説明

スライドドア装置

【課題】 高さに対する幅の比の小さなスライドドアであっても円滑に開閉でき、特に、戸袋を必須とする開口の狭い場所に設置できるスライドドア装置を提供すること。
【解決手段】 幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備し、無目13内のレール20に吊り枠21を介して吊り下げて開閉するスライドドア装置において、スライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、レール20は、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、側面の下端から鋭角に傾斜した下面とを有し、吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、スライドドア11の荷重を受けつつレール20の上面を転動する位置と、スライドドア11の移動方向に対する振れ止めのためにレール20の下面を転動する位置との少なくとも2個所に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭い開口に複数枚の扉をスライドしながら開閉するようにした自動又は手動のスライドドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廊下の間仕切りや身障者用トイレなどのドア取り付け開口の狭い場所においては、ドアをスイング式に構成すれば戸袋を必要としない点で好ましいが、スイング式自動ドアでは、出入りする人間や物体が開閉するドアに衝突する危険がある。逆に、スライド式では、開閉時にドアと衝突する危険はないが、ドアが開いたときにドアを収納する戸袋を必要とする。
【0003】
図7(a)は、一般的な両開きの自動ドアを示すもので、幅aの開口10に、高さe、幅bの2枚のドア11を配置し、これらのスライドドア11の上端部に吊り枠21を介して吊り車22を取り付け、無目13内のレール20を転動するように吊り下げたものである。また、一方のスライドドア11の吊り枠21は、駆動プーリ16と従動プーリ17間に掛け渡したベルト18の上側に固着し、他方のスライドドア11の吊り枠21は、ベルト18の下側に固着する。そして、駆動装置14の回転を変速ギア15,駆動プーリ16を介してベルト18に伝え、ベルト18の上側が図中左に移動すると、下側が右に移動して、左右のスライドドア11は、両開きとなる。そして、開口10の両側に、スライドドア11の幅bと略同じ幅dの戸袋12を設けて、これに収納する。戸袋12の代わりにフィックスドアを設けて重なるようにすることもできる。駆動装置14を逆回転すると、スライドドア11は閉じる(特許文献1)。なお、25は、振れ防止溝、26は、振れ防止スライダである。
【0004】
ところが、このような両開きのスライドドアでは、吊り車22の取り付け位置からスライドドア11の側部までの距離fは、無目13内の取り付け部材の構造などから、スライドドアの幅に関係なく、100〜150mm必要とされ、結果として左右の吊り車22の間隔c=b−250〜150mm程度しか取れない。
そのため、スライドドア11がぐらつくことなく、しかも、高速で開閉するためには、吊り車22の下側に外れ止め車23を配置したとしても、スライドドア11の幅は、b/e=1/4、すなわち、高さe=2000mmに対し、幅b=500mmが限度であった。
【0005】
例えば、戸袋12の幅dをより狭くするために、図7(b)に示すように、2枚の中央部スライドドア11aと2枚の両側部スライドドア11bの合計4枚のスライドドアを、吊り枠21aと21b、吊り車22a、22bを介して無目13内の中央部ドア用レール20aと両側部ドア用レール20bとに吊り下げて両開きとしたような場合、具体的には、図7(b)において、開口10の高さe=2000mm、幅a=1400mm、ドアの重なり=50mmとしたとき、1枚あたりのスライドドア11の幅b=400mmとなり、b/e=400/2000=1/5となる。また、f=100mmとすると、c=b−2f=200mmとなる。
このような間隔cの狭い場合のぐらつきを防止するためには、吊り車22の下側に設けた外れ止め車23の位置調整が重要となるが、円滑に、かつ、高速に開閉動作をするための調整が極めて面倒である。たとえば、外れ止め車23とレール20の下面との隙間が1mmに調整したとすると、この隙間によって、スライドドア11の可鍛部では、20mm振れる。外れ止め車23は、左右2箇所にあるから、最大40mmの振れが発生する。特に、スライドドア11が強化ガラスなどからなる重量のあるものでは、開閉時のぐらつきが大きい。
そのため、従来は、この種の吊り車を用いた方式のスライドドア11に踊りが生じないようにするには、低速で運転することしか対策がなかった。
【特許文献1】特開2002−4701号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、次の通りである。
スライドドア装置において、高さeに対する幅bの比の小さなスライドドアは、高速で開閉しようとするとぐらついて円滑に開閉できないこと。
スライドドアでは、戸袋を必須とするため、開口の狭い場所には、設置できないか、極めて困難なこと。
スイング式自動ドアでは、出入りする人間や物体が開閉するドアに衝突する危険があること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備し、これらのスライドドア11を、無目13内のレール20に吊り枠21を介して吊り下げて開閉するスライドドア装置において、前記幅の狭いスライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、前記レール20は、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、前記側面の下端から鋭角に傾斜した下面とを有し、前記吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20の上面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向に対する振れ止めのために前記レール20の下面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向と直交する方向に対する振れ止めのために前記レール20の側面を転動する位置との少なくとも3個所に設けたことを特徴とするスライドドア装置である。
【0008】
また、無目13内の一端に設けられ正逆可能な駆動装置14に連結した駆動プーリ16と無目13内の他端に設けられた従動プーリ17との間に往復運動するベルト18を掛け渡し、このベルト18の一方向に移動する側と他方向に移動する側とに、2枚の中央部スライドドア11aの上端に設けられたそれぞれの中央部ドア用吊り枠21aを固着し、両側部ドア用吊り枠21bのそれぞれに一体に移動自在のプーリ支持台34を設け、このプーリ支持台34に設けたプーリ32とプーリ33との間にベルト31を掛け渡し、このベルト31の一方向に移動する側を前記無目13内に固着し、他方向に移動する側を前記中央部ドア用吊り枠21aに固着し、前記中央部スライドドア11aの開閉に伴ない、前記両側部スライドドア11bを中央部スライドドア11aの2分の1の速度で開閉する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備したスライドドア装置において、吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20上を転動する位置と、前記スライドドア11の振れ止めのためにレール20の他の面を転動する位置との少なくとも2個所に設けたので、スライドドア幅の狭いものでも、開閉時にぐらついたり、踊ったりすることなく円滑に開閉することができる。また、スライド式自動ドアは、スイング式のような、出入りする人間や物体が開閉するドアに衝突する危険がない。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、幅の狭いスライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、レール20は、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、前記側面の下端から鋭角に傾斜した下面とを有し、吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20の上面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向に対する振れ止めのために前記レール20の下面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向と直交する方向に対する振れ止めのために前記レール20の側面を転動する位置との少なくとも3個所に設けたので、3方向からのリニアベアリングでスライドドア11を保持でき、移動方向、移動方向に直交する方法、そのほか、あらゆる方向の振れに伴なう踊りを確実に防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、幅の狭いスライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、レール20は、水平な下面と、この下面の両側からそれぞれ上部内方に鋭角に傾斜した側面兼用の2つの上面とを有し、吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、スライドドア11の荷重を受けつつレール20の2つの傾斜した上面を転動するそれぞれの位置と、スライドドア11の下面を転動する位置との少なくとも3個所に設けたので、スライドドア11の上端と無眼用ベース板35への取り付け位置との距離を短くすることができ、無目13の狭いものにも取り付けができるだけでなく、スライドドア11の踊りをより確実に防止することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、2枚の中央部スライドドア11aは、それぞれ中央部ドア用吊り枠21aにて吊り下げ、前記2枚の両側部スライドドア11bは、それぞれ両側部ドア用吊り枠21bにて吊り下げ、前記中央部ドア用吊り枠21aにリニアベアリングからなる2個の中央部ドア用レールスライダ27を中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この中央部ドア用レールスライダ27を前記中央部ドア用レール20aに嵌合し、前記両側部ドア用吊り枠21bにリニアベアリングからなる2個の両側部ドア用レールスライダ28を両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この両側部ドア用レールスライダ28を前記両側部ドア用レール20bに嵌合して開閉するようにしたので、戸袋の幅を小さくでき、また、小さな開口にも両引きのドアを設置できる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、無目13内の一端に設けられ正逆可能な駆動装置14に連結した駆動プーリ16と無目13内の他端に設けられた従動プーリ17との間に往復運動するベルト18を掛け渡し、このベルト18の一方向に移動する側と他方向に移動する側とに、2枚の中央部スライドドア11aの上端に設けられたそれぞれの中央部ドア用吊り枠21aを固着し、両側部ドア用吊り枠21bのそれぞれに一体に移動自在のプーリ支持台34を設け、このプーリ支持台34に設けたプーリ32とプーリ33との間にベルト31を掛け渡し、このベルト31の一方向に移動する側を無目13内に固着し、他方向に移動する側を中央部ドア用吊り枠21aに固着し、中央部スライドドア11aの開閉に伴ない、両側部スライドドア11bを中央部スライドドア11aの2分の1の速度で開閉するようにしたので、中央部スライドドア11aの開閉動作に追随して両側部スライドドア11bが円滑に開閉する。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、中央部スライドドア11aに開閉用係合具42を設け、両側部スライドドア11bに中央部スライドドア11aの開放時に係合する開放用係合具43と中央部スライドドア11aの閉鎖時に係合する閉鎖用係合具44とを設けたので、両側部スライドドア11bを開閉するための機構が簡単で、かつ、中央部スライドドア11aの開閉に従がい両側部スライドドア11bが確実に開閉する。
【0015】
請求項7記載の発明によれば、中央部スライドドア11aと両側部スライドドア11bとの下框の下面にそれぞれガイド溝41aとガイド溝41bとを設け、中央部スライドドア11aのガイド溝41aに、両側部スライドドア11bの一端部に設けたガイドローラ40aを摺動自在に嵌合し、両側部スライドドア11bのガイド溝41bに、床面24に設けたガイドローラ40bを摺動自在に嵌合したので、開口における床面には、ガードレールなどがなくてもスライドドアの振れ止めができ、かつ、バリアフリーとなり、身障者用の開閉ドアとして有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、2枚の両開きの中央部スライドドア11aを無目13内の中央部ドア用レール20aに吊り下げ、これらの中央部スライドドア11aの両側に配置した2枚の両開きの両側部スライドドア11bを無目13内の両側部ドア用レール20bに吊り下げ、開放時に中央部ドア11aと両側部ドア11bとを重ねて戸袋12内に収納するように開閉するスライド自動ドア装置に適用される。
無目13内に正逆可能な駆動装置14と制御装置19を内蔵することで、開放時と閉鎖時の速度を別々にコントロールすることができる。また、ドアに物が挟まったときとか、障害物のためにドアの開閉動作が停止したようなとき、ドアを反転したり、停止したりすることができる。さらに、ドアが当たる衝撃力を調整することで、人にやさしい安全な自動スライドドアとなる。さらにまた、停電時には、手で開閉できるようにすることもできる。
中央部ドア用吊り枠21aにリニアベアリングからなる2個の中央部ドア用レールスライダ27を中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この中央部スライドドア用レールスライダ27を前記中央部ドア用レール20aに移動自在に嵌合する。また、両側部ドア用吊り枠21bにもリニアベアリングからなる2個の両側部ドア用レールスライダ28を両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で取り付ける。これらのスライダ27,28は、レール20a、20bを移動するとき、多数のベアリングで支持され、がたつきや踊りなく円滑にスライドドアの開閉が可能となる。
中央部ドア用ベルト18と、両側部ドア用吊り枠21bのプーリ支持台34に設けた両側部ドア用ベルト31を中央部ドア用吊り枠21aで連結し、このベルト31の一方向に移動する側を前記無目13内に固着し、他方向に移動する側を前記中央部ドア用吊り枠21aに固着したことより、前記中央部スライドドア11aの開閉に伴ない、前記両側部スライドドア11bを中央部スライドドア11aの2分の1の速度で円滑に開閉する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を図1乃至図4に基づき説明する。
図2(a)は、本発明によるスライドドア装置の具体的構成を示す正面図で、図2(b)は、平面図、図3は、拡大した縦断面図である。また、図1は、動作を説明するための模式図である。
これらの図において、10は、病院の廊下、工場のクリーンルーム、身障者用トイレなどの狭い開口で、開口幅が800mm、開口高さが2000mm、スライドドア11の枚数が4の場合を例とする。重なりを50mmとすると、スライドドア11の幅bは、250mmとなる。スライドドア11の幅bが高さeに対し、1/8であるから、本発明は、スライドドア11の幅bが高さeに対し、1/4以下であっても十分機能するものであることを以下に説明する。
【0018】
前記開口10には、中央部の外側に面した2枚の高速開閉する中央部スライドドア11aと、この両側の内側に面した2枚の低速開閉する両側部スライドドア11bとの4枚で両開きするように設けられている。この開口10の両側には、スライドドア11が開いたときの戸袋12が設けられており、また、スライドドア11の上部の無目13には、駆動装置等を取り付ける無目用ベース板35が設けられている。
【0019】
前記無目用ベース板35内の上部には、駆動プーリ16と従動プーリ17によりベルト18が掛け渡され、前記駆動プーリ16は、変速ギア15を介して正逆回転する駆動装置14に連結されている。また、ベルト18の近くに制御装置19が配置されている。この制御装置19は、人の感知スイッチによる駆動装置14の正逆回転を制御すること、開放時と閉鎖時の速度を別々にコントロールすること、スライドドアに物が挟まったときとか、障害物のためにスライドドアの開閉動作が停止したようなときに、スライドドアを反転したり、停止したりすること、人にやさしい安全な自動スライドドアとするためにスライドドアが当たる衝撃力を調整すること、停電時に手で開閉できるようにすること、などを可能にする。
前記ベルト18の下側には、中央部ドア用レール20aが取り付けられ、さらにこの中央部ドア用レール20aの下側には、両側部ドア用レール20bが取り付けられている。これらのレール20a及び20bは、図3に示すように、前記無目用ベース板35の側面に当て板46をあてがいレール側から取り付けねじ48を差し込み、前記無目用ベース板35に設けたスライド溝45に摺動自在に嵌めこんだねじ孔板47にねじ込んで固定する。
【0020】
前記2枚の中央部スライドドア11aの上端部には、それぞれ中央部ドア用吊り枠21aが設けられている。このうち、図中左側の中央部スライドドア11aにおける中央部ドア用吊り枠21aの上方部は、前記ベルト18の上側(一方向移動側)にベルト連結部29で連結され、また、中央部ドア用レール20aの中間部の位置には、中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で2個の中央部ドア用レールスライダ27が設けられ、下方部は、後述する一方のベルト31の下側にベルト連結部30で連結している。
また、図中右側の中央部スライドドア11aの中央部ドア用吊り枠21aの上方部は、前記ベルト18の下側(他方向移動側)にベルト連結部29で連結し、中間部の中央部ドア用レール20aの位置には、中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で2個の中央部ドア用レールスライダ27が設けられ、下方部は、後述する他方のベルト31の下側にベルト連結部30で連結している。
【0021】
前記中央部スライドドア11aの両側に配置された2枚の両側部スライドドア11bの上端部には、それぞれ両側部ドア用吊り枠21bが設けられている。このうち、図中左側の両側部スライドドア11bにおける背面側の両側部ドア用レール20bの位置には、両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で2個の両側部ドア用レールスライダ28が設けられ、また、両側部ドア用吊り枠21bの正面側には、両側部スライドドア11bの幅の2倍よりやや短い長さを有するプーリ支持台34が固定的に取り付けられ、このプーリ支持台34の両端にプーリ32とプーリ33が取り付けられてベルト31が掛け渡されている。このベルト31の上側は、ベルト固定部38により無目用ベース板35に固定的に取り付けられ、下側が前述したように前記中央部ドア用吊り枠21aにベルト連結部30で連結している。
【0022】
同様に、図中右側の両側部スライドドア11bにおける背面側の両側部ドア用レール20bの位置には、両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で2個の両側部ドア用レールスライダ28が設けられ、また、両側部ドア用吊り枠21bの正面側には、両側部スライドドア11bの幅の2倍よりやや短い長さを有するプーリ支持台34が固定的に取り付けられ、このプーリ支持台34の両端にプーリ32とプーリ33が取り付けられてベルト31が掛け渡されている。このベルト31の上側は、ベルト固定部38により無目用ベース板35に固定的に取り付けられ、下側が前述したように前記中央部ドア用吊り枠21aにベルト連結部30で連結している。
【0023】
前記中央部ドア用レール20a及び中央部ドア用レールスライダ27の具体例が図4に示される。この図4において、中央部ドア用レール20aは、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、前記側面の下端から鋭角に傾斜した下面と、取り付け太を有し、上下面のくびれた部分にそれぞれ2本のボール溝39が形成されると共に、前面の上下にそれぞれ2本のボール溝39が形成されている。また、中央部ドア用レールスライダ27には、多数個のボール37が4列の独立したリング状に配置され、これら4列のボール37がそれぞれ中央部ドア用レール20aを挟みつけるようにしてボール溝39を転がりながら直線的な移動を可能としたものである。すなわち、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20の上面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向に対する振れ止めのために前記レール20の下面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向と直交する方向に対する振れ止めのために前記レール20の側面を転動する2個所の位置との4個所に設けたものである。
前記両側部ドア用レール20b及び両側部ドア用レールスライダ28についても同様の構成である。
【0024】
前記中央部スライドドア11aと両側部スライドドア11bの下面には、それぞれガイド溝41aとガイド溝41bとが形成され、床面24に取り付けられたガイドローラ40bが両側部スライドドア11bのガイド溝41bに嵌合し、また、両側部スライドドア11bに取り付けられたガイドローラ40aが中央部スライドドア11aのガイド溝41aに嵌合して、開閉時の振れを防止しているとともに、床面24をバリアフリーとしている。
【0025】
以上のような構成による作用を説明する。
図1に示すように中央部スライドドア11a、両側部スライドドア11bの4枚全てが閉じた状態において、人間の接近を感知するか開放のためにスイッチを入れると、制御装置19により駆動装置14が駆動し、変速ギア15を介して駆動プーリ16が図中左回転し、従動プーリ17に掛け渡されたベルト18が上側は左に、下側は右に移動する。ベルト18の上側にベルト連結部29で固着された中央部ドア用吊り枠21aの左方向の移動により、左側の中央部スライドドア11aをベルト18と同一速度で開放方向に移動する。同時に、ベルト18の下側にベルト連結部29で固着された中央部ドア用吊り枠21aの右方向の移動により、右側の中央部スライドドア11aをベルト18と同一速度で開放方向に移動する。
ここで、左右の中央部ドア用吊り枠21aは、それぞれ2個ずつの中央部スライドドア用レールスライダ27が中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で配置され、しかも、中央部ドア用レール20aの4列のボール溝39に添ってそれぞれ多数のボール37を独立したリング状に配置されて中央部ドア用レール20aを挟みつけながら直線的に転がりながら移動する。そのため、中央部ドア用レール20aとボール37との抵抗が極めて小さく、しかも、中央部ドア用レール20aと中央部ドア用レールスライダ27のボール37との間に隙間がほとんど生じることなく円滑に移動する。
【0026】
左右の中央部スライドドア11aが両開き状態で開放すると、中央部ドア用吊り枠21aの移動に伴ないベルト連結部30で連結されたベルト31の下側が一体に移動する。このベルト31は、上側がベルト固定部38で固定されているので、プーリ32,プーリ33に掛け渡されたベルト31は、ベルト18の移動速度の2分の1の速度で移動し、移動距離も半分となる。このことは、プーリ支持台34と両側部ドア用吊り枠21bは、一体であるから、両側部ドア用吊り枠21bの左方向の移動により、下端の両側部スライドドア11bをベルト18の2分の1の速度で開放する方向に移動する。同時に、右側の両側部スライドドア11bをベルト18の2分の1の速度で開放する方向に移動する。
このように、駆動側のベルト18の移動距離をxとすると、中央部ドア11aの移動距離もxとなり、両側部ドア11bの移動距離はx/2となる。
【0027】
このとき、左右の両側部ドア用吊り枠21bは、それぞれ2個ずつの両側部ドア用レールスライダ28が両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で配置され、しかも、両側部ドア用レール20bの4列のボール溝39に添ってそれぞれ多数のボール37を独立したリング状に配置されて両側部ドア用レール20bを挟みつけながら直線的に転がりながら移動する。そのため、両側部ドア用レール20bとボール37との抵抗が極めて小さく、しかも、両側部ドア用レール20bと中央部ドア用レールスライダ27のボール37との間に隙間がほとんど生じることなく円滑に移動する。
【0028】
2枚の中央部スライドドア11aが図1における距離xだけ移動して、完全に開放してそれぞれ両側の戸袋12に収納されると、2枚の両側部スライドドア11bも中央部スライドドア11aの2分の1の速度で図1における距離x/2だけ移動して完全に開放して中央部スライドドア11aと同期して両側の戸袋12に収納される。完全に開放すると、図示しないスイッチが作動して制御装置19を介して駆動装置14を停止する。
中央部スライドドア11aの開放時に、下端のガイド溝41aにガイドローラ40aが嵌合すると共に、ガイド溝41bにガイドローラ40bが嵌合して移動するので、中央部スライドドア11a、両側部スライドドア11bの振れが防止される。
【0029】
解放後一定時間経過するか、人の通過を感知すると、制御装置19を介して駆動装置14を逆回転することで、中央部スライドドア11aが高速で移動し、両側部スライドドア11bがその2分の1の速度で移動して閉鎖する。
【実施例2】
【0030】
実施例1では、中央部スライドドア11aの駆動用のベルト18に、両側部スライドドア11bの駆動用のベルト31を連動させ、中央部スライドドア11aの開閉速度に対して、両側部スライドドア11bの開閉速度を2分の1にして同期して開閉するようにした。
しかしこれに限られるものではなく、図5に示すように、中央部スライドドア11aの背面の立て框に開閉用係合具42を取り付け、両側部スライドドア11bの正面側の左右の立て框にそれぞれ開放用係合具43と閉鎖用係合具44を設け、中央部スライドドア11aの開放時に、中央部スライドドア11aが半分開放した位置で開閉用係合具42と開放用係合具43を係合して一体に開放し、閉鎖時に、中央部スライドドア11aが半分閉鎖した位置で開閉用係合具42と閉鎖用係合具44を係合して一体に閉鎖するようにしても良い。
【実施例3】
【0031】
前記図3に示した実施例では、レール20a及び20bは、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、前記側面の下端から鋭角に傾斜した下面とを有するように配置したが、これに限られるものではない。
この実施例3では、図6に示すように、レール20a及び20bは、水平な下面と、この下面の両側からそれぞれ上部内方に鋭角に傾斜した側面兼用の2つの上面とを有し、吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、スライドドア11の荷重を受けつつレール20の2つの傾斜した上面を転動するそれぞれの位置と、スライドドア11の下面を転動する2個所の位置との4個所に設けるようにしてもよい。このような構成とすることにより、スライドドア11の上端と無眼用ベース板35への取り付け位置との距離を短くすることができ、無目13の狭いものにも取り付けができるだけでなく、スライドドア11の踊りをより確実に防止することができる。
【実施例4】
【0032】
前記実施例1及び2では、4枚の両引き戸式自動スライドドアについて説明したが、これに限られるものではなく、2枚の両引き戸式自動スライドドア、6枚又はそれ以上の両引き戸式自動スライドドアでもよいし、左右の枚数の異なるものであってもよい。
また、両引きでなく、片引きのスライドドアであっても良い。
前記実施例では、1枚のスライドドア11につき、2個のレールスライダ27を取り付けたが、ボール37の数の多いリニアベアリングの長いものを用いれば1個であっても良い。
本発明は、狭い開口に特に有効であるが、広い開口における幅の広いスライドドア11であっても適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるスライドドア装置の動作を説明するための模式図である。
【図2】(a)は、本発明によるスライドドア装置の実施例1を示す正面図、(b)は、同上の平面図である。
【図3】図2における拡大した縦断面図である。
【図4】本発明によるスライドドア装置に用いられたレールとレールスライダの一部分解した斜視図である。
【図5】本発明によるスライドドア装置の実施例2を示す平面図である。
【図6】本発明によるスライドドア装置の実施例3を示す断面図である。
【図7】(a)は、従来の2枚のスライドドア装置を示す正面図、(b)は、従来の4枚のスライドドア装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
10…開口、11…スライドドア、11a…中央部スライドドア、11b…両側部スライドドア、12…戸袋、13…無目、14…駆動装置、15…変速ギア、16…駆動プーリ、17…従動プーリ、18…ベルト、19…制御装置、20…レール、20a…中央部ドア用レール、20b…両側部ドア用レール、21…吊り枠、21a…中央部ドア用吊り枠、21b…両側部ドア用吊り枠、22…吊り車、22a…中央部ドア用吊り車、22b…両側部ドア用吊り車、23…外れ止め車、24…床面、25…振れ防止溝、26…振れ防止スライダ、27…中央部ドア用レールスライダ、28…両側部ドア用レールスライダ、29…ベルト連結部、30…ベルト連結部、31…ベルト、32…プーリ、33…プーリ、34…プーリ支持台、35…無目用ベース板、36…カバー、37…ボール、38…ベルト固定部、39…ボール溝、40a、40b…ガイドローラ、41a、41b…ガイド溝、42…開閉用係合具、43…開放用係合具、44…閉鎖用係合具、45…スライド溝、46…当て板、47…ねじ孔板、48…取り付けねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備し、これらのスライドドア11を、無目13内のレール20に吊り枠21を介して吊り下げて開閉するスライドドア装置において、前記吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20上を転動する位置と、前記スライドドア11の振れ止めのために前記レール20の他の面を転動する位置との少なくとも2個所に設けたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項2】
幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備し、これらのスライドドア11を、無目13内のレール20に吊り枠21を介して吊り下げて開閉するスライドドア装置において、前記幅の狭いスライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、前記レール20は、垂直な側面と、この側面の上端から鋭角に傾斜した上面と、前記側面の下端から鋭角に傾斜した下面とを有し、前記吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20の上面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向に対する振れ止めのために前記レール20の下面を転動する位置と、前記スライドドア11の移動方向と直交する方向に対する振れ止めのために前記レール20の側面を転動する位置との少なくとも3個所に設けたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項3】
幅の狭いスライドドア11を少なくとも2枚具備し、これらのスライドドア11を、無目13内のレール20に吊り枠21を介して吊り下げて開閉するスライドドア装置において、前記幅の狭いスライドドア11は、高さに対する幅の比が1/5以下であり、前記レール20は、水平な下面と、この下面の両側からそれぞれ上部内方に鋭角に傾斜した側面兼用の2つの上面とを有し、前記吊り枠21にリニアベアリングからなるレールスライダ27を取り付け、このレールスライダ27のリニアベアリングは、前記スライドドア11の荷重を受けつつ前記レール20の2つの傾斜した上面を転動するそれぞれの位置と、前記スライドドア11の下面を転動する位置との少なくとも3個所に設けたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項4】
2枚の両開きの中央部スライドドア11aを無目13内の中央部ドア用レール20aに吊り下げ、これらの中央部スライドドア11aの両側に配置した2枚の両開きの両側部スライドドア11bを無目13内の両側部ドア用レール20bに吊り下げて開閉するスライドドア装置において、前記2枚の中央部スライドドア11aは、それぞれ中央部ドア用吊り枠21aにて吊り下げ、前記2枚の両側部スライドドア11bは、それぞれ両側部ドア用吊り枠21bにて吊り下げ、前記中央部ドア用吊り枠21aにリニアベアリングからなる2個の中央部ドア用レールスライダ27を中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この中央部ドア用レールスライダ27を前記中央部ドア用レール20aに嵌合し、前記両側部ドア用吊り枠21bにリニアベアリングからなる2個の両側部ドア用レールスライダ28を両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この両側部ドア用レールスライダ28を前記両側部ドア用レール20bに嵌合して開閉するようにしたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項5】
2枚の両開きの中央部スライドドア11aを無目13内の中央部ドア用レール20aに吊り下げ、これらの中央部スライドドア11aの両側に配置した2枚の両開きの両側部スライドドア11bを無目13内の両側部ドア用レール20bに吊り下げ、開放時に中央部スライドドア11aと両側部スライドドア11bとを重ねて戸袋12内に収納するように開閉するスライドドア装置において、前記無目13内の一端に設けられ正逆可能な駆動装置14に連結した駆動プーリ16と前記無目13内の他端に設けられた従動プーリ17との間に往復運動するベルト18を掛け渡し、このベルト18の一方向に移動する側と他方向に移動する側とに、前記2枚の中央部スライドドア11aの上端に設けられたそれぞれの中央部ドア用吊り枠21aを固着し、この中央部ドア用吊り枠21aにリニアベアリングからなる2個の中央部ドア用レールスライダ27を中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この中央部ドア用レールスライダ27を前記中央部ドア用レール20aに移動自在に嵌合し、前記2枚の両側部スライドドア11bの上端にそれぞれ両側部ドア用吊り枠21bを設け、この両側部ドア用吊り枠21bにリニアベアリングからなる2個の両側部ドア用レールスライダ28を両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この両側部ドア用レールスライダ28を前記他方の両側部ドア用レール20bに移動自在に嵌合し、前記両側部ドア用吊り枠21bのそれぞれに一体に移動自在のプーリ支持台34を設け、このプーリ支持台34に設けたプーリ32とプーリ33との間にベルト31を掛け渡し、このベルト31の一方向に移動する側を前記無目13内に固着し、他方向に移動する側を前記中央部ドア用吊り枠21aに固着し、前記中央部スライドドア11aの開閉に伴ない、前記両側部スライドドア11bを中央部スライドドア11aの2分の1の速度で開閉するようにしたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項6】
2枚の両開きの中央部スライドドア11aを無目13内の中央部ドア用レール20aに吊り下げ、これらの中央部スライドドア11aの両側に配置した2枚の両開きの両側部スライドドア11bを無目13内の両側部ドア用レール20bに吊り下げ、開放時に中央部スライドドア11aと両側部スライドドア11bとを重ねて戸袋12内に収納するように開閉するスライドドア装置において、前記無目13内の一端に設けられ正逆可能な駆動装置14に連結した駆動プーリ16と前記無目13内の他端に設けられた従動プーリ17との間に往復運動するベルト18を掛け渡し、このベルト18の一方向に移動する側と他方向に移動する側とに、前記2枚の中央部スライドドア11aの上端に設けられたそれぞれの中央部ドア用吊り枠21aに固着し、この中央部ドア用吊り枠21aにリニアベアリングからなる2個の中央部ドア用レールスライダ27を中央部スライドドア11aの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この中央部ドア用レールスライダ27を前記中央部ドア用レール20aに移動自在に嵌合し、前記2枚の両側部スライドドア11bの上端にそれぞれ両側部ドア用吊り枠21bを設け、この両側部ドア用吊り枠21bにリニアベアリングからなる2個の両側部ドア用レールスライダ28を両側部スライドドア11bの幅よりやや狭い間隔で取り付け、この両側部ドア用レールスライダ28を前記両側部ドア用レール20bに移動自在に嵌合し、前記中央部スライドドア11aに開閉用係合具42を設け、前記両側部スライドドア11bに中央部スライドドア11aの開放時に係合する開放用係合具43と中央部スライドドア11aの閉鎖時に係合する閉鎖用係合具44とを設け、中央部スライドドア11aの開閉に従がい前記両側部スライドドア11bを開閉するようにしたことを特徴とするスライドドア装置。
【請求項7】
中央部スライドドア11aと両側部スライドドア11bとの下框の下面にそれぞれガイド溝41aとガイド溝41bとを設け、中央部スライドドア11aのガイド溝41aに、両側部スライドドア11bの一端部に設けたガイドローラ40aを摺動自在に嵌合し、両側部スライドドア11bのガイド溝41bに、床面24に設けたガイドローラ40bを摺動自在に嵌合したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載のスライドドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−138135(P2006−138135A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329383(P2004−329383)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000238197)扶桑電機工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】