説明

ストラットタワーバーの取付け構造

【課題】左右のストラットタワーの異相変位はもとより同相変位をも確実に抑制し、車両の操縦安定性を安定して確保できるストラットタワーバーの取付け構造を提供する。
【解決手段】車両の左右フロントピラー5を互いに結合する梁状のカウルトップ4と、カウルトップ4の前方に位置し車幅方向Yに互いに離れて配設された左右のストラットタワー11の上部を一体的に結合するストラットタワーバー23と、を備え、カウルトップ4の縦向き壁に形成された連結部Uに対してストラットタワーバー23のバー状部231の一部を成す当接部Tが重なるよう形成され、連結部Uに当接部Tが溶着されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる左右一対のストラットタワーを一体的に結合するストラットタワーバーの取付け構造、特に、車両に設けられるカウルトップの前方に設けられるストラットタワーバーの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車室前部には、例えば、図8、図9に示すように、車幅方向Yに互いに離れ、それぞれ縦向きの左右フロントピラー100が配備されている。これら左右フロントピラー100から前方(図8で左側)にはホイールハウス110及びその上部に一体結合されたホイールハウスアッパーメンバ120がそれぞれ延出形成され、これらはエンジンルーム130の前部に配備される不図示のラジエーターサポートに結合されている。
左右フロントピラー100より車体中央側の左右フロントピラー間には、車室140とエンジンルーム130を隔離するダッシュボード150及びそのダッシュボードの上縁部に溶着されるカウルトップ160とが配設される。
【0003】
ところで、左右ホイールハウス110上のフロントピラー100の近傍部位には左右のストラットタワー170がそれぞれ一体的に縦向きで突設される。左右の各ストラットタワー170は内部に不図示のストラットアッセンブリーを収容し、それぞれの上向き壁部171に各ストラットの上部aを締結する。ここで、左右ストラットアッセンブリーは操舵輪の整列状態を規制するもので、これらを支持する左右のストラットタワー170は十分な剛性を保持し、操舵輪の整列状態を安定的に保持する必要がある。
そこで、左右のストラットタワーの上部の変動を規制するため、これら左右のストラットタワーの上部をストラットタワーバー180によって互いに連結することが行われている。なお、その一例が特開2006−123752公報(特許文献1)に開示される。
【0004】
【特許文献1】特開2006−123752公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1や、図8の従来例のように、左右のストラットタワー170の上部に剛性バー部材であるストラットタワーバー180の左右端をそれぞれ一体的に連結した場合、左右のストラットタワー170の相対変位、即ち、車幅方向Yの異相変位は互いの変動力がストラットタワーバー180を介して相互に打ち消すように働くことが出来、左右のストラットタワー170の変位を規制できる。しかし、左右のストラットタワー170の上部が同相に変位する場合、ストラットタワーバー180を介して変動力を打ち消すことはできない。
【0006】
この場合、図9に示すように、ストラットタワーバー180とカウルトップ160の前後位置を調整すべく、ストラットタワーバー180の中間部とカウルトップ160とから互いに対向する方向に屈曲片状のブラケット181、161をそれぞれ延出させ、それらの先端を互いにボルト締結し、これによって、同相変位を規制することが考えられる。
【0007】
しかし、このように左右のストラットタワー170間を一体的にストラットタワーバー180で連結したにもかかわらず、ストラットタワーバー180に比較的大きな同相変位が入力し、これが互いにボルト締結しただけの2つのブラケット181、161に加わるとする。このような場合、互いにボルト締結された屈曲片状の2つのブラケット181、161の結合剛性が比較的小さいことに起因し、ストラットタワーバー180の同相変位に伴う横ずれを確実には規制できない場合がある。このような事態に陥ると、やはり、左右ストラットアッセンブリーの操舵輪の整列規制が不安定となり、車両の操縦安定性を安定して確保できない事態に陥る可能性がある。
【0008】
更に、特許文献1のようにストラットタワーバーとカウルトップ間を一対のバー状の連結部で連結することが考えられるが、構造が複雑化し、部品数が増加し、取付スペースの確保にも問題が生じ易い。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、簡素な構成で、左右のストラットタワーの異相変位はもとより同相変位をも確実に抑制し、車両の操縦安定性を安定して確保できるストラットタワーバーの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車両の左右フロントピラーを互いに結合する車幅方向に長いカウルトップと、前記カウルトップの前方に位置し車幅方向に互いに離れて配設された左右のストラットタワーの上部を一体的に結合するストラットタワーバーと、を備え、前記カウルトップの縦向き壁に形成された連結部に対して前記ストラットタワーバーのバー状部の一部を成す当接部が重なるよう形成され、前記連結部に前記当接部が溶着されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のストラットタワーバーの取付け構造において、前記カウルトップは複数の屈曲板を互いに接合することで車幅方向に長い内空間を有するよう形成され、前記カウルトップはその一部に前記内空間に連通する開口を形成し、同開口を閉鎖する蓋状の艤装カウルを締結し、同艤装カウル上に前記連結部が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のストラットタワーバーの取付け構造において、前記カウルトップの連結部は、前記ストラットタワーバーの当接部を嵌合する凹部として形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のストラットタワーバーの取付け構造によれば、ストラットタワーバーの当接部がカウルトップの連結部に重なるように形成された上で互いに溶着されるという簡素な構成を採るのみで、左右のストラットタワーの上部の相対変動及び同相変動に対する剛性アップを図れ、確実に左右のストラットタワーの変動を抑制して車両の操縦安定性を確保することができる。
【0013】
請求項2記載のストラットタワーバーの取付け構造によれば、カウルトップはその一部を成す艤装カウルを締結し、同艤装カウル上の連結部にストラットタワーバーの当接部が溶着されるので、これら艤装カウルとストラットタワーバーを予め一体結合したサブアッセンブリーを用意しておくことで車体組立て生産ライン上での組立作業工数を削減でき、生産効率が向上する。
【0014】
請求項3記載のストラットタワーバーの取付け構造によれば、カウルトップの連結部が凹部をなすので、凹部にずれなくストラットタワーバーの当接部が嵌合でき、その上で両者が一体結合されるので、結合剛性を十分に確保でき、左右のストラットタワーの上部の相対変動及び同相変動に対する剛性アップを図れ、確実に左右のストラットタワーの変動を抑制して車両の操縦安定性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1、2にはこの発明のストラットタワーバーの取付け構造が適用された車両の前部車体を示した。
この前部車体は前方のエンジンルーム1とその後方の車室2との間にダッシュパネル3及びその上縁部に一体結合されたカウルトップ4を備える。車幅方向Yに配設されたダッシュパネル3及びカウルトップ4の左右端は縦向きの左右フロントピラー5のインナ延出部材6に一体結合される。ここで左右フロントピラー5から前方にはインナ延出部材6の前端に接合されたホイールハウス7及びその上部に一体接合されたホイールハウスアッパーメンバ8がそれぞれ延出形成され、これらの前部はエンジンルーム1の前部に配備されるラジエーターサポート9側に一体接合されている。
【0016】
左右のホイールハウス7の基端側である左右フロントピラー5の近傍部位には左右のストラットタワー11が一体的に結合した状態で上部を突き出して形成される。このため左右のストラットタワー11は左右のホイールハウス7によって十分な剛性を保持した状態で内部に左右ストラットアッセンブリー(図4の符号SA参照)を収容し、支持している。特に、左右の各ストラットタワー11の上端の上向き壁24にはストラットの上部取付け部12(図4参照)が下方より重なり、両者は複数のボルト13で一体的に締結される。このため、左右ストラットアッセンブリーSAは確実に車体側に支持され、不図示の操舵輪の整列状態を安定して規制する機能を発揮する。
【0017】
図1、2に示すように、左右フロントピラー5間に配備されるカウルトップ4は、複数の屈曲板、即ち、カウルトップフロント14、カウルトップリヤ15、艤装カウル21を互いに結合することで、車幅方向Yに長い内空間eが形成され、車幅方向Yに湾曲した中空の梁状部材として形成される。
カウルトップリヤ15は車室対向部151よりエンジンルーム1側に上下端が屈曲して上下延出部152、153を形成している。更に、上延出部152は上方膨出部154を形成した上でエンジンルーム1側に伸びる後部フランジ155を形成する。カウルトップリヤ15の上方膨出部154は車幅方向Yに湾曲して長く連続形成され、ここがフロントウインドウWの下縁部をなし、ここにウインドシールドガラス16の下縁部近傍がシール材10で接合される。
【0018】
カウルトップフロント14はカウルトップリヤ15の下延出部153の端部に重なり一体接合されるフロント下縁部141を備える。フロント下縁部141の前側延出部は上方に屈曲して延びて縦向き壁142(図1参照)を形成する。
前部フランジ143は後部フランジ155との間に車幅方向Yに長い上向き開口17を形成する。この上向き開口17は車幅方向Yに長い、樹脂製のフロントデッキガーニッシュ18に覆われ、これにより、外観の確保が図られている。なお、フロントデッキガーニッシュ18はその後端縁のほぼ全域にウインドシールドガラス16の下縁部に嵌合する嵌合縁部181が形成される。このフロントデッキガーニッシュ18はウインドシールドガラス16の下縁部に嵌合縁部181が嵌合し、その前端縁182がカウルトップフロント14の前部フランジ143に上側より重なり、互いの複数個所がビス20(図2参照)により締結されることで上向き開口17を確実に閉鎖して取付けられる。
【0019】
ところで、カウルトップフロント14はフロント下縁部141の前側延出部より縦向き壁142に至る部位の主要部に前開口19を形成する。この前開口19は屈曲板状の艤装カウル21によって分離可能に閉鎖される。
このため、実質的に、艤装カウル21はカウルトップフロント14の縦向き壁142の主要部を構成する。
前開口19は車幅方向Yに長く形成されており、前開口19の開放時には、車幅方向Yに長い内空間eへの作業者のエンジンルーム1側からの手の侵入を容易化し、車載機器の艤装作業性を向上させている。
【0020】
このような前開口19は車両の組立て完了時にはその全域が屈曲板状の艤装カウル21により閉鎖される。即ち、前開口19の全開口縁191(図2参照)に艤装カウル21の外周縁部211が重ねられるように形成され、図3に示すように、相互に重合部位が複数個所をボルト22で止められ、一体的に締結される。
図1に示すように、カウルトップフロント142の主要部を成す艤装カウル21の車幅方向Yでの中央部位は左右端部に対して所定量y1だけ、エンジンルーム1側である前方に湾曲して突き出すように形成される。図2に示すように、艤装カウル21の車幅方向Yでの中央位置には後述のストラットタワーバー23の当接部Tを嵌合して当接させる連結部Uが形成される。この連結部Uは艤装カウル21の周縁部に対して凹部を成し、パイプ状の当接部Tの外周壁の一部をずれなく嵌合し、溶接作業性の向上を図り、更に、溶接位置をパイプ中心に近づけることで、効率よく荷重を伝達するように形成される。
【0021】
図1に示すように、左右のホイールハウス7の基端側である左右フロントピラー5の近傍部位に配置された左右のストラットタワー11は各上端の上向き壁24が車幅方向Yに長いストラットタワーバー23によって一体的に結合される。
図4に示すように、左右のストラットタワー11の上端の上向き壁24には、車幅方向Yに長いストラットタワーバー23の左右の環状締結部25が重ねられ、一体的に締結される。
ここで、ストラットタワーバー23は金属製のパイプからなる主部231と、同主部231の左右端に溶着された所定幅のリング状の環状締結部25とで形成される。図4に示すように、主部231の左右端は偏平化され、その端部に環状締結部25が溶着される。主部231はカウルトップ4の艤装カウル21の前方に配備され、左右の環状締結部25に対して長手方向での中央部分である当接部Tが所定量y2(図2参照)後方に屈曲して形成される。
【0022】
この当接部Tはカウルトップ4側の艤装カウル21の凹部を成した連結部Uにずれなく嵌合し、この連結部Uに当接部Tが溶着され、一体化されている。
なお、ここでの艤装カウル21とその連結部Uに当接部Tが溶着されたストラットタワーバー23とは、予めサブアッセンブリーとして一体的に溶着された上で、生産ラインに供給されることとなる。
図4に示すように、ストラットタワー11の上向き壁24の下面にはストラットアッセンブリーSAの上部取付け部12がボルト13により締結されており、それらボルト13の上端突き出し部分が各環状締結部25の貫通孔251に嵌挿され、各環状締結部25がナットnにより上向き壁24の上面に締結されている。
【0023】
このような構成のストラットタワーバー23の取付け構造が適用された車両の生産ラインでは、車体の前部の構成部材が順次相互に溶接結合され、その際、左右フロントピラー5間にカウルトップ4が一体結合され、ダッシュパネル3の上縁部がカウルトップ4に溶着され、更に、ダッシュパネル3の両端部が左右フロントピラー5のインナ延出部材6側に一体結合される。この際、カウルトップ4の縦向き壁142及びフロント下縁部141に亘って形成された前開口19は開放されたままに保持される。
車体全体の溶組完了後のボデー本体は塗装ラインに搬送されて塗装処理され、その後、塗装後のボデー本体のエンジンルーム1にはエンジン本体E(図1参照)等の各種の車両構成部材の組付けが成される。
【0024】
カウルトップ4の内空間eには、不図示の換気装置のダクト類や、ワイパー装置のモーター及びリンク構成部材が組み込まれ、その際、前開口19が作業性向上に寄与できる。
この後、ストラットアッセンブリーSAの組付け工程において、左右のストラットタワー11の上向き壁24の下面には左右それぞれのストラットアッセンブリーSAの上部取付け部12がボルト13で締結される。その際、艤装カウル21及びストラットタワーバー23が一体的に溶着されてなるサブアッセンブリーが予め組立ラインに供給されており、これが左右のストラットタワー11及びカウルトップ4に取り付けられる。
この場合、サブアッセンブリーの一部の艤装カウル21はその外周縁部が、カウルトップ4の前開口19の全開口縁に重ねられ、複数個所が相互にボルト13によって締結され、一体化され、カウルトップ4の一部として剛性確保の機能を発揮できる。
【0025】
一方、ストラットタワーバー23はその左右端の環状締結部25が左右のストラットタワー11の上向き壁24に重ねられる。その際、各環状締結部25の複数の貫通孔251がストラットアッセンブリーの上部取付け部12のボルト13の上端突き出し部分に嵌挿され、上向き壁24を挟んで環状締結部25と上部取付け部12がナットnにより強固に締結される(図4参照)。
このようなストラットアッセンブリーの組付け工程の後、その他の車体組み付け処理が成され、車両が完成する。
このような車両の走行時において、路面反力がストラットアッセンブリーSAよりストラットタワー11に加わるとする。
【0026】
この際、ストラットタワー11の上向き壁24にはストラットタワーバー23の左右端の環状締結部25が一体結合されており、ストラットタワーバー23の当接部Tが艤装カウル21の連結部Uに嵌合され、溶着されている。
このため、左右のストラットタワー11の上向き壁24が車幅方向Yに相対変動する場合にはストラットタワーバー23が相対変動を打ち消すように機能でき、しかも、ストラットタワーバー23の中央の当接部Tがカウルトップ4側の連結部Uに溶着され、カウルトップ4側に変動を打ち消すように機能できる。
【0027】
一方、左右のストラットタワー11の上向き壁24が車幅方向Yに同相変動する場合は、ストラットタワーバー23の中央の当接部Tがカウルトップ4側の連結部Uに溶着されることで、カウルトップ4側に左右のストラットタワー11の上向き壁24の同相変動をそれぞれ打ち消すように機能できる。このため、確実に左右のストラットタワー11の変動を抑制して車両の操縦安定性を確保することができる。
更に、ここではストラットタワーバー23はその左右の環状締結部25に対して長手方向での中央部分の当接部Tが所定量y2後方に屈曲して形成される。即ち、ストラットタワーバー23の左右半部は車幅方向Yに対して傾斜角θ(図1参照)を保って配備される。
【0028】
このため、左右のストラットタワー11の上向き壁24に前後方向の荷重が加わった場合、その前後方向の荷重をカウルトップ4の連結部Uに直交方向から加えることが出来、前後方向Xの荷重をカウルトップ4の連結部Uが確実に受けて吸収でき、この点でも確実に左右のストラットタワー11の変動を抑制して車両の操縦安定性を確保することができる。
更に、予め、艤装カウル21上の連結部Uにストラットタワーバー23の当接部Tが溶着され一体結合されたサブアッセンブリーを用意しておくことで、車体組立て生産ライン上での組立作業工数を削減でき、生産効率が向上する。
更に、カウルトップ4側の艤装カウル21上の連結部Uが凹部をなすので、凹部にずれなくストラットタワーバー23の当接部Tが嵌合でき、その上で両者が溶着されるので、溶接作業性がよく、結合剛性を十分に確保できる。しかも、左右のストラットタワー11の上部の相対変動及び同相変動に対する剛性アップを図れ、確実に左右のストラットタワー11の変動を抑制して車両の操縦安定性を確保することができる。
【0029】
上述のところにおいて、ストラットタワーバー23はその左右の環状締結部25に対して長手方向での中央部分の当接部T(図1参照)が所定量y2後方に屈曲して形成されていたが、カウルトップ4と左右のストラットタワー11の前後方向での間隔が小さいあるいはゼロの場合は、図5に示すようにストラットタワーバー23aの主部231を直状に形成してその中央に直状の当接部T1を形成してもよい。更に、図6に示すように、ストラットタワーバー23bの主部231bを直状に形成すると共に、左右のリング状の環状締結部25に対して主部231bを後側に所定量偏移させて、その主部231bの直状の当接部T1をカウルトップ4側の縦壁面を成す艤装カウル21の連結部Uに嵌合させ、溶着しても良い。これらの場合も図1の連結部Uに当接部Tが溶着された場合とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0030】
更に、図7に示すように、カウルトップ4側の縦壁面を成す艤装カウル21aに剛性を十分に確保したブラケット25を溶着する。即ち、ここでのブラケット25は上下端に上下フランジ26を形成し、その上下フランジ26を艤装カウル21aに上下方向に所定間隔を介してそれぞれ溶着する。更に、上下フランジ26間には艤装カウル21aより前方に突き出た膨出部27と、膨出部27の中央に形成される横方向に長い連結部U1を形成する。膨出部27に形成された連結部U1にストラットタワーバー23cの主部231cを嵌合させ、相互に溶着している。このような構成を採る場合、ブラケット25の剛性、特に、車幅方向Y(図7で紙面垂直方向)の剛性を十分に確保できる。このため、ストラットタワーバー23の車幅方向Yの同相変動を確実に規制でき、図1に示したストラットタワーバーの取付け構造の場合とほぼ同様の作用効果が得られ、設計上の自由度が増す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態としてのストラットタワーバーの取付け構造が適用された前部車体の骨格の要部概略平面図である。
【図2】図1中のカウルトップの拡大断面図である。
【図3】図1のストラットタワーバーの取付構造が適用された前部車体の概略分解斜視図である。
【図4】図1のストラットタワーとストラットタワーバーの環状締結部前部の結合部位の拡大切欠断面図である
【図5】本発明の他の実施形態としてのストラットタワーバーの取付け構造の概略平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態としてのストラットタワーバーの取付け構造の概略平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態としてのストラットタワーバーの取付け構造で用いるカウルトップとブラケットに溶着されたストラットタワーバーの要部拡大断面図である。
【図8】従来のストラットタワーバーの取付構造の概略分解斜視図である。
【図9】図8のストラットタワーバーの取付構造で用いるカウルトップとブラケットの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 エンジンルーム
2 車室
4 カウルトップ
5 左右フロントピラー
11 ストラットタワー
23 ストラットタワーバー
231 バー状部
25 左右の環状締結部
U、U1 連結部
T、T1 当接部
X 前後方向
Y 車幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右フロントピラーを互いに結合する車幅方向に長いカウルトップと、
前記カウルトップの前方に位置し車幅方向に互いに離れて配設された左右のストラットタワーの上部を一体的に結合するストラットタワーバーと、を備え、
前記カウルトップの縦向き壁に形成された連結部に対して前記ストラットタワーバーのバー状部の一部を成す当接部が重なるよう形成され、前記連結部に前記当接部が溶着されたことを特徴とするストラットタワーバーの取付け構造。
【請求項2】
請求項1記載のストラットタワーバーの取付け構造において、
前記カウルトップは複数の屈曲板を互いに結合することで車幅方向に長い内空間を有するよう形成され、
前記カウルトップはその一部に前記内空間に連通する開口を形成し、同開口を閉鎖する蓋状の艤装カウルを締結し、同艤装カウル上に前記連結部が形成されたことを特徴とするストラットタワーバーの取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載のストラットタワーバーの取付け構造において、
前記カウルトップの連結部は、前記ストラットタワーバーの当接部を嵌合する凹部として形成されたことを特徴とするストラットタワーバーの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−284925(P2008−284925A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129726(P2007−129726)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】