説明

スキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維、その製造方法、および前記炭素ナノ繊維を含む製品

【課題】
本発明は、炭素ナノ繊維に係り、より具体的には、ピッチとポリアクリロニトリル(PAN)とを含むスキン−コア(skin−core)構造を有する炭素ナノ繊維、その製造方法、および炭素ナノ繊維を含む製品に関する。
【解決手段】本発明の炭素ナノ繊維は、1μm以下の直径および互いに異なる特性を有するPANとピッチがスキン層および/またはコア層を成して構成されているため、その成分構成が変わることにより炭素ナノ繊維の機能も多様になるという優れた効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素ナノ繊維に係り、より具体的には、ピッチとポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)を含むスキン−コア(skin−core)構造を有する炭素ナノ繊維、その製造方法、および炭素ナノ繊維を含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、前駆体によって、例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチ(pitch)、レーヨンなどが挙げられる。ところが、産業化的目的で、主にPANおよびピッチに対する研究への関心が高まっている実情である。
すなわち、電気紡糸を用いて炭素繊維を製造することが可能な素材は、まず、溶解性に優れて繊維が成形できる程度の粘度を保たなければならず、高温で熱処理したときに分解されるよりは芳香族を生成しながら炭化する特性を示さなければならない。
このような特性を示すものには、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリイミド(polyimid)、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole、PBI)、ピッチなどがある。現在商用化した炭素繊維の90%以上はPAN系炭素繊維である。
PANはアクリロニトリル(acrylonitrile)と微量のアクリル酸メチル(methyacrylate)などの単量体との共重合によって合成される。合成の際に、分子量の調節は最終炭素繊維の物性を決定する核心的要因である。PANは、電気紡糸時の紡糸特性に優れるうえ、200nm程度の小さい繊維径を有する繊維が容易に製造されるが、炭化収率が低く、難黒鉛化物質であって熱処理後の低い結晶化度により電気伝導性が低いものと知られている。
米国特許第4,323,525号および日本国特表平3−161502号などでは、電気紡糸方法で小直径の繊維を製造する方法を開示している。韓国公開特許第2002−0008227号では、電気紡糸法によるPAN系炭素ナノ繊維の製造について開示している。ここでは、PAN溶液を電気紡糸して安定化、炭化、活性化を介して炭素ナノ繊維および活性炭素繊維を製造しているが、PAN前駆体が高価であり、PAN系炭素繊維の低い非表面積および電気伝導度により電気二重層スーパーキャパシタ用電極の性能発現には限界がある。
ピッチ系炭素繊維の製作は、前駆体であるピッチの性状によって決定される。無定形の等方性ピッチから汎用に使用される炭素繊維を得ることができ、異方性ピッチを用いて高強度炭素繊維を製造することができる。ピッチは石油および石炭残渣油物質であって、主に芳香族構造で構成されており、オリゴマー程度の分子量を持っているため、無張力状態で熱処理しても強度が維持され、高分子としてのPANに比べて炭素化、活性化または黒鉛化工程後の収率が高く、電気熱伝導性に優れる。
ところが、ピッチは、分子量が小さく、平面の分子構造をしており、溶液内で凝集する現象があって紡糸性が良くないため、一般に溶融紡糸(melt−spinning)または溶融噴射紡糸(melt−blown spinning)方法によって繊維が製造され、繊維直径が非常に大きいという欠点がある。
一方、電気紡糸法によるピッチ系炭素ナノ繊維を製造した特許としては、韓国公開特許第10−2003−0002759号で提案している。フリーカーソルピッチを溶媒に溶解して電気紡糸し、これを酸化安定化、炭素化および活性化してナノ炭素繊維ウェブとナノ活性炭素繊維ウェブを製造したが、低い紡糸性により繊維の直径が非常に大きいという欠点がある。
最近、電気二重層キャパシタと燃料電池を複合し、高出力および高容量特性が要求される電気自動車の電力供給装置として開発するために、ナノ炭素材料を電気二重層キャパシタまたは燃料電池の電極として用いて性能を向上させるための研究が集中している。
電気紡糸による炭素ナノ繊維の製造とその電気二重層キャパシタ用電極の製造に関する特許としては、韓国公開特許第10−2002−0000163号で提案している。このように電気二重層キャパシタは、高エネルギー密度および高動力密度特性を発現する電極の開発に研究が集中しているが、2つの特性を同時に発現させる技術は満足していない。
一方、韓国特許出願番号10−2006−0048153号は、PAN原料の低い比表面積および炭化収率を改善するとともに原料ピッチの低い紡糸性を同時に解決するために、PAN/ピッチ溶液の混合物を用いて炭素ナノ繊維を製造する炭素ナノ繊維の製造方法を開示しているが、前記特許では、PANとピッチの長所を利用する二成分系炭素繊維の製造方法のみを開示しており、前記炭素繊維を用いて電気二重層キャパシタの電極を製造したときに得られる改善効果についての言及はない。また、前記特許によって製造された炭素繊維は、PANとピッチが複合的に混ぜられているため、動力密度の特性は改善されるものと予想されるが、高エネルギー密度は得られないという問題点が依然として残る。ひいては、表面に設けられる気細孔の大きさまたは深さを十分なレベルに制御することができないという問題点がある。
しかも、高エネルギー密度と高動力密度の特性を同時に発現させるために、イオンを吸着する気細孔のサイズを調節するための研究が行われたが、炭素材料に目的サイズの気細孔を形成させるのは、酸化反応に起因することなので、成功が難しかった。テンプレートを用いる方法は低価の量産に難しさがあって実用化されていない実情である。
また、燃料電池の商用化のために最も大きい問題点は、触媒の価格が高く、電極の耐久性が足りないことである。これは電極反応が続きながら熱発生などの原因となって初期触媒が分散状態を保たず互いに凝集するためである。
このような状態になると、電圧が降下し且つ電力の生産が中断する。かかる欠点を補完するためには、触媒で生産された電子を低い抵抗で回路に沿って移動させ得るように支持体が優れた電気伝導性を示さなければならないうえ、分散した触媒の凝集を防止するように触媒を堅固に支持するために結晶性に優れた表面を持つようにすべきである。
車両用燃料電池を商用化するためには低い圧力で高密度で水素を貯蔵することが必須的であり、この高密度水素貯蔵のためには0.7nm以下の超極細気細孔(ultra−micropore)から生成された比表面積が大きいほど単位重量当たりの水素貯蔵量が大きいという研究結果が報告されている。よって、炭素繊維内に超極細気細孔を生成させる製造方法が水素貯蔵密度を向上させるための方法となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,323,525号
【特許文献2】日本国特表平3−161502号
【特許文献3】韓国公開特許第2002−0008227号で
【特許文献4】韓国公開特許第10−2003−0002759号
【特許文献5】韓国公開特許第10−2002−0000163号
【特許文献6】韓国特許出願第10−2006−0048153号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、PANと特定種類の分別されたピッチ溶液とを混合して電気紡糸して炭素ナノ繊維を製造する場合、分子量の非常に大きいピッチを使用すると、1つの相に混ぜられない分離相を示し、特にピッチを溶解させる溶媒として、低い沸騰点および表面張力により容易に揮発する溶媒を使用すると、ナノ繊維の表面において低い気細孔を形成させることができることに着目して、従来の技術で指摘されたPANとピッチの欠点を解決し、電気二重層キャパシタの高出力と高容量の性能を同時に発現させることができるうえ、燃料電池の支持体としての使用に適した物質的特性を有する炭素ナノ繊維を開発し、本発明を完成するに至った。
【0005】
そこで、本発明の目的は、用途に応じて互いに異なる物性を有するが、すなわちスーパーキャパシタ電極としての用途を持たせるときは、その気細孔の深さが浅く、電気伝導性に優れるうえ、圧着にもよく耐える優れた機械的物性を持つようにし、水素貯蔵材料としての用途を持たせるときは、0.7nm以下の超極細気細孔から、比表面積の大きいものが密度状態で多量の水素を貯蔵することができるようにする、炭素ナノ繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、簡単で低価の量産が可能でありながらも紡糸性が向上し、繊維直径も1/10程度に減少させることが可能なピッチ含有炭素ナノ繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、互いに異なる特性を持っているPANとピッチがスキン層および/またはコア層を成すように構成されているため、その配置が変わることによりその機能も多様になる炭素ナノ繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、相分離が起こるピッチとPANを、互いに異なる沸騰点の溶媒に溶解させ、互いに異なる沸騰点を持っている混合溶媒が気化して繊維の外に出ながら気細孔を形成することにより、活性化過程を経ることなく高い比表面積を持つことが可能な炭素ナノ繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、炭素ナノ繊維に生ずる気細孔のサイズおよび分布を製造条件、例えば紡糸温度、PANまたはピッチの濃度、紡糸チャンバー内部の相対溶媒濃度、相対湿度、昇温速度、またはピッチ溶解溶媒(THF)の種類または濃度変化などによって調節することができる、炭素ナノ繊維の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、電気二重層スーパーキャパシタ電極材料、水素貯蔵材料、燃料電池の触媒支持体、燃料電池の気体拡散層、海水を淡水化するために用いられるCDI(capacitive deionization)電極、軽水炉冷却水の超高純度化フィルター、および高伝導性材料として使用できるように、高いエネルギー密度を有すると同時に高い動力密度を有する、炭素ナノ繊維およびその炭素ナノ繊維を含む製品を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及していない別の目的は以下の記載から当業者が明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して製造される炭素ナノ繊維において、ピッチからなるコアと、前記コアを取り囲むポリアクリロニトリル(PAN)単独重合体または共重合体からなるスキンとを含んでなる、炭素ナノ繊維を提供する。
また、本発明は、PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して製造される炭素ナノ繊維において、ポリアクリロニトリル単独重合体または共重合体からなるコアと、前記コアを取り囲むピッチからなるスキンとを含んでなる、炭素ナノ繊維を提供する。
好適な実施例において、前記PANとピッチが溶解された溶液は、前記ピッチとPANを互いに異なる沸騰点を有する溶媒に溶解させることにより得られる。
好適な実施例において、前記ピッチはDMF(dimethylformamide)で分別して得られるDMF不溶分である。
好適な実施例において、前記ピッチは重量平均分子量が700〜5000g/molであり、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)溶媒に対する溶解度が95%以上である。
好適な実施例において、コアとスキンを含む直径は1μm以下である。
好適な実施例において、前記スキンおよびコアの構成成分は前記PANとピッチの含有量によって異なる。
好適な実施例において、直径0.7nm以下の超極細気細孔(ultra−micropores)が設けられる。
好適な実施例において、前記炭素ナノ繊維に設けられる気細孔のサイズおよび分布は、紡糸温度、前記溶液に含有されたPANまたはピッチの濃度、紡糸チャンバー内部の相対溶媒濃度、相対湿度または安定化および炭化昇温速度、および前記ピッチ溶解溶媒の種類または濃度のうち少なくとも1つによって調節される。
また、本発明は、PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して炭素ナノ繊維を製造する炭素ナノ繊維の製造方法において、PANを第1溶媒に混合して第1紡糸溶液を製造する段階と、前記PANと混合される場合に相分離が起こる分子量を有するピッチを第2溶媒に混合して第2紡糸溶液を製造する段階と、前記第1紡糸溶液と前記第2紡糸溶液とを混合して第3紡糸溶液を製造する段階と、前記第3紡糸溶液を電気紡糸して炭素ナノ繊維前駆体を製造する段階と、前記炭素ナノ繊維前駆体を安定化させる段階とを含んでなることを特徴とする、炭素ナノ繊維の製造方法を提供する。
好適な実施例において、前記第2溶媒の沸騰点は前記第1溶媒より低い。
好適な実施例において、前記第1溶媒および前記第2溶媒はTHF、DMF、DMSO(Dimethylsulfoxide)、DMAc、ピリジン、およびキノリンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの溶媒である。
好適な実施例において、前記安定化段階の後、前記耐炎繊維を900℃以上で熱処理する段階をさらに含むことにより、300m/g以上のBET比表面積、および互いに異なる物性のスキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維が得られる。
また、本発明は、請求項1または2の炭素ナノ繊維または請求項10〜13のいずれか1項の炭素ナノ繊維の製造方法によって製造された炭素ナノ繊維を電極として含む、電気二重層キャパシタを提供する。
また、本発明は、請求項1または2の炭素ナノ繊維または請求項10〜13のいずれか1項の炭素ナノ繊維の製造方法によって製造された炭素ナノ繊維を触媒支持体として含む、燃料電池を提供する。
好適な実施例において、前記触媒支持体としての炭素ナノ繊維は、スキンがピッチからなり、コアがPANからなる。
また、本発明は、請求項8の炭素ナノ繊維を含んで水素吸着に有効な気細孔構造を有することを特徴とする、水素貯蔵材料を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、次の優れた効果を有する。
【0014】
まず、本発明の炭素ナノ繊維は、用途に応じて互いに異なる物性を有するが、すなわちスーパーキャパシタ電極としての用途を持たせるときは、その気細孔の深さが浅く、電気伝導性に優れるうえ、圧着にも耐える優れた機械的物性を持つようにし、水素貯蔵材料としての用途を持たせるときは、0.7nm以下の超極細気細孔から、比表面積が大きいものが密度状態で多量の水素を貯蔵することができるようにする。
また、本発明の炭素ナノ繊維の製造方法は、紡糸性が向上し、繊維直径も1/10程度に減少させることが可能なピッチ含有炭素ナノ繊維を提供する。
また、本発明の炭素ナノ繊維は、互いに異なる特性を持っているPANとピッチがスキン層および/またはコア層を成すように構成されるため、その配置が変わることによりその機能も多様になる。
また、本発明の炭素ナノ繊維の製造方法は、相分離が起こるピッチとPANを互いに異なる沸騰点の溶媒に溶解させ、互いに異なる沸騰点を持っている混合溶媒が気化して繊維の外に出ながら気細孔を形成するので、活性化過程を経ることなく高い比表面積を生成させることができ、炭素繊維に生ずる気細孔のサイズおよび分布を紡糸温度、相対湿度、昇温速度、またはピッチの溶解溶媒の種類および濃度変化によって調節可能なので、その製造工程が簡単でありながらも生産コストが節減される。
また、本発明の炭素ナノ繊維は、高いエネルギー密度を有すると同時に高い動力密度を有するので、電気二重層スーパーキャパシタ電極材料、燃料電池の触媒支持体、燃料電池の気体拡散層、海水を淡水化するために用いられるCDI(capacitive deionization)電極、軽水炉冷却水の超高純度化フィルター、および高伝導性材料として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電気紡糸されたPAN/ピッチ炭素ナノ繊維前駆体繊維1の電子顕微鏡写真である。
【図2】電気紡糸されたPAN/ピッチ炭素ナノ繊維前駆体繊維2の写真である。
【図3】PAN/ピッチ炭素ナノ繊維前駆体繊維1および2の示差熱分析(Differential Thermal Analysis、DTA)グラフである。
【図4】耐炎繊維1に対するPAN/ピッチ耐炎繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)とエネルギー分散型X線分光器(EDX)のグラフである。
【図5】耐炎繊維2に対するPAN/ピッチ耐炎繊維の透過型電子顕微鏡(TME)とエネルギー分散型X線分光器(EDX)のグラフである。
【図6】本発明の実施例に係るPAN/ピッチ炭素ナノ繊維の窒素吸着等温線である。
【図7】本発明の実施例に係るPAN/ピッチ炭素ナノ繊維の微細気細孔分布図である。
【図8】本発明の製造方法によって製造されたPAN/ピッチ黒鉛化繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であるが、耐炎繊維1を黒鉛化した写真である。
【図9】本発明の製造方法によって製造されたPAN/ピッチ黒鉛化繊維の透過型電子顕微鏡(TME)写真であるが、耐炎繊維2を黒鉛化した写真である。
【図10】ピッチのTHF溶解濃度による炭素ナノ繊維電極の比蓄電容量グラフである。
【図11】ピッチのTHF溶解濃度による炭素ナノ繊維電極のRagon Plotである。
【図12】紡糸温度による炭素ナノ繊維電極の比蓄電容量グラフである。
【図13】紡糸温度による炭素ナノ繊維電極のRagon plotである。
【図14】PAN/ピッチ混合溶液を電気紡糸して得られる炭素ナノ繊維の用途を展開した概略図である。
【図15】BJH(Barret−Joyner−Halenda)理論を用いたPAN/ピッチ炭素繊維の細孔サイズ分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で使用される用語は、できる限り現在広く使用される一般な用語を選択したが、特定の場合は出願人が任意に選定した用途もあるが、この場合には単純な用語の名称ではなく発明の詳細な説明部分に記載されるか、或いは使用された意味を考慮してその意味が把握されるべきであろう。
以下、添付図面および好適な実施例を参照して本発明の技術的構成を詳細に説明する。
ところが、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。明細書全体にわたって、同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
炭素繊維フリーカーソルのうち、PANは電気紡糸するときに紡糸性に優れるうえ、200nm内外のナノ繊維を容易に製造することができるが、難黒鉛化特性を持っている。ピッチは炭化収率が高く、活性化の際に比表面積がPANに比べて著しく高く、易黒鉛化性を示し、電気伝導性に優れるが、紡糸性がよくないため、繊維直径が3〜5μmと大きいという欠点がある。本発明では、このような特性を持っているPANとピッチを電気紡糸法によって複合化して両フリーカーソルの強点を取るようにした。
このように、本発明では、PANと特定種類のピッチとを含む紡糸溶液を電気紡糸することにより、スキン−コア(skin−core)構造を有するPAN/ピッチ炭素ナノ繊維を形成したが、すなわち、本発明は、PANと混合される場合に相分離が起こるレベルの分子量を有するピッチを用いて電気紡糸することにより、スキンにはピッチ、コアにはPANがそれぞれ位置する構造を有する炭素ナノ繊維を形成し、このような構成によれば、PAN系ナノ繊維の利点とピッチ系ナノ繊維の利点を全て有する優れた炭素ナノ繊維を製造することができる。
本発明で使用される特定種類のフリーカーソルピッチとしては、コールタールまたは石油系残渣油から製造された等方性および異方性ピッチと、芳香族炭化水素などの有機化合物から製造された等方性および異方性ピッチなどがあるが、上述したようにPANと混合される場合に相分離が起こるレベルの分子量を有するピッチが使用されなければならず、好ましくは、重量平均分子量が700〜5000g/molであり且つTHF(tetrahydrofuran)溶媒に95%以上溶解されるピッチであってもよい。また、ピッチをDMFで分別して使用する場合にはDMF不溶分が好ましい。
また、繊維成形用ポリアクリロニトリル(PAN、分子量=160,000)は、100%単独重合体(homopolymer)だけでなく、5〜15%の共重合体(copolymer)を含有した改質されたアクリルを使用する。共重合体の組成では、イタコン酸(itaconic acid)やアクリル酸メチル(methylacrylate、MA)などを共重合物質として用いることができる。
また、PANおよびピッチを溶解させる第1溶媒および第2溶媒としては、PANおよびピッチの溶媒による溶解度特性に応じて、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、四塩化炭素(tetrachloromethane)、トルエン(toluene)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)、ピリジン(pyridine)およびキノリン(quinoline)のうち少なくとも1つが使用されることが好ましいが、特に第2溶媒の沸騰点は、前記第1溶媒より低いことがより好ましい。
より具体的にその一例を挙げて説明すると、まず、ポリアクリロニトリル(PAN)を第1溶媒として選択されたDMFに溶解させてPAN溶液たる第1紡糸溶液を製造する。その後、等方性ピッチフリーカーソルまたはDMFにピッチを溶解させて分別して得られたDMF不溶分のうち、特に700〜5000g/molの重量平均分子量を示しながらTHF(tetrahydrofuran)溶媒に95%以上溶解されるピッチを第2溶媒として選択されたTHFに溶解させてピッチ溶液たる第2紡糸溶液を製造する。この際、第1紡糸溶液および第2紡糸溶液は同維にまたは順序を変えて製造してもかまわない。製造された第1紡糸溶液と第2紡糸溶液とを混合して第3紡糸溶液を製造し、前記第3紡糸溶液を電気紡糸して炭素ナノ繊維を製造することができるが、このように炭素ナノ繊維を製造すると、互いに異なる特性を有する物質で構成されたスキン−コア構造を有し、コアおよびスキンを含む直径1μm以下のPAN/ピッチ炭素ナノ繊維を製造することができる。
特に、第2溶媒たるTHFは、第1溶媒たるDMFより低い沸騰点を有するので、より低い温度で気化して、表面に炭化されたピッチが有する気細孔の深さがより低くなり、その結果、電気伝導度およびイオンの移動度(mobility)が相対的に大きく増大する。
ここで、前記スキン−コア構造は、ピッチからなるコア、および前記コアを取り囲むポリアクリロニトリル(PAN)単独重合体または共重合体からなるスキンを含んでなってもよく、ポリアクリロニトリル(PAN)単独重合体または共重合体からなるコア、および前記コアを取り囲むピッチからなるスキンを含んでなってもよいが、前記スキン−コア構造において、スキンおよびコアの構成成分は紡糸溶液に含まれたPANとピッチの含有量によって異なる。
特にスキン層に電気伝導性と吸着性に優れたピッチ層を導入したときに比表面積が大きく、吸着層の深さが浅いため、電気二重層キャパシタ電極として使用すると、高い比容量と速い応答特性を示す。また、黒鉛化の後に触媒支持体として使用すると、スキン層によく発達した高結晶性黒鉛構造は、触媒を安定的に支持しながら、長期使用による触媒の集積を防止することが可能な機能と電気伝導度を向上させて電極内の抵抗を減少させることが可能な機能を発現する。
【実施例】
【0017】
実施例1
1.ピッチの準備
等方性フリーカーソルピッチを受け取った状態そのままで使用し、或いはDMFに溶解させてDMFで可溶分と不溶分に分別し、DMF不溶分を分離して本発明の紡糸用ピッチフリーカーソルとして使用する。特に、700〜5000g/molの重量平均分子量を示しながらTHF溶媒に95%以上溶解されるピッチが使用されることが好ましい。
本発明のスキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維を製造するのに用いられるピッチの特性を表1に示した。
表1は、石油系等方性フリーカーソル原料ピッチの紡糸性を向上させるために、ピッチをDMFに溶解し、溶解された部分を濾過分離して除去したDMF不溶分ピッチの軟化点、溶解度および分子量を測定して等方性フリーカーソルピッチと比較して示したものである。この際、軟化点はMettler方法で測定し、溶解度はGPC分析法で測定した。分子量において、HIはヘキサン溶解分、TSはトルエン溶解分、TIはトルエン不溶分、PSはピリジン溶解分、PIはピリジン不溶分をそれぞれ意味する。
【0018】
【表1】

【0019】
2.炭素ナノ繊維の製造
炭素繊維用PANおよび上記で得られたピッチフリーカーソルをそれぞTHFとDMFに溶解して第1紡糸溶液および第2紡糸溶液を製造し、第1紡糸溶液と第2紡糸溶液とをPANとピッチフリーカーソルが50:50wt%の比率となるように混合して第3紡糸溶液3−1を製造し、70:30wt%の比率となるように第3紡糸溶液3−2を製造した。そして、3−2の溶液におけるピッチのTHF溶解濃度を20、30、40、50%に変化させて溶液3−2−1、3−2−2、3−2−3、3−2−4をそれぞれ製造した。
純粋なPAN溶液1とPAN/ピッチ混合溶液3−2−1、3−2−2、3−2−3、3−2−4から、紡糸温度20℃、相対湿度40%に維持されたチャンバー内で電気紡糸方法を用いてそれぞれ直径800〜600nm内外のナノ繊維からなる不織布ウェブを製造した後、これを熱処理して純粋なPAN繊維およびPAN/ピッチ混合溶液の炭素ナノ繊維CF1−20℃、CF3−2−1−20℃、CF3−2−2−20℃、CF3−2−3−20℃、CF3−2−4−20℃を製造した。また、紡糸温度の効果を調べるために、チャンバーの相対湿度を40%に維持し、紡糸温度30、20、10℃で3−2−1溶液をそれぞれの温度で電気紡糸した後、熱処理過程を介して炭素ナノ繊維CF3−2−1−30℃、CF3−2−1−20℃、CF3−2−1−10℃を製造した。
この際の静電紡糸装置は、ノズルとコレクターにそれぞれ30kVの印加電圧を加え、紡糸口金とコレクター間の距離は必要に応じて10〜30cmの範囲で可変させた。
このように電気紡糸して得たPANとピッチ紡糸繊維を熱風循環炉に入れ、圧縮空気を分当たり5〜20mLの流速で供給し、分当たり1℃の昇温速度で200〜300℃で1時間維持しながら安定化させてPAN/ピッチ耐炎繊維を得た。
こうして得られたPAN/ピッチ耐炎繊維は、不活性気体(N、Ar気体)雰囲気下の900℃以上、好ましくは900〜1500℃の温度で炭化してPAN/ピッチ炭素ナノ繊維を製造した。
実験例1
実施例1によって紡糸溶液3−1および3−2をそれぞれ電気紡糸して製造された炭素ナノ繊維前駆体繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃の構造を電子顕微鏡で観察してそれぞれ図1および図2に示した。
図1および図2に示すように、紡糸溶液におけるピッチの含量が減少するほど紡糸性が向上することが分かるが、特にピッチの含量が30wt%の場合、溶液の物質パラメータ(表面張力/粘度)の減少により紡糸性が向上したことが分かる。
実験例2
実施例1によって紡糸溶液3−1および3−2溶液をそれぞれ電気紡糸して製造された炭素ナノ繊維前駆体繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃の示差熱分析(Differential Thermal Analysis、DTA)を行ってその結果を図3に示した。
図3に示したグラフより、324℃と524℃で2つのPANとピッチの特定発熱ピークが確認され、PANとピッチが分離された状態で熱挙動することを確認することができた。324℃ではPANの環化反応が起こり、524℃では主にピッチが炭化されながら異種元素が脱離する反応を示すことが分かる。
実験例3
実施例1によって炭素ナノ繊維前駆体繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃を安定化させて得られたPAN/ピッチ耐炎繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真、およびエネルギー分散型X線分光器で観察した結果をそれぞれ図4および図5に示した。
図4および図5に示すように、それぞれの透過型電子顕微鏡(TEM)写真をみれば、2つの相が分離されることが分かり、2つの相を確認するためにエネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて観察した結果、耐炎繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃のコア(I)では窒素と酸素の存在が確認され、スキン(II)では炭素のみが確認された。この耐炎化は酸素が空気から繊維内部に拡散して酸素が異種元素と縮合してPANを環化し或いはネットワークを形成して不融化する過程である。よって、繊維のPANからなるコアでは窒素と酸素が存在するが、スキン層のピッチの分子構造は窒素を含まず、拡散吸着された酸素は耐炎化温度でピッチ分子にある水素と共に脱水化反応して除去される。その結果より、コア部分には窒素を含むPANが位置し、スキン部分にはピッチが位置することが分かった。したがって、本発明の炭素ナノ繊維が、互いに異なる特性を持つ物質で構成されたスキン−コア構造を有することを確認することができる。
実験例4
実施例1によってPAN/ピッチ耐炎繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃を活性化過程なしで不活性気体(N、Ar気体)雰囲気下の1000℃の温度で炭化して製造されたPAN/ピッチ炭素ナノ繊維CF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃の細孔特性を確認するために、窒素吸着等温曲線とメソ細孔分布図を観察し、これをそれぞれ図6および図7に示した。
図6および図7を参照すると、窒素吸着等温線では相対圧力0.2気圧以下で初期吸着量が大きい典型的なtypeIの曲線を示し、メソ細孔(mesopore)分布図ではピッチ含量の少ないPAN/ピッチ70/30wt%の場合、すなわち耐炎繊維3−2−3−20℃のメソ細孔がさらに発達することが分かる。
PAN/ピッチ耐炎繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃から炭化された繊維CF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃のBET比表面積、細孔体積および平均細孔サイズを比較すると、下記表2に示すように、BET比表面積、細孔体積および平均細孔サイズはピッチの量が減少するほど増加することが分かった。
【0020】
【表2】

【0021】
特に、PAN/ピッチ70/30wt%の場合、ピッチのTHF溶解濃度を異にしたPAN/ピッチ混合溶液3−2−1、3−2−2、3−2−3、3−2−4による炭素繊維CF3−2−1−20℃、CF3−2−2−20℃、CF3−2−3−20℃、CF3−2−4−20℃のBET比表面積、細孔体積および平均細孔サイズは下記表3に示すようにピッチの濃度が減少するほど(すなわち、THFの量が増加するほど)増加した。
【0022】
【表3】

【0023】
紡糸チャンバーの相対湿度を40%に維持し、紡糸温度を30、20、10℃に可変させてそれぞれ3−2−1溶液を電気紡糸した後、熱処理過程を介して製造した炭素ナノ繊維CF3−2−1−30℃、CF3−2−1−20℃、CF3−2−1−10℃のBET比表面積、細孔体積および平均細孔サイズは、表4に示すように、紡糸温度が増加するほど増加した。
【0024】
【表4】

【0025】
実験例5
PANとピッチの相分散度および結晶化度を確認するために、実施例1によって製造されたPAN/ピッチ耐炎繊維3−1−3−20℃および3−2−3−20℃を2800℃、Ar気体の下で黒鉛化して得られたPAN/ピッチ黒鉛化繊維CF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を観察して図8および図9にそれぞれ示した。
図5に示すように、黒鉛化繊維CF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、繊維がスキン−コア構造を示し、高結晶層を有するスキンと低結晶層を有するコアがそれぞれ相分離されていることを観察した。また、スキンの厚さはピッチの濃度が増加するほど増加した。
実施例2
実施例1で製造されたPAN/ピッチ炭素ナノ繊維CF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃をそれぞれ含む電気二重層キャパシタを製造した。
実験例6
実施例2で製造されたキャパシタCF3−1−3−20℃およびCF3−2−3−20℃の充放電容量を測定して表4に示した。
前記測定のために、電解質はKOH水溶液を用いた。充放電電圧は水溶液電解質の場合に0〜1Vの範囲で測定された。
それぞれの電解質で充放電容量を測定した結果、表5に示すように、PAN/ピッチ70/30wt%の紡糸溶液で製造された炭素ナノ繊維を含むキャパシタCF3−2−3−20℃が水溶性液体のKOHでエネルギー密度11.30Wh/Kg、動力密度100kW/kgを示して高いエネルギー密度を有すると同時に高い動力密度を有することが分かる。
【0026】
【表5】

【0027】
図10および図11はピッチのTHF溶解濃度を異にして製造された炭素ナノ繊維CF3−2−1−20℃、CF3−2−2−20℃、CF3−2−3−20℃、CF3−2−4−20℃電極の比蓄電容量とRagon plotである。特に、CF3−2−1−20℃電極はKOH 6M水溶液電解質で比蓄電容量130F/g、エネルギー密度15.0Wh/Kg、動力密度100kW/Kgの高いエネルギー密度を有すると同時に高い動力密度を有するキャパシタンスを示す。図12および図13は紡糸温度を調節して製造された炭素ナノ繊維CF3−2−1−30℃、CF3−2−1−20℃、CF3−2−1−10℃電極の蓄電容量とRagon plotである。紡糸温度が最も高い30℃で電気紡糸した後、熱処理した炭素ナノ繊維CF3−2−1−30℃電極は、KOH 6M電解質溶液で最も高い比蓄電容量151.72F/g、エネルギー密度17.12Wh/Kg、動力密度100kW/Kgを有するキャパシタンスを示す。
【0028】
ピッチ溶媒THFはPAN溶媒のDMFより沸騰点および表面張力が低くて容易に揮発するので、表面における低い気細孔を形成させることができるため、その結果として優れた電気的、物理的特性を示す。よって、溶媒の選択、溶媒濃度の変化または紡糸温度によって炭素ナノ繊維の気細孔のサイズと深さを効果的に調節することができる。これにより、高エネルギー密度と高動力密度の特性を同時に発現させる利点を持っている。
【0029】
図14に示すように、本発明によって製造された炭素ナノ繊維は様々な用途で使用できるが、特に、電気二重層キャパシタ電極用や触媒支持体などとして使用する場合、大きい比表面積により貯蔵エネルギー密度が大きく、浅い気細孔と優れた電気伝導度により応答特性が速く、優れた機械的物性により作業性と耐久性に優れた性能が発現する。よって、このような特性を示す素材を用いて電気二重層キャパシタの電極として使用すると、実験例6から分かるように、高いエネルギー密度と高い動力密度を同時に示した。
【0030】
特に、スキン−コア構造を有する繊維のスキンには黒鉛構造がよく発達したピッチ層が位置し、コアには低い結晶性を有するPAN層が位置する場合、スキンによく発達した高結晶性黒鉛構造は触媒を安定的に支持しながら長期使用による触媒の集積を防止し、電気伝導度を向上させて電極内の抵抗を減少させることが可能な機能を発現することができるので、燃料電池の支持体として適する。
【0031】
図15はBJH(Barret−Joyner−Halenda)理論を用いた細孔サイズ分布である。特に、本発明によってPANとピッチの比率を調節することにより製造されたPAN/ピッチ炭素繊維CF3−1−20℃は、炭化過程で水素吸着に有効な0.7nm以下の超極細気細孔(ultramicropores)が形成されて水素高密度吸着を期待することができる。PAN/ピッチ炭素繊維CF3−2−3−20℃の高い比表面積は粒子性表面構造が有するメソ細孔(mesopore)および微細気細孔(micropore)のためであり、これらは水素吸着に有効な気細孔サイズではない。よって、単純な炭素ナノ繊維の非表面積の増大ではなく、水素吸着に有効な気細孔構造が水素吸着に主要な因子なので、本発明によって水素吸着のための適正気細孔サイズおよび適正気細孔形状(slit pore)を有する炭素ナノ繊維を製造することができる。
【0032】
以上、本発明について好適な実施例を挙げて図示および説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されず、本発明の精神から外れない範囲内において、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な変更と修正が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して製造される炭素ナノ繊維において、
ピッチからなるコアと、
前記コアを取り囲むポリアクリロニトリル(PAN)単独重合体または共重合体からなるスキンとを含んでなることを特徴とする、炭素ナノ繊維。
【請求項2】
PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して製造される炭素ナノ繊維において、
ポリアクリロニトリル単独重合体または共重合体からなるコアと、
前記コアを取り囲むピッチからなるスキンとを含んでなることを特徴とする、炭素ナノ繊維。
【請求項3】
前記PANとピッチが溶解された溶液は、前記ピッチとPANを互いに異なる沸騰点を有する溶媒に溶解させて得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項4】
前記ピッチはDMFで分別して得られるDMF不溶分であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項5】
前記ピッチは、重量平均分子量が700〜5000g/molであり、テトラヒドロフラン(THF)溶媒に対する溶解度が95%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項6】
前記コアとスキンを含む直径は1μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項7】
前記スキンおよびコアの構成成分は前記PANとピッチの含有量によって異なることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項8】
直径0.7nm以下の超極細気細孔(ultra−micropores)が設けられたことを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項9】
前記炭素ナノ繊維に設けられる気細孔のサイズおよび分布は、紡糸温度、前記溶液に含有されたPANまたはピッチの濃度、紡糸チャンバー内部の相対溶媒濃度、相対湿度または安定化および炭化昇温速度、および前記ピッチ溶解溶媒の種類または濃度のうち少なくとも1つによって調節されることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素ナノ繊維。
【請求項10】
PANとピッチが溶解された溶液を電気紡糸して炭素ナノ繊維を製造する炭素ナノ繊維の製造方法において、
PANを第1溶媒に混合して第1紡糸溶液を製造する段階と、
前記PANと混合される場合に相分離が起こる分子量を有するピッチを第2溶媒に混合して第2紡糸溶液を製造する段階と、
前記第1紡糸溶液と前記第2紡糸溶液とを混合して第3紡糸溶液を製造する段階と、
前記第3紡糸溶液を電気紡糸して炭素ナノ繊維前駆体を製造する段階と、
前記炭素ナノ繊維前駆体を安定化させる段階とを含んでなることを特徴とする、炭素ナノ繊維の製造方法。
【請求項11】
前記第2溶媒の沸騰点は前記第1溶媒より低いことを特徴とする、請求項10に記載の炭素ナノ繊維の製造方法。
【請求項12】
前記第1溶媒および前記第2溶媒は、THF、DMF、DMSO(Dimethylsulfoxide)、DMAc、ピリジンおよびキノリンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの溶媒であることを特徴とする、請求項11に記載の炭素ナノ繊維の製造方法。
【請求項13】
前記安定化段階の後、前記耐炎繊維を900℃以上で熱処理する段階をさらに含むことにより、300m/g以上のBET比表面積を有し、互いに異なる物性のスキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維が得られることを特徴とする、請求項10に記載の炭素ナノ繊維の製造方法。
【請求項14】
請求項1または2の炭素ナノ繊維または請求項10〜13のいずれか1項の炭素ナノ繊維の製造方法によって製造された炭素ナノ繊維を電極として含む、電気二重層キャパシタ。
【請求項15】
請求項1または2の炭素ナノ繊維または請求項10〜13のいずれか1項の炭素ナノ繊維の製造方法によって製造された炭素ナノ繊維を触媒支持体として含む、燃料電池。
【請求項16】
前記触媒支持体たる炭素ナノ繊維は、スキンがピッチからなり、コアがPANからなることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池。
【請求項17】
請求項8の炭素ナノ繊維を含んで水素吸着に有効な気細孔構造を有することを特徴とする、水素貯蔵材料。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−507638(P2012−507638A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534405(P2011−534405)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006454
【国際公開番号】WO2010/053291
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(509138383)インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティ (4)
【出願人】(511109803)ボード オブ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム (1)
【Fターム(参考)】