説明

スクロール式流体機械

【課題】 高圧側の旋回スクロールを大型化することなく、スラスト方向の変形を防止し、スクロール式流体機械を小型化、軽量化できるようにする。
【解決手段】 低圧段,高圧段の旋回スクロール28A,28Bとケーシング2との間に偏心ブッシュウエイト21A,21Bと自転防止機構35A,35Bとをそれぞれ設ける構成とする。従って、旋回スクロール28A,28Bの回転バランスを専用の偏心ブッシュウエイト21A,21Bによって整えることができる。また、旋回スクロール28A,28Bに作用するスラスト荷重を自転防止機構35A,35Bによって受承することができる。これにより、大きなスラスト荷重が作用する高圧段の旋回スクロール28Bでも、変形を防止するための構造変更による大型化を防止でき、スクロール式空気圧縮機1全体を小型化、軽量化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気等の流体を圧縮するのに好適に用いられるスクロール式流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、低圧側と高圧側の2段階で空気を圧縮する2段式のスクロール式流体機械は、軸方向に延びる筒状のケーシングと、該ケーシングの両端側にそれぞれ固定して設けられ表面に渦巻状のラップ部が立設された低圧側、高圧側の固定スクロールと、該低圧側、高圧側の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ前記ケーシングの軸線と等しく配置された出力軸を有する電動機と、前記低圧側、高圧側の固定スクロールと対向するように該電動機の出力軸の両端側に設けられ表面に前記低圧側、高圧側の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された低圧側、高圧側の旋回スクロールとにより大略構成されている。また、低圧側の圧縮室と高圧側の圧縮室との間には、低圧側の圧縮室から吐出された圧縮空気を高圧側の圧縮室に吸込ませるために該各圧縮室間を連通する配管等の連通路が設けられている。
【0003】
ここで、低圧側の旋回スクロールとケーシングとの間には、旋回スクロールの自転を防止すると共に、該旋回スクロールに作用するスラスト荷重を受承する自転防止機構が設けられている。
【0004】
一方、ケーシングと高圧側の固定スクロールとの間には、高圧側の旋回スクロールの裏面側に位置して背圧室を画成し、この背圧室に低圧側の圧縮室から吐出された圧縮空気を中間圧力として流入させることにより、高圧側の旋回スクロールの圧力バランスをとってスラスト荷重を低減している。このときに、高圧側の旋回スクロールの中央部分は、電動機の出力軸によってスラスト方向に位置決めすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−116471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のスクロール式流体機械では、高圧側の旋回スクロールの外周側に作用するスラスト荷重を受承するための機構が存在しないから、旋回スクロールが変形して圧縮漏れを生じる虞があり、圧縮効率が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、旋回スクロールの変形を抑えるために、鏡板の厚さ寸法を増大して剛性を高めることが考えられるが、この場合には、旋回スクロールが大型化し、その質量も増大するから、スクロール式流体機械の小型化、軽量化の妨げとなっている。
【0008】
本発明の目的は、高圧側の旋回スクロールを大型化することなく、スラスト方向の変形を防止することにより、小型化、軽量化できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明が採用する構成の特徴は、低圧側の旋回スクロールとケーシングとの間には、旋回スクロールの回転バランスを整える低圧側の偏心ブッシュウエイトと旋回スクロールの自転を防止する低圧側の自転防止機構とを設け、高圧側の旋回スクロールとケーシングとの間には、旋回スクロールの回転バランスを整える高圧側の偏心ブッシュウエイトと旋回スクロールの自転を防止する高圧側の自転防止機構とを設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低圧側と高圧側の旋回スクロールの回転バランスを専用の偏心ブッシュウエイトによって整えることができる。また、各旋回スクロールに作用するスラスト荷重は、専用の自転防止機構によって受承することができる。特に、高圧の圧縮空気によって大きなスラスト荷重が作用する高圧側の旋回スクロールにおいても、剛性を高めるための構造変更等を行うことなく、高圧側の自転防止機構によって鏡板等の変形を防止することができる。これにより、高圧側の旋回スクロールが大型化するのを防止でき、スクロール式流体機械全体を小型化、軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による2段式のスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中のシール部材等を示す要部拡大の断面図である。
【図3】低圧側のスクロールを用いて1段式のスクロール式空気圧縮機を構成した状態を示す縦断面図である。
【図4】高圧側のスクロールを用いて1段式のスクロール式空気圧縮機を構成した状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の変形例による低圧側のスクロールを用いた1段式のスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械を、低圧側の圧縮部と高圧側の圧縮部とを有する2段式のスクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図4に従って詳細に説明する。
【0013】
図1において、1は本実施の形態による2段式のスクロール式空気圧縮機を示している。このスクロール式空気圧縮機1は、後述のケーシング2、固定スクロール9A,9B、電動モータ14、回転軸17、偏心ブッシュウエイト21A,21B、旋回スクロール28A,28B、自転防止機構35A,35B、シール部材40等により構成されている。
【0014】
なお、スクロール式空気圧縮機1は、1段目となる低圧側と2段目となる高圧側とがほぼ同一の構成要素を有しているから、以下の説明では、低圧段側の構成要素に符号「A」を付し、高圧段側の構成要素に符号「B」を付して説明する。また、低圧段と高圧段とで説明が重複するのを避けるため、主に低圧段側の構成要素について説明し、高圧断側の構成要素は、特徴を備えた構成要素についてのみ説明し、その他の構成要素については説明を省略するものとする。
【0015】
2はスクロール式空気圧縮機1の外枠を形成する筒状のケーシングである。このケーシング2は、図1中の左,右方向に延びる軸線O1−O1を中心とする段付円筒体として形成されている。ケーシング2の右,左両端側には、左,右方向で対称となるように軸受取付体3A,3Bが設けられている。
【0016】
低圧段側となる右側に位置する軸受取付体3Aは、大径筒部4Aと小径な軸受筒部5Aとにより二重筒状に形成されている。各筒部4A,5A間には、周方向の複数個所、例えば3箇所にカップリング収容穴6Aが設けられている。一方、大径筒部4Aには、空気(大気)が流入する空気流入口7Aが形成され、該空気流入口7Aから流入する空気は、後述する固定スクロール9Aと旋回スクロール28Aの外周側の隙間を通じて最外周側の圧縮室34Aに供給される。さらに、軸受筒部5Aのケーシング2側は、縮径されて回転軸挿通孔8Aとなっている。
【0017】
ここで、高圧段側となる左側に位置する軸受取付体3Bに設けた流入口7Bは、後述の連通配管43を介して背圧室39に低圧側の圧縮室34Aから吐出された圧縮空気を流入させるための圧縮流体流入口としての圧縮空気流入口となっている。
【0018】
9Aはケーシング2の軸受取付体3A側に設けられた低圧段の固定スクロールで、該固定スクロール9Aは、中心がケーシング2の軸線O1−O1と一致するように配設された略円板状の鏡板10Aと、該鏡板10Aの表面に立設された渦巻状のラップ部11Aと、鏡板10Aの外周側から該ラップ部11Aを取囲むように軸方向に突出した筒部12Aとにより大略構成されている。固定スクロール9Aの鏡板10Aには、その中心側(軸線O1−O1上)に位置して圧縮空気の流出口13Aが設けられている。そして、固定スクロール9Aは、筒部12Aの開口側が軸受取付体3Aの大径筒部4Aにボルト等を介して取付けられている。
【0019】
ここで、高圧段の固定スクロール9Bのラップ部11Bは、低圧段,高圧段の旋回スクロール28A,28Bが同じ旋回半径をもって旋回動作されることから、低圧側のラップ部11Aと同じ渦巻形状に形成され、圧力を高めるために高さ寸法だけが小さく形成されている。
【0020】
14はケーシング2内に設けられた電動機としての電動モータである。この電動モータ14は、ケーシング2の内周側に固定された永久磁石等からなるステータ15と、該ステータ15の内周側に回転可能に配設された筒状のロータ16等とにより構成されている。電動モータ14は、ステータ15およびロータ16の軸線がケーシング2の軸線O1−O1と同一軸線上に配置され、この軸線O1−O1を中心として後述の回転軸17を回転駆動するものである。
【0021】
17は電動モータ14によって回転駆動される出力軸としての回転軸である。この回転軸17は、軸受取付体3A,3Bの軸受筒部5A,5B内に主軸受18A,18Bを介して回転可能に支持されている。回転軸17は、電動モータ14のロータ16内に圧入等の手段を用いて嵌合され、軸線O1−O1を中心として回転するものである。
【0022】
回転軸17には、左,右方向で対称となる低圧段側の軸端部,高圧段側の軸端部にそれぞれ雌ねじ穴19A,19Bが形成されている。この雌ねじ穴19A,19Bは、後述する偏心ブッシュウエイト21A,21Bを取付けるためのボルト27A,27Bが螺着されるものである。また、雌ねじ穴19A,19Bは、回転軸17の軸線O1−O1に対して同じ方向に同じ距離だけ偏心した位置、例えば回転軸17の軸線O1−O1に対して寸法δだけ偏心した軸線O2−O2の位置に配置されている。これにより、雌ねじ穴19A,19Bにボルト27A,27Bを用いて取付けられる偏心ブッシュウエイト21A,21Bは、中心からずれたボルト27A,27Bによって回止め状態で取付けることができ、また回転軸17に対して周方向で同一位置に取付けることができる。
【0023】
さらに、回転軸17のうち、高圧側となる左側には、後述するシール部材40の一部を構成する環状の凹溝20が設けられている。この凹溝20は、高圧側となる軸受取付体3Bの回転軸挿通孔8Bの内面と対面する位置に配置されている。凹溝20内には、回転軸挿通孔8Bとの間を気密にシールするために、後述の弾性リング41とバンド部材42が収容される。
【0024】
21Aは回転軸17の右端部に設けられた偏心ブッシュウエイトで、該偏心ブッシュウエイト21Aは、ケーシング2等の軸線O1−O1に対して寸法δだけ偏心した軸線O2−O2上に後述の旋回スクロール28Aを配置するものである。そして、偏心ブッシュウエイト21Aは、回転軸17に対して旋回スクロール28Aを偏心した位置に配置する偏心部位と、該偏心部位の外周側に設けられた重錘部位とにより構成されている。
【0025】
偏心ブッシュウエイト21Aの偏心部位は、軸線O1−O1を中心として電動モータ14側に配置され回転軸17が挿嵌される主軸穴22Aと、該主軸穴22Aから寸法δだけ偏心した軸線O2−O2を中心として固定スクロール9A側に配置され後述のワッシャ26Aが挿嵌される旋回軸穴23Aとを有し、該旋回軸穴23Aを取囲むように軸受収容筒24Aが突設されている。一方、偏心ブッシュウエイト21Aには、主軸穴22Aに対する旋回軸穴23Aの偏心方向とは反対側に位置してウエイト部25Aが設けられている。このウエイト部25Aは、旋回スクロール28Aと反対側となる電動モータ14側に延びた円弧状の重錘として形成されている。
【0026】
偏心ブッシュウエイト21Aは、主軸穴22Aに回転軸17の右端部を挿嵌した後、旋回軸穴23Aにワッシャ26Aを嵌め込み、このワッシャ26Aに挿通したボルト27Aを回転軸17の雌ねじ穴19Aに螺着する。これにより、偏心ブッシュウエイト21Aを回転軸17に取付けることができる。
【0027】
なお、低圧段(低圧側)の偏心ブッシュウエイト21Aと高圧段(高圧側)の偏心ブッシュウエイト21Bとは、左,右方向で対称に配置され、例えば同一部材とすることで、重心位置G1,G2が同一位置であり、ウエイト部25A,25Bの質量も等しくなっている。しかも、低圧段,高圧段の偏心ブッシュウエイト21A,21Bは、回転軸17に対して周方向で同一位置(同位相ともいう)に取付けられている。
【0028】
28Aは固定スクロール9Aと対面してケーシング2内に旋回可能に設けられた低圧段の旋回スクロールである。この低圧段の旋回スクロール28Aは、略円板状に形成された鏡板29Aと、該鏡板29Aの表面に立設された渦巻状のラップ部30Aとにより大略構成されている。また、高圧段の旋回スクロール28Bも、略円板状に形成された鏡板29Bと渦巻状のラップ部30Bと、前記鏡板29Aの背面(ラップ部30Aと反対側の面)側に突設された筒状のボス部31Aとにより大略構成されている。このボス部31Aは、偏心ブッシュウエイト21Aの軸受収容筒24A内に旋回軸受32Aを介して取付けられる。
【0029】
また、旋回スクロール28Aの背面の外径側には、後述する自転防止機構35Aの第2のスラスト受37Aが嵌合して取付けられる取付凹部33Aが周方向の複数個所、例えば3箇所(図1中に1個のみ図示)が設けられ、これらの取付凹部33Aは、軸受取付体3Aのカップリング収容穴6Aと対応する位置に配置されている。
【0030】
一方、旋回スクロール28Aのボス部31Aは、その中心が固定スクロール9Aの中心(軸線O1−O1)に対して寸法δだけ径方向に偏心した軸線O2−O2上に配置されている。この状態で、旋回スクロール28Aのラップ部30Aは、固定スクロール9Aのラップ部11Aと重なり合うように配置され、これらのラップ部22A,30Aの間には、複数個の圧縮室34Aが形成されている。
【0031】
そして、旋回スクロール28Aは、後述の電動モータ14により回転軸17、偏心ブッシュウエイト21Aを介して駆動され、自転防止機構35Aによって自転が規制された状態で固定スクロール9Aに対し旋回動作を行う。これにより、外径側に画成された圧縮室34Aは、空気流入口7Aからの空気を吸込み、この空気を各圧縮室34A内で連続的に圧縮する。そして、所定圧まで圧縮された空気は、中央側の圧縮室34Aから固定スクロール9Aの流出口13Aを介して後述の連通配管43に吐出される。
【0032】
ここで、低圧段の旋回スクロール28Aと高圧段の旋回スクロール28Bとは、同一形状の偏心ブッシュウエイト21A,21Bによって旋回動作されるものであるから、旋回半径が等しくなっている。しかも、各旋回スクロール28A,28Bは、それぞれの質量が等しく、重心位置G3,G4がほぼ同一位置となるように形成されている。
【0033】
具体的には、高圧段の旋回スクロール28Bに設けたラップ部30Bは、低圧段の旋回スクロール28Aのラップ部30Aと同じ渦巻き形状に形成されているから、中間圧まで圧縮された空気をさらに圧縮するために、高さ寸法が低く形成されている。これに伴ってラップ部30Bの質量が小さくなるから、鏡板29Bの厚さ寸法等を大きくして質量を増やすことで、高圧段の旋回スクロール28Bと低圧段の旋回スクロール28Aとを同じ質量にしている。
【0034】
35Aはケーシング2の軸受取付体3Aと旋回スクロール28Aの鏡板29A背面との間に設けられた複数個、例えば3個の自転防止機構(1個のみ図示)である。これらの自転防止機構35Aは、ボールカップリング機構により構成されている。自転防止機構35Aは、旋回スクロール28Aの自転を防止し、かつスラスト荷重を受承するもので、軸受取付体3Aのカップリング収容穴6Aと旋回スクロール28Aの取付凹部33Aとの間にそれぞれ配設されている。
【0035】
即ち、ボールカップリング機構からなる自転防止機構35Aは、軸受取付体3Aのカップリング収容穴6Aの底部に挿嵌された第1のスラスト受36Aと、該第1のスラスト受36Aと軸方向で対向して旋回スクロール28Aの取付凹部33Aに挿嵌された第2のスラスト受37Aと、第1,第2のスラスト受36A,37A間に転動可能に設けられた鋼球等からなる球体38Aとを含んで構成されている。
【0036】
これにより、自転防止機構35Aは、各圧縮室34A内の圧力によって旋回スクロール28Aの鏡板29A等に作用するスラスト荷重を、スラスト受36A,37Aと球体38Aを介してケーシング2側に受承させることができる。また、自転防止機構35Aは、スラスト受36A,37Aに形成した円形の軌道(図示せず)に沿って球体38Aを転動させることにより、旋回スクロール28Aの自転を防止している。なお、低圧段の自転防止機構35Aと高圧段の自転防止機構35Bとは、同一部材を左,右対称に配置しているものである。
【0037】
39は高圧段側で軸受取付体3Bと固定スクロール9Bとの間に位置して旋回スクロール28Bの裏面側に画成された背圧室である。この背圧室39は、低圧段の圧縮室34Aから吐出された中間圧の圧縮空気を圧縮空気流入口7Bを通じて流入させることにより、この圧縮空気によって旋回スクロール28Bを押圧し、スラスト荷重を受承するものである。
【0038】
40は高圧段側の軸受取付体3Bと回転軸17との間、即ち、回転軸17の凹溝20に設けられたシール部材を示している。このシール部材40は、背圧室39内の空気が電動モータ14内に漏れないように、気密に保持するものである。シール部材40は、図2に示すように、軸受取付体3Bの回転軸挿通孔8Bに対応するように回転軸17に設けた前述の凹溝20と、該凹溝20に収容された弾性リング41と、該弾性リング41の外周側に設けられた環状のバンド部材42とにより構成されている。
【0039】
ここで、弾性リング41は、バンド部材42を回転軸挿通孔8Bの内面に押付けるもので、Oリングと呼ばれる一般的なゴムリングを用いることができる。一方、バンド部材42は、例えば自己潤滑性を有する樹脂材料からなる帯状体を円環状に丸めて形成され、回転軸挿通孔8Bの内面に摺動自在に面接触するものである。
【0040】
43は低圧段の圧縮室34Aと高圧段の圧縮室34Bとを連通させる連通路としての連通配管である。この連通配管43は、ケーシング2の外側に位置して低圧段の固定スクロール9Aと高圧段側の軸受取付体3Bとの間に設けられた金属配管等により構成されている。そして、連通配管43は、上流側の端部が固定スクロール9Aの流出口13Aに接続され、下流側の端部が軸受取付体3Bの圧縮空気流入口7Bに接続されている。
【0041】
連通配管43の途中には、圧縮熱等によって温度上昇した中間圧の圧縮空気を冷やすためのインタクーラ44が設けられている。このインタクーラ44は、圧縮熱によって熱膨張した圧縮空気の体積を縮小させることができ、後段の圧縮室34Bによる圧縮効率を高めることができる。
【0042】
次に、2段式のスクロール式空気圧縮機1を稼働したときの回転バランスの整え方について説明する。
【0043】
スクロール式空気圧縮機1の重心位置は、全体の中心部となる軸線O1−O1上の位置G0に位置している。この重心位置G0から偏心ブッシュウエイト21A,21Bの重心位置G1,G2までの距離寸法は同じ寸法L1となっている。さらに、重心位置G0から旋回スクロール28A,28Bの重心位置G3,G4までの距離寸法は同じ寸法L2となっている。
【0044】
ここで、低圧段の旋回スクロール28Aと偏心ブッシュウエイト21Aとを回転駆動したときには、旋回スクロール28Aの偏心質量Mが旋回半径Rによる遠心力によって径方向外側に向かうモーメントF1を発生する。このモーメントF1の大きさは、MR×L2で表すことができる。一方、偏心ブッシュウエイト21Aの偏心質量mが旋回半径rによる遠心力によって、旋回スクロール28AのモーメントF1と反対方向に向かうモーメントF2を発生し、このモーメントF2は、mr×L1で表すことができる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、旋回スクロール28AのモーメントF1と偏心ブッシュウエイト21AのモーメントF2とを等しくし(F1=F2)、低圧段側のバランスを整えるようにしている。
【0046】
同様に、高圧段側でも、旋回スクロール28BのモーメントF1と偏心ブッシュウエイト21BのモーメントF2とを等しくすることにより、高圧段側のバランスを整えることができる。
【0047】
一般的に、2段式のスクロール式空気圧縮機1は、3個の偏心質量によって回転バランスを整えることができる。これに対し、本実施の形態では、低圧側と高圧側でそれぞれ2個の偏心質量を設け、合計で4個設ける構成としている。この構成は、後述するように低圧段または高圧段のいずれかを省略することで1段式のスクロール式空気圧縮機51,61を形成する場合に、1個の偏心質量を加えるだけで、容易に回転バランスを整えられる構成となっている。
【0048】
次に、2段式のスクロール式空気圧縮機1の構成部材を利用し、1段式のスクロール式空気圧縮機51を製造する場合について説明する(図3参照)。この1段式のスクロール式空気圧縮機51は、高圧段のスクロール9B,28Bを省略することにより、低圧段のスクロール9A,28Aだけを備えている。
【0049】
スクロール式空気圧縮機51は、高圧段側の軸受取付体3Bに低圧段の固定スクロール9Aを取付け、この固定スクロール9Aに対面するように旋回スクロール28Aを偏心ブッシュウエイト21Bに取付ける。一方、低圧段側では、取外した軸受取付体3Aに代えて段付筒状の蓋体52を取付け、軸受53によって回転軸17を支持する。さらに、回転軸17の右端部にバランスウエイト54を取付けることにより、1段式のスクロール式空気圧縮機51を製造することができる。なお、背圧室39は大気圧となるために、回転軸17のシール部材40は省略されている。
【0050】
ここで、1段式のスクロール式空気圧縮機51を稼働したときの回転バランスの整え方について説明する。
【0051】
スクロール式空気圧縮機51の重心位置は、全体の中心部となる軸線O1−O1上の位置G5となっている。この重心位置G5から偏心ブッシュウエイト21Bの重心位置G2までの距離寸法は寸法L3となっている。重心位置G5から旋回スクロール28Aの重心位置G3までの距離寸法は寸法L4となっている。さらに、重心位置G5からバランスウエイト54の重心位置G6までの距離寸法は寸法L5となっている。
【0052】
ここで、旋回スクロール28Aと偏心ブッシュウエイト21Bとを回転駆動したときには、旋回スクロール28Aの偏心質量Mが旋回半径Rによる遠心力によって径方向外側に向かうモーメントF3を発生する。このモーメントF3の大きさは、MR×L4で表すことができる。一方、偏心ブッシュウエイト21Bの偏心質量mが旋回半径rによる遠心力によって、旋回スクロール28AのモーメントF1と反対方向に向かうモーメントF4を発生し、このモーメントF4は、mr×L3で表すことができる。
【0053】
さらに、バランスウエイト54の偏心質量M′が旋回半径R′による遠心力によって、旋回スクロール28AのモーメントF3と同じ方向(偏心ブッシュウエイト21BのモーメントF4と反対方向)に向かうモーメントF5を発生し、このモーメントF5は、M′R′×L5で表すことができる。ここで、バランスウエイト54の重心位置G6は、重心位置G5から大きく離れているから、偏心質量M′を小さく設定でき、蓋体52をコンパクトに形成することができる。
【0054】
この1段式のスクロール式空気圧縮機51は、旋回スクロール28AのモーメントF3と偏心ブッシュウエイト21AのモーメントF4とバランスウエイト54のモーメントF5とを下記数1の関係に設定している。
【0055】
【数1】

【0056】
これにより、2段式のスクロール式空気圧縮機1の構成部材を利用し、1段式のスクロール式空気圧縮機51を製造することができる。しかも、バランスウエイト54によって稼働時の回転バランスを整えることができる。
【0057】
次に、低圧段のスクロール9A,28Aを省略することにより、高圧段のスクロール9B,28Bだけを備えた1段式のスクロール式空気圧縮機61を製造する場合について説明する(図4参照)。
【0058】
スクロール式空気圧縮機61は、取外した軸受取付体3Aに代えて前述した蓋体52と軸受53を取付ける。この上で、回転軸17の右端部には、スクロール式空気圧縮機61に専用のバランスウエイト62を取付けることにより製造することができる。なお、スクロール式空気圧縮機61の回転バランスの整え方については、スクロール式空気圧縮機51とほぼ同様であるので省略するものとする。
【0059】
本実施の形態による2段式のスクロール式空気圧縮機1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0060】
まず、電動モータ14のステータ15側に通電してロータ16を回転駆動すると、回転軸17が軸線O1−O1を中心として回転する。この回転軸17と一緒に各偏心ブッシュウエイト21A,21Bが回転し、旋回スクロール28A,28Bを寸法δの旋回半径で旋回動作させる。これにより、低圧段側では、ケーシング2の軸受取付体3Aの外周側に設けた空気流入口7Aから外気を吸込みつつ、この空気を低圧段の固定スクロール9Aと旋回スクロール28Aとの間の各圧縮室34A内で順次圧縮する。そして、該各圧縮室34A内で圧縮された圧縮空気は、固定スクロール9Aの中心部に設けた流出口13Aから連通配管43内に吐出される。
【0061】
一方、高圧段側では、連通配管43から供給される中間圧の圧縮空気を軸受取付体3Bの圧縮空気流入口7Bに流入させ、この圧縮空気を背圧室39を介して高圧段の固定スクロール9Bと旋回スクロール28Bとの間の各圧縮室34B内で順次圧縮する。そして、該各圧縮室34B内でさらに圧縮された高圧な圧縮空気は、固定スクロール9Bの中心部に設けた流出口13Bから外部に向けて吐出され、例えば空気タンク(図示せず)等に貯留される。
【0062】
ここで、電動モータ14によって各旋回スクロール28A,28Bを旋回動作させたときには、該各旋回スクロール28A,28Bが回転中心から偏心していることで、径方向外側に向かうモーメントF1を発生する。しかし、各旋回スクロール28A,28Bに対応するように、偏心ブッシュウエイト21A,21Bを設けているから、この偏心ブッシュウエイト21A,21Bによる逆方向のモーメントF2によって各旋回スクロール28A,28Bをバランスよく旋回動作させることができる。
【0063】
また、圧縮運転時には、圧縮室34A,34B内の圧力が旋回スクロール28A,28Bを電動モータ14側に押圧する(スラスト荷重)。これに対し、それぞれの旋回スクロール28A,28Bの裏面側に設けたボールカップリング機構からなる自転防止機構35A,35Bは、旋回スクロール28A,28Bに作用するスラスト方向の荷重を受承することで、鏡板29A,29B等の変形を抑えて圧縮漏れを防止することができる。
【0064】
かくして、本実施の形態によれば、2段式のスクロール式空気圧縮機1において、低圧段の旋回スクロール28Aとケーシング2との間に低圧段の偏心ブッシュウエイト21Aと自転防止機構35Aを設け、高圧段の旋回スクロール28Bとケーシング2との間に高圧段の偏心ブッシュウエイト21Bと自転防止機構35Bを設ける構成としている。
【0065】
従って、低圧段の旋回スクロール28Aの回転バランスを専用の偏心ブッシュウエイト21Aによって整えることができ、高圧段の旋回スクロール28Bの回転バランスを専用の偏心ブッシュウエイト21Bによって整えることができる。また、圧縮室34A,34B内の圧縮空気によって旋回スクロール28A,28Bに作用するスラスト荷重は、自転防止機構35A,35Bによって受承することができる。特に、高圧の圧縮空気によって大きなスラスト荷重が作用する高圧段の旋回スクロール28Bにおいても、鏡板29Bを厚くするなどの剛性を高めるための構造変更等を行うことなく、自転防止機構35Bによって鏡板29B等の変形を防止することができる。
【0066】
この結果、高圧段の旋回スクロール28Bを大型化することなく、鏡板29B等のスラスト方向の変形を防止することができるから、スクロール式空気圧縮機1全体を小型化、軽量化することができる。
【0067】
しかも、低圧段,高圧段の旋回スクロール28A,28Bに対応する偏心ブッシュウエイト21A,21Bを設けているから、例えば、低圧段、高圧段のいずれか一方のスクロールを取外し、この部分に蓋体52、軸受53、バランスウエイト54,62等を取付けるだけで、1段式のスクロール式空気圧縮機51,61を形成できる。これにより、多くの部分を共通化することで、1段式のスクロール式空気圧縮機51,61を簡単に、また安価に製造することができる。
【0068】
また、回転軸17には、軸受取付体3Bとの間にシール部材40を設けているから、背圧室39を気密に保持することができる。このシール部材40は、弾性リング41によって自己潤滑性を有する樹脂材料からなる環状のバンド部材42を回転軸挿通孔8Bの内面に押付ける構成としている。これにより、背圧室39の圧力を安定的に維持しつつ、軸受取付体3Bとの間の摩擦抵抗を小さくすることができ、圧縮効率を高めることができる。
【0069】
一方、低圧段,高圧段の偏心ブッシュウエイト21A,21Bは、それぞれ回転軸17の周方向で同一位置に配置している。これにより、低圧段の偏心ブッシュウエイト21Aと高圧段の偏心ブッシュウエイト21Bとは、回転軸17に対し同様の周方向位置に同様の取付構造で取付けることができ、誤組付けの抑止、生産性の向上等を図ることができる。
【0070】
スクロール式空気圧縮機1では、ケーシング2、回転軸17、偏心ブッシュウエイト21A,21Bおよび自転防止機構35A,35Bを低圧段と高圧段で対称に配置しているから、これらは同様の作業で容易に組立てることができる。また、低圧段と高圧段で共通の部品として用いることもできる。
【0071】
さらに、自転防止機構35A,35Bを、ボールカップリング機構によって形成しているから、旋回スクロール28A,28Bを円滑に旋回動作させることができ、球体38A,38Bを介してスラスト荷重を受承することができる。
【0072】
なお、実施の形態では、高圧段のスクロール9B,28Bを省略し、この位置に低圧段のスクロール9A,28Aを付け替えることにより1段式のスクロール式空気圧縮機51を構成している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図5に示す変形例による1段式のスクロール式空気圧縮機71のように構成してもよい。即ち、スクロール式空気圧縮機71は、高圧段側の軸受取付体3Bに代えて蓋体52と軸受53を取付ける。この上で、回転軸17の左端部には、スクロール式空気圧縮機71に専用のバランスウエイト72を取付けることにより製造することができる。このスクロール式空気圧縮機71では、発熱源となるブラシ周りをスクロール9A,9Bから遠ざけることができる。
【0073】
また、実施の形態では、電動機として、各部品を適宜に組付ける形式のブラシ式の電動モータ14を例に挙げて図示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、組立て済みのブラシ式の電動モータ、ブラシレスの電動モータ等を電動機として用いる構成としてもよい。
【0074】
また、実施の形態では、低圧段,高圧段の旋回スクロール28A,28Bは、同じ旋回半径、同じ質量に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、低圧段,高圧段の旋回スクロールの旋回半径、質量を異ならせる構成としてもよい。これは、各旋回スクロールに専用の偏心ブッシュウエイトを設けているために可能になるものである。
【0075】
さらに、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機1,51,61を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
【0076】
次に、上記実施の形態に含まれる発明について述べる。即ち、本発明では、シール部材は、電動機の出力軸の外周側に設けられた環状の凹溝と、該凹溝に収容された弾性リングと、該弾性リングの外周側に設けられた環状のバンド部材とにより構成している。これにより、シール部材によってケーシングと出力軸との間を気密に保持でき、背圧室の圧力を安定的に維持することができる。しかも、バンド部材は、出力軸挿通孔の内面に対して摺動自在に面接触することができるから、ケーシングと出力軸との間の摩擦抵抗を小さくすることができ、圧縮効率を高めることができる。
【0077】
また、本発明によると、低圧側の偏心ブッシュウエイトと高圧側の偏心ブッシュウエイトとは、電動機の出力軸に対して周方向で同一位置に取付ける構成としている。これにより、低圧側の偏心ブッシュウエイトと高圧側の偏心ブッシュウエイトとは、出力軸に対し同様の周方向位置に同様の取付構造で取付けることができ、誤組付けの抑止、生産性の向上等を図ることができる。
【0078】
本発明によると、ケーシング、電動機の出力軸、偏心ブッシュウエイトおよび自転防止機構は、低圧側と高圧側で対称に配置する構成としている。これにより、低圧側と高圧側で対称に配置されたケーシング、電動機の出力軸、偏心ブッシュウエイトおよび自転防止機構は、同様の作業で容易に組立てることができる。また、低圧側と高圧側で共通の部品として用いることもできる。
【0079】
本発明によると、自転防止機構は、規定の円弧上で転動する球体を有するボールカップリング機構により構成している。これにより、自転防止機構は、旋回スクロールを円滑に旋回動作させることができ、球体を介してスラスト荷重を受承することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 2段式のスクロール式空気圧縮機(スクロール式流体機械)
2 ケーシング
3A,3B 軸受取付体
7A 空気流入口
7B 圧縮空気流入口(圧縮流体流入口)
9A,9B 固定スクロール
10A,10B,29A,29B 鏡板
11A,11B,30A,30B ラップ部
13A,13B 流出口
14 電動モータ(電動機)
17 回転軸(出力軸)
20 凹溝
21A,21B 偏心ブッシュウエイト
25A,25B ウエイト部
28A,28B 旋回スクロール
34A,34B 圧縮室
35A,35B 自転防止機構
38A,38B 球体
39 背圧室
40 シール部材
41 弾性リング
42 バンド部材
43 連通配管(連通路)
51,61 1段式のスクロール式空気圧縮機
O1−O1 ケーシングの軸線
O2−O2 旋回軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる筒状のケーシングと、
該ケーシングの両端側にそれぞれ固定して設けられ表面に渦巻状のラップ部が立設された低圧側、高圧側の固定スクロールと、
該低圧側、高圧側の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ前記ケーシングの軸線と等しく配置された出力軸を有する電動機と、
前記低圧側、高圧側の固定スクロールと対向するように該電動機の出力軸の両端側に設けられ表面に前記低圧側、高圧側の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された低圧側、高圧側の旋回スクロールと、
前記低圧側の圧縮室から吐出された圧縮空気を高圧側の圧縮室に吸込ませるために該各圧縮室間を連通する連通路とを備え、
前記ケーシングと高圧側の固定スクロールとの間には高圧側の旋回スクロールの裏面側に位置して背圧室を画成し、
前記高圧側のケーシングには、前記連通路を介して前記背圧室に低圧側の圧縮室から吐出された圧縮流体を流入させる圧縮流体流入口を設け、
前記高圧側のケーシングと前記電動機の出力軸との間には、前記背圧室を気密に保持するためのシール部材を設ける構成としてなるスクロール式流体機械において、
前記低圧側の旋回スクロールとケーシングとの間には、前記旋回スクロールの回転バランスを整える低圧側の偏心ブッシュウエイトと前記旋回スクロールの自転を防止する低圧側の自転防止機構とを設け、
前記高圧側の旋回スクロールとケーシングとの間には、前記旋回スクロールの回転バランスを整える高圧側の偏心ブッシュウエイトと前記旋回スクロールの自転を防止する高圧側の自転防止機構とを設ける構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項2】
前記シール部材は、前記電動機の出力軸の外周側に設けられた環状の凹溝と、該凹溝に収容された弾性リングと、該弾性リングの外周側に設けられた環状のバンド部材とにより構成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
【請求項3】
前記低圧側の偏心ブッシュウエイトと高圧側の偏心ブッシュウエイトとは、前記電動機の出力軸に対して周方向で同一位置に取付ける構成としてなる請求項1または2に記載のスクロール式流体機械。
【請求項4】
前記ケーシング、電動機の出力軸、偏心ブッシュウエイトおよび自転防止機構は、低圧側と高圧側で対称に配置する構成としてなる請求項1,2または3に記載のスクロール式流体機械。
【請求項5】
前記自転防止機構は、規定の円弧上で転動する球体を有するボールカップリング機構により構成してなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−215082(P2012−215082A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79648(P2011−79648)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】