スロットマシン
【課題】 少ない遊技投資で、通常遊技からボーナス遊技までを、ダイジェストで楽しめるスロットマシンを提供する。
【解決手段】 獲得されるメダル数の多い出玉大ボーナス遊技(BB)のほかに、この出玉大ボーナス遊技に比べ、獲得される遊技媒体数が少ない出玉小ボーナス遊技(OB)が設定してある。この出玉小ボーナス遊技(OB)は、少ない賭け数(例えば、1枚)で、当せんし易く設定してあるだけでなく、ボーナス遊技中に、出玉大ボーナス遊技とほぼ同じ回数のゲームを行うことができ、出玉大ボーナス遊技と同様な雰囲気や遊技演出を享受できるように構成してある。
【解決手段】 獲得されるメダル数の多い出玉大ボーナス遊技(BB)のほかに、この出玉大ボーナス遊技に比べ、獲得される遊技媒体数が少ない出玉小ボーナス遊技(OB)が設定してある。この出玉小ボーナス遊技(OB)は、少ない賭け数(例えば、1枚)で、当せんし易く設定してあるだけでなく、ボーナス遊技中に、出玉大ボーナス遊技とほぼ同じ回数のゲームを行うことができ、出玉大ボーナス遊技と同様な雰囲気や遊技演出を享受できるように構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に、少ない遊技投資でボーナスゲームの雰囲気を享受できるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、一ゲーム毎にスタートレバーの操作のタイミングで、所定の抽せん確率に基づいて、内部抽せんが行われる。内部抽せんの結果、複数の抽せん対象から今回のゲームの当せん内容が決定され、停止ボタンの押下タイミングに基づき、当せん内容に対応した図柄の組合せで停止表示されるように、各リールが停止制御されるようになっている。
そして、内部抽せんにおける抽せん対象には、停止表示されるリール上の図柄の組合せにより、遊技者に対して遊技価値が付与される抽せん対象と、なんら遊技価値が付与されない抽せん対象であるハズレがある。
【0004】
遊技者に対して遊技価値が付与される抽せん対象は、役と呼ばれ、遊技媒体が付与される、いわゆる「入賞」となって、数枚のメダルが獲得される「小役」と、遊技媒体は付与されないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなく遊技可能となる「再遊技役」と、所定の小役が連続して当せんする特別な遊技状態であるボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」などがある。
これらの抽せん対象が抽せんされる抽せん確率は、通常、ハズレが頻出するとともに、小役、再遊技役などがときどき発生し、ボーナス役が稀に発生するように設定されている。したがって、遊技状態のうちの大半は、ハズレや小役、再遊技役が発生する通常遊技が占めることになり、遊技者は、このような通常遊技において、ボーナス役の当せんを期待しつつ、スロットマシン遊技を進行させている。
【0005】
ところで、このようなスロットマシンでは、内部抽せんの結果、ボーナス役に当せんした後にボーナス遊技に移行させるためには、リールに停止表示される図柄の組合せが、このボーナス役に対応した図柄の組合せで停止するように停止ボタンを操作する、いわゆる「目押し」を行わなければならない。
このような「目押し」は、熟練の遊技者であれば、簡単に行うことができるものの、初心者にとっては、回転するリールにおいてボーナス図柄を識別することは容易なことではない。ボーナス役に当せんするには、多くの遊技投資を必要とし、そのうえ、「目押し」の技量が必要となると、操作が簡単なパチンコ機に比べ、スロットマシンは初心者に敬遠される傾向にある。
【0006】
また、最近のスロットマシンは、ボーナス遊技において、所定の表示ディスプレイに、通常遊技では見ることのできない魅力的な演出を表示させるものがある。例えば、人気アニメとタイアップしたスロットマシンでは、主人公のプレミアム映像を表示したり、また、ボーナス役の当せん確率を設定変更できる機能(6段階設定変更機能)を有するスロットマシンでは、ボーナス遊技中に、現在の設定値を示唆する演出を行うものもある。
このような演出は、初心者にとっても魅力的であるあるものの、スロットマシンは「目押し」を一例として、遊技操作に一定の技量を要求することから、遊技を試みたくとも初心者にはなかなか手が出せない存在となっていた。
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、スロットマシン遊技に「目押し」を訓練させるモードを設け、遊技者に「目押し」を体得させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−264380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載のスロットマシンは、スロットマシン遊技を模した擬似ゲームであり、本物のスロットマシン遊技を堪能できるものではなかった。
また、このような「目押し」を訓練させるモードは、初心者にとって魅力的ではあるが、熟練者には無用なものであり、万人に受入れられる機能と言えるものではなかった。
【0010】
以上のような現状のスロットマシンが有する問題を解決すべく、本願発明者らは、鋭意研究の結果、少ない遊技投資で、本物のスロットマシン遊技の雰囲気を享受でき、持ち合わせた技量に寄らず、すべての遊技者が、通常遊技からボーナス遊技までが凝縮(要約)されたダイジェスト版のスロットマシン遊技を楽しめる従来には存在しない魅力的なスロットマシンを実現し得る本発明に想到するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、上述したような現状の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、少ない遊技投資で、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、ボーナス遊技に移行するボーナス役を含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定された大当り抽せんテーブルに基づいて抽せんを行うとともに、ボーナス役の当せんにより移行したボーナス遊技において、入賞により遊技媒体が払出される小役を抽せん対象に含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定されたボーナス遊技中抽せんテーブルに基づいて抽せんを行い、入賞により払出された遊技媒体数が所定の上限値に達すると、ボーナス遊技が終了するスロットマシンにおいて、前記大当り抽せんテーブルを、一ゲームに投入する遊技媒体の賭け数毎に設け、各大当り抽せんテーブルの抽せん対象に、前記上限値が高く設定された出玉大ボーナス役と、この出玉大ボーナス役に対して、前記上限値が低く設定された出玉小ボーナス役を設定し、ボーナス遊技中抽せんテーブルを、各ボーナス役毎に設け、賭け数の少ない大当り抽せんテーブルは、賭け数の多い大当り抽せんテーブルより、前記出玉小ボーナス役の当せん確率を高く設定するとともに、前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルは、前記出玉大ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルより、前記小役の当せん確率を低く設定した構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスロットマシンによれば、少ない遊技投資で、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの表示窓における有効ラインを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各リールの図柄配列と図柄番号との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部における制御処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのゲームモード領域おける各ビットに対応する遊技状態の関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各役と対応する停止図柄の組合せと付与される遊技価値との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおいて遊技状態別と賭け数毎に参照される各抽せん対象の当せん幅を示す抽せんテーブルの説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの当せんフラグ領域における各ビットと対応する抽せん対象との関係を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各リールに対応する図柄番号領域を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおいて各ボーナス遊技で行われるゲームの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じく本実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図であり、図3は、本実施形態に係るスロットマシンの表示窓における有効ラインを示す図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール21a,21b,21cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0017】
本実施形態のスロットマシン1は、獲得されるメダル数の多い(例えば、466枚)ビックボーナス遊技のほかに、このビックボーナス遊技に比べ、獲得される遊技媒体数が極端に少ない(例えば、8枚)お試しボーナス遊技が設定してある。このお試しボーナス遊技は、少ない賭け数(例えば、1枚)で、当せんし易く設定してあるだけでなく、ボーナス遊技中に、ビックボーナス遊技とほぼ同じ回数のゲームを行うことができ、ビックボーナス遊技と同様な雰囲気や遊技演出を享受できるようになっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン本体の構成について、詳述する。
【0018】
本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部10及び必要な機械,装置等を収納可能な前面側が開口された筐体1bと、前面側を開閉可能に覆う前扉1aとからなる筐体状に構成されている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに前面パネル2とその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0019】
前扉1aの最上部には、表示器L1と、この表示器L1の左右両脇にはスピーカ9が備えられている。
表示器L1は、液晶表示ディスプレイなどの表示装置であり、その画面に所定の動画や静止画を表示して、視覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
例えば、表示器L1では、内部抽せんにおいて、小役に当せんしたときに、遊技者を小役の入賞へと誘導するために、対応する図柄の組合せに係る図柄の一部や停止ボタンの操作順を表示したり、抽せん対象の当せん確率を設定変更できる機能(例えば、6段階設定変更機能)を有する場合には、現在の設定値を示唆する表示をしたり、ボーナス遊技において、通常遊技では見られない特別な画面を表示したりすることができる。
この表示器L1は、後述の演出制御部40に備えられる表示器駆動回路42によって駆動制御されるようになっている(図5参照)。
【0020】
スピーカ9は、遊技者に対してメロディ音やメッセージ音等の各種の音声を発生することで、聴覚的な演出を行う演出手段として構成されている。例えば、内部抽せんにおいて、小役に当せんしたときに、遊技者を小役の入賞へと誘導するために、対応する図柄の組合せに係る図柄の一部や停止ボタンの操作順を音声により出力したり、ボーナス遊技において、通常遊技では聴くことのできない特別な楽曲を出力することができる。
このスピーカ9から発生される音は、演出制御部40に備えられるサウンド回路41によって生成・出力されるようになっている(図5参照)。
【0021】
前面パネル2には、ほぼ中央部分に表示窓3が設けられ、筐体内の各リール21a〜21cが外部から視認可能となっている。
表示窓3は、スロットマシン1内部に配設された三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21c(図2参照)の視認用の窓部で、通常、無色透明又は有色透明な樹脂製パネル等からなり、三つの各リール21の周囲に表された複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する三つの図柄をそれぞれ視認,識別できるようになっている。
そして、この表示窓3を介して視認されるリール21の停止図柄の組合せには、有効ラインが設定されている。
図3に示すように、有効ラインは、水平に3つ平行に並んだ中段、上段、下段の有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3と、斜めにクロスする2つの有効ライン4、有効ライン5の計5ラインが設けられ、有効ライン1〜5に沿って停止表示されたリール21a〜21cに表された図柄の組合せによって、所定の遊技価値が付与されるようになっている(図8参照)。
【0022】
前面パネル2の表示窓3の下側には、貯留枚数表示部2aと、状態表示部2bと、獲得枚数表示部2cとが備えられている。
貯留枚数表示部2a,状態表示部2b及び獲得枚数表示部2cは、それぞれ7セグメントLED等からなり、所定の数値が表示されるようになっている。
貯留枚数表示部2aは、貯留メダル数が表示され、状態表示部2bは、ボーナス遊技におけるメダルの払出総数や消化ゲーム数が表示され、獲得枚数表示部2cは、入賞時の払出数が表示される。
各表示部は、制御部10に備えられた表示部駆動回路15によって駆動制御される(図5参照)。
【0023】
前面パネル2の表示窓3の左側には、ボーナス当せん告知部L2が備えられている。
ボーナス当せん告知部L2は、スロットマシン1の制御部10における内部抽せんの結果、ボーナス役に当せんした場合に、所定の条件に基づき、点灯又は点滅するLED発光ダイオード(以下、LEDという)と、LEDの光によって絵柄等を透光表示させる透光表示部とを有している。
そして、ボーナス当せん告知部L2は、制御部10から送信されるとともに、演出制御部40が受信する制御コマンドに基づき、演出制御部40に備えられる表示器駆動回路42によって駆動制御される(図5参照)。
【0024】
前面パネル2の下側の前扉1aのほぼ中央部分には、スタートレバー4,停止ボタン5,メダル投入口6,精算ボタン6b,ベットボタン7等の遊技者が操作するためのボタン類が備えられている。
スタートレバー4は、三つの各リール21の回転を開始させる遊技スタート手段であり、このスタートレバー4が遊技者の操作によって押下されることで、後述する制御部10にスタート信号が出力され(図5参照)、本体内部の各リール21a〜21cが一斉又は順次に回転するようになっている。
また、このスタートレバー4の押下によりスタート信号が入力されることで、制御部10において内部抽せんが行われ、当せん内容が決定されるようになっている。
【0025】
停止ボタン5は、回転するリール21を停止させる停止手段であり、三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cに対応して設けられた三つの停止ボタン(左)5a,停止ボタン(中)5b,停止ボタン(右)5cが備えられている。この各停止ボタン5a,5b,5cが遊技者の任意のタイミングで押下されることで、制御部10にストップ信号が出力され(図5参照)、対応する各リール21a,21b,21cの回転が停止されるようになっている。
従って、遊技者がこれらスタートレバー4及び停止ボタン5を操作することにより、リール21a〜21cを回転及び停止させることができ、スロットマシン遊技を行うことができる。
【0026】
メダル投入口6は、スロットマシン遊技に使用される遊技媒体となるメダルの受け入れ口であり、このメダル投入口6から投入されたメダル数に応じて遊技が行えるようになっている。
メダル投入口6の本体内部側には、図2に示すようにメダルセレクタ6aが備えられ、投入されたメダル数がカウントされ、そのメダル数を示すメダル信号が、本体内部の制御部10に出力されるようになっている。
そして、後述するように、この投入されたメダル数(賭け数)に応じて、内部抽せんにおいて参照される抽せんテーブルが異なるようになっている。
【0027】
また、メダル投入口6から投入されるメダルの数は、貯留メダル数として制御部10内のRAM11bに記憶されるようになっており(図5参照)、遊技の開始に先立って、予め複数のメダルを投入し、貯留メダルとして貯留,記憶できるようになっている。
具体的には、ゲーム可能となるメダルが投入されている状態で、さらにメダル投入口6からメダルが投入されると、それ以降のメダルは貯留メダルとして、所定数(例えば、最大50枚)が貯留,記憶される。また、入賞時の払出があった場合、貯留メダルの最大数までは、入賞メダルは貯留メダルとして貯留させる。貯留メダル数は前面パネル2の貯留枚数表示部2aに数値として表示される。
【0028】
精算ボタン6bは、遊技の終了時等に貯留メダルを精算するためのスイッチである。
この精算ボタン6bが押下されることで、貯留メダル分のメダルがメダル払出装置30から遊技メダル払出口8に排出され、RAM11bに記憶された貯留メダル数のデータも消去される。
また、貯留メダルが精算されることで貯留枚数表示部2aの数値もゼロ表示となる。
【0029】
メダルのBETボタン(投入ボタン)7は、メダル投入口6から投入されたメダルに貯留メダルがある場合に、その貯留メダルの中からゲームに使用するメダルを投入(賭ける)するメダル投入用のスイッチである。
具体的には、一回の押下によってゲーム可能となる賭け数のメダルを貯留メダルから一度に投入するMAXBETボタン7aと、一回の押下で1枚のメダルを貯留メダルから投入する1BETボタン7bとが備えられている。
【0030】
ゲーム可能となる賭け数は、遊技状態に応じて異なり、通常遊技では、1枚又は3枚、ボーナス遊技では、1枚又は2枚となっている。
そして、このMAXBETボタン7aの一回の押下によって投入されるメダル数(賭け数)は、本発明の賭け数切替え手段により、そのメダル数を変更できるようになっている。
具体的には、本実施形態では、MAXBETボタン7aを長押し操作することにより、投入されるメダル数(賭け数)が異なる2種類の状態に切り替えることができる(賭け数切替え手段)。
一つの状態は、MAXBETボタン7aの一回の押下によって投入されるメダル数(賭け数)が、通常遊技とボーナス遊技ともに、1枚となるお試しボーナスモードであり、他の状態は、通常遊技では、3枚、ボーナス遊技では、2枚となるビッグボーナスモードである。
【0031】
例えば、電源投入時はビッグボーナスモードに設定され、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、通常遊技では、3枚、ボーナス遊技では、2枚が一度にゲームに投入される。そして、MAXBETボタン7aを長押し操作(例えば、1秒)すると、お試しボーナスモードとなり、一度に投入されるメダル数(賭け数)が切り替る。このときには、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、遊技状態を問わず常に1枚がゲームに投入される。
また、このお試しボーナスモードにおいてMAXBETボタン7aを長押し操作すると、再びビッグボーナスモードに切り替えることができる。
そして、現在設定されているモードは、例えば、「ビッグボーナスモード」又は「お試しボーナスモード」の文字を表示器L1に常時表示させることで(例えば、画面の左下などの一部の表示領域)、遊技者が各モードを識別できるようにしてある。
【0032】
なお、本実施形態では、MAXBETボタン7aを長押し操作することで、「ビッグボーナスモード」と「お試しボーナスモード」とを切り替える賭け数切替え手段としたが、賭け数切替え手段は、これに限られず、例えば、MAXBETボタン7aといずれかの停止ボタン5とが同時に押下操作されたときに、切り替えることもできる。また、専用の切り替えスイッチを設けることもできる。
【0033】
1BETボタン7bは一回押下するたびにメダルが1枚ずつゲームに投入される。
そして、これらの各BETボタン7が押下されると、投入されたメダル数(賭け数)に応じたメダル信号が制御部10に出力され(図5参照)、投入されたメダル数(賭け数)と同数のメダルが、RAM11bに記憶された貯留メダルからゲームに投入されることになる。
なお、貯留メダルが投入されると、RAM11bに記憶された貯留メダル数が投入数だけ減算され、貯留枚数表示部2aの表示数値も投入数だけ減ることになる。
【0034】
スロットマシン1の最下部には、遊技メダル払出口8が備えられている。
停止ボタン5の押下によって停止された各リール21が所定の図柄の組合せとなった場合に、筐体内のメダル払出装置30から図柄の組合せに応じた数量のメダルが、遊技メダル払出口8より、払い出されるようになっている。
【0035】
スロットマシン1の筐体内部には、図2に示すように、三個のリール21a〜21cを回転及び停止駆動するドラムユニット20や、メダルを払い出すメダル払出装置30、その他の機械,装置等が備えられている。
ドラムユニット20は、三つのリール21a,21b,21cと、三つのリール21a〜21cを回転自在に保持し、各リール21a〜21cに対応するステッピングモータ23a〜23cを回転駆動することで各リール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御を行うモータ駆動回路22と、各リール21a〜21cが一回転する毎に各リール21a〜21cの基準位置を検出してマーカー信号として制御部10に出力する回胴位置検出部24と、を備えている(図5参照)。
【0036】
リール21は、既存のスロットマシンにおけるものと同様、外周に複数(通常21個)の絵柄や文字等の図柄が表された円筒状部分からなり、縦方向(図面上から下方向)に回転する三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cが横方向(図面左右方向)に一列に並んで配設されている(図2参照)。
各リール21a〜21cに表された図柄は、図4に示すように、各リール21毎に等間隔で配設され、例えば、「7」や「バー」,「ベル」,「ブドウ」,「チェリー」,「REPLAY」等の絵柄や文字が、所定の順番で表示されており、各リール21に21個ずつの図柄が表示されるようになっている。
そして、図4に示す各図柄は、各リール21a〜21cが回転することで、下方から上方に向かって可変表示される。
【0037】
このような三つのリール21a〜21cは、制御部10とドラムユニット20のモータ駆動回路22及び回胴位置検出部24によって駆動制御及び停止制御される。制御部10では、前述の回胴位置検出部24から入力される基準位置を示すマーカー信号に基づき、各リール21a〜21cの現在の回転位置を常時監視するようになっている。
ドラムユニット20では、三つのリール21a〜21cは対応する三つのステッピングモータ23a〜23cによってそれぞれ回転自在に保持されており、スタートレバー4及び停止ボタン5a〜5cが押下操作されることで、モータ駆動回路22に制御部10からパルス(駆動)信号が入力され、ステッピングモータ23a〜23cを駆動して(図5参照)、対応するリール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御が行われる。
【0038】
そして、遊技者が停止ボタン5を押下したタイミングに基づき、制御部10で行われる内部抽せんにおける当せん内容に応じてリール21の停止位置が制御されて、各リール21a〜21cの現在の停止可能な回転位置から所定の図柄送りコマ数の範囲内(0〜4コマの範囲内)で、当せん内容に対応する図柄が有効ライン1〜5に停止するように、リール21が停止制御されることになる。
これにより、スタートレバー4からのスタート信号を契機として制御部10で内部抽せんが行われ、制御部10からのパルス信号によりドラムユニット20が制御されることで、停止ボタン5が押下されるタイミングに基づく所定の図柄送りコマ数の範囲内で、当せん内容に応じた図柄の組合せが有効ライン上に停止表示されるよう、各リール21a,21b,21cが停止制御されることになる。
【0039】
メダル払出装置30は、筐体内のドラムユニット20の下側に配設されるメダル払出用の装置であり、払出用のメダルを収納するホッパー31と、ホッパー31に設けられたメダル払出モータを駆動制御して所定数のメダルを排出させるホッパー駆動回路32と、排出されたメダルの枚数を所定のセンサによって検出して払出信号として制御部10に出力するメダル検出部33と、を備えている(図5参照)。
そして、このメダル払出装置30から排出されるメダルが、前扉1aの遊技メダル払出口8からスロットマシン前面に払い出されて遊技者に提供されることになる。
【0040】
[制御部]
次に、スロットマシン1全体を制御する制御部10について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図であり、図6は、本実施形態に係る制御部において実行される制御の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態の制御部10は、上述したスロットマシン1の各部を制御する、IC,メモリ,各種回路基板等を備えたマイクロコンピュータを有する制御基板として構成され、筐体1bの後部に配設されている。
具体的には、制御部10は、一般的に主基板と呼ばれ、CPU11と、当該CPU11に内蔵され記憶手段であるROM11a及びRAM11b、基準クロックを発生する本体クロック発生回路12、乱数発生のための基準クロックを生成する乱数クロック発生回路14、内部抽せん用の乱数を生成する乱数カウンタ13、表示部2a~2cを駆動する表示部駆動回路15等を備えている。
そして、制御部10では、ROM11aに記憶されたプログラムやデータに基づき、スロットマシン1全体を制御する処理が実行されるようになっている。
【0041】
具体的には、制御部10において、メダル投入を監視して、投入されたメダル数に応じてゲーム可能な状態とし、スタートレバー4の操作のタイミングで、各リールを回転制御するとともに、複数の抽せん対象の抽せん確率が設定された抽せんテーブルを参照して内部抽せんを行い、当せん内容を決定し、遊技者による停止ボタン5の停止操作のタイミングに基づき、当せん内容に対応する停止図柄の組合せで停止表示されるよう、各リール21を停止制御する。
さらに、停止表示された停止図柄の組合せを判定して、図柄の組合せに応じて、所定数のメダルを払出したり、通常遊技、ボーナス遊技を含む複数の遊技状態に移行させたりするゲーム管理を行うようになっている。
以下、図6のフローチャートに基づき、制御部10で実行される処理の流れを詳細に説明する。
【0042】
まず、スロットマシン1が電源投入されると、初期化処理が行われるようになっている(S1)。初期化処理では、RAM11bの作業領域を初期化するとともに、各種の初期設定が行われる。初期設定では、遊技状態を管理するゲームモードフラグを設定する処理も行われる。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技、ボーナス遊技が設けられている。
【0043】
本実施形態におけるゲームモードフラグと遊技状態の関係を図7に示す。
ゲームモードフラグは、スロットマシン1の遊技状態を管理するフラグであり、同図に示すように、RAM11bに設けられたゲームモード領域にビット単位で設定されるようになっている。
具体的には、「ビット0」に「1」をセットで通常遊技、「ビット1」に「1」をセットでビッグボーナス遊技(BB)、「ビット2」に「1」をセットでお試しボーナス遊技(OB)となり、設定されたビット毎のゲームモードフラグを一ゲーム毎に参照することで、スロットマシン1が各遊技状態となるように制御される。
そして、初期設定では、通常遊技となるように、同図における「ビット0」に「1」をセットし、その他のビットは、「0」でクリアされるようになっている。
この初期設定では、前述したようにビッグボーナスモードに設定され、通常遊技では、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、3枚のメダルが一度にゲームに投入される。そして、MAXBETボタン7aを長押し操作すると、お試しボーナスモードとなり、このときには、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、1枚のメダルがゲームに投入される。
【0044】
次に、制御部10では、メダル投入を監視するメダル投入処理を行う(S2)。
メダル投入処理では、具体的には、メダルセレクタ6aからのメダル信号及びベットボタン7aからのメダル信号の入力を監視し、メダル投入口6から投入されたメダルの枚数、又はベットボタン7が押下されて賭けられたメダルの投入枚数を確認するとともに、ベットボタン7からのメダル信号に基づき、RAM11bで記憶される貯留メダル枚数を減少させる。これにより、スロットマシン遊技に賭けられる賭け数が決定され、一回のゲームがスタート可能な状態となる。
【0045】
さらに、制御部10は、遊技者によるスタートレバー4操作を監視し(S3)、スタートレバー4操作に伴い生成されるスタート信号が入力されると、内部抽せん処理(S4)を行うとともに、リール21の制御信号となるパルス(駆動)信号をドラムユニット20へ出力し、リール21a〜21cを回転させるリール回転制御処理を行うようになっている(S5)。
以下、本実施形態に係る内部抽せんについて説明する。
【0046】
内部抽せんは、一ゲーム毎に遊技者のスタートレバー4の操作のタイミングで行われる抽せん処理であり、カウンタIC等からなる乱数カウンタ13から取得される乱数と、ROM11aに予め設定・記憶された抽せんテーブルの値とを比較・判定することにより実行される。
更新範囲(0〜65535)で発生する乱数カウンタ13から出力される乱数をスタートレバー4の操作のタイミングで取得(ラッチ)し、取得された乱数を、遊技状態別の抽せんテーブルに設定されている各抽せん対象に対応する当せん範囲と比較することにより、その乱数がいずれの抽せん対象に対応する当せん範囲に属しているかを判定し、その属する当せん範囲が示す抽せん対象が今回ゲームの当せん内容として決定・当せんされるようになっている。
【0047】
内部抽せんにおいて抽せんされる抽せん対象には、対応する図柄の組合せの停止表示により、遊技価値の付与されないハズレと、遊技媒体が付与される、いわゆる「入賞」となって、数枚のメダルが獲得される「小役」と、遊技媒体は付与されないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなくゲーム可能となる「再遊技役」と、遊技媒体は付与されないが、ボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」とがある。
図8に本実施形態の抽せん対象である各役と、これに対応する各リール21に表された図柄の組合せと、付与される遊技価値との関係を示す。
【0048】
同図に示すように、「ボーナス役」には、対応する図柄の組合せ「7・7・7」の停止表示により、本発明の出玉大ボーナス遊技である「ビッグボーナス遊技」に移行する「BB」と、対応する停止図柄の組合せ「7・7・バー」の停止表示により、本発明の出玉小ボーナス遊技である「お試しボーナス遊技」に移行する「OB」の2種類が設けられている。
「BB」に当せんしたビックボーナス遊技では、入賞によるメダル払出数の積算値が上限値となるまでゲームが繰り返されて、本実施形態では、例えば「466枚」のメダルが付与される。
「OB」に当せんしたお試しボーナス遊技では、入賞によるメダル払出数の積算値が上限値となるまでゲームが繰り返されて、本実施形態では、例えば「8枚」のメダルが付与される。
このように、ビックボーナス遊技とお試しボーナス遊技とでは、400枚以上獲得されるメダル数に差を設けてある。
【0049】
「再遊技役」は、対応する図柄の組合せが「リプレイ・リプレイ・リプレイ」からなり、この図柄の組合せの停止表示により、メダルの配当はないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなく遊技を行うことができる。
【0050】
「小役」は、対応する停止図柄の組合せの違いにより、以下の小役A〜小役Dの4種類が設けられ、付与される遊技価値は、それぞれゲームに投入した賭け数により異なるようになっている。
小役Aは、対応する停止図柄の組合せが「スイカ・スイカ・スイカ」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、いずれの賭け数においてもメダルが15枚配当される。
小役Bは、対応する停止図柄の組合せが「ベル・ベル・ベル」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「10枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「10枚」のメダルが配当される。
小役Cは、対応する停止図柄の組合せが「ブドウ・ブドウ・ブドウ」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「7枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「7枚」のメダルが配当される。
小役Dは、対応する停止図柄の組合せが「チェリー・ANY・ANY」からなり、当該停止図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「1枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「1枚」のメダルが配当される。なお、「ANY」は、中リール21b,右リール21cに表された全ての図柄(図4参照)が対象となることを意味するため、小役Dは、左リール21aに「チェリー」が停止表示されることで、事実上、入賞が確定するようになっている。
【0051】
次に、本実施形態の内部抽せんにおいて参照される遊技状態別の抽せんテーブルを図9に示す。
同図に示すように、本実施形態では、8種類の抽せん対象が設けられるとともに、遊技状態別に異なる抽せんテーブルが参照されて、内部抽せんが行われる。
さらに、抽せんテーブルは、通常遊技では、賭け数毎に参照される抽せんテーブルが異なるとともに、ビッグボーナス遊技とお試しボーナス遊技とでは、参照される抽せんテーブルが異なり、それぞれの状態に応じた抽せんテーブルを参照して内部抽せんが行われる。
具体的には、通常遊技で参照される抽せんテーブルは、ボーナス役(BB,OB)を抽せん対象に含む「大当り抽せんテーブル」であり、これには、賭け数毎に「1枚賭け用」と「3枚賭け用」の大当り抽せんテーブルが設定されている。
一方、ボーナス遊技で参照される抽せんテーブルは、ボーナス役(BB,OB)を抽せん対象に含まない「ボーナス遊技中抽せんテーブル」であり、これには、「ビッグボーナス遊技用」と「お試しボーナス遊技用」とが設定されている。
なお、「ビッグボーナス遊技用」は、2枚賭け専用に設定されるとともに「お試しボーナス遊技用」は、1枚賭け専用に設定されている。
【0052】
同図における各抽せんテーブルに表された値は、乱数の更新範囲(0〜65535)における各抽せん対象が抽せんされることとなる乱数の当せん範囲から算出された各抽せん対象の当せん幅を示している。各抽せん対象は、乱数カウンタ13から出力される乱数が、抽せん対象毎にあらかじめ定められた当せん範囲に該当した場合に、当せんされるようになっている。各抽せん対象の当せん幅は、この当せん範囲の上限値から下限値を減算することで算出され、乱数の更新範囲に占める各抽せん対象の当せん幅の割合から各抽せん対象の当せん確率が算出されるようになっている。
【0053】
ここで、各抽せんテーブルの当せん確率を比較してみる。
通常遊技で参照される「大当り抽せんテーブル」から分かるように、当せんによりお試しボーナス遊技に移行するボーナス役である「OB」(抽せん番号2)の当せん確率は、「3枚賭け用」より、「1枚賭け用」のほうが高く設定してある。
具体的には、「OB」の当せん確率は、「3枚賭け用」の「1/65536」に対して、「1枚賭け用」では、「2160/65536≒1/30」となっている。
このように、3枚賭けよりも、1枚賭けのほうが、「OB」に当せんしやすいことから、少ない遊技投資で、ボーナス遊技の雰囲気を享受できる。
一方、当せんによりビッグボーナス遊技に移行するボーナス役である「BB」の当せん確率は、「1枚賭け用」の「1/65536」に対して、「3枚賭け用」では、「216/65536≒1/303」となっている。
このように、3枚賭けのほうが、「BB」に当せんしやすいことから、従来のスロットマシンと同様、ボーナス遊技において遊技投資に見合うメダル数を獲得できる。
【0054】
また、ボーナス遊技で参照される「ボーナス遊技中抽せんテーブル」から分かるように、「小役A〜小役D」(抽せん番号3〜6)の当せん確率は、「ビッグボーナス遊技用」に比べ、「お試しボーナス遊技用」は、極端に低く設定されている。
具体的には、「小役A〜小役D」の当せん確率は、「ビッグボーナス遊技用」の「(4×12288)/65536≒1/1.3」に対して、「お試しボーナス遊技用」では、小役Cが「3280/65536≒1/20」で若干高く設定されているだけで、その他(「小役A」、「小役B」、「小役D」)は、「1/65536」と極端に低くなっている。
その結果、「ビッグボーナス遊技」では、一ゲーム毎に「1/1.3」の当せん確率で「小役A〜小役D」に当せんして「15枚」のメダルを獲得することから、「リプレイ」(抽せん番号7)の当せん確率(16384/65536≒1/4」)を考慮しても、上限値(466枚)となるまでの最も発生頻度の多いゲーム回数は、約40ゲームとなっている。
【0055】
一方、「お試しボーナス遊技」では、一ゲーム毎に「1/20」の当せん確率で、「7枚」のメダルが獲得できる小役Cに当せんするとともに、その他の小役は、「1/65536」の当せん確率であり、ほとんど当せんしないことから、上限値(8枚)が「ビッグボーナス遊技」に比べて極端に低いにも拘わらず、上限値(8枚)となるまで多くのゲーム回数を費やさなければならない。その結果、最も発生頻度の多いゲーム回数は、「ビッグボーナス遊技」と同様に、約40ゲームとなっている。
このように、「お試しボーナス遊技用」では、「小役A〜小役D」(抽せん番号3〜6)の当せん確率を、「ビッグボーナス遊技用」に比べて極端に低く設定することで、上限値が低いにも拘わらず、多くのゲーム回数を行うことができるようにしてある。
【0056】
また、後述の演出制御部40は、ボーナス遊技において、継続するゲーム回数に応じて演出を進行させるようになっている。そして、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」では、「お試しボーナス遊技」における各小役A〜Dの当せん確率(当せん幅)を、図10に示すように設定することで、ボーナス遊技中におけるゲーム回数がほぼ同じ40ゲームとしてある。
このため、「お試しボーナス遊技」においても「ビッグボーナス遊技」と同様な雰囲気や遊技演出を堪能できる。
このように、少ない遊技投資で、「ビッグボーナス遊技」と同様な雰囲気や遊技演出を有する「お試しボーナス遊技」を堪能できることから、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめるようになっている。
【0057】
ところが、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」で、ボーナス遊技中におけるゲーム回数がほぼ同じになるように設定したものの、「ビッグボーナス遊技」では、ほぼゲーム毎に「小役A〜小役D」の当せんが得られ、メダル数が増加するが、一方の「お試しボーナス遊技」では、小役A〜小役Dの当せん確率が低いため、同じゲーム回数を行うと、メダル数の賭け数に応じて徐々にメダルが減少してしまう。
そこで、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」では、「リプレイ」(抽せん番号7)の当せん確率を、「(62253)/65536≒1/1.2」に設定してある。
これにより、「お試しボーナス遊技」においては、ほぼゲーム毎に「リプレイ」の当せんが得られ、次回ゲームが再遊技となることから、手持ちのメダルをほぼ減少させることなくボーナス遊技の雰囲気を享受でき、少なくとも遊技者に損失を与えないようになっている。
【0058】
さらに、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」では、「ハズレ」(抽せん番号8)の当せん確率を「0(ゼロ)」に設定し、事実上、抽せん対象から「ハズレ」を除外してある。
これにより、お試しボーナス遊技の抽せん対象は、「リプレイ」か「小役A〜D」となることから、手持ちのメダルを減少させることなく、ボーナス遊技の雰囲気を享受できる。
【0059】
また、本実施形態では、通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでの出玉率を、1枚賭けと3枚賭けとで格差を設けてある。
通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでの出玉率とは、通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでに投入したメダル数に対する払出されたメダル数の割合であり、概算では、図9に示す賭け数毎の大当り抽せんテーブルにおける抽せん対象の当せん確率(重み)と、図8に示す各役に対応して付与される遊技価値(配当数)との積から算出される、ボーナス遊技に至るまで通常遊技で払出された払出総数と、各ボーナス遊技で獲得される獲得メダル数(上限値)との和を、通常遊技からボーナス遊技の終了となるまでに投入した投入総数で除した値として算出される。
【0060】
本実施形態では、1枚賭けで当せんする「お試しボーナス遊技」では、「約91%」となり、3枚賭けで当せんする「ビッグボーナス遊技」では、「約100%」となるように設定されている。
すなわち、1枚賭けで当せんする「OB」は、少ない遊技投資で当せんするものの、「お試しボーナス遊技」を享受するまでに、結果的に「9%」の損失が生じることになるが、一方の3枚賭けで当せんする「BB」は、「ビッグボーナス遊技」を享受することで、ほぼ損失が生じないように設定されている。
これにより、「お試しボーナス遊技」を目的とした1枚賭けにおいても、遊技場の売上げの向上に資するとともに、「お試しボーナス遊技」を専ら目的とするスロットマシン遊技を抑制することができる。
【0061】
そして、このような遊技状態別の抽せんテーブルは、前述のゲームモードフラグの値と、賭け数により、参照される抽せんテーブルが決定されるようになっている。
すなわち、ゲームモード領域の「ビット0」に「1」がセットされている通常遊技においては、スタートレバー4の操作タイミングにおける賭け数(メダル信号数)が、3枚賭けであれば「3枚賭け用」、1枚賭けであれば「1枚賭け用」の「大当り抽せんテーブル」が参照される。
また、ゲームモード領域の「ビット1」に「1」がセットされているビッグボーナス遊技においては、「ビッグボーナス遊技用」、ゲームモード領域の「ビット2」に「1」がセットされているお試しボーナス遊技においては、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」が参照される。
【0062】
乱数の判定は、各抽せんテーブルにおいて抽せん番号が大きな値の抽せん番号から順次行い、各抽せん対象の当せん範囲の上限値と、乱数カウンタ13から取得された乱数とを比較し、当該遊技における当せん内容が決定される。
決定された当せん内容は、当せんフラグによって管理されるようになっている。
図10は、RAM11bにおける当せんした各役に対応する当せんフラグを設定する当せんフラグ領域を示す図である。
同図に示すように、当せんフラグ領域は、当せん役に対応して当せんフラグ領域1と当せんフラグ領域2が設けられ、当せんフラグ領域1は、ボーナス役を設定する領域、当せんフラグ領域2は、再遊技役(リプレイ)と各種小役を設定する領域となっている。
そして、内部抽せんにおいて、当せんした当せん内容に応じた当せんフラグが設定されるようになっている。
【0063】
例えば、図9における、抽せん番号1の抽せん対象である「BB」に当せんした場合には、当せんフラグ領域1における「ビット0」に「1」がセットされ、抽せん番号2の抽せん対象である「OB」に当せんした場合には、当せんフラグ領域1における「ビット1」に「1」がセットされる。
また、抽せん番号7の抽せん対象である「リプレイ」に当せんした場合には、当せんフラグ領域2の「ビット0」に「1」がセットされる。
そして、この当せんフラグ領域のセットされたフラグを参照して、その後のリール停止制御処理や、停止図柄判定処理が行われ、停止図柄判定処理においてすべて「0」でクリアされるようになっている。
なお、これらの当せんフラグのうち、ボーナス役である「BB,OB」に関する当せんフラグは、対応する停止図柄の組合せで停止表示されない限り、当せんフラグはクリアされず、当せんフラグが次回の遊技に持ち越されるようになっている。
【0064】
次に、制御部10では、各リール21を回転制御するリール回転制御処理を行う。リール回転処理では、モータ駆動回路22にパルス(駆動)信号を出力し、ステッピングモータ23a〜23cを駆動して(図5参照)、対応するリール21a〜21cの回転の始動,定速回転の制御が行われる。
そして、各リール21の回転中においては、ドラムユニット20から入力されるマーカー信号により、各リール21a〜21cの図柄位置を監視する処理が行われるようになっている。
【0065】
具体的には、図11に示すように、RAM11bの所定の領域に、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1(図3参照)に位置する各リール21a〜21cの図柄番号を管理する図柄番号領域が、各リール単位で設けられている。
図柄番号領域は、制御部10がモータ駆動回路22に出力するパルス(駆動)信号が所定パルス数(各図柄間の回転角度に相当)毎に+1更新されるとともに、各リールが一周する毎に回胴位置検出部24から出力されるマーカー信号により、初期化(図柄番号0)されるようになっている。
すなわち、各リール21の回転動作に同期して各図柄番号領域の値も更新され、その結果、各図柄番号領域の値は、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄番号の図柄と常に一致している(図4参照)。
これにより、後述するリール停止制御処理や停止図柄判定処理において、各図柄番号領域の値を参照することで、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄を判別することができる。
【0066】
例えば、リール停止制御処理では、各リール21に対応する停止ボタン5が停止操作されたときの各図柄番号領域の値を参照することで、停止表示可能な図柄コマ数(0〜4コマ)の範囲内で、各リール21を回転させて停止することで、当せん内容に対応する図柄の組合せとなるように停止制御したり、停止図柄判定処理では、各リールが停止したときの各図柄番号領域の値を参照することで、有効ライン1〜5に停止表示された図柄の組合せを判定したりすることができるようになっている。
【0067】
次に、遊技者の停止ボタン5の停止操作により、各リール21を停止制御するリール停止制御処理について説明する。
リール停止制御処理では、遊技者が各停止ボタン5を押下するタイミングで発生するストップ信号に基づき、前述した内部抽せんにおける当せん内容(当せんフラグ)に対応した図柄の組合せが停止表示されるように各リール21を停止制御する(S6)。
具体的には、各リール21の停止制御は、リール21毎に、検出されたストップ信号のタイミングにおける各リールの図柄番号領域の図柄番号の値を参照し、停止表示可能な図柄コマ数の範囲内(0〜4コマ)にある当せんフラグに対応した図柄の組合せを構成する図柄を各リール毎に決定するとともに、この図柄コマ数に対応するパルス信号をモータ駆動回路22に出力することで、目的とする停止図柄まで各リール21を回転させた後、各リール21を励磁して停止させる処理が行われるようになっている。
なお、当せんフラグに対応した図柄の組合せを構成する停止図柄が停止表示可能な図柄コマ数の範囲内(0〜4コマ)にない場合には、図8のいずれの停止図柄の組合せとならない「ハズレ」の組合せとなるように各リール21を制御する。
【0068】
次に、制御部10では、上記のようなリール停止制御処理に続いて、図6に示すように、停止表示された停止図柄の組合せを判定する停止図柄判定処理(S7)が行われるようになっている。
停止図柄判定処理は、停止時の各リールの図柄番号領域における図柄番号を参照することで、停止図柄の組合せを判定する。
各リールの図柄番号領域における図柄番号は、前述したように、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄番号と一致しているため、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄を判別することで、すべての有効ライン1〜5に停止表示された図柄の組合せを、図4に示す図柄の配列に基づき、判定することができる。
そして、判定された停止図柄の組合せが、内部抽せんにおいて当せんした当せんフラグに対応した停止図柄の組合せ(図8参照)か否かを判定し、合致していた場合には、当せんフラグに対応したその後の処理を行うようになっている。
以下、当せんフラグが、再遊技役、各小役、ボーナス役の場合について説明する。
【0069】
停止図柄判定処理における当せんフラグが、再遊技役の場合については以下のようになっている。
再遊技役に対応する図10に示す当せんフラグ領域2の「ビット0」に「1」がセットされ、かつ、対応する停止図柄の組合せが「リプレイ・リプレイ・リプレイ」で停止したと判定した場合には、当該領域を「0」でクリアすると同時に、次回ゲームにおいて、メダル投入することなく遊技可能となるよう、図6に示すように、前述したメダル投入処理が終了した後の遊技状態に移行させるようになっている(S8)。
【0070】
当せんフラグが小役の場合は、以下のような処理が行われる。
各小役に対応する停止図柄の組合せで停止したと判定した場合は、図6に示すように、メダルが獲得される「入賞」として判定され(S9)、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域2の各小役に対応する「ビット」を「0」でクリアし、その後、メダル払出処理(S10)に移行するようになっている。
一方、各小役に対応する停止図柄の組合せで停止されず、いわゆる「取りこぼし」と判定された場合には、上記と同様、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域2の各小役に対応する「ビット」を「0」でクリアし、内部抽せんにおいて上記のボーナス役、再遊技役、小役のいずれにも該当しない「ハズレ」と同様、メダル投入処理(S2)以前の遊技状態に移行するようになっている。
【0071】
一方、当せんフラグが「ボーナス役(BB,OB)」の場合は、いずれかの「ボーナス役」に対応する図10に示す当せんフラグ領域1の「ビット0又は1」に「1」がセットされ、かつ、対応する停止図柄の組合せで停止したと判定した場合には、当該領域を「0」でクリアするとともに、図7におけるゲームモードフラグをボーナス遊技に該当する「ビット1又は2」に「1」をセットし、他のビットを「0」でクリアすることで、ビッグボーナス遊技又はお試しボーナス遊技に移行するようになっている。
一方、当せんした当せんフラグが、ボーナス役であるにもかかわらず、対応する停止図柄の組合せで停止していないと判定した場合には、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域1の対応する「ビット1又は2」を「0」でクリアせずに、そのままにし、ボーナス役の当せんフラグを次回ゲームに持ち越すようになっている。
この状態は、次回ゲームにおいても、対応する停止図柄の組合せで停止しない限り、継続されるようになっている。
【0072】
このようなボーナス役の当せんフラグの持ち越しにより、以下のような作用効果を奏することになる。
すなわち、ボーナス役に当せんしたときには、回転するリール21において、ボーナス役に対応する図柄の組合せを狙って停止ボタン5を操作する、いわゆる「目押し」を行う必要があるが、この「目押し」に失敗したとしても、当せんフラグは次回ゲームに持ち越されることから、幾度も「目押し」に挑戦することができる。
このようなフラグの持ち越しは、当せん確率が高く設定されているとともに、お試しボーナス遊技に移行する「OB」でも、当然に行われることから、少ない遊技投資で「目押し」を行うことができ、初心者が安心してスロットマシン遊技に挑戦できるため、本発明のスロットマシン1は、初心者用のスロットマシンとして最適である。
【0073】
次に、「入賞」として判定された場合のメダル払出処理(S10)では、図8に示すように、小役の種類に応じた配当数のメダルを払出す制御が行われる。
具体的には、メダル払出処理では、図5に示すホッパー駆動回路32を制御することで、ホッパー31内に設けられたメダル払出モータが駆動制御され、メダルを払出すようになっている。
そして、メダルが払出されることで、メダル検出部33の所定のセンサから1枚メダルが払出される毎に1パルスの払出信号が出力されるようになっている。
制御部10では、この払出信号を監視し、パルス数が各小役のメダル配当数になるまで、ホッパー駆動回路32を制御するようになっている。
これにより、小役の種類に応じた所定数のメダルを払出すことができる。
なお、払出されるメダルは、所定数(例えば、最大50枚)までは、貯留メダル数として制御部10内のRAM11bに記憶され、所定数を超えたときに、その超えた分のメダルが遊技メダル払出口8から払出される。
【0074】
以上のように、図6に示すフローチャートに基づき制御部10において行われるメダル投入処理からメダル払出処理までの処理により、スロットマシン遊技における一ゲームをなすとともに、この一ゲームが繰り返されることでスロットマシン遊技が進行するようになっている。
そして、ビックボーナス遊技及びお試しボーナス遊技においても、このような一ゲームが繰り返して行われる。各ボーナス遊技で行われるゲームの流れを、図12に示すフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0075】
各ボーナス遊技は、対応する図柄の組合せが停止表示されることで開始し、前述したスロットマシン遊技における一ゲームを順次進行させる。
ボーナス遊技では、まず、各ボーナス遊技に対応する賭け数のメダルを投入する。
賭け数は、ビックボーナス遊技であれば、メダル2枚、お試しボーナス遊技であれば、メダル1枚を投入する(S21)。この投入は、MAXBETボタン7aを押下することで、この賭け数がそれぞれ一度に投入される。
【0076】
スタートレバー4が操作されると、ビックボーナス遊技であれば、「ビッグボーナス遊技用」、お試しボーナス遊技であれば、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」が参照されて内部抽せんが行われるとともに、各リール21が回転を開始し、停止ボタン5の操作により、リール21が停止する(S22)。
そして、停止した図柄の組合せを判定して、再遊技と判定されたときには(S23−YES)、メダルを投入した状態に移行する(S22)。
一方、入賞と判定されたときには(S24−YES)、払出されたメダル数を積算し(S25)、積算値と上限値とを比較する(S26)。
【0077】
上限値は、ビックボーナス遊技であれば、メダル466枚、お試しボーナス遊技であれば、メダル8枚と設定されており、積算値がそれぞれ上限値を超えると(S26−YES)、ボーナス遊技が終了する。一方、積算値が上限値を超えないときには(S26−NO)、各ボーナス遊技に対応する賭け数のメダルを投入可能な状態に戻り(S21)、上限値を超えるまで、ゲームを繰り返すようになっている。
そして、本実施形態では、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」において、小役A〜Dの当せん確率を極端に低く設定することで、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」とで、ほぼ同じ回数のゲームが可能となるとともに、リプレイの当せん確率を高く設定し、さらにハズレを抽せん対象から除外することで、手持ちのメダルを減少させることなくお試しボーナス遊技を行うことができる。
【0078】
[演出制御部]
次に、演出制御部40について説明する。
演出制御部40は、一般的にサブ基板(副基板)と呼ばれ、制御部10と同様に、CPUやROM、RAMなどの記憶手段が搭載されたマイクロコンピュータからなり、制御部10から送信される制御コマンドに従って、サウンド回路41と表示器駆動回路42を制御することで、それぞれスピーカ9、表示器L1、ボーナス当せん告知部L2を駆動させ、所定の演出を行わせる。
【0079】
本実施形態の演出制御部40は、お試しボーナス遊技のみにおいて、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典を遊技者に付与するように構成されている。
具体的には、本実施形態のスロットマシンは、各ボーナス役の当せん確率が各々異なる6種類の「大当り抽せんテーブル」が予め制御部10のROM11aに記憶されているとともに、店員や遊技場の管理者が所定の操作を行うことで、いずれかの「大当り抽せんテーブル」に設定変更することができる、いわゆる、6段階設定変更機能を有している。
また、ボーナス役の当せん確率が設定変更されると、演出制御部40は、制御部10から6段階設定のうちの現在の設定値を制御コマンドとして受信し、RAMに記憶するようになっている。
そこで、演出制御部40は、スピーカ9、表示器L1を駆動させて、この受信した設定値を、お試しボーナス遊技だけの特典として報知するようになっている。
【0080】
例えば、演出制御部40は、お試しボーナス遊技において、2ゲームで上限値(8枚)に達した場合(例えば、小役Cに連続して入賞した場合)、現在設定されている設定値を表示器L1に、「現在の設定値は‘6’です。」などのメッセージとして表示する。
また、お試しボーナス遊技において、継続するゲーム回数が40ゲームを超えると、現在設定されている設定値を、表示器L1に表示することもできる。
この場合には、最初に複数の設定値を表示しておき、継続するゲーム回数が増加するに伴い、表示する設定値の数を減らして、徐々に現在の設定値だけが残るように表示する演出とすることもできる。
このように、上限値(8枚)が低く、獲得可能なメダル数が少ないお試しボーナス遊技だけに特典を付与することにより、お試しボーナス遊技は、初心者のみならず、熟練の遊技者にとっても、試行する意義を有するボーナス遊技とすることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、少ない遊技投資で、本物のスロットマシン遊技の雰囲気を享受でき、持ち合わせた技量に寄らず、すべての遊技者が通常遊技からボーナス遊技までをダイジェストで楽しむことができる。
【0082】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0083】
例えば、上述した実施形態のスロットマシンでは、お試しボーナス遊技において、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典として、設定値を報知したが、特典はこれに限定されるものではない。
例えば、小役の当せんを所定のゲーム区間に亘って報知する、いわゆるアシストタイム(AT又はART)を仕様に有するスロットマシンの場合では、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じ、このアシストタイムにおいて、小役の当せんを報知(この小役に対応する図柄の組合せや、停止ボタンの停止順の報知)する回数を増加させたり、停止表示によりアシストタイムの終了が回避される外し図柄の組合せ数を増加させることもできる。
これにより、アシストタイムにおいてメダルの増加が期待され、遊技者が積極的に1枚賭けを行い、お試しボーナス遊技を享受するようになる。
【0084】
また、所定のゲーム区間に亘って、再遊技役に高確率で当せんするリプレイタイム(ART又はRT)を仕様に有するスロットマシンの場合では、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じ、リプレイタイムが継続するゲーム回数を増加させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、遊技媒体として主にメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 スロットマシン
2 前面パネル
3 表示窓
4 スタートレバー
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 メダル投入口
7 ベットボタン(賭け数切替え手段)
8 遊技メダル払出口
9 スピーカ
10 制御部
20 ドラムユニット
21(21a,21b,21c) リール
30 メダル払出装置
40 演出制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に、少ない遊技投資でボーナスゲームの雰囲気を享受できるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、一ゲーム毎にスタートレバーの操作のタイミングで、所定の抽せん確率に基づいて、内部抽せんが行われる。内部抽せんの結果、複数の抽せん対象から今回のゲームの当せん内容が決定され、停止ボタンの押下タイミングに基づき、当せん内容に対応した図柄の組合せで停止表示されるように、各リールが停止制御されるようになっている。
そして、内部抽せんにおける抽せん対象には、停止表示されるリール上の図柄の組合せにより、遊技者に対して遊技価値が付与される抽せん対象と、なんら遊技価値が付与されない抽せん対象であるハズレがある。
【0004】
遊技者に対して遊技価値が付与される抽せん対象は、役と呼ばれ、遊技媒体が付与される、いわゆる「入賞」となって、数枚のメダルが獲得される「小役」と、遊技媒体は付与されないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなく遊技可能となる「再遊技役」と、所定の小役が連続して当せんする特別な遊技状態であるボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」などがある。
これらの抽せん対象が抽せんされる抽せん確率は、通常、ハズレが頻出するとともに、小役、再遊技役などがときどき発生し、ボーナス役が稀に発生するように設定されている。したがって、遊技状態のうちの大半は、ハズレや小役、再遊技役が発生する通常遊技が占めることになり、遊技者は、このような通常遊技において、ボーナス役の当せんを期待しつつ、スロットマシン遊技を進行させている。
【0005】
ところで、このようなスロットマシンでは、内部抽せんの結果、ボーナス役に当せんした後にボーナス遊技に移行させるためには、リールに停止表示される図柄の組合せが、このボーナス役に対応した図柄の組合せで停止するように停止ボタンを操作する、いわゆる「目押し」を行わなければならない。
このような「目押し」は、熟練の遊技者であれば、簡単に行うことができるものの、初心者にとっては、回転するリールにおいてボーナス図柄を識別することは容易なことではない。ボーナス役に当せんするには、多くの遊技投資を必要とし、そのうえ、「目押し」の技量が必要となると、操作が簡単なパチンコ機に比べ、スロットマシンは初心者に敬遠される傾向にある。
【0006】
また、最近のスロットマシンは、ボーナス遊技において、所定の表示ディスプレイに、通常遊技では見ることのできない魅力的な演出を表示させるものがある。例えば、人気アニメとタイアップしたスロットマシンでは、主人公のプレミアム映像を表示したり、また、ボーナス役の当せん確率を設定変更できる機能(6段階設定変更機能)を有するスロットマシンでは、ボーナス遊技中に、現在の設定値を示唆する演出を行うものもある。
このような演出は、初心者にとっても魅力的であるあるものの、スロットマシンは「目押し」を一例として、遊技操作に一定の技量を要求することから、遊技を試みたくとも初心者にはなかなか手が出せない存在となっていた。
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、スロットマシン遊技に「目押し」を訓練させるモードを設け、遊技者に「目押し」を体得させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−264380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載のスロットマシンは、スロットマシン遊技を模した擬似ゲームであり、本物のスロットマシン遊技を堪能できるものではなかった。
また、このような「目押し」を訓練させるモードは、初心者にとって魅力的ではあるが、熟練者には無用なものであり、万人に受入れられる機能と言えるものではなかった。
【0010】
以上のような現状のスロットマシンが有する問題を解決すべく、本願発明者らは、鋭意研究の結果、少ない遊技投資で、本物のスロットマシン遊技の雰囲気を享受でき、持ち合わせた技量に寄らず、すべての遊技者が、通常遊技からボーナス遊技までが凝縮(要約)されたダイジェスト版のスロットマシン遊技を楽しめる従来には存在しない魅力的なスロットマシンを実現し得る本発明に想到するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、上述したような現状の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、少ない遊技投資で、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、ボーナス遊技に移行するボーナス役を含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定された大当り抽せんテーブルに基づいて抽せんを行うとともに、ボーナス役の当せんにより移行したボーナス遊技において、入賞により遊技媒体が払出される小役を抽せん対象に含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定されたボーナス遊技中抽せんテーブルに基づいて抽せんを行い、入賞により払出された遊技媒体数が所定の上限値に達すると、ボーナス遊技が終了するスロットマシンにおいて、前記大当り抽せんテーブルを、一ゲームに投入する遊技媒体の賭け数毎に設け、各大当り抽せんテーブルの抽せん対象に、前記上限値が高く設定された出玉大ボーナス役と、この出玉大ボーナス役に対して、前記上限値が低く設定された出玉小ボーナス役を設定し、ボーナス遊技中抽せんテーブルを、各ボーナス役毎に設け、賭け数の少ない大当り抽せんテーブルは、賭け数の多い大当り抽せんテーブルより、前記出玉小ボーナス役の当せん確率を高く設定するとともに、前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルは、前記出玉大ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルより、前記小役の当せん確率を低く設定した構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスロットマシンによれば、少ない遊技投資で、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの表示窓における有効ラインを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各リールの図柄配列と図柄番号との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部における制御処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのゲームモード領域おける各ビットに対応する遊技状態の関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各役と対応する停止図柄の組合せと付与される遊技価値との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおいて遊技状態別と賭け数毎に参照される各抽せん対象の当せん幅を示す抽せんテーブルの説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの当せんフラグ領域における各ビットと対応する抽せん対象との関係を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの各リールに対応する図柄番号領域を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るスロットマシンにおいて各ボーナス遊技で行われるゲームの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じく本実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図であり、図3は、本実施形態に係るスロットマシンの表示窓における有効ラインを示す図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール21a,21b,21cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0017】
本実施形態のスロットマシン1は、獲得されるメダル数の多い(例えば、466枚)ビックボーナス遊技のほかに、このビックボーナス遊技に比べ、獲得される遊技媒体数が極端に少ない(例えば、8枚)お試しボーナス遊技が設定してある。このお試しボーナス遊技は、少ない賭け数(例えば、1枚)で、当せんし易く設定してあるだけでなく、ボーナス遊技中に、ビックボーナス遊技とほぼ同じ回数のゲームを行うことができ、ビックボーナス遊技と同様な雰囲気や遊技演出を享受できるようになっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン本体の構成について、詳述する。
【0018】
本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部10及び必要な機械,装置等を収納可能な前面側が開口された筐体1bと、前面側を開閉可能に覆う前扉1aとからなる筐体状に構成されている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに前面パネル2とその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0019】
前扉1aの最上部には、表示器L1と、この表示器L1の左右両脇にはスピーカ9が備えられている。
表示器L1は、液晶表示ディスプレイなどの表示装置であり、その画面に所定の動画や静止画を表示して、視覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
例えば、表示器L1では、内部抽せんにおいて、小役に当せんしたときに、遊技者を小役の入賞へと誘導するために、対応する図柄の組合せに係る図柄の一部や停止ボタンの操作順を表示したり、抽せん対象の当せん確率を設定変更できる機能(例えば、6段階設定変更機能)を有する場合には、現在の設定値を示唆する表示をしたり、ボーナス遊技において、通常遊技では見られない特別な画面を表示したりすることができる。
この表示器L1は、後述の演出制御部40に備えられる表示器駆動回路42によって駆動制御されるようになっている(図5参照)。
【0020】
スピーカ9は、遊技者に対してメロディ音やメッセージ音等の各種の音声を発生することで、聴覚的な演出を行う演出手段として構成されている。例えば、内部抽せんにおいて、小役に当せんしたときに、遊技者を小役の入賞へと誘導するために、対応する図柄の組合せに係る図柄の一部や停止ボタンの操作順を音声により出力したり、ボーナス遊技において、通常遊技では聴くことのできない特別な楽曲を出力することができる。
このスピーカ9から発生される音は、演出制御部40に備えられるサウンド回路41によって生成・出力されるようになっている(図5参照)。
【0021】
前面パネル2には、ほぼ中央部分に表示窓3が設けられ、筐体内の各リール21a〜21cが外部から視認可能となっている。
表示窓3は、スロットマシン1内部に配設された三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21c(図2参照)の視認用の窓部で、通常、無色透明又は有色透明な樹脂製パネル等からなり、三つの各リール21の周囲に表された複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する三つの図柄をそれぞれ視認,識別できるようになっている。
そして、この表示窓3を介して視認されるリール21の停止図柄の組合せには、有効ラインが設定されている。
図3に示すように、有効ラインは、水平に3つ平行に並んだ中段、上段、下段の有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3と、斜めにクロスする2つの有効ライン4、有効ライン5の計5ラインが設けられ、有効ライン1〜5に沿って停止表示されたリール21a〜21cに表された図柄の組合せによって、所定の遊技価値が付与されるようになっている(図8参照)。
【0022】
前面パネル2の表示窓3の下側には、貯留枚数表示部2aと、状態表示部2bと、獲得枚数表示部2cとが備えられている。
貯留枚数表示部2a,状態表示部2b及び獲得枚数表示部2cは、それぞれ7セグメントLED等からなり、所定の数値が表示されるようになっている。
貯留枚数表示部2aは、貯留メダル数が表示され、状態表示部2bは、ボーナス遊技におけるメダルの払出総数や消化ゲーム数が表示され、獲得枚数表示部2cは、入賞時の払出数が表示される。
各表示部は、制御部10に備えられた表示部駆動回路15によって駆動制御される(図5参照)。
【0023】
前面パネル2の表示窓3の左側には、ボーナス当せん告知部L2が備えられている。
ボーナス当せん告知部L2は、スロットマシン1の制御部10における内部抽せんの結果、ボーナス役に当せんした場合に、所定の条件に基づき、点灯又は点滅するLED発光ダイオード(以下、LEDという)と、LEDの光によって絵柄等を透光表示させる透光表示部とを有している。
そして、ボーナス当せん告知部L2は、制御部10から送信されるとともに、演出制御部40が受信する制御コマンドに基づき、演出制御部40に備えられる表示器駆動回路42によって駆動制御される(図5参照)。
【0024】
前面パネル2の下側の前扉1aのほぼ中央部分には、スタートレバー4,停止ボタン5,メダル投入口6,精算ボタン6b,ベットボタン7等の遊技者が操作するためのボタン類が備えられている。
スタートレバー4は、三つの各リール21の回転を開始させる遊技スタート手段であり、このスタートレバー4が遊技者の操作によって押下されることで、後述する制御部10にスタート信号が出力され(図5参照)、本体内部の各リール21a〜21cが一斉又は順次に回転するようになっている。
また、このスタートレバー4の押下によりスタート信号が入力されることで、制御部10において内部抽せんが行われ、当せん内容が決定されるようになっている。
【0025】
停止ボタン5は、回転するリール21を停止させる停止手段であり、三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cに対応して設けられた三つの停止ボタン(左)5a,停止ボタン(中)5b,停止ボタン(右)5cが備えられている。この各停止ボタン5a,5b,5cが遊技者の任意のタイミングで押下されることで、制御部10にストップ信号が出力され(図5参照)、対応する各リール21a,21b,21cの回転が停止されるようになっている。
従って、遊技者がこれらスタートレバー4及び停止ボタン5を操作することにより、リール21a〜21cを回転及び停止させることができ、スロットマシン遊技を行うことができる。
【0026】
メダル投入口6は、スロットマシン遊技に使用される遊技媒体となるメダルの受け入れ口であり、このメダル投入口6から投入されたメダル数に応じて遊技が行えるようになっている。
メダル投入口6の本体内部側には、図2に示すようにメダルセレクタ6aが備えられ、投入されたメダル数がカウントされ、そのメダル数を示すメダル信号が、本体内部の制御部10に出力されるようになっている。
そして、後述するように、この投入されたメダル数(賭け数)に応じて、内部抽せんにおいて参照される抽せんテーブルが異なるようになっている。
【0027】
また、メダル投入口6から投入されるメダルの数は、貯留メダル数として制御部10内のRAM11bに記憶されるようになっており(図5参照)、遊技の開始に先立って、予め複数のメダルを投入し、貯留メダルとして貯留,記憶できるようになっている。
具体的には、ゲーム可能となるメダルが投入されている状態で、さらにメダル投入口6からメダルが投入されると、それ以降のメダルは貯留メダルとして、所定数(例えば、最大50枚)が貯留,記憶される。また、入賞時の払出があった場合、貯留メダルの最大数までは、入賞メダルは貯留メダルとして貯留させる。貯留メダル数は前面パネル2の貯留枚数表示部2aに数値として表示される。
【0028】
精算ボタン6bは、遊技の終了時等に貯留メダルを精算するためのスイッチである。
この精算ボタン6bが押下されることで、貯留メダル分のメダルがメダル払出装置30から遊技メダル払出口8に排出され、RAM11bに記憶された貯留メダル数のデータも消去される。
また、貯留メダルが精算されることで貯留枚数表示部2aの数値もゼロ表示となる。
【0029】
メダルのBETボタン(投入ボタン)7は、メダル投入口6から投入されたメダルに貯留メダルがある場合に、その貯留メダルの中からゲームに使用するメダルを投入(賭ける)するメダル投入用のスイッチである。
具体的には、一回の押下によってゲーム可能となる賭け数のメダルを貯留メダルから一度に投入するMAXBETボタン7aと、一回の押下で1枚のメダルを貯留メダルから投入する1BETボタン7bとが備えられている。
【0030】
ゲーム可能となる賭け数は、遊技状態に応じて異なり、通常遊技では、1枚又は3枚、ボーナス遊技では、1枚又は2枚となっている。
そして、このMAXBETボタン7aの一回の押下によって投入されるメダル数(賭け数)は、本発明の賭け数切替え手段により、そのメダル数を変更できるようになっている。
具体的には、本実施形態では、MAXBETボタン7aを長押し操作することにより、投入されるメダル数(賭け数)が異なる2種類の状態に切り替えることができる(賭け数切替え手段)。
一つの状態は、MAXBETボタン7aの一回の押下によって投入されるメダル数(賭け数)が、通常遊技とボーナス遊技ともに、1枚となるお試しボーナスモードであり、他の状態は、通常遊技では、3枚、ボーナス遊技では、2枚となるビッグボーナスモードである。
【0031】
例えば、電源投入時はビッグボーナスモードに設定され、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、通常遊技では、3枚、ボーナス遊技では、2枚が一度にゲームに投入される。そして、MAXBETボタン7aを長押し操作(例えば、1秒)すると、お試しボーナスモードとなり、一度に投入されるメダル数(賭け数)が切り替る。このときには、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、遊技状態を問わず常に1枚がゲームに投入される。
また、このお試しボーナスモードにおいてMAXBETボタン7aを長押し操作すると、再びビッグボーナスモードに切り替えることができる。
そして、現在設定されているモードは、例えば、「ビッグボーナスモード」又は「お試しボーナスモード」の文字を表示器L1に常時表示させることで(例えば、画面の左下などの一部の表示領域)、遊技者が各モードを識別できるようにしてある。
【0032】
なお、本実施形態では、MAXBETボタン7aを長押し操作することで、「ビッグボーナスモード」と「お試しボーナスモード」とを切り替える賭け数切替え手段としたが、賭け数切替え手段は、これに限られず、例えば、MAXBETボタン7aといずれかの停止ボタン5とが同時に押下操作されたときに、切り替えることもできる。また、専用の切り替えスイッチを設けることもできる。
【0033】
1BETボタン7bは一回押下するたびにメダルが1枚ずつゲームに投入される。
そして、これらの各BETボタン7が押下されると、投入されたメダル数(賭け数)に応じたメダル信号が制御部10に出力され(図5参照)、投入されたメダル数(賭け数)と同数のメダルが、RAM11bに記憶された貯留メダルからゲームに投入されることになる。
なお、貯留メダルが投入されると、RAM11bに記憶された貯留メダル数が投入数だけ減算され、貯留枚数表示部2aの表示数値も投入数だけ減ることになる。
【0034】
スロットマシン1の最下部には、遊技メダル払出口8が備えられている。
停止ボタン5の押下によって停止された各リール21が所定の図柄の組合せとなった場合に、筐体内のメダル払出装置30から図柄の組合せに応じた数量のメダルが、遊技メダル払出口8より、払い出されるようになっている。
【0035】
スロットマシン1の筐体内部には、図2に示すように、三個のリール21a〜21cを回転及び停止駆動するドラムユニット20や、メダルを払い出すメダル払出装置30、その他の機械,装置等が備えられている。
ドラムユニット20は、三つのリール21a,21b,21cと、三つのリール21a〜21cを回転自在に保持し、各リール21a〜21cに対応するステッピングモータ23a〜23cを回転駆動することで各リール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御を行うモータ駆動回路22と、各リール21a〜21cが一回転する毎に各リール21a〜21cの基準位置を検出してマーカー信号として制御部10に出力する回胴位置検出部24と、を備えている(図5参照)。
【0036】
リール21は、既存のスロットマシンにおけるものと同様、外周に複数(通常21個)の絵柄や文字等の図柄が表された円筒状部分からなり、縦方向(図面上から下方向)に回転する三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cが横方向(図面左右方向)に一列に並んで配設されている(図2参照)。
各リール21a〜21cに表された図柄は、図4に示すように、各リール21毎に等間隔で配設され、例えば、「7」や「バー」,「ベル」,「ブドウ」,「チェリー」,「REPLAY」等の絵柄や文字が、所定の順番で表示されており、各リール21に21個ずつの図柄が表示されるようになっている。
そして、図4に示す各図柄は、各リール21a〜21cが回転することで、下方から上方に向かって可変表示される。
【0037】
このような三つのリール21a〜21cは、制御部10とドラムユニット20のモータ駆動回路22及び回胴位置検出部24によって駆動制御及び停止制御される。制御部10では、前述の回胴位置検出部24から入力される基準位置を示すマーカー信号に基づき、各リール21a〜21cの現在の回転位置を常時監視するようになっている。
ドラムユニット20では、三つのリール21a〜21cは対応する三つのステッピングモータ23a〜23cによってそれぞれ回転自在に保持されており、スタートレバー4及び停止ボタン5a〜5cが押下操作されることで、モータ駆動回路22に制御部10からパルス(駆動)信号が入力され、ステッピングモータ23a〜23cを駆動して(図5参照)、対応するリール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御が行われる。
【0038】
そして、遊技者が停止ボタン5を押下したタイミングに基づき、制御部10で行われる内部抽せんにおける当せん内容に応じてリール21の停止位置が制御されて、各リール21a〜21cの現在の停止可能な回転位置から所定の図柄送りコマ数の範囲内(0〜4コマの範囲内)で、当せん内容に対応する図柄が有効ライン1〜5に停止するように、リール21が停止制御されることになる。
これにより、スタートレバー4からのスタート信号を契機として制御部10で内部抽せんが行われ、制御部10からのパルス信号によりドラムユニット20が制御されることで、停止ボタン5が押下されるタイミングに基づく所定の図柄送りコマ数の範囲内で、当せん内容に応じた図柄の組合せが有効ライン上に停止表示されるよう、各リール21a,21b,21cが停止制御されることになる。
【0039】
メダル払出装置30は、筐体内のドラムユニット20の下側に配設されるメダル払出用の装置であり、払出用のメダルを収納するホッパー31と、ホッパー31に設けられたメダル払出モータを駆動制御して所定数のメダルを排出させるホッパー駆動回路32と、排出されたメダルの枚数を所定のセンサによって検出して払出信号として制御部10に出力するメダル検出部33と、を備えている(図5参照)。
そして、このメダル払出装置30から排出されるメダルが、前扉1aの遊技メダル払出口8からスロットマシン前面に払い出されて遊技者に提供されることになる。
【0040】
[制御部]
次に、スロットマシン1全体を制御する制御部10について、図5、図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図であり、図6は、本実施形態に係る制御部において実行される制御の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態の制御部10は、上述したスロットマシン1の各部を制御する、IC,メモリ,各種回路基板等を備えたマイクロコンピュータを有する制御基板として構成され、筐体1bの後部に配設されている。
具体的には、制御部10は、一般的に主基板と呼ばれ、CPU11と、当該CPU11に内蔵され記憶手段であるROM11a及びRAM11b、基準クロックを発生する本体クロック発生回路12、乱数発生のための基準クロックを生成する乱数クロック発生回路14、内部抽せん用の乱数を生成する乱数カウンタ13、表示部2a~2cを駆動する表示部駆動回路15等を備えている。
そして、制御部10では、ROM11aに記憶されたプログラムやデータに基づき、スロットマシン1全体を制御する処理が実行されるようになっている。
【0041】
具体的には、制御部10において、メダル投入を監視して、投入されたメダル数に応じてゲーム可能な状態とし、スタートレバー4の操作のタイミングで、各リールを回転制御するとともに、複数の抽せん対象の抽せん確率が設定された抽せんテーブルを参照して内部抽せんを行い、当せん内容を決定し、遊技者による停止ボタン5の停止操作のタイミングに基づき、当せん内容に対応する停止図柄の組合せで停止表示されるよう、各リール21を停止制御する。
さらに、停止表示された停止図柄の組合せを判定して、図柄の組合せに応じて、所定数のメダルを払出したり、通常遊技、ボーナス遊技を含む複数の遊技状態に移行させたりするゲーム管理を行うようになっている。
以下、図6のフローチャートに基づき、制御部10で実行される処理の流れを詳細に説明する。
【0042】
まず、スロットマシン1が電源投入されると、初期化処理が行われるようになっている(S1)。初期化処理では、RAM11bの作業領域を初期化するとともに、各種の初期設定が行われる。初期設定では、遊技状態を管理するゲームモードフラグを設定する処理も行われる。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技、ボーナス遊技が設けられている。
【0043】
本実施形態におけるゲームモードフラグと遊技状態の関係を図7に示す。
ゲームモードフラグは、スロットマシン1の遊技状態を管理するフラグであり、同図に示すように、RAM11bに設けられたゲームモード領域にビット単位で設定されるようになっている。
具体的には、「ビット0」に「1」をセットで通常遊技、「ビット1」に「1」をセットでビッグボーナス遊技(BB)、「ビット2」に「1」をセットでお試しボーナス遊技(OB)となり、設定されたビット毎のゲームモードフラグを一ゲーム毎に参照することで、スロットマシン1が各遊技状態となるように制御される。
そして、初期設定では、通常遊技となるように、同図における「ビット0」に「1」をセットし、その他のビットは、「0」でクリアされるようになっている。
この初期設定では、前述したようにビッグボーナスモードに設定され、通常遊技では、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、3枚のメダルが一度にゲームに投入される。そして、MAXBETボタン7aを長押し操作すると、お試しボーナスモードとなり、このときには、MAXBETボタン7aの一回の押下によって、1枚のメダルがゲームに投入される。
【0044】
次に、制御部10では、メダル投入を監視するメダル投入処理を行う(S2)。
メダル投入処理では、具体的には、メダルセレクタ6aからのメダル信号及びベットボタン7aからのメダル信号の入力を監視し、メダル投入口6から投入されたメダルの枚数、又はベットボタン7が押下されて賭けられたメダルの投入枚数を確認するとともに、ベットボタン7からのメダル信号に基づき、RAM11bで記憶される貯留メダル枚数を減少させる。これにより、スロットマシン遊技に賭けられる賭け数が決定され、一回のゲームがスタート可能な状態となる。
【0045】
さらに、制御部10は、遊技者によるスタートレバー4操作を監視し(S3)、スタートレバー4操作に伴い生成されるスタート信号が入力されると、内部抽せん処理(S4)を行うとともに、リール21の制御信号となるパルス(駆動)信号をドラムユニット20へ出力し、リール21a〜21cを回転させるリール回転制御処理を行うようになっている(S5)。
以下、本実施形態に係る内部抽せんについて説明する。
【0046】
内部抽せんは、一ゲーム毎に遊技者のスタートレバー4の操作のタイミングで行われる抽せん処理であり、カウンタIC等からなる乱数カウンタ13から取得される乱数と、ROM11aに予め設定・記憶された抽せんテーブルの値とを比較・判定することにより実行される。
更新範囲(0〜65535)で発生する乱数カウンタ13から出力される乱数をスタートレバー4の操作のタイミングで取得(ラッチ)し、取得された乱数を、遊技状態別の抽せんテーブルに設定されている各抽せん対象に対応する当せん範囲と比較することにより、その乱数がいずれの抽せん対象に対応する当せん範囲に属しているかを判定し、その属する当せん範囲が示す抽せん対象が今回ゲームの当せん内容として決定・当せんされるようになっている。
【0047】
内部抽せんにおいて抽せんされる抽せん対象には、対応する図柄の組合せの停止表示により、遊技価値の付与されないハズレと、遊技媒体が付与される、いわゆる「入賞」となって、数枚のメダルが獲得される「小役」と、遊技媒体は付与されないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなくゲーム可能となる「再遊技役」と、遊技媒体は付与されないが、ボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」とがある。
図8に本実施形態の抽せん対象である各役と、これに対応する各リール21に表された図柄の組合せと、付与される遊技価値との関係を示す。
【0048】
同図に示すように、「ボーナス役」には、対応する図柄の組合せ「7・7・7」の停止表示により、本発明の出玉大ボーナス遊技である「ビッグボーナス遊技」に移行する「BB」と、対応する停止図柄の組合せ「7・7・バー」の停止表示により、本発明の出玉小ボーナス遊技である「お試しボーナス遊技」に移行する「OB」の2種類が設けられている。
「BB」に当せんしたビックボーナス遊技では、入賞によるメダル払出数の積算値が上限値となるまでゲームが繰り返されて、本実施形態では、例えば「466枚」のメダルが付与される。
「OB」に当せんしたお試しボーナス遊技では、入賞によるメダル払出数の積算値が上限値となるまでゲームが繰り返されて、本実施形態では、例えば「8枚」のメダルが付与される。
このように、ビックボーナス遊技とお試しボーナス遊技とでは、400枚以上獲得されるメダル数に差を設けてある。
【0049】
「再遊技役」は、対応する図柄の組合せが「リプレイ・リプレイ・リプレイ」からなり、この図柄の組合せの停止表示により、メダルの配当はないが、次回ゲームにおいて、メダルを投入することなく遊技を行うことができる。
【0050】
「小役」は、対応する停止図柄の組合せの違いにより、以下の小役A〜小役Dの4種類が設けられ、付与される遊技価値は、それぞれゲームに投入した賭け数により異なるようになっている。
小役Aは、対応する停止図柄の組合せが「スイカ・スイカ・スイカ」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、いずれの賭け数においてもメダルが15枚配当される。
小役Bは、対応する停止図柄の組合せが「ベル・ベル・ベル」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「10枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「10枚」のメダルが配当される。
小役Cは、対応する停止図柄の組合せが「ブドウ・ブドウ・ブドウ」からなり、当該図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「7枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「7枚」のメダルが配当される。
小役Dは、対応する停止図柄の組合せが「チェリー・ANY・ANY」からなり、当該停止図柄の組合せの停止表示により、1枚賭けでは「1枚」、2枚賭けでは「15枚」、3枚賭けでは「1枚」のメダルが配当される。なお、「ANY」は、中リール21b,右リール21cに表された全ての図柄(図4参照)が対象となることを意味するため、小役Dは、左リール21aに「チェリー」が停止表示されることで、事実上、入賞が確定するようになっている。
【0051】
次に、本実施形態の内部抽せんにおいて参照される遊技状態別の抽せんテーブルを図9に示す。
同図に示すように、本実施形態では、8種類の抽せん対象が設けられるとともに、遊技状態別に異なる抽せんテーブルが参照されて、内部抽せんが行われる。
さらに、抽せんテーブルは、通常遊技では、賭け数毎に参照される抽せんテーブルが異なるとともに、ビッグボーナス遊技とお試しボーナス遊技とでは、参照される抽せんテーブルが異なり、それぞれの状態に応じた抽せんテーブルを参照して内部抽せんが行われる。
具体的には、通常遊技で参照される抽せんテーブルは、ボーナス役(BB,OB)を抽せん対象に含む「大当り抽せんテーブル」であり、これには、賭け数毎に「1枚賭け用」と「3枚賭け用」の大当り抽せんテーブルが設定されている。
一方、ボーナス遊技で参照される抽せんテーブルは、ボーナス役(BB,OB)を抽せん対象に含まない「ボーナス遊技中抽せんテーブル」であり、これには、「ビッグボーナス遊技用」と「お試しボーナス遊技用」とが設定されている。
なお、「ビッグボーナス遊技用」は、2枚賭け専用に設定されるとともに「お試しボーナス遊技用」は、1枚賭け専用に設定されている。
【0052】
同図における各抽せんテーブルに表された値は、乱数の更新範囲(0〜65535)における各抽せん対象が抽せんされることとなる乱数の当せん範囲から算出された各抽せん対象の当せん幅を示している。各抽せん対象は、乱数カウンタ13から出力される乱数が、抽せん対象毎にあらかじめ定められた当せん範囲に該当した場合に、当せんされるようになっている。各抽せん対象の当せん幅は、この当せん範囲の上限値から下限値を減算することで算出され、乱数の更新範囲に占める各抽せん対象の当せん幅の割合から各抽せん対象の当せん確率が算出されるようになっている。
【0053】
ここで、各抽せんテーブルの当せん確率を比較してみる。
通常遊技で参照される「大当り抽せんテーブル」から分かるように、当せんによりお試しボーナス遊技に移行するボーナス役である「OB」(抽せん番号2)の当せん確率は、「3枚賭け用」より、「1枚賭け用」のほうが高く設定してある。
具体的には、「OB」の当せん確率は、「3枚賭け用」の「1/65536」に対して、「1枚賭け用」では、「2160/65536≒1/30」となっている。
このように、3枚賭けよりも、1枚賭けのほうが、「OB」に当せんしやすいことから、少ない遊技投資で、ボーナス遊技の雰囲気を享受できる。
一方、当せんによりビッグボーナス遊技に移行するボーナス役である「BB」の当せん確率は、「1枚賭け用」の「1/65536」に対して、「3枚賭け用」では、「216/65536≒1/303」となっている。
このように、3枚賭けのほうが、「BB」に当せんしやすいことから、従来のスロットマシンと同様、ボーナス遊技において遊技投資に見合うメダル数を獲得できる。
【0054】
また、ボーナス遊技で参照される「ボーナス遊技中抽せんテーブル」から分かるように、「小役A〜小役D」(抽せん番号3〜6)の当せん確率は、「ビッグボーナス遊技用」に比べ、「お試しボーナス遊技用」は、極端に低く設定されている。
具体的には、「小役A〜小役D」の当せん確率は、「ビッグボーナス遊技用」の「(4×12288)/65536≒1/1.3」に対して、「お試しボーナス遊技用」では、小役Cが「3280/65536≒1/20」で若干高く設定されているだけで、その他(「小役A」、「小役B」、「小役D」)は、「1/65536」と極端に低くなっている。
その結果、「ビッグボーナス遊技」では、一ゲーム毎に「1/1.3」の当せん確率で「小役A〜小役D」に当せんして「15枚」のメダルを獲得することから、「リプレイ」(抽せん番号7)の当せん確率(16384/65536≒1/4」)を考慮しても、上限値(466枚)となるまでの最も発生頻度の多いゲーム回数は、約40ゲームとなっている。
【0055】
一方、「お試しボーナス遊技」では、一ゲーム毎に「1/20」の当せん確率で、「7枚」のメダルが獲得できる小役Cに当せんするとともに、その他の小役は、「1/65536」の当せん確率であり、ほとんど当せんしないことから、上限値(8枚)が「ビッグボーナス遊技」に比べて極端に低いにも拘わらず、上限値(8枚)となるまで多くのゲーム回数を費やさなければならない。その結果、最も発生頻度の多いゲーム回数は、「ビッグボーナス遊技」と同様に、約40ゲームとなっている。
このように、「お試しボーナス遊技用」では、「小役A〜小役D」(抽せん番号3〜6)の当せん確率を、「ビッグボーナス遊技用」に比べて極端に低く設定することで、上限値が低いにも拘わらず、多くのゲーム回数を行うことができるようにしてある。
【0056】
また、後述の演出制御部40は、ボーナス遊技において、継続するゲーム回数に応じて演出を進行させるようになっている。そして、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」では、「お試しボーナス遊技」における各小役A〜Dの当せん確率(当せん幅)を、図10に示すように設定することで、ボーナス遊技中におけるゲーム回数がほぼ同じ40ゲームとしてある。
このため、「お試しボーナス遊技」においても「ビッグボーナス遊技」と同様な雰囲気や遊技演出を堪能できる。
このように、少ない遊技投資で、「ビッグボーナス遊技」と同様な雰囲気や遊技演出を有する「お試しボーナス遊技」を堪能できることから、スロットマシン遊技をダイジェストで楽しめるようになっている。
【0057】
ところが、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」で、ボーナス遊技中におけるゲーム回数がほぼ同じになるように設定したものの、「ビッグボーナス遊技」では、ほぼゲーム毎に「小役A〜小役D」の当せんが得られ、メダル数が増加するが、一方の「お試しボーナス遊技」では、小役A〜小役Dの当せん確率が低いため、同じゲーム回数を行うと、メダル数の賭け数に応じて徐々にメダルが減少してしまう。
そこで、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」では、「リプレイ」(抽せん番号7)の当せん確率を、「(62253)/65536≒1/1.2」に設定してある。
これにより、「お試しボーナス遊技」においては、ほぼゲーム毎に「リプレイ」の当せんが得られ、次回ゲームが再遊技となることから、手持ちのメダルをほぼ減少させることなくボーナス遊技の雰囲気を享受でき、少なくとも遊技者に損失を与えないようになっている。
【0058】
さらに、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」では、「ハズレ」(抽せん番号8)の当せん確率を「0(ゼロ)」に設定し、事実上、抽せん対象から「ハズレ」を除外してある。
これにより、お試しボーナス遊技の抽せん対象は、「リプレイ」か「小役A〜D」となることから、手持ちのメダルを減少させることなく、ボーナス遊技の雰囲気を享受できる。
【0059】
また、本実施形態では、通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでの出玉率を、1枚賭けと3枚賭けとで格差を設けてある。
通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでの出玉率とは、通常遊技からボーナス遊技の終了に至るまでに投入したメダル数に対する払出されたメダル数の割合であり、概算では、図9に示す賭け数毎の大当り抽せんテーブルにおける抽せん対象の当せん確率(重み)と、図8に示す各役に対応して付与される遊技価値(配当数)との積から算出される、ボーナス遊技に至るまで通常遊技で払出された払出総数と、各ボーナス遊技で獲得される獲得メダル数(上限値)との和を、通常遊技からボーナス遊技の終了となるまでに投入した投入総数で除した値として算出される。
【0060】
本実施形態では、1枚賭けで当せんする「お試しボーナス遊技」では、「約91%」となり、3枚賭けで当せんする「ビッグボーナス遊技」では、「約100%」となるように設定されている。
すなわち、1枚賭けで当せんする「OB」は、少ない遊技投資で当せんするものの、「お試しボーナス遊技」を享受するまでに、結果的に「9%」の損失が生じることになるが、一方の3枚賭けで当せんする「BB」は、「ビッグボーナス遊技」を享受することで、ほぼ損失が生じないように設定されている。
これにより、「お試しボーナス遊技」を目的とした1枚賭けにおいても、遊技場の売上げの向上に資するとともに、「お試しボーナス遊技」を専ら目的とするスロットマシン遊技を抑制することができる。
【0061】
そして、このような遊技状態別の抽せんテーブルは、前述のゲームモードフラグの値と、賭け数により、参照される抽せんテーブルが決定されるようになっている。
すなわち、ゲームモード領域の「ビット0」に「1」がセットされている通常遊技においては、スタートレバー4の操作タイミングにおける賭け数(メダル信号数)が、3枚賭けであれば「3枚賭け用」、1枚賭けであれば「1枚賭け用」の「大当り抽せんテーブル」が参照される。
また、ゲームモード領域の「ビット1」に「1」がセットされているビッグボーナス遊技においては、「ビッグボーナス遊技用」、ゲームモード領域の「ビット2」に「1」がセットされているお試しボーナス遊技においては、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」が参照される。
【0062】
乱数の判定は、各抽せんテーブルにおいて抽せん番号が大きな値の抽せん番号から順次行い、各抽せん対象の当せん範囲の上限値と、乱数カウンタ13から取得された乱数とを比較し、当該遊技における当せん内容が決定される。
決定された当せん内容は、当せんフラグによって管理されるようになっている。
図10は、RAM11bにおける当せんした各役に対応する当せんフラグを設定する当せんフラグ領域を示す図である。
同図に示すように、当せんフラグ領域は、当せん役に対応して当せんフラグ領域1と当せんフラグ領域2が設けられ、当せんフラグ領域1は、ボーナス役を設定する領域、当せんフラグ領域2は、再遊技役(リプレイ)と各種小役を設定する領域となっている。
そして、内部抽せんにおいて、当せんした当せん内容に応じた当せんフラグが設定されるようになっている。
【0063】
例えば、図9における、抽せん番号1の抽せん対象である「BB」に当せんした場合には、当せんフラグ領域1における「ビット0」に「1」がセットされ、抽せん番号2の抽せん対象である「OB」に当せんした場合には、当せんフラグ領域1における「ビット1」に「1」がセットされる。
また、抽せん番号7の抽せん対象である「リプレイ」に当せんした場合には、当せんフラグ領域2の「ビット0」に「1」がセットされる。
そして、この当せんフラグ領域のセットされたフラグを参照して、その後のリール停止制御処理や、停止図柄判定処理が行われ、停止図柄判定処理においてすべて「0」でクリアされるようになっている。
なお、これらの当せんフラグのうち、ボーナス役である「BB,OB」に関する当せんフラグは、対応する停止図柄の組合せで停止表示されない限り、当せんフラグはクリアされず、当せんフラグが次回の遊技に持ち越されるようになっている。
【0064】
次に、制御部10では、各リール21を回転制御するリール回転制御処理を行う。リール回転処理では、モータ駆動回路22にパルス(駆動)信号を出力し、ステッピングモータ23a〜23cを駆動して(図5参照)、対応するリール21a〜21cの回転の始動,定速回転の制御が行われる。
そして、各リール21の回転中においては、ドラムユニット20から入力されるマーカー信号により、各リール21a〜21cの図柄位置を監視する処理が行われるようになっている。
【0065】
具体的には、図11に示すように、RAM11bの所定の領域に、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1(図3参照)に位置する各リール21a〜21cの図柄番号を管理する図柄番号領域が、各リール単位で設けられている。
図柄番号領域は、制御部10がモータ駆動回路22に出力するパルス(駆動)信号が所定パルス数(各図柄間の回転角度に相当)毎に+1更新されるとともに、各リールが一周する毎に回胴位置検出部24から出力されるマーカー信号により、初期化(図柄番号0)されるようになっている。
すなわち、各リール21の回転動作に同期して各図柄番号領域の値も更新され、その結果、各図柄番号領域の値は、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄番号の図柄と常に一致している(図4参照)。
これにより、後述するリール停止制御処理や停止図柄判定処理において、各図柄番号領域の値を参照することで、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄を判別することができる。
【0066】
例えば、リール停止制御処理では、各リール21に対応する停止ボタン5が停止操作されたときの各図柄番号領域の値を参照することで、停止表示可能な図柄コマ数(0〜4コマ)の範囲内で、各リール21を回転させて停止することで、当せん内容に対応する図柄の組合せとなるように停止制御したり、停止図柄判定処理では、各リールが停止したときの各図柄番号領域の値を参照することで、有効ライン1〜5に停止表示された図柄の組合せを判定したりすることができるようになっている。
【0067】
次に、遊技者の停止ボタン5の停止操作により、各リール21を停止制御するリール停止制御処理について説明する。
リール停止制御処理では、遊技者が各停止ボタン5を押下するタイミングで発生するストップ信号に基づき、前述した内部抽せんにおける当せん内容(当せんフラグ)に対応した図柄の組合せが停止表示されるように各リール21を停止制御する(S6)。
具体的には、各リール21の停止制御は、リール21毎に、検出されたストップ信号のタイミングにおける各リールの図柄番号領域の図柄番号の値を参照し、停止表示可能な図柄コマ数の範囲内(0〜4コマ)にある当せんフラグに対応した図柄の組合せを構成する図柄を各リール毎に決定するとともに、この図柄コマ数に対応するパルス信号をモータ駆動回路22に出力することで、目的とする停止図柄まで各リール21を回転させた後、各リール21を励磁して停止させる処理が行われるようになっている。
なお、当せんフラグに対応した図柄の組合せを構成する停止図柄が停止表示可能な図柄コマ数の範囲内(0〜4コマ)にない場合には、図8のいずれの停止図柄の組合せとならない「ハズレ」の組合せとなるように各リール21を制御する。
【0068】
次に、制御部10では、上記のようなリール停止制御処理に続いて、図6に示すように、停止表示された停止図柄の組合せを判定する停止図柄判定処理(S7)が行われるようになっている。
停止図柄判定処理は、停止時の各リールの図柄番号領域における図柄番号を参照することで、停止図柄の組合せを判定する。
各リールの図柄番号領域における図柄番号は、前述したように、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄番号と一致しているため、中段(中a,中b,中c)の有効ライン1に位置する各リール21a〜21cの図柄を判別することで、すべての有効ライン1〜5に停止表示された図柄の組合せを、図4に示す図柄の配列に基づき、判定することができる。
そして、判定された停止図柄の組合せが、内部抽せんにおいて当せんした当せんフラグに対応した停止図柄の組合せ(図8参照)か否かを判定し、合致していた場合には、当せんフラグに対応したその後の処理を行うようになっている。
以下、当せんフラグが、再遊技役、各小役、ボーナス役の場合について説明する。
【0069】
停止図柄判定処理における当せんフラグが、再遊技役の場合については以下のようになっている。
再遊技役に対応する図10に示す当せんフラグ領域2の「ビット0」に「1」がセットされ、かつ、対応する停止図柄の組合せが「リプレイ・リプレイ・リプレイ」で停止したと判定した場合には、当該領域を「0」でクリアすると同時に、次回ゲームにおいて、メダル投入することなく遊技可能となるよう、図6に示すように、前述したメダル投入処理が終了した後の遊技状態に移行させるようになっている(S8)。
【0070】
当せんフラグが小役の場合は、以下のような処理が行われる。
各小役に対応する停止図柄の組合せで停止したと判定した場合は、図6に示すように、メダルが獲得される「入賞」として判定され(S9)、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域2の各小役に対応する「ビット」を「0」でクリアし、その後、メダル払出処理(S10)に移行するようになっている。
一方、各小役に対応する停止図柄の組合せで停止されず、いわゆる「取りこぼし」と判定された場合には、上記と同様、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域2の各小役に対応する「ビット」を「0」でクリアし、内部抽せんにおいて上記のボーナス役、再遊技役、小役のいずれにも該当しない「ハズレ」と同様、メダル投入処理(S2)以前の遊技状態に移行するようになっている。
【0071】
一方、当せんフラグが「ボーナス役(BB,OB)」の場合は、いずれかの「ボーナス役」に対応する図10に示す当せんフラグ領域1の「ビット0又は1」に「1」がセットされ、かつ、対応する停止図柄の組合せで停止したと判定した場合には、当該領域を「0」でクリアするとともに、図7におけるゲームモードフラグをボーナス遊技に該当する「ビット1又は2」に「1」をセットし、他のビットを「0」でクリアすることで、ビッグボーナス遊技又はお試しボーナス遊技に移行するようになっている。
一方、当せんした当せんフラグが、ボーナス役であるにもかかわらず、対応する停止図柄の組合せで停止していないと判定した場合には、当せん時にセットされた図10における当せんフラグ領域1の対応する「ビット1又は2」を「0」でクリアせずに、そのままにし、ボーナス役の当せんフラグを次回ゲームに持ち越すようになっている。
この状態は、次回ゲームにおいても、対応する停止図柄の組合せで停止しない限り、継続されるようになっている。
【0072】
このようなボーナス役の当せんフラグの持ち越しにより、以下のような作用効果を奏することになる。
すなわち、ボーナス役に当せんしたときには、回転するリール21において、ボーナス役に対応する図柄の組合せを狙って停止ボタン5を操作する、いわゆる「目押し」を行う必要があるが、この「目押し」に失敗したとしても、当せんフラグは次回ゲームに持ち越されることから、幾度も「目押し」に挑戦することができる。
このようなフラグの持ち越しは、当せん確率が高く設定されているとともに、お試しボーナス遊技に移行する「OB」でも、当然に行われることから、少ない遊技投資で「目押し」を行うことができ、初心者が安心してスロットマシン遊技に挑戦できるため、本発明のスロットマシン1は、初心者用のスロットマシンとして最適である。
【0073】
次に、「入賞」として判定された場合のメダル払出処理(S10)では、図8に示すように、小役の種類に応じた配当数のメダルを払出す制御が行われる。
具体的には、メダル払出処理では、図5に示すホッパー駆動回路32を制御することで、ホッパー31内に設けられたメダル払出モータが駆動制御され、メダルを払出すようになっている。
そして、メダルが払出されることで、メダル検出部33の所定のセンサから1枚メダルが払出される毎に1パルスの払出信号が出力されるようになっている。
制御部10では、この払出信号を監視し、パルス数が各小役のメダル配当数になるまで、ホッパー駆動回路32を制御するようになっている。
これにより、小役の種類に応じた所定数のメダルを払出すことができる。
なお、払出されるメダルは、所定数(例えば、最大50枚)までは、貯留メダル数として制御部10内のRAM11bに記憶され、所定数を超えたときに、その超えた分のメダルが遊技メダル払出口8から払出される。
【0074】
以上のように、図6に示すフローチャートに基づき制御部10において行われるメダル投入処理からメダル払出処理までの処理により、スロットマシン遊技における一ゲームをなすとともに、この一ゲームが繰り返されることでスロットマシン遊技が進行するようになっている。
そして、ビックボーナス遊技及びお試しボーナス遊技においても、このような一ゲームが繰り返して行われる。各ボーナス遊技で行われるゲームの流れを、図12に示すフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0075】
各ボーナス遊技は、対応する図柄の組合せが停止表示されることで開始し、前述したスロットマシン遊技における一ゲームを順次進行させる。
ボーナス遊技では、まず、各ボーナス遊技に対応する賭け数のメダルを投入する。
賭け数は、ビックボーナス遊技であれば、メダル2枚、お試しボーナス遊技であれば、メダル1枚を投入する(S21)。この投入は、MAXBETボタン7aを押下することで、この賭け数がそれぞれ一度に投入される。
【0076】
スタートレバー4が操作されると、ビックボーナス遊技であれば、「ビッグボーナス遊技用」、お試しボーナス遊技であれば、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」が参照されて内部抽せんが行われるとともに、各リール21が回転を開始し、停止ボタン5の操作により、リール21が停止する(S22)。
そして、停止した図柄の組合せを判定して、再遊技と判定されたときには(S23−YES)、メダルを投入した状態に移行する(S22)。
一方、入賞と判定されたときには(S24−YES)、払出されたメダル数を積算し(S25)、積算値と上限値とを比較する(S26)。
【0077】
上限値は、ビックボーナス遊技であれば、メダル466枚、お試しボーナス遊技であれば、メダル8枚と設定されており、積算値がそれぞれ上限値を超えると(S26−YES)、ボーナス遊技が終了する。一方、積算値が上限値を超えないときには(S26−NO)、各ボーナス遊技に対応する賭け数のメダルを投入可能な状態に戻り(S21)、上限値を超えるまで、ゲームを繰り返すようになっている。
そして、本実施形態では、「お試しボーナス遊技用」の「ボーナス遊技中抽せんテーブル」において、小役A〜Dの当せん確率を極端に低く設定することで、「ビッグボーナス遊技」と「お試しボーナス遊技」とで、ほぼ同じ回数のゲームが可能となるとともに、リプレイの当せん確率を高く設定し、さらにハズレを抽せん対象から除外することで、手持ちのメダルを減少させることなくお試しボーナス遊技を行うことができる。
【0078】
[演出制御部]
次に、演出制御部40について説明する。
演出制御部40は、一般的にサブ基板(副基板)と呼ばれ、制御部10と同様に、CPUやROM、RAMなどの記憶手段が搭載されたマイクロコンピュータからなり、制御部10から送信される制御コマンドに従って、サウンド回路41と表示器駆動回路42を制御することで、それぞれスピーカ9、表示器L1、ボーナス当せん告知部L2を駆動させ、所定の演出を行わせる。
【0079】
本実施形態の演出制御部40は、お試しボーナス遊技のみにおいて、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典を遊技者に付与するように構成されている。
具体的には、本実施形態のスロットマシンは、各ボーナス役の当せん確率が各々異なる6種類の「大当り抽せんテーブル」が予め制御部10のROM11aに記憶されているとともに、店員や遊技場の管理者が所定の操作を行うことで、いずれかの「大当り抽せんテーブル」に設定変更することができる、いわゆる、6段階設定変更機能を有している。
また、ボーナス役の当せん確率が設定変更されると、演出制御部40は、制御部10から6段階設定のうちの現在の設定値を制御コマンドとして受信し、RAMに記憶するようになっている。
そこで、演出制御部40は、スピーカ9、表示器L1を駆動させて、この受信した設定値を、お試しボーナス遊技だけの特典として報知するようになっている。
【0080】
例えば、演出制御部40は、お試しボーナス遊技において、2ゲームで上限値(8枚)に達した場合(例えば、小役Cに連続して入賞した場合)、現在設定されている設定値を表示器L1に、「現在の設定値は‘6’です。」などのメッセージとして表示する。
また、お試しボーナス遊技において、継続するゲーム回数が40ゲームを超えると、現在設定されている設定値を、表示器L1に表示することもできる。
この場合には、最初に複数の設定値を表示しておき、継続するゲーム回数が増加するに伴い、表示する設定値の数を減らして、徐々に現在の設定値だけが残るように表示する演出とすることもできる。
このように、上限値(8枚)が低く、獲得可能なメダル数が少ないお試しボーナス遊技だけに特典を付与することにより、お試しボーナス遊技は、初心者のみならず、熟練の遊技者にとっても、試行する意義を有するボーナス遊技とすることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、少ない遊技投資で、本物のスロットマシン遊技の雰囲気を享受でき、持ち合わせた技量に寄らず、すべての遊技者が通常遊技からボーナス遊技までをダイジェストで楽しむことができる。
【0082】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0083】
例えば、上述した実施形態のスロットマシンでは、お試しボーナス遊技において、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典として、設定値を報知したが、特典はこれに限定されるものではない。
例えば、小役の当せんを所定のゲーム区間に亘って報知する、いわゆるアシストタイム(AT又はART)を仕様に有するスロットマシンの場合では、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じ、このアシストタイムにおいて、小役の当せんを報知(この小役に対応する図柄の組合せや、停止ボタンの停止順の報知)する回数を増加させたり、停止表示によりアシストタイムの終了が回避される外し図柄の組合せ数を増加させることもできる。
これにより、アシストタイムにおいてメダルの増加が期待され、遊技者が積極的に1枚賭けを行い、お試しボーナス遊技を享受するようになる。
【0084】
また、所定のゲーム区間に亘って、再遊技役に高確率で当せんするリプレイタイム(ART又はRT)を仕様に有するスロットマシンの場合では、入賞により払出されたメダル数が上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じ、リプレイタイムが継続するゲーム回数を増加させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、遊技媒体として主にメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 スロットマシン
2 前面パネル
3 表示窓
4 スタートレバー
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 メダル投入口
7 ベットボタン(賭け数切替え手段)
8 遊技メダル払出口
9 スピーカ
10 制御部
20 ドラムユニット
21(21a,21b,21c) リール
30 メダル払出装置
40 演出制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーナス遊技に移行するボーナス役を含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定された大当り抽せんテーブルに基づいて抽せんを行うとともに、ボーナス役の当せんにより移行したボーナス遊技において、入賞により遊技媒体が払出される小役を抽せん対象に含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定されたボーナス遊技中抽せんテーブルに基づいて抽せんを行い、入賞により払出された遊技媒体数が所定の上限値に達すると、ボーナス遊技が終了するスロットマシンにおいて、
前記大当り抽せんテーブルを、一ゲームに投入する遊技媒体の賭け数毎に設け、
各大当り抽せんテーブルの抽せん対象に、前記上限値が高く設定された出玉大ボーナス役と、この出玉大ボーナス役に対して、前記上限値が低く設定された出玉小ボーナス役を設定し、
ボーナス遊技中抽せんテーブルを、各ボーナス役毎に設け、
賭け数の少ない大当り抽せんテーブルは、賭け数の多い大当り抽せんテーブルより、前記出玉小ボーナス役の当せん確率を高く設定するとともに、
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルは、前記出玉大ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルより、前記小役の当せん確率を低く設定したことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記各ボーナス遊技中抽せんテーブルのうち、少なくとも出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルにおける前記小役の当せん確率を、各ボーナス遊技において行われるゲーム回数がほぼ同じになるように設定した請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルの抽せん対象に、遊技媒体を投入することなく次回ゲーム可能となる再遊技役を設定し、
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技において、手持ちの遊技媒体がほぼ減らないように前記再遊技役の当せん確率を設定した請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルの抽せん対象からハズレを除いた請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
入力操作により、機内に記憶された遊技媒体から既定の前記賭け数の遊技媒体をゲームに投入するベットボタンと、
前記既定の賭け数を複数設定するとともに、入力操作により、各既定の賭け数のうち、いずれか一の賭け数に設定変更可能な賭け数切替手段と、を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技において、入賞により払出された遊技媒体が所定の上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典を付与する特典付与手段を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項1】
ボーナス遊技に移行するボーナス役を含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定された大当り抽せんテーブルに基づいて抽せんを行うとともに、ボーナス役の当せんにより移行したボーナス遊技において、入賞により遊技媒体が払出される小役を抽せん対象に含む複数の抽せん対象の当せん確率が設定されたボーナス遊技中抽せんテーブルに基づいて抽せんを行い、入賞により払出された遊技媒体数が所定の上限値に達すると、ボーナス遊技が終了するスロットマシンにおいて、
前記大当り抽せんテーブルを、一ゲームに投入する遊技媒体の賭け数毎に設け、
各大当り抽せんテーブルの抽せん対象に、前記上限値が高く設定された出玉大ボーナス役と、この出玉大ボーナス役に対して、前記上限値が低く設定された出玉小ボーナス役を設定し、
ボーナス遊技中抽せんテーブルを、各ボーナス役毎に設け、
賭け数の少ない大当り抽せんテーブルは、賭け数の多い大当り抽せんテーブルより、前記出玉小ボーナス役の当せん確率を高く設定するとともに、
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルは、前記出玉大ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルより、前記小役の当せん確率を低く設定したことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記各ボーナス遊技中抽せんテーブルのうち、少なくとも出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルにおける前記小役の当せん確率を、各ボーナス遊技において行われるゲーム回数がほぼ同じになるように設定した請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルの抽せん対象に、遊技媒体を投入することなく次回ゲーム可能となる再遊技役を設定し、
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技において、手持ちの遊技媒体がほぼ減らないように前記再遊技役の当せん確率を設定した請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技中抽せんテーブルの抽せん対象からハズレを除いた請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
入力操作により、機内に記憶された遊技媒体から既定の前記賭け数の遊技媒体をゲームに投入するベットボタンと、
前記既定の賭け数を複数設定するとともに、入力操作により、各既定の賭け数のうち、いずれか一の賭け数に設定変更可能な賭け数切替手段と、を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記出玉小ボーナス役に対応するボーナス遊技において、入賞により払出された遊技媒体が所定の上限値に達するまでに行われたゲーム回数に応じた特典を付与する特典付与手段を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−227179(P2010−227179A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75808(P2009−75808)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】
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