説明

ズームレンズ及び撮像装置

【課題】 小型化を図ると共にブレ補正機能を有した上で高い結像性能を確保する。
【解決手段】 物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群G1と負の屈折力を有する第2レンズ群G2と正の屈折力を有する第3レンズ群G3とを有し、第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、第3レンズ群の正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行い、以下の条件式(1)を満足するようにした。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はズームレンズ及び撮像装置に関する。詳しくは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮影光学系に好適であり小型化を図ると共にブレ補正機能を有した上で高い結像性能を確保するズームレンズ及びこれを備えた撮像装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置が普及している。このようなデジタルスチルカメラ等の撮像装置の普及に伴い、小型かつ結像性能に優れた撮影用レンズ、特に、ズームレンズが求められている。
【0003】
ズームレンズにおいては、撮影時に生じる手ぶれ等による像ぶれを光学的に補正するブレ補正機能が普及しており、特に、レンズ交換式のデジタルカメラにおいては、レンズの小型化を確保した上でブレ補正機能を搭載することが求められている。
【0004】
デジタルスチルカメラ用のズームレンズとしては多くの種類があるが、小型化に適したレンズタイプとして、物体側より像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有するタイプが広く知られている。
【0005】
このようなタイプのズームレンズのブレ補正方式として以下のような多くの種類が知られている。
【0006】
例えば、第3レンズ群の全体を光軸と垂直方向へ移動させてぶれ補正を行う方式(例えば、特許文献1参照)、第3レンズ群における複数のレンズを光軸と垂直方向へ移動させてぶれ補正を行う方式(例えば、特許文献2参照)がある。また、第4レンズ群に負のレンズ群を設けると共に第5レンズ群に正のレンズ群を設け、第4レンズ群の全体を光軸と垂直方向へ動させてぶれ補正を行う方式(例えば、特許文献3参照)もある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−228001号公報
【特許文献2】特開2009−282439号公報
【特許文献3】特開2008−152190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載されているズームレンズは、第3レンズ群における複数のレンズを用いてぶれ補正を行うようにしているため、ぶれ補正を行うブレ補正レンズ群の重量が大きくなってブレ補正レンズ群を動作させるアクチェエータが大きくなるため、小型化に支障を来たしている。
【0009】
一方、特許文献3に記載されたズームレンズは、第4レンズ群に負のレンズ群を設け、重量の小さい第4レンズ群をブレ補正レンズ群として用いているため、ブレ補正レンズ群を動作させるためのアクチュエーターが小さくなって小型化を図ることができる。
【0010】
しかしながら、ブレ補正レンズ群として第4レンズ群を用いると、ブレ補正レンズ群の偏芯敏感度が大きくなり、ブレ補正レンズ群の光軸方向に対するガタツキによる焦点ずれが大きくなって結像性能が劣化してしまう。
【0011】
そこで、本発明ズームレンズ及び撮像装置は、上記した問題点を克服し、小型化を図ると共にブレ補正機能を有した上で高い結像性能を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ズームレンズは、上記した課題を解決するために、物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し前記第1レンズ群が物体側へ移動すると共に前記各レンズ群の間隔が変化し、前記第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、前記第3レンズ群の前記正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行い、以下の条件式(1)を満足するものである。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。
【0013】
従って、ズームレンズにあっては、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズが光軸と垂直方向へ移動されて像ぶれの補正が行われると共に正レンズと正レンズより像側に配置されたレンズ群との広角端における横倍率の比が適正化される。
【0014】
上記したズームレンズにおいては、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)1.5<fk/f3<4.0
但し、
fk:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
とする。
【0015】
ズームレンズが条件式(2)を満足することにより、ぶれ補正を行うときの正レンズの移動量が適正化される。
【0016】
上記したズームレンズにおいては、前記第3レンズ群が開口絞りの物体側に配置された前記正レンズと前記開口絞りの像側に配置され正の屈折力を有するレンズ群とによって構成されることが望ましい。
【0017】
第3レンズ群が開口絞りの物体側に配置された正レンズと開口絞りの像側に配置され正の屈折力を有するレンズ群とによって構成されることにより、ブレ補正レンズが開口絞りの物体側において第3レンズ群中の最も物体側に配置される。
【0018】
上記したズームレンズにおいては、前記第3レンズ群の像側に負の屈折力を有し光軸方向へ移動されてフォーカシングを行う第4レンズ群が配置され、前記第4レンズ群の像側に正の屈折力を有する第5レンズ群が配置され、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)2.5<(1−βG4t)##2・(βG5t)##2<5.0
但し、
βG4t:第4レンズ群の横倍率
βG5t:第5レンズ群の横倍率
とする。
【0019】
フォーカシングを行う第4レンズ群と第5レンズ群が配置されると共に条件式(3)を満足することにより、有効径の小さいレンズ群がフォーカスレンズ群として用いられると共にフォーカスを行うための移動量が適正化される。
【0020】
上記したズームレンズにおいては、前記第4レンズ群が1枚の負レンズのみによって構成されることが望ましい。
【0021】
第4レンズ群が1枚の負レンズのみによって構成されることにより、フォーカスレンズ群が軽量化する。
【0022】
撮像装置は、上記した課題を解決するために、ズームレンズと該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、前記ズームレンズは、物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し前記第1レンズ群が物体側へ移動すると共に前記各レンズ群の間隔が変化し、前記第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、前記第3レンズ群の前記正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行い、以下の条件式(1)を満足するものである。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。
【0023】
従って、撮像装置にあっては、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズが光軸と垂直方向へ移動されて像ぶれの補正が行われると共に正レンズと正レンズより像側に配置されたレンズ群との広角端における横倍率の比が適正化される。
【発明の効果】
【0024】
本発明ズームレンズ及び撮像装置は、小型化を図ることができると共にブレ補正機能を有した上で高い結像性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明ズームレンズ及び撮像装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
[ズームレンズの構成]
本発明ズームレンズは、物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し第1レンズ群が物体側へ移動すると共に各レンズ群の間隔が変化する。
【0027】
また、本発明ズームレンズは、第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行う。
【0028】
本発明ズームレンズにあっては、上記のように、第3レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのみをブレ補正レンズ群として使用することにより、ブレ補正レンズ群の重量が小さく、ブレ補正レンズ群を動作させるアクチェエータが小さくなるため、小型化を図ることができる。
【0029】
本発明ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足する。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。
【0030】
条件式(1)は、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率と正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率の関係を規定する式である。
【0031】
条件式(1)の下限を下回ると、ぶれ補正を行うための正レンズ(ブレ補正レンズ)の移動量が大きくなり、ぶれ補正を行うための機構が大型化してしまう。
【0032】
逆に、条件式(1)の上限を上回ると、ぶれ補正時に発生する収差を良好に補正することが困難になる。
【0033】
従って、ズームレンズが条件式(1)を満足することにより、正レンズの移動量を小さくしてぶれ補正を行うための機構の小型化を図ることができると共にぶれ補正時に発生する収差を良好に補正することができる。
【0034】
尚、本発明ズームレンズにおいては、条件式(1)の範囲を以下の条件式(1)′の範囲に設定することがより望ましい。
(1)′0.5<(1−βkFW)・βkRW<1.5
ズームレンズが条件式(1)′を満足することにより、正レンズの移動量をさらに小さくしてぶれ補正を行うための機構の一層の小型化を図ることができると共にぶれ補正時に発生する収差を一層良好に補正することができる。
【0035】
本発明の一実施形態のズームレンズにあっては、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)1.5<fk/f3<4.0
但し、
fk:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
とする。
【0036】
条件式(2)は、第3レンズ群の最も物体側に配置されている正レンズと第3レンズ群の屈折力の比を規定する式である。
【0037】
条件式(2)の下限を下回ると、正レンズの屈折力が強くなり過ぎ、ブレ補正レンズの重量が大きくなるため、ブレ補正レンズを動作させるためのアクチュエーターが大型化してしまう。また、ぶれ補正時に球面収差やコマ収差の補正が困難になる。
【0038】
逆に、条件式(2)の上限を上回ると、正レンズの屈折力が弱くなり過ぎ、ぶれ補正を行うために必要な正レンズの移動量が大きくなり、ブレ補正機構が大型化してしまう。
【0039】
従って、ズームレンズが条件式(2)を満足することにより、ブレ補正レンズの重量を小さくしてブレ補正レンズを動作させるためのアクチュエーターの小型化を図ることができると共にぶれ補正を行うために必要な正レンズの移動量を小さくしてブレ補正機構の小型化を図ることができる。
【0040】
尚、本発明ズームレンズにおいては、条件式(2)の範囲を以下の条件式(2)′の範囲に設定することがより望ましい。
(2)′1.8<fk/f3<2.5
ズームレンズが条件式(2)′を満足することにより、ブレ補正レンズの重量をより小さくしてブレ補正レンズを動作させるためのアクチュエーターの一層の小型化を図ることができると共にぶれ補正を行うために必要な正レンズの移動量をより小さくしてブレ補正機構の一層の小型化を図ることができる。
【0041】
本発明の一実施形態のズームレンズにあっては、第3レンズ群が開口絞りの物体側に配置された正レンズと開口絞りの像側に配置され正の屈折力を有するレンズ群とによって構成されることが望ましい。
【0042】
ブレ補正レンズとして機能する正レンズを第3レンズ群の最も物体側かつ開口絞りより物体側に配置することにより、ブレ補正レンズをカム筒(レンズ保持部材)の最も物体側に配置することができるため、ブレ補正機構の十分な配置スペースを確保することが可能となる。
【0043】
本発明の一実施形態のズームレンズにあっては、第3レンズ群の像側に負の屈折力を有し光軸方向へ移動されてフォーカシングを行う第4レンズ群が配置され、第4レンズ群の像側に正の屈折力を有する第5レンズ群が配置され、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)2.5<(1−βG4t)##2・(βG5t)##2<5.0
但し、
βG4t:第4レンズ群の横倍率
βG5t:第5レンズ群の横倍率
とする。
【0044】
第4レンズ群をフォーカスレンズ群として用いることにより、第4レンズ群は有効径が小さいためフォーカスレンズ群が軽量化し、フォーカスレンズ群を動作させるためのアクチュエーターを小型化することが可能になりズームレンズの小型化を図ることができる。
【0045】
また、負の屈折力を有する第4レンズ群をフォーカスレンズ群として用いることにより、偏芯敏感度が高いためフォーカスを行うための移動量が小さくなり、ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0046】
条件式(3)は、フォーカスレンズ群の偏芯敏感度を規定する式である。条件式(3)の下限を下回ると、フォーカスを行うための移動量が小さくなり過ぎ、フォーカスの移動精度が非常に高くなってしまう。
【0047】
逆に、条件式(3)の上限を上回ると、フォーカスを行うための移動量が大きくなり過ぎ、ズームレンズが大型化してしまう。
【0048】
従って、ズームレンズが条件式(3)を満足することにより、フォーカスを行うための移動量が適正化されフォーカスの移動精度を必要以上に高くすることがないと共に小型化を図ることができる。
【0049】
本発明の一実施形態のズームレンズにあっては、第4レンズ群が1枚の負レンズのみによって構成されることが望ましい。
【0050】
第4レンズ群が1枚の負レンズのみによって構成されることにより、フォーカスレンズ群が軽量化し、フォーカスレンズ群を動作させるためのアクチュエーターを小型化することができる。
【0051】
[ズームレンズの数値実施例]
以下に、本発明ズームレンズの具体的な実施の形態及び該実施の形態に具体的な数値を適用した数値実施例について、図面及び表を参照して説明する。
【0052】
尚、以下の各表や説明において示した記号の意味等については、下記に示す通りである。
【0053】
「面番号」は物体側から像側へ数えた第i番目の面、「R」は第i番目の面の曲率半径、「D」は第i番目の面と第i+1番目の面の間の軸上面間隔(レンズの中心の厚み又は空気間隔)、「Nd」は第i番目の面から始まるレンズ等のd線(λ=587.6nm)における屈折率、「νd」は第i番目の面から始まるレンズ等のd線におけるアッベ数を示す。
【0054】
「面番号」に関し「ASP」は当該面が非球面であることを示し、「曲率半径R」に関し「INF」は当該面が平面であることを示し、「面間隔D」に関し「Di」は可変間隔を示す。
【0055】
「K」は円錐定数(コーニック定数)、「A4」、「A6」、「A8」、「A10」はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
【0056】
「f」はレンズ全系の焦点距離、「Fno」はFナンバー(開放F値)、「ω」は半画角を示す。
【0057】
尚、以下の非球面係数を示す各表において、「E−n」は10を底とする指数表現、即ち、「10のマイナスn乗」を表しており、例えば、「0.12345E−05」は「0.12345×(10のマイナス五乗)」を表している。
【0058】
各実施の形態において用いられたズームレンズには、レンズ面が非球面に形成されたものがある。レンズ面の頂点から光軸方向における距離を「x」、光軸方向に直交する方向における高さを「y」、レンズ頂点での近軸曲率を「c」とすると、非球面形状は以下の数式1によって定義される。
【0059】
【数1】



以下に示す各実施の形態において、ズームレンズ1、2、3は第1レンズ群G1乃至第5レンズ群G5による5群構成とされ、ズームレンズ4は第1レンズ群G1乃至第3レンズ群G3による3群構成とされている。
【0060】
ズームレンズ1、2、3、4においては、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し第1レンズが物体側へ移動すると共に各レンズ群の間隔が変化する。
【0061】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるズームレンズ1のレンズ構成を示している。
【0062】
ズームレンズ1は、変倍比が2.89倍にされている。
【0063】
ズームレンズ1は正の屈折力を有する第1レンズ群G1と負の屈折力を有する第2レンズ群G2と正の屈折力を有する第3レンズ群G3と負の屈折力を有する第4レンズ群G4と正の屈折力を有する第5レンズ群G5とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0064】
ズームレンズ1においては、第4レンズ群G4が光軸方向へ移動されることによりフォーカシングが行われる。
【0065】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と負メニスカスレンズL1の像側に配置され物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2とによって構成された接合レンズから成る。
【0066】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL3と、両凹レンズL4と、両凸レンズL5が物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0067】
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL6と、両凸レンズL7と両凸レンズL7の像側に配置され物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL8とによって構成された接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL9とが物体側より像側へ順に配置されて成る。
【0068】
第4レンズ群G4は物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL10によって構成されている。
【0069】
第5レンズ群G5は物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11によって構成されている。
【0070】
第1レンズ群G1乃至第5レンズ群G5は、何れもズーミングに際して光軸方向へ移動される可動レンズ群として構成されている。
【0071】
第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL6と両凸レンズL7の間には開口絞りSが配置されている。
【0072】
第5レンズ群G5の像側には像面IPが配置されている。
【0073】
第1の実施の形態におけるズームレンズ1に具体的数値を適用した数値実施例1のレンズデーターを表1に示す。
【0074】
【表1】



ズームレンズ1において、第2レンズ群G2の両凹レンズL4の物体側の面(第6面)、第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL9の物体側の面(第16面)及び第4レンズ群G4の負メニスカスレンズL10の両面(第18面、第19面)は非球面に形成されている。数値実施例1における非球面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数Kと共に表2に示す。
【0075】
【表2】



ズームレンズ1において、広角端状態と望遠端状態の間のズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間の面間隔D3、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間の面間隔D9、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間の面間隔D17、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間の面間隔D19及び第5レンズ群G5と像面IPの間の面間隔D21が変化する。数値実施例1における広角端状態(f=18.49)、中間焦点距離状態(f=27.38)及び望遠端状態(f=53.51)の各面間隔を焦点距離f、FナンバーFno及び半画角ωと共に表3に示す。
【0076】
【表3】



図2乃至図4は数値実施例1の無限遠合焦状態における諸収差図を示し、図2は広角端状態、図3は中間焦点距離状態、図4は望遠端状態における球面収差図、非点収差図、歪曲収差図を示す。
【0077】
図2乃至図4には、球面収差図において、実線でd線(波長587.6nm)、一点鎖線でg線(波長435.8nm)、点線でC線(波長656.3nm)における値をそれぞれ示す。非点収差図において、実線でサジタル像面における値を示し、点線でメリディオナル像面における値を示す。
【0078】
各収差図から、数値実施例1は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0079】
<第2の実施の形態>
図5は、第2の実施の形態におけるズームレンズ2のレンズ構成を示している。
【0080】
ズームレンズ2は、変倍比が2.90倍にされている。
【0081】
ズームレンズ2は正の屈折力を有する第1レンズ群G1と負の屈折力を有する第2レンズ群G2と正の屈折力を有する第3レンズ群G3と負の屈折力を有する第4レンズ群G4と正の屈折力を有する第5レンズ群G5とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0082】
ズームレンズ2においては、第4レンズ群G4が光軸方向へ移動されることによりフォーカシングが行われる。
【0083】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と負メニスカスレンズL1の像側に配置され物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2とによって構成された接合レンズから成る。
【0084】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL3と、両凹レンズL4と、両凸レンズL5が物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0085】
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL6と、両凸レンズL7と両凸レンズL7の像側に配置され物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL8とによって構成された接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL9とが物体側より像側へ順に配置されて成る。
【0086】
第4レンズ群G4は両凹レンズL10によって構成されている。
【0087】
第5レンズ群G5は両凸レンズL11によって構成されている。
【0088】
第1レンズ群G1乃至第5レンズ群G5は、何れもズーミングに際して光軸方向へ移動される可動レンズ群として構成されている。
【0089】
第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL6と両凸レンズL7の間には開口絞りSが配置されている。
【0090】
第5レンズ群G5の像側には像面IPが配置されている。
【0091】
第2の実施の形態におけるズームレンズ2に具体的数値を適用した数値実施例2のレンズデーターを表4に示す。
【0092】
【表4】



ズームレンズ2において、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL3の両面(第4面、第5面)、第2レンズ群G2の両凹レンズL4の物体側の面(第6面)、第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL9の物体側の面(第16面)及び第4レンズ群G4の両凹レンズL10の両面(第18面、第19面)は非球面に形成されている。数値実施例2における非球面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数Kと共に表5に示す。
【0093】
【表5】



ズームレンズ2において、広角端状態と望遠端状態の間のズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間の面間隔D3、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間の面間隔D9、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間の面間隔D17、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間の面間隔D19及び第5レンズ群G5と像面IPの間の面間隔D21が変化する。数値実施例2における広角端状態(f=18.46)、中間焦点距離状態(f=27.02)及び望遠端状態(f=53.50)の各面間隔を焦点距離f、FナンバーFno及び半画角ωと共に表6に示す。
【0094】
【表6】



図6乃至図8は数値実施例2の無限遠合焦状態における諸収差図を示し、図6は広角端状態、図7は中間焦点距離状態、図8は望遠端状態における球面収差図、非点収差図、歪曲収差図を示す。
【0095】
図6乃至図8には、球面収差図において、実線でd線(波長587.6nm)、一点鎖線でg線(波長435.8nm)、点線でC線(波長656.3nm)における値をそれぞれ示す。非点収差図において、実線でサジタル像面における値を示し、点線でメリディオナル像面における値を示す。
【0096】
各収差図から、数値実施例2は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0097】
<第3の実施の形態>
図9は、第3の実施の形態におけるズームレンズ3のレンズ構成を示している。
【0098】
ズームレンズ3は、変倍比が10.50倍にされている。
【0099】
ズームレンズ3は正の屈折力を有する第1レンズ群G1と負の屈折力を有する第2レンズ群G2と正の屈折力を有する第3レンズ群G3と負の屈折力を有する第4レンズ群G4と正の屈折力を有する第5レンズ群G5とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0100】
ズームレンズ3においては、第4レンズ群G4が光軸方向へ移動されることによりフォーカシングが行われる。
【0101】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と負メニスカスレンズL1の像側に配置された両凸レンズL2とによって構成された接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0102】
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL4と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5と、両凸レンズL6と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL7とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0103】
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8と、両凸レンズL9と、両凹レンズL10と、両凸レンズL11と両凸レンズL11の像側に配置され物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL12によって構成された接合レンズと、両凹レンズL13と両凹レンズL13の像側に配置された両凸レンズL14によって構成された接合レンズとが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0104】
第4レンズ群G4は物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL15と正メニスカスレンズL15の像側に配置された両凹レンズL16とによって構成された接合レンズから成る。
【0105】
第5レンズ群G5は両凸レンズL17と両凸レンズL17の像側に配置され物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL18とによって構成された接合レンズから成る。
【0106】
第1レンズ群G1乃至第5レンズ群G5は、何れもズーミングに際して光軸方向へ移動される可動レンズ群として構成されている。
【0107】
第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL8と両凸レンズL9の間には開口絞りSが配置されている。
【0108】
第5レンズ群G5の像側には像面IPが配置されている。
【0109】
第3の実施の形態におけるズームレンズ3に具体的数値を適用した数値実施例3のレンズデーターを表7に示す。
【0110】
【表7】



ズームレンズ3において、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL4の物体側の面(第6面)、第3レンズ群G3の両凸レンズL9の両面(第17面、第18面)、第3レンズ群G3の両凸レンズL11の物体側の面(第21面)及び第4レンズ群G4の両凹レンズL16の像側の面(第29面)は非球面に形成されている。数値実施例3における非球面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数Kと共に表8に示す。
【0111】
【表8】



ズームレンズ3において、広角端状態と望遠端状態の間のズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間の面間隔D5、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間の面間隔D13、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間の面間隔D26、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間の面間隔D29及び第5レンズ群G5と像面IPの間の面間隔D32が変化する。数値実施例3における広角端状態(f=18.45)、中間焦点距離状態(f=59.00)及び望遠端状態(f=193.78)の各面間隔を焦点距離f、FナンバーFno及び半画角ωと共に表9に示す。
【0112】
【表9】



図10乃至図12は数値実施例3の無限遠合焦状態における諸収差図を示し、図10は広角端状態、図11は中間焦点距離状態、図12は望遠端状態における球面収差図、非点収差図、歪曲収差図を示す。
【0113】
図10乃至図12には、球面収差図において、実線でd線(波長587.6nm)、一点鎖線でg線(波長435.8nm)、点線でC線(波長656.3nm)における値をそれぞれ示す。非点収差図において、実線でサジタル像面における値を示し、点線でメリディオナル像面における値を示す。
【0114】
各収差図から、数値実施例3は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0115】
<第4の実施の形態>
図13は、第4の実施の形態におけるズームレンズ4のレンズ構成を示している。
【0116】
ズームレンズ4は、変倍比が9.55倍にされている。
【0117】
ズームレンズ4は正の屈折力を有する第1レンズ群G1と負の屈折力を有する第2レンズ群G2と正の屈折力を有する第3レンズ群G3とが物体側から像側へ順に配置されて成る。第2レンズ群G2は負の屈折力を有する前群G2Fと前群G2Fの像側に配置され負の屈折力を有する後群G2Rとから成る。
【0118】
ズームレンズ4においては、第2レンズ群G2の後群G2Rが光軸方向へ移動されることによりフォーカシングが行われる。
【0119】
第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と負メニスカスレンズL1の像側に配置された両凸レンズL2とによって構成された接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3とが物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0120】
第2レンズ群G2の前群G2Fは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL4と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5と、両凸レンズL6が物体側から像側へ順に配置されて成る。
【0121】
第2レンズ群G2の後群G2Rは、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL7によって構成されている。
【0122】
第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL8と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL9と、両凸レンズL10と両凸レンズL10の像側に配置された両凹レンズL11とによって構成された接合レンズと、両凸レンズL12と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL13と正メニスカスレンズL13の像側に配置された両凹レンズL14とによって構成された接合レンズと、両凸レンズL15と両凸レンズL15の像側に配置され物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16とによって構成された接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、両凸レンズ18が物体側より像側へ順に配置されて成る。
【0123】
第1レンズ群G1乃至第3レンズ群G3は、何れもズーミングに際して光軸方向へ移動される可動レンズ群として構成されている。
【0124】
第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL8と正メニスカスレンズL9の間には開口絞りSが配置されている。
【0125】
第3レンズ群G5の像側には像面IPが配置されている。
【0126】
第4の実施の形態におけるズームレンズ4に具体的数値を適用した数値実施例4のレンズデーターを表10に示す。
【0127】
【表10】



ズームレンズ4において、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL4の物体側の面(第6面)、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL7の両面(第12面、第13面)、第3レンズ群G3の正メニスカスレンズL9の両面(第17面、第18面)、第3レンズ群G3の両凸レンズL12の両面(第22面、第23面)及び第3レンズ群G3の両凹レンズL14の像側の面(第26面)は非球面に形成されている。数値実施例4における非球面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数Kと共に表11に示す。
【0128】
【表11】



ズームレンズ4において、広角端状態と望遠端状態の間のズーミングに際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間の面間隔D5、第2レンズ群G2の前群G2Fと第2レンズ群G2の後群G2Rの間の面間隔D11、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間の面間隔D13、第3レンズ群G3と像面IPの間の面間隔D33が変化する。数値実施例4における広角端状態(f=18.82)、中間焦点距離状態(f=56.03)及び望遠端状態(f=179.76)の各面間隔を焦点距離f、FナンバーFno及び半画角ωと共に表12に示す。
【0129】
【表12】



図14乃至図16は数値実施例4の無限遠合焦状態における諸収差図を示し、図14は広角端状態、図15は中間焦点距離状態、図16は望遠端状態における球面収差図、非点収差図、歪曲収差図を示す。
【0130】
図14乃至図16には、球面収差図において、実線でd線(波長587.6nm)、一点鎖線でg線(波長435.8nm)、点線でC線(波長656.3nm)における値をそれぞれ示す。非点収差図において、実線でサジタル像面における値を示し、点線でメリディオナル像面における値を示す。
【0131】
各収差図から、数値実施例4は諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0132】
[ズームレンズの条件式の各値]
表13にズームレンズ1乃至ズームレンズ4における条件式(1)乃至条件式(3)の各値を示す。
【0133】
【表13】



表13から明らかなように、ズームレンズ1乃至ズームレンズ4は条件式(1)乃至条件式(3)を満足するようにされている。
【0134】
[撮像装置の構成]
本発明撮像装置は、ズームレンズと該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、ズームレンズが、物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し第1レンズ群が物体側へ移動すると共に各レンズ群の間隔が変化する。
【0135】
また、本発明撮像装置は、ズームレンズが、第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行う。
【0136】
本発明撮像装置にあっては、上記のように、第3レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのみをブレ補正レンズ群として使用することにより、ブレ補正レンズ群の重量が小さく、ブレ補正レンズ群を動作させるアクチェエータが小さくなるため、小型化を図ることができる。
【0137】
本発明撮像装置は、ズームレンズが、以下の条件式(1)を満足する。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。
【0138】
条件式(1)は、第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率と正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率との関係を規定する式である。
【0139】
条件式(1)の下限を下回ると、ぶれ補正を行うための正レンズ(ブレ補正レンズ)の移動量が大きくなり、ぶれ補正を行うための機構が大型化してしまう。
【0140】
逆に、条件式(1)の上限を上回ると、ぶれ補正時に発生する収差を良好に補正することが困難になる。
【0141】
従って、撮像装置のズームレンズが条件式(1)を満足することにより、正レンズの移動量を小さくしてぶれ補正を行うための機構の小型化を図ることができると共にぶれ補正時に発生する収差を良好に補正することができる。
【0142】
尚、本発明撮像装置においては、条件式(1)の範囲を以下の条件式(1)′の範囲に設定することがより望ましい。
(1)′0.5<(1−βkFW)・βkRW<1.5
撮像装置のズームレンズが条件式(1)′を満足することにより、正レンズの移動量をさらに小さくしてぶれ補正を行うための機構の一層の小型化を図ることができると共にぶれ補正時に発生する収差を一層良好に補正することができる。
【0143】
[撮像装置の一実施形態]
図17に、本発明撮像装置及び別の本発明撮像装置の一実施形態によるデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
【0144】
撮像装置(デジタルスチルカメラ)100は、撮像機能を担うカメラブロック10と、撮影された画像信号のアナログ−デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部20と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部30とを有している。また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)40と、メモリーカード1000への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)50と、撮像装置の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)60と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等から成る入力部70と、カメラブロック10に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部80とを備えている。
【0145】
カメラブロック10は、ズームレンズ11(本発明が適用されるズームレンズ1、2、3、4)を含む光学系や、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子12等とによって構成されている。
【0146】
カメラ信号処理部20は、撮像素子12からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0147】
画像処理部30は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0148】
LCD40はユーザーの入力部70に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。
【0149】
R/W50は、画像処理部30によって符号化された画像データのメモリーカード1000への書込及びメモリーカード1000に記録された画像データの読出を行う。
【0150】
CPU60は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、入力部70からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0151】
入力部70は、例えば、シャッター操作を行うためのシャッターレリーズボタンや、動作モードを選択するための選択スイッチ等によって構成され、ユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU60に対して出力する。
【0152】
レンズ駆動制御部80は、CPU60からの制御信号に基づいてズームレンズ11の各レンズを駆動する図示しないモータ等を制御する。
【0153】
メモリーカード1000は、例えば、R/W50に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
【0154】
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
【0155】
撮影の待機状態では、CPU60による制御の下で、カメラブロック10において撮影された画像信号が、カメラ信号処理部20を介してLCD40に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、入力部70からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU60がレンズ駆動制御部80に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部80の制御に基づいてズームレンズ11の所定のレンズが移動される。
【0156】
入力部70からの指示入力信号によりカメラブロック10の図示しないシャッターが動作されると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部20から画像処理部30に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W50に出力され、メモリーカード1000に書き込まれる。
【0157】
尚、フォーカシングは、例えば、入力部70のシャッターレリーズボタンが半押しされた場合や記録(撮影)のために全押しされた場合等に、CPU60からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部80がズームレンズ11の所定のレンズを移動させることにより行われる。
【0158】
メモリーカード1000に記録された画像データを再生する場合には、入力部70に対する操作に応じて、R/W50によってメモリーカード1000から所定の画像データが読み出され、画像処理部30によって伸張復号化処理が行われた後、再生画像信号がLCD40に出力されて再生画像が表示される。
【0159】
尚、上記した実施の形態においては、撮像装置をデジタルスチルカメラに適用した例を示したが、撮像装置の適用範囲はデジタルスチルカメラに限られることはなく、デジタルビデオカメラ、カメラが組み込まれた携帯電話、カメラが組み込まれたPDA(Personal Digital Assistant)等のデジタル入出力機器のカメラ部等として広く適用することができる。
【0160】
上記した各実施の形態において示した各部の形状及び数値は、何れも本発明を実施するための具体化のほんの一例に過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】ズームレンズの第1の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図2】図3及び図4と共に第1の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例の収差図を示し、本図は、広角端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図3】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図4】望遠端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図5】ズームレンズの第2の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図6】図7及び図8と共に第2の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例の収差図を示し、本図は、広角端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図7】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図8】望遠端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図9】ズームレンズの第3の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図10】図11及び図12と共に第3の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例の収差図を示し、本図は、広角端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図11】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図12】望遠端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図13】ズームレンズの第4の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図14】図15及び図16と共に第4の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例の収差図を示し、本図は、広角端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図15】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図16】望遠端状態における球面収差、非点収差及び歪曲収差を示す図である。
【図17】撮像装置の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0162】
1…ズームレンズ、2…ズームレンズ、3…ズームレンズ、4…ズームレンズ、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、G4…第4レンズ群、G5…第5レンズ群、S…開口絞り、100…撮像装置、11…ズームレンズ、12…撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し前記第1レンズ群が物体側へ移動すると共に前記各レンズ群の間隔が変化し、
前記第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、
前記第3レンズ群の前記正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行い、
以下の条件式(1)を満足する
ズームレンズ。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足する
請求項1に記載のズームレンズ。
(2)1.5<fk/f3<4.0
但し、
fk:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
とする。
【請求項3】
前記第3レンズ群が開口絞りの物体側に配置された前記正レンズと前記開口絞りの像側に配置され正の屈折力を有するレンズ群とによって構成された
請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第3レンズ群の像側に負の屈折力を有し光軸方向へ移動されてフォーカシングを行う第4レンズ群が配置され、
前記第4レンズ群の像側に正の屈折力を有する第5レンズ群が配置され、
以下の条件式(3)を満足する
請求項1に記載のズームレンズ。
(3)2.5<(1−βG4t)##2・(βG5t)##2<5.0
但し、
βG4t:第4レンズ群の横倍率
βG5t:第5レンズ群の横倍率
とする。
【請求項5】
前記第4レンズ群が1枚の負レンズのみによって構成された
請求項4に記載のズームレンズ。
【請求項6】
ズームレンズと該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、
前記ズームレンズは、
物体側より像側へ順に配置された正の屈折力を有する第1レンズ群と負の屈折力を有する第2レンズ群と正の屈折力を有する第3レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し前記第1レンズ群が物体側へ移動すると共に前記各レンズ群の間隔が変化し、
前記第3レンズ群が最も物体側に配置された正レンズを含む少なくとも2枚のレンズを有し、
前記第3レンズ群の前記正レンズを光軸と垂直方向へ移動させることによりぶれ発生時における像面上のぶれ補正を行い、
以下の条件式(1)を満足する
撮像装置。
(1)0.3<(1−βkFW)・βkRW<1.9
但し、
βkFW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズの広角端における横倍率
βkRW:第3レンズ群における最も物体側に配置された正レンズより像側に配置された全てのレンズによって構成されるレンズ群の広角端における横倍率
とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−237588(P2011−237588A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108665(P2010−108665)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】