スクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法
【課題】より確実にアタック角度を略一定に保つことが可能なスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法を提供することを課題とする。
【解決手段】スクリーン印刷機1は、基板Bの上面に配置されパターン孔を有するマスク32と、マスク32の上面を摺動し、パターン孔を介して、はんだを基板Bに転写するスキージ26と、スキージ26を揺動させる揺動機構28、27、24と、スキージ26を上下動させる上下動機構23、22、25と、を備える。スクリーン印刷機1は、マスク32の上面をスキージ26が摺動する際、上下動機構23、22、25および揺動機構28、27、24を動かすことにより、マスク32の上面に対するスキージ26のアタック角度θを略一定に保つ。
【解決手段】スクリーン印刷機1は、基板Bの上面に配置されパターン孔を有するマスク32と、マスク32の上面を摺動し、パターン孔を介して、はんだを基板Bに転写するスキージ26と、スキージ26を揺動させる揺動機構28、27、24と、スキージ26を上下動させる上下動機構23、22、25と、を備える。スクリーン印刷機1は、マスク32の上面をスキージ26が摺動する際、上下動機構23、22、25および揺動機構28、27、24を動かすことにより、マスク32の上面に対するスキージ26のアタック角度θを略一定に保つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にはんだを印刷するスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだを印刷する際、基板は、クランプ装置により、水平方向両側から挟持される。近年においては、基板の薄型化が顕著である。このため、クランプ装置で挟持する際、基板に「反り」が発生する場合がある。すなわち、はんだを印刷する際、撓んだ状態で基板が固定されている場合がある。
【0003】
図16に、従来のスクリーン印刷機のスキージの軌跡を示す。図16に強調して示すように、基板102は、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク101も、下方に膨らむように撓んでいる。一方、スキージ100のマスク101に対する摺動角度βは固定されている。このため、スキージ100のマスク101に対するアタック角度θ100が変化してしまう。アタック角度θ100が変化すると、はんだの基板102に対する印圧が変化してしまう。このため、印刷品質が不安定になる。
【0004】
この点に鑑み、特許文献1には、押圧手段と、可撓性を有するスキージと、を備えるスクリーン印刷機が開示されている。押圧手段は、空気圧を調整することにより、マスクに対するスキージの押圧力を調整している。押圧力を調整すると、スキージのマスクに対する湾曲程度が変化する。このため、スキージのマスクに対するアタック角度を調整することができる。同文献記載のスクリーン印刷機によると、アタック角度を略一定にすることにより、印刷品質を安定化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスクリーン印刷機によると、スキージの可撓性に依存して、アタック角度を略一定にしている。スキージはゴム製である。このため、スキージの耐久性によっては、スキージに「へたり(変形残り)」が生じるおそれがある。この場合、アタック角度を略一定に保ちにくくなる。また、マスクのパターン孔にはんだを押し込む際、はんだからの反力によりスキージが撓み、アタック角度が変化するおそれがある。このように、特許文献1のスクリーン印刷方法によると、アタック角度を略一定に保ちにくい。
【0007】
本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、より確実にアタック角度を略一定に保つことが可能なスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のスクリーン印刷機は、基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクと、該マスクの上面を摺動し、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスキージと、該スキージを揺動させる揺動機構と、該スキージを上下動させる上下動機構と、を備えてなるスクリーン印刷機であって、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構および前記揺動機構を動かすことにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とする(請求項1に対応)。
【0009】
「アタック角度」とは、マスクの上面の延在方向と、スキージの延在方向と、の間の挟角をいう。マスクの上面が曲面状の場合、マスクの上面の延在方向とは、マスクとスキージとの接点におけるマスクの上面の接線方向をいう。
【0010】
本発明のスクリーン印刷機によると、スキージが可撓性を有する必要がない。このため、より確実にアタック角度を略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0011】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記スキージの揺動軸と、前記マスクと該スキージとの接点と、を結ぶ直線と、該マスクの上面の延在方向と、の間の挟角は、45°以内である構成とする方がよい。
【0012】
ここで、スキージの揺動軸と、マスクとスキージとの接点と、を結ぶ直線と、マスクの上面の延在方向と、の間の挟角を45°以内としたのは、当該挟角が45°超過の場合、スキージが円滑に揺動しにくいからである。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構を駆動し、該スキージを上下動させ、該スキージが該マスクから受ける反力を利用して、前記揺動機構を従動させることにより、前記アタック角度を略一定に保つ構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0014】
本構成によると、スキージがマスクから受ける反力を介して、揺動機構が上下動機構に従動している。このため、アタック角度を略一定に保つ際、上下動機構に対して、揺動機構を、独立して駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機の構造が簡単になる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、前記スキージが前記マスクから受ける反力に関する検出値を検出する検出装置を備え、前記アタック角度は、該検出値を基に略一定に保たれる構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0016】
スキージがマスクから受ける反力は、上下動機構や揺動機構の種類により、圧力、荷重、角度、トルクなど、種々の検出値に反映される。本構成によると、当該検出値を基にアタック角度を略一定に保つことができる。
【0017】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明のスクリーン印刷方法は、基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクの上面をスキージが摺動することにより、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスクリーン印刷方法であって、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、該スキージを揺動させることにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とする(請求項4に対応)。
【0018】
本発明のスクリーン印刷方法によると、スキージが可撓性を有する必要がない。このため、より確実にアタック角度を略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0019】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記スキージの揺動軸と、前記マスクと該スキージとの接点と、を結ぶ直線と、該マスクの上面の延在方向と、の間の挟角は、45°以内である構成とする方がよい。
【0020】
ここで、スキージの揺動軸と、マスクとスキージとの接点と、を結ぶ直線と、マスクの上面の延在方向と、の間の挟角を45°以内としたのは、当該挟角が45°超過の場合、スキージが円滑に揺動しにくいからである。
【0021】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記アタック角度は、前記スキージが前記マスクから受ける反力を基に略一定に保たれる構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0022】
本構成によると、スキージがマスクから受ける反力を介して、アタック角度を略一定に保っている。このため、アタック角度を略一定に保つ際、別途、駆動機構によりスキージ自体を駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機の構造が簡単になる。
【0023】
(6)好ましくは、上記(4)または(5)の構成において、通常モードにおいては、前記アタック角度を所定の通常角度に設定し、該通常モードと比較して前記はんだを前記パターン孔に高充填することが必要な高充填モードにおいては、該アタック角度を該通常角度よりも小さい高充填角度に設定する構成とする方がよい(請求項6に対応)。
【0024】
例えば、マスクをクリーニングした直後や、はんだを追加した直後などは、通常印刷時と比較して、基板に対するはんだの転写性が低下してしまう。つまり、はんだがかすれやすくなる。この場合、一枚目の基板に対してはんだを往復印刷や低速度印刷することなどにより、はんだの転写性を確保している。しかしながら、こうすると、サイクルタイムが遅延してしまう。すなわち、基板の生産性が低下してしまう。
【0025】
この点、本構成のスクリーン印刷方法によると、通常モードにおいては、アタック角度が通常角度に設定される。一方、高充填モードにおいては、アタック角度が高充填角度に設定される。すなわち、通常モードと高充填モードとで、アタック角度を大小切り替えることができる。このため、はんだの転写性が低下しそうな場合は、高充填モードに切り替えることにより、はんだの転写性を確保することができる。したがって、基板の生産性が低下するのを抑制することができる。
【0026】
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記高充填モードは、以下の(a)〜(f)から選ばれる少なくとも一つのモードである構成とする方がよい。(a)前記マスクをクリーニング後、一枚目の前記基板に実行されるクリーニング後一枚目モード。(b)先発の該基板を生産後、所定の待機時間を超過した次発の該基板に対して実行される待機時間オーバーモード。(c)前記はんだを供給後、一枚目の該基板に実行されるはんだ供給モード。(d)一旦停止した生産を再開後、一枚目の該基板に実行される自動運転一枚目モード。(e)段取り替え後、一枚目の該基板に実行される生産開始一枚目モード。(f)ユーザが手動により実行する手動モード(請求項7に対応)。本構成によると、各種印刷状況に応じて、適宜、アタック角度を高充填角度に設定することができる。
【0027】
(8)上記(6)、(7)の構成は、上記(4)、(5)の構成から独立した構成としてもよい。すなわち、スキージのアタック角度を略一定に保つ工程を有しないスクリーン印刷方法に用いてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、より確実にアタック角度を略一定に保つことが可能なスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第一実施形態のスクリーン印刷機の右側面図である。
【図2】同スクリーン印刷機のスキージ装置の断面図である。
【図3】同スキージ装置の斜視図である。
【図4】同スキージ装置の分解斜視図である。
【図5】同スクリーン印刷機の基板保持工程の右側面図である。
【図6】同スクリーン印刷機の印刷工程の右側面図である。
【図7】同スクリーン印刷機のスキージの印刷工程の軌跡を示す模式図である。
【図8】第二実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリのブロック図である。
【図9】同スクリーン印刷方法のクリーニング後一枚目モードのフローチャートである。
【図10】同スクリーン印刷方法の待機時間オーバーモードのフローチャートである。
【図11】同スクリーン印刷方法のはんだ供給モードのフローチャートである。
【図12】同スクリーン印刷方法の自動運転一枚目モードのフローチャートである。
【図13】同スクリーン印刷方法の生産開始一枚目モードのフローチャートである。
【図14】同スクリーン印刷方法の手動モードのフローチャートである。
【図15】スキージ揺動軸とマスク上面との間の距離の変化を基にアタック角度を略一定に保つ場合のスキージの軌跡を示す模式図である。
【図16】従来のスクリーン印刷機のスキージの軌跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の実施の形態について説明する。
【0031】
<第一実施形態>
[スクリーン印刷機の構成]
まず、本実施形態のスクリーン印刷機の構成について説明する。図1に、本実施形態のスクリーン印刷機の右側面図を示す。図1に示すように、本実施形態のスクリーン印刷機1は、スキージ装置2と、マスク装置3と、クランプ装置4と、バックアップ装置5と、搬送装置6と、メインテーブル7と、Y軸方向ガイドレール8と、を備えている。
【0032】
(メインテーブル7、クランプ装置4)
メインテーブル7は、長方形板状を呈している。メインテーブル7は、上下動可能である。クランプ装置4は、固定クランプ40Fと、可動クランプ40Rと、を備えている。固定クランプ40Fは、長方形板状を呈している。固定クランプ40Fは、メインテーブル7の前縁から、上方に立設されている。可動クランプ40Rは、長方形板状を呈している。可動クランプ40Rは、メインテーブル7の後縁から、上方に立設されている。固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとは、前後方向に対向している。可動クランプ40Rは、前後方向に移動可能である。
【0033】
(搬送装置6)
搬送装置6は、一対のコンベアベルト60F、60Rを備えている。コンベアベルト60Fは、固定クランプ40Fの後面上縁に配置されている。コンベアベルト60Fは、左右方向に延在している。コンベアベルト60Rは、可動クランプ40Rの前面上縁に配置されている。コンベアベルト60Rは、左右方向に延在している。一対のコンベアベルト60F、60Rは、前後方向に対向している。基板Bは、一対のコンベアベルト60F、60R間に架設されている。基板Bは、一対のコンベアベルト60F、60Rにより、左側(上流側)から右側(下流側)に搬送される。
【0034】
(バックアップ装置5)
バックアップ装置5は、バックアップテーブル50と、複数のバックアップピン51と、一対のガイドロッド52と、を備えている。バックアップテーブル50は、長方形板状を呈している。バックアップテーブル50は、メインテーブル7の上方に配置されている。また、バックアップテーブル50は、固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとの間に配置されている。一対のガイドロッド52は、バックアップテーブル50の下面を、上下動可能に支持している。複数のバックアップピン51は、バックアップテーブル50の上面に配置されている。
【0035】
(マスク装置3)
マスク装置3は、フレーム30と、メッシュ31と、マスク32と、を備えている。マスク装置3は、クランプ装置4の上方に配置されている。フレーム30は、長方形枠状を呈している。メッシュ31は、長方形枠状を呈している。メッシュ31は、フレーム30の枠内に配置されている。マスク32は、長方形薄板状を呈している。マスク32は、メッシュ31に張設されている。マスク32には、多数のパターン孔(図略)が形成されている。パターン孔は、基板Bの印刷位置に応じて、所定のパターンで配置されている。
【0036】
(スキージ装置2、Y軸方向ガイドレール8)
Y軸方向ガイドレール8は、マスク装置3の上方に配置されている。Y軸方向ガイドレール8は、前後方向に延在している。スキージ装置2は、Y軸方向ガイドレール8に、前後方向に摺動可能に配置されている。
【0037】
図2に、本実施形態のスクリーン印刷機のスキージ装置の断面図を示す。図3に、同スキージ装置の斜視図を示す。図4に、同スキージ装置の分解斜視図を示す。図2〜図4に示すように、スキージ装置2は、モータ20と、モータブラケット21と、Y軸方向スライダ22と、ボールねじ23と、エアシリンダ24と、Z軸方向スライダ25と、スキージ26と、入力板27と、ホルダ28と、ホルダ連結アーム29と、を備えている。
【0038】
これらの部材のうち、ボールねじ23、Y軸方向スライダ22、Z軸方向スライダ25は、本発明の上下動機構に含まれる。また、ホルダ28、入力板27、エアシリンダ24は、本発明の揺動機構に含まれる。
【0039】
Y軸方向スライダ22は、長方形板状を呈している。Y軸方向スライダ22は、図1に示すY軸方向ガイドレール8に、前後方向に摺動可能に配置されている。Y軸方向スライダ22の前面には、一対のガイドリブ220が突設されている。一対のガイドリブ220は、上下方向に延在している。
【0040】
モータブラケット21は、Y軸方向スライダ22の上面に配置されている。モータ20は、モータブラケット21に装着されている。ボールねじ23は、上下方向に延在している。ボールねじ23は、モータ20の回転軸(図略)に連結されている。
【0041】
Z軸方向スライダ25は、直方体ブロック状を呈している。Z軸方向スライダ25は、一対の被ガイド溝250と、ボールねじ挿通孔251と、シリンダ連結アーム252と、を備えている。一対の被ガイド溝250は、Z軸方向スライダ25の後面に配置されている。一対の被ガイド溝250は、上下方向に延在している。図4に示すように、一対の被ガイド溝250は、Y軸方向スライダ22の一対のガイドリブ220に、係合している。ボールねじ挿通孔251は、Z軸方向スライダ25を上下方向に貫通している。ボールねじ挿通孔251には、ボールねじ23が挿通されている。ボールねじ23の外周面とボールねじ挿通孔251の内周面との間には、多数のボール(図略)が介装されている。多数のボールにより、ボールねじ23は、ボールねじ挿通孔251に対して、螺動可能である。シリンダ連結アーム252は、角柱状を呈している。シリンダ連結アーム252は、Z軸方向スライダ25の前面から、前方に突設されている。
【0042】
ホルダ連結アーム29は、下方に開口するC字状を呈している。ホルダ連結アーム29は、Z軸方向スライダ25の下面に固定されている。ホルダ28は、ホルダ本体280と、一対のスキージ揺動凸部281と、を備えている。ホルダ本体280は、左右方向に長い長方形板状を呈している。スキージ揺動凸部281は、短軸円柱状を呈している。一対のスキージ揺動凸部281は、ホルダ本体280の上縁の左右両端に配置されている。一対のスキージ揺動凸部281は、ホルダ連結アーム29のC字開口縁に、揺動可能に保持されている。
【0043】
スキージ26は、左右方向に長い長方形板状を呈している。スキージ26は、ホルダ本体280の下面に固定されている。図4に示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1(一対のスキージ揺動凸部281)を中心に、縦方向に揺動可能である。入力板27は、長方形板状を呈している。入力板27は、ホルダ本体280の上面の略中央に固定されている。
【0044】
エアシリンダ24は、シリンダ本体240と、ピストン241と、スライダ連結アーム242と、一対のシリンダ揺動凸部243と、を備えている。シリンダ本体240は、角柱状を呈している。シリンダ本体240の内部には、円柱状の空間が形成されている。図2に示すように、シリンダ本体240の内部空間には、配管244が連結されている。配管244には、バルブ244aと圧力計244bとが取り付けられている。圧力計244bは、バルブ244aとシリンダ本体240との間に配置されている。スライダ連結アーム242は、角柱状を呈している。スライダ連結アーム242は、シリンダ本体240の後面から、後方に突設されている。シリンダ揺動凸部243は、短軸円柱状を呈している。一対のシリンダ揺動凸部243は、スライダ連結アーム242の後端から、左右方向に突設されている。一対のシリンダ揺動凸部243は、シリンダ連結アーム252の前端に、揺動可能に保持されている。図4に示すように、エアシリンダ24は、シリンダ揺動軸A2(一対のシリンダ揺動凸部243)を中心に、縦方向に揺動可能である。ピストン241は、シリンダ本体240の内部空間に対して、下方から出入り可能に配置されている。ピストン241の下端には、入力板27が、揺動可能に連結されている。図4に示すように、入力板27は、入力軸A3(ピストン241の下端)を中心に、縦方向に揺動可能である。
【0045】
以上説明したように、また、図2に細線で示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1を中心に、揺動可能である。また、エアシリンダ24は、入力軸A3を介して、スキージ26に揺動力を加えることができる。また、エアシリンダ24は、空気圧により、スキージ26が入力軸A3方向に揺動するのを、抑制することができる。
【0046】
[スクリーン印刷方法]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、基板搬入工程と、基板保持工程と、印刷工程と、基板搬出工程と、を有している。
【0047】
(基板搬入工程)
基板搬入工程においては、図1に示すように、一対のコンベアベルト60F、60Rにより、基板Bを、バックアップピン51上方の所定位置に配置する。
【0048】
(基板保持工程)
図5に、本実施形態のスクリーン印刷機の基板保持工程の右側面図を示す。基板保持工程においては、まず、図5に白抜き矢印C1で示すように、バックアップテーブル50を上昇させる。続いて、複数のバックアップピン51により、基板Bを持ち上げる。そして、基板Bの上面の高さと、固定クランプ40F、可動クランプ40Rの上面の高さと、を揃える。それから、白抜き矢印C2で示すように、可動クランプ40Rを前方に動かすことにより、固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとで、基板Bを前後方向から挟持する。その後、白抜き矢印C3で示すように、バックアップテーブル50、複数のバックアップピン51、基板Bと共に、メインテーブル7を上昇させ、マスク32の下面に、基板Bの上面を、当接させる。続いて、白抜き矢印C4で示すように、スキージ装置2のスキージ26を下降させ、マスク32の上面に当接させる。
【0049】
スキージ26を下降させる際の動きについて詳しく説明すると、図2に示すように、まず、モータ20を駆動し、ボールねじ23を軸回りに回転させる。そして、Z軸方向スライダ25を下降させ、スキージ26をマスク32の上面に当接させる。続いて、配管244を介して、エアシリンダ24に空気を供給する。そして、ピストン241により、入力板27、ホルダ28を介して、スキージ26を押圧する。図4に示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1を中心に、下方に揺動する方向に、押圧される。ピストン241には、スキージ26を介して、マスク32からの反力が加わる。当該反力により、シリンダ本体240の内部空間の空気圧は上昇する。当該空気圧は、圧力計244bにより検出される。当該空気圧が、設定印圧まで上昇した時点で、バルブ244aを閉じる。このようにして、図5に示すように、スキージ26とマスク32の上面との間の挟角を、所定のアタック角度θとする。また、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線と、マスク32の上面の延在方向と、の間の挟角αを、45°以内に設定する。
【0050】
(印刷工程)
図6に、本実施形態のスクリーン印刷機の印刷工程の右側面図を示す。印刷工程においては、図6に白抜き矢印C5で示すように、Y軸方向ガイドレール8に沿って、スキージ装置2を、前方から後方に向かって、移動させる。そして、マスク32の上面に対して、スキージ26を摺動させる。マスク32の上面には、はんだ(図略)が配置されている。摺動するスキージ26により、はんだは、パターン孔に押し込まれる。パターン孔に押し込まれたはんだは、基板Bの所定位置に転写される。
【0051】
図7に、本実施形態のスクリーン印刷機のスキージの印刷工程の軌跡を示す。図7に強調して示すように、基板Bは、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク32も、下方に膨らむように撓んでいる。
【0052】
基板Bの水平区間E1においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は変化しない。このため、図2に示す圧力計244bの検出値は変化しない。すなわち、検出値は、設定印圧のままである。したがって、アタック角度θは、略一定のままである。
【0053】
基板Bの下降区間E2においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は小さくなる。このため、図2に示す圧力計244bの検出値が、設定印圧と比較して、小さくなる。検出値が小さくなると、制御装置(図略)からの指示により、Z軸方向スライダ25を下降させ、マスク32に対するスキージ26の押圧力を大きくする。このため、スキージ26がマスク32から受ける反力は大きくなる。圧力計244bの検出値が、再び設定印圧と等しくなったら、Z軸方向スライダ25の下降を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0054】
基板Bの上昇区間E3においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は大きくなる。このため、図2に示す圧力計244bの検出値が、設定印圧と比較して、大きくなる。検出値が大きくなると、制御装置からの指示により、Z軸方向スライダ25を上昇させ、マスク32に対するスキージ26の押圧力を小さくする。このため、スキージ26がマスク32から受ける反力は小さくなる。圧力計244bの検出値が、再び設定印圧と等しくなったら、Z軸方向スライダ25の上昇を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0055】
(基板搬出工程)
基板搬出工程においては、まず、マスク32に対して、スキージ26を上昇させる。すなわち、いわゆる版離れを行う。続いて、マスク32に対して、基板Bを下降させる。それから、基板Bを、再び一対のコンベアベルト60F、60Rに載置する。その後、一対のコンベアベルト60F、60Rを再駆動し、基板Bを下流側に送り出す。
【0056】
[作用効果]
次に、本実施形態のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態のスクリーン印刷機1のスキージ26は金属製であり、剛性が高い。すなわち、スキージ26は、可撓性を有しない。このため、より確実にアタック角度θを略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0058】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線と、マスク32の上面の延在方向と、の間の挟角αが45°以内に設定されている。このため、マスク32の上面に押しつけてスキージ26を揺動させる際、スキージ26が揺動しやすい。ここで、挟角αを45°以内としたのは、挟角αが45°超過の場合、ホルダ連結アーム29に対する、スキージ26の屈曲程度が小さくなるからである。言い換えると、ホルダ連結アーム29とスキージ26とが、より直線に近い状態で、連動するようになるからである。挟角αが45°超過の場合、スキージ26が下降する際、スキージ26からマスク32の上面に加わる力のうち、上下方向の分力が大きくなる。上下方向の分力が大きくなると、スキージ26が揺動しにくくなる。また、スキージ26がマスク32の上面を過度に下方に押圧してしまう。
【0059】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ26がマスク32から受ける反力を介して、揺動機構が上下動機構に従動している。このため、アタック角度θを略一定に保つ際、上下動機構に対して、揺動機構を、独立して駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機1の構造が簡単になる。
【0060】
また、スキージ26がマスク32から受ける反力は、エアシリンダ24のシリンダ本体240の内部空間の空気圧に反映される。この点に着目して、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、圧力計244bの検出値を基に、アタック角度θを略一定に保っている。このため、反力そのものを直接検出することなく、反力に基づいてアタック角度θを略一定に保つことができる。
【0061】
また、スキージ26とは別に、揺動式のブレードを配置し、当該ブレードを揺動させることにより、アタック角度を制御する場合と比較して、スキージ装置2延いてはスクリーン印刷機1の構造が簡単になる。また、部品点数が少なくなる。
【0062】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ26がマスク32から受ける反力の変動を、シリンダ本体240の内部空間の空気圧により、吸収することができる。このため、反力が急に変動する場合であっても、アタック角度θが急に変動するのを抑制することができる。
【0063】
<第二実施形態>
本実施形態のスクリーン印刷方法は、通常モードと高充填モードとで、アタック角度を切り替えるスクリーン印刷方法である。本実施形態のスクリーン印刷方法には、第一実施形態のスクリーン印刷機を使用する。
【0064】
[メモリ]
まず、本実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリの格納データについて説明する。図8に、本実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリのブロック図を示す。図8に示すように、スクリーン印刷機のメモリ91には、生産レシピ910と、装置設定メモリ領域911と、内部メモリ領域912と、が格納されている。メモリ91は、スクリーン印刷機の制御装置(図略)に配置されている。
【0065】
生産レシピ910には、スクリーン印刷機を制御するためのプログラムが記憶されている。生産レシピ910には、通常モードにおける通常アタック角度θ1、高充填モードにおける高充填アタック角度θ2、クリーニングインターバルn1、はんだ供給インターバルn2が記憶されている。
【0066】
装置設定メモリ領域911には、スクリーン印刷機をユーザの嗜好に応じてカスタマイズするための設定が記憶されている。装置設定メモリ領域911には、待機時間リミットt1、クリーニング後高充填フラグf1、待機時間オーバー時高充填フラグf2、はんだ供給後高充填フラグf3、自動運転開始後高充填フラグf4、生産開始後高充填フラグf5が記憶されている。
【0067】
内部メモリ領域912には、クリーニング後一枚目フラグf6、はんだ供給後一枚目フラグf7、自動運転開始後一枚目フラグf8、生産開始後一枚目フラグf9、高充填アタック角度ボタンオンフラグf10が記憶されている。
【0068】
[スクリーン印刷方法]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、通常モードと各種高充填モードとに切り替えることができる。
【0069】
(通常モード)
通常モードにおいては、アタック角度を通常アタック角度θ1に設定して、はんだを基板に印刷する。この際の印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷方法同様である。
【0070】
(高充填モード)
高充填モードにおいては、アタック角度を高充填アタック角度θ2に設定して、はんだを基板に印刷する。この際の印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷方法同様である。
【0071】
ここで、高充填アタック角度θ2(例えば55°)は、通常アタック角度θ1(例えば60°)に対して、小さく設定されている。このため、高充填アタック角度θ2に切り替えると、通常アタック角度θ1と比較して、マスクのパターン孔に、はんだを押し込みやすくなる。すなわち、パターン孔に、はんだを高充填しやすくなる。
【0072】
高充填モードとしては、クリーニング後一枚目モード、待機時間オーバーモード、はんだ供給モード、自動運転一枚目モード、生産開始一枚目モード、手動モードが設定されている。以下、これらのモードを順番に説明する。
【0073】
(クリーニング後一枚目モード)
クリーニング後一枚目モードは、マスクをクリーニングした後、一枚目の基板を生産する際に実行される。図9に、本実施形態のスクリーン印刷方法のクリーニング後一枚目モードのフローチャートを示す。
【0074】
図9に示すように、基板待ちの状態から(s1(ステップ1、以下同様))、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s2)、制御装置は、クリーニング後一枚目フラグf6を参照して、搬入された基板がクリーニング後一枚目に該当するか否かを判別する(s3)。基板がクリーニング後一枚目に該当する場合は、制御装置は、クリーニング後高充填フラグf1を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s4)。なお、クリーニング後高充填フラグf1は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s5)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s6)。その後、制御装置は、クリーニングインターバルn1が経過したか否かを判別する(s7)。そして、クリーニングインターバルn1が経過した場合は、マスクのクリーニングを実行する(s8)。例えば、基板を100枚生産するごとにマスクのクリーニングを実行する場合、クリーニングインターバルn1は100である。基板が100枚目に該当する場合に、クリーニングを実行する。
【0075】
ステップ3(s3)において、基板がクリーニング後一枚目に該当しない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s9)。そして、基板を払い出す(s6)。同様に、ステップ4(s4)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s9)。そして、基板を払い出す(s6)。ステップ7(s7)において、クリーニングインターバルn1が経過していない場合は、マスクのクリーニングを実行せずに、基板待ちの状態に復帰する(s1)。
【0076】
このように、クリーニング後一枚目モードにおいては、クリーニング後一枚目の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、マスクのパターン孔の中まで、はんだを充填しにくいにも関わらず、はんだをパターン孔の中から基板まで充填可能になり、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0077】
(待機時間オーバーモード)
待機時間オーバーモードは、所定の基板待ち時間が経過した後、基板を生産する際に実行される。図10に、本実施形態のスクリーン印刷方法の待機時間オーバーモードのフローチャートを示す。
【0078】
図10に示すように、基板待ちの状態から(s11)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s12)、制御装置は、待機時間リミットt1を参照して、搬入された基板が基板待ち時間をオーバーしたか否かを判別する(s13)。基板が基板待ち時間をオーバーした場合は、制御装置は、待機時間オーバー時高充填フラグf2を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s14)。なお、待機時間オーバー時高充填フラグf2は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s15)。印刷後、基板待ち時間を計測するためのタイマーをスタートさせる(s16)。
【0079】
ステップ13(s13)において、基板が基板待ち時間をオーバーしなかった場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s17)。そして、基板を払い出す(s16)。同様に、ステップ14(s14)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s17)。そして、基板を払い出す(s16)。
【0080】
このように、待機時間オーバーモードにおいては、待機時間オーバー後の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、基板待ち時間の経過によりはんだの粘性が高くなっているにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0081】
(はんだ供給モード)
はんだ供給モードは、マスクにはんだを供給した後、基板を生産する際に実行される。図11に、本実施形態のスクリーン印刷方法のはんだ供給モードのフローチャートを示す。
【0082】
図11に示すように、基板待ちの状態から(s21)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s22)、制御装置は、はんだ供給後一枚目フラグf7を参照して、搬入された基板がはんだ供給後一枚目に該当するか否かを判別する(s23)。基板がはんだ供給後一枚目に該当する場合は、制御装置は、はんだ供給後高充填フラグf3を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s24)。なお、はんだ供給後高充填フラグf3は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s25)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s26)。その後、制御装置は、はんだ供給インターバルn2が経過したか否かを判別する(s27)。そして、はんだ供給インターバルn2が経過した場合は、はんだを供給する(s28)。例えば、基板を100枚生産するごとにはんだを供給する場合、はんだ供給インターバルn2は100である。基板が100枚目に該当する場合に、はんだを供給する。
【0083】
ステップ23(s23)において、基板がはんだ供給後一枚目に該当しない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s29)。そして、基板を払い出す(s26)。同様に、ステップ24(s24)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s29)。そして、基板を払い出す(s26)。ステップ27(s27)において、はんだ供給インターバルn2が経過していない場合は、はんだを供給せずに、基板待ちの状態に復帰する(s21)。
【0084】
このように、はんだ供給モードにおいては、はんだ供給後一枚目の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、供給直後のはんだの粘性が高いにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0085】
(自動運転一枚目モード)
自動運転一枚目モードは、生産途中でスクリーン印刷機を一旦停止し、再起動する際に実行される。図12に、本実施形態のスクリーン印刷方法の自動運転一枚目モードのフローチャートを示す。
【0086】
図12に示すように、段取り替え後(s31)、自動運転起動待ちを経て(s32)、自動運転が起動すると(s33)、自動運転開始後一枚目フラグf8がオンになる(s34)。基板待ちの状態から(s35)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s36)、制御装置は、自動運転開始後一枚目フラグf8がオンかオフかを判別する(s37)。自動運転開始後一枚目フラグf8がオンの場合は、制御装置は、自動運転開始後高充填フラグf4を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s38)。なお、自動運転開始後高充填フラグf4は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する。この際、自動運転開始後一枚目フラグf8がオフになる(s39)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s40)。その後、制御装置は、生産を停止するか否かを判別する(s41)。生産を続ける場合は、基板待ちの状態に復帰する(s35)。
【0087】
ステップ37(s37)において、自動運転開始後一枚目フラグf8がオフの場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s42)。そして、基板を払い出す(s40)。同様に、ステップ38(s38)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s42)。そして、基板を払い出す(s40)。ステップ41(s41)において、生産を停止する場合は、自動運転起動待ちの状態に復帰する(s32)。
【0088】
このように、自動運転一枚目モードにおいては、スクリーン印刷機を再起動する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、停止中にはんだの粘性が高くなっているにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0089】
(生産開始一枚目モード)
生産開始一枚目モードは、段取り替え後、一枚目の基板を生産する際に実行される。図13に、本実施形態のスクリーン印刷方法の生産開始一枚目モードのフローチャートを示す。
【0090】
図13に示すように、段取り替えを行うと、生産開始後一枚目フラグf9がオンになる(s51)。自動運転起動待ちを経て(s52)、自動運転が起動すると(s53)、基板待ちの状態になる(s54)。コンベアベルトにより基板が搬入されると(s55)、制御装置は、生産開始後一枚目フラグf9がオンかオフかを判別する(s56)。生産開始後一枚目フラグf9がオンの場合は、制御装置は、生産開始後高充填フラグf5を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s57)。なお、生産開始後高充填フラグf5は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する。この際、生産開始後一枚目フラグf9がオフになる(s58)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s59)。その後、制御装置は、基板を所定の枚数だけ生産したか否かを判別する(s60)。基板を所定の枚数だけ未だ生産していない場合は、制御装置は、生産を停止するか否かを判別する(s61)。生産を続ける場合は、基板待ちの状態に復帰する(s54)。
【0091】
ステップ56(s56)において、生産開始後一枚目フラグf9がオフの場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s62)。そして、基板を払い出す(s59)。同様に、ステップ57(s57)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s62)。そして、基板を払い出す(s59)。ステップ60(s60)において、基板を所定の枚数だけ生産した場合は、段取り替えを実行する(s51)。ステップ61(s61)において、生産を停止する場合は、自動運転起動待ちの状態に復帰する(s52)。
【0092】
このように、生産開始一枚目モードにおいては、段取り替え後一枚目の基板を生産する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、マスクのパターン孔の中まで、はんだを充填しにくいにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。また、はんだの粘性が高いにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0093】
(手動モード)
手動モードは、ユーザが高充填アタック角度θ2を用いたい場合に、随時実行される。図14に、本実施形態のスクリーン印刷方法の手動モードのフローチャートを示す。
【0094】
図14に示すように、基板待ちの状態から(s71)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s72)、制御装置は、高充填アタック角度ボタンオンフラグf10を参照して、ユーザが高充填アタックボタンを押したか否かを判別する(s73)。ユーザが高充填アタックボタンを押したと制御装置が判断した場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s74)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出し(s76)、基板待ちの状態に復帰する(s71)。
【0095】
ステップ73(s73)において、ユーザが高充填アタックボタンを押していないと制御装置が判断した場合は、制御装置からの指示により、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s75)。
【0096】
このように、手動モードにおいては、ユーザの嗜好に応じて、随時、高充填アタック角度θ2を用いることができる。
【0097】
[作用効果]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法の作用効果について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のスクリーン印刷方法と同様の作用効果を有する。
【0098】
また、本実施形態のスクリーン印刷方法によると、マスクのパターン孔にはんだを高充填したい状況に応じて、通常モードから各種高充填モードに切り替えることができる。このため、基板に対するはんだの転写性が低下しにくい。すなわち、はんだを往復印刷や低速度印刷するなどして、はんだの転写性を確保する必要がない。したがって、サイクルタイムが遅延しにくく、基板の生産性が低下しにくい。
【0099】
また、本実施形態のスクリーン印刷方法によると、通常モードにおいては通常アタック角度θ1を、高充填モードにおいては高充填アタック角度θ2を、各々、略一定に保つことができる。
【0100】
<その他>
以上、本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0101】
上記実施形態においては、圧力計244bの検出値を基に、アタック角度θを略一定に保った。しかしながら、スキージ揺動軸A1に配置したセンサでスキージ26の揺動トルクの変化を検出することにより、アタック角度θを略一定に保ってもよい。
【0102】
また、スキージ26あるいはエアシリンダ24に配置したロードセルでマスク32からスキージ26に加わる反力の変化を検出することにより、アタック角度θを略一定に保ってもよい。
【0103】
また、スキージ揺動軸A1とマスク32上面との間の距離の変化を基に、アタック角度θを略一定に保ってもよい。図15に、スキージ揺動軸とマスク上面との間の距離の変化を基にアタック角度を略一定に保つ場合のスキージの軌跡を示す。なお、図7と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0104】
図15に強調して示すように、基板Bは、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク32も、下方に膨らむように撓んでいる。
【0105】
基板Bの水平区間E1においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は変化しない。ここで、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線L1の長さは一定である。また、アタック角度をθに設定すると、直線L1とマスク32の上面の延在方向との間の挟角αは、一義的に決まる。このため、スキージ揺動軸A1からマスク32に垂直に降ろした直線L2の長さは、L2=L1×sinαとなる。この直線L2の長さが、常にL1×sinαになるように、スキージ26を上下動させる。なお、直線L2の長さを測定するためのセンサ(図略)は、スキージ26と共に揺動可能に、スキージ揺動軸A1に装着されている。センサは、直線L1に対して、角度γ(=90°−α)で交差する方向における、スキージ揺動軸A1からマスク32までの距離を検出する。
【0106】
基板Bの下降区間E2においては、直線L2の長さが、L1×sinαよりも長くなる。すなわち、L2>L1×sinαとなる。L2>L1×sinαとなると、制御装置(図略)からの指示により、Z軸方向スライダ25を下降させ、スキージ揺動軸A1に対して、スキージ26を前方に揺動させる。L2が再びL1×sinαと等しくなったら、Z軸方向スライダ25の下降を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0107】
基板Bの上昇区間E3においては、直線L2の長さが、L1×sinαよりも短くなる。すなわち、L2<L1×sinαとなる。L2<L1×sinαとなると、制御装置からの指示により、Z軸方向スライダ25を上昇させ、スキージ揺動軸A1に対して、スキージ26を後方に揺動させる。L2が再びL1×sinαと等しくなったら、Z軸方向スライダ25の上昇を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0108】
このように、スキージ揺動軸A1とマスク32上面との間の距離の変化を基に、アタック角度θを略一定に保つと、スキージ26がマスク32から受ける反力、および当該反力に関する検出値を検出しないで、アタック角度θを略一定に保つことができる。
【0109】
また、上記実施形態においては、スキージ装置2に単一のスキージ26を配置したが、二つのスキージ26を前後方向に並べて配置してもよい。この場合、スキージ装置2が前方から後方に移動する際に一方のスキージ26を用いて印刷を行い、スキージ装置2が後方から前方に移動する際に他方のスキージ26を用いて印刷を行ってもよい。また、二つのスキージ26のスキージ揺動軸A1を共通化してもよい。また、エアシリンダ24を共用化してもよい。
【0110】
また、上記実施形態においては、エアシリンダ24によりスキージ26に揺動力を加えたが、他の流体シリンダ(油圧シリンダなど)によりスキージ26に揺動力を加えてもよい。
【0111】
また、上記第二実施形態のスクリーン印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷機以外のスクリーン印刷機で実施することもできる。すなわち、印刷工程において、アタック角度を略一定に保つことができないタイプのスクリーン印刷機で実施することもできる。
【符号の説明】
【0112】
1:スクリーン印刷機、2:スキージ装置、3:マスク装置、4:クランプ装置、5:バックアップ装置、6:搬送装置、7:メインテーブル、8:軸方向ガイドレール。
20:モータ、21:モータブラケット、22:Y軸方向スライダ、24:エアシリンダ、25:Z軸方向スライダ、26:スキージ、27:入力板、28:ホルダ、29:ホルダ連結アーム、30:フレーム、31:メッシュ、32:マスク、40F:固定クランプ、40R:可動クランプ、50:バックアップテーブル、51:バックアップピン、52:ガイドロッド、60F:コンベアベルト、60R:コンベアベルト、91:メモリ。
220:ガイドリブ、240:シリンダ本体、241:ピストン、242:スライダ連結アーム、243:シリンダ揺動凸部、244:配管、244a:バルブ、244b:圧力計、250:被ガイド溝、251:挿通孔、252:シリンダ連結アーム、280:ホルダ本体、281:スキージ揺動凸部、910:生産レシピ、911:装置設定メモリ領域、912:内部メモリ領域。
A1:スキージ揺動軸、A2:シリンダ揺動軸、A3:入力軸、B:基板、E1:水平区間、E2:下降区間、E3:上昇区間、f1:クリーニング後高充填フラグ、f2:待機時間オーバー時高充填フラグ、f3:供給後高充填フラグ、f4:自動運転開始後高充填フラグ、f5:生産開始後高充填フラグ、f6:クリーニング後一枚目フラグ、f7:供給後一枚目フラグ、f8:自動運転開始後一枚目フラグ、f9:生産開始後一枚目フラグ、f10:高充填アタック角度ボタンオンフラグ、n1:クリーニングインターバル、n2:供給インターバル、t1:待機時間リミット。
θ:アタック角度、θ1:通常アタック角度、θ2:高充填アタック角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にはんだを印刷するスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだを印刷する際、基板は、クランプ装置により、水平方向両側から挟持される。近年においては、基板の薄型化が顕著である。このため、クランプ装置で挟持する際、基板に「反り」が発生する場合がある。すなわち、はんだを印刷する際、撓んだ状態で基板が固定されている場合がある。
【0003】
図16に、従来のスクリーン印刷機のスキージの軌跡を示す。図16に強調して示すように、基板102は、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク101も、下方に膨らむように撓んでいる。一方、スキージ100のマスク101に対する摺動角度βは固定されている。このため、スキージ100のマスク101に対するアタック角度θ100が変化してしまう。アタック角度θ100が変化すると、はんだの基板102に対する印圧が変化してしまう。このため、印刷品質が不安定になる。
【0004】
この点に鑑み、特許文献1には、押圧手段と、可撓性を有するスキージと、を備えるスクリーン印刷機が開示されている。押圧手段は、空気圧を調整することにより、マスクに対するスキージの押圧力を調整している。押圧力を調整すると、スキージのマスクに対する湾曲程度が変化する。このため、スキージのマスクに対するアタック角度を調整することができる。同文献記載のスクリーン印刷機によると、アタック角度を略一定にすることにより、印刷品質を安定化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスクリーン印刷機によると、スキージの可撓性に依存して、アタック角度を略一定にしている。スキージはゴム製である。このため、スキージの耐久性によっては、スキージに「へたり(変形残り)」が生じるおそれがある。この場合、アタック角度を略一定に保ちにくくなる。また、マスクのパターン孔にはんだを押し込む際、はんだからの反力によりスキージが撓み、アタック角度が変化するおそれがある。このように、特許文献1のスクリーン印刷方法によると、アタック角度を略一定に保ちにくい。
【0007】
本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、より確実にアタック角度を略一定に保つことが可能なスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のスクリーン印刷機は、基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクと、該マスクの上面を摺動し、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスキージと、該スキージを揺動させる揺動機構と、該スキージを上下動させる上下動機構と、を備えてなるスクリーン印刷機であって、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構および前記揺動機構を動かすことにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とする(請求項1に対応)。
【0009】
「アタック角度」とは、マスクの上面の延在方向と、スキージの延在方向と、の間の挟角をいう。マスクの上面が曲面状の場合、マスクの上面の延在方向とは、マスクとスキージとの接点におけるマスクの上面の接線方向をいう。
【0010】
本発明のスクリーン印刷機によると、スキージが可撓性を有する必要がない。このため、より確実にアタック角度を略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0011】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記スキージの揺動軸と、前記マスクと該スキージとの接点と、を結ぶ直線と、該マスクの上面の延在方向と、の間の挟角は、45°以内である構成とする方がよい。
【0012】
ここで、スキージの揺動軸と、マスクとスキージとの接点と、を結ぶ直線と、マスクの上面の延在方向と、の間の挟角を45°以内としたのは、当該挟角が45°超過の場合、スキージが円滑に揺動しにくいからである。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構を駆動し、該スキージを上下動させ、該スキージが該マスクから受ける反力を利用して、前記揺動機構を従動させることにより、前記アタック角度を略一定に保つ構成とする方がよい(請求項2に対応)。
【0014】
本構成によると、スキージがマスクから受ける反力を介して、揺動機構が上下動機構に従動している。このため、アタック角度を略一定に保つ際、上下動機構に対して、揺動機構を、独立して駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機の構造が簡単になる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、さらに、前記スキージが前記マスクから受ける反力に関する検出値を検出する検出装置を備え、前記アタック角度は、該検出値を基に略一定に保たれる構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0016】
スキージがマスクから受ける反力は、上下動機構や揺動機構の種類により、圧力、荷重、角度、トルクなど、種々の検出値に反映される。本構成によると、当該検出値を基にアタック角度を略一定に保つことができる。
【0017】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明のスクリーン印刷方法は、基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクの上面をスキージが摺動することにより、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスクリーン印刷方法であって、前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、該スキージを揺動させることにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とする(請求項4に対応)。
【0018】
本発明のスクリーン印刷方法によると、スキージが可撓性を有する必要がない。このため、より確実にアタック角度を略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0019】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記スキージの揺動軸と、前記マスクと該スキージとの接点と、を結ぶ直線と、該マスクの上面の延在方向と、の間の挟角は、45°以内である構成とする方がよい。
【0020】
ここで、スキージの揺動軸と、マスクとスキージとの接点と、を結ぶ直線と、マスクの上面の延在方向と、の間の挟角を45°以内としたのは、当該挟角が45°超過の場合、スキージが円滑に揺動しにくいからである。
【0021】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記アタック角度は、前記スキージが前記マスクから受ける反力を基に略一定に保たれる構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0022】
本構成によると、スキージがマスクから受ける反力を介して、アタック角度を略一定に保っている。このため、アタック角度を略一定に保つ際、別途、駆動機構によりスキージ自体を駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機の構造が簡単になる。
【0023】
(6)好ましくは、上記(4)または(5)の構成において、通常モードにおいては、前記アタック角度を所定の通常角度に設定し、該通常モードと比較して前記はんだを前記パターン孔に高充填することが必要な高充填モードにおいては、該アタック角度を該通常角度よりも小さい高充填角度に設定する構成とする方がよい(請求項6に対応)。
【0024】
例えば、マスクをクリーニングした直後や、はんだを追加した直後などは、通常印刷時と比較して、基板に対するはんだの転写性が低下してしまう。つまり、はんだがかすれやすくなる。この場合、一枚目の基板に対してはんだを往復印刷や低速度印刷することなどにより、はんだの転写性を確保している。しかしながら、こうすると、サイクルタイムが遅延してしまう。すなわち、基板の生産性が低下してしまう。
【0025】
この点、本構成のスクリーン印刷方法によると、通常モードにおいては、アタック角度が通常角度に設定される。一方、高充填モードにおいては、アタック角度が高充填角度に設定される。すなわち、通常モードと高充填モードとで、アタック角度を大小切り替えることができる。このため、はんだの転写性が低下しそうな場合は、高充填モードに切り替えることにより、はんだの転写性を確保することができる。したがって、基板の生産性が低下するのを抑制することができる。
【0026】
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記高充填モードは、以下の(a)〜(f)から選ばれる少なくとも一つのモードである構成とする方がよい。(a)前記マスクをクリーニング後、一枚目の前記基板に実行されるクリーニング後一枚目モード。(b)先発の該基板を生産後、所定の待機時間を超過した次発の該基板に対して実行される待機時間オーバーモード。(c)前記はんだを供給後、一枚目の該基板に実行されるはんだ供給モード。(d)一旦停止した生産を再開後、一枚目の該基板に実行される自動運転一枚目モード。(e)段取り替え後、一枚目の該基板に実行される生産開始一枚目モード。(f)ユーザが手動により実行する手動モード(請求項7に対応)。本構成によると、各種印刷状況に応じて、適宜、アタック角度を高充填角度に設定することができる。
【0027】
(8)上記(6)、(7)の構成は、上記(4)、(5)の構成から独立した構成としてもよい。すなわち、スキージのアタック角度を略一定に保つ工程を有しないスクリーン印刷方法に用いてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、より確実にアタック角度を略一定に保つことが可能なスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第一実施形態のスクリーン印刷機の右側面図である。
【図2】同スクリーン印刷機のスキージ装置の断面図である。
【図3】同スキージ装置の斜視図である。
【図4】同スキージ装置の分解斜視図である。
【図5】同スクリーン印刷機の基板保持工程の右側面図である。
【図6】同スクリーン印刷機の印刷工程の右側面図である。
【図7】同スクリーン印刷機のスキージの印刷工程の軌跡を示す模式図である。
【図8】第二実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリのブロック図である。
【図9】同スクリーン印刷方法のクリーニング後一枚目モードのフローチャートである。
【図10】同スクリーン印刷方法の待機時間オーバーモードのフローチャートである。
【図11】同スクリーン印刷方法のはんだ供給モードのフローチャートである。
【図12】同スクリーン印刷方法の自動運転一枚目モードのフローチャートである。
【図13】同スクリーン印刷方法の生産開始一枚目モードのフローチャートである。
【図14】同スクリーン印刷方法の手動モードのフローチャートである。
【図15】スキージ揺動軸とマスク上面との間の距離の変化を基にアタック角度を略一定に保つ場合のスキージの軌跡を示す模式図である。
【図16】従来のスクリーン印刷機のスキージの軌跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の実施の形態について説明する。
【0031】
<第一実施形態>
[スクリーン印刷機の構成]
まず、本実施形態のスクリーン印刷機の構成について説明する。図1に、本実施形態のスクリーン印刷機の右側面図を示す。図1に示すように、本実施形態のスクリーン印刷機1は、スキージ装置2と、マスク装置3と、クランプ装置4と、バックアップ装置5と、搬送装置6と、メインテーブル7と、Y軸方向ガイドレール8と、を備えている。
【0032】
(メインテーブル7、クランプ装置4)
メインテーブル7は、長方形板状を呈している。メインテーブル7は、上下動可能である。クランプ装置4は、固定クランプ40Fと、可動クランプ40Rと、を備えている。固定クランプ40Fは、長方形板状を呈している。固定クランプ40Fは、メインテーブル7の前縁から、上方に立設されている。可動クランプ40Rは、長方形板状を呈している。可動クランプ40Rは、メインテーブル7の後縁から、上方に立設されている。固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとは、前後方向に対向している。可動クランプ40Rは、前後方向に移動可能である。
【0033】
(搬送装置6)
搬送装置6は、一対のコンベアベルト60F、60Rを備えている。コンベアベルト60Fは、固定クランプ40Fの後面上縁に配置されている。コンベアベルト60Fは、左右方向に延在している。コンベアベルト60Rは、可動クランプ40Rの前面上縁に配置されている。コンベアベルト60Rは、左右方向に延在している。一対のコンベアベルト60F、60Rは、前後方向に対向している。基板Bは、一対のコンベアベルト60F、60R間に架設されている。基板Bは、一対のコンベアベルト60F、60Rにより、左側(上流側)から右側(下流側)に搬送される。
【0034】
(バックアップ装置5)
バックアップ装置5は、バックアップテーブル50と、複数のバックアップピン51と、一対のガイドロッド52と、を備えている。バックアップテーブル50は、長方形板状を呈している。バックアップテーブル50は、メインテーブル7の上方に配置されている。また、バックアップテーブル50は、固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとの間に配置されている。一対のガイドロッド52は、バックアップテーブル50の下面を、上下動可能に支持している。複数のバックアップピン51は、バックアップテーブル50の上面に配置されている。
【0035】
(マスク装置3)
マスク装置3は、フレーム30と、メッシュ31と、マスク32と、を備えている。マスク装置3は、クランプ装置4の上方に配置されている。フレーム30は、長方形枠状を呈している。メッシュ31は、長方形枠状を呈している。メッシュ31は、フレーム30の枠内に配置されている。マスク32は、長方形薄板状を呈している。マスク32は、メッシュ31に張設されている。マスク32には、多数のパターン孔(図略)が形成されている。パターン孔は、基板Bの印刷位置に応じて、所定のパターンで配置されている。
【0036】
(スキージ装置2、Y軸方向ガイドレール8)
Y軸方向ガイドレール8は、マスク装置3の上方に配置されている。Y軸方向ガイドレール8は、前後方向に延在している。スキージ装置2は、Y軸方向ガイドレール8に、前後方向に摺動可能に配置されている。
【0037】
図2に、本実施形態のスクリーン印刷機のスキージ装置の断面図を示す。図3に、同スキージ装置の斜視図を示す。図4に、同スキージ装置の分解斜視図を示す。図2〜図4に示すように、スキージ装置2は、モータ20と、モータブラケット21と、Y軸方向スライダ22と、ボールねじ23と、エアシリンダ24と、Z軸方向スライダ25と、スキージ26と、入力板27と、ホルダ28と、ホルダ連結アーム29と、を備えている。
【0038】
これらの部材のうち、ボールねじ23、Y軸方向スライダ22、Z軸方向スライダ25は、本発明の上下動機構に含まれる。また、ホルダ28、入力板27、エアシリンダ24は、本発明の揺動機構に含まれる。
【0039】
Y軸方向スライダ22は、長方形板状を呈している。Y軸方向スライダ22は、図1に示すY軸方向ガイドレール8に、前後方向に摺動可能に配置されている。Y軸方向スライダ22の前面には、一対のガイドリブ220が突設されている。一対のガイドリブ220は、上下方向に延在している。
【0040】
モータブラケット21は、Y軸方向スライダ22の上面に配置されている。モータ20は、モータブラケット21に装着されている。ボールねじ23は、上下方向に延在している。ボールねじ23は、モータ20の回転軸(図略)に連結されている。
【0041】
Z軸方向スライダ25は、直方体ブロック状を呈している。Z軸方向スライダ25は、一対の被ガイド溝250と、ボールねじ挿通孔251と、シリンダ連結アーム252と、を備えている。一対の被ガイド溝250は、Z軸方向スライダ25の後面に配置されている。一対の被ガイド溝250は、上下方向に延在している。図4に示すように、一対の被ガイド溝250は、Y軸方向スライダ22の一対のガイドリブ220に、係合している。ボールねじ挿通孔251は、Z軸方向スライダ25を上下方向に貫通している。ボールねじ挿通孔251には、ボールねじ23が挿通されている。ボールねじ23の外周面とボールねじ挿通孔251の内周面との間には、多数のボール(図略)が介装されている。多数のボールにより、ボールねじ23は、ボールねじ挿通孔251に対して、螺動可能である。シリンダ連結アーム252は、角柱状を呈している。シリンダ連結アーム252は、Z軸方向スライダ25の前面から、前方に突設されている。
【0042】
ホルダ連結アーム29は、下方に開口するC字状を呈している。ホルダ連結アーム29は、Z軸方向スライダ25の下面に固定されている。ホルダ28は、ホルダ本体280と、一対のスキージ揺動凸部281と、を備えている。ホルダ本体280は、左右方向に長い長方形板状を呈している。スキージ揺動凸部281は、短軸円柱状を呈している。一対のスキージ揺動凸部281は、ホルダ本体280の上縁の左右両端に配置されている。一対のスキージ揺動凸部281は、ホルダ連結アーム29のC字開口縁に、揺動可能に保持されている。
【0043】
スキージ26は、左右方向に長い長方形板状を呈している。スキージ26は、ホルダ本体280の下面に固定されている。図4に示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1(一対のスキージ揺動凸部281)を中心に、縦方向に揺動可能である。入力板27は、長方形板状を呈している。入力板27は、ホルダ本体280の上面の略中央に固定されている。
【0044】
エアシリンダ24は、シリンダ本体240と、ピストン241と、スライダ連結アーム242と、一対のシリンダ揺動凸部243と、を備えている。シリンダ本体240は、角柱状を呈している。シリンダ本体240の内部には、円柱状の空間が形成されている。図2に示すように、シリンダ本体240の内部空間には、配管244が連結されている。配管244には、バルブ244aと圧力計244bとが取り付けられている。圧力計244bは、バルブ244aとシリンダ本体240との間に配置されている。スライダ連結アーム242は、角柱状を呈している。スライダ連結アーム242は、シリンダ本体240の後面から、後方に突設されている。シリンダ揺動凸部243は、短軸円柱状を呈している。一対のシリンダ揺動凸部243は、スライダ連結アーム242の後端から、左右方向に突設されている。一対のシリンダ揺動凸部243は、シリンダ連結アーム252の前端に、揺動可能に保持されている。図4に示すように、エアシリンダ24は、シリンダ揺動軸A2(一対のシリンダ揺動凸部243)を中心に、縦方向に揺動可能である。ピストン241は、シリンダ本体240の内部空間に対して、下方から出入り可能に配置されている。ピストン241の下端には、入力板27が、揺動可能に連結されている。図4に示すように、入力板27は、入力軸A3(ピストン241の下端)を中心に、縦方向に揺動可能である。
【0045】
以上説明したように、また、図2に細線で示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1を中心に、揺動可能である。また、エアシリンダ24は、入力軸A3を介して、スキージ26に揺動力を加えることができる。また、エアシリンダ24は、空気圧により、スキージ26が入力軸A3方向に揺動するのを、抑制することができる。
【0046】
[スクリーン印刷方法]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、基板搬入工程と、基板保持工程と、印刷工程と、基板搬出工程と、を有している。
【0047】
(基板搬入工程)
基板搬入工程においては、図1に示すように、一対のコンベアベルト60F、60Rにより、基板Bを、バックアップピン51上方の所定位置に配置する。
【0048】
(基板保持工程)
図5に、本実施形態のスクリーン印刷機の基板保持工程の右側面図を示す。基板保持工程においては、まず、図5に白抜き矢印C1で示すように、バックアップテーブル50を上昇させる。続いて、複数のバックアップピン51により、基板Bを持ち上げる。そして、基板Bの上面の高さと、固定クランプ40F、可動クランプ40Rの上面の高さと、を揃える。それから、白抜き矢印C2で示すように、可動クランプ40Rを前方に動かすことにより、固定クランプ40Fと可動クランプ40Rとで、基板Bを前後方向から挟持する。その後、白抜き矢印C3で示すように、バックアップテーブル50、複数のバックアップピン51、基板Bと共に、メインテーブル7を上昇させ、マスク32の下面に、基板Bの上面を、当接させる。続いて、白抜き矢印C4で示すように、スキージ装置2のスキージ26を下降させ、マスク32の上面に当接させる。
【0049】
スキージ26を下降させる際の動きについて詳しく説明すると、図2に示すように、まず、モータ20を駆動し、ボールねじ23を軸回りに回転させる。そして、Z軸方向スライダ25を下降させ、スキージ26をマスク32の上面に当接させる。続いて、配管244を介して、エアシリンダ24に空気を供給する。そして、ピストン241により、入力板27、ホルダ28を介して、スキージ26を押圧する。図4に示すように、スキージ26は、スキージ揺動軸A1を中心に、下方に揺動する方向に、押圧される。ピストン241には、スキージ26を介して、マスク32からの反力が加わる。当該反力により、シリンダ本体240の内部空間の空気圧は上昇する。当該空気圧は、圧力計244bにより検出される。当該空気圧が、設定印圧まで上昇した時点で、バルブ244aを閉じる。このようにして、図5に示すように、スキージ26とマスク32の上面との間の挟角を、所定のアタック角度θとする。また、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線と、マスク32の上面の延在方向と、の間の挟角αを、45°以内に設定する。
【0050】
(印刷工程)
図6に、本実施形態のスクリーン印刷機の印刷工程の右側面図を示す。印刷工程においては、図6に白抜き矢印C5で示すように、Y軸方向ガイドレール8に沿って、スキージ装置2を、前方から後方に向かって、移動させる。そして、マスク32の上面に対して、スキージ26を摺動させる。マスク32の上面には、はんだ(図略)が配置されている。摺動するスキージ26により、はんだは、パターン孔に押し込まれる。パターン孔に押し込まれたはんだは、基板Bの所定位置に転写される。
【0051】
図7に、本実施形態のスクリーン印刷機のスキージの印刷工程の軌跡を示す。図7に強調して示すように、基板Bは、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク32も、下方に膨らむように撓んでいる。
【0052】
基板Bの水平区間E1においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は変化しない。このため、図2に示す圧力計244bの検出値は変化しない。すなわち、検出値は、設定印圧のままである。したがって、アタック角度θは、略一定のままである。
【0053】
基板Bの下降区間E2においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は小さくなる。このため、図2に示す圧力計244bの検出値が、設定印圧と比較して、小さくなる。検出値が小さくなると、制御装置(図略)からの指示により、Z軸方向スライダ25を下降させ、マスク32に対するスキージ26の押圧力を大きくする。このため、スキージ26がマスク32から受ける反力は大きくなる。圧力計244bの検出値が、再び設定印圧と等しくなったら、Z軸方向スライダ25の下降を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0054】
基板Bの上昇区間E3においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は大きくなる。このため、図2に示す圧力計244bの検出値が、設定印圧と比較して、大きくなる。検出値が大きくなると、制御装置からの指示により、Z軸方向スライダ25を上昇させ、マスク32に対するスキージ26の押圧力を小さくする。このため、スキージ26がマスク32から受ける反力は小さくなる。圧力計244bの検出値が、再び設定印圧と等しくなったら、Z軸方向スライダ25の上昇を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0055】
(基板搬出工程)
基板搬出工程においては、まず、マスク32に対して、スキージ26を上昇させる。すなわち、いわゆる版離れを行う。続いて、マスク32に対して、基板Bを下降させる。それから、基板Bを、再び一対のコンベアベルト60F、60Rに載置する。その後、一対のコンベアベルト60F、60Rを再駆動し、基板Bを下流側に送り出す。
【0056】
[作用効果]
次に、本実施形態のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態のスクリーン印刷機1のスキージ26は金属製であり、剛性が高い。すなわち、スキージ26は、可撓性を有しない。このため、より確実にアタック角度θを略一定に保つことができる。したがって、より確実に印刷品質を安定化させることができる。
【0058】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線と、マスク32の上面の延在方向と、の間の挟角αが45°以内に設定されている。このため、マスク32の上面に押しつけてスキージ26を揺動させる際、スキージ26が揺動しやすい。ここで、挟角αを45°以内としたのは、挟角αが45°超過の場合、ホルダ連結アーム29に対する、スキージ26の屈曲程度が小さくなるからである。言い換えると、ホルダ連結アーム29とスキージ26とが、より直線に近い状態で、連動するようになるからである。挟角αが45°超過の場合、スキージ26が下降する際、スキージ26からマスク32の上面に加わる力のうち、上下方向の分力が大きくなる。上下方向の分力が大きくなると、スキージ26が揺動しにくくなる。また、スキージ26がマスク32の上面を過度に下方に押圧してしまう。
【0059】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ26がマスク32から受ける反力を介して、揺動機構が上下動機構に従動している。このため、アタック角度θを略一定に保つ際、上下動機構に対して、揺動機構を、独立して駆動する必要がない。したがって、スクリーン印刷機1の構造が簡単になる。
【0060】
また、スキージ26がマスク32から受ける反力は、エアシリンダ24のシリンダ本体240の内部空間の空気圧に反映される。この点に着目して、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、圧力計244bの検出値を基に、アタック角度θを略一定に保っている。このため、反力そのものを直接検出することなく、反力に基づいてアタック角度θを略一定に保つことができる。
【0061】
また、スキージ26とは別に、揺動式のブレードを配置し、当該ブレードを揺動させることにより、アタック角度を制御する場合と比較して、スキージ装置2延いてはスクリーン印刷機1の構造が簡単になる。また、部品点数が少なくなる。
【0062】
また、本実施形態のスクリーン印刷機1によると、スキージ26がマスク32から受ける反力の変動を、シリンダ本体240の内部空間の空気圧により、吸収することができる。このため、反力が急に変動する場合であっても、アタック角度θが急に変動するのを抑制することができる。
【0063】
<第二実施形態>
本実施形態のスクリーン印刷方法は、通常モードと高充填モードとで、アタック角度を切り替えるスクリーン印刷方法である。本実施形態のスクリーン印刷方法には、第一実施形態のスクリーン印刷機を使用する。
【0064】
[メモリ]
まず、本実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリの格納データについて説明する。図8に、本実施形態のスクリーン印刷方法に用いられるスクリーン印刷機のメモリのブロック図を示す。図8に示すように、スクリーン印刷機のメモリ91には、生産レシピ910と、装置設定メモリ領域911と、内部メモリ領域912と、が格納されている。メモリ91は、スクリーン印刷機の制御装置(図略)に配置されている。
【0065】
生産レシピ910には、スクリーン印刷機を制御するためのプログラムが記憶されている。生産レシピ910には、通常モードにおける通常アタック角度θ1、高充填モードにおける高充填アタック角度θ2、クリーニングインターバルn1、はんだ供給インターバルn2が記憶されている。
【0066】
装置設定メモリ領域911には、スクリーン印刷機をユーザの嗜好に応じてカスタマイズするための設定が記憶されている。装置設定メモリ領域911には、待機時間リミットt1、クリーニング後高充填フラグf1、待機時間オーバー時高充填フラグf2、はんだ供給後高充填フラグf3、自動運転開始後高充填フラグf4、生産開始後高充填フラグf5が記憶されている。
【0067】
内部メモリ領域912には、クリーニング後一枚目フラグf6、はんだ供給後一枚目フラグf7、自動運転開始後一枚目フラグf8、生産開始後一枚目フラグf9、高充填アタック角度ボタンオンフラグf10が記憶されている。
【0068】
[スクリーン印刷方法]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、通常モードと各種高充填モードとに切り替えることができる。
【0069】
(通常モード)
通常モードにおいては、アタック角度を通常アタック角度θ1に設定して、はんだを基板に印刷する。この際の印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷方法同様である。
【0070】
(高充填モード)
高充填モードにおいては、アタック角度を高充填アタック角度θ2に設定して、はんだを基板に印刷する。この際の印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷方法同様である。
【0071】
ここで、高充填アタック角度θ2(例えば55°)は、通常アタック角度θ1(例えば60°)に対して、小さく設定されている。このため、高充填アタック角度θ2に切り替えると、通常アタック角度θ1と比較して、マスクのパターン孔に、はんだを押し込みやすくなる。すなわち、パターン孔に、はんだを高充填しやすくなる。
【0072】
高充填モードとしては、クリーニング後一枚目モード、待機時間オーバーモード、はんだ供給モード、自動運転一枚目モード、生産開始一枚目モード、手動モードが設定されている。以下、これらのモードを順番に説明する。
【0073】
(クリーニング後一枚目モード)
クリーニング後一枚目モードは、マスクをクリーニングした後、一枚目の基板を生産する際に実行される。図9に、本実施形態のスクリーン印刷方法のクリーニング後一枚目モードのフローチャートを示す。
【0074】
図9に示すように、基板待ちの状態から(s1(ステップ1、以下同様))、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s2)、制御装置は、クリーニング後一枚目フラグf6を参照して、搬入された基板がクリーニング後一枚目に該当するか否かを判別する(s3)。基板がクリーニング後一枚目に該当する場合は、制御装置は、クリーニング後高充填フラグf1を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s4)。なお、クリーニング後高充填フラグf1は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s5)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s6)。その後、制御装置は、クリーニングインターバルn1が経過したか否かを判別する(s7)。そして、クリーニングインターバルn1が経過した場合は、マスクのクリーニングを実行する(s8)。例えば、基板を100枚生産するごとにマスクのクリーニングを実行する場合、クリーニングインターバルn1は100である。基板が100枚目に該当する場合に、クリーニングを実行する。
【0075】
ステップ3(s3)において、基板がクリーニング後一枚目に該当しない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s9)。そして、基板を払い出す(s6)。同様に、ステップ4(s4)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s9)。そして、基板を払い出す(s6)。ステップ7(s7)において、クリーニングインターバルn1が経過していない場合は、マスクのクリーニングを実行せずに、基板待ちの状態に復帰する(s1)。
【0076】
このように、クリーニング後一枚目モードにおいては、クリーニング後一枚目の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、マスクのパターン孔の中まで、はんだを充填しにくいにも関わらず、はんだをパターン孔の中から基板まで充填可能になり、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0077】
(待機時間オーバーモード)
待機時間オーバーモードは、所定の基板待ち時間が経過した後、基板を生産する際に実行される。図10に、本実施形態のスクリーン印刷方法の待機時間オーバーモードのフローチャートを示す。
【0078】
図10に示すように、基板待ちの状態から(s11)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s12)、制御装置は、待機時間リミットt1を参照して、搬入された基板が基板待ち時間をオーバーしたか否かを判別する(s13)。基板が基板待ち時間をオーバーした場合は、制御装置は、待機時間オーバー時高充填フラグf2を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s14)。なお、待機時間オーバー時高充填フラグf2は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s15)。印刷後、基板待ち時間を計測するためのタイマーをスタートさせる(s16)。
【0079】
ステップ13(s13)において、基板が基板待ち時間をオーバーしなかった場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s17)。そして、基板を払い出す(s16)。同様に、ステップ14(s14)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s17)。そして、基板を払い出す(s16)。
【0080】
このように、待機時間オーバーモードにおいては、待機時間オーバー後の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、基板待ち時間の経過によりはんだの粘性が高くなっているにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0081】
(はんだ供給モード)
はんだ供給モードは、マスクにはんだを供給した後、基板を生産する際に実行される。図11に、本実施形態のスクリーン印刷方法のはんだ供給モードのフローチャートを示す。
【0082】
図11に示すように、基板待ちの状態から(s21)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s22)、制御装置は、はんだ供給後一枚目フラグf7を参照して、搬入された基板がはんだ供給後一枚目に該当するか否かを判別する(s23)。基板がはんだ供給後一枚目に該当する場合は、制御装置は、はんだ供給後高充填フラグf3を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s24)。なお、はんだ供給後高充填フラグf3は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s25)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s26)。その後、制御装置は、はんだ供給インターバルn2が経過したか否かを判別する(s27)。そして、はんだ供給インターバルn2が経過した場合は、はんだを供給する(s28)。例えば、基板を100枚生産するごとにはんだを供給する場合、はんだ供給インターバルn2は100である。基板が100枚目に該当する場合に、はんだを供給する。
【0083】
ステップ23(s23)において、基板がはんだ供給後一枚目に該当しない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s29)。そして、基板を払い出す(s26)。同様に、ステップ24(s24)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s29)。そして、基板を払い出す(s26)。ステップ27(s27)において、はんだ供給インターバルn2が経過していない場合は、はんだを供給せずに、基板待ちの状態に復帰する(s21)。
【0084】
このように、はんだ供給モードにおいては、はんだ供給後一枚目の基板にはんだを印刷する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、供給直後のはんだの粘性が高いにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0085】
(自動運転一枚目モード)
自動運転一枚目モードは、生産途中でスクリーン印刷機を一旦停止し、再起動する際に実行される。図12に、本実施形態のスクリーン印刷方法の自動運転一枚目モードのフローチャートを示す。
【0086】
図12に示すように、段取り替え後(s31)、自動運転起動待ちを経て(s32)、自動運転が起動すると(s33)、自動運転開始後一枚目フラグf8がオンになる(s34)。基板待ちの状態から(s35)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s36)、制御装置は、自動運転開始後一枚目フラグf8がオンかオフかを判別する(s37)。自動運転開始後一枚目フラグf8がオンの場合は、制御装置は、自動運転開始後高充填フラグf4を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s38)。なお、自動運転開始後高充填フラグf4は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する。この際、自動運転開始後一枚目フラグf8がオフになる(s39)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s40)。その後、制御装置は、生産を停止するか否かを判別する(s41)。生産を続ける場合は、基板待ちの状態に復帰する(s35)。
【0087】
ステップ37(s37)において、自動運転開始後一枚目フラグf8がオフの場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s42)。そして、基板を払い出す(s40)。同様に、ステップ38(s38)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s42)。そして、基板を払い出す(s40)。ステップ41(s41)において、生産を停止する場合は、自動運転起動待ちの状態に復帰する(s32)。
【0088】
このように、自動運転一枚目モードにおいては、スクリーン印刷機を再起動する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、停止中にはんだの粘性が高くなっているにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0089】
(生産開始一枚目モード)
生産開始一枚目モードは、段取り替え後、一枚目の基板を生産する際に実行される。図13に、本実施形態のスクリーン印刷方法の生産開始一枚目モードのフローチャートを示す。
【0090】
図13に示すように、段取り替えを行うと、生産開始後一枚目フラグf9がオンになる(s51)。自動運転起動待ちを経て(s52)、自動運転が起動すると(s53)、基板待ちの状態になる(s54)。コンベアベルトにより基板が搬入されると(s55)、制御装置は、生産開始後一枚目フラグf9がオンかオフかを判別する(s56)。生産開始後一枚目フラグf9がオンの場合は、制御装置は、生産開始後高充填フラグf5を参照して、高充填アタック角度θ2を用いるか否かを判別する(s57)。なお、生産開始後高充填フラグf5は、ユーザ操作によりオン−オフ切り替え可能である。高充填アタック角度θ2を用いる場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する。この際、生産開始後一枚目フラグf9がオフになる(s58)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出す(s59)。その後、制御装置は、基板を所定の枚数だけ生産したか否かを判別する(s60)。基板を所定の枚数だけ未だ生産していない場合は、制御装置は、生産を停止するか否かを判別する(s61)。生産を続ける場合は、基板待ちの状態に復帰する(s54)。
【0091】
ステップ56(s56)において、生産開始後一枚目フラグf9がオフの場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s62)。そして、基板を払い出す(s59)。同様に、ステップ57(s57)において、高充填アタック角度θ2を用いない場合は、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s62)。そして、基板を払い出す(s59)。ステップ60(s60)において、基板を所定の枚数だけ生産した場合は、段取り替えを実行する(s51)。ステップ61(s61)において、生産を停止する場合は、自動運転起動待ちの状態に復帰する(s52)。
【0092】
このように、生産開始一枚目モードにおいては、段取り替え後一枚目の基板を生産する場合に、高充填アタック角度θ2を用いている。このため、マスクのパターン孔の中まで、はんだを充填しにくいにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。また、はんだの粘性が高いにも関わらず、はんだを基板に良好に印刷することができる。
【0093】
(手動モード)
手動モードは、ユーザが高充填アタック角度θ2を用いたい場合に、随時実行される。図14に、本実施形態のスクリーン印刷方法の手動モードのフローチャートを示す。
【0094】
図14に示すように、基板待ちの状態から(s71)、コンベアベルトにより基板が搬入されると(s72)、制御装置は、高充填アタック角度ボタンオンフラグf10を参照して、ユーザが高充填アタックボタンを押したか否かを判別する(s73)。ユーザが高充填アタックボタンを押したと制御装置が判断した場合は、制御装置からの指示により、高充填アタック角度θ2により、印刷を実行する(s74)。印刷後、コンベアベルトにより基板を払い出し(s76)、基板待ちの状態に復帰する(s71)。
【0095】
ステップ73(s73)において、ユーザが高充填アタックボタンを押していないと制御装置が判断した場合は、制御装置からの指示により、通常アタック角度θ1により、印刷を実行する(s75)。
【0096】
このように、手動モードにおいては、ユーザの嗜好に応じて、随時、高充填アタック角度θ2を用いることができる。
【0097】
[作用効果]
次に、本実施形態のスクリーン印刷方法の作用効果について説明する。本実施形態のスクリーン印刷方法は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のスクリーン印刷方法と同様の作用効果を有する。
【0098】
また、本実施形態のスクリーン印刷方法によると、マスクのパターン孔にはんだを高充填したい状況に応じて、通常モードから各種高充填モードに切り替えることができる。このため、基板に対するはんだの転写性が低下しにくい。すなわち、はんだを往復印刷や低速度印刷するなどして、はんだの転写性を確保する必要がない。したがって、サイクルタイムが遅延しにくく、基板の生産性が低下しにくい。
【0099】
また、本実施形態のスクリーン印刷方法によると、通常モードにおいては通常アタック角度θ1を、高充填モードにおいては高充填アタック角度θ2を、各々、略一定に保つことができる。
【0100】
<その他>
以上、本発明のスクリーン印刷機およびスクリーン印刷方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0101】
上記実施形態においては、圧力計244bの検出値を基に、アタック角度θを略一定に保った。しかしながら、スキージ揺動軸A1に配置したセンサでスキージ26の揺動トルクの変化を検出することにより、アタック角度θを略一定に保ってもよい。
【0102】
また、スキージ26あるいはエアシリンダ24に配置したロードセルでマスク32からスキージ26に加わる反力の変化を検出することにより、アタック角度θを略一定に保ってもよい。
【0103】
また、スキージ揺動軸A1とマスク32上面との間の距離の変化を基に、アタック角度θを略一定に保ってもよい。図15に、スキージ揺動軸とマスク上面との間の距離の変化を基にアタック角度を略一定に保つ場合のスキージの軌跡を示す。なお、図7と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0104】
図15に強調して示すように、基板Bは、下方に膨らむように撓んでいる。このため、マスク32も、下方に膨らむように撓んでいる。
【0105】
基板Bの水平区間E1においては、スキージ26がマスク32から受ける反力は変化しない。ここで、スキージ揺動軸A1と、マスク32とスキージ26との接点D1と、を結ぶ直線L1の長さは一定である。また、アタック角度をθに設定すると、直線L1とマスク32の上面の延在方向との間の挟角αは、一義的に決まる。このため、スキージ揺動軸A1からマスク32に垂直に降ろした直線L2の長さは、L2=L1×sinαとなる。この直線L2の長さが、常にL1×sinαになるように、スキージ26を上下動させる。なお、直線L2の長さを測定するためのセンサ(図略)は、スキージ26と共に揺動可能に、スキージ揺動軸A1に装着されている。センサは、直線L1に対して、角度γ(=90°−α)で交差する方向における、スキージ揺動軸A1からマスク32までの距離を検出する。
【0106】
基板Bの下降区間E2においては、直線L2の長さが、L1×sinαよりも長くなる。すなわち、L2>L1×sinαとなる。L2>L1×sinαとなると、制御装置(図略)からの指示により、Z軸方向スライダ25を下降させ、スキージ揺動軸A1に対して、スキージ26を前方に揺動させる。L2が再びL1×sinαと等しくなったら、Z軸方向スライダ25の下降を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0107】
基板Bの上昇区間E3においては、直線L2の長さが、L1×sinαよりも短くなる。すなわち、L2<L1×sinαとなる。L2<L1×sinαとなると、制御装置からの指示により、Z軸方向スライダ25を上昇させ、スキージ揺動軸A1に対して、スキージ26を後方に揺動させる。L2が再びL1×sinαと等しくなったら、Z軸方向スライダ25の上昇を停止する。このようにして、アタック角度θ(スキージ26と、接点D1におけるマスク32上面の接線方向と、の間の挟角)を略一定に保っている。
【0108】
このように、スキージ揺動軸A1とマスク32上面との間の距離の変化を基に、アタック角度θを略一定に保つと、スキージ26がマスク32から受ける反力、および当該反力に関する検出値を検出しないで、アタック角度θを略一定に保つことができる。
【0109】
また、上記実施形態においては、スキージ装置2に単一のスキージ26を配置したが、二つのスキージ26を前後方向に並べて配置してもよい。この場合、スキージ装置2が前方から後方に移動する際に一方のスキージ26を用いて印刷を行い、スキージ装置2が後方から前方に移動する際に他方のスキージ26を用いて印刷を行ってもよい。また、二つのスキージ26のスキージ揺動軸A1を共通化してもよい。また、エアシリンダ24を共用化してもよい。
【0110】
また、上記実施形態においては、エアシリンダ24によりスキージ26に揺動力を加えたが、他の流体シリンダ(油圧シリンダなど)によりスキージ26に揺動力を加えてもよい。
【0111】
また、上記第二実施形態のスクリーン印刷方法は、第一実施形態のスクリーン印刷機以外のスクリーン印刷機で実施することもできる。すなわち、印刷工程において、アタック角度を略一定に保つことができないタイプのスクリーン印刷機で実施することもできる。
【符号の説明】
【0112】
1:スクリーン印刷機、2:スキージ装置、3:マスク装置、4:クランプ装置、5:バックアップ装置、6:搬送装置、7:メインテーブル、8:軸方向ガイドレール。
20:モータ、21:モータブラケット、22:Y軸方向スライダ、24:エアシリンダ、25:Z軸方向スライダ、26:スキージ、27:入力板、28:ホルダ、29:ホルダ連結アーム、30:フレーム、31:メッシュ、32:マスク、40F:固定クランプ、40R:可動クランプ、50:バックアップテーブル、51:バックアップピン、52:ガイドロッド、60F:コンベアベルト、60R:コンベアベルト、91:メモリ。
220:ガイドリブ、240:シリンダ本体、241:ピストン、242:スライダ連結アーム、243:シリンダ揺動凸部、244:配管、244a:バルブ、244b:圧力計、250:被ガイド溝、251:挿通孔、252:シリンダ連結アーム、280:ホルダ本体、281:スキージ揺動凸部、910:生産レシピ、911:装置設定メモリ領域、912:内部メモリ領域。
A1:スキージ揺動軸、A2:シリンダ揺動軸、A3:入力軸、B:基板、E1:水平区間、E2:下降区間、E3:上昇区間、f1:クリーニング後高充填フラグ、f2:待機時間オーバー時高充填フラグ、f3:供給後高充填フラグ、f4:自動運転開始後高充填フラグ、f5:生産開始後高充填フラグ、f6:クリーニング後一枚目フラグ、f7:供給後一枚目フラグ、f8:自動運転開始後一枚目フラグ、f9:生産開始後一枚目フラグ、f10:高充填アタック角度ボタンオンフラグ、n1:クリーニングインターバル、n2:供給インターバル、t1:待機時間リミット。
θ:アタック角度、θ1:通常アタック角度、θ2:高充填アタック角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクと、該マスクの上面を摺動し、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスキージと、該スキージを揺動させる揺動機構と、該スキージを上下動させる上下動機構と、を備えてなるスクリーン印刷機であって、
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構および前記揺動機構を動かすことにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構を駆動し、該スキージを上下動させ、該スキージが該マスクから受ける反力を利用して、前記揺動機構を従動させることにより、前記アタック角度を略一定に保つ請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
さらに、前記スキージが前記マスクから受ける反力に関する検出値を検出する検出装置を備え、
前記アタック角度は、該検出値を基に略一定に保たれる請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクの上面をスキージが摺動することにより、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスクリーン印刷方法であって、
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、該スキージを揺動させることにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記アタック角度は、前記スキージが前記マスクから受ける反力を基に略一定に保たれる請求項4に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
通常モードにおいては、前記アタック角度を所定の通常角度に設定し、該通常モードと比較して前記はんだを前記パターン孔に高充填することが必要な高充填モードにおいては、該アタック角度を該通常角度よりも小さい高充填角度に設定する請求項4または請求項5に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項7】
前記高充填モードは、以下の(a)〜(f)から選ばれる少なくとも一つのモードである請求項6に記載のスクリーン印刷方法。
(a)前記マスクをクリーニング後、一枚目の前記基板に実行されるクリーニング後一枚目モード。
(b)先発の該基板を生産後、所定の待機時間を超過した次発の該基板に対して実行される待機時間オーバーモード。
(c)前記はんだを供給後、一枚目の該基板に実行されるはんだ供給モード。
(d)一旦停止した生産を再開後、一枚目の該基板に実行される自動運転一枚目モード。
(e)段取り替え後、一枚目の該基板に実行される生産開始一枚目モード。
(f)ユーザが手動により実行する手動モード。
【請求項1】
基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクと、該マスクの上面を摺動し、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスキージと、該スキージを揺動させる揺動機構と、該スキージを上下動させる上下動機構と、を備えてなるスクリーン印刷機であって、
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構および前記揺動機構を動かすことにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、前記上下動機構を駆動し、該スキージを上下動させ、該スキージが該マスクから受ける反力を利用して、前記揺動機構を従動させることにより、前記アタック角度を略一定に保つ請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
さらに、前記スキージが前記マスクから受ける反力に関する検出値を検出する検出装置を備え、
前記アタック角度は、該検出値を基に略一定に保たれる請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
基板の上面に配置されパターン孔を有するマスクの上面をスキージが摺動することにより、該パターン孔を介して、はんだを該基板に転写するスクリーン印刷方法であって、
前記マスクの上面を前記スキージが摺動する際、該スキージを揺動させることにより、該マスクの上面に対する該スキージのアタック角度を略一定に保つことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記アタック角度は、前記スキージが前記マスクから受ける反力を基に略一定に保たれる請求項4に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
通常モードにおいては、前記アタック角度を所定の通常角度に設定し、該通常モードと比較して前記はんだを前記パターン孔に高充填することが必要な高充填モードにおいては、該アタック角度を該通常角度よりも小さい高充填角度に設定する請求項4または請求項5に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項7】
前記高充填モードは、以下の(a)〜(f)から選ばれる少なくとも一つのモードである請求項6に記載のスクリーン印刷方法。
(a)前記マスクをクリーニング後、一枚目の前記基板に実行されるクリーニング後一枚目モード。
(b)先発の該基板を生産後、所定の待機時間を超過した次発の該基板に対して実行される待機時間オーバーモード。
(c)前記はんだを供給後、一枚目の該基板に実行されるはんだ供給モード。
(d)一旦停止した生産を再開後、一枚目の該基板に実行される自動運転一枚目モード。
(e)段取り替え後、一枚目の該基板に実行される生産開始一枚目モード。
(f)ユーザが手動により実行する手動モード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−284874(P2010−284874A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140104(P2009−140104)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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