説明

スレッドおよび偽造防止用紙

【課題】特別な器具や装置を使わずとも容易に真贋を判定することが可能であり、かつ高い偽造防止効果を有する偽造防止材料を提供する。
【解決手段】温度が変化することにより色相が変化する塗工層を基材に設けたスレッドを作成する。これにより、温度の変化によるスレッドの変色効果を目視により判別することができ、容易に真贋判定が可能となる。また、当該スレッドを紙の中に組み込むことで、偽造防止の用紙を作成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真贋判定機能を有するスレッドと偽造防止用紙に関するものである。詳しくは、温度の変化により全く別の色相に変化することで、真贋の判定を容易かつ高度にすることが可能なスレッド、およびそれを使用した偽造防止用紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙幣、商品券、株券、債券、小切手、宝くじ等の金銭的価値を有する有価証券類には、容易に偽造又は変造されない様に多種多様の偽造防止対策を施してある。
【0003】
近年の技術の進歩により、上記した有価証券類が、多色印刷機により印刷されるという方法、カラーコピー機により複写されるという方法、或いはパソコンに連動したスキャナーで画像を取り込みカラープリンターでプリントする方法等で偽造されることが多くなっている。最近では家庭用プリンターであっても、解像度や色相等が本物と見分けがつかないほど精巧に再現できるようになっているため、比較的簡単に偽造品を作製できるようになってきた。このようにデジタル機器を用いた偽造が問題となっており、その偽造による被害が身近なものになっている。
【0004】
以上のような背景から、デジタル機器を使用した偽造を防止する技術として様々な提案がなされている。例えば、特許文献1では真珠顔料を塗工したスレッドを抄きこんだ偽造防止用紙が提案されている。また特許文献2では、メタメリック現象と真珠光沢層とを組み合わせたスレッドが提案されている。特許文献3では、ホログラムを施したセキュリティ素子が提案されており、他にも真珠顔料印刷、紫外蛍光印刷や、これらを施した基材を加工してスレッドとして用いた偽造防止用紙の提案がなされている。
【0005】
ホログラムや真珠顔料は金属光沢や真珠光沢を有しており、カラーコピー機による印刷や、パソコンと連動したデジタルスキャナーで読み込んだ画像をカラープリンターにより出力する方法では光沢感を再現する事ができず、そのため偽造を防止する効果がある。例えば、本出願人は特許文献4において、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得ること、この用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得ることを提案した。
【0006】
しかしながら、偽造防止の技術を確立したとしても、新たな偽造の手段が次々と生み出されているのが現状であるため、新たに出現する偽造手段に対抗すべく、新規の偽造防止技術が常に求められている。さらには、前記のような印刷機やスキャナー等を用いた方法で容易に偽造できる結果、その偽造による被害も身近になっており、そのため特別な器具を使わずとも簡易的に真贋を判定できる偽造防止技術が真贋判定を可能とする技術が必要とされている。例えば、商品券等を買い取る店において、持ち込まれた商品券を店員がその場で容易に真贋判定できるような技術が要求されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−56377号公報
【特許文献2】特開2003-306897号公報
【特許文献3】特表2006-528369号公報
【特許文献4】特開平6-313298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
簡易的な真贋判定を行うためには、ブラックライト、磁気検出装置のような特別な器具を使わないことが望ましく、容易に真贋を判定する事のできるセキュリティー材料が効果的である。本発明はこのような手段に有効な偽造防止技術を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題について鋭意研究した結果、温度の変化により色相が変化する塗工層をスレッドに施す事で、本発明の完成に至った。また、後述する他の機能を付与することで高い偽造防止効果を得ることができ、さらに当該スレッドを紙に抄きこむことで、今までに無い偽造防止用紙を得ることができる。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、温度が変化することにより色相の変化する温度応答性塗工層を少なくとも基材の片面に有する事を特徴とするスレッドである。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、前記温度応答性塗工層が、温度が変化することにより可逆的に色相が変化することを特徴とする請求項1に記載のスレッドである。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、基材が真珠光沢を有する透明多層膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のスレッドである。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、基材表面に真珠光沢層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスレッドである。
【0014】
本発明の請求項5に係る発明は、紫外線吸収層を設けたことを特徴とする請求項1〜4に記載のスレッドである。
【0015】
本発明の請求項6に係る発明は、色相の変化する温度が−4℃〜58℃であることを特徴とする請求項1〜5に記載のスレッドである。
【0016】
本発明の請求項7に係る発明は、色相の変化する温度が25℃〜33℃であることを特徴とする請求項1〜5に記載のスレッドである。
【0017】
本発明の請求項8に係る発明は、常温では同じ色相を呈するが、熱変化後の色相の異なる2種類以上の熱変化塗工層が、基材表面に任意の模様を形成している事を特徴とする請求項1〜7に記載のスレッドである。
【0018】
本発明の請求項9に係る発明は、常温では異なる色相を呈するが、熱変化後の色相が同一になる2種類以上の温度応答性塗工層が、基材表面に地紋を形成している事を特徴とする請求項1〜7に記載のスレッドである。
【0019】
本発明の請求項10に係る発明は、前記基材表面に、マイクロ文字が印刷されていることを特徴とする請求項1〜9に記載のスレッドである。
【0020】
本発明の請求項11に係る発明は、前記マイクロ文字が、温度が変化することにより可逆的に色相が変化することを特徴とする請求項10に記載のスレッドである。
【0021】
本発明の請求項12に係る発明は、前記マイクロ文字が、室温条件下では前記温度応答性塗工層と同一の色であり、且つ室温以外の温度条件下では前記温度応答性塗工層と異なる色相に変化することを特徴とする請求項11に記載のスレッドである。
【0022】
本発明の請求項13に係る発明は、前記マイクロ文字が、赤外線を吸収する顔料成分とバインダーで構成されるインキからなり、室温条件下において、当該マイクロ文字と前記温度応答性塗工層の赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする請求項10〜12に記載のスレッドである。
【0023】
本発明の請求項14に係る発明は、請求項1〜13に記載のスレッドが紙に抄きこまれていることを特徴とする偽造防止用紙である。
【0024】
本発明の請求項15に係る発明は、前記スレッドが間欠的に用紙表面に露出していることを特徴とする請求項14に記載の偽造防止用紙である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるスレッドを用いた偽造防止用紙又はシート状物は以下に記載する効果を奏するため、紙幣、商品券、パスポート、株券、身分証明書、カード、入場券、株券、小切手等の偽造防止対策として好ましく使用することができる。
(1)温度の変化によるスレッドの変色効果を目視により容易に真贋判定が可能となる。
(2)真珠光沢を有するスレッドは、可視光下で見る角度により色相が連続して変化するカラーシフト効果を有しており、それを目視により容易に真贋判定することができる。
(3)上記(1)と(2)の効果を同時に確認する事が可能であり、この検出には特別な技術器具を要しないため、容易に真贋判定が可能となる。
(4)さらに、マイクロ文字を付与することで偽造を困難にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の第一の形態は、温度が変化する事により色相の変化する温度応答性塗工層を少なくとも基材の片面に設けたスレッドである。当該スレッドは温度条件の変化により色相が変化するため、目視による真贋判定が可能となる。例えばスレッドを指で触れた際に、その体温の熱に応答してスレッドの色相が変化するように設計しておけば、誰でもその真贋の判定を容易に識別することができる。
【0027】
本発明の温度応答性塗工層に用いる材料は、従来から知られている電子供与性呈色性有機化合物と、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類のいずれかより選ばれた有機溶媒との三成分からなるサーモクロミック材料である。電子供与性呈色性有機化合物は、例えばジフェニルメタンフタリド類、トリフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、アゾメチン類、ロイコオーラミン類、スピロピラン類、ローダミンラクタム類、ジアザローダミンラクトン類、ナフトラクタム類、フェノチアジン系、トリアゼン類、スピロフタランキサンテン類があるがこれらに限定されるものではない。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えばモノフェノール類、ポリフェノール類等があり、具体的には特開昭49−78682号公報や特開昭61−9488号公報に記載されたものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
前記サーモクロミック材料は、例えば粒子径0.1〜50μmの微小カプセルに内包したものが好適に用いられる。サーモクロミック材料の温度による色変化には、材料の選定により、可逆的に変化するもの、準可逆的に変化するもの、不可逆的に変化するものの3つのタイプがあるが、いずれを用いてもよい。
【0029】
当該温度応答性塗工層を形成する塗料には、前記サーモクロミック材料に加えて、バインダーとしてメラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム等の単独あるいは混合物を使用でき、当該バインダーをトルエン、酢酸エチル、メチル・エチル・ケトン、アセトン、ガソリン等の石油系溶剤等の有機溶剤に溶解して使用する。バインダーとしては、他にもロジン変性フェノール樹脂を乾性油(アマニ油等)と高沸点溶剤で溶解したオフセット印刷インキ用のビヒクルにしたもの、或いは、SBRラテックス、MBRラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸エステルエマルジョン、ポリビニルアルコール系樹脂等の水系のバインダーを使用することができる。
【0030】
温度応答性塗工層の色相の変化としては、例えば次のようなものがある。一つは、色相が変化する温度以下では有色であり色相変化温度を超えると白色に変化するものであり、具体的には黒色から白色へ変化するもの、青色から白色へ変化するもの等がある。別のものとしては、色相変化温度以下では有色であり色相変化温度を超えると元の色相とは異なる有色に変化する物があり、具体的には黒色から青色へ変化するもの、緑色から黄色に変化するもの等が挙げられる。もちろん、これら以外の色相変化も設計可能である。色相変化の設計は、顕色剤の選定、有色染料および/または顔料との組み合わせにより幅広い選択性があるため、目的に応じて適宜選択して用いることができる。
【0031】
また、温度応答性塗工層は、温度が変化することにより可逆的に変化することが好ましい。いったん色相が変化した場合でも、元の色相へ戻ることができれば、繰り返し使用することができ実用的であるからである。
【0032】
本発明で用いる基材としては、一般的なフィルムが用いられる。例えば、PET、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等のフィルムが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
温度応答性塗工層を基材へ設ける方法は、公知の塗工技術を用いて行うことができる。例えば、ロッドコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター等の塗工方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
なお、温度応答性塗工層を有する基材をスリット加工することでスレッドが得られる。スリット加工はマイクロスリッター等の公知の装置を使用して、所定の幅にスリットして巻き取る。
【0035】
また、本発明において、基材に真珠光沢を有する透明多層膜を使用すると、より高い偽造防止効果を得ることができるため好ましい。このようにすると、反射光下におけるカラーシフト効果と温度変化による色相変化の効果の両方を組み合わせる事ができ、その複雑な変化を偽造するのは困難となる。カラーシフト効果とは、対象物との視野角を変化させていくと、反射光が徐々にシフトすることで色が変化するこという。
【0036】
本発明で用いる透明多層膜とは、2種類以上の屈折率の異なるポリマーを複数積層させたものであり、光干渉現象により真珠光沢を呈するフィルムである。例えば、高屈折率と低屈折率のポリマーを繰り返し100層以上積層させたものを用いることができる。真珠光沢は、正反射光で見ると虹彩色に輝いて見えるという特徴があるため、カラーコピーやデジタルスキャナーで読み込んでプリンターで出力するなどの複写方法では再現できない事が知られている。そのため、透明多層膜を用いることにより、カラーシフト効果のみならずこのような複写防止効果をも付与することができる。さらには、真珠光沢を有する透明多層膜のフィルム上に設けられた着色塗工層を、フィルムを介して見ることで、フィルム本来の色相が混合された新たな色相が生み出される。そして、既述のように本発明では更に温度変化により着色塗工層の色相も変化するため、そのカラーシフト効果は非常に複雑なものとなり、その結果、高度な偽造防止効果が得られる。
【0037】
また本発明においては、真珠光沢を有する塗工層を該スレッド基材上に設けることでもカラーシフト効果を得ることができるため、前記の透明多層膜を使用したときと同様の偽造防止効果を得ることができる。前述の真珠光沢を有する透明多層膜を用いた場合、その色相は各層および総厚により変化するため、小ロットでの生産はコスト面での懸念があるが、真珠光沢を有する塗工層を設ける方法では、顔料を変える事でフィルムの生産に比べ低いコストで多岐にわたるバリエーションを増やせるという利点もある。
【0038】
真珠光沢を有する塗工層に用いる事のできる顔料としては、天然パールエッセンスや雲母粉末、塩基性炭酸塩、酸化チタンコート雲母粉末、金属酸化物被覆雲母粉末、ベンガラ被覆雲母等が挙げられる。このような真珠顔料の製造方法は特に限定されるものではなく、従来から既知の製造方法(例えば、特公昭53−47375号、特公昭54−34010号、特開昭58−149959号等の公報に記載されている方法)で得られたものが使用できる。
【0039】
当該真珠顔料は接着剤と混合して基材に塗工される。接着剤としては、真珠顔料を基材に固着可能にするものであれば特に限定はないが、例えば超微細なフィラーにより複合化されたバインダー粒子の水性分散液が使用できる。超微細なフィラーとしてはコロイダルシリカ、アルミナゾル等が使用でき、バインダーとしてはアクリル系重合体エマルジョン、シラン基付加オレフィン系重合体エマルジョン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン等が使用できる。真珠光沢を有する塗工層は、前述したような公知の塗工技術を用いて設けることができる。
【0040】
本発明では、基材に紫外線吸収能を持った樹脂層を設ける事ができる。これを設けることにより、温度応答性塗工層に用いる材料の耐光性を向上させることができるため、長期間に渡り流通あるいは保管されるような使用方法をする場合にも好適に使用することができる。紫外線吸収能を持った樹脂層は温度応答性塗工層の光劣化を防ぐ目的で設けるため、温度応答性塗工層よりも光が当たる側に当該紫外線吸収層が存在するように使用するとよい。例えば図1のように光が当たる側から、3紫外線吸収層、2温度反応性塗工層、1基材の順になるように使用する。あるいは、他の構成においても図2や図3のような使い方をするとよい。
【0041】
紫外線吸収能を持った樹脂層に用いられる樹脂は、公知のものを用いることができる。特に、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の透明樹脂が好ましく用いられる。その理由は、紫外線吸収層がその機能上温度応答性塗工層よりも光が当たる側に配置されているためである。よって、酸化チタンのような紫外線吸収能と同時に不透明性も付与するようなものを用いると、色相変化効果の視認性を妨げる可能性があるため好ましくない。
【0042】
本発明において、温度応答性塗工層に用いる材料の色相が変化する温度は−4℃〜58℃の範囲であることが好ましい。そして、特にその変化温度を25〜33℃に設定することが好ましい。この温度範囲に該当する材料を用いることで、人間の体温程度でも色相を変化させることができるため、冷却装置や加熱装置等の特別な装置が必要無く容易に真贋判定を行うことが可能となる。色相変化温度が25℃未満の場合、気温が25度以上になる季節では色相変化を確認するために何らかの冷却手段を用いる必要がある。その際には冷却スプレー、冷却シート、氷嚢、冷却機等の簡便な物を用いて冷却すればよい。ただし、色相変化温度が−4℃未満になると特別な冷却装置が必要となり、その結果簡便に真贋判定を行うことができなくなるため好ましくない。また、色相変化温度が33℃より高くなると、人間の手の表面温度程度では変化し難いため、何らかの加熱手段が必要となる。この際、なるべく簡便な手段がよく、例えばストーブ、加熱ヒーター、カイロ、蛍光灯の熱、湯たんぽ、温熱シート等を用いることで、色相変化を確認することができる。ただし、色相変化温度が58℃より高くなると、特別な加熱装置が必要となり、簡便に真贋判定を行うことができなくなる可能性があり、好ましくない。
【0043】
本発明において、温度応答性塗工層は2種類以上設けてもよい。基材表面において、2種類以上の温度応答性塗工層が任意の模様を形成するように設けることで、より複雑な色相変化を与えることができ、偽造防止効果を高めることができるため好ましい。例えば、常温では同一の色相を呈するが、温度変化後に異なった色相を示す2種類以上の熱変化塗工層をストライプまたは地紋を形成するように基材上に配することで、常温では同一色に見えるが温度を変えることによって初めてストライプまたは地紋の模様を確認する事ができるようになる。このように、単に色相が変化するだけでなく、模様の種類によりさまざまな意匠性を与える事ができるようになる。そのため、用途やユーザーに応じて個性のある特徴を与える事ができるようになるので、実用性に優れ、且つ偽造防止効果の高いスレッドを得ることができる。
【0044】
また、常温では異なる色相を呈するが、熱変化後に同一の色相を示す2種類以上の温度応答性塗工層を任意の模様を形成するように基材上に配する事で、常温では確認できた模様が温度変化後には見えなくなるという効果が得られる。これも偽造防止対策として有効であり、しかも前述したように、当該模様に特徴を持たせることで更に優れた実用性と高い偽造防止効果が得られる。
【0045】
本発明のスレッドには、マイクロ文字を施すことができる。マイクロ文字を設ける場合の構成としては、例えば基材上にマイクロ文字を印刷し、それから温度反応性塗工層で覆う構成がある。あるいは、基材上に温度反応性塗工層を設けた後にマイクロ文字を設ける構成が挙げられる。マイクロ文字の印刷方法には特に限定はないが、グラビア印刷、スクリーン印刷が適している。マイクロ文字に使用するインキは、公知のものを用いることができる。
【0046】
また、室温条件下では温度応答性塗工層と色相が同一であるが、室温以外の温度に変化しても温度応答性のない色を有するマイクロ文字を該スレッドに施すことにより、さらに高度な偽造防止効果を得ることができる。このようにすると、室温条件下ではマイクロ文字を読取る事はできないが、温度変化により色相が変化することでマイクロ文字の判読が可能となる特徴を与える事ができるからである。しかも、当該マイクロ文字を再現するには高度な印刷技術が必要であるため、会社名、個人名など固有性の高い情報をマイクロ文字として与えることに適している。
【0047】
さらには、本発明のスレッドにはマイクロ文字を2種類以上設けてもよい。例えば前記の室温条件下で温度応答性塗工層と同じ色相を有するマイクロ文字(これを「マイクロ文字A」とする)に加えて、室温条件下では温度応答性塗工層と異なる色相を示すが、当該塗工層が温度変化後に示す色相とは同じである色のマイクロ文字(これを「マイクロ文字B」とする)を設けておく。このようにすると、室温時にはマイクロ文字Bのみが読み取れるが、温度変化により温度応答性塗工層の色相が変化するとマイクロ文字Bが消滅し、代わりにマイクロ文字Aが判読可能となる。このように、複数のマイクロ文字を温度応答性塗工層の色相に合わせて選定することにより、変化に富んだ偽造防止効果が得られる。
【0048】
なお、前述したマイクロ文字に使用するインキにカーボンブラックのような赤外線吸収性を有した顔料を使用することで更に高い偽造防止効果を付与する事ができる。これについて具体的に説明すると、反射光下において室温条件下ではマイクロ文字の色相は温度反応性塗工層と同化しているため読取る事はできないが、赤外光下ではマイクロ文字を赤外線カメラなどで読取る事ができるのである。これは温度変化が無くとも、真贋判定が可能である。つまり、マイクロ文字に赤外線吸収性のインキを用いることで、温度変化による色相変化によりマイクロ文字の判読が可能となるという前述の効果に加え、室温のままでも赤外線カメラなどによる真贋判定をすることができるのである。
【0049】
赤外線吸収性を有した顔料としては、カーボンブラックに限定されず、同様の性能を有する顔料であれば特に限定されない。可視光領域で光をほとんど吸収せず、且つ赤外光領域に極大吸収ピークを有するものが好適に用いられる。例えば、酸化金属、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、銅、バナジウム、ジルコニウム、チタン、ルテニウム、白金を含む顔料やフタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
【0050】
本発明の第二の形態は、請求項1〜13のスレッドを紙中にすき込んだ偽造防止用紙である。例えばスレッドを紙内部に挿入させると、貼合によりスレッドを用紙表面から埋没させた場合と違って、スレッドの挿入された層間での剥離が困難となり、スレッドが脱落しにくくなる。また、悪意を持った者が当該スレッドを剥離し、転用するのを防ぐ効果がある。なお、当該スレッドが用紙中にあってもその色相の変化は容易に識別できれば問題なく使用できる。
【0051】
スレッドを紙中に抄きこむ方法としては、長網抄紙機のスライス部分における紙料の流れの中にノズルを入れ、ノズルに水を流しながらスレッドを繰り出し、抄紙網に形成される紙匹中にスレッドを抄き込む方法(特開昭51−130309号公報)、長網抄紙機のフローボックスから流出する紙料へスレッドの挿入装置を設置し、空気流でスレッドと紙料を非接触状態としながらスレッドを抄き込む方法(特開平2−169790号公報)、多層タイプの円網抄紙機を使用して2層以上の抄き合わせで内壁に凹凸を設けた送管を使用してスレッドを紙層間に送り出し、紙層間にスレッドを抄き込む方法(特公平5−40080号公報)等が挙げられる。
【0052】
また、本発明のスレッドを紙中に抄きこむ場合、スレッドが間欠的に用紙表面に露出するようにしてもよい。具体的に説明すると、用紙表面において間欠的に厚みを薄くした窓開き部を形成し、この窓開き部にスレッドが露出している状態にすることである。このようにして作成した紙は、いわゆる「窓開きスレッド用紙」と呼ばれ、スレッドが露出している部分は色相変化の判断やマイクロ文字の判読がより容易になるという利点がある。
【0053】
前記窓開きスレッド用紙を作成する方法としては、ワイヤー上の紙料懸濁液に、凹凸部を有するガイドの凸部先端にスレッドを通した溝を有するベルト機構を埋没して製造する方法(特公平5−85680号公報)や、凹凸状に加工した網を円網抄紙機の上網に使用し、スレッドを網表面の凹凸部に接触させながら挿入して窓開き部分にスレッドを抄き込む方法(米国特許第4462866号公報)、あるいは長網抄紙機のワイヤー上の回転ドラム内に圧縮空気ノズルを内蔵させ、予め紙匹に挿入したスレッド上のスラリーを圧縮空気で間欠的に吹き飛ばしてスレッドを露出させる方法(特開平6−272200号公報)等が挙げられる。
【0054】
本発明において、スレッドを抄きこむ紙の原料には特に限定はないが、木材パルプや麻、綿、藁等の非木材パルプ等を適宜配合して叩解し、これに必要に合成繊維、半合成繊維、無機繊維等を混合したものが使用できる。これに填料、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、顔料等を適宜添加し、紙料を調製する。
【実施例】
【0055】
[実施例1]
基材として厚さ16μmの透明PETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ(株)製)を用い、これに温度応答性塗工層として示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ブラックtoホワイト“温度タイプ27”」、(株)松井色素化学工業所製)をグラビアコーターで8g/m塗工して得られたフィルムを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは、25℃に設定された室温では黒色を呈しており、27℃に昇温すると色相の変化が現れ灰色に、30℃に昇温すると完全な白色に変化した。30℃から25℃条件下に戻すと、20秒ほどで元の黒色に戻った。
【0056】
[実施例2]
基材として厚さ16μmの真珠光沢を有する透明多層膜(商品名「MLF」、帝人デュポン(株)製)を用い、これに温度応答性塗工層として示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ブラックtoホワイト“温度タイプ27”」)をグラビアコーターで8g/m塗工して得られたフィルムを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは、25℃条件下では温度応答性塗工層は黒色を呈しておりフィルム面側から見ると、角度によって緑から赤に変化するカラーシフト効果が際立って見えた。そして、30℃に昇温すると温度応答性塗工層は白色に変化し、フィルム本来の桃色が見て取れた。フィルム本来の効果は変わらないが、裏面の色相が変化するため、あたかもフィルム自体の色相と効果が変化しているように見え、独特の意匠性を得ることができた。さらに30℃から25℃条件下に戻すと、温度応答性塗工層は黒色に戻った。
【0057】
[実施例3]
ウレタン樹脂バインダー(商品名「ラミックF220」、大日精化工業(株)製)を固形分15%になるように希釈した。この溶液に真珠顔料(商品名「イリオジン」、メルク(株)製)を総固形分が25%になるように添加、分散した塗料を作成した。この塗料を厚さ16μmの透明PETフィルム(商品名「ルミラー」)にグラビアコーターにて10g/m塗工して真珠光沢層を有するフィルムを作成した。続いて、この真珠光沢層を覆うように(商品名「クロミカラー ブラックtoホワイト“温度タイプ27”」)をグラビアコーターで8g/m塗工して得られたフィルムを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは、25℃条件下では温度応答性塗工層は黒色を呈しておりフィルム面側から見ると、青色の真珠光沢が際立って見えた。そして、30℃に昇温すると温度応答性塗工層は白色に変化し、一見するとスレッドは白色に見えるが角度によっては青色の真珠光沢をも確認する事ができた。真珠光沢層の色相は変化していないが、裏面の色相の明度が低いと真珠光沢が際立って見える特徴を利用しており、独特の意匠性を得ることができた。再び、30℃から25℃条件下に戻すと、温度応答性塗工層は黒色に戻り、スレッドは青色の真珠光沢が見えた。
【0058】
[実施例4]
実施例2で得られたフィルムの温度応答性塗工層側の上から、紫外線吸収性能を有した樹脂(商品名「ULS−1935」、一方社油脂工業(株)製)をグラビアコーターで1g/m塗工した後、これを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。
【0059】
実施例2と実施例4で得られたスレッドを共に耐光性試験機(名称は?)に供し、連続的に紫外線を照射した。実施例2で得られたスレッドは、試験前は25℃条件下で黒色を呈していたが、紫外線を6時間照射したところ温度応答性塗工層が灰色に変化しており、17時間の照射で完全に白色に変化し、照射をやめても黒色には戻らなくなった。これに対し実施例4で得られたスレッドは、試験前は25℃条件下で黒色を呈していたが、6時間の紫外線照射後もその色相(黒色)は変化しておらず、その機能も失われていなかった。そして、17時間の照射後においては、温度応答性塗工層の色相は灰色に変化し、これが完全に白色に変化し且つ黒色に戻らなくなるまでには35時間の紫外線照射を要した。これにより、実施例4のスレッドは紫外線に対する耐性性が向上していることを確認した。
【0060】
[実施例5]
基材として厚さ16μmの真珠光沢を有する透明多層膜(商品名「MLF」)を用意し、これに示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ブラックtoピンク“温度タイプ27”」、(株)松井色素化学工業所製)を用いてストライプパターンを印刷した。さらに、このストライプパターンを覆うように全面に示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ブラックtoホワイト“温度タイプ27”」を塗工し、温度応答性塗工層を形成させた。これを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは25℃条件下では温度応答性塗工層は黒色を呈しておりストライプパターンは見ることができなかった。フィルム面側から見ると、角度によって緑から赤に変化するカラーシフト効果が際立って見えていた。そして、30℃に昇温すると青色と白色のストライプパターンが浮かび上がった。フィルム面から見ると白色の部分はフィルム本来の桃色に、青色の部分はフィルムの桃色と合わさり紫色に見えた。これにより、温度が変化する事でパターンが浮かび上がるフィルムが得られる事を確認した。
【0061】
[実施例6]
基材として厚さ16μmの真珠光沢を有する透明多層膜(商品名「MLF」)を用意し、これに示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ニューボーンtoホワイト“温度タイプ27”」、(株)松井色素化学工業所製)を用いてストライプパターンを印刷した。さらに、このストライプパターンを覆うように全面に示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ファストブルーtoホワイト“温度タイプ27”」、(株)松井色素化学工業所製)を塗工し、温度応答性塗工層を形成させた。これを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは、25℃ではフィルム面から見ると緑から赤に変化するカラーシフト効果が見られる部分と青から紫に変化するカラーシフト効果が見られる部分とがストライプパターンを形成していた。これを30℃条件下に置く事でいずれの温度応答性塗工層も白色に変化し、フィルム本来の桃色が見て取れた。
【0062】
[実施例7]
基材として厚さ16μmの透明PETフィルム(商品名「ルミラー」)を用意し、これにカーボンブラック顔料インキを使用してロータリースクリーン印刷機でマイクロ文字を印刷した後、このマイクロ文字を覆うように全面に示温グラビアインキ(商品名「クロミカラー ブラックtoホワイト“温度タイプ27”」)を10g/m塗工し、温度応答性塗工層を形成させた。これを幅2.5mmにスリット加工してスレッドを得た。これにより得られたスレッドは、25℃条件下では黒色にしか見えずマイクロ文字を確認する事はできなかった。しかし、30℃に昇温することでカーボンブラック顔料部分を残して白色に変化し、印刷されたマイクロ文字を読取る事ができた。
【0063】
また、実施例7で得られたスレッドは、25℃の可視光下では黒色にしか見えなかったが、これに赤外線を照射し、赤外線も感知できるカメラで撮影したところ、カーボンブラック顔料部分のみ赤外線を吸収しマイクロ文字を読取る事ができた。比較例として、実施例7においてカーボンブラック顔料インキを用いる代わりに、赤外線吸収能のない混色黒インキを用いてマイクロ文字を印刷したところ、得られたスレッドのマイクロ文字印刷部分は赤外線を透過してしまい赤外線照射下で前記カメラを用いてもマイクロ文字を読取る事はできなかった。
【0064】
[実施例8]
<紙料の調製>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を350mlC.S.F.に叩解し、これに白土10質量部、紙力増強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業(株)製)0.3質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、さらに硫酸バンドを適量加え、紙料を調製した。
<抄紙網の製造>
短辺10mm、長辺15mm、厚み0.3mmの樹脂板を多数用意した。次いで、円網抄紙機の円網シリンダー上網(幅1300mm)に、樹脂板を紙の流れ方向に対して短辺が位置するようにして10mm間隔で連続的に接着剤で貼りつけた。この列を上網の幅方向に等間隔に6列取り付けた。
<用紙の抄造>
2槽式円網抄紙機の1槽目のシリンダーには前記樹脂板を取り付けた上網を装着し、2槽目の丸網シリンダーには何等細工を施さない上網を装着した。1槽目で形成した第1層目の紙層の上に2槽目で形成した第2層目の紙層が重なるようにして、前記紙料を用い抄紙速度30m/分で2層抄合わせ紙を製造した。この際、第1層目(乾燥重量に換算して33g/m)と第2層目(同67g/m )の間に実施例2で作成したスレッド(幅2.5mm)を特公平5−40080号広報で提案した方法を用いて型の中央に相当する位置に挿入した。次いで常法に従い湿紙を脱水後、シリンダードライヤーで乾燥し、2層抄合わせ紙からなる窓開き温度応答性スレッド入り紙100g/mを製造することで、偽造防止用紙を得た。得られた偽造防止用紙のスレッドは、抄紙工程における熱やこすれ等により温度応答性塗工層の効果は失われることが懸念されたが、効果が失われることはなく、実施例2で得られたスレッドと同様の色相変化・意匠性が確認された。
【0065】
窓開きスレッド入り紙はホログラムフィルム、アルミ蒸着フィルムをスレッドとして加工して使用しているものが多いが、温度の変化により色相が変化することはない。しかし、本発明のスレッドを抄き込むことで、温度により色相の変化するスレッドを持つという偽造防止効果の高い用紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】紫外線吸収層を設けたときの使用例1
【図2】紫外線吸収層を設けたときの使用例2
【図3】紫外線吸収層を設けたときの使用例3
【符号の説明】
【0067】
1 基材
2 温度応答性塗工層
3 紫外線吸収層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度が変化することにより色相の変化する温度応答性塗工層を少なくとも基材の片面に有する事を特徴とするスレッド。
【請求項2】
前記温度応答性塗工層が、温度が変化することにより可逆的に色相が変化することを特徴とする請求項1に記載のスレッド。
【請求項3】
基材が真珠光沢を有する透明多層膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のスレッド。
【請求項4】
基材表面に真珠光沢層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスレッド。
【請求項5】
紫外線吸収層を設けたことを特徴とする請求項1〜4に記載のスレッド。
【請求項6】
色相の変化する温度が−4℃〜58℃であることを特徴とする請求項1〜5に記載のスレッド。
【請求項7】
色相の変化する温度が25℃〜33℃であることを特徴とする請求項1〜5に記載のスレッド。
【請求項8】
常温では同じ色相を呈するが、熱変化後の色相の異なる2種類以上の熱変化塗工層が、基材表面に任意の模様を形成している事を特徴とする請求項1〜7に記載のスレッド。
【請求項9】
常温では異なる色相を呈するが、熱変化後の色相が同一になる2種類以上の温度応答性塗工層が、基材表面に地紋を形成している事を特徴とする請求項1〜7に記載のスレッド。
【請求項10】
前記基材表面に、マイクロ文字が印刷されていることを特徴とする請求項1〜9に記載のスレッド。
【請求項11】
前記マイクロ文字が、温度が変化することにより可逆的に色相が変化することを特徴とする請求項10に記載のスレッド。
【請求項12】
前記マイクロ文字が、室温条件下では前記温度応答性塗工層と同一の色であり、且つ室温以外の温度条件下では前記温度応答性塗工層と異なる色相に変化することを特徴とする請求項11に記載のスレッド。
【請求項13】
前記マイクロ文字が、赤外線を吸収する顔料成分とバインダーで構成されるインキからなり、室温条件下において、当該マイクロ文字と前記温度応答性塗工層の赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする請求項10〜12に記載のスレッド。
【請求項14】
請求項1〜13に記載のスレッドが紙に抄きこまれていることを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項15】
前記スレッドが間欠的に用紙表面に露出していることを特徴とする請求項14に記載の偽造防止用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−214783(P2008−214783A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50598(P2007−50598)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000225049)特種製紙株式会社 (45)
【Fターム(参考)】