説明

スキン部材

【課題】医療用実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材にかかるコストを抑制しつつ、実習効果を向上し得る技術を提供する。
【解決手段】スキン部材100は、歯科分野の実習で使用される医療用実習シミュレーターロボットに適用される人工皮膚である。スキン部材100は、処置部位である唇を構成する第1の部材10と、第1の部材10と一体化されることによって処置部位の周辺部を構成する第2の部材20とを備えている。第1の部材10及び第2の部材20は、ともに熱可塑性エラストマーを主成分としている。また第1の部材10は、第2の部材20とは相異する色調を呈している。さらに第1の部材10は、第2の部材20よりも引張特性が優れており、引張力に対して伸びやすい構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療用実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人型の医療用実習シミュレーターロボットにおいて、リアルさを追求するために、機械的構造体の外側に皮膚を模した人工皮膚(スキン部材)が取り付けられている。そして、このスキン部材に適当な塗料を塗布したり、輪郭線を描いたりする等の化粧を施すことによって、本物そっくりに仕上げられている。本願発明に関連する先行技術としては、例えば特許文献1,2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1では、3次元スキャナによるスキャンに基づいて形成された顔面部の立体構造物に、合成樹脂シートを密着させてブリスター成形することにより、モデルとなる被写体のお面を表情豊かにそのまま再現する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、シート状に形成された繊維強化樹脂層とシート状の加飾材とを熱可塑性樹脂で接合することによって、人工皮膚の強度等を向上させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−139593号公報
【特許文献2】特開2006−44264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医療用実習シミュレーターロボットを用いた医療実習では、実習者が治療等の診療処置を施す部分が実習内容に応じておおよそ特定されている。したがって、臨場感を高めて実習効果を向上させるという観点からは、処置を施す部分(処置部位)についてはリアルに形成することが望ましいものの、それ以外の部分についてはリアルに形成するメリットが比較的少ない。
【0007】
ところが特許文献1,2を含む従来技術では、処置部位のみに特定素材を適用するという発想がない。そのため、従来のスキン部材では、処置部位とその周りの部分とを区別することなく一体形成により形成されていた。したがって、例えば処置部位に高価な素材を適用しようとすると、その周りの部分にも同一素材を適用することとなり、材料コストが非常に高くなってしまうという問題があった。
【0008】
また処置部位は、実習の際に、手や器具で擦られたり引っ張られたりする等して、色落ちや損傷が起こりやすくなっている。ところが、従来のスキン部材では、処置部位に損傷が発生した場合においてもスキン部材全体を交換する必要があるため、修復コストが高くなっていた。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、医療用実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材にかかるコストを抑制しつつ、実習効果を向上し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、医療用実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材において、医療実習において処置対象となる処置部位を構成する熱可塑性エラストマーを主成分とする第1の部材と、前記第1の部材と一体化されることによって前記処置部位の周辺部を構成し、前記第1の部材とは相異する特性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とする第2の部材とを備える。
【0011】
また、第2の態様は、第1の態様に係るスキン部材において、前記第1の部材は、色調が前記第2の部材とは相異する。
【0012】
また、第3の態様は、第1または2の態様に係るスキン部材において、前記第2の部材は、前記第1の部材とは引張特性が相異し、第1の部材の引張特性が第2の部材の引張特性より優れていることを特徴とする。
【0013】
また、第4の態様は、第3の態様に係るスキン部材において、前記第1の部材は、前記第2の部材よりも引っ張り弾性率が小さい。
【0014】
また、第5の態様は、第1から第4までのいずれか1態様に係るスキン部材において、前記第1の部材と前記第2の部材とが、インサート成形によって一体化される。
【発明の効果】
【0015】
第1から第5までの態様に係るスキン部材によれば、処置部位をその周囲とは異なる部材で構成することによって、処置部位のみに特有の性質を持たせることが可能となる。これにより、医療実習に好適な処置部位を構成するスキン部材を低コストで提供し得る。また、第1の部材の交換が可能となるため、修復コストを抑制することが可能となる。
【0016】
処置部位とその周辺部とが同一素材で一体形成されたスキン部材では、塗装が施された処置部位に色落ちや汚れの付着が起こった場合等に、修復のためにスキン部材全部を交換しなければならない場合がある。これに対し、第2の態様に係るスキン部材によれば、第1の部材のみの交換で処置部位を修復できるため、修復コストを抑制し得る。また、処置部位とその周辺部とを同一素材で一体形成したスキン素材では、色調を相異させるために化粧や塗装を行なうので、色落ちが発生したり汚れが付着したりすることがある。その場合には、スキン全体を交換する必要があるので、修復コストが高額になるが、第2の態様に係るスキン部材の場合、第1の部材と第2の部材の色調が相異しているため、色落ちによる交換が不要となる。したがって、低コストで意匠性を維持することができるという効果を奏し得る。
【0017】
特に第3の態様に係るスキン部材によれば、処置部位を構成する第1の部材のみに引張特性の優れた素材を採用することが可能となるため、処置部位を構成する第1の部材が破損することを抑制し得る。
【0018】
特に第4の態様に係るスキン部材によれば、第1の部材を、第2の部材の素材よりも引張力に対して伸びやすい素材で構成することによって、処置部位を構成する第1の部材に比較的強い引張力が作用した場合においても、スキン部材全体が破損し難くなるという効果を奏し得る。
【0019】
特に第5の態様に係るスキン部材によれば、1の金型で第1の部材と第2の部材とを一体化し得るため、低コストで容易にスキン部材を製造できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るスキン部材の全体図である。
【図2】図1に示すスキン部材を構成する第1の部材のみを示す図である。
【図3】顔面スキン用簡易金型を示す図である。
【図4】スキン部材を製造する工程を説明するための図である。
【図5】医療用実習シミュレーターロボットの腕部に取り付けられた、第2実施形態に係るスキン部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
{1.第1実施形態}
図1は、第1実施形態に係るスキン部材100の全体図である。また図2は、図1に示すスキン部材100を構成する第1の部材10のみを示す図である。スキン部材100は、歯科分野における医療実習を目的として利用される医療用実習シミュレーターロボットに適用される、人間の口周りを模した人工皮膚である。スキン部材100は、医療実習において処置部位を構成し、熱可塑性エラストマーを主成分とする第1の部材10と、熱可塑性エラストマーを主成分とするとともに、前記第1の部材と一体化されることによって前記処置部位の周辺部を構成し、前記第1の部材とは相異する特性を有する第2の部材20とで構成されている。
【0023】
なお、本願における「処置部位」は、専ら診療を目的として、実習者が医療用実習シミュレーターロボット等の疑似患者体に対して模擬的に処置を施す際に、直接的、あるいは、間接的に接触し得る身体の部位と定義される。具体的に処置部位には、患部(治療対象部位)もしくはその患部近傍のどちらか一方が少なくとも含まれる。
【0024】
例えば歯科治療では、歯牙や歯肉等が患部に該当する。したがって、この部分が処置部位となる場合もある。また歯科治療の際には、口を拡張すべく唇が外側に引っ張られる場合がある。このように歯科分野においては、唇は治療を目的として実習者が手または器具等で接触する部分であるため、上記の定義から処置部位となる。
【0025】
第1の部材10は、処置部位である人間の唇を模した人工皮膚を構成しており、その中央に貫通孔が設けられることよって開口部11が形成されている。また第2の部材20は、唇の周辺部の皮膚を模した人工皮膚を構成している。第1の部材10は、JIS慣用色名で赤色や朱色等を呈しており、第2の部材20が呈する肌色とは相異する色調を呈している。ただし第1の部材10および第2の部材20の色調の組合せは、このようなものに限られるものではなく適宜に変更し得る。また第1の部材10及び第2の部材20は、それぞれの原材料に適当な色素(顔料等)を混入することで、成形後にそれぞれが所定の色調を呈するように構成されている。
【0026】
従来(例えば特許文献1)のように処置部位およびその周辺部を一体形成したスキン部材では、処置部位が色落ちや汚れの付着が起こった場合、修復のためにスキン部材全体を交換しなければならない場合がある。これに対し、スキン部材100では、第1の部材10のみの交換で処置部位の損傷を修復することができるため、修復コストを抑制することが可能となっている。
【0027】
また従来のように、処置部位とその周辺部とを同一素材で一体形成したスキン素材では、色調を相異させるために化粧や塗装を必要としたため、色落ちが発生したり汚れが付着したりすることがある。その場合には、スキン全体を交換する必要があるので、修復コストが高額になるが、スキン部材100の場合、色落ちによる交換が不要となる。したがって、低コストで意匠性を維持することができる。
【0028】
第1の部材10及び第2の部材20は、ともに熱可塑性エラストマーを主成分とする素材で構成されている。ここで、第1の部材10及び第2の部材20を構成する熱可塑性エラストマーの特性としては、例えば、伸縮性が3倍以上、硬さが30以上(試験方法:JIS K6253)、引き裂き強さが15N/mm以上であることを特徴とするスチレン系又はポリオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0029】
さらに前記第2の部材20は前記第1の部材10とは引張特性(例えば、特定の伸びに対する単位幅あたりの引張応力、引張強度)が相異しており、第1の部材10の引張特性が第2の部材20の引張特性よりも優れている。より具体的には、第1の部材10の方が第2の部材20よりも伸びやすくなっているとともに、引き裂き強さが第1の部材10の方で大きくなっている。さらに換言すると、変形のしにくさの指標である弾性率(具体的には引っ張り弾性率(ヤング率))が、前記第2の部材20よりも第1の部材10の方で小さくなっている。
【0030】
第1の部材10が構成する処置部位は、前述したように、治療を目的として実習者が接触する部位である。特に第1の部材10は、実習の際に、開口部11が広げられ、その奥に配置されている口内の立体構造物(歯牙、顎等を模した構造物)に対して診療処置が行われる。また、スキン部材100が取り付けられた医療用実習シミュレーターロボットに対して、開口部11が広げられた状態でその口内に立体構造物が設置される場合もある。このように第1の部材10は、第2の部材20に比べて大きな力が作用する機会が多く、その分、断裂等の損傷が発生する可能性も高い。
【0031】
これに対して本実施形態では、上述したように第2の部材20よりも引張特性の優れた素材で構成された第1の部材10を処置部位に適用するため、第1の部材10に比較的大きな引張力が作用しても、第1の部材10が損傷する可能性が低くなっている。また、引張特性に優れているとして比較的高価な素材を使用する場合においても、このような素材の適用範囲を処置部位に限定することによって、製造コストの上昇を抑えつつ強度に優れたスキン部材100を提供することが可能となる。
【0032】
また、従来のように処置部位およびその周辺部を一のスキン部材で構成した場合、処置部位が破損すると、修復のためにはスキン部材全体を交換する必要がある。これに対して本実施形態では、スキン部材100を第1の部材10と第2の部材20とで個別に構成しているため、第1の部材10が損傷した場合に第2の部材20を再利用することも可能であり、修復コストを抑制し得る。また、第2の部材20が損傷した場合にも、第1の部材10を再利用することは可能である。
【0033】
また、剪断力による変形のしにくさを示す剪断弾性係数(剪断弾性率)が、前記第2の部材20よりも第1の部材10の方で小さくなるようにしてもよい。この場合には、第1の部材10が剪断力に対して変形しやすくなるため、剪断力による損傷が生じにくくなる。
【0034】
次にスキン部材100の製造方法について説明する。なおここで説明するスキン部材100の製造方法は、第1の部材10と第2の部材20とを、樹脂同士のインサート成形によって一体化するものである。
【0035】
図3は、顔面スキン用簡易金型30を示す図である。図3に示すように、顔面スキン用簡易金型30は、凹凸によって顔面の輪郭部分(口、鼻、目、額及び顎等の輪郭)が形成されている。顔面スキン用簡易金型30は、外側金型31と、図4では図示しない内側金型32とで構成されており、これらの金型の間に形成される空間内で、第1の部材10と第2の部材20とが一体化される。
【0036】
図4は、スキン部材100を製造する工程を説明するための図である。まず図4(a)に示すように、第1の部材10が顔面スキン用簡易金型30(外側金型31)の内側(唇に対応する位置)に設置される。なお、第1の部材10は、予めプレス成形等によって唇状に成形されたものが用いられる。
【0037】
次に、図4(b)に示すように、第1の部材10が装着された顔面スキン用簡易金型30の外側金型31の内側に、加熱により軟化した第2の部材20の素材が注入される。より詳細には、顔面スキン用簡易金型30の外側金型31の内側に所定の隙間を空けて内側金型32が配置され、この空間内に、加熱によって軟化した第2の部材20の素材が充填される。
【0038】
そして所定時間冷却された後、顔面スキン用簡易金型30が開放され、図4(c)に示すように第2の部材20が第1の部材10と一体化されたスキン部材100が取り出される。
【0039】
このような樹脂同士のインサート成形によってスキン部材100を製造することにより、一の金型で第1の部材10と第2の部材20とを一体化できるため、低コストで容易にスキン部材100を製造し得る。特に一体化した後の後処理がほとんど不要であるという点でインサート成形は有利である。
【0040】
なお、スキン部材100の製造は、このようなインサート成形によるものに限られない。例えば第1の部材10と第2の部材20とをそれぞれ個別に成形し、少なくともどちらか一方の境界面に粘着テープ等を取り付け、この接着力で互いを接合するようにしてもよい。またホットメルト等の接着剤で接合するようにしてもよい。またそれぞれの境界面にフック材及びループ材で構成される面ファスナを取り付け、接合するようにしてもよい。さらに各部材の境界面を熱熔解して接合するようにしてもよい。
【0041】
{2.第2実施形態}
第2実施形態に係るスキン部材100Aについて説明する。図5は、医療用実習シミュレーターロボットの腕部に取り付けられた、第2実施形態に係るスキン部材100Aを示す図である。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
第2実施形態に係るスキン部材100Aは、やけどによる傷を模した第1の部材10Aと、その周辺部分の正常な皮膚を模した第2の部材20Aとで構成されている。なお、第1の部材10Aは、裂傷、疱瘡、擦傷等を模した人工皮膚を構成していてもよい。本実施形態では、やけど等の患部を模した部分が「処置部位」となっており、この部分が第1の部材10Aにより構成されている。
【0043】
第1の部材10Aは、赤色(または黒色等)といったやけど特有の色調を呈しており、第2の部材20Aの色調(肌色)とは異なる色調を呈している。ただし、第1実施形態と同様に、色の組合せはこのようなものに限られるものではない。
【0044】
第1の部材10Aと第2の部材20Aは、ともに熱可塑性エラストマーを主成分とする素材である。第1実施形態に係るスキン部材100では、第1の部材10と第2の部材20とで引張特性を異ならせていたが、本実施形態に係るスキン部材100Aでは、第1の部材10Aと第2の部材20Aとは、同種のエラストマーで構成されており、同様の引張特性を有している。ただし、第1の部材10Aと第2の部材20Aとで引張特性を異ならせてもよい。
【0045】
本実施形態に係るスキン部材100Aにおいても、第1実施形態に係るスキン部材100と同様に、処置部位とその周囲の部位とを別体とすることによって、処置部位のみに特有の性質を持たせることが可能となる。また、処置部位を構成する第1の部材10Aのみの交換が可能となるため、従来のように処置部位とその周辺部とを一体形成したスキン部材に場合に比べて修復コストを抑えることができる。
【0046】
また第1実施形態と同様に、原材料に適当な色素を混入して第1の部材10及び第2の部材20のそれぞれが特有の色調を呈するように構成することにより、色落ちが発生しなくなるため、低コストで意匠性を維持することができる。
【0047】
{3.変形例}
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0048】
例えば第1の部材10,10Aに各種センサー類を埋設することによって、第1の部材10,10Aに固有の特性を持たせるように構成してもよい。例えば、圧力センサーを設けることで、余計な力が患部等にかかっていないかどうか検知できるし、接触センサーを設けることで、余計な所に触れていないかどうかを検知できる。また伸縮センサーを設けることで、処置部位を引っ張る力が適切かどうか検知できる。さらに磁力センサーを設けることで、例えば金属製の診療器具(切削器具やメス等)が皮膚や目等の近くを通っていないかを検出できる。なお、各種センサー類を第1の部材10に完全に埋設するのではなく、第1の部材10と第2の部材20との間に挟み込むようにして設置してもよい。
【0049】
このようなセンサー類を埋め込むことにより、実習の内容を詳細に把握することができるため、より正確に実習を評価することが可能となる。これにより効果的な実習が可能となり、医療従事者の技能向上を図ることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、第1の部材10と第2の部材20との間で色調および引張特性を異ならせており、第2実施形態では、第1の部材10Aと第2の部材20Aとの間で色調のみを異ならせている。しかしながら、色調を同じで引張特性のみが異なる部材同士を組み合わせた場合にも、本発明は有効である。例えば耳鼻科に関する実習では、耳や鼻が処置部位となり得るが、耳や鼻を構成する部材とその周辺部を構成する部材とについて、色調を同一としつつ、引張特性を異ならせるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では2つの部材を組み合わせた場合について説明したが、本発明は、3以上の互いに相異する特性を持った部材を組み合わせて構成されるスキン部材の場合にも有効であることはいうまでもない。
【0052】
また本発明は、上記実施形態で説明した処置部位(唇、皮膚)の他にも、鼻や耳、目等の医療上の診療対象となり得る処置部位を構成するあらゆるスキン部材に適用できる。獣医学分野の実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材も本発明の対象であり、禽獣類の皮膚を模したスキン部材にも本発明は適用可能である。
【0053】
さらに、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0054】
10,10A 第1の部材
100,100A スキン部材
11 開口部
20,20A 第2の部材
30 顔面スキン用簡易金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用実習シミュレーターロボットに適用されるスキン部材において、
医療実習において処置対象となる処置部位を構成する熱可塑性エラストマーを主成分とする第1の部材と、
前記第1の部材と一体化されることによって前記処置部位の周辺部を構成し、前記第1の部材とは相異する特性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とする第2の部材と、
を備えるスキン部材。
【請求項2】
請求項1に記載のスキン部材において、
前記第1の部材は、色調が前記第2の部材とは相異するスキン部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスキン部材において、
前記第2の部材は、前記第1の部材とは引張特性が相異し、第1の部材の引張特性が第2の部材の引張特性より優れていることを特徴とするスキン部材。
【請求項4】
請求項3に記載のスキン部材において、
前記第1の部材は、前記第2の部材よりも引っ張り弾性率が小さいスキン部材。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のスキン部材において、
前記第1の部材と前記第2の部材とが、インサート成形によって一体化されるスキン部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8227(P2012−8227A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142066(P2010−142066)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人科学技術振興機構 「歯科臨床実習用ヒト型患者ロボットシミュレータ」に関する委託開発事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【出願人】(502397369)学校法人 日本歯科大学 (20)
【出願人】(591076257)株式会社ココロ (11)
【Fターム(参考)】