説明

スクリーン印刷方法

【課題】 手作業による編集を伴わない顧客が用意したデジタル画像に基づく特注スクリーン印刷製品を製造する自動システム及び方法を提供する。
【解決手段】 データ処理方法により、デジタル画像に基づく特注スクリーン印刷製品の製造ワークフローが提供される。開示された方法は、ユーザーから画像を受信し、スクリーン印刷されたときの製品の外見をプレビューしてユーザーの承認を得ることを含み、受信した画像を色分解データ及びスクリーン印刷を促進する関連メタデータに変換し、フィルタリング及びグループ化によって主要色成分を検出し、画像の解像度を制限し、ブルー・ノイズを付加するための改良型乱数発生器を用いて構造化誤差拡散ハーフトーニングを行い、誤差拡散ドット拡散補正等を行うワークフローを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服等のスクリーン印刷に用いられるデータ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが指定したデジタル・グラフィック画像に基づく、衣服、飲料容器、目新しい物品等に対する特注印刷が利用できる。例えば、カリフォルニア州、レッドウッドのZazzle社が、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを介してユーザーがオンライ・サーバーとやり取りして特注印刷製品を製造する市場のリーダになっている。ほとんどの特注印刷衣服においては、インクジェット印刷又はインクジェット印刷に変更を加えたものにより最終印刷製品が製造されている。
【0003】
コンピュータ化されていない印刷においては、細目スクリーン及びスクリーン印刷インクを用いた衣服のスクリーン印刷が、インクジェットと比較して、彩度、外見、及び耐久性に優れていることが知られている。手作業によるイラストとスクリーンに基づく“シルクスクリーン印刷された”衣服がここしばらく入手可能であった。イラスト及びスクリーンの作製に伴う手作業は、スクリーン印刷が一般に少量の製品を複製する場合に不経済であることを意味している。また、手作業による編集を伴わない顧客が用意したデジタル画像に基づく特注スクリーン印刷製品を製造するためのオンライン・システムは存在していない。
本セクションで説明する方法は実現可能なものではあるが、必ずしもこれまでに着想又は実現しようとされたものに限定されるものではない。従って、別に指定のない限り、本セクションで説明する方法は、単に本セクションに含められているという理由から従来技術と見なされるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手作業による編集を伴わない顧客が用意したデジタル画像に基づく特注スクリーン印刷製品を製造する自動システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態において、本発明は指定されたデジタル・グラフィック・ファイル又は画像をスクリーン印刷製品に変換するよう構成されたコンピュータをベースとしたシステム及び方法が提供される。実施の形態において、このシステム及び方法は手作業によるイラストや顧客サービスのやり取りを必要とせず、所望の画像又はグラフィックに変換したものをユーザーがオンラインでプレビュー及び選択することを含み完全に自動化された方法が提供される。実施の形態において、このシステム及び方法はユーザーが承認した画像を別の種類の基材に適用できるよう構成されている。実施の形態において、新規な工程によりユーザーにフィードバックする画像及び印刷のための画像化が提供される。
【0006】
実施の形態において、データ処理方法によりデジタル画像に基づく特注スクリーン印刷製品の製造ワークフローが提供される。開示された方法は、ユーザーから画像を受信し、スクリーン印刷されたときの製品の外見をプレビューしてユーザーの承認を得ることを含み、受信した画像を色分解データ及びスクリーン印刷を促進する関連メタデータに変換し、フィルタリング及びグループ化によって主要色成分を検出し、画像の解像度を制限し、ブルー・ノイズを付加するための改良型乱数発生器を用いて構造化誤差拡散ハーフトーニングを行い、誤差拡散ドット拡散補正等を行うワークフローを含んでいる。
実施の形態において、コンピュータにより実行される方法であって、少なくとも1つのソース画像、スクリーン印刷に用いられるインクの数又は主要な色を示す主要色値、及び1つの主要な色として特定されるソース画像中の特定の色の最小領域を示す主要色領域値を含んで成る、製品に画像をスクリーン印刷する要求を受信するステップ、主要色値及び主要色領域値に基づいて、ソース画像を製品のスクリーン印刷に使用可能な目的画像に変換するステップ、各々がインク又は主要な色の1つに対応する2つ以上の色分解画像を生成・保存するステップ、及び目的画像及び色分解画像をスクリーン印刷用として送信するステップを有して成り、ステップの各々が1つ以上のプロセッサーによって実行されることを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ユーザーが用意したデジタル・グラフィック画像を用いたスクリーン印刷の自動化工程の例を示す図。
【図2A】スクリーン印刷画像を処理するためのコンピュータの構成を示す図。
【図2B】スクリーン印刷工程を用いて画像の印刷を促進するために画像中の主要色成分を検出する工程を示す図。
【図2C】スクリーン印刷工程を用いて画像の印刷を促進するために画像中の主要色成分を検出する工程を示す図。
【図2D】目的画像の特定の画素にマッピングされるソース画像のマッピング・サンプル領域を示す図。
【図2E】目的画像の特定の画素にマッピングされるソース画像のマッピング・サンプル領域を示す図。
【図3A】画像中の各印刷画素の他の同様の印刷画素に対するコネクティビティ量を検出する工程を示す図。
【図3B】充分なコネクティビティを有しない画像中の各画素に印を付け、画像中の印を付した画素の値を最高のコネクティビティを有する解像度において近傍の画素値に置換する工程を示す図。
【図4】構造化誤差拡散ハーフトーニング工程の特定のステップを示す図。
【図5A】誤差拡散ドット拡散補正の特定のステップを示す図。
【図5B】誤差拡散ドット拡散補正に関連して、原画像の画素値を目的画像の画素値へ変換する方法を示す図。
【図5C】誤差拡散ドット拡散補正に関連して、原画像の画素値を目的画像の画素値へ変換する方法を示す図。
【図5D】誤差拡散ドット拡散補正に関連して、原画像の画素値を目的画像の画素値へ変換する方法を示す図。
【図5E】誤差拡散ドット拡散補正に関連して、原画像の画素値を目的画像の画素値へ変換する方法を示す図。
【図6】実施の形態を実行可能なコンピュータ・システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、本発明が充分理解されるよう説明を目的として多くの具体的詳細情報が記載されている。しかし、当然のことながら、本発明はこのような具体的詳細情報を必要とせずに実施できる。他方、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、よく知られている構造体や装置はブロック図で示してある。
【0009】
<手動スクリーン印刷工程の例>
スクリーン印刷により顧客のスクリーン印刷製品を製造する1つの工程は以下のようである。顧客がスクリーン印刷製品に取り入れたいと思うイラスト又はデザインの草案をスクリーン印刷サービス会社に送る。これは、一般に、デジタル手段によって行われる。また、顧客は印刷する基材を選択することができる。基材の例としてはシャツ、帽子、及びその他の衣服があげられる。
【0010】
スクリーン印刷サービス会社の顧客サービス係が画像を見て、その画像をスクリーン印刷できる形態に変換するアート・サービスの見積もりを作成する。印刷サービスについても見積もりが作成され、基材のコストも含められる。通常、見積もりには基材の印刷領域の大きさ及び位置、各印刷領域に印刷される色の数、使用スクリーン印刷インクの種類、印刷する基材の種類、印刷製品の数、及び仕上げ要件が含まれている。
【0011】
顧客はアート・サービス、基材、及び製造サービスの価格に関し同意又は交渉する。顧客は支払方法を提示する。顧客の同意及び支払方法を受信すると、顧客サービス係は顧客製品の製造プロジェクトが開始される。アート・サービスが実施され顧客のオリジナル・デザインがスクリーン印刷できるイラストに変換される。顧客のイラスト又は草案が具体的な輪郭の大きさを有し、印刷される色の数に一致する数の色によっての塗りつぶされた線画又はベクトル画に変換される。色データを含む合成印刷がスクリーン・イラストに変換されデジタル形式又はハードコピーとして利用可能となる。
【0012】
顧客は合成画像を評価し口頭で画像の修正を指示する。顧客サービス係はアート・サービス部門に必要な変更を行うよう指示する。アート・サービス部門は当該変更を加え合成画像を更新する。
【0013】
画像に対し同意が得られると、アート・サービス部門はそれぞれの画像及び印刷すべき各色を示す“色分解画像”を作成して製造部門に送る。製造部門は各々の色のスクリーンを作製しこれ等の色に一致するインクを混合する。製造部門が試作品の印刷を行うことにより試作品が利用可能となる。
【0014】
顧客サービス係は顧客に連絡して試作品を納品する。顧客は試作品に対し同意するか、口頭で修正を指示する。顧客サービス係は、必要があれば、製造部門に対し、スクリーン又は色を変更するよう指示する。修正がある場合にはこの工程が反復される。すべての修正がなされると、製造部門が製品の印刷及び仕上げを行い顧客に輸送する。
【0015】
<オンライン特注スクリーン印刷>
図1はユーザーが用意したデジタル・グラフィック画像を用いたスクリーン印刷の自動化工程の例を示す図であって、以下の一般的なステップを含んでいる。
【0016】
ステップ102において、顧客により完成図が自動システムにアップロードされる。実施の形態において、自動システムはオンライ・サービスの1つ以上のサーバー・コンピュータの1つ以上のコンピュータ・プログラムによって実現される。各々のサーバー・コンピュータは図6に関連して説明する構成を有している。本明細書において“顧客”とは自動システムと電子的に通信する個人、ユーザー、又はシステムを広く意味する。ステップ102には、入力画像又は複数の画像、選定されたインクの数又は主要色、主要色を使用すべき入力画像の選定領域、製品製造におけるハーフトーン使用の有無、及び製品購入の有無から成る第1入力データ通信又は要求が含まれている。要求はユーザー・コンピュータと1つ以上のサーバー・コンピュータ及びサーバー・コンピュータの論理素子との間において複数回繰り返された要求と応答又はその他のやり取りの結果を反映したものである。幾つかの実施の形態において、前記データ項目の1つ以上を省略し、他のデータ項目を要求に含めることができる。ステップ102の一部として、画像をチェックして解像度要件を満たしていことが検証される。画像がスクリーン印刷用として充分な解像度を有していない場合には顧客に通知される。通知には画像の解像度の修正方法が含まれている。
【0017】
受け入れ可能な画像を受信すると、ステップ104において、デフォルトのセッティングを用いて自動工程により顧客の画像がスクリーン印刷に適合される。ステップ106において、自動工程が特別な画像処理を行い、スクリーン印刷に用いられる画像とシステムを用意する。ステップ108において、色空間上における近似性及び図2A、2B、及び2Cに関連して、またセクション<主要色成分の検出>において更に説明する所定の色成分の解像度に基づいて色を制約する工程により選択された数の色に画像が限定される。実施の形態において、スクリーン印刷に使用されるインクに基づいて画像の色が一連の基準に適合される。
【0018】
ステップ110、112において、スクリーン印刷後の画像がどのように見えるかということに基づいて、自動工程が図3A、3B、及び4に関連して説明すると共に、セクション<スクリーン印刷の解像度制限>及び<構造化誤差拡散ハーフトーニング>において説明する、基材及び印刷特性の一連の基準を用いて画像をレンダリングする。任意として、構造化誤差拡散ハーフトーニングは、図5に関連して更に説明する誤差拡散ドット拡散補正を含むことができる。
【0019】
ステップ108、110、及び112の結果、ステップ114において表示されるプレビュー画像が生成される。図2A、2B、2C、3A、3B、4、及び5の方法を幾つかの実施の形態に応用してユーザーに提示するプレビュー画像の生成・保存、製品製造者のスクリーン印刷システムに送信する目的画像の生成・保存、スクリーン印刷システムが使用する色分解画像の生成・保存、あるいはこれ等全部を行うことができる。
【0020】
実施の形態において、自動システムによって画像、画像によって作製可能な一連の製品、及び画像に関する価格情報がユーザーに表示される。実施の形態において、要求が製品化されたときの状態を示す出力画像、インク数又は主要色の更新情報、主要色を使用すべき入力画像領域の更新情報、製品製造におけるハーフトーン使用の有無、及び製品販売申し込みを含む回答が自動システムによって出力される。幾つかの実施の形態において、前記データ項目の1つ以上を省略し、他のデータ項目を回答に含めることができる。ステップ114において、原画像が変換されたスクリーン印刷用画像をユーザーが見て、色数、明確な色を有する画像要素の最小寸法、及び印刷画像寸法のうちの1つ以上のセッティングについて調整する。自動システムが供給したスクリーン印刷製品のレンダリングに対しユーザーが承認した場合、工程はステップ116に進み、承認されなければステップ106に戻る。
【0021】
ステップ116、118、120の一部として、ユーザーは自動システムに対し、プレビュー工程によって作製された製品に適用される画像を表す画像及び分解工程によって作製された各々のインク色分解画像を含む注文を送信することができる。注文の送信において、実際の画像ファイルではなく、ローカル又はネットワーク記憶装置における画像の記憶場所又は画像名を示す情報を与えることができる。幾つかの実施の形態において、前記データ項目の1つ以上を省略し、他のデータ項目を注文に含めることができる。ステップ116において、ユーザーは基材の種類、寸法、及び色を選択することができる。ステップ118において、自動システムにより顧客の画像が選択された基材上に表示される。実施の形態において、スクリーン印刷としてどのように印刷されるか調整された画像を備え適切な基材、色、及び寸法を有する製品が表示される。製品は適合度と画像位置を示すモデルに表示される。従って、顧客はあたかも印刷された最終形態、且つ画像の位置及び寸法が分かる状況で表示された製品を精査してから注文することができる。
【0022】
ステップ120において、支払いインタフェース又はオンライン・ショッピング・カート・システムにより顧客が製品を購入する。ステップ122において、自動工程によってスクリーン色分解、インク仕様及びガイドライン、ソフトウェア・プルーフ用色修正画像、スクリーンの整合及び位置合せ、スクリーン・プレスのプラテンの整合及び位置合せ、プラテンの位置合せを示すシートをインタリーブした基材バッチ、スクリーン印刷注文、仕上げ指示、及び輸送に関するデータが外部のスクリーン印刷サービス会社に送られる。実施の形態において、図5Aに関連して、またセクション<誤差拡散ドット拡散補正>において説明するスクリーン色分解が自動システムによって用意される。
図1の態様を要求から回答を作成する処理ステップから成るプレビュー工程と、例えば、本明細書で更に説明する特定の工程により、要求から注文を作成する処理ステップから成る分解工程とに体系化することができる。また、ここに引用することによりそっくりそのまま本明細書に組み込まれたものとする米国特許出願第11/925,716号明細書(出願日2007年10月26日)及び米国特許出願第12/511,910号明細書(出願日2009年7月29日)に記載の方法によって図1の態様を実施することができる。例えば、上記特許文献の方法によって、要求、回答、及び注文の受信や生成、プレビュー画像の生成や表示、及び支払やその他の注文処理機能を実現することができる。
図2Aはスクリーン印刷画像を処理するためのコンピュータの構成を示す図である。図2Aの構成により図1に示す工程及び更に以下のセクションで説明するそのたの工程を実施することができる。実施の形態において、ユーザー・コンピュータ202が、ユーザーが基材又は製品にスクリーン印刷を希望するグラフィックス、テキスト、あるいはその他の情報を表すデジタル・ユーザー画像ファイル204を保存又はそこにアクセスすることができる。ユーザー・コンピュータ202は、ローカル・ネットワーク、広域ネットワーク、インターネットワーク、及びグローバル・インターネットワークの任意の組合せを広く表すネットワーク206に接続されている。ユーザー・コンピュータ202はウェブ・ブラウザー、クライアント・ロジック、あるいはクライアント・ソフトウェアのようにユーザー又は顧客とやり取りして要求を作成する手段として機能する。また、ユーザー・コンピュータ202は、ウェブ・ブラウザー、クライアント・ロジック、あるいはクライアント・ソフトウェアのようにサーバー・コンピュータ208とやり取りして回答を顧客に提示する手段としても機能する。
【0023】
サーバー・コンピュータ208はネットワーク206、記憶装置210、及びスクリーン印刷システム240に接続されている。実施の形態において、サーバー・コンピュータ208は特注印刷製品の注文業務を行う企業によって所有、運用、又は関連している。実施の形態において、サーバー・コンピュータ208は本明細書で更に説明する工程を実行する1つ以上のロジック、コンピュータ・プログラム、又はその他のソフトウェア・エレメントで構成されている。一般に、サーバー・コンピュータ208はユーザー画像ファイル204を受信し、本明細書で説明するように画像ファイルを処理し、1つ以上の目的画像214、画像メタデータ、及びその他のデータ値を記憶装置210又は主記憶装置に保存するよう構成されている。
サーバー・コンピュータ208は、ユーザー・コンピュータ202とやり取りして要求を受信する1つ以上の手段、サービス部門とやり取りして回答を作成する手段、ユーザー・コンピュータ202とやり取りして回答を送信する手段、製品購入の正当な同意が要求に含まれている場合、サービス部門とやり取りして注文を作成する手段、及びスクリーン印刷システム240に関連した製造者コンピュータと通信して注文を送信する手段を有することができる。それぞれの手段は1つ以上のコンピュータ・ロジック、コンピュータ・プログラム、又は本明細書で更に説明する工程を実行するよう構成されたその他のソフトウェア・エレメントを有することができる。一部の実施の形態において、別の機能を果たすロジック、プログラム、あるいはソフトウェア・エレメントを有することができる。
【0024】
サーバー・コンピュータ208はスクリーン印刷システム240に送信されるスクリーン印刷データ232を生成するようにも構成されている。スクリーン印刷システム240はスクリーン印刷データ232を用いてスクリーン印刷を実施して最終製品を製造することができる。一般に、スクリーン印刷システム240は、各々が開放印刷領域及び閉塞非印刷領域を有して成り、色分解画像から作製される1つ以上のステンシルを備えている。更に、スクリーン印刷システム240は、顔料又は染料から成り基体に取り付けられる手段を備えたインク、ステンシルを通してインクを押圧又はポンピングするアプリケータ、及びアプリケータを用いステンシルを通して基材にインクをポンピングするよう構成された印刷装置を有している。
【0025】
スクリーン印刷システム240は衣服又はその他の実用品としても使用される基材又は担体から成る製品に印刷するよう構成され、本明細書で説明する工程により基材に塗布された複数のインク層から成る画像又は複数の画像が印刷される。スクリーン印刷システム240は、更にサーバー・コンピュータ208とやり取りして注文を受信する1つ以上の手段及びスクリーン印刷システムが製品を製造する手段を提供する製造者コンピュータを有している。
【0026】
実施の形態において、サーバー・コンピュータ208が主要色成分検出ロジック212、解像度制限ロジック220、構造化誤差拡散ハーフトーニング・ロジック222、基材選択・表示ロジック226、プレゼンテーション・ロジック224、及びスクリーン印刷データ生成ロジック228を有している。実施の形態において、主要色成分検出ロジック212は、ユーザー画像ファイル204の主要色成分を検出する工程を実行するようよう構成され、図2B、2Cの工程を実行可能な回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。ロジック212は画像フィルター・ロジック216及び本明細書で説明する方法によって画像データにフィルターをかけ画素をグループ分けすることにより、目的画像214及びユーザー画像ファイル204の主要色成分を特定する関連メタデータを生成・保存するグループ分けロジック218を備えるか、又は実施することができる。実施の形態において、解像度制限ロジック220は目的画像214の解像度を制限する工程を実施することによりスクリーン印刷に適合するよう更に画像を調整するよう構成され、図3A、3Bの工程を実行可能な回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。実施の形態において、構造化誤差拡散ハーフトーニング・ロジック222は構造化誤差拡散ハーフトーニングの工程を実施することにより、スクリーン印刷に適するよう更に画像を調整するよう構成され、図4、5Aの工程を実行可能な回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。ロジック222は、スクリーン印刷の準備として画像に対しドット拡散補正を行うドット拡散補正ロジック230を備えるか、又は実施することができる。
【0027】
実施の形態において、スクリーン印刷データ生成ロジック228は、図1のステップ122を実行するよう構成された回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。実施の形態において、基材選択・表示ロジック226は、ユーザーとやり取りして基材の選択を受信すると共にスクリーン印刷に向けて完全に処理された画像描写をユーザー・コンピュータ202の表示装置に表示させるよう構成された回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。実施の形態において、プレゼンテーション・ロジック224はウェッブ・サーバー、HTML及び他の電子ドキュメントの動的生成、及びプレゼンテーション層のその他の機能を実行するよう構成された回路、ロジック、内蔵コンピュータ・プログラム又はその他のソフトウェア・エレメント、あるいはこれ等の組合せを有している。
【0028】
実施の形態において、基材選択・表示ロジック226及びプレゼンテーション・ロジック224、その他の内蔵プログラム、又はサーバー・コンピュータ208の他のエレメント及び図1の工程を特注製品可視化工程及び/又はここに引用することによりそっくりそのまま本明細書に組み込まれたものとする、米国特許出願第11/925,716号明細書(出願日2007年10月26日)及び米国特許出願第12/511,910号明細書(出願日2007年10月26日)に記載されている、特注製品ワークフローに統合することができる。
【0029】
支払システム250がネットワーク206に接続され、ユーザー・コンピュータ202及びサーバー・コンピュータ208と通信する。支払システム250はサーバー・コンピュータ208と同一場所又は別の場所に設置することができる。支払システム250は、電子ショッピング・カート、及びクレジット・カード支払処理サービス、マーチャント・サービス、又はクリーニングハウスとインタフェースする発注・支払機能を実行するよう構成されている。
【0030】
<主要色成分の検出>
他の多くの印刷工程と異なり、スクリーン印刷工程は無限のインク色から選択された色の多くの(一般に1〜16)インク層を印刷することができる。実施の形態において、コンピュータをベースにした自動工程が構成され、インクの色指定及びスクリーン印刷の印刷注文に利用できる画像の主要色成分が特定される。例えば、JPEGフォーマットのデジタル画像ファイルが256種類の色を使用してレンダリングできる場合、本工程は効果的にスクリーン印刷できる一連のインク色の選択に利用できる画像の主要色成分を特定するよう構成される。
一般のデジタル画像処理においては、画像の主要色の検出に改良型Kクラスタリングが用いられる。カラー・クラスタリングが8ビットのパレット化画像フォーマットにおける色の検出に有用であることから、画像圧縮及び低分解能装置に表示する際に一連又は多数(64〜256種類)の色を検出できる多くの最適化された方法が生まれた。しかし、これ等のアルゴリズムの大多数は画像中の限定された数の主要色の検出に対してうまく機能しない。スクリーン印刷においては、実用的な見地から印刷可能な色の数が制限され、一般的には2〜16色である。
【0031】
実施の形態において、画像の主要なインク色を検出する工程により以下のことが可能である。1.多数の画像色のサンプルではなく、原画像の実際の主要色を検出できる。2.画像をよく代表する色、即ち主要色となり得る大きな領域を検出できる。3. 色空間の外側の境界を表す色が検出できるため、別の色を視覚的に混合する場合に使用できる。実施の形態において、前記3つの目標が2つの一般的なステップで達成される。
1.画像にフィルターをかけ、色空間において近接した隣接色領域を保持し、それに相応しい色候補で表示する。色候補は隣接領域のメンバーであって、バイリニア又はガウス・サンプリングで得られる重み付けしたサンプルやコンポーネント・ベースの中央値サンプリングによって得られる別の成分候補を混合したものではない。カラーノイズと呼ばれる隣接しない色領域はフィルターで除去される。
【0032】
2.フィルター処理した画像の色要素が、一般には2〜16である、スクリーン印刷に用いられる色の数であるnのグループに分類される。色要素は色空間において互いに最大距離離れたグループに分類される。グループの中心は、Kクラスタリングのように確立的に選択されるのではなく、母集団及び分離が最大になるよう選択される。
【0033】
図2B、2Cはスクリーン印刷工程による画像の印刷を促進するために画像の主要色成分を検出する工程を示す図である。図2Bがフィルタリング・タスクを示し、図2Cがグループ分けタスクを示している。
【0034】
まず、図2Bにおいて、フィルタリング・タスクのステップ260において、レベル・カウント値が取得される。レベル・カウント値はフィルタリングをパスするためにはどの程度の領域を色が占めている必要があるかを示すものである。実施の形態において、レベル・カウント値はユーザーによって設定可能である。例えば、レベル・カウント値をグラフィカル・ユーザー・インタフェースで指定することができる。
【0035】
図2Bの工程は、工程が開始される前に、製品にスクリーン印刷を希望するユーザー
からグラフィック画像を受信し、コンピュータの記憶装置に保存されていることを前提としている。例えば、ユーザー・コンピュータ202がネットワーク206を介してユーザー画像ファイル204をサーバー・コンピュータ208に送り、サーバー・コンピュータ208がユーザー画像ファイルを記憶装置210に保存する。受信した画像ファイルを以下ソース画像と呼ぶ。図2Bの工程において、ユーザー画像ファイル204がサーバー・コンピュータ208のメモリ又は記憶装置210において製品に印刷するのにより適した目的画像に変換される。
【0036】
ステップ262において、ユーザーが指定したソース画像が3×3画素のサンプル領域に分割される。3×3のサンプル領域はソース画像において重複してもよい。実施の形態において、ソース画像における3×3の各サンプル領域と目的画像のそれぞれ異なる1つの特定の画素との間の1対1のマッピングが行われる。図2D、2Eはソース画像のサンプル領域の目的画像の特定画素へのマッピングを示している。図2Dはソース画像Aと目的画像Bとの関係を示しており、最初の3×3サンプル領域Cが目的画像の画素Eにマッピングされる様子を示している。同様に、図2Eにおいて、ソース画像Aの2番目の3×3サンプル領域が目的画像の別の画素Eにマッピングされる。
【0037】
ステップ264は各サンプル領域に対して行われるステップ266、268、270のループの開始を表している。従って、ソース画像の各サンプル領域に対し、ステップ266において、サンプル画素が選択される。ステップ268において、サンプル領域内において、サンプル画素ではない最も近い候補画素が選択又は検出される。この文脈において“最も近い”とは色空間における近さを意味する。ステップ270において、現在のサンプル領域がマッピングされる目的画像の特定の画素が検出された候補画素の値にセットされる。ステップ266において、すべてのサンプル領域が終了するまで処理が継続する。
ステップ272において、メモリ又は記憶装置210のソース画像が目的画像に置換される。ステップ274において、レベル・カウント値がデクリメントされ、更なるレベルの処理が終了したことが反映される。ステップ276において、レベル・カウント値がゼロであるか否か判定され、ゼロでなければ、新しい(置換された)画像が新しいサンプル領域に再度分割され、各サンプル領域が再処理されるステップ262に移り処理が継続する。レベル・カウント値がゼロである場合には、ステップ278において処理が終了する。
【0038】
図2Cにおいて、ステップ280において、カラー・カウント値が取得される。カラー・カウント値は製品に最終画像を印刷する際のスクリーン印刷の層に対応する色数を決定するものである。実施の形態において、ユーザー・コンピュータ202(図2A)のユーザーが、スクリーン印刷の注文開始又はユーザー画像ファイル204を供給する際にサーバー・コンピュータ208によって提供されるグラフィカル・ユーザー・インタフェースにカラー・カウント値を入力する。その後、図2Bに続き、図2Cによりフィルター処理されたソース画像から主要な色グループが検出される。
【0039】
ステップ282において、フィルター処理されたソース画像において最大の画素集団を有する特定の色を検出することにより開始主要色グループが決定される。特定の色は、サーバー208のコンピュータ・メモリ又は記憶装置210において、開始主要色グループを規定する情報に関連付けられる。例えば、図2Cの各グループをグループ番号属性及び色属性を有する抽象データ構造としてメモリに保存することができる。
ステップ284において、すべてのソース画像の画素が最も近い色のグループに分類される。この文脈において“最も近い”及び“最も遠い”とは色空間における距離を意味する。図2Cの第1パスにおいてソース画像のすべての画素が開始グループに分類され、そのときに存在しているグループの数は1である。ステップ284の“分類する”とは画素をグループに分けることを意味し、図2Cの以後のパスにおいて、分類するとは1つのグループから画素を除き別の新しく作成されたより近い色に関連したグループに分けることを含む。画素の分類には画素番号、アドレス、又は座標のような画素を特定する情報を当該グループのデータ構造に保存することも含む。
【0040】
ステップ286において、現在のグループ数がカラー・カウント値に等しいか否か判定される。等しい場合にはステップ292において工程が終了する。ステップ286の判定結果が否である場合には、ステップ288において、色空間において既存のグループから最も遠い色のソース画像の画素を検出することにより新しいグループが作成される。ステップ290において、新しいグループの色が検出された画素の色にセットされ、工程がステップ284に移り継続する。このようにして、画素が再検討され当該画素の色に最も近い色に関連した色グループに移され、スクリーン印刷の所望の色の数、即ち色分解と同数のグループが同時に生成される。
【0041】
<スクリーン印刷の解像度制限>
実施の形態において、図1のステップ110で説明したように、主要色グループが決定されたフィルター処理後のソース画像の解像度を制限するスクリーン印刷のための特別な画像処理が行われる。解像度を制限する理由の1つは、スクリーン印刷によって再現できる画像の詳細には限度があるということである。例えば、デジタル画像の解像度と比較して印刷スクリーンの基目が比較的粗い、即ち解像度が低いため、ユーザーのソース画像における特定の細部を最終印刷製品に反映させることは不可能である。実施の形態において、本明細書の方法を実施する組織体が、スクリーン紗、インク、スクリーンを通し基材に対してインクを押圧するためのスキージ、及び基材の特定の組合せによって、解像度の限界を決定するスクリーン印刷試験を行うことができる。実施の形態において、本明細書の方法により、実際に製品を印刷する前に、画像をスクリーン印刷で再現した場合どのように見えるか設計者が知ることができる。実施の形態において、本明細書の工程により、任意の画像が印刷されたとき、どのように変化するか視覚的に描写することができると共に、解像度限界を最終イラストのスクリーン印刷に適用することにより、製造の一貫性を向上させることができる。
ラプラシアン・フィルターを減算したバンドパス・フィルターを用いるか、解像度限界に一致する周波数に制限するアンシャープをかけることにより画像に解像度限界を課すことができる。その結果生じた画像は高コントラスト状態に戻す閾値を有することができる。スクリーン・メッシュの周波数を4又は6で割った値に解像度限界を設定することができる。このようにフィルターを適用することが特定のスクリーン印刷工程によって課される解像度限界に一致しない場合がある。
【0042】
スクリーン・メッシュを通したスクリーン・インクの塗布を以下のモデルによって比較することができる。スクリーン・メッシュの約1/4の厚さのステンシル片をメッシュに取り付ける。メッシュによってステンシル片の寸法が制限される。ステンシル片はそれを支持するメッシュより細かい形状を有することができる。スキージによってメッシュを通してインクが押圧されるインク・システムが、ステンシルをインクで溢れさせるポンプとして機能する。連続ポンプ動作により、ステンシルを通してインクが基材に投じられる。このモデルにおいて、(小領域をマスクするときのように)ステンシルの有無はスクリーン・メッシュの寸法によって決定されるが、ステンシルの形状がどの程度鮮明に基材に転写されるかについては、基材へのインクの拡散、インク及びスキージの特性によって決定される。
【0043】
実施の形態において、スクリーン印刷のための画像の解像度を制限する工程が、インク拡散限界に一致する解像度の初期画像の生成を含んでいる。マスク画像領域が、ステンシルがスクリーン・メッシュに付着するのに充分な画素をカバーしていない場合にはフィルター除去される。印刷画像領域がスクリーン・メッシュの開口部にアクセスするのに充分な領域を有していない場合にはフィルター除去される。大きな形状グループに対し充分な関連性を有する小さな形状はフィルター除去されない。関連性が低い場合には、基材上の最終画像に表すことができないためその形状はフィルター除去される。
1つの実施の形態において、工程がスクリーン・メッシュによって課せられた解像度限界の2〜4倍の解像度で初期画像を生成することを含んでいる。通常、初期画像はスポット・カラー印刷の分離能を有している。2〜4という最良の倍数は、スクリーン印刷工程のリフレクション・フローにおけるインクの拡散を測定することによって得られる。スクリーン・メッシュの解像度限界はスクリーン・メッシュによって課せられるナイキスト・サンプリング限界より僅かに低い。
【0044】
図3Aに示すように、画像中の各印刷画素の他の同様の印刷画素に対するコネクティビティ量が検出される。実施の形態において、前記ステップが各々の画素のコネクティビティ情報を含む画像データの生成・保存を含んでいる。充分なコネクティビティを有していない画像中の各画素には以下に説明するように印が施される。図3Bに示すように、画像中の印が付された各画素の値が最高のコネクティビティを有する近傍の画素値に置換される。これらの工程は、記憶装置210又はサーバー・コンピュータ208のメモリに各画素の印刷色を示す色指標を有する画像のデータが記憶されていることを前提としている。
【0045】
図3Aにおいて、ステップ304〜320から成るコネクティビティ情報を生成・保存する工程が、コネクト半径の設定に基づいて実行され、コネクト半径値に等しい数だけ反復される。ステップ304において、ソース画像の各画素位置に第1コネクト値を有する第1の新しい画像が生成・保存され、第1の新しい画像のコネクト値が1にセットされる。ステップ306において、ソース画像の各画素位置に第2コネクト値を有する第2の新しい画像が生成・保存され、第2の新しい画像のコネクト値が1にセットされる。
【0046】
ステップ308はソース画像の各ソース画素が処理されるループの開始を表している。ステップ310において、現在のソース画素近傍の各画素について、近傍画素がソース画素と同じ値を有している場合には、近傍画素の第1コネクト値がソース画素の第2コネクト値に加算される。
【0047】
ステップ312において、第1の新しい画像及びそのすべてのコネクト値が第2の新しい画像及びそのすべてのコネクト値に置換される。ステップ314において、コネクト半径値がデクリメントされる。
【0048】
ステップ316において、コネクト半径が0であるか否か判定される。0でなければ、ステップ308に戻り、画像に対し更にループ・パスが実行される。そうでなければ、ステップ320において工程が終了する。この場合、コネクト半径が復元され、その時点における第1コネクト値画像が以後の処理に用いられるコネクティビティ画像となる。
【0049】
実施の形態において、コネクト閾値と呼べる設定可能な値に基づいて、充分なコネクティビティを有しない画素に印が施される。実施の形態において、図3Aの工程によって形成されたコネクティビティ画像の各画素について、コネクト値がコネクト閾値より小さい場合、当該画素に置換のための印が施される。
【0050】
図3Bにおいて、印が施された各画素を置換する工程が、図3Aの工程によって生成され前記のようにして印が施されたコネクティビティ画像のような、コネクティビティ画像を取得するステップ322から開始される。上記のように、コネクト閾値より小さいコネクティビティ画像中の各ソース画素には印が施されている。ステップ324は印が施されているコネクティビティ画像の各ソース画素を調べるループの開始を表している。印が施されているコネクティビティ画像の各ソース画素に対し、ステップ326において、コネクティビティ画像においてコネクト半径に等しい距離内の各近傍画素を調べて最大のコネクト値を有する近傍画素の位置を検出する。ステップ328において、ソース画像のソース画素が、検出された近傍画素の位置に対応するソース画像の位置にセットされる。
【0051】
その結果、スクリーン印刷に適した値に制限された画像解像度を有する完全に処理されたソース画像がサーバー・コンピュータ208のメモリ又は記憶装置210に保存される。 スクリーン印刷によって再現できない細部が処理中に除去される。処理されたソース画像をユーザー・コンピュータ202に表示して、ユーザーが最終スクリーン印刷製品の外観が期待通りであるか否か精査することができる。表示されたソース画像が気に入らない場合には、ユーザーは気に入った結果が得られるまで、前記設定可能なパラメータ値を調整して元のソース画像に対し処理を反復するか、又は新たなソース画像に置換して処理することができる。
【0052】
<位置に基づくブルー・ノイズのための乱数発生器>
解像度の限界はスクリーン紗のメッシュの周波数に厳密に拘束されるものではないが、ハーフトーン・ドットや高周波テクスチャーのような特定の画像要素の帯域はスクリーン紗のメッシュの周波数によって制約を受ける。特定の周波数において、そのような画像要素によってモアレ・パターンやその他の干渉パターンが生じる。画像要素がランダムに分布していればこれらのパターンを防止することができる。従って、実施の形態において、画像のピクセル位置に基づいて一貫した(0〜32)の範囲の乱数又はノイズ値を生成する工程が用いられる。実施の形態において、ノイズ値が画素単位で利用可能であり、画像がクロップされていたり、並列処理が行われたりしても同じ結果を得ることができる。乱数を用いてノイズで画像にバイアスをかけることによりスクリーン紗の搬送周波数による干渉効果を抑制することができる。画素単位で可能な限り高い周波数のノイズが画像に注入されるため、乱数値はブルー・ノイズと呼ばれている。
【0053】
様々な種類及び品質の乱数発生器が実用に供されている。ブルー・ノイズの生成においては、ほとんどの場合一般的なコンピュータ・プログラム開発フレームワークの一部として供給される乱数発生器が使用されている。Flex and Macromedia Flashソフトウェア開発キットやAdobe Photoshopのような低レベルのグラフィックス・サービスにおいては特許されたノイズ関数が用いられている。これ等のサービス又は所定のベンダーの低レベル印刷サポートによって生成されるノイズは、点抽出法によって出力のサイズを変更し出力が依然としてランダムであるか及び入力と同等の精細度を有しているか確認することにより評価することができる。要するに、真にランダムなブルー・ノイズ画像は、どのようなサンプリング周波数で点抽出を行っても同じブルー・ノイズ品質を有している。
【0054】
一次元及び二次元におけるMultiply With Carry(MWC)Multiplicative Linear Congruent Generator (LCG)及びMarsaglia shift XORのような、追加のランダム化ステージを有さない、一般的な32ビットの乱数発生器のシードとしてx、y位置を使用するブルー・ノイズの生成においては、視覚的アーチファクトが顕著である。これ等の方法において、スペース範囲を保持すると共に一定の明確なランダム性をもたらすためには、各々が最低4(LCG)〜6(shift XOR)のCPUクロック・サイクルを必要とする3以上のランダム化ステージが必要である。
【0055】
実施の形態において、複雑でない入力から一般に画素(x、y)値が(0〜16384)の範囲のスクリーン印刷のための高品質ランダム出力が提供される。また、必要な出力も、例えば(0〜256)に制限される。これらの属性は従来の乱数発生器では満足されないものであって、反復的であり多くの反復によって固有の出力を最適化するよう構成されている。パターンを反復する前に呼び出すことができ、数回の反復では最良のランダム性が得られない標準の発生器の係数が選択され反復回数が増大される。
【0056】
実施の形態において、どのような周波数によってポイントを抽出しても微粒子状のブルー・ノイズを発生することができるスクリーン印刷のためのブルー・ノイズ発生器が提供される。この発生器はx、y画素位置を入力として受信し、(0〜255)範囲の一貫したランダム出力を出力する。実施の形態において、この発生器は、1画素当たり約10CPUクロック・サイクルの高速で出力することができる。実施の形態において、ブルー・ノイズ発生器が各入力を分布させランダム化する秩序立った工程により、入力を効果的にスクランブルする一連の演算を行い、ランダム性を強化する方法(加算又はXOR)によってランダム化した入力を結合し、結合した入力を更にランダムにする別の秩序立った工程を適用し、結合した最良のビットを出力として使用する。
【0057】
実施の形態において、工程が乗法定数に基づいて入力被乗数をスクランブルし、よりランダムな積を出力することができる2進乗算に基づいている。定数による1回の乗算による出力は高品質出力としてはランダム性が不充分であるが、一連の定数によりブルー・ノイズ空間の範囲及び次元を拡大することができ、視覚的に満足できるよう出力をランダム化することができる。
【0058】
実施の形態において、2進乗算は以下のように表わされる。2進乗法定数が1と0の列から成っている。出力積が0にセットされる。乗法定数において1を有する各桁の値に被乗数がシフトされ、その結果が積に累積される。
【0059】
乗法定数が有すべき特性を評価することにより、入力被乗数を最適にスクランブル、即ちランダム化する定数を見つけることができる。特に、最適な2進乗法定数は1又は0のみから成るものではない。1と0との間に規則的かつ断続的な間隔があれば、入力被乗数のビットが乗算により最適に分散される。2進乗算の累積により、累積された積のランダム性が強化され、積の最良にランダム化された部分が高位ビットとなる。ランダム化を良好に行うことができる一連の良好に構成された2進サブストリングを形成することができる。パターンやアーチファクトが増幅されないようにサブストリングを選択することができる。サブストリングの長さ、ビット密度、及びビット分布が異なっている必要がある。サブストリングの例は表1に示す7を除く2〜23の素数である。
【表1】

【0060】
これ等すべてのサブストリングを連結すると2進数31ビット長となる。サブストリングのすべての可能な組合せにより一組の32ビット数を表わすことができる。その結果、大きさが階乗(8)となり、40320の要素を含んでいる。実施の形態において、0〜40319の乗法定数指数で表される値が以下のステップにより特定の要素にマッピングされる。
【0061】
8つのサブストリングを順序付きリストに入れる。8から始まるインデックス・カウントを生成し、カウントが1になるまで1ずつデクリメントする。各インデックス・カウント(8〜1)に対し、itemCountをmultiplicativeConstantIndex modulo indexCoutにセットする。multiplicativeConstantIndexをitemCountで除した値をmultiplicativeConstantIndexにセットする。itemCountのアイテムがリストから除去される。検出されたアイテムをmultiplicativeConstantに連結する。
【0062】
実施の形態において、以下のようにして3つのmultiplicativeConstantを選択することができる。3つのmultiplicativeConstantIndex値をランダムに選択する。これらのインデックスから3つのmultiplicativeConstant値を形成する。これら3つの定数を用いて後で説明するステップにより画像が生成される。この画像が適格なブルー・ノイズを有しているか否かが視覚的又は自動的に評価される。画像が適格に形成されている場合には、3つの定数が使用される。乗法定数を生成してから、その定数を用いて画像を生成するコンピュータ・プログラムがコンパイルされるためプログラム実行時に生成する必要がない。
【0063】
実施の形態において、図2Aの構造化誤差拡散ハーフトーニング・ロジック222がデジタル・ロジック又は表2の擬似コードを実行するコンピュータ・プログラムを用いて画像の画素(x、y)に対しブルー・ノイズ値(0〜255)を生成するよう構成されたブルー・ノイズ発生器を有している。
【表2】

【0064】
実施の形態において、インテルのx386プロセッサー・コアにおいて9つのクロック・サイクルを使用する、3つの32ビット乗算及び3つの32ビットXOR演算が用いられる。これは単ステージ発生器として使用された場合、アーチファクトが目立つ32ビットのMarsagliaのshift−XORのような単ステージ式乱数発生器を凌ぐものである。
【0065】
実施の形態において、長さ、ビット分布、及びビット密度が異なる2進サブストリングを連結することにより乗法定数候補を生成することができる。乗法定数セットの各要素をインデックスにマッピングすることができる。候補を指定する一連のインデックスをランダムに選択し、これ等の候補を視覚的又は自動的に評価することができる。他の座標と独立して特定の座標(x、y)を計算してランダムにアクセスすることができる。このようにして選択された一連の乗法定数を使用してブルー・ノイズ空間の次元数を増大させることができ、更に出力をランダムにすることができる。
<構造化誤差拡散ハーフトーニング>
実施の形態において、構造化誤差拡散ハーフトーニング・ロジック222により後で詳細に説明する構造化誤差拡散ハーフトーニング工程を実行することができる。スクリーン印刷において、支持スクリーン・メッシュを通してスキージにより供給されたインクの伝達がステンシルによってブロックされる。このように、ステンシルの不透明領域によって基材へのインクの移動が阻止される。しかし、ステンシル要素には少なくともスクリーン・メッシュに付着するための特定の最小サイズが必要である。1つのスクリーン印刷には印刷領域と非印刷領域とがある。従って、スクリーン印刷はインクがステンシルを通過するか阻止されるかの2値の印刷工程である。
【0066】
実施の形態において、ハーフトーン・パタンーンと呼ばれる滑らかな階調のバイナリ・テクスチャーを有するスクリーン印刷用のステンシルを作製する方法が提供される。ハーフトーン・パターンを作製する方法には幾つかあるが、その中で特定の方法によりスクリーン印刷に特に適した微細でランダムなドット・パターンを形成することができる。これ等の方法は誤差拡散によりブルー・ノイズ・パターンを形成している。ブルー・ノイズによるハーフトーン・パターンは連続時間画像をレンダリングする場合には心地よいが、連続階調とハード・エッジ線の細部が混在する画像においては、一部の細部が失われる。実施の形態において、構造化された画像要素に対しブルー・ノイズの拡散と抑圧とが行われる。
誤差拡散法によるデジタル・ハーフトーンはフロイド-スタインバーグ・ディザリングによって形成することができる。フロイド-スタインバーグ・ディザリングの改良点がR.Ulichneyの“Digital Halftoning”MITプレス(1987)に記載されている。構造化画像とブルー・ノイズ・ハーフトーン・レンダリングとのバランスを取るため、誤差拡散法によりレンダリングする前に原画像を鮮明化する方法もある。別の方法においては、周波数空間法により画像部分の局部方向偏りに注釈を付け、それによって第2パスにおける誤差分布係数を選択している。実施の形態において、誤差拡散ハーフトーニング工程により、高周波及び入力画像をよく表し、見場の良いランダム化されたハーフトーン・パターンを有し、コントラストが高い場所又は構造化された画像要素がある場所におけるパターンのランダム拡散が抑制され、誤差分布係数を適合するよう修正して構造体を強化し、他の誤差拡散法に比較して遜色のない、スクリーン・メッシュとのパターン干渉によるモアレ・パターンを抑制した出力ハーフトーン・パターンを有する画像が生成される。
【0067】
図4は構造化誤差拡散ハーフトーニング工程における幾つかのステップを示す図である。ブロック400は例示工程の以後のステップがソース画像の各行及び列に対して実行されることを示している。ステップ402において、現在の列及び行によって示される位置にある特定の画素の色に画素色値がセットされる。ステップ400に示すように、実際に役立つ実施の形態において、ステップ402〜418が反復され、すべての画素が処理されるまで行及び列番号が単調増加される。
【0068】
ステップ404において、ソース画素色値に最もよく一致する印刷色値が選択される。
【0069】
ステップ406において、ブルー・ノイズ値が生成される。前セクションで説明した位置に基づくブルー・ノイズのための乱数発生器を用いてブルー・ノイズを発生することができる。実施の形態において、現在の列及び行番号がブルー・ノイズ発生器に供給されるとブルー・ノイズ発生器が前記の工程に従ってブルー・ノイズ値を返してくる。
【0070】
ステップ408において、ブルー・ノイズ値が変調される。擬似コードでは、ステップ408はblueNoiseValue*ModulateFunction(pixelColor)で表すことができる。変調関数はブルー・ノイズ入力全体の大きさを変更することができ、画像の全印刷部分において線形関数よりノイズを抑制でき、中間調グレーに対し広範で穏やかなノイズを供給でき、非常に明るい値に対してのみノイズを最大化することができる。
【0071】
ステップ410において、画素の誤差値が決定される。実施の形態において、現在の画素に対する画素誤差値が(pixelColor+blueNoiseValue)−printColorのように決定される。
【0072】
ステップ412において、デフォルトの誤差分配係数が決定又はセットされる。実施の形態において、表3の係数関係が使用される。
【表3】

【0073】
ステップ414において、分配補正が適用される。実施の形態において、表4に示す擬似コードで示されるように分配補正を適用することができる。
【表4】

【0074】
実施の形態において、分配補正によりノイズを階調度方向に向け直すことによりノイズの拡散が抑制される。その結果、階調度方向全体の誤差とノイズの合計が抑制され、エッジや線が保たれる。aCorrectionScale値により、分配補正のバランスを取ることができる。
【0075】
開示された前記工程は単一パスの方法であり、誤差とブルー・ノイズの分布により入力画像の色調を維持し、フィーチャー全体のブルー・ノイズ分布を抑制することにより画像のフィーチャーを維持している。また、特定の種類の画像又はアプリケーションに応じてノイズ量及びノイズ−フィーチャー抑制量を調整することができる。
【0076】
<誤差拡散ドット拡散補正>
図5Aは誤差拡散ドット拡散補正工程における幾つかのステップを示す図である。図5B、5C、5D、5Eは誤差拡散ドット拡散補正に関連して、原画像の画素値を目的画像の画素値に変換する方法を示す図である。
【0077】
スクリーン印刷において、インクが加圧下で基材に接触したとき、毛管現象、重力、及びインクに作用するその他の力により、インクが印刷領域を僅かに越えて広がる傾向にある。スクリーン印刷のスキージがポンプの機能を果たし、ステンシルの開口部を通してインクが基材に押圧される。基材へのインクの拡散はハーフトーン画像の個々のドットが拡散して大きな斑点に融合する傾向があるため“ドット拡散”と呼ぶことができる。特に、狭い間隔の印刷領域と非印刷領域との間にドット拡散が生じると、小さな非印刷領域がインクで埋められ画像が暗くなる。誤差拡散アルゴリズムによってドットが生成された場合、ドット拡散によって中間調の領域が暗くなり、特定の色の色調範囲が限定される。実施の形態により、スクリーン印刷に用いられるデジタル画像のドット拡散による構造体を補正し、良好な明度及び色範囲において印刷する工程が提供される。
ドット拡散を補正する一部の方法においては、ハーフトーン・パターンにおけるドットの成長速度を調整して印刷の色調が基材に拡散する速度を調整している。これ等の方法はドット成長アルゴリズムと呼ばれている。ほとんどの方法は1つのサンプルに作用して1つのハーフトーン・ドットのサイズが変更される。一部の方法においては、近傍を含めた全体の補正について調査し、近傍における2つ以上のドットに補正が分配される。すべての場合において、このドット補正の方法が連続階調サンプルに応じて1つの位置におけるドットが成長するハーフトーン・パターンに適用される。
【0078】
しかし、前記誤差拡散ハーフトーン技術によって生成された2進、1ビットのパターンにドット成長アルゴリズムを簡単に適用することはできない。誤差拡散ハーフトーン技術はドット・サイズではなくドット間隔を変化させてグレー・レベルの近似値を求めるものである。スクリーン印刷におけるこの方法の成果は、パターンにおけるドット間隔を従来のドット成長ハーフトーニングよりはるかに小さくできることである。
【0079】
ドット拡散を補正する誤差拡散ハーフトーン工程における誤差の調整により、ハーフトーンが粗くなる。この粗さは誤差拡散ハーフトーンの最高周波数(最も微細な)成分が中間調グレーであることに起因するものである。中間調グレーを黒又はダーク・グレーで表すと最も微細な階調が失われる。
実施の形態において、スクリーン印刷における誤差拡散ハーフトーンのドット拡散の補正が誤差拡散の後処理として実施される。実施の形態において、補正工程により非印刷領域近傍の印刷ドットのサイズが低減される。
【0080】
実施の形態において、ドット拡散補正方法がスクリーン・メッシュ、スクリーン・インク、スキージ、及び基材の特定の組合せに関連した設定可能なドット拡散値を入力として受信する。ドット拡散値は前記物理的組合せが実際にスクリーン印刷に使用された場合に予期される実際のドット拡散量を表わしている。実施の形態においてドット拡散値の決定には以下を含んでいる。
【0081】
A.一連の線及びスペースから成る解像度が1000dpiの画像を生成する。線とスペースは3画素幅及び2画素間隔で始まる。この幅と間隔で5セットの線を形成する。この幅と間隔を1だけインクリメントする。その結果0.003インチ(0.0762mm〜0.050(1.27mm)幅の線と間隔から成るパターンが形成される。
【0082】
B.この画像を使用して、較正対象スクリーン・メッシュを用いてスクリーン・ステンシルを作製する。
【0083】
C.スキージ、インク、及び較正対象基材を用いて線画像のスクリーンを印刷する。印刷した基材を精査する。スペースが完全に削り取られた線間の最小間隔を記録する。
【0084】
D.記録した間隔を2で除した値をドット拡散とする。
【0085】
実施の形態において、ドット・サイズの補正値がハーフトーン・ドット・サイズ値から前記のようにして決定した実際又は推定ドット拡散値を差し引いたものに等しい。ドット補正比率は補正したドット・サイズ値をハーフトーン・ドット・サイズ値で除した有理数で表わすことができる。1つの例を以下に示す。
【0086】
halftoneDotsize =0.008”(0.2032mm)
dotSpread =0.002
CorrectedDotSize=0.006”(0.1524mm)
DotCorrectionRatio=6/8、3/4に約分
実施の形態において、誤差拡散ハーフトーン工程により前もって生成され保存されている画像を所定のドット補正比率で補正する工程が図5Aのステップ502で開始し、サブエリア長で示す整数値がドット補正比率の分母に等しい値にセットされる。ステップ504において、サブドット長で示す整数値がドット補正比率の分子に等しい値にセットされる。従って、例としてあげたドット補正比率3/4において、サブエリア長が4であり、サブドット長が3となる。
【0087】
ステップ506において、新しい目的画像が生成・保存される。新しい目的画像の属性は最終印刷サイズがインチで原画像と同じとなるよう規定されると共に、ドット・パー・インチ(DPI)属性が原画像のDPI*Sub Area Lengthと同じにセットされる。ステップ508において、新しい目的画像のすべての画素が非印刷(白色)にセットされる。
【0088】
ステップ510において、新しい目的画像がサブエリア長×サブエリア長のサブエリアに分割される。ステップ512において、原画像の各画素が目的画像のサブエリアにコングルエント・マッピングされる。図5Bにおいて、原画像Aの画素Cが目的画像BのサブエリアDにマッピングされる。
【0089】
ステップ514において、目的画像の各サブエリアが処理される。実施の形態において、目的画像の各サブエリアに対し以下のステップが実行される。
【0090】
A.サブエリアのサブエリア長×サブエリア長サイズの左上4半分が、原画像の対応する画素の値にセットされる。
【0091】
B.原画像の対応する画素の値が印刷(黒色)であれば、以下のC〜Eのステップが実行され、そうでなければ次のサブエリアの処理が行われる。
【0092】
C.原画像の右隣の画素の値が印刷(黒色)であれば、(x、y)座標(サブドット長,0)及び(サブエリア長、サブドット長)で規定される右上4半分が印刷(黒色)にセットされる。図5Cはこの状態における原画像Aの画素Cの目的画像Bの4半分Dのサブエリアへのマッピング例を示している。
【0093】
D.原画像の下隣りの画素の値が印刷(黒色)であれば、(x、y)座標(0,サブドット長)及び(サブドット長、サブエリア長)で規定される右上4半分が印刷(黒色)にセットされる。図5Dはこの状態における原画像Aの画素Cの目的画像Bの4半分Dのサブエリアへのマッピング例を示している。
【0094】
E.原画像の右隣の画素の値が印刷(黒色)であり、下隣りの画素の値が印刷(黒色)であり、斜め右下隣りの画素の値が印刷(黒色)であれば、(x、y)座標(サブドット長、サブドット長)及び(サブエリア長、サブエリア長)で規定される右下4半分が印刷(黒色)にセットされる。図5Eはこの状態における原画像Aの画素Cの目的画像Bの4半分Dのサブエリアへのマッピング例を示している。
【0095】
これにより、目的画像のドット拡散が補正されたことになる。実施の形態において、前記ドット拡散補正方法を既存の誤差拡散アルゴリズムの後処理として適用することができる。原画像がビット・プレーン画像であれば、多くのビット・プレーンに前記工程を同時に適用することができる。誤差拡散アルゴリズムによるドット間隔の周波数この方法によって失われることはない。
【0096】
<ハードウェア概要>
1つの実施の形態によれば、本明細書で説明した方法が1つ以上の特殊目的計算装置によって実行される。特殊目的計算装置は本方法を実行するハードワイヤ装置、本方法を実行するよう永続的にプログラムされた、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)のような、デジタル電子装置又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はファームウェア、メモリ、他の記憶装置、又はこれ等の組合せに記憶されたプログラム命令に従って本方法を実行するようプログラムされた1つ以上の汎用ハードウェア・プロセッサーを含むことができる。このような特殊目的計算装置は本方法を実施するカスタム・プログラミングとカスタム・ハードワイヤード・ロジック、ASIC、又はFPGAとを組み合わせることもできる。特殊目的計算装置はデスクトップ・コンピュータ・システム、ポータブル・コンピュータ・システム、ハンドヘルド装置、ネットワーキング装置、あるいは本方法を実行するハードワイヤード及び/又はプログラム・ロジックを内蔵したその他の装置であってよい。
【0097】
例えば、図6は本発明の実施の形態を実行することができるコンピュータ・システム600のブロック図である。コンピュータ・システム600は情報を伝達するためのバス602又は他の通信機構、及びバス602に接続され、情報を処理するハードウェア・プロセッサー604を有している。ハードウェア・プロセッサー604は、例えば、汎用マイクロプロセッサーであってよい。
【0098】
コンピュータ・システム600は、バス602に接続され、情報及びプロセッサー604が実行する命令を記憶するランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような主記憶装置606又は他の動的記憶装置を更に有している。主記憶装置606はプロセッサー604による命令の実行中における一時的な変数やその他の中間情報の記憶にも利用することができる。プロセッサー604がアクセスできる記憶媒体にこのような命令が記憶されることにより、コンピュータ・システム600が命令によって指定された演算を実行するようカスタマイズされた特殊目的機となる。
コンピュータ・システム600はバス602に接続され、静的情報及びプロセッサー604の命令を記憶する読取り専用メモリ(ROM)608又はその他の静的記憶装置を更に有している。バス602に接続され、情報や命令を記憶する磁気ディスク又は光ディスクのような記憶装置610も備えている。
【0099】
バス602を介して、コンピュータ・システム600をコンピュータのユーザーに情報表示する、陰極線管(CRT)のような表示装置612に接続することができる。情報伝達及び選択コマンドをプロセッサー604に送るための数字キー及び他のキーを含む入力装置614がバス602に接続されている。指示情報及び選択コマンドをプロセッサー604に伝達すると共に、表示装置612におけるカーソルの移動を制御する別の種類のユーザー入力装置である、マウス、トラック・ボール、カーソル指示キーのようなカーソル制御装置も有している。この装置は一般に第1方向(例えば、x)及び第2方向(例えば、y)の2軸方向に自由度を有し、それによって平面上の位置を指定することができる。
【0100】
コンピュータ・システム600はカスタマイズされたハードワイヤード・ロジック、1つ以上のASIC又はFPGA、ファームウェア、及び/又はコンピュータ・システムとの組合せによりコンピュータ・システム600を特殊目的機とする又は特殊目的機にプログラムするプログラム・ロジックを用いて本明細書の方法を実行することができる。1つの実施の形態によれば、メモリ606に記憶されている1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサー604が実行することにより、本明細書の方法がコンピュータ・システム600によって実行される。そのような命令は記憶装置610のような記憶媒体から主記憶装置に読み込まれる。主記憶装置606内の命令シーケンスが実行されると、本明細書の工程ステップがプロセッサー604によって実行される。別の実施の形態において、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路を使用することができる。
【0101】
本明細書において“記憶媒体”とはデータ及び/又はコンピュータを特定の方法で動作させる命令を記憶するあらゆる媒体を意味する。かかる記憶媒体は不揮発性媒体又は揮発性媒体であってよい。不揮発性媒体には、例えば、記憶装置610のような光又は磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には主記憶装置606のような動的メモリが含まれる。記憶媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハード・ディスク、個体ドライブ、磁気テープあるいはその他の磁気データ記憶装置、CD−ROM、光データ記憶装置、孔パターンを有する物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、NVRAM、及びその他のメモリ・チップ又はカートリッジが含まれる。
【0102】
記憶媒体は伝送媒体とは明確に区別されるが、伝送媒体と連動して使用される。伝送媒体は記憶媒体間の情報伝達に関与する。例えば、伝送媒はバス602を構成する線を含む同軸ケーブル、銅線、及び光ファーバーから成っている。また、伝送媒体は無線又は赤外線データ通信において発生する音波又は光波の形態を成すことができる。
【0103】
様々な形態の媒体が1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサー604に送って実行させることに関与することができる。例えば、遠隔コンピュータの磁気ディスク又は固体ドライブに当初命令を担持させることができる。遠隔コンピュータは動的メモリに命令をロードし、モデムを用いた電話回線を介して送信することができる。コンピュータ・システム600側のモデムは電話回線からデータを受信し、赤外線通信によりデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器により、赤外線信号が担持するデータを受信することができ、適切な回路によりバス602にデータを乗せることができる。バス602によりデータが主記憶装置に送られ、そこからプロセッサー604が命令を受け取り実行することができる。任意として、主記憶装置606が受信した命令をプロセッサー604によって実行される前又は後で記憶装置610に保存することができる。
【0104】
コンピュータ・システム600はバス602に接続された通信インタフェース618を更に有している。通信インタフェース618はローカル・ネットワーク622に接続されたネットワーク・リンク620に接続され、双方向データ通信を可能とするものである。通信インタフェース618は、例えば、総合デジタル通信網(ISDN)カード、ケーブル・モデム、サテライト・モデム、又は対応する種類の電話回線にデータ通信接続を行うモデムであってよい。別の例として、通信インタフェース618は、互換性があるローカル・エリア・ネットワーク(LAN)に対しデータ通信接続を行うLANカードであってよい。無線リンクを使用することもできる。いずれの形態においても、通信インタフェース618により各種の情報を表わすデジタル・データ・ストリームを担持する電気、電磁、又は光信号が送受信される。
【0105】
一般に、ネットワーク・リンク620は1つ以上のネットワークを通して別のデータ装置に対しデータ通信を提供する。例えば、ネットワーク・リンク620は、ローカル・ネットワーク622を通して、ホスト・コンピュータ624又はインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)626が運用するデータ装置に接続を提供することができる。これに対し、ISP626は一般に“インターネット”628と呼ばれているワールド・ワイド・パケット通信ネットワークを通してデータ通信サービスを提供することができる。ローカル・ネットワーク622及びインターネット628のいずれにおいても、デジタル・データ・ストリームを担持する電気、電磁、又は光信号が使用される。各種ネットワークを通した信号、及びコンピュータ・システム600に対し送受されるデジタル・データを担持する、ネットワーク・リンク620及び通信インタフェース618を通した信号が伝送媒体の形態例である。
【0106】
コンピュータ・システム600はネットワーク、ネットワーク・リンク620、及び通信インタフェース618を通してメッセージを送信し、プログラム・コードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、インターネット628、ISP626、ローカル・ネットワーク622、及び通信インタフェース618を通して、サーバー630がアプリケーション・プログラムの要求コードを送信することができる。
【0107】
受信時にプロセッサー604によってコードを実行すると共に/又は記憶装置610又は別の不揮発性記憶装置に保存し後で実行することができる。
【0108】
以上実施の形態によって異なる本発明の実施の形態具体的詳細について説明してきた。明細書及び図面は説明を意図したものであって限定を意味するものではない。本発明の範囲を示す唯一かつ排他的な指標及び出願人が意図した本発明の範囲は、今後の補正を含む本明細書の特定の形態に由来する一連のクレームの文字通りの範囲もしくは同等の範囲である。
【符号の説明】
【0109】
202 ユーザー・コンピュータ
204 ユーザー画像ファイル
206 ネットワーク
208 サーバー・コンピュータ
212 主要色成分検出ロジック
214 目的画像
216 画像フィルター
218 グループ分けロジック
220 解像度制限ロジック
222 構造化誤差拡散ハーフトーニング・ロジック
224 プレゼンテーション・ロジック
226 基材選択・表示ロジック
228 スクリーン印刷データ生成ロジック
232 スクリーン印刷データ
240 スクリーン印刷システム
250 支払システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される方法であって、
少なくとも1つのソース画像、スクリーン印刷に用いられるインクの数又は主要な色を示す主要色値、及び1つの主要な色として特定されるソース画像中の特定の色の最小領域を示す主要色領域値を含んで成る、製品に画像をスクリーン印刷する要求を受信するステップ、
前記主要色値及び主要色領域値に基づいて、前記ソース画像を前記製品のスクリーン印刷に使用可能な目的画像に変換するステップ、
各々が前記インク又は主要な色の1つに対応する2つ以上の色分解画像を生成・保存するステップ、及び
前記目的画像及び色分解画像を前記スクリーン印刷用として送信するステップ、
を有して成り、
前記ステップの各々が1つ以上のプロセッサーによって実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スクリーン印刷により、前記製品上に現われると見込まれる前記目的画像の外見を表わすプレビュー画像を生成・保存するステップ、及び該プレビュー画像を含む回答を送信するステップを更に有して成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変換するステップが、前記ソース画像中の主要な色を検出するステップ、及び前記目的画像の解像度を制限するステップを含んで成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記要求が、前記製品のスクリーン印刷におけるハーフトーンの使用を更に含んで成り、前記変換するステップが、前記ソース画像中の主要な色を検出するステップ、前記目的画像に対し構造化誤差拡散ハーフトーニングを行うステップ、及び該目的画像の解像度を制限するステップを含んで成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記変換するステップが、前記目的画像に対し誤差拡散ドット拡散補正を行うステップを更に含んで成ることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
各々が8つの2進サブストリングの組合せから成る3つの乗法定数、色値を有する前記目的画像の位置、及び前記乗法定数の各々と前記位置の値及び出力のそれぞれとの排他的論理和(XOR)による累積演算に基づいて、1つ以上のランダムな2進ブルー・ノイズ値を生成するステップを更に有して成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記サブストリングが‘10’、‘011’、‘101’、‘1011’、‘1101’、‘10001’、‘10011’、 及び‘11001’から成る組から選択されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記目的画像の各画素にランダム・ノイズを付加し、
限定された色の組から前記各画素の色に最もよく一致する色を見出し、
前記各画素の色と前記最もよく一致する色との差を決定し、
前記各画素の可能性が最も低い近傍画素に対し、より多くが分配されるよう前記差を近傍画素に分配し、
前記各画素の色を前記最も一致する色にセットする、
ことにより前記目的画像に対し構造化誤差拡散ハーフトーニングを行うステップを更に有して成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記目的画像に対し構造化誤差拡散ハーフトーニングを行うステップが、
前記目的画像の各画素にランダム・ノイズを付加し、
限定された色の組から前記各画素の色に最もよく一致する色を見出し、
前記各画素の色と前記最もよく一致する色との差を決定し、
前記各画素の可能性が最も低い近傍画素に対し、より多くが分配されるよう前記差を近傍画素に分配し、
前記各画素の色を前記最も一致する色にセットする、
ことを含んで成ることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記目的画像の各画素に対し、周囲の同様の画素の数でラベルを付け、
ラベル付けされた数が閾値より小さい各画素に対し、前記ラベル付けされた数を周囲の別の画素の最も高くラベル付けされた数に置換する、
ことにより前記目的画像の解像度を制限するステップを更に有して成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ソース画像から特定の長さの各連結サブセットに対し候補画素を検出し、
候補画素を色空間において互いに最大距離離れた色グループに分類する、
ことにより前記ソース画像の主要な色を検出するステップを更に有して成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ドット拡散補正をするステップが
前記目的画像に対し、実際に見込まれる第1ハーフトーン・ドット・サイズを、見込まれるドット拡散を補正した第2ハーフトーン・ドット・サイズに関連付けたドット補正比率を決定し、
従前の目的画像のドット・パー・インチ(DPI)単位の解像度に前記ドット補正比率の分母を乗じた値に等しい解像度を有する新しい目的画像を生成・保存し、
前記従前の目的画像の各画素を前記ドット補正比率の分母に等しい画素長及び幅を有する前記新しい目的画像のサブエリアにコングルエント・マッピングし、
前記従前の目的画像の対応するマッピングされた画素の印刷状態に基づいて、各マッピングされたサブエリアの印刷すべき印を付す部分を決定し、該決定を前記新しい目的画像のすべてのサブエリアについて反復し、
前記決定に基づいて更新された新しい目的画像を生成・保存する、
ことを含んで成ることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項13】
実行されると1つ以上のプロセッサーによって請求項1〜12何れか1項記載の方法が実行される1つ以上の命令シーケンスを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項1〜12何れか1項記載の方法を実行するハードワイヤード回路と内蔵プログラム・ロジックとの組合せから成ることを特徴とするコンピュータ・システム。
【請求項15】
1つ以上のプロセッサーと、
前記1つ以上のプロセッサーに接続され、請求項1〜12何れか1項記載の各ステップを実行する手段と、
を有して成ることを特徴とする1つ以上の特殊目的計算装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図6】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【公開番号】特開2011−245864(P2011−245864A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−120307(P2011−120307)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(510116679)ザズル ドット コム インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】