説明

スピロ環状キナゾリン誘導体およびPDE7阻害剤としてのその使用

本発明は、m、n、X、R、A、B、RおよびRが明細書中に示す意味を持つ、式(I)の化合物、ならびにその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体およびプロドラッグを提供する。化合物はPDE7阻害剤であり、特に疼痛、特に神経因性疼痛の治療においていくつかの治療上の用途を有する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピロ環状誘導体、ならびにその調製方法、その調製に使用する中間体、そのような誘導体を含有する組成物およびその使用に関する。
【0002】
本発明のスピロ環状誘導体はPDE7阻害剤であり、特に疼痛、特に神経因性疼痛の治療においていくつかの治療上の用途を有する。
【背景技術】
【0003】
ホスホジエステラーゼ(PDE)とは、二次メッセンジャー分子cAMPおよびcGMPを対応する不活性の5’−一リン酸ヌクレオチドへと加水分解し、それによりその生理的レベルを制御するプロセスによって、様々な細胞シグナル伝達プロセスに影響を与える酵素のファミリーである。二次メッセンジャーcAMPおよびcGMPは、数々の細胞内プロセスの制御を担っている。少なくとも11個のPDEファミリーが存在し、一部(PDE3、4、7、8)はcAMPに特異的であり、他のものはcGMPに特異的である(PDE5、6、および9)。
【0004】
PDE7はPDEファミリーの1つのメンバーであり、2つのサブクラスメンバーPDE7AおよびBを含む。PDE7のmRNAは、T細胞関連障害などのいくつかの疾患の病因において重要であることが知られている、様々な組織および細胞種中で発現される。具体的には、PDE7Aおよびそのスプライシング変異体は、活性T細胞(L.Li、C.YeeおよびJ.A.Beavo、Science、(1999)、283、848〜851)およびBリンパ球(R.Lee、S.Wolda、E.Moon、J.Esselstyn、C.HertelおよびA.Lerner、Cell.Signal、(2002)、14、277〜284)、自己免疫疾患(L.Li他、上記)、ならびに気道疾患(S.J.Smith他、Am.J.Physiol.Lung.Cell.Mol.Physiol.、(2003)、284、L279〜L289)においてアップレギュレーションされている。したがって、PDE7の選択的阻害剤は、免疫抑制剤ならびに呼吸器の状態、たとえば、慢性閉塞性肺疾患および喘息の治療のどちらにおいても、幅広い用途を有することが予測される(N.A.Glavas、C.Ostenson、J.B.Schaefer、V.VastaおよびJ.A.Beavo、PNAS、(2001)、98、6319〜6324)。
【0005】
ラットでの研究により、PDE7AのmRNAは、神経細胞集団および非神経細胞集団のどちらにおいてもラット脳内に幅広く分布していると判明したことが示された。最高のレベルが嗅球、嗅結節、海馬、小脳、内側手綱核、松果体、最後野、および脈絡叢中で観察される。PDE7AのmRNAはまた、他の非脳組織中でも広く検出される。これらの結果は、PDE7Aが多くの脳機能においてcAMPシグナル伝達の制御に関与していることと矛盾がなく、PDE7Aが記憶、鬱病、および嘔吐に影響を与える場合があることを示唆している(X.Miro、S.Perez−Torres、J.M.Palacios、P.Puigdomenech、G.Mengod、Synapse、(2001)、40、201〜214)。アルツハイマー病との関連も示唆されている(S.Perez−Torres他、Experimental Neurology、(2003)182、322〜334)。さらに、PDE7は、受胎障害(WO01/83772)および白血病(R.Lee他、Cell Signalling、(2002)14、277〜284)の両方にも関連づけられている。
【0006】
PDE7Aは酵母(T.Michaeli他、J.Biol.Chem.、(1993)268、12925〜12932)、ヒト(P.Han、Z.XiaoyanおよびM.Tamar、J.Biol.Chem.、(1997)272、16152〜16157)、マウス(T.BloomおよびJ.A.Beavo、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、(1996)、93、14188〜14192)から単離されており、PDE7AレベルアップレギュレーションがヒトTリンパ球中で見られる(M.IchimuraおよびH.Kase、Biochem.Biophys.Res.Commun.、(1993)、193、985〜990)。
【0007】
PDE7ファミリーの第2のメンバーであるPDE7Bは、C末端触媒ドメインでPDE7Aと70%のアミノ酸相同性を共有する(N末端ドメインは、PDEファミリー全体にわたって保存されているリン酸化部位を含有する、制御ドメインである)。PDE7BはcAMP特異的であり、マウス(受託番号AJ251858)およびヒト(受託番号AJ251860)源からクローニングされている(C.Gardner、N.Robas、D.CawkillおよびM.Fidock、Biochem.Biophys.Res.Commun.、(2000)、272、186〜192)。これは、様々な組織、すなわち、脳の尾状核、被殻および後頭葉ならびに心臓の周辺、卵巣および下垂体、腎臓および肝臓、小腸および胸腺、さらには骨格筋、結腸、膀胱、子宮、前立腺、胃、副腎および甲状腺中で発現されることが示されている。PDE7Bはまた、いくつかの一般的なPDE阻害剤を区別することも示されている(J.M.Hetman、S.H.Soderling、N.A.GlavasおよびJ.A.Beavo、PNAS、(2000)、97、472〜476)。しかし、ザプリナスト、ロリプラムおよびミルリノンなどの多くの標準のPDE阻害剤は、PDE7Bを特異的に阻害しない。
【0008】
PDE7の阻害剤は、様々なPDE7関連疾患の治療におけるその使用が知られている。たとえば、WO02/074754は、式:
【0009】
【化1】

の化合物、およびT細胞関連疾患、自己免疫疾患、骨関節炎、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、癌、後天性免疫不全症候群、アレルギーまたは炎症性腸疾患などのPDE7関連障害の治療におけるその使用を記載している。
【0010】
WO2004/026818は、式:
【0011】
【化2】

の化合物、およびPDE7関連障害の治療におけるその使用を記載している。
【0012】
WO2006/092691は、神経因性疼痛の治療におけるPDE7阻害剤の使用を記載している。
【0013】
WO2007/063391として公開されている国際特許出願PCT/IB2006/003388号は、式:
【0014】
【化3】

の化合物、および疼痛を含めたPDE7関連障害の治療におけるその使用を記載している。
【0015】
PDE1アイソフォームは、脳、心筋細胞および血管平滑筋細胞中で発現される。PDE1の3つのサブタイプ、すなわち、PDE1A、PDE1B、およびPDE1Cは、すべてCa2+−カルモジリンで活性化され、ノルアドレナリンおよびアンジオテンシンなどの血管収縮剤によって活性化されることが知られている(Rybalkin他、環状GMPホスホジエステラーゼおよび平滑筋機能の制御(Cyclic GMP Phosphodiesterases and Regulation of Smooth Muscle Function)、Circulation Research、2003;93:280〜)。PDE1Cを含めたサブユニットのうちの任意のものの阻害は、内在性血管収縮剤によって誘発される血管緊張の増加を予防する可能性が高く、緊張性の活性系において、血管拡張、紅潮、および頻脈症をもたらし得る(Giembycz、Current Opinion in Pharmacology、5(3)、2005、238〜244)。非選択的PDE阻害による慢性血管拡張は心血管系の病変を誘発することが知られており、したがって、PDE1アイソフォームを超える選択性の増加は、心血管毒性の確率の低下をもたらす可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らは、驚くべきことに、WO02/074754の一般開示の範囲内に入るが、それ中に具体的に開示または例示されていない化合物の1つのクラスが、WO02/074754中に例示されている最も近い化合物と比較した場合に、PDE1C酵素よりもPDE7A酵素の阻害に対して予想外に優れた選択性を示すことを見出した。この増加した選択性は、患者において、最も近い従来技術の化合物よりも心血管毒性の確率の低下を示す化合物をもたらす可能性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、式(I)の化合物:
【0018】
【化4】

またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグを提供する
[式中、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1、2または3であり、
Xは、O、SまたはN−CNであり、
は、ハロゲンまたはCNであり、
Aは、単結合、CH、OまたはSであり、
Bは、単結合、CHまたはOCHであり、
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)、OH、(C1〜6)アルコキシ、(C1〜6)アルキルチオまたはCNであり、
は、以下の基(i)〜(x)から選択され:
【0019】
【化5】

Rは、Hまたは(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)であり、
R’は、(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)である]。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の文脈では、用語「アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含有する一価の直鎖または分枝鎖状の飽和炭化水素鎖を示す。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−エチルブチルおよび2,2−ジメチルブチルが含まれる。好ましいアルキル基は、(C1〜4)アルキル基、特にメチルおよびエチル、特にメチルである。
【0021】
記載した場合は、アルキル基は1〜3個のフッ素原子によって置換されていてよい。置換は、アルキル鎖上の任意の位置であってよい。好ましくは、そのようなフッ化アルキル基は、1〜4個の炭素原子、より好ましくは1または2個の炭素原子を有する。モノ−、ジ−およびトリフルオロメチル基(特にトリフルオロメチル)、ならびにモノ−、ジ−およびトリフルオロエチル基(特に2,2,2−トリフルオロエチル)が、特に好ましい。
【0022】
用語「アルコキシ」とは、「アルキル−O−」を示し、「アルキル」は、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかで、上記定義したとおりである。好ましいアルコキシ基は、(C1〜4)アルコキシ基、特にメトキシおよびエトキシである。
【0023】
用語「アルキルチオ」とは、「アルキル−S−」を示し、「アルキル」は、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかで、上記定義したとおりである。好ましいアルキルチオ基は、(C1〜4)アルキルチオ基、特にメチルチオおよびエチルチオである。
【0024】
用語「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを示す。好ましいハロゲン基は、フルオロおよびクロロである。
【0025】
好ましくは、mは、0または1、より好ましくは1である。
【0026】
好ましくは、nは、0または1、より好ましくは0である。
【0027】
好ましくは、Xは、OまたはN−CN、より好ましくはOである。
【0028】
好ましくは、Rは、FまたはCl、より好ましくはClである。
【0029】
好ましくは、Aは、単結合またはO、より好ましくはOである。
【0030】
B基がOCHである場合、酸素原子はベンゼン環と結合しており、メチレン基はR基と結合している。
【0031】
好ましくは、Bは単結合である。
【0032】
好ましくは、Rは、FまたはCl、より好ましくはFである。
【0033】
好ましくは、Rは、基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)、より好ましくは基(i)または(ii)、特に基(ii)である。
【0034】
一実施形態では、基−B−Rは、フェニル環の2位に存在する(A基の位置が1位である)。他の実施形態では、基−B−Rは、3位に存在する。さらなる実施形態では、基−B−Rは、4位に存在する。
【0035】
本発明の特に好ましい化合物には、式(I)中のそれぞれの変数が、それぞれの変数について適切および/または好ましい基から選択されるものが含まれる。本発明のさらにより好ましい化合物には、式(I)中のそれぞれの変数が、それぞれの変数についてより好ましいまたは最も好ましい基から選択されるものが含まれる。
【0036】
以下の化合物、ならびにその薬学的に許容できる塩、溶媒和物およびプロドラッグが好ましい。
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)]−2−フルオロ安息香酸;
3−(8’−クロロ−2−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル安息香酸;
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−4’−イル)]−2−フルオロ安息香酸;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−3−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
[3−(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)フェノキシ]酢酸;
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロ安息香酸;
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−オキシ}−3−フルオロ安息香酸;
3−クロロ−2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸;
3−クロロ−2−{(8’−フルオロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−クロロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロ−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド;
N−{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド;
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸;
{4−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸;
メチル 2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロベンゾエート。
【0037】
以下の化合物、ならびにその薬学的に許容できる塩、溶媒和物およびプロドラッグがより好ましい。
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−クロロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン。
【0038】
以下の化合物、ならびにその薬学的に許容できる塩、溶媒和物およびプロドラッグが最も好ましい。
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン。
【0039】
本発明は、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグと、薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む医薬組成物を、さらに含む。
【0040】
本発明は、医薬品として使用するための、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグをさらに含む。
【0041】
本発明は、PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態を治療するための医薬品の製造における、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグの使用をさらに含む。
【0042】
本発明は、PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態の治療で使用するための、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグをさらに含む。
【0043】
本発明は、有効量の、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグを投与することを含む、PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態の治療方法をさらに含む。
【0044】
PDE7阻害剤である式(I)の化合物は、様々な障害の治療に潜在的に有用である。疼痛、特に神経因性疼痛の治療が、好ましい使用である。
【0045】
生理学的疼痛は、外部環境からの潜在的に傷害性のある刺激の危険を警告するように設計されている重要な保護機構である。この系は、一次感覚ニューロンの特別なセットを介して作動し、末梢伝達機構を介した侵害刺激によって活性化される(総説には、Millan、Prog.Neurobiol.、(1999)、57、1〜164を参照)。これらの感覚線維は侵害受容器として知られており、特徴的に伝導速度の遅い、小さな直径の軸索である。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続期間および質をコードしており、また、その組織分布的に組織された脊髄への突出のおかげで、刺激の位置をコードしている。侵害受容器は、主にA−δ線維(ミエリン化)およびC線維(非ミエリン化)の2種類が存在する侵害受容性の神経線維上に見つかる。侵害受容器のインプットによって生じる活性は、後角内での複雑な処理の後に、直接または脳幹中継核を介して、基底腹側視床へ、その後、皮質へと伝達され、ここで疼痛感覚が生成される。
【0046】
疼痛は、一般に急性または慢性として分類し得る。急性疼痛は突然始まり、短命である(通常は12週間以下)。これは、通常は特定の傷害などの特定の原因に関連しており、多くの場合は鋭くかつ重度である。これは、手術、歯科的処置、挫傷または捻挫から生じる特定の傷害後に起こる場合がある種類の疼痛である。急性疼痛は、一般に、どのような持続性の心理学的応答ももたらさない。対照的に、慢性疼痛は長期的な疼痛であり、典型的には3カ月よりも長く持続し、顕著な心理学的および情動的な問題をもたらす。慢性疼痛の一般的な例は、神経因性疼痛(たとえば、有痛性の糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背部痛、頭痛、癌性疼痛、関節痛および慢性手術後疼痛である。
【0047】
疾患または外傷によって相当な傷害が体組織に起こった場合、侵害受容器の活性化の特徴が変更され、末梢的に、傷害周辺に局所的に、および侵害受容器が終結する場所で中枢的に感作が存在する。これらの作用は増大した疼痛感覚をもたらす。急性疼痛では、これらの機構は、修復プロセスが起こることをより良好に可能にし得る保護挙動の促進に有用な場合がある。通常の予測は、傷害が治癒した後に感受性が正常に戻ることである。しかし、多くの慢性疼痛状態では、過敏症が治癒プロセスよりもはるかに長く続き、これは、多くの場合神経系の傷害によるものである。この傷害は、多くの場合、適応不全および異常活性に関連する感覚神経線維の異常をもたらす(Woolf&Salter、Science、(2000)、288、1765〜1768)。
【0048】
患者の症状のうちで不快および異常な感受性が特色となっている場合に、臨床的疼痛が存在する。患者は相当に不均一である傾向にあり、様々な疼痛症状を提示し得る。そのような症状には、1)鈍い、灼けつく、または突き刺すようであり得る自発性疼痛、2)侵害刺激に対する誇張された疼痛応答(痛覚異常過敏)、および3)通常は無害の刺激によって生じる疼痛(異痛症−Meyer他、1994、Textbook of Pain、13〜44)が含まれる。様々な形態の急性および慢性疼痛患者が同様の症状を有し得るが、根底にある機構は異なる場合があり、したがって異なる治療戦略を要し得る。したがって、疼痛は、侵害受容性、炎症性および神経因性の疼痛を含めた、異なる病態生理学に従ったいくつかの異なるサブタイプに分類することもできる。
【0049】
侵害受容性疼痛は、組織傷害によって、または傷害を引き起こす潜在性を有する激烈な刺激によって誘発される。疼痛求心性神経は、傷害部位での侵害受容器による刺激の伝達によって活性化され、その終結レベルで脊髄中のニューロンを活性化させる。その後、これが脊髄路を上って脳までリレーされ、ここで疼痛が認知される(Meyer他、1994、Textbook of Pain、13〜44)。侵害受容器の活性化は2種類の求心性神経線維を活性化させる。ミエリン化A−δ線維は迅速に伝達し、鋭くかつ突き刺すような疼痛感覚を担っている一方で、非ミエリン化C線維はより遅い速度で伝達し、鈍いまたはうずくような疼痛を伝える。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞および急性膵炎からの疼痛、手術後疼痛(任意の種類の外科的処置に続く疼痛)、外傷後疼痛、腎仙痛、癌性疼痛ならびに背部痛の顕著な特長である。癌性疼痛は、腫瘍関連疼痛(たとえば、骨痛、頭痛、顔面痛もしくは内臓痛)または癌治療に関連する疼痛(たとえば、化学療法後症候群、慢性手術後疼痛症候群もしくは放射線後症候群)などの慢性疼痛であり得る。癌性疼痛はまた、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に応答して起こり得る。背部痛は、ヘルニア状態もしくは破裂した椎間板または腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋群もしくは後縦靱帯の異常が原因であり得る。背部痛は自然に回復し得るが、12週間を超えて持続する一部の患者では、これは慢性症状となり、著しく衰弱させる場合がある。
【0050】
神経因性疼痛は、現在、神経系の原発性の病変または機能不全によって開始または引き起こされる疼痛として定義されている。神経損傷は外傷および疾患によって引き起こされる場合があり、したがって、用語「神経因性疼痛」には、多様な病因論を有する多くの障害が包含される。これらには、それだけには限定されないが、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背部痛、癌神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中枢性卒中後痛ならびに慢性アルコール依存症、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄傷害、パーキンソン病、癲癇およびビタミン欠乏症に関連する疼痛が含まれる。神経因性疼痛は、保護的役割を持たないため、病理的である。多くの場合これは、最初の原因が消えたずいぶん後にも存在し、一般的に何年も持続し、患者の生活の質を顕著に低下させる(WoolfおよびMannion、Lancet、(1999)353、1959〜1964)。神経因性疼痛の症状は、同じ疾患を患っている患者間でさえも多くの場合異なっているため、治療が困難である(Woolf&Decosterd、Pain補遺、(1999)、6、S141〜S147;WoolfおよびMannion、上記)。それらには、連続的な場合がある自発性疼痛、ならびに痛覚異常過敏(侵害刺激に対する感受性の増加)および異痛症(通常は無害の刺激に対する感受性)などの発作性または異常によって誘発された疼痛が含まれる。
【0051】
炎症プロセスは、生化学的および細胞事象の複雑な系統であり、組織傷害または外来物質の存在に応答して活性化され、腫脹および疼痛をもたらす(LevineおよびTaiwo、1994、Textbook of Pain、45〜56)。関節痛が最も一般的な炎症性疼痛である。リウマチ様疾患が先進国における最も一般的な慢性炎症性状態の1つであり、関節リウマチが身体障害の一般的な原因である。関節リウマチの正確な病因論は知られていないが、現在の仮説では、遺伝学的および微生物学的因子がどちらも重要であり得ることが示唆されている(Grennan&Jayson、1994、Textbook of Pain、397〜407)。約1600万人の米国人が症候性骨関節炎(OA)または変形性関節疾患に罹患していると推定されている。そのうちのほとんどが60歳を超えており、これは集団の年齢が増加するにつれて4000万人まで増加すると予測されており、このことにより、これは非常に重大な公衆衛生の問題となっている(Houge&Mersfelder、Ann Pharmacother.、(2002)、36、679〜686;McCarthy他、1994、Textbook of Pain、387〜395)。骨関節炎患者のほとんどが、それに関連する疼痛のため、医学的治療を求めている。関節炎は、心理社会的および物理的機能に顕著な影響を与え、その後の生活における身体障害の主な原因として知られている。強直性脊椎炎も、脊髄および仙腸関節の関節炎を引き起こすリウマチ性疾患である。これは、一生を通じて起こる背部痛の間欠的なエピソードから、脊髄、末梢関節および他の身体器官を攻撃する重度の慢性疾患まで多様である。
【0052】
別の種類の炎症性疼痛は、炎症性腸疾患(IBD)に関連する疼痛が含まれる内臓痛である。内臓痛とは、腹腔の器官が包含される内臓に関連する疼痛である。これらの器官には、性器、脾臓および消化系の一部が含まれる。内臓に関連する疼痛は、消化内臓痛および非消化内臓痛に分けることができる。疼痛を引き起こす一般的に遭遇する胃腸管系(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。これらのGI障害には、FBDに関しては胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)、ならびにIBDに関してはクローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎を含めた、現在では中等度にしか制御されていない広範囲の病状が含まれ、これらはすべて、定期的に内臓痛を生じる。他の種類の内臓痛には、月経困難症、膀胱炎および膵炎に関連する疼痛ならびに骨盤痛が含まれる。
【0053】
一部の種類の疼痛は複数の病因論を持ち、したがって複数の領域に分類することができることに注意されたい。たとえば、背部痛および癌性疼痛は、侵害受容性および神経因性の要因をどちらも有する。
【0054】
他の種類の疼痛には、
・筋痛、線維筋痛症、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎および化膿性筋炎を含めた、筋骨格障害から生じる疼痛、
・狭心症、心筋梗塞、増帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症および骨格筋虚血によって引き起こされる疼痛を含めた、心臓および血管の疼痛、
・偏頭痛(前兆ありの偏頭痛および前兆なしの偏頭痛を含む)、群発頭痛、緊張型頭痛、混合性頭痛ならびに血管障害に関連する頭痛などの頭痛、
・歯痛、耳痛、口腔内灼熱症候群および側頭下顎筋筋膜痛を含めた口腔顔面痛
が含まれる。
【0055】
本発明の式(I)の化合物はまた、疼痛以外の状態の治療にも有用である。具体的には、本発明の式(I)の化合物は、T細胞関連疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アレルギーおよび炎症性腸疾患の治療に有用である。
【0056】
本発明は、疼痛(特に神経因性疼痛)、T細胞関連疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アレルギーおよび炎症性腸疾患から選択される状態または障害を治療する医薬品の製造における、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用をさらに含む。
【0057】
本発明はまた、疼痛(特に神経因性疼痛)、T細胞関連疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アレルギーおよび炎症性腸疾患から選択される状態または障害の治療で使用するための、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグも含む。
【0058】
本発明はさらに、有効量の、その最も広範な態様または好ましい態様のどちらかの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを投与することを含む、疼痛(特に神経因性疼痛)、T細胞関連疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アレルギーまたは炎症性腸疾患から選択される疾患または状態の治療方法を含む。
【0059】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基塩が含まれる。
【0060】
適切な酸付加塩は、無毒性の塩を形成する酸から形成する。例には、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸、炭酸水素/炭酸、硫酸水素/硫酸、ホウ酸、カンシラート、クエン酸、シクラミン酸、エジシル酸、エシレート、ギ酸、フマル酸、グルセプテート、グルコン酸、グルクロン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヒベンズ酸、塩酸/塩化物、臭化水素酸/臭化物、ヨウ化水素酸/ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メシル酸、メチル硫酸、ナフチル酸、2−ナプシル酸、ニコチン酸、硝酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸/リン酸水素/リン酸二水素、ピログルタミン酸、サッカリン酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸およびキシノホ酸の塩が含まれる。
【0061】
適切な塩基塩は、無毒性の塩を形成する塩基から形成する。例には、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オーラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩が含まれる。
【0062】
酸および塩基のヘミ塩、たとえば、ヘミ硫酸およびヘミカルシウム塩も形成し得る。
【0063】
適切な塩の総説には、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、StahlおよびWermuth(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。
【0064】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、3つの方法のうちの1つまたは複数によって調製し得る。
(i)式(I)の化合物を所望の酸または塩基と反応させることによる方法、
(ii)酸または塩基不安定性の保護基を式(I)の化合物の適切な前駆体から除去すること、または所望の酸もしくは塩基を用いて、適切な環状前駆体、たとえば、ラクトンまたはラクタムを開環させることによる方法、または
(iii)適切な酸もしくは塩基と反応させることによって、または適切なイオン交換カラムによって、式(I)の化合物の1つの塩を別の塩に変換することによる方法。
【0065】
3つの反応はすべて、典型的には溶液中で実施される。生じた塩が沈殿する場合があり、濾過によって収集するか、または溶媒の蒸発によって回収し得る。生じた塩のイオン化の度合は、完全にイオン化状態からほとんど非イオン化状態まで、変動し得る。
【0066】
本発明の化合物は、完全に非晶質から完全に結晶性の範囲の固体状態の連続体で存在し得る。用語「非晶質」とは、物質が分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に応じて固体または液体の物理特性を示し得る状態をいう。典型的には、そのような物質は特有のX線回折パターンを与えず、固体の特性を示す一方で、より正式には液体として記載される。加熱した際、固体から液体への特性の変化が起こり、これは、典型的には二次の状態の変化によって特徴づけられる(「ガラス転移」)。用語「結晶性」とは、物質が分子レベルで規則的な秩序の内部構造を有し、明確なピークを有する特有のX線回折パターンを与える固相である。そのような物質も、十分に加熱した際は液体の特性を示すが、固体から液体への変化は、典型的には一次の相変化によって特徴づけられる(「融点」)。
【0067】
本発明の化合物はまた、非溶媒和および溶媒和の形態でも存在し得る。本明細書中で使用する用語「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つまたは複数の薬学的に許容できる溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子複合体を記載する。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いる。本発明は非溶媒和物およびすべての溶媒和物を包含する。
【0068】
現在受け入れられている有機水和物の分類系は、単離部位、チャネル、または金属イオン配位の水和物を定義するものである。製薬固体における多型性(Polymorphism in Pharmaceutical Solids)、K.R.Morris(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。単離部位水和物とは、水分子が、介在有機分子によって互いとの直接接触から単離されているものである。チャネル水和物では、水分子が格子状チャネルで、他の水分子の隣に配置されている。金属イオン配合水和物では、水分子が金属イオンと結合している。
【0069】
溶媒または水が密に結合している場合、複合体は湿度とは無関係に明確に定義された化学量論を有する。しかし、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物の場合のように、溶媒または水が弱く結合している場合は、水/溶媒含有量は湿度および乾燥条件に依存する。そのような、非化学量論が標準となる。
【0070】
本明細書中以降、式(I)の化合物へのすべての言及には、その塩および溶媒和物ならびにその塩の溶媒和物への言及が含まれる。
【0071】
本発明の化合物には、すべてのその多型体および晶癖を含めた、本明細書中で上に定義した式(I)の化合物、本明細書中で以下に定義するそのプロドラッグおよび異性体(光学的異性体、幾何学的異性体および互変異性体を含む)、ならびに同位体標識した式(I)の化合物が含まれる。
【0072】
示したように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。したがって、それ自体ではわずかな薬理活性しか有さないまたは薬理活性を有さない場合がある式(I)の化合物の特定の誘導体は、身体内または身体上に投与した場合に、たとえば加水分解切断によって、所望の活性を有する式(I)の化合物へと変換されることができる。そのような誘導体は「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、新規送達系としてのプロドラッグ(Pro−drugs as Novel Delivery Systems)、第14巻、ACSシンポジウムシリーズ(ACS Symposium Series)(T.HiguchiおよびW.Stella)ならびに薬物設計における生体可逆的担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)中に見つけ得る。
【0073】
本発明によるプロドラッグは、たとえば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、当業者に「プロ部分」として知られる特定の部分で置き換えることによって生成することができ、たとえば、プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)、H.Bundgaard(Elsevier、1985)に記載されている。
【0074】
本発明の式(I)の化合物は、カルボン酸官能基(−COOH)を含有する。したがって、適切なプロドラッグは、そのエステルを含み、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素がエステル残基で置き換えられている。用語「エステル残基」とは、加水分解などの生物学的方法によってin vivoで切断されて、遊離カルボン酸基を有する式(I)の化合物またはその塩を形成することができる、エステル基を意味する。
【0075】
化合物がそのようなプロドラッグであるかどうかは、たとえば、それをラットまたはマウスなどの実験動物内に静脈内注射によって投与し、その後、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩を検出できるかどうかを決定するために動物の体液を調査することによって、決定することができる。
【0076】
エステル残基の好ましい例には、以下のものが含まれる:
直鎖または分枝鎖のアルキル基であり得るC1〜20アルキル基、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシルおよびイコサニル、特にC1〜12アルキル基、好ましくはC1〜8アルキル基、より好ましくはC1〜6アルキル基、最も好ましくはC1〜4アルキル基、たとえば上に定義および例示したもの、
1〜10ハロアルキル基(1つまたは複数のハロゲン原子、好ましくはフッ素または塩素原子、より好ましくはフッ素原子によって置換されたアルキル基と定義される)、好ましくはC1〜8ハロアルキル基、より好ましくはC1〜6ハロアルキル基、最も好ましくはC1〜4ハロアルキル基、たとえば、モノ−、ジ−またはトリフルオロメチル、モノ−、ジ−またはトリクロロメチル、ブロモメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロエチル、2,2−ジクロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロプロピルおよびペルフルオロブチル、
1〜10ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ(−OH)基によって置換されたアルキル基と定義される)、好ましくはC1〜8ヒドロキシアルキル基、より好ましくはC1〜6ヒドロキシアルキル基、最も好ましくはC1〜4ヒドロキシアルキル基、たとえば、ヒドロキシメチル、1−または2−ヒドロキシエチル、1−、2−または3−ヒドロキシプロピル、および1−、2−、3−または4−ヒドロキシブチル、
(C1〜10アルコキシ)C1〜10アルキル基(アルコキシ基によって置換されたアルキル基と定義される)、好ましくは(C1〜6アルコキシ)C1〜6アルキル基、より好ましくは(C1〜4アルコキシ)C1〜4アルキル基、最も好ましくは(C1〜4アルコキシ)メチル基、たとえば、メトキシメチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチルおよびt−ブトキシメチル基、
1〜6アルコキシル化(C1〜6アルコキシ)メチル基、たとえば2−メトキシエトキシメチル基、
ハロ(C1〜6アルコキシ)メチル基、たとえば、2,2,2−トリクロロエトキシメチルおよびビス(2−クロロエトキシ)メチル基、
3〜8シクロアルキル基、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基、
アラルキル基、たとえば、1〜3個のC6〜14アリール基[式中、アリール部分は、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルから選択される]によって置換されたC1〜6アルキル基、たとえば、ベンジル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチルおよび9−アントリルメチル基、ならびに、アリール基のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数(好ましくは1〜3個、より好ましくは1個のみ)のC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ニトロ、ハロゲンまたはシアノ置換基によって置換された、1〜3個の置換C6〜14アリール基によって置換されたC1〜6アルキル基、たとえば、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,4,5−トリメチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルジフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジルおよび4−シアノベンジル基、特にベンジル基、
テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロチオピラニル基が、ハロおよびC1〜6アルコキシから選択される置換基で置換されていてもよい、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロチオピラニル基、たとえば、テトラヒドロピラン−2−イル、3−ブロモテトラヒドロピラン−2−イル、4−メトキシ−テトラヒドロピラン−4−イル、テトラヒドロチオピラン−2−イル、および4−メトキシ−テトラヒドロチオピラン−4−イル基、
テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロチオフラニル基が、ハロおよびC1〜6アルコキシから選択される置換基で置換されていてもよい、テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロチオフラニル基、たとえば、テトラヒドロフラン−2−イルおよびテトラヒドロチオフラン−2−イル基、
2〜10アルケニル基、たとえば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネイルおよびデセニル基、
2〜10アルキニル基、たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニルおよびデシニル基。
【0077】
前述の例に従った置換基のさらなる例および他のプロドラッグ種の例は、前述の参考文献中に見つけ得る。
【0078】
さらに、式(I)の特定の化合物は、それ自体が式(I)の他の化合物のプロドラッグとして作用し得る。
【0079】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ以上の立体異性体として存在することができる。構造異性体が低エネルギー障壁によって相互転換できる場合、互変異性の異性(「互変異性」)が起こる場合がある。これは、環状尿素、チオ尿素もしくはシアノグアニジン基を含有する式(I)の化合物中でプロトン互変異性の形態、または芳香族部分を含有する化合物中でいわゆる原子価互変異性の形態をとることができる。その結果、単一の化合物が複数種類の異性を示し得る。
【0080】
本発明の範囲内には、複数種の異性を示す化合物を含めた式(I)の化合物のすべての立体異性体、ジアステレオアイソマー(特にシス/トランス異性体)および互変異性体、ならびにその1つまたは複数の混合物が含まれる。また、酸対イオンが光学的に活性のある付加または塩基塩、たとえば、d−乳酸もしくはl−リシン、またはラセミ体、たとえば、dl−酒石酸もしくはdl−アルギニンも含まれる。
【0081】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の慣用技術、たとえば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化によって分離し得る。
【0082】
個々の鏡像異性体を調製/単離する慣用技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、たとえばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた、ラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0083】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性のある化合物、たとえばアルコールと、または、式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合は、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させ得る。生じたジアステレオマー混合物をクロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって分離し、当業者に周知の手段によってジアステレオアイソマーのうちの一方または双方を対応する純粋な鏡像異性体に変換し得る。
【0084】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、鏡像異性的に濃縮された形態で、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、不斉樹脂上で、0〜50体積%のイソプロパノール、典型的には2%〜20%、および0〜5体積%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いて、得られ得る。溶出液の濃縮により、濃縮された混合物が得られる。
【0085】
任意のラセミ体が結晶化する際、2つの異なる種類の結晶が可能である。第1の種類は、上述のラセミ化合物(真のラセミ体)であり、両方の鏡像異性体を当モル量で含有する1つの均一な結晶形態が生成される。第2の種類は、それぞれが単一の鏡像異性体を含む2つの結晶形態が当モル量で生成される、ラセミ混合物または集合体である。
【0086】
ラセミ混合物中に存在する結晶形はどちらも同じ物理特性を有するが、これらは真のラセミ体と比較して異なる物理特性を有し得る。ラセミ混合物は、当業者に知られている慣用技術によって分離し得る。たとえば、有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)、E.L.ElielおよびS.H.Wilen(Wiley、1994)を参照されたい。
【0087】
本発明には、1つまたは複数の原子が、同じ原子番号を有するが自然で優勢の原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられている、式(I)のすべての薬学的に許容できる同位体標識した化合物が含まれる。
【0088】
本発明の化合物中に包接させるために適した同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0089】
式(I)の特定の同位体標識した化合物、たとえば放射性同位体を含むものは、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cが、その取り込みの容易さおよび素早い検出手段の観点から、この目的のために特に有用である。
【0090】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、たとえば、in vivo半減期の増加または必要用量の低下によりもたらされる特定の治療上の利点を与える場合があり、したがって、一部の状況では好ましい場合がある。
【0091】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、基質受容体占有率を検査するための陽電子放射組織分布(PET)研究で有用な場合がある。
【0092】
式(I)の同位体標識した化合物は、一般に、当業者に知られている慣用技術によって、または添付の実施例および調製物に記載のものと類似の方法によって、以前に用いた標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識した試薬を使用して、調製することができる。
【0093】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒を同位体的に置換し得るもの、たとえば、DO、d−アセトン、d−DMSOが含まれる。
【0094】
上記定義した式(I)の中間体化合物、式(I)の化合物について本明細書中に上記定義したそのすべての塩、溶媒和物および複合体ならびにその塩のすべての溶媒和物および複合体も、本発明の範囲内にある。本発明には、前述の種のすべての多型体およびその晶癖が含まれる。
【0095】
本発明に従って式(I)の化合物を調製する際、この目的のために最良の特長の組合せをもたらす式(I)の化合物の形態をルーチン的に選択することは、当業者の自由である。そのような特長には、融点、溶解度、加工性および中間体の収率、ならびに、それによりもたらされる、単離の際に生成物を精製し得る容易性が含まれる。
【0096】
式(I)の化合物は、提案された適応症の治療に最も適切な剤形および投与経路を選択するために、溶解度および溶液安定性(pHを横断して)、透過性などの、その生物薬剤特性について評価すべきである。
【0097】
製薬上の使用を意図する本発明の化合物は、結晶性または非晶質の生成物として投与し得る。これらは、たとえば、固体プラグ、散剤、またはフィルムとして、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法によって得られ得る。マイクロ波または高周波乾燥をこの目的のために使用し得る。
【0098】
これらは、単独で、または本発明の1つもしくは複数の他の化合物と組み合わせて、または1つもしくは複数の他の薬物と組み合わせて(またはその任意の組合せとして)投与し得る。一般に、これらは、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤と合わせた製剤として投与し得る。本明細書中で使用する用語「賦形剤」とは、本発明の化合物以外の任意の成分を記載する。賦形剤の選択は、大体において、特定の投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要素に依存する。
【0099】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびその調製方法は、当業者に容易に明らかであろう。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見つけ得る。
【0100】
経口投与
本発明の化合物は経口投与し得る。経口投与には、化合物が胃腸管内に入るように嚥下、および/または化合物が口から血流に直接入る頬側、経舌、もしくは舌下投与を含み得る。
【0101】
経口投与に適した製剤には、錠剤、多粒子もしくはナノ粒子、液剤、または散剤を含有する軟および硬カプセル、ロゼンジ(液剤を満たしたものを含む)、咀嚼錠、ゲル、急速分散剤形、フィルム、膣坐薬、スプレー、および頬側/粘膜接着パッチなどの、固体、半固体および液体系が含まれる。
【0102】
液体製剤には、懸濁液、液剤、シロップおよびエリキシルが含まれる。そのような製剤は、軟または硬カプセル(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作製)中で充填剤として用いてもよく、典型的には、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油状物、ならびに1つまたは複数の乳化剤および/または懸濁剤を含む。液体製剤はまた、固体の再構成によって、たとえばサシェからも調製し得る。
【0103】
本発明の化合物はまた、治療特許の専門意見(Expert Opinion in Therapeutic Patents)、11(6)、981〜986、LiangおよびChen(2001)などに記載されているように、速溶性の速崩壊性の剤形中でも使用し得る。
【0104】
錠剤剤形には、用量に応じて、薬物は剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を構成し得る。薬物に加えて、錠剤は、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、グリコール酸ナトリウムデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、結晶セルロース、低級アルキルで置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を構成する。
【0105】
結合剤は一般に、錠剤製剤に接着性質を与えるために使用する。適切な結合剤には、結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、結晶セルロース、デンプンおよび二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有し得る。
【0106】
錠剤はまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合は、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を構成してもよく、流動促進剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を構成してもよい。
【0107】
錠剤はまた、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの潤滑剤も含有する。潤滑剤は、一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を構成する。
【0108】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味料、保存料および味マスキング剤が含まれる。
【0109】
例示的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の潤滑剤を含有する。
【0110】
錠剤混合物は、直接圧縮するか、ローラーによって錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤混合物または混合物の一部は、錠剤化の前に湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝結、または押出し加工し得る。最終製剤は1つまたは複数の層を含んでいてもよく、コーティングされていてもされていなくてもよく、さらにはカプセル封入されていてもよい。
【0111】
錠剤の製剤化は、製薬剤形:錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets)、第1巻、H.LiebermanおよびL.Lachman(Marcel Dekker、New York、1980)に記載されている。
【0112】
ヒトまたは獣医学的使用のための摂取可能な経口フィルムは、典型的には、速溶性または粘膜接着であり得る柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、典型的には、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定化剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤の一部の構成要素は複数の機能を果たし得る。
【0113】
式(I)の化合物は、水溶性または不溶性であり得る。水溶性の化合物は、典型的には、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には20重量%〜50重量%を構成する。可溶性のより低い化合物は、組成物のより高い割合、典型的には溶質の88重量%までを構成し得る。あるいは、式(I)の化合物は、多粒子ビーズの形態であり得る。
【0114】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖類、タンパク質、または合成ヒドロコロイドから選択されてもよく、典型的には0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0115】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色料、香味料および香味増強剤、保存料、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、軟化剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤および味マスキング剤が含まれる。
【0116】
本発明によるフィルムは、典型的には、剥離可能な裏当ての支持体または紙上にコーティングした薄い水性フィルムの蒸発乾燥によって調製する。これは、乾燥オーブンもしくはトンネル、典型的には複合コーティング乾燥機中で、または凍結乾燥もしくは真空化によって行い得る。
【0117】
経口投与のための固体製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラミング放出が含まれる。
【0118】
本発明の目的のために適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散ならびに浸透およびコーティング粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、オンライン版製薬技術(Pharmaceutical Technology On−line)、25(2)、1〜14、Verma他(2001)中に見つかるであろう。徐放性を達成するためのチューイングガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0119】
非経口投与
本発明の化合物はまた、血流内に直接、筋肉内、または内臓内にも投与し得る。非経口投与の適切な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液内および皮下が含まれる。非経口投与の適切な装置には、針(微小針を含む)注射器、無針注射器およびインフュージョン技術が含まれる。
【0120】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3〜9まで)などの賦形剤を含有し得る水溶液であるが、一部の用途には、無菌的な、発熱物質を含まない水などの適切なビヒクルと併せて使用する無菌的な非水溶液または乾燥形態として、より適切に製剤化し得る。
【0121】
無菌的条件下での、たとえば凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準の製薬技術を用いて容易に達成し得る。
【0122】
非経口液剤の調製に使用する式(I)の化合物の溶解度は、溶解度増強剤の取り込みなどの適切な製剤化技術を使用することによって増加させ得る。
【0123】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラミング放出が含まれる。したがって、本発明の化合物は、活性化合物の調節放出をもたらす植込み型デポーとして投与するための、懸濁液として、または固体、半固体、もしくはチキソトロピー液体として製剤化し得る。そのような製剤の例には、薬物でコーティングしたステントならびに薬物をロードしたポリ(dl−乳酸−コグリコール)酸(PGLA)のミクロスフェアを含む半固体および懸濁液が含まれる。
【0124】
局所投与
本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜に局所的、真皮(内)、または経皮的に投与し得る。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉散剤、包帯材、泡沫、フィルム、皮膚パッチ、ウエファー、植込錠、スポンジ、線維、絆創膏およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームも使用し得る。典型的な担体には、アルコール、水、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。浸透増強剤を取り込ませてもよい。たとえば、J Pharm Sci、88(10)、955〜958、FinninおよびMorgan(1999年10月)を参照されたい。
【0125】
局所投与の他の手段には、電気穿孔、イオン泳動、音波泳動、超音波療法および微小針または無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0126】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラミング放出が含まれる。
【0127】
吸入/鼻腔内投与
本発明の化合物はまた、鼻腔内または吸入によって、典型的には乾燥散剤の形態で(単独で、混合物、たとえばラクトースとの乾燥混合物中で、もしくは混合成分粒子として、たとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)、ドライパウダー吸入器から、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは霧状ミストを生じるために電気流体力学を使用するアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴霧剤を使用してもしくは使用せずに、または経鼻液滴として、投与することもできる。鼻腔内使用には、散剤は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0128】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、溶媒としてエタノール、エタノール水溶液、または活性成分を分散、可溶化、もしくは放出延長させるための適切な代替物質、噴霧剤(複数可)、およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む、本発明の化合物(複数可)の溶液または懸濁液を含有する。
【0129】
乾燥散剤または懸濁液の製剤で使用する前に、薬物生成物を、吸入による送達に適した大きさに微粒子化する(典型的には5ミクロン未満)。これは、スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体加工、高圧ホモジナイゼーション、または噴霧乾燥などの、任意の適切な粉砕方法によって達成し得る。
【0130】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作製)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基材およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調整剤の散剤混合物を含有するように製剤化し得る。ラクトースは、無水物または一水和物の形態であってよく、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0131】
霧状ミストを生じるために電気流体力学を使用するアトマイザーで用いるための適切な溶液製剤は、1回の作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してもよく、作動体積は1μl〜100μlで変動し得る。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用し得る代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0132】
メントールおよびレボメントールなどの適切な香味料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/鼻腔内投与を意図する本発明の製剤に添加し得る。
【0133】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、たとえばPGLAを用いて、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラミング放出が含まれる。
【0134】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、たとえば、坐薬、膣坐薬、または浣腸の形態で、直腸または経膣投与し得る。カカオ脂が伝統的な坐薬基剤であるが、様々な代替物質を必要に応じて使用し得る。
【0135】
直腸/経膣投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラミング放出が含まれる。
【0136】
眼/耳投与
本発明の化合物はまた、典型的には等張のpH調節した無菌的生理食塩水中の微粒子化した懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与し得る。眼および耳の投与に適した他の製剤には、軟膏、ゲル、生分解性(たとえば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえばシリコン)の植込錠、ウエファー、レンズならびにニオソームまたはリポソームなどの粒子または小胞系が含まれる。架橋結合したポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存料と一緒に取り込ませ得る。そのような製剤はまた、イオン泳動によっても送達し得る。
【0137】
眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化またはプログラミング放出が含まれる。
【0138】
他の技術
本発明の化合物は、前述の投与様式のうちの任意のもので使用するためにその溶解度、溶解速度、味マスキング、生体利用度および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性の巨大分子の実体と組み合わせ得る。
【0139】
たとえば、薬物−シクロデキストリンの複合体は、ほとんどの剤形および投与経路に一般に有用であることが判明している。包接および非包接の複合体をどちらも使用し得る。薬物との直接複合体化の代替方法として、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち、担体、希釈剤、または可溶化剤として使用し得る。これらの目的のために最も一般的に使用されているのはα−、β−およびγ−シクロデキストリンであり、その例は、WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148中に見つけ得る。
【0140】
部品キット
たとえば特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合があるため、その少なくとも1つが本発明による化合物を含有する2つ以上の医薬組成物を、組成物の同時投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせ得ることは、本発明の範囲内にある。
【0141】
したがって、本発明のキットは、その少なくとも1つが本発明による式(I)の化合物を含有する2つ以上の別々の医薬組成物と、容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持する手段とを含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセルなどのパッケージングに使用される見慣れたブリスターパックである。
【0142】
本発明のキットは、異なる剤形、たとえば経口および非経口のものを投与するため、別々の組成物を異なる投薬間隔で投与するため、または別々の組成物を互いに滴定するために、特に適している。コンプライアンスを支援するために、キットは、典型的には投与の指示書を含み、いわゆる記憶補助を提供し得る。
【0143】
用量
ヒト患者への投与には、本発明の化合物の合計1日用量は、もちろん投与様式に依存するが、典型的には0.1mg〜1000mgの範囲である。たとえば、経口投与は1mg〜1000mgの合計1日用量を必要とする一方で、静脈内用量は1mg〜1000mgを必要とし得る。合計1日用量は、単一または分割した用量で投与してよく、医師の裁量で、本明細書中で与えた典型的な範囲外であり得る。
【0144】
これらの用量は、約60kg〜70kgの体重の平均的なヒト対象に基づいている。医師は、乳児および高齢者などの、体重がこの範囲外にある対象の用量を容易に決定できるであろう。
【0145】
疑念を回避するために、本明細書中で言及する「治療」には、治癒的、対症的および予防的処置への言及が含まれる。
【0146】
すべての式(I)の化合物は、以下に記載の一般方法に記載の手順によって、または実施例セクションおよび調製物セクションに記載の具体的な方法によって、またはそのルーチン的な変形によって、調製することができる。本発明にはまた、式(I)の化合物を調製するためのこれらの方法のうちの任意の1つまたは複数、およびそれ中で使用する任意の新規中間体も包含される。
【0147】
一般方法
以下の略記を使用する。
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
THF=テトラヒドロフラン
NMP=N−メチル−2−ピロリジノン
DMA=N,N−ジメチルアセトアミド
DCM=ジクロロメタン
EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド
CDI=1,1’−カルボニルジイミダゾール
TEMPO=2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド
【0148】
AがOであり、Bが単結合であり、Rが(ii)である式(I)の化合物である式(Ia’)の化合物は、以下のスキーム1に示すように調製し得る。
【0149】
【化6】

【0150】
式(Ia’)の化合物は、化合物(IIIa)を、酸化ジブチルスズなどの触媒の存在下でトリメチルシリルアジドなどのアジドと、またはアジ化ナトリウムおよびトリエチルアミンと、トルエンなどの適切な溶媒中で反応させることによって、調製し得る。
【0151】
好ましい条件は、トルエン中の化合物(IIIa)、2当量のトリメチルシリルアジドおよび0.1当量の酸化ジブチルスズ、80℃で5日間、24時間毎にさらなるトリメチルシリルアジドおよび酸化ジブチルスズを添加することである。
【0152】
式(IIIa)の化合物は、以下のスキーム2に示すように調製し得る。
【0153】
【化7】

【0154】
式(IIIa)の化合物は、LGがハロゲンなどの適切な脱離基である式(II)の化合物、および式(IV)のヒドロキシ化合物から、適切な溶媒(たとえば、DMF、DMSO)中で、5〜24時間、適切な塩基(たとえば、CsCO、KCO)の存在下、50〜120℃で、調製し得る。
【0155】
好ましい条件は、DMF中の1当量の化合物(IV)、1.1当量の化合物(II)、1.2当量のCsCO、80℃で24時間である。
【0156】
式(IV)の化合物は、一般にWO02/074754に記載されている。XがOであり、mが1であり、RがClである具体的な式(IV)の化合物は、Bioorg.Med.Chem.Lett.、(2004)、14(18)、4627〜32に記載のように調製し得る。
【0157】
式(II)の化合物は、購入するか、または当業者に知られている方法に従って入手可能である。
【0158】
Bが単結合であり、Rが(ii)である式(I)の化合物である式(Ia)の化合物はまた、式(III)の化合物から、スキーム3に示す2段階プロセスで調製し得る。
【0159】
【化8】

【0160】
式(III)の化合物は、一般にWO02/074754に記載されている。AがOである式(III)の化合物はまた、上記スキーム2に示すように調製し得る。Aが単結合である式(III)の化合物、すなわち、RがCNである式(X)の化合物は、以下のスキーム7に示すように調製し得る。
【0161】
ステップ(a):式(V)の化合物は、式(III)の化合物を、ヒドラジン水和物と、50〜80℃で4〜18時間、任意選択で五硫化リンの存在下で、DMF、DMAまたはNMPなどの溶媒中で反応させることによって、調製し得る。
【0162】
好ましい条件は、DMF中の1当量の化合物(III)、2当量のヒドラジン水和物、0.05当量の五硫化リン、70℃で18時間である。
【0163】
ステップ(b):式(Ia)の化合物は、式(V)の化合物と、ナイトライト(無機、たとえば亜硝酸ナトリウム、または有機、たとえば亜硝酸tert−ブチルであり得る)と、酢酸などの適切な溶媒中で反応させることによって、調製し得る。
【0164】
好ましい条件は、酢酸中の1当量の式(III)の化合物、1.2当量の亜硝酸ナトリウム水溶液を室温で30分間かけて注意深く添加することである。
【0165】
あるいは、式(Ia)の化合物は、スキーム4に示す3段階プロセスで調製し得る。
【0166】
【化9】

【0167】
スキーム4では、Rは(C1〜6)アルキルである。
【0168】
ステップ(a):式(III)の化合物を、塩基性または酸性条件下、たとえば塩酸水溶液もしくは硫酸を用いて、1,4−ジオキサン、酢酸もしくはエタノールなどの適切な溶媒中で、またはリチウムもしくは水酸化ナトリウムなどの塩基水溶液を用いて、1,4−ジオキサンもしくはエタノールなどの適切な共溶媒を用いて、90〜120℃で6〜24時間、加水分解し得る。
【0169】
好ましい条件は、3:1の濃硫酸:水に懸濁させた化合物(III)、100℃で18時間である。
【0170】
ステップ(b):化合物(VI)を、LGが脱離基(たとえば、ハロゲン、(C1〜6)アルキル−、ベンゼン−もしくはp−トルエンスルホニルオキシ、またはジ(C1〜6)アルキルエーテル)である式R−LGの化合物、たとえば、トリ(C1〜6)アルキルオキソニウム塩、(C1〜6)ハロゲン化アルキルまたは(C1〜6)アルキルp−トルエンスルホネートを用いて、カリウムまたは炭酸セシウムなどの適切な塩基の存在下、ジクロロメタンまたはDMFなどの溶媒中、2〜24時間アルキル化して、式(VII)のイミデートが得られ、これは、単離せずにステップ(c)で直接使用した。
【0171】
好ましい条件は、ジクロロメタン中の1当量の式(VI)の化合物、1.05当量のトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート、18時間である。
【0172】
ステップ(c):式(V)の化合物は、中間体化合物(VII)を、ヒドラジンまたはその塩を用いて、メタノールまたはピリジンなどの溶媒中、室温で1〜18時間、処理することによって調製し得る。
【0173】
好ましい条件は、メタノール中の1当量の式(VII)の化合物、3当量のヒドラジン水和物、2時間である。
【0174】
ステップ(d):式(Ia)の化合物は、化合物(V)を、ナイトライト(無機、たとえば亜硝酸ナトリウム、または有機、たとえば亜硝酸tert−ブチルであり得る)と、スキーム3のステップ(b)と類似の条件下で反応させることによって、調製し得る。
【0175】
好ましい条件は、酢酸中の1当量の式(III)の化合物、1.2当量の亜硝酸ナトリウム水溶液を室温で30分間かけて注意深く添加することである。
【0176】
スキーム4の変形では、式(VII)の化合物は、式(III)の化合物から、式ROHのアルコール、たとえば、メタノールまたはエタノールを用いて、臭化水素もしくは塩化水素などの酸またはカリウムt−ブトキシドもしくはナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下、0℃〜室温で6〜24時間、処理することによって、直接調製し得る。
【0177】
好ましい条件は、気体塩化水素を飽和させたメタノール中の式(III)の化合物、0℃、24時間かけて室温まで温めることである。
【0178】
が(i)である式(I)の化合物である式(Ib)の化合物は、以下のスキーム5に示すように調製し得る。
【0179】
【化10】

【0180】
式(Ib)の化合物は、式(III)の化合物から、酸性または塩基性条件下、たとえば塩酸水溶液もしくは硫酸を用いて、1,4−ジオキサン、酢酸もしくはエタノールなどの適切な溶媒中で、またはリチウムもしくは水酸化ナトリウムなどの塩基水溶液を用いて、1,4−ジオキサンもしくはエタノールなどの適切な共溶媒を用いて、90〜120℃で6〜24時間、加水分解することによって調製し得る。
【0181】
好ましい条件は、等体積の濃硫酸、酢酸および水の溶液中の化合物(III)、110℃で18時間である。
【0182】
が(vi)であり、R’が(C1〜6)アルキルである式(I)の化合物である式(Ic)の化合物は、スキーム6に示すように、式(Ib)の化合物から、(C1〜6)アルキルスルホンアミドと反応させることによって、調製し得る。
【0183】
【化11】

【0184】
ステップ(a):式(Ic)の化合物は、式(Ib)の化合物と式R’SONHの(C1〜6)アルキルスルホンアミドとのカップリングによって、調製し得る。最初に、酸をEDCIまたはCDIなどの適切なカップリング試薬で処理することによって活性化し、その後、DMF、THFまたはDCMなどの適切な溶媒中のスルホンアミドと反応させる。
【0185】
あるいは、式(Ic)の化合物は、スキーム4に示す式(VI)の化合物を、(C1〜6)アルキルスルホニルハロゲン化物または酸無水物を用いて、水素化ナトリウム、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下で、DCM、ピリジンまたはTHFなどの適切な溶媒中で、スルホニル化することによって調製し得る。
【0186】
Aが単結合であり、Bが単結合であり、Rが、式−CHOH、−CHO、−CNまたは−CO[式中、Rは、エステル残基である(その適切な例は、「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第2版)、T.W.GreeneおよびP.Wuts、Wiley and Sons、1991に記載されており、好ましくは(C1〜6)アルキルまたはベンジルである)]の基である式(I)の化合物である式(Id)の化合物は、スキーム7に示すように調製し得る。
【0187】
【化12】

【0188】
ステップ(a):式(VIII)の化合物は、式(IV)の化合物から、LGがハロゲンまたはCFSOO−などの脱離基である式CFSO−LGの化合物、たとえば、メタンスルホン酸無水物またはN−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)と、トリエチルアミン、ピリジンまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、THF、ピリジンまたはジクロロメタンなどの適切な溶媒中、室温〜65℃で反応させることによって、調製し得る。
【0189】
好ましい条件は、THF中の1当量の化合物(IV)、1当量の水素化ナトリウム、1.25当量のN−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、室温〜40℃で18時間である。
【0190】
ステップ(b):式(X)の化合物は、式(VIII)の化合物と、Mが、クロスカップリングに適した置換されていてもよい金属またはホウ素基である、式(IX)の化合物、たとえばトリ(C1〜6)アルキルスタナン、ボロン酸、ピナコラートボロンまたはハロ亜鉛とを、適切な触媒系、たとえば、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)、酢酸パラジウムまたはパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)、塩基、たとえば、炭酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはフッ化セシウムの存在下、トルエン、1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタンなどの適切な溶媒中、50℃〜100℃の温度で、クロスカップリングさせることによって調製し得る。
【0191】
好ましい条件は、7:1のトルエン:メタノール中の1当量の化合物(IV)、1.2当量の化合物(IX)、3.0当量の2MのNaCO水溶液および0.05当量のPd(PPh、6時間、100℃である。
【0192】
ステップ(c):式(Id)の化合物は、式(X)の化合物の官能基Rを、カルボン酸へ、アルデヒドもしくはアルコールの酸化、またはニトリルもしくはエステルの加水分解の既知の条件下で、変換することによって調製し得る。
【0193】
ニトリルまたはエステルの加水分解は、酸性または塩基性条件下、たとえば、塩酸水溶液もしくは硫酸を用いて、1,4−ジオキサン、酢酸もしくはエタノールなどの適切な溶媒中で、またはリチウムもしくは水酸化ナトリウムなどの塩基水溶液を用いて、1,4−ジオキサン、もしくはエタノールなどの適切な共溶媒を用いて、90〜120℃で6〜24時間で達成し得る。
【0194】
がニトリルまたはエステルである好ましい条件は、等体積の濃硫酸、酢酸および水の溶液中の化合物(X)、110℃で18時間である。
【0195】
さらに、アルデヒドまたはアルコールの酸化は、適切な溶媒中の酸化剤を用いて達成し得る。典型的な試薬および条件には、アセトニトリルなどの溶媒中の触媒性三酸化クロムおよび過ヨウ素酸(HIO)、室温〜50℃で18〜36時間、または、次亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸ナトリウム、触媒性TEMPOの存在下、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃〜室温で18〜36時間、もしくは亜塩素酸ナトリウム、2−メチル−2−ブテンの存在下、THF水溶液中が含まれる。
【0196】
がアルデヒドである好ましい条件は、THF中の1当量の化合物(X)、水中の9当量の亜塩素酸ナトリウム、7当量のリン酸ナトリウム、室温で18時間である。
【0197】
が(iii)である式(I)の化合物である式(Ie)の化合物、は、以下のスキーム8に示すように調製し得る。
【0198】
【化13】

【0199】
ステップ(a):式(XI)の化合物は、式(III)の化合物を、ヒドロキシルアミンまたはその塩、たとえば塩酸塩と、炭酸ナトリウムもしくはカリウムまたはナトリウムもしくはカリウム(C1〜6)アルコキシドなどの塩基の存在下、適切な溶媒、たとえば、メタノール、エタノールまたはDMSO中、さらなる水を用いてまたは用いずに、室温〜100℃で2〜24時間反応させることによって、調製し得る。
【0200】
好ましい条件は、DMSO中の1当量の化合物(III)、10当量のカリウムtert−ブトキシド、10当量の塩酸ヒドロキシルアミン、60℃で18時間である。
【0201】
ステップ(b):式(Ie)の化合物は、式(XI)のアルドキシムを、式LG−CO−LGの化合物[式中、LGは、ハロゲン、(C1〜6)アルコキシまたはイミダゾールなどの適切な脱離基である]、たとえばカルボニルジイミダゾールと、THF、DMFまたは1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中、60〜100℃で6〜24時間反応させることによって、調製し得る。あるいは、式(XI)の化合物を、クロロギ酸エチルと、塩基、たとえば、炭酸カリウムもしくはピリジンの存在下で、アセトンもしくはDMFなどの溶媒中、0℃〜室温で1〜18時間、または、炭酸ジエチルと、ナトリウムエトキシドなどの塩基の存在下もしくはエタノールなどの溶媒中、0℃〜室温で1〜18時間反応させることを用いて、式(Ie)の化合物を調製し得る。
【0202】
好ましい条件は、1,4−ジオキサン中の1当量の化合物(XI)および1.2当量のカルボニルジイミダゾール、還流下で2時間、続いて18時間、室温である。
【0203】
が(iv)である式(I)の化合物である式(If)の化合物は、以下のスキーム9に示すように調製し得る。
【0204】
【化14】

【0205】
ステップ(a):式(If)の化合物は、式(V)の化合物を、式LG−CO−LGの化合物と、スキーム8のステップ(b)と類似の条件下で反応させることによって、調製し得る。
【0206】
好ましい条件は、1,4−ジオキサン中の1当量の化合物(V)および1.2当量のカルボニルジイミダゾール、90℃で3時間である。
【0207】
Bが単結合であり、Rが(vi)である式(I)の化合物である式(Ig)の化合物は、スキーム10に示すように調製し得る。
【0208】
【化15】

【0209】
ステップ(a):式(XIII)の化合物は、化合物(XII)および式(IV)のヒドロキシ化合物から、適切な溶媒(たとえば、DMF、DMSO、アセトン)中、炭酸セシウムまたは炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下、室温〜100℃で5〜24時間で調製し得る。
【0210】
好ましい条件は、DMF中の1当量の化合物(XII)、1当量の式(IV)の化合物、1.5当量のCsCO、室温で18時間である。
【0211】
式(XII)の化合物は、購入するか、または当業者に知られている方法に従って入手可能である。
【0212】
ステップ(b):式(XIV)の化合物は、式(XIII)の化合物を、水素を用いた水素化またはギ酸アンモニウムなどの転移試薬が含まれるおよび炭素担持パラジウムまたは白金などの適切な金属触媒が含まれる様々な条件下で還元することによって、調製し得る。代替方法には、金属および酸、典型的には鉄もしくはスズおよび酢酸もしくは塩酸、または亜ジチオン酸ナトリウムを用いた還元が含まれる。
【0213】
好ましい条件は、1当量の式(XIII)の化合物、酢酸中の5重量%の硫化炭素担持白金、1気圧の水素、50℃で18時間である。
【0214】
ステップ(c):式(Ig)の化合物は、式(XIV)の化合物を、LGがハロゲンまたはR’SOO−などの脱離基である式R’SO−LGの化合物、たとえば、トリフルオロ−塩化メタンスルホニルまたは酸無水物と、トリエチルアミンまたはピリジンなどの適切な塩基の存在下、DCMまたはTHFなどの溶媒中、−78℃〜室温で1〜18時間反応させることによって、調製し得る。
【0215】
好ましい条件は、DCM中の1当量の化合物(XIV)、1当量のトリフルオロメタンスルホン酸無水物、1.5当量のトリエチルアミン、−78℃で2時間である。
【0216】
BがOCHであり、Rが(i)である式(I)の化合物である式(Ih)の化合物は、スキーム11に概要を示したように調製し得る。
【0217】
【化16】

【0218】
スキーム11では、Rはエステル残基であり、その適切な例は、「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第2版)、T.W.GreeneおよびP.Wuts、Wiley and Sons、1991に記載されている。好ましくは、Rは、(C1〜6)アルキルまたはベンジルである。
【0219】
ステップ(a):AがOである式(XVI)の化合物は、式(XV)の化合物から、スキーム2と同様の様式で調製し得る。
【0220】
式(XV)の化合物は、購入するか、または当業者に知られている方法に従って入手可能である。
【0221】
好ましい条件は、DMF中の1当量の化合物(IV)、1.2当量の化合物(XV)、1.5当量のCsCO、70℃で24時間である。
【0222】
ステップ(b):式(XVII)の化合物は、典型的には、たとえば、過酸化水素および酢酸を0〜10℃、またはジクロロメタン中の3−クロロ過安息香酸を室温、6〜18時間で用いた、式(XVI)の化合物のバイヤー−ビリガー酸化によって調製する。
【0223】
好ましい条件は、DCM中の1当量の化合物(XVI)、3当量の3−クロロ過安息香酸、室温で18時間である。
【0224】
あるいは、Aが単結合である式(XVII)の化合物は、スキーム7のステップ(b)と同様の様式で調製し得る。
【0225】
ステップ(c):式(XVII)の化合物を、式LG−CHCOの化合物[式中、LGは脱離基、たとえばハロゲンである]、たとえば適切に保護されたブロモアセテート誘導体を用いて、カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下、DMF、THFまたはアセトンなどの溶媒中、50〜90℃で2〜18時間でアルキル化することにより、式(XVIII)の化合物が得られた。
【0226】
好ましい条件は、DMF中の1当量の化合物(XVII)、1.2当量のブロモアセテート、1.2当量の炭酸セシウム、90℃で4時間である。
【0227】
ステップ(d):式(XVII)の化合物を加水分解して式(Ih)の化合物を提供し得る。この反応は、様々な条件下で達成してよく、その適切な例は、「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第2版)、T.W.GreeneおよびP.Wuts、Wiley and Sons、1991に記載されている。
【0228】
好ましい条件は、体積で3:1のDCM:トリフルオロ酢酸の混合物中の化合物(XVIII)である。
【0229】
組合せ
式(I)のPDE7阻害剤は、特に疼痛の治療において、別の薬理学的に活性のある化合物、または2つ以上の他の薬理学的に活性のある化合物と有用に組み合わせ得る。たとえば、上記定義した、式(I)PDE7阻害剤、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、以下から選択される1つまたは複数の薬剤ならびにその薬学的に許容できる塩および溶媒和物と、同時に、逐次的にまたは別々に組み合わせて投与し得る:
・オピオイド鎮痛剤、たとえば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン、
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、たとえば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンまたはゾメピラック、
・バルビツレート鎮痛剤、たとえば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラールまたはチオペンタール、
・鎮痛性作用を有するベンゾジアゼピン、たとえば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム、
・鎮痛性作用を有するH拮抗剤、たとえば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニルアミンまたはクロルシクリジン、
・鎮痛剤、たとえば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロンまたはジクロラルフェナゾン、
・骨格筋弛緩剤、たとえば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン、
・NMDA受容体拮抗剤、たとえば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)もしくはその代謝物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニーネ、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネおよびデキストロメトルファンの組合せ製剤)、トピラメート、ネラメキサン、または、NR2B拮抗剤、たとえば、イフェンプロジル、トラキソプロジルもしくは(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンを含めたペルジンフォテル、
・α−アドレナリン作動剤、たとえば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン、モダフィニル、もしくは4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、
・三環系抗鬱剤、たとえば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン、
・抗痙攣剤、たとえば、カルバマゼピン、ラモトリギン、トピラトメートまたはバルプロ酸、
・タキキニン(NK)拮抗剤、特にNK−3、NK−2またはNK−1拮抗剤、たとえば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)、
・ムスカリン性拮抗剤、たとえば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム、
・COX−2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ、
・コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール、
・神経遮断剤、たとえば、ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドール、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント、Miraxion(登録商標)またはサリゾタン、
・バニロイド受容体作用剤(たとえばレシンフェラトキシン)または拮抗剤(たとえばカプサゼピン)、
・β−アドレナリン作動剤、たとえばプロプラノロール、
・局所麻酔剤、たとえばメキシレチン、
・コルチコステロイド、たとえばデキサメタゾン、
・5−HT受容体作用剤または拮抗剤、特にエレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタンなどの5−HT1B/1D作用剤、
・5−HT2A受容体拮抗剤、たとえばR(+)−α−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)、
・コリン作動性(ニコチン性)鎮痛剤、たとえば、イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)またはニコチン、
・Tramadol(登録商標)、
・PDEV阻害剤、たとえば、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド、
・α−2−δリガンド、たとえば、ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸および(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸、
・カンナビノイド、
・代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ1(mGluR1)拮抗剤、
・セロトニン再取り込み阻害剤、たとえば、セルトラリン、セルトラリン代謝物のデメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンの脱メチル代謝物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝物のデスメチルシタロプラム、エシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミンおよびトラゾドン、
・ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害剤、たとえば、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプリチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝物のヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシンおよびビロキサジン(Vivalan(登録商標))、特に、レボキセチン、特に(S,S)−レボキセチンなどの選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、
・二重セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、たとえば、ベンラファクシン、ベンラファクシン代謝物のO−デスメチルベンラファクシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝物のデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプランおよびイミプラミン、
・誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤、たとえば、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミジン、またはグアニジノエチルジスルフィド、
・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、たとえばドネペジル、
・プロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)拮抗剤、たとえば、N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドまたは4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸、
・ロイコトリエンB4拮抗剤、たとえば、1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)またはDPC−11870、
・5−リポキシゲナーゼ阻害剤、たとえば、ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)、
・ナトリウムチャネルブロッカー、たとえばリドカイン、
・5−HT3拮抗剤、たとえばオンダンセトロン。
【0230】
式(I)の化合物がPDE7およびPDE1を阻害する能力は、以下のアッセイプロトコルを用いて測定し得る。
【0231】
PDE7A、PDE7BおよびPDE1C酵素は、3’,5’−環状アデノシン一リン酸(cAMP)から5’アデノシン一リン酸、5’AMPへの加水分解を触媒する。マルチウェルプレート中で、PDE酵素、[H]−cAMPおよび試験化合物を、室温でインキュベーションする。インキュベーションは、市販の硫酸亜鉛を含有するケイ酸イットリウムシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズを加えることによって終了した。ケイ酸イットリウムビーズは、直鎖状のヌクレオチドと優先的に結合するため、酵素反応の産物である[H]−5’AMPはビーズと結合して光シグナルを生じ、これをシンチレーションカウンターによって検出する。生じたシグナルの量は、生成した産物の量と、したがって酵素の活性と直接相関する。酵素および基質を単独でインキュベーションした場合に最大シグナルが得られる。バックグラウンドシグナルは、酵素を含有しないウェル、または上記、すなわち、既知のPDE7A/7B/1C阻害剤の最大濃度を含有するウェルのいずれかから測定する。それぞれの精製した酵素のバッチの品質管理を行い、そのK、Vmaxおよび特異的活性を動力学的研究から決定した後に、化合物阻害研究で使用する。試験化合物による酵素の阻害を、最大およびバックグラウンドの応答と比較して計算する。これらのデータを用いて、得られた最大値および最小値と比較した%阻害値を計算する。
【0232】
使用液の調製
1000mlの緩衝液のストックを、以下の表1に示す成分から調製した。
【0233】
【表1】

【0234】
ストック緩衝液を室温でpH7.4に調節し、その後、0.2μMのフィルターを通して濾過した。ストック緩衝液は、4℃で調製日から1カ月間安定である。
【0235】
実験の当日、ウシ血清アルブミン(BSA、Sigmaから入手可能)を必要な体積の緩衝液に加えて、0.00625%BSA最終溶液を作製した。これは、ストックの10%BSA溶液を以下のように調製することによって達成した。
【0236】
ストックの10%BSA溶液の調製
1gのBSAを10mlの精製水に溶かし、均一性を確実にするために反転によって混合し、適切に表示したチューブ内に100μlの体積でアリコート分割した。10%BSA溶液は、−20℃で6カ月まで安定である。
【0237】
ストックの10%BSAストック溶液のアリコートを保管から取り出し、室温で解凍させた後、以下の表2に示すように、BSA使用液を作製するために使用した。
【0238】
10mlの使用BSAアッセイ緩衝液の調製
【0239】
【表2】

【0240】
標準化合物および対照の調製
WO02/074754の実施例75の化合物、5’−カルボキシプロポキシ−8’−クロロ−スピロ[シクロヘキサン−1−4’−(3’,4’−ジヒドロ)キナゾリン]−2’(1’H)−オン(本明細書中で以降、化合物Aと呼ぶ)を、PDE7AおよびPDE7Bの標準として使用した。WO02/074754の実施例32の化合物、4−(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−6’−イル)安息香酸(本明細書中で以降、化合物Bと呼ぶ)を、PDE1Cの標準として使用した。
【0241】
100%DMSO中で調製した4mMのストック溶液は、4℃で保管することができる。DMSOの体積は、以下のように計算することができる。
【0242】
【数1】

【0243】
30×最大対照は、100%DMSOの溶液である。30×最小対照は、100%DMSO中の30μMの化合物AまたはBを用いて達成して、酵素活性なしをもたらす。5mlの化合物AまたはBの30μMの溶液は、4.962mlの100%DMSOを37.5μlの4mMの化合物AまたはBに加えることによって調製することができる。
【0244】
方法
アッセイの当日、1×最終アッセイ緩衝液を以前に詳述したように調製し、必要時まで氷上に保持した。
【0245】
動力学的研究
それぞれの酵素の新バッチについてKを決定し、反応の進行曲線の直線部分を保持したままで、約1000cpmまでのシグナルを45分間で得るために必要な酵素の量を評価した。理想的には、利用可能な[H]−cAMPの<10%がアッセイの過程中に加水分解される。
【0246】
酵素溶液
このアッセイの最適化は、完全長のPDE7A、PDE7BおよびPDE1C酵素を含有する細胞溶解液を用いて実施した。この細胞溶解液試料中の酵素の濃度は未知であるため、バッチ間のすべての濃度/活性の変動にかかわらず1個のウェルあたり同じ活性が用いられることを確実にする尺度として、細胞溶解液の特異的活性を使用した。
【0247】
PDE7A/7B/1C酵素の調製
PDE7A/7B/1Cのストック酵素を調製し、−20℃で、凍結/解凍サイクル回数を減らすために適切な大きさのアリコートで保存した。以下の表3は、10mlのPDE7A/7B/1Cの酵素溶液を作製するために必要な体積を示す。PDE7Aを1/8000まで、PDE7Bを1/10000まで、およびPDE1Cを1/200000まで希釈する。
【0248】
【表3】

【0249】
酵素溶液を調製した後、使用前は氷上に保存した。
【0250】
50nMのアデノシン3’,5’環状リン酸(cAMP)基質溶液の調製
基質は、非標識のcAMPおよびトリチウムで放射標識したcAMP([H]−cAMP)かの混合物からなる。[H]−cAMPのストックの仕様によって、使用する体積が決定される。
【0251】
1mCi/mlおよび24Ci/mmol(したがって41.66μM)である[H]−cAMPストックを用いた、9mlの基質溶液の調製を以下に記載する。
【0252】
現在までの酵素バッチのKは、以下のとおりである。
PDE7A−20nM PDE7B−100nM PDE1C−90nM
【0253】
アッセイでは、15μlの基質溶液を合計アッセイ体積30μlに分注することを必要とする。すなわち、アッセイプレート中で2×希釈が起こる。
【0254】
PDE7A/7B基質溶液
約25nMまでの最終アッセイ[cAMP]が必要であるため、約50nMまでの[H]−cAMPを調製した。10.8μlの[H]−cAMP(Amershamから入手可能)を8975μlのアッセイ緩衝液と混合することによって、9mlの基質溶液を調製した。
【0255】
PDE1C基質溶液
最終アッセイ[cAMP]=75nMであるため、必要な溶液[cAMP]=0.15μMであった(アッセイプレート中で1/2希釈)。
【0256】
1個のウェルあたりの所望の[H]=0.03μCiであるため、1μlの基質溶液あたりの[H]=0.002μCiであった(すなわち、1個のウェルあたり0.03μCi/15μlの基質溶液)。したがって、9mlには、必要な[H]の体積=18μlであった(すなわち、9000μl×0.002μCi)。
【0257】
18μlのこの[H]−cAMPのストックは、0.75nmolの[H]−cAMPを共有し(すなわち、18μl×0.042nmol/μl)、所望の溶液濃度を与えるために必要な合計cAMPは、1.35nmolである(すなわち、1.5×10−7M×9×10−3l=9×10−9mol)。したがって、0.6nmolのトリチウム非標識のcAMPが必要である(すなわち、1.35nmol〜0.75nmol)。
【0258】
冷cAMPのストックは、10μM=10nmol/mlであるように作製し、したがって、60μlのこの冷cAMPが必要である。
【0259】
したがって、9mlの基質溶液を作製するためには、60μlの冷cAMP+8922μlのアッセイ緩衝液+18μlの[H]−cAMPである。
【0260】
PDE1C用の9mlのcAMP基質混合物を作製するために必要な体積
【0261】
【表4】

【0262】
PDE7A/7BおよびPDE1C基質溶液のどちらについても、cAMPの正確な濃度は、15μlの3つの試料をシンチレーションバイアル中に取ることによって決定した。その後、4mlのStarscint(登録商標)(シンチレーションカクテル、Perkin Elmerから入手可能)を加え、βカウンターを用いてチューブをdpmプログラムで計数した。
【0263】
放射性リガンドの濃度は、以下の方程式によって決定した。
【0264】
【数2】

【0265】
その後、アッセイプレート中で起こる2×希釈を考慮するために、濃度を2で除算する。
【0266】
6.6mg/mlのケイ酸イットリウムPDE SPAビーズの調製
ホスホジエステラーゼSPAビーズ(ケイ酸イットリウム)は、Amershamから入手可能である。
【0267】
製造者の推奨に従って、28mlの蒸留脱イオン水(約20mg/mlまで)を用いてビーズのバイアルを再構成した。再構成したビーズは、2〜8℃で保管した場合に1カ月間安定である。ビーズをアッセイ用に調製するために、再構成したビーズを滅菌再蒸留水(約6.6mg/mlまで)で3倍希釈した。ビーズは沈殿する場合があるので、分注中に絶えず攪拌/動揺した。
【0268】
30μlの約6.6mg/mlまでのビーズを30μlのアッセイに加えて、約0.2mg/ウェルまでの最終ビーズ濃度が得られた。
【0269】
化合物の希釈物および「バックグラウンド」ウェルは、1μlの化合物を29μlの他のアッセイ構成要素(14μlの酵素および15μlの放射性リガンド)によって希釈することを可能にするために、アッセイプレートで必要であるよりも30倍強力に作製した。したがって、10μMの最終アッセイ濃度には、化合物は化合物添加プレート中で300μMでなければならない。化合物の4mMのストックは、100%DMSO中で供給する(または、粉末で供給する場合は4mMで構成する)。これは、DMSOで1/13.33の希釈を行うことを必要とする。
【0270】
アッセイプロトコル
1μlの試験化合物を、試薬をアッセイに加える直前に適切なマルチウェルアッセイプレートに移し、その後、14μlの酵素溶液をアッセイプレートに加え、続いて、15μlの基質溶液を加えた(すなわち、最終アッセイ体積30μl、最終スクリーニング化合物濃度はPDE7AおよびPDE7Bで1μM、PDE1Cで10μM)。その後、プレートシーラーを用いてプレートを密封し、室温で45分間、プレートシェーカー上でインキュベーションした。
【0271】
その後、アッセイプレート中で均等な分布をもたらすためにビーズを絶えず攪拌することを確実にしながら、30μlのケイ酸イットリウムPDE4 SPAビーズを加えた。その後、プレートシーラーを用いてプレートを密封し、室温で30分間、プレートシェーカー上でインキュベーションした。その後、ビーズを30分間沈殿させた後、プレートを1分間、200gでスピンした。
【0272】
その後、プレートを、適切な放射カウンター、たとえばNXT−TopCount(商標)(Perkin Elmerから入手可能)で、関連するプロトコルを用いて読み取った(30秒間の読取り時間/ウェル)。
【0273】
最小二乗アルゴリズムを用いてデータをS字曲線に当てはめた。
【0274】
チェン−プルソフ方程式を用いてIC50値をK値に変換した。
【0275】
【数3】

【0276】
実施例1〜25の化合物のPDE7阻害活性を、上記プロトコルに従って試験した。化合物Cは、5−{[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]メチル}−2−フロ酸であり、これは、WO02/074754の実施例80である。この文書は、本発明の化合物に最も近い従来技術であると考えられる。得られたK値を以下の表5に示す。
【0277】
【表5】

【0278】
上記表5に示すデータは、本出願の実施例1〜25の化合物と最も近い従来技術の化合物BおよびCとの間で、PDE7Aおよび/またはPDE7Bを超えるPDE1Cの選択性に関して明らかな相違を示す。この増加した選択性は、最も近い従来技術の化合物と比較した場合に、患者において心血管毒性の確率の低下を示す化合物をもたらす可能性が高い。
【0279】
神経因性疼痛の治療における本発明による式(I)の化合物の活性は、以下の試験プロトコルに従って測定し得る。
【0280】
動物:雄のスプラーグドーリーラット(平均体重500g)を12匹のグループで飼育する。すべての動物は、12時間の明/暗サイクル(07時00分に点灯)下に保ち、飼料および水は自由に摂取させた。すべての実験は、処置に盲検の観察者によって、ホームオフィス動物(科学手順)法(Home Office Animals(Scientific Procedures)、1986に従って実施した。
【0281】
神経因性疼痛の慢性狭窄傷害(CCI)ラットモデル
坐骨神経のCCIを、以前に記載されているように行う(G.J.BennettおよびY.K.Xi、Pain、(1988)33、87〜107)。動物を2%のイソフルオラン/Oの混合物で麻酔した。右後大腿を剪毛し、1%のヨウ素を塗布した。その後、手順の期間中、動物を定温毛布に移し、手術中、ノーズコーンによって麻酔を維持した。大腿骨の線に沿って皮膚を切る。総坐骨神経を、大腿二頭筋を通った鈍的切開によって、大腿の中央で露出させる。神経の下に鉗子を挿入し、神経を穏やかに大腿から持ち上げることによって、約7mmの神経を坐骨の三叉の近位で解放する。鉗子を用いて縫合糸を神経の下に通し、軽微な抵抗が感じられるまで並結びで結び、その後、二重結びする。4本の結紮糸(4−0絹)が約1mmの間隔で神経の回りに緩く結ばれるまで、この手順を繰り返す。切開を層で閉じ、創傷を局所用抗生物質で処置する。
【0282】
ラットにおけるストレプトゾシン(STZ)で誘発した糖尿病神経障害
糖尿病は、0.9%の滅菌生理食塩水に新しく溶かしたストレプトゾトシン(50mg/kg)の単回腹腔内注射によって誘発する。ストレプトゾトシンの注射により、3週間以内に再現可能な機械的異痛症が誘発され、少なくとも7週間持続する(S.R.ChenおよびH.L.Pan、J.Neurophysiol.、(2002)、87、2726〜2733)。
【0283】
静的異痛症および動的異痛症の評価
静的異痛症
動物は、異痛症の評価の前にワイヤー底の試験ケージに慣らす。静的異痛症は、フォンフレイ毛(Stoelting、米国イリノイ州Wood Dale)の力を昇順で(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15および26グラム)後足底面に適用することによって評価する。それぞれのフォンフレイ毛を、最大6秒間、または引っ込め応答が起こるまで、足に適用する。フォンフレイ毛に対する引っ込め応答が確立された後、引っ込めを生じたものの1つ下のフィラメントから開始し、続いて、残りのフィラメントを降順の力の順序で、引っ込めが起こらなくなるまで、足を再度試験する。26gの最高の力が、足を持ち上げさせると同時に応答を誘発させ、したがって、これがカットオフ点を表す。それぞれの動物について、両方の後足をこの様式で試験する。応答を誘発させるために必要な最低量の力を、足引っ込め閾値(PWT)としてグラムで記録する。動物が、未処置のラットで無害である4gまたはそれ未満の刺激に応答した場合に、静的異痛症が存在すると定義される(M.J.Field他、Pain、(1999)、83、303〜11)。
【0284】
動的異痛症
動的異痛症は、後足底面を綿棒で軽く撫でることによって評価する。一般的運動活動の記録を回避するために、この手順を活性でない完全に慣らしたラットで行うことに注意を払った。それぞれの時点で少なくとも2回の測定を行い、その平均が足引っ込め潜時(PWL)を表す。15秒間以内に反応が示されない場合は、手順を停止し、動物にこの引っ込め時間を割り当てる。疼痛の引っ込め応答は、多くの場合、繰り返して尻込むことまたは足を舐めることを伴う。動物が、撫でることを開始した8秒以内に綿刺激に応答した場合に、動的異痛症が存在するとみなされる(Field他、1999、上記)。
【実施例】
【0285】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合において、提案された構造と矛盾がなかった。特徴的な化学シフト(δ)は、主ピークを指定するための慣用の略記を用いて、テトラメチルシランから低磁場側に向かう百万分率(ppm)で与え、たとえばs、一重線、d、二重線、t、三重線、q、四重線、m、多重線、br、ブロードである。質量スペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESもしくはESI)または大気圧化学イオン化(APCI)のどちらかを用いて記録した。共通溶媒には、以下の略記を用いた:CDCl、重水素クロロホルム、D−DMSO、ヘキサ重水素ジメチルスルホキシド。
【0286】
(実施例1)
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)]−2−フルオロ安息香酸
【0287】
【化17】

酢酸(5ml)中の調製物2からの化合物(7.27g、19.6mmol)の懸濁液に、硫酸(5ml)を加え、続いて水(5ml)を注意深く加え、生じた懸濁液を120℃で6時間加熱した。反応を冷却し、水を沈殿生成物に加えた。固形物を濾過によって収集し、水で十分に洗浄し、空気乾燥させて、粗生成物が得られた。酢酸/水(1:1、240ml)から再結晶化させて、50℃、真空下で乾燥させた後に、表題化合物がオフホワイト色固形物として得られた(6.74g、17.3mmol、88%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ 0.60〜1.69(m,10H)、6.64(d,1H)、6.78(s,1H)、7.34(m,2H)、7.51(m,1H)、7.63(m,1H)、8.38(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)389[M+H]
【0288】
(実施例2)
3−(8’−クロロ−2−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル安息香酸
【0289】
【化18】

表題化合物(16mg、0.043mmol、78%)を、調製物3からの化合物(21mg、0.055mmol)から開始して、実施例1と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ 1.18〜1.64(m,10H)、6.63(d,1H)、6.77(d,1H)、7.33(d,1H)、7.51(t,1H)、7.54(d,1H)、7.73(s,1H)、7.96(d,1H)、8.36(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)371[M+H]
【0290】
(実施例3)
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−4’−イル)]−2−フルオロ安息香酸
【0291】
【化19】

t−ブタノール(5ml)中の調製物4の生成物(20mg、0.054mmol)の懸濁液に、THF中の2Mの2−メチル−2−ブテン(0.27ml、0.54mmol)を加え、続いて、水(2ml)中の亜塩素酸ナトリウム(56mg、0.494mmol)およびリン酸ナトリウム(51mg、0.37mmol)の溶液を滴下した。反応混合物が黄色溶液に変化し、室温で18時間攪拌した。反応混合物を水(5ml)で希釈し、2MのHCl水溶液で酸性化し、酢酸エチル(10ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮して、固形残渣が得られた。ジエチルエーテルで粉砕して、表題化合物がオフホワイト色固形物として得られた(5.6mg、0.014mmol、27%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.09〜1.68(10H,m)、6.59(1H,d)、6.83(1H,広幅 s)、7.17(1H,dd)、7.19(1H,d)、7.24(1H m)、7.33(1H,d)、7.85(1H,t)、8.45(1H,広幅 s)。
【0292】
(実施例4)
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−3−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0293】
【化20】

トルエン(5ml)中の調製物2からの生成物(97mg、0.26mmol)の懸濁液に、窒素雰囲気下、室温で、アジドトリメチルシラン(0.14ml、1.05mmol)を加え、続いて、酸化ジブチルスズ(IV)(6.5mg、0.026mmol)を加えた。スラリーを110℃で18時間まで加熱し、別の部分のアジドトリメチルシラン(0.07ml、0.5mmol)および酸化ジブチルスズ(IV)(6.5mg、0.026mmol)を加え、加熱を24時間続けた。これをもう1回繰り返し、その後、反応を減圧下で濃縮した。2NのHCl水溶液を加え、続いて、アセトンを加えて、固形物が得られた。生成物を濾過によって収集して、表題化合物が白色固形物として得られた(61mg、0.14mmol、57%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.64〜1.68(m,10H)、6.66(d,1H)、6.84(広幅 s,1H)、7.37(d,1H)、7.54(m,2H)、7.86(d,1H)、8.45(広幅 s,1H)。
LRMS m/z(ESI)413[M+H]
【0294】
(実施例5)
(a)エチル[3−(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)フェノキシ]アセテート
【0295】
【化21】

調製物5からの生成物(250mg、0.73mmol)、CsCO(285mg、0.875mmol)およびブロモ酢酸エチル(80μl、73mmol)をDMF(2ml)中で合わせ、90℃で6時間加熱し、終夜、室温まで冷却させた。さらなるブロモ酢酸エチル(8μl、0.1当量)を加え、混合物を90℃で6時間加熱した。水を加えることによって反応を反応停止させ、終夜、室温まで冷却させた。白色固形物を濾過によって収集し、空気乾燥させて、230mgの粗生成物が得られ、これを酢酸:水から再結晶化させて、50℃、真空下で乾燥させた後に、表題化合物が白色固形物として得られた(204mg、0.475mmol、65%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.71(m,1H)、1.14(t,3H)、1.20〜1.46(複雑,5H)、1.55(m,4H)、4.10(q,2H)、4.76(s,2H)、6.56(d,1H)、6.72(m,2H)、6.80(d,1H)、6.92(d,1H)、7.26(m,2H)、8.27(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)429[M+H]
【0296】
(b)[3−(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)フェノキシ]酢酸
【0297】
【化22】

ステップ(a)の生成物(204mg、0.47mmol)をメタノールに懸濁させ、2MのNaOH水溶液(0.48ml、0.95mmol)を加え、混合物を50℃で2時間加熱し、その後、室温で終夜静置した(便宜上)。さらに2MのNaOH(1ml)および水(15ml)を加え、溶液を酢酸エチル(2×15ml)で抽出した。水溶液を2NのHClでpH2まで酸性化し、この時点で白色固形物が沈殿した。固形物を濾過によって収集し、水で十分に洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(131mg、0.326mmol、68%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.74(m,1H)、1.32(複雑,4H)、1.41(m,1H)、1.58(m,4H)、4.68(s,2H)、6.58(d,1H)、6.73(m,1H)、6.76(m,1H)、6.80(d,1H)、6.92(dd,1H)、7.29(m,2H)、8.36(s,1H)、12.98(広幅,1H)。
LRMS m/z(ESI)399[M−H]
【0298】
(実施例6)
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロ安息香酸
【0299】
【化23】

調製物6の化合物(20g、52mmol)を酢酸(100ml)に懸濁させ、60℃まで加熱した後、水(100ml)および硫酸(100ml)を加え、反応を110℃で18時間攪拌した。生じた懸濁液をゆっくりと室温まで冷却させた。結晶性生成物を濾過によって収集し、水で洗浄し、空気乾燥させて、オフホワイト色固形物が得られ(約19g)、これを酢酸:水(9:1、約300mlまで)中で再結晶化させて、表題化合物が白色固形物としてが得られた(17.3g、42.7mmol、82%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)。δ 1.10(m 1H)、1.59(m,1H)、1.87〜1.63(m,4H)2.44(m,2H)、2.57(広幅 m,2H)、6.00(d,1H)、7.09(s,1H)、7.16(d,1H)、7.42(m,1H)、7.71(d,1H)、8.18(s,NH)。
LRMS m/z(ESI)405[M+H]
元素分析:
計算値:C=59.34%、H=4.48%、N=6.92%、
実測値:C=59.28%、H=4.44%、N=6.83%。
【0300】
(実施例7)
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−オキシ}−3−フルオロ安息香酸
【0301】
【化24】

【0302】
表題化合物(1.38g、乾燥せず、定量的)を、調製物8の生成物(1.25g、3.36mmol)から開始して、実施例6と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ 1.61(m,2H)、1.79(m,4H)、2.43(m,1H)、2.64(m,1H)、5.98(d,1H)、7.15(d,1H)、7.20(m,1H+NH)、7.62(t,1H)、7.71(d,1H)、8.15(NH,1H)。
LRMS m/z(ESI)391[M+H]
【0303】
(実施例8)
3−クロロ−2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸
【0304】
【化25】

表題化合物(530mg、1.25mmol、92%)を、調製物9の化合物(550mg、1.37mmol)から開始して、実施例6と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ 1.11(m,1H)、1.46(m,2H)、1.59(m,1H)、1.62〜1.85(m,4H)、2.64(m,2H)、5.81(d,1H)、7.03(NH,1H)、7.13(d,1H)、7,42(t,1H)、7.84(m,2H)、8.09(NH,1H)。
LRMS m/z(ESI)421[M+H]
【0305】
(実施例9)
3−クロロ−2−{(8’−フルオロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸
【0306】
【化26】

表題化合物(110mg、0.27mmol、75%)を、調製物10の生成物(140mg、0.36mmol)から開始して、実施例6と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz):δ 1.10(m,1H)、1.45(m,2H)、1.59(m,1H)、1.64〜1.86(m,4H)、2.64(m,2H)、5.66(m,1H)、6.82(NH,1H)、6.87(t,1H)、7,41(m,1H)、7.81(m,2H)、8.99(NH,1H)。
LRMS m/z(ESI)405[M+H]
【0307】
(実施例10)
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0308】
【化27】

酢酸(800ml)中の調製物22からの粗生成物(約19.3gまで、46.2mmol)の溶液に、水(200ml)中の亜硝酸ナトリウム(3.82g、55.4mmol)の溶液を、30分間かけて室温で滴下した。最初に黄色だった溶液が、すぐにオレンジ色まで濃くなった。反応は添加の終わりに完了していた。水(約1000mlまで)を、激しく攪拌しながらゆっくりと加えて、淡黄色固形物を沈殿させ、これを18時間攪拌し、その後、濾過によって収集した。この固形物を17%のアンモニア水溶液(800ml)に懸濁させ、30分間攪拌した後、酢酸エチル(100ml)を加えた。相の分離をもたらすためには飽和ブラインの添加が必要であった。有機層を除去し、水性物の2回目の洗浄を酢酸エチル(100ml)で行った。その後、水層を、6MのHCl(約2000mlまで)の攪拌溶液にゆっくり加え、18時間攪拌させて、オフホワイト色固形物が沈殿した。生成物を濾過によって収集し、その後、酢酸:水から再結晶化させた。真空下で乾燥させることにより、表題化合物がオフホワイト色固形物として得られた(9.2g、21.4mmol、46%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.99〜1.11(m,1H)、1.35〜1.46(m,2H)、1.53〜1.62(m,2H)、1.70〜1.82(m,3H)、2.31〜2.40(m,1H)、2.49〜2.55(m,1H)、6.07(d,1H)、7.07(s,1H)、7.51〜7.56(m,1H)、7.62〜7.67(m,1H)、7.81(d,1H)、8.19(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)429[M+H],(ESI)429[M+H]
【0309】
(実施例11)
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0310】
【化28】

表題化合物(3.97g、9.23mmol、64%)を、調製物23の生成物(6.0g、14.4mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ 0.76(m.1H)、1.29(m,2H)、1.46(m,1H)、1.68(m,4H)、2.10(広幅,2H)、6.48(d,1H)、7.03(s,1H)、7.08(m,1H)、7.31(d,1H)、7.42(m,1H)、7.83(m,1H)、8.28(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)429[M+H]
【0311】
(実施例12)
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0312】
【化29】

表題化合物(120mg、0.29mmol、77%)を、調製物24の生成物(150mg、0.374mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.18(m,1H)、1.41(m,2H)、1.58(m,2H)、1.79(m,4H)、2.37(m,1H)、5.99(m,1H)、6.96(m,2H)、7.55(m,1H)、7.65(m,1H)、7.80(m,1H)、9.03(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)413[M+H]
【0313】
(実施例13)
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0314】
【化30】

表題化合物(430mg、1.03mmol、26%)を、調製物25の生成物(1.6g、3.96mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(400MHz,DMSO−d) δ 1.24(m,2H)、1.61(m,2H)、1.70(m,2H)、1.98〜2.40(分割の悪いm,2Hと推定)、6.41(d,1H)、7.16(m,1H)、7.25(m,1H)、7.34(s,NH)、7.42(m,1H)、7.82(m,1H)、8.17(s,NH)。
LRMS m/z(ESI)415[M+H]
【0315】
(実施例14)
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0316】
【化31】

表題化合物(12.115g、29.2mmol、41%)を、調製物26の生成物(28.4g、70.41mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.42〜1.60(m,2H)、1.65〜1.84(m,4H)、2.39〜2.48(m,2H)、6.05(d,1H)、7.12(d,1H)、7.37(s,1H)、7.51〜7.56(m,1H)、7.81〜7.83(m,1H)、7.82(d,1H)、8.15(s,1H)。
LRMS(APCI)415[M+H]
【0317】
(実施例15)
8’−クロロ−5’−[6−クロロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0318】
【化32】

表題化合物(2.2g、5.1mmol、32%)を、調製物27の生成物(6.68g、15.9mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.43(m,6H)、2.4〜2.5(m,1H)、2.65(m,1H)、5.84(d,1H)、7.08(d,1H)、7.36(s,1H)、7.56(m,1H)、7.87(m,1H)、7.96(d,1H)、8.15(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)431[M+H]
【0319】
(実施例16)
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0320】
【化33】

表題化合物(396mg、0.96mmol、47%)を、調製物29の生成物(800mg、2.07mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.11〜1.24(m,2H)、1.1.51〜1.62(m,2H)、1.67〜1.75(m,2H)、1.92〜2.34(広幅 s,2H)、6.50(s,1H)、7.06(d,1H)、7.29〜7.35(m,3H)、7.53〜7.58(m,1H)、7.98〜8.00(m,1H)、8.27(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)397[M+H]
【0321】
(実施例17)
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0322】
【化34】

表題化合物(2.3g、5.59mmol、59%)を、調製物31の生成物(3.77g、9.43mmol)から開始して、実施例10と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.64〜0.75(d,1H)、1.25(d,2H)、1.43(d,1H)、1.60〜1.72(m,4H)、2.03(広幅 s,2H)、6.54(d,1H)、6.98(d,1H)、7.02(s,1H)、7.30〜7.35(m,2H)、7.53〜7.57(m,1H)、7.99(m,1H)、8.29(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)411[M+H]
【0323】
(実施例18)
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0324】
【化35】

調製物37の生成物(45mg、0.11mmol)を1,4−ジオキサン(1ml)に懸濁させた。1,1’−カルボニルジイミダゾール(21mg、0.129mmol)を加え、混合物を120℃で2時間加熱し、その後、18時間かけて室温まで冷却させた。2NのHClを加え、混合物を30分間攪拌した。生じた固形物を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物がわずかに灰色の粉末として得られた(35mg、0.078mmol、73%)。
H−NMR(CDOD,400MHz)δ 1.25〜1.36(m,1H)、1.61〜1.78(m,5H)、1.84〜1.93(m,2H)、2.57〜2.71(m,2H)、6.16(d,1H)、7.15(d,1H)、7.47〜7.58(m,3H)
LRMS m/z(APCI)445[M+H]
【0325】
(実施例19)
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0326】
【化36】

調製物22の生成物(100mg、0.239mmol)を、1,4−ジオキサン(1ml)に、油浴中、90℃で加熱して溶解させた。1,1’−カルボニルジイミダゾール(47mg、0.287mmol)を加え、懸濁液を90℃で3時間加熱し、その後、18時間かけて冷ました。2NのHClを淡ピンク色懸濁液に加え、2時間攪拌した。生じた固形物を濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物が淡ピンク色固形物として得られた(80mg、0.18mmol、63%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.08〜1.18(m,1H)、1.47(d,2H)、1.58(d,1H)、1.66〜1.84(m,4H)、2.53〜2.59(m,2H)、6.01(d,1H)、7.05(s,1H)、7.15(d,1H)、7.44〜7.58(m,3H)、8.11(s,1H)、11.65(s,1H)、11.83(s,1H)
LRMS m/z(APCI)442[M−H]
【0327】
(実施例20)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロ−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド
【0328】
【化37】

実施例7の生成物(100mg、0.243mmol)、DMAP(89mg、0.73mmol)およびメタンスルホンアミド(70mg、0.73mmol)をDMF(2ml)に懸濁させ、EDCI(140mg、0.73mmol)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌し、その後、2NのHClを加えて固形物を沈殿させた。固形物を濾過によって収集し、水で洗浄し、その後、真空下で乾燥させて、表題化合物がオフホワイト色固形物として得られた(98mg、0.203mmol、84%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.17〜1.27(m,1H)、1.47(d,2H)、1.59(d,1H)、1.67〜1.85(m,4H)、2.44〜2.54(2HはDMSOでマスク)、3.18(s,3H)、6.10(d,1H)、7.08(s,1H)、7.21(d,1H)、7.41〜7.46(m,1H)、7.49〜7.51(m,1H)、7.57〜7.61(m,1H)、8.17(s,1H)、12.32(広幅 s,1H)。
LRMS m/z(APCI)482[M+H]
【0329】
(実施例21)
N−{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド
【0330】
【化38】

調製物19の生成物(70mg、0.19mmol)をDCMに溶かし、トリエチルアミン(32μl、0.224mmol)を加えた。混合物を−78℃まで冷却し、その後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(32μl、0.19mmol)を一度に加えた。混合物を−78℃で2時間保ち、その後、室温まで温め、水を加え、酢酸エチル中に抽出した。生成物を、100%のジクロロメタンからジクロロメタン中に10%のメタノールの勾配で溶出させる4gのISCO(登録商標)カートリッジ上のクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物が得られた(35mgであるが、完全に純粋ではなく得られた)。さらなる精製の試みは成功しなかった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.15〜1.79(m,10H)、6.05(d,1H)、7.05(s,1H)、7.19(d,1H)7.24〜7.28(m,1H)、7.55(d,1H)、8.14(s,1H)、9.51(s,1H)。LRMS m/z(APCI)508[M+H]
【0331】
(実施例22)
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}酢酸
【0332】
【化39】

調製物34の生成物(50mg、0.13mmol)を、1:1:1の酢酸:HO:HSO(2ml)に懸濁させ、90℃で18時間まで加熱した。水(10ml)を加えて白色沈殿物が得られ、これを濾過によって収集し、その後、2MのNaOH溶液(20ml)に溶かした。この溶液を酢酸エチル(20ml)で洗浄し、その後、2MのHClを用いて再度酸性化して、白色固形物が得られた。固形物を濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物(23mg、0.055mmol、42%)が得られた。LCMSにより、5%の不純物の存在が示された。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 1.17(m,1H)、1.45(m,2H)、1.56(m,1H)、1.67〜1.83(m,4H)、2.46(mは、DMSOピークで不明確,2Hと推定)、3.44(d,1H)、3.61(d,1H)、6.03(d,1H)、7.10(s,NH)、7.17(d,1H)、7.25(m,3H)、8.18(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)419[M+H]
【0333】
(実施例23)
(a)tert−ブチル{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}アセテート
【0334】
【化40】

ブロモ酢酸tert−ブチル(60μl、0.408mmol)を、DMF(2ml)中の調製物35の不純な生成物(122mg、0.340mmol)およびCsCO(133mg、0.408mmol)に加え、反応を90℃で4時間加熱し、その後、終夜冷却した。反応を酢酸エチルと水との間で分配し、酢酸エチル抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて、約150mgまでの黄色油状物が得られた。残渣を、100%のヘプタンから100%の酢酸エチルの勾配で溶出させる4gのISCO(登録商標)カラム上で精製して、表題化合物が得られた(68mg、0.143mmol、24%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 1.27〜1.37(m,2H)、1.45(s,9H)、1.56〜1.60(m,2H)、1.69〜1.75(m,2H)、1.92〜1.95(m,2H)、2.65〜2.73(m,2H)、5.92(s,1H)、6.30(d,1H)、6.91(d,1H)、7.00〜7.03(m,2H)、7.08(d,1H)、7.14〜7.18(m,2H)。
LRMS m/z(APCI)473[M+H]
【0335】
(b){2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸
【0336】
【化41】

3:1のDCM:TFA(1.3ml)をステップ(a)の生成物に加え、混合物を窒素雰囲気下で7時間攪拌した後、真空下で蒸発させた(浴温度は60℃)。100%のヘプタンから100%の酢酸エチルの勾配で溶出させる4gのISCO(登録商標)カラム上で精製して、表題化合物が白色固形物として得られた(18mg、0.043mmol、54%)。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 1.21〜1.29(m,2H)、1.51〜1.64(m,4H)、1.92(d,2H)、2.64〜2.71(m,2H)、4.63(s,2H)、6.31(d,1H)、6.92(s,1H)、7.01〜7.04(m,3H)、7.08(d,1H)7.15〜7.20(m,1H)、7.54(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)417[M+H]
【0337】
(実施例24)
(a)tert−ブチル{4−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}アセテート
【0338】
【化42】

表題化合物(25mg、0.534mmol、33%)を、調製物36の生成物(57mg、0.16mmol)から開始して、実施例23のステップ(a)と同様の様式で調製した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 1.20〜1.30(m,2H)、1.49(s,9H)、1.64〜1.74(m,2H)、1.80〜1.91(m,4H)、2.46〜2.54(m,2H)、4.50(s,2H)、5.78(s,1H)、6.32(d,1H)、6.88〜6.93(m,4H)、7.10(広幅 s,1H)、7.11(d,1H)。
LRMS m/z(APCI)473[M+H]
【0339】
(b){4−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸
【0340】
【化43】

表題化合物(10mg、0.024mmol、45%)を、ステップ(a)の生成物(25mg、0.053mmol)から開始して、実施例23と同様の様式で調製した。
H−NMR(400MHz,CDOD)δ 1.22〜1.28(m,2H)、1.59〜1.66(m,2H)、1.72(d,2H)、1.86(d,2H)、2.50〜2.58(m,2H)、4.66(s,2H)、6.37(d,1H)、6.94〜7.00(m,4H)、7.19(d,1H)。
LRMS m/z(ESI)417[M+H]
【0341】
(実施例25)
メチル2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロベンゾエート
【0342】
【化44】

実施例6の生成物(1g、2.47mmol)をメタノール(50ml)に懸濁させ、HSO(0.5ml)を滴下した。その後、反応を還流下で72時間加熱した。メタノールが完全に蒸発し、白色固形物およびHSOが残った。水を加え、固形物を濾過し、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(920mg、2.19mmol、88.9%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.12(m,1H)、1.44(m,2H)、1.60(m,1H)、1.71〜1.88(m,4H)、2.56(m,2H)、3.70(s,3H)、6.00(d,1H)、7.10(s,NH)、7.15(d,1H)、7.43(m,1H)、7.64(t,1H)、7.77(d,1H)、8.17(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)419[M+H]
【0343】
(調製物1)
8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イルトリフルオロメタンスルホネート
【0344】
【化45】

8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)、14(18)、4627〜4632に記載のように調製)(5.0g、18.7mmol)をTHF(70ml)に溶かし、水素化ナトリウム(60%の油中分散液、0.790g、20.6mmol)を少量ずつ加えた。非常に穏やかな発泡が見られた。添加が完了した後、懸濁液を40℃で30分間温め、その後、室温まで冷却した。THF(30ml)中のN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(8.04g、22.5mmol)の溶液を滴下した(発熱が観察された)。反応を室温で2時間攪拌し、さらなるN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(0.670g、1.87mmol、THF中の5mlの溶液として)を加え、攪拌を18時間続けた。混合物を酢酸エチル(150ml)で希釈し、水(150ml)、2MのNaOH(2×150ml)および飽和ブライン(100ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。室温で静置した後、生成物が沈殿した。生成物を濾過によって収集し、酢酸エチル(50ml)およびジエチルエーテル(50ml)で洗浄して、4.63gの白色固形物が得られた。母液の体積を約100mlまで減少させて、さらなる生成物を沈殿させた。両方の収集物を合わせ、50℃、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(6.19g、15.5mmol、82%)。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ 1.31〜2.27(10H,m)、5.51(1H,広幅 s)、6.93(1H,d)、7.19(1H,広幅 s)、7.33(1H,d)。
LRMS m/z(ESI)399[M+H]
【0345】
(調製物2)
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)]−2−フルオロベンゾニトリル
【0346】
【化46】

トルエン(140ml)およびメタノール(20ml)中の調製物1の生成物(9.08g、22.8mmol)、3−シアノ−4−フルオロフェニルボロン酸(5.63g、34.2mmol)および2Mの炭酸ナトリウム水溶液の混合物に、室温で、アルゴンを1時間パージした。混合物を100℃まで加熱し、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(1.32g、1.14mmol)をアルゴン下で加え、混合物を6時間、激しく攪拌し、冷ました。混合物をヘプタン(300ml)および水(200ml)中に注ぎ、30分間攪拌した。生じた固形物を濾過によって収集し、水、ヘプタンおよび最終的にジエチルエーテル(3×50ml)で洗浄し、空気乾燥後に褐色固形物(9.48g)が得られた。固形物を、ジクロロメタン:酢酸エチル(9:1)で溶出させるシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸:水から再結晶化させて、表題化合物が1:1の酢酸溶媒和物として、淡褐色固形物として得られた(7.27g、19.65mmol、86%)。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ 0.85(m,1H)、1.25(m,2H)、1.51(m,3H)、1.63(m,2H)、1.85(m,2H)、5.48(s,1H)、6.59(d,1H)、7.28(d,1H)、7.37(s,1H)、7.49(m,3H)。
LRMS m/z(ESI)370[M+H]
【0347】
(調製物3)
3−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)]ベンゾニトリル
【0348】
【化47】

表題化合物(27mg、0.076mmol、61%)を、調製物1の生成物(50mg、0.13mmol)および3−シアノフェニルボロン酸から開始して、調製物2と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.64〜1.64(m 10H)、6.60(d,1H)、6.83(広幅 s,1H)、7.34(d,1H)、7.61(d,2H)、7.78(広幅 s,1H)、7.87(m,1H)、8.45(広幅 s,1H)
LRMS m/z(ESI)352[M+H]
【0349】
(調製物4)
4−(8’−クロロ−2’−メチレン−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)−2−フルオロベンズアルデヒド
【0350】
【化48】

ジメトキシエタン(1ml)中の調製物1の生成物(100mg、0.502mmol)、3−フルオロ−4−ホルミルフェニルボロン酸(126mg、0.376mmol)、NaCO(0.376mlの2Mの水溶液)の溶液に、マイクロ波チューブ中で、塩化ビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(II)(17.6mg、0.025mmol)を加えた。チューブを窒素でパージし、その後、マイクロ波反応器内で30分間、120℃で加熱した。さらなるボロン酸(84mg、1当量)およびPd(PPh)Cl(17.6mg、0.05当量)を加え、反応をマイクロ波に15分間、120℃に戻した。溶媒を真空下で除去し、残渣を2MのNaOH(15ml)と酢酸エチル(15ml)との間で分配し、2MのNaOH(15ml)でさらに洗浄した。その後、有機物をMgSOで乾燥させ、ヘプタン中の0〜40%の酢酸エチルで溶出させる12gのISCO(登録商標)カラム上で精製して、表題化合物が白色固形物として得られた(15mg、0.0402mmol、8%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ 1.24〜1.63(8H,m)、1.85(2H,t)、6.62(1H,d)、7.08(1H,d)、7.16(1H,d)、7.28(1H,m)、7.90(1H,t)、10.42(1H,s)。
LRMS m/z(ESI)373[M+H]
【0351】
(調製物5)
8’−クロロ−5’−(3−ヒドロキシフェニル)−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0352】
【化49】

表題化合物(274mg、0.8mmol、64%)を、(調製物1の生成物(500mg、1.254mmol)および3−ヒドロキシフェニルボロン酸から開始して、調製物2と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.71(m,1H)、1.25(m,2H)、1.41(m,3H)、1.59(m,4H)、6.62(m,3H)、6.75(m,2H)、7.16(m,1H)、7.28(d,1H)、8.30(s,1H)、9.53(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)343[M+H]
【0353】
(調製物6)
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロベンゾニトリル
【0354】
【化50】

DMF(250ml)中の8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)、14(18)、4627〜4632に記載のように調製)(30.0g、112mmol)の部分溶液に、炭酸セシウム(55.0g、169mmol)および2,3−ジフルオロベンゾニトリル(12.5g、135mmol)を、DMF(50ml)中の溶液として一度に加え、混合物を80℃で20時間加熱した。反応を冷却し、水(400ml)を加え、懸濁液を2時間攪拌した。生じた固形物を濾過によって収集し、水(100ml)で洗浄し、空気乾燥させ、その後、水(100ml)と共に攪拌し、濾過し、空気乾燥させた。濾液が無色になるまでこれを繰り返した(合計3回)。オフホワイト色固形物を50℃、真空下で乾燥させて、表題化合物が得られた(42.9g、111mmol、99%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.15(m,1H)、1.49(m,2H)、1.61(m,1H)、1.81(m,4H)、2.43(m,2H)、6.20(d,1H)、7.17(s,1H)、7.23(d,1H)、7.51(m,1H)、7.83(d,2H)、8.33(s,1H)。
LRMS m/z 386[M+H]
【0355】
(調製物7)
(a)8’−クロロ−5’−メトキシ−1’H−スピロ[シクロペンチル−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0356】
【化51】

2−クロロ−5−メトキシフェニル尿素(WO02/074754、中間体5)(22.04g、0.11mol)に、イートン試薬(メタンスルホン酸中に酸化リン(V)の7.7重量%の溶液)(440.8ml)を加え、続いてシクロペンタノン(19.5ml、0.22mol)を加え、生じた溶液を85℃で4時間加熱した。反応を約5℃まで冷却し、温度を20〜30℃の間に保ちながら水を注意深く加えた。その後、ジクロロメタン(合計400ml)およびブライン(200ml)を加え、相を分離した。水相をジクロロメタン(2×100ml)で洗浄し、有機抽出物を合わせ、真空下で蒸発させて、濃色油状物が得られ、これを、ジクロロメタン:メタノール(95:5から90:10)で溶出させるシリカクロマトグラフィーカラム上で精製して、生成物が濃褐色固形物として得られた。固形物をジエチルエーテルおよびペンタンで粉砕し、濾過によって収集し、乾燥させて、表題化合物が褐色固形物として得られた(27.17g、0.1mol、92%)。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 1.7〜1.8(m,6H)、2.4〜2.5(m,2H)、3.7(s,3H)、5.75(br s,1H)、6.4(d,1H)、7.05(s,1H)、7.15(d,1H)。
LRMS m/z(APCI)267[M+H]
【0357】
(b)8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0358】
【化52】

ステップ(a)の化合物(25g、0.093mol)に酢酸(250ml)を加え、続いて48%の臭化水素酸水溶液(207ml、1.86mol)を一度に加え、生じた溶液を115℃で7日間攪拌した。反応混合物を100℃まで冷却し、水(207ml)を滴下した。混合物を真空下で濃縮して褐色固形物を沈殿させて、これを濾過によって収集し、水(2×100ml)で洗浄した。静置後、生成物の第2の部分が濾液から得られた。生成物の合わせた部分を、トルエン(150ml)でスラリー化することによって乾燥させ、真空下で3回溶媒を除去して、灰色固形物が得られ、これをシリカ上に事前に吸着させ、ジクロロメタン:メタノール(98:2から95:5から80:20)で溶出させるカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物の画分を真空下で濃縮し、生じた固形物をペンタンで粉砕し、濾過して、表題化合物が褐色固形物として得られた(10g、0.0395mol、42%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.6〜1.8(m,6H)、2.3〜2.4(m,2H)、6.4(d,1H)、7.11(d,1H)、7.2(s,1H)、7.8(s,1H)、9.9(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)253[M+H]
【0359】
(調製物8)
2−{(8’−クロロ−2’オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロベンゾニトリル
【0360】
【化53】

表題化合物(27.2g、73mmol、92%)を、調製物7の生成物(20g、79mmol)および2,3−ジフルオロベンゾニトリルから開始して、調製物6と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSOd−,400MHz)δ 1.63(m,2H)、1.84(m,4H)、2.36(m,2H)6.19(d,1H)、7.21(d,1H)、7.48(s,1H)、7.52(m,1H)、7.82(m,2H)、8.36(s,1H)。LRMS m/z(ESI)372[M+H]
【0361】
(調製物9)
3−クロロ−2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0362】
【化54】

表題化合物(550mg、1.37mmol、73%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)、14(18)、4627〜4632に記載のように調製)(500mg、1.87mmol)および3−クロロ−2−フルオロベンゾニトリルから開始して、調製物6と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.19(m,1H)、1.48(m,2H)、1.61(m,1H)、1.82(m,4H)、2.77(m,2H)、5.99(d,1H)、7.13(広幅 s,1H)、7.20(d,1H)、7.55(t,1H)、8.00(m,2H)、8.16(広幅 s,1H)。
LCMS(ESI)403[M+H]
【0363】
(調製物10)
3−クロロ−2−[(8’−フルオロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0364】
【化55】

表題化合物(14.1g、36.5mmol、97%)を、8’−フルオロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(WO2004/026818、中間体cに記載)(10g、37mmol)および3−クロロ−2−フルオロベンゾニトリルから開始して、調製物7と同様の様式で調製した。
HNMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.13(m,1H)、1.48(m,2H)、1.61(m,1H)、1.75〜1.86(m,4H)、2.53(m,2H)、5.87(m,1H)、6.93(広幅 s,1H)、6.97(t,1H)、7.51(t,1H)、7.98(m,2H)、9.14(広幅 s,1H)。LRMS m/z(ESI)386[M+H]
【0365】
(調製物11)
5−フルオロ−2−[(8’−フルオロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0366】
【化56】

表題化合物(1.38g、3.73mmol、92%)を、8’−フルオロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ−[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(WO2004/026818、中間体cに記載)(1.0g、4.0mmol)および2,5−ジフルオロベンゾニトリルから開始して、調製物10の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.12(m,1H)、1.44(m,2H)、1.60(m,1H)、1.80(m,4H)、2.43(m,2H)、6.18(m,1H)、7.00(m,2H)、5.50(m,1H)、7.79(m,2H)、9.19(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)370[M+H]
【0367】
(調製物12)
5−フルオロ−2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0368】
【化57】

表題化合物(10.53g、27mmol、91%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)、14(18)、4627〜4632に記載のように調製)(8.0g、30.0mmol)および2,5−ジフルオロベンゾニトリルから開始して、調製物6の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.10(m,1H)、1.43(m,2H)、1.60(m,1H)、1.77(m,4H)、2.20(m,2H)、6.53(d,1H)、7.10(m,1H)、7.13(s,1H)、7.34(d,1H)、7.56(m,1H)、7.93(m,1H)、8.36(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)386[M+H]
【0369】
(調製物13)
5−フルオロ−2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0370】
【化58】

表題化合物(4.4g、11.8mmol、60%)を、調製物7の化合物(5.0g、19.6mmol)および2,5−ジフルオロベンゾニトリルから開始して、調製物8の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.60(m,2H)、1.81(m,4H)、2.20(m,2H)、6.46(d,1H)、7.21(m,1H)、7.30(d,1H)、7.44(s,1H)、7.58(m,1H)、7.92(m,1H)、8.37(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)372[M+H]
【0371】
(調製物14)
3−フルオロ−2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0372】
【化59】

表題化合物(27.2g、73.7mmol、92%)を、調製物7の化合物(20.0g、79.1mmol)および2,3−ジフルオロベンゾニトリルから開始して、調製物8の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.65(広幅 s,2H)、1.85(広幅 s,5H)、3.30(広幅 s,1H)、6.21(d,1H)、7.23(d,1H)、7.48(s,1H)、7.49〜7.55(m,1H)、7.79〜7.84(m,2H)8.33(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)372[M+H]
【0373】
(調製物15)
3−クロロ−2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0374】
【化60】

表題化合物(6.19g、15.9mmol、99%)を、調製物7の化合物(4.2g、16.01mmol)および2−フルオロ−3−クロロベンゾニトリルから開始して、調製物8の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.68(広幅 s,2H)、1.80(m,4H)、2.57(m,2H)、5.97(d,1H)、7.19(d,1H)、7.43(s,1H)、7.50(m,1H)、8.00(m,2H)、8.11(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)388[M+H]
【0375】
(調製物16)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0376】
【化61】

表題化合物(6.74g、19.1mmol、100%)を、調製物7の化合物(5.0g、19.1mmol)および2−フルオロベンゾニトリルから開始して、調製物8の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.58〜1.66(m,2H)、1.78〜1.87(m,4H)、2.17〜2.26(m,2H)、6.51(d,1H)、7.14(d,1H)、7.30〜7.35(m,2H)、7.45(s,1H)、7.67〜7.72(m,1H)、7.91〜7.93(m,1H)、8.38(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)354[MH]
【0377】
(調製物17)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゾニトリル
【0378】
【化62】

表題化合物(99.48g、270mmol、96%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)、14(18)、4627〜4632に記載のように調製)(75.0g、281mmol)および2−フルオロベンゾニトリルから開始して、調製物6の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 1.24〜1.35(m,1H)、1.47〜1.76(m,5H)、1.91〜1.95(m,2H)、2.31〜2.40(m,2H)、5.59(s,1H)、6.46(d,1H)、6.95(d,1H)、7.14(s,1H)、7.21〜7.26(m,2H)、7.53〜7.58(m,1H)、7.71〜7.73(m,1H)。
LRMS m/z(ESI)368[M+H]
【0379】
(調製物18)
8’−クロロ−5’−(2−フルオロ−6−ニトロフェノキシ)−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0380】
【化63】

表題化合物(346mg、0.853mmol、68%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)に記載のように調製)(200mg、1.26mmol)および2,3−ジフルオロニトロベンゼンから開始して、調製物6の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.11〜1.20(m,1H)、1.44〜1.51(m,2H)、1.57〜1.62(m,1H)、1.73〜1.85(m,4H)、2.33〜2.39(m,2H)、6.24(d,1H)、7.12(s,1H)、7.21(d,1H)、7.55〜7.63(m,1H)、7.83〜7.88(m,1H)、8.02〜8.04(m,1H)、8.26(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)406[M+H]
【0381】
(調製物19)
5’−(2−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−8’−クロロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0382】
【化64】

酢酸(4ml)中の調製物18の化合物(125mg、0.308mmol)を、炭素担持硫化白金(6mg、0.0308mmol)で、1atmの水素下、50℃で水素化した。触媒を濾過によって除去し、酢酸で洗浄した。水を加えることで懸濁液が生じ、これをNaOHペレットで塩基性化した。生じたわずかにピンク色の固形物を濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物が得られた(78mg、0.207mmol、67%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.10〜1.21(m,1H)、1.45〜1.52(m,2H)、1.59〜1.65(m,1H)、1.71〜1.87(m,4H)、2.54〜2.62(m,2H)、5.22(s,2H)、6.09(d,1H)、6.43〜6.47(m,1H)、6.65(d,1H)6.92〜6.97(m,1H)、7.05(s,1H)、7.19(d,1H)、8.11(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)376[M+H]
【0383】
(調製物20)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンズアルデヒド
【0384】
【化65】

表題化合物(180mg、0.485mmol、65%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)に記載のように調製)(200mg、0.75mmol)および2−フルオロベンズアルデヒドから開始して、調製物6の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 152〜1.66(m,2H)、1.70〜1.80(m,4H)、1.97〜2.06(m,2H)、2.38〜2.40(m,2H)、5,69(s,1H)、6.46(d,1H)、6.97(d,1H)、7.21(s,1H)、7.26(d,1H)、7.31〜7.35(m,1H)、7.62〜7.66(m,1H)、8.02〜8.04(m,1H)、10.51(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)371[M+H]
【0385】
(調製物21)
4−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンズアルデヒド
【0386】
【化66】

表題化合物(750mg、2.02mmol、67%)を、8’−クロロ−5’−ヒドロキシ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett、(2004)に記載のように調製)(800.0mg、3.0mmol)および4−フルオロ−ベンズアルデヒドから開始して、調製物6の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 0.99(m,1H)、1.39(m,2H)、1.57(m,1H)、2.75(m,4H)、2.13(m,2H)、6.53(d,1H)、7.07(s,NH)、7.18(m,2H)、7.36(d,1H)、7.92(d,1H)、8.35(s,NH)、9.93(s,1H)。
LCMS m/z(ESI)371[M+H]
【0387】
(調製物22)
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロベンゼカルボキシイミドヒドラジド
【0388】
【化67】

DMF(230ml)中の調製物6の生成物(23g、60mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(5.78mL、1119mmol)を加え、続いて五硫化リン(660mg、2.98mmol)を加え、反応を70℃で6時間まで加熱した。ヒドラジン水和物のさらなる部分(2.89ml、60mmol)を加え、反応を18時間続けた。反応を室温まで冷却し、激しく攪拌しながら水(500ml)中にゆっくりと注いだ。生じた固形物を濾過によって収集した。固形物を砕き、水中で攪拌して過剰量のDMFを除去し、濾過し、空気乾燥させて、淡黄色固形物が得られ(19.3g、46mmol、77%)、これをさらに処理せずに使用した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.18〜1.24,1.43〜1.59および1.65〜1.83(3x m,8H)、2.56〜2.64(m,2H)、4.81(s,2H)、5.46(s,2H)、5.99〜6.02(m,1H)、7.04(s,1H)、7.12(d,1H)、7.27〜7.37(m,3H)、8.10(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)418[M+H]
【0389】
(調製物23)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−5−フルオロベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0390】
【化68】

DMF(10ml)中の調製物12の生成物(5.80g、15.0mmol)の溶液に、室温で、ヒドラジン水和物(3.66ml、75mmol)を加え、続いてP(167mg、0.75mmol)を加え、生じた緑色反応混合物を70℃で5時間まで加熱し、その後、終夜、室温まで冷却させた。水(60ml)を滴下し、白色乳濁液を1時間攪拌した。その後、クリーム色懸濁液を水(300ml)中に注ぎ、さらに1時間攪拌した。生じた固形物を濾過によって収集し、水で十分に洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(6.01g、14.3mmol、95%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz,)δ 1.16(m,2H)、1.42(m,2H)、1.53(m,1H)、1.68〜1.85(m,3H)、2.39(m,2H)、4.91(広幅 s,2H)、5.47(s,2H)、6.24(d,1H)、6.91(m,1H)、7.04(s,1H)、7.14(m,1H)、7.21(d,1H)、7.29(m,1H)、8.17(広幅 s,1H)。
LCMS(ESI)418[M+H]
【0391】
(調製物24)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0392】
【化69】

表題化合物(150mg、0.37mmol、55%)を、調製物11の生成物(250mg、0.677mmol)から開始して、調製物23の化合物と同様の様式で調製した。
LRMS m/z(ESI)402[M+H]、(APCI)402[M+H]
【0393】
(調製物25)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−5−フルオロベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0394】
【化70】

表題化合物(300mg、0.74mmol、69%)を、調製物13の生成物(396mg、1.07mmol)から開始して、調製物23の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.57〜1.80(m,6H)、2.22〜2.45(m,2H)、4.82(s,2H)、5.39(s,2H)、6.19(d,1H)、6.97(m,1H)、7.18(m,2H)、7.27(m,1H)、7.35(s,NH)、8.17(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)404[M+H]
【0395】
(調製物26)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0396】
【化71】

表題化合物(1.6g、3.9mmol、33%)を、調製物14の生成物(4.4g、12.0mmol)から開始して、調製物23の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.66〜1.82(m,7H)、2.60(広幅 s,1H)、4.81(広幅 s,2H)、5.39(広幅 s,2H)、6.01(d,1H)、7.12(d,1H)、7.29〜7.37(m,4H)、8.07(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)404[M+H]
【0397】
(調製物27)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−クロロベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0398】
【化72】

表題化合物(7.0g、粗、定量的)を、調製物15の生成物(6.19g、15.94mmol)から開始して、調製物23の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.63〜1.82(m,6H)、2.67(m,2H)、4.72(広幅 s,2H)、5.38(広幅 s,2H)、5.82(d,1H)、7.07(d,1H)、7.32(m,2H)、7.42(m,1H)、7.57(m,1H)、8.05(広幅 s,1H)。
LRMS m/z(ESI)420[M+H]
【0399】
(調製物28)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンズアミド
【0400】
【化73】

濃HSO(90ml)を、水(30ml)に懸濁させた調製物16の生成物(6.77g、19.1mmol)に加え、生じた褐色溶液を100℃まで約1時間加熱し、室温まで冷却し、水(200ml)中に注いだ。生じた固形物を濾過によって収集し、最初に2NのNaOH(200ml)で、その後、水で洗浄し、空気乾燥させ、その後、真空下、70℃で乾燥させて、表題化合物がベージュ色固形物として得られた(6.04g、16.2mmol、85%)。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz)δ 1.57〜1.63(m,2H)、1.71〜1.82(m,4H)、2.25〜2.34(m,2H)、6.33(d,1H)、6.94(d,1H)、7.19〜7.24(m,2H)、7.35(s,1H)、7.40〜7.45(m,2H)、7.56(広幅 s,1H)7.58〜7.61(m,1H)、8.20(広幅 s,1H)。
LRMS m/z(APCI)372[M+H](ESI)372[M+H]
【0401】
(調製物29)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0402】
【化74】

a)メチル2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミデート
【0403】
【化75】

トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(2.64g、17.9mmol)を、DCM(300ml)中の調製物28の生成物(6.04g、16.2mmol)に室温で加え、生じた懸濁液を窒素雰囲気下で18時間攪拌した。メタノール(3ml)を加えて過剰量のトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートを反応停止させ、10分間攪拌した。生成物をステップb)で直接使用した。
【0404】
b)2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0405】
【化76】

ヒドラジン水和物(2.4ml、48.7mmol)を、ステップa)で得られた溶液に加え、混合物を50℃で加熱した。4時間後、反応を真空下で蒸発乾固した。2NのHClを加え、その後、混合物を酢酸エチルと洗浄した。HCl水溶液をNaOHペレットで塩基性化し(発熱性)、生成物を酢酸エチル中に抽出した。有機抽出物をブラインで逆洗し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、表題化合物が得られ(2.18g、5.65mmol、35%)、これをさらに精製せずに使用した。
LRMS(APCI)386[M+H](ESI)386[M+H]
【0406】
(調製物30)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンズアミド
【0407】
【化77】

表題化合物(11.3g、粗、定量的)を、調製物17の生成物(10.4g、28.3mmol)から開始して、調製物28の化合物と同様の様式で調製した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.09〜1.19(m,1H)、1.41〜1.43(m,2H)、1.54〜1.58(m,1H)、1.70〜1.84(m,4H)、2.30〜2.37(m,2H)、6.38(d,1H)、6.88(d,1H)、7.05(s,1H)、7.19〜7.23(m,1H)、7.28(d,1H)7.40〜7.44(m,1H)、7.49(s,1H)、7.60〜7.62(m,2H)、8.22(s,1H)。
LRMS(ESI)386[M+H]
【0408】
(調製物31)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0409】
【化78】

a)メチル2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミデート
【0410】
【化79】

調製物30の生成物(6.15g、15.9mmol)をDCM(250ml)に懸濁させ、その後、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(2.48g、16.7mmol)を一度に加え、反応を室温で攪拌した。4時間後、メタノールを加えてトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートを反応停止させた。生成物をステップb)で直接使用した。
LRMS m/z(APCI)400[M+H]、(ESI)400[M+H]
【0411】
b)2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]ベンゼンカルボキシイミドヒドラジド
【0412】
【化80】

ヒドラジン水和物(2.32ml、47.8mmol)を、ステップa)からの懸濁液に加え、生じた透明なオレンジ色−黄色溶液を室温で18時間攪拌した。2NのHClを反応混合物に加え、これにより、大量の物質がガムとして分離した。溶液を傾瀉し、HClで逆洗して残った生成物をすべて抽出した。その後、ガムをメタノール/酢酸エチルで溶かし、HCl洗浄液に加え、pH1を確実にするためにさらなる2NのHClを加えた。相を分離し、酸性の水相をNaOHペレットでpH>12まで塩基性化して、青色の呈色が生じた。生成物を酢酸エチル中に抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて、表題化合物がかすかに青色の固形物として得られ(3.77g、9.42mmol、59%)、これをさらに精製せずに使用した。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.09〜1.19(m,1H)、1.41〜1.43(m,2H)、1.54〜1.58(m,1H)、1.70〜1.84(m,4H)、2.30〜2.37(m,2H)、6.38(d,1H)、6.88(d,1H)、7.05(s,1H)、7.19〜7.23(m,1H)、7.28(d,1H)7.40〜7.44(m,1H)、7.49(s,1H)、7.60〜7.62(m,2H)、8.22(s,1H)。
LRMS m/z(ESI)386[M+H]
【0413】
(調製物32)
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(ヒドロキシメチル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0414】
【化81】

実施例25の生成物(520mg、1.24mmol)をTHF(10ml)に溶かし、これにTHF中の2MのLiBH(1.24ml、2.48mmol)を滴下した。その後、反応を80℃まで加熱した後、2滴のメタノールを加えた。その後、反応を還流下に18時間置いた。白色沈殿物が形成され、フラスコの底でケークとなった。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)を加え、生成物を酢酸エチル(20ml)中に抽出した。有機物をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、表題化合物が白色固形物として得られた(370mg、0.95mmol、76.3%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.12(m,1H)、1.44(m,2H)、1.59(m,1H)、1.68〜1.84(m,4H)、2.54(mは、DMSOピークで不明確,2Hと推定)、4.38(dd,1H)、4.51(dd,1H)、5.27(t,1H)、6.00(d,1H)、7.11(s,NH)、7.18(d,1H)、7.30(m,1H)、7.39(d,1H)、8.18(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)391[M+H]
【0415】
(調製物33)
8’−クロロ−5’−[2−(クロロメチル)−6−フルオロフェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0416】
【化82】

調製物32の生成物(370mg、0.5mmol)およびピリジン(82mg、1.4mmol)をDCM(10ml)に溶かし、0℃まで冷却した後、塩化チオニル(146mg、1.23mmol)を加えた。反応を還流まで2時間加熱し、16時間かけて冷ました。水(20ml)を加え、DCMを真空下で蒸発させて、白色固形物を残りの水溶液から沈殿させた。これを濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(314mg、0.77mmol、81%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.16(m,1H)、1.44(m,2H)、1.59(m,1H)、1.68〜1.90(m,4H)、2.57(mは、DMSOピークで不明確,2Hと推定)、4.62(d,1H)、4.74(d,1H)、6.05(d,1H)、7.15(s,NH)、7.19(d,1H)、7.32(m,1H)、7.40(m,1H)、7.43(d,1H)、8.21(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)409[M+H]
【0417】
(調製物34)
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}アセトニトリル
【0418】
【化83】

DMSO(2ml)中のシアン化ナトリウム(57mg、1.15mmol)の攪拌溶液に、DMSO(3ml)中の調製物33の生成物(314mg、0.77mmol)を滴下した。生じた溶液を室温で18時間攪拌した。水(15ml)を加えて白色沈殿物が生じ、これを濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(275mg、0.69mmol、89%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.20(m,1H)、1.44(m,2H)、1.57(m,1H)、1.70〜1.93(m,4H)、2.57(mは、DMSOピークで不明確,2Hと推定)、3.98(s,2H)、6.05(d,1H)、7.11(s,NH)、7.19(d,1H)、7.30〜7.41(m,3H)、8.22(s,NH)。
LCMS m/z(ESI)400[M+H]
【0419】
(調製物35)
8’−クロロ−5’−(2−ヒドロキシフェノキシ)−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0420】
【化84】

a)2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェニルホルメート
【0421】
【化85】

m−クロロ過安息香酸(136mg、0.1.54mmol)を、DCM(3ml)に懸濁させた調製物20の生成物(190mg、0.512mmol)に一度に加え、生じた溶液を室温、N下で18時間攪拌した。飽和NaSOを加えて過剰量の酸化剤を破壊した。NaHCOを加えることによって溶液を塩基性化し、DCMで3回抽出した。有機層をブラインで逆洗し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、185mgの不純な表題化合物が得られた。ポリマー担持カルボネートを用いた精製の試みは成功しなかった。したがって、ホルミルエステルを、エタノール中のHClで洗浄することによってポリマーから回収して、表題化合物が得られ(151mg)、これをさらに精製せずにステップb)で使用した。
【0422】
b)8’−クロロ−5’−(2−ヒドロキシフェノキシ)−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0423】
【化86】

ステップa)の生成物をメタノール(3ml)に取り、ナトリウムメトキシド(50mg)を加え、約1時間攪拌した。反応を真空下で濃縮し、DCMと2NのHClとの間で分配した。有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させた。100%のヘプタンから100%の酢酸エチルの勾配で溶出させる4gのISCO(登録商標)カートリッジ上で精製して、それでも不純な表題化合物が得られ(122mg、0.339mmol、66%)、これをさらに処理せずに次のステップで使用した。
LRMS m/z(APCI)357[M−H]、(ESI)357[M−H]
【0424】
(調製物36)
8’−クロロ−5’−(4−ヒドロキシフェノキシ)−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン
【0425】
【化87】

表題化合物(57mg、0.16mmol、31%)を、調製物21の生成物(190mg、0.51mmol)から開始して、調製物35と同様の様式で調製した。
H−NMR(CDCl,400MHz)δ 1.22〜1.30(m,2H)、1.46〜1.56(m,1H)、1.64〜1.73(m,3H)、1.87〜1.91(m,2H)、2.47〜2.55(m,2H)、5.56(s,1H)、6.31(d,1H)、6.82〜6.89(m,4H)、7.06(広幅 s,1H)、7.10(d,1H)。
LRMS m/z(APCI)359[M+H]
【0426】
(調製物37)
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンカルボキシイミドアミド
【0427】
【化88】

カリウムtert−ブトキシド(291mg、2.59mmol)を、DMSO(1.7ml)中の塩酸ヒドロキシルアミンの懸濁液に、室温で少量ずつ加え、30分間攪拌した。調製物6の生成物を一度に加えて、混濁した溶液が得られ、これを60℃で18時間まで加熱し、室温まで冷却し、水を加え、懸濁液を超音波浴中で動揺した。生成物を濾過によって収集し、空気乾燥させて、表題化合物が白色固形物として得られた(100mg、0.238mmol、92%)。
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ 1.19〜1.27(m,1H)、1.46〜1.84(m,7H)、2.55〜2.63(m,2H)、5.75(s,2H)、6.05(d,1H)、7.07(広幅 s,1H)、7.15(d,1H)、7.34〜7.46(m,3H)、8.13(広幅 s,1H)、9.46(s,1H)。
LRMS m/z(APCI)419[M+H]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ
[式中、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1、2または3であり、
Xは、O、SまたはN−CNであり、
は、ハロゲンまたはCNであり、
Aは、単結合、CH、OまたはSであり、
Bは、単結合、CHまたはOCHであり、
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)、OH、(C1〜6)アルコキシ、(C1〜6)アルキルチオまたはCNであり、
は、以下の基(i)〜(x)から選択され:
【化2】

Rは、Hまたは(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)であり、
R’は、(C1〜6)アルキル(1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい)である]。
【請求項2】
mが0または1である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
nが0または1である、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項4】
XがOである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項5】
がFまたはClである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項6】
Aが単結合またはOである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項7】
Bが単結合である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項8】
がFまたはClである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項9】
が、基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項10】
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)]−2−フルオロ安息香酸;
3−(8’−クロロ−2−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル安息香酸;
5−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−4’−イル)]−2−フルオロ安息香酸;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−3−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
[3−(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)フェノキシ]酢酸;
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}−3−フルオロ安息香酸;
2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−5’−オキシ}−3−フルオロ安息香酸;
3−クロロ−2−{(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸;
3−クロロ−2−{(8’−フルオロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ}安息香酸;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−クロロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロ−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド;
N−{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド;
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}酢酸;
{2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸;
{4−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]フェノキシ}酢酸;
メチル 2−[(8’−クロロ−2’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−5’−イル)オキシ]−3−フルオロベンゾエート;
から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項11】
8’−クロロ−5’−[2−フルオロ−6−(2H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[4−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−フルオロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[6−クロロ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
8’−クロロ−5’−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェノキシ]−1’H−スピロ[シクロヘキサン−1,4’−キナゾリン]−2’(3’H)−オン;
から選択される化合物またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグと、薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬品として使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項14】
PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態を治療するための医薬品の製造における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグの使用。
【請求項15】
疾患または状態が疼痛である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
疼痛が神経因性疼痛である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態を治療するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項18】
疾患または状態が疼痛である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項19】
疼痛が神経因性疼痛である、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグ。
【請求項20】
有効量の、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、多型体もしくはプロドラッグを投与することを含む、PDE7阻害剤による治療に関連する疾患または状態の治療方法。
【請求項21】
疾患または状態が疼痛である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
疼痛が神経因性疼痛である、請求項21に記載の方法。


【公表番号】特表2010−527986(P2010−527986A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508925(P2010−508925)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001295
【国際公開番号】WO2008/142550
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】