スパッタリング装置及びスパッタリング方法
【課題】複数枚の比較的大面積の基板に成膜が可能なスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】複数枚の基板4a,4bの表面に、同時に成膜が可能なスパッタリング装置X0であって、基板4a,4bの表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲット2と、ターゲット2と対向して配置される基板4a,4bを保持可能に構成された基板ホルダ3a,3bと、基板4a,4bをそれぞれ保持する複数個の基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、を有し、基板4a,4bは、基板4a,4bが成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて基板ホルダ3a,3bに取り付けられたスパッタリング装置X0。
【解決手段】複数枚の基板4a,4bの表面に、同時に成膜が可能なスパッタリング装置X0であって、基板4a,4bの表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲット2と、ターゲット2と対向して配置される基板4a,4bを保持可能に構成された基板ホルダ3a,3bと、基板4a,4bをそれぞれ保持する複数個の基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、を有し、基板4a,4bは、基板4a,4bが成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて基板ホルダ3a,3bに取り付けられたスパッタリング装置X0。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置等に関し、より詳しくは大面積の基板に成膜が可能なスパッタリング装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止や廃棄物量削減等、環境への関心が世界的に高まり、とりわけ製造業は、環境の改善・維持の推進を強く求められている。例えば、種々の物質の表面に膜を形成するスパッタリング装置にも、装置の低コスト化や小型化等が考えられている。
このような観点から、特許文献1には、同時に複数枚の基板の成膜が可能な、スパッタリング装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−015883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、太陽電池の用途においては、比較的大面積な基板への成膜が必要となってきている。しかし、従来のスパッタリング装置では、複数枚の大面積な基板に、1度の放電で同時に成膜しようとすると、隣接する基板同士が接触し、均一な成膜が困難になるという問題がある。この場合、大型装置による成膜が考えられるが、消費電力の増大等の製造コストが大幅に上昇し、現実的ではない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、複数枚の比較的大面積の基板に成膜が可能な、小型のスパッタリング装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして本発明によれば、複数枚の基板の表面に同時に成膜が可能なスパッタリング装置であって、基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットと、ターゲットと対向して配置される基板を保持可能に構成された基板ホルダと、基板をそれぞれ保持する複数個の基板ホルダを取り付けた成膜トレーと、を有し、基板は、基板が成膜トレーに対し所定の角度を有するように傾斜させて基板ホルダに取り付けられることを特徴とするスパッタリング装置が提供される。
【0006】
ここで、本発明が適用されるスパッタリング装置において、その表面に薄膜が成膜される基板は、基板ホルダに保持されて回転する際に、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように、基板ホルダに保持されることが好ましい。このようにすることにより、隣接する基板の端部が互いに上下に空間を設けて重なるようになり、比較的大面積の基板同士の接触を回避することができる。
このとき、基板は、成膜トレーに対し少なくとも4°の角度を有するように傾斜させて基板ホルダに取り付けられることが好ましい。
また、基板と対向配置されるターゲットは、ターゲットの表面が基板の成膜される表面に対し平行になるように配置されることが好ましい。
【0007】
さらに、基板ホルダは、基板の表面の端部を押さえる基板押さえを有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板の側面を遮蔽する基板側面マスクを有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板ホルダに基板が着脱可能となるように基板側面マスクの一部が開閉可能に取付けられていることが好ましい。
【0008】
次に、本発明によれば、複数枚の基板の表面に同時に成膜するスパッタリング方法であって、所定の真空チャンバー内に基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットを配置し、複数枚の基板をターゲットに対向して配置するとともに、基板をそれぞれ保持する複数の基板ホルダが取り付けられた成膜トレーに対し、基板を所定の角度を有するように傾斜させ、傾斜させた基板の表面に、ターゲットの表面からスパッタリングすることにより薄膜を成膜することを特徴とするスパッタリング方法が提供される。
【0009】
ここで、本発明が適用されるスパッタリング方法において、複数の基板ホルダにそれぞれ保持された基板は、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように回転することが好ましい。
また、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なる際、重なる面積に比例するように基板の回転速度を増大させることが好ましい。このようにすることにより、基板の表面に製膜される薄膜の膜厚を均等にすることができる。
さらに、ターゲットは、ターゲットの表面が、基板の成膜される表面に対し、平行になるように配置されることが好ましい。
ここで基板の形状としては種々の形状を採用することができ、特に、基板の幅が、隣接する2個の基板ホルダの回転中心同士の間隔より広い場合に、本発明は特に有効である。このとき、基板の幅は、例えば、基板が円形の場合はその直径、基板が正方形・長方形の場合はその対角線方向の長さが対応する。
【0010】
また、基板は、基板の表面全体が成膜されるように基板の成膜される面の逆側の面が基板ホルダにより吸着されることが好ましい。
ここで、基板ホルダは、基板ホルダへの膜付着を回避するために、基板の幅よりも小さい幅を有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板の表面に所定のパターン又は模様を有する薄膜を形成するマスクを用いて基板を押さえることにより基板を保持することが好ましい。
さらに、基板は、スパッタリングにより成膜トレーの表面に断続的に薄膜が積層されないように、基板の幅と少なくとも略同じ直径を有する基板ホルダにより保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパッタリング装置により、複数枚の比較的大面積の基板に同時に成膜が可能である。特に、基板の成膜される面の幅を測った際に最長となる幅が、互いに隣接する基板ホルダの回転中心同士の間隔より広い場合、基板同士が接触することなく表面に成膜が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。図1に示すスパッタリング装置X0は、所定の真空チャンバー10の内部に、複数の基板4a,4bの表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲット2と、ターゲット2と対向して配置された複数の基板4a,4bを、それぞれ保持可能に構成された複数個の基板ホルダ3a,3bと、これらの基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、が配置されている。図1に示すように、ターゲット2と成膜トレー1とは互いに平行になるように設置されている。また、複数個の基板ホルダ3a,3bは、それぞれの中心5aと中心5bとの中心間距離6を隔て、成膜トレー1に取り付けられている。
【0014】
本実施の形態では、複数個の基板ホルダ3a,3bは、基板4a,4bをそれぞれ回転可能に保持する面が、成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように傾斜して、成膜トレー1に取り付けられている。これにより、基板4a,4bは、それぞれ成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて、基板ホルダ3a,3bにそれぞれ1枚ずつ取り付けられる。このとき、互いに隣接する基板4aと基板4bとは、それぞれ基板ホルダ3a,3bに保持された状態で、中心5a,5bを中心として回転する際に、基板4aの端部と基板4aに隣接する基板4bの端部とが接触しないように、且つ所定の間隔7を設けて重なるように基板ホルダ3a,3bに保持される。
成膜トレー1に対する基板4a,4bの角度(α)は、基板4a,4bが接触せずに回転可能であれば特に限定されないが、通常、1°以上、好ましくは、4°以上である。但し、通常、12°以下、好ましくは、8°以下である。
【0015】
尚、ターゲット2は、高周波電源Iに接続されたターゲット電極2aと一体的に接合されている。また、基板電極を兼ねる成膜トレー1は、高周波電源IIに接続されている。また、真空チャンバー10には、真空ポンプVaに接続された排気口が設けられていると共に、アルゴンガス等の不活性ガスAr(放電ガス)の導入口が設けられている。基板4a,4bの表面には、ターゲット2の表面からスパッタリングすることにより薄膜が成膜される。
【0016】
図2は、実施の形態1のスパッタリング装置X0における複数の基板の配置を説明する図である。図3は、互いに隣接する2枚の基板のサイズを説明する図である。
図2に示すように、円形の成膜トレー1上に、円形の4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dが、所定の中心間距離6を隔てて取り付けられている。このとき、成膜トレー1の表面において、4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dの各取り付け位置が正方形を形成するように、成膜トレー1の中心部に設置することが好ましい。各基板ホルダ3a,3b,3c,3dには、それぞれ正方形の基板4a,4b,4c,4dが、互いに接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように保持されている。スパッタリングは、基板ホルダ3a,3b,3c,3dにそれぞれ保持された基板4a,4b,4c,4dを、各基板ホルダの中心5a,5b,5c,5dを回転軸として図中の矢印A方向に回転させながら行われ、基板4a,4b,4c,4dの各表面に所定の薄膜が同時に成膜される。
【0017】
本実施の形態では、4個の正方形の基板4a,4b,4c,4dは同じ大きさである。また、4個の円形の基板ホルダ3a,3b,3c,3dは同じ大きさである。図3において、基板4aは、一辺の長さ(la)138mm、対角線長(ma)195.2mm、厚さ0.55mmのガラス製である。基板ホルダ3bは、直径(Lb)138mm、半径(rb)69mmである。また、隣接する2個の基板ホルダ3aと基板ホルダ3bとの中心間距離6(図2参照)は145mmである。
【0018】
図3に示すように、本実施の形態では、隣接する基板ホルダ3aの端部と基板ホルダ3bの端部との間隔(d)は7mmである。一方、正方形である基板4a,4bの対角線長(ma)は195.2mmであるので、基板ホルダ3aと基板ホルダ3bとの中心間距離6(145mm)よりも長い。そのため、これらを同一平面内に配置すると、隣接する基板4aの端部と基板4bの端部とが重なる。その重なり(D)は、最大で約50.2mmであるため、それぞれが回転する際に接触する。
【0019】
本実施の形態では、4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dは、基板4a,4b,4c,4dをそれぞれ回転可能に保持する面が、成膜トレー1の表面と4°の角度を有するように傾斜して、成膜トレー1に取り付けられている。これによって、4個の基板4a,4b,4c,4dが回転する際に、各基板の端部同士が、それぞれ互いに上下に所定の間隔を空けて重なるようになるので、端部同士の接触が避けられる。
尚、図2中、基板4a,4b,4c,4dの太線で示したそれぞれの辺8a,8b,8c,8dは、所定の角度(α)(図1参照)で傾斜させて保持された各基板4a,4b,4c,4dにおいて、それぞれ正方形の4辺の中で最も成膜トレー1の表面に近づく辺を表している。
【0020】
図4は、隣接する基板同士が互いに回転する様子を説明する図である。図4は、図2において成膜トレー1に取り付けられた4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dの中、基板ホルダ3b,3cにそれぞれ保持された基板4b,4cが示されている。前述したように、基板4b,4cは、各基板の端部同士が、それぞれ互いに上下に所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように、矢印A方向に回転する。このとき、隣接する基板4b,4cが接触せず、それぞれの一辺同士が、互いに平行になる状態(図4(a),(c),(e),(g))と、それぞれの端部同士が互いに重なる状態(図4(b),(d),(f))と、が交互に繰り返される。
【0021】
図5は、図4に示すように隣接する基板4b,4cの端部同士が重なる場合の重複面積と時間との関係を説明するグラフである。横軸は時間を表し、縦軸は重複面積を表す。図5に示すように、基板4b,4c(図4参照)の回転に伴い、隣接するそれぞれの端部同士の重なり(図4(b),(d),(f))による重複面積の増大と、重複面積ゼロの状態(図4(a),(c),(e),(g))とが繰り返される。
【0022】
ここで、図4(b),(d),(f)に示すように、スパッタリングが行われている間、隣接する基板4bの端部と基板4cの端部とが所定の間隔を設けて重なる場合は、各基板の端部に成膜される薄膜の膜厚が薄くなる傾向がある。この場合、各基板の回転速度を、基板同士が重ならない場合の回転速度より増大させることが好ましい。このように、隣接する基板4b,4cの端部同士が重なる場合(図4(b),(d),(f))は、各基板を保持している基板ホルダ3b,3cの回転速度を増大させ、隣接する基板4b,4c同士が接触しない場合(図4(a),(c),(e),(g))は、基板ホルダ3b,3cの回転速度を低下させるように、スパッタリング処理中に、各基板の回転速度を制御することにより、各基板の表面に成膜される薄膜の膜厚を均等にすることができる。この場合、重複面積に比例するように所定の計算式に基づき基板の回転速度を増大させることが好ましい。
【0023】
また、上述したように、隣接する基板4a,4b,4c,4dのそれぞれの端部同士が重なる場合と平行になる場合とを断続的に繰り返しながら回転すると、長期間の運転により、成膜トレー1(図1参照)の表面にもスパッタリング膜が積層されることとなる。
図6は、スパッタリング膜が積層される成膜トレー1の表面を説明する図である。図6(a)は、成膜トレー1の表面のスパッタリング膜が積層される範囲を説明する図である。図6(a)に示すように、図1及び図2に示す4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3d上に基板4a,4b,4c,4dをそれぞれ保持して成膜する場合、成膜トレー1の表面の基板ホルダ3a,3b,3c,3dが占める部分(白地で示す)を除く他の部分(網掛けで示す)に、スパッタリング膜が積層される。
【0024】
この場合、積層されたスパッタリング膜を除去しないまま装置の運転を続けると、回転する基板ホルダ3a,3b,3c,3dにより削られたスパッタリング膜が、真空チャンバー1(図1参照)内に舞い上がり、基板の表面に混入するおそれがある。このような事態を防止するため、基板ホルダ3a,3b,3c,3dの回転により成膜トレー1の表面に断続的にスパッタリング膜が積層される領域が生じないようにすることが好ましい。
具体的には、例えば、図6(b)に示すように、本実施の形態では、基板ホルダ3aの直径が基板4aの幅と略同じであるが、これを図6(c)に示すように、基板4aの幅と略同じ又は大きい直径を有する基板ホルダ31aを設けることにより、成膜トレー1の表面に成膜が断続的にON/OFFされる領域を取り除くことができる。
【0025】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。実施の形態1と同様な構成については同じ符号を使用し、その説明を省略する場合がある。
図7に示すスパッタリング装置X1は、実施の形態1と同様に、所定の真空チャンバー10の内部に、ターゲット2と、ターゲット2と対向して配置される複数個の基板ホルダ3a,3bと、これらの基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、が配置されている。基板ホルダ3a,3bは成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように傾斜して成膜トレー1に取り付けられ、これにより、基板4a,4bは、それぞれ成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて基板ホルダ3a,3bにそれぞれ1枚ずつ取り付けられる。
【0026】
図7に示すように、本実施の形態では、ターゲット2は、成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように、ターゲット電極2aに傾斜して取り付けられている。即ち、この場合、ターゲット2は、ターゲット2の表面が基板4a,4bの成膜される表面に対し平行になるように配置されている。これにより、基板4a,4bの成膜される面にスパッタ粒子が垂直に入射されるようになる。
【0027】
次に、基板4aを保持する基板ホルダ3aの好ましい実施の形態について説明する。
図8は、基板の裏面を吸着した基板ホルダを説明する図である。図8に示すように、基板ホルダ32aは、基板4aの幅より小さい直径を有するテーブル321aと、テーブル321aと一体に成形され内部に吸引用の空洞323aが形成された支柱322aとから構成されている。基板ホルダ32aは、テーブル321aを基板4aの裏面に密着させ、空洞323a内をE方向に吸引することにより基板4aを吸着している。尚、基板4aを吸着する方法は、吸引以外の方法を適宜採用することができる。
【0028】
図9は、基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。図9(a)は、基板押さえを設けた基板ホルダの断面図である。図9(b)及び図9(c)は、基板の四隅を押さえる基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。図9(d)及び図9(e)は、基板の四辺の一部を押さえる基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。
図9(a)に示すように、基板ホルダ33aは、基板4aの表面の端部を押さえる基板押さえ331aを有している。基板押さえ331aによって押さえられた基板4aの一部は、スパッタリングによる成膜が遮られる。基板4a表面にこのような部分が多少存在しても構わない場合は、基板押さえ331aによって基板ホルダ33aに基板4aを確実に保持することが可能であるため、有効である。
【0029】
図9(b)は、基板4aの四隅部分が、4個の基板押さえ331aによりそれぞれ押さえられている状態を説明する図である。図9(c)は、図9(b)に示す基板4aの裏面を説明する図である。図9(c)に示すように、基板ホルダ33aは、対角線状に交差したテーブル332aと、テーブル332aの中央部に一体に成形された支柱333aとを有している。
図9(d)は、基板4aの四辺の略中央部分が、4個の基板押さえ341aによりそれぞれ押さえられている状態を説明する図である。図9(e)は、図9(d)に示す基板4aの裏面を説明する図である。図9(e)に示すように、基板ホルダ34aは、略直角に交差したテーブル342aと、テーブル342aの中央部に一体に成形された支柱343aとを有している。
【0030】
図10は、基板側面マスクを備えた基板ホルダを説明する図である。図10(a)に示すように、基板ホルダ35aは、基板4a(図9参照)を保持するテーブル351aと、テーブル351aの4辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク352aを有している。基板側面マスク352aを設けることにより、基板4a(図9参照)の成膜する面と垂直方向に位置する側面への成膜を避けることができる。図9(b)は、基板ホルダ35aの裏面を説明する図である。図10(b)に示すように、基板ホルダ35aは、テーブル351aの略中央部に、テーブル351aと一体に成形された支柱353aを有している。
【0031】
図10(c)は、さらに基板押さえ363aを設けた基板ホルダ36aを説明する図である。図10(c)に示すように、基板ホルダ36aは、基板4a(図9参照)を保持するテーブル361aの4辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク362aと、基板4aの四隅を抑えるように設けられた4個の基板押さえ363aとを有している。本実施の形態では、基板側面マスク362aと基板押さえ363aとを設けることにより、基板4aが傾斜した状態で回転する場合、基板の移動やズレを防止することができる。
【0032】
図11は、基板側面マスクの一部が開閉可能に形成された基板ホルダを説明する図である。図11に示すように、基板ホルダ37aは、基板4aを保持するテーブル371aと、テーブル371aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク372aと、テーブル371aの一辺に開閉可能に形成された基板側面マスク372a0と、基板4aの四隅を抑えるように設けられた4個の基板押さえ373aとを有している。基板4aは、基板側面マスク372a0を開閉することにより、基板ホルダ37aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、基板ホルダ37aの四隅に設けた基板押さえ373aに対応する部分4a1を残し、スパッタリング膜F1が形成される。
【0033】
図12は、所定のマスクを有する基板ホルダを説明する図である。
図12(a)に示す基板ホルダ38aは、基板4aを保持するテーブル381aと、テーブル381aの対向する2辺にそれぞれ設けられた基板押さえ382aと、テーブル381aの1辺に開閉可能に設けられた基板押さえ382a0と、基板押さえ382a0に対向する1辺に設けられた基板側面マスク383aと、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM1とを有している。
図12(a)に示すように、マスクM1と基板側面マスク383aとテーブル381aとが一体に成形され、マスクM1が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ382a0を開閉することにより、基板ホルダ38aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM1により遮られた部分以外の部分にスパッタリング膜F1が成膜されている。
【0034】
図12(b)に示す基板ホルダ39aは、基板4aを保持するテーブル391aと、テーブル391aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク392aと、テーブル391aの1辺に開閉可能に設けられた基板側面マスク392a0と、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM2とを有している。
図12(b)に示すように、マスクM2と基板側面マスク392aとテーブル391aとが一体に成形され、マスクM2が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ392a0を開閉することにより、基板ホルダ39aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM2により遮られた部分以外の部分にスパッタリング膜F2が成膜されている。
【0035】
図12(c)に示す基板ホルダ40aは、基板4aを保持するテーブル401aと、テーブル401aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク402aと、テーブル401aの1辺に開閉可能に設けられた基板側面マスク402a0と、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM3とを有している。マスクM3には、スパッタリング膜が成膜可能なように形成された所定の形状のパターン403aが設けられている。
図12(c)に示すように、マスクM3と基板側面マスク402aとテーブル401aとが一体に成形され、マスクM3が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ402a0を開閉することにより、基板ホルダ40aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM3により遮られた部分以外の部分に、パターン403aに対応するスパッタリング膜F3が成膜されている。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、成膜トレーや基板ホルダは、円形のものに限定されず、多角形やその他の形状のものが適宜選択される。また、基板は、正方形のガラス板に限定されず、円形や多角形等の他形状のものが適宜選択される。さらに、成膜トレーに対する基板の角度は、スパッタリング装置やスパッタリング条件に応じ、適宜選択される。
【0037】
本実施の形態において説明したスパッタリング装置及びスパッタリング方法を用いると、隣接する基板の端部が、互いに上下に間隔を設けて接触せずに重なるようになる。このため、同一平面に配置すれば互いに接触する大面積の複数枚の基板に成膜する場合、基板数を減らさずに一度に成膜することが可能となる。また、スパッタリングの処理能力を落とす必要も無い。さらに、装置の容積、体積、占有面積を大きくする必要も無い。これにより、生産コストの低減、材料費増加の抑制、装置の改造費や新規購入資金の発生の回避が可能となる。また、装置を大型化・大占有面積化にした場合に必要となる空調機等の維持・管理・稼働費等の増加も回避出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。
【図2】実施の形態1のスパッタリング装置における複数の基板の配置を説明する図である。
【図3】互いに隣接する2枚の基板のサイズを説明する図である。
【図4】隣接する基板同士が互いに回転する様子を説明する図である。
【図5】図4に示すように隣接する基板の端部同士が重なる場合の重複面積と時間との関係を説明するグラフである。
【図6】スパッタリング膜が積層される成膜トレーの表面を説明する図である。
【図7】実施の形態2のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。
【図8】基板の裏面を吸着した基板ホルダを説明する図である。
【図9】基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。
【図10】基板側面マスクを備えた基板ホルダを説明する図である。
【図11】基板側面マスクの一部が開閉可能に形成された基板ホルダを説明する図である。
【図12】所定のマスクを有する基板ホルダを説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
1…成膜トレー、2…ターゲット、3a,3b,3c,3d…基板ホルダ、4a,4b,4c,4d…基板、7…間隔、10…真空チャンバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置等に関し、より詳しくは大面積の基板に成膜が可能なスパッタリング装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止や廃棄物量削減等、環境への関心が世界的に高まり、とりわけ製造業は、環境の改善・維持の推進を強く求められている。例えば、種々の物質の表面に膜を形成するスパッタリング装置にも、装置の低コスト化や小型化等が考えられている。
このような観点から、特許文献1には、同時に複数枚の基板の成膜が可能な、スパッタリング装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−015883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、太陽電池の用途においては、比較的大面積な基板への成膜が必要となってきている。しかし、従来のスパッタリング装置では、複数枚の大面積な基板に、1度の放電で同時に成膜しようとすると、隣接する基板同士が接触し、均一な成膜が困難になるという問題がある。この場合、大型装置による成膜が考えられるが、消費電力の増大等の製造コストが大幅に上昇し、現実的ではない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、複数枚の比較的大面積の基板に成膜が可能な、小型のスパッタリング装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして本発明によれば、複数枚の基板の表面に同時に成膜が可能なスパッタリング装置であって、基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットと、ターゲットと対向して配置される基板を保持可能に構成された基板ホルダと、基板をそれぞれ保持する複数個の基板ホルダを取り付けた成膜トレーと、を有し、基板は、基板が成膜トレーに対し所定の角度を有するように傾斜させて基板ホルダに取り付けられることを特徴とするスパッタリング装置が提供される。
【0006】
ここで、本発明が適用されるスパッタリング装置において、その表面に薄膜が成膜される基板は、基板ホルダに保持されて回転する際に、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように、基板ホルダに保持されることが好ましい。このようにすることにより、隣接する基板の端部が互いに上下に空間を設けて重なるようになり、比較的大面積の基板同士の接触を回避することができる。
このとき、基板は、成膜トレーに対し少なくとも4°の角度を有するように傾斜させて基板ホルダに取り付けられることが好ましい。
また、基板と対向配置されるターゲットは、ターゲットの表面が基板の成膜される表面に対し平行になるように配置されることが好ましい。
【0007】
さらに、基板ホルダは、基板の表面の端部を押さえる基板押さえを有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板の側面を遮蔽する基板側面マスクを有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板ホルダに基板が着脱可能となるように基板側面マスクの一部が開閉可能に取付けられていることが好ましい。
【0008】
次に、本発明によれば、複数枚の基板の表面に同時に成膜するスパッタリング方法であって、所定の真空チャンバー内に基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットを配置し、複数枚の基板をターゲットに対向して配置するとともに、基板をそれぞれ保持する複数の基板ホルダが取り付けられた成膜トレーに対し、基板を所定の角度を有するように傾斜させ、傾斜させた基板の表面に、ターゲットの表面からスパッタリングすることにより薄膜を成膜することを特徴とするスパッタリング方法が提供される。
【0009】
ここで、本発明が適用されるスパッタリング方法において、複数の基板ホルダにそれぞれ保持された基板は、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように回転することが好ましい。
また、基板の端部とその基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なる際、重なる面積に比例するように基板の回転速度を増大させることが好ましい。このようにすることにより、基板の表面に製膜される薄膜の膜厚を均等にすることができる。
さらに、ターゲットは、ターゲットの表面が、基板の成膜される表面に対し、平行になるように配置されることが好ましい。
ここで基板の形状としては種々の形状を採用することができ、特に、基板の幅が、隣接する2個の基板ホルダの回転中心同士の間隔より広い場合に、本発明は特に有効である。このとき、基板の幅は、例えば、基板が円形の場合はその直径、基板が正方形・長方形の場合はその対角線方向の長さが対応する。
【0010】
また、基板は、基板の表面全体が成膜されるように基板の成膜される面の逆側の面が基板ホルダにより吸着されることが好ましい。
ここで、基板ホルダは、基板ホルダへの膜付着を回避するために、基板の幅よりも小さい幅を有することが好ましい。
また、基板ホルダは、基板の表面に所定のパターン又は模様を有する薄膜を形成するマスクを用いて基板を押さえることにより基板を保持することが好ましい。
さらに、基板は、スパッタリングにより成膜トレーの表面に断続的に薄膜が積層されないように、基板の幅と少なくとも略同じ直径を有する基板ホルダにより保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパッタリング装置により、複数枚の比較的大面積の基板に同時に成膜が可能である。特に、基板の成膜される面の幅を測った際に最長となる幅が、互いに隣接する基板ホルダの回転中心同士の間隔より広い場合、基板同士が接触することなく表面に成膜が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。図1に示すスパッタリング装置X0は、所定の真空チャンバー10の内部に、複数の基板4a,4bの表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲット2と、ターゲット2と対向して配置された複数の基板4a,4bを、それぞれ保持可能に構成された複数個の基板ホルダ3a,3bと、これらの基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、が配置されている。図1に示すように、ターゲット2と成膜トレー1とは互いに平行になるように設置されている。また、複数個の基板ホルダ3a,3bは、それぞれの中心5aと中心5bとの中心間距離6を隔て、成膜トレー1に取り付けられている。
【0014】
本実施の形態では、複数個の基板ホルダ3a,3bは、基板4a,4bをそれぞれ回転可能に保持する面が、成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように傾斜して、成膜トレー1に取り付けられている。これにより、基板4a,4bは、それぞれ成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて、基板ホルダ3a,3bにそれぞれ1枚ずつ取り付けられる。このとき、互いに隣接する基板4aと基板4bとは、それぞれ基板ホルダ3a,3bに保持された状態で、中心5a,5bを中心として回転する際に、基板4aの端部と基板4aに隣接する基板4bの端部とが接触しないように、且つ所定の間隔7を設けて重なるように基板ホルダ3a,3bに保持される。
成膜トレー1に対する基板4a,4bの角度(α)は、基板4a,4bが接触せずに回転可能であれば特に限定されないが、通常、1°以上、好ましくは、4°以上である。但し、通常、12°以下、好ましくは、8°以下である。
【0015】
尚、ターゲット2は、高周波電源Iに接続されたターゲット電極2aと一体的に接合されている。また、基板電極を兼ねる成膜トレー1は、高周波電源IIに接続されている。また、真空チャンバー10には、真空ポンプVaに接続された排気口が設けられていると共に、アルゴンガス等の不活性ガスAr(放電ガス)の導入口が設けられている。基板4a,4bの表面には、ターゲット2の表面からスパッタリングすることにより薄膜が成膜される。
【0016】
図2は、実施の形態1のスパッタリング装置X0における複数の基板の配置を説明する図である。図3は、互いに隣接する2枚の基板のサイズを説明する図である。
図2に示すように、円形の成膜トレー1上に、円形の4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dが、所定の中心間距離6を隔てて取り付けられている。このとき、成膜トレー1の表面において、4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dの各取り付け位置が正方形を形成するように、成膜トレー1の中心部に設置することが好ましい。各基板ホルダ3a,3b,3c,3dには、それぞれ正方形の基板4a,4b,4c,4dが、互いに接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように保持されている。スパッタリングは、基板ホルダ3a,3b,3c,3dにそれぞれ保持された基板4a,4b,4c,4dを、各基板ホルダの中心5a,5b,5c,5dを回転軸として図中の矢印A方向に回転させながら行われ、基板4a,4b,4c,4dの各表面に所定の薄膜が同時に成膜される。
【0017】
本実施の形態では、4個の正方形の基板4a,4b,4c,4dは同じ大きさである。また、4個の円形の基板ホルダ3a,3b,3c,3dは同じ大きさである。図3において、基板4aは、一辺の長さ(la)138mm、対角線長(ma)195.2mm、厚さ0.55mmのガラス製である。基板ホルダ3bは、直径(Lb)138mm、半径(rb)69mmである。また、隣接する2個の基板ホルダ3aと基板ホルダ3bとの中心間距離6(図2参照)は145mmである。
【0018】
図3に示すように、本実施の形態では、隣接する基板ホルダ3aの端部と基板ホルダ3bの端部との間隔(d)は7mmである。一方、正方形である基板4a,4bの対角線長(ma)は195.2mmであるので、基板ホルダ3aと基板ホルダ3bとの中心間距離6(145mm)よりも長い。そのため、これらを同一平面内に配置すると、隣接する基板4aの端部と基板4bの端部とが重なる。その重なり(D)は、最大で約50.2mmであるため、それぞれが回転する際に接触する。
【0019】
本実施の形態では、4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dは、基板4a,4b,4c,4dをそれぞれ回転可能に保持する面が、成膜トレー1の表面と4°の角度を有するように傾斜して、成膜トレー1に取り付けられている。これによって、4個の基板4a,4b,4c,4dが回転する際に、各基板の端部同士が、それぞれ互いに上下に所定の間隔を空けて重なるようになるので、端部同士の接触が避けられる。
尚、図2中、基板4a,4b,4c,4dの太線で示したそれぞれの辺8a,8b,8c,8dは、所定の角度(α)(図1参照)で傾斜させて保持された各基板4a,4b,4c,4dにおいて、それぞれ正方形の4辺の中で最も成膜トレー1の表面に近づく辺を表している。
【0020】
図4は、隣接する基板同士が互いに回転する様子を説明する図である。図4は、図2において成膜トレー1に取り付けられた4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3dの中、基板ホルダ3b,3cにそれぞれ保持された基板4b,4cが示されている。前述したように、基板4b,4cは、各基板の端部同士が、それぞれ互いに上下に所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように、矢印A方向に回転する。このとき、隣接する基板4b,4cが接触せず、それぞれの一辺同士が、互いに平行になる状態(図4(a),(c),(e),(g))と、それぞれの端部同士が互いに重なる状態(図4(b),(d),(f))と、が交互に繰り返される。
【0021】
図5は、図4に示すように隣接する基板4b,4cの端部同士が重なる場合の重複面積と時間との関係を説明するグラフである。横軸は時間を表し、縦軸は重複面積を表す。図5に示すように、基板4b,4c(図4参照)の回転に伴い、隣接するそれぞれの端部同士の重なり(図4(b),(d),(f))による重複面積の増大と、重複面積ゼロの状態(図4(a),(c),(e),(g))とが繰り返される。
【0022】
ここで、図4(b),(d),(f)に示すように、スパッタリングが行われている間、隣接する基板4bの端部と基板4cの端部とが所定の間隔を設けて重なる場合は、各基板の端部に成膜される薄膜の膜厚が薄くなる傾向がある。この場合、各基板の回転速度を、基板同士が重ならない場合の回転速度より増大させることが好ましい。このように、隣接する基板4b,4cの端部同士が重なる場合(図4(b),(d),(f))は、各基板を保持している基板ホルダ3b,3cの回転速度を増大させ、隣接する基板4b,4c同士が接触しない場合(図4(a),(c),(e),(g))は、基板ホルダ3b,3cの回転速度を低下させるように、スパッタリング処理中に、各基板の回転速度を制御することにより、各基板の表面に成膜される薄膜の膜厚を均等にすることができる。この場合、重複面積に比例するように所定の計算式に基づき基板の回転速度を増大させることが好ましい。
【0023】
また、上述したように、隣接する基板4a,4b,4c,4dのそれぞれの端部同士が重なる場合と平行になる場合とを断続的に繰り返しながら回転すると、長期間の運転により、成膜トレー1(図1参照)の表面にもスパッタリング膜が積層されることとなる。
図6は、スパッタリング膜が積層される成膜トレー1の表面を説明する図である。図6(a)は、成膜トレー1の表面のスパッタリング膜が積層される範囲を説明する図である。図6(a)に示すように、図1及び図2に示す4個の基板ホルダ3a,3b,3c,3d上に基板4a,4b,4c,4dをそれぞれ保持して成膜する場合、成膜トレー1の表面の基板ホルダ3a,3b,3c,3dが占める部分(白地で示す)を除く他の部分(網掛けで示す)に、スパッタリング膜が積層される。
【0024】
この場合、積層されたスパッタリング膜を除去しないまま装置の運転を続けると、回転する基板ホルダ3a,3b,3c,3dにより削られたスパッタリング膜が、真空チャンバー1(図1参照)内に舞い上がり、基板の表面に混入するおそれがある。このような事態を防止するため、基板ホルダ3a,3b,3c,3dの回転により成膜トレー1の表面に断続的にスパッタリング膜が積層される領域が生じないようにすることが好ましい。
具体的には、例えば、図6(b)に示すように、本実施の形態では、基板ホルダ3aの直径が基板4aの幅と略同じであるが、これを図6(c)に示すように、基板4aの幅と略同じ又は大きい直径を有する基板ホルダ31aを設けることにより、成膜トレー1の表面に成膜が断続的にON/OFFされる領域を取り除くことができる。
【0025】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。実施の形態1と同様な構成については同じ符号を使用し、その説明を省略する場合がある。
図7に示すスパッタリング装置X1は、実施の形態1と同様に、所定の真空チャンバー10の内部に、ターゲット2と、ターゲット2と対向して配置される複数個の基板ホルダ3a,3bと、これらの基板ホルダ3a,3bを取り付けた成膜トレー1と、が配置されている。基板ホルダ3a,3bは成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように傾斜して成膜トレー1に取り付けられ、これにより、基板4a,4bは、それぞれ成膜トレー1に対し所定の角度(α)を有するように傾斜させて基板ホルダ3a,3bにそれぞれ1枚ずつ取り付けられる。
【0026】
図7に示すように、本実施の形態では、ターゲット2は、成膜トレー1の表面と所定の角度(α)を有するように、ターゲット電極2aに傾斜して取り付けられている。即ち、この場合、ターゲット2は、ターゲット2の表面が基板4a,4bの成膜される表面に対し平行になるように配置されている。これにより、基板4a,4bの成膜される面にスパッタ粒子が垂直に入射されるようになる。
【0027】
次に、基板4aを保持する基板ホルダ3aの好ましい実施の形態について説明する。
図8は、基板の裏面を吸着した基板ホルダを説明する図である。図8に示すように、基板ホルダ32aは、基板4aの幅より小さい直径を有するテーブル321aと、テーブル321aと一体に成形され内部に吸引用の空洞323aが形成された支柱322aとから構成されている。基板ホルダ32aは、テーブル321aを基板4aの裏面に密着させ、空洞323a内をE方向に吸引することにより基板4aを吸着している。尚、基板4aを吸着する方法は、吸引以外の方法を適宜採用することができる。
【0028】
図9は、基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。図9(a)は、基板押さえを設けた基板ホルダの断面図である。図9(b)及び図9(c)は、基板の四隅を押さえる基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。図9(d)及び図9(e)は、基板の四辺の一部を押さえる基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。
図9(a)に示すように、基板ホルダ33aは、基板4aの表面の端部を押さえる基板押さえ331aを有している。基板押さえ331aによって押さえられた基板4aの一部は、スパッタリングによる成膜が遮られる。基板4a表面にこのような部分が多少存在しても構わない場合は、基板押さえ331aによって基板ホルダ33aに基板4aを確実に保持することが可能であるため、有効である。
【0029】
図9(b)は、基板4aの四隅部分が、4個の基板押さえ331aによりそれぞれ押さえられている状態を説明する図である。図9(c)は、図9(b)に示す基板4aの裏面を説明する図である。図9(c)に示すように、基板ホルダ33aは、対角線状に交差したテーブル332aと、テーブル332aの中央部に一体に成形された支柱333aとを有している。
図9(d)は、基板4aの四辺の略中央部分が、4個の基板押さえ341aによりそれぞれ押さえられている状態を説明する図である。図9(e)は、図9(d)に示す基板4aの裏面を説明する図である。図9(e)に示すように、基板ホルダ34aは、略直角に交差したテーブル342aと、テーブル342aの中央部に一体に成形された支柱343aとを有している。
【0030】
図10は、基板側面マスクを備えた基板ホルダを説明する図である。図10(a)に示すように、基板ホルダ35aは、基板4a(図9参照)を保持するテーブル351aと、テーブル351aの4辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク352aを有している。基板側面マスク352aを設けることにより、基板4a(図9参照)の成膜する面と垂直方向に位置する側面への成膜を避けることができる。図9(b)は、基板ホルダ35aの裏面を説明する図である。図10(b)に示すように、基板ホルダ35aは、テーブル351aの略中央部に、テーブル351aと一体に成形された支柱353aを有している。
【0031】
図10(c)は、さらに基板押さえ363aを設けた基板ホルダ36aを説明する図である。図10(c)に示すように、基板ホルダ36aは、基板4a(図9参照)を保持するテーブル361aの4辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク362aと、基板4aの四隅を抑えるように設けられた4個の基板押さえ363aとを有している。本実施の形態では、基板側面マスク362aと基板押さえ363aとを設けることにより、基板4aが傾斜した状態で回転する場合、基板の移動やズレを防止することができる。
【0032】
図11は、基板側面マスクの一部が開閉可能に形成された基板ホルダを説明する図である。図11に示すように、基板ホルダ37aは、基板4aを保持するテーブル371aと、テーブル371aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク372aと、テーブル371aの一辺に開閉可能に形成された基板側面マスク372a0と、基板4aの四隅を抑えるように設けられた4個の基板押さえ373aとを有している。基板4aは、基板側面マスク372a0を開閉することにより、基板ホルダ37aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、基板ホルダ37aの四隅に設けた基板押さえ373aに対応する部分4a1を残し、スパッタリング膜F1が形成される。
【0033】
図12は、所定のマスクを有する基板ホルダを説明する図である。
図12(a)に示す基板ホルダ38aは、基板4aを保持するテーブル381aと、テーブル381aの対向する2辺にそれぞれ設けられた基板押さえ382aと、テーブル381aの1辺に開閉可能に設けられた基板押さえ382a0と、基板押さえ382a0に対向する1辺に設けられた基板側面マスク383aと、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM1とを有している。
図12(a)に示すように、マスクM1と基板側面マスク383aとテーブル381aとが一体に成形され、マスクM1が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ382a0を開閉することにより、基板ホルダ38aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM1により遮られた部分以外の部分にスパッタリング膜F1が成膜されている。
【0034】
図12(b)に示す基板ホルダ39aは、基板4aを保持するテーブル391aと、テーブル391aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク392aと、テーブル391aの1辺に開閉可能に設けられた基板側面マスク392a0と、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM2とを有している。
図12(b)に示すように、マスクM2と基板側面マスク392aとテーブル391aとが一体に成形され、マスクM2が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ392a0を開閉することにより、基板ホルダ39aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM2により遮られた部分以外の部分にスパッタリング膜F2が成膜されている。
【0035】
図12(c)に示す基板ホルダ40aは、基板4aを保持するテーブル401aと、テーブル401aの3辺にそれぞれ設けられた基板側面マスク402aと、テーブル401aの1辺に開閉可能に設けられた基板側面マスク402a0と、基板4aの表面に形成されるスパッタリング膜の成膜を遮るように設けられたマスクM3とを有している。マスクM3には、スパッタリング膜が成膜可能なように形成された所定の形状のパターン403aが設けられている。
図12(c)に示すように、マスクM3と基板側面マスク402aとテーブル401aとが一体に成形され、マスクM3が基板押さえの役割を果たしている。尚、基板4aは、基板押さえ402a0を開閉することにより、基板ホルダ40aに脱着(図中、矢印方向)が可能である。基板4aの表面には、マスクM3により遮られた部分以外の部分に、パターン403aに対応するスパッタリング膜F3が成膜されている。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、成膜トレーや基板ホルダは、円形のものに限定されず、多角形やその他の形状のものが適宜選択される。また、基板は、正方形のガラス板に限定されず、円形や多角形等の他形状のものが適宜選択される。さらに、成膜トレーに対する基板の角度は、スパッタリング装置やスパッタリング条件に応じ、適宜選択される。
【0037】
本実施の形態において説明したスパッタリング装置及びスパッタリング方法を用いると、隣接する基板の端部が、互いに上下に間隔を設けて接触せずに重なるようになる。このため、同一平面に配置すれば互いに接触する大面積の複数枚の基板に成膜する場合、基板数を減らさずに一度に成膜することが可能となる。また、スパッタリングの処理能力を落とす必要も無い。さらに、装置の容積、体積、占有面積を大きくする必要も無い。これにより、生産コストの低減、材料費増加の抑制、装置の改造費や新規購入資金の発生の回避が可能となる。また、装置を大型化・大占有面積化にした場合に必要となる空調機等の維持・管理・稼働費等の増加も回避出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。
【図2】実施の形態1のスパッタリング装置における複数の基板の配置を説明する図である。
【図3】互いに隣接する2枚の基板のサイズを説明する図である。
【図4】隣接する基板同士が互いに回転する様子を説明する図である。
【図5】図4に示すように隣接する基板の端部同士が重なる場合の重複面積と時間との関係を説明するグラフである。
【図6】スパッタリング膜が積層される成膜トレーの表面を説明する図である。
【図7】実施の形態2のスパッタリング装置の基本構成を説明する図である。
【図8】基板の裏面を吸着した基板ホルダを説明する図である。
【図9】基板押さえを設けた基板ホルダを説明する図である。
【図10】基板側面マスクを備えた基板ホルダを説明する図である。
【図11】基板側面マスクの一部が開閉可能に形成された基板ホルダを説明する図である。
【図12】所定のマスクを有する基板ホルダを説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
1…成膜トレー、2…ターゲット、3a,3b,3c,3d…基板ホルダ、4a,4b,4c,4d…基板、7…間隔、10…真空チャンバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板の表面に同時に成膜が可能なスパッタリング装置であって、
前記基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットと、
前記ターゲットと対向して配置される前記基板を保持可能に構成された基板ホルダと、
前記基板をそれぞれ保持する複数個の前記基板ホルダを取り付けた成膜トレーと、を有し、
前記基板は、当該基板が前記成膜トレーに対し所定の角度を有するように傾斜させて前記基板ホルダに取り付けられる
ことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記基板は、前記基板ホルダに保持されて回転する際に、当該基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように、当該基板ホルダに保持されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記基板は、前記成膜トレーに対し少なくとも4°の角度を有するように傾斜させて前記基板ホルダに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記ターゲットは、当該ターゲットの表面が前記基板の成膜される前記表面に対し平行になるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記基板ホルダは、前記基板の表面の端部を押さえる基板押さえを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記基板ホルダは、前記基板の側面を遮蔽する基板側面マスクを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記基板ホルダは、当該基板ホルダに前記基板が着脱可能となるように前記基板側面マスクの一部が開閉可能に取付けられていることを特徴とする請求項6に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
複数枚の基板の表面に同時に成膜するスパッタリング方法であって、
所定の真空チャンバー内に前記基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットを配置し、
複数枚の前記基板を前記ターゲットに対向して配置するとともに、当該基板をそれぞれ保持する複数の基板ホルダが取り付けられた成膜トレーに対し、当該基板を所定の角度を有するように傾斜させ、
前記傾斜させた前記基板の前記表面に、前記ターゲットの表面からスパッタリングすることにより薄膜を成膜する
ことを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項9】
複数の前記基板ホルダにそれぞれ保持された前記基板は、当該基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように回転することを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項10】
前記基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なる際、重なる面積に比例するように当該基板の回転速度を増大させることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項11】
前記ターゲットは、当該ターゲットの表面が、前記基板の成膜される前記表面に対し、平行になるように配置されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項12】
前記基板は、当該基板の表面全体が成膜されるように当該基板の成膜される面の逆側の面が前記基板ホルダにより吸着されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項13】
前記基板ホルダは、前記基板の表面に所定のパターン又は模様を有する薄膜を形成するマスクを用いて当該基板を押さえることにより当該基板を保持することを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項14】
前記基板は、スパッタリングにより前記成膜トレーの表面に断続的に薄膜が積層されないように、当該基板の幅と少なくとも略同じ直径を有する基板ホルダにより保持されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項1】
複数枚の基板の表面に同時に成膜が可能なスパッタリング装置であって、
前記基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットと、
前記ターゲットと対向して配置される前記基板を保持可能に構成された基板ホルダと、
前記基板をそれぞれ保持する複数個の前記基板ホルダを取り付けた成膜トレーと、を有し、
前記基板は、当該基板が前記成膜トレーに対し所定の角度を有するように傾斜させて前記基板ホルダに取り付けられる
ことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記基板は、前記基板ホルダに保持されて回転する際に、当該基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが接触しないように、且つ所定の間隔を設けて重なるように、当該基板ホルダに保持されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記基板は、前記成膜トレーに対し少なくとも4°の角度を有するように傾斜させて前記基板ホルダに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記ターゲットは、当該ターゲットの表面が前記基板の成膜される前記表面に対し平行になるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記基板ホルダは、前記基板の表面の端部を押さえる基板押さえを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記基板ホルダは、前記基板の側面を遮蔽する基板側面マスクを有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記基板ホルダは、当該基板ホルダに前記基板が着脱可能となるように前記基板側面マスクの一部が開閉可能に取付けられていることを特徴とする請求項6に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
複数枚の基板の表面に同時に成膜するスパッタリング方法であって、
所定の真空チャンバー内に前記基板の表面に成膜される薄膜の材料から構成されたターゲットを配置し、
複数枚の前記基板を前記ターゲットに対向して配置するとともに、当該基板をそれぞれ保持する複数の基板ホルダが取り付けられた成膜トレーに対し、当該基板を所定の角度を有するように傾斜させ、
前記傾斜させた前記基板の前記表面に、前記ターゲットの表面からスパッタリングすることにより薄膜を成膜する
ことを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項9】
複数の前記基板ホルダにそれぞれ保持された前記基板は、当該基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが所定の間隔を設けて重なりつつ接触しないように回転することを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項10】
前記基板の端部と当該基板に隣接する他の基板の端部とが、所定の間隔を設けて重なる際、重なる面積に比例するように当該基板の回転速度を増大させることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項11】
前記ターゲットは、当該ターゲットの表面が、前記基板の成膜される前記表面に対し、平行になるように配置されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項12】
前記基板は、当該基板の表面全体が成膜されるように当該基板の成膜される面の逆側の面が前記基板ホルダにより吸着されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項13】
前記基板ホルダは、前記基板の表面に所定のパターン又は模様を有する薄膜を形成するマスクを用いて当該基板を押さえることにより当該基板を保持することを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【請求項14】
前記基板は、スパッタリングにより前記成膜トレーの表面に断続的に薄膜が積層されないように、当該基板の幅と少なくとも略同じ直径を有する基板ホルダにより保持されることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−167519(P2009−167519A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131079(P2008−131079)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]