説明

ステロイド誘導体の安定性向上のための方法

11−(4−アミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン誘導体の医薬的に許容可能な塩を含んでなる、向上した安定性を有する組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にステロイドを含んでなる組成物、特に、19−ノルプロゲステロンI誘導体を含んでなる、強力な抗プロゲステロン活性、最小限の抗グルココルチコイド活性及び向上した安定性を有する組成物に関する。本発明はまた、当該組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたり、抗ホルモン活性を有するステロイドを調製する多数の試みがなされてきた。近年では、抗プロゲステロンステロイドは、個体制御において広範な応用性が明らかになり、一方抗グルココルチコイドは、例えばクッシング症候群及びコルチゾンの過剰な内因性産生を特徴とする他の症状の処置において非常に有効であることが一般に認められてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
避妊の目的では、抗グルココルチコイド活性が無い(又は最小限で有する)抗プロゲステロン活性を持つ化合物を用いることが有利である。抗グルココルチコイド活性からの抗プロゲステロン活性の分離を達成するため、ミフェプリストン構造を改変する多数の試みがあるが、この目的は未だ十分に達成されていない。つまり当業界においては、抗グルココルチコイド活性が最小限の、抗プロゲステロン活性を持つステロイドを含んでなる新規な製剤開発の必要性が依然として存在する。
【0004】
米国特許第6,861,415号及び米国特許第6,900,193号(共に、参照により本明細書に組み込まれる)は、抗グルココルチコイド活性が最小限の、抗プロゲステロン活性を持つ新規な化合物を開示している。この化合物はステロイド誘導体であり、さらに具体的には、これらは19−ノルプロゲステロンIの構造的改変体、例えば17−α−置換−11−β置換−4−アリール及び21−置換の19−ノルプレグナジエンジオンであるが、これらは水に難溶性である。従って当業界においては、向上した安定性及び改善した生物学的利用性を持つステロイド誘導体を含んでなる製剤開発の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、強力な抗プロゲステロン活性、最小限の抗グルココルチコイド活性及び向上した安定性を有する、新規な製剤を提供する。
【0006】
より具体的には、本発明は以下の一般式I
【化1】

を有する化合物の医薬的に許容可能な塩を含んでなる組成物を提供する。
【0007】
ここで、R1は、好ましくは窒素を含んでなり、そこで塩を形成できる塩基性官能基であり、限定するものではないが、例えば−N(CH32、−NHCH3、−NC48、−NC510、−NC48O、−O(CH22N(CH32、−O(CH22NC48及び−O(CH22NC510であり;R2は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、エチニルオキシ、シクロプロピルオキシ等)、アシルオキシ(例えばホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオンイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、グリシネート等)、アルキルカルボネート、シピノイルオキシ、S−アルキル、−SCN、S−アシル及び−OC(O)R6であり、ここでR6は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、アルキル(例えば、メチル、エチル等)、アルコキシアルキル(例えば−CH2OCH3)及びアルコキシ(−OCH3)であり;R3は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、アルキル(例えば、メチル、メトキシメチル等)、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、ビニルオキシ等)、及びアシルオキシであり;R4は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、水素及びアルキルであり;及びXは、官能基であり、限定するものではないが、例えば、=O及び=N−OR5であり、ここでR5は水素及びアルキルからなる群から選択され、ここで、R1が−N(CH32、R2がメトキシ、R3がアセトキシ、R4がメチル及びXが=Oである場合、塩がHCl又はHBr塩でないことが条件である。
【0008】
当該組成物は、強力な抗プロゲステロン活性、最小限の抗グルココルチコイド活性及び向上した安定性を有する。従って当該組成物は、ヒトの内分泌性の障害又はステロイド感受性組織における他の病状の処置における長期間の使用に適するものでもよい。処置のための特定の病状には、限定するものではないが、子宮内膜症、月経困難症、子宮平滑筋腫、子宮繊維腫、髄膜種及び転移性乳癌がある。他の使用としては、限定するものではないが、避妊があり、例えば性交後避妊及び子宮頸部塾化の誘導がある。
【0009】
同様に、本明細書に記載のヒト内分泌性の障害又はステロイド感受性組織における他の病状の処置のための医薬の製造における、本発明の組成物の任意の使用が提供され、限定するものではないが、例えば、子宮内膜症、月経困難症、子宮平滑筋腫、子宮線維腫、髄膜腫及び転移性乳癌がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の一般式I
【化2】

のステロイド誘導体を含んでなる組成物を提供する。
【0011】
式Iによれば、R1は、好ましくは窒素を含んでなり、そこで塩を形成できる塩基性官能基であり、限定するものではないが、例えば−N(CH32、−NHCH3、−NC48、−NC510、−NC48O、−O(CH22N(CH32、−O(CH22NC48及び−O(CH22NC510であり;R2は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、エチニルオキシ、シクロプロピルオキシ等)、アシルオキシ(例えばホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオンイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、グリシネート等)、アルキルカルボネート、シピノイルオキシ、S−アルキル、−SCN、S−アシル及び−OC(O)R6であり、ここでR6は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、アルキル(例えば、メチル、エチル等)、アルコキシアルキル(例えば−CH2OCH3)及びアルコキシ(−OCH3)であり;R3は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びアシルオキシであり;R4は、官能基であり、限定するものではないが、例えば、水素及びアルキルであり;及びXは、官能基であり、限定するものではないが、例えば、=O及び=N−OR5であり、ここでR5は水素及びアルキルからなる群から選択され、ここで、R1が−N(CH32、R2がメトキシ、R3がアセトキシ、R4がメチル及びXが=Oである場合、塩がHCl又はHBr塩でないことが条件である。
【0012】
すなわち、本発明の組成物は、化合物が適切な酸と反応する場合、塩を形成できる一般式Iの化合物を含んでなる。好ましくは、一般式Iの化合物は、化合物の11β位に位置するフェニル基の4位(すなわち、R1の位置)に付加された塩基性官能基を含んでなる。ただし、任意の位置に付加された塩基性官能基を含んでなる一般式Iの化合物は、化合物の塩が形成され得る限り、本発明の範囲内である。上記の塩基性官能基に加え、そこで塩を形成できるR1に適する他の塩基性官能基は、限定するものではないが、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン及びモルホリン官能基がある。
【0013】
「アルキル」なる語は、1〜12個の炭素を有する、分岐、非分岐、一価の炭化水素基のことを言う。アルキル基が1〜6の炭素原子を有する場合、それを「低級アルキル」と言うことができる。代表的なアルキル基には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−プロペニル(又はアリル)、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル(又は2−メチルプロピル)等がある。本明細書での使用では、アルキルなる語は「置換アルキル」を包含する。置換アルキルは、さらに1又は複数の官能基を含有するアルキルのことを言い、官能基としては、たとえば低級アルキル、アリール、アラルキル(aralkyl)、アシル、ハロゲン(すなわち、アルキルハロ、例えばCF3)、ヒドロキシ(例えばヒドロキシメチル)、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ(例えばメトキシメチル)、メルカプト等がある。これらの基を、低級アルキル部分の任意の炭素原子に付加することができる。
【0014】
「アルコキシ」なる語は、−OR基のことを言い、ここでRは低級アルキル、置換された低級アルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル又は置換されたアラルキルである。好適なアルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、フェノキシ、t−ブトキシ(例えば、メトキシエトキシ、メトキシメトキシ等)等がある。
【0015】
「アシルオキシ」なる語は、水素の除去による有機酸由来の有機基のことを言う。この有機基は、さらに1又は複数の官能基で置換されていてもよく、かかる官能基としては、例えばアルキル、アリール、アラルキル、アシル、ハロゲン、アミノ、チオール、ヒドロキシ、アルコキシ等がある。この置換された有機基の例としては、グリシネート(例えば−OC(O)CH2NH2)がある。好適なアルコキシ基には、例えば、酢酸由来のアセトキシ、すなわちCH3COO−、ギ酸由来のホルミルオキシ、すなわちH(CO)O−、及び3シクロペンチルプロピオン酸由来の、シピオニルオキシがある。
【0016】
「ハロゲン」なる語は、フッ素、臭素、塩素及びヨウ素原子のことを言う。「ヒドロキシル」なる語は、−OH基のことを言う。「アシル」なる語は、−C(O)R基のことを示し、ここでRは、本明細書で定義したアルキル又は置換されたアルキル、アリール又は置換されたアリールである。「アリール」なる語は、単環、又は共に融合し、共有的に連結し、又は例えばエチレンもしくはメチレン部分の共有基に連結した多環である、芳香置換体のことを言う。(1又は複数の)芳香環には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルメチル、2,2−ジフェニル−1−エチルがあり、またヘテロ原子を含有してもよく、例えばチエニル、ピリジル及びキノクサリル等がある。アリール基は、ハロゲン原子、又はニトロ、カルボキシル、アルコキシ、フェノキシ等の他の基で置換されてもよい。さらに、アリール基は、ハロゲン原子が占めていなければ、アリール基上の任意の位置で、他の部分に付加されてもよい(例えば2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジル)。
【0017】
「アルキルカルボネート」なる語は、−OC(O)OR基のことを言い、ここでRは、本明細書で定義したアルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリールである。
【0018】
「S−アルキル」なる語は、−SR基のことを言い、ここでRは、低級アルキル又は置換された低級アルキルである。「S−アシル」なる語は、アシル化剤とチオール基の反応に由来するチオエステルのことを言う。好適なS−アシルには、例えばS−アセチル、S−プロピオニル及びS−ピバロイルがある。S−アシルは、その調製方法にかかわらずチオエステルのことを言う。「N−オキシム」及び「N−アルキルオキシム」なる語は、=N−OR5基のことを言い、ここでR5は、例えば水素(N−オキシム)又はアルキル(N−アルキルオキシム)である。オキシムはシン異性体、アンチ異性体又はシン及びアンチ異性体の混合物からなることができる。
【0019】
式Iに含まれる代表的な化合物としては、R1が−N(CH32のもの、R2が水素、ハロゲン又はアルコキシのもの、R3がアシルオキシのもの、R4がアルキル(例えばメチル及びエチル)のもの、Xが=O及び=N−OR5であり、R5が水素又はアルキルのものがある。さらなる化合物としては、R1が−N(CH32のもの、R2がハロゲン、R3がアシルオキシ、及びR4がアルキルであり、例えばR2はF、Br又はClで、R4はメチル等である。また、R1が−N(CH32、R2がアルキル、R3がアシルオキシ、R4がアルキル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2がアルコキシ、R3がアシルオキシ、R4がアルキル、及びXが=Oである化合物が含まれる。さらなる化合物は、R2がメトキシ又はエトキシであり、R3がアセトキシ又はメトキシである。またR1が−N(CH32、R2がヒドロキシ、R3がアシルオキシ、R4がアルキル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2及びR3の双方がアシルオキシ、R4がアルキル、及びXが=Oである化合物も含まれる。さらなる化合物は、R2及びR3の双方がアセトキシである。またR1が−N(CH32、R2がS−アシル、R3がヒドロキシ又はアシルオキシ、R4がアルキル、Xが=Oである化合物も含まれる。また、R1が−N(CH32、R2がシピオノルオキシ、R3がアセトキシ、R4がアルキル、及びXが=Oである化合物も含まれる。また、R1が−N(CH32、R2がメトキシ、R3がアセトキシ、R4がアルキル、並びにXが=O及び=N−OR5であり、R5が例えば水素又はアルキル(例えばメチル、エチル等)である化合物も含まれる。また、R1が−N(CH32、R2及びR3の双方がアセトキシ、R4がアルキル、並びにXが=O及び=N−OR5であり、R5が例えば水素又はアルキル(例えばメチル、エチル等)である化合物も含まれる。
【0020】
例となる化合物としては、限定するものではないが、例えば、以下の構造式、
【化3】

の17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン(CDB-4124)があるが、ただしCDB-4124の塩は、HCl又はHBr酸塩ではない。
【0021】
別の例となる化合物は、以下の構造式、
【化4】

の17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(CDB-2914)がある。
【0022】
他の例となる化合物は、限定されるものではないが、17α−アセトキシ−21−クロロ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−ブロモ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17−,21−ジアセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−ヒドロキシ−21−アセチルチオ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−アセチルチオ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−エトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−メチル−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−メトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−エトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−(3'−シクロペンチルプロピニルオキシ)11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−ヒドロキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジアセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム、17α−アセトキシ−21−メトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム、17α−アセトキシ−11β−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、及び17α,21−ジアセトキシ−11β−[4−(N−メチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンがある。
【0023】
また、R1が、NH(CH32、−NC48、−NC510、−NC48O、−O(CH22N(CH32、−O(CH22NC48、−O(CH22NC310及び−O(CH22NC510であり、R2が、水素、アルキルオキシ、アルコキシ、−SAc、−SCN、−OC(O)CH2N(CH32、及び−OC(O)R6で、ここでR6は、限定するものではないが、アルキル(例えば−CH2CH3)、アルコキシエステル(例えば−CH2OMe)及びアルコキシ(例えば−OCH3)であり、R3は、アルキル、アルコキシ、アシルオキシ及びヒドロキシであり、R4は、アルキル(例えばメチル及びエチル)であり、Xは=O又は=N−OR5で、ここでR5は水素又はアルキルである、これらの化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2が水素、R3がメトキシメチル、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が好ましい。また、R1が−N(CH32、R2が水素、R3が−OC(O)H、−OC(O)CH2CH3又は−OC(O)C613、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−NC48、−NC510、又は−NC48O、R2が水素、R3がアセトキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32又は−NC510、R2が水素、R3がメトキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−NC510、R2及びR3双方がアセトキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−NC510又は−O(CH22N(CH32、R2がメトキシ、R3がアセトキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2が−OC(O)CH2CH3、−OC(O)OCH3、−OC(O)OCH2CH3、−OCH=CH2、−OC(O)CH2N(CH32又は−SCNであり、R3がアセトキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2が−OC(O)H、R3が−OC(O)H、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32、R2が−OC(O)H、R3がヒドロキシ、R4がメチル、及びXが=Oである化合物が含まれる。また、R1が−NC510、R2が水素、R3がアセトキシ、R4がメチル、及びXが=N−OR5であり、ここでR5は水素である化合物が含まれる。また、R1が−N(CH32又は−NC510であり、R2が水素又はメトキシであり、R3がメトキシ又はエトキシであり、R4がメチルであり、及びXが=N−OR5であり、ここでR5は水素である化合物が含まれる。
【0024】
例となる化合物はまた、限定するものではないが、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオン、17α−ホルミルオキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−プロピオンオキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−ヘプタノイルオキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−メトキシメチル−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピロリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−(4−N−モルフォリノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−メトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−メトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジアセトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジメトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジメトキシ−11β−(4−N−ピロリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジメトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−{4−[2'−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α,21−ジホルミルオキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−プロピロニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(2'−メトキシアセチル)オキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−21−ヒドロキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン−21−メチルカルボネート、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(1'−エテニルオキシ)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−(2'−N,N−ジメチルアミノ)アセトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−チオシアナート−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム、17α−メトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム、17α−メトキシ−11β−(4−N−ピペリジノフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシム、及び17α,21−ジメトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン3−オキシムがある。
【0025】
一般式Iを有する化合物の安定性は、化合物が塩の形態である場合、顕著に増大してもよい。式Iの医薬的に許容可能な塩を含んでなるとともに、任意に医薬的に許容可能な担体を含んでなる組成物を提供する。
【0026】
実際には、塩形態の使用は、本質的には遊離塩基形態の使用となる。従って、塩の形成に適する酸は、遊離塩基と組み合わせる場合、好ましくは医薬的に許容可能な塩を形成するものである。その塩は、遊離塩基状態において、これらの化合物の有益な医薬的有効性が、アニオンに起因する副作用によって損なわれないよう、アニオンがその塩の医薬的投与量(dose)で患者にとっては非毒性な塩である。一般式Iの化合物は、既知の方法の応用又は適用によって塩から再生してもよい。例えば、化合物を、アルカリ、例えば重炭酸ナトリウム溶液等と処理することにより、その酸付加塩から再生可能である。
【0027】
一般式Iの化合物の、インサイツ(in situ)での最終的な単離及び精製の際に、又はその遊離塩基の状態で精製された化合物を適切な有機又は無機酸と反応させ、形成されたその塩を単離することにより、当該塩を調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、ハロゲン化物、塩酸塩、硫化物、重硫化物、リン酸化物、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、古草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシラート、グルコヘプタン酸塩、ラクチオビオネート(lactiobionate)、ラウリルスルホネートの塩等(例えば、S. M. Berge, et al., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci., 66:1-19, 1977を参照されたい。この内容はここで参照として本明細書に組み込まれる)がある。例えば、塩は、水溶液又は水−アルコール溶液又は適切な酸を含有する他の好適な溶媒中に、遊離塩基を溶解させ、その後その溶液を蒸発させることで塩を単離することによって緒製してもよいし、塩を直接分離する場合、又はその溶液の濃縮により得ることができる場合、有機溶媒中で遊離塩基及び酸を反応させることによって調製してもよい。
【0028】
「医薬的に許容可能な塩」なる語は、一般式Iの化合物の、比較的非毒性な、無機又は有機酸付加塩のことを言う。
【0029】
一般式Iの化合物の医薬的に許容可能な塩を含んでなる組成物を提供する。一般式Iの化合物の塩は、その化合物の遊離塩基状態の同量と、同じ条件下で比較して、向上した安定性を有することが期待される。すなわち、本発明の組成物は、化学修飾に対して、向上した耐性を有することが期待される。一般式Iの化合物の医薬的に許容可能な塩の安定性は、同じ化合物の遊離塩基状態の同量と、同じ条件下で比較して、少なくとも、1, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900、又は1000%以上まで高めることができる。
【0030】
安定性の典型的なパラメータは保存期間であり、これはある薬物製品が承認された保存期間内は規格を維持することが期待される期間と定義される。加速試験を、40℃75%相対湿度で6ヶ月間実施する。これらの条件下で、初期アッセイ値から約5%の薬物濃度の変化は、有意であると考えられる。一般式Iの化合物の医薬的に許容可能な塩を含んでなる組成物は、同じ化合物の遊離塩基状態を含んでなる同じ組成物と、同じ条件下で比較して保存期間の延長が観察されることが期待される。
【0031】
本明細書で使用する安定性とは、温度及び湿度の規定された条件下での保存間隔の後、組成物における活性成分(すなわち、一般式Iの化合物)を、典型的にはHPLCによって検出する能力のことを言う。HPLCが好ましい、化学修飾の識別ができる活性成分の検出のための任意の方法及び/又は活性成分の濃度変化を使用してもよい。
【0032】
また、一般式Iの化合物を好適な酸と反応させ医薬的に許容可能な塩を形成させることによる、化合物の安定性向上のための方法が提供される。
【0033】
組成物は、強力な抗プロゲステロン活性及び最小限の抗グルココルチコイド活性を、向上した安定性と併せ持っていてもよい。かかる性質ゆえに、これらの組成物は経口投与に適している。
【0034】
組成物は、とりわけ、内因性プロゲステロンへの対抗、月経の誘導、子宮内膜症の処置、月経困難症の処置、内分泌性ホルモン依存性腫瘍の処置、髄膜症の処置、子宮平滑筋腫の処置、子宮線維腫の処置、子宮内膜増殖の阻害、分娩の誘導、子宮頸管熟化の誘導、ホルモン療法、及び避妊のために有利に使うことができる。
【0035】
抗プロゲステロン活性を有する組成物はまた、プロゲステロンの作用を拮抗することを特徴としてもよい。そのようなものとして、組成物は、月経周期における不規則ホルモンの制御において、子宮内膜症及び月経困難の制御のため、及び月経誘導のために特に有効である。さらに、組成物は、ホルモン療法を提供する方法として、単独でも使用できるし、閉経後の女性において、あるいは他の原因で卵巣ホルモン産生が低下している女性において、エストロゲン物質との組み合わせでも使用できる。
【0036】
さらに、組成物は生殖周期の全体において、受胎可能性を制御するために使用できる。長期間の避妊のため、組成物をその投与量に応じて連続的にも、周期的にも投与できる。さらに組成物は子宮を着床し難い状態にするため、「一ヶ月に一度」の避妊剤として、性交後避妊にも特に有効である。
【0037】
この組成物のさらなる重要な有用性は、ホルモン依存性腫瘍及び/又はホルモン応答組織に存在する腫瘍の増殖を減速させる能力にある。かかる腫瘍は、限定するものではないが、腎臓、胸、子宮内膜、卵巣、及び前立腺腫瘍、例えばガンがあり、プロゲステロン受容体を有することを特徴とする。さらに、腫瘍には髄膜種が含まれる。この組成物の他の用途には、胸及び子宮の線維障害の処置が含まれる。
【0038】
組成物は、任意の温血哺乳類、例えばヒト、飼育ペット、及び家畜に投与することができる。飼育ペットには、イヌ、ネコ等が含まれる。家畜には、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等が含まれる。
【0039】
単一剤型を作る最適な担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される疾患、哺乳類の種、及び具体的な投与方法に応じて変えることができる。例えば、一単位の投与量は、活性成分の0.1ミリグラムと1グラムの間の量、又は0.001と0.5グラムの間の量を含んでなる。ただし、任意の具体的な患者のための特定の投与量レベルは、使用される特定の化合物の活性等の因子の変動、処置される個々の、年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事、投与の時間及び経路、排出速度、前に投与された他の薬物、及び治療中の具体的な疾患の重篤度に依存する。
【0040】
組成物は様々な方法で投与できる。例えば、組成物は溶液、懸濁物、エマルション、錠剤、例えば舌下及び口腔内錠剤、ソフトゼラチンカプセル、例えばソフトゼラチンカプセルで使用される溶液等、水溶液又は油の懸濁物、エマルション、ピル、舐剤、トローチ、錠剤、シロップ又はエリキシル剤等の形態で、経口経路を介して投与してもよい。
【0041】
組成物は、SILASTIC等の移植片及び生物分解性移植片として、又は筋肉内及び静脈注入を介する投与もできる。
【0042】
組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1又は複数の剤を含んでもよい。非毒性の医薬的に許容可能な、錠剤の製造に適する賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤も、許容可能である。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤として、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム、造粒剤及び崩壊剤として、例えばトウモロコシスターチ、又はアルギン酸、結合剤として、例えばスターチ、ゼラチン又はアカシア、及び滑沢剤として、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクがある。錠剤は、未被覆でもよいし、あるいは、消化管において崩壊及び吸収を遅延させ、長時間にわたり作用の持続を提供するための既知の方法で被覆することができる。例えば、遅延剤としては、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを、単独で又はワックスとの組み合わせで使用することができる。
【0043】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性個体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されるハードゼラチンカプセルとして調製してもよい。あるいは活性成分が水又は油の媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィン又はオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして調製してもよい。
【0044】
水性懸濁物は、水性懸濁物の製造に適した賦形剤と混合物中の活性物質を含有してもよい。かかる賦形剤には、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルポロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム、及び分散剤又は湿潤剤、例えば天然リン脂質(例えばレクチン)、脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート)がある。水性懸濁物また、1又は複数の防腐剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル、1又は複数の着色剤、1又は複数の香味剤及び1又は複数甘味剤、例えばスクロース、アスパルテーム又はサッカリンを含有してもよい。
【0045】
油懸濁物は、活性成分を懸濁させることにより製剤化でき、懸濁は植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油中で、又は鉱油、例えば液体パラフィン中で行うことができる。油懸濁物は、増粘剤、例えば蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。甘味剤を、口当たりのよい経口調製物を提供するために添加してもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸の添加により保存することができる。
【0046】
水の添加による水性懸濁物の調製に適する分散粉末及び顆粒は、分散剤、懸濁剤及び/又は湿潤剤、及び1又は複数の防腐剤との混合物中の活性成分から製剤化できる。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上記での開示に例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤及び着色剤が存在してもよい。
【0047】
医薬組成物はまた、水中油エマルションの形態でもよい。その油相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、鉱油、例えば液体パラフィン、又はこれらの混合物があり得る。好適な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴム及びトラガカントガム、天然リン脂質、例えばダイズレクチン、脂肪酸及びヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及びエチレンオキシドとこれらの部分エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートがある。このエマルションはまた、甘味剤及び香味剤を含有してもよい。
【0048】
シロップ及びエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、ソルビトール又はスクロースと共に製剤化してもよい。かかる製剤は、粘滑剤、防腐剤、香味剤又は着色剤を含有してもよい。
【0049】
医薬組成物は、滅菌注射用製剤、例えば滅菌注射用水性又は油性懸濁物の形態でもよい。この懸濁物は、上記の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して製剤化することができる。滅菌注射用製剤は、滅菌注射用溶液又は懸濁物であって、非毒性の非経口許容可能な希釈剤又は溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール溶液中で調製できる。許容可能な媒体及び溶媒としては、水及び等張塩化ナトリウムであるリンガー溶液を使用できる。さらに、滅菌固形油を、溶媒又は懸濁剤媒体として使用することができる。この目的で、無菌性固形油、例えば合成モノグリセリド又はジグリセリドを使用してもよい。さらに、オレイン酸等の脂肪酸を同様に注射用製剤で使用してもよい。
【0050】
化合物は、薬物の直腸投与用の坐薬の形態で投与してもよい。これらの組成物は、通常の温度では固形であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸で薬物を放出するように溶解するような、好適な非刺激性の賦形剤と薬物を混合することにより調製できる。かかる物質には、ココアバター及びポリエチレングリコールがある。
【0051】
これらはまた、経鼻腔、経眼、経膣、及び経直腸経路による投与でもよく、例えば、坐薬、吸入、粉末及びエアロゾル製剤がある。
【0052】
局所的経路により投与された化合物を、塗布スティック、溶液、懸濁物、エマルション、ゲル、クリーム、軟膏剤、ペースト、ゼリー、塗布剤、及びエアロゾルとして投与してもよい。
【0053】
本発明を、以下の、詳細であるが限定するものではない実施例によって、さらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0054】
本発明の製剤は錠剤として調製できる。本発明の実施をするための錠剤を得るために、以下の成分を錠剤プレス中で共に加圧することができる。
10.0 mg のCDB-4124の医薬的に許容可能な塩
140.5 mg のラクトース
69.5 mg のコーンスターチ
2.5 mg のポリ−N−ビニルピロリドン
2.0 mg のエアロジル
0.5 mg のステアリン酸マグネシウム
【0055】
本発明の実施をするための油性調製物を得るために、以下の成分を共に混合し、アンプルに充填することができる。
100.0 mg のCDB-4124の医薬的に許容可能な塩
343.3 mg のヒマシ油
608.6 mg の安息香酸ベンジル
【実施例2】
【0056】
CDB-4124の過塩素酸塩、メタンスルホン酸塩及びリン酸塩の製剤。CDB-4124を、アセトンと酢酸エチルが1:5の中に溶解させ、得られた溶液を5つに分けた。この各溶液に、クエン酸、マンデル酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、又はリン酸のいずれかを、対応するCDB-4124の酸塩を作るために十分なモル量で添加した。反応混合物を約2時間20℃で攪拌し、その後2時間0℃未満にした。その後得られた固体を濾過し、冷却酢酸エチルで洗浄し、乾燥させた。
【0057】
クエン酸塩及びマンデル酸塩は、これらの条件では形成されなかった。過塩素酸、メタンスルホン酸及びリン酸のステロイド塩は全て良好な収率(〜90%)で調製された。これらの酸ステロイド塩が吸湿性であり、窒素雰囲気のグローブバッグ中での取り扱いが必要であることがすぐに決定された。様々な溶媒系(例えばエタノール/エチルエーテル)を用いる再結晶法の試みは不成功であった。使用した出発物質のステロイド(90%ピーク領域純度)は純度として十分に高いものではなく、おそらくこの酸塩の再結晶を困難にする原因であると考えた。
【0058】
従って、より高い純収率のCDB-4124を、上記手法によりメタンスルホン酸塩の製剤のために使用した。メタンスルホン酸塩は、アセトン/水溶媒系を用いて再結晶を成功させることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

(式中、
1は、−N(CH32、−NHCH3、−NC48、−NC510及び−NC48Oからなる群から選択される塩基性官能基であり、
2は、水素、ハロゲン、アルキル、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボネート、シピオニルオキシ、S−アルキル、−SCN、S−アシル及び−OC(O)R6であり、ここでR6はアルキル、アルコキシエステル及びアルコキシからなる群から選択され、
3は、アルキル−アルコキシ、アルコキシ及びアシルオキシからなる群から選択され、
4は、水素及びアルキルからなる群から選択され、
Xは、=O及び=N−OR5からなる群から選択され、ここでR5は、水素及びアルキルからなる群から選択される)
を有する化合物の医薬的に許容可能な塩を含んでなる組成物であって、前記医薬的に許容可能な塩は、前記化合物の遊離塩基の等量と比較して向上した安定性を有し、ただし、R1が−N(CH32、R2がメトキシ、R3がアセトキシ、R4がメチル及びXが=Oである場合には、前記塩がHCl又はHBr塩でないことを条件とする、組成物。
【請求項2】
前記化合物が、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9(10)−ジエン−3,20−ジオンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物が、17α−アセトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−21−メトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が、構造式、
【化2】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物が、構造式、
【化3】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記塩が、前記化合物の過塩素酸塩、メタンスルホン酸塩又はリン酸塩である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記塩が、メタンスルホン酸塩である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
患者に抗プロゲステロン効果をもたらす方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項9】
患者に月経を誘導する方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項10】
子宮内膜症の処置のための方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項11】
月経困難症の処置のための方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項12】
内分泌性ホルモン依存性腫瘍の処置のための方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項13】
髄膜腫の処置のための方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項14】
患者の子宮線維腫の処置のための方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項15】
患者の子宮内膜増殖を阻害する方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項16】
分娩を誘導する方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項17】
避妊の方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項18】
性交後避妊の方法であって、請求項1又は請求項6の組成物の有効量を患者に投与することを含んでなる、方法。

【公表番号】特表2010−516686(P2010−516686A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546454(P2009−546454)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/050128
【国際公開番号】WO2008/088935
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509115199)レプロス セラピューティクス インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】