ズームレンズおよび撮像装置
【課題】高倍率で大口径比のズームレンズにおいて、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができるようにする。
【解決手段】物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の第1レンズ群G1、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の第2レンズ群G2、変倍時に光軸方向に対して固定される正の第3レンズ群G3、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の第4レンズ群G4を配し、第3レンズ群G3を、正の第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の第3群第2レンズの2枚からなるものとし、第4レンズ群G4を、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものとし、さらに、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd31としたときに条件式(1):16<νd31<35を満足するように構成する。
【解決手段】物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の第1レンズ群G1、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の第2レンズ群G2、変倍時に光軸方向に対して固定される正の第3レンズ群G3、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の第4レンズ群G4を配し、第3レンズ群G3を、正の第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の第3群第2レンズの2枚からなるものとし、第4レンズ群G4を、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものとし、さらに、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd31としたときに条件式(1):16<νd31<35を満足するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高倍率で大口径比のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、TV放送用カメラや、高画質タイプの民生用ビデオカメラに採用されるズームレンズにおいて、色分解プリズムを用いた3板撮像方式(例えば赤色、緑色、青色の各色毎に専用の撮像素子を用いてカラー画像を撮像する方式)に適用するズームレンズが知られている。これらのズームレンズに採用されるレンズタイプとして、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群の4つのレンズ群を有する4群からなるズームレンズ、あるいは、さらに、1つのレンズ群を加えた5群からなるズームレンズが多く提案されている。
【0003】
これらの3板撮像方式に適用されるズームレンズは、大口径比(例えば、F1.4〜F1.8)、かつバックフォーカス(後側焦点距離ともいう)が大きいことが特徴となっている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
また、そのような特徴を満足した上で、良好な光学性能を確保するためには、特に、開口絞り以降のレンズ構成の最適化が重要であることが知られている。
【0005】
例えば、開口絞りの直後に配されている第3レンズ群を3枚で構成したズームレンズ(特許文献1参照)や5枚で構成したズームレンズ(特許文献2参照)が知られている。特許文献2に記載のズームレンズは、第3レンズ群に防振機能を持たせるためもあって、レンズ枚数が多くなっているが、いずれにせよ、3板撮像方式に適用されるズームレンズは、第3レンズ群以降に多くのレンズが必要となってくる。
【0006】
また、特許文献1に記載のズームレンズは、変倍比が10倍程度とそれほど大きくないため、4群のレンズ枚数が少ない構成となっているが、変倍比をさらに大きくしようとするとこの4群のレンズ枚数が増えることになる。
【0007】
ところで、単板撮像方式(1つの撮像素子を用いてカラー画像を撮像する方式)に適用されるズームレンズには第3レンズ群を2群2枚のテレフォトタイプで構成したものが知られている(特許文献3参照)。この単板撮像方式に適用されるズームレンズは、少ないレンズ枚数で、大口径比(F1.4〜F1.6)を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−133582号公報
【特許文献2】特開2007−322635号公報
【特許文献3】特開平6−300968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、3板撮像方式へ適用するズームレンズに対して上記単板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群と同様の構成を適用し、この3板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群を2枚のレンズで構成することができれば、ズームレンズの小型化、および低コスト化を実現できると考えられる。
【0010】
ここで、3板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群以降のレンズのパワー配置は、そのズームレンズに対して定められるバックフォーカスに応じて大きく異なるため、第3レンズ群を2枚とする構成を3板撮像方式へ適用するズームレンズに採用するためには、ズームレンズを構成する各群のパワー配置および第3レンズ群を構成するレンズ部材の選択に工夫が必要となってくる。
【0011】
なお、4群構成でバックフォーカスの大きなズームレンズ(3板撮像方式に適用されるもの)と4群構成でバックフォーカスの小さなズームレンズ(単板撮像方式に適用されるもの)とでは、第3レンズ群と第4レンズ群とが担う役割、およびそれらのレンズ群に割り当てられるパワー配置に大きな違いがある。
【0012】
すなわち、3板撮像方式に適用するズームレンズは、大きなバックフォーカスを得るために、第3レンズ群のパワーが弱く第4レンズ群のパワーが強くなるように構成されており、このように構成されたズームレンズの収差補正のバランスは、単板撮像方式に適用するズームレンズの収差補正のバランスとは全く異なっている。
【0013】
例えば、特許文献3に示されるバックフォーカスの小さい単板撮像方式に適用するズームレンズの第3レンズ群を構成する正の屈折力を有するレンズには低分散材料が用いられている。このようにバックフォーカスの小さいタイプのズームレンズにおいては、各レンズ群毎に色消し(色収差の補正)が実施されていることが望ましく、第3レンズ群においても色消しのために低分散材料を用いることが望ましい。なお、以後の説明において、正の屈折力を有するレンズを正のレンズ、あるいは正レンズと称し、負の屈折力を有するレンズを負のレンズ、あるいは負レンズと称する。
【0014】
一方、3板撮像方式に適用するズームレンズにおいて、バックフォーカスを大きくしようとすると、第3レンズ群のパワーが弱くなり第4レンズ群に入射する光線高が大きくなる。そのため、色収差に関しては、主に、第4レンズ群が倍率色収差の補正を担い、第3レンズ群が軸上色収差の補正を担うことになる。より具体的には、第4レンズ群で軸上色収差が補正過剰気味になるため、第3レンズ群でその補正過剰気味の軸上色収差を打ち消してこの軸上色収差の補正におけるバランスを保つ必要がある。このように、3板撮像方式に適用するズームレンズにおいては、複数のレンズ群に跨って色消し(色収差の補正)が実施されることがある。
【0015】
さらに、3板撮像方式に適用するようなズームレンズにおいて、20倍に達するような高倍率を実現する際には、フォーカス調節を行う群である第4レンズ群の構成やパワー配分の最適化が重要となる。例えば、第4レンズ群のパワーが弱いと、変倍し合焦させる時のこの第4レンズ群の移動量が大きくなりズームレンズが大型化する。一方、ズームレンズを小型化するためには、第4レンズ群と同じ正の屈折力を有するレンズ群である第3レンズ群のパワーを強くする必要があるが、そうすると、バックフォーカスを大きくすることが難しくなる。これとは逆に、第4レンズ群のパワーを強くしすぎると、第4レンズ群の有効径が大きくなるとともに、フォーカシングがスムーズに実効できなくなるという問題が生じる。このように、高倍率で大口径比のズームレンズにおいて、第3レンズ群以降を少ないレンズ枚数で構成して、大きなバックフォーカスを得ることが難しいという問題がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる高倍率で大口径比のズームレンズおよび撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のズームレンズは、物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させて前記変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、第3レンズ群が、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものであり、第4レンズ群が、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものであり、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd31としたときに、条件式(1):16<νd31<35を満足することを特徴とするものである。
【0018】
前記第4レンズ群は、2枚以上の負レンズを有するものとすることができる。また、第4レンズ群は、負レンズを1枚のみ有するものとすることもできる。
【0019】
前記ズームレンズは、第3レンズ群全体の焦点距離をf3、第4レンズ群全体の焦点距離をf4としたときに、条件式(2):2.8<f3/f4<12.0を満足するものとすることが望ましい。
【0020】
前記ズームレンズは、ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離をftとしたときに、条件式(3):0.2<f4/ft<0.5を満足するものとすることが望ましい。
【0021】
前記ズームレンズは、第3群第1レンズの焦点距離をf31としたときに、条件式(4):0.2<f31/f3<0.7を満足するものとすることが望ましい。
【0022】
前記ズームレンズは、第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd32としたときに、条件式(5):νd32−νd31<30を満足するものとすることが望ましい。
【0023】
前記第4レンズ群は、3枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成されたものとすることができる。
【0024】
前記第4レンズ群は、物体側より順に、正の単レンズ、接合レンズ、正の単レンズを配した3群4枚で構成されたものとすることができる。
【0025】
なお、正の単レンズは、正の屈折力を有する単レンズを意味する。
【0026】
前記ズームレンズは、第4レンズ群に配されている正レンズそれぞれを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材におけるアッベ数をνd4pとしたときに、条件式(6):60<νd4pを満足するものとすることが望ましい。
【0027】
例えば、第4レンズ群中の正レンズが第1正レンズ〜第3正レンズの3枚のみであり、第1正レンズのアッベ数がν1、第2正レンズのアッベ数がν2、第3正レンズのアッベ数がν3であり、ν1<ν2<ν3であるときには、νd4pの値としてν3の値が適用されることになる。
【0028】
前記ズームレンズは、光軸上における第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔をdとし、光軸上における第3レンズ群全体の厚みをTL3としたときに、条件式(7):0.2<d/TL3<0.8を満足するものとすることが望ましい。
【0029】
なお、第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔は、互に隣接する第3群第1レンズのレンズ面と第3群第2レンズのレンズ面との光軸上での間隔(空気間隔)である。また、第3レンズ群全体の厚みは、第3レンズ群中の最も物体側のレンズ面からこの第3レンズ群中の最も像側のレンズ面までの光軸上での距離に対応するものである。
【0030】
前記第3レンズ群を構成する全てのレンズ面は球面とすることができる。すなわち、第3レンズ群は、全てのレンズ面が球面で形成されたものとすることができる
前記第4レンズ群を構成する全てのレンズ面は球面とすることができる。すなわち、第4レンズ群は、全てのレンズ面が球面で形成されたものとすることができる
前記ズームレンズは、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離をfwとしたときに、条件式(8):0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8を満足するものとすることが望ましい。
【0031】
前記第2レンズ群は、3枚の負レンズと1枚の正レンズとで構成されたものとすることができる。
【0032】
前記第2レンズ群は、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ、負の屈折力を有する第2群第2レンズ、正の屈折力を有する第2群第3レンズ、負の屈折力を有する第2群第4レンズを配したものとすることができる。
【0033】
本発明の撮像装置は、前記ズームレンズを備えたことを特徴とするものである。
【0034】
なお、接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてそのレンズ枚数をカウントする。
【0035】
また、レンズ群は、複数のレンズで構成されるものに限らず、1枚のレンズで構成されるものであってもよい。
【0036】
また、d線を基準とした光学部材のアッベ数νは、ν=(Nd−1)/(NF−NC)の式で求められる値である。ただし、NF:F線(486.1nm)に対する光学部材の屈折率、Nd:d線(587.6nm)に対する光学部材の屈折率、NC:C線(656.3nm)に対する光学部材の屈折率である。
【発明の効果】
【0037】
本発明のズームレンズおよび撮像装置によれば、物体側より順に、変倍時に固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、第3レンズ群を、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものとし、第4レンズ群を、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものとし、条件式(1):16<νd31<35を満足するようにしたので、このズームレンズの全ズーム域において軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを良好に保つことができ、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる。
【0038】
すなわち、大きなバックフォーカスを確保するために、第3レンズ群のパワーを弱くし第4レンズ群のパワーを強くすると、この第4レンズ群での光線高が大きくなる。そのようなときには、色収差補正の観点において、第4レンズ群は、主に倍率色収差を補正する役割を担い、第4レンズ群によって補正する軸上色収差については過剰補正気味になる。
【0039】
一方、第3レンズ群については、倍率色収差が良好に補正された状態を維持しつつ、上記第4レンズ群において過剰補正気味になっている軸上色収差を、光線高の小さい第3レンズ群で発生する軸上色収差によって打ち消すようにすることができる。
【0040】
すなわち、ズームレンズを変倍させ合焦させる時の色収差の変動を小さくするために、第4レンズ群では軸上色収差を補正過剰気味にしておき、第3レンズ群の正レンズに対して条件式(1)を満足するような高分散材料を用いて、第4レンズ群で生じる補正過剰気味の軸上色収差を第3レンズ群で生じる軸上色収差で相殺するようにバランスを取ることができる。
【0041】
このような色収差の補正は、ズームレンズを高倍率化したときにも同様に適用することができ、第3レンズ群の担う軸上色収差の補正と第4レンズ群の担う軸上色収差の補正とのバランスを調節することができるので、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる。
【0042】
これに対して、条件式(1)の範囲を外れるようにこのズームレンズを構成すると、軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを保てなくなるという問題が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】本発明の実施の形態によるズームレンズを備えた撮像装置の概略構成を示す断面図
【図1B】撮像装置のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図2A】実施例1のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図2B】実施例1のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図3A】実施例2のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図3B】実施例2のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図4A】実施例3のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図4B】実施例3のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図5A】実施例4のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図5B】実施例4のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図6A】実施例5のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図6B】実施例5のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図7A】実施例6のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図7B】実施例6のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図8A】実施例7のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図8B】実施例7のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図9】実施例1のズームレンズの諸収差を示す図
【図10】実施例2のズームレンズの諸収差を示す図
【図11】実施例3のズームレンズの諸収差を示す図
【図12】実施例4のズームレンズの諸収差を示す図
【図13】実施例5のズームレンズの諸収差を示す図
【図14】実施例6のズームレンズの諸収差を示す図
【図15】実施例7のズームレンズの諸収差を示す図
【図16】本発明のズームレンズを用いて構成したビデオカメラを示す図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置について図面を参照して説明する。
【0045】
図1A、図1Bは、本発明のズームレンズを備えた撮像装置の概略構成を示す断面図であり、図1Aはズーム設定を広角端に定めたときの状態を詳しく示す図、図1Bはズーム設定を広角端と望遠端とに定めたときの状態それぞれを比較して示す図である。図1B中の(W)で示す図はズーム設定を広角端に定めたときの状態を示し、図1B中の(T)で示す図はズーム設定を望遠端に定めたときの状態を示している。
【0046】
図示の撮像装置200は、装置サイズが小さく、大きなバックフォーカス(後側焦点距離ともいう)を有し、色分解プリズムを用いた3板撮像方式に適用可能な高倍率で大口径比のズームレンズ100を搭載したTV放送用カメラ等に用いられる撮像装置である。
【0047】
このズームレンズ100は、CCDやCMOS等からなる撮像素子210の受光面210J上に被写体Hを表す光学像Hkを結像させるものである。なお、この高倍率で大口径比のズームレンズ100は、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができるようにしたものである。
【0048】
撮像装置200に配されている撮像素子210は、ズームレンズ100を通して結像される被写体Hを表す光学像Hkを電気信号に変換して、この光学像Hkを示す画像信号Pkを出力するものである。
【0049】
このズームレンズ100は、ズーム設定を望遠端に定める場合から、望遠端と広角端との中間領域にズーム設定を定める場合に亘って、開放径を制御することを想定している。
【0050】
はじめに、ズームレンズの基本構成について説明する。
【0051】
<ズームレンズの基本構成およびその作用、効果について>
ズームレンズ100は、光軸Z1に沿って物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群G1、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群G2、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群G3、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群G4、および色分解光学系や各種フィルタ類である光学要素Cg1、Cg2を備えている。
【0052】
なお、平行平面板からなる各光学要素Cg1、Cg2は、ズームレンズ100を構成する最も像側に配された正または負の屈折力を有するレンズの像側、かつ、受光面210Jの物体側に配されている。
【0053】
第3レンズ群G3は、正の屈折力を有する第3群第1レンズL31と物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズL32の2枚からなるものである。なお、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズは物体側からこの順に配されたものとすることが望ましい。
【0054】
第4レンズ群G4は、1枚の負レンズ(ここでは、レンズL42)と2枚以上の正レンズ(ここでは、レンズL41、L43、L44)とを有するものである。
【0055】
さらに、ズームレンズ100は、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準とするアッベ数をνd31としたときに、条件式(1):16<νd31<35を満足するものである。
【0056】
なお、バックフォーカスは、ズームレンズ100の最終レンズ面の頂点から後側焦点までの距離である。ここでは、バックフォーカスは、ズームレンズ100を構成する最も像側に配された正または負の屈折力を有するレンズ(レンズL44)における像側のレンズ面から光学像Hkを結像させる受光面210Jまでの距離に対応する。
【0057】
<ズームレンズの基本構成をさらに限定する構成について>
次に、図示のズームレンズ100および撮像装置200の備える上記基本構成をさらに限定する構成要素およびその作用、効果について説明する。なお、基本構成をさらに限定するこれらの構成要素は本発明のズームレンズ100および撮像装置200にとって必須の構成ではない。
【0058】
また、本願発明のズームレンズ100および撮像装置200は、上記基本構成をさらに限定する構成要素の全てを満足するものであるが、本発明のズームレンズはこれらの基本構成をさらに限定する構成要素のうち、1つのみを満足するものとしてもよいし、2つ以上を組合わせたものを満足するものとしてもよい。
【0059】
はじめに、条件式(2)〜(7)において記号で示す各パラメータの意味をまとめて以下に示す。
【0060】
f3:第3レンズ群全体の焦点距離
f4:第4レンズ群全体の焦点距離
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
f31:第3群第1レンズの焦点距離
νd32:第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
νd4p:第4レンズ群に配されている各正レンズを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材のアッベ数
d:光軸上における第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔(空気間隔)
TL3:光軸上における第3レンズ群全体の厚み
f2:第2レンズ群の焦点距離
fw:ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
◇条件式(1)をさらに限定する構成
ズームレンズ100は、条件式(1′):17<νd31<33を満足するものとすることができる。条件式(1′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、より正確に、第4レンズ群G4で生じる補正過剰気味の軸上色収差を第3レンズ群G3で相殺することができる。これにより、より容易に、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができるズームレンズを構成することができる。
【0061】
◇条件式(2)に関する限定構成
条件式(2):2.8<f3/f4<12.0、およびより望ましい条件式(2′):3.0<f3/f4<11.5は、第3レンズ群G3の焦点距離f3と第4レンズ群G4の焦点距離f4との比を規定しており、第3レンズ群G3以降の後続のレンズ群の大型化を防止しつつ、十分な大きさのバックフォーカスを確保し十分遠方に射出瞳位置を定めるための条件である。
【0062】
条件式(2)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第3レンズ群G3のパワーが強くなり、変倍時や合焦時の球面収差の変動を抑えることが困難になるとともに、色分解光学系や各種フィルタ類(ここでは、光学要素Cg1、Cg2)を挿入可能とするための十分な大きさのバックフォーカスを得ることが困難になるという問題が生じる。さらに、第4レンズ群G4のパワーが弱くなることを補うためにこの第4レンズ群G4の移動量を大きくしようとすると、変倍時や合焦時の諸収差の変動が大きくなり好ましくない。
【0063】
また、これとは逆に、条件式(2)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第3レンズ群G3を通して射出される光束径(発散する光束径)が大きくなるため、第4レンズ群G4の径、すなわち、第4レンズ群G4を構成するレンズの径が大きくなるという問題が生じる。
【0064】
なお、条件式(2)または条件式(2′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(2′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(2)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0065】
◇条件式(3)に関する限定構成
条件式(3):0.2<f4/ft<0.5、およびより望ましい条件式(3′):0.2<f4/ft<0.4は、第4レンズ群G4の焦点距離f4とズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離ftとの関係を規定している。
【0066】
条件式(3)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第4レンズ群G4のパワーが強くなり過ぎて、第4レンズ群G4で生じる球面収差を抑えることが困難になるという問題が生じる。
【0067】
また、これとは逆に、条件式(3)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第4レンズ群G4のパワーが弱くなり、これを補うために第4レンズ群G4の変倍時の移動量を大きくしようとすると、変倍比が大きい場合にはレンズ系全体が大型化してしまうという問題が生じる。
【0068】
なお、条件式(3)または条件式(3′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(3′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(3)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0069】
◇条件式(4)に関する限定構成
条件式(4):0.2<f31/f3<0.7、およびより望ましい条件式(4′):0.25<f31/f3<0.6は、第3レンズ群G3中の第3群第1レンズL31の焦点距離f31と第3レンズ群G3全体の焦点距離f3との比を規定している。
【0070】
条件式(4)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第3群第1レンズL31のパワーが強くなり、諸収差、特に、高次の球面収差が補正不足になってしまうという問題が生じる。
【0071】
また、これとは逆に、条件式(4)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第3群第1レンズL31のパワーが弱くなり、第3レンズ群G3の持つ負のパワーの割合が増し像面湾曲や非点収差が増大するという問題が生じる。
【0072】
なお、条件式(4)または条件式(4′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(4′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(4)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0073】
◇条件式(5)に関する限定構成
条件式(5):νd32−νd31<30、およびより望ましい条件式(5′):νd32−νd31<28は、第3レンズ群3G中の第3群第1レンズL31と第3群第2レンズL32のアッベ数の差を規定している。
【0074】
条件式(5)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、軸上色収差が増大するという問題が生じる。
【0075】
なお、条件式(5)または条件式(5′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(5′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(5)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0076】
◇第4レンズ群に関する限定構成
第4レンズ群G4は、1枚の負レンズ(レンズL42)と3枚の正レンズ(レンズL41、L43、L44)とで構成されたものとすることができる。第4レンズ群G4をこのように構成されたものとすれば、ズームレンズ100の変倍比が大きい場合であっても、このズームレンズ100の変倍時や合焦時に生ずる諸収差の変動を抑えることができる。
【0077】
また、第4レンズ群G4は、物体側より順に、正の単レンズ(レンズL41)、接合レンズ(レンズL42、L43)、正の単レンズ(レンズL44)を配した3群4枚で構成されるものとすることができる。第4レンズ群G4をこのように構成されるものとすれば、上記と同様に、ズームレンズ100の変倍比が非常に大きい場合であっても、このズームレンズ100の変倍時や合焦時に生ずる諸収差の変動を抑制することができる。
【0078】
◇条件式(6)に関する限定構成
条件式(6):60<νd4p、およびより望ましい条件式(6′):62<νd4pは、第4レンズ群G4中に配置された正レンズ(レンズL41、L43、L44)のうち、d線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材を使用しているレンズ(例えば、レンズL43)におけるアッベ数を規定している。
【0079】
条件式(6)または条件式(6′)を満足するような低分散材料を少なくとも1枚の正レンズ(例えば、レンズL43)に採用すれば、上記のように軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを良好に保つことができる。
【0080】
なお、条件式(6′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(6)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0081】
◇条件式(7)に関する限定構成
条件式(7):0.20<d/TL3<0.80、およびより望ましい条件式(7′):0.21<d/TL3<0.75、は、第3レンズ群G3に配置されている2枚のレンズ(レンズL31、L32)の間隔dを、第3レンズ群G3全体の厚みTL3で規格化したものである。
【0082】
なお、2枚のレンズ(レンズL31、L32)の間隔dは、第3群第1レンズ(レンズL31)の像側のレンズ面と第3群第2レンズ(レンズL32)の物体側のレンズ面との光軸上での間隔(空気間隔)であり、第3レンズ群G3全体の厚みTL3は、第3群第1レンズ(レンズL31)の物体側のレンズ面から第3群第2レンズ(レンズL32)の像側のレンズ面までの光軸上での距離である。
【0083】
条件式(7)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、主点位置を物体側に寄せることができず、ズームレンズが大型化してしまうという問が生じる。
【0084】
また、これとは逆に、条件式(7)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、ペッツバール和がマイナス側で大きくなり、良好な像面特性を得ることが困難になる。
【0085】
なお、2枚のレンズ(レンズL31、L32)の空気間隔を条件式(7)または条件式(7′)に示すような範囲にまで広げて条件式(7)または条件式(7′)を満足するようにズームレンズ100を構成することにより、第3レンズ群G3の主点位置をより物体側に寄せることができ、レンズ系を小型化することができる。
【0086】
なお、条件式(7′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(7)を満足する場合よりもさらに上記第3レンズ群G3の主点位置を物体側に寄せることができ、レンズ系をさらに小型化することができる。
【0087】
◇第3レンズ群に関する限定構成
第3レンズ群G3を構成する全てのレンズ面(レンズL31、L32)は球面とすることができる。
【0088】
第3レンズ群G3を構成するレンズ面(レンズL31、L32)を全て球面とすることにより、レンズの製造が容易となり低コスト化を実現できるとともに、製造誤差や組み立て誤差に対する性能劣化を小さくすることができる。
【0089】
◇第4レンズ群に関する限定構成
第4レンズ群G4を構成する全てのレンズ面(レンズL41〜L44)は球面とすることができる。
【0090】
第4レンズ群G4を構成するレンズ面(レンズL41〜L44)を全て球面とすることにより、レンズの製造が容易となり低コスト化を実現できるとともに、製造誤差や組み立て誤差に対する性能劣化を小さくすることができる。
【0091】
◇条件式(8)に関する限定構成
条件式(8):0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8、およびより望ましい条件式(8′):0.42<|f2|/(fw・ft)1/2<0.75は、第2レンズ群G2の焦点距離と、ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ100全系の焦点距離fwと、ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ100全系の焦点距離ftとの関係を規定するものである。
【0092】
条件式(8)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第2レンズ群G2のパワーが強くなり過ぎて、像面湾曲、およびコマ収差の補正が困難になるという問題や、製造誤差の許容量が小さくなるという問題が生じる。
【0093】
なお、製造誤差の許容量が小さくなるとは、加工誤差や組立て誤差等による性能劣化の感度(敏感度、あるいは性能劣化感度)が大きくなることを意味する。製造誤差の許容量が小さくなると、加工誤差や組立て誤差に対して敏感に性能の劣化が顕れるようになる。一方、製造誤差の許容量が大きくなると、すなわち、性能劣化感度が小さくなると、加工誤差や組立て誤差に対する性能の劣化度合いが鈍感になる。
【0094】
また、これとは逆に、条件式(8)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第2レンズ群G2の移動量が大きくなるとともに、第1レンズ群1Gを通過する光線の高さが大きくなりズームレンズ100の全体が大型化してしまうという問題が生じる。
【0095】
なお、条件式(8)または条件式(8′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(8′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(8)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0096】
◇第2レンズ群に関する限定構成
第2レンズ群G2は、3枚の負レンズ(ここでは、レンズL21、L22、L24)と1枚の正レンズ(ここでは、レンズL23)とで構成されたものとすることができる。第2レンズ群G2をそのように構成されたものとすれば、第2レンズ群G2が負レンズを3枚有することによって、第2レンズ群G2全体の物体側主点の位置を物体側に近づけることができ、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との主点間隔を短くして、軸外光束が第1レンズ群G1を通過する高さを低く保つことができるので、第1レンズ群G1の大型化を抑制することができる。
【0097】
◇第2レンズ群に関する限定構成
第2レンズ群G2は、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ(レンズL21)、負の屈折力を有する第2群第2レンズ(レンズL22)、正の屈折力を有する第2群第3レンズ(レンズL23)、負の屈折力を有する第2群第4レンズ(レンズL24)を配したものとすることができる。第2レンズ群G2をそのように構成すれば、第2レンズ群G2中の物体側に2枚の負レンズを連続配置して負のパワーを集中させることができ、軸外光束が第1レンズ群G1を通過する高さをより低く保つことができるので、第1レンズ群G1の大型化を抑制することができる。
【0098】
<具体的な実施例>
以下、図2A、2B、・・・8A、8B、表1〜8を参照し、本発明のズームレンズの実施例1〜7それぞれの数値データ等についてまとめて説明する。なお、上述のズームレンズ100を示す図1A、1B中の符号と一致する図2A、2B、・・・8A、8B中の符号は互に対応する構成を示している。
【0099】
図2A、2B、・・・8A、8Bは、実施例1〜7のズームレンズそれぞれの概略構成を示す断面図である。
【0100】
図2A、3A・・・8Aはズーム設定を望遠端に定めた状態を詳しく示す図、図2B、3B・・・8Bはズーム設定を広角端に定めた状態と望遠端に定めた状態とを比較して示す図である。図2B〜図8B中の(W)で示す図はズーム設定を広角端に定めた状態を示し、図2B〜図8B中の(T)で示す図はズーム設定を望遠端に定めた状態を示す。
【0101】
また、図2A、3A・・・8Aの各図中に示すL1、L2、・・・の符号は、各レンズを指す符号であり、物体側から順に並ぶレンズの順番に対応している。ただし、符号L31、L32は、物体側から順に並ぶレンズの順番に対応するものではなく、符号L31が第3群第1レンズを示し、符号L32が第3群第2レンズを示している。また、図1A、1B中の符号L21〜L24は第2群中のレンズを示し、符号L41〜L44は第4群中のレンズを示している。
【0102】
なお、接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてそのレンズ枚数をカウントする。
【0103】
表1〜8は、実施例1〜7のズームレンズそれぞれの基本的なデータを示す図である。表1〜7の各表中の上部(図中符号(a)で示す)にレンズデータを、下部(図中符号(b)で示す)にズームレンズの概略仕様を示す。
【0104】
なお、これらの実施例におけるズームレンズを構成する全てのレンズ面は球面または平面である。
【0105】
また、表8は、実施例1〜7のズームレンズに関し、条件式(1)〜(8)それぞれの不等式によって範囲が定められる各値(実施例毎に定められる不等式中の計算式によって算出される値、あるいは不等式中に記号で示すズームレンズ光学系の定数に対応する値)を示すものである。
【0106】
なお、これらのズームレンズは、ズーム設定を望遠端に定める場合から、望遠端と広角端との中間領域にズーム設定を定める場合に亘って、開口絞りの開放径を絞り込む規制を行うように制御することを想定している。この開放径は、望遠端においてF2.9程度になるように制御される。
【0107】
表1〜7の上部の各レンズデータにおいて、面番号Siは、最も物体側から像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、・・・)のレンズ面等の番号を示す。なお、これらのレンズデータには開口絞りStも含めて記載している。
【0108】
曲率半径Riはi番目(i=1、2、3、・・・)の面の曲率半径を示し、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上における面間隔を示す。レンズデータの符号Riおよび符号Diは、レンズ面等を示す符号Si(i=1、2、3、・・・)と対応している。
【0109】
なお、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)の欄には面間隔を示す数字が記載されている場合と、符号Dn(nは数値)が記載されている場合があるが、符号Dnが記載されているところはレンズ群間の面間隔(空気間隔)に対応しており、それらの面間隔(空気間隔)はズーム倍率の変更に応じて変化する。
【0110】
Ndjは物体側から像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、・・・)の光学要素について波長587.6nm(d線)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線を基準としたアッベ数を示す。
【0111】
表1〜7のレンズデータにおいて、曲率半径および面間隔の単位はmmであり、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0112】
また、表1〜7の下部に符号(b)で示す欄に、広角端と望遠端とにおける各値、すなわち、f:レンズ全系の焦点距離(単位mm)、Fno:Fナンバー、2ω:全画角、D8、D15、D20、D27等:各レンズ群間の間隔を示す。
【0113】
なお、表1〜8は「発明を実施するための形態」における説明の最後にまとめて示す。
【0114】
また、図9〜15は、実施例1〜実施例7の各ズームレンズの諸収差を示す図である。図中には、波長587.6nm、波長460.0nm、波長615.0nmの各光に関する収差が示されている。
【0115】
上記図9〜図15の各図中に示す符号(A)〜(D)に対応する各収差図は広角端におけるものであり、球面収差(A)、非点収差(B)、ディストーション(歪曲収差)(C)、倍率色収差(倍率の色収差)(D)それぞれを示している。また、各図中に示す符号(E)〜(H)に対応する各収差図は望遠端におけるものであり、球面収差(E)、非点収差(F)、ディストーション(歪曲収差)(G)、倍率色収差(倍率の色収差)(H)それぞれを示している。
【0116】
なお、ディストーションの図は、レンズ全系の焦点距離f、半画角θ(変数扱い、0≦θ≦ω)を用いて、理想像高をf×tanθとし、それからのずれ量を示す。
【0117】
実施例1〜7に関する数値データおよび収差図等からわかるように、本発明の高倍率で大口径比のズームレンズおよび撮像装置は、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを実現することができる。
【0118】
図16は、本発明のズームレンズを用いて構成した撮像装置の一例であるビデオカメラの構成図を示すものである。なお、図16では、ズームレンズ1が備える第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、開口絞りSt、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4を概略的に示している。
【0119】
図示のビデオカメラ10は、3つの撮像素子を有するいわゆる3CCD方式の撮像装置であるが、本発明の撮像装置はこれに限定されず、1つの撮像素子で全波長帯域を撮像するものでもよい。ビデオカメラ10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたローパスフィルタおよび赤外線カットフィルタ等の機能を有するフィルタ2と、フィルタ2の像側に配置された色分解プリズム3R、3G、3Bと、各色分解プリズムの端面に設けられた撮像素子4R、4G、4Bと、信号処理回路5とを備えている。撮像素子4R、4G、4Bはズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を用いることができる。撮像素子4R、4G、4Bは、その撮像面がズームレンズ1を通して形成される各色毎の光学像の結像面それぞれに一致するように配置されている。
【0120】
ズームレンズ1を透過した光はフィルタ2により不要光成分が除去された後、色分解プリズム3R、3G、3Bにより赤、緑、青の各色光に分解され、撮像素子4R、4G、4Bの撮像面上に結像される。赤、緑、青の各色光に対応する撮像素子4R、4G、4Bからの出力信号は信号処理回路5で演算処理されてカラー画像信号が生成される。信号処理回路5で生成され出力されたカラー画像信号は表示装置6に入力され表示される。
【0121】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されず、発明の要旨を変更しない限りにおいて種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各表中に示した数値に限定されず、他の値を取り得る。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【符号の説明】
【0122】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L31 第3群第1レンズ
L32 第3群第2レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高倍率で大口径比のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、TV放送用カメラや、高画質タイプの民生用ビデオカメラに採用されるズームレンズにおいて、色分解プリズムを用いた3板撮像方式(例えば赤色、緑色、青色の各色毎に専用の撮像素子を用いてカラー画像を撮像する方式)に適用するズームレンズが知られている。これらのズームレンズに採用されるレンズタイプとして、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群の4つのレンズ群を有する4群からなるズームレンズ、あるいは、さらに、1つのレンズ群を加えた5群からなるズームレンズが多く提案されている。
【0003】
これらの3板撮像方式に適用されるズームレンズは、大口径比(例えば、F1.4〜F1.8)、かつバックフォーカス(後側焦点距離ともいう)が大きいことが特徴となっている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
また、そのような特徴を満足した上で、良好な光学性能を確保するためには、特に、開口絞り以降のレンズ構成の最適化が重要であることが知られている。
【0005】
例えば、開口絞りの直後に配されている第3レンズ群を3枚で構成したズームレンズ(特許文献1参照)や5枚で構成したズームレンズ(特許文献2参照)が知られている。特許文献2に記載のズームレンズは、第3レンズ群に防振機能を持たせるためもあって、レンズ枚数が多くなっているが、いずれにせよ、3板撮像方式に適用されるズームレンズは、第3レンズ群以降に多くのレンズが必要となってくる。
【0006】
また、特許文献1に記載のズームレンズは、変倍比が10倍程度とそれほど大きくないため、4群のレンズ枚数が少ない構成となっているが、変倍比をさらに大きくしようとするとこの4群のレンズ枚数が増えることになる。
【0007】
ところで、単板撮像方式(1つの撮像素子を用いてカラー画像を撮像する方式)に適用されるズームレンズには第3レンズ群を2群2枚のテレフォトタイプで構成したものが知られている(特許文献3参照)。この単板撮像方式に適用されるズームレンズは、少ないレンズ枚数で、大口径比(F1.4〜F1.6)を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−133582号公報
【特許文献2】特開2007−322635号公報
【特許文献3】特開平6−300968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、3板撮像方式へ適用するズームレンズに対して上記単板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群と同様の構成を適用し、この3板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群を2枚のレンズで構成することができれば、ズームレンズの小型化、および低コスト化を実現できると考えられる。
【0010】
ここで、3板撮像方式へ適用するズームレンズの第3レンズ群以降のレンズのパワー配置は、そのズームレンズに対して定められるバックフォーカスに応じて大きく異なるため、第3レンズ群を2枚とする構成を3板撮像方式へ適用するズームレンズに採用するためには、ズームレンズを構成する各群のパワー配置および第3レンズ群を構成するレンズ部材の選択に工夫が必要となってくる。
【0011】
なお、4群構成でバックフォーカスの大きなズームレンズ(3板撮像方式に適用されるもの)と4群構成でバックフォーカスの小さなズームレンズ(単板撮像方式に適用されるもの)とでは、第3レンズ群と第4レンズ群とが担う役割、およびそれらのレンズ群に割り当てられるパワー配置に大きな違いがある。
【0012】
すなわち、3板撮像方式に適用するズームレンズは、大きなバックフォーカスを得るために、第3レンズ群のパワーが弱く第4レンズ群のパワーが強くなるように構成されており、このように構成されたズームレンズの収差補正のバランスは、単板撮像方式に適用するズームレンズの収差補正のバランスとは全く異なっている。
【0013】
例えば、特許文献3に示されるバックフォーカスの小さい単板撮像方式に適用するズームレンズの第3レンズ群を構成する正の屈折力を有するレンズには低分散材料が用いられている。このようにバックフォーカスの小さいタイプのズームレンズにおいては、各レンズ群毎に色消し(色収差の補正)が実施されていることが望ましく、第3レンズ群においても色消しのために低分散材料を用いることが望ましい。なお、以後の説明において、正の屈折力を有するレンズを正のレンズ、あるいは正レンズと称し、負の屈折力を有するレンズを負のレンズ、あるいは負レンズと称する。
【0014】
一方、3板撮像方式に適用するズームレンズにおいて、バックフォーカスを大きくしようとすると、第3レンズ群のパワーが弱くなり第4レンズ群に入射する光線高が大きくなる。そのため、色収差に関しては、主に、第4レンズ群が倍率色収差の補正を担い、第3レンズ群が軸上色収差の補正を担うことになる。より具体的には、第4レンズ群で軸上色収差が補正過剰気味になるため、第3レンズ群でその補正過剰気味の軸上色収差を打ち消してこの軸上色収差の補正におけるバランスを保つ必要がある。このように、3板撮像方式に適用するズームレンズにおいては、複数のレンズ群に跨って色消し(色収差の補正)が実施されることがある。
【0015】
さらに、3板撮像方式に適用するようなズームレンズにおいて、20倍に達するような高倍率を実現する際には、フォーカス調節を行う群である第4レンズ群の構成やパワー配分の最適化が重要となる。例えば、第4レンズ群のパワーが弱いと、変倍し合焦させる時のこの第4レンズ群の移動量が大きくなりズームレンズが大型化する。一方、ズームレンズを小型化するためには、第4レンズ群と同じ正の屈折力を有するレンズ群である第3レンズ群のパワーを強くする必要があるが、そうすると、バックフォーカスを大きくすることが難しくなる。これとは逆に、第4レンズ群のパワーを強くしすぎると、第4レンズ群の有効径が大きくなるとともに、フォーカシングがスムーズに実効できなくなるという問題が生じる。このように、高倍率で大口径比のズームレンズにおいて、第3レンズ群以降を少ないレンズ枚数で構成して、大きなバックフォーカスを得ることが難しいという問題がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる高倍率で大口径比のズームレンズおよび撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のズームレンズは、物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させて前記変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、第3レンズ群が、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものであり、第4レンズ群が、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものであり、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd31としたときに、条件式(1):16<νd31<35を満足することを特徴とするものである。
【0018】
前記第4レンズ群は、2枚以上の負レンズを有するものとすることができる。また、第4レンズ群は、負レンズを1枚のみ有するものとすることもできる。
【0019】
前記ズームレンズは、第3レンズ群全体の焦点距離をf3、第4レンズ群全体の焦点距離をf4としたときに、条件式(2):2.8<f3/f4<12.0を満足するものとすることが望ましい。
【0020】
前記ズームレンズは、ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離をftとしたときに、条件式(3):0.2<f4/ft<0.5を満足するものとすることが望ましい。
【0021】
前記ズームレンズは、第3群第1レンズの焦点距離をf31としたときに、条件式(4):0.2<f31/f3<0.7を満足するものとすることが望ましい。
【0022】
前記ズームレンズは、第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数をνd32としたときに、条件式(5):νd32−νd31<30を満足するものとすることが望ましい。
【0023】
前記第4レンズ群は、3枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成されたものとすることができる。
【0024】
前記第4レンズ群は、物体側より順に、正の単レンズ、接合レンズ、正の単レンズを配した3群4枚で構成されたものとすることができる。
【0025】
なお、正の単レンズは、正の屈折力を有する単レンズを意味する。
【0026】
前記ズームレンズは、第4レンズ群に配されている正レンズそれぞれを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材におけるアッベ数をνd4pとしたときに、条件式(6):60<νd4pを満足するものとすることが望ましい。
【0027】
例えば、第4レンズ群中の正レンズが第1正レンズ〜第3正レンズの3枚のみであり、第1正レンズのアッベ数がν1、第2正レンズのアッベ数がν2、第3正レンズのアッベ数がν3であり、ν1<ν2<ν3であるときには、νd4pの値としてν3の値が適用されることになる。
【0028】
前記ズームレンズは、光軸上における第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔をdとし、光軸上における第3レンズ群全体の厚みをTL3としたときに、条件式(7):0.2<d/TL3<0.8を満足するものとすることが望ましい。
【0029】
なお、第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔は、互に隣接する第3群第1レンズのレンズ面と第3群第2レンズのレンズ面との光軸上での間隔(空気間隔)である。また、第3レンズ群全体の厚みは、第3レンズ群中の最も物体側のレンズ面からこの第3レンズ群中の最も像側のレンズ面までの光軸上での距離に対応するものである。
【0030】
前記第3レンズ群を構成する全てのレンズ面は球面とすることができる。すなわち、第3レンズ群は、全てのレンズ面が球面で形成されたものとすることができる
前記第4レンズ群を構成する全てのレンズ面は球面とすることができる。すなわち、第4レンズ群は、全てのレンズ面が球面で形成されたものとすることができる
前記ズームレンズは、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離をfwとしたときに、条件式(8):0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8を満足するものとすることが望ましい。
【0031】
前記第2レンズ群は、3枚の負レンズと1枚の正レンズとで構成されたものとすることができる。
【0032】
前記第2レンズ群は、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ、負の屈折力を有する第2群第2レンズ、正の屈折力を有する第2群第3レンズ、負の屈折力を有する第2群第4レンズを配したものとすることができる。
【0033】
本発明の撮像装置は、前記ズームレンズを備えたことを特徴とするものである。
【0034】
なお、接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてそのレンズ枚数をカウントする。
【0035】
また、レンズ群は、複数のレンズで構成されるものに限らず、1枚のレンズで構成されるものであってもよい。
【0036】
また、d線を基準とした光学部材のアッベ数νは、ν=(Nd−1)/(NF−NC)の式で求められる値である。ただし、NF:F線(486.1nm)に対する光学部材の屈折率、Nd:d線(587.6nm)に対する光学部材の屈折率、NC:C線(656.3nm)に対する光学部材の屈折率である。
【発明の効果】
【0037】
本発明のズームレンズおよび撮像装置によれば、物体側より順に、変倍時に固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、第3レンズ群を、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものとし、第4レンズ群を、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものとし、条件式(1):16<νd31<35を満足するようにしたので、このズームレンズの全ズーム域において軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを良好に保つことができ、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる。
【0038】
すなわち、大きなバックフォーカスを確保するために、第3レンズ群のパワーを弱くし第4レンズ群のパワーを強くすると、この第4レンズ群での光線高が大きくなる。そのようなときには、色収差補正の観点において、第4レンズ群は、主に倍率色収差を補正する役割を担い、第4レンズ群によって補正する軸上色収差については過剰補正気味になる。
【0039】
一方、第3レンズ群については、倍率色収差が良好に補正された状態を維持しつつ、上記第4レンズ群において過剰補正気味になっている軸上色収差を、光線高の小さい第3レンズ群で発生する軸上色収差によって打ち消すようにすることができる。
【0040】
すなわち、ズームレンズを変倍させ合焦させる時の色収差の変動を小さくするために、第4レンズ群では軸上色収差を補正過剰気味にしておき、第3レンズ群の正レンズに対して条件式(1)を満足するような高分散材料を用いて、第4レンズ群で生じる補正過剰気味の軸上色収差を第3レンズ群で生じる軸上色収差で相殺するようにバランスを取ることができる。
【0041】
このような色収差の補正は、ズームレンズを高倍率化したときにも同様に適用することができ、第3レンズ群の担う軸上色収差の補正と第4レンズ群の担う軸上色収差の補正とのバランスを調節することができるので、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができる。
【0042】
これに対して、条件式(1)の範囲を外れるようにこのズームレンズを構成すると、軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを保てなくなるという問題が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】本発明の実施の形態によるズームレンズを備えた撮像装置の概略構成を示す断面図
【図1B】撮像装置のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図2A】実施例1のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図2B】実施例1のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図3A】実施例2のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図3B】実施例2のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図4A】実施例3のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図4B】実施例3のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図5A】実施例4のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図5B】実施例4のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図6A】実施例5のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図6B】実施例5のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図7A】実施例6のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図7B】実施例6のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図8A】実施例7のズームレンズの概略構成を示す断面図
【図8B】実施例7のズームレンズを広角端と望遠端とに設定したときの各状態を比較して示す図
【図9】実施例1のズームレンズの諸収差を示す図
【図10】実施例2のズームレンズの諸収差を示す図
【図11】実施例3のズームレンズの諸収差を示す図
【図12】実施例4のズームレンズの諸収差を示す図
【図13】実施例5のズームレンズの諸収差を示す図
【図14】実施例6のズームレンズの諸収差を示す図
【図15】実施例7のズームレンズの諸収差を示す図
【図16】本発明のズームレンズを用いて構成したビデオカメラを示す図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置について図面を参照して説明する。
【0045】
図1A、図1Bは、本発明のズームレンズを備えた撮像装置の概略構成を示す断面図であり、図1Aはズーム設定を広角端に定めたときの状態を詳しく示す図、図1Bはズーム設定を広角端と望遠端とに定めたときの状態それぞれを比較して示す図である。図1B中の(W)で示す図はズーム設定を広角端に定めたときの状態を示し、図1B中の(T)で示す図はズーム設定を望遠端に定めたときの状態を示している。
【0046】
図示の撮像装置200は、装置サイズが小さく、大きなバックフォーカス(後側焦点距離ともいう)を有し、色分解プリズムを用いた3板撮像方式に適用可能な高倍率で大口径比のズームレンズ100を搭載したTV放送用カメラ等に用いられる撮像装置である。
【0047】
このズームレンズ100は、CCDやCMOS等からなる撮像素子210の受光面210J上に被写体Hを表す光学像Hkを結像させるものである。なお、この高倍率で大口径比のズームレンズ100は、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができるようにしたものである。
【0048】
撮像装置200に配されている撮像素子210は、ズームレンズ100を通して結像される被写体Hを表す光学像Hkを電気信号に変換して、この光学像Hkを示す画像信号Pkを出力するものである。
【0049】
このズームレンズ100は、ズーム設定を望遠端に定める場合から、望遠端と広角端との中間領域にズーム設定を定める場合に亘って、開放径を制御することを想定している。
【0050】
はじめに、ズームレンズの基本構成について説明する。
【0051】
<ズームレンズの基本構成およびその作用、効果について>
ズームレンズ100は、光軸Z1に沿って物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群G1、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群G2、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群G3、変倍時に移動させてこの変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群G4、および色分解光学系や各種フィルタ類である光学要素Cg1、Cg2を備えている。
【0052】
なお、平行平面板からなる各光学要素Cg1、Cg2は、ズームレンズ100を構成する最も像側に配された正または負の屈折力を有するレンズの像側、かつ、受光面210Jの物体側に配されている。
【0053】
第3レンズ群G3は、正の屈折力を有する第3群第1レンズL31と物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズL32の2枚からなるものである。なお、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズは物体側からこの順に配されたものとすることが望ましい。
【0054】
第4レンズ群G4は、1枚の負レンズ(ここでは、レンズL42)と2枚以上の正レンズ(ここでは、レンズL41、L43、L44)とを有するものである。
【0055】
さらに、ズームレンズ100は、第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準とするアッベ数をνd31としたときに、条件式(1):16<νd31<35を満足するものである。
【0056】
なお、バックフォーカスは、ズームレンズ100の最終レンズ面の頂点から後側焦点までの距離である。ここでは、バックフォーカスは、ズームレンズ100を構成する最も像側に配された正または負の屈折力を有するレンズ(レンズL44)における像側のレンズ面から光学像Hkを結像させる受光面210Jまでの距離に対応する。
【0057】
<ズームレンズの基本構成をさらに限定する構成について>
次に、図示のズームレンズ100および撮像装置200の備える上記基本構成をさらに限定する構成要素およびその作用、効果について説明する。なお、基本構成をさらに限定するこれらの構成要素は本発明のズームレンズ100および撮像装置200にとって必須の構成ではない。
【0058】
また、本願発明のズームレンズ100および撮像装置200は、上記基本構成をさらに限定する構成要素の全てを満足するものであるが、本発明のズームレンズはこれらの基本構成をさらに限定する構成要素のうち、1つのみを満足するものとしてもよいし、2つ以上を組合わせたものを満足するものとしてもよい。
【0059】
はじめに、条件式(2)〜(7)において記号で示す各パラメータの意味をまとめて以下に示す。
【0060】
f3:第3レンズ群全体の焦点距離
f4:第4レンズ群全体の焦点距離
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
f31:第3群第1レンズの焦点距離
νd32:第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
νd4p:第4レンズ群に配されている各正レンズを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材のアッベ数
d:光軸上における第3群第1レンズと第3群第2レンズとの間隔(空気間隔)
TL3:光軸上における第3レンズ群全体の厚み
f2:第2レンズ群の焦点距離
fw:ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
◇条件式(1)をさらに限定する構成
ズームレンズ100は、条件式(1′):17<νd31<33を満足するものとすることができる。条件式(1′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、より正確に、第4レンズ群G4で生じる補正過剰気味の軸上色収差を第3レンズ群G3で相殺することができる。これにより、より容易に、高倍率で大口径比でありながら少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを得ることができるズームレンズを構成することができる。
【0061】
◇条件式(2)に関する限定構成
条件式(2):2.8<f3/f4<12.0、およびより望ましい条件式(2′):3.0<f3/f4<11.5は、第3レンズ群G3の焦点距離f3と第4レンズ群G4の焦点距離f4との比を規定しており、第3レンズ群G3以降の後続のレンズ群の大型化を防止しつつ、十分な大きさのバックフォーカスを確保し十分遠方に射出瞳位置を定めるための条件である。
【0062】
条件式(2)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第3レンズ群G3のパワーが強くなり、変倍時や合焦時の球面収差の変動を抑えることが困難になるとともに、色分解光学系や各種フィルタ類(ここでは、光学要素Cg1、Cg2)を挿入可能とするための十分な大きさのバックフォーカスを得ることが困難になるという問題が生じる。さらに、第4レンズ群G4のパワーが弱くなることを補うためにこの第4レンズ群G4の移動量を大きくしようとすると、変倍時や合焦時の諸収差の変動が大きくなり好ましくない。
【0063】
また、これとは逆に、条件式(2)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第3レンズ群G3を通して射出される光束径(発散する光束径)が大きくなるため、第4レンズ群G4の径、すなわち、第4レンズ群G4を構成するレンズの径が大きくなるという問題が生じる。
【0064】
なお、条件式(2)または条件式(2′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(2′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(2)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0065】
◇条件式(3)に関する限定構成
条件式(3):0.2<f4/ft<0.5、およびより望ましい条件式(3′):0.2<f4/ft<0.4は、第4レンズ群G4の焦点距離f4とズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離ftとの関係を規定している。
【0066】
条件式(3)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第4レンズ群G4のパワーが強くなり過ぎて、第4レンズ群G4で生じる球面収差を抑えることが困難になるという問題が生じる。
【0067】
また、これとは逆に、条件式(3)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第4レンズ群G4のパワーが弱くなり、これを補うために第4レンズ群G4の変倍時の移動量を大きくしようとすると、変倍比が大きい場合にはレンズ系全体が大型化してしまうという問題が生じる。
【0068】
なお、条件式(3)または条件式(3′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(3′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(3)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0069】
◇条件式(4)に関する限定構成
条件式(4):0.2<f31/f3<0.7、およびより望ましい条件式(4′):0.25<f31/f3<0.6は、第3レンズ群G3中の第3群第1レンズL31の焦点距離f31と第3レンズ群G3全体の焦点距離f3との比を規定している。
【0070】
条件式(4)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第3群第1レンズL31のパワーが強くなり、諸収差、特に、高次の球面収差が補正不足になってしまうという問題が生じる。
【0071】
また、これとは逆に、条件式(4)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第3群第1レンズL31のパワーが弱くなり、第3レンズ群G3の持つ負のパワーの割合が増し像面湾曲や非点収差が増大するという問題が生じる。
【0072】
なお、条件式(4)または条件式(4′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(4′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(4)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0073】
◇条件式(5)に関する限定構成
条件式(5):νd32−νd31<30、およびより望ましい条件式(5′):νd32−νd31<28は、第3レンズ群3G中の第3群第1レンズL31と第3群第2レンズL32のアッベ数の差を規定している。
【0074】
条件式(5)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、軸上色収差が増大するという問題が生じる。
【0075】
なお、条件式(5)または条件式(5′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(5′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(5)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0076】
◇第4レンズ群に関する限定構成
第4レンズ群G4は、1枚の負レンズ(レンズL42)と3枚の正レンズ(レンズL41、L43、L44)とで構成されたものとすることができる。第4レンズ群G4をこのように構成されたものとすれば、ズームレンズ100の変倍比が大きい場合であっても、このズームレンズ100の変倍時や合焦時に生ずる諸収差の変動を抑えることができる。
【0077】
また、第4レンズ群G4は、物体側より順に、正の単レンズ(レンズL41)、接合レンズ(レンズL42、L43)、正の単レンズ(レンズL44)を配した3群4枚で構成されるものとすることができる。第4レンズ群G4をこのように構成されるものとすれば、上記と同様に、ズームレンズ100の変倍比が非常に大きい場合であっても、このズームレンズ100の変倍時や合焦時に生ずる諸収差の変動を抑制することができる。
【0078】
◇条件式(6)に関する限定構成
条件式(6):60<νd4p、およびより望ましい条件式(6′):62<νd4pは、第4レンズ群G4中に配置された正レンズ(レンズL41、L43、L44)のうち、d線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材を使用しているレンズ(例えば、レンズL43)におけるアッベ数を規定している。
【0079】
条件式(6)または条件式(6′)を満足するような低分散材料を少なくとも1枚の正レンズ(例えば、レンズL43)に採用すれば、上記のように軸上色収差の補正と倍率色収差の補正とのバランスを良好に保つことができる。
【0080】
なお、条件式(6′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(6)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0081】
◇条件式(7)に関する限定構成
条件式(7):0.20<d/TL3<0.80、およびより望ましい条件式(7′):0.21<d/TL3<0.75、は、第3レンズ群G3に配置されている2枚のレンズ(レンズL31、L32)の間隔dを、第3レンズ群G3全体の厚みTL3で規格化したものである。
【0082】
なお、2枚のレンズ(レンズL31、L32)の間隔dは、第3群第1レンズ(レンズL31)の像側のレンズ面と第3群第2レンズ(レンズL32)の物体側のレンズ面との光軸上での間隔(空気間隔)であり、第3レンズ群G3全体の厚みTL3は、第3群第1レンズ(レンズL31)の物体側のレンズ面から第3群第2レンズ(レンズL32)の像側のレンズ面までの光軸上での距離である。
【0083】
条件式(7)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、主点位置を物体側に寄せることができず、ズームレンズが大型化してしまうという問が生じる。
【0084】
また、これとは逆に、条件式(7)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、ペッツバール和がマイナス側で大きくなり、良好な像面特性を得ることが困難になる。
【0085】
なお、2枚のレンズ(レンズL31、L32)の空気間隔を条件式(7)または条件式(7′)に示すような範囲にまで広げて条件式(7)または条件式(7′)を満足するようにズームレンズ100を構成することにより、第3レンズ群G3の主点位置をより物体側に寄せることができ、レンズ系を小型化することができる。
【0086】
なお、条件式(7′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(7)を満足する場合よりもさらに上記第3レンズ群G3の主点位置を物体側に寄せることができ、レンズ系をさらに小型化することができる。
【0087】
◇第3レンズ群に関する限定構成
第3レンズ群G3を構成する全てのレンズ面(レンズL31、L32)は球面とすることができる。
【0088】
第3レンズ群G3を構成するレンズ面(レンズL31、L32)を全て球面とすることにより、レンズの製造が容易となり低コスト化を実現できるとともに、製造誤差や組み立て誤差に対する性能劣化を小さくすることができる。
【0089】
◇第4レンズ群に関する限定構成
第4レンズ群G4を構成する全てのレンズ面(レンズL41〜L44)は球面とすることができる。
【0090】
第4レンズ群G4を構成するレンズ面(レンズL41〜L44)を全て球面とすることにより、レンズの製造が容易となり低コスト化を実現できるとともに、製造誤差や組み立て誤差に対する性能劣化を小さくすることができる。
【0091】
◇条件式(8)に関する限定構成
条件式(8):0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8、およびより望ましい条件式(8′):0.42<|f2|/(fw・ft)1/2<0.75は、第2レンズ群G2の焦点距離と、ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ100全系の焦点距離fwと、ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ100全系の焦点距離ftとの関係を規定するものである。
【0092】
条件式(8)の下限を下回るようにズームレンズ100を構成すると、第2レンズ群G2のパワーが強くなり過ぎて、像面湾曲、およびコマ収差の補正が困難になるという問題や、製造誤差の許容量が小さくなるという問題が生じる。
【0093】
なお、製造誤差の許容量が小さくなるとは、加工誤差や組立て誤差等による性能劣化の感度(敏感度、あるいは性能劣化感度)が大きくなることを意味する。製造誤差の許容量が小さくなると、加工誤差や組立て誤差に対して敏感に性能の劣化が顕れるようになる。一方、製造誤差の許容量が大きくなると、すなわち、性能劣化感度が小さくなると、加工誤差や組立て誤差に対する性能の劣化度合いが鈍感になる。
【0094】
また、これとは逆に、条件式(8)の上限を上回るようにズームレンズ100を構成すると、第2レンズ群G2の移動量が大きくなるとともに、第1レンズ群1Gを通過する光線の高さが大きくなりズームレンズ100の全体が大型化してしまうという問題が生じる。
【0095】
なお、条件式(8)または条件式(8′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、そのような問題の発生を抑制することができる。また、条件式(8′)を満足するようにズームレンズ100を構成すれば、条件式(8)を満足する場合よりもさらに望ましいレンズ特性を得ることができる。
【0096】
◇第2レンズ群に関する限定構成
第2レンズ群G2は、3枚の負レンズ(ここでは、レンズL21、L22、L24)と1枚の正レンズ(ここでは、レンズL23)とで構成されたものとすることができる。第2レンズ群G2をそのように構成されたものとすれば、第2レンズ群G2が負レンズを3枚有することによって、第2レンズ群G2全体の物体側主点の位置を物体側に近づけることができ、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との主点間隔を短くして、軸外光束が第1レンズ群G1を通過する高さを低く保つことができるので、第1レンズ群G1の大型化を抑制することができる。
【0097】
◇第2レンズ群に関する限定構成
第2レンズ群G2は、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ(レンズL21)、負の屈折力を有する第2群第2レンズ(レンズL22)、正の屈折力を有する第2群第3レンズ(レンズL23)、負の屈折力を有する第2群第4レンズ(レンズL24)を配したものとすることができる。第2レンズ群G2をそのように構成すれば、第2レンズ群G2中の物体側に2枚の負レンズを連続配置して負のパワーを集中させることができ、軸外光束が第1レンズ群G1を通過する高さをより低く保つことができるので、第1レンズ群G1の大型化を抑制することができる。
【0098】
<具体的な実施例>
以下、図2A、2B、・・・8A、8B、表1〜8を参照し、本発明のズームレンズの実施例1〜7それぞれの数値データ等についてまとめて説明する。なお、上述のズームレンズ100を示す図1A、1B中の符号と一致する図2A、2B、・・・8A、8B中の符号は互に対応する構成を示している。
【0099】
図2A、2B、・・・8A、8Bは、実施例1〜7のズームレンズそれぞれの概略構成を示す断面図である。
【0100】
図2A、3A・・・8Aはズーム設定を望遠端に定めた状態を詳しく示す図、図2B、3B・・・8Bはズーム設定を広角端に定めた状態と望遠端に定めた状態とを比較して示す図である。図2B〜図8B中の(W)で示す図はズーム設定を広角端に定めた状態を示し、図2B〜図8B中の(T)で示す図はズーム設定を望遠端に定めた状態を示す。
【0101】
また、図2A、3A・・・8Aの各図中に示すL1、L2、・・・の符号は、各レンズを指す符号であり、物体側から順に並ぶレンズの順番に対応している。ただし、符号L31、L32は、物体側から順に並ぶレンズの順番に対応するものではなく、符号L31が第3群第1レンズを示し、符号L32が第3群第2レンズを示している。また、図1A、1B中の符号L21〜L24は第2群中のレンズを示し、符号L41〜L44は第4群中のレンズを示している。
【0102】
なお、接合レンズを含む場合のレンズ枚数については、n枚のレンズを接合してなる接合レンズはn枚のレンズからなるものとしてそのレンズ枚数をカウントする。
【0103】
表1〜8は、実施例1〜7のズームレンズそれぞれの基本的なデータを示す図である。表1〜7の各表中の上部(図中符号(a)で示す)にレンズデータを、下部(図中符号(b)で示す)にズームレンズの概略仕様を示す。
【0104】
なお、これらの実施例におけるズームレンズを構成する全てのレンズ面は球面または平面である。
【0105】
また、表8は、実施例1〜7のズームレンズに関し、条件式(1)〜(8)それぞれの不等式によって範囲が定められる各値(実施例毎に定められる不等式中の計算式によって算出される値、あるいは不等式中に記号で示すズームレンズ光学系の定数に対応する値)を示すものである。
【0106】
なお、これらのズームレンズは、ズーム設定を望遠端に定める場合から、望遠端と広角端との中間領域にズーム設定を定める場合に亘って、開口絞りの開放径を絞り込む規制を行うように制御することを想定している。この開放径は、望遠端においてF2.9程度になるように制御される。
【0107】
表1〜7の上部の各レンズデータにおいて、面番号Siは、最も物体側から像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、・・・)のレンズ面等の番号を示す。なお、これらのレンズデータには開口絞りStも含めて記載している。
【0108】
曲率半径Riはi番目(i=1、2、3、・・・)の面の曲率半径を示し、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上における面間隔を示す。レンズデータの符号Riおよび符号Diは、レンズ面等を示す符号Si(i=1、2、3、・・・)と対応している。
【0109】
なお、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)の欄には面間隔を示す数字が記載されている場合と、符号Dn(nは数値)が記載されている場合があるが、符号Dnが記載されているところはレンズ群間の面間隔(空気間隔)に対応しており、それらの面間隔(空気間隔)はズーム倍率の変更に応じて変化する。
【0110】
Ndjは物体側から像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、・・・)の光学要素について波長587.6nm(d線)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線を基準としたアッベ数を示す。
【0111】
表1〜7のレンズデータにおいて、曲率半径および面間隔の単位はmmであり、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0112】
また、表1〜7の下部に符号(b)で示す欄に、広角端と望遠端とにおける各値、すなわち、f:レンズ全系の焦点距離(単位mm)、Fno:Fナンバー、2ω:全画角、D8、D15、D20、D27等:各レンズ群間の間隔を示す。
【0113】
なお、表1〜8は「発明を実施するための形態」における説明の最後にまとめて示す。
【0114】
また、図9〜15は、実施例1〜実施例7の各ズームレンズの諸収差を示す図である。図中には、波長587.6nm、波長460.0nm、波長615.0nmの各光に関する収差が示されている。
【0115】
上記図9〜図15の各図中に示す符号(A)〜(D)に対応する各収差図は広角端におけるものであり、球面収差(A)、非点収差(B)、ディストーション(歪曲収差)(C)、倍率色収差(倍率の色収差)(D)それぞれを示している。また、各図中に示す符号(E)〜(H)に対応する各収差図は望遠端におけるものであり、球面収差(E)、非点収差(F)、ディストーション(歪曲収差)(G)、倍率色収差(倍率の色収差)(H)それぞれを示している。
【0116】
なお、ディストーションの図は、レンズ全系の焦点距離f、半画角θ(変数扱い、0≦θ≦ω)を用いて、理想像高をf×tanθとし、それからのずれ量を示す。
【0117】
実施例1〜7に関する数値データおよび収差図等からわかるように、本発明の高倍率で大口径比のズームレンズおよび撮像装置は、少ないレンズ枚数で大きなバックフォーカスを実現することができる。
【0118】
図16は、本発明のズームレンズを用いて構成した撮像装置の一例であるビデオカメラの構成図を示すものである。なお、図16では、ズームレンズ1が備える第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、開口絞りSt、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4を概略的に示している。
【0119】
図示のビデオカメラ10は、3つの撮像素子を有するいわゆる3CCD方式の撮像装置であるが、本発明の撮像装置はこれに限定されず、1つの撮像素子で全波長帯域を撮像するものでもよい。ビデオカメラ10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたローパスフィルタおよび赤外線カットフィルタ等の機能を有するフィルタ2と、フィルタ2の像側に配置された色分解プリズム3R、3G、3Bと、各色分解プリズムの端面に設けられた撮像素子4R、4G、4Bと、信号処理回路5とを備えている。撮像素子4R、4G、4Bはズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を用いることができる。撮像素子4R、4G、4Bは、その撮像面がズームレンズ1を通して形成される各色毎の光学像の結像面それぞれに一致するように配置されている。
【0120】
ズームレンズ1を透過した光はフィルタ2により不要光成分が除去された後、色分解プリズム3R、3G、3Bにより赤、緑、青の各色光に分解され、撮像素子4R、4G、4Bの撮像面上に結像される。赤、緑、青の各色光に対応する撮像素子4R、4G、4Bからの出力信号は信号処理回路5で演算処理されてカラー画像信号が生成される。信号処理回路5で生成され出力されたカラー画像信号は表示装置6に入力され表示される。
【0121】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されず、発明の要旨を変更しない限りにおいて種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各表中に示した数値に限定されず、他の値を取り得る。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【符号の説明】
【0122】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L31 第3群第1レンズ
L32 第3群第2レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させて前記変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、
前記第3レンズ群が、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものであり、
前記第4レンズ群が、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものであり、
以下の条件式(1)を満足するものであることを特徴とするズームレンズ。
16<νd31<35 ・・・(1)
νd31:第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。
2.8<f3/f4<12.0 ・・・(2)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載のズームレンズ。
0.2<f4/ft<0.5 ・・・(3)
ただし、
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.2<f31/f3<0.7 ・・・(4)
ただし、
f31:第3群第1レンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のズームレンズ。
νd32−νd31<30 ・・・(5)
ただし、
νd32:第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
【請求項6】
前記第4レンズ群が、3枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第4レンズ群が、物体側より順に、正の単レンズ、接合レンズ、正の単レンズを配した3群4枚で構成されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項8】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項6または7記載のズームレンズ。
60<νd4p ・・・(6)
ただし、
νd4p:第4レンズ群に配されている正レンズそれぞれを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材のアッベ数、
【請求項9】
以下の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.2<d/TL3<0.8 ・・・(7)
ただし、
d:第3群第1レンズと第3群第2レンズとの光軸上における間隔(空気間隔)
TL3:第3レンズ群全体の光軸上における厚み
【請求項10】
前記第3レンズ群を構成する全てのレンズ面が球面であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第4レンズ群を構成する全てのレンズ面が球面であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項12】
以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8 ・・・(8)
ただし、
f2:第2レンズ群の焦点距離
fw:ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
【請求項13】
前記第2レンズ群が、3枚の負レンズと1枚の正レンズとで構成されたものであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記第2レンズ群が、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ、負の屈折力を有する第2群第2レンズ、正の屈折力を有する第2群第3レンズ、負の屈折力を有する第2群第4レンズを配したものであることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載のズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
物体側より順に、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第1レンズ群、変倍時に移動させて倍率を変化させる負の屈折力を有する第2レンズ群、変倍時に光軸方向に対して固定される正の屈折力を有する第3レンズ群、変倍時に移動させて前記変倍に伴う像面位置の変動を補正し合焦させる正の屈折力を有する第4レンズ群を有し、
前記第3レンズ群が、正の屈折力を有する第3群第1レンズと物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3群第2レンズの2枚からなるものであり、
前記第4レンズ群が、負レンズと2枚以上の正レンズとを有するものであり、
以下の条件式(1)を満足するものであることを特徴とするズームレンズ。
16<νd31<35 ・・・(1)
νd31:第3群第1レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。
2.8<f3/f4<12.0 ・・・(2)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載のズームレンズ。
0.2<f4/ft<0.5 ・・・(3)
ただし、
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.2<f31/f3<0.7 ・・・(4)
ただし、
f31:第3群第1レンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のズームレンズ。
νd32−νd31<30 ・・・(5)
ただし、
νd32:第3群第2レンズを形成する光学部材のd線を基準としたアッベ数
【請求項6】
前記第4レンズ群が、3枚の正レンズと1枚の負レンズとで構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第4レンズ群が、物体側より順に、正の単レンズ、接合レンズ、正の単レンズを配した3群4枚で構成されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項8】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項6または7記載のズームレンズ。
60<νd4p ・・・(6)
ただし、
νd4p:第4レンズ群に配されている正レンズそれぞれを形成する光学部材のうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい光学部材のアッベ数、
【請求項9】
以下の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.2<d/TL3<0.8 ・・・(7)
ただし、
d:第3群第1レンズと第3群第2レンズとの光軸上における間隔(空気間隔)
TL3:第3レンズ群全体の光軸上における厚み
【請求項10】
前記第3レンズ群を構成する全てのレンズ面が球面であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第4レンズ群を構成する全てのレンズ面が球面であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項12】
以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のズームレンズ。
0.4<|f2|/(fw・ft)1/2<0.8 ・・・(8)
ただし、
f2:第2レンズ群の焦点距離
fw:ズーム設定を広角端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
ft:ズーム設定を望遠端に定めたときのズームレンズ全系の焦点距離
【請求項13】
前記第2レンズ群が、3枚の負レンズと1枚の正レンズとで構成されたものであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記第2レンズ群が、物体側より順に、負の屈折力を有する第2群第1レンズ、負の屈折力を有する第2群第2レンズ、正の屈折力を有する第2群第3レンズ、負の屈折力を有する第2群第4レンズを配したものであることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載のズームレンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−2902(P2012−2902A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135907(P2010−135907)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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