説明

ズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法

【課題】合焦用レンズと防振用レンズとを同一のレンズ群中に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズを提供する。
【解決手段】物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の光学要素Ocを含んだ後群Grとを有し、前記各群の間隔を変化させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、光学要素Ocは、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、正屈折力の第4部分群Gr4とを有し、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることを特徴とするズームレンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズとこれを有する光学装置、ズームレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子スチルカメラなどに用いられるズームレンズが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−221092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のズームレンズは、合焦用レンズと防振用レンズとが異なるレンズ群に位置し、合焦レンズ駆動機構と防振レンズ駆動機構を別個に配置しなければならず、レンズの小型化に不向きであるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、合焦用レンズと防振用レンズとを同一のレンズ群内に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズと、これを有する光学装置と、ズームレンズの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有し、前記各群の間隔を変化させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、前記光学要素は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを有し、前記第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることを特徴とするズームレンズを提供する。
【0007】
また、本発明は、前記ズームレンズを有することを特徴とする光学装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有するズームレンズの製造方法において、物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを前記光学要素に配置し、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、及び前記後群の間隔を変化させることにより広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、前記第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させるように、物体側から順に、前記第1レンズ群と、前記第2レンズ群と、前記後群とを配置することを特徴とするズームレンズの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、合焦用レンズと防振用レンズとを同一レンズ群に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズと、これを有する光学装置と、ズームレンズの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例にかかるズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【図2】第1実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。
【図3】第1実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【図4】第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【図5】第2実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。
【図6】第2実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【図7】第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【図8】第3実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。
【図9】第3実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【図10】第4実施例にかかるズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【図11】第4実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。
【図12】第4実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【図13】第5実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【図14】第5実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。
【図15】第5実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【図16】実施の形態にかかるズームレンズを搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。
【図17】図16(a)のA−A線に沿った断面図を示す。
【図18】本願のズームレンズの製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施形態に係るズームレンズについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本願発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等を施すことを排除することは意図していない。
【0012】
本実施形態に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有し、前記各群の間隔を変化させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、前記光学要素は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを有し、前記第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させる。
【0013】
このような構成により、合焦用レンズと防振用レンズとを同一のレンズ群内に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズを達成することができる。
【0014】
ここで、光学要素中の正屈折力の第1部分群は、合焦時における諸収差の変動が少ないことから、第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行う構成としている。また、光学要素中の負屈折力の第3部分群は、レンズの外径が小さく、レンズの外周に防振駆動機構を配置するのに適していることから、第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、手ブレ等の像面の補正、すなわち防振補正を行う構成としている。
【0015】
また、本ズームレンズは、第2部分群と第3部分群との光軸方向の間隔と、第3部分群と第4部分群との光軸方向の間隔は常時固定であることが望ましい。このような構成により、変倍光学系の正屈折力のレンズ群に本光学要素を適用した場合、レンズ群の移動機構を簡素化することができ、また変倍時の偏芯収差の発生を抑えることができる。
【0016】
また、本ズームレンズは、第2部分群が、少なくとも3枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有することが望ましい。このような構成により、第2部分群が光学要素全体の諸収差を良好に補正し、また合焦時と防振時の収差変動を少なくすることができる。
【0017】
第2部分群は、物体側に合焦群である第1部分群を、像側に防振群である第3部分群をそれぞれ有するため、合焦時と防振時の収差変動の補正を良好に行うために、第2部分群中物体側に合焦時の収差変動補正用の正レンズ成分を配置し、第2部分群中像側に防振時の収差変動補正用の正レンズ成分を配置して、合焦時と防振時の収差変動の補正を異なるレンズ成分がそれぞれ行う構成としている。ここで、合焦時の収差変動補正用の物体側正レンズ成分は少なくとも2枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズとを有し、防振時の収差変動補正用の像側正レンズ成分は少なくとも1枚の正レンズを有するように構成することで、合焦時と防振時の収差変動の補正を良好に行うことができる。なお、レンズ成分とは、単レンズあるいは接合レンズからなるレンズを示す。
【0018】
また、本ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1) 0.60 < Fb1/Fb234 < 1.70
ただし、Fb1は第1部分群の焦点距離、Fb234は第2部分群、第3部分群、及び第4部分群の合成焦点距離をそれぞれ示す。
【0019】
条件式(1)は、第2部分群、第3部分群、及び第4部分群の合成焦点距離と、第1部分群の焦点距離の比の適切な範囲を規定する条件式である。条件式(1)を満足することにより、光学要素の全長を小さくしつつ、合焦時の収差変動を少なくすることができる。
【0020】
条件式(1)の上限値を上回る場合、第1部分群と第2部分群との間隔が広がり、光学要素の全長が大型化する。この間隔を狭くするために第2部分群の屈折力を小さくすると、防振時の像面変動が大きくなる。
【0021】
なお、条件式(1)の上限値を1.50にすることにより、防振時の像面変動をより良好に補正することができる。
【0022】
条件式(1)の下限値を下回る場合、第1部分群と第2部分群との間隔が狭まり、合焦用スペースの確保が困難になる。合焦用のスペース確保のために第2部分群の屈折力を大きくしてこの間隔を広くすると、合焦時の球面収差の変動が大きくなる。
【0023】
なお、条件式(1)の下限値を0.80にすることにより、合焦時の球面収差の変動をより少なくすることができる。
【0024】
また、本ズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 0.60 < (Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)< 1.40
ただし、Fb1は第1部分群の焦点距離、Fb234は前記第2部分群、前記第3部分群、及び前記第4部分群の合成焦点距離、Fb0は無限遠合焦時における前記光学要素の焦点距離をそれぞれ示す。
【0025】
条件式(2)を満足することにより、光学要素の全長を小さくしつつ、合焦時の収差変動を少なくすることができる。
【0026】
条件式(2)の上限値を上回る場合、第1部分群と第2部分群との間隔が広がり、光学要素の全長が大型化する。この間隔を狭くするために第2部分群の屈折力を小さくすると、防振時の像面変動が大きくなる。
【0027】
なお、条件式(2)の上限値を1.20にすることにより、防振時の像面変動をより良好に補正することができる。
【0028】
条件式(2)の下限値を下回る場合、第1部分群と第2部分群との間隔が狭まり、合焦用スペースの確保が困難になる。合焦用のスペース確保のために第2部分群の屈折力を大きくしてこの間隔を広くすると、合焦時の球面収差の変動が大きくなる。
【0029】
なお、条件式(2)の下限値を0.80にすることにより、合焦時の球面収差の変動をより少なくすることができる。
【0030】
また、本ズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) |Fall/Ff| < 1.30
ただし、Fallは無限遠合焦時における前記ズームレンズの焦点距離、Ffは第1部分群の最も像側のレンズと当該像側のレンズより物体側に配置された全てのレンズとで構成される光学系の無限遠合焦時における合成焦点距離をそれぞれ示す。
【0031】
条件式(3)は、第1部分群の最も像側のレンズと当該像側のレンズより物体側に配置された全てのレンズとで構成される光学系の無限遠合焦時における合成焦点距離と、無限遠合焦時における前記ズームレンズの焦点距離の比の適切な範囲を規定する。条件式(3)を満足することにより、球面収差等の諸収差の補正を良好に行うことができる。
【0032】
上記範囲を規定することは、第1部分群の最も像側のレンズと当該像側のレンズより物体側に配置された全てのレンズとで構成される光学系に対する、第2部分群の最も物体側のレンズと当該物体側のレンズより像側に配置された全てのレンズとで構成される光学系の倍率を規定することに相当する。そして、条件式(3)を満足すると、第1部分群と第2部分群の倍率を等しくする、あるいは第1部分群の倍率を第2部分群の倍率より小さくすることとなる。その結果、第1部分群の最も像側のレンズと当該像側のレンズより物体側に配置された全てのレンズとで構成される光学系の収差を、第2部分群の収差と同等にする、あるいは第2部分群の収差より小さくするという効果が得られ、ズームレンズの諸収差を良好に補正することとなる。
【0033】
条件式(3)の上限値を上回る場合、球面収差等の諸収差の補正が困難になる。
【0034】
なお、条件式(3)の上限値を1.00にすることにより、球面収差等の諸収差の補正をより良好に行うことができる。
【0035】
また、本ズームレンズは、後群が前記光学要素のみからなることが望ましい。このような構成により、光学系の構成を簡素化することができる。
【0036】
また、本ズームレンズは、後群が2つのレンズ群からなり、当該2つのレンズ群のうち像側のレンズ群が前記光学要素からなることが望ましい。このような構成により、物体側レンズ群を負屈折力のレンズ群とすれば変倍時の像面変動を小さくすることができ、また物体側レンズ群を正屈折力のレンズ群とすれば口径比が大きい光学系を実現することができる。
【0037】
また、本ズームレンズは、第1部分群の物体側または像側の隣接した位置に、開口絞りを配置することが望ましい。このような構成により、開口絞り駆動機構と、合焦レンズ駆動機構と、防振レンズ駆動機構とを1つの光学要素に配置することができ、ズームレンズの小型化を達成することができる。
【0038】
また、本ズームレンズは、最も像側のレンズ面の頂点から像面までの距離(バックフォーカス)が最も小さい状態で、10mm〜30mm程度とすることが望ましい。
【0039】
また、本ズームレンズは、像高を5.0mm〜12.5mmとすることが望ましく、像高を5.0mm〜9.5mmとすることがより望ましい。
【0040】
以下、本実施形態に係るズームレンズの各数値実施例について添付図面に基づいて説明する。
【0041】
(第1実施例)
図1は、第1実施例にかかるズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。なお、以下の説明に使用するレンズを示す符号は望遠端状態Tにのみ記載し、他の状態については記載を省略する。他の実施例についても同様とする。
【0042】
第1実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、開口絞りS1と、正屈折力の光学要素Ocからなる後群Grと、防塵ガラスGと、光学的ローパス・フィルターOLPFと、像面Iに配置される固体撮像素子のカバーガラスCGとから構成されている。
【0043】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0044】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合よりなる接合レンズと、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0045】
光学要素Oc(後群Gr)は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、視野絞りS2と、正屈折力の第4部分群Gr4とから構成され、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像面I上で像シフトを行う。
【0046】
第1部分群Gr1は、両凸形状の正レンズLr1から構成されている。
【0047】
第2部分群Gr2は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr2と像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr3との接合よりなる接合レンズと、両凸形状の正レンズLr4と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr5と両凸形状の正レンズLr6との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0048】
第3部分群Gr3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr7と両凹形状の負レンズLr8との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0049】
第4部分群Gr4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr9と、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr10とから構成されている。
【0050】
第1実施例に係るズームレンズは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍の際、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に凹形状の軌跡で光軸に沿って移動し、光学要素Oc(後群Gr)は物体側に移動する。
【0051】
また、第1実施例の固体撮像素子中心から対角への対角像高IHは、8.5mmである。
【0052】
次の表1に、第1実施例のズームレンズの諸元値を示す。表において、(全体諸元)には、広角端状態(W)、中間焦点距離状態(M)、望遠端状態(T)の各状態での焦点距離F、及びFナンバーFNOを示す。
【0053】
また、(面データ)において、物面は物体面、面番号は物体側から数えたレンズ面の番号、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数、(可変)は合焦における可変面間隔、(絞り)は開口絞りS1、(視野絞り)は視野絞りS2、像面は像面Iをそれぞれ表している。なお、曲率半径rの「∞」は平面を示し、空気の屈折率nd=1.000000は記載を省略している。
【0054】
また、(合焦時における可変間隔)には、無限遠合焦時と至近距離合焦時の広角端状態(W)、中間焦点距離状態(M)、望遠端状態(T)の各状態での焦点距離f、倍率βにおける可変間隔の値を示す。D0は物体から最も物体側のレンズ面までの距離を、Bfはバックフォーカスを、TLはズームレンズの全長の値をそれぞれ示す。また、(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)には、無限遠合焦時と至近距離合焦時の広角端状態(W)、中間焦点距離状態(M)、望遠端状態(T)の各状態でのレンズ移動量に対する像面移動量をそれぞれ表す。また、(条件式対応値)には、それぞれの条件式に対応する値を示す。
【0055】
なお、以下の全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されること無く他の適当な単位を用いることもできる。なお、以下の全実施例において、本実施例と同様の符号を用い説明を省略する。
【0056】
(表1)
(全体諸元)
(W) (M) (T)
F 30.00 60.00 107.00
FNO 4.3 4.8 5.8

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 104.9987 2.5000 1.516800 19.16
2) -98.0161 0.1000
3) 28.5522 1.1000 1.784700 50.44
4) 19.4068 4.4000 1.497820 14.95
5) 389.5870 (可変)
6) 223.4423 1.0000 1.741000 23.59
7) 22.0105 1.1000
8) -51.8131 1.0000 1.741000 23.59
9) 11.7594 2.2000 1.846660 56.14
10) 122.2362 1.2000
11) -16.7910 1.0000 1.741000 23.59
12) -1136.5791 (可変)
13>(絞り) ∞ (可変)
14) 73.3665 2.0000 1.516800 19.16
15) -27.2390 (可変)
16) 29.6447 3.3000 1.497820 14.95
17) -14.4744 1.0000 1.801000 36.97
18) -61.3016 0.1000
19) 13.3150 2.9000 1.517420 23.98
20) -157.6315 1.9000
21) 390.7053 1.0000 1.846660 56.14
22) 27.4326 2.0000 1.487490 17.31
23) -78.1115 2.7773
24) 106.3359 2.0000 1.805180 52.30
25) -15.0924 0.4904 1.804400 32.25
26) 15.0529 1.4000
27)(視野絞り) ∞ 1.4924
28) 22.1990 2.1000 1.647690 38.54
29) -26.2091 1.1000
30) -9.6432 1.0000 1.795000 27.82
31) -22.0307 (可変)
32) ∞ 0.5000 1.516800 19.16
33) ∞ 4.6000
34) ∞ 1.8700 1.516800 19.16
35) ∞ 0.3000
36) ∞ 0.7000 1.516800 19.16
37) ∞ Bf
像面 ∞

(合焦時における可変間隔)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03156 -0.06044 -0.10444
D0 ∞ ∞ ∞ 916.7700 906.4179 897.9680
d 5 1.81805 12.56575 16.54552 1.81805 12.56575 16.54552
d12 10.60697 5.94020 1.07619 10.60697 5.94020 1.07619
d13 1.40000 1.40000 1.40000 1.79703 2.53373 3.47996
d15 3.61101 3.61101 3.61101 3.21398 2.47728 1.53105
d31 15.16379 19.43504 28.76907 15.16379 19.43504 28.76907
Bf 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000
TL 83.22999 93.58214 102.03195 83.22998 93.58216 102.03194

(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03156 -0.06044 -0.10444
レンズ ±0.122 ±0.211 ±0.292 ±0.122 ±0.211 ±0.292
像面 ±0.157 ±0.314 ±0.560 ±0.157 ±0.314 ±0.560

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
G1 1 +45.606
G2 6 -10.732
Gr 14 +15.896

(条件式対応値)
(1)Fb1/Fb234 =1.143
(2)(Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)=0.903
(3)|Fall/Ff| =0.741
【0057】
図2は、第1実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。図3は、第1実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【0058】
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、NAは開口数を、dはd線(λ=587.6nm)を、gはg線(λ=435.6nm)を、Cはc線(λ=656.3nm)を、Fはf線(λ=486.1nm)をそれぞれ示している。なお、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。また、倍率色収差を示す収差図はd線を基準として示されている。なお、以下の全実施例の収差図において、本実施例と同様の符号を用い説明を省略する。
【0059】
各収差図から、第1実施例にかかるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態及びそれぞれの状態における防振補正時にわたって諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0060】
(第2実施例)
図4は、第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【0061】
第2実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、開口絞りS1と、正屈折力の光学要素Ocからなる後群Grと、防塵ガラスGと、光学的ローパス・フィルターOLPFと、像面Iに配置される固体撮像素子のカバーガラスCGとから構成されている。
【0062】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0063】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合よりなる接合レンズと、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0064】
光学要素Oc(後群Gr)は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、視野絞りS2と、正屈折力の第4部分群Gr4とから構成され、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像面I上で像シフトを行う。
【0065】
第1部分群Gr1は、両凸形状の正レンズLr1から構成されている。
【0066】
第2部分群Gr2は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr2と像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr3との接合よりなる接合レンズと、両凸形状の正レンズLr4と、両凹形状の負レンズLr5と両凸形状の正レンズLr6との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0067】
第3部分群Gr3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr7と両凹形状の負レンズLr8との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0068】
第4部分群Gr4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr9と、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr10とから構成されている。
【0069】
第2実施例に係るズームレンズは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍の際、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に凹形状の軌跡で光軸に沿って移動し、光学要素Oc(後群Gr)は物体側に移動する。
【0070】
また、第2実施例の固体撮像素子中心から対角への対角像高IHは、8.5mmである。
【0071】
以下の表2に第2実施例のズームレンズの諸元値を示す。
【0072】
(表2)
(全体諸元)
(W) (M) (T)
F 30.00 60.00 107.00
FNO 4.3 4.8 5.8

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 107.0898 2.5000 1.518230 58.89
2) -99.2726 0.1000
3) 28.8641 1.1000 1.784700 26.30
4) 19.4065 4.4000 1.497820 82.56
5) 623.6707 (可変)
6) -101.6830 1.0000 1.741000 52.67
7) 24.6928 1.1000
8) -64.6171 1.0000 1.741000 52.67
9) 11.7906 2.2000 1.846660 23.78
10) 114.2322 1.2000
11) -18.8537 1.0000 1.741000 52.67
12) -731.1191 (可変)
13> (絞り) ∞ (可変)
14) 56.9161 1.8000 1.516800 64.12
15) -26.1469 (可変)
16) 31.5479 3.6000 1.497820 82.56
17) -15.1490 1.1000 1.801000 34.96
18) -67.0657 0.1000
19) 13.3178 3.2000 1.517420 52.32
20) -143.8096 2.1000
21) -114.9972 1.1000 1.846660 23.78
22) 34.8934 2.2000 1.487490 70.45
23) -54.4846 2.8255
24) 106.3359 2.0000 1.805180 25.43
25) -15.0924 0.5000 1.804400 39.57
26) 15.0522 1.4000
27)(視野絞り) ∞ 1.7841
28) 20.5121 2.1000 1.647690 33.79
29) -30.0605 1.1000
30) -10.0058 1.0000 1.795000 45.30
31) -21.5527 (可変)
32) ∞ 0.5000 1.516800 64.12
33) ∞ 4.6000
34) ∞ 1.8700 1.516800 64.12
35) ∞ 0.3000
36) ∞ 0.7000 1.516800 64.12
37) ∞ Bf
像面 ∞

(合焦時における可変間隔)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
D0 ∞ ∞ ∞ 916.5652 906.2131 897.7633
d 5 2.22767 12.97537 16.95514 2.22767 12.97537 16.95514
d12 10.44476 5.77799 0.91398 10.44476 5.77799 0.91398
d13 1.45757 1.45757 1.45757 1.84273 2.55124 3.44966
d15 3.39604 3.39604 3.39604 3.01088 2.30237 1.40395
d31 13.92910 18.20035 27.53438 13.92910 18.20035 27.53438
Bf 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000
TL 83.43475 93.78691 102.23670 83.43476 93.78690 102.23670

(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
レンズ ±0.128 ±0.221 ±0.303 ±0.128 ±0.221 ±0.303
像面 ±0.157 ±0.314 ±0.560 ±0.157 ±0.314 ±0.560

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
G1 1 +45.606
G2 6 -10.732
Gr 14 +16.308

(条件式対応値)
(1)Fb1/Fb234 =0.909
(2)(Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)=0.891
(3)|Fall/Ff| =0.558
【0073】
図5は、第2実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。図6は、第2実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【0074】
各収差図から、第2実施例にかかるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態及びそれぞれの状態における防振補正時にわたって諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0075】
(第3実施例)
図7は、第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【0076】
第3実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、開口絞りS1と、正屈折力の光学要素Ocからなる後群Grと、防塵ガラスGと、光学的ローパス・フィルターOLPFと、像面Iに配置される固体撮像素子のカバーガラスCGとから構成されている。
【0077】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0078】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合よりなる接合レンズと、両凹形状の負レンズL24とから構成されている。
【0079】
光学要素Oc(後群Gr)は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、視野絞りS2と、正屈折力の第4部分群Gr4とから構成され、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像面I上で像シフトを行う。
【0080】
第1部分群Gr1は、両凸形状の正レンズLr1から構成されている。
【0081】
第2部分群Gr2は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr2と像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr3との接合よりなる接合レンズと、両凸形状の正レンズLr4と、両凹形状の負レンズLr5と両凸形状の正レンズLr6との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0082】
第3部分群Gr3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr7と両凹形状の負レンズLr8との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0083】
第4部分群Gr4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr9と、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr10とから構成されている。
【0084】
第3実施例に係るズームレンズは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍の際、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に凹形状の軌跡で光軸に沿って移動し、光学要素Oc(後群Gr)は物体側に移動する。
【0085】
また、第3実施例の固体撮像素子中心から対角への対角像高IHは、8.5mmである。
【0086】
以下の表3に第3実施例のズームレンズの諸元値を示す。
【0087】
(表3)
(全体諸元)
(W) (M) (T)
F 30.00 60.00 107.00
FNO 4.3 4.8 5.8

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 125.1574 2.5000 1.518230 58.89
2) -84.3301 0.1000
3) 28.3895 1.1000 1.784700 26.30
4) 18.9466 4.4000 1.497820 82.56
5) 419.5247 (可変)
6) -223.8932 0.8000 1.741000 52.67
7) 27.9983 1.1000
8) -41.3655 0.8000 1.741000 52.67
9) 12.3312 2.0000 1.846660 23.78
10) 160.7640 1.2000
11) -21.0724 0.8000 1.741000 52.67
12) 459.4400 (可変)
13> (絞り) ∞ (可変)
14) 122.4843 2.0000 1.516800 64.12
15) -28.4773 (可変)
16) 27.1989 2.8000 1.497820 82.56
17) -15.5490 0.8000 1.801000 34.96
18) -56.2214 0.1000
19) 12.4713 2.4000 1.517420 52.32
20) -468.0896 1.7000
21) -438.8420 0.8000 1.846660 23.78
22) 28.7077 1.6000 1.487490 70.45
23) -69.4120 2.6225
24) 112.2112 2.0000 1.805180 25.43
25) -15.9263 0.5000 1.804400 39.57
26) 15.8839 1.4000
27)(視野絞り) ∞ 2.3924
28) 24.2073 2.1000 1.647690 33.79
29) -21.1678 1.1000
30) -9.8464 1.0000 1.795000 45.30
31) -27.4317 (可変)
32) ∞ 0.5000 1.516800 64.12
33) ∞ 4.6000
34) ∞ 1.8700 1.516800 64.12
35) ∞ 0.3000
36) ∞ 0.7000 1.516800 64.12
37) ∞ Bf
像面 ∞

(合焦時における可変間隔)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03150 -0.06051 -0.10449
D0 ∞ ∞ ∞ 917.2587 907.7213 900.3241
d 5 2.29727 12.34224 16.45053 2.29727 12.34224 16.45053
d12 11.85041 6.39808 0.86562 11.85041 6.39808 0.86562
d13 0.42422 0.42422 0.42422 0.91515 1.76585 2.95151
d15 4.54719 4.54719 4.54719 4.05626 3.20556 2.01990
d31 15.03736 19.98210 28.80352 15.03736 19.98210 28.80352
Bf 0.49996 0.49996 0.49996 0.49996 0.49996 0.49996
TL 82.74133 92.27869 99.67587 82.74134 92.27868 99.67588

(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
レンズ ±0.125 ±0.213 ±0.300 ±0.125 ±0.213 ±0.300
像面 ±0.157 ±0.314 ±0.560 ±0.157 ±0.314 ±0.560

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
G1 1 +45.606
G2 6 -11.422
Gr 14 +17.209

(条件式対応値)
(1)Fb1/Fb234 =1.433
(2)(Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)=0.904
(3)|Fall/Ff| =0.849
【0088】
図8は、第3実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。図9は、第3実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【0089】
各収差図から、第3実施例にかかるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態及びそれぞれの状態における防振補正時にわたって諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0090】
(第4実施例)
図10は、第4実施例にかかるズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【0091】
第4実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の光学要素Ocを含む後群Grと、防塵ガラスGと、光学的ローパス・フィルターOLPFと、像面Iに配置される固体撮像素子のカバーガラスCGとから構成されている。
【0092】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0093】
第2レンズ群G2は、両凹形状の負レンズL21から構成されている。
【0094】
後群Grは、物体側から順に、負屈折力の第3レンズ群G3と、開口絞りS1と、正屈折力の光学要素Ocとから構成されている。
【0095】
後群Grの第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹形状の負レンズLr1と両凸形状の正レンズLr2との接合よりなる接合レンズと、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr3とから構成されている。
【0096】
後群Grの光学要素Ocは、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、視野絞りS2と、正屈折力の第4部分群Gr4とから構成され、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像面I上で像シフトを行う。
【0097】
光学要素Ocの第1部分群Gr1は、両凸形状の正レンズLr4から構成されている。
【0098】
光学要素Ocの第2部分群Gr2は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr5と像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr6との接合よりなる接合レンズと、両凸形状の正レンズLr7と、両凹形状の負レンズLr8と両凸形状の正レンズLr9との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0099】
光学要素Ocの第3部分群Gr3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr10と両凹形状の負レンズLr11との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0100】
光学要素Ocの第4部分群Gr4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr12と、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr13とから構成されている。
【0101】
第4実施例に係るズームレンズは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍の際、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2はS字形状の軌跡で光軸に沿って移動し、第3レンズ群G3は物体側に凹形状の軌跡で光軸に沿って移動し、光学要素Ocは物体側に移動する。
【0102】
また、第4実施例の固体撮像素子中心から対角への対角像高IHは、8.5mmである。
【0103】
以下の表4に第4実施例のズームレンズの諸元値を示す。
【0104】
(表4)
(全体諸元)
(W) (M) (T)
F 30.00 60.00 107.00
FNO 4.3 4.8 5.8

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 80.5887 2.5000 1.518230 58.89
2) -125.6437 0.1000
3) 30.1350 1.1000 1.784700 26.30
4) 20.1659 4.4000 1.497820 82.56
5) 774.6747 (可変)
6) -139.0822 1.0000 1.741000 52.67
7) 23.4929 (可変)
8) -37.1938 1.0000 1.741000 52.67
9) 13.3906 2.2000 1.846660 23.78
10) -5477.8456 1.2000
11) -19.5048 1.0000 1.741000 52.67
12) -523.1128 (可変)
13> (絞り) ∞ (可変)
14) 64.7705 1.9000 1.516800 64.12
15) -26.6175 (可変)
16) 29.3621 3.4650 1.497820 82.56
17) -15.1957 1.1000 1.801000 34.96
18) -62.0277 0.1000
19) 13.2921 3.0000 1.517420 52.32
20) -105.3128 2.0000
21) -155.6218 1.1000 1.846660 23.78
22) 30.9418 2.1000 1.487490 70.45
23) -75.8545 2.5029
24) 106.3359 2.0000 1.805180 25.43
25) -15.0924 0.5000 1.804400 39.57
26) 15.0522 1.4000
27)(視野絞り) ∞ 2.0046
28) 21.2520 2.1000 1.647690 33.79
29) -26.3195 1.1000
30) -10.1531 1.0000 1.795000 45.30
31) -24.9104 (可変)
32) ∞ 0.5000 1.516800 64.12
33) ∞ 4.6000
34) ∞ 1.8700 1.516800 64.12
35) ∞ 0.3000
36) ∞ 0.7000 1.516800 64.12
37) ∞ Bf
像面 ∞

(合焦時における可変間隔)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03156 -0.06030 -0.10430
D0 ∞ ∞ ∞ 916.3279 904.9658 897.5260
d 5 2.18046 12.93514 16.90794 2.18046 12.93514 16.90794
d 7 1.36173 2.36263 1.36173 1.36173 2.36263 1.36173
d12 10.22924 5.55622 0.69846 10.22924 5.55622 0.69846
d13 1.42558 1.42558 1.42558 1.81567 2.53378 3.45546
d15 3.85828 3.85828 3.85828 3.46819 2.75008 1.82840
d31 14.27431 18.55389 27.87955 14.27431 18.55389 27.87955
Bf 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000
TL 83.67210 95.03424 102.47403 83.67210 95.03424 102.47405

(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
レンズ ±0.124 ±0.215 ±0.296 ±0.124 ±0.215 ±0.296
像面 ±0.157 ±0.314 ±0.560 ±0.157 ±0.314 ±0.560

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
G1 1 +45.606
G2 6 -27.052
G3 8 -20.092
Gr 14 +16.308

(条件式対応値)
(1)Fb1/Fb234 =1.015
(2)(Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)=0.894
(3)|Fall/Ff| =0.643
【0105】
図11は、第4実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。図12は、第4実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【0106】
各収差図から、第4実施例にかかるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態及びそれぞれの状態における防振補正時にわたって諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0107】
(第5実施例)
図13は、第5実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図であり、Wは広角端状態を、Mは中間焦点距離状態を、Tは望遠端状態をそれぞれ示している。
【0108】
第5実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1と、負屈折力の第2レンズ群G2と、正屈折力の光学要素Ocからなる後群Grと、防塵ガラスGと、光学的ローパス・フィルターOLPFと、像面Iに配置される固体撮像素子のカバーガラスCGとから構成されている。
【0109】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合よりなる接合レンズとから構成されている。
【0110】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合よりなる接合レンズと、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0111】
光学要素Oc(後群Gr)は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群Gr1と、開口絞りS1と、正屈折力の第2部分群Gr2と、負屈折力の第3部分群Gr3と、視野絞りS2と、正屈折力の第4部分群Gr4とから構成され、第1部分群Gr1を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、第3部分群Gr3を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより像面I上で像シフトを行う。
【0112】
第1部分群Gr1は、両凸形状の正レンズLr1から構成されている。
【0113】
第2部分群Gr2は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr2と像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr3との接合よりなる接合レンズと、両凸形状の正レンズLr4と、両凹形状の負レンズLr5と両凸形状の正レンズLr6との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0114】
第3部分群Gr3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr7と両凹形状の負レンズLr8との接合よりなる接合レンズから構成されている。
【0115】
第4部分群Gr4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズLr9と、像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズLr10とから構成されている。
【0116】
第5実施例に係るズームレンズは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍の際、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に凹形状の軌跡で光軸に沿って移動し、光学要素Oc(後群Gr)は物体側に移動する。
【0117】
また、第5実施例の固体撮像素子中心から対角への対角像高IHは、8.5mmである。
【0118】
以下の表5に第5実施例のズームレンズの諸元値を示す。
【0119】
(表5)
(全体諸元)
(W) (M) (T)
F 30.00 60.00 107.00
FNO 4.3 4.8 5.8

(面データ)
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1) 107.0898 2.5000 1.518230 58.89
2) -99.2726 0.1000
3) 28.8641 1.1000 1.784700 26.30
4) 19.4065 4.4000 1.497820 82.56
5) 623.6707 (可変)
6) -101.6830 1.0000 1.741000 52.67
7) 24.6928 1.1000
8) -64.6171 1.0000 1.741000 52.67
9) 11.7906 2.2000 1.846660 23.78
10) 114.2322 1.2000
11) -18.8537 1.0000 1.741000 52.67
12) -731.1191 (可変)
13) 56.9161 1.8000 1.516800 64.12
14) -26.1469 (可変)
15> (絞り) ∞ 0.1000
16) 31.5479 3.6000 1.497820 82.56
17) -15.1490 1.1000 1.801000 34.96
18) -67.0657 0.1000
19) 13.3178 3.2000 1.517420 52.32
20) -143.8096 2.1000
21) -114.9972 1.1000 1.846660 23.78
22) 34.8934 2.2000 1.487490 70.45
23) -54.4846 2.8255
24) 106.3359 2.0000 1.805180 25.43
25) -15.0924 0.5000 1.804400 39.57
26) 15.0522 1.4000
27)(視野絞り) ∞ 1.7841
28) 20.5121 2.1000 1.647690 33.79
29) -30.0605 1.1000
30) -10.0058 1.0000 1.795000 45.30
31) -21.5527 (可変)
32) ∞ 0.5000 1.516800 64.12
33) ∞ 4.6000
34) ∞ 1.8700 1.516800 64.12
35) ∞ 0.3000
36) ∞ 0.7000 1.516800 64.12
37) ∞ Bf
像面 ∞

(合焦時における可変間隔)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
D0 ∞ ∞ ∞ 916.5652 906.2131 897.7633
d 5 2.22767 12.97537 16.95514 2.22767 12.97537 16.95514
d12 11.90233 7.23556 2.37155 12.28749 8.32923 4.36364
d14 3.29604 3.29604 3.29604 2.91088 2.20237 1.30395
d31 13.92910 18.20035 27.53438 13.92910 18.20035 27.53438
Bf 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000 0.50000
TL 83.43475 93.78691 102.23670 83.43476 93.78690 102.23670

(防振補正時の防振レンズ群移動量と像面移動量)
無限遠合焦時 至近距離合焦時
(W) (M) (T) (W) (M) (T)
F、β 30.00000 60.00000 107.00000 -0.03154 -0.06033 -0.10411
レンズ ±0.128 ±0.221 ±0.303 ±0.128 ±0.221 ±0.303
像面 ±0.157 ±0.314 ±0.560 ±0.157 ±0.314 ±0.560

(レンズ群データ)
群 始面 焦点距離
G1 1 +45.606
G2 6 -10.732
Gr 13 +16.308

(条件式対応値)
(1)Fb1/Fb234 =0.909
(2)(Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)=0.891
(3)|Fall/Ff| =0.558
【0120】
図14は、第5実施例のズームレンズの無限遠合焦状態における諸収差図及び防振補正時の横収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態の各収差図をそれぞれ示す。図15は、第5実施例のズームレンズの至近撮影距離合焦状態における諸収差図および防振補正時の横収差図であり、(a)はRw=1000mm、(b)はRm=1000mm、(c)はRt=1000mmの各収差図をそれぞれ示す。
【0121】
各収差図から、第5実施例にかかるズームレンズは、広角端状態から望遠端状態及びそれぞれの状態における防振補正時にわたって諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態によれば、合焦用レンズと防振用レンズとを同一レンズ群(光学要素)に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズを達成することができる。
【0123】
なお、上記実施例では、変倍の際全てのレンズ群を移動しているが、本願の意図するところは、この変倍方式のみに限らない。例えば、第1レンズ群の変倍機構を偏芯が少ない構成とし、大口径比化に対して有利にするために、第1レンズ群を固定しても良い。
【0124】
また、主用駆動機構を固定筒に配置可能とするために、光学要素を固定しても良い。この構成により、組立調整が簡便な構成とすることができる。
【0125】
また、第4実施例において、後群中の第3レンズ群は負の屈折力を有するが、正の屈折力を有するようにしても良い。
【0126】
また、上記の各実施例では後群の第1部分群を両凸形状の正レンズ1枚から構成しているが、色収差をより良好に補正するために、第1部分群を凹凸構成としても良い。
【0127】
また、実施例では、3群構成を示したが、4群あるいは5群等の他の群構成にも適用可能である。具体的には、本願のズームレンズの最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0128】
また、本願のズームレンズは、無限遠物点から近距離物点への合焦を行うための合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。特に、本願のズームレンズでは、光学要素の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。
【0129】
また、本願のズームレンズにおいて、防振レンズ群として光軸に垂直な成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ブレによって生じる像ブレを補正する構成とすることもできる。
【0130】
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0131】
また、本願のズームレンズにおいて開口絞りは光学要素の第1部分群の前又は後ろに配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
【0132】
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0133】
本実施形態のズームレンズは、変倍比が2.5〜7.0程度である。
【0134】
また、本願のズームレンズでは、第1レンズ群が有する正のレンズ成分は1つでも良いが、第1レンズ群は正のレンズ成分を2つ有することが好ましい。
【0135】
また、本願のズームレンズでは、第2レンズ群が有する負レンズ成分は2つでも良いが、第2レンズ群は負レンズ成分を3つ有することが好ましい。
【0136】
また、本願のズームレンズでは、後群は正レンズ成分を3つと、負レンズ成分を1つ有することが好ましい。また後群は、物体側から順に、正正負正の順に各レンズ成分を空気間隔を介在させて配置することが好ましい。
【0137】
次に、実施の形態にかかるズームレンズを有するカメラについて図面を参照しつつ説明する。図16は、実施の形態にかかるズームレンズを搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図を、(b)は背面図をそれぞれ示す。図17は、図16(a)のA−A線に沿った断面図を示している。
【0138】
図16,17において、電子スチルカメラ1(以後、単にカメラと記す)は、不図示の電源ボタンを押すと撮影レンズ2の不図示のシャッタが開放され、不図示の被写体からの光が撮影レンズ2で集光されて、像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、カメラ1の背面に配置された液晶モニター3に表示される。撮影者は、液晶モニター3を見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズボタン4を押し下げ被写体像を撮像素子Cで撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。この際、カメラ1もしくは撮影レンズ鏡筒に内蔵された不図示の角速度センサーにより手ぶれ等によって発生するカメラ1のブレが検出され、不図示の防振機構により、撮影レンズ2に配設された第3部分群Gr3が撮影レンズ2の光軸に対して垂直方向にシフトされ、カメラ1のぶれによって生じる像面I上の像ぶれを補正する。
【0139】
撮影レンズ2は、実施の形態にかかるズームレンズで構成されている。また、カメラ1には、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部5、撮影レンズ2であるズームレンズを広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際のワイド(W)−テレ(T)ボタン6、およびカメラ1の種々の条件設定等に使用するファンクションボタン7等が配置されている。
【0140】
このようにして、実施の形態にかかるズームレンズを内蔵するカメラ1が構成されている。
【0141】
以下、本願のズームレンズの製造方法の概略を図18に基づいて説明する。図18は、本願のズームレンズの製造方法を示す図である。
【0142】
本願のズームレンズの製造方法は、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有するズームレンズの製造方法であって、図18に示す各ステップS1、2を含むものである。
【0143】
ステップS1:
ステップS1は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを含む正屈折力の光学要素を準備し、
物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、前記光学要素を含んだ後群とを含む光学部材を円筒状の鏡筒内に配置する。
【0144】
ステップS2:
ステップS2は、広角端状態から望遠端状態への変倍を行う際に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、及び前記後群の間隔を変化させる機構と、
無限遠物点から近距離物点への合焦を行う際に、前記第1部分群を光軸に沿って移動させる機構と、
像面上で像シフトを行う際に、前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させる機構をそれぞれ配置する。
【0145】
かかる本願のズームレンズの製造方法によれば、合焦用レンズと防振用レンズとを同一レンズ群に配置し、小型で高い結像性能を有するズームレンズを製造することができる。
【0146】
なお、上記各実施例は本発明の一具体例を示しているものであり、本発明はこれらに限定されるものでない。
【符号の説明】
【0147】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
Gr 後群
Oc 光学要素
Gr1 第1部分群
Gr2 第2部分群
Gr3 第3部分群
Gr4 第4部分群
I 像面
1 電子スチルカメラ
2 撮像レンズ(ズームレンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有し、
前記各群の間隔を変化させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、
前記光学要素は、物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを有し、
前記第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、
前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第2部分群と前記第3部分群との光軸方向の間隔と、前記第3部分群と前記第4部分群との光軸方向の間隔は常時固定であることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第2部分群は、少なくとも3枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
0.60 < Fb1/Fb234 < 1.70
ただし、
Fb1:前記第1部分群の焦点距離
Fb234:前記第2部分群、前記第3部分群、及び前記第4部分群の合成焦点距離
【請求項5】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
0.60 < (Fb1+Fb234)×Fb0/(Fb1×Fb234)< 1.40
ただし、
Fb1:前記第1部分群の焦点距離
Fb234:前記第2部分群、前記第3部分群、及び前記第4部分群の合成焦点距離
Fb0:無限遠合焦時における前記光学要素の焦点距離
【請求項6】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
|Fall/Ff| < 1.30
ただし、
Fall:無限遠合焦時における前記ズームレンズの焦点距離
Ff:前記第1部分群の最も像側のレンズと当該像側のレンズより物体側に配置された全てのレンズとで構成される光学系の無限遠合焦時における合成焦点距離
【請求項7】
前記後群は前記光学要素のみからなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記後群は2つのレンズ群からなり、当該2つのレンズ群のうち像側のレンズ群が前記光学要素からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1部分群の物体側または像側の隣接した位置に、開口絞りを配置したことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズを有することを特徴とする光学装置。
【請求項11】
物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の光学要素を含んだ後群とを有するズームレンズの製造方法において、
物体側から順に、正屈折力の第1部分群と、正屈折力の第2部分群と、負屈折力の第3部分群と、正屈折力の第4部分群とを前記光学要素に配置し、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、及び前記後群の間隔を変化させることにより広角端状態から望遠端状態への変倍を行い、
前記第1部分群を光軸に沿って移動させることにより無限遠物点から近距離物点への合焦を行い、
前記第3部分群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させるように、物体側から順に、前記第1レンズ群と、前記第2レンズ群と、前記後群とを配置することを特徴とするズームレンズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−112788(P2011−112788A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267768(P2009−267768)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】