷サージ13によるサージ電圧が所定のツェナー電圧を超えたときに導通し、サージ電圧を信号源としてサイリスタSCR1,SCR2のゲート端子にトリガ電流を流し、強制的にサイリスタSCR1,SCR2を導通状態とする。
【0026】
ダイオードD7,D8は、ツェナーダイオードZD1,ZD2の導通により供給するトリガ電流を整流する。抵抗R2,R3は、サイリスタSCR1,SCR2のゲート端子に流すトリガ電流を制限している。
【0027】
次に図1の実施形態の動作を説明する。交流入力端子1a,1bに交流電源をスイッチ操作などにより入力すると、ダイオードブリッジ2a,2bの整流出力が電流制限抵抗R1を介してアクティブフィルタ回路4に供給され、まずダイオードD2を通してコンデンサC1を充電し、更に制御回路6がスイッチング動作を開始する。
【0028】
同様にスイッチングレギュレータ回路5にあっても、コンデンサC1の充電に伴う電源供給を受けて制御回路10が動作し、FET9のスイッチング制御によるインバータ動作を開始する。
【0029】
このアクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5の電源投入直後となる起動時の過渡状態にあっては、ダイオードブリッジ2a,2bの整流出力ラインより過大な突入電流が流れようとするが、この入力ラインには電流制限抵抗R1が設けられているため、起動に伴う突入電流が制限される。
【0030】
電源投入直後において、アクティブフィルタ回路4のインバータは停止しているため、サイリスタSCR1,SCR2に対しトリガ信号は供給されず、サイリスタSCR1,SCR2はオフ状態となっている。
【0031】
アクティブフィルタ回路4の制御回路6によるトランジスタ7のスイッチング制御でインバータ動作が開始されると、トランジスタ7のスイッチングに伴い昇圧チョークコイルCH1に流れるスイッチング電流に応じて補助巻線L1に電圧が誘起される。
【0032】
この補助巻線L1の誘起電圧をダイオードD5で整流することで、サイリスタSCR1,SCR2のゲートにトランジスタ7のスイッチングに同期したパルス的なトリガ信号が供給され、インバータの起動が完了した段階でサイリスタSCR1,SCR2がトリガ信号によりオンされ、オンしたサイリスタSCR1,SCR2が電流制限抵抗R1をバイパスする全波整流回路を形成する。
【0033】
ここでサイリスタSCR1,SCR2のアノード・カソード間には交流電圧が加わっており、交流電圧が順方向に加わるプラス電圧の半サイクル期間については、トリガ信号によるオン状態を維持するが、交流電圧が逆方向に加わるマイナス電圧の半サイクル期間につては、トリガ信号に関わらずオフ状態となっている。
【0034】
一方、スイッチング電源装置の動作中に雷サージ13による過大なサージ電圧が加わったとすると、サージ保護回路12aに設けているツェナーダイオードZD1,ZD2が導通し、サージ電圧を信号源として、ダイオードD7,D8、ツェナーダイオードZD1,ZD2、抵抗R2,R3のそれぞれの直列回路を通って、サイリスタSCR1,SCR2のゲートにトリガ電流が流れ、もしサイリスタSCR1,SCR2がオフ期間あったとしても、強制的にオン状態となり、サージ電圧に伴う電流がオン状態のサイリスタSCR1,SCR2からアクティブフィルタ回路4に設けているダイオードD2を通って大容量のコンデンサC1に流れることで、サージを吸収する。
【0035】
このため、突入電流防止回路3のサイリスタSCR1,SCR2に従来のように並列的にそれぞれサージ吸収素子を接続してサージ保護を図る必要がなく、ダイオードD7,D8、ツェナーダイオードZD1,ZD2及び抵抗R2,R3といった簡単な直列回路を設けるだけで、雷サージに対しサイリスタSCR1,SCR2の順方向耐圧のブレークオーバーを防止して、確実に保護することができる。
【0036】
図2は本発明のスイッチング電源装置の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、突入電流防止回路3に設けているサイリスタSCR1,SCR2のゲート回路としてスイッチングレギュレータ回路5のインバータトランス8に補助巻線8cを設け、この補助巻線8cの発生電圧をダイオードD5で整流して、トリガ信号としてサイリスタSCR1,SCR2を駆動制御するようにしたことを特徴とする。
【0037】
サイリスタSCR1、SCR2に対して設けたサージ保護回路12a,12b、アクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5の構成及び動作は、図1の実施形態と同じである。
【0038】
図3は本発明によるスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路図であり、この実施形態にあっては、交流入力段のダイオードブリッジの整流出力ラインに突入電流防止回路を設けるようにしたことを特徴とする。
【0039】
図3において、交流入力端子1a,1bに続いて1回路のダイオードブリッジ2が設けられ、ダイオードブリッジ2のプラス側の整流出力ラインに電流制限抵抗R1を設け、電流制限抵抗R1を介して、整流出力をアクティブフィルタ回路4に入力している。
【0040】
電流制限抵抗R1に対しては並列にサイリスタSCR1が接続される。サイリスタSCR1のゲート回路は、アクティブフィルタ回路4に設けている昇圧チョークコイルCH1の補助巻線L1と整流用のダイオードD5で構成されている。
【0041】
ここで突入電流防止回路3は、電流制限抵抗R1、サイリスタSCR1、補助巻線L1、ダイオードD5で構成される。アクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5は、図1の実施形態と同じである。
【0042】
突入電流防止回路3に設けたサイリスタSCR1に対しては、サージ保護回路12が設けられる。サージ保護回路12は、サイリスタSCR1のアノード・ゲート間に、ダイオードD7、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R2を直列接続している。
【0043】
図3の実施形態における動作は、交流入力端子1a,1bに交流電源をスイッチオンなどにより供給すると、このときサイリスタSCR1はオフであることから、ダイオードブリッジ2の整流出力は電流制限抵抗R1を介してアクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5に供給される。このため起動時に流れる突入電流を電流制限抵抗R1により抑制することができる。
【0044】
アクティブフィルタ回路4は、起動時はダイオードD3を介してコンデンサC1を充電し、この状態で制御回路6が動作して、トランジスタ7のスイッチングによりインバータ動作を開始する。またスイッチングレギュレータ回路5にあっては、制御回路10がFET9のスイッチング制御で出力電圧を一定電圧とするインバータ動作を開始する。
【0045】
電源投入直後の過渡状態を過ぎてアクティブフィルタ回路4が動作状態になると、トランジスタ7による昇圧チョークコイルCH1のスイッチングで補助巻線L1に電圧が発生し、ダイオードD5の整流によるトリガ信号がサイリスタSCR1のゲートに加わり、サイリスタSCR1のオン制御が行われ、電流制限抵抗R1をバイパスした入力ラインが形成される。
【0046】
動作中に雷サージ13によるサージ電圧が加わると、サージ保護回路12のツェナーダイオードZD1が導通し、ダイオードD7、ツェナーダイオードZD1、抵抗R2を介して、サイリスタSCR1のゲートにトリガ電流が流れ、サイリスタSCR1が強制的にオン状態となって、サイリスタSCR1のオフ状態で加わる順方向電圧のブレークオーバーを阻止し、サージ電流を強制的に導通状態としたサイリスタSCR1からダイオードD3を介してコンデンサC1に流すことで、サージ吸収を図る。
【0047】
なお、図3の実施形態は、ダイオードブリッジ2とサイリスタSCR1を1回路設けるだけであることから、これらを2回路設けた図1,図2の実施形態に比べるとスイッチング電源装置の効率は低めになる。
【0048】
図4は本発明のスイッチング電源装置の他の実施形態の回路図であり、この実施形態にあっては、図3の突入電流防止回路3に設けたサイリスタSCR1に対するトリガ回路として、チョークコイルCH1の補助巻線L1の代わりにスイッチングレギュレータ回路5に設けているインバータトランス8の補助巻線8cを使用するようにしたことを特徴とする。それ以外の構成及び動作は図3の実施形態と同じである。
【0049】
図5は本発明によるスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路図であり、この実施形態にあっては入力側のダイオードブリッジに対する交流入力ラインに突入電流防止回路及びサージ保護回路を設けるようにしたことを特徴とする。
【0050】
図5において、交流入力端子1a,1bのダイオードブリッジ2に対する入力ラインの一方には電流制限抵抗R1が設けられ、電流制限抵抗R1と並列に双方向サイリスタとして機能するトライアックTR1を接続している。
【0051】
トライアックTR1のゲートに対するトリガ回路としては、アクティブフィルタ回路4に設けている昇圧チョークコイルCH1の補助巻線L1の発生電圧をダイオードD5で整流してトリガ信号を供給している。
【0052】
またトライアックTR1に対してはサージ保護回路12が設けられ、サージ保護回路12はトライアックTR1のカソードとゲート間に、ダイオードD7、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R2を直接に接続している。
【0053】
ダイオードブリッジ2の整流出力は、アクティブフィルタ回路4及びこれに続くスイッチングレギュレータ回路5に供給されている。アクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5の構成及び動作は図1の実施形態と同じである。
【0054】
図5の実施形態における動作は、交流入力端子1a,1bにスイッチ操作などによる交流電源を供給すると、ダイオードブリッジ2に対する交流入力は電流制限抵抗R1を介して流れることで、アクティブフィルタ回路4及びスイッチングレギュレータ回路5に対するダイオードブリッジ2からの整流出力に伴う交流入力としての突入電流が、電流制限抵抗R1による交流電流の制限によって抑制される。
【0055】
アクティブフィルタ回路4のインバータ動作が開始されると、チョークコイルCH1の補助巻線L1に電圧が発生し、ダイオードD5の整流出力によるトリガ信号を受けてトライアックTR1がオン制御され、電流制限抵抗R1をバイパスしてダイオードブリッジ2に交流入力を供給し、電流制限が解除される。
【0056】
またスイッチング電源装置の動作中に雷サージ13によりサージ電圧が加わると、サージ保護回路12のツェナーダイオードZD1が導通し、ダイオードD7、ツェナーダイオードZD1、抵抗R2を通って、サージを信号源とするトリガ電流がトライアックTR1のゲートに流れ、トライアックTR1が強制的にオンされることで、トライアックTR1のオフ状態で加わるサージ電圧による耐圧ブレークオーバーを抑え、トライアックTR1の強制オンによりサージ電流を流して吸収する。
【0057】
図6は本発明の他の実施形態を示した回路図であり、この実施形態は、突入電流防止回路3のトリガ回路に、スイッチングレギュレータ回路5に設けているインバータトランス8の補助巻線8cを用いたことを特徴とし、それ以外の構成及び動作は図5の実施形態と同じになる。
【0058】
なお本発明は、突入電流防止回路を備えたスイッチング電源装置であれば、適宜のスイッチング電源装置で良く、サージ電圧を受けた際に導通して強制的に突入電流防止回路のサイリスタをオンするサージ保護回路を設ければ良い。
【0059】
また上記の実施形態は、アクティブフィルタ回路とスイッチングレギュレータ回路を備えたスイッチング電源装置を例にとるものであったが、アクティブフィルタ回路を持たないスイッチングレギュレータ回路のみの装置についても、そのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】突入電流防止回路を2回路備えた本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路図
【図2】突入電流防止回路を2回路備えた本発明によるスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路図
【図3】突入電流防止回路を1回路備えた本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路図
【図4】突入電流防止回路を1回路備えた本発明によるスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路図
【図5】交流入力ラインに突入電流防止回路を備えた本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路図
【図6】交流入力ラインに突入電流防止回路を備えた本発明によるスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路図
【符号の説明】
【0061】
1a,1b:交流入力端子
2,2a,2b:ダイオードブリッジ
3:突入電流防止回路
4:アクティブフィルタ回路
5:スイッチングレギュレータ回路
6,10:制御回路
7:トランジスタ
8:インバータトランス
9:FET
11a,11b:出力端子
12,12a,12b:サージ保護回路
13:雷サージ
SCR1,SCR2:サイリスタ
TR1:トライアック
R1:電流制限抵抗
ZD1,ZD2:ツェナーダイオード
CH1:昇圧チョークコイル
L1,8c:補助巻線
SK1:サージ吸収素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力を整流して直流出力する際に、交流電圧と交流電流の位相を一致させるようにインバータをスイッチング制御するアクティブフィルタ回路と、
前記アクティブフィルタ回路からの直流入力をインバータによるスイッチングで一定電圧の直流出力に変換して負荷に供給するスイッチングレギュレータ回路と、
を備えたスイッチング電源装置に於いて、
前記アクティブフィルタ回路の入力ラインに設けた電流制限抵抗に並列的に接続されたサイリスタを有し、前記アクティブフィルタ回路又はスイッチングレギュレータ回路の動作開始で生成される補助電源の出力に基づき前記サイリスタを導通制御して前記電流制限抵抗をバイパスする突入電流防止回路と、
前記アクティブフィルタ回路の入力ラインに加わるサージ電圧を検出した際に、サージ電圧を信号源として前記突入電流防止回路のサイリスタを導通制御するサージ保護回路を設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記サージ保護回路は、前記サイリスタのアノード端子とゲート端子間に、サージ電圧を整流してゲート端子にトリガ信号を供給するダイオード、所定のツェナー電圧を超えるサージ電圧の印加で導通するツェナーダイオード、及び前記ゲート端子に流れるトリガ電流を制限する抵抗を直列接続したことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項3】
請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記突入電流防止回路を前記アクティブフィルタ回路の入力側に設けた全波整流回路の整流出力ラインに設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項4】
請求項3記載のスイッチング電源装置に於いて、前記突入電流防止回路のサイリスタは一方向サイリスタであることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項5】
請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記突入電流防止回路を前記アクティブフィルタ回路の入力側に設けた全波整流回路の交流入力ラインに設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項5記載のスイッチング電源装置に於いて、前記突入電流防止回路のサイリスタは双方向サイリスタとして機能するトライアックであることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項7】
請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記突入電流防止回路の補助電源は、前記アクティブフィルタ回路又はスイッチングレギュレータ回路に設けたインバータ用コイルの補助巻線であることを特徴とするスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−121808(P2006−121808A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306358(P2004−306358)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】