説明

スリムタイプ振動モータ

【課題】モータの大きさを最小化し、且つ、低い消耗電流に適正なトルクを提供することができるスリムタイプ振動モータを提供する。
【解決手段】スリムタイプ振動モータが開示される。開示されるスリムタイプ振動モータは、ケースと、前記ケースの中心部位に少なくとも一端が固定された支持軸と、ロータヨークと前記ロータヨークに固定されるマグネットを備えて、前記ケース内で前記支持軸を中心に回転し、ウェイトにより偏心された回転子と、前記ケースの底面に設けられ、前記マグネットと対面する部分にコイルホールが形成されたプリント配線基板と、前記コイルホールを貫通して前記ケースの底面に設けられる複数のコイルと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリムタイプ振動モータのプリント配線基板(PCB:printed circuit board)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信機器のスリム化及び小型化の傾向に伴い、移動通信機器に使用される振動モータの仕様にも、直径10.0mm及び厚さ2.0mmのスリムタイプが要求される。
【0003】
図1は、一般のスリムタイプ振動モータの断面図である。
【0004】
図1に示すように、従来の振動モータ10は、相互結合されて内部に所定の空間を形成するヨークブラケット11とカバー13を有する。前記ヨークブラケット11及びカバー13には、軸15の下端部及び上端部が各々支持される。
【0005】
ヨークブラケット11の上面にはステータベース17が設けられ、ステータベース17の上面にはコイル19が接着される。軸15の外周面には軸受21が設けられ、軸受21の外周面には偏心されたロータヨーク23が固定される。そして、ロータヨーク23の底面には、マグネット25及びウェイト27が設けられる。
【0006】
コイル19に電流が供給されると、コイル19とマグネット25の相互作用により、マグネット25、ウェイト27及びロータヨーク23が回転しながら振動を発生する。
【0007】
一般の振動モータは、直径が10.0mm、厚さが2.6mmであるが、スリムタイプ振動モータは、直径が10.0mm、厚さが2.0mmである。スリムタイプ振動モータを具現するためには、コイル19及びマグネット25の厚さを小さくする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記のような従来のスリムタイプ振動モータは、コイル19及びマグネット25の厚さが小さいので、適正程度のトルク(torque)が提供できないという短所を有する。スリムタイプ振動モータのトルクを大きくするために印加される電流を増加させることはできるが、これはバッテリの消耗電流量を増加させて、移動通信機器の長時間使用を阻害する要因として作用する。
【0009】
そこで、本発明の目的は、モータの大きさを最小化し、且つ、低い消耗電流に適正なトルクを提供することができるスリムタイプ振動モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく、本発明に係るスリムタイプ振動モータは、ケースと、前記ケースの中心部位に少なくとも一端が固定された支持軸と、ロータヨーク及び前記ロータヨークに固定されるマグネットを備えて、前記ケース内で前記支持軸を中心に回転し、ウェイトにより偏心された回転子と、前記ケースの底面に設けられ、前記マグネットと対面する部分にコイルホールが形成されたプリント配線基板と、前記コイルホールを貫通して前記ケースの底面に設けられる複数のコイルと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モータの大きさを最小化し、且つ、低い消耗電流に適正なトルクを提供することができるスリムタイプ振動モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態に係るスリムタイプ振動モータを詳細に説明する。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係るスリムタイプ振動モータの断面図であって、図3は、図2に図示されたPCBの上面に設けられた部品を除去した状態の平面図である。
【0014】
図2及び図3に示すように、相互結合して内部に所定の空間を形成する上部ケース111及び下部ケース115を有するケース110が設けられる。上部ケース111及び下部ケース115には、支持軸120の一端部側及び他端部側が各々支持される。
【0015】
支持軸120の外周面にはベアリング130が設けられ、ベアリング130の外周面には偏心された回転子140が回転可能に設けられる。回転子140は、ベアリング130の外周面に設けられ偏心されたロータヨーク141、ロータヨーク141の底面に固定されて磁場を発生するマグネット143及び回転子140が大きい振動を有するようにするウェイト145を有する。
【0016】
ロータヨーク141は、前記ベアリング130に直接固定されているので、組立作業の便利性が期待できる。
【0017】
上部ケース111の上部面には、ワッシャ180が付着されている。前記ワッシャ180は、前記ロータヨーク141が上部ケース111に衝突することを防止し、衝撃が発生しても、その衝撃量を緩衝する。このようなワッシャ180の役割は、振動モータの移動のように回転子140が動くとき発揮される。特に、回転子140の高速回転時に回転子140が浮上する場合に、振動モータの動作信頼性を向上させることができる。
【0018】
下部ケース115の底面には、IC(integrated circuit)(図示せず)及びホール素子(hall element)(図示せず)などが設けられたPCB(printed circuit board)150が固定される。そして、マグネット143の下側には、電流が供給されると電場を発生して回転子140を回転させる、巻線されたコイル160が設けられる。ここで、前記マグネット143は6極着磁されている。
【0019】
本実施形態に係るスリムタイプ振動モータ100は、コイル160の厚さを大きくして、消耗電流を減らしながらトルク(torque)を向上させるように構成される。
【0020】
詳細に、マグネット143と対向するPCB150の部位にはコイルホール151が形成され、コイル160は、コイルホール151を貫通して下部ケース115に固定される。前記コイルホール151は、前記支持軸120を中心に対称するように形成できる。
【0021】
ここで、前記コイル160が振動モータの自体的な振動により離脱せず、より堅固に固定されるために、前記コイル160は、前記下部ケース115の底面に接着剤を用いて堅固に固定できる。また他の方法として、両面接着テープを用いて固定することもできる。
【0022】
一般のスリムタイプ振動モータのマグネットの厚さは0.4〜0.5mm、コイルの厚さは0.5〜0.6mm、PCBの厚さは0.15〜0.20mmである。
【0023】
本実施形態に係るスリムタイプ振動モータ100のコイル160は、PCB150を貫通して下部ケース115に固定されるので、PCB150の厚さの分、厚さを大きくすることができる。すなわち、PCB150の厚さに該当する分、コイル160の巻線数を増加させることができるので、下記の数学式1によりトルクが向上する。
【0024】
【数1】

(T:トルク、Z:導体数、I:電流、N:コイルの巻線数)
【0025】
すなわち、本実施形態に係るスリムタイプ振動モータ100は、PCB150の厚さの分、コイル160の巻線数を増加させて、適正なトルクを発生しながら、消耗電流を減らすことができる。
【0026】
ここで、前記コイル160が前記コイルホール151を貫通して、前記PCB150の上面から所定高さで突出するように巻取されると、コイル160の巻線数をより増加させることができる。
【0027】
前述したように、本発明に係るスリムタイプ振動モータは、コイルがPCBを通過して下部ケースに固定される。したがって、スリムタイプ振動モータの大きさの増大を最小化しながら、PCBの厚さの分コイルの厚さを増加させることができる。すなわち、コイルの巻線数を増加させることができるので、適正なトルクを発生しながら、消耗電流量を減らすことができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態によって本発明を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で変更及び変形されたのも本発明に属することは明白である。
【0029】
例えば、前記コイルは、下部ケースに接着剤または両面接着テープにより付着されると説明されているが、嵌め合い構造によって実現することも可能である。
【0030】
本発明によれば、コイルの配置位置を最適化することにより、振動モータの厚さを小さくすることができ、電場の強度を増加させることができる。また、トルクの発生量を増大させることができ、電流消耗量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来のスリムタイプ振動モータの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスリムタイプ振動モータの断面図である。
【図3】図2に図示されたPCBの上面に設けられた部品を除去した状態の平面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 振動モータ、 11 ヨークブラケット、 13 カバー、 15 軸、 17 ステータベース、 19 コイル、 21 軸受、 23 ロータヨーク、 25 マグネット、 27 ウェイト、 100 スリムタイプ振動モータ、 110 ケース、 111 上部ケース、 115 下部ケース、 120 支持軸、 130 ベアリング、 140 回転子、 141 ロータヨーク、 143 マグネット、 145 ウェイト、 150 PCB、 151 コイルホール、 160 コイル、 180 ワッシャ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの中心部位に少なくとも一端が固定された支持軸と、
ロータヨーク及び前記ロータヨークに固定されるマグネットを備え、前記ケース内で前記支持軸を中心に回転し、ウェイトにより偏心された回転子と、
前記ケースの底面に設けられ、前記マグネットと対面する部分にコイルホールが形成されたプリント配線基板と、
前記コイルホールを貫通して前記ケースの底面に設けられる複数のコイルと
を含むことを特徴とするスリムタイプ振動モータ。
【請求項2】
前記コイルの数とコイルホールの数とが互いに同一であることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項3】
前記コイルは二つ設けられ、前記コイルホールは前記支持軸を中心に対称するように形成されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項4】
前記コイルは、前記ケースの底面に接着剤を用いて固定されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項5】
前記コイルは、前記ケースの底面に両面接着テープを用いて固定されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項6】
前記マグネットが6極着磁されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項7】
前記ケースの上部面には、ワッシャが付着されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。
【請求項8】
前記回転子と支持軸との間にはベアリングが提供され、前記回転子のロータヨークが直接ベアリングに固定されることを特徴とする請求項1に記載のスリムタイプ振動モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−510983(P2009−510983A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532171(P2008−532171)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003858
【国際公開番号】WO2007/037622
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(506149726)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】LG Innotek Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】33Fl., LG Twin Tower West,20,Yeouido−dong,Yeongdeungpo−gu Seoul,150−721,Korea
【Fターム(参考)】