説明

スピンドルケース用パッケージ

【課題】 スピンドルケースに対応したパッケージ(スピンドルケース用パッケージ)を提供することにある。
【解決手段】 スピンドルケース用パッケージ10は、スピンドルケース80を収容する収容空間を備え、当該収容空間に形成されたスピンドルケース80を挿入するための開口部70にあって、挿入されたスピンドルケース80の上面81と対向する開口部70の一辺23から当該収容空間内へ傾斜する係止片21を備え、当該係止片21の先端部22がスピンドルケース80の上面円周方向へ形成された凸部82に当接することを特徴としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、CD・DVD(次世代DVDを含む。以下同じ)等のディスク型メディアの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するスピンドルケースを包装するためのスピンドルケース用パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CD・DVD等のディスク型メディアを収納するケースとしては種々のものがあるが、その1つに、スピンドルケースがある。スピンドルケースとはCD・DVDの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するケースである(特許文献1〜3等を参照)。このスピンドルケースの特徴は、大量(50枚や100枚など)のメディアをかさばらずに収納できる点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−01634号公報
【特許文献2】特開2006−01635号公報
【特許文献3】特開2006−36361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CD・DVD等のディスク型メディアをスピンドルケースに収納して出荷・販売する場合に、このスピンドルケースを包装するパッケージが必要になる。パッケージをしないでスピンドルケースのままで出荷・販売すると、このスピンドルケースが破損する危険性があるためである。
スピンドルケースのパッケージとしては、熱収縮フィルムを用いた「シュリンク包装」が考えられる。しかし、シュリンク包装には以下のような問題がある。
(1)販売時にフィルムが破損すると、販売できなくなる。
(2)包装費用(コスト)が高くつく。
(3)静電気によってフィルムにホコリやゴミが付着しやすい。
(4)作業時(シュリンク包装作業時)の効率が悪い。
(5)熱収縮フィルムを厚くして破損対策を実施すると、開封しにくい。
(6)熱収縮フィルムへの印刷ロットは、多量で在庫過多になる。
【0005】
そのため、「シュリンク包装」以外にスピンドルケースを簡単かつ確実さらに低コストでパッケージする技術が求められる。
そこで、本願発明者は、このスピンドルケースに対応したパッケージ(スピンドルケース用パッケージ)を提供することを目的として本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、CD・DVD等のディスク型メディアの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するスピンドルケースを包装するためのスピンドルケース用パッケージであって、当該スピンドルケース用パッケージは、スピンドルケースを収容する収容空間備え、当該収容空間に形成されたスピンドルケースを挿入するための開口部にあって、挿入されたスピンドルケースの上面と対向する開口部の一辺から当該収容空間内へ傾斜する係止片を備え、当該係止片の先端部がスピンドルケースの上面円周方向へ形成された凸部に当接することを特徴としたものである。
第2の発明は、係止片の先端部が、挿入されたスピンドルケースの上面と対向する当該収容空間の内壁側へ湾曲状又は折曲状に形成されたことを特徴とした同スピンドルケース用パッケージである。
第3の発明は、係止片は、挿入されたスピンドルケースの上面を被覆する当該収容空間の正面部上辺から当該収容空間内へ折り込まれ、または、当該収容空間の底面部を延伸して正面部裏側上辺から当該収容空間内へ折り込まれることを特徴とする同スピンドルケース用パッケージである。
第4の発明は、挿入されたスピンドルケースの側面を被覆する当該収容空間の側面部は、当該収容空間の開口部において膨らむことなくスピンドルケースの側面と密接していることを特徴とする同スピンドルケース用パッケージである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)スピンドルケース用パッケージの係止片が収容空間内を傾斜し、収容空間へ収容されたスピンドルケースの上面凸部に当接することで、この係止片が返し機能を発揮して収容空間からスピンドルケースの抜け落ち又は取り外しを防止できる。
(2)特に、係止片の先端部が湾曲状又は折曲状に形成されたことで、スピンドルケースとの当接面積が増えるとともに、係止片をスピンドルケース側へ不勢(係止片の湾曲状又は折曲状に形成された先端部によるスプリングバック機能=折り曲げ復元作用)するので、スピンドルケースとの当接の安定性・確実性が向上する。
(3)なお、係止片のスプリングバック機能は、上記(2)で記載したスピンドルケースの上面凸部に当接する先端部と、係止片を形成するために折り曲げた収容空間開口部の一辺との2箇所にあることで、スピンドルケースに密着する圧力が増幅され、より確実な収容空間からスピンドルケースの抜け落ち又は取り外しを防止できる。
(4)また、スピンドルケースの上面凸部に当接する先端部の湾曲又は折曲により、パッケージ係止片の強度が増し、引き抜き作用による係止片先端部(特に、上面凸部との当接部分)の変形(潰れ)による破損を防止できる。
(5)スピンドルケース用パッケージは、スピンドルケースの半分(中心点または中心点付近を通る中心線部分=直径部分の下半分)をカバー(被覆)することで、スピンドルケースの外周最大幅(最大径)部分を収容することになるので、収容されたスピンドルケースの転がり性やスピンドルケース用パッケージからの脱落を防止するとともに、パッケージ側面に発生する余分な空間を排除している(その効果は下記(8)に記載)。
(6)スピンドルケース自体は、樹脂成型時の収納性を高めるために、傾斜角(テーパー形状)を持っているので縦方向に自立できない。しかし、スピンドルケース用パッケージはスピンドルケースを立てて(縦方向に)収容するので、店頭での販売時に顧客に対してインパクトを与えたり、アピールできる。また、パッケージ部分に様々な情報や広告等を記載・印刷できる。
(7)係止片が正面部又は底面部を延伸したものを折り込むことで、簡単かつ確実さらに低コストで係止片を提供できる。
(8)収容空間の側面部が収容空間の開口部において膨らむことなくスピンドルケースの側面と密接していることで、確実にスピンドルケースの抜け落ち又は取り外しを防止できる。すなわち、収容空間の側面部がスピンドルケースの側面と密接していないと、収容空間の側面部が押されて、スピンドルケース用パッケージの正面部が脹らみやすくなりスピンドルケースの抜け落ち又は取り外しの原因となり得る。
(9)スピンドルケース用パッケージを紙製のものにすることで、パッケージの軽量化を図れるとともに、その他の余分な包装を不要にして環境負荷の少ないエコロジーなパッケージを提供できる。また、その結果、低コストで提供できる。
(10)スピンドルケース用パッケージからCD・DVD等のディスク型メディアが梱包されているスピンドルケースを取り出す際に、当該パッケージから取り出すためのミシン目をパッケージ側面部または正面部に、或いは係止片を形成する開口部の一辺に入れることで、容易にスピンドルケースを取り出すことができるようになる。
(11)スピンドルケース用パッケージの係止片を切り取ることで、円筒状のスピンドルケースを転がすことなく保管できる(スピンドルケース用パッケージを保管用ケースにできる)。
(12)スピンドルケース用パッケージにスピンドルケースを収容することで、樹脂成型されたスピンドルケースの落下破損を防止できる。
(13)スピンドルケース用パッケージの側面に、録音・録画等したCD・DVD等のディスク型メディアの記録内容を記載する欄を設けることで、保存内容が確認できる構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す斜視図。
【図2】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す縦断面図(その1)。
【図3】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す縦断面図(その2)。
【図4】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す横断面図。
【図5】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示すその他の斜視図。
【図6】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示すその他の斜視図。
【図7】本願発明に係るスピンドルケース用パッケージの使用状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す斜視図である。図1に示すように、スピンドルケース用パッケージ10は、CD・DVD等のディスク型メディアの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するスピンドルケース80を包装するためのパッケージである。このスピンドルケース用パッケージ10は、単に出荷時や販売時におけるスピンドルケース80の破損を防止するために設けられるだけでなく、以下のような目的・効果も提供できるものである。
(1)スピンドルケース80を立てて出荷できるため、搬送容器(段ボール箱等)に効率良く収納でき、搬送に適している(基本的にスピンドルケース80は平積状態で出荷されるため、収納した搬送容器内に隙間が多く残る欠点があった)。
(2)スピンドルケース80を立てて販売できるため、店頭で目立つように陳列でき、また、効率良く陳列できる(基本的にスピンドルケース80は店頭において平積であり、目立つように陳列できず、また、陳列しづらい欠点があった)。
(3)スピンドルケース80に十分な情報・広告スペースを提供できる(スピンドルケース80のみでは情報・広告スペースに限りがある)。
【0010】
スピンドルケース80を立てて収容する収容空間は、正面部20,背面部30,左右側面部40,50,底面部60から構成されており、底面部60に対向する部分にスピンドルケース80を挿入するための開口部70が形成されている。開口部70から収容空間に挿入されたスピンドルケース80は、簡単にこのスピンドルケース用パッケージ10が外れない構造になっている。その構造については、次の図2及び図3で詳細に説明する。なお、スピンドルケース用パッケージ10からスピンドルケース80を取り出すために、スピンドルケース用パッケージ10に切り口となるミシン目11などを入れてもよい。
また、スピンドルケース用パッケージ10の背面部30は、スピンドルケース80の下面85を全て覆うように形成するとよい。これによって、スピンドルケース80の破損防止・汚れ防止となる。但し、収容空間を構成する部分以外の背面部30は、スピンドルケース80と同じ形状であることが好ましい。スピンドルケースより大きいとパッケージの破損のおそれがあり、スピンドルケースより小さいと破損防止・汚れ防止効果が減少してしまうからである。
【0011】
図2及び図3は、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す縦断面図である。図2及び図3に示すように、挿入されたスピンドルケース80の上面81と対向する開口部70の一辺から当該収容空間内へ傾斜する係止片21,61を備え、当該係止片21,61の先端部22,62がスピンドルケース80の上面81円周方向へ形成された凸部82に当接する。すなわち、収容空間へ挿入されたスピンドルケース80に対して、この係止片21,61が返し機能を発揮して収容空間からスピンドルケース80の抜け落ち又は取り外しを防止できる。そして、図2の場合は、係止片21が正面部20の上辺23から収容空間内へ折り込まれる構造となっている。また、図3の場合は、係止片61が底面部60を延伸して正面部20裏側の上辺63から収容空間内へ折り込まれる構造となっている。
【0012】
ここで、係止片21,61の先端部22,62は、挿入されたスピンドルケース80の上面81と対向する収容空間の内壁側へ湾曲状又は折曲状に形成されるとよい。このようにすることで、スピンドルケース80(凸部82)との当接面積が増える。それとともに、係止片21,61の先端部22,62がスピンドルケース80の上面81と対向する収容空間の内壁に接触し、これがスプリング作用を発揮して係止片21,61をスピンドルケース80側へ不勢するので、スピンドルケース80(凸部82)との当接の安定性・確実性が向上するからである。
【0013】
図4は、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示す横断面図である。図4に示すように、スピンドルケース用パッケージ10(特に収容空間)は、スピンドルケース80と密着・密接していることが重要である。特に、収容空間を形成する左右側面部40,50とスピンドルケース80の間に間隙があると、この部分が指で押さえられることによって正面部20が外側へ膨らみ、係止片21,61とスピンドルケース80の凸部82との当接状況(係止状況)が無くなる。そのため、スピンドルケース80がスピンドルケース用パッケージ10から抜け落ち又は取り外されてしまう危険性があるからである。
【0014】
図5及び図6は、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージを示すその他の斜視図である。
図4で説明した通り、スピンドルケース用パッケージ10(特に収容空間)は、スピンドルケース80と密着・密接していることが重要である。そして、正面部20とスピンドルケース80(上面81)の間も同様に密着・密接していることが重要である。
このために、図5では、スピンドルケース80の中心部に形成された中央突起部83と接触する平面部20の部分を切取片25として切り取り可能とすることで、平面部20の膨らみを防止して、正面部20及び係止片21が中央突起部83に接触することなくスピンドルケース80(上面81)と密着・密接するようにしている。
【0015】
また、図6では、係止片21の折り込み部分(上辺23)に緩やかに湾曲する切れ込み24を入れたものである(図6(A)参照)。これにより、少なくとも係止片21は中央突起部83と接触することがなくなる。この時、平面部20は中央突起部83と接触することにはなるが、中央突起部83は凸部82と同じ高さであるため、平面部20が膨らむような状態にはならない。従って、スピンドルケース80(上面81)と密着・密接することができるとともに、中央突起部83を平面部20で保護することができる(図6(B)参照)。なお、図6は、係止片21で説明したが、係止片61の場合も同様に適用できる。
【0016】
図7は、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージの使用状態を示す説明図である。
図7(A)〜(C)に示す搬送容器90は、本願出願人によって発明・出願された搬送容器である(特願2008−193329号)。この搬送容器90は外段ボール(外装材)91と内段ボール(内装材)92からなる搬送容器であって、この搬送容器90にトレー93に載置されてスピンドルケース用パッケージ10,10,…が箱詰めされている。搬送容器90は、まず外段ボール(外装材)91を四方へ展開し(図7(B))、次に、内段ボール(内装材)92を取り外す(図7(C))。すると、トレー93に載ったスピンドルケース用パッケージ10,10,…が現れる(図7(D))。そして、このトレー93に載せたままの状態でスピンドルケース用パッケージ10を店頭に陳列し、販売することができる(図7(E))。販売員にとっては、本願発明に係るスピンドルケース用パッケージ10と本願出願人の発明・出願に係る搬送容器90とによって、スピンドルケースを極めて効率良く店頭に陳列し、販売できる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本願発明に係るスピンドルケース用パッケージは、CD・DVD等のディスク型メディアの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するスピンドルケースを包装するためのパッケージとして幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 スピンドルケース用パッケージ
11 ミシン目
20 正面部
21 係止片
22 先端部
23 上辺
24 切れ込み
25 切取片
30 背面部
40 右側面部
50 左側面部
60 底面部
61 係止片
62 先端部
63 上辺
70 開口部
80 スピンドルケース
81 上面
82 凸部
83 中央突起部
85 下面
90 搬送容器
91 外段ボール(外装材)
92 内段ボール(内装材)
93 トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD・DVD等のディスク型メディアの中心孔に軸を通して当該メディアを積み重ねて収納するスピンドルケースを包装するためのスピンドルケース用パッケージであって、
当該スピンドルケース用パッケージは、スピンドルケースを収容する収容空間を備え、当該収容空間に形成されたスピンドルケースを挿入するための開口部にあって、挿入されたスピンドルケースの上面と対向する開口部の一辺から当該収容空間内へ傾斜する係止片を備え、当該係止片の先端部がスピンドルケースの上面円周方向へ形成された凸部に当接することを特徴としたスピンドルケース用パッケージ。
【請求項2】
係止片の先端部は、挿入されたスピンドルケースの上面と対向する当該収容空間の内壁側へ湾曲状又は折曲状に形成されたことを特徴とした請求項1記載のスピンドルケース用パッケージ。
【請求項3】
係止片は、挿入されたスピンドルケースの上面を被覆する当該収容空間の正面部上辺から当該収容空間内へ折り込まれ、または、当該収容空間の底面部を延伸して正面部裏側上辺から当該収容空間内へ折り込まれることを特徴とする請求項1又は2記載のスピンドルケース用パッケージ。
【請求項4】
挿入されたスピンドルケースの側面を被覆する当該収容空間の側面部は、当該収容空間の開口部において膨らむことなくスピンドルケースの側面と密接していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスピンドルケース用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−241438(P2010−241438A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89209(P2009−89209)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(507385936)
【Fターム(参考)】