説明

ズームレンズユニット及びカメラ

【課題】 従来と比較して消費電力を低減する。
【解決手段】 ズームレンズユニット2は、焦点距離を調整可能な複数の可変焦点レンズ3a,3bを有する光学素子群と、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離を制御する制御装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学素子を備えるズームレンズユニットと、このズームレンズユニットを備えるカメラとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ等の光学機器に備えられるズームレンズユニットにおいては、複数のレンズの1つをいわゆる可変焦点レンズをとし、この可変焦点レンズの焦点距離を調整することにより光学系全体のフォーカス位置を調整している(例えば、特許文献1参照)。ここで、可変焦点レンズとは、焦点距離を調整可能なレンズであり、例えば2種の流体間の界面で形成された光学面を電気毛管現象やエレクトロウェッティング等によって変形することにより、焦点距離を調整するものである。
【0003】
このようなズームレンズユニットによれば、レンズを移動させてフォーカス位置を調整する場合と比較して、消費電力を低減することができる。
【特許文献1】特開2002−6200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示のズームレンズユニットでは、光学系全体の焦点距離を調整する際にレンズを駆動装置で移動させる必要があるため、依然として消費電力が嵩んでしまう。
【0005】
本発明の課題は、従来と比較して消費電力を低減することができるズームレンズユニット及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ズームレンズユニットにおいて、
焦点距離を調整可能な複数の可変焦点光学素子を有する光学素子群と、
前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、光学素子としてはレンズやミラー、プリズム等がある。
また、可変焦点光学素子としては、2種の流体間の界面で形成された光学面を有する光学素子や、フレキシブルな素材で形成された光学面を有する光学素子、液晶分子の配向状態によって屈折率が変化する光学素子などがある。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、複数の可変焦点光学素子の焦点距離がそれぞれ調整可能であるので、これら焦点距離を調整することにより、ズームレンズユニット全体の焦点距離及びフォーカス位置を調整することができる。従って、光学素子を駆動装置で移動させる従来の場合と比較して、消費電力を低減することができる。また、光学素子を移動させるための駆動装置が必要ないため、ズームレンズユニット全体を小型化することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のズームレンズユニットにおいて、
前記複数の可変焦点光学素子の焦点距離の組合せと、前記光学素子群の焦点距離との関係情報を記憶する第1記憶部を備え、
前記制御装置は、
前記第1記憶部中の前記関係情報に基づいて各可変焦点光学素子の焦点距離を制御することにより、前記光学素子群の焦点距離を調整することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、第1記憶部中の前記関係情報に基づいて各可変焦点光学素子の焦点距離を制御するので、光学素子群の焦点距離の調整を正確に行うことができる。
【0011】
なお、前記関係情報としては、可変焦点光学素子の焦点距離の組合せと光学素子群の焦点距離との関係式についての情報や、可変焦点光学素子の焦点距離の組合せと光学素子群の焦点距離とが対応付けられたテーブルについての情報などがある。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のズームレンズユニットにおいて、
前記複数の可変焦点光学素子の焦点距離についての制御パラメータを記憶する第2記憶部を備え、
前記制御装置は、
前記第2記憶部内の前記制御パラメータに基づいて、前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、第2記憶部内の制御パラメータに基づいて可変焦点光学素子の焦点距離を制御するので、制御パラメータを計算する手順を簡略化することができる。従って、可変焦点光学素子の焦点距離の制御処理速度を高めることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、前記光学素子群のフォーカス位置を固定した状態で、当該光学素子群の焦点距離を変化させることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、光学素子群のフォーカス位置を固定した状態でその焦点距離を変化させるので、光学素子群のフォーカス位置と焦点距離とを別々に制御することができる。また、焦点距離の調整の際にフォーカス位置がずれるのを防止することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記光学素子群のフォーカス位置を固定した状態で、当該光学素子群の焦点位置を変化させた後、
複数の前記可変焦点光学素子のうち、何れか1つの焦点距離を変化させることにより、
前記光学素子群のフォーカス位置を調整することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、光学素子群の焦点位置を変化させた後にフォーカス位置を調整するので、焦点位置とフォーカス位置とを別々に制御することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、剛体レンズを備え、
前記制御装置は、
複数の前記可変焦点光学素子によってアフォーカル系を形成した状態で前記剛体レンズの位置を移動させることにより、前記光学素子群のフォーカス位置を調整することを特徴とする。
【0019】
ここで、例えば2つの光学素子がアフォーカル系を形成した状態とは、物体側の光学素子の像側焦点と像側の光学素子の物体側焦点とが一致している状態である。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、少なくとも2つの可変焦点光学素子と、1つの結像レンズとを備え、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子の屈折力の積が負の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とする。
【0022】
ここで、2つの屈折力の積が負の値であるとは、2つの屈折力の組み合わせが(正,負)または(負,正)であることをいう。物体側の光学素子の屈折力が正の値であり、像側の光学素子の屈折力が負の値である場合には、光学素子群によって望遠ズーム用のレンズユニットが形成される。また、物体側の光学素子の屈折力が負の値であり、像側の光学素子の屈折力が正の値である場合には、光学素子群によって広角ズーム用のレンズユニットが形成される。
また、結像レンズは、剛体レンズであっても良いし、可変焦点レンズであっても良い。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、2つの可変焦点光学素子の屈折力の積が負の値となるので、光学素子群を望遠ズーム用のレンズユニットや、広角ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子のうち、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値となるので、光学素子群を望遠ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、請求項7記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子のうち、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とする。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値となるので、光学素子群を広角ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
【0028】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記可変焦点光学素子は、
2枚の透明板と、
前記透明板の間に介在した、屈折率の異なる2種の流体とを備え、
前記2種の流体間の界面を光学面として機能させるものであり、
前記制御装置は、
前記光学面の形状を変化させることにより、前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御することを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、光学面の形状の変化によって可変焦点光学素子の焦点距離が変化するので、光学素子を移動させることによって焦点距離を変化させる場合と比較して、調整の際の騒音を低減することができるとともに、反応性を高めることができる。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項10記載のズームレンズユニットにおいて、
前記可変焦点光学素子は、略水平に配設されていることを特徴とする。
【0031】
ここで、可変焦点光学素子が略水平に配設されているとは、前記2種の流体が光軸上で上下に並んでいる状態をいう。
請求項11記載の発明によれば、可変焦点光学素子が略水平に配設されているので、可変焦点光学素子中の流体を安定な状態に維持することができる。従って、振動や重力、加速度などの影響によって流体が流動したり、前記光学面が変形したりするのを防止することができる。また、可変焦点光学素子が縦に配設された場合と比較して、前記光学面の面積が広くなる、つまり、可変焦点光学素子のFナンバーが小さくなるため、像の明るさを向上させることができる。
【0032】
請求項12記載の発明は、請求項11記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、入射光を下方に案内するプリズムまたはミラーを前記複数の可変焦点光学素子の上方に備えることを特徴とする。
【0033】
請求項12記載の発明によれば、入射光を下方に案内するプリズムまたはミラーを可変焦点光学素子の上方に備えるので、略水平に配設された可変焦点光学素子に対し、横方向からの光線を案内することができる。
【0034】
請求項13記載の発明は、カメラにおいて、
請求項1〜12の何れか一項に記載のズームレンズユニットと、
前記ズームレンズユニットの前記光学素子群による被写体像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0035】
請求項13記載の発明によれば、請求項1〜12の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
請求項1記載の発明によれば、光学素子を駆動装置で移動させる従来の場合と比較して、消費電力を低減することができる。また、光学素子を移動させるための駆動装置が必要ないため、ズームレンズユニット全体を小型化することができる。
【0037】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子群の焦点距離及びフォーカス位置の調整を正確に行うことができる。
【0038】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、可変焦点光学素子の焦点距離の制御処理速度を高めることができる。
【0039】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子群のフォーカス位置と焦点距離とを別々に制御することができる。また、焦点距離の調整の際にフォーカス位置がずれるのを防止することができる。
【0040】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、焦点位置とフォーカス位置とを別々に制御することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0041】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子群を望遠ズーム用のレンズユニットや、広角ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
【0042】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子群を望遠ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子群を広角ズーム用のレンズユニットとして機能させることができる。
【0043】
請求項10記載の発明によれば、請求項1〜9の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、光学素子を移動させることによって焦点距離を変化させる場合と比較して、調整の際の騒音を低減することができるとともに、反応性を高めることができる。
【0044】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、振動や重力、加速度などの影響によって流体が流動したり、前記光学面が変形したりするのを防止することができる。
【0045】
請求項12記載の発明によれば、請求項11記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、略水平に配設された可変焦点光学素子に対し、横方向からの光線を案内することができる。
【0046】
請求項13記載の発明によれば、請求項1〜12の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明に係るカメラ1の外観を示す図である。
この図に示すように、カメラ1は、いわゆるコンパクトカメラであり、筐体10の前面にストロボ11、ファインダー12、撮影用受光窓13及び測光・測距センサ14(図2参照)を備えている。
【0048】
ストロボ11は、被写体に閃光を照射するものである。このストロボ11としては、従来より公知のものが用いられている。ファインダー12は、ユーザーが撮影範囲を確認するための窓であり、撮影用受光窓13と並んで設けられている。撮影用受光窓13は、被写体からの光を筐体10の内部に取り込むための窓である。この撮影用受光窓13よりも筐体10の内側には、図2に示すように、温度センサ15と、本発明に係るズームレンズユニット2とが互いに近接して配設されている。
【0049】
温度センサ15は、筐体10の内部の温度、より詳細にはズームレンズユニット2の近傍の温度を測定するものである。
【0050】
ズームレンズユニット2は、本発明における光学素子群として、プリズム20、可変焦点レンズ3a,3b及び剛体レンズ21を備えている。これらの光学素子は、光軸Lに沿ってこの順で上下に配列されている。
【0051】
プリズム20は、撮影用受光窓13から入射した光を屈折させて下方の可変焦点レンズ3aに入射させるものである。
【0052】
可変焦点レンズ3a,3bは、本発明における可変焦点光学素子であり、水平な状態で光軸上に固設されている。これら可変焦点レンズ3a,3bは、図3(a)〜(c)に示すように、2枚の透明板30a,30bを備えている。
【0053】
透明板30a,30bは、ガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂製の円板であり、透明板30aが透明板30bの直上に位置するよう配設されている。ここで、これら透明板30aをレンズとして見た場合、その焦点距離fTa,fTbは以下の式(1),(2)のように示される。
【0054】
1/fTa=(nTa‐1)(1/RTa1‐1/RTa2)+(nTa‐1)2・dLTa/(nTa・RTa1・RTa2)…(1)
1/fTb=(nTb‐1)(1/RTb1‐1/RTb2)+(nTb‐1)2・dLTb/(nTb・RTb1・RTb2)…(2)
【0055】
但し、式(1)中、「RTa1」,「RTa2」は透明板30aの上下面の曲率半径、「nTa」は透明板30aの屈折率、「dLTa」は透明板30aの厚さである。同様に、式(2)中、「RTb1」,「RTb2」は透明板30bの上下面の曲率半径、「nTb」は透明板30bの屈折率、「dLTb」は透明板30bの厚さである。
【0056】
透明板30a,30bの間には、本発明における流体として、2種類の液体31a,31bが介在している。
これら液体31a,31bは、互いに混合せずにこの順で上下に分離した状態となっており、かつ、屈折率が異なっている。そのため、液体31a,31bの間には、これら液体間の界面により光学面Sが形成されている。
また、液体31a,31bの一方は非導電性、他方は導電性の液体である。
【0057】
このような液体31a,31bとしては、例えば以下の表1に示す液体を用いることができる。液体31a,31bの組合せとしては、例えば、液体31aがシリコンオイル、液体31bが水溶液である組合せや、液体31aがイマージョンオイル、液体31bがグリコール系の不凍液である組合せ、液体31aがフッ素系不活性液体、液体31bが水溶液である組合せ等がある。ここで、重力や姿勢による光学面Sの変化を少なくする観点からは、液体31a,31bの比重は略等しく調製されていることが好ましい。本実施の形態においては、液体31aとしてイマージョンオイルまたはジメチルシリコン・オイル、液体31bとして水溶液が用いられている。
【0058】
【表1】

なお、表1中、「フロリナート」とは、3M社製の商品の商品名である。
また、表1中、水溶液の溶質としては、無機物でも良いし、有機物でも良い。溶解される無機物としては、例えば、塩化カリウム(KCl)や塩化ナトリウム(NaCl)、塩化バリウム(BaCl2)、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム(K3[Fe(Cl6)])、ヘキサシアノ鉄(II)カリウム(K4[Fe(Cl6)])、チオシアン酸カリウム(KCNS)等の無機塩類がある。また、有機物としては、例えばアルコールやアミノ酸、各種の界面活性剤などがある。ここで、図4(a)〜(d)に示すように、水溶液の界面張力(表面張力)は濃度に応じて変化する。そのため、水溶液の濃度は、光学面Sの曲率が所定の範囲内となるように設定されることが好ましい。
【0059】
更に、表1中、イマージョンオイルとしては、「Type A」や、「Type NVH」の代わりに、以下の表2に示すイマージョンオイルを用いることとしても良いし、更に、市販の油浸顕微鏡用のイマージョンオイルを組み合わせたものを用いることとしても良い。ここで、「Type A」のオイルはテルフェニルや水素化テルフェニル、ポリブタン、炭化水素などを混合した短焦点観察用の低粘度合成オイルであり、「Type B」のオイルは医療機器レンズ用の中粘度合成オイルであり、「Type NVH」や「Type OVH」は長距離観察用の高粘度合成オイルである。
【0060】
【表2】

なお、上記の表2には、イマージョンオイルの光学特性の他に、参考としてショットグラス社製の光学ガラス「BK7」(商品名)等の光学特性も示している。
【0061】
ここで、これら液体31a,31bをレンズとして見た場合、その焦点距離fEa,fEbは以下の式(3),(4)のように示される。
【0062】
1/fEa=(nEa‐1)(1/REa1‐1/REa2)+(nEa‐1)2・dLEa/(nEa・REa1・REa2)…(3)
1/fEb=(nEb‐1)(1/REb1‐1/REb2)+(nEb‐1)2・dLEb/(nEb・REb1・REb2)…(4)
但し、式(3)中、「REa1」,「REa2」は液体31aの上下面の曲率半径、「nEa」は液体31aの屈折率、「dLEa」は光軸上における液体31aの厚さである。同様に、式(4)中、「REb1」,「REb2」は液体31bの上下面の曲率半径、「nEb」は液体31bの屈折率、「dLEb」は光軸上における液体31bの厚さである。
【0063】
なお、液体31a,31bの半径を「r」、高さを「h」とすると、液体31a,31bの接触角θ及び曲率半径Rは以下の式(4),(5)のように求めることができる。
θ=2tan-1(h/r) …(4)
R=r/sinθ …(5)
【0064】
液体31a,31bの外側には、環状の電極部32が配設されている。
この電極部32は、図3(c)に示すように、絶縁層33及び電極34a,34bを備えており、透明板30a,30bと一体となって液体31a,31bを内部に封入している。
【0065】
絶縁層33は、電気を通さない性質を有しており、液体31a,31bを側方から囲むとともに、外周部において電極34a及び電極34bの間に介在している。絶縁層33の内周面と前記透明板30aの下面とには、撥水層35が設けられ、液体31bとで液体31aを囲んだ状態となっている。
【0066】
撥水層35は、例えば、以下の表3に示す化合物の何れかによって形成されている。ここで、この表に示すように、液体31aの接触角は撥水層35の化合物によって変化する。そのため、化合物の種類は、光学面Sの曲率が所定の範囲内となるように設定されることが好ましい。
【表3】

【0067】
なお、撥水層35としては、表3の化合物の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)やエチレン4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、アクリルウレタンクリアー、アクリルメラミンクリアー、ポリ塩化ビニル等を塗膜処理したものを用いることとしても良いし、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PB)等の疎水性フィルムを用いることとしても良い。更に、ジメチルシリコンオイルやメチルハイドロジェン・シリコンオイル等を一様に塗布してから加熱処理することにより形成される膜を用いることとしても良い。このように加熱処理を行う場合には、ジブチル錫ジラウレートや鉄オクトエート等の金属の有機酸塩を硬化触媒として用いることにより、加熱温度を下げることが好ましい。
また、撥水層35の代わりにポリビニルアルコール等の水溶性樹脂や、「SCフィルム」(商品名:関西ペイント株式会社製)等の親水性フィルム等を設けることによって、液体31a,31bの界面張力を調整することとしても良い。ここで、SCフィルムとは、ポリエチレンテレフタレートのフィルムに親水性クリヤーを塗装したものである。
【0068】
電極34a,34bは、酸化スズ(SnO2)や酸化インジウム(In2O3)、インジウム−スズ酸化物(ITO)等によって形成された透明の導電性膜である。これら電極34a,34bは、絶縁層33及び撥水層35を介して液体31a,31bに電圧を印加することにより、光学面Sの形状を変化させ、その結果、図3(a),(b),図5に示すように、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離を変化させるようになっている。
【0069】
具体的には、電圧を印加しない状態では、図3(a)に示すように、光学面Sは液体31a,31bの界面張力により、下方から上方に向かって中心部が突き出た曲面状となっている。ここで、液体31aの屈折率(約1.4〜1.5)は液体31bの屈折率(約1.33)や空気の屈折率(約1.0)よりも大きいため、上記のように光学面Sが上向き凸状である場合には、可変焦点レンズ3a,3bは全体として負の屈折力を有し、凹レンズとして機能する。なお、液体31aの屈折率が液体31bの屈折率よりも小さい場合には、可変焦点レンズ3a,3bの屈折力の正負は逆となる。また、液体31aと液体31bとの間の界面張力γEaEbは、液体31bと透明板30bとの間の界面張力γEbTb、液体31aと透明板30bとの間の界面張力γEaTb及び液体31bの接触角θを用いて、以下の式(6)のように示される。
γEaTb=γEbTb+γEaEb・cosθ …(6)
【0070】
この状態から電極34a,34bが電圧を印加すると、図3(c)に示すように、界面静電現象によって液体31bの電極34a側の界面と液体31bの内部とに電気二重層が形成され、液体31a,31bの界面張力や接触角が変化する結果、上方への光学面Sの膨らみが小さくなる。そして、印加電圧を大きくすると、光学面は平坦となり、更には、図3(b)に示すように、下方に突き出た曲面状となる。このように光学面Sの膨らみが上側から下側に変化すると、可変焦点レンズ3a,3bの全体としての屈折力は負から正に変化する。つまり、可変焦点レンズ3a,3bの機能が凹レンズから凸レンズに変化する。
【0071】
ここで、可変焦点レンズ3a,3bの印加電圧と曲率ディオプトリー(diopter=媒質の屈折率n/焦点距離f)との関係を図6(a)に、印加電圧と焦点距離fとの関係を図6(b)に例示する。これらの図に示すように、電圧を印加しないときや印加電圧が小さいときには、可変焦点レンズ3a,3bは負の屈折率を有する凹レンズとして機能する。一方、印加電圧が所定の電圧(図では約45V)より大きいときには、可変焦点レンズ3a,3bは正の屈折率を有する凸レンズとして機能する。
【0072】
以上の可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離fa,fbは、以下の式(7),(8)のように算出される。
a=fa1×fa2/(fa1+fa2) …(7)
b=fb1×fb2/(fb1+fb2) …(8)
但し、下記の式(9),(10)に示すように、fa1,fb1は、透明板30a及び液体31aの部分の焦点距離であり、fa2,fb2は透明板30b及び液体31bの部分の焦点距離である。
a1,fb1=fTa×fEa/(fTa+fEa) …(9)
a2,fb2=fTb×fEb/(fTb+fEb) …(10)
【0073】
また、図7に示すように、可変焦点レンズ3a,3bはアフォーカル系を形成している。そのため、図8に示すように、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離fa,fbは以下の式(11),(12)を満たし、ズームレンズユニット2の焦点距離fは以下の式(13)を満たす。但し、式(11)中、「d」は可変焦点レンズ3aの像側主点H1’と可変焦点レンズ3bの物体側主点H2との間隔(図9参照)である。また、式(12)中、「m」はアフォーカル倍率であり、図8の直線上の点(fb,fa)と原点とを結ぶ直線の傾きに対して(−1)をかけた値である。また、式(13)中、「f0」は、剛体レンズ21の焦点距離である。
【0074】
a+fb=d …(11)
m=−fa/fb …(12)
f=m×f0 …(13)
【0075】
よって、上記の式(11),(12)から、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離fa,fbは、以下の式(14),(15)で表される。
a=d×m/(m−1) …(14)
b=−d/(m−1) …(15)
【0076】
また、図8に示されるように、fa≧d>0、かつfb<0の場合、つまり、可変焦点レンズ3aが凸レンズで可変焦点レンズ3bが凹レンズの場合には、アフォーカル倍率mはm≧1となり、図9(a)に示すように、ズームレンズユニット2は望遠ズームとなる。なお、図9では、可変焦点レンズ3a,3bの図示を簡略化するとともに、剛体レンズ21の図示を省略している。
【0077】
また、0<fa≦d、かつ0<fb≦dの場合、つまり、可変焦点レンズ3a,3bが凸レンズの場合には、アフォーカル倍率mはm<0となり、図9(b)に示すように、ズームレンズユニット2はいわゆるケプラー望遠鏡タイプとなる。
【0078】
また、fa<0、かつfb≧d>0の場合、つまり、可変焦点レンズ3aが凹レンズで可変焦点レンズ3bが凸レンズの場合には、アフォーカル倍率mは0≦m≦1となり、図9(c)に示すように、ズームレンズユニット2はレトロフォーカス系の広角ズームとなる。
【0079】
なお、このような可変焦点レンズ3a,3bとしては、例えば「Fluid Focus Lens」(商品名:Royal Philips Electronics社製)等を用いることができるが、図10に示すような「PDN-1000 可変レンズユニット」(商品名:Varioptic社製)を用いることとしても良い。
また、可変焦点レンズ3a,3bは界面静電現象によって焦点距離を変化させることとして説明したが、他の原理や現象によって変化させることとしても良い。
【0080】
具体的には、例えば“Electrocapillarity and wetting of insulator films by water , C.R.Acad.Sci.Paris, t.137,p.157 (1993)”や特表2001−519539号公報などに開示のように、電気濡れ現象(エレクトロウェッティング)によって液体の接触角を調整し、光学面を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。このような場合には、印加電圧がVのときの接触角を「cosθ(V)」、印加電圧が0のときの接触角を「cosθ(0)」とすると、印加電圧Vと接触角θとの関係は、概ね以下の式(16)のように示される(浅野浩一、“溶融炭酸塩形燃料電池における陽極反応場評価手法の開発−印加電圧による溶融炭酸塩の濡れメカニズムの検討−”[online]、(財)電力中央研究所、[平成16年9月30日検索]、インターネット<URL:http://ge-rd-info.denken.or.jp/ge_cgi-bin/rep_details.cgi?rep_num=W00022&host=>参照)。
cosθ(V)=cosθ(0)+(1/2)×(Cd/γLG)×V2 …(16)
(但し、Cd:電気二重層容量[μF/cm2]、γLG:気相−液相間の表面張力[N/m])
【0081】
また、例えば特表平11−513129号公報や特表2001−519539号公報、特開2001−13306号公報に開示のように、液体の界面と内部とに生じる電気二重層の近傍の液体を電気泳動現象や電気浸透現象などの界面動電現象で流動させることによって接触角を調整し、光学面を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0082】
また、例えば米国特許第3598479号明細書や米国特許第5138494号明細書、米国特許第5668620号明細書、実公昭40−28614号公報、実公昭51−49956号公報、特開昭55−36857号公報、特開平6−308303号公報、特開2002−311213号公報などに開示のように、膨張性の薄膜の間に液体を満たしたものを可変焦点レンズとして用い、液体の容積や圧力を調整することによって液面(光学面)を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0083】
また、例えば特開2000−81504号公報や特許第3400270号公報、特開2002−311213号公報、特開2003−14909号公報に開示のように、液体と密着した弾性膜に圧電素子や圧電アクチュエータ等で外圧を加えることによって光学面を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0084】
また、「ハイブリッド配向液晶電気光学マイクロレンズにおける光学特性及び分子配向」(「光学」第20巻第4号(1991,4))や特許第3158016号公報に開示のように、透明な基板間の液晶分子の配向状態を電界によって変化させることにより焦点距離を変化させることとしても良い。
【0085】
また、特開2002−243918号公報に開示のように、液体の表面(光学面)に密着する透明な基板を静電吸引力で変形することによって光学面を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0086】
また、図11に示すように、液体中に立設された管の内部の液体を可変光学素子として用い、管内部の毛細管または多孔性プラグの両端に電位差(流動電位)を生じさせることによって、管内の液面(光学面)の形状や高さを変化させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0087】
また、図12に示すように、透明な浴槽内に立設された毛管内部の液体を可変光学素子として用い、浴槽内の液面に加わる圧力Fを調整することによって、毛管内部の液面(光学面)の形状や高さを変化させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。このような場合には、液面の表面張力を「γ」、圧力変化量を「ΔF」、液相と気相との密度差を「Δρ」、重力加速度を「g」、毛管の半径を「r」とし、図12に示すように角度θをおくと、毛管内部の液面の曲率Cと高さhとは以下の式(17),(18)のように示される。
C=2γ/ΔF(=2γ/Δρgh) …(17)
h=2γcosθ/Δρrg …(18)
【0088】
また、図13に示すように、Lippmannの電気毛管装置中の2種の液体を可変光学素子として用い、毛管内の界面(光学面)の高さや界面張力を電気毛管現象で変化させることによって光学面を変形させる結果、焦点距離を変化させることとしても良い。
【0089】
剛体レンズ21は、本発明における結像レンズであり、本実施の形態においては、図2,図7に示すように凸レンズとなっている。この剛体レンズ21は、位置が固定されていても良いし、移動可能に設けられていても良い。
【0090】
剛体レンズ21と可変焦点レンズ3bとの間には、図2に示すように、絞り22が配設されている。
剛体レンズ21の下方には、シャッター23及び撮像素子24が配設されている。シャッター23は、後述のシャッターボタン41(図1参照)が押されると開状態となり、ズームレンズユニット2からの光を所定の時間だけ撮像素子24に当てるようになっている。撮像素子24は、例えばCCD等、受光量に応じてアナログ信号を生じるものである。
【0091】
測光・測距センサ14は、被写体周辺の光量や色温度、カメラ1から被写体までの距離(以下、被写体距離とする)を測定するものであり、撮影用受光窓13に近接して設けられている。
【0092】
また、図1(b)に示すように、筐体10の裏面には表示部16が設けられている。
表示部16は、表示駆動部160(図2参照)によって駆動されて撮影画像や、操作者への操作案内などを表示するものである。なお、本実施の形態においては、表示部16として液晶パネルが用いられている。
【0093】
表示部16の周辺には操作部4が配設されている。
操作部4は、操作者から操作指示が入力される複数のキーを備えている。本実施の形態においては、図1(a),(b)に示すように、操作部4は、電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチ40、シャッター23の開閉を指示するシャッターボタン41、各モードにおいて決定を指示する決定キー42、上下左右方向に選択操作を行うためのカーソルキー43、ズーム操作を指示するズームキー(図示せず)等を備えている。
【0094】
また、図2に示すように、筐体10の内部には、制御装置5が配設されている。
制御装置5は、演算処理部50と撮影制御部51とを備えている。
【0095】
演算処理部50は、図示しないCPUやROM,RAM等によって構成されている。この演算処理部50は、操作部4から送信される操作指示信号に基づいてカメラ1を撮影モードや撮影条件設定モード、画像表示モード等に切り換えるようになっている。
【0096】
また、演算処理部50は、撮影モードにおいて、操作部4からの操作指示信号や、測光・測距センサ14による測定結果などに基づき、ズームレンズユニット2の焦点距離やフォーカス位置、撮影画像のホワイトバランスなどの撮影条件を算出するようになっている。また、演算処理部50は、後述のプログラムメモリ66に記憶されたテーブルに基づいて、可変焦点レンズ3a,3bの電極34a,34bへの印加電圧を算出するようになっている。更に、演算処理部50は、温度センサ15による測定温度に基づいて、可変焦点レンズ3a,3bへの印加電圧を補正するようになっている。
【0097】
撮影制御部51は、演算処理部50によって算出された撮影条件に基づいて、ズームレンズユニット2等を制御するものである。この撮影制御部51には、レンズ駆動部60a,60bや絞り駆動部61、シャッター駆動部62、タイミング制御部63、画像信号処理部65、ストロボ駆動部64等が接続されている。
【0098】
レンズ駆動部60a,60bは、可変焦点レンズ3a,3bの電極34a,34bに電圧を印加するものであり、印加電圧を調整できるようになっている。
絞り駆動部61は、絞り22の絞り量を調整するものである。
シャッター駆動部62は、シャッター23の開閉を制御するものである。
タイミング制御部63は、撮像素子24による撮影タイミングと同期して画像信号処理部65に信号処理を行わせるものである。
【0099】
画像信号処理部65は、撮像素子24から送信されるアナログ信号にCDS(Correlated Double Sampling)処理や、AGC(Automatic Gain Control)処理、A/D変換処理などを施すものである。
ストロボ駆動部64は、ストロボ11を駆動して閃光を照射させるものである。
【0100】
以上の制御装置5には、上述の操作部4及び表示部16の他、プログラムメモリ66やメモリインターフェース67、内部メモリ68、画像処理部69、圧縮解凍部70、電源制御部71等が接続されている。
【0101】
プログラムメモリ66は、本発明における第1記憶部及び第2記憶部であり、図5の右上のグラフに示すように、アフォーカル系のアフォーカル倍率mと、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離の組合せとを対応付け、テーブルとして記憶している。また、このプログラムメモリ66は、図5の右下及び左上のグラフに示すように、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離と、可変焦点レンズ3a,3bの制御パラメータ、本実施の形態においては電極34a,34bへの印加電圧とを対応付け、テーブルとして記憶している。
【0102】
メモリインターフェース(IF)67は、外部メモリ67aと内部メモリ68との間において、画像データや撮影条件などを送信可能にするものである。
【0103】
内部メモリ68は、撮像素子24による撮影画像の画像データや、メモリインターフェース67を介して外部メモリ67aから入力された画像データ等を記憶するものである。また、この内部メモリ68は、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離などの撮影条件を画像データと対応付けて記憶するようになっている。
【0104】
画像処理部69は、内部メモリ68の内部に記憶された画像データに対し、種々の画像処理を行うものである。
【0105】
圧縮解凍部70は、撮像素子24による撮影画像の画像データを圧縮符号化したり、外部メモリ67aや内部メモリ68に記憶された画像データを解凍して復号化したりするものである。
電源制御部71は、電池71aから制御装置5に電力を供給するものである。
【0106】
続いて、画像を撮影する際のカメラ1の動作について、図14を参照しながら説明する。
まず、演算処理部50は、撮影モードが指示されているか否かを判別する(ステップS1)。撮影モード以外のモードが指示されている場合(ステップS1;No)には、演算処理部50は、選択中のモードを実行するよう各部を制御する(ステップS2)。一方、撮影モードが指示されている場合(ステップS1;Yes)には、演算処理部50は、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離を初期設定値に設定する(ステップS3)。
【0107】
次に、操作者がカメラ1を被写体に向けると、被写体からの光線がズームレンズユニット2に入射する。このとき、プリズム20が可変焦点レンズ3a,3bの上方に配設されているので、水平に配設された可変焦点レンズ3a,3bに対し、横方向からの光線が案内される。また、可変焦点レンズ3a,3bが水平に配設されているので、液体31a,31bが安定な状態で維持される結果、振動や重力、加速度などの影響による液体31a,31bの流動や、光学面Sの変形が防止される。また、可変焦点レンズ3a,3bが縦に配設された場合と比較して、前記光学面Sの面積が広くなる、つまり、可変焦点レンズ3a,3bのFナンバーが小さくなるため、像の明るさを向上させることが可能となる。
【0108】
また、このとき、演算処理部50は、測光・測距センサ14による光量や色温度、被写体距離などの測定結果に基づいて、シャッタースピードや、ストロボ11での光量、ホワイトバランス等の撮影条件を設定する(ステップS4)。
【0109】
次に、演算処理部50は、操作者からズーム操作が指示されているか否かを、操作部4からの信号に基づいて判別し(ステップS5)、ズーム操作が指示されていない場合(ステップS5;No)には、後述のステップS9の処理を行う。
一方、ズーム操作が指示されている場合(ステップS5;Yes)には、演算処理部50は、望遠ズームが指示されているか否か、即ち、アフォーカル倍率mがm≧1と指示されているか否かを判別する(ステップS6)。
【0110】
望遠ズームが指示されている場合(ステップS6;Yes)には、演算処理部50は望遠ズーム処理を行う(ステップS7)。
【0111】
具体的には、図15(a)に示すように、まず演算処理部50は、操作部4からの信号中で指示されている焦点距離f(=m×f0)またはアフォーカル倍率mを算出する(ステップS71)。
【0112】
次に、演算処理部50は、図5において矢印Y1で示すように、プログラムメモリ66中のテーブルに基づいて、必要とされる可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離fa,fbを算出する(ステップS72)。即ち、上記の式(14),(15)と、fa>0,fb<0の条件式とを用いて焦点距離fa,fbを算出する。このように、物体側の可変焦点レンズ3aの屈折力が正の値、像側の可変焦点レンズの屈折力が負の値となる場合には、ズームレンズユニット2は望遠ズーム用のレンズユニットとして機能することとなる。
【0113】
次に、演算処理部50は、図5において矢印Y2で示すように、プログラムメモリ66中のテーブルに基づいて、焦点距離fa,fbに対応する駆動電圧Va,Vbを算出する。
【0114】
演算処理部50が駆動電圧Va,Vbを算出したら、この駆動電圧Va,Vbを指示する信号を撮影制御部51がレンズ駆動部60a,60bに送信する。この指示信号を受けたレンズ駆動部60a,60bは、指示された駆動電圧Va,Vbで電極34a,34bに電圧を印加し、光学面Sを変形させることにより、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離をfa,fbに設定する(ステップS73)。このとき、撮影制御部51は、ズームレンズユニット2のフォーカス位置が変化しないように固定する。これにより、焦点距離の調整の際にフォーカス位置がずれるのが防止される。また、ズームレンズユニット2のフォーカス位置及び焦点距離の制御を別々に行うことが可能となる。
【0115】
次に、演算処理部50は、操作部4からの信号に基づいて、ズーム操作が終了したか否かを判別し(ステップS74)、ズーム操作が終了していない場合(ステップS74;No)には、前記ステップS71に戻り、望遠ズーム処理を再度行う。
【0116】
そして、ズーム操作が終了している場合(ステップS74;Yes)には、演算処理部50は望遠ズーム処理を終了し、後述のステップS9の処理を行う。
【0117】
一方、図14に示すように、望遠ズームが指示されていない場合(ステップS6;No)には、演算処理部50は、レトロフォーカスズーム処理を行う(ステップS8)。
【0118】
具体的には、図15(b)に示すように、まず演算処理部50は、操作部4からの信号中で指示されている焦点距離fまたはアフォーカル倍率mを算出する(ステップS81)。
【0119】
次に、演算処理部50は、図5において矢印Y3で示すように、プログラムメモリ66中のテーブルに基づいて、必要とされる可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離fa,fbを算出する(ステップS82)。即ち、上記の式(14),(15)と、fa<0,fb>0の条件式とを用いて焦点距離fa,fbを算出する。このように、物体側の可変焦点レンズ3aの屈折力が負の値、像側の可変焦点レンズの屈折力が正の値となる場合には、ズームレンズユニット2は広角ズーム用のレンズユニットとして機能することとなる。
【0120】
次に、演算処理部50は、図5において矢印Y4で示すように、プログラムメモリ66中のテーブルに基づいて、焦点距離fa,fbに対応する駆動電圧Va,Vbを算出する。
【0121】
演算処理部50が駆動電圧Va,Vbを算出したら、この駆動電圧Va,Vbを指示する信号を撮影制御部51がレンズ駆動部60a,60bに送信する。この指示信号を受けたレンズ駆動部60a,60bは、指示された駆動電圧Va,Vbで電極34a,34bに電圧を印加し、光学面Sを変形させることにより、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離をfa,fbに設定する(ステップS83)。このとき、撮影制御部51は、ズームレンズユニット2のフォーカス位置が変化しないように固定する。これにより、焦点距離の調整の際にフォーカス位置がずれるのが防止される。また、ズームレンズユニット2のフォーカス位置及び焦点距離の制御を別々に行うことが可能となる。
【0122】
次に、演算処理部50は、操作部4からの信号に基づいて、ズーム操作が終了したか否かを判別し(ステップS84)、ズーム操作が終了していない場合(ステップS84;No)には、前記ステップS81に戻り、レトロフォーカスズーム処理を再度行う。
そして、ズーム操作が終了している場合(ステップS84;Yes)には、演算処理部50は望遠ズーム処理を終了する。
【0123】
次に、演算処理部50は、撮像素子24から送信される電気信号に基づいて画像のコントラスト等を算出し、更に、この算出結果に基づいてデフォーカス量を計算する(ステップS9)。
【0124】
次に、演算処理部50は、算出したデフォーカス量に基づいて、オートフォーカス処理を行う(ステップS10)。このオートフォーカス処理は、可変焦点レンズ3a,3bの何れか一方に対する印加電圧を微調整することにより行うことが好ましいが、剛体レンズ21を移動させることにより行うこととしても良い。
【0125】
また、演算処理部50は、温度センサ15により測定された温度に基づいて、可変焦点レンズ3a,3bへの印加電圧を補正する。具体的には、まず演算処理部50は、温度変化に起因する液体31a,31bの界面張力や接触角、屈折率などの変化量を算出し、この算出結果に基づいて焦点距離の変化量を算出する。そして、演算処理部50は、この焦点距離の変化量を補償するように、可変焦点レンズ3a,3bへの印加電圧を補正する。これにより、温度変化に基づいて可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離が変化する場合であっても、ズームレンズユニット2の光学特性が維持される。
【0126】
次に、演算処理部50は、撮像素子24から送信される電気信号に基づいて、フォーカスが合っているか否かを判別し(ステップS11)、フォーカスが合っていない場合(ステップS11;No)には、前記ステップS9に戻り、再度フォーカス調整を行う。
【0127】
一方、フォーカスが合っている場合(ステップS11;Yes)には、演算処理部50は、撮像素子24から送信される電気信号に基づいて被写体画像を表示部16にスルー表示させる(ステップS12)。
【0128】
次に、演算処理部50は、所定時間内にシャッターボタン41が押されたか否かを判別する(ステップS13)。
シャッターボタン41が押された場合(ステップS13;Yes)には、演算処理部50は、シャッター駆動部62やストロボ11などを制御して被写体画像を撮影する(ステップS14)。撮影を行ったら、演算処理部50は画像データを圧縮解凍部70に圧縮符号化させた後、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離や倍率などとともに内部メモリ68に記憶させる(ステップS15)。そして、操作部からの信号に基づいて処理を行った後、撮影モードを終了する。
【0129】
一方、所定の時間内にシャッターボタン41が押されていない場合や、撮影条件の変更が指示された場合(ステップS13;No)には、操作部からの信号に基づいて処理を行った後、演算処理部50はそのまま撮影モードを終了する。
【0130】
以上のカメラ1によれば、複数の可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離をそれぞれ調整することによりズームレンズユニット2全体の焦点距離及びフォーカス位置を調整することができるため、光学素子を駆動装置で移動させる従来の場合と比較して、消費電力を低減することができる。また、光学素子を移動させるための駆動装置が必要ないため、ズームレンズユニット2を小型化することができる。
【0131】
また、光学面Sを変形させることによって可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離を変化させるので、光学素子を移動させて焦点距離を変化させる場合と比較して、調整の際の騒音を低減することができるとともに、反応性を高めることができる。
【0132】
また、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離をプログラムメモリ66中のテーブルに基づいて制御するので、ズームレンズユニット2の焦点距離及びフォーカス位置を正確に調整することができる。
【0133】
また、可変焦点レンズ3a,3bへの印加電圧を前記テーブルから算出するので、関係式から算出する場合と比較して計算手順を簡略化することができる。従って、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離の制御処理速度を高めることができる。
【0134】
なお、上記の実施の形態においては、プリズム20は可変焦点レンズ3a,3bよりも物体側に配設されることとして説明したが、図16に示すように、可変焦点レンズ3a,3bの間に配設されることとしても良い。この場合には、可変焦点レンズ3bは略水平に配設されることが好ましい。
【0135】
また、可変焦点レンズ3a,3bは剛体レンズ21よりも物体側に配置されていることとして説明したが、像側に配置されていることとしても良い。
【0136】
また、剛体レンズ21を単レンズとして説明したが、図17に示すように、複数枚のレンズからなるレンズユニットとしても良い。このような場合におけるズームレンズユニットは、例えば図18(a)〜(d)に示すような設計データに基づいて形成することができる。ここで、図18(b)中、「液面の位置」とは、図17に示すように、透明板30a,30bから、界面の中心までの距離である。また、図18(c)はアフォーカル倍率m=0.6、焦点距離f=15mmのときの縦収差図であり、図18(d)はアフォーカル倍率m=0.6、焦点距離f=15mm、入射角5°のときの横収差図である。また、図18(c)、(d)中、「C線」とは波長656.27nmの光、「d線」とは波長587.56nmの光、「F線」とは波長486.13nmの光である。
【0137】
また、撮影用受光窓13から入射した光をプリズム20によって屈折させることとして説明したが、マンジャン(Mangin)鏡などのミラーによって屈折させることとしても良い。
【0138】
また、ズームレンズユニット2のプリズム20、可変焦点レンズ3a,3b及び剛体レンズ21は上下方向に配列されていることとして説明したが、横方向に配列されることとしても良い。
【0139】
また、演算処理部50は、操作者によって望遠ズームが指示されていない場合にはレトロフォーカスズーム処理を行うこととして説明したが、レトロフォーカスズーム処理が指示されているか否かを判別し、指示されていない場合には、ケプラー望遠鏡タイプのズーム処理を行うこととしても良い。
【0140】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0141】
本実施の形態におけるカメラ1のズームレンズユニット2Aは、図19に示すように、光軸Lに沿ってプリズム20、可変焦点レンズ3c,3d,3eをこの順に備えている。
【0142】
可変焦点レンズ3c,3dは、前記可変焦点レンズ3a,3bと同様に、アフォーカル系を形成している。
可変焦点レンズ3eは、本発明における結像レンズであり、光学面Sの形状を変形させることによってズームレンズユニット2Aのフォーカス位置を調整可能となっている。
【0143】
このようなカメラ1によっても、上記第1の実施の形態におけるカメラ1と同様の効果を得ることができる。
【0144】
また、ズームレンズユニット2Aのフォーカス位置を調整する際に可変焦点レンズ3c,3dの焦点距離を変化させる必要がないため、可変焦点レンズ3a,3bの焦点距離を変化させることによりズームレンズユニット2Aの焦点距離とフォーカス位置とをそれぞれ調整する場合と比較して、可変焦点レンズ3c,3dの制御を容易化することができる。
【0145】
なお、上記第2の実施の形態においては、可変焦点レンズ3c,3dがアフォーカル系を形成し、可変焦点レンズ3eが正の屈折力を有することとして説明したが、可変焦点レンズ3c,3dが正の屈折力を有する光学系を形成し、可変焦点レンズ3eが負の屈折力を有することとしても良い。このような場合にも、撮像素子24によって被写体画像を撮影することができる。
【0146】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
本実施の形態におけるカメラ1のズームレンズユニット2Bは、図20(a)に示すように、光軸Lに沿ってプリズム20、剛体レンズ21a、可変焦点レンズ3f,3g及び剛体レンズ21をこの順に備えている。
【0148】
剛体レンズ21aは、本実施の形態においては、凸レンズとなっている。また、この剛体レンズ21aは、可変焦点レンズ3f,3gや剛体レンズ21の収差を補正するようになっている。
【0149】
可変焦点レンズ3f,3gは、剛体レンズ21よりも像側に配設されており、剛体レンズ21aとでアフォーカル系を形成している。
【0150】
このようなカメラ1によっても、上記第1の実施の形態におけるカメラ1と同様の効果を得ることができる。
【0151】
また、剛体レンズ21aによってズームレンズユニット2Bの屈折力を正または負の側に偏らせることができるため、液体31a,31bの界面張力の可変域や電極34a,34bからの印加電圧の可変域に起因して可変焦点レンズ3f,3gの焦点距離に制限がある場合であっても、ズームレンズユニット2Bの全体としての焦点距離やフォーカス位置を広い範囲で調整することができる。
【0152】
なお、上記第3の実施の形態においては、剛体レンズ21aは凸レンズであることとして説明したが、凹レンズであることとしても良い。
また、剛体レンズ21aは可変焦点レンズ3fよりも物体側に配設されていることとして説明したが、可変焦点レンズ3gよりも像側に配設されることとしても良いし、図20(b)に示すように、可変焦点レンズ3f,3gの間に配設されることとしても良い。更に、図21(a),(b)に示すように、プリズム20よりも物体側に剛体レンズ21aが配設されることとしても良い。
【0153】
また、剛体レンズ21aは可変焦点レンズ3f,3gと離れて配設されることとして説明したが、図22に示すように、可変焦点レンズ3f,3gと一体に設けられることとしても良い。更に、剛体レンズ21と可変焦点レンズ3f,3gとが一体に設けられる場合には、剛体レンズ21は、可変焦点レンズ3f,3gに貼り付けられることとしても良いし、透明板30a,30bと一体に成形されることとしても良い。ここで、図22では、可変焦点レンズ3fと一体に設けられた剛体レンズ21aは凸レンズであり、可変焦点レンズ3gと一体に設けられた剛体レンズ21aは凹レンズとなっている。
【0154】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0155】
本実施の形態におけるカメラ1のズームレンズユニット2Cは、図23(a),(b)に示すように、光軸Lに沿って可変焦点ミラー20a、可変焦点レンズ3h及び剛体レンズ21bをこの順に備えている。
【0156】
可変焦点ミラー20aは、本発明における可変焦点光学素子であり、より詳細には、反射面Saの形状が可変なマンジャン鏡である。この可変焦点ミラー20aは、前記第1の実施の形態における可変焦点レンズ3aにおける液体31aとして水銀(Hg)を用いることにより形成されている。なお、この可変焦点ミラー20aは、可撓性を有する反射鏡の曲率を静電吸引力や外力によって調整するもの等であっても良い。
【0157】
可変焦点レンズ3hは、可変焦点ミラー20aとでアフォーカル系を形成している。
剛体レンズ21bは、複数枚のレンズからなるレンズユニットであるが、上記剛体レンズ21と同様に単レンズであっても良い。
【0158】
このようなカメラ1によっても、上記第1の実施の形態におけるカメラ1と同様の効果を得ることができる。
【0159】
また、プリズム20と可変焦点レンズ3aとを別々に設けた前記ズームレンズユニット2と異なり、光学素子の数を減らすことができる。従って、ズームレンズユニット2と比較してズームレンズユニット2Cを小型化することができる。
【0160】
なお、上記第4の実施の形態においては、可変焦点ミラー20aが可変焦点レンズ3hよりも物体側に配設されていることとして説明したが、図24に示すように、像側に配設されていることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明に係るカメラの外観図である。
【図2】本発明に係るカメラのブロック図である。
【図3】可変焦点レンズを示す断面図である。
【図4】溶液の濃度と表面張力との関係を示す図である。
【図5】アフォーカル倍率と各可変焦点レンズに対する印加電圧との関係を示す図である。
【図6】(a)は可変焦点レンズの印加電圧と曲率ディオプトリーとの関係を示す図であり、(b)は印加電圧と焦点距離との関係を示す図である。
【図7】本発明に係るズームレンズユニットを示す図である。
【図8】可変焦点レンズの焦点距離fa,fbの関係を示す図である。
【図9】アフォーカル系を示す図である。
【図10】可変焦点レンズの他の形態を示す図である。
【図11】可変焦点レンズの他の形態を示す図である。
【図12】可変焦点レンズの他の形態を示す図である。
【図13】可変焦点レンズの他の形態を示す図である。
【図14】本発明に係るカメラの動作を示すフローチャートである。
【図15】(a)は望遠ズーム処理のサブルーチンを示すフローチャートであり、(b)はレトロフォーカスズーム処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図17】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図18】(a),(b)は本発明に係るズームレンズユニットの構成例を示す図であり、(c),(d)はこのズームレンズユニットの縦収差図,横収差図である。
【図19】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図20】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図21】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図22】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図23】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【図24】本発明に係るズームレンズユニットの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0162】
1 カメラ
2 ズームレンズユニット
3a〜3d,3f〜3h 可変焦点レンズ(可変焦点光学素子)
3e 可変焦点レンズ(可変焦点光学素子、結像レンズ)
5 制御装置
20a 可変焦点ミラー(可変焦点光学素子)
21,21b 剛体レンズ(結像レンズ)
24 撮像素子
30a,30b 透明板
31a,31b 液体
66 プログラムメモリ(第1記憶部,第2記憶部)
S 光学面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点距離を調整可能な複数の可変焦点光学素子を有する光学素子群と、
前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御する制御装置とを備えることを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズユニットにおいて、
前記複数の可変焦点光学素子の焦点距離の組合せと、前記光学素子群の焦点距離との関係情報を記憶する第1記憶部を備え、
前記制御装置は、
前記第1記憶部中の前記関係情報に基づいて各可変焦点光学素子の焦点距離を制御することにより、前記光学素子群の焦点距離を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載のズームレンズユニットにおいて、
前記複数の可変焦点光学素子の焦点距離についての制御パラメータを記憶する第2記憶部を備え、
前記制御装置は、
前記第2記憶部内の前記制御パラメータに基づいて、前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、前記光学素子群のフォーカス位置を固定した状態で、当該光学素子群の焦点距離を変化させることを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項5】
請求項4記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記光学素子群のフォーカス位置を固定した状態で、当該光学素子群の焦点位置を変化させた後、
複数の前記可変焦点光学素子のうち、何れか1つの焦点距離を変化させることにより、
前記光学素子群のフォーカス位置を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、剛体レンズを備え、
前記制御装置は、
複数の前記可変焦点光学素子によってアフォーカル系を形成した状態で前記剛体レンズの位置を移動させることにより、前記光学素子群のフォーカス位置を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、少なくとも2つの可変焦点光学素子と、1つの結像レンズとを備え、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子の屈折力の積が負の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項8】
請求項7記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子のうち、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項9】
請求項7記載のズームレンズユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記2つの可変焦点光学素子のうち、物体側の可変焦点光学素子の屈折力が負の値、像側の可変焦点光学素子の屈折力が正の値となるように、これら可変焦点光学素子の焦点距離を調整することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載のズームレンズユニットにおいて、
前記可変焦点光学素子は、
2枚の透明板と、
前記透明板の間に介在した、屈折率の異なる2種の流体とを備え、
前記2種の流体間の界面を光学面として機能させるものであり、
前記制御装置は、
前記光学面の形状を変化させることにより、前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御することを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項11】
請求項10記載のズームレンズユニットにおいて、
前記可変焦点光学素子は、略水平に配設されていることを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項12】
請求項11記載のズームレンズユニットにおいて、
前記光学素子群は、入射光を下方に案内するプリズムまたはミラーを前記複数の可変焦点光学素子の上方に備えることを特徴とするズームレンズユニット。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載のズームレンズユニットと、
前記ズームレンズユニットの前記光学素子群による被写体像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−98972(P2006−98972A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287560(P2004−287560)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】