スチームパック
【課題】複数種類の冷凍料理を配置するスチームパックであって、発熱剤を利用して複数の冷凍料理を同時に加熱処理した際に、加熱むらなく同時に加熱処理を完了することができるスチームパックを提供することを課題とする。
【解決手段】発熱剤を収納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋とからなるスチームパックであって、中皿は複数種類の料理をその種類などに応じて配置するための複数の区画を有する。また、中皿に設けられる水蒸気を通過させるためのピンホールは、各区画内に水蒸気が均等に満ちるよう設けられる。さらに、蓋は各区画の上部に水蒸気を外部に逃がすための通気孔を有し、通気孔の数、大きさなどにより各区画の加熱具合を調節することができるスチームパックを提供する。
【解決手段】発熱剤を収納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋とからなるスチームパックであって、中皿は複数種類の料理をその種類などに応じて配置するための複数の区画を有する。また、中皿に設けられる水蒸気を通過させるためのピンホールは、各区画内に水蒸気が均等に満ちるよう設けられる。さらに、蓋は各区画の上部に水蒸気を外部に逃がすための通気孔を有し、通気孔の数、大きさなどにより各区画の加熱具合を調節することができるスチームパックを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍された複数種類の料理を配置可能なパックであり、発熱剤により、冷凍された複数種類の料理を均等に、又は、料理ごとに強度を調節して、加熱処理することができるスチームパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水を添加することにより発熱反応し、熱を発する発熱剤が知られている。このような発熱剤としては、従来は、生石灰を主原料としたものが主流であった。しかし、近年は、アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とした発熱剤など、新たな発熱剤が開発されており、その結果、発熱剤が発する熱量は従来品に比べ格段に高くなっている。
【0003】
ここで、発熱剤の利用場面としては、電子レンジやスチーム機器などのような加熱機器を利用できない外出先などで、弁当などの料理を加熱し温めるのに利用されたりしている。例えば、アウトドアでのキャンプ中や、船を利用してのクルージング中、飛行機・列車・車などでの移動中、災害時の緊急避難中、などのような加熱機器を利用できない場面においても、簡易に利用できる発熱剤を利用することで、温かい料理を食べることが可能となる。
【0004】
料理を発熱剤により温める具体的手段としては、以下のようなものである。例えば、発熱剤を格納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋などから構成されているスチームパックなどが利用される。具体的には、スチームパックの中皿に料理を配置し、蓋をした状態で、本体に格納されている発熱剤に水を添加する。すると、発熱剤の発熱反応により水蒸気が発生し、中皿に配置されている料理が温められるというものである。このようなスチームパックは、利便性の向上、料理の加熱具合(均等加熱など)の向上などを目的として、特許文献1や特許文献2などのような多くの発明がなされている。
【特許文献1】特開2002−350642
【特許文献2】特開2004−189321
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスチームパックは、発熱剤から得られる熱量が制限されていたということもあり、常温または冷蔵保存している加熱調理済みの料理を温めることを主目的としたものであった。近年は、前記の通り、新たな発熱剤が発明された結果、発熱剤の発する熱量は大幅に高くなっており、冷凍料理を完全に解凍することも可能となっている。冷凍料理を解凍する場合には、外気と接する表面部分から内面に向かって徐々に解凍されるという特性や、料理の種類、量、使用されている食材の大きさなどにより解凍に要する時間が異なるなどの特性を考慮し、加熱具合を調節する必要がある。しかしながら、従来のスチームパックは、これらの点を考慮しておらず、単一種類の冷凍料理(冷凍シュウマイなど)をムラなく解凍することができても、複数種類の冷凍料理(冷凍弁当など)をムラなく解凍することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明では、複数種類の冷凍料理を、発熱剤により、ムラなく加熱解凍、及び/又は、加熱調理することが可能なスチームパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、以下のような発明などを提供する。
【0008】
発熱剤を収納する本体と、複数種類の料理を配置する中皿とからなるスチームパックであって、中皿は複数種類の料理を分けて配置するための複数の区画を有するスチームパックを提供する。また、中皿に設けられる水蒸気を通過させるためのピンホールは、各区画に配置する料理の種類に応じ、異なった密度で設けられているスチームパックを提供する。さらに、蓋は各区画の上部に水蒸気を外部に逃がすための通気孔を有し、通気孔の数、大きさなどにより各区画の加熱具合を調節するスチームパックを提供する。
【0009】
具体的には、以下の発明を提供する。
【0010】
第一発明では、冷凍された複数種類の料理を配置するためのスチームパックであって、発熱反応により熱を発する発熱剤を収納する本体と、本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する中皿とからなり、中皿は、仕切壁により仕切られた複数の区画を有するスチームパックを提供する。
【0011】
第二発明では、第一発明を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画は、ピンホールの密度が区画ごとに異なるスチームパックを提供する。
【0012】
第三発明では、第一発明または第二発明を基本とし、さらに、中皿に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする蓋を有し、蓋は、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を外部に逃がす通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0013】
第四発明では、第一発明から第三発明のいずれか一を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、各区画内で区画中心を略中心とするバームクーヘン状に配列されているスチームパックを提供する。
【0014】
第五発明では、第一発明から第四発明のいずれか一を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、各区画内の中心付近ほど密に設けられているスチームパックを提供する。
【0015】
第六発明では、第四発明または第五発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定であり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は中心に近いほど狭くなるスチームパックを提供する。
【0016】
第七発明では、第六発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は1mmであり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は、2mmであり、その他の列のピン間隔は、1mmであるスチームパックを提供する。
【0017】
第八発明では、第四発明または第五発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定であるスチームパックを提供する。
【0018】
第九発明では、第三発明から第八発明のいずれか一を基本とし、さらに、蓋は、中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0019】
第十発明では、第九発明を基本とし、さらに、蓋は、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有し、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0020】
第十一発明では、第三発明から第十発明のいずれか一を基本とし、さらに、前記中皿に設けられた仕切壁はその全部又は一部が、蓋を中皿に覆い被せた略密閉状態において蓋と接するスチームパックを提供する。
【0021】
第十二発明では、第一発明から第十一発明のいずれか一を基本とし、さらに、本体は略均等厚に成型され、本体の底面は、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有するスチームパックを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のスチームパックにより、複数種類の冷凍料理を、発熱剤を利用して、均等に解凍、及び/又は、加熱調理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施しうる。
【0024】
なお、以下の実施形態と請求項の関係は次のとおりである。実施形態1は主として請求項1、2、3、4、9などについて説明する。実施形態2は主として請求項5、6、7、8などについて説明する。実施形態3は主として請求項10などについて説明する。実施形態4は主として請求項11などについて説明する。実施形態5は主として請求項12などについて説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
【0025】
本実施形態のスチームパックは、複数種類の冷凍料理を区分けして配置するための複数の区画を有することを特徴とする。また、中皿には、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気が通過するためのピンホールが設けられ、ピンホールの密度が区画ごとに異なることを特徴とする。
【0026】
その結果、味の異なる冷凍料理を異なる区画に分けて配置できるほか、各区画に配置された冷凍料理の種類などに応じて、異なった条件で加熱処理することが可能となる。
<実施形態1の機能的構成>
【0027】
図1に本実施形態のスチームパックの一例を示す。図のスチームパックは、「本体」(0101)と、「中皿」(0102)と、「蓋」(0103)から構成される。図は、それぞれの部品を上下に引き離した状態を示すものである。これらが一体に組み合わされて、一つのスチームパックを形成する。
【0028】
なお、図1はあくまで一例であり、「蓋」(0103)は、本実施形態において必須の構成要素ではない。その詳細については、以下で説明する。
【0029】
「スチームパック」は、冷凍された複数種類の料理を配置するよう構成されている。ここで、「冷凍された料理」には、加熱調理を完全に完了した後に冷凍されたものだけでなく、加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理をも含む。「加熱調理を完全に完了した後に冷凍された料理」は、その後、解凍することで食べることが可能な状態になる。一方、「加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理」は、解凍した後、さらに、不足している加熱調理を行うことで、食べることが可能な状態になる。冷凍料理は、その種類、量、材料の大きさなどにより、解凍に要する熱量が異なる。それにも関らず、発熱剤によりすべての料理を同様の手段で加熱処理すると、加熱処理し過ぎた料理があったり、加熱処理が不足している料理があったりするという不都合が生じ得る。そこで、解凍に要する熱量が少ない冷凍料理は、冷凍前の加熱調理を途中でストップして、その状態で冷凍しておき、解凍の際に加える熱量で、残りの加熱調理を完了するようにする。このようにすることで、複数種類の冷凍料理を、発熱剤により同様の手段で加熱処理しても、すべての料理をムラなく加熱処理することができる。なお、当該技術については、「特開2001−299309」の先行文献で開示されている。よって、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
「本体」(0101)は、発熱反応により水蒸気を発する発熱剤を収納するよう構成されている。図2(A)に本体(0201)を真上から見た様子を示す。また、本体を、図2(A)の(ア)で示す部分で切断した時の断面図を図2(B)に示す。当該本体の底面部分に発熱剤が収納され、所定量の水が加えられることとなる。そして、本体の中で発熱剤が発熱反応をして熱を発し、水蒸気を発生することとなる。なお、本実施形態の本体は、発熱剤を収納でき、そこに水を加えて発熱反応を行うことができるようなものであればよく、その形状、大きさは、図2(A)、(B)に示すようなものに限定されるわけではない。例えば、図2(A)では、上から見た図が八角形になっているが、丸でもよいし、正方形でもよいし、長方形でもよいし、その他の多角形でもよい。また、本体の底面部分が、丸、正方形、長方形、その他の多角形などで構成されていてもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。なお、当該前提は、以下のすべての実施形態における「本体」において同様である。ここで、「発熱剤」とは、水を加えると発熱反応により熱を発するものであり、生石灰を主成分とするものなど多数の種類のものが存在する。本実施形態においては、発生する熱量および加熱処理対象(冷凍料理)を考慮すると、高い熱量を発する「アルミニウム粉末と生石灰粉末を主成分とする発熱剤」を使用することが望ましい。このような発熱剤としては、例えば、株式会社エネルダインの「エディック スーパーヒート」(登録商標)などが該当する。
【0031】
「中皿」(0102)は、本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する。図3(A)に中皿(0302)を真上から見た様子を示す。当該図において、黒く塗りつぶした部分は仕切壁(0304)を示している。そして、仕切壁(0304)に仕切られた複数の区画の各区画内に記載された点線は、各区画内一番外側に薄く記載された点線が、各区画の底面を示し、その他の濃く記載された点線が、ピンホールを示している。また、図3(B)に、中皿の断面図を示す。図3(B)の左半分は、図3(A)の(イ)で示す部分の断面図で、右半分は、図3(A)の(ウ)で示す部分の断面図である。図3(B)は、中皿が本体の上に載置されている状態を示している。なお、中皿の形状、大きさとしては特段制限されず、図3(A)で示すような八角形のほか、丸、正方形、長方形、その他の多角形などでもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。
【0032】
ここで、図3(A)に示すように、中皿(0302)の底面部分には、複数のピンホールが設けられている。また、中皿を本体の上に載置した状態においては、本体の開口部分の縁は、中皿(0302)の裏面とほとんど隙間なく密着するよう構成されている。すなわち、本体に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気の大部分は、中皿(0302)の底面部分に設けられた複数のピンホールを通過して、上昇することとなる。
【0033】
また、図3(A)に示すように、「中皿」(0302)は、仕切壁(0304)により仕切られた複数の区画を有する。図3(A)は、仕切壁(0304)により、中皿(0302)内を5つの区画に仕切っている様子を示す。図中、黒く塗りつぶした部分が仕切壁である。なお、図3(A)は、あくまで一例であり、仕切る区画の数や、各区画の形状、大きさなどは特段制限されない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。このように仕切られた区画内には、それぞれ異なった種類の料理が配置されることとなる。このように料理を配置する区画を仕切ることで、解凍、及び/又は、加熱調理した際に味の異なる複数種類の冷凍料理の味が混じりあうなどの不都合を回避できるほか、見た目も鮮やかに盛り付けすることが可能となり、客の購買意欲を刺激する効果が期待できる。
【0034】
ここで、中皿に設けられるピンホールは、区画ごとに異なる密度で設けられてもよい。なお、区画ごとにことなるとは一部の区画においてはそのピンホールの密度が同一であることを妨げない趣旨である。異なる総菜でもたまたま解凍・調理の熱量が同一である場合もまれにあるからである。複数の冷凍料理は、その種類、量、使用する食材の大きさなどにより、加熱解凍に要する熱量がそれぞれ異なる。また、先行文献「特開2001−299309」で開示されている技術を利用した複数の冷凍料理においても、料理の種類、量などによっては、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に要する熱量が異なる場合もある。
【0035】
そこで、水蒸気が通過するピンホールの密度を区画ごとに異ならせ、各区画の加熱条件を調節してもよい。具体的には、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要とする料理や、水蒸気の熱が伝わりにくい料理を配置する区画はピンホールの密度を高くし、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要としない料理や、水蒸気の熱が伝わりにくい料理を配置する区画はピンホールの密度を低くする。例えば、白米は小さな米粒の集まりであり、冷凍した際、他の惣菜などの料理に比べて体積に対する表面積の比率が高い。その結果、他の惣菜などの料理に比べて、水蒸気の熱が効率的に伝わり、加熱解凍、及び/又は、加熱調理される。よって、白米を配置する区画は、他の惣菜などの料理を配置する区画よりもピンホールの密度を低くすることが望ましい。なお、前記白米は一例であり、他の惣菜などの料理についても同様に、調理加工・過熱の具合、食材の切り方、大きさなどを考慮して、各区画のピンホールの密度を調節してもよい。
【0036】
ここで、ピンホールの設け方としては、例えば、図3(A)に示すように、区画中心を略中心とするバームクーヘン状に設けてもよい。この時、バームクーヘン状に複数列に配列されたピンホールの隣り合う列どうしの間隔、及び、同じ列内に配列されたピンホールの隣どうしの間隔、ピンホールの大きさなどの条件を調節することで、区画ごとのピンホールの密度を調節できる。また、その他のピンホールの設け方としては、図4に示すように、各区画の底面部分全体にメッシュ状に設けてもよい。この時の隣り合うピンホールどうしの間隔を調節することで、区画ごとのピンホールの密度を調節できる。その他、格子状に設けてもよいし、区画中心を略中心として放射線状に設けてもよい。
【0037】
本実施形態のスチームパックは、本体に収納した発熱剤が発する熱により生じた水蒸気を利用して、中皿に配置された複数の冷凍料理を加熱解凍、及び/又は、加熱調理する。よって、中皿に設けられたピンホールを通過して本体より上昇してきた水蒸気は、可能な限り中皿内に留まらせることが望ましい。前記を実現する手段として、例えば、蓋(0103)を利用してもよい。
【0038】
「蓋」(0103)は、中皿(0102)に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする。また、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を、適度にスチームパックの外部に逃がすための通気孔を有する。図5(A)に蓋(0503)を真上から見た様子を示す。また、図5(B)に、図5(A)の(エ)で示す部分で切断した時の断面図を示す。当該図は、中皿が本体の上に載置され、蓋が中皿に覆い被さっている状態を示している。なお、本実施形態の蓋は、中皿に覆い被さり中皿内を略密閉状態にできるようなものであればよく、その形状、大きさは、図5(A)、(B)に示すようなものに限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「蓋」において同様である。図5(B)の状態において、本体(0501)に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気が、中皿(0502)のピンホールを通過して上昇してきた場合、水蒸気は、中皿内で一定時間対流した後、蓋(0503)に設けられた通気孔から外部に逃げることとなる。
【0039】
なお、蓋に設けられる通気孔は、図5(A)に示すように、蓋の略中心部分に2か所設けてもよいし、または、図6に示すように、中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に設けられてもよい。図中、中抜き丸で通気孔を示している。なお、図6で示す点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。図6のように、複数の区画それぞれの上部に通気孔を設けることで、各区画内で対流した水蒸気がそれぞれの区画上部の通気孔から外部に逃げ出すこととなる。その結果、区画ごとに加熱条件を調節することが可能となる。ここで、通気孔の設け方としては、図5(A)や図6に示すように、穴を開けてしまってもよいし、または、U字状などの切り込みを入れておき、それを折り曲げたり、取り除いたりすることで通気孔となるようにしてもよい。
【0040】
その他、中皿に設けられたピンホールを通過して本体より上昇してきた水蒸気を、可能な限り中皿内に留まらせる手段としては、例えば、料理用ラップをスチームパックに捲き、中皿内を略密閉状態にすることで実現してもよい。または、スチームパックをビニール袋、ポリ袋、紙袋、などの中に収納し略密閉状態を実現してもよい。しかしながら、実用性を考えると、蓋を使用することが望ましい。
<実施形態1の効果>
【0041】
本実施形態のスチームパックにより、複数種類の料理からなる冷凍料理を、その種類に応じて各区画に分けて配置することができる。また、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気で加熱処理を行う際、区画ごとに異なる条件下で加熱処理することが可能となる。
【0042】
その結果、スチームパックに配置されたすべての冷凍料理をムラなく加熱処理することができる。
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
【0043】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1のスチームパックを基本とし、さらに、各区画内に設けられるスチームホールは、各区画内の略中心付近ほど密に設けられていることを特徴とする。その結果、各区画内は、仕切壁側より、中心付近の方が強く加熱されることとなる。
<実施形態2の機能的構成>
【0044】
本実施形態の中皿の各区画内に設けられるピンホールは、各区画内の中心付近ほど密に設けられている。本実施形態のスチームパックを利用する場合、中皿の各区画に料理を配置した後、中皿ごと冷凍庫などに収納して料理を冷凍することとなる。かかる場合、各区画に収納された料理は、各区画内で一つの冷凍の塊を形成する。そして、そのままの状態で冷凍保管され、その状態で加熱処理されることとなる。このような冷凍の塊に対して加熱処理する際、区画内を均等に加熱すると、塊の端部分が先に解凍され、中心付近の解凍は遅れる。これは、料理を盛り付ける際、見栄えを良くするため各区画の中心付近ほど立体的に盛り付けた結果、周辺より中心付近の方が厚い層である冷凍の塊ができてしまうことなどが原因と考えられる。本実施形態のスチームパックは、前記問題を解消するためになされたものであり、各区画内の中心付近ほど密にピンホールを設けることで、中心付近の方が周辺よりも多くの水蒸気が通過するように設計されている。これにより、中心付近の方が強く加熱されることとなり、区画内に配置された冷凍料理を、ムラなくほぼ同じタイミングで加熱処理を完了することが可能となる。
【0045】
なお、このようなピンホールの設け方としては、以下のような例が考えられる。
【0046】
例えば、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定とし、一つの列の隣接するピンホール同士のピン間隔は中心に近いほど狭くなるように設けてもよい。ここで、「バームクーヘン状に配列されたピンホールの列同士の間隔」とは、図7のAで示す間隔である。「一つの列の隣接するピンホール同士のピン間隔」とは、図7のBで示す間隔である。図7は、中皿の一つの区画内にバームクーヘン状に設けられたピンホールを示す概念図である。なお、図7は、前記間隔の概念などを説明するための図であり、図中でのピンホールの間隔などに制限されるものではない。当該前提は、以下の説明で使用する場合も同様である。
【0047】
前記のようにピンホールを設計する場合、ピンホールのすべての列どうしの間隔は1mmとし、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は2mm、その他の列のピン間隔は1mmとしてもよい。「各区画を仕切る壁面から1番目に近い列」とは、図7中、Cで示すピンホールが位置する列であり、「各区画を仕切る壁面から2番目に近い列」とは、図7中、Dで示すピンホールが位置する列である。本実施形態においても、本体、中皿、蓋の形状、大きさなどについては、図2から6で示すようなものに限定されないが、これらの図で示される形状、大きさなどと略同一の形状、大きさでスチームパックを成型する場合、ピンホールは前記条件で設けることが望ましい。
【0048】
その他のピンホールの設け方の例としては、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定としてもよい。
【0049】
なお、ピンホールをバームクーヘン状に設けておくと、各区画内における加熱状態を前記のようにして調節する際、冷凍料理の「周辺から解凍される」という特性に応じた設計が可能となる。
<実施形態2の効果>
【0050】
本実施形態のスチームパックにより、各区画内に配置された不均等な厚さの冷凍料理の塊を、ムラなく、ほぼ同時に加熱処理を完了することが可能となる。その結果、区画内の端の方に配置された食材は加熱されすぎ、中心付近に配置された食材は加熱が不足しているなどの不都合が生じるのを回避できる。
<<実施形態3>>
<実施形態3の概要>
【0051】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1、2のスチームパックを基本とし、さらに、蓋に設けられる複数の通気孔は、各区画に配置される料理の種類などに応じて、大きさ、数などが最適化されていることを特徴とする。その結果、水蒸気による加熱を、区画ごとに調節することが可能となる。
<実施形態3の機能的構成>
【0052】
本実施形態の蓋は、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置されている料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置している区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有する。また、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置されている料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置している区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有する。
【0053】
ここで、各区画の上部に設けられている通気孔は、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気をスチームパックの外部に逃がす機能を有する。すなわち、通気孔が大きく設けられたり、多く設けられたりした場合、水蒸気はスチームパックの外部に逃げ出しやすくなり、その区画の加熱状態は弱くなる。一方、通気孔が小さく設けられたり、少なく設けられたりした場合は、水蒸気はスチームパックの外部に逃げ出しにくくなり、その区画の加熱状態は強くなる。本実施形態のスチームパックは、当該特徴を利用してなされたものであり、各区画に配置予定の料理の種類、量、材料の大きさなどに応じて、各区画内の加熱具合を、通気孔の数、大きさで調節することができる。
【0054】
通気孔の数、大きさを最適化した蓋の一例を図8に示す。図8の点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。図中、通気孔を中抜き丸で示している。区画Aには、白米などの主食を、区画Bには、肉や魚などのメインディッシュを、区画C、Dには、きんぴらごぼうなど、小さく切った材料からなる副食を、区画Eには、豚の角煮など、大きく切った材料からなる副食を配置予定とする。かかる場合、区画A、C、Dに配置される料理より、区画B、Eに配置される料理の方が強い加熱処理を必要とする。よって、図に示すように、区画B、Eの上部に設けられる通気孔は、区画A、C、Dの上部に設けられる通気孔よりも小さく設計されている。図8では、通気孔の大きさを調節することで加熱具合を調節する手段を示したが、通気孔の数により調節してもよいし、それらを組み合わせてもよい。
【0055】
なお、図8は、あくまで一例であり、各区画には前記と異なる料理を配置してもよい。通気孔の数、大きさは、各区画に配置する料理によって定まる任意の設計事項である。
<実施形態3の効果>
【0056】
本実施形態のスチームパックにより、各区画に配置される料理の種類などに応じて、各区画の加熱状態を調節することができる。その結果、発熱剤で加熱処理した際、スチームパックの複数の区画に配置された複数の料理を同時に、解凍、及び/又は、加熱調理を完了することができ、ある料理を加熱しすぎたり、ある料理の加熱が不足していたりするという不都合を回避することが可能となる。
<<実施形態4>>
<実施形態4の概要>
【0057】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1から3などを基本とし、さらに、蓋を中皿に覆い被せた状態において、中皿を複数の区画に仕切る仕切壁の全部または一部が、蓋と接することを特徴とする。その結果、各区画内の空間は他の区画から独立し、区画ごとの加熱具合の調節がより精度高く行える。
<実施形態4の機能的構成>
【0058】
本実施形態の中皿に設けられた仕切壁は、その全部または一部が、蓋を中皿に覆い被せた密閉状態(以下、当該状態を「閉状態」という)において蓋と接する。閉状態において、仕切壁の全部が蓋と接している場合、すべての区画は、他の区画から独立した空間を構成することとなる。かかる場合、各区画内の加熱状態を、前記実施形態のスチームパックに比べて、より精度高く調節することが可能となる。しかし、仕切壁が蓋と接するよう構成すると必然的に、仕切壁が高く構成されることとなる。よって、すべての仕切壁を蓋と接するように構成すると、盛り付けた料理の見栄えが悪くなるという不都合が生じる。そこで、すべての仕切壁を蓋と接するように構成するのでなく、配置する料理に応じて、一部の仕切壁のみを蓋に接するよう構成してもよい。
【0059】
図9に、閉状態において、仕切壁の一部が蓋と接するように構成した場合の一例を示す。図9の点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。仕切壁の黒く塗りつぶした部分が蓋と接している部分である。なお、接する部分と接さない部分の境界部分は、階段のように段差を付けて構成してもよいし、滑り台のように徐々に高さが切り替わるよう構成してもよい。図9の場合、区画Dには、他の区画に配置される料理に比べて、より加熱処理を必要としない料理が配置されることとなる。すなわち、区画Dを他の区画から完全に独立した空間とし、図に示すように、より大きい通気孔を設けることで、他の空間より弱い加熱処理を行うよう設計されている。また、区画Eには、他の区画に配置される料理に比べて、より強い加熱処理を必要とする料理が配置されることとなる。すなわち、区画Eを他の区画から完全に独立した空間とし、図に示すように、より小さい通気孔を設けることで、他の空間より強い加熱処理を行うよう設計されている。そして、区画A、B、Cには、メインとなる料理が配置されることとなる。すなわち、仕切壁を低くし、料理を見栄え良く立体的に盛り付けできるよう設計されている。なお、前記は、蓋に設けられる通気孔により各区画の加熱条件を調節する手段を説明したが、中皿に設けられるスチームホールにより加熱条件を調節してもよいし、それらを組み合わせてもよい。図9はあくまで一例であり、本実施形態のスチームパックはこれに限定されるものではない。
【0060】
<実施形態4の効果>
【0061】
本実施形態のスチームパックにより、各区画内の空間を、他の区画内の空間から独立させることができる。その結果、区画ごとの加熱状態をより精度高く調節することが可能となる。
<<実施形態5>>
<実施形態5の概要>
【0062】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1から4などを基本とし、さらに、本体の底面には、スチームパックを台などに載置する際に脚部となる凸部を有することを特徴とする。その結果、スチームパックを載置した台などに発熱剤が発した熱が伝わり、料理を十分に加熱処理できなくなるという不都合を回避することができる。
<実施形態5の機能的構成>
【0063】
本実施形態のスチームパックの本体は、略均等厚に成型され、底面には、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有する。図10に凸部の一例を示す。図は、本体の底面のみを裏から見た様子を示す概念図である。斜線部分が凸部である。すなわち、本体を台などに載置した際は、斜線部分のみが台と接することとなる。このように脚部となる凸部を設けることで、台と本体との接触面積が小さくなり、本体の内部に収納された発熱剤が発した熱が、載置した台に移るという不都合を最小限に抑えることができる。なお、本体は、製造コストを抑えるためには、略均等厚に成型することが望ましい。かかる場合、本体の裏面から見た際に凸部となる部分は、本体の内部(発熱剤を収納する部分)から見ると凹部となる。その結果、発熱剤の発熱反応のために加えた水が凹部に溜まってしまい、発熱剤と接触することができず、発熱反応に何ら寄与しないという不都合が生じ得る。そこで、本体の内部から見た際に凹部となる部分、すなわち、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部(図10中、斜線部分)は、可能な限り小さく設計することが望まれる。なお、凸部の形状としては、前記条件を満たすものであればよく、図10の形状に制限されるものではない。例えば、図11や図12の斜線部分で示すような形状の凸部でもよい。
【0064】
<実施形態5の効果>
【0065】
本実施形態のスチームパックにより、発熱剤が発する熱を、効率的に料理の加熱処理に活用することが可能となる。また、発熱反応のために本体の内部に加えられた水を、効率的に発熱反応に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】スチームパックの一例
【図2】実施形態1の本体の一例
【図3】実施形態1の中皿の一例1
【図4】実施形態1の中皿の一例2
【図5】実施形態1の蓋の一例1
【図6】実施形態1の蓋の一例2
【図7】区画内のピンホールを示す概念図の一例
【図8】実施形態3の蓋の一例
【図9】実施形態4の蓋の一例
【図10】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例1
【図11】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例2
【図12】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例3
【符号の説明】
【0067】
0101 本体
0102 中皿
0103 蓋
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍された複数種類の料理を配置可能なパックであり、発熱剤により、冷凍された複数種類の料理を均等に、又は、料理ごとに強度を調節して、加熱処理することができるスチームパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水を添加することにより発熱反応し、熱を発する発熱剤が知られている。このような発熱剤としては、従来は、生石灰を主原料としたものが主流であった。しかし、近年は、アルミニウム粉末と生石灰粉末を主原料とした発熱剤など、新たな発熱剤が開発されており、その結果、発熱剤が発する熱量は従来品に比べ格段に高くなっている。
【0003】
ここで、発熱剤の利用場面としては、電子レンジやスチーム機器などのような加熱機器を利用できない外出先などで、弁当などの料理を加熱し温めるのに利用されたりしている。例えば、アウトドアでのキャンプ中や、船を利用してのクルージング中、飛行機・列車・車などでの移動中、災害時の緊急避難中、などのような加熱機器を利用できない場面においても、簡易に利用できる発熱剤を利用することで、温かい料理を食べることが可能となる。
【0004】
料理を発熱剤により温める具体的手段としては、以下のようなものである。例えば、発熱剤を格納する本体と、料理を配置する中皿と、蓋などから構成されているスチームパックなどが利用される。具体的には、スチームパックの中皿に料理を配置し、蓋をした状態で、本体に格納されている発熱剤に水を添加する。すると、発熱剤の発熱反応により水蒸気が発生し、中皿に配置されている料理が温められるというものである。このようなスチームパックは、利便性の向上、料理の加熱具合(均等加熱など)の向上などを目的として、特許文献1や特許文献2などのような多くの発明がなされている。
【特許文献1】特開2002−350642
【特許文献2】特開2004−189321
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスチームパックは、発熱剤から得られる熱量が制限されていたということもあり、常温または冷蔵保存している加熱調理済みの料理を温めることを主目的としたものであった。近年は、前記の通り、新たな発熱剤が発明された結果、発熱剤の発する熱量は大幅に高くなっており、冷凍料理を完全に解凍することも可能となっている。冷凍料理を解凍する場合には、外気と接する表面部分から内面に向かって徐々に解凍されるという特性や、料理の種類、量、使用されている食材の大きさなどにより解凍に要する時間が異なるなどの特性を考慮し、加熱具合を調節する必要がある。しかしながら、従来のスチームパックは、これらの点を考慮しておらず、単一種類の冷凍料理(冷凍シュウマイなど)をムラなく解凍することができても、複数種類の冷凍料理(冷凍弁当など)をムラなく解凍することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明では、複数種類の冷凍料理を、発熱剤により、ムラなく加熱解凍、及び/又は、加熱調理することが可能なスチームパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、以下のような発明などを提供する。
【0008】
発熱剤を収納する本体と、複数種類の料理を配置する中皿とからなるスチームパックであって、中皿は複数種類の料理を分けて配置するための複数の区画を有するスチームパックを提供する。また、中皿に設けられる水蒸気を通過させるためのピンホールは、各区画に配置する料理の種類に応じ、異なった密度で設けられているスチームパックを提供する。さらに、蓋は各区画の上部に水蒸気を外部に逃がすための通気孔を有し、通気孔の数、大きさなどにより各区画の加熱具合を調節するスチームパックを提供する。
【0009】
具体的には、以下の発明を提供する。
【0010】
第一発明では、冷凍された複数種類の料理を配置するためのスチームパックであって、発熱反応により熱を発する発熱剤を収納する本体と、本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する中皿とからなり、中皿は、仕切壁により仕切られた複数の区画を有するスチームパックを提供する。
【0011】
第二発明では、第一発明を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画は、ピンホールの密度が区画ごとに異なるスチームパックを提供する。
【0012】
第三発明では、第一発明または第二発明を基本とし、さらに、中皿に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする蓋を有し、蓋は、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を外部に逃がす通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0013】
第四発明では、第一発明から第三発明のいずれか一を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、各区画内で区画中心を略中心とするバームクーヘン状に配列されているスチームパックを提供する。
【0014】
第五発明では、第一発明から第四発明のいずれか一を基本とし、さらに、中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、各区画内の中心付近ほど密に設けられているスチームパックを提供する。
【0015】
第六発明では、第四発明または第五発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定であり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は中心に近いほど狭くなるスチームパックを提供する。
【0016】
第七発明では、第六発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は1mmであり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は、2mmであり、その他の列のピン間隔は、1mmであるスチームパックを提供する。
【0017】
第八発明では、第四発明または第五発明を基本とし、さらに、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定であるスチームパックを提供する。
【0018】
第九発明では、第三発明から第八発明のいずれか一を基本とし、さらに、蓋は、中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0019】
第十発明では、第九発明を基本とし、さらに、蓋は、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有し、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有するスチームパックを提供する。
【0020】
第十一発明では、第三発明から第十発明のいずれか一を基本とし、さらに、前記中皿に設けられた仕切壁はその全部又は一部が、蓋を中皿に覆い被せた略密閉状態において蓋と接するスチームパックを提供する。
【0021】
第十二発明では、第一発明から第十一発明のいずれか一を基本とし、さらに、本体は略均等厚に成型され、本体の底面は、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有するスチームパックを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のスチームパックにより、複数種類の冷凍料理を、発熱剤を利用して、均等に解凍、及び/又は、加熱調理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施しうる。
【0024】
なお、以下の実施形態と請求項の関係は次のとおりである。実施形態1は主として請求項1、2、3、4、9などについて説明する。実施形態2は主として請求項5、6、7、8などについて説明する。実施形態3は主として請求項10などについて説明する。実施形態4は主として請求項11などについて説明する。実施形態5は主として請求項12などについて説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
【0025】
本実施形態のスチームパックは、複数種類の冷凍料理を区分けして配置するための複数の区画を有することを特徴とする。また、中皿には、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気が通過するためのピンホールが設けられ、ピンホールの密度が区画ごとに異なることを特徴とする。
【0026】
その結果、味の異なる冷凍料理を異なる区画に分けて配置できるほか、各区画に配置された冷凍料理の種類などに応じて、異なった条件で加熱処理することが可能となる。
<実施形態1の機能的構成>
【0027】
図1に本実施形態のスチームパックの一例を示す。図のスチームパックは、「本体」(0101)と、「中皿」(0102)と、「蓋」(0103)から構成される。図は、それぞれの部品を上下に引き離した状態を示すものである。これらが一体に組み合わされて、一つのスチームパックを形成する。
【0028】
なお、図1はあくまで一例であり、「蓋」(0103)は、本実施形態において必須の構成要素ではない。その詳細については、以下で説明する。
【0029】
「スチームパック」は、冷凍された複数種類の料理を配置するよう構成されている。ここで、「冷凍された料理」には、加熱調理を完全に完了した後に冷凍されたものだけでなく、加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理をも含む。「加熱調理を完全に完了した後に冷凍された料理」は、その後、解凍することで食べることが可能な状態になる。一方、「加熱調理を途中でストップし、その状態で冷凍された料理」は、解凍した後、さらに、不足している加熱調理を行うことで、食べることが可能な状態になる。冷凍料理は、その種類、量、材料の大きさなどにより、解凍に要する熱量が異なる。それにも関らず、発熱剤によりすべての料理を同様の手段で加熱処理すると、加熱処理し過ぎた料理があったり、加熱処理が不足している料理があったりするという不都合が生じ得る。そこで、解凍に要する熱量が少ない冷凍料理は、冷凍前の加熱調理を途中でストップして、その状態で冷凍しておき、解凍の際に加える熱量で、残りの加熱調理を完了するようにする。このようにすることで、複数種類の冷凍料理を、発熱剤により同様の手段で加熱処理しても、すべての料理をムラなく加熱処理することができる。なお、当該技術については、「特開2001−299309」の先行文献で開示されている。よって、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
「本体」(0101)は、発熱反応により水蒸気を発する発熱剤を収納するよう構成されている。図2(A)に本体(0201)を真上から見た様子を示す。また、本体を、図2(A)の(ア)で示す部分で切断した時の断面図を図2(B)に示す。当該本体の底面部分に発熱剤が収納され、所定量の水が加えられることとなる。そして、本体の中で発熱剤が発熱反応をして熱を発し、水蒸気を発生することとなる。なお、本実施形態の本体は、発熱剤を収納でき、そこに水を加えて発熱反応を行うことができるようなものであればよく、その形状、大きさは、図2(A)、(B)に示すようなものに限定されるわけではない。例えば、図2(A)では、上から見た図が八角形になっているが、丸でもよいし、正方形でもよいし、長方形でもよいし、その他の多角形でもよい。また、本体の底面部分が、丸、正方形、長方形、その他の多角形などで構成されていてもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。なお、当該前提は、以下のすべての実施形態における「本体」において同様である。ここで、「発熱剤」とは、水を加えると発熱反応により熱を発するものであり、生石灰を主成分とするものなど多数の種類のものが存在する。本実施形態においては、発生する熱量および加熱処理対象(冷凍料理)を考慮すると、高い熱量を発する「アルミニウム粉末と生石灰粉末を主成分とする発熱剤」を使用することが望ましい。このような発熱剤としては、例えば、株式会社エネルダインの「エディック スーパーヒート」(登録商標)などが該当する。
【0031】
「中皿」(0102)は、本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する。図3(A)に中皿(0302)を真上から見た様子を示す。当該図において、黒く塗りつぶした部分は仕切壁(0304)を示している。そして、仕切壁(0304)に仕切られた複数の区画の各区画内に記載された点線は、各区画内一番外側に薄く記載された点線が、各区画の底面を示し、その他の濃く記載された点線が、ピンホールを示している。また、図3(B)に、中皿の断面図を示す。図3(B)の左半分は、図3(A)の(イ)で示す部分の断面図で、右半分は、図3(A)の(ウ)で示す部分の断面図である。図3(B)は、中皿が本体の上に載置されている状態を示している。なお、中皿の形状、大きさとしては特段制限されず、図3(A)で示すような八角形のほか、丸、正方形、長方形、その他の多角形などでもよい。大きさについても、図面で示す設計に限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。
【0032】
ここで、図3(A)に示すように、中皿(0302)の底面部分には、複数のピンホールが設けられている。また、中皿を本体の上に載置した状態においては、本体の開口部分の縁は、中皿(0302)の裏面とほとんど隙間なく密着するよう構成されている。すなわち、本体に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気の大部分は、中皿(0302)の底面部分に設けられた複数のピンホールを通過して、上昇することとなる。
【0033】
また、図3(A)に示すように、「中皿」(0302)は、仕切壁(0304)により仕切られた複数の区画を有する。図3(A)は、仕切壁(0304)により、中皿(0302)内を5つの区画に仕切っている様子を示す。図中、黒く塗りつぶした部分が仕切壁である。なお、図3(A)は、あくまで一例であり、仕切る区画の数や、各区画の形状、大きさなどは特段制限されない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「中皿」において同様である。このように仕切られた区画内には、それぞれ異なった種類の料理が配置されることとなる。このように料理を配置する区画を仕切ることで、解凍、及び/又は、加熱調理した際に味の異なる複数種類の冷凍料理の味が混じりあうなどの不都合を回避できるほか、見た目も鮮やかに盛り付けすることが可能となり、客の購買意欲を刺激する効果が期待できる。
【0034】
ここで、中皿に設けられるピンホールは、区画ごとに異なる密度で設けられてもよい。なお、区画ごとにことなるとは一部の区画においてはそのピンホールの密度が同一であることを妨げない趣旨である。異なる総菜でもたまたま解凍・調理の熱量が同一である場合もまれにあるからである。複数の冷凍料理は、その種類、量、使用する食材の大きさなどにより、加熱解凍に要する熱量がそれぞれ異なる。また、先行文献「特開2001−299309」で開示されている技術を利用した複数の冷凍料理においても、料理の種類、量などによっては、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に要する熱量が異なる場合もある。
【0035】
そこで、水蒸気が通過するピンホールの密度を区画ごとに異ならせ、各区画の加熱条件を調節してもよい。具体的には、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要とする料理や、水蒸気の熱が伝わりにくい料理を配置する区画はピンホールの密度を高くし、加熱解凍、及び/又は、加熱調理に多くの熱量を必要としない料理や、水蒸気の熱が伝わりにくい料理を配置する区画はピンホールの密度を低くする。例えば、白米は小さな米粒の集まりであり、冷凍した際、他の惣菜などの料理に比べて体積に対する表面積の比率が高い。その結果、他の惣菜などの料理に比べて、水蒸気の熱が効率的に伝わり、加熱解凍、及び/又は、加熱調理される。よって、白米を配置する区画は、他の惣菜などの料理を配置する区画よりもピンホールの密度を低くすることが望ましい。なお、前記白米は一例であり、他の惣菜などの料理についても同様に、調理加工・過熱の具合、食材の切り方、大きさなどを考慮して、各区画のピンホールの密度を調節してもよい。
【0036】
ここで、ピンホールの設け方としては、例えば、図3(A)に示すように、区画中心を略中心とするバームクーヘン状に設けてもよい。この時、バームクーヘン状に複数列に配列されたピンホールの隣り合う列どうしの間隔、及び、同じ列内に配列されたピンホールの隣どうしの間隔、ピンホールの大きさなどの条件を調節することで、区画ごとのピンホールの密度を調節できる。また、その他のピンホールの設け方としては、図4に示すように、各区画の底面部分全体にメッシュ状に設けてもよい。この時の隣り合うピンホールどうしの間隔を調節することで、区画ごとのピンホールの密度を調節できる。その他、格子状に設けてもよいし、区画中心を略中心として放射線状に設けてもよい。
【0037】
本実施形態のスチームパックは、本体に収納した発熱剤が発する熱により生じた水蒸気を利用して、中皿に配置された複数の冷凍料理を加熱解凍、及び/又は、加熱調理する。よって、中皿に設けられたピンホールを通過して本体より上昇してきた水蒸気は、可能な限り中皿内に留まらせることが望ましい。前記を実現する手段として、例えば、蓋(0103)を利用してもよい。
【0038】
「蓋」(0103)は、中皿(0102)に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする。また、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を、適度にスチームパックの外部に逃がすための通気孔を有する。図5(A)に蓋(0503)を真上から見た様子を示す。また、図5(B)に、図5(A)の(エ)で示す部分で切断した時の断面図を示す。当該図は、中皿が本体の上に載置され、蓋が中皿に覆い被さっている状態を示している。なお、本実施形態の蓋は、中皿に覆い被さり中皿内を略密閉状態にできるようなものであればよく、その形状、大きさは、図5(A)、(B)に示すようなものに限定されるものではない。当該前提は、以下のすべての実施形態における「蓋」において同様である。図5(B)の状態において、本体(0501)に収納された発熱剤が発した熱により生じた水蒸気が、中皿(0502)のピンホールを通過して上昇してきた場合、水蒸気は、中皿内で一定時間対流した後、蓋(0503)に設けられた通気孔から外部に逃げることとなる。
【0039】
なお、蓋に設けられる通気孔は、図5(A)に示すように、蓋の略中心部分に2か所設けてもよいし、または、図6に示すように、中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に設けられてもよい。図中、中抜き丸で通気孔を示している。なお、図6で示す点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。図6のように、複数の区画それぞれの上部に通気孔を設けることで、各区画内で対流した水蒸気がそれぞれの区画上部の通気孔から外部に逃げ出すこととなる。その結果、区画ごとに加熱条件を調節することが可能となる。ここで、通気孔の設け方としては、図5(A)や図6に示すように、穴を開けてしまってもよいし、または、U字状などの切り込みを入れておき、それを折り曲げたり、取り除いたりすることで通気孔となるようにしてもよい。
【0040】
その他、中皿に設けられたピンホールを通過して本体より上昇してきた水蒸気を、可能な限り中皿内に留まらせる手段としては、例えば、料理用ラップをスチームパックに捲き、中皿内を略密閉状態にすることで実現してもよい。または、スチームパックをビニール袋、ポリ袋、紙袋、などの中に収納し略密閉状態を実現してもよい。しかしながら、実用性を考えると、蓋を使用することが望ましい。
<実施形態1の効果>
【0041】
本実施形態のスチームパックにより、複数種類の料理からなる冷凍料理を、その種類に応じて各区画に分けて配置することができる。また、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気で加熱処理を行う際、区画ごとに異なる条件下で加熱処理することが可能となる。
【0042】
その結果、スチームパックに配置されたすべての冷凍料理をムラなく加熱処理することができる。
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
【0043】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1のスチームパックを基本とし、さらに、各区画内に設けられるスチームホールは、各区画内の略中心付近ほど密に設けられていることを特徴とする。その結果、各区画内は、仕切壁側より、中心付近の方が強く加熱されることとなる。
<実施形態2の機能的構成>
【0044】
本実施形態の中皿の各区画内に設けられるピンホールは、各区画内の中心付近ほど密に設けられている。本実施形態のスチームパックを利用する場合、中皿の各区画に料理を配置した後、中皿ごと冷凍庫などに収納して料理を冷凍することとなる。かかる場合、各区画に収納された料理は、各区画内で一つの冷凍の塊を形成する。そして、そのままの状態で冷凍保管され、その状態で加熱処理されることとなる。このような冷凍の塊に対して加熱処理する際、区画内を均等に加熱すると、塊の端部分が先に解凍され、中心付近の解凍は遅れる。これは、料理を盛り付ける際、見栄えを良くするため各区画の中心付近ほど立体的に盛り付けた結果、周辺より中心付近の方が厚い層である冷凍の塊ができてしまうことなどが原因と考えられる。本実施形態のスチームパックは、前記問題を解消するためになされたものであり、各区画内の中心付近ほど密にピンホールを設けることで、中心付近の方が周辺よりも多くの水蒸気が通過するように設計されている。これにより、中心付近の方が強く加熱されることとなり、区画内に配置された冷凍料理を、ムラなくほぼ同じタイミングで加熱処理を完了することが可能となる。
【0045】
なお、このようなピンホールの設け方としては、以下のような例が考えられる。
【0046】
例えば、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定とし、一つの列の隣接するピンホール同士のピン間隔は中心に近いほど狭くなるように設けてもよい。ここで、「バームクーヘン状に配列されたピンホールの列同士の間隔」とは、図7のAで示す間隔である。「一つの列の隣接するピンホール同士のピン間隔」とは、図7のBで示す間隔である。図7は、中皿の一つの区画内にバームクーヘン状に設けられたピンホールを示す概念図である。なお、図7は、前記間隔の概念などを説明するための図であり、図中でのピンホールの間隔などに制限されるものではない。当該前提は、以下の説明で使用する場合も同様である。
【0047】
前記のようにピンホールを設計する場合、ピンホールのすべての列どうしの間隔は1mmとし、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は2mm、その他の列のピン間隔は1mmとしてもよい。「各区画を仕切る壁面から1番目に近い列」とは、図7中、Cで示すピンホールが位置する列であり、「各区画を仕切る壁面から2番目に近い列」とは、図7中、Dで示すピンホールが位置する列である。本実施形態においても、本体、中皿、蓋の形状、大きさなどについては、図2から6で示すようなものに限定されないが、これらの図で示される形状、大きさなどと略同一の形状、大きさでスチームパックを成型する場合、ピンホールは前記条件で設けることが望ましい。
【0048】
その他のピンホールの設け方の例としては、各区画内に、バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定としてもよい。
【0049】
なお、ピンホールをバームクーヘン状に設けておくと、各区画内における加熱状態を前記のようにして調節する際、冷凍料理の「周辺から解凍される」という特性に応じた設計が可能となる。
<実施形態2の効果>
【0050】
本実施形態のスチームパックにより、各区画内に配置された不均等な厚さの冷凍料理の塊を、ムラなく、ほぼ同時に加熱処理を完了することが可能となる。その結果、区画内の端の方に配置された食材は加熱されすぎ、中心付近に配置された食材は加熱が不足しているなどの不都合が生じるのを回避できる。
<<実施形態3>>
<実施形態3の概要>
【0051】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1、2のスチームパックを基本とし、さらに、蓋に設けられる複数の通気孔は、各区画に配置される料理の種類などに応じて、大きさ、数などが最適化されていることを特徴とする。その結果、水蒸気による加熱を、区画ごとに調節することが可能となる。
<実施形態3の機能的構成>
【0052】
本実施形態の蓋は、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置されている料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置している区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有する。また、解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置されている料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置している区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有する。
【0053】
ここで、各区画の上部に設けられている通気孔は、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気をスチームパックの外部に逃がす機能を有する。すなわち、通気孔が大きく設けられたり、多く設けられたりした場合、水蒸気はスチームパックの外部に逃げ出しやすくなり、その区画の加熱状態は弱くなる。一方、通気孔が小さく設けられたり、少なく設けられたりした場合は、水蒸気はスチームパックの外部に逃げ出しにくくなり、その区画の加熱状態は強くなる。本実施形態のスチームパックは、当該特徴を利用してなされたものであり、各区画に配置予定の料理の種類、量、材料の大きさなどに応じて、各区画内の加熱具合を、通気孔の数、大きさで調節することができる。
【0054】
通気孔の数、大きさを最適化した蓋の一例を図8に示す。図8の点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。図中、通気孔を中抜き丸で示している。区画Aには、白米などの主食を、区画Bには、肉や魚などのメインディッシュを、区画C、Dには、きんぴらごぼうなど、小さく切った材料からなる副食を、区画Eには、豚の角煮など、大きく切った材料からなる副食を配置予定とする。かかる場合、区画A、C、Dに配置される料理より、区画B、Eに配置される料理の方が強い加熱処理を必要とする。よって、図に示すように、区画B、Eの上部に設けられる通気孔は、区画A、C、Dの上部に設けられる通気孔よりも小さく設計されている。図8では、通気孔の大きさを調節することで加熱具合を調節する手段を示したが、通気孔の数により調節してもよいし、それらを組み合わせてもよい。
【0055】
なお、図8は、あくまで一例であり、各区画には前記と異なる料理を配置してもよい。通気孔の数、大きさは、各区画に配置する料理によって定まる任意の設計事項である。
<実施形態3の効果>
【0056】
本実施形態のスチームパックにより、各区画に配置される料理の種類などに応じて、各区画の加熱状態を調節することができる。その結果、発熱剤で加熱処理した際、スチームパックの複数の区画に配置された複数の料理を同時に、解凍、及び/又は、加熱調理を完了することができ、ある料理を加熱しすぎたり、ある料理の加熱が不足していたりするという不都合を回避することが可能となる。
<<実施形態4>>
<実施形態4の概要>
【0057】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1から3などを基本とし、さらに、蓋を中皿に覆い被せた状態において、中皿を複数の区画に仕切る仕切壁の全部または一部が、蓋と接することを特徴とする。その結果、各区画内の空間は他の区画から独立し、区画ごとの加熱具合の調節がより精度高く行える。
<実施形態4の機能的構成>
【0058】
本実施形態の中皿に設けられた仕切壁は、その全部または一部が、蓋を中皿に覆い被せた密閉状態(以下、当該状態を「閉状態」という)において蓋と接する。閉状態において、仕切壁の全部が蓋と接している場合、すべての区画は、他の区画から独立した空間を構成することとなる。かかる場合、各区画内の加熱状態を、前記実施形態のスチームパックに比べて、より精度高く調節することが可能となる。しかし、仕切壁が蓋と接するよう構成すると必然的に、仕切壁が高く構成されることとなる。よって、すべての仕切壁を蓋と接するように構成すると、盛り付けた料理の見栄えが悪くなるという不都合が生じる。そこで、すべての仕切壁を蓋と接するように構成するのでなく、配置する料理に応じて、一部の仕切壁のみを蓋に接するよう構成してもよい。
【0059】
図9に、閉状態において、仕切壁の一部が蓋と接するように構成した場合の一例を示す。図9の点線は、蓋を中皿に覆い被せた時の中皿の仕切壁を示す。仕切壁の黒く塗りつぶした部分が蓋と接している部分である。なお、接する部分と接さない部分の境界部分は、階段のように段差を付けて構成してもよいし、滑り台のように徐々に高さが切り替わるよう構成してもよい。図9の場合、区画Dには、他の区画に配置される料理に比べて、より加熱処理を必要としない料理が配置されることとなる。すなわち、区画Dを他の区画から完全に独立した空間とし、図に示すように、より大きい通気孔を設けることで、他の空間より弱い加熱処理を行うよう設計されている。また、区画Eには、他の区画に配置される料理に比べて、より強い加熱処理を必要とする料理が配置されることとなる。すなわち、区画Eを他の区画から完全に独立した空間とし、図に示すように、より小さい通気孔を設けることで、他の空間より強い加熱処理を行うよう設計されている。そして、区画A、B、Cには、メインとなる料理が配置されることとなる。すなわち、仕切壁を低くし、料理を見栄え良く立体的に盛り付けできるよう設計されている。なお、前記は、蓋に設けられる通気孔により各区画の加熱条件を調節する手段を説明したが、中皿に設けられるスチームホールにより加熱条件を調節してもよいし、それらを組み合わせてもよい。図9はあくまで一例であり、本実施形態のスチームパックはこれに限定されるものではない。
【0060】
<実施形態4の効果>
【0061】
本実施形態のスチームパックにより、各区画内の空間を、他の区画内の空間から独立させることができる。その結果、区画ごとの加熱状態をより精度高く調節することが可能となる。
<<実施形態5>>
<実施形態5の概要>
【0062】
本実施形態のスチームパックは、実施形態1から4などを基本とし、さらに、本体の底面には、スチームパックを台などに載置する際に脚部となる凸部を有することを特徴とする。その結果、スチームパックを載置した台などに発熱剤が発した熱が伝わり、料理を十分に加熱処理できなくなるという不都合を回避することができる。
<実施形態5の機能的構成>
【0063】
本実施形態のスチームパックの本体は、略均等厚に成型され、底面には、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有する。図10に凸部の一例を示す。図は、本体の底面のみを裏から見た様子を示す概念図である。斜線部分が凸部である。すなわち、本体を台などに載置した際は、斜線部分のみが台と接することとなる。このように脚部となる凸部を設けることで、台と本体との接触面積が小さくなり、本体の内部に収納された発熱剤が発した熱が、載置した台に移るという不都合を最小限に抑えることができる。なお、本体は、製造コストを抑えるためには、略均等厚に成型することが望ましい。かかる場合、本体の裏面から見た際に凸部となる部分は、本体の内部(発熱剤を収納する部分)から見ると凹部となる。その結果、発熱剤の発熱反応のために加えた水が凹部に溜まってしまい、発熱剤と接触することができず、発熱反応に何ら寄与しないという不都合が生じ得る。そこで、本体の内部から見た際に凹部となる部分、すなわち、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部(図10中、斜線部分)は、可能な限り小さく設計することが望まれる。なお、凸部の形状としては、前記条件を満たすものであればよく、図10の形状に制限されるものではない。例えば、図11や図12の斜線部分で示すような形状の凸部でもよい。
【0064】
<実施形態5の効果>
【0065】
本実施形態のスチームパックにより、発熱剤が発する熱を、効率的に料理の加熱処理に活用することが可能となる。また、発熱反応のために本体の内部に加えられた水を、効率的に発熱反応に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】スチームパックの一例
【図2】実施形態1の本体の一例
【図3】実施形態1の中皿の一例1
【図4】実施形態1の中皿の一例2
【図5】実施形態1の蓋の一例1
【図6】実施形態1の蓋の一例2
【図7】区画内のピンホールを示す概念図の一例
【図8】実施形態3の蓋の一例
【図9】実施形態4の蓋の一例
【図10】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例1
【図11】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例2
【図12】実施形態5の本体を裏面から見た概念図の一例3
【符号の説明】
【0067】
0101 本体
0102 中皿
0103 蓋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍された複数種類の料理を配置するためのスチームパックであって、
発熱反応により熱を発する発熱剤を収納する本体と、
本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する中皿とからなり、
中皿は、
仕切壁により仕切られた複数の区画を有するスチームパック。
【請求項2】
中皿が有する複数の区画は、
ピンホールの密度が区画ごとに異なる請求項1に記載のスチームパック。
【請求項3】
中皿に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする蓋を有し、
蓋は、
発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を外部に逃がす通気孔を有する請求項1又は2に記載のスチームパック。
【請求項4】
中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、
各区画内で区画中心を略中心とするバームクーヘン状に配列されている請求項1から3のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項5】
中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、
各区画内の中心付近ほど密に設けられている請求項1から4のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項6】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定であり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は中心に近いほど狭くなる請求項4又は5に記載のスチームパック。
【請求項7】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は1mmであり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は、2mmであり、その他の列のピン間隔は、1mmである
請求項6に記載のスチームパック。
【請求項8】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定である請求項4又は5に記載のスチームパック。
【請求項9】
蓋は、
中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に通気孔を有する請求項3から8のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項10】
蓋は、
解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有し、
解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有する請求項9に記載のスチームパック。
【請求項11】
前記中皿に設けられた仕切壁はその全部又は一部が、蓋を中皿に覆い被せた略密閉状態において蓋と接する請求項3から10のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項12】
本体は略均等厚に成型され、
本体の底面は、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有する請求項1から11のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項1】
冷凍された複数種類の料理を配置するためのスチームパックであって、
発熱反応により熱を発する発熱剤を収納する本体と、
本体の上に載置され、発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を通過させるためのピンホールを有する中皿とからなり、
中皿は、
仕切壁により仕切られた複数の区画を有するスチームパック。
【請求項2】
中皿が有する複数の区画は、
ピンホールの密度が区画ごとに異なる請求項1に記載のスチームパック。
【請求項3】
中皿に覆い被さり、中皿内を略密閉状態にする蓋を有し、
蓋は、
発熱剤が発した熱により生じた水蒸気を外部に逃がす通気孔を有する請求項1又は2に記載のスチームパック。
【請求項4】
中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、
各区画内で区画中心を略中心とするバームクーヘン状に配列されている請求項1から3のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項5】
中皿が有する複数の区画に設けられるピンホールは、
各区画内の中心付近ほど密に設けられている請求項1から4のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項6】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は一定であり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は中心に近いほど狭くなる請求項4又は5に記載のスチームパック。
【請求項7】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は1mmであり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は、各区画を仕切る壁面から1番目、2番目に近い列のピン間隔は、2mmであり、その他の列のピン間隔は、1mmである
請求項6に記載のスチームパック。
【請求項8】
各区画内に、
バームクーヘン状に配列されたピンホールの列どうしの間隔は中心に近いほど狭くなり、
一つの列の隣接するピンホールどうしのピン間隔は一定である請求項4又は5に記載のスチームパック。
【請求項9】
蓋は、
中皿に設けられた複数の区画それぞれの上部に位置する箇所に通気孔を有する請求項3から8のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項10】
蓋は、
解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要とする料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より小さな、及び/又は、少しの通気孔を有し、
解凍、及び/又は、加熱調理のために、他の区画に配置される料理より多くの加熱処理を必要としない料理を配置する区画の上部には、他の区画の上部の通気孔より大きな、及び/又は、多くの通気孔を有する請求項9に記載のスチームパック。
【請求項11】
前記中皿に設けられた仕切壁はその全部又は一部が、蓋を中皿に覆い被せた略密閉状態において蓋と接する請求項3から10のいずれか一に記載のスチームパック。
【請求項12】
本体は略均等厚に成型され、
本体の底面は、スチームパックを載置する際に脚部となる凸部を有する請求項1から11のいずれか一に記載のスチームパック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−153708(P2009−153708A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335211(P2007−335211)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422884)株式会社 キュイジーヌ・ラボ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422884)株式会社 キュイジーヌ・ラボ (8)
【Fターム(参考)】
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