説明

ステージ装置

【課題】重心位置が低く、高剛性のステージ装置を提供する。
【解決手段】
第一の可動部材13を一の平面内で所望の方向に移動させることができるように構成されたステージ装置10であって、第一の可動部材13に設けられた第二の駆動部と、第二の駆動部に設けられた第二の可動部材15とを有し、第二の駆動部は、第一の動力伝達部32と、第一の動力伝達部32を移動させることができる動力部31と、第一の動力伝達部32の移動に伴って前記一の平面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部33とを有し、第一の駆動部と動力部31は、台座11と第一の可動部材13との間に配置され、動力部31は第一の可動部材13に固定され、第二の動力伝達部33は第二の可動部材15に固定され、動力部31は第一、第二の動力伝達部32、33を介して第二の可動部材15を前記一の平面に対して垂直な方向に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、発光効率が高く、薄い発光装置を組み立てることができることから、近年では、表示装置や照明機器の用途に注目されている。有機薄膜を成膜する際には、大面積の基板に対して所定のパターン形状のマスク板を精密に位置あわせする技術が求められている。
【0003】
図7は有機薄膜の成膜に用いられる従来の成膜装置の内部構成図である。
成膜装置100は、真空槽141を有している。真空槽141の天井側の外壁面にはステージ装置110が設けられている。
【0004】
ステージ装置110は、台座111と、台座111に設けられた第一の駆動部112と、第一の駆動部112に設けられた第一の可動部材113とを有している。第一の駆動部112は第一の可動部材113を水平な一の平面内で所望の方向に移動させることができるように構成されている。
【0005】
さらにステージ装置110は、第一の可動部材113に設けられた第二の駆動部114と、第二の駆動部114に設けられた第二の可動部材115とを有している。第二の駆動部114は第一の可動部材113に対して第二の可動部材115を鉛直方向に平行移動できるように構成されている。第二の可動部材115には接続部材148が固定されている。
【0006】
真空槽141の天井側の外壁面のうち台座111が固定された部分とは別の部分には貫通孔が設けられ、貫通孔には筒状のベローズ149の一端が気密に密着され、ベローズ149の他端は接続部材148に気密に密着されている。
【0007】
ベローズ149は蛇腹状に形成され、接続部材148が第二の可動部材115と一緒に水平な一の平面内で平行移動と回転移動し、又は鉛直方向に平行移動しても、接続部材148の移動に合わせてベローズ149は伸縮して、真空槽141内の気密性が維持されるようになっている。
【0008】
真空槽141内には蒸発源143が配置され、蒸発源143の放出口144と対面する位置にはマスク板145が棒状のマスク保持部材147に保持されて配置されている。
マスク保持部材147の一端は真空槽141の天井側に設けられた貫通孔に挿入され、ベローズ149の内側を通って接続部材148に固定されている。
【0009】
成膜装置100を用いて成膜を行うには、まず真空排気装置142により真空槽141内を真空排気して真空雰囲気を形成しておく。
真空槽141内の真空雰囲気を維持しながら真空槽141内に基板146を搬入し、成膜すべき成膜面を放出口144側に向けた状態でマスク板145から見て放出口144とは反対側に水平に配置する。
【0010】
ステージ装置110の第一の駆動部112を動作させて、マスク板145を水平な一の平面内で所望の方向に移動させ、基板146の成膜面のうち所定の成膜領域をマスク板145の開口から露出させる。
また、ステージ装置110の第二の駆動部114を動作させて、マスク板145を鉛直方向に平行移動し、マスク板145と基板146との間の間隔を所定の間隔(ゼロを含む)にする。
【0011】
蒸発源143の放出口144から薄膜材料を放出させると、薄膜材料はマスク板145の開口を通過して、基板146の成膜面のうち開口から露出する所定の成膜領域に到達して付着し、成膜領域に開口と同じ形状の有機薄膜が形成される。
【0012】
従来のステージ装置110では、第二の駆動部114は第一の可動部材113と第二の可動部材115との間に配置されており、ステージ装置110全体の高さが高くなっていた。そのため、ステージ装置110の重心位置が高くなり、剛性が低下し、マスク板145の位置決めを精密に行うことが困難であった。またステージ装置110全体が大型になるため、大型の設置スペースが必要であった。
【0013】
さらに、第一の駆動部112には第一の可動部材113の重量に加えて、第二の駆動部114と第二の可動部材115の重量もかかるため、第一の駆動部112には耐荷重の高い大型の駆動装置を用いる必要があり、コストが高かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−326155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、重心位置が低く、高剛性のステージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、台座と、前記台座に設けられた第一の駆動部と、前記第一の駆動部に設けられた第一の可動部材とを有し、前記第一の駆動部は、前記第一の可動部材を一の平面内で所望の方向に移動させることができるように構成されたステージ装置であって、前記第一の可動部材に設けられた第二の駆動部と、前記第二の駆動部に設けられた第二の可動部材とを有し、前記第二の駆動部は、第一の動力伝達部と、前記第一の動力伝達部を移動させることができる動力部と、前記第一の動力伝達部の移動に伴って前記一の平面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部とを有し、前記第一の駆動部と前記動力部は、前記台座と前記第一の可動部材との間に配置され、前記動力部は前記第一の可動部材に固定され、前記第二の動力伝達部は前記第二の可動部材に固定され、前記動力部は前記第一、第二の動力伝達部を介して前記第二の可動部材を前記一の平面に対して垂直な方向に移動させることができるステージ装置である。
本発明はステージ装置であって、前記動力部と前記台座との間には支持部が配置され、前記支持部は前記動力部と前記台座とにそれぞれ接触されたステージ装置である。
本発明はステージ装置であって、前記第一の駆動部は第一〜第三の補助駆動部を有し、前記第一〜第三の補助駆動部は、直線状の主ガイドと、前記主ガイドに沿って移動できるように前記主ガイドに取り付けられた主スライダと、直線状の副ガイドと、前記副ガイドに沿って移動できるように前記副ガイドに取り付けられた副スライダと、互いに中心軸線が一致され、前記中心軸線を中心に互いに回転できるように構成された第一、第二の回転部材と、をそれぞれ有し、前記副ガイドと前記副スライダのうちのいずれか一方と、前記第一、第二の回転部材のうちのいずれか一方とが互いに固定され、前記副ガイドと前記副スライダのうちの他方が第一の取付部とされ、前記第一、第二の回転部材のうちの他方が第二の取付部とされて取付部材が構成され、前記主ガイドが前記一の平面と平行にされた状態で、前記主ガイドと前記主スライダのうちの一方は前記台座に設けられ、他方は主取付部とされ、前記副ガイドが前記一の平面と平行で前記主ガイドに対して前記所定角度を成し、前記第一、第二の回転部材の前記中心軸線が前記一の平面に対して直角にされた状態で、前記取付部材の前記第一、第二の取付部の一方は前記主取付部に固定され、他方は前記第一の可動部材に固定され、前記第一、第二の補助駆動部の前記主ガイドは互いに平行にされて対面され、前記第三の補助駆動部の前記主ガイドは前記第一、第二の補助駆動部の前記主ガイドに対して前記所定角度を成す向きに向けられ、前記台座には、前記第一〜第三の補助駆動部の前記主取付部に、前記第一〜第三の補助駆動部の前記主ガイドと平行な向きの動力を伝達する第一〜第三の動力部が設けられたステージ装置である。
【発明の効果】
【0017】
第一の駆動部と動力部は台座と第一の可動部材との間に配置されるので、ステージ装置全体は従来より小型になり、重心位置が低くなり、剛性が向上し、第二の可動部材の高精度な位置決めが可能となる。
動力部と台座との間に支持部を設ければ、第二の駆動部と第二の可動部材の重量は支持部にかかり、第一の駆動部にかかる重量が小さくなるため、第一の駆動部に比較的小型化の駆動装置を用いることができ、コストダウンになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のステージ装置の平面図
【図2】本発明のステージ装置のA−A線切断断面図
【図3】単位支持部材の内部側面図
【図4】第二例の単位駆動部の内部構成図
【図5】第二例の支持部の平面図
【図6】第二例の支持部のB−B線切断断面図
【図7】従来の成膜装置の内部構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のステージ装置の構造を説明する。
図1はステージ装置10の平面図、図2は同A−A線切断断面図を示している。
ステージ装置10は、台座11と、台座11に設けられた第一の駆動部12と、第一の駆動部12に設けられた第一の可動部材13とを有している。
【0020】
台座11は一の平面内に位置する複数の台座取付部を有し、第一の可動部材13は一の平面内に位置する複数の第一の可動部材取付部を有している。
第一の駆動部12は第一〜第三の補助駆動部121〜123を有している。
第一〜第三の補助駆動部121〜123の構造は互いに同じであり、第一の補助駆動部121で代表して説明する。
【0021】
図2を参照し、第一の補助駆動部121は、直線状の主ガイド211と、主ガイド211に沿って移動できるように主ガイド211に取り付けられた主スライダ221と、直線状の副ガイド231と、副ガイド231に沿って移動できるように副ガイド231に取り付けられた副スライダ241と、互いに中心軸線が一致され、前記中心軸線を中心に互いに回転できるように構成された第一、第二の回転部材251、261とを有している。
【0022】
本実施例では、主ガイド211は直線状の二本のレールであり、互いに平行にされ対面されている。主スライダ221は主ガイド211の二本のレールと対面する位置に配置され、二本のレールと対面する部分にはそれぞれ断面が凹形状の溝がレールと平行に形成され、溝の内側にレールが挿し込まれ、溝の内側側面とレールの側面とが互いに接触され、主スライダ221は主ガイド211のレールの延びる方向に移動でき、他の方向には移動できないようになっている。
【0023】
なお、主スライダ221が主ガイド211のレールの延びる方向に移動でき、他の方向には移動できないようになっているならば、主ガイド211のレールの数は二本に限定されず、一本でもよいし、三本以上でもよい。
【0024】
また、主ガイド211が直線状の溝であり、主スライダ221のうち主ガイド211の溝と対面する部分に断面が凸形状のレールが溝と平行に形成され、溝の内側にレールが挿し込まれ、溝の内側側面とレールの側面とが互いに接触され、主スライダ221は主ガイド211の溝の延びる方向に移動でき、他の方向には移動できないようになっていてもよい。
副ガイド231と副スライダ241の構造は、主ガイド211と主スライダ221の構造と同様であり、説明を省略する。
【0025】
本実施例では、第二の回転部材261は、リング状の回転部29aと、棒状の軸部29bとを有している。軸部29bと回転部29aとは互いに中心軸線が一致された状態で、軸部29bの一端は回転部29aに固定されている。
【0026】
第一の回転部材251の中心軸線上には回転部29aの外周の直径より直径が大きい開口が設けられ、回転部29aは第一の回転部材251の開口の内側に同心状に配置されている。回転部29aの外周側面と第一の回転部材251の内周側面との間の隙間には互いに同形状の複数の球が配置され、各球は回転部29aと第一の回転部材251とにそれぞれ点で接触している。
【0027】
従って、第一、第二の回転部材251、261は、互いに中心軸線が一致された状態を維持しながら、中心軸線を中心に互いに回転できるようになっており、このとき各球は第一、第二の回転部材251、261と接触しながら自転することにより、第一、第二の回転部材251、261の間に摩擦がかからないようになっている。
【0028】
副ガイド231と副スライダ241のうちのいずれか一方と、第一、第二の回転部材251、261のうちのいずれか一方とが互いに固定され、副ガイド231と副スライダ241のうちの他方が第一の取付部27aとされ、第一、第二の回転部材251、261のうちの他方が第二の取付部27bとされて取付部材27が構成されている。
【0029】
本実施例では取付部材27は、副スライダ241と第一の回転部材251とが互いに固定され、副ガイドが第一の取付部27aとされ、第二の回転部材261が第二の取付部27bとされて構成されている。
【0030】
そして、主ガイド211が一の平面と平行にされた状態で、主ガイド211と主スライダ221のうちの一方は台座11の一の台座取付部に固定され、他方は主取付部28とされ、副ガイド231が前記一の平面と平行で主ガイド211に対して所定角度を成し、第一、第二の回転部材251、261の中心軸線が前記一の平面に対して直角にされた状態で、取付部材27の第一、第二の取付部27a、27bの一方は主取付部28に固定され、他方は第一の可動部材13の一の可動部材取付部に固定されている。
【0031】
本実施例では、主ガイド211が一の平面(以下、基準面と呼ぶ)と平行にされた状態で台座11の一の台座取付部に固定され、主スライダ221が主取付部28とされ、副ガイド231が基準面と平行で主ガイド211に対して所定角度(ここでは90°)を成し、第一、第二の回転部材251、261の中心軸線が基準面に対して直角にされた状態で、取付部材27の第一の取付部27a(すなわち副ガイド231)は主取付部28に固定され、第二の取付部27b(すなわち第二の回転部材261の軸部29b)は第一の可動部材13の一の第一の可動部材取付部に固定されている。
【0032】
ここでは具体的には第二の回転部材261の軸部29bはネジであり、符号19a、19bはナットであり、二つのナット19a、19bの間に第一の可動部材13が挟み込まれることにより、第二の回転部材261の軸部29bは第一の可動部材13に固定されている。
【0033】
図1を参照し、第一、第二の補助駆動部121、122の主ガイド211、212は互いに平行にされた状態で台座11に固定され、第三の補助駆動部123の主ガイド213は第一、第二の補助駆動部121、122の主ガイド211、212に対して所定角度(ここでは90°)を向けた状態で台座11に固定されている。
【0034】
台座11には、第一〜第三の補助駆動部121〜123の主取付部28(本実施例では主スライダ221〜223)に、第一〜第三の補助駆動部121〜123の主ガイド211〜213と平行な向きの動力を伝達する第一〜第三の動力部171〜173が設けられている。ここでは第一〜第三の動力部171〜173はモーターであり、第一〜第三の補助駆動部121〜123の主スライダ221〜223にそれぞれ接続されている。
【0035】
以下では、第一、第二の補助駆動部121、122の主ガイド211、212と平行な方向をX方向5、第三の補助駆動部123の主ガイド213と平行な方向をY方向6と呼ぶ。第一、第二の補助駆動部121、122の副ガイド231、232はY方向6と平行であり、第三の補助駆動部123の副ガイド233はX方向5と平行である。
【0036】
第三の動力部173を停止させ、第一、第二の動力部171、172から第一、第二の補助駆動部121、122の主スライダ221、222にX方向5に平行な同一方向に同一量の動力を伝達させる。
すると、第一、第二の補助駆動部121、122の主スライダ221、222は主ガイド211、212に沿ってX方向5に平行な同一方向に同一距離移動し、第三の補助駆動部123の副スライダ243は副ガイド233に沿って第一、第二の補助駆動部121、122の主スライダ221、222と同じ方向に同じ距離移動して、第一の可動部材13全体としてX方向5に平行移動する。
【0037】
また、第一、第二の動力部171、172を停止させ、第三の動力部173から第三の補助駆動部123の主スライダ223にY方向6に平行な動力を伝達させる。
すると、第三の補助駆動部123の主スライダ223は主ガイド213に沿ってY方向6に平行に移動し、第一、第二の補助駆動部121、122の副スライダ241、242は副ガイド231、232に沿って第三の補助駆動部123の主スライダ223と同じ方向に同じ距離移動して、第一の可動部材13全体としてY方向6に平行移動する。
【0038】
また、第一〜第三の動力部171〜173の動力の向きが基準面(すなわち、XY平面)に対して直角な回転軸線を中心に時計回り又は反時計回りを成すように、第一、第二の動力部171、172から第一、第二の補助駆動部121、122の主スライダ221、222にX方向5に平行で互いに逆方向の動力を伝達させ、第三の動力部173から第三の補助駆動部123の主スライダ223にY方向6に平行で所定方向の動力を伝達させる。
【0039】
ここでは、第一の補助駆動部121の主スライダ221に正のX方向5の動力を与え、第二の補助駆動部122の主スライダ222に負のX方向5の動力を与え、第三の補助駆動部123の主スライダ223に正のY方向6の動力を与える。
【0040】
すると、第一〜第三の補助駆動部121〜123の主スライダ221〜223は主ガイド211〜213に沿ってそれぞれ移動し、副スライダ241〜243は副ガイド231〜233に沿ってそれぞれ移動し、第一、第二の回転部材251〜253、261〜263はそれぞれ共通の中心軸線を中心に互いに回転して、第一の可動部材13全体としては基準面(XY平面)に対して直角な回転軸線を中心に所定角度回転する。
【0041】
このようにして、第一〜第三の補助駆動部121〜123を有する第一の駆動部12は、第一の可動部材13を一の平面(XY平面)内で所望の方向に移動させることができるように構成されている。
【0042】
本実施例では、第一の駆動部12は、台座11と第一の可動部材13との間に配置された自在ガイド部16を有している。
自在ガイド部16の構造は、第一〜第三の補助駆動部121〜123から第一〜第三の動力部171〜173が取り除かれた構造と同じであり、説明を省略する。
【0043】
ここでは自在ガイド部16のうち主ガイドが台座11に固定され、第二の回転部材が第一の可動部材13に固定されている。従って自在ガイド部16は、基準面に平行な一の平面内で平行移動と回転移動とができるようになっている。
【0044】
第一の可動部材13が台座11の上方に配置されている場合には、第一の可動部材13の重量は第一〜第三の補助駆動部121〜123と自在ガイド部16とにそれぞれ分かれてかかり、自在ガイド部16が無い場合よりも第一〜第三の補助駆動部121〜123にかかる負荷が低減されている。
また、自在ガイド部16によって支持されることで、第一の可動部材13には重力によるひずみが生じないようになっている。
【0045】
なお、自在ガイド部16の代わりに、第一〜第三の補助駆動部121〜123と同じ構造の別の補助駆動部が、台座11と第一の可動部材13との間に配置されていてもよい。この場合には、別の補助駆動部の主ガイドは第三の補助駆動部123の主ガイド213と平行にされている。
【0046】
本発明のステージ装置10は、第一の可動部材13に設けられた第二の駆動部と、第二の駆動部に設けられた第二の可動部材15とを有している。
第二の可動部材15は一の平面内に位置する複数の第二の可動部材取付部を有している。
【0047】
第二の駆動部は、少なくとも一個以上(ここでは四個)の単位駆動部141〜144を有している。
各単位駆動部141〜144の構造は互いに同じであり、符号141の単位駆動部で代表して説明する。
【0048】
図2を参照し、単位駆動部141は、第一の動力伝達部32と、第一の動力伝達部32を移動させることができる動力部31と、第一の動力伝達部32の移動に伴って基準面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部33とを有している。
【0049】
動力部31は、モーター31aと固定部材31bとを有している。
第一の駆動部12と動力部31は、台座11と第一の可動部材13との間に配置され、動力部31のモーター31aは固定部材31bを介して第一の可動部材13に固定されている。
なお、動力部31から固定部材31bが省略され、モーター31aが第一の可動部材13に直接固定された構成も本発明に含まれる。
【0050】
第一の動力伝達部32は、第一、第二の歯車32a、32bと、ネジ部材32cとを有している。
第一、第二の歯車32a、32bの側面には、互いに噛み合うことができるらせん状の溝がそれぞれ形成され、第一、第二の歯車32a、32bの側面の溝が互いに噛み合うように接触された状態で、第二の歯車32bの中心軸線は基準面に対して直角な向きに向けられており、第一の歯車32aはモーター31aに接続されている。
【0051】
モーター31aは第一の歯車32aを第一の歯車32aの中心軸線を中心に回転させることができるように構成されている。第一の歯車32aを第一の歯車32aの中心軸線を中心に回転させると、第二の歯車32bの溝は第一の歯車32aの溝と順次噛み合いながら接触され、第二の歯車32bは第二の歯車32bの中心軸線を中心に回転するようになっている。
【0052】
ここではネジ部材32cは円柱形状であり、第二の動力伝達部33は円筒形状である。ネジ部材32cの外周側面と第二の動力伝達部33の内側側面には互いに噛み合うことができるらせん状の溝がそれぞれ形成されている。
【0053】
ネジ部材32cの中心軸線が第二の動力伝達部33の中心軸線と一致された状態で、ネジ部材32cはネジ部材32cの中心軸線を中心に回転しながら第二の動力伝達部33の筒の内側に挿入され、ネジ部材32cの溝と第二の動力伝達部33の溝は互いに噛み合わされている。
【0054】
ネジ部材32cと第二の動力伝達部33とをネジ部材32cの中心軸線を中心に互いに逆方向に回転させると、ネジ部材32cと第二の動力伝達部33はネジ部材32cの中心軸線に沿って互いに逆方向に移動するようになっている。
【0055】
ネジ部材32cの中心軸線が基準面に対して直角に向けられ、第二の歯車32bの中心軸線と一致された状態で、ネジ部材32cは第二の歯車32bに固定され、第二の動力伝達部33は第二の可動部材15の一の第二の可動部材取付部に固定されている。
【0056】
モーター31aを動作させて、第一の歯車32aを第一の歯車32aの中心軸線を中心に回転させると、ネジ部材32cは第二の歯車32bと一緒に基準面に対して直角な中心軸線を中心に回転し、第二の可動部材15は第二の動力伝達部33と一緒に基準面に対して直角な方向に移動する。
このようにして、動力部31は第一、第二の動力伝達部32、33を介して第二の可動部材15を基準面に対して垂直な方向に移動させることができるようになっている。
【0057】
本実施例では、第二の駆動部は、第一の可動部材13に対する第二の可動部材15の移動方向を規制するガイド部35を複数個有している。
図2を参照し、ガイド部35は筒状の筒部35aと直線状の軸部35bとを有している。軸部35bは筒部35aの内側に挿通され、軸部35bの外周側面は筒部35aの内周側面と接触され、軸部35bは軸部35bの中心軸線に沿った方向に移動でき、他の方向には移動できないようになっている。
【0058】
軸部35bは中心軸線を基準面と平行にされた状態で第二の可動部材15に固定され、筒部35aは第一の可動部材13に固定されている。
そのため、第二の可動部材15は第一の可動部材13に対して基準面に対して直角な方向に移動でき、他の方向には移動できないようになっている。
【0059】
動力部31と台座11との間には支持部34が配置されている。
本実施例では支持部34は少なくとも一個以上(ここでは四個)の単位支持部材341〜344を有している。
各単位支持部材341〜344の構造は互いに同じであり、符号341の単位支持部材で代表して説明する。
【0060】
図3は単位支持部材341の内部側面図である。
単位支持部材341は、半球状の窪み34cが設けられた筐体34bと、窪み34cの直径より直径が小さい主球状部材34aとを有している。
【0061】
主球状部材34aは窪み34cの内側に配置され、窪み34cの内側表面と主球状部材34aとの隙間の空間には互いに同形状の複数の副球状部材34dが配置され、各副球状部材34dはそれぞれ主球状部材34aと窪み34cの内側表面とに点で接触している。
【0062】
図2を参照し、各単位支持部材341〜344は動力部31と台座11との間にそれぞれ配置され、各単位支持部材341〜344のうち主球状部材34aが動力部31に点で接触され、筐体34bが台座11に固定されている。動力部31のうち主球状部材34aが接触する部分は平坦にされ、基準面に平行にされている。
【0063】
なお、主球状部材34aが台座11に点で接触され、筐体34bが動力部31に固定されていてもよい。この場合は、台座11のうち主球状部材34aが接触する部分は平坦にされ、基準面に平行にされている。
【0064】
第二の可動部材15が第二の駆動部より上方に配置されている場合には、第二の可動部材15の重量は第二の駆動部を介して支持部34にかかり、第一の駆動部12にかかる重量が従来より小さくなっている。そのため、第一の駆動部12は従来より耐荷重の低い小型の駆動装置で構成でき、コストダウンになる。
【0065】
第一の駆動部12により第一の可動部材13を基準面に平行な一の平面内で平行移動と回転移動とをさせると、第一の可動部材13に固定された動力部31は支持部34と接触しながら第一の可動部材13と一緒に基準面に平行な一の平面内で平行移動と回転移動とをする。
【0066】
このとき、各単位支持部材341〜344の窪み34cの内側では主球状部材34aが動力部31と点で接触しながら自転し、各副球状部材34dは主球状部材34aと窪み34cの内周表面とにそれぞれ点で接触しながら自転して、支持部34から動力部31に摩擦がかからないようになっている。
【0067】
本発明のステージ装置10は上述のように構成されており、第一の駆動部12を動作させて第一の可動部材13を基準面に平行な一の平面内で所望の方向に移動させると、第二の可動部材15は第二の駆動部と第一の可動部材13と一緒に基準面に平行な平面内で所望の方向に移動できる。
【0068】
また第二の駆動部を動作させて各単位駆動部141〜144の第二の動力伝達部33を基準面に対して垂直な同一方向に同一距離移動させると、第二の可動部材15全体は基準面に対して垂直な方向に平行移動できる。
【0069】
なお、各単位駆動部141〜144の第二の動力伝達部33を基準面に対して垂直な方向にそれぞれ独立に移動させて、第二の可動部材15の第二の可動部材取付部が位置する平面が基準面に対して成す角度(傾き)を変更できるように構成してもよい。この場合には、第二の駆動部からガイド部35を取り除いておく必要がある。又は第二の動力伝達部33と第二の可動部材15との接続部分と、ガイド部35と第二の可動部材15との接続部分とに、前記傾きと基準面に平行な方向のズレを吸収可能な部材を入れて構成してもよい。
【0070】
本発明のステージ装置10では、第一の駆動部12と動力部31は台座11と第一の可動部材13との間に配置され、第一の可動部材13と第二の可動部材15との間の間隔は、第一の可動部材13と台座11との間の間隔より狭くされている。そのため、本発明のステージ装置10は従来のステージ装置110より小型であり、重心位置が低く、剛性が高く、第二の可動部材15の移動を従来より高精度で行うことができる。
【0071】
本発明のステージ装置10は、図7を参照し、従来の成膜装置100のステージ装置110の代わりに用いることができる。この場合には、マスク板145の位置決めを従来より精密に行うことができる。
【0072】
第二の駆動部の各単位駆動部141〜144の構造は、第一の動力伝達部と、第一の動力伝達部を移動させることができる動力部と、第一の動力伝達部の移動に伴って基準面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部とを有し、第一の駆動部と動力部は台座と第一の可動部材との間にそれぞれ配置され、動力部は第一の可動部材に固定され、第二の動力伝達部は第二の可動部材に固定され、動力部は第一、第二の動力伝達部を介して第二の可動部材を基準面に対して垂直な方向に移動させることができるならば、上記構造に限定されない。
【0073】
単位駆動部の第二例の構造を説明する。図4は第二例の単位駆動部214の内部構成図である。
第二例の単位駆動部214は、第一の動力伝達部232と、第一の動力伝達部232を移動させることができる動力部231と、第一の動力伝達部232の移動に伴って基準面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部233とを有している。
【0074】
動力部231は、モーター231aと固定部材231bとを有している。
動力部231は、台座11と第一の可動部材13との間に配置され、動力部231のモーター231aは固定部材231bを介して第一の可動部材13に固定されている。
【0075】
固定部材231bには直線状の第一の補助ガイド241aが基準面と平行にされて固定され、また直線状の第二の補助ガイド241bが基準面に対して直角に向けられた状態で固定されている。以下では第一、第二の補助ガイド241a、241bの延びる方向を第一、第二の方向と呼ぶ。
【0076】
第一の動力伝達部232は、第一の補助ガイド241aに沿って移動できるように第一の補助ガイド241aに取り付けられた第一の補助スライダ242aと、第一の補助スライダ242aに固定された第一の方向変換部材243と、第一の方向変換部材243に固定された第三の補助ガイド241cとを有している。
第三の補助ガイド241cは、第一、第二の方向とそれぞれ平行な一の平面内で第一、第二の方向に対して所定の鋭角を成す向きに向けられている。
【0077】
第二の動力伝達部233は、第二、第三の補助ガイド241b、241cに沿って移動できるように第二、第三の補助ガイド241b、241cに取り付けられた第二、第三の補助スライダ242b、242cと、第二、第三の補助スライダ242b、242cに共通に固定された第二の方向変換部材244と、第二の方向変換部材244に一端が固定された棒状部材245とを有している。
棒状部材245の他端は第二の可動部材15の一の第二の可動部材取付部に固定されている。
【0078】
第一〜第三の補助ガイド241a〜241cと第一〜第三の補助スライダ242a〜242cの構造は、上述の第一の補助駆動部121の主ガイド211と主スライダ221の構造と同様であり、説明を省略する。
【0079】
モーター231aは第一の方向変換部材243に接続され、第一の方向変換部材243に第一の方向と平行な向きの動力を伝達できるように構成されている。
モーター231aから第一の方向変換部材243に第一の方向と平行な向きの動力を伝達すると、第一の方向変換部材243は第一の補助スライダ242aと一緒に第一の補助ガイド241aに沿って第一の方向に平行移動する。このとき第三の補助スライダ242cは第三の補助ガイド241cに沿って相対的に移動し、それと同時に第二の方向変換部材244は第二の補助スライダ242bと一緒に第二の補助ガイド241bに沿って第二の方向に平行移動するようになっている。
【0080】
第二の方向変換部材244が基準面に対して垂直な方向に移動すると、第二の可動部材15と棒状部材245も第二の方向変換部材244と一緒に基準面に対して垂直な方向に移動する。
このようにして、動力部231は第一、第二の動力伝達部232、233を介して第二の可動部材15を基準面に対して垂直な方向に移動させることができるようになっている。
【0081】
また、支持部34の構造は、第二の可動部材15の重量を受けることができ、動力部31、231が第一の可動部材13と一緒に基準面に平行な一の平面内で所望の方向に移動する際に動力部31、231に摩擦がかからないようにできるならば、上述の構造に限定されない。
【0082】
支持部の第二例の構造を説明する。図5は第二例の支持部234の平面図、図6は同B−B線切断断面図である。
第二例の支持部234は複数の開口が設けられた枠部234aと、互いに同形状の複数の球状部材234bとを有している。各球状部材234bの直径は枠部234aの開口の直径より小さくされ、各球状部材234bは枠部234aの開口の内側にそれぞれ配置されている。球状部材234bには後述するように第二の可動部材15の重量がかかるため、球状部材234bの材質には硬さがHRC55以上のものが好ましい。
【0083】
第二例の支持部234は上述の符号34の支持部の代わりに台座11と動力部31、231との間に配置され、各球状部材234bは動力部31、231と台座11とにそれぞれ点で接触することができる。動力部31、231と台座11のうち各球状部材234bと接触する部分は平坦にされ、基準面に平行にされている。
【0084】
第二の可動部材15が第二の駆動部より上方に配置されている場合には、第二の可動部材15の重量は第二の駆動部を介して支持部234にかかり、第一の駆動部12にかかる重量が小さくなっている。
【0085】
また第一の駆動部12により第二の駆動部を第一の可動部材13と一緒に基準面に平行な平面内で平行移動と回転移動とをさせると、各球状部材234bは台座11と動力部31、231とに点で接触しながら自転して、支持部234から動力部31、231に摩擦がかからないようになっている。
【符号の説明】
【0086】
10……ステージ装置
11……台座
12……第一の駆動部
121〜123……第一〜第三の補助駆動部
13……第一の可動部材
15……第二の可動部材
171〜173……第一〜第三の動力部
211〜213……主ガイド
221〜223……主スライダ
231〜233……副ガイド
241〜243……副スライダ
251〜253……第一の回転部材
261〜263……第二の回転部材
27……取付部材
27a……第一の取付部
27b……第二の取付部
28……主取付部
31、231……動力部
32、232……第一の動力伝達部
33、233……第二の動力伝達部
34……支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
前記台座に設けられた第一の駆動部と、
前記第一の駆動部に設けられた第一の可動部材とを有し、
前記第一の駆動部は、前記第一の可動部材を一の平面内で所望の方向に移動させることができるように構成されたステージ装置であって、
前記第一の可動部材に設けられた第二の駆動部と、
前記第二の駆動部に設けられた第二の可動部材とを有し、
前記第二の駆動部は、第一の動力伝達部と、前記第一の動力伝達部を移動させることができる動力部と、前記第一の動力伝達部の移動に伴って前記一の平面に対して垂直な方向に移動する第二の動力伝達部とを有し、
前記第一の駆動部と前記動力部は、前記台座と前記第一の可動部材との間に配置され、
前記動力部は前記第一の可動部材に固定され、前記第二の動力伝達部は前記第二の可動部材に固定され、
前記動力部は前記第一、第二の動力伝達部を介して前記第二の可動部材を前記一の平面に対して垂直な方向に移動させることができるステージ装置。
【請求項2】
前記動力部と前記台座との間には支持部が配置され、
前記支持部は前記動力部と前記台座とにそれぞれ接触された請求項1記載のステージ装置。
【請求項3】
前記第一の駆動部は第一〜第三の補助駆動部を有し、
前記第一〜第三の補助駆動部は、
直線状の主ガイドと、前記主ガイドに沿って移動できるように前記主ガイドに取り付けられた主スライダと、
直線状の副ガイドと、前記副ガイドに沿って移動できるように前記副ガイドに取り付けられた副スライダと、
互いに中心軸線が一致され、前記中心軸線を中心に互いに回転できるように構成された第一、第二の回転部材と、
をそれぞれ有し、
前記副ガイドと前記副スライダのうちのいずれか一方と、前記第一、第二の回転部材のうちのいずれか一方とが互いに固定され、前記副ガイドと前記副スライダのうちの他方が第一の取付部とされ、前記第一、第二の回転部材のうちの他方が第二の取付部とされて取付部材が構成され、
前記主ガイドが前記一の平面と平行にされた状態で、前記主ガイドと前記主スライダのうちの一方は前記台座に設けられ、他方は主取付部とされ、
前記副ガイドが前記一の平面と平行で前記主ガイドに対して前記所定角度を成し、前記第一、第二の回転部材の前記中心軸線が前記一の平面に対して直角にされた状態で、前記取付部材の前記第一、第二の取付部の一方は前記主取付部に固定され、他方は前記第一の可動部材に固定され、
前記第一、第二の補助駆動部の前記主ガイドは互いに平行にされて対面され、前記第三の補助駆動部の前記主ガイドは前記第一、第二の補助駆動部の前記主ガイドに対して前記所定角度を成す向きに向けられ、
前記台座には、前記第一〜第三の補助駆動部の前記主取付部に、前記第一〜第三の補助駆動部の前記主ガイドと平行な向きの動力を伝達する第一〜第三の動力部が設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のステージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189393(P2012−189393A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52051(P2011−52051)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】