説明

スクローリングカラーおよびウォブルデバイスを備えた表示システム

【課題】
光の無駄が生じることを回避する。
【解決手段】
画像データに基づいて画像を表示するための表示システム(100)であって、画像データに基づいて、第1のサブフレーム画像および少なくとも第2のサブフレーム画像を含む複数のサブフレーム画像を規定するように構成された画像処理ユニット(106)と、複数のカラーを含むスクローリングカラー光ビーム(141)を生成するように構成されたスクローリングカラーデバイス(102)と、複数のサブフレーム画像に基づいて、スクローリングカラー光ビーム(141)を受け取って変調するように設けられた空間光変調器(103)と、第1のサブフレーム画像が前記第2のサブフレーム画像から空間的にオフセットするように、サブフレーム画像を交互に表示させるように構成されたウォブリングデバイス(104)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するための表示システム、表示方法および画像を生成するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ、プロジェクタ、または他の画像化システム等の画像を表示するための従来のシステムまたはデバイスは、静止画像またはビデオ画像を表示するために頻繁に用いられる。観察者は、画像サイズ、コントラスト比、カラー純度、輝度、画素色精度、および解像度等の多くの基準に基づいて表示システムを評価する。画像輝度、画素色精度、および解像度は、多くの表示市場において特に重要な測定基準である。なぜなら、得られる輝度、画素色精度、および解像度によって、表示される画像のサイズは制限され、高レベルの周囲光を有するスポットにおいてどのようにしてうまく画像を見ることができるかが制御されるからである。
【0003】
従来の表示システムは、水平行および垂直列に配置された画素のアレイをアドレス指定することによって表示画像を生成する。画素は、矩形形状を有するため、表示される画像における物体の斜めのまたは湾曲したエッジを、段付きまたはぎざぎざした様相を与えずに表すことは困難である場合がある。さらに、表示システムの1つまたは複数の画素に欠陥がある場合、表示画像は、その欠点の影響を受ける。たとえば、表示システムの画素が「オフ」位置のみを示す場合、画素は、表示画像において、真っ黒な四角を生成する場合がある。画素形状の望ましくない結果および画素の不正確さは、表示画像が大きなビューイング面にカラーで投影される場合に強調される。
【0004】
多くの表示システムは、ビデオフレーム毎に原色(赤、緑、および青)で3つ以上の変調された画像を作成することによって、単一の変調器を用いて、フルカラー表示を作成する。原色は、通常、カラーホイール、プリズム、または他の何らかのカラーフィルターを用いて、白色光源から得られる。変調された画像は、高レートで順次表示され、人間の視覚システムにおいてフルカラー画像を作成する。したがって、フルカラー表示を生成するこの方法は、「順次式カラー」と呼ばれる。順次式カラーを用いることによって、画像形成のために、所望の赤、緑および青の光が生成されるが、これは、望ましくない光の波長の透過を阻止することによって行われる。換言すると、光源によって発せられた光の有意の部分は、無駄になり、結果として、最終表示画像の輝度は低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、光の無駄が生じることを回避することができる画像表示システムおよび画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像を表示するための表示システムであって、画像データを処理し、該画像データに対応する複数の画像サブフレームを生成するように構成された画像処理ユニットと、前記画像サブフレームに従って光ビームを変調するように構成された変調器と、前記変調器の面にわたって複数のカラーをスクロールし、前記複数の画像サブフレームを保持するカラー光ビームを生成するように構成されたスクローリングカラーデバイスと、前記カラー光ビームから前記画像を表示するように構成された表示光学部品と、前記画像サブフレームが変化する空間オフセットで表示されるように、前記カラー光ビームを変位するように構成されたウォブリングデバイスと、を備えている。
前記スクローリングカラーデバイスは、前記複数の画像サブフレームのそれぞれに対応する画像サブフレーム期間中に整数回だけ、前記変調器の前記面にわたって前記複数のカラーをスクロールすることができる。
【0007】
また、本発明は、画像データに基づいて画像を表示するための表示システムであって、前記画像データに基づいて、第1のサブフレーム画像および少なくとも第2のサブフレーム画像を含む複数のサブフレーム画像を規定するように構成された画像処理ユニットと、複数のカラーを含むスクローリングカラー光ビームを生成するように構成されたスクローリングカラーデバイスと、前記複数のサブフレーム画像に基づいて、前記スクローリングカラー光ビームを受け取って変調するように設けられた空間光変調器と、前記第1のサブフレーム画像が前記第2のサブフレーム画像から空間的にオフセットするように、前記サブフレーム画像を交互に表示させるように構成されたウォブリングデバイスと、を備えている。
前記空間光変調器は、制御可能な画素要素のアレイを含む面を備え、前記スクローリングカラー光ビームは、前記制御可能な画素要素にわたって前記複数のカラーのセグメントをスクロールすることができる。
【0008】
さらに、本発明は、画像フレームを規定する画像フレームデータに基づいて、画像フレーム期間中に画像を表示するための表示システムであって、前記フレームデータに基づいて、それぞれが前記フレーム期間中に別個のサブフレーム画像のそれぞれを規定する複数のサブフレームデータアレイを生成するように構成された画像処理電子部品と、前記サブフレームデータアレイに基づいて光ビームを生成するように構成された空間光変調器と、
前記光ビームの前記生成中に、前記空間光変調器にわたって複数のカラーをスクロールするように構成されたスクローリングカラーデバイスと、前記フレーム期間中に前記サブフレーム画像のそれぞれの相対的な変位を行うように構成されたウォブリングデバイスと、
を備えている。
【0009】
さらに、本発明は、フレーム期間中に画像を表示するための表示システムであって、前記フレーム期間中に光を変調して少なくとも2つのサブフレーム画像を提供するように構成された空間光変調器と、前記フレーム期間中に前記光変調器にわたって複数のカラーをスクロールするように構成された光源と、前記フレーム期間中に前記サブフレーム画像の相対的な変位を行うように構成されたウォブリングデバイスと、を備えている。
【0010】
本発明は、画像を表示する方法であって、前記画像を規定する画像データを処理し、前記画像データに対応する複数の画像サブフレームを生成するステップと、前記複数の画像サブフレームを保持する光ビームを変調器を用いて生成するステップと、前記光ビームが、前記複数の画像サブフレームを保持するカラー光ビームを含むように、前記光ビームの前記生成中に、前記変調器の面にわたって複数のカラーをスクロールするステップと、前記カラー光ビームを表示し、前記画像を形成するステップと、前記複数の画像サブフレームのそれぞれが、他の前記画像サブフレームからオフセットした画像サブフレーム位置に空間的に表示されるように、前記カラー光ビームを変位するステップと、を含んでいる。
【0011】
また、本発明は、画像データに基づいて画像を生成する方法であって、入力される前記画像データに基づいて、少なくとも第1のサブフレームおよび第2のサブフレームを含む前記複数のサブフレームを規定するステップと、スクローリングカラー光ビームを生成するステップと、前記複数のサブフレームに基づいて、前記スクローリングカラー光ビームを変調器を用いて変調し、変調された光ビームを生成するステップと、前記変調された光ビームが前記複数のサブフレームに対応する複数のサブフレーム位置の間に表示されるように、前記変調された光ビームを変位させ、ビューイング面に前記変調された光ビームを投影するステップと、を含んでいる。
前記スクローリングカラー光ビームを生成するステップと、前記変調された光ビームを変位させるステップとを同期させるステップをさらに含むことができる。
【0012】
さらに、本発明は、フレーム期間中に画像を生成する方法であって、光ビームにわたって光のカラーセグメントをスクロールするステップと、前記光ビームを変調し、少なくとも2つのサブフレーム画像を提供するステップと、前記2つのサブフレーム画像をビューイング面に表示するステップと、前記2つのサブフレーム画像が互いに対して変位されるように前記光ビームを変位させるステップと、を含んでいる。
【0013】
添付の図面は、本発明の様々な実施形態を例示し、本明細書の一部である。例示される実施形態は、単に、本発明の実施例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
図面全体にわたって、同一の参照符号は、同様であるが必ずしも同一でない要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】1つの例示的な実施形態による例示的な表示システムを示す図である。
【図2】1つの例示的な実施形態による変調器の面にわたるスクローリングカラーを示す図である。
【図3】1つの例示的な実施形態による例示的なスクローリングカラーデバイスを示す図である。
【図4】1つの例示的な実施形態による例示的な「ピンホイール」型カラーフィルターホイールを示す図である。
【図5】1つの例示的な実施形態による画像処理ユニット内の例示的な機能の拡大図を用いて例示的な表示システムを示す図である。
【図6A】1つの例示的な実施形態に従って、複数の画像サブフレームが特定の画像に対して生成され得ることを示す図である。
【図6B】1つの例示的な実施形態に従って、複数の画像サブフレームが特定の画像に対して生成され得ることを示す図である。
【図6C】1つの例示的な実施形態に従って、複数の画像サブフレームが特定の画像に対して生成され得ることを示す図である。
【図7A】1つの例示的な実施形態に従って、第1のサブフレームからの画素を第1の画像サブフレーム位置に表示する図である。
【図7B】1つの例示的な実施形態に従って、第2のサブフレームからの画素を第2の画像サブフレーム位置に表示する図である。
【図8A】1つの例示的な実施形態に従って、サブフレーム生成機能が、画像フレームに対して画像サブフレームを規定し得ることを示す図である。
【図8B】1つの例示的な実施形態に従って、サブフレーム生成機能が、画像フレームに対して画像サブフレームを規定し得ることを示す図である。
【図8C】1つの例示的な実施形態に従って、サブフレーム生成機能が、画像フレームに対して画像サブフレームを規定し得ることを示す図である。
【図8D】1つの例示的な実施形態に従って、サブフレーム生成機能が、画像フレームに対して画像サブフレームを規定し得ることを示す図である。
【図9A】1つの例示的な実施形態に従って、第1のサブフレームからの画素を第1の画像サブフレーム位置に表示することを示す図である。
【図9B】1つの例示的な実施形態に従って、第2のサブフレームからの画素を第2の画像サブフレーム位置に表示することを示す図である。
【図9C】1つの例示的な実施形態に従って、第3のサブフレームからの画素を第3の画像サブフレーム位置に表示することを示す図である。
【図9D】1つの例示的な実施形態に従って、第4のサブフレームからの画素を第4の画像サブフレーム位置に表示することを示す図である。
【図10】1つの例示的な実施形態に従って、同じ表示システムにおいて、スクローリングカラー、解像度の向上、および画素エラーの隠蔽を容易にするためのスクローリングカラーデバイスおよびウォブリングデバイスの例示的な同期化を示す図である。
【図11】1つの例示的な実施形態に従って、スクローリングカラーデバイスが、3つの原色の代わりに5つのカラーを生成するように構成され得ることを示す図である。
【図12】1つの例示的な実施形態に従って、スクローリングカラーデバイスによって生成されたカラーが、特定の画像サブフレーム期間中に所定の画素にわたって複数回スクロールされ得ることを示す図である。
【図13】1つの例示的な実施形態に従って、画像を表示するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【図14】1つの例示的な実施形態に従って、変調器面にわたる複数のカラーのスクローリングを、ウォブリングデバイスと同期づけるさらなる工程を用いて画像を表示するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
表示システムによって生成される画像の輝度を改善する近年開発された技術は、「スクローリングカラー」と呼ばれる。スクローリングカラー表示システムでは、原色はすべて同時に変調器上に存在する。したがって、順次式カラーによって光の無駄が生じることが避けられる。本明細書では、スクローリングカラーを用いながら、画像の見かけの解像度を向上させ、画素の不正確さを隠すように構成された表示システムが述べられる。
【0017】
以下の説明では、説明の目的で、本表示システムを完全に理解してもらうために、いくつかの具体的な詳細が提示される。しかし、本表示システムをこれらの具体的な詳細なしに実施されることができることは当業者に明白である。明細書における「1つの実施形態」または「ある実施形態」の参照は、その実施形態に関連して述べられる特定の特徴部、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所において「1つの実施形態では」という語句が登場するが、これは、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。
【0018】
「表示システム」という用語は、特に具体的に示されない限り、プロジェクタ、投影システム、画像表示システム、TVシステム、ビデオモニタ、コンピュータモニタシステム、または画像を表示するように構成された他の任意のシステムを指すために、本明細書および添付の特許請求項において用いられる。画像は、静止画像、一連の画像、またはモーションピクチャビデオであってよい。「画像」という用語は、特に具体的に別記されない限り、静止画像、一連の画像、モーションピクチャビデオ、または表示システムによって表示されるその他の任意のものを広範囲に指すために、本明細書および添付の特許請求項において用いられる。
【0019】
図1は、例示的な実施形態による例示的な表示システム(100)を示す。図1の構成要素は、単に例示されるものであって、特定の用途に最良に作用するように改変または変更されることができる。図1に示されるように、画像データは、画像処理ユニット(106)に入力される。画像データは、表示システム(100)によって表示される画像を規定する。1つの画像が、画像処理ユニット(106)によって処理されるものとして示されかつ説明されているが、複数の一連の画像が、画像処理ユニット(106)によって処理されることができることは当業者に理解されよう。画像処理ユニット(106)は、光源(101)の照明を制御し、空間光変調器(SLM)(103)を制御することを含む様々な機能を果たす。以下で画像処理ユニット(106)についてさらに詳細に説明する。
【0020】
図1に示されるように、光源(101)は、光ビームをスクローリングカラーデバイス(102)に供給する。光源(101)は、限定はされないが、高圧水銀ランプまたは発光ダイオード(LED)のアレイであってよい。スクローリングカラーデバイス(102)は、フルカラー画像の異なるカラー成分を提供することによって、表示システム(100)に、フルカラー画像を表示させることができる。スクローリングカラーデバイス(102)は、1組の回転プリズム、カラーホイール、またはカラーをスクロールすることができる他の任意のデバイスを含んでよい。スクローリングカラーデバイス(102)はまた、異なるカラーのダイオードを含む発光ダイオード(LED)アレイを有してもよい。このような例では、アレイは、光源(101)およびスクローリングカラーデバイス(102)の両方として機能する。スクローリングカラーデバイス(102)は、SLM(103)に入力されるスクローリングカラー光ビームを生成する任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせであってよい。以下、スクローリングカラーおよびスクローリングカラーデバイス(102)について、さらに詳細に説明する。
【0021】
スクローリングカラーデバイス(102)によって送られる光は、レンズまたは何らかの他のデバイス(図示せず)を通して空間光変調器(SLM)(103)に集束される。SLMは、電気入力または光学入力に対応する空間パターンで、入射光を変調するデバイスである。「SLM」および「変調器」という用語は、本明細書では、空間光変調器を区別なく指すために用いられる。入射光は、その位相、強度、偏光、または方向が、変調器(103)によって変調されることができる。したがって、図1のSLM(103)は、画像処理ユニット(106)からの入力に基づいて、スクローリングカラーデバイス(102)によって出力される光を変調し、表示光学部品(105)によって最終的に表示または放たれる、画像を保持する光ビームをビューイング面(図示せず)に形成する。表示光学部品(105)は、画像を表示または投影するように構成された任意のデバイスを含んでよい。たとえば、表示光学部品(105)は、限定はされないが、画像をビューイング面に投影かつ集束するように構成されたレンズであってよい。ビューイング面は、限定はされないが、スクリーン、TV、壁、液晶ディスプレイ(LCD)、またはコンピュータモニタであってよい。
【0022】
SLM(103)は、限定はされないが、液晶オンシリコン(LCOS)アレイまたはマイクロミラーアレイであってよい。LCOSおよびマイクロミラーアレイは、当該技術分野で既知であるため、本明細書では詳細に説明しない。排他的ではない例示的なLCOSアレイは、Philips(商標)LCOS変調器である。排他的ではない例示的なマイクロミラーアレイは、Texas Instruments(商標)Inc.から入手可能なデジタル光処理(DLP)チップである。
【0023】
図1に戻ると、例示的な実施形態では、表示光学部品(105)が画像を表示する前に、変調された光は、「ウォブリング(wobbling)」デバイス(104)を通過することができる。以下に詳細に述べられるように、ウォブリングデバイスは、画像解像度を向上させ、画素の不正確さを隠すように構成されたデバイスである。排他的ではない例示的なウォブリングデバイス(104)は、ガルバノメータミラーである。他の実施形態では、ウォブリングデバイス(104)は、SLM(103)または表示システム(100)の他の構成要素に一体化されることができる。
【0024】
図2は、変調器の面にわたるスクローリングカラーを示すために用いられる。上述したように、スクローリングカラーは、原色すべてを同時に変調器上に存在させることによって、表示画像の輝度を増加させる。図2は、変調器の面(113)にわたる光の移動、すなわちスクローリングの赤(114)、緑(115)、および青(116)セグメントの画像を示す。変調器面(113)は、例示的な実施形態によると、制御可能な画素要素のアレイを含んでよい。変調器面(113)は、限定はされないが、たとえば、LCOSパネルまたはマイクロミラーアレイの表面であってよい。カラーのスクローリングは、スクローリングカラーデバイス(102;図1)によって行われる。時刻t0では、図2に示されるように、青色セグメント(116)は、変調器面(113)の底部三分の一を占有し、緑色セグメント(115)は、変調器面(113)の中部三分の一を占有し、赤色セグメント(114)は、変調器面(113)の頂部三分の一を占有する。次に、カラーは、スクロールアップし、時刻t1では、ここで青色セグメント(116)が変調器面(113)の中部三分の一を占有し、緑色セグメント(115)は、変調器面(113)の頂部三分の一を占有し、赤色セグメント(114)は、変調器面(113)の底部三分の一を占有する。図2はまた、もう1度スクロールされた後の、時刻t2におけるカラーセグメントの位置を示す。図2は、時刻t0と時刻t2との間での青色カラーセグメント(116)の移動を示すための2本の点線を示す。図2は、カラーが変調器の面(113)の底部からスクロールアップするのを示しているが、カラーは、変調器面にわたる任意の方向にスクロールすることができることを理解されたい。たとえば、カラーは、変調器面(113)にわたって頂部から底部、右から左、左から右、または斜めにスクロールすることができる。さらに、図2のカラーセグメントは、矩形形状で示されているが、カラーセグメントは、湾曲してもよく、または他の任意の形状であってもよいことは当業者に認識される。
【0025】
原色のそれぞれが、所定時間に変調器の面(113)の異なる領域に現れるため、3つの原色はすべて画像処理ユニット(106)によって変調器(103)に与えられる画像データに適用される。たとえば、変調器面(113)の1つの領域は、赤色データを用いて操作されるが、変調器面(113)の他の領域は、緑色および青色データを用いて操作される。したがって、理想的なスクローリングカラー表示システムでは、光が無駄にならず、ディスプレイの潜在的な輝度が向上する。
【0026】
図2は、説明の目的のみのために、原色がすべて変調器面(113)上に存在していることを示す。別の実施形態では、原色のみより多くのまたは少ないカラーが変調器上に同時に存在していてもよい。たとえば、スクローリングカラーデバイス(102;図1)は、光源(101;図1)から放出される光を赤、緑、青、黄、およびシアンのカラーに分解し、これらのカラーのうちの5つのカラーがすべて一度に変調器面(113;図2)上に存在するようにこれら5つのカラーをすべて変調器面(113;図2)にわたってスクロールすることができる。スクローリングカラー表示システムにおいて用いられるカラーの数は、特定の用途に最良に作用するように変化する。
【0027】
図3は、例示的な実施形態による例示的なスクローリングカラーデバイス(102)を示す。図3のスクローリングカラーデバイス(102)は、表示システムにおいてスクローリングカラーを実施するために用いることができる多くの異なるスクローリングカラーデバイスの1つである。図3におけるスクローリングカラーデバイス(102)は、スピニングプリズムエンジンを用いて、変調器の面にわたってカラーをスクロールする。
【0028】
図3に示されるように、光源(101)から放出される光は、スクローリングカラーデバイス(102)に入射し、ミラー(130a)を通過する。ミラー(130a)は、フィルタデバイスとして機能し、光から原色の1つを濾過する。たとえば、図3において、ミラー(130a)は、光の赤色部を濾過し、リレーレンズ(131a)を通して赤色光を送る。光の青−緑色部は、別のリレーレンズ(131b)を通して第2のフィルタミラー(130b)に送られる。ミラー(130b)フィルタは、青色光から緑色光を分離する。図3のスクローリングカラーデバイス(102)はまた、3つの走査プリズム(132a、b、c)を含む。各走査プリズムは、3つのカラーの1つに関連する。走査プリズム(132a、b、c)は、変調器(103)の面にわたって各カラーをスクロールするように回転するように構成されている。図3に示されるように、さらなるミラー(130)およびリレーレンズ(131)は、光の異なるカラーを方向づけ、集束させるために用いられる。
【0029】
表示システムにおいてスクローリングカラーを実施するために用いることができる別のスクローリングカラーデバイスは、図4に示されるように、「ピンホイール」型カラーフィルタホイールである。カラーフィルタホイール(140)は、複数のフィルタセグメントを有する。図示されるように、光ビーム(141)は、カラーフィルタホイール(140)内の各カラーに対応するフィルタセグメントが光ビーム(141)によって覆われるように、カラーホイール上に集束されることができる。各フィルタセグメントによって、1つの原色はセグメントを通過することができる。カラーホイールは、変調器の面(103;図3)にわたって各カラーをスクロールするように回転する。図4の例示的なカラーフィルタホイール(140)は、原色に対応する複数のフィルタセグメントを有する。カラーフィルタホイール(140)は、例示的な実施形態によると、任意の数のカラーに対応するフィルタセグメントを有していてもよい。
【0030】
図5は、画像処理ユニット(106)内の例示的な機能の拡大図を用いて、図1と同じ表示システム(100)を示す。例示的な実施形態によると、これらの機能は、ウォブリングデバイス(104)と組み合わされて、画像解像度を向上させ、表示画像内の画素の不正確さを隠す。
【0031】
1つの実施形態では、図5に示されるように、画像処理ユニット(106)は、フレームレート変換ユニット(150)および画像フレームバッファ(153)を有することができる。以下に述べるように、フレームレート変換ユニット(150)および画像フレームバッファ(153)は、画像データを受取ってバッファリングし、画像データに対応する画像フレームを形成する。また、画像処理ユニット(106)は、解像度調整機能(151)、サブフレーム生成機能(152)、およびシステムタイミングユニット(154)をさらに有していてもよい。解像度調整機能(151)は、以下に説明されるように、表示システム(100)の解像能力と一致するようにフレームの解像度を調整する。サブフレーム生成機能(152)は、画像フレームデータを処理し、画像フレームに対応する1つまたは複数の画像サブフレームを規定する。サブフレームは、以下に説明されるように、表示される画像を生成するように表示システム(100)によって表示される。システムタイミングユニット(154)は、同様に以下に説明されるように、表示システム(100)の様々な構成要素のタイミングの同期をとる。
【0032】
フレームレート変換ユニット(150)、解像度調整機能(151)、サブフレーム生成機能(152)、および/またはシステムタイミングユニット(154)を含む画像処理ユニット(106)は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、画像処理ユニット(106)の1つまたは複数の構成要素は、ロジック操作のシーケンスを実施することが可能なコンピュータ、コンピュータサーバ、または他のマイクロプロセッサに基づいたシステムに含まれる。さらに、画像処理は、表示システム(100)にわたって分散され、画像処理ユニット(106)の各部分は、別個のシステム構成要素において実施される。画像処理ユニット(106)はまた、複数の画像サブフレームを生成するように構成されたすべての電子部品を含み得る。
【0033】
1つの実施形態によると、画像データは、デジタル画像データ、アナログ画像データ、またはアナログおよびデジタルデータの組み合わせを含んでもよい。画像処理ユニット(106)は、デジタル画像データおよび/またはアナログ画像データを受取って処理するように構成されることができる。
【0034】
フレームレート変換ユニット(150)は、表示システム(100)によって表示される画像に対応する画像データを受け取り、画像データを画像フレームバッファ(153)にバッファリングするかまたは格納する。さらに具体的には、フレームレート変換ユニット(150)は、画像の個々のラインまたはフィールドを表す画像データを受け取り、画像データを画像フレームバッファ(153)にバッファリングし、表示システム(100)によって表示される画像に対応する画像フレームを形成する。画像フレームバッファ(153)は、画像フレームに対応する画像データのすべてを受け取って格納することによって画像データをバッファリングし、フレームレート変換ユニット(150)は、引き続いて、画像フレームバッファ(153)から画像フレームに対する画像データをすべて取り出すかまたは抽出することによって、画像フレームを生成することができる。このように、画像フレームは、表示システム(100)によって表示される画像全体を表す画像データの複数の個々のライン又はフィールドを含むように規定される。したがって、画像フレームは、表示システム(100)によって表示される画像を表す個々の画素の複数の列および複数の行を含む。
【0035】
フレームレート変換ユニット(150)および画像フレームバッファ(153)は、画像データを、順送り画像データおよび/またはインターレース画像データとして受け取って処理することができる。順送り画像データでは、フレームレート変換ユニット(150)および画像フレームバッファ(153)は、画像に対する画像データの連続したフィールドを受け取って格納する。したがって、フレームレート変換ユニット(150)は、画像に対する画像データの連続したフィールドを取り出すことによって画像フレームを形成する。インターレース画像データでは、フレームレート変換ユニット(150)および画像フレームバッファ(153)は、画像に対する画像データの奇数フィールドおよび偶数フィールドを受け取って格納する。たとえば、画像データの奇数フィールドはすべて受け取られて格納され、画像データの偶数フィールドはすべて受け取られて格納される。このように、フレームレート変換ユニット(150)は、画像データをインターレース解除し、画像に対する画像データの奇数および偶数フィールドを取り出すことによって画像フレームを形成する。
【0036】
画像フレームバッファ(153)は、それぞれの画像の1つまたは複数の画像フレームに対する画像データを格納するためのメモリを有する。たとえば、画像フレームバッファ(153)は、ハードディスクドライブまたは他の永久記憶デバイス等の不揮発性メモリを有するか、またはランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリを有することができる。
【0037】
フレームレート変換ユニット(150)で画像データを受け取って、画像データを画像フレームバッファ(153)にバッファリングすることによって、画像データの入力タイミングは、表示システム(100)におけるその他の構成要素(たとえば、SLM(103)、ウォブリングデバイス(104)、および表示光学部品(105))のタイミング要件から分断することができる。さらに具体的には、画像フレームに対する画像データは、画像フレームバッファ(153)によって受け取られて格納されるため、画像データは、任意の入力レートで受け取ってよい。このように、画像フレームのフレームレートは、表示システム(100)における残りの構成要素のタイミング要件に変換されることができる。たとえば、画像フレームに対する画像データは、SLM(103)のフレームレートと等しいフレームレートで画像フレームバッファ(153)から抽出されることができる。
【0038】
1つの実施形態では、画像処理ユニット(106)は、解像度調整機能(151)およびサブフレーム生成ユニット(152)を有することができる。以下に述べるように、解像度調整機能(151)は、画像フレームに対する画像データを受け取って、画像データの解像度を調整する。さらに具体的には、画像処理ユニット(106)は、元の解像度で画像フレームに対する画像データを受け取り、表示システム(100)が表示するように構成された解像度と一致するようにその画像データを処理する。例示的な実施形態では、画像処理ユニット(106)は、表示システム(100)が表示するように構成された解像度と一致するように、画像データの解像度を増加、減少、かつ/または変更しないでおく。
【0039】
1つの実施形態では、サブフレーム生成ユニット(152)は、画像フレームに対する画像データを受け取って処理し、画像フレームに対応する複数の画像サブフレームを規定する。解像度調整ユニット(151)が画像データの解像度を調整した場合、サブフレーム生成ユニット(152)は、画像データを調整された解像度で受け取る。画像サブフレームのそれぞれは、表示される画像に対応する画像データのサブセットを表すデータアレイまたはマトリクスを含む。データアレイは対応する画像フレームの画素領域と等しい画素領域に、画素の内容を規定する画素データを含む。したがって、各画像サブフレームは、以下に説明されるように、サブフレーム期間中に表示されるサブフレーム画像を規定する。以下に説明されるように、各画像サブフレームは空間的に異なる画像サブフレーム位置に表示されるため、画像サブフレームのデータアレイのそれぞれは、わずかに異なる画素データを含む。1つの実施形態では、画像処理ユニット(106)は、画像フレームおよび対応する画像サブフレームを共に生成するのに対して、表示される画像に対応する画像サブフレームを生成するだけでよい。以下、画像サブフレームについて、さらに詳細に説明する。
【0040】
上記のように、画像フレームに対応する画像サブフレームの群における各画像サブフレームは、表示される画像に対応する画素データのマトリクスまたはアレイを含む。1つの実施形態では、各画像サブフレームは、SLM(103)に入力される。SLM(103)は、サブフレームに従って光ビームを変調し、サブフレームを保持する光ビームを生成する。個々の画像サブフレームを保持する光ビームは、最終的には、表示光学部品(105)によって表示され、表示画像を形成する。しかし、サブフレームのグループ内の各画像サブフレームに対応する光がSLM(103)によって変調された後であって、各画像サブフレームが表示光学部品(105)によって表示される前に、ウォブリングデバイス(104)は、光路の位置をSLM(103)と表示光学部品(105)との間でシフトする。換言すると、ウォブリングデバイスは、各画像サブフレームが、前に表示された画像サブフレームとわずかに異なる空間位置において、表示光学部品(105)によって表示されるように、画素をシフトする。このように、所定の画像に対応する画像サブフレームは、互いに空間的にオフセットするため、各画像サブフレームは、異なる画素および/または画素の部分を含む。ウォブリングデバイス(104)は、以下に述べるように、画像サブフレームが、ある垂直距離および/または水平距離だけ互いにオフセットされるように画素をシフトすることができる。
【0041】
例示的な実施形態によると、画像に対応するサブフレームの群における画像サブフレームのそれぞれは、人間の目では画像サブフレーム間の高速な連続物を検出することができないような高レートで表示光学部品(105)によって表示される。その代わりに、画像サブフレームの高速な連続物は、単一の表示画像として現れる。以下に詳細に述べられるように、空間的に異なる位置に画像サブフレームを順次表示することによって、最終的に表示される画像の見かけの解像度は向上する。
【0042】
図6A〜図6cは、複数の画像サブフレームが特定の画像に対して生成される例示的な実施形態を示す。図6A〜図6Cに示されるように、例示的な画像処理ユニット(106)は、特定の画像に対して2つの画像サブフレームを生成する。さらに具体的には、画像処理ユニット(106)は、画像フレームに対して第1のサブフレーム(160)および第2のサブフレーム(161)を生成する。本例および次の例における画像サブフレームは、画像処理ユニット(106)によって生成されるが、画像サブフレームは、サブフレーム生成機能(152)によって、または表示システム(100)の異なる構成要素によって生成されることができることを理解されたい。第1のサブフレーム(160)および第2のサブフレーム(161)はそれぞれ、対応する画像フレームに対する画像データのサブセットのデータアレイを含む。例示的な画像処理ユニット(106)は、図6A〜図6Cの例において、2つの画像サブフレームを生成するが、2つの画像サブフレームは、画像処理ユニット(106)によって生成されることができる例示的な数の画像サブフレームであり、任意の数の画像サブフレームは、例示的な実施形態によって生成されることができることを理解されたい。
【0043】
1つの実施形態では、図6Bに示されるように、第1の画像サブフレーム(160)は、第1の画像サブフレーム位置(185)に表示される。第2のサブフレーム(161)は、ある垂直距離(163)および水平距離(164)だけ第1のサブフレーム位置(185)からオフセットした第2の画像サブフレーム位置(186)に表示される。このように、第2のサブフレーム(161)は、所定の距離だけ第1のサブフレーム(160)から空間的にオフセットされる。図6Cに示されるように、1つの例示的な実施形態では、垂直距離(163)および水平距離(164)は、それぞれ、1つの画素の約半分である。しかし、第1の画像サブフレーム位置(185)と第2の画像サブフレーム位置(186)との間の空間オフセット距離は、特定の用途に最良に作用するように変化する場合がある。別の実施形態では、第1のサブフレーム(160)および第2のサブフレーム(161)は、垂直方向または水平方向のいずれかにオフセットされるだけでもよい。例示される実施形態では、ウォブリングデバイス(104;図5)は、第1および第2のサブフレーム(160、161;図6)が、互いに垂直および水平に空間的にオフセットされるように、SLM(103;図5)と表示光学部品(105;図5)との間で光ビームをオフセットするように構成される。
【0044】
図6Cに示されるように、表示システム(100;図5)は、第1のサブフレーム(160)を第1の画像サブフレーム位置(185)に表示することと、第2のサブフレーム(161)を、第1の画像サブフレーム位置(185)から空間的にオフセットした第2の画像サブフレーム位置(186)に表示することを交互に行う。さらに具体的には、ウォブリングデバイス(104;図5)は、第2のサブフレーム(161)の表示を第1のサブフレーム(160)の表示に対して、ある垂直距離(163)および水平距離(164)だけシフトする。このように、第1のサブフレーム(160)の画素は、第2のサブフレーム(161)の画素と重なる。1つの実施形態では、表示システム(100;図5)は、第1の画像サブフレーム位置(185)において第1のサブフレーム(160)を表示し、第2の画像サブフレーム位置(186)において第2のサブフレーム(161)を表示し、その結果、見かけの解像度が向上した表示画像を形成する1つのサイクルを完了する。このように、第2のサブフレーム(161)は、空間的および時間的に第1のサブフレーム(160)に対して表示される。
【0045】
図7Aおよび図7Bは、第1のサブフレーム(160)からの画素(170)を第1の画像サブフレーム位置(185)に表示し、第2のサブフレーム(161)からの画素(171)を第2の画像サブフレーム位置(186)に表示する1つのサイクルを完了する例示的な実施形態を示す。図7Aは、第1のサブフレーム(160)からの画素(170)の第1の画像サブフレーム位置(185)への表示を示す。図7Bは、第2のサブフレーム(161)からの画素(171)の第2の画像サブフレーム位置(186)への表示を示す。図7Bにおいて、第1の画像サブフレーム位置(185)は、破線で示される。
【0046】
このように、第1および第2のサブフレーム(160、161)を生成し、図6A〜図6C、ならびに図7Aおよび図7Bに示されるように、空間的にオフセットするように2つのサブフレームを表示することによって、画像サブフレームおよびウォビュレーション(wobulation)を用いずに最終的に表示される画像を形成するために用いられる画素データの量と比較して、最終的に表示される画像を形成するために2倍の量の画素データが用いられる。したがって、2つの位置の処理では、最終的に表示される画像の解像度は、約1.4倍すなわち2の平方根だけ増加する。
【0047】
別の実施形態では、図8A〜図8Dに示されるように、画像処理ユニット(106)は、画像フレームに対して4つの画像サブフレームを規定する。より具体的には、画像処理ユニット(106)は、画像フレームに対して、第1のサブフレーム(160)、第2のサブフレーム(161)、第3のサブフレーム(180)、および第4のサブフレーム(181)を規定する。このように、第1のサブフレーム(160)、第2のサブフレーム(161)、第3のサブフレーム(180)、および第4のサブフレーム(181)はそれぞれ、対応する画像フレームに対して、画像データのサブセットのデータアレイを含む。
【0048】
第1の画像サブフレーム(160)は、第1の画像サブフレーム位置(185)に表示される。第2の画像サブフレーム(161)は、第1のサブフレーム位置(185)からある垂直距離(163)および水平距離(164)だけオフセットした第2の画像サブフレーム位置(186)に表示される。第3のサブフレーム(180)は、第1のサブフレーム位置(185)からある水平距離(182)だけオフセットした第3の画像サブフレーム位置(187)に表示される。水平距離(182)は、たとえば、水平距離(164)と同じ距離である。第4のサブフレーム(181)は、第1のサブフレーム位置(185)からある垂直距離(183)だけオフセットした第4の画像サブフレーム位置(188)に表示される。垂直距離(183)は、たとえば、垂直距離(163)と同じ距離であり得る。このように、第2のサブフレーム(161)、第3のサブフレーム(180)、および第4のサブフレーム(181)はそれぞれ、互いに空間的にオフセットし、所定の距離だけ第1のサブフレーム(160)から空間的にオフセットしている。1つの例示的な実施形態では、垂直距離(163)、水平距離(164)、水平距離(182)、および垂直距離(183)はそれぞれ、1つの画素の約半分である。しかし、4つのサブフレーム間の空間オフセット距離は、特定の用途に最良に作用するように変化する場合がある。1つの実施形態では、ウォブリングデバイス(104;図5)は、第1、第2、第3、および第4のサブフレーム(160、161、180、181;図6)が、互いに空間的にオフセットするように、SLM(103;図5)と表示光学部品(105;図5)との間で光のビームをオフセットさせるように構成されている。
【0049】
1つの実施形態では、表示システム(100;図5)は、第1のサブフレーム(160)を第1の画像サブフレーム位置(185)に表示し、第2のサブフレーム(161)を第2の画像サブフレーム位置(186)に表示し、第3のサブフレーム(180)を第3の画像サブフレーム位置(187)に表示し、第4のサブフレーム(181)を第4の画像サブフレーム位置(188)に表示し、その結果、見かけの解像度が向上した表示画像を形成する1つのサイクルを完了する。このように、第2のサブフレーム(161)、第3のサブフレーム(180)、および第4のサブフレーム(181)の表示は、互いにおよび第1のサブフレーム(160)に対して空間的および時間的に変位される。
【0050】
図9A〜図9Dは、第1のサブフレーム(160)からの画素(170)を第1の画像サブフレーム位置(185)に表示し、第2のサブフレーム(161)からの画素(171)を第2の画像サブフレーム位置(186)に表示し、第3のサブフレーム(180)からの画素(190)を第3の画像サブフレーム位置(187)に表示し、第4のサブフレーム(170)からの画素(191)を第4の画像サブフレーム位置(188)に表示する1つのサイクルを完了する例示的な実施形態を示す。図9Aは、第1のサブフレーム(160)からの画素(170)の第1の画像サブフレーム位置(185)への表示を示す。図9Bは、第2のサブフレーム(161)からの画素(171)の第2の画像サブフレーム位置(186)への表示を示す(第1の画像サブフレーム位置は、破線で示される)。図9Cは、第3のサブフレーム(180)からの画素(190)の第3の画像サブフレーム位置(187)への表示を示す(第1の画像サブフレーム位置および第2の画像サブフレーム位置は、破線で示される)。最後に、図9Dは、第4のサブフレーム(170)からの画素(191)の第4の画像サブフレーム位置(188)への表示を示す(第1の画像サブフレーム位置、第2の画像サブフレーム位置、および第3の画像サブフレーム位置は、破線で示される)。
【0051】
このように、4つの画像サブフレームを生成し、図8A〜図8Dおよび図9A〜図9Dに示されるように空間的にオフセットするように4つのサブフレームを表示することによって、画像サブフレームを用いずに最終的に表示される画像を形成するために用いられる画素データの量と比較して、4倍の量の画素データが最終的に表示される画像を形成するために用いられる。この結果、4つの位置の処理で、最終的に表示される画像の解像度は、2倍すなわち4の平方根だけ増加する。
【0052】
したがって、図6〜図9の例によって示されるように、1つの画像フレームに対して複数の画像サブフレームを生成し、画像サブフレームを互いに対して空間的および時間的に表示することによって、表示システム(100;図5)は、SLM(103;図5)が表示するように構成された解像度よりも高い解像度で表示画像を生成することができる。1つの例示的な実施形態では、たとえば、画像データが800画素×600画素の解像度を有し、SLM(103;図5)が800画素×600画素の解像度を有する場合、画像データの解像度調整を有する表示システム(100;図5)による4つの位置の処理によって、1600画素×1200画素の解像度の表示画像が生成される。
【0053】
さらに、画像サブフレームの画素を重ねることによって、表示システム(100;図5)は、たとえば、欠陥画素によって生じる望ましくない視覚的な効果を低減することができる。たとえば、4つのサブフレームがサブフレーム生成機能(152;図5)によって生成され、互いに対してオフセットした位置で表示される場合、4つのサブフレームは、欠陥画素の望ましくない効果を効果的に分散する。なぜなら、表示される画像の異なる部分は、各サブフレームにおける欠陥画素と関連しているからである。欠陥画素は、「オン」または「オフ」位置のみを示す画素、意図されたよりも低い強度または高い強度をなす画素、および/または整合性のないまたはランダムな動作を有する画素等の、異常なまたは作動しない表示画素を含むものとして定義される。
【0054】
図5に戻ると、1つの実施形態では、画像処理ユニット(106)は、システムタイミングユニット(154)を有する。別の実施形態では、システムタイミングユニット(154)は、表示システム(100)の別個の構成要素であり、画像処理ユニット(106)とは一体化されない。しかし、説明の目的のために、図5の例示的な表示システム(100)は、画像処理ユニット(106)と一体化されるシステムタイミングユニット(154)を用いて述べられる。システムタイミングユニット(154)は、たとえば、フレームレート変換ユニット(150)、解像度調整機能(151)、サブフレーム生成機能(152)、スクローリングカラーデバイス(102)、SLM(103)、およびウォブリングデバイス(104)と通信する。例示的な実施形態では、システムタイミングユニット(154)は、画像フレームを形成するための画像データのバッファリングおよび変換、画像データの解像度を表示システム(100)の解像度に調整するための画像フレームの処理、サブフレームの生成、画像サブフレームの変調、ならびに画像サブフレームの表示および位置決めを同期させる。したがって、システムタイミングユニット(154)は、画像サブフレームのグループ全体が、最終的に表示される画像を正確に表示するように、表示光学部品(105)によって異なる位置に時間的および空間的に表示されるように、表示システム(100)のタイミングを制御する。
【0055】
図10は、1つの例示的な実施形態による、スクローリングカラーを容易にするためのスクローリングカラーデバイス(102;図5)およびウォブリングデバイス(104;図5)、解像度の向上、および同じ表示システム(100;図5)における画素エラーの隠蔽の例示的な同期化を示す。図10は、画像フレーム期間Tにおける異なる時刻での単一の画素のカラーを示す。図10に示されるように、特定の画像フレームに対応する複数の画像サブフレームは、画像フレーム期間T内に表示される。換言すると、複数の画像サブフレームによって規定される複数の画像は、画像フレーム期間T中に表示される。以下および添付の特許請求の範囲において、画像サブフレームによって規定される画像を、「サブフレーム画像」と呼ぶ。
【0056】
画像フレーム期間Tは、フレームの対応する画像サブフレームのすべてを表示するために必要な時間量である。図10の例示的な実施形態では、サブフレーム生成機能(152;図5)、すなわち、第1のサブフレーム(160)および第2のサブフレーム(161)によって生成される2つの画像サブフレームがある。図6A〜図6Cに関連して説明したように、2つの画像サブフレームは、サブフレーム生成機能(152)によって生成され得る例示的な数の画像サブフレームであり、フレームに対する任意の数の画像サブフレームが必要に応じて生成されることができることを理解されたい。
【0057】
図10に示されるように、第1の画像サブフレーム(160)は、時刻0と時刻T/2との間に表示され、第2の画像サブフレーム(161)は、時刻T/2と時刻Tとの間に表示される。このように、画像サブフレーム期間、すなわち時間枠は、1つのフレームに対して2つの画像サブフレームが生成され、表示されるT/2である。しかし、フレーム毎に2つより多くの画像サブフレームが生成され、表示される場合、画像サブフレーム期間はそれに応じて変化する。1つの実施形態では、フルカラースペクトル、すなわち完全なカラーサブフレームは、各画像フレーム期間T中に整数回起こる。換言すると、スクローリングカラーデバイス(102;図5)は、各画像サブフレーム期間T/2中に1度だけ、各カラーをスクロールし、その結果、完全なカラーサブフレームが形成されるように構成されることができる。本明細書および添付の特許請求の範囲では、各カラーを1度スクロールするために必要な時間を、「スクローリングカラー期間」と呼ぶ。たとえば、図10は、スクローリングカラーデバイス(102;図5)が第1のサブフレーム(160)期間中に1度、および第2のサブフレーム(161)期間中に1度、原色である赤(114)、緑(115)および青(116)を一巡するように構成されているのを示す。当業者に理解されるように、原色である赤(114)、緑(115)、および青(116)が特定の画素にわたってスクロールされる順序は、特定の用途に最良に作用するように変化することができる。
【0058】
1つの実施形態では、画像フレーム期間Tおよび対応する画像サブフレーム期間はまた、SLM(103;図5)が画像フレームに対応する画像サブフレームを保持する光を変調するために必要な時間を表す。
【0059】
当業者には理解されるように、各特定の画素は、SLM(103;図5)における位置に応じて、所定の時間に、その上に集束される異なるカラーシーケンスを有し得る。さらに、各画像サブフレーム期間中に特定の画素にわたってスクロールされることができる異なるカラーの数は、任意の数であってよい。たとえば、図11に示されるように、スクローリングカラーデバイス(102;図5)は、3つの原色の代わりに、5つのカラーを生成するように構成されることができる。5つのカラーは、たとえば、任意の順序の赤(114)、黄(117)、緑(115)、シアン(118)、および青(116)であってよい。この場合、図11に示されるように、スクローリングカラーデバイス(102;図5)は、第1のサブフレーム(160)期間中に1度、および第2のサブフレーム(161)期間中に1度、5つのカラーを一巡するように構成されている。
【0060】
別の実施形態では、スクローリングカラーデバイス(102;図5)によって生成されるカラーは、特定の画像サブフレーム期間中に複数回、所定の画素にわたってスクロールされてもよい。たとえば、図12に示されるように、スクローリングカラーデバイス(102;図5)は、第1のサブフレーム(160)期間中に5回、および第2のサブフレーム(161)期間中に5回、任意の順序で、原色である赤(114)、緑(115)、および青(116)を一巡する。スクローリングカラーデバイス(102;図5)が特定のサブフレーム期間中に各カラーをスクロールする回数は、変化してもよく、特定の用途に最良に作用する任意の数であればよい。図12に関連して説明される実施形態は、限定はされないが、非常に高速にスクローリングするカラーを提供する表示システムにおいて用いられることができる。さらに、図12に関連して説明される実施形態は、任意の数の異なるカラーをスクロールするスクローリングカラーデバイスを用いる表示システムにおいて実施されることができる。
【0061】
1つの実施形態では、システムタイミングユニット(154;図5)は、図10〜図12に関連して述べられるように、1つまたは複数のフルカラースペクトルが所定の画像サブフレーム期間中に表示されるように、スクローリングカラーデバイス(102;図5)およびウォブリングデバイス(104;図5)を同期させる。同期化されない場合、スクローリングデバイスは、特定のサブフレーム期間中に変調器(103;図5)にわたって不完全なカラースペクトルを望ましくないようにスクロールすることがある。システムタイミングユニット(154;図5)は、同期化を成し遂げるために様々な技法を用いることができる。たとえば、フィードバック制御ループは、同期化を成し遂げるために用いられることができる。他の同期化技法は、特定の用途に最良に作用するように用いられることができる。
【0062】
図13は、1つの例示的な実施形態に従って画像を表示するための例示的な方法を示すフローチャートである。まず、画像を規定する画像データが処理される(ステップ200)。次に、画像データに対応する複数の画像サブフレームが生成される(ステップ201)。次に、複数のカラーは、変調器面にわたってスクロールされ、画像サブフレームを保持する光ビームを生成する(ステップ202)。次に、画像サブフレームは、互いに空間的に異なる位置に順次表示され、表示画像を形成する(ステップ203)。
【0063】
図13に示されるステップに対するさらなるステップは、例示的な方法で実施されることができる。1つの実施形態では、図14に示されるように、ウォブリングデバイス(104;図5)を用いて変調器面にわたって複数のカラーをスクロールすることを同期させるさらなるステップ(ステップ204)は、画像を表示するための例示的な方法の一部として含まれてもよい。同期化は、1つまたは複数のフルカラースペクトルが、上記で説明されるように所定の画像サブフレーム期間中に表示されるように実施されることができる。
【0064】
上記の説明は、本発明の実施形態を示し説明するためだけに提示されている。これは排他的なものではなく、本発明を開示される形態にそのまま限定することを意図していない。上記の教示に照らして、多くの変更および変形が可能である。本発明の範囲は、添付の特許請求項によって規定されることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100 表示システム
101 光源
102 スクローリングカラーデバイス
103 空間光変調器
104 ウォブリングデバイス
105 表示光学部品
106 画像処理ユニット
113 変調器面
140 カラーフィルタホイール
141 光ビーム
160 第1のサブフレーム
161 第2のサブフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための表示システムであって、
画像データを処理し、該画像データに対応する複数の画像サブフレームを生成するように構成された画像処理ユニットと、
前記画像サブフレームに従って光ビームを変調するように構成された変調器と、
前記変調器の面にわたって複数のカラーをスクロールし、前記複数の画像サブフレームを保持するカラー光ビームを生成するように構成されたスクローリングカラーデバイスと、
前記カラー光ビームから前記画像を表示するように構成された表示光学部品と、
前記画像サブフレームが変化する空間オフセットで表示されるように、前記カラー光ビームを変位するように構成されたウォブリングデバイスと、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記スクローリングカラーデバイスは、前記複数の画像サブフレームのそれぞれに対応する画像サブフレーム期間中に整数回だけ、前記変調器の前記面にわたって前記複数のカラーをスクロールすることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
画像データに基づいて画像を表示するための表示システムであって、
前記画像データに基づいて、第1のサブフレーム画像および少なくとも第2のサブフレーム画像を含む複数のサブフレーム画像を規定するように構成された画像処理ユニットと、
複数のカラーを含むスクローリングカラー光ビームを生成するように構成されたスクローリングカラーデバイスと、
前記複数のサブフレーム画像に基づいて、前記スクローリングカラー光ビームを受け取って変調するように設けられた空間光変調器と、
前記第1のサブフレーム画像が前記第2のサブフレーム画像から空間的にオフセットするように、前記サブフレーム画像を交互に表示させるように構成されたウォブリングデバイスと、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項4】
前記空間光変調器は、
制御可能な画素要素のアレイを含む面を備え、
前記スクローリングカラー光ビームは、前記制御可能な画素要素にわたって前記複数のカラーのセグメントをスクロールする、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
画像フレームを規定する画像フレームデータに基づいて、画像フレーム期間中に画像を表示するための表示システムであって、
前記フレームデータに基づいて、それぞれが前記フレーム期間中に別個のサブフレーム画像のそれぞれを規定する複数のサブフレームデータアレイを生成するように構成された画像処理電子部品と、
前記サブフレームデータアレイに基づいて光ビームを生成するように構成された空間光変調器と、
前記光ビームの前記生成中に、前記空間光変調器にわたって複数のカラーをスクロールするように構成されたスクローリングカラーデバイスと、
前記フレーム期間中に前記サブフレーム画像のそれぞれの相対的な変位を行うように構成されたウォブリングデバイスと、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項6】
フレーム期間中に画像を表示するための表示システムであって、
前記フレーム期間中に光を変調して少なくとも2つのサブフレーム画像を提供するように構成された空間光変調器と、
前記フレーム期間中に前記光変調器にわたって複数のカラーをスクロールするように構成された光源と、
前記フレーム期間中に前記サブフレーム画像の相対的な変位を行うように構成されたウォブリングデバイスと、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項7】
画像を表示する方法であって、
前記画像を規定する画像データを処理し、前記画像データに対応する複数の画像サブフレームを生成するステップと、
前記複数の画像サブフレームを保持する光ビームを変調器を用いて生成するステップと、
前記光ビームが、前記複数の画像サブフレームを保持するカラー光ビームを含むように、前記光ビームの前記生成中に、前記変調器の面にわたって複数のカラーをスクロールするステップと、
前記カラー光ビームを表示し、前記画像を形成するステップと、
前記複数の画像サブフレームのそれぞれが、他の前記画像サブフレームからオフセットした画像サブフレーム位置に空間的に表示されるように、前記カラー光ビームを変位するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
画像データに基づいて画像を生成する方法であって、
入力される前記画像データに基づいて、少なくとも第1のサブフレームおよび第2のサブフレームを含む前記複数のサブフレームを規定するステップと、
スクローリングカラー光ビームを生成するステップと、
前記複数のサブフレームに基づいて、前記スクローリングカラー光ビームを変調器を用いて変調し、変調された光ビームを生成するステップと、
前記変調された光ビームが前記複数のサブフレームに対応する複数のサブフレーム位置の間に表示されるように、前記変調された光ビームを変位させ、ビューイング面に前記変調された光ビームを投影するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記スクローリングカラー光ビームを生成するステップと、前記変調された光ビームを変位させるステップとを同期させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の画像データに基づいて画像を生成する方法。
【請求項10】
フレーム期間中に画像を生成する方法であって、
光ビームにわたって光のカラーセグメントをスクロールするステップと、
前記光ビームを変調し、少なくとも2つのサブフレーム画像を提供するステップと、
前記2つのサブフレーム画像をビューイング面に表示するステップと、
前記2つのサブフレーム画像が互いに対して変位されるように前記光ビームを変位させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−139968(P2009−139968A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12093(P2009−12093)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2004−299672(P2004−299672)の分割
【原出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】