説明

スイッチ装置

【課題】部品数を減らし、構造を簡単にするとともにコストダウンを図る。
【解決手段】配線基板1上に2つのメタルドームスイッチ2,3を配設し、これらメタルドームスイッチ2,3を動作させるスイッチボタン4をメタルドームスイッチ2,3上に配置し、このスイッチボタン4にそれぞれのメタルドームスイッチ2,3を押し下げるように作用する2つの押下部6,7を高さを違えて配置し、下方の押下部6をスイッチボタン4に形成された可撓プレート8に配置し、前記スイッチボタン4の回動軸9を中心として2つの押下部6,7を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部6,7が2つのメタルドームスイッチ2,3を作動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルドームスイッチを利用した2段動作のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の2段動作のスイッチ装置としては、操作部材と、この操作部材によって操作される回転型電気部品と、前記操作部材によって操作される2段式押圧スイッチ部とを備え、前記回転型電気部品と前記2段式押圧スイッチ部とが前記回転型電気部品の回転軸線方向に積層配置されたものが知られている(特許文献1参照)。このスイッチ装置は、横方向の小型化を図り、生産性を高め、2段式押圧スイッチ部の接触の安定を図り、デジタルカメラ等に使用して好適なものである。
【特許文献1】特開2002−343192号公報(第5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のものでは、押圧力の異なるメタルドームスイッチを使用し、折り曲げたフレキシブル絶縁基板を保持するために、別個支持材を必要とするなど、構造が複雑で、部品数も多く、コストアップになっていた。
【0004】
そこで、本発明は、部品数が少なく、構造が簡単で、コストダウンを図ったスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、下方の押下部をスイッチボタンに形成された可撓プレートに配置し、前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるように構成した。また、配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、下方の押下部で押し下げられるメタルドームスイッチが配設された前記配線基板にメタルドームスイッチをコ字状に取り囲むように切り込みを形成し、前記切り込みのあるメタルドームスイッチを一定以上押し下げたときに配線基板の下方に撓むように構成し、前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるように構成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、下方の押下部をスイッチボタンに形成された可撓プレートに配置し、前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるようにしたので、部品数も少なく、構造も簡単でコストダウンを図ることができる。また、スイッチ動作も可撓プレートに配置された押下部で一方のメタルドームスイッチをオンさせた後に、さらに他方の押下部を下降させることにより他方のメタルドームスイッチをオンさせることができ、このとき一方の押下部が配置された可撓プレートは撓んで他方の押下部の下降を可能にする。また、スイッチボタンを押し下げる力を解除すると、メタルドームスイッチ自身と可撓プレートの反発力によりスイッチボタンは元の位置に復帰する。
【0007】
さらに、配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、下方の押下部で押し下げられるメタルドームスイッチが配設された前記配線基板にメタルドームスイッチをコ字状に取り囲むように切り込みを形成し、前記切り込みのあるメタルドームスイッチを一定以上押し下げたときに配線基板の下方に撓むように構成し、前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるように構成したものにあっては、上記発明のような可撓プレートを使用しなくとも配線基板に切り込みを入れるだけで上記発明と同様の効果を奏する。また、切り込みを入れるだけであるため、製作コストも安くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面を参照にして説明する。
【0009】
図1において、配線基板1に2つのメタルドームスイッチ2,3を配設してあり、これらのメタルドームスイッチ2,3の上方にスイッチボタン4を配置してある。前記配線基板1としてフレキシブルプリント基板(FPC)を用いたので、その下面に硬質な支持部材5を設けた。前記スイッチボタン4の下面には、2つのメタルドームスイッチ2,3を動作させるための押下部(押下ボタン)6,7を配置してあり、それぞれの押下部6,7の高さを違えてある。低い位置に配置された押下部6は、スイッチボタン4に形成された可撓プレート8に設けてあり、この可撓プレート8の先端が図1において上方に撓むようになっている。
【0010】
図2は、スイッチボタン4の図1の右側面図であり、薄板状で基部を支点に先端が上下に撓むように可撓プレート8を形成してあり、この可撓プレート8よりも上に他方の押下部7をスイッチボタン4の傾斜した下面に配置してある。また、これらの押下部6,7の位置とほぼ対角線上に回動軸9を取り付け、この回動軸9を回動中心として押下部6,7側を下降するように回動させ、最初に押下部6がメタルドームスイッチ2に動作し、すなわちスイッチ2を作動(オン)させ、さらにスイッチボタン4の先端側を下降するように回動させると、可撓プレート8が撓むとともに、押下部7がメタルドームスイッチ3に動作する(スイッチ3を作動(オン)させる)。すなわち、2段動作を行う。両方のメタルドームスイッチ2,3がオンした後に、スイッチボタン4の先端側の押し下げ力を解除してやると、可撓プレート8の反発力及びメタルドームスイッチ2,3自身の反発力により元の位置に復帰する。
【0011】
図3は、図1の左側面図であり、FPC1に配設した2つのメタルドームスイッチ2,3と2つの押下部6,7との位置関係を示す。図4は、FPC1上のメタルドームスイッチ2,3とスイッチボタン4との関係を示す平面図である。
【0012】
図5ないし図7は、動作を説明する側面図であり、図5の状態においてスイッチボタン4の回動軸9とは反対側の先端部を下降させるように押すと、図6に示すように可撓プレート8に設けた押下部6がメタルドームスイッチ2に動作する。このとき、他方の押下部7は他方のメタルドームスイッチ3には動作していない。さらに、スイッチボタン4の先端部を下に押すと可撓プレート8が撓み、他方の押下部7が他方のメタルドームスイッチ3に動作する(図7参照)。図6の状態で第1段の動作、図7の状態で第2段の動作となり、2段式のスイッチ動作となる。使用態様としては、図6の状態のようにメタルドームスイッチ2のみがオンした状態で使用することもありえる。
【0013】
図8及び図9は、スイッチボタン4の中央に回動軸9を設け、スイッチボタン4の下面の左右にそれぞれ一対の押下部6,7及び6A,7Aを形成し、FPC1にもこれら押下部6,7及び6A,7Aに対応するメタルドームスイッチ2,3及び2A,3Aを配設したものであり、スイッチボタン4は回動軸9を回動中心としてシーソーのように左右に回動する。下方に位置する押下部6,6Aは、それぞれ可撓プレート8,8Aに設けてあり、上方に位置する押下部7,7Aは、スイッチボタン4の傾斜する下面の両端側に設けてある。
【0014】
図10は、可撓プレート8の先端側と押下部7の付近のスイッチボタン4の開口側との間に金属製のスプリング10を設け、耐久性を図った例を示す。
【0015】
図11ないし図14は、別の実施形態を示し、配線基板1に2つのメタルドームスイッチ2,3を配設してあり、これらのメタルドームスイッチ2,3の上方にスイッチボタン4を配置してある。前記配線基板1として可撓性を有し、撓んだ後に元の位置に復帰するような基板を用いた。前記スイッチボタン4の下面には、2つのメタルドームスイッチ2,3を動作させるための押下部(押下ボタン)6,7を配置してあり、それぞれの押下部6,7の高さを違えてある。低い位置に配置された押下部6により押されるメタルドームスイッチ2の周囲にコ字状の切り込み11を形成してある。
【0016】
前記押下部6,7の位置とほぼ対角線上に位置するように回動軸9を取り付け、この回動軸9を回動中心として押下部6,7側を下降するように回動させ、最初に押下部6がメタルドームスイッチ2を作動させ、さらにスイッチボタン4の先端側を下降するように回動させると、切り込み11で取り囲まれた配線基板1の部分が下方に撓むとともに、押下部7がメタルドームスイッチ3を作動させる。すなわち、2段動作を行う。両方のメタルドームスイッチ2,3がオンした後に、スイッチボタン4の先端側の押し下げ力を解除してやると、配線基板1の反発力及びメタルドームスイッチ2,3自身の反発力により元の位置に復帰する。
【0017】
図12及び図13は、図11の右側面図と左側面図であり、配線基板1に配設した2つのメタルドームスイッチ2,3と2つの押下部6,7との位置関係を示す。図14は、配線基板1上のメタルドームスイッチ2,3とスイッチボタン4との関係を示すとともに、切り込み11を示す平面図である。
【0018】
図15ないし図17は、動作を説明する側面図であり、図15の状態においてスイッチボタン4の回動軸9とは反対側の先端部を下降させるように押すと、図16に示すように可撓プレート8に設けた押下部6がメタルドームスイッチ2を作動させる。このとき、他方の押下部7は他方のメタルドームスイッチ3には動作していない。さらに、スイッチボタン4の先端部を下に押すと切り込み11で囲まれた部分が撓み、他方の押下部7が他方のメタルドームスイッチ3を作動させる(図17参照)。図16の状態で第1段の動作、図17の状態で第2段の動作となり、2段式のスイッチ動作となる。使用態様としては、図6の状態のようにメタルドームスイッチ2のみがオンした状態で使用することもありえる。
【0019】
図18及び図19は、スイッチボタン4の中央に回動軸9を設け、スイッチボタン4の下面の左右にそれぞれ一対の押下部6,7及び6A,7Aを形成し、配線基板1にもこれら押下部6,7及び6A,7Aに対応するメタルドームスイッチ2,3及び2A,3Aを配設したものであり、スイッチボタン4は回動軸9を回動中心としてシーソーのように左右に回動する。下方に位置する押下部6,6Aは、それぞれ切り込み11のあるスイッチ3,3Aを作動させるものである。上方に位置する押下部7,7Aは、スイッチボタン4の傾斜する下面の両端側に設けてある。
【0020】
図11以下の実施形態でも、図10と同じように、可撓プレート8の先端側と押下部7の付近のスイッチボタン4の開口側との間に金属製のスプリング10を設け、耐久性を図ることができる。
【0021】
また、この図11以下の実施形態において、切り込み11で囲まれた部分が下方に撓んでスイッチ3,3Aが作動させられた位置に、硬質な支持部材5を設けることができる。
【0022】
上述したいずれの実施形態でもメタルドームスイッチ2,3は、図20に示すように、固定用シート20で覆われている。
【0023】
上述したスイッチ装置は、自動車のパワーウィンドーの上下操作用のスイッチとかカメラのシャッターボタン等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】正面図。
【図2】スイッチボタンの右側面図。
【図3】スイッチボタンの左側面図。
【図4】平面図。
【図5】非動作時の側面図。
【図6】第1段の動作を説明する側面図。
【図7】第2段の動作を説明する側面図。
【図8】他の実施形態を示す配線基板の平面図。
【図9】図8の配線基板を用いたスイッチ装置の正面図。
【図10】スイッチボタンの他の例を示す側面図。
【図11】別の実施形態を示す正面図。
【図12】スイッチボタンの右側面図。
【図13】スイッチボタンの左側面図。
【図14】配線基板の平面図。
【図15】非動作時の側面図。
【図16】第1段の動作を説明する側面図。
【図17】第2段の動作を説明する側面図。
【図18】さらに別の実施形態を示す正面図。
【図19】配線基板の平面図。
【図20】メタルドームスイッチを固定するための固定用シートを示す正面図。
【符号の説明】
【0025】
1 配線基板(FPC)
2,3 メタルドームスイッチ
4 スイッチボタン
6,7 押下部
8 可撓プレート
9 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、
これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、
このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、
下方の押下部をスイッチボタンに形成された可撓プレートに配置し、
前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるように構成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
配線基板上に2つのメタルドームスイッチを配設し、
これらメタルドームスイッチを動作させるスイッチボタンをメタルドームスイッチ上に配置し、
このスイッチボタンにそれぞれのメタルドームスイッチを押し下げるように作用する2つの押下部を高さを違えて配置し、
下方の押下部で押し下げられるメタルドームスイッチが配設された前記配線基板にメタルドームスイッチをコ字状に取り囲むように切り込みを形成し、
前記切り込みのあるメタルドームスイッチを一定以上押し下げたときに配線基板の下方に撓むように構成し、
前記スイッチボタンの回動軸を中心として2つの押下部を下降させるように回動させて時間差をもって2つの押下部が2つのメタルドームスイッチを作動させるように構成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
2つのメタルドームスイッチをオンさせる押圧力は同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
スイッチボタンの中央に回動軸を設け、この回動軸の両側にそれぞれ2つずつの押下部を設け、これら押下部に対応する数のメタルドームスイッチを配線基板に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−329113(P2007−329113A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229290(P2006−229290)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】