説明

スプレッドスペクトラムクロック生成器及びその変調方法

【課題】製造バラツキ、電源電圧、使用温度、使用周波数が変化しても所望の変調度の周波数変調クロックを供給可能とするスプレッドスペクトラムクロック生成回路を提供する。
【解決手段】制御信号に応じて制御周期間隔で発振周期を可変に制御する第1の遅延制御型発振回路104と、第1の遅延制御型発振回路の出力を分周したクロック信号fo1と、位相比較結果に基づき周波数制御信号Cを出力する制御回路103と、変調最大値Aを決定する変調最大値決定回路106と、変調最大値A内で変調制御信号αを生成する変調信号発生回路107と、出力クロック信号の発振周期を制御信号に応じ制御周期間隔に可変に制御する第2の遅延制御型発振回路108を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路のEMI(Electromagnetic Interference:電磁波妨害)低減のためのクロック周波数拡散(Spread Spectrum Clock Generation:「SSCG」ともいう)装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の高速化、高機能化の進展に伴い、放射雑音を規制値に収める、いわゆるEMI対策が格段に難しくなってきている。EMIフィルタやデカプリング・コンデンサーなどの対策部品をプリント基板に挿入しても、規制値をクリアできないという場合もある。
【0003】
また、EMI対策部品を挿入することは、占有面積とコストが増大する結果となる。クロック同期の半導体集積回路が多い中で、クロック周波数に変調をかけてピーク・スペクトルを低減するSSCG技術が注目されている。
【0004】
図9は、特許文献1に記載された構成を示す図である。
【0005】
Y131は、発振回路32に使用する圧電水晶であり、安定クロック・パルス・トレイン、または、非変調クロック信号を生成する。第1プログラム設定カウンタ35は、非変調クロック信号を整数(M)で分割(分周)する。フィルタ38からの電圧に基づき発振周波数を可変させる電圧制御発振器39(VCO)からのクロック信号はバッファ40に入力され、バッファ40から出力クロックが出力される。クロック信号の周波数は、位相比較器37とフィルタ38からの入力電圧に比例する。VCO39からの出力クロック信号は第2プログラム設定カウンタ42に入力され、VCO39からのクロック信号を整数(N)で分割(分周)し、位相比較器37に供給する。
【0006】
位相比較器37とフィルタ38は、第1プログラム設定カウンタ35と第2プログラム設定カウンタ42間の位相エラーに比例するアナログ信号を生成し、バッファ40からのクロック信号は、発振周波数時間(N/M)に等しい。拡大スペクトル変調は、MとNを時間の関数として変える拡大スペクトル変調手段41を用いて行われる。第3プログラム設定カウンタ45は、発振回路32の出力をMとNが変わる割合、または、変調周波数を設定する、整数(I)で分割する。
【0007】
第1と第2のルックアップ・テーブル46、47は、各々、出力クロック信号周波数を変調するMとNのタビライズ値である。
【0008】
アップ/ダウン・カウンタ49は、ルックアップ・テーブルの次のエントリを示すために用いられる。シリアル・リンク51は、異なる値をプログラム設定カウンタまたはルックアップ・テーブルにプログラム設定して、変調特性を修正するために用いられる。
【0009】
図10は、特許文献1に記載された別の構成を示す図である。拡大スペクトル変調は、第2VCO52とデジタル/アナログ・コンバータ83(DAC)からの出力のアナログ変調信号で行われる。
【0010】
第2VCO52は、変調がない時に、第1VCO39と同じクロックを生成する。第2VCO52はアナログ変調に応答して、拡大スペクトル・クロック出力信号を生成する。
【0011】
変調は、デジタル/アナログ・コンバータ83に送られる変調振幅値を記憶しているROM82に依って行われる。アップ/ダウン・カウンタ84のカウント出力は、ROM82のアドレスとして用いられる。第3プログラム設定カウンタ85は、変調周波数を設定する。
【0012】
【特許文献1】特開平7−235862号公報(第6図、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記した従来の構成においては、
・半導体集積回路の製造バラツキや、
・電源電圧、周囲温度、使用周波数等の使用環境
により、所望の変調度を得られない、という問題がある。
【0014】
変調度が小さい場合、EMI低減効果が減少し、逆に、変調度が大きい場合、クロックの最大周波数が高くなり、クロックを供給している回路が誤動作する場合がある。
【0015】
半導体集積回路は、製造上のバラツキ、電源電圧、使用温度により構成しているトランジスタ、抵抗、容量の特性が変化する。このため、フィルタとVCOの特性が変化する。
【0016】
図9の構成は、MとNの値を変化させて変調クロックを発生させている。つまり、異なる周波数にVCOの周波数を応答させることで、変調クロック信号を発生させている。設計上、フィルタとVCO特性からなる周波数応答特性と、MとNの切り替え時間を最適になるように設計したときの周波数遷移の一例を、図11に示す。
【0017】
前述したようにフィルタとVCOの特性が変化し、周波数応答速度が遅い場合、図12に示すように、変調クロックの周波数がターゲットの周波数になる前に、ターゲットの周波数が切り替わるので、周波数変調の変調度が小さくなる。EMI低減効果は、変調度が大きいほど低減効果が大きくなる傾向にあるので、図12の場合、期待する変調度より小さな変調度となり、EMI低減効果が減少する。
【0018】
逆に、周波数応答速度が速い場合、図13に示すように、ターゲットの周波数を超える状態と、ターゲットの周波数で安定する状態が発生する。クロックを供給している回路の動作周波数を超えたクロックが供給されると、誤動作の原因となる。また、周波数が停滞するとスペクトル分散の効果が少なくなり、EMI低減効果が減少する。
【0019】
図14は、図11、図12、図13の状態のスペクトラムのイメージを示す図である。仮に、周波数応答特性が同じでも、ターゲットのクロック周波数が異なる場合には、周波数応答特性が変化した場合と同じ現象が発生する。
【0020】
クロック周波数が高くなった場合、周波数応答特性が遅い場合と同等で、クロック周波数が低くなった場合、周波数応答特性が早い場合と同等である。
【0021】
また、図10の構成の場合、フィルタ38からの出力電圧に、デジタルアナログコンバータ83からのアナログ変調信号を加算した値を制御電圧として入力する第2VCO52から変調クロックを発生しており、アナログ変調信号の周期が変調周期、振幅が変調度を決める要素となっている。
【0022】
図10の構成の場合、前述したように、製造上のバラツキ、電源電圧、使用温度の変化でVCOの特性が変化する。ある2つの条件時のVCOの制御電圧と、出力周波数の特性の例を、図15に示す。
【0023】
VCOから任意の周波数を出力する場合、製造上のバラツキ、使用条件により、制御電圧(フィルタ38からの出力電圧)が異なる。フィルタ38からの出力電圧に、アナログ変調信号を加算し、拡散スペクトル・クロックを発生させる場合に、アナログ変調信号の振幅が一定であっても、フィルタ38からの出力電圧が異なるために、変調度が一定とならない。
【0024】
また、ターゲットの周波数が異なる場合にも、同様な現象が生じる。
【0025】
したがって、本発明の目的は、製造バラツキ、電源電圧、使用温度、使用周波数が変化しても所望の変調度の周波数変調クロックを供給可能とするスプレッドスペクトラムクロック生成回路及び方法を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、EMI低減効果減少を防止するスプレッドスペクトラムクロック生成回路及び方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、クロックが供給される回路の誤動作を防止するスプレッドスペクトラムクロック生成回路及び方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、EMI対策のための部品を削減するスプレッドスペクトラムクロック生成回路及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本願で開示される発明は、上記目的を達成するため、概略以下の構成とされる。
【0030】
本発明の1つの側面(アスペクト)に係るスプレッドスペクトラムクロック生成回路は、制御信号に基づき発振周期を等間隔で可変制御する遅延制御型発振回路と、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値と、前記遅延制御型発振回路の発振周波数制御値とから、変調信号の最大値を決定する変調最大値決定回路と、前記変調最大値決定回路から前記変調最大値を受け、前記変調最大値内で変調制御信号を生成する変調信号発生回路と、を少なくとも備え、前記発振周波数制御値と前記変調制御信号との加算値が、前記遅延制御型発振回路に前記制御信号として与えられ、前記遅延制御型発振回路からは、周波数変調されたクロック信号が出力される。本発明において、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値は、製造ばらつき、あるいは使用条件により素子の遅延値が変化した場合にも一定とされ、前記遅延制御型発振回路からは、変調度が一定の周波数変調されたクロック信号が出力される。
【0031】
本発明の別の側面に係るスプレッドスペクトラムクロック生成回路は、制御信号に応じて発振周期を、所定の制御周期間隔で可変させる第1及び第2の遅延制御型発振回路と、前記第1の遅延制御型発振回路の出力クロック信号を分周したクロック信号と、基準クロック信号を分周したクロック信号との位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器での位相比較結果に基づき、周波数制御信号を生成し、前記第1の遅延制御型発振回路に前記制御信号として供給する制御回路と、予め定められた値と、前記周波数制御信号と、与えられた変調度設定信号とから、変調最大値を決定する変調最大値決定回路と、前記変調最大値決定回路から前記変調最大値を受け、前記変調最大値内で変調制御信号を生成する変調信号発生回路と、を備え、前記第2の遅延制御型発振回路は、前記変調信号発生回路からの前記変調制御信号と、前記制御回路からの前記周波数制御信号とを加算した値を、制御信号として受け、周波数変調されたクロック信号を出力する。本発明において、前記変調最大値決定回路における前記予め決められた値は、前記発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で換算した値とされる。あるいは、前記周波数制御信号の最小値が、前記発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で換算した値とされる。
【0032】
本発明の他の側面に係るスプレッドスペクトラムクロック生成方法は、制御信号に基づき発振周期を等間隔で可変制御する遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値と、前記遅延制御型発振回路の発振周波数制御値とから、変調信号の最大値を決定する工程と、
前記変調最大値内で変調制御信号を生成する工程と、
発振周波数制御値と前記変調制御信号との加算値を、前記遅延制御型発振回路に前記制御信号として供給し、前記遅延制御型発振回路から、周波数変調されたクロック信号が出力される工程と、
を含む。
【0033】
本発明においては、制御信号に基づき発振周期を等間隔で可変させる遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御間隔で換算した値と、発振周波数制御値から所望の変調度で演算することで、変調信号の最大値を決定している。
【0034】
半導体集積回路は、使用条件により素子の遅延値が変化しても、遅延値の変化率は、一定であることから、遅延制御型発振回路の最小発振周期を発振周期の制御間隔で換算した値は一定とされる。
【0035】
遅延制御型発振回路の発振周期と、最小発振周期を発振周期の制御間隔で換算した値+発振周波数制御値は,原点(0,0)を通過する1次関数で表されるので、[換算値+制御値]から変調信号の最大値を決定することで、変調度が一定になる。
【0036】
本発明の他の側面に係る遅延型位相調整回路は、基準クロックを入力とし遅延を付加して出力する第1の可変遅延回路と、前記第1の可変遅延回路の出力と前記基準クロックとを入力してその位相差を検出する位相比較器と、前記位相比較器での位相比較結果に基づき、前記第1の可変遅延回路の遅延値を可変制御する制御信号を生成する制御回路と、入力信号を入力とし遅延を付加して出力する第2の可変遅延回路と、予め定められた値と前記制御信号とを入力とし、前記第2の可変遅延回路における遅延値を可変制御する演算回路と、を備えている。本発明において、前記予め定められた値は、前記可変遅延回路の最小遅延値を、遅延制御周期間隔で換算した値とされる。本発明において、前記可変遅延回路の最小遅延値出力の制御信号が、前記可変遅延回路の最小遅延値を遅延制御周期間隔で換算した値とされる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、製造バラツキ、あるいは電源電圧、使用温度、使用周波数が変化しても所望の変調度の周波数変調クロックを供給することができる。
【0038】
本発明によれば、EMI低減効果減少を防止することができる。
【0039】
本発明によれば、変調度は、製造バラツキ、使用環境によらず所望値(一定値)とされ、これにより、クロック供給先の回路の誤動作等を防止することができる。
【0040】
本発明によれば、EMI基準クリアを補助することができる。
【0041】
本発明によれば、EMI対策のための部品を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の実施の形態について説明する。制御信号に応じて、所定の制御周期間隔で発振周期を可変に制御する第1の遅延制御型発振回路(104)と、第1の遅延制御型発振回路の出力クロック信号を分周したクロック信号(fo1)と、基準クロック信号(fi)を分周したクロック信号(fi/M)とを位相比較器(102)で位相比較し、位相比較結果に基づき、発振周期を可変に制御するための周波数制御信号(C)を出力する制御回路(103)と、予め定められた値と、前記周波数制御信号(C)と、与えられた変調度設定信号(MS)とから、変調最大値(A)を決定する変調最大値決定回路(106)と、変調最大値決定回路(106)から変調最大値(A)を受け、変調最大値(A)内で変調制御信号(α)を生成する変調信号発生回路(107)と、変調信号発生回路(107)からの変調制御信号(α)と周波数制御信号(C)を加算した値を制御信号として受け、出力クロック信号の発振周期を制御信号に応じ所定の制御周期間隔で可変に制御する第2の遅延制御型発振回路(108)と、を備えている。
【0043】
遅延制御型発振回路(104、108)の設計時の最小発振周期をT1、制御周期間隔をD1とし、前記予め定められた値(B)は、遅延制御型発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で除した値よりなる。そして、変調最大値決定回路(106)は、予め定められた値(B)と周波数制御信号(C)を加算した値に変調度設定信号(MS)を乗算した値、(B+C)×MSを変調最大値(「A」とする)として出力する。第2の遅延制御型発振回路(108)からの出力クロック信号の最大の周期変調は、(B+C)×MS×D0(ただし、D0は実デバイスでの制御周期間隔)となり、第1の遅延制御型発振回路(104)の出力クロック信号が(fo1)が基準クロック信号(fi)の周期となる場合の周波数制御信号(C)は、実デバイスでの最小発振周期をT0として、T0+D0×Cとされ、遅延比率に関するT0/D0=T1/D1の関係より、変調度=(B+C)×MS×D0/(T0+D0×C)は、MSとなり、製造ばらつき、電源電圧、温度、周波数に依存せず、一定値とされる。以下実施例に即して詳細に説明する。
【実施例】
【0044】
図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施形態に係る拡散クロック生成回路は、基準クロックfiを入力としM分周したクロックfi/Mを出力する第1のプログラム設定カウンタ101と、第1のプログラム設定カウンタ101の出力fi/Mを一の入力端に入力する位相比較器102と、位相比較器102での比較結果である周波数誤差信号fgapを入力とし、周波数制御信号Cを出力する発振周波数制御回路103と、発振周波数制御回路103からの周波数制御信号Cを入力とし発振クロックfo1を出力する第1の遅延制御型発振回路104と、第1の遅延制御型発振回路104からの出力を受けN分周したクロックfo1/Nを出力する第2のプログラム設定カウンタ105と、備え、位相比較器102は、第2のプログラム設定カウンタ105の出力を第2の入力端より入力し、第1、第2のプログラム設定カウンタ101、105の出力fi/M、fo1/Nの位相差を検出する。さらに、変調度設定信号MSと発振周波数制御回路103からの周波数制御信号Cを入力とし、変調最大値を決定する変調最大値決定回路106と、変調最大値決定回路106から出力される変調最大値Aを入力し変調信号αを出力する変調信号発生回路107と、発振周波数制御回路103からの信号Cと変調信号発生回路107からの変調信号αを加算する加算器110と、加算器110の出力C+αを受け発振クロックfo2を生成する第2の遅延制御型発振回路108と、第2の遅延制御型発振回路108の出力を入力とし変調クロックfmoを出力するバッファ109を備えている。
【0045】
基準クロックfiを、第1プログラム設定カウンタ101でM分周したクロック信号fi/Mと、第1遅延制御型発振回路104から出力されるクロック信号fo1を第2プログラム設定カウンタ105でN分割したクロック信号fo1/Nとが同じ周波数(位相同期)となるように、位相比較器102と発振周波数制御回路103とが帰還動作するPLLの構成とされている。なお、発振クロックfo1の周波数を一定にする手段は、かかる構成に限定されるものではない。
【0046】
第1の遅延制御型発振回路104は、制御信号Cに応じて、等間隔(「制御周期間隔」という)で、発振クロックの周期を調整する。第2の遅延制御型発振回路108は、制御信号C+αに応じて、等間隔(「制御周期間隔」という)で、発振クロックの周期を調整する。
【0047】
変調最大値決定回路106は、変調度設定MSにより、外部から指定された変調度を実現するために、第2の遅延制御型発振回路108の最小発振周期を、発振制御間隔で換算した値と、発振周波数制御信号Cの値から、最大値Aを決定する。
【0048】
変調信号発生回路107は、最大値が与えられたA以下となる変調制御信号αを生成する。変調信号発生回路107は、変調制御信号αとして、例えば、0,1,2,・・・,A−1,A,A−1,・・・,2,1,0,−1,−2,・・・,−(A−1),−A,−(A−1),・・・,−2,−1,0,1,2,・・の順序で出力する。すなわち変調制御信号αとして、0〜Aを1/4変調周期、A〜−Aを1/4〜3/4変調周期、−A〜0を3/4〜1変調周期で出力している。
【0049】
本実施形態においては、発振周波数制御信号Cに、変調制御信号αを加算したC+αの制御信号によって、第2の遅延制御型発振回路108を制御することで、変調クロック信号fmoを得ている。αが0の場合、第1の遅延制御型発振回路104の出力クロックの周波数と、第2の遅延制御型発振回路108の出力クロックの周波数は同じ値となる。
【0050】
第1、第2の遅延制御型発振回路104、108は、最小発振周期T0から等間隔の制御周期間隔D0で周期制御が行なわれる。第1、第2の遅延制御型発振回路104、108は、発振ループ内の遅延値を入力される制御信号に基づき可変させることで発振周期を可変させる発振回路であり、遅延値を大とすると発振周期は長くなり、遅延値を小とすると発振周期は短くなる。この遅延制御型発振回路は、公知の任意の構成を用いることができる。特に制限されないが、発振ループの遅延値を可変させる構成として、例えば遅延素子の素子段数を可変させることで行われる。一例として、遅延制御型発振回路は、奇数段縦続接続したインバータ列の最終段の出力を初段の入力に帰還接続してなるリングオシレータにおいて、制御信号に基づき、発振ループを構成するインバータの段数(ただし、奇数個)を可変制御する構成とされる。この場合、各遅延制御型発振回路へ入力される制御信号は、後述される図4、図5における周期間隔の段数に対応する。
【0051】
設計時の最小発振周期T1と制御周期間隔D1から、
T1/D1=B …(1)
を決定しておく。
【0052】
このとき、変調制御信号の最大値Aは、変調度設定をMSとして、
次式(2)により、決定される。
A=(B+C)×MS …(2)
【0053】
実デバイスでの最小発振周期T0、制御周期間隔D0、周波数制御信号Cに関して、
基準の発振クロックfo1の周期を得るために、
T0+D0×C …(3)
となるように、発振周波数制御回路103で、周波数制御信号Cが決定される。
【0054】
前述したように、最大の周期変調は、変調度設定をMS、制御周期間隔をD0として、次式(4)で与えられる。
(B+C)×MS×D0 …(4)
【0055】
変調度は次式(5)で与えられる。
変調度 ={(B+C)×MS×D0}/(T0+D0×C) …(5)
ただし、BはT1/D1(T1は、最小発振周期、D1は制御周期間隔)、MSは変調度設定、T0は最小発振周期、D0は制御周期間隔、Cは周波数制御信号である。
【0056】
半導体デバイスの製造バラツキ、使用環境による遅延変化率は一定である。このため、設計時に決定した最小発振周期T1と制御周期間隔D1の比T1/D1と、異なる条件時の比T0/D0は、一定である。
【0057】
上式(5)において、
B=T0/D0 …(6)
と置き換えると、変調度は次式(7)で与えられる。
【0058】
変調度 ={(B+C)×MS}/(B+C)
= MS …(7)
【0059】
上記の通り、変調度は、製造上のバラツキ、電源電圧、使用温度、周波数に関係しない、固定の値MS(変調度設定値)となる。したがって、変調クロック信号の変調度は一定とされる。
【0060】
変調度が一定になる理由について他の例を用いて説明する。図2は、遅延制御型発振回路104、108の発振周波数制御値と、発振周期の関係を示している。最小発振周期を、制御周期間隔で換算することは、発振周波数制御値にオフセットを与えることと同じである。発振周波数制御値(横軸)が0のとき、発振周期(縦軸)は所定の値をとる。
【0061】
そして、最小発振周期(T)を、制御周期間隔(D)で換算した発振周波数制御値と、発振周期の関係は、図3に示すように、使用条件によらず、原点(0,0)を交差する1次関数となるので、
[換算値]+[発振周波数制御値] …(8)
に、変調度を乗算して算出する変調制御信号の最大値は、発振周期に対しても、同じ変調度となる。
【0062】
図4に数値例を示す。図4(a)は、
[最小発振周期T1]/[制御周期間隔D1]=300(固定) …(9)
の場合であり、周期5000ps(ピコ秒)の変調度±0.8%を得るときの例である。
【0063】
図4(a)の状態Aでは、最小発振周期T0は3000ps、制御周期間隔D0は10psとされ、換算値は3000ps/10ps=300、周波数制御信号Cが200で同期状態(図1のfi/Mとfo1/Nが位相同期状態)となり、変調度制御信号の最大値Aは、(300+200)×0.8%=4となる。変調周期は、4×10ps=40psとなる。
【0064】
図4(a)の状態Bは、状態Aに対して、製造ばらつきと環境変動の影響で遅延値が1/2になった場合を示している。最小発振周期T0は1500ps、制御周期間隔D0は5psとされ、換算値は1500ps/5ps=300とされる。状態Bでは、周波数制御信号Cが700で同期状態となり、変調度制御信号の最大値Aは、(300+700)×0.8%=8となる。変調周期は8×5ps=40psとなる。この場合の変調度は、ともに設定値と同じく、±0.8%となる。
【0065】
図4には、最小発振周期と制御周期間隔が記載されているが、予め決められたT1/D1=300と、周波数制御信号Cの値から、変調制御信号の最大値を決定することができる。
【0066】
図4(b)の状態Cは、状態Aの条件で、目標周期が7000psとなった場合を示す。この場合も設定した変調度を得ることができる。状態Cでは、周波数制御信号Cが450で同期状態となり、変調度制御信号の最大値Aは、(300+450)×0.8%=6となる。変調周期は6×10ps=60psとなる。この場合の変調度は、±60ps/7500psとなり、設定値と同じ、±0.8%となる。
【0067】
図5は、図4の状態Aと状態Bの周期遷移を示す図である。デジタルの周期変調であるため、階段型の周期変調となっている。なお、図1の遅延制御型発振回路108へ入力される制御信号(C+α)が発振クロックの周期間隔の段数を規定している。
【0068】
図6は、図5の階段型の周期変調を、FFT(Fast Fourier Transform)変換して得た周波数スペクトルを示す図である。図6に示すように、階段型の周波数変調でもピークスペクトルの低減効果があることがわかる。
【0069】
本発明の第2の実施例について説明する。前記第1の実施例は、変調最大値決定回路106に、遅延制御型発振回路108の最小発振周期を、発振制御間隔(発振周波数制御値)で換算した値Bを持たせる構成であるが、第2の実施例は、遅延制御型発振回路108の最小発振制御信号値が、遅延制御型発振回路108の最小発振周期を発振制御間隔で換算した値Bである。つまり、最小値がBである周波数制御信号を持つ。
【0070】
前記第1の実施例の変調最大値決定回路106においては、(B+C)×MSの演算回路をもつが、第2の実施例では、変調最大値決定回路106は、C×MSの演算回路となる。このため、B+Cの加算回路が不必要となり、回路規模が小さくなる。
【0071】
また、前記第1の実施例では、変調信号発生回路107の動作が、センタースプレッド(Center−Spread)方式の信号を発生しているが、第2の実施例では、変調制御信号αの遷移を、0,1,・・・,A−1,A,A−1,・・・,1,0,1,・・・と正方向にだけ繰り返すことで、周波数が遅い方向のダウンスプレッド(Down−Spread)方式の変調が実現できる。
【0072】
本発明の第3の実施例として、変調制御信号αの遷移を0,−1,・・・,−(A−1),−A,−(A−1),・・・,−1,0,−1,・・・と負方向だけに繰り返すことで、周波数が早い方向のアップスプレッド(Upper−Spread)方式の変調が実現できる。
【0073】
また、変調制御信号αの遷移は、最大値Aの範囲であればよく、遷移の形態は、上記に制限されるものではない。容易に各種方式に対応が可能になる。
【0074】
図7は、本発明の第4の実施例の構成を示す図である。図7を参照すると、図1の第1の実施例の第2遅延制御型発振回路108の後段に、第3プログラムカウンタ111を設けている。第3プログラム設定カウンタ111は、第2の遅延制御型発振回路108の出力をL分周する。L分周することは、基本となる周期が、L倍になるが、変調時の周期も、L倍になるので、変調度は変わらない。
【0075】
本発明の第4の実施例においては、遅延制御型発振回路の周波数帯を広げることなく、出力変調クロックの周波数帯を広げることができ、低周波数帯域対応のために面積の増加分が少ない。
【0076】
次に、本発明の別の実施例について説明する。図8は、本発明の第5の実施例の構成を示す図である。本発明の第5の実施例は、遅延型位相調整回路(DLL:Delay Locked Loop)に応用した例である。
【0077】
遅延型位相調整回路は、第1可変遅延回路201の遅延値が、受信クロック信号RCLKの1周期の長さになるように、位相比較器202と遅延制御回路203で調整する動作をする。
【0078】
第2可変遅延回路205は、第1可変遅延回路201と同特性を持ち、位相制御信号OPHで設定される所望の位相を出力するために、位相制御信号DNによって入力信号DQSIに遅延値を付加し、任意の遅延値を得ることができる。
【0079】
DN=N …(10)
の時、第2可変遅延回路205の遅延値は、RCLKの1周期の遅延値となる。
【0080】
ある条件下の可変遅延回路の遅延Aの最小設定遅延値T0と遅延制御間隔D0の比B(=T0/D0)と、遅延制御信号Nの値から、位相設定信号OPHとの演算により、位相出力設定信号DNを得ることができる。
【0081】
位相設定信号OPHとして、90°位相が必要な場合、すなわち4分の1周期の遅延が必要な場合に、OPH=90/360=1/4とする場合、
DN=(B+N)×OPH−B …(11)
として演算すればよい。
【0082】
RCLKの1周期の遅延値が必要な遅延値は、
T0+D0×N …(12)
である。
【0083】
第2可変遅延回路205の制御信号に、
DN=(B+N)×1/4−B …(13)
を入力すると、第2可変遅延回路205の遅延値は、
T0+D0×((B+N)×1/4−B) …(14)
である。
【0084】
B=T0/D0 …(15)
を上式(14)に代入すると、第2可変遅延回路205の遅延値は、
1/4×(T0+D0×N) …(16)
となり、RCLKの1周期の遅延の4分の1の遅延を得ることができる。
【0085】
前記第1の実施例で示したように、製造上のバラツキ、電源電圧、使用温度による遅延変化率は一定であることから、Bの値は、予めある条件下で決定しておけばよい。
【0086】
第5の実施例のように、遅延調整回路の最小遅延制御信号をBとして設計した場合には、
DN=N×OPH …(17)
として、演算することができる。
【0087】
最小遅延値以下には設定できないが、DDR(Double Data Rate)で使用されるような、90°位相出力ができる可変遅延回路を設計することは問題ない。
【0088】
以上本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例の構成にのみ限定されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】遅延制御型発振回路の発振周波数制御値と発振周期の関係を示す図である。
【図3】遅延制御型発振回路の換算値+発振周波数制御値と発振周期の関係を示す図である。
【図4】制御信号の動作例を示す図である。
【図5】図4の状態A、Bの変調イメージを示す図である。
【図6】階段型変調クロックのスペクトラムを示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例の構成を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施例の構成を示す図である。
【図9】従来のSSCGの構成の一例を示す図である。
【図10】従来のSSCGの構成例を示す図である。
【図11】周波数応答が最適時の周波数遷移を示す図である。
【図12】周波数応答が遅い時の周波数遷移を示す図である。
【図13】周波数応答が速い時の周波数遷移を示す図である。
【図14】図11、図12、図13の状態のスペクトラムを示す図である。
【図15】VCOの制御電圧と出力周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
31 Y1
32 発振回路
35 第1プログラム設定カウンタ
37 位相比較器
38 フィルタ
39 電圧制御発振器
40 バッファ
41 拡大スペクトル変調手段
42 第2プログラム設定カウンタ
45 第3プログラム設定カウンタ
46 ルックアップテーブル1
47 ルックアップテーブル2
49 アップダウンカウンタ
51 シリアルリンク
52 第2VCO
82 ROM
83 デジタルアナログコンバータ
84 アップダウンカウンタ
85 第3プログラム設定カウンタ
101 第1プログラム設定カウンタ
102 位相比較器
103 発振周波数制御回路
104 第1遅延制御型発振回路
105 第2プログラム設定カウンタ
106 変調最大値決定回路
107 変調信号発生回路
108 第2遅延制御型発振回路
109 バッファ
110 加算器
111 第3プログラム設定カウンタ
201 第1可変遅延回路
202 位相比較器
203 遅延制御回路
204 演算回路
205 第2可変遅延回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号に基づき発振周期を等間隔で可変制御する遅延制御型発振回路と、
前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値と、前記遅延制御型発振回路の発振周波数制御値とから、変調信号の最大値を決定する変調最大値決定回路と、
前記変調最大値決定回路から前記変調最大値を受け、前記変調最大値内で変調制御信号を生成する変調信号発生回路と、
を少なくとも備え、
前記発振周波数制御値と前記変調制御信号との加算値が、前記遅延制御型発振回路に前記制御信号として与えられ、前記遅延制御型発振回路からは、周波数変調されたクロック信号が出力される、ことを特徴とするスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項2】
前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値は、製造ばらつき、あるいは使用条件により素子の遅延値が変化した場合にも一定とされ、
前記遅延制御型発振回路からは、変調度が所望値に保たれ周波数変調されたクロック信号が出力される、ことを特徴とする請求項1記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項3】
制御信号に応じて発振周期を、所定の制御周期間隔で可変させる第1及び第2の遅延制御型発振回路と、
前記第1の遅延制御型発振回路の出力クロック信号を分周したクロック信号と、基準クロック信号を分周したクロック信号との位相を比較する位相比較器と、
前記位相比較器での位相比較結果に基づき、周波数制御信号を生成し、前記第1の遅延制御型発振回路に前記制御信号として供給する制御回路と、
予め定められた値と、前記周波数制御信号と、与えられた変調度設定信号とから、変調最大値を決定する変調最大値決定回路と、
前記変調最大値決定回路から前記変調最大値を受け、前記変調最大値内で変調制御信号を生成する変調信号発生回路と、
を備え、
前記第2の遅延制御型発振回路は、前記変調信号発生回路からの前記変調制御信号と、前記制御回路からの前記周波数制御信号とを加算した値を、制御信号として受け、周波数変調されたクロック信号を出力する、ことを特徴とするスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項4】
前記変調最大値決定回路における前記予め定められた値は、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の前記制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項3記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項5】
前記周波数制御信号の最小値が、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の前記制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項3記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項6】
前記予め定められた値(B)は、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で除した値よりなり、
前記変調最大値決定回路は、前記予め定められた値(B)と前記周波数制御信号(C)を加算した値に、前記変調度設定信号(MS)を乗算した値(B+C)×MSを変調最大値(A)として出力し、
前記第2の遅延制御型発振回路からの出力クロック信号の最大の周期変調は、(B+C)×MS×D0(ただし、D0は制御周期間隔)となり、
前記第1の遅延制御型発振回路の出力クロック信号が前記基準クロック信号の周期となる場合の前記周波数制御信号(C)は、最小発振周期をT0として、T0+D0×Cとされ、

(B+C)×MS×D0/(T0+D0×C)
で与えられる変調度は、B=T0/D0より、変調度設定値(MS)とされる、ことを特徴とする請求項3記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項7】
前記位相比較器は、前記基準クロック信号を第1の分周器でM(ただし、Mは所定の正整数)分周した第1の分周クロック信号を入力とし、
前記第1の遅延制御型発振回路の出力を第2の分周器でN(ただし、Nは所定の正整数)分周した第2の分周クロック信号が、前記位相比較器に入力される、ことを特徴とする請求項3記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項8】
基準クロックを入力とし第1の分周比で分周した第1のクロック信号を出力する第1のプログラム設定カウンタと、
前記第1のプログラム設定カウンタの出力を第1の入力端に入力する位相比較器と、
前記位相比較器からの周波数誤差信号を入力とし周波数制御信号を出力する発振周波数制御回路と、
前記発振周波数制御回路からの周波数制御信号を入力とし周波数制御信号に応じた発振周期のクロックを出力する第1の遅延制御型発振回路と、
前記第1の遅延制御型発振回路からの出力を受け第2の分周比でN分周した第2のクロック信号を、前記位相比較器の第2の入力端に供給する第2のプログラム設定カウンタと、
変調度設定信号と、前記発振周波数制御回路からの周波数制御信号とを入力とし、変調最大値を決定する変調最大値決定回路と、
前記変調最大値決定回路から出力される変調最大値を入力し、変調最大値内で変調制御信号を出力する変調信号発生回路と、
前記発振周波数制御回路からの前記周波数制御信号と前記変調信号発生回路からの変調制御信号を加算する加算器と、
前記加算器の出力を制御信号として受け、前記制御信号に応じた発振周期のクロックを生成する第2の遅延制御型発振回路と、
前記第2の遅延制御型発振回路の出力を入力とし、変調クロック信号を出力するバッファと、
を備えているスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項9】
前記変調最大値決定回路における前記予め定められた値は、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項8記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項10】
前記周波数制御信号の最小値が、前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項8記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項11】
前記第2の遅延制御型発振回路の出力を受け第3の分周比で分周した信号を前記バッファの入力に供給する第3のプログラム設定カウンタを備えている、ことを特徴とする請求項8記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一記載のスプレッドスペクトラムクロック生成回路を備えた半導体集積回路装置。
【請求項13】
基準クロックを入力とし遅延を付加して出力する第1の可変遅延回路と、
前記第1の可変遅延回路の出力と前記基準クロックとを入力してその位相差を検出する位相比較器と、
前記位相比較器での位相比較結果に基づき、前記第1の可変遅延回路の遅延値を可変制御する制御信号を生成する制御回路と、
入力信号を入力とし遅延を付加して出力する第2の可変遅延回路と、
予め定められた値と前記制御信号とを入力とし、前記第2の可変遅延回路における遅延値を可変制御する演算回路と、
を備えている、ことを特徴とする遅延型位相調整回路。
【請求項14】
前記予め定められた値は、前記可変遅延回路の最小遅延値を、遅延制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項13記載の遅延型位相調整回路。
【請求項15】
前記可変遅延回路の最小遅延値出力の制御信号が、前記可変遅延回路の最小遅延値を遅延制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項13記載の遅延型位相調整回路。
【請求項16】
前記制御回路は、前記位相比較器での比較結果に基づき、前記第1の可変遅延回路の出力と基準クロックの遅延が1周期となるように制御する、ことを特徴とする請求項13記載の遅延型位相調整回路。
【請求項17】
請求項13乃至16のいずれか一に記載の遅延型位相調整回路を備えた半導体集積回路装置。
【請求項18】
制御信号に基づき発振周期を等間隔で可変制御する遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値と、前記遅延制御型発振回路の発振周波数制御値とから、変調信号の最大値を決定する工程と、
前記変調最大値内で変調制御信号を生成する工程と、
発振周波数制御値と前記変調制御信号との加算値を、前記遅延制御型発振回路に前記制御信号として供給し、前記遅延制御型発振回路から、周波数変調されたクロック信号が出力される工程と、
を含む、ことを特徴とするスプレッドスペクトラムクロック生成方法。
【請求項19】
前記遅延制御型発振回路の最小発振周期を、発振周期の制御周期間隔で換算した値は、製造ばらつき、あるいは使用条件により素子の遅延値が変化した場合にも一定とされ、
前記遅延制御型発振回路からは、変調度が所望値に保たれ周波数変調されたクロック信号が出力される、ことを特徴とする請求項18記載のスプレッドスペクトラムクロック生成方法。
【請求項20】
基準クロックを入力とし遅延を付加して出力する第1の可変遅延回路の出力と前記基準クロックとの位相差を位相比較器で検出する工程と、
前記位相比較器での位相比較結果を入力とする制御回路により、前記第1の可変遅延回路の遅延値を可変制御する制御信号を生成する工程と、
予め定められた値と前記制御信号とを入力とする演算回路により、第2の可変遅延回路における遅延値を可変制御する工程と、
前記第2の可変遅延回路は入力信号を入力とし演算回路により規定される遅延を付加して出力する工程と、
を含む、ことを特徴とする遅延型位相調整方法。
【請求項21】
前記予め定められた値は、前記可変遅延回路の最小遅延値を、遅延制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項20記載の遅延型位相調整方法。
【請求項22】
前記可変遅延回路の最小遅延値出力の制御信号が、前記可変遅延回路の最小遅延値を遅延制御周期間隔で換算した値とされる、ことを特徴とする請求項20記載の遅延型位相調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−24110(P2006−24110A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203320(P2004−203320)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000232036)NECマイクロシステム株式会社 (72)
【Fターム(参考)】