説明

セキュリティシステム

【課題】外来ノイズによる誤動作を確実に防止することのできるセキュリティシステムの提供を目的とする。
【解決手段】認証信号受信部1から取り込んだ認証用信号に対する認証成立の有無を判定する認証部2と、
錠装置3のアクチュエータ駆動を制御する錠制御部4と、
有害外来ノイズの有無を判定するノイズ判定部5とを有し、
ノイズ判定部5からのノイズ有り判定が出力されないことを前記錠制御部4における錠装置への解錠信号の出力の必要条件とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線等の遠隔的手段、あるいは指紋認証等の生体認証手段による認証が成立した際に錠装置のアクチュエータを駆動し、施解錠動作を行うセキュリティシステムとしては特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、セキュリティシステムは、指紋センサと、指紋センサへの入力信号を認証する制御部と、制御部での認証成立を条件に解錠操作される電気錠(錠装置)とを有する。
【特許文献1】特開2006-192011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例において、指紋センサ周りに強い外来ノイズが作用した場合には、グランド、あるいはシグナルラインに誘起されるノイズにより指紋センサが誤動作し、解錠動作が行われる可能性があるという欠点がある。
【0005】
外来ノイズに対するノイズ耐性は電磁シールド等を施すことにより高めることは可能であるが、この種セキュリティシステムにあっては、認証信号の入力部が必須であるために、例えば当該入力部から入射される放射ノイズによるノイズ誘起を完全に防止することは極めて困難である。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、外来ノイズによる誤動作を確実に防止することのできるセキュリティシステムの提供を目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、外来ノイズによる誤動作を確実に防止することのできるセキュリティシステムにおける錠装置の制御方法にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
認証信号受信部1から取り込んだ認証用信号に対する認証成立の有無を判定する認証部2と、
錠装置3のアクチュエータ駆動を制御する錠制御部4と、
有害外来ノイズの有無を判定するノイズ判定部5とを有し、
ノイズ判定部5からのノイズ有り判定が出力されないことを前記錠制御部4における錠装置への解錠信号の出力の必要条件とするセキュリティシステムを提供することにより達成される。
【0009】
セキュリティシステムは、認証信号受信部1から取り込んだ認証用信号を認証する認証部2と、錠制御部4とを有する。錠制御部4は予め設定された施解錠条件の充足を条件に施解錠信号を生成し、錠装置を駆動する。
【0010】
認証部2には、例えば指紋認証等の生体認証装置、あるいは利用者が所持する携帯器からの発信信号に対する認証装置が使用でき、認証信号受信部1は、前者における画像取得装置、後者における受信装置等、認証部2で要求される認証用信号を取得可能なものが適宜選択される。
【0011】
有害な外来ノイズがない状態、すなわちシステムが誤動作を起こすことなく正常に動作しているとき、上述した認証用信号が認証部2で認証されると、錠制御部4は解錠信号を生成して錠装置による施錠状態が解除される。錠制御部4における施錠信号の出力は、利用者による認証部2での認証可能な認証動作時の明示的な施錠指示により行うことも、あるいは利用者による指示を要することなく、例えば、解錠状態の経過時間により自動的に行うことも可能である。
【0012】
さらに、セキュリティシステムには、システムに誤動作を生じさせる可能性のある外来ノイズを検出するためのノイズ判定部5が組み込まれる。ノイズ判定部5は、システム誤動作の結果、認証信号受信部1から認証可能な認証用信号が入力されなかったにもかかわらず錠制御部4が解錠信号を出力する可能性のある強度の外来ノイズを検出すると、ノイズ有り信号を出力する。
【0013】
このノイズ判定部5からの出力信号は、錠制御部4からの解錠信号出力時の判定信号として利用され、錠制御部4において他の解錠信号出力条件が充足していても、ノイズ判定部5からの外来ノイズ有り信号が出力されている場合、錠制御部4から解錠信号が出力されることはない。
【0014】
したがってこの発明において、システム誤動作を招来するような外来ノイズの存在下では、錠制御部4が解錠信号を出力することはないので、例えば、セキュリティシステム近傍において故意に高い放射ノイズを発生させてシステムを誤動作させることによる錠装置の不正解錠操作を確実に防止することができる。また、本発明は、有害な外来ノイズを印加した状態での錠制御部4の解錠信号の出力を制御するだけであるから、停電等の際における室内への閉じこめ等を防止するために、例えば瞬断発生時に錠制御部4が解錠信号を出力する等のフェイルセーフ動作が組み込まれてたセキュリティシステムにおいては、通常のフェイルセーフ動作を阻害することなく不正解錠操作を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外来ノイズによる誤動作を確実に防止することができ、動作信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に指紋認証システムとして構成された本発明の実施の形態を示す。図中8は認証信号受信部1と認証部2とを1チップ化した指紋認証ICであり、認証信号受信部1には指紋採取用の静電容量型センサ回路が使用される。
【0017】
認証信号受信部1と認証部2とは、バスライン8aにより接続され、図外のROM内に格納されたプログラムに従って動作する制御部8bによって制御される。認証部2は、指紋データ格納部2aを備え、指紋登録モードにおいて認証信号受信部1から取り込まれた画像情報は、例えば指紋隆線の端点、分岐点等の特徴点に関する情報に変換された後、認証用信号として指紋データ格納部2aに格納される。
【0018】
2bは認証部2を構成する認証データ比較部で、認証信号受信部1から取り込まれた指紋データを指紋データ格納部2a内の登録済みデータと比較し、一致した場合には認証結果出力部2cを経由して”認証成立信号”を、不一致の場合には”認証不成立信号”を出力する。
【0019】
5はノイズ判定部であり、電磁ノイズによる誤動作をターゲットとしたこの実施の形態において、電磁誘導部6として機能するノイズ検知コイルと、ノイズ強度比較部7とから構成される。ノイズ強度比較部7は、外来ノイズの印加によりノイズ検知コイル6に誘起された起電力と予め設定されたしきい値とを比較し、検出起電力がしきい値を超える場合には、”ノイズ有り"信号を出力する。ノイズ強度比較部7における判定のためのしきい値は、例えば実験により求められた起電力-誤動作確率線図により求めることができる。
【0020】
上記ノイズ強度比較部7は、望ましくは、アイソレーション等の適宜のノイズ伝播切断構造により、ノイズ検知コイル6、あるいは認証部2からのノイズ伝播が防止される。
【0021】
なお、以上において電磁誘導部6としてノイズ検知コイルを使用する場合を示したが、電磁ノイズに対する電磁結合が可能であれば、例えば、プリント配線等、他の電磁結合構造を採用することができる。また、ノイズ判定部5は、誘導性ノイズ、とりわけ電磁誘導ノイズに対する評価を行うように形成されているが、例えば、静電気放電に伴うインパルス性放電電流により誤動作発生の可能性があるときには、当該電流に対する検出手段を上述した電磁誘導部6に代えて、あるいはこれと併用して配置することができる。
【0022】
4は錠制御部、3は錠制御部4により制御される錠装置を示す。錠装置3は、デッドボルト3aと、デッドボルト3aを扉枠側のストライク9に向けて進退駆動するアクチュエータ3bとを有し、錠制御部4は、施解錠信号を出力することにより錠装置のアクチュエータ3bを駆動してデッドボルト3aの進退動作を制御する。
【0023】
錠制御部4における制御フローを図2に示す。まず、錠制御部4は、認証部2からの認証成立信号を受領すると(ステップS1)、施解錠ボタン10の押下状態から施解錠いずれの操作であるかを判定し(ステップS2)、施錠操作である場合には、施錠信号を出力して(ステップS2-1)制御を終了する。
【0024】
これに対し、操作要求が解錠操作である場合には、ノイズ判定部5の出力を問い合わせる(ステップS3)。問い合わせの結果、ノイズ判定部5が”ノイズ有り”信号を出力している場合には(ステップS4)、アラート手段11に対してアラート信号を出力して(ステップS4-1)制御を終了する。
【0025】
アラート手段11には、LED、ブザー等が使用でき、アラート信号を受領すると、LED点滅、ブザー吹鳴等のアラート動作により(ステップS4-2)不正解錠操作が行われた旨を知らせる。
【0026】
ステップS4において”ノイズ有り”信号が出力されていない場合には、錠制御部4は解錠信号を出力して(ステップS5)錠装置を解錠状態に遷移させ、制御を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態を示す動作ブロック図である。
【図2】錠制御部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 認証信号受信部
2 認証部
3 錠装置
4 錠制御部
5 ノイズ判定部
6 電磁誘導部
7 ノイズ強度比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証信号受信部から取り込んだ認証用信号に対する認証成立の有無を判定する認証部と、
錠装置のアクチュエータ駆動を制御する錠制御部と、
有害外来ノイズの有無を判定するノイズ判定部とを有し、
ノイズ判定部からのノイズ有り判定が出力されないことを前記錠制御部における錠装置への解錠信号出力の必要条件とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記ノイズ判定部は、外来ノイズを受信する電磁誘導部と、
電磁誘導部に誘起された起電力が所定のしきい値を超えたときにノイズ有り信号を出力するノイズ強度比較部とを有する請求項1記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
認証部における認証成立を条件に錠装置を解錠駆動するに際し、
誘導性外来ノイズにより電磁誘導部に誘導された起電力が所定のしきい値以下であることを解錠駆動の必要条件とするセキュリティシステムにおける錠装置の制御方法。





【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−63814(P2008−63814A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242576(P2006−242576)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(506304141)株式会社オー・アイ・ジェイ (4)
【Fターム(参考)】