説明

スキンケアのための組成物、方法、装置およびシステム

したがって、限定するものではないが、局所的な組成物、ならびに光線療法用の装置および方法を含む、スキンケアのための改善された組成物、方法、装置およびシステムの必要が生じている。いくつかの実施形態において、スキンケア方法は、被験者の皮膚の少なくとも一部を均質で安定した自己発泡性組成物と接触させる工程、皮膚の少なくとも一部を独占的に所望の波長(例えば、約390nm〜約430nm)の光で照射する工程、および皮膚の少なくとも一部を抗酸化セラム組成物と接触させる工程を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年9月16日に出願された米国仮特許出願第61/097,513号(出願人整理番号TBI−1010P)の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。本願は、2009年9月4日に出願された米国特許出願第12/554,831号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。本願は、2009年9月4日に出願された米国特許出願第12/554,872号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、いくつかの実施形態において、スキンケアのための組成物、方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アクネは、(i)過剰な皮脂産生、(ii)過度の角質化(hyperkeritinization)、(iii)毛嚢脂腺ユニット内での過度の細菌(例えば、P.acnes)負荷、および(iv)高められた全体的な炎症反応の1つまたは複数によって引き起こされる可能性がある。Oral Accutane(商標)(イソトレチノイン(isoretinoin))での治療を用いて、皮脂産生を(例えば完全に)なくすことができるが、毒性および先天性欠損を含む副作用によって、その使用機会が減じられる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(要旨)
したがって、限定するものではないが、局所的な組成物、ならびに光線療法用の装置および方法を含む、スキンケアのための改善された組成物、方法、装置およびシステムの必要が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、限定するものではないが、アクネ治療のための局所的な組成物、ならびに光線療法用の装置および方法を含む、スキンケアのための組成物、方法、装置およびシステムに関する。
【0006】
いくつかの実施形態において、スキンケア方法は、被験者の皮膚の少なくとも一部を均質で安定した自己発泡性組成物と接触させる工程、皮膚の少なくとも一部を独占的に所望の波長(例えば、約390nm〜約430nm)の光で照射する工程、および皮膚の少なくとも一部を抗酸化セラム組成物と接触させる工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、スキンケア方法は、照射前に自己発泡性組成物を洗い落とす(例えば、完全に洗い落とす)工程を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、自己発泡性組成物は、(a)有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸の少なくとも1つ、(b)飽和ジカルボン酸、ならびに(c)ヤシ油の硫酸エステルを含むことができる。例えば自己発泡性組成物は、最大約10%(w/w)のα−ヒドロキシ酸を含むことができる。α−ヒドロキシ酸の非限定的な例は、グリコール酸である。例えば、自己発泡性組成物は、約0.5%(w/w)〜約5.5%(w/w)のβ−ヒドロキシ酸を含むことができる。β−ヒドロキシ酸の非限定的な例は、サリチル酸である。いくつかの実施形態において、飽和ジカルボン酸は、アゼライン酸(例えば、約0.8%(w/w)〜約1.2%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、ヤシ油の硫酸エステルは、ココ硫酸ナトリウム(例えば、約3%(w/w)〜約5%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態において、自己発泡性組成物はさらに、コカミドプロピルベタイン(例えば、最大約7.5%(w/w)または約7.5%(w/w)超)を含む。いくつかの実施形態によれば、自己発泡性組成物は、乳酸メンチル(例えば、約0.4%(w/w)〜約0.6%(w/w))を含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、照射する工程は、いくつかの実施形態において独占的に約407nm〜約420nmの波長を有する光で皮膚を照射する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、照射する工程は、所望のまたは必要な強度で照射する工程を含むことができる。例えば照射する工程は、皮膚の少なくとも一部を約400mW/cmの光強度で照射する工程を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、抗酸化セラムはスーパーオキシドジスムターゼを含むことができる。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、β−ヒドロキシ酸(例えば、約0.3%(w/w)〜約2.2%(w/w))を含むことができる。β−ヒドロキシ酸の非限定的な例は、サリチル酸である。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、均質で安定した自己発泡性組成物に関する。例えば、均質で安定した自己発泡性組成物は、(a)有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸(例えば、最大約10%(w/w))およびβ−ヒドロキシ酸(例えば、最大約5%(w/w))の少なくとも1つ、(b)飽和ジカルボン酸(例えば、約0.8%(w/w)〜約1.2%(w/w))、ならびに(c)ヤシ油の硫酸エステル(例えば、)を含むことができる。α−ヒドロキシ酸の非限定的な例は、グリコール酸である。β−ヒドロキシ酸の非限定的な例は、サリチル酸である。飽和ジカルボン酸の非限定的な例は、アゼライン酸である。ヤシ油の硫酸エステルの非限定的な例は、ココ硫酸ナトリウムを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、均質で安定した自己発泡性組成物は、コカミドプロピルベタイン(例えば、最大約7.5%(w/w))または約7.5%(w/w)超)を含むことができる。いくつかの実施形態において、均質で安定した自己発泡性組成物は、乳酸メンチル(例えば、約0.4%(w/w)〜約0.6%(w/w))を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、例えば自己発泡性洗顔剤、組織を所望の波長の光で照射するように構成された光線療法用の装置、および抗酸化セラムを備える光線療法キットに関する。いくつかの実施形態では、光線療法キットは、有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸の少なくとも1つ(場合によってはアゼライン酸)を含む均質で安定した洗顔剤組成物;約390ナノメートル〜約430ナノメートルの波長を有する光を、被験者の皮膚の標的部分に向けて放出するように構成された光線療法用の装置;スーパーオキシドジスムターゼを含む抗酸化剤組成物;ならびに洗顔剤組成物を被験者の皮膚の標的部分に塗布する、被験者の皮膚の標的部分を光線療法用の装置で照射する、および抗酸化剤組成物を被験者の皮膚の標的部分に塗布するための指示書を備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示はさらに光線療法用の装置に関する。光線療法用の装置は、例えばハウジング;約390ナノメートル〜約430ナノメートルの波長を有する光を、被験者の標的部分に向けて放出するように構成されたハウジング内の光源;光源と被験者の標的部分との間に置かれ、約390ナノメートル未満の波長を有する光、および/または約430ナノメートル超の波長を有する光を低減もしくは除去するように構成された光学フィルタ;電源;被験者の皮膚に接触すると電源および光源を電気的に結合し、被験者の皮膚に接触していないときには、電源および光源を電気的に切り離すように構成された接触式スイッチ;被験者の皮膚と接触し、被験者の非標的部分が放出される光に曝されるのを低減もしくは排除するように構成された光シールド;光源と被験者の標的部分との間に置かれた光混合器およびディフューザ;ならびに/あるいは光混合器と被験者の間に置かれた出力ウィンドウを備えることができる。いくつかの実施形態において、光線療法用の装置は、約407ナノメートル未満の波長を有する光を濾波し、かつ約420ナノメートル超の波長を有する光を濾波するように構成された光学フィルタを備えることができる。いくつかの実施形態によれば、光線療法用の装置は光源を備えることができ、光源は、発光ダイオード、レーザダイオード、閃光ランプまたはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、光混合器は、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、ガラス、石英またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、出力ウィンドウは、ガラス、サファイア、石英、ダイヤモンドまたはそれらの組合せを含むことができる。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、本開示および添付図面をある程度参照することによって理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の特定の例示的な実施形態による、患者における患部を視覚的に特定し、その後それらの患部を処置するためのシステムを示す。
【図2】図2は、本開示の特定の例示的な実施形態による、患者における患部を視覚化するための装置をより詳しく示す。
【図3】図3は、本開示の特定の例示的な実施形態による、患者における患部を処置するための装置の実施形態を示す。
【図4】図4は、図3の処置装置を分解斜視図として示す。
【図5】図5は、図3および図4の処置装置の光源をより詳しく示す。
【図6】図6は、図3および図4に示される処置装置の回路の実施形態を概略図の形で示す。
【図7】図7は、図3および図4の処置装置の気流の放出をより詳しく示す。
【図8】図8は、本開示の特定の例示的な実施形態によるアクネを処置するための工程を流れ図の形で示す。
【図9】図9は、患者における患部を処置するための装置の特定の例示的な実施形態を示す。
【図10】図10は、図9の処置装置の出口ウィンドウとは反対側の端部を示し、かつ取外し可能な時間調整カートリッジを挿入するための開口部を示す。
【図11A】図11は、図9および図10の処置装置の分解斜視図を示す。
【図11B】図11は、図9および図10の処置装置の分解斜視図を示す。
【図11C】図11は、図9および図10の処置装置の分解斜視図を示す。
【図11D】図11は、図9および図10の処置装置の分解斜視図を示す。
【図12】図12は、図9および図10の処置装置の光源をより詳しく示す。
【図13】図13は、図9および図10の処置装置の空気取入口および出口の放出をさらに詳しく示す。
【図14】図14は、図9および図10に示される処置装置の回路の実施形態を概略図の形で示す。
【図15】図15は、図9および図10の装置の表示ウィンドウを示す。
【図16】図16Aは、時間調整カートリッジがいっぱいであるときの表示ウィンドウを示す。図16Bは、時間調整カートリッジが完全に放出されたときの表示ウィンドウを示す。
【図17】図17は、本開示の特定の例示的な実施形態によるアクネを処置するための工程を流れ図の形で示す。
【図18】図18は、本開示の例示的な実施形態の概略図である。
【図19】図19は、本開示の特定の例示的な実施形態による、第1の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図20】図20は、本開示の特定の例示的な実施形態による、第2の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図21】図21は、本開示の特定の例示的な実施形態による、第3の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図22】図22は、本開示の特定の例示的な実施形態による、第4の組の条件に対する皮膚温度の計算結果のグラフである。
【図23】図23は、本開示のシステムおよび/または装置での使用に適した、発光ダイオードを備える光源の例示的な実施形態の概略図である。
【図24】図24は、本開示の特定の例示的な実施形態による青色光デバイス、または過酸化ベンゾイル(benzyol peroxide)(BPO)によって得られる、経時的な欠陥の減少を示す。
【図25】図25は、本開示の特定の例示的な実施形態による洗顔剤−光線療法−抗酸化剤の療法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、限定するものではないが、アクネ治療のための局所的な組成物、ならびに光線療法用の装置および方法を含む、スキンケアのための組成物、方法、装置およびシステムに関する。
【0015】
アクネは、(i)過剰な皮脂産生、(ii)過度の角質化、(iii)毛嚢脂腺ユニット内での過度の細菌(例えば、P.acnes)負荷、および(iv)高められた全体的な炎症反応の1つまたは複数によって引き起こされる可能性がある。限定するものではないが、いくつかの実施形態によれば、作用の特定のメカニズム、組成物、方法、装置およびシステムに対する(1つまたは複数の)任意の特定の実施形態は、要因(ii)、(iii)および(iv)の1つまたは複数を軽減することができる。例えば、組成物、方法、装置および/またはシステムが、これらの3つの要因すべてを軽減することがある。
【0016】
洗顔剤組成物
いくつかの実施形態によれば、皮膚は、光(例えば光線療法)に曝す前にある組成物(例えば発泡性洗顔剤)と接触させることができる。例えば洗顔剤を塗布し、そうしなければ光線療法の効果を妨げる恐れがある、日焼け止めおよび/または化粧品を除去することができる。いくつかの実施形態において、洗顔剤は、炎症または乾燥を引き起こさない角質溶解性のものとすることができる。いくつかの実施形態によれば、洗顔剤は、任意の所望のまたは必要なpHを有することができる。いくつかの実施形態では、洗顔剤のpHは、健康な皮膚のpHと同様にすることができる。いくつかの実施形態において、洗顔剤組成物は、α−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸を含み、中性より低いpHを有することができる。
【0017】
過剰な皮脂に加えて、アクネを誘発する細菌は、死んだ皮膚細胞が存在すると有利になる、かつ/またはその存在を必要とすることがある。例えばアクネを誘発する細菌は、死んだ皮膚細胞を代謝し、皮脂腺に完全にコロニーを作ることができる。角質は粘着性であり、死んだ皮膚細胞が戻って腺の中に入り込むのを助けることがある。過剰な角質がなければ、こうした細胞はより簡単にかつ/または完全に剥がれ、脱落することができる。α−ヒドロキシ酸および/またはβ−ヒドロキシ酸は、過剰な死んだ表面の皮膚細胞および角質を除去することが可能であり、それらは、いわゆる角質溶解薬である。例えばサリチル酸は角質を溶かし、孔に深く浸透して過剰な角質を剥離する、かつ/または(例えば、毛嚢脂腺管を詰まらせる)角質栓を除去することができる。グリコール酸は深い浸透を促し、かつ/あるいは健康な皮膚の状態および/または肌理を高めることができる。過酸化ベンゾイルとは異なり、本明細書で開示する濃度のサリチル酸およびグリコール酸は、刺激または炎症を引き起こすことがない。それらはピリピリ感を引き起こすことがあるが、それによって、洗顔剤がただの石鹸より役立つ可能性があることを使用者に示唆することができる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、洗顔剤は、リポソームでカプセル化された飽和ジカルボン酸(例えばアゼライン酸)を含むことができる。アゼライン酸は、抗菌特性および/または非炎症特性を有すること、ならびに/あるいは色素沈着異常を軽減することができる。いくつかの実施形態では、飽和ジカルボン酸(例えばアゼライン酸)の濃度は、約0.8%(w/w)〜約1.2%(w/w)とすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、洗顔剤(例えば、酸性の洗顔剤)は、1つまたは複数の発泡特性を有することができる。いくつかの実施形態において、洗顔剤は、一般式ROSONa(式中、Rはアルキル基である)を有する、ヤシ油の硫酸エステル(例えばココ硫酸ナトリウム)を含むことができる。一定のアルキル鎖長(この場合はC12)を有するラウリル硫酸ナトリウムなどの表面活性剤とは異なり、ココ硫酸ナトリウムは、C12〜少なくともC18というかなりの範囲の鎖長を有する。(1つまたは複数の)任意の特定の実施形態をある特定の作用メカニズム、組成物に限定するものではないが、その範囲の鎖長は、ある範囲の表面活性剤のミセルサイズを許容することによって、安定した泡の生成を促すことができる。いくつかの状況下では、(例えば、有利には)安定した高密度の発泡性組成物によって、使用者が、目または口などの望ましくない領域に流入する調合液なしに、発泡性組成物を皮膚の患部のみに塗布することを可能にすることができる。泡は、例えば透明な流体より見えやすくすることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、洗顔剤は、例えば極めて高い濃度(例えば、約7.5%(w/w)以上)のコカミドプロピルベタインを含むことができる。この(ビートに見出される)天然化合物は、ストレスおよび炎症から守るために植物および動物の細胞によって使用できるものである。コカミドプロピルベタインは、他の望ましい特性を有することがある。例えば、それは泡のクリーム質の状態およびボリュームを改善し、皮膚の感触を改善し、かつ/または配合物の粘着性を低減することができる。コカミドプロピルベタインは、泡が迅速に洗い落とされるのを助けることも可能であり、それによって、皮膚以外のものによる青色光の吸収を回避するのを助けること、および/または残留物を残すものを嫌う使用者にいっそう受け入れられるようにすることが可能になる。オスモライトであるベタインは、皮膚(例えば皮膚細胞)が水分を保持するのを助けることができ、皮膚をより滑らかに、かつよりふっくらさせる。ベタインは活性化合物の水溶性を高めることができるため、サリチル酸との配合物を室温で調製および/または使用することが可能であり、それによって活性成分の分解を低減することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、洗顔剤は、1つまたは複数の芳香剤を含むことができる。洗顔剤は、例えばwater lily CD−50045を含むことができる。この化合物は軽く優雅な香気を有し、それは、他のアクネ製剤に使用される「果物および花」または「メントールおよび樟脳」の香りとは異なるものになり得る。それはまた、低いpHに耐性を有すること、および/または完全に洗い落とすことができる。いくつかの実施形態によれば、芳香剤は、無臭成分の存在に対するマーカとして働くことができる。したがって、芳香剤を完全に洗い落とすことにより、使用者に、洗顔剤が完全に除去され、残留物、特に刺激および/または炎症として知覚され得る残留物が残っていないという保証および/または快適さを与えることができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、洗顔剤は、(例えば、光線療法に伴って起こることがある暖感とバランスを取るために)清涼感を与える化合物を含むことができる。そうした化合物は、例えば任意のタイプの痛みまたは炎症に望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、この目的のためにメントールを用いることができるが、その香りは、歓迎されないまたは望ましくないことがある。乳酸メンチルは無臭であり、メントールより高い(例えば30倍超の)清涼効果を有することができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、洗顔剤組成物は、局所的な用途に適した任意の形態を有することができる。例えば洗顔剤組成物は、液体、クリーム、ペースト、ゲル、ゼリー、ピール、軟膏、塗り薬および/または粉末として調合することができる。いくつかの実施形態によれば、洗顔剤組成物は、すり込む、こする、塗りつける、噴霧する、被覆する、または他の方法で材料を被験者の皮膚に接触させることによって塗布することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、組成物(例えば、抗アクネ発泡性洗顔剤)は、ブチレングリコール、コカミドプロピルベタイン(例えば、約7.5%(w/w)超)、オレフィンスルホン酸ナトリウム(例えば、C14〜C16)、ポリソルベート20、α−ヒドロキシ酸(例えば、最大約5%(w/w))、ココ硫酸ナトリウム、β−ヒドロキシ酸(例えば、最大約2%(w/w))、エトキシジグリコール(ethoxydiglycerol)、water lily CD−50045、水酸化アンモニウム、リノールアミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸、EDTA(例えば、EDTA二ナトリウム)、乳酸メンチル、メントール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンおよび/またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、各成分の濃度は、所望されるまたは必要とされる通りに、先に示した量および/または実施例1に示す量の±20%の範囲内で変更することができる。例えば、コカミドプロピルベタインの濃度は、約6%(w/w)〜約9%(w/w)とすることができる。いくつかの実施形態では、β−ヒドロキシ酸の濃度は、約0.5%(w/w)〜約3.5%(w/w)とすることができる。
【0025】
(抗酸化剤組成物)
いくつかの実施形態において、(例えば、内在性の細菌ポルフィリンの存在下における)光線療法は、例えば一重項酸素を含めた細胞内の活性酸素種(ROS)を生成する可能性がある。ROSは強い抗菌性がある可能性があるが、抑制されないままにした場合には、皮膚に対して、皮膚内の酸化ストレスおよび付随する炎症を含めた望ましくない影響を及ぼすこともある。したがって、いくつかの実施形態において、所望されるかつ/または必要とされる場合には、(例えば、ROSを抑えるために)光線療法を受ける皮膚を抗酸化剤組成物と接触させることができる。いくつかの実施形態によれば、抗酸化剤組成物は、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)(例えば、約0.2%(w/w))を含むことができる。SODはヒトの皮膚において自然に発生し、工程で使い尽くされることなくフリーのスーパーオキシドラジカルを除去することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、抗酸化剤組成物は、角質溶解特性および/または穏やかな抗菌特性を有することが可能なサリチル酸(例えば、約1.25%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、抗酸化剤組成物は、皮膚に浸透すること、および/または皮膚に潤いを与えることが可能なスクアレン(例えば、約0.875%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態において、抗酸化剤組成物は、角質層の上層を再び整えること、加齢しみおよび/またはしみを減らすこと、細かいしわを減らすこと、および/または剥離特性を有することが可能なビタミンB(ナイアシンアミド)(例えば、約0.5%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、抗酸化剤組成物は、抗酸化特性を有すること、ならびに/あるいはコラーゲンおよび/またはメラミンの合成を増やすことが可能なビタミンC(アスコルビン酸テトラヘキシルデシル)(例えば、約0.1%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態において、抗酸化剤組成物は、皮膚の厚さを増やすこと、コラーゲン繊維およびエラスチン繊維の配列を改善すること、皮膚に潤いを与えること、ならびに/あるいは皮膚の状態、細かいしわおよび/またはしわを改善することが可能なビタミンA(パルミチン酸レチニル)(例えば、約0.1%(w/w))を含むことがでる。いくつかの実施形態によれば、抗酸化剤組成物は、抗菌特性、角質溶解特性、面皰溶解特性、フリーラジカル捕捉特性および/または抗炎症特性を有することが可能なアゼライン酸(例えば、約0.08%(w/w))を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、各成分の濃度は、所望されるまたは必要とされる通りに、先に示した量および/または実施例2に示す量の±20%の範囲内で変更することができる。例えばビタミンB(ナイアシンアミド)の濃度は、0.4%(w/w)〜約0.6%(w/w)とすることができる。いくつかの実施形態において、β−ヒドロキシ酸の濃度は、約0.3%(w/w)〜約2.2%(w/w)とすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗酸化剤組成物は、局所的な用途に適した任意の形態を有することができる。例えば抗酸化剤組成物は、液体、クリーム、ペースト、ゲル、ゼリー、ピール、軟膏、塗り薬および/または粉末として調合することができる。いくつかの実施形態によれば、抗酸化剤組成物は、すり込む、こする、塗りつける、噴霧する、被覆する、または他の方法で材料を被験者の皮膚に接触させることによって塗布することができる。
【0028】
装置およびシステム
本開示によるシステムの一実施形態を図1に示す。患者10は、光源20からの光で照射される。光源20は、P.acnes細菌によって生成されるポルフィリンのソレー帯における光吸収と重なるように、約390〜約430nmの波長範囲内の光を放出する発光ダイオード、レーザダイオード、閃光ランプ、または他の光源を含むことができる。P.acnesのポルフィリンは、550nm〜700nmの範囲内に様々な吸収ピークを有するQ帯など、他の吸収帯で励起させることもできる。600〜700nmの範囲内の光は、組織内で抗炎症効果を生じさせることもできるが、この波長範囲における抗炎症メカニズムは、おそらくミトコンドリアを伴う。したがって、いくつかの実施形態では、光源は、より広いスペクトル範囲を有する光源によって、または様々な波長で動作する複数のLEDもしくはレーザダイオードを備える光源によって、こうした600〜700nmの範囲内のより長い波長を包含するようにしてもよい。こうしたより長い波長は、短い波長より皮膚に深く浸透するという利点を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、患者を照射する光40から望ましくない波長を低減および/または除去するために、患者と光源の間に光学フィルタ30を置くことができる。例えば、LEDから放出される光は、LEDの主要な波長以外の波長帯に望ましくない光を含む可能性がある。この望ましくない光は、低い相対強度のものであるが、蛍光放出自体の強度が低いため、蛍光の観察を妨げる恐れがある。例えばフィルタ30は、患者の皮膚を、P.acnes細菌内のポルフィリンが蛍光を発する波長と同じ波長の光で照射することを妨げるように構成することができる。そうしたショートパスフィルタの一例は、Schott North America(ニューヨーク州エルムスフォード)からのモデルBG3である。いくつかの実施形態では、皮膚からの正反射を低減するために、フィルタ30を偏光光学系とすることができる。
【0030】
望ましくない波長におけるLEDからの光の放出を低減するための他の手段が、そうしたLEDの望ましくない放出の光源になり得る部分を除くことである場合がある。そのようなLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州ジャクソンビル)から入手することができる。いくつかの実施形態では、これによってフィルタ30の必要性を低減する、またはフィルタ30を不要にすることができる。
【0031】
患者の皮膚から送られる光50は、P.acnes細菌内のポルフィリンからの蛍光80と共に、光源20からの光40の一部を含む。少なくともいくつかの実施形態では、システムが患部の観察用に構成されているかどうかに応じて、蛍光80のみが観察者に届くように、第2の光学フィルタ70を設けて光源20から送られる光を遮断することができる。しかしながら、フィルタ70は、すべての実施形態に必要とされない可能性がある。いくつかの実施形態において、光学フィルタ70は、例えばNoIR Laser Company,LLC(ミシガン州サウスリヨン)によって製造されるモデル700−ARGなど、ガラスの形で提供することができる。いくつかの実施形態において、装置は、(例えば自己処置のために)被験者が蛍光の領域によって示される患部を観察できるように構成することが可能なミラー60を含むことができる。ミラー60に加えて、かつ/またはミラー60の代わりに、装置および/またはシステムは、カメラ、光検出器または視覚化手段を含むことができる。
【0032】
被験者の皮膚が患部、通常は顔、胸、肩または背に照射を受けた状態で、被験者(例えば、患者または観察者)は、蛍光を発する細菌の強さおよび位置を視覚化することができる。これによって、処置工程を患部のみに限定することが可能になる。いくつかの実施形態では、異なる蛍光スペクトルを有する様々なポルフィリンを観察することができるように、やはり1対のガラスとすることができる光学フィルタ70が、550〜700nmの範囲内の光を透過するようにすることができる。いくつかの実施形態において、フィルタ70は、単に約550nm未満の光を遮断する。いくつかの実施形態によれば、光源20は、広い範囲の波長にわたる光および/または複数の範囲の波長の光を放出するように構成することができる。そうした装置では、光学フィルタ70は、光源20によって放射される範囲の一部またはすべてを濾波して除くように構成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、治療法は、例えば蛍光を視覚化することによって、処置を必要とする患部(例えば、活動性のアクネ病変を含む皮膚)を特定することを含む(例えば、それで始まる)ことができる。いくつかの実施形態では、患部を特定せずに進むことが望ましい場合がある。例えば使用者は、活動性のアクネ病変を含む皮膚の領域を処置すること、または活動性のアクネ病変を含まないこともある皮膚の領域を予防的に処置することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、処置装置は、作動させて、患部を適当な線量の所定の波長の光で照射するように構成することができる。図2は、本開示による視覚化装置の例示的な実施形態を示す。分かりやすくするために、図1と同じ要素にはその同じ参照番号が割り当ててある。被験者10を、413nmなど適当な波長の光40を伴う光源20によって照射することができるが、通常は必ずしもフィルタ30を通すわけではない。被験者の皮膚によって反射されるまたは送られる光50は、フィルタ70によって濾波して除くことができ、一方、蛍光80はフィルタ70を通過し、医師または他の観察者90が観察することができる。
【0035】
図3および図4は、本開示による処置装置の特定の例示的な実施形態を示しており、より適切に理解することができる。特に、図4の分解斜視図に示す装置300はハウジング305を備え、いくつかの実施形態において、ハウジング305は、頂部ハウジング305A、底部ハウジング305B、通気孔305C、および出力開口部305Eを形成するノーズピース305Dからなることができる。図示した実施形態の場合、ハウジングは、手持ち式であるように構成することができる。他の実施形態では完全に手持ち式である必要はなく、連結物または他の適切な物理的装置によって接続された、基部ステーションおよび手持ち式のヘッドユニットを備えることが可能であることが理解されるであろう。
【0036】
図示した実施形態のハウジング305の内部には、光源310を取り付けることが可能な回路基板315が存在することができ、光源310は、例えばLED、LEDアレイ、あるいは1つまたは複数のレーザダイオード、閃光ランプもしくは他の発光デバイスを含めた他の適切な光源など、1つまたは複数のデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、光源310によって放出される光を380〜500nmの範囲内とすることができ、またいくつかの実施形態では、例えば413nmおよび/または415nmなど、400〜420nmの範囲内とすることができる。顔に対する300〜500ジュール/cmの線量の415nmの青色光は、P.acnesのコロニーを減少または変化させ、アクネ病変の数を50%超減少させるのに十分である可能性がある。いくつかの条件下では、4週間未満でこの効果をもたらすのに、200mW/cmの出力密度では不十分であることが本発明者等によって観察されている。いくつかの条件下では、800mW/cmの出力密度は、有害な副作用を引き起こす恐れがある。いくつかの実施形態において、望ましい出力密度は300〜700mW/cmとすることができる。光源310のサイズは、開口部のサイズおよび出力される所望の出力密度によって決めることができる。いくつかの実施形態では、現在のところ、出力される出力密度が高まると、少なくとも患者の快適さの限界までは、処置の有効性が不均衡な形で高まると考えられる。光源310および回路基板315は、以下に論じる図5においてさらに詳しく示される。
【0037】
図示した実施形態では、所与の光出力での最大許容露光(MPE)時間に対して目の安全性を最適化するために、光源310によって放出された光は、任意選択の光混合器320を通過し、次いでディフューザ325を通る。いくつかの実施形態の場合、光学フィルタ70はハウジングの中に、通常はディフューザ325と一列に並べて配置することができる。次いで前方に伝わる光は、出力ウィンドウ330を通過する。出力ウィンドウ330は、ガラス、サファイア、または石英、ダイヤモンドなどの他の同様の材料とすることができる。さらにウィンドウ330は、TiOなど透明な抗菌性の層で被覆することができる。前述の要素のすべてがあらゆる実施形態で必要とされるわけではなく、いくつかの実施形態では、これらの要素はどれも不要であることが理解されるであろう。
【0038】
出力ウィンドウは、正方形、長方形、円形および楕円形を含めた様々な形として構成することができる。しかしながら、少なくともいくつかの実施形態では、出力ウィンドウの形を長方形とし、1センチメートル程度の短軸、および2〜5センチメートル程度の長軸を有することができる。いくつかの実施形態では、出力ウィンドウを1センチメートル×3センチメートル程度の長方形とすることができ、それによって、被験者の快適さと処置の速度の適切な組合せをもたらすと同時に、被験者の顔での位置決めを容易にすることも可能になると思われる。
【0039】
光混合器320は、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、またはガラス(BK7もしくは同様のもの)、または石英など、適切な透明材料からなることができる。光混合器320は、反射性の壁を有する中空管とすることもできる。ディフューザは、乳白色のガラス、テフロン(登録商標)または同様の散乱媒体などのバルクディフューザとすることができる。いくつかの実施形態において、ディフューザ325は、すりガラスなどの表面散乱体、または例えばリソグラフィ、ホログラフィもしくは他の手段によって製造可能な多数の微小な回折素子もしくは屈折素子からなる表面を有する、工学的に作り出された基板とすることができる。ランバート出力に近い分布を有するLEDなどの光源の場合でさえも、いくつかの実施形態では、ディフューザを用いて、個々のLEDの出力面積の合計より大きい面積を有するディフューザの出力面にランバートに近い仮想の光源を作り出すことによって、光源に関する目の安全性を最適化することができる。
【0040】
図示した実施形態におけるハウジングは、回路基板315を取り付けることができるヒートシンク335も収容する。追加の冷却が望ましいと考えられる場合には、ハウジング305の中にファン340を取り付けることもできる。ファン340は、ヒートシンク335を補うために設けることができる。あるいはそうではなく、ファン340を、送風機、または強制的な対流を得るための同様の装置とすることもできる。ヒートシンク335はフィンを有することが可能であり、フィンには斜角を付けてもよく、その結果、斜角を付けていないフィンを有する同様の前面を備えたヒートシンクに対して、気流への抵抗を低減することができる。いくつかの実施形態では、ヒートシンクおよびファンの代わりに、またはそれらに加えて、熱電冷却装置を用いることもできる。
【0041】
やはりハウジング305の中に収容される第2の回路基板345は、マイクロコントローラ、および環境に対する低い熱インピーダンスを必要としない他の低出力の構成要素のための取付け部を形成する。装置に対する電力は、電池(図示せず)、または導体350を介した電気的な主要部もしくは外部電源への接続によって供給することができる。回路基板315および345は、リボンケーブルまたはフレキシブル回路基板390など、任意の適切な手段によって接続することが可能であり、例えば基板は、各構成要素を回路基板315に取り付けるために使用されることがある高い組立て温度に耐えることができるように、ポリイミド基板からなる。少なくともいくつかの実施形態では、充電式電池を用いることが可能であり、充電式電池は、例えばニッケル−金属水素化物、リチウムイオン、リチウムリン酸鉄、または他の充電可能な設計のものとすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、皮膚センサ355をノーズピース305Dの上に位置決めすることもでき、また例えば、光学シャーシ360のどちらの側にも位置決めすることができる。センサ355は、参照によって本明細書に援用する米国特許出願第12/189,079号に開示される容量性のもの、または機械的もしくは光学的なものとすることが可能であり、処置を受ける領域との近接または接触を保証することができる。少なくともいくつかの実施形態において、光学シャーシ360は、混合器320、フィルタ70、ディフューザ325および出力ウィンドウ330を支持するが、別法として、これらの構成要素のいくつかを、ノーズピース305Dによって支持することができる。さらにいくつかの実施形態では、出力ウィンドウ330の周りに位置決めすることができる、1つまたは複数の容量性センサ355と共に、ハウジングの中にオン−オフスイッチを収めることもできる。
【0043】
いくつかの実施形態では、ハウジング305の中に、スイッチ370を支持するボード365を収容することができる。2つのスイッチのみを示しているが、正確な数は特定の実装形態のみによって決めることが可能であり、1つまたは複数とすることができる。図示した例では、スイッチ370は、頂部の把持部380の上に位置決めされたボタン375によって作動させることができる。実施形態に応じて、スイッチを用いて装置に電源を入れる、かつ/または光源310に光を放出させることができる。いくつかの実施形態では、スイッチ375の機能を、先に論じたセンサ355によって実施することができる。(1つまたは複数)のオン−オフスイッチ370および/またはセンサ355は、直接的または間接的に回路基板345に接続することができる。便宜上、底部の把持部385を設けることもでき、また都合のよい任意の手段によって、それをハウジングの底部305Bに取り付けることができる。
【0044】
図5は、熱伝導性回路基板315および光源310を含む装置について、特定の例示的な実施形態を示している。回路基板315は、BeOもしくはAlNなどのセラミック、またはダイヤモンド、または本開示の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で構成することができる。一般的には、回路基板315は熱伝導性であると同時に非導電性とすべきである。図示した実施形態では、回路基板315は3つの基板315A〜Cからなるが、任意の都合のよい数の基板を用いることができる。図示される3つの基板それぞれの上の6つのLEDのアレイなど、1つまたは複数の光源を、様々な都合のよい配置で回路基板315の各基板に取り付けることができる。先に言及したように、光源の数は、主として所望の開口部のサイズおよび出力される出力密度によって決めることができる。適切な波長および出力での放出を伴うLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州ジャクソンビル)、Cree,Inc.(ノースカロライナ州ダラム)、またはNichia Corporation(日本、東京)を含むいくつかの供給源から入手することができる。
【0045】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、過熱を防止するために、サーミスタまたは半導体ベースの熱検出器などの温度センサ505を、回路基板315に取り付けることができる。さらに、環境に対する低い熱インピーダンスによって利益を得る、電流制御FET600などの任意の高出力の電子部品を、回路基板315の上に組み立てることができる。電気絶縁性であるだけではなく熱伝導性でもあり、かつLED、温度センサおよび高出力の電子部品を備える回路基板315によって、回路基板345が、熱放散に対する特別な対策も、ヒートシンク/LEDアレイの温度を別々に検知する手段も用いずに設計されることを可能にする。
【0046】
図6は、図3および図4に示す実施形態の制御回路について、特定の例示的な実施形態を示している。高出力光源310のための駆動電子部品は、バック、ブースト、またはバック−ブースト構成を含むことができる。こうした構成は、LEDに対する電流を制御するために、比較的高いエネルギーのインダクタを使用している。図3および図4の処置装置のいくつかの実施形態によれば、基板315A〜nそれぞれの上の1つまたは複数のLED310A〜nに対するLED電流は、線形モードで動作する個々のFET600(n個の基板についてFET600A〜nとして示す)を用いて制御することができる(図6)。電流制御FET600は、そうした構成の低い熱インピーダンスを利用するために、1つまたは複数のLED310を取り付けることが可能な同じセラミック基板315の上に離して配置することができる。残りの回路の構成要素は過度の熱を放散せず、したがって、特別な熱に関する考慮を必要とせずに、それらを従来型のFR4プリント回路基板345の上に組み立てることができる。
【0047】
単純かつ安価なマイクロコントローラ605は、電流制御FET600のゲートを駆動するのに適したアナログ出力を提供する機能を有していないことがしばしばである。いくつかの実施形態では、ローパスフィルタとしての単一のコンデンサ610および抵抗器615と共に、パルス幅変調を用いるマイクロコントローラ605からの単純なデジタル出力を使用して、各FET600のゲートを駆動する適切な擬似DC制御信号を発生させることができる。したがって図示した実施形態では、n個の基板に対してコンデンサ610A〜nおよび抵抗器615A〜nを用いることができるが、この配置がすべての実施形態で必要とされない可能性がある。適切な電流の設定値のために、LEDと直列の、620A〜nとして示す電流検出抵抗器を用いて、マイクロコントローラにフィードバックを提供することができる。図6の回路図から、この回路構成により、電圧源Vsupply645によって与えられる電圧とは別の異なる電圧を与えることが可能な電圧源Vdd650によって電力を供給される、共通の低電圧のマイクロコントローラの使用も可能になることを理解することができる。電圧源Vsupply645は、高出力光源310を備える(1つまたは複数の)LEDの(1つまたは複数の)順電圧の合計より大きい電圧を与える。2〜3個より多い直列のLEDの順電圧に打ち勝つのに必要な電圧は、共通の低電圧マイクロコントローラを損傷する。高出力光源をインターフェースで連結して制御するのに、マイクロコントローラの2つのピンしか必要としないため、とりわけ小さく安価なマイクロコントローラの使用を可能にすることができる。それでも、複数の光学出力の設定、遅いターンオンおよびターンオフならびに調光など、精巧な機能が実施可能である。Vsupplyの値を注意深く選択することにより、この単純かつ安価な構成によって、より複雑なバック−ブースト構成と同様の電気効率を得ることが可能であり、したがって、電流制御FET600の両端でわずかな電圧しか降下しない。
【0048】
いくつかの実施形態において、625Aで示す回路は、機能しない短絡したLEDを検出することができるように、310A〜nのLEDアレイそれぞれに対して、マイクロコントローラがLEDアレイの順電圧を検知することを可能にする分圧器を提供する。いくつかの実施形態では、光学出力が低下して処置の有効性が減じられるため、短絡したLEDを検出することが望ましい場合がある。また、1つまたは複数の短絡したLEDの順電圧は、電流制御FET600の両端に現れる。マイクロコントローラが装置を動作させ続けた場合、FET600の両端における追加の電圧によってさらに熱が発生し、FETの故障をまねく可能性がある。ヒューズ640は、追加の安全手段を提供する。図6には回路625Aのみが示されているが、いくつかの実施形態では同様の検知回路を実装することが可能であり、したがって、実際には検知回路625A〜mが存在することが理解されるであろう。
【0049】
電子工学分野の当業者は、この点について論じられた回路を、1つまたは複数のLEDアレイ組立体310に対する複数の制御FETを用いて、複数のLEDまたは複数のLEDアレイを並行に独立して制御するように、適切に重複して行うことが可能であることを理解することができる。必要とされる追加の構成要素は、少数の抵抗器および単一のコンデンサ(すべて低出力かつ安価)を含むことができる。並列のアレイはそれぞれ、大きくない数の追加のマイクロプロセッサピンを利用できることが必要である。追加の並列なLEDアレイは、同じ波長のものとすること、または同じ装置の中に異なる光波長に対して提供することが可能である。
【0050】
安全回路630は、いくつかの実施形態において、コントローラ605のアナログ入力に接続された電流検出用の低ライン、および安全FET635のゲートに接続されたデジタル出力信号630Bと共に、電流制御FET600に対するバックアップとして使用可能な追加の安全FET635を示す。FET635は、単にスイッチとして働き、LEDアレイを通って流れる電流のレベルを制御するものではなく、電流制御FET600によって放散される大量の熱を放散する必要がない、小さい安価なFETとすることができる。FET635の両端で降下した電圧が、電流検出抵抗器の両端に現れる電圧と比べてかなりのものになり得る場合には、電流検出抵抗器620の負端子の電圧を測定する、追加の電流検出用の入力を用いることができる。電流制御FET600が故障した場合には、安全FET635を用いて(1つまたは複数の)LEDアレイへの電流を停止することができる。安全装置としてのその機能に加えて、安全FET635のゲートはプロセッサのデジタル出力によって直接駆動することができ、また挿入されたRCフィルタを有していないため、安全FET635は、光源の電流を、電流制御FET600によって可能になり得る周波数より高い周波数で変調する能力をもたらす。変調用の安全FET635により、DC電流のレベルを用いて光源を駆動する場合に求められる、極めて低い電流レベルの問題を解決する必要なしに、光源を特に低い平均的な光出力まで正確に減光することを可能にすることができる。複数の並列のLEDアレイ組立体の場合にも、ただ1つの安全用FET635が必要になることがあるが、所望される場合には、追加のそうしたFETを用いてもよい。
【0051】
動作中、図3および図4に示す装置300は、患部に接するように、または少なくとも患部の近くに配置することができる。(1つまたは複数の)センサ355、あるいは(1つまたは複数の)スイッチ370は、LEDアレイの通電を生じさせ、その後すぐに、約413nmの波長のパルスまたは連続ビームを放出させることができる。いくつかの実施形態において、装置は、約1W/cmの出力密度を有するビームを放出することが可能であり、皮膚の患部を15〜30秒間照射することができる。いくつかの実施形態では、出力密度を、例えば2W/cmまで、あるいは実施形態によっては10W/cm以上に著しく高めることが望ましい場合がある。そうした装置では、処置のための領域に低温スプレーなどの冷却剤メカニズムを使用することによって、またはサファイアなどの熱伝導性のウィンドウを用いて、熱伝導性のウィンドウと処置される皮膚との間の接触を維持することにより、皮膚を冷却することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、ウィンドウを冷却することもできる。
【0052】
図1および図2に関連して説明した視覚化工程によって、処置装置を患部を標的としたものにすることができる。装置の出力密度は、0.5〜2W/cmの範囲内とすることができるが、白人の皮膚の場合、約1W/cmの出力密度が、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を与えると思われ、また処置メカニズムは、光化学効果と光熱効果の組み合わせたものとなり得る。皮膚を冷却またはヒートシンクで放熱することによって、20W/cmまで、またはそれより高い出力密度で、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を得ることができる。さらに、20〜40ジュール/cm程度の線量が、病変の数を減少させるのに効果的であることが分かっている。しかしながら、出力密度、パルス幅、処置の頻度、処置の間隔、およびことによっては皮膚のタイプに応じた様々な線量によって同程度の治療効果を得ることが可能であり、したがって、前述の線量の範囲および関連するパラメータは限定的なものではないことが理解されるであろう。さらにいくつかの実施形態では、前述の処置技術に加え、追加の処置メカニズムとして、皮膚を加熱するための熱源を設けることが望ましい場合がある。
【0053】
前述の線量範囲の下限では、処置メカニズムは主として、光とP.acnes細菌の内部またはその近位に含まれるポルフィリンとの光化学反応に基づく可能性がある。高い線量、例えば1W/cmを十分に超える線量では、処置メカニズムは主に光熱的である可能性があり、その場合、熱による細菌の損傷は、炎症カスケードを遮断するのに十分なものであると考えられるが、やはり光化学的メカニズムを伴う可能性がある。光熱的な処置がそれによって効果的になり得る1つのメカニズムは、細菌のアポトーシス小胞の溶解である。処置メカニズム、およびそれに応じた様々な線量範囲のいずれか、またはその両方を用いる本開示の実施形態を実施することが可能であることが理解されるであろう。
【0054】
最適な線量の決定には、目の安全性の側面を伴うこともある。いくつかの実施形態では、主にその最適条件まで高める目的でディフューザ325を設けることが可能であり、装置の最大許容露光量(MPE)が、「International Standard for the photobiological safety of lamps and lamp systems, (IEC 62471)」によってMPEとして定められる。他の基準が存在し、同様の指針を与えてもよい。脱毛に対するものなど一部の装置に伴う光熱による損傷とは異なり、本開示の波長範囲内での目の安全性に関する問題は、目の網膜における光化学反応も含み、それはこうした波長における光熱による制限より拘束的である傾向がある。目の損傷を防止するために、1日あたりの露光量に対する制限が課すことができる。そうした露光制限は、装置を1日あたり限られた時間だけ作動させることを可能にする、装置の電子部品に組み込まれたタイマーによって実施することができる。適切なディフューザの一例は、DuPont Fluoroproducts,Inc(デラウェア州ウィルミントン)によって製造される、Teflon PTFE 7Aの厚さ0.003インチのウェハとすることができる。
【0055】
本開示の装置では、光子リサイクリングも有用である。混合器が、その入出力面の平面に垂直な側壁を有し、屈折率が約1.41より大きい場合には、側壁に入射するすべての光線が全内反射(TIR)を受けるため、光がその側壁を通じて混合器から逃げることはない。したがって、光源が実質的に反射性である場合には、光源に戻された光は再び反射されてディフューザに戻る。混合器は光を空間的に均質化するように働き、その結果、装置のディフューザではビームの強度が空間的に均質になり、したがって、ホットスポットの発生を防止することができる。理想的には平坦な側壁を有し、したがって正方形、六角形などの多角形の断面を有する混合器は、高度の空間的均質性を実現する。湾曲した側壁を有する混合器は、すべてのケースで同程度の空間的均質性を実現しない傾向があるが、いくつかの実施形態では有用になり得る。他の実施形態では、他の形を用いることができる。
【0056】
次に図7を参照すると、本装置の気流についてより適切に理解することができる。図4に示すように、ファン340を設け、ヒートシンク335の後ろに配置することができる。いくつかの実施形態において、ファン340は、空気をハウジング305内の入口を通して装置に引き込み、そこで、空気を強制的にヒートシンクのフィンを通過させ、次いでハウジングの通気孔部305Cから出すことができる。先に言及したように、送風機、あるいは1つまたは複数の熱電装置を含む代替の熱処理装置を用いることができる。
【0057】
本開示による工程の例示的な実施形態を図8に示す。ステップ800に示すように、工程は被験者の皮膚を、P.acnes細菌によって生成されるポルフィリンに、ソレー帯あるいはQ帯の1つまたは複数における光吸収から蛍光を生じさせる波長の低出力光で照射することによって始まる。ソレー帯あるいは1つまたは複数のQ帯の吸収は、様々な波長でピークに達する。波長によって浸透深さが変わるため、ソレー帯および様々なQ帯の吸収に適合させた、選ばれた波長から構成される光を使用して、様々な深さの組織の処置を最適化することができる。次いで、ステップ805に示すように、蛍光を発する細菌によってコロニーが形成された領域を、特定するまたは視覚化することができる。次にステップ810で示すように、患部を十分な出力密度(例えば、約0.4ワット/cm以上)の高強度の青色光に曝す。
【0058】
ステップ815に示すように、使用者は、患部に対して少なくとも10ジュール/cm程度の線量を設定する。所望の線量を適用するために、様々な方法を用いることができる。いくつかの実施形態では、装置が連続的に光を放出する間、装置を皮膚の上でゆっくりと移動させることによって、装置を用いて皮膚を「塗る」ことができる。使用者は、装置をゆっくり移動させると同時に、装置を皮膚が不快に熱くなるほど長く皮膚の同じ領域に留めないように指示されることがある。組織の隣接する場所に移動する尺度としての温感は、使用者に依存する可能性がある。あるいは、聞き取れるビープ音もしくはブザー音、視覚による指示器、振動源または機械的なローラなどの時間調整メカニズムを設け、装置をいつ皮膚の次の領域に移動させるかを示すことができる。あるいは使用者は、単位面積あたりあらかじめ決められた時間にわたって患部を処置するように指示されることがある。他の代替形態は、装置によって得られる蛍光消光を監視し、そのフィードバックを用いて、使用者にいつ次の領域へ移動するかを示すことができる。そうした監視は光ファイバを使用して、邪魔にならずにかつ好都合に組織によって放出される蛍光をサンプリングし、光を適切な検出器に伝えることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、パルス装置を用いることが可能であり、装置を単一の処置パルスの間しばらく皮膚に接触させ、次いで引き上げ、次の処置領域に移動させることできる。この手法は、「スタンピング」手法と考えることができる。そうしたパルス化された動作は、持続時間の中のわずか何分の1秒〜数秒のパルスによって、5〜20W/cmを発生させることができる装置に特に適している可能性がある。
【0060】
最後に、ステップ820に示すように、使用者は、最初は病変を減らすように、次いでP.acnes細菌の濃度を、さらに病変を誘発する細菌の能力を低減する十分に低いレベルに維持するように、毎日または毎週など定期的に工程を繰り返すことができる。
【0061】
本開示による装置の例示的な実施形態を図9〜11に示す。図11に分解斜視図として示す装置400は、上部ハウジング405A、下部ハウジング405B、キャップ開口部405Dを形成するキャップ405C、および出力開口部405Fを形成するノーズピース405Eからなるハウジング405を備えている。ハウジング400に適した材料は、それだけに限らないが、ポリマー、およびポリカーボネート/ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)ブレンドなどのポリマーブレンドを含むことができるが、軽量金属および他のプラスチックなどの他の材料もハウジングに利用できることが、当業者には認識されるであろう。図示した実施形態では、ノーズピース405Eのベゼルまたは前面をプラスチックなどの非導電性材料で製造することができるが、他の実施形態では、ノーズピース405Eを金属または金属化プラスチックで製造することができる。
【0062】
処置装置400は電池によって駆動されるが、別法として、ねじを用いてハウジング405に取り付けることができ、ハウジング外部の出力開口部407に通じる外部の電力導体406を用いて、装置を外部電源に取り付けることができる。ハウジング405は、装飾的なデザインまたはロゴ409を含むことができ、図示した実施形態では、デザイン上の要素は、ハウジング内の切り取られたロゴデザインであり、ハウジング405の中に取り付けられたライト408によって後ろから照らすことができる。
【0063】
処置装置400の各側面には、アルミニウムなどの軽量材料で製造された通気孔411を配設することができる。通気孔411のアルミニウム材料は、複数の開口部を有するメッシュとして構成することができ、図13に関連して以下にさらに詳しく説明するように、通気孔411はそれぞれ、空気取入口領域と空気出口領域の両方を含む。
【0064】
図示した実施形態において、ハウジング405は手持ち式であるように構成され、一般にテーパが付いたある程度平坦な円筒として成形される。他の実施形態では完全に手持ち式である必要はなく、連結物または他の適切な物理的装置によって接続された、基部ステーションおよび手持ち式のヘッドユニットを備えることが可能であることが理解されるであろう。
【0065】
図示した実施形態のハウジング405の内部には、光源416を取り付けることが可能な回路基板415が存在することができ、光源416は、例えばLED、LEDアレイ、あるいは1つまたは複数のレーザダイオード、閃光ランプもしくは他の発光デバイスを含めた他の適切な光源など、1つまたは複数のデバイスとすることができる。各実施形態では、光源416によって放出される光を380〜500nmの範囲内とすることができ、またいくつかの実施形態では、例えば413nmなど、400〜420nmの範囲内とすることができる。光源416のサイズは、開口部のサイズおよび出力される所望の出力密度によって決めることができる。この例示的な実施形態では、光源416を、単一のBeOセラミック回路基板415に取り付けられた6つまたは8つのLEDとすることができるが、回路基板415は、例えばAlN、またはダイヤモンド、または本開示の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で製造することもできる。光源416および回路基板415は、以下に論じる図12においてさらに詳しく示される。これまでに言及したように、他の実施形態は、ただ1つの適切で強力なLED、または20以上ものLEDを含むことができる。
【0066】
図示した実施形態では、光源416によって放出された光は中空の光混合器417を通過し、光混合器417の環状の壁は、約1cmの長さとすることができる。混合器417は反射性の壁を有し、アルミニウムもしくは他の軽量金属、または金属化プラスチックから製造することができる。特定の実装形態に対して中実の混合器が好ましい場合、混合器は、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、またはガラス(BK7または同様のもの)、または石英など、適切な透明材料からなることができる。いくつかの実施形態において、中空の混合器は、より大きい光の発散を許容し、それによって出口開口部405Fにおけるより均質な分布を可能にするため、望ましい場合がある。
【0067】
混合器417は光を空間的に均質化するように働き、その結果、ディフューザ425の出力側でビームの強度を実質的に均質にすること、およびホットスポットを低減するまたはその発生を防止することが可能である。この文脈で使用される「均質」という用語は、「均質」をどのように測定するかによって、依然としてかなりの変動を許容し得ることが、当業者には理解されるであろう。理想的には平坦な側壁を有し、したがって正方形、六角形などの多角形の断面を有する混合器は、高度の空間的均質性を実現する。湾曲した側壁を有する混合器は、すべてのケースで同程度の空間的均質性を実現しない傾向があるが、いくつかの実施形態では有用になり得る。他の実施形態では、他の形を用いることができる。
【0068】
中空の混合器417は、ディフューザ425を取り付けるガスケット418を含む。ディフューザは、乳白色のガラス、ポリトラフルオロエチレン(Teflon(商標))または同様の散乱媒体などのバルクディフューザとすることが可能であり、一実施形態では、ディフューザは、0.003インチ〜0.005インチの厚さを有するVirgin Electrical Grade Teflonを含むことができる。1つのそうした材料は、DuPont Fluoroproducts,Inc(デラウェア州ウィルミントン)によって製造されるTeflon PTFE 7Aである。いくつかの実施形態において、ディフューザ425は、すりガラスなどの表面散乱体、または例えばリソグラフィ、ホログラフィもしくは他の手段によって製造可能な多数の微小な回折素子または屈折素子からなる表面を有する、工学的に作り出された基板とすることができる。所与の光出力での最大許容露光(MPE)時間に対して目の安全性を最適化するために、光は混合器417からディフューザ425を通って移動する。いくつかの実施形態では、主にその最適条件まで高める目的でディフューザ425を設けることが可能であり、装置の最大許容露光量(MPE)が、「International Standard for the photobiological safety of lamps and lamp systems, (IEC 62471)」によってMPEとして定められる。他の適切な基準が存在し、同様の指針を与えてもよい。脱毛に対するものなど一部の装置に伴う光熱による損傷とは異なり、本開示の波長範囲内での目の安全性に関する問題は、目の網膜における光化学反応も含み、それはこうした波長での光熱による制限より拘束的である傾向がある。ランバート出力に近い分布を有するLEDなどの光源の場合でさえも、いくつかの実施形態では、十分な散乱特性を有するディフューザを用いて、やはり放出された光に対して個々のLEDの出力面積の合計より大きい出力面積をもたらすと同時に、ディフューザの出力面にランバートに近い仮想の光源を作り出すことによって、光源に関する目の安全性を最適化することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、図4に示すフィルタ325などの光学フィルタを、ハウジングの中に、通常はディフューザ425と光学的に整列させて配置することができる。しかしながら、そうしたフィルタは、すべての実施形態に必要とされない可能性がある。最終的には、前方に伝わる光は、出力ウィンドウ420を通過する。出力ウィンドウ420はポリカーボネート材料とすることができ、またガラス、サファイア、または石英、ダイヤモンドなどの他の同様の材料で製造することもできる。さらにウィンドウ420は、TiOなどの透明な抗菌性の層で被覆することができる。
【0070】
出力ウィンドウは、正方形、長方形、円形および楕円形を含めた様々な形として構成することができる。しかしながら、図示した実施形態では、出力ウィンドウの形を全体的に丸みのある長方形とし、1/2〜1センチメートル程度の短軸、および2〜5センチメートル程度の長軸を有することができる。いくつかの実施形態では、出力ウィンドウを0.5センチメートル×3.5センチメートル程度の丸みのある長方形とすることができ、それによって、患者の快適さおよび処置の速度の適切な組合せをもたらすと同時に、被験者の顔での位置決めを容易にすることも可能になると思われる。
【0071】
ハウジング405の中にヒートシンク435を設けることが可能であり、ヒートシンク435は、ヒートシンク435と回路基板415の間の境界面の薄膜436を形成する、銀充填エポキシ接着剤などの接着剤によって被覆されたアルミニウムで製造することができる。ヒートシンク435は、ねじ437Bと共に下部ハウジングから上方に向かって突出する柱438によって、ハウジングの中にしっかり取り付けることができる。導体439が柱438を取り囲み、また前方に延びて、金属被覆された混合器417の下面、および第2のプリント回路基板組立体(PCBA)445の下面上の接触パッド(図示せず)の両方との適切な電気接続部を構成する。ヒートシンク435の後ろには、ファン取付け用のブラケット442に取り付けられたファン組立体440を配設することができる。ファン組立体は2つのファンを備え、Sunonwealth Electric Machine Industry Co.,Ltdによって製造される、5.5VDCの電圧を有する1.1ワットの組立体とすることができる。補足が望ましい実施形態では、ヒートシンク435を補うためにファン組立体440を設けることができる。ファン組立体440は、送風機、または強制的な対流を得るための同様の装置とすることができる。ヒートシンク435はフィンを有することが可能であり、フィンには斜角を付けてもよく、その結果、斜角を付けていないフィンを有する同様の前面を備えたヒートシンクに対して、気流への抵抗を低減することができる。いくつかの実施形態では、ヒートシンクおよびファンの代わりに、またはそれらに加えて、熱電冷却装置を用いることもできる。
【0072】
やはりハウジング405の中に収容される第2のPCBA445は、マイクロコントローラ、および環境に対する低い熱インピーダンスを必要としない他の低出力の構成要素のための取付け部を形成する。ねじ437Aが、PCBA445上の各構成要素とヒートシンク435との間に適切な熱接続部を形成し、特に図14に関連して以下に論じる、ヒートシンクと制御FETとの間の適切な熱接続部を形成する。
【0073】
図示した装置では、装置への電力は電池447によって供給され、電池447は、例えば3つのセルの三角形の9.6VDC電池を含むことができるが、他の実施形態では電源に関する他の選択を用いてもよい。電池の頂部および底部に、ポロンフォームの電池支持体を設けることができ、電池447の両端は絶縁体層449を有することができる。装置400は、導体406によって電気的な主要部または外部電源に接続することができる。回路基板415および445は、リボンケーブル446またはフレキシブル回路基板490など、任意の適切な手段によって接続することが可能であり、例えば基板は、各構成要素を回路基板415に取り付けるために使用されることがある高い組立て温度に耐えることができるように、ポリイミド基板からなる。望ましくない摩耗および接触を防止するために、フォームシート446Aを設けることができる。少なくともいくつかの実施形態では、充電式電池を用いることが可能であり、充電式電池は、例えばニッケル−金属水素化物、リチウムイオン、リチウムリン酸鉄、または他の充電可能な設計のものとすることができる。
【0074】
この例示的な実施形態では、図4に示すように、1つまたは複数の皮膚センサ355をノーズピース405Eの上に位置決めすることもできる。センサ355は、参照によって本明細書に援用する、2008年8月8日出願の米国特許出願第12/189,079号に開示される容量性のもの、または機械的もしくは光学的なものとすることが可能であり、装置と処置を受ける領域との間の近接または接触を保証することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の容量センサ355を出力ウィンドウ330の周りに位置決めすることができる。図示した実施形態など他のものでは、混合器417を金属被覆することが可能であり、混合器417は、前述のように、PCBA445への接続部を形成する導体439、およびPCBA445上に取り付けられた制御用の電子部品によって装置のコントローラに適切に接続されると、容量センサとして働くことができる。機械的接触による適切な電気接続部を確保するために、例えば銅とすることが可能な導体439を、混合器417に接触させる端部で折り返すことができる。あるいは、いくつかの実施形態において、ノーズピース405Eは、例えば混合器が中実の混合器であるときには容量センサとして働くことができるが、その場合、ノーズピースは金属または金属化プラスチックで製造し、電極439に接続すべきである。混合器417が容量センサとして働く実施形態では、センサとしての混合器417の動作を妨げるのを最小限に抑えるために、ノーズピース405Eは金属製あるいは導電性にすべきではない。
【0075】
図示した例示的な実施形態は、図14に関連して論じる制御用の電子部品の使用によって処置の始動およびタイミングを制御することにより、安全および使用者による処置装置の制御された使用を保証する。それらを用いる実施形態では、図4および図11に示す時間調整カートリッジ450を装置に挿入し、処置を始動するように構成することができるが、少なくともいくつかの実施形態では、先に論じたセンサ355が、装置をオンおよびオフにするように機能してもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジ450は、使用者に適した様々な選択可能な治療法を提供するように構成することができる、使い捨ての光沢のないステンレスの挿入物とすることができる。使用時には、図10に最もよく示されるように、電子工学的な療法用に構成可能なカートリッジ450、ブラケット454によってカートリッジ450に取り付けられるキャリア452を、キャップ開口部405Dを通してハウジングに挿入することができる。挿入されたカートリッジ450は、主要なPCB445のPCBコネクタの端部456に付着する。次いで処置を行うために、PCB445の電子部品によって、選択された療法を実施することができる。いくつかの実施形態において、カートリッジ450は、通常は使用時間を記録する、またはあらかじめ記憶された時間の値から漸減させることによって、装置の使用が可能な残りの時間の量を記憶するための手段を提供する。カートリッジ450が使用時間のみを追跡する働きをする実施形態では、制御機能を、以下に論じる駆動用の電子部品の一部を形成するコントローラに埋め込むことができる。最適な線量の決定には、目の安全性の側面を伴うこともある。目の損傷を防止するために、1日あたりの露光量に対する制限を課すことができる。そうした露光制限は、装置を1日あたり限られた時間だけ作動させることを可能にするタイマーカートリッジ450によって実施することができる。
【0076】
本開示の装置では、光子リサイクリングも有用であるが、光子リサイクリングを行う要素は第1の実施形態のものとは若干異なる。いくつかの実施形態では、図11B〜11Dに示すように、混合器417は中空とし、オリフィス475がそれを貫通して形成される端壁470を含むことができる。LEDアレイからの光は、オリフィス475を通って混合器に入る。端壁470の内側部分を含む混合器417の内部は、高反射性とすることができる。ディフューザ425は通常、それを照射する光の約50%を透過し、それ以外の50%は混合器に戻される可能性がある。その戻された光は、LEDアレイまたは後壁に当たり、後壁に当たる光はディフューザの方へ戻される。さらに、ディフューザを通して皮膚に伝えられた光は皮膚によって散乱され、ディフューザに戻される。ここでもディフューザは、それに当たる光の約50%のみを透過し、残りを戻すため、皮膚から戻された光の一部を再び透過して皮膚に戻すことができる。
【0077】
本開示による熱伝導性回路基板および光源の例示的な実施形態を、図12に示す。回路基板415は、BeOもしくはAlNなどのセラミック、またはダイヤモンド、または本開示の装置の熱的環境に適した任意の他の材料を含むことができる。一般的には、回路基板415は熱伝導性であると同時に非導電性とすべきである。図示した実施形態では、回路基板415は単一の基板であり、1つまたは複数の光源は、図示されるその単一の基板の上の6つのLED416のアレイなど、様々な従来型の配置として回路基板415の基板に取り付けることができる。この実施形態において、LEDの数は、一般的には6つまたは8つとすることができるが、これまでに論じたように、ただ1つの大型LEDから20以上までの範囲にわたることができる。先に言及したように、光源の数は、主として所望の開口部のサイズおよび出力される出力密度によって決めることができる。適切な波長および出力での放出を伴うLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州オビエド)、Cree,Inc.(ノースカロライナ州ダラム)、またはNichia Corporation(日本、東京)を含むいくつかの供給源から入手することができる。
【0078】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、過熱を防止するために、図5に示すようなサーミスタまたは半導体ベースの熱検出器などの温度センサ505を、回路基板415に取り付けることもできるが、他の実施形態では、センサとヒートシンクの間の低い熱インピーダンスを保証するために、温度センサ505をPCBA445に取り付けることがより望ましい場合がある。さらに、環境に対する低い熱インピーダンスによって利益を得る、電流制御FET600などの任意の高出力の電子部品を、回路基板415の上に組み立てることができる。回路基板415は、電気絶縁性であるだけでなく熱伝導性とすることもでき、またLED、温度センサおよび高出力の電子部品を備えること、ならびに/あるいは回路基板445を、熱放散に対する特別な対策も、ヒートシンク/LEDアレイの温度を別々に検知する手段も用いずに設計することができる。
【0079】
LED接合と環境の間の低い熱インピーダンスは、本開示の一態様をなすものであり、本開示のこの態様に従って組み込まれた装置が、ダイを通してより多くの電流を駆動することを可能にし、その結果、生成される廃熱が放散することができる熱より多くならず、望ましくない接合温度の大幅な上昇を伴わず、かつ特別な冷却に労力を使うことなく、より大きい光出力が得られるようになる。特に、LED、ならびに示されるフィン付きのアルミニウムのヒートシンクなどの適切なヒートシンクを取り付けるための、酸化ベリリウム(BeO)または同様の回路基板と共に、基板の熱インピーダンスを実質的になくす、フリップチップで取り付けられたLED用のダイを使用することによって、さらに強制的な空気の対流によって生成される小さい空気の境界層によって、10℃/ワットよりずっと低い熱インピーダンスを得ることができる。図示した実施形態では、約2.7℃/ワットの熱インピーダンスが得られるが、一方、パッケージダイがPCBに取り付けられる従来型のLEDの取付け構成は、100℃/ワット超、ことによると数千℃/ワットもの熱インピーダンスを有する可能性がある。この重要な熱インピーダンスの低減によって、より少数のLEDの使用で所望のシステム出力を得ることが可能になる。
【0080】
本開示による装置の気流の例示的な実施形態を図13に示す。先に論じたように、ファン組立体440をヒートシンク435の後ろに設け、配置することができる。一実施形態では、ファン組立体440の取入口は、ファンの取入口に近接するように位置決めされた、メッシュのアルミニウムの通気孔411の取入口領域412を通して、空気をハウジングに引き込む。ファン組立体は、空気をヒートシンク435の中に方向付け、ヒートシンク435を通すが、そこで、空気を強制的にヒートシンクのフィンを通過させ、次いでヒートシンク435の出口端部に近接するように位置決めされた、通気孔411の出口領域413を通してハウジングから出すことができる。先に言及したように、送風機、あるいは1つまたは複数の熱電装置を含む代替の熱処理装置を用いることができる。
【0081】
本開示による装置(例えば、図9〜11に示す装置)の制御回路の例示的な実施形態を、図14に示す。電池1400は、複数のチャネルに直接電力を供給するが、分かりやすくするために、図14にはチャネルの1つのみを示す。各チャネルは、1つまたは複数のヒューズ1410を介して、LED−1からLED−nで記号を付けた複数のLED1405を備えており、例えばある装置は、全部で6つまた8つのLEDに対して、チャネル毎に2つのLEDからなる、3つまたは4つのチャネルを有することができる。それぞれのチャネルにおいて、LEDは、センチネルFET1415および制御FET1420に直列に接続することが可能であり、そのゲートは、コントローラ、または例えばFreescale MC9S08LL64CLHとすることが可能な他のプロセッサ1425によって制御することができる。コントローラ1425は、制御FET1420のゲートに適当な電圧を印加し、駆動電流がLED1405に流れることを可能にする。先に言及したものなど、一部のコントローラはアナログ電圧を出力することができず、D/A変換器を必要とし、D/A変換器は図6に示す単純なRC回路でもよいが、分かりやすくするために、ここでは繰り返さない。コントローラ1425は、センチネルFETと制御FETの間のノード1430の状態も監視する。コントローラは、検出抵抗器1435によって、信号処理マルチプレクサ1440を通して検知可能な各チャネルの状態も監視する。信号処理マルチプレクサ1440は、第2の信号処理マルチプレクサ1445を通してヒートシンクの温度および電池の温度を表す入力も受け取る。したがって、コントローラがリアルタイムでLEDの電流、電圧および温度、ならびに電池の電圧、充電および温度を監視することを理解することができる。センチネルFETは、本質的に安全スイッチとして機能する。コントローラ1425は通常、センチネルFETを「オン」状態に維持するが、監視されるパラメータのいずれかに誤り状態が生じた場合には、コントローラは、デフォルトとしてセンチネルFETに対するゲートをオフにし、したがって、装置がそのチャネル内のLEDに通電できないようにする。少なくともいくつかの構成では、エラー状態の場合、コントローラは制御FETもオフにすることができる。電池チャージャ1455を切り離すために、コントローラによって作動されるFETスイッチを設けることもできる。
【0082】
先に論じたように、容量センサまたは他の皮膚センサ1450は、導体439または同様の装置を通してコントローラ1425に接続する。以下で図15および16A〜Bに関連してさらに詳しく論じるように、コントローラは、1460で示されるユーザインターフェースのLCDおよびバックライトに対する入力を与える。コントローラに対する電力調整は、調節器1465によって従来の方法で行うことができる。
【0083】
さらにコントローラは、2つの機能を果たすカートリッジのインターフェース1470と通信する。製造中、インターフェース1470は、製造システムが製造用インターフェース1475を通して装置と直接通信することを可能にし、したがって、ファームウェアのロード、システムの較正およびシステム性能の試験を可能にする。通常動作の間、インターフェース1470は、いくつかの構成において、コントローラに処置時間の配分を提供するセキュアEEPROMを備える交換可能なカートリッジ1480を受け入れる。他の構成において、カートリッジ1480は、完全な治療法を提供する。あるいは、1つまたは複数の治療法を、コントローラおよびそれに関連するメモリの中にプログラムすることができる。
【0084】
カートリッジが信頼できるものであり、したがって不安全な動作状態を引き起こさないことを保証するために、カートリッジ1480は、コントローラおよびセキュリティコプロセッサ1485と協働する。セキュリティコプロセッサは、MaximによるDS2460などの装置とすることができ、カートリッジ1480内のMaxim DS28CN01などの対応する装置を伴う。信頼性は、例えばセキュアハッシュアルゴリズムなど、任意の都合のよいセキュリティメカニズム使用することによって保証することができる。コプロセッサ1485内に認証データの第1の部分を、カートリッジ内に認証の第2の部分を記憶することにより、複数の部分で構成される認証方式を実施することができる。少なくともいくつかの実施形態において、コプロセッサに保持される認証データは、順番に行われる導入プロセスによって特定のユニットとして生成することが可能であり、導入プロセスでは、データの順番が結果に影響を及ぼし、また完全な装置側の認証データがコプロセッサにのみ存在するようになる。この導入プロセスは、製造中、インターフェース1475を介して、装置のコントローラに「コプロセッサ初期化」ファームウェアをロードすることによって処理することができる。そのファームウェアは、装置を公知の安全な状態とし、次いで少なくとも認証データの第1の部分をインストールする。いくつかの実施形態では、認証データの第1の部分をインストールした後、装置をリセットすることがあり、その後、コプロセッサ初期化ファームウェアの第2の部分をプロセッサにロードし、コプロセッサの認証データの第2の部分をコプロセッサにロードすることができる。いくつかの実施形態において、認証データは、1つまたは複数のファームウェア導入機能を用いて、前述の2つより少ないまたはそれより多いステップでロードすることができる。
【0085】
少なくともいくつかの実施形態において、カートリッジに保持される認証データは、それぞれの特定のカートリッジにのみ存在する。いくつかの実施形態では、例えばスタティック部と共に、カートリッジのシリアル番号のすべてまたは一部から、さらに読出し専用メモリページの内容のすべてまたは一部から、認証データを得ることができる。少なくともいくつかの実施形態では、主装置と同じように、カートリッジ内の認証データを複数のステップでインストールすることが可能であり、それらのステップの順番が最終結果に影響を及ぼす。一実施形態では、装置に取り付けるとき、カートリッジを、メインコントローラ1425を介してコプロセッサ1485によって照合することができ、またインターフェース1470に接続されている限り、絶えず認証することができる。カートリッジが認証されると、コントローラ1425によってカートリッジ内のメモリを読み取り、データを使用することが可能になる。
【0086】
動作中、図9〜11に示す装置400は、患部に接するように、または少なくとも患部の近くに配置することができる。(1つまたは複数の)容量センサがLEDアレイの通電を可能にし、時間調整カートリッジ450は利用可能な処置時間の最大量を制御し、あるいはいくつかの実施形態では、治療法を提供する。そうした実施形態において、時間調整カートリッジ450は、約413nmの波長のパルスまたは連続ビームの放出を制御する。一実施形態において、装置は約0.5W/cmの出力密度でビームを放出し、皮膚の患部を30秒間照射することができる。
【0087】
装置の出力密度は、0.3〜1W/cmの範囲内とすることができる。白人の皮膚の場合、0.5W/cm未満、また場合によっては約0.3〜0.4W/cmの出力密度が、快適さ、処置の速度、および電気的/光学的な設計上の考慮すべき問題の間での適切な妥協点を与えると思われる。現在理解されているように、処置メカニズムは、光化学効果と光熱効果の組み合わせたものである。そうした低い線量はさらに、処置後の皮膚の色素沈着過剰を軽減または排除する。
【0088】
本開示による処置工程の例示的な実施形態を、図15、16A、16Bおよび17に示す。図15、16Aおよび16Bに示すディスプレイの機能は、使用者に所与の処置に対する処置時間の量に関する表示を与える。以下から理解されるように、治療法の実施形態は、予防的な部分、ならびにより重大な部分を含む。さらに、以下に論じる治療法は、最初の2週間にわたる第1の部分、および最初の2週間の後の期間にわたる第2の部分に分けることができる。
【0089】
したがって図17に示すように、工程はステップ900で始まり、処置カートリッジ450を挿入することによって開始することができる。実施形態に応じて、カートリッジ450は利用可能な処置時間の量を示す、または治療法のすべてもしくは一部を示す。次いで図17に示す実施形態の場合、ステップ910において、使用者は第1〜2週(第1〜14日)の間、処置される患者の皮膚の領域を、さする/塗る動きを利用しながら、約0.3〜0.5W/cmの出力密度および約413nmの波長を有する光で3分間照射することによって、朝および夜の処置を実施する。これによって、朝および夜の処置のそれぞれに対して約1ジュール/cmの予防的な線量、すなわち、合計で1日あたり約2ジュール/cmの予防的な線量が得られる。
【0090】
さらにステップ920に示すように、朝および夜の処置のそれぞれの間、使用者はそれぞれ約30秒の追加時間の間、病変の上で動きを停止することができ、それによって、病変を有する領域に約12ジュール/cmの追加の線量を送出する。したがって最初の2週間の間に、朝および夜の処置のそれぞれによって、約1ジュール/cmの予防的な線量、および病変を有する領域に対してさらに約12ジュール/cmの停止による線量が得られる。これにより、処置される領域に対して1日あたり約2ジュール/cmの予防的な線量、および病変を有する領域に対して1日あたり約26ジュール/cmの停止による線量が得られる。
【0091】
前述の実施形態は2つの処置を企図しているが、他の治療法も同様に実施可能であり、当業者にはその治療法が明らかになることが理解されるであろう。処置は、被験者に対して適切な1日あたりの線量を提供することを含むことができ、その線量は、予防的な処置として1〜4ジュール/cm、病変を有する領域に対して20〜40ジュール/cmとすることができる。したがって、治療法が、1日につき複数のより短い処置、または1日につき1回のより長い処置を含むようにしてもよい。
【0092】
いくつかの条件下では、最初の数週間を超える処置によって、通常、特定の病変上で動きを停止する必要がなくなる。それに応じて、ステップ930は第3〜8週のための次の治療法を示している。処置領域は、朝および夜に、さする/塗る動きによって3分間処置され、推定で1日あたり約2ジュール/cmの線量を与える。
【0093】
ステップ940に示すように、最初は病変を減らすように、次いでP.acnes細菌の濃度を炎症カスケードを妨げることができる十分に低いレベルに維持し、他の病変を形成する可能性を低減できることを保証するように、毎日または毎週など定期的に治療法を繰り返すことができる。
【0094】
ステップ930および940は1つの治療法を例示するものであるが、第2週を超えて第1〜2週の処置を継続する(例えば第3〜4週、およびそれより長くする)ことが望まれる、かつ/または必要とされる場合があることも理解されるであろう。別法として、処置の動きを停止する部分を省いてもよく、あるいは予防的な塗る処置の時間を例えば3分ではなく2分に減らす、または夜もしくは朝のセッションを省くことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、装置が連続的に光を放出する間、装置を皮膚の上でゆっくりと移動させることによって、装置を用いて皮膚を「塗る」ことができる。使用者は、装置をゆっくり移動させると同時に、装置を皮膚が不快に熱くなるほど長く皮膚の同じ領域に留めないように指示されることがある。組織の隣接する位置に移動する尺度としての温感は、使用者に依存する可能性がある。あるいは、聞き取れるビープ音もしくはブザー音、視覚による指示器、振動源または機械的なローラなど、装置をいつ皮膚の次の領域に移動させるかを示すように、時間調整メカニズム(例えば、時間調整カートリッジ)または装置自体をプログラムすることができる。あるいは使用者は、単位面積あたりあらかじめ決められた大体の時間にわたって、患部を処置するように指示されることがある。他の代替形態は、装置によって得られる蛍光消光を監視し、そのフィードバックを用いて、使用者にいつ次の領域へ移動するかを示すことができる。そうした監視は光ファイバを使用して、邪魔にならずにかつ好都合に組織によって放出される蛍光をサンプリングし、光を適切な検出器に伝えることができる。
【0096】
図15、16Aおよび16Bに示すように、ポリカーボネートの処置装置のウィンドウ460は、挿入された時間調整カートリッジの周りの情報を提供するために、液晶ディスプレイ(LCD)を有する。LCDディスプレイは、例えば処置時間、およびいつカートリッジを交換する必要があるかの表示を与える。ディスプレイ460が、送出される出力量、および特定の治療法を識別する数または名称などの他の重要なパラメータを示すことも可能であることが、当業者には認識されるであろう。
【0097】
本明細書に教示される方法、システムおよび器具のいくつかの実施形態は、P.acnes細菌による被験者の皮膚のコロニー形成のレベルを効果的に低減することが可能であることが理解されるであろう。先に論じたように患部を処置することによって、皮脂管および皮脂腺における細菌の濃度を著しく低減させることができる。細菌負荷が低下すると、炎症性の細菌代謝産物の濃度が低減され、それによって、病変を引き起こすタイプの炎症カスケードを誘発する可能性が低減される。本質的には、炎症サイクルの連鎖を断つことによって、本開示は病変の形成を低減および防止し、かつ/または病変が消える速度を高めることができる。
【0098】
装置の例示的な実施形態の概略図を図18に示す。この実施形態において、装置はハウジング80の中に収容され、ハウジング80は、強い紫青色光をそれを通して皮膚のある領域に送達することができる出力ウィンドウ10を含む。光の放出前に、ウィンドウ10を処置される皮膚の領域に密接に接触させることができる。放出中、ウィンドウ10を皮膚に接触した状態に保持することができる。放出後、ウィンドウを皮膚の新しい領域に再位置決めして処置を繰り返すことができる。
【0099】
ウィンドウ10の1つの目的は、光源20によって生成された光を処置される皮膚の領域に伝えることである。したがって、ウィンドウ10は、光源20によって生成さる治療用の波長に対して透過性の材料で形成しなければならない。そうした材料の非限定的な例はサファイアであるが、溶融石英、溶融シリカ、高分子材料、オパールガラスまたはガラスを含めた他の透過性材料を用いてもよい。透過性があるとは、材料が治療用の波長において少なくとも50%の透過率を有することである。いくつかの実施形態では、均質性もしくは目の安全性を改善するためにオパールガラスなどの拡散性材料を使用することを含めた様々な理由によって、または例えば光源を囲む反射体のために、最初の通過時に透過されない光が透過の他の機会を有する場合には、より低い透過率を許容することができる。
【0100】
ウィンドウ10の他の目的は、皮膚温度が、過度の不快感を引き起こすかつ/または皮膚を損傷するような高い温度まで上昇しないように、皮膚に対するヒートシンクを形成することである。紫青色光は皮膚の短い距離(約0.3mmの有効吸収長さ)の中で吸収される可能性があり、皮膚温度を上昇させる。皮膚からウィンドウ10内への熱伝達は、この温度上昇を緩和する。厚さ5mm、直径1センチメートルのサファイアのディスクは十分な熱容量を有し、また20℃未満の温度上昇を伴う10秒の露光の間に、25ジュール/cmの熱を受け入れるのに十分な高い熱拡散率を有している。ウィンドウ10にサファイア以外の材料を用いることもできる。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態において、ウィンドウ10は、皮膚に接触する前に公称の皮膚温度にする、または公称温度に近くすることができ、実質的に皮膚の表面をその公称温度より低く冷却することはない。公称の皮膚温度とは接触もしくは照射前の皮膚の温度であり、一般的には32〜35℃付近とすることができる。この場合、ウィンドウは皮膚をあらかじめ冷却しないが、光の放出中、ウィンドウは、皮膚の温度が高くなりすぎることを防止するようにヒートシンクとして働く。第1の実施形態の一態様では、ヒートシンクは表皮での最大温度上昇を約25℃未満に制限する。
【0102】
本開示のいくつかの実施形態は、ウィンドウ10を公称の皮膚温度より低い温度、例えば0℃と公称の皮膚温度の間の温度まで冷却することを含むことができる。光の放出前にウィンドウ10を皮膚に接触させると、皮膚をウィンドウ10によってあらかじめ冷却し、皮膚温度を公称の皮膚温度未満に下げることができる。光の放出中、ウィンドウ10は、放出と同時に存在する皮膚に対するヒートシンクを形成することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、鼻の側面のような皮膚の小さい領域、または個々のアクネ病変でも処置できるように、ウィンドウ10に対する望ましい面積の大きさは約1cmである場合がある。本開示の他の態様では、いくつかの病変を処置できるように、またはある程度大きい領域を一度に処理できるように、ウィンドウ10は、5cmまたは25cmと大きくすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ウィンドウ10の最大サイズは、ウィンドウの全面積が、照射される皮膚の全領域に対するヒートシンクを形成できるように皮膚に接触する必要があることによって制限される可能性がある。ウィンドウが大きすぎると、鼻および上唇の上またはその近くの皮膚の領域など、主要部が曲線的である皮膚に一致しなくなる。
【0104】
本文書で用いる「スポットサイズ」という用語は、ウィンドウ10の放出面における処置ビームの面積を指す。この領域の周縁は、処置ビームの強度がスポットの中心における強度の1/eまで低下する位置によって画定することができる。出力ウィンドウ10は、例えば光学的な皮膚センサに適合させるために、スポットサイズより大きいサイズを有すること、または異なる形状を有することが可能であり、例えば費用を削減し、製造を容易にするには、処置ビームは正方形に、出力ウィンドウ10は円形にする。例示的な一実施形態では、正方形の断面でのスポットサイズを約0.81cmとすることができ、ウィンドウは約1.3cmの面積を有する円形とすることができる。
【0105】
本開示のいくつかの実施形態によれば、混合器30を用いて、皮膚の照射時に、光源20によって放出された光を空間的により均質にすることができる。皮膚における照射を空間的に均質にするには、処置される皮膚のすべてが同様の線量の光を受けるように、±40%未満の変化量を有することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態によれば、混合器30は、正方形の断面を有し、長さが約2cmの中空のアルミニウム管とすることができる。混合器30の壁は、混合器30の壁に当たる光を反射することができるように、光源20によって放出される治療用の波長において実質的に非吸収性にすることができる。光は混合器30を通って、光源20から出力ウィンドウ10まで移動するため、光の空間的均質性が高まる。光を十分に混合するのに必要な混合器30の長さ、最大吸収量および断面形状は、ウィンドウ10のサイズ、および光源20の出力特性に依存する可能性がある。
【0106】
他の態様では、混合器30は、光源20からの光をウィンドウ10の光導波路に沿って全内反射することが可能な、中実の光導波路とすることができる。中実の光導波路である混合器は、それ自体が光のための出口開口部を形成し、それによってウィンドウ10として働くことができる。他の態様では、十分な均質性およびサイズを有する光源によって、混合器30を不要にすることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、光源20にLEDの2次元アレイを用いることができる。405nmの波長での発光を伴う複数のLEDを用いて、約2.5ワットの光出力を送出する光源を構成することができる。2.5ワットの光源は、10秒で1cmの領域の皮膚に約25ジュールのエネルギーを送出する。これは、1回の15分の処置で前述のClearLight装置によって送出される線量にほぼ等しい。入手可能なLEDは現在のところ、電気的な光の光出力への変換効率が約10〜15%であり、したがって、25ジュールの処置線量に対して約250ジュールの廃熱を発生させる。
【0108】
2次元のLED光源の例示的な実施形態を、図23に概略的に示す。示されるように、光源は、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州オビエド)から入手可能なものなど、128個の発光ダイオードダイ210の2次元アレイである。ダイは未処理の半導体発光デバイスであり、そのため、ダイは組立体またはパッケージの一部ではなく、したがってレンズを含まない。本願では、前述のものを「レンズなし」LEDと呼ぶ。市販のLEDは、ダイ、ダイを取り付ける基板、電気リード、およびレンズを形成するように成形される封入物(encapsulation)を含む、ランプ組立体として販売されることがしばしばあり得る。本開示のこの態様では、通電されると熱をダイから除去するように働く熱伝導性エポキシ樹脂を用いて、ダイを銅のヒートシンク200に結合することができる。ダイへの電気的な接点は、ワイヤボンディングを用いて作成することができ、32の平行なストランドがそれぞれ、直列に接続された4つのダイを有する。各系列は、電流が一連の4つのダイを通って流れるように、正に帯電した母線220および負に帯電した母線230にワイヤボンディングすることができる。母線は、銅のヒートシンクから電気的に分離することができる。特定の構成は、約16Vの供給電圧を使用する。各ダイは名目上、20mAの駆動電流によって4.5mWの405nmの光出力を有し、それによって、アレイから約575mWの強い紫青色光がもたらされる。適当な冷却が行われる限り、過度に寿命を縮めることなく2.5Wに近い光源を得るために、ダイは、実質的に20mAより高い電流で駆動させることができる。そうした適当な冷却は、銅のヒートシンクへの適切な結合、さらにヒートシンクの他の熱除去要素への熱的結合という形を取ることができる。
【0109】
他の態様では、光源20として紫青色ダイオードレーザを使用することができる。例えばNichia America,Inc.(ペンシルベニア州マウントヴィル)は、70mAの駆動電流によって、400〜415nmの帯域の利用可能なピーク波長を有する30mWの光力を伴うダイオードレーザ(Nichia部品番号:NDHV310ACA)を製造している。したがって、強い紫青色光の100mW、500mWおよび2.5Wの光源を、それぞれ約3、16または83個のレーザダイオードのアレイによって作り出すことができる。LEDと同様に、レーザダイオードは、適当なヒートシンクに十分に結合されている場合、および/または寿命の短縮が許容できる場合には、より高い電流で駆動させ、必要とされるダイオードレーザの数を減らすことができる。さらに、紫青色ダイオードレーザは現在、規格性能(regular performance)の改善に関する研究が盛んな領域であり、ダイオードレーザは、本開示においてますます現実性のある可視光源になる。
【0110】
この実施形態の光源は、アクネ領域で最も優勢であると考えられるポルフィリンの吸収ピークに大体において一致する、約400〜420nmの波長帯域に集中した出力を有することができる。この帯域は、KjeldstadおよびJohnsson(1986年)によって報告された、412〜415nm付近にピークを有する体外の作用スペクトルにも大体において一致する。しかしながら、出力が400〜450nmのより広い波長帯域に存在する可能性もある。光源は、紫青色の帯域における少なくとも100mW/cmの出力、および/または紫青色の帯域における少なくとも500mW/cmの出力を有することができる。
【0111】
さらに他の態様では、光源20の代替構造を用いることができる。他の実施形態は、紫青色の帯域に加えて、やはりポルフィリンの吸収を有することができる緑色もしくは黄色の帯域、または抗炎症の利益を有すると考えられる赤色の帯域などの波長帯域でも光エネルギーを放出する。
【0112】
図18に示す実施形態において、混合器31は、出力ウィンドウ11によって吸収された熱を熱電池41に伝える機能も有する。混合器31の熱伝達は、前の露光の間に皮膚から伝えられ、ウィンドウ11に蓄えられた熱が、次の露光の開始前にウィンドウ11から実質的に除去されることを保証するのに十分なだけ高くすべきである。本開示の別の実施形態では、混合器31の機能、すなわち光の混合および熱の移動は、2つの別個の構成要素によって実施することができる。そうした熱電池はすべての実施形態において、特に冷却にファンまたは熱電装置を用いる場合には必要とされない可能性があることが、やはり当業者には理解されるであろう。
【0113】
図示した装置の実施形態は、ウィンドウ11、混合器31、光源21および熱電池41からなる組立体が、処置パルスの開始前に過度に高い温度にならないことを保証するために、温度センサ51も使用する。複数の処置パルスの後に、過度の温度に達する恐れがある。温度センサは、照射前にウィンドウ10を室温未満に冷却する装置の実施形態において重要になることがある。そのような実施形態では、皮膚に接触する前にウィンドウが適当な温度になることを保証するために、ウィンドウ11のより近くに温度センサ51を有することが望ましい場合がある。
【0114】
図示した本開示の実施形態は、装置が数十もしくは数百の10秒パルスに対して、10℃未満の温度上昇で機能することを可能にするように、実質的に十分な熱容量を有する材料で構成することができる熱電池41も有する。この熱除去要素は、単に金属の塊でもよい。あるいは、室温近くで相変化を受ける材料を用いることができる。こうした相変化材料は、多量の熱を小さい温度変化で吸収することができる。室温の近くまたは皮膚温度の近くで相変化するように設計された最適化された材料は、TEAP Energy(オーストラリア、パース)など複数の製造業者から入手可能である。こうした材料は、熱を相変化材料に効率的に伝えるように設計された金属のハウジングの中に収容することができる。約50J/cm/℃のエネルギー密度を有する相変化材料を、容易に入手することが可能である。100回超の露光による廃熱を受け入れる熱電池は、安価なものでよく、手持ち式の装置の中に簡単に収容することができる。他のタイプの熱電池は、COなどの圧縮された物質の使用を必要とし、そうした物質は、膨張すると冷え、それによってより高い温度の熱源から熱エネルギーを吸収することができる。
【0115】
装置の熱電池41は、単に装置を室温の環境に置くこと、装置を冷却器入れること、または装置を熱電池41からの熱を活発に伝えるように設計された第2の装置に接触させること、圧縮された物質を交換するもしくは再加圧すること、または他のいくつかの充電メカニズムによって「再回復」することができる。
【0116】
本開示の他の態様は、熱電池からの熱を空間により効率的に吐き出すために、フィン付きのヒートシンクおよびファンを含む。1ワット未満を必要とし、手持ち式の装置に嵌まるヒートシンクおよびファンは、Wakefield Thermal Solutions(ニューハンプシャー州ペルハム)を含めた複数の製造業者から入手することができる。フィン付きのヒートシンクはハウジングの外側の空気に対して開放されてもよいが、その要素はハウジングの内側にあると考えることができる。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、装置および/またはシステムは、熱電池41から熱を除去するために、Melcor(ニュージャージー州トレントン)から入手可能なものなど、ペルチェ効果装置としても公知の熱電冷却器モジュールを含むことができる。熱電冷却器モジュールを用いる装置は、小型の熱電池を必要とするか、または熱電池が全く不要である。
【0118】
いくつかの実施形態において、装置および/またはシステムは、装置から熱を直接吐き出すために、熱除去要素としてフィン付きのヒートシンクおよびファンを含むことができる。例えば光源および出力ウィンドウは、ファンによる空気冷却が可能なフィン付きのヒートシンクに、熱的に直接結合することができる。そうした態様は、装置を熱的に再回復する必要がない定常状態において動作し、また熱伝達の観点からいつまでも動作することが可能である。この態様も、熱電冷却器モジュールを用いることができる。
【0119】
本開示のいくつかの実施形態は、電池61および制御用の電子部品71も含む。500J/cm超のエネルギー密度を有する電池は、簡単に入手することが可能であり、また本開示に100回超の露光に対する電力を供給する電池は、安価なものでよく、手持ち式の装置の中に簡単に収容することができる。代替の実施形態は、電池または電池パックからではなく、主電源から電力の供給を受けることができる。
【0120】
本開示のいくつかの実施形態の光の出力は、特にダイオードレーザベースの光源の場合、緩和なしでは目に安全でない可能性があり得る。この場合、光の積分放射輝度を目の安全値まで低減することができるように、光ディフューザを使用することが望ましい場合がある。ディフューザは、PTFEまたはオパールガラスなどの透過ディフューザを含むことができ、またSpectralon(ニューハンプシャー州ノースサットン、Labsphere,Inc.)などの反射ディフューザを含むことができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、装置が皮膚の表面を含めたある表面に実質的に接触しているときだけ光を放出することができる、接触センサを使用することが望ましい場合がある。例えば、接触センサが出力ウィンドウ11と皮膚の間の接触を示し、それによって、出力ウィンドウ11が皮膚に対して効果的なヒートシンクを形成することを保証するのを助けることが望ましい場合がある。接触センサは、不快に明るい、または目に安全ではない恐れもある周囲環境への放出を低減するように働くこともできる。接触センサは、機械的スイッチ、容量性スイッチ、圧電材料または他の手法で製造すること、および出力ウィンドウ11の周縁部の周りに配置されたセンサを含むことができる。接触センサは、皮膚などのコンプライアントな材質に対してのみ機能するように構成することが可能であり、したがって、眼鏡または平坦で透明な面との接触では、明確な接触の指示は得られない。これは、例えば接触センサの作動ボタンをウィンドウ21の放出面より下に引っ込め、平坦で堅い面との接触によってボタンが作動されないようにすることによって実現することができる。いくつかの実施形態において、接触センサは、皮膚との実質的な接触を生じさせると自動的に光放出が引き起こされるような、光放出のトリガとして働くことができる。光放出は、一定の露光時間の後、もしくは接触が断たれた場合、または他の理由によって終了させることができる。接触に対する自動的なトリガは使用者にとって好都合である場合があり、指によって作動させるものなど、別のトリガを不要にする。
【0122】
電池によって電力を供給されるいくつかの実施形態では、電池が直接的な駆動構成で光源に電力を直接供給することが望ましい場合がある。「直接的な電力供給」および「直接的な駆動」とは、特定の瞬間に適時に電池を通って流れる瞬間電流および光源を通って流れる瞬間電流が、実質的に等しいことを意味するものである。瞬間電流は、電池から取り出される比較的少量の電流が、制御用の電子部品など、光源ではない構成要素に電力を供給するために用いられる点においてのみ異なる。
【0123】
(詳細な熱計算)
皮膚の露光前、露光中および露光後に行われる熱伝達をシミュレートするために、第1の実施形態および皮膚の有限要素モデルを開発した。多くの異なるケースをモデル化した。本願では、4つのケースが含まれる。それらをケース1、ケース2、ケース3およびケース4と名付け、グラフによる結果をそれぞれ図19、図20、図21および図22に示す。図19〜22に含まれるグラフは、皮膚およびウィンドウの温度と位置の関係を示している。位置x=0の左側の領域は皮膚である。位置x=0の右側の領域は空気(ケース1)、または皮膚に接触させるウィンドウ(ケース2、ケース3およびケース4)である。
【0124】
各ケースにおいて、これらの計算の目的のための皮膚の初期温度は37℃である。第1のケースを除く各ケースでは、装置の出力ウィンドウを時間t=−10秒で皮膚に接触させ、皮膚の照射の開始前、10秒間にわたって皮膚と接触した状態に保つ。第1のケースは、ウィンドウが皮膚に接触した状態に保たれず、したがって空気のみが皮膚に接触する処置をシミュレートしている。ケース2およびケース3では、ウィンドウの初期温度は、公称の皮膚温度に相当する37℃である。ケース4では、ウィンドウの初期温度は5℃である。各ケースにおいて、照射の開始は時間t=0秒で行われる。ケース1、2および3では、皮膚を2.5W/cmの強度の光で10秒間照射する。第4のケースでは、皮膚を12.5W/cmの強度で2秒間照射する。各ケースでは、0.3mmの皮膚の有効吸収長さを用いて入射光の吸収をモデル化した。この有効吸収長さ0.3mmは大体、皮膚における約405nmの入射光のものである。
【0125】
図19に示すように、空気のみが皮膚に接触しているとき(ケース1)には、皮膚の温度は80℃超の最大温度に達する。80℃という温度は、皮膚を損傷する閾値より高く、痛みを伴う。
【0126】
図20のケース2に対する結果のグラフは、照射のパルスの前に10秒間、5mmの厚さおよび37℃の初期温度を有するサファイアのウィンドウを皮膚に接触させたときには、皮膚の最高温度が約52℃にすぎないことを示している。この温度は皮膚を損傷する閾値より低い。それは熱さとして知覚されるが、容易に許容され、痛みはわずかであるか、または痛みがない。
【0127】
図21のケース3に対する結果のグラフは、ガラスの熱拡散率が乏しいため、5mmの厚さおよび37℃の初期温度を有するガラスのウィンドウが、サファイアのようにうまく機能しないことを示している。時間t=10秒に現れたガラスのウィンドウにおける大きい温度勾配は、照射パルスの間、熱がガラスの裏面に効果的に伝達されなかったことを示すことに留意されたい。ケース3での皮膚の最高温度は約63℃である。
【0128】
最後に、図22のケース4に対する結果グラフは、サファイアのウィンドウを皮膚に接触させる前に5℃まで冷却することにより、これまでの3つのケースよりずっと強い12.5W/cmの照射によっても、皮膚の最高温度が45℃未満であることを示している。
【0129】
これらのシミュレーションから、皮膚の露光前または露光中に、皮膚に接触させる出力ウィンドウを有する装置が、皮膚の熱損傷を防止するのに有効となり得ることは明らかである。
【0130】
本明細書に教示される方法、システムおよび器具は、P.acnes細菌による患者の皮膚のコロニー形成のレベルを効果的に低減することが可能であることが理解されるであろう。先に論じたように患部を処置することによって、皮脂管および皮脂腺における細菌の濃度を著しく低減させることができる。細菌負荷が低下すると、炎症性の細菌代謝産物の濃度が低下し、それによって、病変を引き起こすタイプの炎症カスケードを誘発する可能性が低減される。本質的には、炎症サイクルの連鎖を断つことによって、本開示は病変の形成を低減および防止し、かつ/または病変が消える速度を高めることができる。
【0131】
換言すれば、本開示のいくつかの実施形態は、毛嚢脂腺管、腺および/または内容物の選択的な光熱溶解を使用する。感染した腺の中の物質の塊がP.acnes細菌によって構成されることが確かめられている。これによって、皮脂腺によって生成される皮脂ではなく、細菌によって生成される発色団を吸収するという選択的なターゲティングが可能になる。これはまた、許容可能な短い時間の中で、患部に十分な線量を送達する可能性をもたらす。その結果が、過度の角質化の低減、細菌の破壊および炎症の軽減を伴うこともできる治療法である。さらに、その内容物が周りの真皮に漏れるのを防ぐ皮脂腺の能力は、GLA、または通常はアクネ患者の皮脂に不足している同様の長鎖脂肪酸の食品栄養補充によって高めることができる。
【0132】
(治療方法)
図24は、本開示による光線療法の例示的な実施形態を示している。例えば、被験者の皮膚の標的部分を、洗顔剤組成物に接触させ(例えば、約1分〜約10分間)、青色光(例えば、約390nm〜約430nm)で照射し、抗酸化セラムに接触させる(例えば、約1分〜約10分間)ことができる。いくつかの実施形態において、被験者の皮膚の標的部分は、洗顔剤組成物との接触後、および/または抗酸化剤組成物との接触後に洗い落とすことができる。洗顔剤、光、抗酸化剤の処置の各サイクルは、すべてまたは一部を繰り返すことができる。例えば被験者は、1日1回、毎日および/または1日おきに実施することができる。サイクルは(例えば1日1回)、最大約10日、最大約20日、最大約30日、最大約40日、最大約50日、最大約60日および/または最大約90日にわたって繰り返すことができる。いくつかの実施形態において、療法は2段階で実施することができる。例えば第1の段階の間、組成物を(i)より高い濃度で、(ii)利用毎により長時間にわたって、かつ/または(iii)症状の所望の軽減が観察される(例えば、かなりの軽減)までより頻繁に施し、次いで第2の段階の間、維持レベルまで(例えば、1回のステップまたは一連のステップに)減らすことができる。
【0133】
本開示の組成物、装置、システムおよび/または方法は、スキンケアに有用なものとなり得る。本開示の組成物、装置、システムおよび/または方法によって改善することができる状態は、例えば、尋常性座瘡(例えば軽症、中程度および重量)、集簇性座瘡、酒さ性座瘡、黒皮症、妊娠期間のアクネ、および他の同様の皮膚科学的状態を含むことができる。
【0134】
洗浄化組成物および抗酸化剤組成物の投薬は、それぞれの組成物の吸収、不活化および排出速度、ならびに当業者に公知の他の要素に依存する。投与量の値は緩和すべき状態の重症度によっても変わる可能性がある。任意の特定の被験者に対して、特定の投与計画は、個々の必要性、および組成物の投与を行うまたは管理する人の専門的な判断に従って、経時的に調節することが可能であり、本明細書に示す濃度の範囲は例示的なものにすぎず、請求される組成物の範囲または実施を限定するものではない。
【0135】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物、装置、システムおよび/または方法は、所与の被験者に関して、適時のある時点において、またはある期間にわたって使用することができる。例えば、洗顔剤、青色光および抗酸化セラムを含む療法を、1日1回、2日〜3カ月の期間(例えば1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間および/または12週間)にわたって繰り返すことができる。
【0136】
被験者における好結果のスキンケア療法の使用は、それだけに限らないが、病変のサイズの減少、病変の数(例えば、形成の減少および/または消散の増加)、ならびに/あるいは病変のタイプを含めた1つまたは複数の実施可能な測定基準を用いて、当業者による判断が可能である。例えば成功に関する測定基準は、丘疹および膿疱(炎症性アクネ)が消える速度を含むことできる。いくつかの実施形態において、ある療法(例えば、8週間の療法)は、最大約25%、最大約30%、最大約35%、最大約40%または最大約45%の除去率を得ることができる。白色面皰および黒色面皰(非炎症性アクネ)の出現および/または除去を測定することができる。
【0137】
処置をしないことまたは他の処置と比較した改善は、必要とされるまたは所望されるように一定の基準で決めることができる。例えば改善は、0が改善なし、1が最小限の改善、2が軽度の改善、3が中程度の改善、4が良好な改善、および5が非常に優れた改善という5段階で評価することができる。いくつかの実施形態において、ある療法(例えば、8週間の療法)は、未処置の皮膚に対して約0.5〜約5の改善をもたらすことができる。
【0138】
本開示の利益を受ける当業者には理解されるように、本明細書に含まれる記述から逸脱することなく、他の等価なまたは代替のスキンケアのための組成物、装置、方法およびシステムを考えることが可能である。したがって、図示および記載した本開示を実施する方法は、例示的なものにすぎないと解釈されたい。
【0139】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、各部分の形、サイズ、数および/または配置に様々な変更を加えることができる。例えば光源、フィルタ、光混合器、スイッチ、電源および出力ウィンドウの位置ならびに数を変えることができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の部分は交換可能とすることができる。交換できることにより、(例えば、光源、光学フィルタ、または両方を調整することによって)放出される光の強度および/または波長を特別に調節することを可能にすることができる。さらに、装置および/またはシステムのサイズは、従事者の必要性および/または要望に合うように、(例えば、大人の被験者に使用するために)拡大または(例えば、年少の被験者に使用するために)縮小することができる。「することができる(may)」という動詞が現れる場合、任意選択のかつ/または許容される条件を示唆するものであり、別段の指示がない限り、その使用によって操作性の欠如を示唆するものではない。また範囲が設けられる場合、開示される端点は、特定の実施形態によって所望または要求されるように、正確なものおよび/または近似値とみなすことができる。端点が近似である場合、適応性の程度は、範囲の大きさの程度に比例して変わる可能性がある。例えば「約50」という端点の範囲は、約5〜約50の範囲の文脈では、50.5を含むが52.5または55を含まず、他方において、約0.5〜約50の範囲の文脈では、55を含むが60または75を含まないことがある。さらにいくつかの実施形態では、範囲の端点を組み合わせ、合致させることが望ましい場合がある。またいくつかの実施形態では、(例えば、実施例および/または図面の1つまたは複数において)開示される図はそれぞれ、ある範囲(例えば、±約10%、±約100%)および/またはある範囲の端点の基準をなすことがある。いくつかの実施形態によれば、「最大(up to)」という材料の濃度に関する表現(例えば、最大約10%)は、範囲の下限にゼロより大きい材料の任意の量を含む。当業者は、本開示の組成物、装置および/またはシステムを作成および使用する方法に様々な変更を加えることができる。例えば組成物、装置、および/またはシステムは、(例えば公衆衛生、感染性、安全性、毒性、生体計測および他の考慮すべき問題に関して)動物および/またはヒトの使用に適するように作成および/または使用することが可能である。
【0140】
スキンケアのための装置および/またはシステムのすべてまたは一部は、使い捨て、実用向き、交換可能および/または置き換え可能であるように構成および配置することができる。これらの等価物および変更形態は、明白な変更形態および修正形態と共に、本開示の範囲内に含まれるものである。したがって前述の開示は、以下の特許請求の範囲によって示される本開示の範囲を例示するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0141】
本開示に関するいくつかの特定の例示的な実施形態は、本明細書に示す実施例の1つまたは複数によって説明することができる。
【0142】
(実施例1:抗アクネ発泡性洗顔剤)
以下の表1は、抗アクネ発泡性洗顔剤の配合物の例示的な実施形態を示す。
【0143】
【表1】

(実施例2:抗アクネ抗酸化セラム)
以下の表2は、抗アクネ抗酸化セラムの配合物の例示的な実施形態を示す。
【0144】
【表2】

(実施例3:青色光による治療)
組合せの局所的な(topical)/青色光の光線療法に関する例示的な実施形態の有効性を、臨床試験で評価した。登録された被験者(n=30)が、軽症から中程度のアクネと診断された。存在する病変の性質、数およびサイズに留意して予備評価を実施した。被験者は、8週間にわたって以下の表3に示す毎日の処置手順に従った。
【0145】
【表3】

処置の間毎週、有効性(炎症性の病変の減少、非炎症性の病変の減少)、安全性および被験者の満足について被験者を再評価した(第1、2、3、4、6および8週)。調査中、重大な有害事象は報告されなかった。青色光は十分に許容された。
【0146】
最初の2週間の間、推定される1日あたりの線量は、領域Aでは53J/cm、領域Bでは26J/cmである。第3〜8週の間(病変上での停止なし)、推定される1日あたりの線量は、領域Aでは29J/cm、領域Bでは2J/cmである。
【0147】
調査の第1週には、早くも炎症性の病変の減少が観察され、第8週まで続いた。例えば炎症性の病変は、第4週には、ベースラインから平均で領域Aでは41%、領域Bでは32%減少した。炎症性の病変は、第8週には、ベースラインから平均で領域Aでは54%、領域Bでは44%減少した。
【0148】
他の臨床試験では、被験者(n=55)を、(a)青色光、(b)白色光、または(c)4%(w/w)過酸化ベンゾイル(BPO)を含む組成物に曝した。それぞれの治療法を通じて、被験者を毎週再評価し、結果を図25に示す。青色光の治療を受けた被験者で観察される皮膚の欠陥の数は、第1週には35%超、第2週には55%だけ減少した。比較すると、BPOを受けた被験者で観察される皮膚の欠陥の数は、第2週までにようやく20%超、11週間後に45%だけしか減少しなかった。
【0149】
(実施例4:組合せの青色光の治療)
組合せの局所的な/青色光の光線療法に関する例示的な実施形態の有効性を、臨床試験で評価した。登録された被験者(n=30)が、軽症から中程度のアクネと診断された。存在する病変の性質、数およびサイズに留意して予備評価を実施した。被験者は、8週間にわたって以下の表4に示す毎日の処置手順に従った。
【0150】
【表4】

処置の間毎週、有効性(炎症性の病変の減少、非炎症性の病変の減少)、安全性および被験者の満足について被験者を再評価した(第1、2、3、4、6および8週)。調査中、重大な有害事象は報告されなかった。青色光も局所物(洗顔剤およびセラム)も十分に許容された。
【0151】
最初の2週間の間、推定される1日あたりの線量は、領域Aでは53J/cm、領域Bでは26J/cmである。第3〜8週の間(病変上での停止なし)、推定される1日あたりの線量は、領域Aでは29J/cm、領域Bでは2J/cmである。
【0152】
調査の第1週には、早くも炎症性の病変の減少が観察され、第8週まで続いた。例えば炎症性の病変は、第4週には、ベースラインから平均で領域Aでは55%、領域Bでは49%減少した。非炎症性の病変の減少も、治療の早い週の間に同様に観察された。例えば第6週には、第4週での炎症性の病変の除去率と同様に、ベースラインから平均で53%減少した。
【0153】
装置単独の場合の炎症性の病変の減少は、第4週において同様に臨床上重要な結果を与えるが、治療用の局所物を用いると、第4週で約35%増の改善がもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚の少なくとも一部を、(a)有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸の少なくとも1つ、(b)飽和ジカルボン酸、ならびに(c)ヤシ油の硫酸エステルを含む均質で安定した自己発泡性組成物に接触させる工程、
前記皮膚の前記少なくとも一部を、独占的に約407nm〜約420nmの波長を有する光で照射する工程、
前記皮膚の前記少なくとも一部を、スーパーオキシドジスムターゼを含む抗酸化セラム組成物に接触させる工程
を含むスキンケア方法。
【請求項2】
前記自己発泡性組成物がα−ヒドロキシ酸を含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項3】
前記自己発泡性組成物中の前記α−ヒドロキシ酸の濃度が、最大約10%(w/w)である請求項2に記載のスキンケア方法。
【請求項4】
前記自己発泡性組成物中の前記α−ヒドロキシ酸が、グリコール酸を含む請求項2に記載のスキンケア方法。
【請求項5】
前記自己発泡性組成物がβ−ヒドロキシ酸を含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項6】
前記自己発泡性組成物中の前記β−ヒドロキシ酸の濃度が、約0.5%(w/w)〜約5.5%(w/w)である請求項5に記載のスキンケア方法。
【請求項7】
前記自己発泡性組成物中の前記β−ヒドロキシ酸が、サリチル酸を含む請求項5に記載のスキンケア方法。
【請求項8】
前記照射する工程が、前記皮膚の前記少なくとも一部を約400mW/cmの光強度で照射する工程をさらに含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項9】
前記飽和ジカルボン酸がアゼライン酸を含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項10】
アゼライン酸の濃度が、約0.8%(w/w)〜約1.2%(w/w)である請求項9に記載のスキンケア方法。
【請求項11】
前記ヤシ油の硫酸エステルがココ硫酸ナトリウムを含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項12】
ココ硫酸ナトリウムの濃度が、約3%(w/w)〜約5%(w/w)である請求項11に記載のスキンケア方法。
【請求項13】
前記自己発泡性組成物が、コカミドプロピルベタインをさらに含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項14】
前記自己発泡性組成物中の前記コカミドプロピルベタインの濃度が、最大約7.5%(w/w)である請求項13に記載のスキンケア方法。
【請求項15】
前記自己発泡性組成物中の前記コカミドプロピルベタインの濃度が、約7.5%(w/w)超である請求項13に記載のスキンケア方法。
【請求項16】
前記自己発泡性組成物が乳酸メンチルをさらに含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項17】
前記自己発泡性組成物中の前記乳酸メンチルの濃度が、約0.4%(w/w)〜約0.6%(w/w)である請求項16に記載のスキンケア方法。
【請求項18】
前記抗酸化剤組成物がβ−ヒドロキシ酸を含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項19】
前記抗酸化剤組成物中の前記β−ヒドロキシ酸の濃度が、約0.3%(w/w)〜約2.2%(w/w)である請求項18に記載のスキンケア方法。
【請求項20】
前記抗酸化剤組成物中の前記β−ヒドロキシ酸がサリチル酸を含む請求項18に記載のスキンケア方法。
【請求項21】
前記照射前に前記自己発泡性組成物を洗い落とす工程をさらに含む請求項1に記載のスキンケア方法。
【請求項22】
前記洗い落とす工程が、前記照射前に前記自己発泡性組成物を完全に洗い落とす工程をさらに含む請求項21に記載のスキンケア方法。
【請求項23】
(a)有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸の少なくとも1つ、(b)飽和ジカルボン酸、ならびに(c)ヤシ油の硫酸エステルを含む均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項24】
前記α−ヒドロキシ酸の濃度が最大約10%(w/w)である請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項25】
前記α−ヒドロキシ酸がグリコール酸を含む請求項24に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項26】
前記β−ヒドロキシ酸の濃度が最大約5%(w/w)である請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項27】
前記β−ヒドロキシ酸がサリチル酸を含む請求項26に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項28】
前記飽和ジカルボン酸がアゼライン酸を含む請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項29】
アゼライン酸の濃度が、約0.8%(w/w)〜約1.2%(w/w)である請求項28に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項30】
前記ヤシ油の硫酸エステルがココ硫酸ナトリウムを含む請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項31】
ココ硫酸ナトリウムの濃度が、約3%(w/w)〜約5%(w/w)である請求項30に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項32】
コカミドプロピルベタインをさらに含む請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項33】
前記コカミドプロピルベタインの濃度が、最大約7.5%(w/w)である請求項32に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項34】
前記コカミドプロピルベタインの濃度が、約7.5%(w/w)超である請求項32に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項35】
乳酸メンチルをさらに含む請求項23に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項36】
前記乳酸メンチルの濃度が、約0.4%(w/w)〜約0.6%(w/w)である請求項35に記載の均質で安定した自己発泡性組成物。
【請求項37】
有効な剥離量のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸の少なくとも1つを含む均質で安定した洗顔剤組成物と、
約390ナノメートル〜約430ナノメートルの波長を有する光を、被験者の皮膚の標的部分に向けて放出するように構成された光線療法用の装置と、
スーパーオキシドジスムターゼを含む抗酸化剤組成物と、
前記洗顔剤組成物を被験者の皮膚の前記標的部分に塗布するための、前記被験者の皮膚の前記標的部分を前記光線療法用の装置で照射するための、そして前記抗酸化剤組成物を前記被験者の皮膚の前記標的部分に塗布するための指示書と
を備える光線療法キット。
【請求項38】
ハウジングと、
約390ナノメートル〜約430ナノメートルの波長を有する光を、被験者の標的部分に向けて放出するように構成された前記ハウジング内の光源と、
前記光源と前記被験者の前記標的部分との間に置かれ、約390ナノメートル未満の波長を有する光、および/または約430ナノメートル超の波長を有する光を低減もしくは除去するように構成された光学フィルタと、
電源と、
被験者の皮膚に接触する場合は前記電源および前記光源を電気的に結合し、被験者の皮膚に接触しない場合は、前記電源および前記光源を電気的に切り離すように構成された接触式スイッチと、
前記被験者の皮膚と接触し、前記被験者の非標的部分が放出される光に曝されるのを低減もしくは排除するように構成された光シールドと、
前記光源と前記被験者の前記標的部分との間に置かれた光混合器およびディフューザと、
前記光混合器と前記被験者との間に置かれた出力ウィンドウと
を備える光線療法用の装置。
【請求項39】
前記光学フィルタが、約407ナノメートル未満の波長を有する光を濾波し、かつ約420ナノメートル超の波長を有する光を濾波するように構成される請求項38に記載の光線療法用の装置。
【請求項40】
前記光源が、発光ダイオード、レーザダイオード、閃光ランプまたはそれらの組合せを含む請求項38に記載の光線療法用の装置。
【請求項41】
前記光混合器が、ポリメチルメタクリレート(アクリル)、ガラス、石英またはそれらの組合せを含む請求項38に記載の光線療法用の装置。
【請求項42】
前記出力ウィンドウが、ガラス、サファイア、石英、ダイヤモンドまたはそれらの組合せを含む請求項38に記載の光線療法用の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図11D】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公表番号】特表2012−502913(P2012−502913A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527040(P2011−527040)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/056961
【国際公開番号】WO2010/033494
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505318905)トリア ビューティ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】