説明

スタックエラーを測定することのできる三次元集積回路

【課題】スタックエラーを測定することのできる三次元集積回路を提供する。
【解決手段】三次元集積回路100は、第1ウェハ110および第2ウェハ120を含む。第1ウェハ110は、第1導電パターン112を含む。第2ウェハ120は、第2導電パターン122を含み、第1導電パターン112に電気接続される。第1ウェハ110と第2ウェハ120の間の変位は、第1導電パターン112と第2導電パターン122の抵抗に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元集積回路に関するものであり、特に、スタックエラー(stacking error)を測定することのできる三次元集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)集積回路は、半導体の応用において集積回路空間を効果的に利用するのに重要な役割を果たし、集積回路によって製造されるデバイスは、集積回路空間の用途が異なると大きさも異なる。三次元集積回路の発展において、異なるウェハ上の集積回路が三次元空間に正確に組み合わされているかどうかが、三次元集積回路の機能と性能に影響する。
【0003】
三次元集積回路が正確に積み重ねられているかどうかを測定するための一般の技術は、ウェハの接触面上に一定の抵抗を有する2つの経路を刻み、貫通ビア技術を利用して経路上の測定接点をウェハ表面に導通するものである。2つの経路の測定接点を測定して同じ抵抗が得られた時は、三次元集積回路が正確に積み重なっていることを示す。逆に、2つの経路の測定接点を測定して異なる抵抗が得られた時は、三次元集積回路が正確に積み重なっておらず、ウェハ間に変位(displacement)エラーが存在することを示す。しかしながら、従来の測定方法では、変位量と変位方向を測定することができないため、変位量に対して修正を行うのは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ウェハスタッキング(wafer stacking)によって生じた変位を測定することによって、変位の方向と大きさを得ることのできる三次元集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1ウェハおよび第2ウェハを含む三次元集積回路を提供する。第1ウェハは、第1導電パターンを含む。第2ウェハは、第2導電パターンを含み、第1導電パターンに電気接続される。第1ウェハと第2ウェハの間の変位は、第1導電パターンと第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される。
【0006】
本発明のある実施形態中、第1導電パターンは、複数の方向導電パターンと、第1中央導電パターンとを含む。少なくとも1つの方向導電パターンは、第2導電パターンに電気接続される。第1中央導電パターンは、これらの方向導電パターンの間に配置され、第2導電パターンに電気接続される。異なる方向の第1ウェハと第2ウェハの変位は、第1中央導電パターン、対応する方向導電パターンおよび第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される。
【0007】
本発明のある実施形態中、第2導電パターンは、第2中央導電パターンを含む。第2中央導電パターンは、第1導電パターンに電気接続される。異なる方向の第1ウェハと第2ウェハの変位は、第1中央導電パターン、対応する方向導電パターンおよび第2中央導電パターンの抵抗に基づいて決定される。
【0008】
本発明のある実施形態中、各方向導電パターンは、複数の金属パッドと、複数の金属線とを含む。各金属線は、対応する金属パッドに電気接続される。第1導電パターンと第2導電パターンの抵抗は、少なくとも、第2導電パターンによって短絡した金属線の数および短絡した金属線の線幅に基づいて決定される。
【0009】
本発明のある実施形態中、各方向導電パターンは、金属パッドと、ドープ領域と、複数の金属線とを含む。金属線は、ドープ領域を介して金属パッドに電気接続される。第1導電パターンと第2導電パターンの抵抗は、少なくとも、第2導電パターンによって短絡した金属線の数および短絡した金属線の線間抵抗(inter-line resistance)に基づいて決定される。
【0010】
本発明のある実施形態中、第1導電パターンは、複数の方向導電パターンを含む。方向導電パターンは、第2導電パターンに電気接続される。特定方向の第1ウェハと第2ウェハの変位は、方向導電パターンおよび第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される。
【0011】
本発明のある実施形態中、第2導電パターンは、アイランドチェーン(island-chain)導電パターンを含む。アイランドチェーン導電パターンは、方向導電パターンに電気接続される。方向導電パターンとアイランドチェーン導電パターンは、デイジーチェーン(daisy chain)方式で配置される。
【0012】
本発明のある実施形態中、各方向導電パターンは、複数の金属パッドと、ドープ領域と、複数の金属線とを含む。金属線は、ドープ領域を介して金属パッドに電気接続される。第1導電パターンと第2導電パターンの抵抗は、少なくとも、第2導電パターンによって短絡した金属線の数、方向導電パターンの数および短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される。
【0013】
本発明のある実施形態中、第1ウェハは、さらに、第3導電パターンを含む。第3導電パターンと第1導電パターンは、第1ウェハの2つの対向する側に配置される。
【0014】
本発明のある実施形態中、第3導電パターンは、複数の金属パッドを含む。この金属パッドを測定接点として用いることによって、第1導電パターンと第2導電パターンの抵抗を測定する。
【0015】
本発明のある実施形態中、第1導電パターンと第3導電パターンは、TSV(through-silicon via)技術を介して電気接続される。
【発明の効果】
【0016】
三次元集積回路内のウェハの接触面にある導電パターンの抵抗を測定することによって、ウェハスタッキングにより生じた変位エラーを得ることができる。
【0017】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る三次元集積回路100の概略図である。
【図2A】図1の第1導電パターン112の配置を示す概略図である。
【図2B】図1の第2導電パターン122の配置を示す概略図である。
【図2C】図1の第3導電パターン114の配置を示す概略図である。
【図3】図1の第1導電パターン112と第2導電パターン122の不一致を示す概略図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る三次元集積回路100’の概略図である。
【図5A】図4の第1導電パターン112’の配置を示す概略図である。
【図5B】図4の第2導電パターン122’の配置を示す概略図である。
【図5C】図4の第3導電パターン114’の配置を示す概略図である。
【図6】図4の第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の不一致を示す概略図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る三次元集積回路100”の概略図である。
【図8A】図7の第1導電パターン112”の配置を示す概略図である。
【図8B】図7の第2導電パターン122”の配置を示す概略図である。
【図8C】図7の第3導電パターン114”の配置を示す概略図である。
【図9】図7の第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の不一致を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
集積回路を測定する時、まず、どのようにして集積回路の表面から集積回路の内部回路を測定するのかという問題に直面する。従来の技術では、通常、TSV技術を利用して電気接続する。TSV技術を使って電気接続のためのバイア(via)に穴をあけ、ウェハの表面に金属パッドを配置して測定する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る三次元集積回路100の概略図である。図1を参照すると、本実施形態の三次元集積回路100は、第1ウェハ110と、第2ウェハ120とを含み、第1ウェハ110は、第2ウェハ120の上に積み重ねられる。本実施形態において、第1ウェハ110は、第1導電パターン112と、第3導電パターン114とを含み、それぞれ第1ウェハ110の表面S1とS3に配置される。第2ウェハ120は、第2ウェハ120の表面S2に配置され、第1導電パターン112に電気接続された第2導電パターン122を含む。本実施形態において、第1導電パターン112および第3導電パターン114は、複数のTSV116を介して電気接続されるため、電気測定装置(図示せず)は、第3導電パターン114の複数の金属パッドを介して、第1導電パターン112と第2導電パターン122の抵抗を測定することができる。第1ウェハ110と第2ウェハ120の間の変位は、第1導電パターン112と第2導電パターン122の抵抗に基づいて決定される。
【0021】
図2Aは、図1の第1導電パターン112の配置を示す概略図である。図1および図2Aを参照すると、本実施形態において、第1導電パターン112は、中央導電パターンC1と、複数の方向導電パターン112U、112D、112L、112Rとを含む。中央導電パターンC1は、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rの間に配置され、第2導電パターン122に電気接続される。ここで、中央導電パターンC1は、長方形の金属パッドであり、第1導電パターン112の中央に配置されるが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
本実施形態において、各方向導電パターン112U、112D、112L、112Rは、複数の金属パッドと、複数の金属線とを含む。金属パッドは、金属線に順番に接続される。本実施形態において、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rは、それぞれ第1導電パターン112の上、下、左、右に配置され、中央導電パターンC1は、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rに取り囲まれる。本実施形態において、第1導電パターン112と第2導電パターン122の抵抗は、少なくとも、第2導電パターン122によって短絡した金属線MLの数および短絡した金属線MLの線幅に基づいて決定され、第2導電パターン122と合わせて後で説明する。注意すべきこととして、「上」、「下」、「左」および「右」という用語は、図2の方向を説明する目的で使用するものであって、本発明を限定する意図はない。
【0023】
図2Bは、図1の第2導電パターン122の配置を示す概略図である。図1および図2Bを参照すると、第2導電パターン122は、中央導電パターンC2を含む。中央導電パターンC2は、中央導電パターンC1に対応する位置で、第2ウェハ120の表面S2に配置される。第1導電パターン112の中央導電パターンC1と同じように、中央導電パターンC2も長方形の金属パッドであるが、本発明はこれに限定されない。第1ウェハ110と第2ウェハ120が積み重なった時に、これらの間にエラーが存在しなかった場合、中央導電パターンC2が中央導電パターンC1に順番に重なる。これに比較して、第1ウェハ110と第2ウェハ120の間にエラーが存在した場合、中央導電パターンC2が中央導電パターンC1に重なるだけでなく、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rの金属線MLの一部にも重なるため、第1ウェハ110と第2ウェハ120は、両者の異なるスタック関係により異なる導電状態を有する。言い換えると、第1導電パターン112と第2導電パターン122の導電状態は、少なくとも、第2導電パターン122によって短絡した金属線MLの数によって変化する。
【0024】
図2Cは、図1の第3導電パターン114の配置を示す概略図である。図1および図2Cを参照すると、第3導電パターン114は、第1導電パターン112の反対側にある第1ウェハ110の表面S3に配置される。第3導電パターン114は、複数の金属パッドを含み、第1導電パターン112の金属パッドに対応して1対1(one-to-one)で配置され、TSVを介して第1ウェハ110の表面S1にある金属パッドに電気接続される。電気測定装置(図示せず)は、第3導電パターン114の金属パッドを介して、第1導電パターン112と第2導電パターン122の導通状態を測定することができる。
【0025】
図3は、図1の第1導電パターン112と第2導電パターン122の不一致(mismatch)を示す概略図である。図1から図3を参照すると、本実施形態において、第1導電パターン112と第2導電パターン122の間のスタックにエラーがあった場合、中央導電パターンC2が中央導電パターンC1に重なるだけでなく、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rの金属線MLの一部にも重なるため、第1ウェハ110と第2ウェハ120は、異なるスタック変位エラーにより異なる短絡状態を有する。
【0026】
詳しく説明すると、図1の構造において、三次元集積回路100は、複数のTSV116と、簡単な金属接続(すなわち、金属線と金属パッド)とを含む。これにより、第1ウェハ110と第2ウェハ120を組み合わせた後、その異なる方向の変位(すなわち、位置合わせ(alignment)エラー)を測定することができる。作動原理は、以下の通りである。第1ウェハ110と第2ウェハ120を組み合わせた時、第2ウェハ120の表面S2にある中央導電パターンC2が第1ウェハ110の表面S1にある金属線MLに接触して、中央導電パターンC1に対応するTSV116と他の金属パッドに対応するTSV116を導通させる。上述した導通の数とその位置に基づいて、組み合わせた後の第1ウェハ110と第2ウェハ120の位置合わせエラーが得られる。
【0027】
例えば、図3において、第1ウェハ110と第2ウェハ120は、組み合わせた後に変位エラーが生じるため、金属パッドL1、L2、L3、金属パッドB1、B2および中央導電パターンC1が短絡して、他の金属線が開路になる。そのため、三次元集積回路100の変位エラーは、左の3つの線幅(3W)と下の2つの線幅(2W)である。言い換えると、第1導電パターン112と第2導電パターン122の抵抗は、少なくとも、第2導電パターン122によって短絡した金属線MLの数および短絡した金属線MLの線幅に基づいて決定される。さらに、第1ウェハ110と第2ウェハ120の間の変位は、第1導電パターン112と第2導電パターン122の導通状態に基づいて決定される。つまり、変位は、第2導電パターン122によって短絡した金属線MLの数かける金属線MLの線幅に等しい。本実施形態において、導電パターンの導通の数(低抵抗の数)に基づいてウェハの変位を決定する方法は、例えば、ルックアップテーブル(look-up table)中のウェハの変位と導電パターンの抵抗の間の対応関係を記録する方法である。導電パターンの低抵抗を測定した時、ウェハの変位は、ルックアップテーブルに記録された対応関係を捜索することによって決定することができる。さらに、ルックアップテーブルに記録された対応関係は、第1導電パターン112と第2導電パターン122の異なる設計構造によって変化する。
【0028】
そのため、本実施形態の三次元集積回路100は、少なくとも、簡単に製造でき、単純に決定できる(つまり、電気特性に基づいて変位エラーを決定する)、金属線が導通しているかどうかに基づいて決定できる、いかなる能動/受動部品も使用する必要がないといった利点を有する。さらに、本実施形態の第1導電パターン112は、製造中にドーピング過程を行う必要がないため、サーマルバジェット(thermal budget)の現象を軽減することができる。
【0029】
注意すべきこととして、本実施形態において、金属パッドの数と金属線MLの幅は、本発明に限定されない。設計者は、実際の設計要求に基づいて、方向導電パターン112U、112D、112L、112Rの金属パッドの数を調整してもよく、その数は同じである必要はない。また、金属線MLの線幅も任意に調整してもよく、金属線の線幅も同じである必要はない。
【0030】
図4は、本発明の別の実施形態に係る三次元集積回路100’の概略図である。図1および図4を参照すると、本実施形態の三次元集積回路100’は、図1の三次元集積回路100に類似しており、両者の主な相違点は、本実施形態の三次元集積回路100’の第1導電パターン112’と第3導電パターン114’がそれぞれ比較的少ない金属パッドを有することである。
【0031】
詳しく説明すると、図5Aは、図4の第1導電パターン112’の配置を示す概略図である。図4から図5Aを参照すると、図1の実施形態と比較して、本実施形態の方向導電パターン112U’、112D’、112L’、112R’は、それぞれ金属パッドと、ドープ領域と、複数の金属線とを含む。方向導電パターン112D’を例にして説明すると、方向導電パターン112D’は、金属パッドDと、ドープ領域113と、複数の金属線MLとを含む。ドープ領域113は、例えば、三次元集積回路100のドープ領域が製造されている間に製造され、中央導電パターンC3と金属線MLを導通するために使用される。金属線MLは、対応するドープ領域113の上に平行に配列される。
【0032】
図5Bは、図4の第2導電パターン122’の配置を示す概略図である。図4から図5Bを参照すると、図2Bの第2導電パターン122に類似して、本実施形態の第2導電パターン122’は、中央導電パターンC3に対応する第2導電パターン122’の中央に配置された中央導電パターンC4を含み、中央導電パターンC4もまた長方形の金属パッドであるが、本発明はこれに限定されない。
【0033】
図5Cは、図4の第3導電パターン114’の配置を示す概略図である。図4から図5Cを参照すると、図2Cの実施形態と比較して、本実施形態の各方向導電パターンは、1つの金属パッドしか含まないため、第3導電パターン114’は、5つの金属パッド(中央導電パターンC3に対応する1つの金属パッドを含む)のみを有する。そのため、第1導電パターン112’と第3導電パターン114’の金属パッドの数に基づいて、第1ウェハ110’は、5つのTSV116’のみを必要とする。したがって、本実施形態の三次元集積回路100’は、少なくとも、簡単に製造でき、TSVの数が少なく、コストが低い等の利点を有する。
【0034】
図6は、図4の第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の不一致を示す概略図である。図4から図6を参照すると、本実施形態において、第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の間のスタックにエラーがあった場合、中央導電パターンC4が中央導電パターンC3に重なるだけでなく、方向導電パターン112U’、112D’、112L’、112R’の金属線MLの一部にも重なるため、第1ウェハ110’と第2ウェハ120’は、異なるスタック関係により異なる抵抗を有する。
【0035】
詳しく説明すると、図4の構造において、方向導電パターンの各金属線は、三次元集積回路100’のドーピング方法に基づいて、固定された線間抵抗を有する。第1ウェハ110’と第2ウェハ120’にいったん変位が生じると、第2ウェハ120’の表面S2’にある中央導電パターンC4が第1ウェハ110’の表面S1’にある金属線MLに接触し、中央導電パターンC4に接触している金属線MLが金属線MLの下のドープ領域113の抵抗の影響を受けずに短絡する。それから、TSV116’を介して第1ウェハ110’の表面S3’にある金属パッドを測定して、第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の抵抗を得た後、その抵抗に基づいて、第1ウェハ110’と第2ウェハ120’の間の変位エラーを決定する。
【0036】
例えば、図6において、第1ウェハ110’と第2ウェハ120’は、組み合わせた後に変位エラーが生じるため、図6に示すように、中央導電パターンC4は、中央導電パターンCに相対して左下にシフトする。各金属線の線間抵抗がr、方向導電パターンの各金属パッドL、U、R、Dと中央導電パターンC3の間の抵抗をRwとすると、第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の複数の抵抗は、以下の通りである。
【0037】
C3U=RC3R=RW
C3L=RW−4×r
C3D=RW−2×r
【0038】
式中、RC3U、RC3R、RC3LおよびRC3Dは、それぞれ中央導電パターンC3と方向導電パターン112U’、112D’、112L’、112R’の間の抵抗である。
【0039】
言い換えると、第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の抵抗は、少なくとも、第2導電パターン122’によって短絡した金属線MLの数および短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される。さらに、第1ウェハ110’と第2ウェハ120’の間の変位は、第1導電パターン112’と第2導電パターン122’の抵抗に基づいて決定される。つまり、変位は、方向導電パターンの金属パッドと中央導電パターンの間の抵抗から第2導電パターン122’によって短絡した金属線MLの数を引き、金属線MLの線間抵抗をかけた値に等しい。
【0040】
図7は、本発明の別の実施形態に係る三次元集積回路100”の概略図である。図4および図7を参照すると、本実施形態の三次元集積回路100”は、図4の三次元集積回路100’に類似するが、両者の相違点は、本実施形態の第1導電パターン112”が特定の方向に沿って配置された複数の方向導電パターン112Yを含み、本実施形態の第2導電パターン122”が方向導電パターン112Yに電気接続されたアイランドチェーン導電パターンを含むことである。
【0041】
詳しく説明すると、図8Aは、図7の第1導電パターン112”の配置を示す概略図である。図7および図8Aを参照すると、各方向導電パターン112Yは、2つの金属パッドY1およびY2と、ドープ領域113’と、複数の金属線MLとを含む。ドープ領域113’は、例えば、三次元集積回路100’のドープ領域が製造されている間に製造され、各方向導電パターンの金属パッドY1およびY2と対応する金属線MLを導通するために使用される。金属線MLは、対応するドープ領域113’の上に平行に配列される。本実施形態において、方向導電パターン112Yは水平方向に沿って配列され、垂直方向に沿って第1ウェハ110”と第2ウェハ120”の変位を測定する。注意すべきこととして、「垂直」および「水平」という用語は、図8Aの方向を説明する目的で使用しているのであって、本発明の方向導電パターンの配置を限定する意図はない。
【0042】
図8Bは、図7の第2導電パターン122”の配置を示す概略図である。図7から図8Bを参照すると、本実施形態の第2導電パターン122”は、第1導電パターン112”の配置と合わせて図8Bのチェーン型パターンに配列された複数の長方形金属パッドI1、I2、I3、I4を含み、アイランドチェーン導電パターンと称されるが、本発明の第2導電パターン122”を限定するために用いるものではない。第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の抵抗は、少なくとも、第2導電パターン122”によって短絡した金属線MLの数、方向導電パターン112Yの数、および短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される。
【0043】
図8Cは、図7の第3導電パターン114”の配置を示す概略図である。図7から図8Cを参照すると、本実施形態の第3導電パターン114”は、図8Cに示した第1導電パターン112”と合わせて配置された複数の長方形金属パッドを含む。本実施形態において、第3導電パターン114”は、2つの長方形金属パッドしか含まないため、第1導電パターン112”が第2導電パターン122”に接触した時、2つの長方形金属パッドを介して測定を行うことができる。言い換えると、第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の抵抗を測定するには、第1導電パターン112”と第3導電パターン114”の間に2つのTSV116”を配置するだけでよいため、製造コストを効果的に減らすことができる。
【0044】
さらに、図9は、図7の第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の不一致を示す概略図である。図7から図9を参照すると、本実施形態において、第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の間のスタックが、垂直方向に沿ってエラーがあった場合、第2導電パターン122”が方向導電パターン112Yの金属パッドY1およびY2に重なるだけでなく、金属線MLの一部にも重なるため、第1ウェハ110”と第2ウェハ120”は、異なるスタック関係により異なる抵抗を有する。
【0045】
図7の構造において、第1ウェハ110”の表面S1”にある各金属線MLは、ドーピング方法に基づいて、固定された線間抵抗を有する。この時、第1ウェハ110’と第2ウェハ120’を組み合わせた後に垂直の変位が生じた場合、測定中に生成された電流は、第1導電パターン112”の方向導電パターンと第2導電パターン122”のアイランドチェーン導電パターンを流れる。方向導電パターンとアイランドチェーン導電パターンは、デイジーチェーン方式で配置される。生成された電流は、変位により生じた抵抗を増強する。
【0046】
例えば、図7において、第1ウェハ110”と第2ウェハ120”を組み合わせた後に変位エラーが生じたため、図9に示すように、第2導電パターン122”は、第1導電パターン112”に相対して左下にシフトする。各金属線の線間抵抗をρ、方向導電パターンの数をm、第2導電パターン122”によって短絡した金属線MLの数をnとすると、左下の金属パッドY2と右上の金属パッドY1の間の△Rは、以下の式により測定される。
【0047】
△R=m×n×ρ
【0048】
本実施形態において、m=3、n=9である。言い換えると、第1導電パターン112”と第2導電パターン122”の抵抗は、少なくとも、第2導電パターン122”によって短絡した金属線MLの数、方向導電パターン112Yの数、および短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される。設計者は、実際の設計要求に基づいて、方向導電パターン112Yの数、および第2導電パターン122”によって短絡した金属線MLの数を調整してもよく、これによって、第1ウェハ110”と第2ウェハ120”の変位によって生じた抵抗を効果的に増強させ、変位測定の感度を上げることができる。さらに、図1の実施形態または図4の実施形態を図7の実施形態と合わせて使用することによって、変位測定の感度を上げることもできる。
【0049】
注意すべきこととして、本実施形態は、方向導電パターンを水平方向に沿って配列することによって、第1ウェハ110”と第2ウェハ120”の変位を垂直方向に沿って測定するが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、方向導電パターンを垂直方向に沿って配列することによって、第1ウェハ110”と第2ウェハ120”の変位を水平方向に沿って測定してもよい。別の実施形態において、三次元集積回路100”を異なる方向に沿って配列された2組の方向導電パターンと配置することによって、異なる方向の変位を測定してもよい。
【0050】
以上のように、本発明は、三次元集積回路内のウェハの接触面にある導電パターンの抵抗を測定することによって、ウェハスタッキングにより生じた変位エラーを得ることができる。さらに、本発明の実施形態の構造を同じ三次元集積回路内に実装して、変位測定の感度を上げることもできる。
【0051】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、スタックエラーを測定するための三次元集積回路に関するものである。
【符号の説明】
【0053】
100、100’、100” 三次元集積回路
110、110’、110” 第1ウェハ
112、112’、112” 第1導電パターン
112U、112D、112L、112R、112U’、112D’、112L’、112R’ 方向導電パターン
113、113’ ドープ領域
114、114’、114” 第3導電パターン
116、116’、116” TSV
120、120’、120” 第2ウェハ
122、122’、122” 第2導電パターン
S1、S3 第1ウェハの表面
S2 第2ウェハの表面
C1、C2、C3、C4 中央導電パターン
ML 金属線
W 金属線の線幅
T1〜T5、B1〜B5、R1〜R5、L1〜L5、L、R、U、D、Y1〜Y2、I1〜I2 金属パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電パターンを含む第1ウェハと、
第2導電パターンを含み、前記第1導電パターンに電気接続された第2ウェハと
を含み、
前記第1ウェハと前記第2ウェハの間の変位が、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される三次元集積回路。
【請求項2】
前記第1導電パターンが、
少なくとも1つが前記第2導電パターンに電気接続された複数の方向導電パターンと、
前記方向導電パターンの間に配置され、前記第2導電パターンに電気接続された第1中央導電パターンと
を含み、
異なる方向の前記第1ウェハと前記第2ウェハの変位が、前記第1中央導電パターン、前記対応する方向導電パターンおよび前記第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される請求項1記載の三次元集積回路。
【請求項3】
前記第2導電パターンが、
前記第1導電パターンに電気接続された第2中央導電パターン
を含み、
前記異なる方向の前記第1ウェハと前記第2ウェハの変位が、前記第1中央導電パターン、前記対応する方向導電パターンおよび前記第2中央導電パターンの抵抗に基づいて決定される請求項2記載の三次元集積回路。
【請求項4】
前記各方向導電パターンが、
複数の金属パッドと、
それぞれが前記対応する金属パッドに電気接続された複数の金属線と
を含み、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンの前記抵抗が、少なくとも、前記第2導電パターンによって短絡した前記金属線の数および前記短絡した金属線の線幅に基づいて決定される請求項2記載の三次元集積回路。
【請求項5】
前記各方向導電パターンが、
金属パッドと、
ドープ領域と、
前記ドープ領域を介して前記金属パッドに電気接続された複数の金属線と
を含み、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンの前記抵抗が、少なくとも、前記第2導電パターンによって短絡した前記金属線の数および前記短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される請求項2記載の三次元集積回路。
【請求項6】
前記第1導電パターンが、
前記第2導電パターンに電気接続された複数の方向導電パターン
を含み、
特定方向の前記第1ウェハと前記第2ウェハの変位が、前記方向導電パターンおよび前記第2導電パターンの抵抗に基づいて決定される請求項1記載の三次元集積回路。
【請求項7】
前記第2導電パターンが、
前記方向導電パターンに電気接続されたアイランドチェーン導電パターン
を含み、
前記方向導電パターンと前記アイランドチェーン導電パターンが、デイジーチェーン方式で配置される請求項6記載の三次元集積回路。
【請求項8】
前記各方向導電パターンが、
複数の金属パッドと、
ドープ領域と、
前記ドープ領域を介して前記金属パッドに電気接続された複数の金属線と
を含み、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンの前記抵抗が、少なくとも、前記第2導電パターンによって短絡した前記金属線の数、前記方向導電パターンの数および前記短絡した金属線の線間抵抗に基づいて決定される請求項6記載の三次元集積回路。
【請求項9】
前記第1ウェハが、
第3導電パターンをさらに含み、
前記第3導電パターンと前記第1導電パターンが、前記第1ウェハの2つの対向する側に配置された請求項1記載の三次元集積回路。
【請求項10】
前記第3導電パターンが、複数の金属パッドを含み、前記金属パッドを測定接点として用いることによって、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンの前記抵抗を測定する請求項9記載の三次元集積回路。
【請求項11】
前記第1導電パターンと前記第3導電パターンが、TSV技術を介して電気接続された請求項9記載の三次元集積回路。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58732(P2013−58732A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−116245(P2012−116245)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】