説明

スラリーの脱水及びバイオソリッドの再生可能燃料への変換

バイオソリッドを含んでいる都市下水路及び雨水を排出するために処理する方法において、標準的なバイオソリッドは、脱水後でさえ、バイオソリッドの死細胞中に結合されている水を一般的には約80%含んでおり、それがバイオソリッドにマイナスの発熱量を与える。それを焼却処分することができるのは、費用負担のかかる購入燃料のみである。バイオソリッドは、それらの細胞構造が破壊され、好ましくは二酸化炭素が分離してそのバイオソリッドの酸素含有量を低下する温度に加熱する。その結果得られたチャーは、親水性ではなく、効果的に脱水及び/又は乾燥することができ、実現可能な再生可能燃料である。この再生可能燃料は、同一施設又は平行した施設で、従来のバイオマス(庭ごみ及び農作物廃棄物など)も投入することによって補足することができる。同様に、再生不可能な親水性燃料を、バイオソリッドの処理と併せて処理し、エネルギー供給をさらに拡大するようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
汚水及び廃水処理プラントからのスラッジ並びにそれが含有するバイオソリッドは、深刻な処理問題を示している。水環境連盟(WEF)は、1991年に用語「バイオソリッド」を正式に承認し、それは現在世界中で常用されている。WEFは、「バイオソリッド」を廃水処理プロセスの間に汚水から除去された土壌様の残留物質として定義している。処理中に、バクテリア及びその他の微生物は汚水をより単純で安定した形の有機物に分解する。その有機物はバクテリア細胞の塊と一緒になって沈殿し、バイオソリッドを形成する。アメリカ環境保護庁(USEPA)によれば、処理及び汚染物質含有量基準を満たすバイオソリッドは、「安全に再生利用し、生産土壌を持続的に改良維持し植物の成長を促進する肥料として応用することができる」。
【0002】
スラッジは、バイオソリッド(汚水及び廃水を開放水域に放出することができるようにそれを処理した副産物である有機死細胞を主として含む)とさまざまな量の遊離水との混合物である。遊離水は、少なくとも一部は機械的脱水方法によって除去することができる。遊離水に加えて、バイオソリッドは細胞結合水を含有しており、それはバイオソリッドの容量の80%もの量をなすことができ、機械的脱水方法によって除去することが不可能である。上記スラッジ中に含まれている大量の水は、大きなマイナスの熱量(heat value)をそれに与え、細胞結合水(cell−bound water)を追い出すためには大量の高価な燃料を必要とするため、それを焼却処分する費用は著しく高いものとなる。その観点で、上記スラッジは、現在埋立てとして、又は汚水スラッジは、例えば窒素及びリンを含むことが多いため、土地に撒く肥料として使用される。しかしながら、スラッジはまた有害な物質も含有し、不快臭を発し、土壌又は埋立地のとりわけ重金属による深刻な汚染をもたらし得る。
【0003】
都市の汚水及び雨水を放出基準まで処理する過程において、固体構成物質は、しばしば汚水スラッジと称される副産物に濃縮される。汚水スラッジは、有機死細胞及びその他の固体の塊又は凝集物であり、さまざまな量の水が混合されていてそれに対応したさまざまな粘度を有する。バイオソリッドの塊が機械的に脱水される度合いと関わりなく、残留するバイオソリッドの塊は、水の多くが死細胞の内側に結合しているため一般的には約80%の水を含み、バイオソリッドの塊にマイナスの熱量を与え、その結果、バイオソリッドを、それから発熱量を取出す目的には事実上役立たなくしている。したがって、バイオソリッドは依然として埋立地に処分するか又は窒素及びリンを供給する肥料として農地にそれらを撒くことによって処理している。しかしながら、バイオソリッドは、また、生きたウイルス及び病原体並びに毒性の重金属を含有するかもしれず、環境利益の立場からの激しい反対を誘っており、一方でそれらの高い含水量によって使用地点にそれらを輸送する費用も大幅に嵩む。
【0004】
本発明によれば、生のバイオソリッドを汚水処理プラントから送り出した後、それらを加熱して細胞を破壊させ、それによって大量の細胞結合水を放出させる。その温度は、細胞構造が破壊され、二酸化炭素が分離してバイオソリッドの酸素含有量を低下させるのに十分な高さである。これにより親水性ではないチャーの形成がもたらされ、効果的に脱水及び/又は乾燥させることができる。このチャーは、実行可能な再生可能燃料である。
【0005】
本発明のさらなる展開においては、同一又は平行した施設におけるバイオマス(未処理の庭ごみ及び作物ごみなど)を変換させることにより再生可能燃料の利用の可能性を増大させることが可能である。同様に、親水性の非再生可能燃料を、本発明によるバイオソリッドから取出すことができるエネルギーをさらに増大させるように処理することができる。
【背景技術】
【0006】
一般に「グリーンパワー」と呼ばれる再生可能エネルギーに対する世論の支持が増大する波が存在する。Power magazineの2003年5月号によれば、ゼネラルモーターズ、IBM、ダウケミカル及びジョンソンエンドジョンソンを含むいくつかの著名な会社が彼らの所要電力の一部を「グリーン」供給源から購入する計画を公表した。いくつかの会社は、彼らの生産で使用されているすべての電力を「グリーンパワー」に置き換える意向を公表しさえした。化石エネルギー供給の大黒柱、シェブロン、ブリティッシュペトロリアム(BP)及びシェル石油などは、環境的な大義を支持する彼らの意思を公表した。実際、BPは、太陽エネルギーパネルの重要な供給業者である。2010年までに新しいコスト競争力のある「グリーンパワー」の1,000メガワット(MW)を開発することを狙う世界資源研究所(WRI)の「グリーンパワー市場開発グループ(Green Power Market Development Group)」が存在する。
【0007】
加えて、12を超える州立法府が電力マーケティング業者に具体的で増加する再生可能資源からの電力の割合を段階的に導入することを求めている。ニューヨークは、州当局が彼らの電力の25%を2013年までに再生可能資源からのものを購入しなければならないと命じており、現在はニューヨークで生産されているエネルギーの19.3%が再生可能資源から生み出されている(ニューヨーク公益事業委員会)。カリフォルニアは、州の公共施設の電力の20%を2017年までに再生可能資源から生産することを求める法律を通過させた。実際に、1つのカリフォルニアの公共施設、Pacific Gas and Electricity(PG&E)は、30%を超えるそこの電力が現在再生可能資源に由来していることを宣伝している。少なくとも36の米国の電力小売業者は、現在「グリーンパワー」代替品を売り出している。ヨーロッパもまた、再生可能エネルギーを真剣に受け入れており2020年までにその発電の20%を再生可能品からとすることを目標にしている。
【0008】
従来の再生可能エネルギーとしては、太陽光、風力、水力発電、地熱、バイオマス及び埋立地ガスが一般に取り上げられる。再生可能エネルギーに対する需要を如何にして満たすかについては少々疑問がある。太陽光及び風力は成長しているがごく小さい基礎からである。水力及び地熱は、新たな立地が限られており環境保護からの反対にも直面する。埋立地ガスは限定されており大気汚染に対しても批判される。供給と需要の間の大きなギャップを埋めるために開拓できそうな他の再生可能資源は今のところ存在しない。
【0009】
バイオマスは、再生可能エネルギー源として長いこと使用されてきている。例えば、木材及び林業並びに農業の副産物が何世紀にもわたって大過剰の空気による低い能率で炉及びボイラーでそれらを機械的に燃焼させる燃料として使用されてきた。再生可能エネルギー研究所(NREL)は、バイオマスを次のように定義している:「再生可能な方法に基づいて入手可能な有機物。バイオマスとしては、林業及び製材工場の残留物、農作物及び農業廃棄物、木材及び木材廃棄物、動物の排泄物、畜産操業残留物、水生植物、育ちの早い木及び植物、並びに都市ごみ及び産業廃棄物が挙げられる」。サンディア国立研究所の燃焼研究施設(CRF)によれば、燃焼は世界のエネルギー使用の85%に及んでいる。バイオマスが再生可能エネルギーに大きな貢献をするとすれば、それは直接的又は間接的に燃料としてであろう。
【0010】
汚水スラッジ及びそれが含んでいるそれらの細胞結合水を伴う大量のバイオソリッドは、これまでエネルギー源とは考えられてこなかった。それらの多量の結合水含量のために、バイオソリッドはマイナスの燃料価(fuel value)を有しており、購入しなければならない高価な燃料を用いて加熱しない限り焼却処理できない。そのようなバイオソリッドの焼却処理は、地上にそれらを撒き散らさざるを得ないことを避けて、それによって環境汚染の危険性を排除若しくは少なくとも低減するために望ましいことであり得るが、非常に大きな費用がかかること、即ち、それらを焼却処理する燃料によることになる追加の熱を必要とする。
【0011】
米国におけるバイオソリッドの生産は、年間710万と760万(短時間)乾燥トンの間と推定される。海洋への投棄は、1980年代から禁止されている。主な廃棄は肥料としての農地のバイオソリッドに広がっている。他の廃棄は、埋立地への投棄と焼却である。
【0012】
1998年のヨーロッパにおけるバイオソリッドの生産量は、720万乾燥メートルトンであり、25%が埋立処理されたことが報告されている。生産量は2005年には少なくとも940万メートルトンに増加し、土地への適用が54%をかぞえ、埋立ては19%に減少し、焼却は埋立ての5倍ほどの費用が見積もられるものの焼却は24%まで増大したことが予想される。
【0013】
2001年の日本におけるバイオソリッドの生産量は、170万乾燥メートルトンであると報告された。40%が堆肥にされ、残りが焼却されるかセメント製造のために使用された。
【0014】
汚水処理プラントにおける精力的な機械的脱水及び消化の後、バイオソリッド中の固形分濃度は、依然としてわずか約14〜30%の範囲であって、一般的には約20%に過ぎず、それは従来技術で処理し脱水したバイオソリッド1トンごとに約4トンの水が付随し、その大部分は死細胞中に結合していることを意味する。潜んでいる水を運搬する費用は、通常は廃水処理プラント(WWTP)であるその供給源からそれを移動できる距離を制限する。これらの要因は、バイオソリッドにマイナスの価値を与える。その結果、WWTPは、誰かにそのバイオソリッドを処理してもらうために費用を払わなければならない。そのような支払いは、しばしば「ティッピングフィー」と呼ばれる。
【0015】
バイオソリッド廃棄に対する選択がより難しくなり、廃棄の選択が供給源からさらに離れて移動するに従って、廃棄コスト及び輸送コストがますます重大な経済負担となっている。この負担を軽減するために業界は容積と重量の削減に焦点を合わせている。水処理業界は、処理プラントで発生するバイオソリッドから水を除去する甚大な努力をしている。代表的なWWTPは、バイオソリッドから水を物理的に押出すために、遠心分離、ベルトプレス、回転式プレス又はその他の方法を採用することができる。ポリマー及びその他の化学物質を、脱水に役立つように加えることができる。それにもかかわらず、複数のWWTPにより使用された上記の機械的脱水方法は、効果がなく、費用がかかり、バイオソリッドの細胞内に結合している水の量を目立つほど減少させることはできない。
【0016】
米国環境保護庁(EPA)は、規則「40CFR Part503」に従ってバイオソリッドをクラスA及びクラスBに等級分けしている。この規則は、主として声高に増大しつつある環境保護面からの反対がある農地へのバイオソリッドの適用に関する。例えば、環境保護主義者は、バイオソリッドの肥料としての使用を、生きている病原有機体(病原体及びウイルス)及び重金属(鉛、水銀、カドミウム、亜鉛及びニッケルなど)をそれらが含んでいること、並びに地下水品質に対するそれらの危害を理由に非難している。加えて、環境保護主義者は、バイオソリッドと関連する「生活の質」の問題、例えば昆虫及び臭気について懸念を表明している。そのようなことでクラスBのバイオソリッドの土地への適用は多くの国で禁止されており、より多くの国及び州がこれに続くことが予想される。バイオソリッドの70%がクラスBであった場合の一例では、隣接する群における土地適用の禁止によってティッピングフィーが、1乾燥トン当り約125ドルから約210ドル〜235ドルへとほぼ倍増した。
【0017】
その上、バイオソリッドの高い細胞結合水含量が、多くの産業に対してそれらの焼却を困難にしている。例えば、セメント産業は、世界の3番目に大きいエネルギーユーザーであるものとみなされる。それは、セメント各1トンを製造するために約470ポンドの石炭に相当するものを必要とする。化石燃料を節約するため、米国で15のセメント工場が燃料品質の有害廃棄物を燃焼し、約35のその他の工場が、化石燃料を補足するために廃タイヤを使用している。成長しつつあるバイオソリッドを処理する方法は、それらをセメントキルン中で焼却するものである。それらの正味の燃料価はマイナスのため、この措置は、バイオソリッド中に結合している水を排除するために石炭などの追加の燃料を燃やさなければならないために、キルン(kiln)操業者が、例えばティッピングフィーから受け取る収入によってのみ実行することができる。加えて、セメントの製造において、バイオソリッド中に含まれる塩素、リン、ナトリウム及びカリウムなどのいくつかの元素は、それらがセメントの品質に悪影響を及ぼすために望ましくない。
【0018】
以前は、バイオマスの廃棄処理に対する必要条件は、一般に、廃棄処理経費及び埋立地の環境負荷を削減するためにそれから熱エネルギーを取出す計画が加味された。上記材料からエネルギーを取出す計画は、低品位燃料及び固形廃棄物を燃焼させることに限定された。例えば、都市ごみ(MSW)から燃料を得るための以前の方法は、一般に、MSW中に見出されるPVCの形で大部分含まれている塩素の除去を助けるためにアルカリを添加することに集中している。加えて、比較的低品位の炭素質燃料、例えば亜瀝青炭及び褐炭などを処理するさまざまな方法が、通常の当業者には知られている。しかしながらシナリオは両方とも、原料として低品位燃料が使用される。
【0019】
バイオソリッドを熱分解するための多数の仕組みが進歩している。しかしながら、それらはすべて、バイオソリッドが、処理場において従来式の脱水をした後でさえ、例えば固形物の約4倍の多さの水を含有している事実と格闘することを強いられている。固形分1ポンド当り少なくとも4000Btuを必要とするすべての水の蒸発が完了するまで熱分解温度に達するのは不可能であり、それは、資本コスト及び操業コストが可能となる以前の、せいぜいその燃料価と同程度のものである。
【0020】
前述のことが示すように、バイオソリッドの廃棄処理はますます費用がかかり、論議の的となっている。バイオソリッドを清潔に且つ経済的に処理する方法に対する必要性が当技術分野には存在する。本発明は、バイオソリッドの処理と同時により採算の合う再生可能燃料を生み出す方法を提供する。
【0021】
バイオソリッド単独では再生可能エネルギーに対する高まる需要を満たすことができない範囲内で、本発明によるバイオソリッドの使用可能な燃料への変換はバイオマスなどの他の原料からの抽出エネルギーと組み合わせることができる。したがって、本発明は、バイオソリッドを単独又はバイオマスと共に環境を損なわない方式で実行可能な再生可能燃料に転化する方法及びシステムを提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
出願人が理解しているところでは、バイオソリッドは、細胞に結合した水を有する死細胞(dead cells)を主として含む。水流動を保つのに十分な圧力にさらされているとき、バイオソリッドを含有するスラリー又はスラッジは、第1の比較的低目の温度に加熱することによってバイオソリッドの細胞の破壊を引き起こし、細胞の内側に結合していた水を遊離し、それによってバイオソリッドを実際に脱水することができない物質からその水を機械的に容易に除去することができる新たな燃料へと変換する。そのバイオソリッドのさらなる加熱により、二酸化炭素がさらに分離され、それによってバイオソリッドの酸素含量が低下し、バイオソリッドはチャー(char)に変換される。一旦脱水されると、チャーはプラスの熱量(heating value)を持って、燃料として直接使用することができ、それによってそれまではバイオソリッド中に結合されていて近付けなかった熱エネルギーを放出する。
【0023】
例えば、廃水処理プラント(WWTP)との組合せで、本発明は、バイオソリッドを比較的乾燥した燃焼できる材料に変換することによって、バイオソリッドからの実行可能な再生可能燃料を提供する。多くの場合、この方法は、既存のWWTPのインフラ基盤と統合することができる。処理したバイオソリッドは、実質的に結合水を有していないので細胞から遊離した水は、WWTPに戻すことができる。残存する細胞物質は、親水性がはるかに小さくなっており、それらにプラスの熱量を与え、はるかに削減されたコストでそれらを所望の目的地に搬送することを可能にする。WWTPが嫌気性消化工程を備えている場合は、生成ガスは、その運転で使用される燃料と共に流体の脱酸素を支援することができる。病原体は破壊され、脱水したバイオソリッドが十分に加熱されてそれらが炭化された場合、その結果得られるチャー生成物は、過剰の水で分離される、ナトリウム、カリウム、硫黄、窒素、塩素及び有機化合物を含めた削減された濃度の最も水溶性の不純物を含有する。バイオソリッドチャーは、エネルギー情勢における新たな主役であり、多くのエネルギー消費産業のための低コストの再生可能燃料である。
【0024】
焼却炉及び埋立地に受け入れられるものの、バイオソリッドチャーは、そのエネルギー含量が利用されるところで最も生産的に使用される。例えば、一実施形態において、本発明の方法及びシステムは、セメントキルンと連結して使用され、セメントキルン及びセメント製造の熱効率を上げ、同時にさもなければ好ましくない廃棄物を構成していたバイオソリッドを処理する。加えて、バイオソリッド中に見出される不活性物質を、製品の一部とすることができる。それ故、バイオソリッドの熱量が利用されるばかりでなく、不活性成分がこの構成からマイナスの副産物を残すことはない。
【0025】
バイオソリッドは粘稠なスラリーとして製造されるため、均一にブレンドすることを除いて殆ど前処理を必要としない。バイオソリッドスラリーを加圧下で細胞壁が破壊する温度まで加熱することに続いて、そのバイオソリッドをさらに加熱することにより細胞の顕著な分子の再配列を起こし、その酸素の大部分が二酸化炭素として分離し、それが有機物質を炭化して容易に焼却されるいわゆるチャーを生じる。この分子の再配列のために必要な温度は、さまざまであるが、一般的には177℃と315℃(350°Fと600°F)の間である。強引に加水分解する条件により、陰イオンが遊離され、水相に溶解する。それまで結合していたナトリウム及びカリウムなどの陽イオンも、同様に水溶化及びその後の除去及び/又は廃棄がし易いものとなる。
【0026】
セメントキルン又は専用の焼却炉における(生の)バイオソリッドの焼却と比較して、エネルギー含量がプラスのバイオソリッドチャーは、購入しなければならない補助燃料の量を相当に減少する。その上、ボイラーの低温のもとになるスラグ及びセメント中にあると望ましくない可溶性陽イオンが、遊離の水と共に大幅に除去されている。
【0027】
セメントキルン及び焼却炉施設は、チャーが、最大限度まで脱水され、その結果として生のバイオソリッド中で見出されるものの約15分の1であるわずか約40%から50%の水を含有する湿潤固体「チャー」の送付及び投入を可能にすることが好ましい。別法では、輸送及び取り扱いのことを考慮すると、上記施設には、チャーが乾燥していてコンパクト化若しくはペレット化されていることが好ましいことであるかもしれない。本発明は、どちらの形のチャーも実現する能力を有する。
【0028】
加えて、本発明により製造されるバイオソリッドチャーは、例えば、バイオマスなどの他の物質からのチャーと一緒であってもなくても、溶鉱炉、鋳物工場、公共施設のボイラー、電力産業、製紙業、及びその他の化石燃料を利用する産業を含めたさまざまな他の燃料消費産業にとって有用である燃料を提供する。例えば、本発明は、バイオソリッドチャーが、蒸気を発生するための粉砕燃料若しくは流動床燃焼器、又は清浄な燃料ガスを統合されたガス燃焼ガスタービン複合サイクルに供給するガス化装置に充填されるグリーンパワープラントを企図している。
【0029】
なおその上に、本発明により製造されたチャーは、合成アンモニア技術で実施されている水のガス変換及び二酸化炭素の分離の後に続く燃料ガス(大部分は一酸化炭素と水素)への部分酸化を経る水素燃料電池のための原料であり得る。それは、石油精製業界ではよく知られている確立されている方法を模して、「接触分解」、「ディレードコーキング」(delayed coking)及び「水素化分解」を適応することにより、液体燃料に「精製する」ことができる。
【0030】
本発明は、バイオソリッドの経済的及び生態学的に信頼できる廃棄処理を対象としているが、それは、これらには限定されないが、製紙工場スラッジ、食品廃棄物、農業廃棄物、ブタ厩肥、ニワトリのリター、ウシ厩肥、もみ殻、バガス、緑の廃棄物、都市ゴミ、医療廃棄物、紙くず、木材及び木くず、ヤシ油残渣、ごみ固形燃料、クラフトミルの黒液、短期輪作エネルギー作物を含めた廃棄を必要とする主としてバイオマスである適切に処理されたその他の物質、並びに低品位炭などの親水性非再生可能燃料を組み合わせることができる。
【0031】
特に本発明は、バイオソリッドに流動性を維持するため十分な圧力を適用すること、その加圧したバイオソリッドを十分な温度まで加熱し、細胞を破壊させ、次いで二酸化炭素を放出させること、得られたチャースラリーを減圧すること、チャースラリーから二酸化炭素を分離すること、そして水相の少なくとも一部をチャースラリーから除去してさらなる使用のための少なくとも部分的に脱水したチャー生成物を提供することによりバイオソリッドを経済的に実用化できる燃料に変換する方法に関する。さらに、本発明は、脱水したチャー生成物を、酸素を含むガスと反応させ、それによってその燃料価を熱エネルギーに変換してその熱エネルギーを使用するか又はその燃料を焼却することに関する。
【0032】
要するに、本発明は、環境面で受け入れられるバイオソリッドの処理、並びにセメントキルン及び発電所などさまざまなエネルギー需要先にエネルギーを提供する。加えて、本発明は以下の事柄を提供する:
・再生可能燃料の入手可能性及び環境許容性を増大する方法、
・埋め立てられる廃棄物の量を最小限にする方法、
・埋立地に行く廃棄物の水蒸気(水)含量を減少するプロセス、
・再生可能燃料の軟化点を上げて粘液化及びスラッギングを減少させるプロセス、
・農業及び林業廃棄物並びに/又は製紙工場スラッジなどの不均一な固体燃料を均一な燃料に変換する方法、
・バルキー(bulky)な燃料をコンパクトであり貯蔵及び輸送が容易な燃料に変換する方法、
・腐敗し易い燃料を変質しないで貯蔵できる無菌燃料に変換するプロセス、
・他の方式では適合しない燃料と同時燃焼する経済的手段を提供する方法、
・液体脱酸素と廃水処理プラント、セメントキルン、及び火力発電所の少なくとも1つとの熱効率のよい連結を提供する方法、
・バイオソリッドを、セメントキルン又はその他の類似施設に導入する前に乾燥する方法、
・セメントキルン及びその他の燃焼器に導入する水の量を減少する方法、
・複数の供給材料を、流体脱酸素を利用して同時処理するプロセス、
・バイオソリッド及び他のバイオマス中の灰を利用する方法、
・バイオソリッド又は他のバイオマス中に見出されるリン、塩素又はCOなどの要素(elements)を除去(及び回収)する方法、並びに
・バイオソリッド及びバイオマスから、これらの材料をさらに精製するため又は処理コストを低減するため又は肥料に利用するために水を除去するプロセス。
【0033】
したがって本発明は、汚水及び廃水処理プラントで発生するスラッジを経済的及び環境に優しい方式で処理する方法を提供する。この方法が環境に優しいのは、最終生成物が臭気並びにウイルス又は病原体などの有害な物質のない灰であり、その灰は容積が小さく簡単に処置できるためである。この方法はさらに経済的にも実行可能であり、なぜなら、初めに、それは、取り扱いが困難な汚水スラッジを処理するためのティッピングフィーを払う処理場オペレーターの意欲によって利益を受け、さらに、循環の他の場面で、スラッジは、さらなる収益を生ずるように使用することができるプラスの熱量を有する燃料、又は発生した熱エネルギーに対する支払いの形若しくは例えば抽出した熱を、信用、所望の製品などと交換する他の価値ある物品に変換されているためである。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は本出願の説明及び図面から明らかとなろう。
【0035】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の複数の図面と関連付けて提供される以後の詳細な説明から確認することができる。
【0036】
(発明の詳細な説明)
図1は、バイオソリッドの実現可能な再生可能燃料への変換を示す。バイオソリッドは、隣接する廃水又は汚水処理プラント(WWTP)からのパイプライン107を通して原料供給タンク106にスラッジとして送達することができる。別法では、バイオソリッドは、トラック108によって送達され、スラッジポンプ109によって汲み上げられ、ライン110を通してタンク106に至ることができる。
【0037】
別法では、原料供給タンク106は、複数の供給源からバイオソリッドを受け取り、混合容器として利用することができ、それによってより希薄なバイオソリッドをより濃密でより粘稠なバイオソリッドと混合してよりポンプ輸送し易い送りとすることができる。この目的のためには、混ぜ合わせ又はスラリー化装置104を利用することもできる。
【0038】
加えて、原料供給タンク106又は細かく砕いて混ぜ合わせてスラリー化する装置104は、バイオソリッドスラリーの含水量を減らすためにポリマーを添加するか、或いはスラリーの粘度が問題の場合は水を加える場所である。
【0039】
バイオソリッドの粘度を上げるためにタンク106を加熱することができる。さらに、例えば原料供給タンク106とポンプ装置111の間に剪断又は細砕ステップを加えることができる。剪断又は細砕ステップは、粘度を低下すると同時に、圧力低下バルブ116の最適の操作のために必要な粒径の均一性を獲得する。熱、剪断及び細砕の付加は、また、ポンプ装置111の能力を高め、系中に高固形分含量の材料を入れることを可能にする。
【0040】
一実施形態においては、細砕、ポンプ装置111及び/又は圧力低下バルブ116の能力を高めるため、スクリーニング装置を追加して大きな粒径のものを除去する。例えば、スクリーニング装置は原料供給タンク106とポンプ装置111の間に置くことができる。別の実施形態においては、原料供給タンク106又は類似の装置を使用して、キレート剤又はその他の適当な化学物質をバイオソリッド中に見出されるリン又はその他の成分を除去するために加えることができる。
【0041】
バイオソリッドスラリーは、それに続く加熱操作途中で原料タンク106からスラリー中の水を液相に保持する圧力まで汲み上げられる。例えば、一実施形態においては、そのスラリーの圧力範囲は約400から1200psiまでである。別の実施形態においては、スラリーの圧力は、約250から1600psiの間である。スラリーは非常に粘稠であり得、溶解したガスを持っていることもあることを考慮して、ポンプ装置111には水圧によるか又はスクリューコンベヤのような機械的援助による適切な有効ポンプ吸込みヘッド(NPSH)を備えるように注意を払わなければならない。
【0042】
ポンプ装置111の役割を減らすための別法(図示せず)は、プロセス中のポンプ装置111と圧力低下バルブ116の間の任意の場所への増圧ポンプの追加である。ポンプ装置111の役割を減らすためのさらなる別法(図示せず)は、ポンプ装置111の前での遊離した水又は反応したスラリーの追加である。
【0043】
バイオソリッドスラリーは、反応器114に移す前にポンプを使って熱交換器112及び113を通す。熱交換器112を通過する間に、スラリーはTherminol59などの熱い液体の熱伝導流体(HTF)との熱交換により加熱される。別の実施形態(図示せず)においては、スラリーは、直接又は間接的にスチームによる熱交換を介して加熱することができる。熱交換器112を出るスラリーの出口温度は、約150℃から315℃(300°Fから600°F)の範囲であることができ、好ましくは約200℃から260℃(400°Fから500°F)の間である。熱交換器113を通過する間にスラリーはバイオソリッドの細胞壁が破壊して細胞中に結合している水を遊離する望ましい温度までさらに加熱される。温度は、バイオソリッド細胞の他の構成物質が炭化されてこれらの構成物質を高温液体HTFで熱交換することによりチャーに変換するようにさらに好ましくは設定される。別の実施形態においてはTherminol VP−1などの気化できるHTFの凝縮蒸気が、スラリーを所望の温度まで加熱するために使用される。一実施形態において、この温度は、約200℃から260℃(400°Fから500°F)の間である。別の実施形態においては、この温度は約150℃から260℃(300°Fから500°F)の間である。さらに別の実施形態においては、この温度は約260℃から350℃(500°Fから650°F)の間である。
【0044】
本発明で使用するための熱交換器のデザインは、重要ではないが、それぞれ2個以上のシェルを含むことができる。そのシェルは、平行であるか又は連続していてよい。一実施形態においては、熱交換器112及び113は、バイオソリッドスラリーが熱交換器113の前に熱交換器112を通過するように連続して配置されている。
【0045】
反応器114(これは1つ又は平行若しくは連続の複数の反応器を含むことができる)は、最初にバイオソリッド細胞を破壊させ、さらに細胞構成物質をチャーに変換する脱酸素反応を完了するための高温の時間を提供する。ここでは連続反応が検討されるが、本発明はまた回分又は半回分式反応も企図している。通常の当業者には知られているように、回分式反応器を加熱する方法は連続式反応器用と類似したものであり得る。例えば、回分式反応器は、直接水蒸気圧入、加熱コイル、又はそれらの組合せにより加熱することができる。
【0046】
反応器114に対する1つの適当な代替物(図示せず)は、反応器ストリッパー塔である。上記塔は、交換器112からの部分的に加熱されたスラリーのダウンフローがスチームのアップフロー及び「リボイラー」(交換器113の相当物)から揮散した二酸化炭素と接触するために配置されて、塔の底部からチャースラリーを受け取るサイドツーサイドのバッフル(又は他の蒸気−液体接触媒体)を有する。その塔は、ほぼ交換器112のスラリー出口温度から図示されている単一の反応器を出るものより幾分低い温度までの頂部から底部への温度勾配を好ましくは有する。一実施形態において、その温度勾配は約200℃から260℃(400°Fから500°F)まで変化する。別の実施形態において、その温度勾配は、約150℃から315℃(300°Fから600°F)の間である。反応器ストリッパーの頂部から出る二酸化炭素は新たな凝縮器で蒸留水に凝縮する必要があるかなりの水蒸気を含んでおり、管路118を経て出る二酸化炭素から分離される。圧力低下バルブ116及び分離器117は、依然として必要であるが、その分離器中には分離すべき二酸化炭素は殆ど残っていない。
【0047】
チャースラリーと称されるその反応器(又は複数の反応器)から出るスラリーは、結合水が遊離されており、流動体脱酸素、即ち二酸化炭素を分離することにより特徴付けられる分子再配列も受けて固形分中の炭素含量のかなりの増加及び固形分中の酸素含量のかなりの減少を引き起こしている破壊されたバイオソリッド細胞からなる。例えば、チャー試料は、固形分中の炭素含量が約2%から15%増加、好ましくは4%から12%増加して含まれる。一実施形態において、固形分の酸素含量は約35%から50%減少する。別の実施形態においてスラリーは、約30%から70%の固形分中の酸素含量が減少する。
【0048】
チャースラリーは、反応器114から熱交換器115に流れ、そこでそれは交換器112から管路142を経てそこに来る液体HTFに熱を引き渡すことにより部分的に冷却される。一実施形態において、そのチャースラリーは約150℃から200℃(300°Fから400°F)まで変化する温度に冷却される。別の実施形態においては熱交換器115を出た後のチャースラリーの温度は、約100℃から260℃(200°Fから500°F)の間である。液体HTFの一周は、液体HTF受器139、液体HTFポンプ140並びに関連管路141、142及び143により完了する。
【0049】
熱交換器112及び115の運転は、両方とも管及びシェルの側面にスラリーを通過させる必要がある一方で低温供給スラリーと他方で高温のチャースラリーを有する単一の交換器によって行うことができる。熱伝達設備の管側面に堆積物が付着していても、掃除するのは比較的容易である。シェルの側面の付着物は、直すのが困難であり、また一方で熱伝達率は、生成物から生成物の交換器ではより大幅に低い。そのようなことから、本発明は、その運転を2つの交換器に分けて、清浄なHTFが、高温及び低温スラリー両方の「橋渡し役」で、そのとき管側面にあり、清浄なHTFのみがシェル側面にあるようにすることを意図している。2つの交換器の効率は基本的には同じであり(放射損失によってのみ異なる)、循環するHTFの温度範囲は、それら自身の平衡を求める。
【0050】
一実施形態において(図示なし)、反応器114を出た反応したバイオソリッドチャーは、未だ加圧下にある間に、それが反応器114に入る前にバイオソリッド細胞の破壊及びそれに続く脱酸素の前のスラリーの加熱及び粘度低下を促進するために、加圧されたもとのバイオソリッドスラリーに再循環される。
【0051】
気化したHTFは、管路145を通って受容器144から交換器113の高温側に流れ、そこでそれはバイオソリッドスラリーを部分的に加熱する熱の移動によって凝縮され、続いて管路146を通じて受容器144に流れる。液体のHTFは、受容器144から自然対流(又は圧力低下がこれを必要とする場合は図示なしの加熱炉のチャージポンプ)により加熱炉147のコイルを通って流れ、そこでそれは燃料源148により供給される熱により部分的に蒸発し、受容器144に流れ戻る。一実施形態において、燃料源は、天然ガス、プロパン、燃料油、チャースラリー、チャー、又はこれらの任意の組合せである。代わりの実施形態(図示なし)においては、流動床などの燃焼装置が、チャー、チャースラリー、又はチャーと外部の燃料源若しくは廃棄物源との組合せを使用するために採用される。別の実施形態(図示なし)においては、ガス化装置が、チャー、チャースラリー、又はチャーと外部の燃料源若しくは廃棄物源との組合せを使用するために採用される。さらに別の実施形態においては、プロセス加熱のためのスチームを発生させるためにボイラーが使用される。そのボイラーは、チャー、チャースラリー、又はチャーと外部の燃料源若しくは廃棄物源との組合せを使用することができる。
【0052】
HTFポンプ149は、液体の気化可能なHTFを、受容器144の底部から吸引して取出し、チャー乾燥のための熱源として設備135に循環させる。この目的を果たした後、それは管路150を経て受容器144に戻される。ポンプ149は、反応器114の熱損失を防ぐためのジャケットなどの他の補助的加熱設備(図示なし)にも役立つ。
【0053】
熱交換器115で部分的に冷却された後、その時点で流体のチャースラリーは、冷却器119を通って流れ、そこでその温度は、管路120からのプラント冷却水で熱交換されて周囲温度近くまで低下する。冷却されたチャースラリーは、冷却器119から、蒸発を防ぐのに十分な圧力のもとで水性スラリーを維持することに関与してきた自動圧力低下バルブ116に流れる。圧力低下バルブ116は、チャースラリーの圧力を、大気圧より上の呼び圧力まで下げる。これは、ガス状で溶解している二酸化炭素を遊離することにより達成され、それは分離器ドラム117中でチャースラリーから分離される。放出された二酸化炭素は、分離器ドラム117から管路118を経て出て行く。
【0054】
圧力低下バルブ116は、困難な状態にさらされ、目詰まりについての高い可能性を有する。しかしながら、いくつかのステップをこれらの困難な状態を最小限にするために実施することができる。例えば、既に述べたように、細砕又はスクリーニングを圧力低下バルブ116の前のいつにでも実施することができる。加えて、圧力低下バルブ116の前の、図示されているような熱交換器115の後の反応したスラリーのさらなる冷却のステップは、放出されるガスの量を減らし、圧力低下バルブ116を横切る粒子の加速を低減するであろう。通常の当業者であれば理解することであろうが、いくつかの冷却技術が本発明で使用するのに適している。冷却技術としては、プラント冷却水により冷却する逆流シェルアンドチューブ熱交換器又は二重管式熱交換器が挙げられる。
【0055】
貯蔵タンク121又はドラム117のどちらでも発泡が起こりうるので、2つ以上の場面で圧力を下げることによって発泡を制御するのが有利であり得る。別の実施形態においては、発泡はドラム117の下部から噴射ノズルを用いてドラム117中に側留(side stream)を噴射することによって制御することができる。
【0056】
いくらかの溶解した二酸化炭素はタンク121で分離し、管路137を経て出て行く。二酸化炭素の用途又は市場がある場合、このガスは、ドラム117で放出され、管路118を経て出て行くものと共に精製にかけることができる。そうでなければ、それは集められ、臭気の原因となるガスの痕跡をなくし、且つ/又はエネルギー回収のため加熱炉147の炎を通して排出する。処理される湿ったバイオソリッド1トン当り約25〜27ポンドの二酸化炭素が放出される。二酸化炭素中の硫黄化合物は、必要な汚染制御装置により処理される。ベントガスはすべて臭気の原因となるガスの痕跡をなくすために加熱炉147に導く。
【0057】
液体のチャースラリーは、タンク121の底から、1つ又は複数の液体と固体の機械的分離のための市販の装置を使用してチャーの固体から遊離した水を分離する脱水設備122に流れる。適当な分離装置としては、これらに限定はされないが、濃縮槽、ハイドロクロン、遠心分離機、加圧及び真空回転式濾過機、ホリゾンタルフィルター、ベルト及び回転プレスなどが挙げられる。
【0058】
タンク121中の液体チャースラリーは、いくらかの熱を含んでおり、もとのバイオソリッド中に見出されるリン又はその他の成分を除去するためにキレート剤又はその他の化学物質を添加するさらなるステップが適切である。上記のキレート剤は、また、プロセスのこの段階で使用するのが適している。
【0059】
チャーの固体は、運搬手段123によって脱水設備122を離れる。それらの一部又は全部は、排出装置124に向けることができ、そこでそれらは管路125からの十分な水と混合されて、ポンプ輸送できて高エネルギー密度の燃料スラリーを形成する。その燃料スラリーは、燃料スラリーポンプ151及び管路152を用いて必要に応じてパイプライン又はタンク車にオフロードするためタンク126に蓄積される。別法では、湿ったチャーは、必要に応じてホッパー底部のトラック156にオフロードするために運搬手段127及び128によって湿潤チャーホッパー136に運搬することができる。
【0060】
別法では、脱水設備122から出たチャーの一部又は全部は、運搬手段127により、市販の装置を利用して固体を乾燥し、コンパクト化又はペレット化する乾燥及び/又はペレット化設備135に向けることができる。乾燥に必要な熱は、気化できるHTFの受器144からの高温の液体HTFのHTFポンプ149による流れにより供給され、その流れは、必要な熱を提供した後管路150を経て前記受器に戻される。乾燥したチャー燃料は、ホッパー底部のトラック155にオフロードして市場に輸送するために乾燥チャーサイロ153に蓄積する。一実施形態(図示なし)においては、乾燥したチャー燃料は、乾燥チャーサイロ153に蓄積する前に冷却する。別の実施形態においては、乾燥生成物は、その生成物が施設から直接輸送されない場合には粉塵爆発及び火災を避けるために窒素雰囲気のもとで貯蔵する。ドライヤー135からの気化した水は、凝縮器138を通って流れ、凝縮物は、管路を経て遊離水タンクに輸送される。
【0061】
一実施形態(図示なし)において、乾燥設備135のために必要な熱は、流動床、ボイラー、又はガス化装置からのガスの燃焼の少なくとも1つの方法によって生み出すことができる。乾燥に必要な熱のための燃料源は、チャー、チャースラリー、又はチャーと外部の燃料源若しくは廃棄物源との組合せの少なくとも1つであり得る。一実施形態(図示なし)においては、隣接する廃水処理プラントにおける消化槽からのガスを、プロセスヒーター及びドライヤーの少なくとも1つのための燃料として利用する。
【0062】
図1に示されておらず、完全に再生可能ではないが、乾燥設備135で乾燥されペレット化されていないチャーは、混合装置に流用してそれを燃料油に組み込むことができる。この技術は、1980年代に開発され試験された石炭・油混合燃料(COM)計画と類似している。既存の燃料油の仕様には適合しないものの、上記の添加は、発熱量を増し、場合によっては低コストで硫黄含量を減少する。この新たな燃料は、セメントキルン及び溶鉱炉などの灰が問題とならないユーザーには興味深い。任意の品位の留出物又は残留燃料油を使用することができるが、最も有望な候補は、規格外廃油、製油所燃料、使用済み潤滑油などである。油・チャーのスラリーは、また、構内燃料の使用に対しても魅力的である。
【0063】
設備122中の湿ったチャーから分離された遊離水は、管路129を通って遊離水タンク130まで流れ、そこからそれは、遊離水ポンプ131によって、管路132を経て、粉砕してスラリー化する設備104及び/又はタンク106のいずれかに送り込まれ、且つ/又はそれは、廃水処理プラント(WWTP)に管路134を経て戻される。WWTPにおける処理についての評価尺度によって、前処理設備133で既知の工業用の手段により、ある前処理を採用することは経済的であり得る。その前処理設備から生成されるスラッジは、乾燥設備135に搬送することができる。以前に述べたように、乾燥した生成物は、粉塵爆発を防ぐために窒素雰囲気下又は他の方法で貯蔵することができる。
【0064】
図1の工程系統図は、地方自治体の汚水及び廃水処理プラントにおいて最も頻繁に蓄積するような大量のバイオソリッドの処理に関して記載されているが、通常の当業者であれば、バイオマスなどの他の物質を本発明の一般的な方法でバイオソリッドに加えて脱水し、生み出される燃料の量を増すことができることを理解するであろう。例えば、製紙工場スラッジ及び紙リサイクリングスラッジなどの流体バイオマス廃棄物は、タンク車108又はパイプライン107或いはポンプ109及び管路110により投入することができる。廃棄物がかなりの量の塩素化合物を含んでいる場合は、少なくともその塩素の化学当量のアルカリも加える(図示なし)。農業及び林業からのような固体バイオマス廃棄物は、例えば、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5685153号に記載されているような既知の技術を使用して、コンベヤ101により、粉砕してスラリー化する設備104に入れることができる。パウダーリバーベイスン(Powder River Basin)の亜瀝青炭などの低品位炭素質燃料を代わりに又は追加して搬送手段102により設備104に入れることができる。リサイクルした水を特定のスラリー粘度のために必要に応じて管路132を用いて、及び/又は淡水を、管路103を用いてその設備に加える。バイオソリッドに関して上記概略したように、スラリー化した親水性供給材料は、管路105を経て貯蔵タンク106に移される。
【0065】
図1により例示されているユニットにより製造されるバイオソリッドチャーの高い反応性は、注目されている。その炭素分子の特性は、ガス化設備、又は低分子量(酢酸、アルコール、アルデヒド及びケトンなど)又は高分子量の合成洗剤、界面活性剤、可塑剤、潤滑油添加剤などのどちらであっても酸化される有機化合物の原料としてそれを使用する化学プラントにとって有用であろう。チャーのガス化に対する将来の可能性の中には、ガスのCOの中身が二酸化炭素及び水素に変化し、その後の二酸化炭素の分離によって燃料電池用の水素を生ずるものがある。この分離は、米国エネルギー省(DOE)のFutureGenプロジェクトのためにオークリッジ国立研究所とEltron Researchとの共同で開発中の新しい金属セラミック膜によってうまく果たすことができる。
【0066】
図2は、本発明に基づいて運転している廃水処理プラント(WWTP)及び、それに隣接した、本発明に基づいて運転しており、バイオソリッドを燃焼可能な物質に経済的に変換する流体脱酸素を採用している効率的なバイオソリッド処理設備の組合せの工程系統図である。これは、さもなければバイオソリッドからの水を輸送及び/又は脱水するコストを膨張させ、それによってバイオソリッドの使用を実行できなくするWWTPバイオソリッドからの水、特にバイオソリッド細胞中に結合されている水の大部分の排除をもたらす。WWTPの嫌気性消化からの可燃性ガスは、脱酸素のために必要な熱を提供するために使用することができ、したがって購入燃料のコストの節約となる。さらにその上、WWTPからの処理水は、流体脱酸素ユニットのためのスラリー水に使用することができる。さらに、WWTPは、脱酸素ユニットからの廃液を処理することもできる。
【0067】
特に、WWTP201は、1つ又は複数の導管203経由の雨水廃液及び1つ又は複数の導管204経由の汚水を受け入れる。WWTPは、既知の技術を使用して、導管205を経由して入る大気と、輸送システム206経由の凝集剤及び石灰などのさまざまな通例の添加剤とを一般的に採用する。汚水及び廃水のこの従来型の処理により消化ガスの生成がもたらされ、導管207を通ってWWTPを離れ、本発明のための燃料源として利用される。この処理は、粘稠な汚水スラッジ、即ちバイオソリッドのスラッジ又はスラリーを生じ、管路208を通って出てくる。固形分の濃度は、一般的には約3%から40%の間の範囲であり、平均約20%である。バイオソリッドは、約80%の結合水を含んでいるため、受け入れ可能な埋立地まで運ぶか、存在する水と一緒に燃焼するか、物理的にそれらを脱水しようとすると費用がかかる。
【0068】
図1のプロセスを採用している脱酸素ユニット202は、バイオソリッドの供給源に可能な限り接近して設置されている。細胞構造を破壊し、バイオソリッドを構成している分子から二酸化炭素を分離することによって、スラリーは、約35%から65%の固形分を含有するように容易に機械的に脱水される。この時点で分離可能な(遊離された)水(生のバイオソリッド中の水の約90%)を、管路211を通してWWTPに再循環し、そこでそれは、膜、アンモニア除去技術、嫌気性消化技術、又は逆浸透技術により前処理することができる。乾燥すると、残っているチャーは、生のバイオソリッドの約15%から17%の重量を有するのみであり、チャーを使用又は処理する場所まで輸送するための大きな費用の節約をもたらす。
【0069】
適当な手段210によって出てくる乾燥させてない低水分のチャーは、近隣の埋立地で受け入れることができ、そこにそれは適当なコンベヤ又は運搬装置212により輸送される。それは同様に、近隣の焼却炉に手段213によって輸送することができ、そこでその焼却が必要とする燃料は、対応する生のバイオソリッドが消費していたよりはるかに少ない。加えて、乾燥したか乾燥してないチャーのいずれも、手段214によって近隣のセメントキルンに輸送することができ、その場合、そこが必要とする購入燃料は、同等量の生のバイオソリッドに対して必要であったより著しく少ない。チャーは、また、手段215によって化学プラントに輸送することもでき、そこで(高い反応性に助けられて)それは、燃料若しくは合成ガスに、酸素処理された化合物に、炭素繊維に、肥料生産に、及び/又は埋立ごみに容易に変換される。低水分のチャーは、手段216により、ポンプ輸送できるスラリー又は乾燥ペレットのいずれかとして火力発電所に輸送することができ、そこではその高反応性が、低い過剰空気及び高い炭素の燃え切りにより効率的な燃焼を可能にする。
【0070】
材料及びエネルギーの流れと同様に重要なのは、破線217により示されているティッピングフィーの形のWWTPからバイオソリッド処理ユニットへの金の流れである。ティッピングフィーとは、WWTPによりそこのバイオソリッドをうまく処理するための処理ユニットの所有者に支払われる料金である。
【0071】
上で述べた新たな燃料の供給は、最初は小さいと思われるので、局所的な使用に適している。そのことからそれを受け入れる最初の燃料ユーザーの1つは、セメントキルンオペレーターと思われ、なぜなら彼らはその高い灰分をかなりの程度まで許容できるからである。他の適当な使用分野は、溶鉱炉及び鋳物工場であり、なぜなら彼らは石炭又はコークスを燃焼させ、灰を他の不純物と共にスラッグとして処理することに慣れているからである。バイオソリッドチャーの供給が増加するに従い、それは、火力発電所を含めた一般の石炭ユーザーにとって興味深いものとなろう。そのような応用は、残りの図面でより詳細に扱う。
【0072】
例えば、図3は、バイオソリッドを、セメントキルンと組み合わされている燃焼可能な好ましくは炭化材料に変換するための効率的なバイオソリッド処理施設を示す工程系統図である。本発明のこの態様は、さもなければキルン中への生のバイオソリッドに同伴していたはずの水の劇的な減少をはっきりと示し、消費されるバイオソリッドの量が大幅に増加して、処理業者が受け取るチップ収入及びキルンに投入されるBtuがそれと比例して増加することを可能にする。
【0073】
特に、図1に関して記載されているプロセスを採用している流体脱酸素ユニット301は、図示されているように輸送手段303によるバイオソリッド供給源の1つ又は複数のWWTPにできるだけ接近して設置されている。同時に生じ得るバイオソリッド壁の破壊及び二酸化炭素の排出(管路304)によって、その結果得られるチャーは、今や約35%から65%の固形分を含むように機械的に容易に脱水することができる。今や分離可能な水(生のバイオソリッド中の水の約90%)は、管路305を通してWWTPに再循環するか、又はスラリー化プロセスのための再利用水として使用する。
【0074】
チャーは、湿潤固形物の濃縮スラリー又は乾燥固形物のいずれかとして、セメントキルン302に輸送手段306によって輸送される。ポルトランドセメントの塩基性成分(石灰石、粘土及び頁岩)を、導管307、308及び309によって仕込み、粉砕し、混合して導管310を通してキルンに入れる。予備加熱区域においてこれらの成分は、高温の燃料ガスと向流的に接触させ、温度を上げて結晶水を追い出し、石灰石をか焼する。予備加熱区域の底部付近で、古タイヤ及び破砕アスファルトなどの可燃性廃棄物を、導管311を通して仕込む。望ましい温度を得る必要がある場合、石炭、石油又はガスを燃焼用空気と共に予備加熱区域に入れて燃焼させる。予熱された混合物は、次いで水平式回転キルンの一端に排出される。
【0075】
予熱された成分が回転キルンの反対の端にたどり着いたとき、それらは、排出末端で、導管312を通って送達される主燃料(これはバイオソリッドチャーを含有してもよい)を、燃焼用空気ファン(図示なし)及び導管313によって供給される対応する燃焼用空気と共に燃焼させることによって、それらを反応させてセメントクリンカーを形成するために必要な温度までさらに加熱する。
【0076】
顕熱の殆どが回収された燃焼排ガスは、排気ファン及び粉塵回収装置(図示なし)を経て管路314を通ってキルンから出て行く。セメントクリンカーは、燃焼用空気との熱交換を経て導管315を通ってキルンから出る。冷却されたクリンカーは、粉砕されて石膏とブレンドされ、ポルトランドセメントを形成する。
【0077】
ナトリウム及びカリウムなどの可溶性陽イオン並びに硫酸塩及び塩化物など、主として液体脱酸素ユニットからの廃液に行き、導管305を経てWWTPに戻るものを除いて、バイオソリッドチャーの殆どの灰構成物質はポルトランドセメント中に耐容性である。例外は、鉄によりしばしば不溶性の形で結合しているリンである。リンの含有量によっては所定のセメントキルンが受け入れることができるバイオソリッドチャーの量を制限することがあり得る。ユニット301によって製造されるチャー中のリンの含有量が非常に高くてセメントクリンカー中に受け入れることができるバイオソリッドチャーの量を制限する場合には、キレート溶液(又はその他の可溶化剤)を管路316経由で使用し、この元素のいくらかを抽出することができる。リン含有抽出液は、管路317を通して排出し、WWTPにそれを戻すことを避ける方式で処理しなければならない。
【0078】
バイオソリッドの無機質部分は、無水ベースで約50%の高さであり得る。バイオソリッド中に見られるこの固有の灰分は、石灰石、粘土及び頁岩をそれぞれ管路307、308及び309中に投入する量を減らすことができる。ユニット301が、セメントキルン302の近くに設置されている場合、廃水流305の一部は、セメントキルン302において冷却若しくはその他の目的、又はNOx削減で利用することができる。流れ314からの廃熱、又は放射熱を含めたその他の廃熱流は、供給材料、プロセス加熱、又は反応生成物の乾燥を含めたシステムのためのプロセス熱としてユニット301によって利用することができる。流れ302から放出される二酸化炭素は、熱回収又は臭気削減のためにセメントキルン302に導くことができる。
【0079】
材料及びエネルギーの流れと同様に重要なのは、破線318により示されているティッピングフィーの形のWWTPからユニット301及び302の組合せへの金の流れである。料金の一部は、破線319に示されているようにユニット301の所有者に行き、その残りは、破線320に示されているようにセメントキルン302の所有者に行く。
【0080】
図4は、火力発電所402に極めて接近して組み合わされている脱酸素を採用してバイオソリッドを可燃物に変換する効率的なバイオソリッド処理施設401の単純化した工程系統図である。ユニット401は、図1により代表され、バイオソリッドはWWTPから入れる。しかしながら、利用できるバイオマスを経済的規模の場所に供給することはそこの燃料の必要性に対して十分であるとは見込めないので、それはまた、多種多様の再生可能なバイオマス及び/又は親水性低品位化石燃料を加える一連の液体脱酸素プロセスも表している。可能性のあるこれらの燃料のどれか又はすべてについて、液体脱酸素は、それらの親水性を小さくし、より均一にし、発電所402における燃焼に対する熱効率を良くする。発電所402は、地方市場及び/又は全国電力網のための電力の生産における蒸気タービン又はガスタービン複合サイクルによる多種多様の従来の及び従来とは異なる稼動中の燃焼システムを表す。
【0081】
バイオソリッドは、管路403を経てユニット401に投入する。別法では、又はさらには、製紙工場のスラッジとしてのバイオマス廃棄物、又は農業若しくは林業からのバイオマス廃棄物を、輸送手段404によって送達し、(場合によっては)親水性低品位化石燃料を輸送手段405によって送達する。ポンプで仕込めるスラリーを形成するために必要な水を、管路406を通して加える。図1に従って処理した後、今や過剰の水は、管路407を経てWWTPに戻すか、既知の方法によって放流するための処理をする。均一な(脱水した)高エネルギー密度のチャースラリー、又は乾燥及びペレット化したチャーは、輸送手段408を通じて発電所402に送達する。
【0082】
輸送手段408によって輸送されるチャー若しくはチャースラリーは、既知の方法の1つによって燃焼され、発電機を駆動する従来の蒸気タービンを通って展開される蒸気の発生のための熱エネルギーを産出するか、又はそれは部分的に酸化(空気又は工業用の酸素のいずれかで)されて発電機を駆動するガスタービン燃焼器中でその後燃焼される燃料ガスを産出し、そこからの高温の排出ガスは一体化された蒸気タービン駆動発電機のための蒸気を発生する。チャーの部分燃焼は、灰を流動性スラッグとして分離する既知の方法によるか、水性スラリー中の灰粒子の分離を教示しているその全体の開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5485728号に従って達成することができる。
【0083】
利用できるチャーの量は需要のある電力の量を発電するには不十分な燃料エネルギーであり得るため、補助的な化石燃料を輸送手段410によって供給することができる。燃焼用の空気又はバイオマスの部分燃焼及び/又は化石燃料のチャーが、管路411を通して供給される。発電所402における燃焼による排ガス(1つ又は複数)は、それに適切な既知の汚染防止措置を受けさせた後、煙突412から排出する。
【0084】
処理したボイラー供給調製水は、管路413を通して供給し、ボイラー水を規格内に維持するために必要なブローダウンは、管路414を経て、それが脱酸素操作のための十分に流動性のある供給スラリーを形成するために必要な水をいくらか含むことができるユニット401に排出される。チャー及び補助燃料を燃焼した不燃性残渣の灰、又は灰スラリーは、導管415を経由して処理のために回収する。
【0085】
大気圧ボイラーからの窒素酸化物の排出を抑制する既知の方法の1つは、火炎域中心上で反応性燃料を用いて上だきすることである。その揮発物の内容及び高い反応性のためにバイオソリッドチャーは、この目的のために適当な燃料であり、搬送手段408からのそれの一部を、輸送手段416を用いて窒素酸化物削減のために流用することができる。この組合せによる製品の電力は、電気ケーブル417によってその場所から送電される。
【0086】
簡略化のため、バイオソリッド処理ユニット401は、発電所402に十分なチャー燃料を与える能力及び原料供給をあたかも有するように図示されている。実際の装置においては、処理ユニット401は、発電所402に隣接して設置されており、1つ又は複数の上記ユニット401を原料供給源の近くの他の場所に設置することができる。これは、特定の供給材料に対して最適化されたおあつらえ向きの脱酸素温度を採用する柔軟性をオペレーターに与える。そのような事態において、乾燥チャーは、そのとき発電所に道路又は線路によって輸送することができ、経済的状況がゆるす場合にはパイプラインによる水性スラリーとして供給することができる。WWTPから脱酸素ユニットへのティッピングフィーの形の金の流れは、破線418により示されている。
【0087】
図5は、熱乾燥機ユニット501とセメントキルン502とを含む組合せの簡略化した工程系統図である。熱乾燥機ユニット501は、1つ又は複数のセメントキルン502のできるだけ近くに設置されており、バイオソリッドを脱酸素しないことを除いては、図3との関連で示され、説明されているものと基本的に同じ構成を採用している。バイオソリッドは、輸送手段503によって供給される。生のバイオソリッド細胞に熱を加えることによって細胞中に含まれている水が蒸発し、洗浄集塵及び凝縮のため管路505によって離れ、又は別法では、キルンにおける補給水として若しくはNOx削減のために利用されるように管路517によってキルンに返送される。
【0088】
その結果得られる乾燥したバイオソリッドは、管路506によってキルンに送られ、そこでBtu値並びに灰の価値が利用される。図3に示されている主要な成分は、管路507、508、509から導管510と通してキルンに加えられる。図3におけるように、予備加熱区域においては、導管511を通して投入される古タイヤ及び破砕アスファルトなどの可燃性廃棄物が加えられる。図3におけるように、燃焼用空気及び一次燃料は、それぞれ導管513及び512を経由して到達する。セメントクリンカー(klinker)は、導管515を経由してキルンを出て行く。
【0089】
熱乾燥は、水の蒸発における潜熱による固有のエネルギーの不利益を有するが、この不利益は、セメントキルンと統合し、導管518を経由するキルンからの熱を利用することによって完全に又は部分的に克服することができる。さらに具体的に言うと、通常は導管514を経由して移動し、適当に排出されている燃焼排ガスを、導管516を経由して熱乾燥機に向け、それによって、バイオソリッドから遊離した水を蒸発させるための熱乾燥機501における一次燃料の必要性を減少することができる。
【0090】
上で簡単に論じたように、バイオソリッドチャーの潜在的供給は、一般の燃料市場より規模が何倍も小さいため、例えば米国特許第5485728号の教示に従い、他の物質、例えばバイオマスを、液体脱酸素ユニットで同時処理、又は平行した装置で処理し、その結果得られたチャーをブレンドした後、燃料として使用することができる。ハワイ(バイオソリッド、パイナップル及びサトウキビ廃棄物)及びカリフォルニアのサクラメント(バイオソリッド並びにもみ殻及び稲稈)などのいくつかの地域は、スラリーの同時又は平行脱酸素のための場所を提供する。製紙工場スラッジ及び紙リサイクリングスラッジは、それらは塩素を中和するためにアルカリの添加を必要とするかもしれないが、補助的な親水性バイオマスのその他の有望な供給源である。これらの方法は、多種多様の原料を均一な液体又は固体チャースラリー燃料に統合する手段を提供する。
【実施例】
【0091】
以下の実施例は、本発明の実施で用いる方法及びシステムを代表するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとは決して解釈すべきではない。
【0092】
(実施例1)
2つの廃水処理プラント、1つは、ジョージア州アトランタ、1つはカリフォルニア州リバーサイドからのバイオソリッドを、連続式のパイロットプラントで以前に説明した処理にかけ、以下の水分及び灰分なしを基準とした供給材料及び生成物の分析の結果を与えた:
【表1】


【表2】

【0093】
予想されたように、二酸化炭素の分離によって、炭素含有量の増加及び対応する酸素含有量の減少がもたらされた。
【0094】
2つの試験の排ガスの組成は次の通りであった:
【表3】

【0095】
(理論実施例1)
米国南西部におけるセメントキルンは、3,200トン/日の生産能力を有している。セメント「クリンカー」を形成するために必要な温度に到達させるため、そこではある程度ゴムタイヤのスクラップを補った低品位石炭を燃焼させる。鉱物装入物及び燃焼空気を予備加熱した後の燃焼排ガス中の顕熱は地域の廃水処理プラントからのバイオソリッドを20トン/日(無水ベース)乾燥及び焼却処分するために利用されてよい。乾燥バイオソリッド成分は1トン当り約4トンの水を伴う(バイオソリッドにマイナスの熱量を与える)が、ティッピングフィーからの収入が燃焼しなければならない余分の石炭のコストを帳消しにしている。しかしながら、その量は、水を蒸発させる熱容量と、圧力低下を増加させ、送風機の馬力を増大させる燃焼排ガスの量の増加とによって制限される。
【0096】
本発明を使用して、そのキルンは、本発明に従って1つ又は複数の近隣のWWTPにおいて脱水し、脱酸素したバイオソリッドを使用することができる。そういうことで、以前は生のバイオソリッドによって投入した水の約80%から94%が、キルンには行かず、過度の熱容量及び送風機の馬力の制限なしで7倍の多さの脱酸素材料を投入することを可能にする。そのキルンによって処理されるバイオソリッドは、対応するティッピングフィーの増加を伴って約700%だけ増加させることができる。
【0097】
明細書の以下の部分において、運転例におけるもの以外で、又は明示的に別段の特定がされていない限り、材料の量、反応の時間及び温度、量の比率その他などの数値的範囲、量、数値及び百分率はすべて、たとえ「約」という用語が、数値、量又は範囲と共に明示的に現れないことがあっても「約」という語が前についているように読み取ることができる。したがって、正反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に示されている数値的パラメーターは、本発明によって得られることが求められている所望の特性によって変化し得る近似値である。
【0098】
本発明の一般的な範囲を示す数値範囲及びパラメーターは、近似値であるにもかかわらず、具体例に示されている数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながらいずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に必然的に由来する一定の誤差を本質的に含む。その上、変化する範囲の数値範囲が本明細書に示されている場合は、列挙された値を含むこれらの値の任意の組合せを使用することができることが意図されている。
【0099】
本明細書に記載され、主張されている本発明は、本明細書に開示されている特定の実施形態による範囲に限定されるべきものではなく、なぜならこれらの実施形態は本発明のいくつかの態様を説明するものとして意図されているからである。同等とみなされるどのような実施形態も本発明の範囲に入る対象である。実際、これまでの記述から、当業者には本明細書に示され、記載されているものに加えて本発明のさまざまな修正が明らかとなろう。そのような修正もまた添付した特許請求の範囲に含まれる対象である。これまでの文章で引用したすべての特許及び特許出願は参照によりそれらの全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】バイオソリッドを再生可能エネルギー源としての高エネルギー密度スラリー又は乾燥固体燃料に変換するための本発明の方法を示す流れ系統図である。
【図2】本発明の方法が、廃水処理プラントで使用される流れ図である。
【図3】本発明の方法が、セメントキルンの運転で使用される流れ図である。
【図4】本発明の方法が、低品位炭などの追加の燃料を使用する火力発電所の運転で採用される流れ図である。
【図5】本発明の方法が、熱乾燥機と連結され、セメントキルンで使用される流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオソリッドを燃料に変換する方法であって、
細胞及び細胞結合水を含むバイオソリッドを準備するステップ;
流動性を維持するために前記バイオソリッドに十分な圧力を適用するステップ;
加圧したバイオソリッドを、細胞を破壊するのに十分な第1温度に加熱し、それにより細胞結合水を遊離させて破壊バイオソリッド細胞のスラリーを形成するステップ;
破壊したバイオソリッド細胞のスラリーを減圧するステップ;及び
前記遊離した細胞結合水の少なくとも一部を前記スラリーから除去して少なくとも部分的に脱水した破壊バイオソリッド生成物を提供するステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
バイオソリッドを、前記バイオソリッドから二酸化炭素を放出し、チャー化した破壊バイオソリッド細胞を含むチャースラリーを形成するのに十分な第2温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チャースラリーから二酸化炭素を分離することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
遊離した細胞結合水の少なくとも一部を除去することにより、少なくとも部分的に脱水したチャー生成物を提供し、前記チャー生成物を、酸素を含むガスと反応させてその燃料価を熱エネルギーに変換することを含み、前記熱エネルギーを使用するステップ及び該燃料を焼却するステップの少なくとも1つをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
十分な圧力を適用するステップが、ポンプを準備することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
下流で増圧ポンプを準備し、ポンプの所要のヘッド圧を下げる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
除去ステップからの遊離水が準備ステップに再循環され、ポンプの所要ヘッド圧を下げる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
除去ステップが、チャースラリーから水溶性成分を除去することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
脱水したチャー生成物を清浄水で洗浄するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
脱水したチャー生成物を溶媒で洗浄するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
除去ステップが、スラリー及び部分的に脱水した生成物の少なくとも1つから遊離水を蒸気として実質的に除去して乾燥生成物を生成させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
乾燥生成物が乾燥チャー生成物であり、前記乾燥チャー生成物を燃料油と混合して石炭石油混合燃料を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スラリーがチャー化した破壊バイオソリッド細胞のチャースラリーであり、前記チャースラリーを燃料油と混合して石炭石油混合燃料を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
乾燥生成物がチャー生成物であり、前記乾燥チャー生成物を炭素系生成物に変換するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
スラリーがチャー化した破壊バイオソリッド細胞のチャースラリーであり、前記チャースラリーを炭素系生成物に変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
スラリーがチャースラリーであり、少なくとも部分的に脱水した破壊バイオソリッド生成物がチャー生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
チャー生成物を化学プラントに移送することと、前記チャー生成物を、合成ガス、オイル、酸化化合物、炭素繊維、肥料添加物、及びそれらの組合せの少なくとも1つに変換することとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
除去ステップが、水相の少なくとも一部を準備ステップに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
チャースラリーから除去した水を前処理することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
水相を前処理することによってメタンガスが生じる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前処理した水の少なくとも一部を準備ステップに再循環させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
水を前処理することが、膜、振動膜、アンモニア除去、嫌気性消化、及び逆浸透の少なくとも1つによる前処理を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
チャー化したスラリーから除去した水にキレート剤を添加することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
チャー生成物にキレート剤を添加するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
圧力適用ステップ前のバイオソリッドに、水、熱、蒸気、及びそれらの組合せの少なくとも1つを追加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
圧力適用ステップ前のバイオソリッドを細砕すること及び剪断することの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
圧力適用ステップ前のバイオソリッドを篩い分けすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
減圧前にスラリーを冷却すること及び減圧後にスラリーを冷却することの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
減圧ステップが少なくとも2段階で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
冷却のステップが減圧ステップの前に起こる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
泡が分離のステップを妨げる場合、チャースラリーを分離器の下部からポンプで汲み上げ、分離器の液面より上に位置する少なくとも1つのスプレーノズルから泡に向かってスプレーする、請求項3に記載の方法。
【請求項32】
酸化剤及びプロセスヒーターの少なくとも1つの火炎を通して二酸化炭素を排出することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
二酸化炭素を分離するステップが、
二酸化炭素を地中及び大量の水中の少なくとも1つに封鎖するステップ;
二酸化炭素を精製して、飲料炭酸化、消火器加圧、スプレー缶高圧ガス、冷却剤、及びシール用不活性ガスの少なくとも1つのために使用するステップ;
二酸化炭素を、オイルの三次採収のための混合可能なフラッディング剤として使用するステップ;及び
それらの組合せ
の少なくとも1つをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項34】
加熱のステップが、高温の熱伝導流体を準備することと加圧したバイオソリッドを前記高温の熱伝導流体で加熱することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
加圧したバイオソリッドを熱伝導流体で加熱するステップが、気化した熱伝導流体の蒸気を凝縮することによって前記加圧したバイオソリッドをさらに加熱することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
スラリー中の熱を加圧したバイオソリッドと交換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
交換のステップが圧力適用ステップ前に起こる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
プロセス加熱のため熱エネルギーを使用することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項39】
プロセス加熱を使用して脱水したチャー生成物を乾燥するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
生成した灰を、セメントキルン、建築材料、堆肥、又は肥料製品の少なくとも1つに利用する、請求項4に記載の方法。
【請求項41】
加熱することが熱媒体として蒸気を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
二酸化炭素ガス中に含まれている硫黄を分離ステップで発生させ、前記硫黄を汚染制御設備により除去することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項43】
脱水したチャー生成物から鉄を回収することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項44】
脱水したチャーを乾燥するステップ;及び
乾燥したチャー燃料を乾燥直後に冷却するステップ
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項45】
バイオマスを再生可能燃料に変換する方法であって、
少なくとも約10%の水を含むバイオマスを準備するステップ;
前記バイオマスを、細砕するステップ並びに淡水、回収水、蒸気、及びそれらの組合せの少なくとも1つを加えるステップの少なくとも1つを実施することによってスラリー化して、ポンプ輸送可能なスラリーを形成させるステップ;
前記バイオマススラリーに十分な圧力を適用して流動性を維持し、加圧したバイオマスを形成させるステップ;
前記加圧したバイオマスを第1温度に加熱するステップであって、前記第1温度は、水性チャースラリー、二酸化炭素、及び遊離水を形成するのに十分である、当該ステップ;
前記バイオマスチャースラリーを減圧するステップ;
前記バイオマスチャースラリーから前記二酸化炭素を分離するステップ;及び
前記バイオマスチャースラリーから遊離水の少なくとも一部を除去し、減少した酸素含量を含む脱水バイオマスチャー生成物を提供するステップ
を含む、上記方法。
【請求項46】
脱水バイオマスチャー生成物を酸素を含むガスと反応させ、それによってその燃料価を熱エネルギーに変換するステップ;及び
前記熱エネルギーを使用するステップ
を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
バイオマスが、製紙工場スラッジ、紙リサイクル操作からのスラッジ、農業及び林業廃棄物、泥炭、食品廃棄物、ブタ厩肥、ニワトリのリター、ウシ厩肥、その他の動物の厩肥、もみ殻、バガス、緑の廃棄物、都市ゴミ、ヤシ油残渣、ごみ由来燃料、クラフトミルの黒液、及び短期輪作エネルギー作物の少なくとも1つを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
第1温度が、約200℃と345℃(400°Fと650°F)の間である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
準備のステップが、バイオマス中の少なくとも1つの汚染元素又はスラグ形成元素を溶解するための薬剤を準備することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
脱水したバイオマスチャー生成物中に存在する少なくとも1つの汚染元素又はスラグ形成元素を溶解するための薬剤を添加するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記薬剤がアルカリを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
遊離水の一部を添加ステップに再循環させる、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
除去ステップが、バイオマスチャースラリー及び脱水生成物の少なくとも1つから蒸気として水を実質的に除去するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
水性チャースラリーを第1温度より低い第2温度に冷却するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
第2温度が約40℃から90℃(100°Fから200°F)である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
酸化剤又はプロセスヒーターの少なくとも1つの火炎を通して二酸化炭素を排出するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項57】
隣接する廃水処理プラントからのプロセス水をスラリー化ステップで使用する、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
遊離水の少なくとも一部を前処理して前処理水を形成し、前記前処理水を隣接する廃水処理プラントに還流するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
加熱ステップのための燃料として隣接する廃水処理プラントからの消化ガスを使用するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項60】
脱水したバイオマスチャー生成物を、セメントキルンにおける燃料として使用するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項61】
セメントキルンからの廃熱を、実施ステップ及び加熱ステップの少なくとも1つに還流するステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
実施ステップのために隣接するセメントキルンからのブローダウン水を使用するステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
隣接するセメントキルンにおける熱回収又は臭気削減の少なくとも1つのために、二酸化炭素を使用するステップをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
火力発電所における燃料として脱水バイオマスチャー生成物を使用するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項65】
隣接する火力発電所を冷却するために遊離水の少なくとも一部を使用するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
実施ステップ及び加熱ステップの少なくとも1つのために隣接する火力発電所からの熱を使用するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
隣接する火力発電所における熱回収及び臭気削減の少なくとも1つのために二酸化炭素を使用するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
実施ステップのために隣接する火力発電所からの水を使用するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
溶鉱炉における燃料として脱水したバイオマスチャー生成物を使用するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項70】
隣接する溶鉱炉を冷却するために、遊離水の少なくとも一部を使用するステップをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
実施ステップ及び加熱ステップの少なくとも1つのために、隣接する溶鉱炉からの熱を使用するステップをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項72】
隣接する溶鉱炉における熱回収及び臭気削減の少なくとも1つのために、放出された二酸化炭素を使用するステップをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項73】
バイオソリッドの少なくとも1つと低品位化石燃料との組合せのスラリーを可燃性燃料に変換する方法であって、
少なくとも約10%の水を含むバイオソリッドを準備するステップ;
低品位化石燃料を準備するステップ;
前記バイオソリッドと低品位化石燃料とを混合して供給スラリーを形成するステップ;
前記供給スラリーに十分な圧力を適用して流動性を維持し、加圧された供給スラリーを形成するステップ;
前記加圧された供給スラリーを細胞破壊に十分な温度まで加熱して二酸化炭素及び遊離水を含む水性チャースラリーを形成するステップ;
前記水性チャースラリーを減圧するステップ;
前記水性チャースラリーから二酸化炭素を分離するステップ;及び
前記水性チャースラリーから遊離水の少なくとも一部を除去して脱水したチャー生成物を提供するステップ
を含む、上記方法。
【請求項74】
バイオソリッド、バイオマス、及び低品位化石燃料の少なくとも1つを再生可能燃料に変換する回分式の方法であって、
バイオソリッド、バイオマス、低品位燃料、及びそれらの組合せの少なくとも1つを準備するステップ;
前記準備ステップからの材料を、細砕するステップ、並びに、淡水、回収水、蒸気、及びそれらの組合せの少なくとも1つを加えるステップの少なくとも1つを実施することによりスラリー化して、ポンプ輸送可能なスラリーを形成するステップ;
前記ポンプ輸送可能なスラリーを加圧して、それを実質的にその液体状態に保つステップ;
前記加圧したポンプ輸送可能なスラリーを細胞破壊に十分な温度まで加熱して、酸素含量、二酸化炭素、及び遊離水の減少したチャースラリーを形成するステップ;
前記チャースラリーを減圧するステップ;
前記チャースラリーから二酸化炭素を分離するステップ;及び
前記チャースラリー中の水の少なくとも一部を除去して、少なくとも部分的に脱水したチャー生成物を提供するステップ;
を含む、上記方法。
【請求項75】
脱水したチャー生成物を酸素を含むガスと反応させて、燃料価をチャー形成のための熱エネルギーに変換するステップをさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
加圧のステップが、前記回分方法に蒸気を注入してバイオソリッドを加熱することをさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
加熱ステップが、ガス化装置からの燃料ガスの燃焼、及びボイラーからの蒸気の少なくとも1つにより実施される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
加熱ステップのための燃料が、化石燃料、消化ガス、及び生成物のチャーの少なくとも1つである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
除去ステップが、少なくとも1つのポリマーを添加して、水相の分離を高めることを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
脱水したチャー生成物を、燃料ガスへの部分酸化を経て水素燃料電池用の原料として使用するステップをさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
減圧前に、チャースラリーの一部を、加熱、加圧したバイオソリッドに還流して戻す、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
バイオソリッドを再生可能燃料に変換する方法であって、
バイオソリッドを原料供給タンクに送付するステップ;
前記原料供給タンク中のバイオソリッドに、加熱、細砕、及び剪断の少なくとも1つを実行して、スラリーを形成するステップ;
前記スラリーを加熱するステップ;
前記スラリーを反応させてチャーを形成するステップであって、該チャーは実質的に増加した固体中の炭素含量及び実質的に減少した固体中の酸素含量を有する、該ステップ;
前記チャースラリーを冷却するステップ;
前記チャースラリーを減圧するステップ;
前記チャーから二酸化炭素を遊離させるステップ;
前記チャーを脱水して、脱水したチャー生成物を形成するステップ;及び
前記脱水したチャー生成物を乾燥又はペレット化するステップであって、該脱水したチャー生成物は対比できる生のバイオソリッドの約15%から20%の重量を有する、該ステップ
を含む、上記方法。
【請求項83】
セメントキルンを操作する方法であって、
結合水を含む湿性のバイオソリッドを準備するステップ;
結合水が蒸発して乾性バイオソリッドを形成するまでセメントキルンからのプロセス加熱を用いて前記湿性バイオソリッドを加熱するステップ;
前記乾性バイオソリッドをセメントキルン中で燃焼させて、灰の少なくとも一部を含む燃焼バイオソリッドを形成するステップ;及び
前記灰の一部を使用して、セメントに加える石灰石、粘土、又は頁岩を削減するステップ
を含む、上記方法。
【請求項84】
細胞に結合した水を含めたバイオソリッドを含む処理した汚水スラッジを、プラスの燃料価を有する製品に変換する方法であって、バイオソリッド細胞を破壊してそこに結合している水を遊離させること、前記破壊されたバイオソリッド細胞を、該破壊されたバイオソリッド細胞をチャーに変換させるのに十分な温度にさらすこと、及び、スラリーから少なくとも一部の水を除去して高温で燃焼させるのに適するチャー生成物を形成し、前記チャー生成物から熱エネルギーを提供することを含む、上記方法。
【請求項85】
破壊バイオソリッド細胞を、少なくともバイオソリッド細胞から遊離した水中に懸濁させることを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
スラッジにマイナスの熱量を与える細胞結合水を包含するバイオソリッドを含むスラッジを経済的に処理する方法であって、汚水スラッジを取得すること、汚水スラッジの受け入れに対して金銭若しくは価値ある事物を得ること、汚水スラッジを水及び懸濁したバイオソリッドを含むスラリーとして維持すること、該スラリーを十分に加熱してバイオソリッド細胞を破壊し、それによってそれまではバイオソリッド細胞中に結合していた水を遊離させること、破壊バイオソリッド細胞をチャー細胞部分に変換すること、破壊バイオソリッド細胞から遊離した水を含めた少なくともいくらかの水を除去してチャー生成物を形成すること、及び、さらなる価値を発生する方式でチャー生成物を処理することを含む、上記方法。
【請求項87】
チャー生成物の処理が、該チャー生成物を燃焼させてそれによって熱を発生させることを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
処理が、第三者が使用するためのチャー製品を供給することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
汚水又は廃水処理プラントで発生するスラッジを経済的且つ環境に優しい方式で処理する方法であって、前記スラッジが、多量のバイオソリッド及び水を含み、前記方法が、該プラントからの多量のバイオソリッドを得ること、該プラントからの該スラッジの入手に対して支払いを要求すること、バイオソリッドを十分に加熱してバイオソリッドの細胞壁を破壊し、バイオソリッドから細胞に結合している水を遊離させること、破壊バイオソリッドの塊と混合されている水の十分量を除去して破壊バイオソリッドの塊をプラスの発熱量を有する塊に変換すること、及び、バイオソリッドの塊の熱量をそれによってさらなる価値を発生するように使用することを含む、方法。
【請求項90】
バイオソリッドの破壊細胞を炭化することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
バイオソリッドの破壊細胞を炭化することが、水を除去するステップの前に起こる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
熱量を使用することが、炭化した破壊バイオソリッド細胞を焼却することを含む、請求項91に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−519687(P2008−519687A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541286(P2007−541286)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/040544
【国際公開番号】WO2006/053020
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507150851)エナテック エンバイロメンタル、 インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】