説明

スクリーン印刷機

【課題】スクリーンの開口内に充填された印刷剤の開口からの抜け出し性に優れ、安価なスクリーン印刷機を提供する。
【解決手段】スキージ装置をスクリーン140に沿って移動させるスライド182にカバー部材250を昇降可能に搭載し、カバー部材昇降装置252により昇降させる。カバー部材250はスクリーン140の開口形成領液の全体を覆う大きさを備え、はんだ印刷後、回路基板70のスクリーン140からの離間前にスキージ装置に替わって開口形成領域上へ移動し、スクリーン140に密着させられる。それによりカバー部材250とスクリーン140との間に形成される閉鎖空間254内の圧力を大気圧より高め、開口144内のはんだを加圧し、加圧後、回路基板70を下降させてスクリーン140から離間させる。カバー部材250はスクリーン140のみを覆いコンパクトである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷機に関するものであり、特に、回路基板に付着させられた印刷剤のスクリーンの開口内からの抜出しに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機においては、基板支持装置により支持された回路基板の表面に密着したスクリーン上をスキージが移動しつつ、印刷剤をスクリーンに形成された複数の開口内へ押し込み、回路基板に付着させる。印刷後、回路基板がスクリーンから離間させられ、回路基板に付着させられた印刷剤が開口から抜け出させられ、所定の位置に印刷剤が印刷された回路基板が得られる。
【0003】
このように印刷剤の印刷後、回路基板をスクリーンから離間させるとき、印刷剤がスクリーンの開口から残りなく抜け出すことが必要であり、特許文献1には、スクリーン印刷機において、スクリーン全体をカバーにより覆うとともに、そのカバーにより覆われた空間内にスキージ装置を配設し、クリームはんだの印刷後、回路基板をスクリーンから離間させる前あるいは離間させるときに、加圧装置によりその空間内の圧力を一時的に高くし、それにより、微小な開口においてもクリームはんだを良好な形状に印刷できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、スクリーン全体に加圧容器を被せ、開口内に充填されたクリームはんだを加圧するスクリーン印刷機が記載されている。加圧容器はスクリーンに接触する下面を備え、この下面のスクリーンの複数の開口の各々に対応する部分に孔が設けられ、開口に充填されたクリームはんだのみを加圧するようにされている。したがって、このスクリーン印刷機においては、回路基板をスクリーンから離間させる際に加圧容器内の圧力を高め、開口内に充填されたクリームはんだを押し出すのであるが、その際、スクリーンは加圧されない。そのため、回路基板がスクリーンから離間させられるのに伴って、スクリーンは回路基板により下方から支持されなくなるが、スクリーン全体が加圧される場合のように回路基板側へ凸状に変形し、クリームはんだの開口からの抜出しを妨げることが回避される。
【特許文献1】特開平7−9658号公報
【特許文献2】特開2001−1493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーン印刷機においてカバーはスクリーンのみならず、スキージ装置をも気密に覆うため、装置が大がかりになり、高価となる上、カバー内の容積が大きく、印刷後、カバー内の圧力を上昇させるのに時間を要する。
また、特許文献2に記載のスクリーン印刷機においては、クリームはんだの印刷位置や数を異にする回路基板の各々について専用の加圧容器が必要であり、装置コストが高くなる。また、回路基板の種類が変われば、カバーを交換する段取替え作業が必要であり、面倒である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、スクリーンの開口内に充填された印刷剤を加圧し、開口からの抜け出し性を向上させることができるとともに、安価なスクリーン印刷機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクリーン印刷機は、上記の課題を解決するために、(a)回路基板を裏面側から支持する基板支持装置と、(b)その基板支持装置に支持された回路基板と接触離間可能に設けられたスクリーンと、(c)前記基板支持装置に支持された回路基板の表面に密着した前記スクリーン上を移動しつつ、印刷剤をスクリーンに形成された複数の開口内へ押し込み、回路基板に付着させるスキージ装置と、(d)前記スクリーンの前記複数の開口が形成された領域である開口形成領域の少なくとも一部を覆い、その少なくとも一部の外周において前記スクリーンに密着し、そのスクリーンとの間に閉鎖空間を形成するカバー部材と、(e)前記スキージ装置を前記開口形成領域の前記少なくとも一部上から退避させる一方、前記カバー部材にその少なくとも一部を覆わせる移動装置と、(f)前記スクリーンの前記回路基板からの離間前に、前記閉鎖空間内の圧力を大気圧より高める加圧装置とを含むことを特徴とする。
カバー部材は、閉鎖空間内の圧力増大により変形しない剛性を有するものとされる。
また、カバー部材は、開口形成領域の一部を覆うものとしてもよく、全部を覆うものとしてもよい。一部を覆うものとする場合、開口形成領域の予め設定された1箇所のみを覆うようにしてもよく、カバー部材とスクリーンおよび回路基板とを、相対移動装置により、スクリーンの面に平行な方向に相対移動させ、異なる箇所を順次覆って印刷剤を加圧するようにしてもよい。この場合、「異なる個所」は、互いに連続しているが加圧される時期が互いに異なる個所でもよく、スクリーンの表面に平行な方向に互いに離れた複数個所でもよい。後者は、例えば、スクリーンの、横断面積が小さい開口が形成された部分、開口の横断面積の内側面面積(内側面の面積の和)に対する比が小さい開口が形成された部分、開口形成密度(単位面積あたりの開口形成数)が高い部分等、印刷剤が開口から特に抜け出し難い部分である。
なお、「前記スキージ装置を前記開口形成領域の前記少なくとも一部上から退避させる一方、前記カバー部材にその少なくとも一部を覆わせる移動装置」とは、カバー部材に覆わせるべき部分の上方からはスキージを退避させることが必要であるという意味であって、スキージ装置を開口形成領域の全体から退避させることが不要であるという意味ではない。印刷終了時点においては、スキージ装置が開口形成領域全体の上から退避させられることは当然である。
回路基板には、例えば、未だ全く電子回路部品が装着されていないプリント配線板、プリント配線の一部に電子回路部品が装着されたプリント配線板、両面の一方に電子回路部品が装着されるとともに、既にはんだ付け接合が行われているプリント回路板、少数の電子回路部品が装着される小形の回路板等がある。
また、印刷剤には、例えば、クリームはんだ,接着剤,自身ははんだ成分を含まず、はんだ付けを容易にするために回路基板に塗布されるペースト状の高粘性流体やインキ等がある。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成されたスクリーン印刷機においては、カバー部材がスクリーンに密着させられた状態においてスクリーンとの間の閉鎖空間の圧力が加圧装置により大気圧より高められることにより、加圧後、スクリーンの回路基板からの離間時に、印刷剤が開口から抜け出し易く、抜け出し性が向上する。この理由は未だ完全には解明されていないが、加圧によってスクリーンの開口内の印刷剤の回路基板に対する付着性が高められるとともに、印刷剤がちゅう密になるためであると推測される。
カバー部材は、スキージ装置による印刷剤の開口への充填後、スキージ装置に替わってスクリーンの加圧すべき領域上へ移動させられてその領域を覆い、スクリーンとの間に閉鎖空間を形成する。カバー部材はスキージ装置を覆わないのであり、閉鎖空間はスキージ装置を覆う場合に比較して容積が小さく、加圧装置により迅速に圧力が増大させられ、複数の開口内の印刷剤が精度良く所定の圧力で加圧され、各開口内の印刷剤の抜け出し性が向上させられる。カバー部材はスキージ装置を覆わず、大掛かりでなく、安価に構成される。また、圧力が迅速に増大させられるため、印刷剤の印刷後、スクリーンの回路基板からの離間前に印刷剤の加圧を行うスクリーン印刷のサイクルタイムの短縮を図ることができる。
加圧は、スクリーンの回路基板からの離間前に行われ、カバーが回路基板により支持された状態で為されるため、圧力によってスクリーンが変形させられることがなく、スクリーンの耐久性低下が回避される。また、変形によってスクリーンがカバーから離れることはなく、加圧が良好に為される。スクリーンに圧力が作用しても支障がないのであり、前記特許文献2に記載の技術のように、スクリーンの開口以外の部分に圧力が作用しないようにしなくてよく、開口の形状,寸法,数,形成位置等を異にする複数種類のスクリーンにカバー部材を共用することができ、装置コストが少なくて済み、また、段取替えが不要である。
【発明の態様】
【0008】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0009】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、それぞれ相当する。
【0010】
(1)回路基板を裏面側から支持する基板支持装置と、
その基板支持装置に支持された回路基板と接触離間可能に設けられたスクリーンと、
前記基板支持装置に支持された回路基板の表面に密着した前記スクリーン上を移動しつつ、印刷剤をスクリーンに形成された複数の開口内へ押し込み、回路基板に付着させるスキージ装置と、
前記スクリーンの前記複数の開口が形成された領域である開口形成領域の少なくとも一部を覆い、その少なくとも一部の外周において前記スクリーンに密着し、そのスクリーンとの間に閉鎖空間を形成するカバー部材と、
前記スキージ装置を前記開口形成領域の前記少なくとも一部上から退避させる一方、前記カバー部材にその少なくとも一部を覆わせる移動装置と、
前記スクリーンの前記回路基板からの離間前に、前記閉鎖空間内の圧力を大気圧より高める加圧装置と
を含むスクリーン印刷機。
(2)前記カバー部材が前記開口形成領域全体を覆う(1)項に記載のスクリーン印刷機。
スクリーンに形成された複数の開口の全部について、その内部に押し込まれた印刷剤を同時に加圧することができる。
(3)前記カバー部材が、前記閉鎖空間を前記スクリーンに直角な方向から視た場合に複数の分割空間に仕切る仕切壁を備えたものであり、前記加圧装置が、前記複数の分割空間の一部のものの内部圧力を他のものと異ならせ得る分割空間圧力制御部を備えた(1)項または(2)項に記載のスクリーン印刷機。
複数の分割空間の各横断面積,横断面形状は同じにしてもよく、異ならせてもよい。内部圧力は複数の分割空間の全部について異ならせてもよく、一部の分割空間については同じにし、それら以外の分割空間とは異ならせてもよい。
本項のスクリーン印刷機によれば、例えば、開口の形成状態に応じたきめ細かい加圧を行うことができる。例えば、横断面積の小さい開口や、横断面積の内側面面積に対する比が小さい開口が形成される等、開口形成領域の印刷剤が開口から抜け出し難い部分を覆う分割空間について、印刷剤が開口から抜け出し易い部分を覆う空間より内部圧力を高くし、印刷剤が抜け出し易くすることができる。
(4)前記加圧装置が、前記閉鎖空間を大気圧より0.3〜10KPa高い圧力に加圧する(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
閉鎖空間を大気圧より0.5〜1.5KPa高い圧力に加圧することが特に望ましい場合が多い。
圧力の大きさは、印刷剤の組成,粘度等の印刷剤側条件と、横断面積の小さい開口や横断面積の内側面面積に対する比が小さい開口が形成されている等のスクリーン側条件との少なくとも一方に応じて、上記の範囲で適宜設定される。閉鎖空間内の圧力が低過ぎれば、印刷剤の加圧が不十分となり、高過ぎれば、回路基板側の開口端から印刷剤がにじみ出てスクリーンや回路基板を汚したり、ブリッジ発生の原因となる。本項のスクリーン印刷機によれば、にじみ出し等を生ずることを良好に回避しつつ印刷剤を十分に加圧することができる。
(5)前記加圧装置が、少なくとも前記閉鎖空間の圧力を含む加圧条件をプログラムにより設定可能な加圧条件設定部を備えた(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
加圧条件には、閉鎖空間の圧力,加圧時間,圧力増加勾配,加圧位置の少なくとも1つが含まれる。
加圧条件のプログラムによる設定には、例えば、入力プログラムに従った加圧条件の入力、変更プログラムに従った加圧条件の変更、スクリーンの種類あるいは回路基板の種類および印刷剤の指定に対する加圧条件の読み出しが含まれる。
入力プログラムに従って加圧条件が入力される場合、加圧条件がスクリーンの種類,回路基板の種類および印刷剤の種類と対応付けて加圧条件記憶手段に記憶され、データベースが作成されるようにすれば、スクリーンの種類と回路基板の種類との少なくとも一方および印刷剤の種類の指定に基づいて読出しプログラムにより加圧条件が読み出され、加圧プログラムによって実行されるようにすることができる。加圧プログラム中に読出しプログラムが含まれていてもよい。印刷剤は、例えば、成分,粘度等により種類が区別される。
入力プログラムにより入力され、設定された加圧条件は、加圧プログラムにより自動的に実行される。したがって、加圧条件が変更プログラムにより変更されれば、自動的にその変更された加圧条件で印刷が行われることとなり、例えば、作業者が圧力制御装置やタイマを操作し、加圧条件を手動で変更する場合に比較して加圧条件の変更が容易である。
加圧プログラムは、回路基板のスクリーン印刷機への搬入,回路基板の支持,回路基板とスクリーンとの位置合わせ,回路基板のスクリーンへの密着,印刷剤の印刷から加圧,スクリーンの回路基板からの離間,回路基板の搬出等、一連の印刷作業を行うための主プログラムを構成する複数のプログラムのうちの1つとしてもよく、印刷プログラムと合わせて作成されてもよい。
(6)前記加圧装置が、前記閉鎖空間の圧力を設定値まで増大させた後、その設定値に設定時間保つものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
設定時間は、印刷剤の特性等によって異ならせてもよく、一定としてもよい。
設定時間は0でもよいが、圧力を設定時間、設定値に保つようにすれば、印刷剤がより確実に回路基板に付着した状態が得られることが多い。
(7)前記閉鎖空間の厚さが20mm以下である(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
閉鎖空間内の圧力を均一にできる限りにおいて閉鎖空間の容積は小さいことが望ましく、その観点からすれば閉鎖空間の厚さは10mm以下、5mm以下、2mm以下とすることがさらに望ましい。
(8)前記カバー部材が前記スキージ装置と共に可動部材に保持され、前記移動装置が、その可動部材を移動させることによりカバー部材とスキージ装置とを一緒に移動させる可動部材移動部を含む(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
スキージ装置をスクリーンに平行な方向に移動させるスキージ装置移動装置が、カード部材をスクリーンに平行な方向に移動させるカバー部材移動装置を兼ねており、スクリーン印刷機を簡易にかつ安価に構成することができる。
【実施例】
【0011】
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に、請求可能発明の一実施例としてのスクリーン印刷機が図示されている。図1において符号10は、基板搬送装置である。基板搬送装置10は、本実施例では、昇降装置12により昇降させられる。昇降装置12は、昇降部材としての昇降台14および昇降台駆動装置16を含む。昇降台駆動装置16は、昇降用モータ20(図6参照)を駆動源とし、昇降台14に上下方向に平行な姿勢で固定された送りねじの一種であるボールねじ22と、ベース24に上下方向に平行な回転軸線まわりに回転可能かつ軸方向に相対移動不能に設けられ、ボールねじ22が螺合されたナット26とを含み、ナット26が昇降用モータ20によって回転させられることにより、ボールねじ22が軸方向に移動させられ、昇降台14が複数の案内部材としてのガイドロッド28を含む案内装置30により案内されて上下方向において任意の位置へ移動させられる。昇降用モータ20は、本実施例では、エンコーダ付サーボモータにより構成されている。サーボモータはアクチュエータの一種であり、電動モータの一種である電動回転モータであって、回転角度の精度の良い制御が可能なモータである。サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。
【0013】
昇降台14には、支持部材42が昇降可能に設けられ、基板搬送装置10を支持している。支持部材42は枠状を成し、複数、本実施例では、4本の案内部材としてのガイドロッド46において昇降台14に昇降可能に嵌合されており、ガイドロッド46が昇降台14のガイドロッド46の嵌合部に設けられた保持装置50によって保持されることにより、支持部材42および基板搬送装置10が昇降台14に固定され、一体的に昇降させられる。
【0014】
上記支持部材42にサイドフレーム54,56が設けられている。一方のサイドフレーム54は支持部材42に固定され、他方のサイドフレーム56は支持部材42に設けられた移動装置58により、サイドフレーム54に接近,離間する向きに移動させられる。以後、サイドフレーム54を固定サイドフレーム54、サイドフレーム56を可動サイドフレーム56と称する。移動装置58は、支持部材42に、固定サイドフレーム54に接近,離間する方向に移動可能に設けられ、サイドフレーム56を支持する移動部材60と、移動部材を移動させる移動部材移動装置62(図6参照)とを含む。移動部材移動装置62は、例えば、エンコーダ付サーボモータを駆動源として構成され、可動サイドフレーム56を固定サイドフレーム54に対して任意の位置へ移動させる。
【0015】
基板搬送装置10は、本実施例ではベルトコンベヤにより回路基板70を搬送するものとされている。基板搬送装置10の一対のコンベヤベルト72,74はそれぞれ、上記固定サイドフレーム54および可動サイドフレーム56の各内側面にそれぞれ設けられた複数ずつのプーリ76(図1には1個ずつ図示されている)に巻き掛けられ、これらプーリ76およびプーリ回転装置78(図6参照)を含むベルト周回装置により同期して周回させられて、コンベヤベルト72,74上に載置された回路基板70を水平方向に搬送する。基板搬送方向をX軸方向とする。回路基板70は、本実施例では、その長手方向に平行な方向に搬送される。回路基板70の基板搬送方向に直角な方向を基板幅方向とする。可動サイドフレーム56の移動方向は基板幅方向に平行であって、水平面内において基板搬送方向と直交する方向であり、Y軸方向とする。
【0016】
回路基板70の移動は、一対の案内部材としてのガイドレール80,82により案内される。ガイドレール80は固定サイドフレーム54に固定され、基板搬送方向に長く、鉛直な案内面84を有する。ガイドレール82は、基板搬送方向に長く、鉛直な案内面86を有し、前記移動部材60に、ガイドレール80に接近,離間する方向に移動可能に設けられている。ガイドレール82は、案内部材駆動装置(図示省略)により、可動サイドフレーム56に対して基板幅方向に平行な方向に移動させられ、ガイドレール80と共に回路基板70の移動を案内する案内位置と、案内位置よりガイドレール80側の位置であって、ガイドレール80との間に回路基板70を挟んで側方から把持する把持位置とに移動させられる。ガイドレール80,82は把持部材でもあるのであり、案内部材駆動装置と共に基板保持装置としての基板把持装置を構成している。ガイドレール82は、移動部材60の移動により可動サイドレール56と共に基板幅方向に移動させられ、基板搬送幅,基板案内幅および基板把持幅が回路基板70の幅に応じて変更される。
【0017】
前記昇降台14にはまた、基板支持装置90が着脱可能に取り付けられている。基板支持装置90は、本実施例では、特許第2777157号公報に記載の基板支持装置とほぼ同様に構成されており、簡単に説明する。基板支持装置90は、固定支持具92および可動支持具94を含む。固定支持具92は、基板幅方向に延びる複数の支持部96を有する。これら支持部96はそれぞれ、基板搬送方向に平行な方向に等間隔に配置され、その水平な一平面状の上面は同一水平面内に位置させられている。この上面には、支持ピン98が着脱可能に取り付けられる。支持ピン98は、本実施例では、負圧により回路基板70を吸着して保持する保持ピンとされており、その内部に設けられた負圧通路が、支持部96の上面に開口させられた負圧供給穴を覆い、連通する状態で支持部96に取り付けられ、負圧源から支持部96内の通路を経て供給される負圧により回路基板70を吸着するとともに、支持面において裏面100(図5参照)側から支持する。基板支持装置90は、本実施例においては、基板保持機能を有する。支持ピン98は、例えば、永久磁石,ボルト等、適宜の固定手段により支持部96に取り付けられ、回路基板70の裏面100に既に電子回路部品が装着されている場合、支持ピン98の支持面が裏面100の電子回路部品が装着されていない部分に当接し、回路基板70を裏面100側から支持するように取り付けられる。回路基板70の裏面100に電子回路部品が装着されていない場合には、支持ピン98は、裏面100の適宜の位置を支持するように支持部96に取り付けられる。支持部96の負圧供給穴に支持ピン98が取り付けられない場合には蓋体により閉塞され、負圧の漏れが防止される。固定支持具92は、それに設けられた複数の係合部材102がそれぞれ、昇降台14に設けられた複数の係合部材104に係合させられることにより昇降台14に着脱可能に取り付けられる。これら係合部材102,104を含む係合装置106は、例えば、特開平8−56096号公報に記載の係合装置と同様に構成されており、詳細な説明は省略する。
【0018】
可動支持具94は、固定支持具92と同様に複数の支持部(図示省略)を備え、それら支持部の各々に支持ピンが取り付けられて回路基板70を負圧により吸着して保持する。可動支持具94は、昇降台14に設けられた可動支持具移動装置110により固定支持具92に接近,離間する方向に移動させられる。可動支持具移動装置110は、昇降台14に基板幅方向に平行な方向に移動可能に取り付けられた移動部材112および移動部材112を移動させる移動部材移動装置114(図6参照)を含み、可動支持具94は移動部材112に係合装置116によって着脱可能に取り付けられている。係合装置116は、上記係合装置106と同様に、可動支持具94と移動部材112とにそれぞれ設けられた複数ずつの係合部材118,120を含む。可動支持具94の複数の支持部は、固定支持具92の複数の支持部96と噛み合わされて、それら支持部96と共同して回路基板70の大きさに対応する大きさの支持部を構成する。移動部材112が案内装置124により案内されつつ移動部材移動装置114によって移動させられることにより、可動支持具94が移動させられ、基板支持装置90に回路基板70の幅に応じた支持幅が得られる。
【0019】
前記基板搬送装置10および基板支持装置90の上方にスクリーン140が配設されている。スクリーン140は、本実施例では、図1および図2に示すように、矩形のスクリーン枠142の下面に固定されており、図2および図3に示すように、複数の開口144が厚さ方向に貫通して設けられている。開口144は、図2に例示して示すように、回路基板70の表面146(図5参照)に形成された電極端子等、はんだが印刷される被印刷部に対応する位置に形成され、被印刷部の形状,寸法に応じた形状,寸法を備えている。開口144の横断面形状は、例えば、長方形,正方形,円形とされ、寸法,形成ピッチ(X軸方向あるいはY軸方向に隣接する2つの開口144の中心間の距離),隣接する開口144間の距離(X軸方向あるいはY軸方向に隣接する2つの開口144の互いに最も近い部分間の距離)等も回路基板70の被印刷部の寸法等に応じた大きさとされている。スクリーン140の複数の開口144全部が形成された領域が開口形成領域148である。スクリーン140にはまた、図示は省略するが、その下面(回路基板70の表面146に密着させられる側の面)に複数の基準マークが設けられている。
【0020】
前記ベース24に設けられたフレーム150には、図1に示すように、スクリーン支持装置152が設けられ、スクリーン140を支持している。スクリーン支持装置152は、フレーム150に設けられたスクリーン支持部材としてのスクリーン受け台154,スクリーン位置決め装置156およびスクリーン固定装置158を含む。スクリーン受け台154は水平に設けられ、上下方向に貫通する開口162を備え、その開口周縁部にスクリーン枠142が載置される。スクリーン位置決め装置156は、スクリーン140をX軸方向およびY軸方向において位置決めし、スクリーン固定装置158はスクリーン140をスクリーン受け台154に固定する。スクリーン位置決め装置156およびスクリーン固定装置158は、例えば、特開2001−301120号公報により知られており、説明を省略する。
【0021】
図1に示すように、上記フレーム150にスキージ装置180が設けられている。スキージ装置180は、フレーム150に基板幅方向に平行な方向に移動可能に設けられた可動部材としてのスライド182に搭載されている。スライド182は、スライド移動用モータ184(図6参照),ボールねじ186およびナット(図示省略)を含むスライド移動装置188により案内装置190に案内されつつ移動させられ、スキージ装置180がスクリーン140に沿って移動させられる。案内装置190は、一対の案内部材としてのガイドレール192およびそれらガイドレール192にそれぞれ移動可能に嵌合された案内部材としての2個ずつのガイドスライダ194を含む。
【0022】
スキージ装置180は、本実施例では、密閉形のスキージヘッド196を備えている。密閉形のスキージヘッド196は、長手形状の1対のスキージ198に沿った長手形状の吐出口以外が密閉された収容器200を備え、印刷剤としてのクリームはんだ(以後、はんだと略称する)を収容器200内に収容して保持し、押圧装置202により加圧して吐出口からスクリーン140の複数の開口144に押し込み、回路基板70に付着させる。スキージ装置180は、スキージ押付装置204により昇降させられ、スキージ198がスクリーン140に押し付けられる。スキージ押付装置204は、スキージ装置昇降装置206および接触荷重制御装置208を含み、スライド182に設けられたコラム209に搭載されている。スキージ装置昇降装置206は、昇降部材210および昇降部材駆動装置212を含む。昇降部材駆動装置212はエアシリンダ214を駆動源とし、昇降部材210を予め設定された下降位置へ下降させる。
【0023】
スキージヘッド196および押圧装置202は、昇降部材210により接触荷重制御装置208を介して保持されている。接触荷重制御装置208は、エアシリンダ220および圧縮コイルスプリング222を含み、スプリング222の付勢力およびスキージヘッド196等の自重によるそれらの押し下げと、エアシリンダ220への圧縮エアの供給によるスキージヘッド196等の押し上げとによってスキージ198のスクリーン140への接触荷重が調整されるように構成されている。エアシリンダ220は、駆動源の一種である流体圧アクチュエータとしての流体圧シリンダであり、圧縮コイルスプリング222は、付勢手段の一種である弾性部材としてのばね部材である。なお、スキージ装置180は、詳細な図示および説明は省略するが、揺動装置によって水平軸線のまわりに自在に揺動可能に保持され、スキージ198がスクリーン140に沿って接触するようにされている。
【0024】
前記収容器200は、下方に開口し、スライド182の移動によるスキージ装置180の移動方向と直角な水平方向に長いはんだ収容室230を備え、そのスクリーン140と対向する開口端部に1対のスキージ198がはんだ収容室230の長手方向に平行な姿勢で取り付けられ、吐出口を形成している。スキージ198は、本実施例では、薄い金属製の板状を成す。はんだ収容室230は、本実施例では、スクリーン140に直角な平面に対して傾斜させられ、その上部は押圧室とされている。押圧室には、板状の押圧部材232が押圧室の傾斜に沿って昇降可能に嵌合されており、押圧部材232がエアシリンダ234によって下降させられることにより、押圧室内のはんだが加圧され、吐出口から押し出される。
【0025】
上記スライド182には、図1に示すように、カバー部材250およびカバー部材昇降装置252が搭載されており、スライド182が移動させられることによりスキージ装置180と一緒にスクリーン140に沿って移動させられる。カバー部材250は、本実施例においては、図4および図5に示すように、横断面形状が長方形状の容器状を成し、スクリーン140の前記開口形成領域148全体を覆うことができる大きさを有し、金属により作られている。カバー部材250は、図5に示すように、その開口側においてスクリーン140に密着させられることにより、スクリーン140との間に閉鎖空間254を形成するが、本実施例では、厚さ1mmの閉鎖空間254を形成するものとされている。カバー部材250は、カバー部材保持部材258に複数のねじ等、適宜の固定手段260により着脱可能に保持されており、例えば、開口形成領域148の大きさに応じて交換される。
【0026】
カバー部材昇降装置252は、本実施例においてはエアシリンダ264を含む。エアシリンダ264はスライド182に下向きに設けられ、ピストンロッド266に取り付けられた取付部材268の下端部にカバー部材保持部材258が保持されてカバー部材250が取り付けられており、ピストンロッド266の伸縮により、取付部材268が案内装置270に案内されつつ昇降させられ、カバー部材250が昇降させられる。案内装置270は、スライド182に上下方向に設けられた案内部材としてのガイドレール272と、取付部材268に設けられ、ガイドレール272に移動可能に嵌合されたガイドスライダ274とを含む。本実施例においては、前記スライド182,スライド移動装置188,スキージ押付装置204およびカバー部材昇降装置252が移動装置276を構成し、スライド移動装置188が可動部材移動部を構成している。
【0027】
取付部材268の下端部には、取付部材268から水平に延び出させられた板状の取付部278が設けられ、カバー部材保持部材258が上下方向に相対移動可能に取り付けられている。カバー部材保持部材258には複数、本実施例では4本のピン280が、X軸方向およびY軸方向に互いに離れて立設されて支持突部を構成し、取付部278に上下方向に相対移動可能に嵌合されるとともに、カバー部材保持部材258は、ピン280に嵌装され、取付部278との間に配設された圧縮コイルスプリング282により、取付部278から離間する向きに付勢されている。このスプリング282の付勢によるカバー部材保持部材258の移動限度は、ピン280の頭部284が取付部278に当接することにより規定される。本実施例では、エアシリンダ264は1つ設けられ、カバー部材250の中央部において、カバー部材250を下向きに押すようにされている。
【0028】
カバー部材保持部材258にはまた、図5に示すように、継手部材290が設けられ、圧縮エア供給装置292に接続されるとともに、圧縮エア供給装置292から供給される圧縮エアを前記閉鎖空間254に供給するようにされている。圧縮エア供給装置292は、例えば、コンプレッサにより構成される。圧縮エアの圧力は、継手部材290と圧縮エア供給装置292との間に設けられた電磁圧力制御弁294により制御される。電磁圧力制御弁294は、供給電流の制御により閉鎖空間254内の圧力を極く低圧から連続的に制御することができる。電磁圧力制御弁294と継手部材290との間には圧力センサ296が設けられ、閉鎖空間254内の圧力を検出するようにされており、その検出結果に基づいて電磁圧力制御弁294への供給電流が制御され、閉鎖空間254内の圧力が設定圧力に制御される。
【0029】
本スクリーン印刷機は、制御装置330により制御される。制御装置330は、図6に示すように、CPU332,ROM334,RAM336およびそれらを接続するバスを有する装着制御コンピュータ340を主体とするものである。バスには入出力インタフェース342が接続されており、圧力センサ296,入力装置344,ハードディスク346等が接続されている。入力装置344は、例えば、マウス等のポインティングデバイスおよびキーボードを含む。
【0030】
入出力インタフェース342にはまた、駆動回路350を介して昇降用モータ20等、駆動源を構成する各種アクチュエータ等が接続され、制御回路352を介して表示画面354を制御するようにされている。表示画面354および制御装置330の表示画面354を制御する部分が表示装置を構成している。ROM334およびRAM336には、印刷プログラム,加圧プログラム,データ入力プログラム,データ変更プログラム,加圧条件読出しプログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶され、ハードディスク346に加圧条件データ等が記憶させられている。
【0031】
次に作動を説明する。
回路基板70へのはんだの印刷時には、回路基板70がスクリーン印刷機に搬入される。基板搬送時には、基板搬送装置10は下降端位置ないし基板搬送高さ位置に位置させられるとともに、基板支持装置90は下降端位置ないし基板搬送許容高さ位置に位置させられている。基板搬送高さ位置は、回路基板70とスクリーン140との間に、それらに設けられた基準マークを撮像する撮像装置が進入することを許容する隙間が確保される位置である。基板搬送許容高さ位置は基板搬送高さ位置より低く、基板搬送装置10により搬送される回路基板70の裏面100に既に電子回路部品が装着されている場合に、支持ピン98がその電子回路部品と干渉することがない高さである。
【0032】
回路基板70は、スクリーン140の真下の位置である印刷位置において停止させられる。例えば、搬送速度の制御により、印刷位置近傍において基板搬送速度が減速されるとともに停止位置制御が為され、スクリーン140が精度良く印刷位置に停止させられる。停止後、昇降台14が上昇させられて基板支持装置90が上昇させられる。この際、保持装置50によるガイドロッド46の保持が解除されており、基板搬送装置10は上昇せず、基板支持装置90のみが上昇させられる。それにより、支持ピン98が回路基板70に当接してコンベヤベルト72,74から持ち上げ、表面146がガイドレール80,82の上面と同一水平面内に位置する位置へ上昇させられて停止させられる。この状態で支持ピン98が負圧により回路基板70を吸着して下方から支持する。また、ガイドレール82がガイドレール80側へ移動させられ、ガイドレール80との間に回路基板70を挟んで保持する。さらに、保持装置50がガイドロッド46を保持する。
【0033】
回路基板70がクランプされた状態で回路基板70とスクリーン140との間へ撮像装置(図示省略)が進入させられ、回路基板70に設けられた基準マークと、スクリーン140に設けられた基準マークとをそれぞれ撮像し、撮像データに基づいて両者の位置ずれが求められる。この位置ずれは、スクリーン位置決め装置156によるスクリーン140の位置決め位置の調節により修正される。
【0034】
撮像装置が退避させられた後、昇降台14が上昇させられ、基板搬送装置10および基板支持装置90が上昇させられる。この際、保持装置50がガイドロッド46を保持しており、基板搬送装置10および基板支持装置90が一体的に上昇させられ、回路基板70が基板支持装置90により支持された状態でスクリーン140に密着させられる。基準マークの撮像に基づくスクリーン140の回路基板70に対する位置ずれ量の検出および修正により、回路基板70の被印刷部と、スクリーン140の開口144との位置が精度良く合わされる。
【0035】
回路基板70の表面146がスクリーン140に密着させられた後、スライド182が移動させられ、スキージ装置180が印刷開始位置へ移動させられる。そして、スキージ装置180がスキージ装置昇降装置206により下降させられるとともに、接触荷重制御装置208の制御により、スキージ198が予め設定された接触荷重でスクリーン140に密着させられる。この状態で押圧装置202によりはんだ収容室230内のはんだが加圧されつつ、スキージ装置180が、回路基板70の表面146に密着したスクリーン140上を移動させられ、この移動の間にはんだ収容室230からはんだが押し出されて開口144内に充填される。この間、カバー部材250は上昇させられて上昇位置,退避位置ないし離間位置へ移動させられ、スクリーン140から離間させられている。
【0036】
印刷終了後、回路基板70を下降させ、スクリーン140を回路基板70から離間させる前に、カバー部材250が開口形成領域148全体を覆い、閉鎖空間254が形成されてその内部圧力が高められ、開口144に充填されたはんだが加圧される。そのため、印刷終了後、スキージ装置180が上昇位置へ上昇させられ、スキージ198がスクリーン140から離間させられるとともに、スライド182が移動させられてスキージ装置180が開口形成領域148から退避させられた後、スクリーン140の回路基板70からの離間前に、カバー部材250が開口形成領域148の上方であって、開口形成領域148全体を覆い、加圧を行う加圧位置へ移動させられる。移動後、取付部材268がエアシリンダ264により下降させられ、カバー部材250がスクリーン140に向かって下降させられる。取付部材268は、エアシリンダ264のピストンが予め設定された移動端に至るまで下降させられるのであるが、その途中でカバー部材250がスクリーン140に接触し、その後の取付部材268の下降は、スプリング282の圧縮により許容され、スプリング282の付勢によりカバー部材250がスクリーン140に押し付けられ、4つのスプリング282の付勢により得られる適切な押付力により、カバー部材250のスクリーン140側の部分全体がスクリーン140に密着させられる。カバー部材250は、開口形成領域148全体の外周においてスクリーン140に密着し、開口形成領域148の全部を覆う。
【0037】
それによりカバー部材250とスクリーン140との間に閉鎖空間254が形成されるとともに、圧縮エア供給装置292から圧縮エアが供給され、閉鎖空間254内の圧力が設定値まで増大させられる。設定値は、大気圧より高く、ここでは大気圧より1KPa高い圧力に設定されていることとする。閉鎖空間254内の圧力は圧力センサ296により検出され、その検出結果に基づいて設定圧力が得られるように電磁圧力制御弁294への供給電流が制御される。また、ここでは圧力の増大勾配が大きく設定され、閉鎖空間254内の圧力が迅速に設定圧力に到達するように電流制御が行われる。本実施例では、カバー部材250が、厚さ1mmの閉鎖空間254を形成するものとされており、閉鎖空間254の容積が小さく、圧力増大勾配が同じであるとすれば、閉鎖空間の容積が大きい場合に比較して迅速に圧力が設定値まで高められる。閉鎖空間254内の圧力が設定値まで高められた後、その値に設定時間、例えば、数秒間、保たれる。
【0038】
設定時間の経過後、閉鎖空間254が電磁圧力制御弁294により大気に開放されるとともにカバー部材250が上昇させられ、スクリーン140から離間させられる。このように開口形成領域148がカバー部材250により覆われ、それにより形成される閉鎖空間254内の圧力が大気圧より高められることによって開口144内のはんだが加圧される。それにより、加圧後、スクリーン140の回路基板70からの離間時に、はんだが開口144から抜け出し易く、抜け出し性が向上する。この理由は、加圧によって開口144内のはんだの回路基板70に対する付着性が高められるとともに、はんだがちゅう密になるためであると推測される。閉鎖空間254内の圧力が高められるとき、回路基板70はまだスクリーン140に密着させられたままであり、スクリーン140は回路基板70により下方から支持されており、圧力によりスクリーン140が変形させられることがない。
【0039】
閉鎖空間254内部の圧力制御は、予め設定された加圧条件に従って行われる。加圧条件は、本実施例では、閉鎖空間254の圧力,加圧時間および圧力増大勾配である。加圧条件は、スクリーン140の種類およびはんだの種類に対応して予め設定され、ハードディスク346に記憶されており、作業者が入力装置344によりスクリーン140の種類およびはんだの種類を入力すれば、それに応じて加圧条件が読み出されて設定され、加圧プログラムがその設定された加圧条件に従って加圧を実行する。
【0040】
スクリーン140には、材質、厚さ、開口の形状,寸法および位置を異にする複数の種類があり、はんだには、例えば、粘度,含有するはんだの粒径,フラックス含有量等を異にする複数の種類があり、スクリーン140の種類およびはんだの種類と、それらスクリーン140の種類およびはんだの種類の組合わせに適した加圧条件とを対応付けて加圧条件データベースが作成され、ハードディスク346に記憶されている。適切な加圧条件は、開口144の開口端からはんだがにじみ出して回路基板70の表面146やスクリーン140を汚したり、はんだ粒子の飛散等を生じさせることなく、開口内のはんだの抜け性をできる限り向上させ得る加圧条件である。加圧条件は前述の通り、圧力,加圧時間,圧力増大勾配を含むが、加圧時間と圧力増大勾配とは互いに関連している。圧力増大勾配が大きいほど、閉鎖空間254内の圧力が設定値まで増大するのに要する時間が短くなるが、加圧時間が不足する恐れがあるため、設定値に達した後も加圧を行うこととなり、設定値に達した後の加圧時間が設定される。それに対し、圧力増大勾配を小さくするほど、閉鎖空間254内の圧力が設定値に達するのに要する時間が長くなるが、その間、はんだが加圧されているため、加圧時間が長く、設定値に達した時点で加圧が終了されるようにしてもよい。設定時間を0にすることもできるのであり、その場合には、圧力が設定値に達したならば直ちに閉鎖空間254が大気に開放される。スクリーン印刷時には、作業者によりスクリーン140の種類およびはんだの種類が入力装置344によって入力されれば、それらに対応する加圧条件が読み出され、印刷後の加圧に使用される。加圧条件は、例えば、印刷開始に先立ってデータベースから読み出され、RAM336に記憶されて加圧時に使用されるようにされる。あるいは、入力されたスクリーン140の種類およびはんだの種類がRAM336に記憶され、それらに基づいて加圧時にデータベースから加圧条件が読み出されて使用されてもよい。読み出された加圧条件は、RAM336に記憶させて使用することができる。本実施例では、加圧プログラムは、スクリーン140の回路基板70への接触,離間,回路基板の搬入,搬出,スキージ装置18によるはんだの印刷等、一連の印刷作業を行うための主プログラムを構成する複数のプログラムのうちの1つとして作成されている。
【0041】
加圧条件データベースは、例えば、入力プログラムに従って管理者がデータを入力することにより作成される。入力プログラムは、例えば、表示画面354に入力方法,入力項目等を表示し、対話形式に従ってデータを入力させるプログラムとされる。例えば、管理者が、過去の印刷データ等に基づいて、スクリーン140の種類,はんだの種類およびそれらに適した加圧条件を入力するのである。あるいは加圧条件を設定して試し印刷を行い、その結果、必要があれば加圧条件を変更するようにしてもよい。スクリーン140の種類に替えて回路基板70の種類を入力するようにしてもよく、あるいは、複数種類の加圧条件が設定され、それらのうちスクリーン140等の種類に応じた加圧条件を管理者あるいは作業者が選択するようにしてもよい。スクリーン140の種類が異なっていても、例えば、その違いが小さい場合には、複数種類のスクリーン140について加圧条件を共通としてもよい。
【0042】
また、加圧条件データベースを構成するデータは、変更プログラムにより変更することができる。変更プログラムも入力プログラムと同様に表示画面354への表示および対話形式によって、管理者にデータを変更させるように構成されており、管理者は、変更すべき加圧条件を表示画面354に表示させ、入力装置344を用いて変更する。例えば、印刷後、回路基板70におけるはんだの印刷状態を検査装置により検査し、その検査結果に基づいて印刷条件を変更する。検査装置は、例えば、特許第3218059号公報に記載されているように、レーザ変位センサを備え、印刷されたはんだの位置,面積および高さを取得するように構成される。検査装置は、認識装置としての撮像装置を備え、印刷されたはんだを撮像し、その撮像データに基づいてはんだの印刷位置等を取得する装置としてもよい。検査結果に基づいて、はんだの欠けやブリッジの有無,印刷量,印刷位置等を調べ、不良な印刷個所の発生数や、発生原因の推定に基づいて、それらが解消されるように印刷条件を修正したり、加圧条件を変更する。変更後は、加圧プログラムが変更された加圧条件で実行される。加圧条件が変更されれば、自動的にその変更された加圧条件に従って加圧が行われるのである。
検査結果に基づいて不良原因が自動的に推定され、加圧条件が自動的に修正されるようにしてもよい。
【0043】
開口144内に充填されたはんだが加圧された後、カバー部材250がスクリーン140から離間させられたならば、昇降台14が下降させられ、基板搬送装置10および基板支持装置90が下降させられて回路基板70が下降させられ、スクリーン140から離間させられる。この際、開口144内に押し込まれ、回路基板70に密着させられたはんだは、加圧により抜け出し性が向上させられているため、開口144内に残ることなく抜け出させられ、所定の被印刷部にはんだが付着させられた回路基板70が得られる。
【0044】
基板搬送装置10が下降端位置に到達する直前に保持装置50によるガイドロッド46の保持が解除され、基板搬送装置10は自重で下降端位置に到達する。また、その際、ガイドレール82がガイドレール80から離れる向きに移動させられて回路基板70の保持が解除されるとともに、支持ピン98への負圧の供給が断たれ、回路基板70が開放される。その後、更に昇降台14が下降させられることにより基板支持装置90が基板搬送許容高さに下降させられ、回路基板70がコンベヤベルト72,74により支持される状態となるとともに、支持ピン98が回路基板70から離間させられ、回路基板70の搬出を許容する。
【0045】
このように本スクリーン印刷機においては、回路基板70へのはんだの印刷後、開口144内に充填されたはんだが加圧されて開口144からの抜け出し性が高められ、それにより、欠けおよびブリッジの発生が減少し、印刷品質が向上する。印刷品質の向上は、テストにより確認されている。
【0046】
テストは、加圧を行うスクリーン印刷を、同じスクリーン140を用いて設定回数、連続して行った場合の各回における欠けおよびブリッジの発生数と、加圧を行わないスクリーン印刷を、加圧を行う場合と同じスクリーン140を用いて、同じ加圧条件および同じ印刷条件で同じ設定回数、連続して行った場合の各回における欠けおよびブリッジの発生数とを比較することにより行った。印刷条件は、ここでは、印刷速度(スキージ装置180の移動速度),押圧装置202によるはんだ収容室230からのはんだの押出圧力,スキージのスクリーン140への接触荷重,回路基板70のスクリーン140からの離間速度および離間距離である。また、加圧を行う場合にも行わない場合にもそれぞれ、連続印刷の開始に先立って、スクリーン140をクリーニングした。さらに、実際に塗布されたはんだの容積が塗布すべき容積(設定塗布容積)の設定率以下、例えば、50%以下の場合に欠けが発生しているとする。テストの結果を開口144の形状,寸法,形成密度等に基づいて分析した結果を説明する。なお、回路パターンは微細であり、例えば、数mm四方の領域に部品接続個所が複数設けられ、スクリーン140の開口パターンも微細である。
【0047】
テストの結果、開口144の横断面形状が円形である場合、印刷後に加圧を行えば、行わない場合に比較して、印刷されたはんだの欠けの発生が著しく低減することが確認された。欠けは、開口144の横断面積が小さいほど発生し易く、横断面積が特に小さい領域では、加圧を行っても欠け発生を皆無にすることはできないが、加圧を行わない場合に比較すれば、一定印刷回数当たりの欠け発生数が著しく小さくできる。横断面積が大きくなるに従って一定印刷回数当たりの欠けの発生数が減少し、開口144の直径が一定以上の領域では、加圧を行わない場合には欠けが発生するのに対し、加圧を行う場合には欠けが発生しなくなる。
【0048】
また、B/S比、すなわち開口の横断面積Bの内側面面積Sに対する比について見れば、この比が大きいほど、はんだが開口144から抜け出し易く、欠けが発生し難いのが普通である。加圧を行わない場合、B/S比が大きい領域では小さい領域におけるより数は少ないが、一定印刷回数当たりある程度の枚数において欠けが発生した。それに対し、加圧を行った場合、B/S比が大きい領域では欠けが発生せず、小さい領域では欠けは発生するが、加圧を行わない場合に比較して、欠けが発生する回路基板70の枚数および欠けの発生数が著しく小さくて済むことが確認された。
【0049】
さらに、回路基板70に装着される電子回路部品が微小なチップ部品、例えば、長辺が0.6mm、短辺が0.3mmの直方体状の部品であり、隣接する部品間の距離が特に短く、回路パターンが特に微細なパターンである場合にも、回路基板70のチップ部品装着個所に塗布されるはんだについて印刷性が向上することが確認された。このようなチップ部品の場合、長手方向に隔たった2箇所にそれぞれ電極が設けられ、それら電極の各々が回路基板70に設けられた電極端子に接続される。したがって、1個のチップ部品の装着位置の各々についてはんだ塗布個所が2箇所ずつ、極めて近接して設けられ、開口144の形成ピッチが極く短くなる。また、このチップ部品は、密集して回路基板70に装着されることが多い。したがって、スクリーン140に形成される開口144のパターンは特に微細な開口パターンとなり、隣接する開口144間のピッチはX軸方向においてもY軸方向においても短くなって、ブリッジが生じ易い。
【0050】
そのため、開口144の幅と長さとを小さくし、隣接する2個の開口144間の距離を大きくして、ブリッジが生じ難くされる。しかし、開口144の横断面積が小さくなるために、はんだが開口144から抜け出し難くなり、欠けが生じ易くなる。そのため、加圧を行わない場合には、開口144の幅および長さを小さくしてもテスト設定枚数の回路基板70の殆ど全部について欠けが生じ、ブリッジも発生していたのに対し、加圧を行った場合には、ブリッジおよび欠けのいずれも発生しないことが確認された。
【0051】
また、スクリーン140の回路基板70からの離間前に開口144に充填されたはんだを加圧することにより、開口の横断面形状,B/S比および開口パターンの微細さに関係なく、はんだの上面が平らになることが確認されている。その理由として、はんだは、開口144に充填された状態では上面が平らであるが、加圧しない場合、開口144から抜け出させられる際に形が崩れて上面が平らでなくなるのに対し、加圧によりはんだの回路基板70への付着性が高められて抜け出し易くなることにより、抜け出し時のはんだの形崩れが減少させられることが考えられる。回路基板70にスポット状に塗布されたはんだの上面が平らであれば、例えば、電子回路部品を安定して搭載することができるとともに、接合面積を確実に確保することができ、装着不良の発生が回避される。
【0052】
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、制御装置330の、入力プログラム,変更プログラムを実行する部分,入力装置344,表示装置,入力されたスクリーン140の種類およびはんだの種類に基づいて加圧条件をデータベースから読み込んで実行する部分が加圧条件設定部を構成し、圧力センサ296により検出される閉鎖空間254の圧力に基づいて電磁圧力制御弁294への供給電流を制御し、閉鎖空間254の圧力を設定値まで増大させる部分および閉鎖空間254の圧力が設定値まで増大した後、その設定値に設定時間保つ部分が閉鎖空間圧力制御部を構成し、圧縮エア供給装置292および電磁圧力制御弁294と共に加圧装置を構成している。また、昇降装置12が、回路基板70とスクリーン140とを接触,離間させる装置であって、それらの面に直角な方向に相対移動させる相対移動装置である接離装置を構成し、カバー部材昇降装置252およびスプリング282が、カバー部材250とスクリーン140とを接触,離間する方向に相対移動させる相対移動装置であって、カバー部材250をスクリーン140に押し付ける押付装置ないし密着装置を構成している。
【0053】
請求可能発明の別の実施例を、図7および図8に基づいて説明する。
本実施例のスクリーン印刷機においては、カバー部材400が、スクリーン402との間に形成される閉鎖空間404をスクリーン402に直角な方向から視た場合に複数、例えば、2つの分割空間410,412に仕切る仕切壁414を備えている。本実施例のカバー部材400は、スクリーン402の開口形成領域全体を覆う大きさを備え、前記カバー部材250と同様に、カバー部材保持部材に取り付けられてスクリーン402に接触させられる。本実施例のカバー部材400は専用のカバー部材であり、スクリーンの種類毎に作られ、仕切壁414は、2つの分割空間410,412のうち、一方の分割空間410が開口形成領域のうち、例えば、特にはんだの加圧圧力を高くすることが望ましい部分、例えば、前記B/S比が小さい開口が多数形成されている部分を覆うように設けられている。カバー部材400内の仕切壁414により仕切られた2つ空間はそれぞれ、電磁圧力制御弁420,422を介して圧縮エア供給装置424に接続されている。また、分割空間410,412の各圧力はそれぞれ、圧力センサ426,428により検出される。
【0054】
本スクリーン印刷機においても、印刷が終了したならば、スキージ装置が開口形成領域から退避させられる一方、カバー部材400が開口形成領域へ移動させられ、スクリーン402に密着させられてスクリーン402との間に分割空間410,412を形成する。そして、分割空間410,412内にそれぞれ圧縮エアが供給され、各圧力が大気圧より高められるのであるが、分割空間410の圧力が分割空間412より高くされ、加圧が十分に為される。本スクリーン印刷機においては、加圧条件を設定する場合、圧力は、分割空間410,412のそれぞれに適した高さに設定され、それに従って電磁圧力制御弁420,422が制御され、圧力が設定値に高められる。それにより、分割空間410内に位置する開口内のはんだは大きい圧力で加圧され、B/S比が小さくても、開口から抜け出し易い。また、分割空間412内に位置する開口内のはんだが過剰に加圧されることがなく、開口からのにじみ出し等を生ずることなく、開口からの抜け出し性が向上する。なお、分割空間410,412について、加圧時間(分割空間410,412内の圧力が設定値に達した後の加圧の設定時間)および圧力増大勾配の少なくとも一方も、異なる大きさに設定してもよい。
本実施例においては、制御装置の設定圧力に従って電磁圧力制御弁420,422を制御する部分が分割空間圧力制御部を構成している。
【0055】
なお、閉鎖空間を仕切壁によって複数の分割空間に仕切る場合、3つ以上に仕切ってもよい。
また、閉鎖空間を仕切壁によって複数の分割空間に仕切る場合、カバー部材は、複数種類のスクリーンについて使用可能な汎用性を有するものとしてもよい。この場合、例えば、閉鎖空間を、横断面形状および横断面積が同じである複数の分割空間に等分割してもよく、それらが異なる複数の分割空間に分割してもよい。汎用のカバー部材の場合、複数の分割空間の圧力は、独立して個別に制御され、例えば、各分割空間内に位置する少なくとも1つの開口のそれぞれについて適切な圧力のうち、最も高い圧力(にじみ出しがない場合)に、あるいは最も低いか中間的な高さの圧力(にじみ出しがある場合)に設定される。複数の分割空間のうちの少なくとも2つについて圧力が共通に制御されるようにしてもよい。
さらに、仕切壁を可動仕切壁とし、開口の分布等に応じて移動させ、分割空間の横断面形状,横断面積を変えることができるようにしてもよい。
あるいは、横断面積が開口形成領域より小さいカバー部材を複数設け、それらカバー部材をそれぞれ支持部材に、スクリーンの表面に平行な方向に移動可能に支持させ、開口の分布等に応じて移動させ、開口形成領域のうち必要な個所のみを加圧したり、あるいは圧力をカバー部材毎に個別に制御するようにしてもよい。加圧に使用されないカバー部材は、開口形成領域から退避させ、スクリーンに接触させられないようにすることが望ましい。
【0056】
カバー部材は、合成樹脂製としてもよい。
【0057】
また、スクリーンと回路基板とを、回路基板の表面に直角な方向に相対移動させる相対移動装置は、スクリーンを回路基板に対して移動させ、回路基板に接触,離間させる装置としてもよい。
【0058】
閉鎖空間内の圧力制御は、圧力センサを設けず、オープン制御により制御してもよい。
【0059】
閉鎖空間の圧力は、エアレギュレータを使用し、固定的に設定された大きさに調節されるようにしてもよい。
【0060】
スキージ装置移動装置とカバー部材移動装置とは別に設けてもよい。
【0061】
スキージヘッドは開放形でもよい。開放形のスキージヘッドは、スクリーン上に載せられた印刷剤を、前傾したスキージにより押し動かすとともに、スキージとスクリーンとの間のくさび作用によって印刷剤の一部を貫通孔に充填するものである。
【0062】
印刷剤の加圧時間は、圧力増大勾配に関係なく一定にしてもよい。例えば、閉鎖空間の圧力が設定値に達した後、加圧圧力毎に設定された時間、加圧が行われるようにしてもよく、あるいは圧力の大きさにも関係なく、一定の時間、加圧が行われるようにしてもよい。また、閉鎖空間への圧縮空気の供給開始後、加圧圧力や圧力増大勾配に関係なく、設定時間の間、加圧が行われるようにしてもよい。
【0063】
さらに、前記実施例においては、加圧条件のデータベースが作成されるものとしたが、不可欠ではない。例えば、段取替え毎に作業者が加圧条件を入力して設定し、それに不都合がある場合に変更するようにしてもよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】請求可能発明の実施例であるスクリーン印刷機を示す正面図である。
【図2】上記スクリーン印刷機において印刷に使用されるスクリーンを概略的に示す平面図である。
【図3】上記スクリーンの一部を示す正面断面図である。
【図4】上記スクリーン印刷機のカバー部材を概略的に示す平面図である。
【図5】上記カバー部材およびカバー部材昇降装置を示す正面図(一部断面)である。
【図6】上記スクリーン印刷機を制御する制御装置を概略的に示すブロック図である。
【図7】請求可能発明の別の実施例であるスクリーン印刷機のカバー部材を電磁圧力制御弁等と共に概略的に示す平面図である。
【図8】図7に示すカバー部材を概略的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0065】
70:回路基板 90:基板支持装置 140:スクリーン 144:開口 146:表面 148:開口形成領域 198:スキージ 250:カバー部材 254:閉鎖空間 330:制御装置 400:カバー部材 404:閉鎖空間 410,412:分割空間 414:仕切壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を裏面側から支持する基板支持装置と、
その基板支持装置に支持された回路基板と接触離間可能に設けられたスクリーンと、
前記基板支持装置に支持された回路基板の表面に密着した前記スクリーン上を移動しつつ、印刷剤をスクリーンに形成された複数の開口内へ押し込み、回路基板に付着させるスキージ装置と、
前記スクリーンの前記複数の開口が形成された領域である開口形成領域の少なくとも一部を覆い、その少なくとも一部の外周において前記スクリーンに密着し、そのスクリーンとの間に閉鎖空間を形成するカバー部材と、
前記スキージ装置を前記開口形成領域の前記少なくとも一部上から退避させる一方、前記カバー部材にその少なくとも一部を覆わせる移動装置と、
前記スクリーンの前記回路基板からの離間前に、前記閉鎖空間内の圧力を大気圧より高める加圧装置と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記カバー部材が前記開口形成領域全体を覆うことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
前記加圧装置が、前記閉鎖空間を大気圧より0.3〜10KPa高い圧力に加圧することを特徴とする請求項1または2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
前記加圧装置が、少なくとも前記閉鎖空間の圧力を含む加圧条件をプログラムにより設定可能な加圧条件設定部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスクリーン印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−142646(P2006−142646A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335816(P2004−335816)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】