説明

スフィンゴシン−1−ホスフェートレセプターモジュレーターとしての、アミノプロパノール誘導体

式I
【化1】


〔式中、R、R、R、R、R、R、R、X、Yおよびnは明細書で定義の通りである。〕の化合物、それらの製造法、それらの使用およびそれらを含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アミノ−プロパノール誘導体、それらの製造法、それらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
より具体的に、本発明は、遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
はC1−6アルキル;ヒドロキシ、C1−2アルコキシまたは1から6フッ素原子で置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり;
X、Yの各々は、独立して、O、CH、またはC=Oであり;
はフェニル;C3−6シクロアルキル;ヘテロアリール;ヘテロ環式残基;フェニル−C1−2アルキル;C3−6シクロアルキル−C1−2アルキル;ヘテロアリールC1−2アルキル;ヘテロ環式C1−2アルキル残基であり;
ここで、各々は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルコキシ、またはシアノで置換されているフェニルからなる群から選択される1から5置換基で環置換されていてよく;
はZ−Xであり、ここで、ZはCH、CHFまたはCFであり、XはOHまたは式(a)
【化2】

(式中、Zは直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、そしてRおよびRの各々は、独立して、H、または所望により1、2または3ハロゲン原子で置換されているC1−4アルキルである)
の残基であり;そして
およびRの各々は、独立して、H;所望により1、2または3ハロゲン原子で置換されているC1−4アルキル;またはアシルであり;
およびRの各々は、独立して、H;ヒドロキシ;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−6シクロアルキル;C1−4アルコキシ;C1−6シクロアルコキシ;C3−6シクロアルキルC1−2アルキル;またはシアノであり;そして
nは2または3である。〕
の化合物を提供する。
【0003】
アルキルまたはアルキル部分は、直鎖または分枝鎖であってよい。アルケニルは、例えばビニルであり得る。アルキニルは例えばプロピン−2−イルであり得る。アシルは、残基R−CO(式中、RはC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニルC1−4アルキルである)であり得る。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素、好ましくはフッ素または塩素であり得る。アルキルがヒドロキシで置換されているとき、それは好ましくは末端炭素原子上に存在する。フェニルC1−2アルキルは、例えばベンジルであり得る。
【0004】
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1から4ヘテロ原子を含む、5から8員芳香環、例えばピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、またはピラゾリルであり得る。
【0005】
ヘテロ環式残基は、N、OおよびSから選択される1から4ヘテロ原子を含む、3から8、好ましくは5から8員飽和または不飽和ヘテロ環式環、例えばテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニルであり得る。ヘテロ環式残基は、所望により置換されているアリールまたはヘテロアリール、例えば、フェニルに、Yが該アリールまたはヘテロアリールに結合しているとき、縮合していてよい;例は、例えば、ベンゾ[1,3]ジオキソリルを含む。
【0006】
式Iの化合物は、遊離形または塩形で、例えば、例えば無機酸との付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩または硫酸塩、有機酸との塩、例えば酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩で存在し得る。水和物または溶媒和物形の式Iの化合物およびその塩も本発明の一部である。
【0007】
式Iの化合物が分子中に不斉中心を有するとき、種々の光学異性体が得られる。本発明はまたエナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオ異性体およびこれらの混合物も包含する。例えば、R、RおよびNRを有する中心炭素原子は、RまたはS立体配置を有し得る。下記の3−次元立体配置を有する化合物が、一般に好ましい:
【化3】

【0008】
さらに、式Iの化合物が幾何学異性体を含むとき、本発明はcis−化合物、trans−化合物およびこれらの混合物を包含する。上記の不斉炭素原子または不飽和結合を有する出発物質、例えば下記の式II、IIIまたはIVの化合物においても同様の解釈を適用する。
【0009】
式Iの化合物において、下記の意義が個々にまたは任意のサブコンビネーションで好ましい:
1. XがOである;
2. YがOまたはSである;
3. RがCHまたはCH−OHである;
4. Rがフェニル;1または2ハロゲン、C1−2アルキルまたはC1−2アルコキシで置換されたフェニル;シアノフェニル;ナフチル;または2−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルである;
5. RがCH−OHまたはCH−OPOである;
6. RおよびRの各々が水素である;
7. Rが水素、メトキシ、メチルまたはクロロである;そして
8. Rが水素、メトキシ、メチルまたはクロロである。
【0010】
本発明はまた式Iの化合物の製造法であり、
a)RがZ−Xであり、XがOHである式Iの化合物の製造のために、式II
【化4】

〔式中、X、R、RおよびRは上記で定義の通りであり、R'はZ−Xであり、ここで、XはOHであり、そしてR'はアミノ保護基である〕
の化合物に存在する保護基を除去するか、または
b)RがZ−Xであり、Xが式(a)の残基である式Iの化合物の製造のために、式III
【化5】

〔式中、X、R、R、RおよびR'は上記で定義の通りであり、そしてR''はZ−Xであり、ここで、Xは式(a')
【化6】

(式中、Zは上記で定義の通りであり、そしてR'またはR'の各々は、加水分解可能または水素化分解可能な基であるかまたはR'およびR'は、一体となって、所望により環(例えばベンゼン環)に縮合している2価架橋残基を形成する)
の残基である〕
の化合物に存在する保護基を除去し、
そして、必要であれば、遊離形で得た式Iの化合物を所望の塩形に変換するか、または逆を行う
ことを含む、方法も含む。
【0011】
工程a)は、当分野で既知の方法にしたがい行い得る。アミノ保護基の除去は簡便には当分野で既知の方法にしたがい、例えば酸性媒体中、例えば塩酸を使用した、例えば加水分解により行ってよい。アミノ基のための保護基の例は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis” T.W. Greene, J.Wiley & Sons NY, 2nd ed., chapter 7, 1991、およびその中の引用文献に記載され、例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、トリアルキルシリル、アシル、tert−ブトキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリフルオロアセチルなどである。
【0012】
式(a')の残基において、R'およびR'の各々は、例えばtert−ブチル、フェニルまたはベンジルの意味を有してよく、または一体となって、1,5−ジヒドロ−2,4,3−ベンゾジオキサホスフェピンのような環系を形成してよい。
【0013】
工程(b)は、当分野で既知の方法にしたがい、例えば加水分解、例えばR'およびR'が各々加水分解可能基であるとき、塩基性媒体中の、例えば水酸化バリウムのような水酸化物を使用した、またはR'およびR'が各々tert−ブチル基であるとき、酸性媒体中の、例えば加水分解により行ってよい。それは、また、例えば触媒、例えばPd/C存在下の水素化分解、続く、例えば酸性媒体、例えばHCl中の加水分解により行い得る。出発物質として使用する式IIおよびIIIの化合物およびそれらの塩はまた新規であり、本発明の一部を構成する。
【0014】
本発明はまた式IIの化合物の製造法であり、式IV
【化7】

〔式中、R、R'、RおよびR'は上記で定義の通りである。〕
の化合物を変換し、所望の残基−(CH)−Y−Rを、例えばアルキル化により挿入することを含む。式IVの化合物のアルキル化は当分野で既知の方法にしたがい、例えば求核置換により、例えばアルキル化剤R−Y−(CH)−X(式中、Xはメシレート、トシレート、トリフレート、ノシレート、クロライド、ブロミドまたはアイオダイドである)との反応により、行い得る。アルキル化は、光延プロトコールにしたがい、R−Y−(CH)−OH(例えばHughes, Organic Preparations and Procedures International 28, 127-64, 1996またはD.L. Hughes, Org. React. 42, 335, 1992に記載の通り)を、溶液中または固相支持合成において、例えば式IVの化合物を樹脂に結合させて、行い得る。あるいは、トリフェニルホスフィンまたは、樹脂、例えばポリスチレンに結合した、例えば、ジエチルアゾカルボキシレートを使用できる。
【0015】
R'およびR'が環系を形成する、式IIの化合物は、下記の通り製造し得る:
【化8】

〔式中、X、Y、R、R、RおよびR'は上記で定義の通り。〕。
【0016】
出発物質の製造を特に記載していない限り、該化合物は既知であるか、または、当分野で既知の方法に準じて、または、下記実施例に記載の通りに合成できる。
【0017】
下記実施例は本発明を説明する。融点(Mp)は未補正である。
【表1】

【0018】
実施例1:(R)−2−アミノ−4−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−2−メチル−ブタン−1−オールヒドロクロライド
【化9】

tert−ブチル(R)−(3−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバメート(38mg、0.063mmol)を、4M HClの乾燥ジオキサン(1ml)に添加する。透明無色溶液を2時間、湿度から保護しながら攪拌する。次いで、溶液を蒸発乾固し、部分的に結晶した残渣を乾燥エーテル(5mL)に取る。10分の超音波処理により、無色結晶が沈殿する。生成物を濾取し、冷エーテル(3×1ml)で洗浄し、真空で乾燥させて、表題化合物を、非吸湿性無色微結晶性粉末の形で得る:HPLC:tR=3.17分、ESI+ MS:m/z=350/352 (MH)。
【0019】
tert−ブチル(R)−(3−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバメートを、下記の方法にしたがい製造できる:
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブト−2−イル]−カルバメート(100mg、0.34mmol)および1−(2−ブロモエトキシ)−4−クロロベンゼン(120mg、0.51mmol、1.5当量)の無水DMF(2.5ml)溶液に、水を含まない炭酸セシウム(166mg、0.51mmol、1.5当量)を添加する。得られた懸濁液を一晩湿度から保護しながら、60℃で攪拌する。RTに冷却後、固体を濾取し、DMF(2×1ml)で濯ぐ。合わせた濾液を高真空で蒸発させて、濃オレンジ色シロップを得る。フラッシュクロマトグラフィー(FlashMaster II、MTBE/ヘキサン、0%MTBE→40%MTBEで勾配45分以内、次いで40%MTBE 15分)による精製により、無色結晶を得る:HPLC:tR=5.45分、ESI+ MS:m/z=450/452。
【0020】
実施例1の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、RおよびRが表1に示す通りである、式A
【化10】

の化合物を製造できる。
【表2】

【0021】
実施例11:2−アミノ−4−{4−[2−フェノキシ−エトキシ]−フェニル}−2−エトキシ−ブタン−1−オールヒドロクロライド
【化11】

4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(300mg、1.27mmol)のDMF(5ml)溶液に、CsCO(1.2g、3.83mmol)および2−フェノキシエチルブロミド(770mg、1.27mmol)を添加した。反応混合物を85℃で4時間攪拌した。AcOEtおよび水を次いで添加し、有機層を分離し、水性相をAcOEtで抽出した(3×50ml)。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/Hx 9:1)による精製により、(2−メチル−4−{2−[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを無色油状物として得た(362mg、80%)。(2−メチル−4−{2−[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(50mg、0.14mmol)のエタノール(2ml)溶液に、濃HCl(2ml)を添加した。反応混合物を85℃で2時間攪拌し、次いで濃縮乾固した。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させた。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、2−アミノ−4−{4−[2−フェノキシ−エトキシ]−フェニル}−2−エトキシ−ブタン−1−オールヒドロクロライドを無色粉末として得た。ESI+ MS:m/z=332.3 (M+H)
【0022】
実施例11の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、Rが表2に示す通りである、式B
【化12】

の化合物を製造できる。
【表3】

【0023】
実施例26:(+/−)モノ−(2−アミノ−4−{4−[2−フェノキシ−エトキシ]−フェニル}−2−エトキシ−ブタン)ホスフェート
【化13】

(2−メチル−4−{2−[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(200mg、0.56mmol)およびテトラゾール(197mg、2.81mmol、5当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(5ml)溶液に、ジ−tert−ブチル−N,N−ジイソプロピル−ホスホロアミド(561mg、2.25mmol、4当量)を添加した。アルゴン下、RTで3時間攪拌後、H(30%、10当量)を、0℃で激しく攪拌しながらゆっくり添加した。反応混合物をさらに30分攪拌し、続いて飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(5ml)を添加した。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン1:1)による精製により、リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを無色結晶として得た。最後に、リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(2−フェノキシ−エトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル(150mg、0.27mmol)のエタノール(5ml)溶液に、濃HCl(5ml)を添加した。反応混合物を50℃で2時間攪拌し、次いで濃縮乾固した。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させた。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、モノ−(2−アミノ−4−{4−[2−フェノキシ−エトキシ]−フェニル}−2−エトキシ−ブタン)ホスフェートを無色粉末として得た。ESI+ MS:m/z=410.2 (M−H)
【0024】
実施例26の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、Rが表3に示す通りである、式C
【化14】

の化合物を製造できる。
【表4】

【0025】
実施例36:(R)−モノ−(2−アミノ−4−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−2−メチル−ブチル)ホスフェート
【化15】

tert−ブチル[3−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリル−オキシ−メチル)−1−メチル−プロピル]−カルバメート(44mg、0.069mmol)を、4M HClのジオキサン(2ml)溶液に溶解した。2時間攪拌後、わずかに濁った溶液を蒸発させた。無色半固体残渣を乾燥エーテル(5mL)と超音波処理し、無色沈殿を得た。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、オフホワイト色粉末を得た:HPLC:tR=3.11分、ESI+ MS:m/z=430/432 (M−H)。
【0026】
tert−ブチル[3−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ−メチル)−1−メチル−プロピル]−カルバメートは、下記の方法にしたがい製造する:
tert−ブチル(R)−(3−{4−[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバメート(40mg、0.089mmol、実施例1a)およびテトラゾール(19mg、0.27mmol、3当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(1mL)溶液に、ジ−tert−ブチルN,N−ジエチル−ホスホロアミデイト(36μL、0.13mmol、1.5当量)を添加した。反応混合物をアルゴン下、RTで2時間攪拌した。次いで、H(30%、91μL、0.89mmol、10当量)を、0℃で、激しく攪拌しながら注入した。反応混合物をさらに30分攪拌し、その後、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(1ml)を添加した。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×1mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(FlashMaster II、MTBE/ヘキサン勾配0%MTBE→50%MTBE、45分以内、次いで、50%MTBE 15分)での精製により、無色結晶を得た:HPLC:tR=6.64分、ESI+ MS:m/z=642/644 (MH)。
【0027】
実施例36の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、RおよびRが表4に示す通りである、式D
【化16】

の化合物を製造できる。
【表5】

【0028】
実施例44:2−アミノ−2−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールヒドロクロライド
【化17】

4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4、5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(300mg、1.27mmol)のDMF(5ml)溶液に、CsCO(1.2g、3.83mmol)および(3−ブロム−プロポキシ)−ベンゼン(273mg、1.27mmol)を添加した。反応混合物を85℃で4時間攪拌した。AcOEtおよび水を次いで添加し、有機層を分離し、水性相をAcOEt(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン 9:1)による精製により、(2−メチル−4−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを無色油状物として得た。(2−メチル−4−(2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−4、5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(50mg、0.135mmol)のエタノール(2ml)溶液に、濃HCl(2ml)を添加した。反応混合物を85℃で2時間攪拌し、次いで濃縮乾固した。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させた。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、2−アミノ−2−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールヒドロクロライドを、無色粉末として得た。ESI+ MS:m/z=370.4(M+H) +。
【0029】
実施例44の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、RおよびYが表5に示す通りである、式E
【化18】

の化合物を製造できる。
【表6】

【0030】
実施例52:((R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブタン−1−オールヒドロクロライド
【化19】

{(R)−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−3−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチル(50mg、0.11mmol)に、4M HClの乾燥ジオキサン(1mL)溶液を添加した。透明無色溶液を2時間、湿度から保護しながら攪拌した。次いで、溶液を蒸発乾固し、部分的に結晶した残渣を乾燥エーテル(5mL)に取った。10分の超音波処理により無色結晶が沈殿する。生成物を濾取し、冷冷エーテル(3×1ml)で洗浄し、真空で乾燥させて、表題化合物を、非吸湿性無色微結晶性粉末の形で得る。ESI+ MS:m/z=330.4(MH)。
【0031】
{(R)−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−3−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルを、下記の方法にしたがい製造できる:
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブト−2−イル]−カルバメート(100mg、0.34mmol)および(3−ブロモプロポキシ)−ベンゼン(109.6mg、0.51mmol、1.5当量)の無水DMF(2.5ml)溶液に、水を含まない炭酸セシウム(166mg、0.51mmol、1.5当量)を添加した。得られた懸濁液を一晩湿度から保護しながら、60℃で攪拌した。RTに冷却後、固体を濾取し、DMF(2×1ml)で濯いだ。合わせた濾液を高真空で蒸発させて、濃オレンジ色シロップを得た。フラッシュクロマトグラフィー(FlashMaster II、MTBE/ヘキサン、0%MTBE→40%MTBEで勾配45分以内、次いで40%MTBE 15分)による精製により、無色結晶を得た。ESI+ MS:m/z=430.4。
【0032】
実施例53:(R)−2−アミノ−4−{4−[3−(5−ブロモ−2−メトキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−2−メチル−ブタン−1−オールヒドロクロライド
【化20】

表題化合物を、実施例52に記載の通りに、4−ブロモ−2−(3−ブロモ−プロポキシ)−1−メトキシ−ベンゼンを、(3−ブロモ−プロポキシ)−ベンゼンの代わりに使用して製造した。ESI+ MS:m/z=439.3(M+H)
【0033】
実施例54:(+/−)モノリン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブチル}エステル
【化21】

(2−メチル−4−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(200mg、0.54mmol)およびテトラゾール(189mg、2.70mmol、5当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(5ml)溶液に、ジ−tert−ブチル−N,N−ジイソプロピルホスホロアミド(538.5mg、2.16mmol、4当量)を添加した。RTで3時間撹拌後、H(30%、10当量)を、0℃で、激しく撹拌しながらゆっくり添加した。反応混合物をさらに30分撹拌し、その後、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(5ml)を添加した。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン 1:1)による精製により、(+/−)リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを無色結晶として得た。最後に、リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル−メチルエステル(50mg、0.089mmol)のエタノール(5ml)溶液に、濃HCl(5ml)を添加した。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させた。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて、(+/−)モノリン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(3−フェノキシ−プロポキシ)−フェニル]−ブチル}エステルを無色粉末として得た。ESI+ MS:m/z=426.4(M−H)+。
【0034】
実施例54の方法にしたがうが、適当な出発物質を使用して、R、R10およびYが表6に示す通りである、式F
【化22】

の化合物を製造できる。
【表7】

【0035】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、価値のある薬理学的特性、例えばリンパ球再循環調節特性を、例えばインビトロおよびインビボ試験において示されるように示し、したがって、治療に適応される。
【0036】
A. インビトロ
式Iの化合物は、下記のアッセイで決定される通り、個々のヒトS1Pレセプターに結合親和性を有する:
【0037】
スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)レセプタープロファイリング
化合物のアゴニスト活性を、ヒトS1PレセプターEDG−1(S1P)、EDG−3(S1P)、EDG−5(S1P)、EDG−6(S1P)およびEDG−8(S1P)に対して試験する。機能的レセプター活性化を、適当なヒトS1Pレセプターを安定に発現する、トランスフェクトしたCHOまたはRH7777細胞から調製した膜タンパク質への化合物誘発GTP[γ−35S]結合を定量することにより評価する。使用したアッセイ法は、SPA(シンチレーションプロキシミティアッセイ法)であった。簡単に言うと、DMSOに溶解した化合物を連続的に希釈し、SPA−ビーズ(Amersham-Pharmacia)固定化S1Pレセプター発現膜タンパク質(10−20μg/ウェル)に、50mM Hepes、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、0.1%無脂肪BSAおよび0.2nM GTP[γ−35S](1200Ci/mmol)の存在下で添加する。96ウェルマイクロタイタープレートで、RTで120分インキュベーション後、非結合GTP[γ−35S]を遠心分離工程により分離する。SPAビーズの膜結合GTP[γ−35S]により誘発された発光を、TOPcountプレートリーダー(Packard)で定量する。EC50を、標準曲線適合ソフトウェアを使用して計算する。本アッセイにおいて、式Iの化合物は、S1Pレセプターに<50nMの結合親和性を有する。
【表8】

Agon=アゴニスト
【0038】
B. インビボ:血中リンパ球枯渇
式Iの化合物または媒体を、ラットに胃管栄養法により経口で投与する。血液学的モニタリングのための尾血液を、−1日目に個々の基底値を得るために、そして投与後2、6、24、48および72時間後に得る。本アッセイにおいて、式Iの化合物は、0.03から3mg/kg投与したとき、末梢血リンパ球を枯渇させる。例えば、下記結果が得られる:50%を超える末梢血リンパ球の枯渇。
【表9】

【0039】
式Iの化合物は、したがって、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害、例えば移植、例えば、細胞、組織もしくは臓器の同種もしくは異種移植の急性もしくは慢性拒絶反応または移植片機能遅延、移植片対宿主病、自己免疫疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病およびその合併症、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症およびその他、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により異常反応の基礎疾患を伴う炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺傷害、炎症性肝臓傷害、炎症性糸球体傷害、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎および別の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫学介在疾患の皮膚症状、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、血管形成、アルツハイマー病、癌、例えば乳癌、T細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば毒素ショック(例えば超抗原誘発)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性細菌感染、または老人性認知症の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器の例は、例えば、例えば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、複合心臓−肺、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道を含む。上記の使用のために必要な投与量は、投与の形態、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存してもちろん変化するであろう。
【0040】
一般に、十分な結果が、約0.03から2.5mg/体重kgの全身への一日に投与で得られることが示される。大型哺乳類、例えばヒトにおける示される一日投与量は、約0.5mgから約100mgであり、簡便には1日4回までの分割量で、または、持続形で投与する。経口投与のための適当な単位投与形は、約0.1から50mg活性成分を含む。
【0041】
式Iの化合物は、任意の慣用の経路で、特に、経腸的に、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば注射可能溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えばローション、ジェル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻または坐薬形で投与してよい。遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を少なくとも1個の、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用の方法で、薬学的に許容される担体または希釈剤との混合により製造し得る。
【0042】
式Iの化合物は、遊離形でまたは、例えば上記のような薬学的に許容される塩形で投与し得る。このような塩は、慣用法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0043】
前記によって、本発明はさらに下記を提供する:
1.1 処置を必要とする対象における、例えば上記の、リンパ球が介在する障害または疾患を予防または処置する方法であり、該対象に有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法;
1.2 処置を必要とする対象における、例えば上記の、急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患を予防または処置する方法であり、該対象に有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法;
2. 医薬として、例えば、上記1.1または1.2に記載の方法のいずれかにおいて使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物;
3. 遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、例えば、上記1.1または1.2に記載のいずれかの方法において使用するための、医薬組成物;
4. 上記1.1または1.2に記載のいずれかの方法において使用するための医薬組成物の製造に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0044】
式Iの化合物は、唯一の活性成分として、または、例えばアジュバントとして、他の薬剤、例えば同種−または異種移植片急性もしくは慢性拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫性疾患の処置のために、例えば免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤と組み合わせて、または化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖剤と組み合わせて投与してよい。例えば、式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA、FK506またはISATX247;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス7またはバイオリムス9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾルビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性ホモログ、アナログまたは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球レセプター、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えばCTLA4またはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有する組み換え結合性分子、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合した、CTLA4またはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有する組み換え結合性分子、例えばCTLA4Ig(例えば、ATCC68629と命名)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキソルビシンまたは5−フルオロウラシル;または抗感染剤と組み合わせて使用してよい。
【0045】
式Iの化合物を、他の免疫抑制性/免疫調節性、抗炎症性、化学療法性または抗感染性療法と組み合わせて投与するとき、併用する免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性、化学療法性または抗感染性化合物の投与量は、用いる併用剤のタイプ、例えば、それがステロイドかまたはカルシニューリン阻害剤か、用いる具体的な薬剤、処置している状態などに依存して、もちろん変化するであろう。前記によって、本発明は下記のさらなる局面を提供する:
5. 治療的有効非毒性量の式Iの化合物および少なくとも1個の第二医薬物質、例えば、上記の、例えば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤を、例えば、同時にまたは連続して併用投与することを含む、上記で定義の方法;
6. a)本明細書に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物である第一剤、b)少なくとも1個の併用剤、例えば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染剤を含む、医薬的組み合わせ、例えばキット。該キットは、その投与のための説明書を含み得る。
【0046】
本明細書の“併用投与”または“組み合わせた投与”などは、選択した治療剤を、単一の患者に投与することを含むことを意味し、薬剤が必ずしも同じ経路で投与されないまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0047】
本明細書で使用する“医薬的組み合わせ”は、1個以上の活性成分の混合または組み合わせに由来する製品を意味し、活性成分の固定されたまたは固定されていない組み合わせの両方を含む。“固定された組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を、両方とも同時に一つの物体または調剤として投与することを意味する。“固定されていない組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤の両方を、患者に、別々の物体として、同時に、共にまたは時間制限なしに連続して投与し、このような投与が、患者の体内で2個の化合物の治療的有効レベルを提供することを意味する。後者はまたカクテル療法、例えば、3個またはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
はC1−6アルキル;ヒドロキシ、C1−2アルコキシまたは1から6フッ素原子で置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり;
X、Yの各々は、独立して、O、CH、またはC=Oであり;
はフェニル;C3−6シクロアルキル;ヘテロアリール;ヘテロ環式残基;フェニル−C1−2アルキル;C3−6シクロアルキル−C1−2アルキル;ヘテロアリールC1−2アルキル;ヘテロ環式C1−2アルキル残基であり;
ここで、各々は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルコキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−2アルキル、シアノ、フェニル、およびヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、1から5フッ素原子で置換されているC1−4アルコキシ、またはシアノで置換されているフェニルからなる群から選択される1から5置換基で環置換されていてよく;
はZ−Xであり、ここで、ZはCH、CHFまたはCFであり、XはOHまたは式(a)
【化2】

(式中、Zは直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、そしてRおよびRの各々は、独立して、H、または所望により1、2または3ハロゲン原子で置換されているC1−4アルキルである)
の残基であり;そして
およびRの各々は、独立して、H;所望により1、2または3ハロゲン原子で置換されているC1−4アルキル;またはアシルであり;
およびRの各々は、独立して、H;ヒドロキシ;ハロゲン;C1−4アルキル;C1−6シクロアルキル;C1−4アルコキシ;C1−6シクロアルコキシ;C3−6シクロアルキルC1−2アルキル;またはシアノであり;そして
nは2または3である。〕
の化合物。
【請求項2】
がフェニル;1または2ハロゲン、C1−2アルキルまたはC1−2アルコキシで置換されているフェニル;シアノフェニル:ナフチル;または2−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルである、遊離形または塩形の、式Iの化合物。
【請求項3】
およびRが、独立して、水素、メトキシ、メチルまたはクロロである、遊離形または塩形の、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
XがOである、遊離形または塩形の、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
YがOまたはSである、遊離形または塩形の、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がCH−OHまたはCH−OPOである、遊離形または塩形の、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
医薬として使用するための、および、医薬の製造において使用するための、請求項1から6のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項9】
遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1から6のいずれかに記載の化合物と、少なくとも1個の併用剤を含む、医薬的組み合わせ。
【請求項10】
対象においてリンパ球が介在する障害または疾患を予防または処置するための、および急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患を予防または処置するための方法であり、それを必要とする対象に、有効量の請求項1から6のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。


【公表番号】特表2006−524660(P2006−524660A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505327(P2006−505327)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004569
【国際公開番号】WO2004/096752
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】