説明

セラミック基体支持体

【課題】処理中に基体を支持するための基体支持組立体を提供する。
【解決手段】一実施の形態においては、支持組立体(136)は、第1の側(216)及び第2の側(232A)を有する上側セラミック板(208)と、第1の側(212)、第2の側(214)及び埋込まれた電極(234)を有する下側セラミック板(210)を含み、前記下側セラミック板の第1の側(212)は前記上側セラミック板の第2の側に接合されてそれらの間にチャンネル(290)を限定している。別の実施の形態においては、支持組立体は、第1の側及び第2の側を有する第1の板を含む。前記第1の側上にはシールリング(258)が設けられている。前記第1の側の、前記リングの半径方向内側には段付き表面(220)が形成されている。第2の板が、前記第1の板の第2の側に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、基体を半導体処理チャンバ内に支持するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一のチップ上に数百万のトランジスタ、キャパシタ、及び抵抗を含むことができる複雑なデバイスに発展してきた。チップ設計の発展は、より速い回路及びより高い回路密度を絶えず要求し、それにより益々精密な製造プロセスが要求されてきている。しばしば使用される1つの製造プロセスは、化学蒸着(CVD)である。
【0003】
化学蒸着は、一般的に、基体または半導体ウェハ上に薄膜を堆積させるために使用されている。化学蒸着は、一般的に、真空チャンバ内へ先駆物質(原料)ガスを導入することによって達成される。先駆物質ガスは、典型的には、チャンバのトップ付近に位置しているシャワーヘッドを通して導かれる。先駆物質ガスは、加熱された基体支持体上に位置決めされている基体の表面と反応して該表面上に材料の層を形成する。パージガスが支持体内の複数の孔を通して基体の縁へ導かれ、基体の縁への堆積(基体を支持体に付着させる恐れがある)を防いでいる。反応中に発生する揮発性副産物は、排気システムを通してチャンバから排気される。
【0004】
化学蒸着プロセスを使用して基体上にしばしば形成される1つの材料は、タングステンである。タングステンを形成させるために使用できる先駆物質ガスは、一般的に、六フッ化タングステン(WF6)及びシランを含む。シラン及び六フッ化タングステンを混合すると、若干の“迷(stray)”タングステン(即ち、基体上に堆積されないタングステン)がシャワーヘッドその他のチャンバ成分上に堆積する。迷タングステン薄膜がシャワーヘッド上に構築され、チャンバ内の汚染の源になりかねない。最終的に、迷タングステンは、先駆物質ガスの通過を容易にするためのシャワーヘッド内の孔を詰まらせ、シャワーヘッドを取り外して清浄化するか、または交換する必要を生じさせる。
【0005】
シャワーヘッドの定常的な保守の時間間隔を延ばすために、一般的に、フッ素を基とする薬品を使用して迷タングステン薄膜を清浄(即ち、エッチング)する。しかしながらフッ素を使用した場合、タングステンが除去されるという利点は得られるが、一般的にはアルミニウムで製造されている加熱された支持体と反応して支持体上にフッ化アルミニウムを形成する。フッ化アルミニウム層は、一般的に粗い表面トポグラフィを有している。表面が粗いと、基体を加熱される支持体にチャック、または保持するために使用される真空を損なう漏洩通路を生じさせる。更に、フッ化アルミニウム層は、粒子汚染の潜在的な源である。
【0006】
セラミック材料で製造された基体支持体は、セラミックのフッ素に対する耐性の故に、アルミニウム支持体に比して改善を提供する。しかしながら、セラミック支持体は、製造することが困難である。例えば、支持体の周縁にパージガスを供給するために使用されるセラミック支持体内の孔は、典型的には支持体の周縁から、一般的には支持体の半径にほぼ等しい深さまで錐もみされる。このような深い孔をセラミック内に錐もみすることは困難である。これらの孔を作るために使用される工具は、製造プロセス(例えば、錐もみ)中に破損することが多い。支持体内に残された破損工具は除去しなければならないか、または支持体を廃棄しなければならない。これらの製造の困難性が支持体を高価にし、望ましくない高い廃棄率をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当分野には、改善された化学蒸着プロセス用の加熱される支持体に対する要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一面は、一般的に、処理中に基体を支持するための基体支持組立体を提供する。一実施の形態においては、支持組立体は、第1の側を有する上側セラミック板と、第1の側及び埋込まれた電極を有する下側セラミック板とを備え、上側板の第1の側に下側板の第1の側が接合(フューズ)され、両者の間にチャンネルを限定している。
【0009】
別の実施の形態においては、支持組立体は、第1の側及び第2の側を有する第1の板を含んでいる。第1の側上にリングが配置されている。第1の側上のリングの半径方向内側に段付きの表面が形成されている。第2の板が、第1の板の第2の側に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の処理チャンバの一実施の形態の概略断面図である。
【図2A】ヒーター組立体の部分断面図である。
【図2B】ヒーター組立体の部分平面図である。
【図3A】上側板の表面の一実施の形態を示す図である。
【図3B】上側板の表面の別の実施の形態を示す図である。
【図3C】上側板の表面の更に別の実施の形態を示す図である。
【図4】ステムの断面図である。
【図5】ステムの第2の端の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明するが、この説明から本発明の教示が容易に理解されよう。理解を容易にするために、全図を通して同一の要素に対しては可能な限り同一の番号を使用している。
本発明は、一般的に、タングステン薄膜の堆積のために有利な処理システム、及び加熱される基体支持体を提供する。以下に本発明を、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials社から入手可能なW×ZTM金属化学蒸着(MCVD)システムのような化学蒸着システムに関連して説明する。しかしながら、本発明は、他の薄膜を堆積させる場合に、及び基体をセラミック支持体上に支持することを望む物理蒸着システム、化学蒸着システム、及び何等かの他のシステムのような、他のシステム構成に有用性を有していることを理解すべきである。
【0012】
図1は、化学蒸着システム100の一実施の形態の断面図である。このシステムは、一般的に、ガス源104に結合されているチャンバ102を含んでいる。チャンバ102は、壁106、底108、及び蓋110を有し、これらは処理容積112を限定している。壁106及び底108は、典型的には、アルミニウムの一体ブロックとして製造される。チャンバ100は、処理容積112を排気ポート116に結合するポンピングリング114を含んでいる(図示せず種々のポンピング成分を含む)。
【0013】
蓋110は壁106によって支持され、チャンバ102を手入れするために取り外すことができる。蓋110は一般的にはアルミニウムからなり、また熱伝達流体を流すことによって蓋110の温度を調整するための熱伝達流体チャンネルをも含むことができる。
【0014】
シャワーヘッド118が蓋110の内側120に結合されている。シャワーヘッド118は、典型的にアルミニウムで製造されている。シャワーヘッドは、一般に“皿状”の中央区分124を取り囲む周縁取付けリング122を含む。取付けリング122は、それを通る複数の取付け孔126を含み、各孔は蓋110内の対応する孔130内にねじ込まれるベント付きねじ128を受入れる。中央区分124は、有孔領域132を含む。
【0015】
混合ブロック134が蓋11内に配置されている。混合ブロック134はガス源に結合されており、プロセスガス及び他のガスは混合ブロック34及びシャワーヘッド118を通過してから処理容積112へ導入されるようになっている。シャワーヘッド118と混合ブロック134との間に配置されているブロック板136は、シャワーヘッド118を通ってチャンバ102内へ流入するガスの分配の均一性を増加させる。
【0016】
支持組立体138は、シャワーヘッド118の下に配置される。支持組立体138は、処理中に基体140を支持する。基体140は、典型的に、壁106内のポート(図示せず)を通して支持組立体138へアクセスする。一般的には、支持組立体138は、支持組立体138を図示の上昇位置と、下降位置との間で運動させるリフトシステム144に結合されている。ベロー146は、支持組立体138の運動を容易にしながら、処理容積112とチャンバ102の外側の大気との間を真空シールする。リフトピン及び関連機構は、明確化のために省略してある。
【0017】
図2Aは、支持組立体138の断面図である。図2Aの尺度は、支持組立体138の特色を明瞭に示すために誇張されている。支持組立体138は、一般的に、基体支持体202及びステム204を含む。基体支持体202は、第1の(上側)板208及び第2の(下側)板210からなる。上側板208は、処理中に基体140を支持する。下側板210は、一般的に、上側板208に接続されている第1の側212と、ステム204に接続されている第2の側214とを有している。上側板208及び下側板210は、典型的には、板208及び210を一緒にある時間にわたって高温でクランプすることによって(典型的には、接着剤を使用しないで)互いに接合される。代替として、板は焼結、接着剤、機械的手段(即ち、ファスナー)等によって結合することができる。
【0018】
上側板208は、窒化アルミニウムのようなセラミックで製造されている。好ましくは、純度が約95%の窒化アルミニウムを使用して上側板208の熱伝導度を高める。上側板208は、第1の、即ち支持表面216及び第2の表面232Aを含んでいる。支持表面216は、支持表面216の周縁から突き出ているシールリング218を有している。シールリング218は、基体140をその周縁において支持し、それらの間にシールを形成して基体の真空チャッキングを容易にする。支持表面216は、シールリング218の半径方向内側に配置されている段付き表面220を含む。一実施の形態においては、段付き表面220は、中央部分222、中間部分224、及び外側部分226を含んでいる。中央部分222は、シールリング218によって限定される面に平行に配向されている。中間部分224は、中央部分222に平行に配向されている。外側部分226は、中間部分224とシールリング218との間に位置決めされている。一般的には、部分222、224、及び226によって限定される面は0.001インチずつ分離されている。
【0019】
複数のポスト228A、228B、及び228Cが、段付き表面220(例えば、部分222、224、及び226)上に配置されている。ポスト228A、228B、及び228Cは、典型的には、上側板208内に一体に形成されている。ポスト228Aは、中央部分222内に位置決めされている。ポスト228Bは中間部分224内に位置決めされ、そしてポスト228Cは、外側部分226内に位置決めされている。ポスト228Aは、ポスト228B及び228Cよりも僅かに長い。ポスト228Bは、228Cよりも僅かに長い。各ポスト228A、228B、及び228Cは、共通面内に位置する先端230を含む。処理中に、過大なたわみ(即ち、シールリング及びポストにまたがる基体の反り)によって基体を破損させることなくポスト228A、228B、及び228Cの先端230上に基体を支持するように、先端230によって限定される面はシールリング218の面と実質的に同一面内にあることができる。
【0020】
段付き表面220は、基体の中央に熱が伝達される傾向を補償するために、基体と中央部分222との間により大きい間隙を生じさせる。より良い温度均一性が得られるように複数のキャップ及び複数のポストのサイズを設計することができるから、基体と段付き表面220との間に作られている可変間隙は、基体140のためにより良いチャッキング効果を促進することになる。例えば、支持組立体138にまたがる温度の均一性を、約3℃以内にすることができる。
【0021】
真空ポート250が、上側板208を通って設けられている。真空ポート250は、支持表面216上に、真空ポート250の他の部分に比して一般的に大きい断面積を有する拡張された部分252を含む変化する断面を有している。一実施の形態においては、拡張部分252は、各端に最大半径を有するスロットからなる。拡張部分252は、真空の印加中に真空ポート250と支持表面216との界面における圧力降下を減少させるのに役立つ。これは、基体140上の温度の均一性を、従って堆積の均一性を向上させる。当分野に精通していれば、説明している表面216における圧力低下を達成するために、拡張部分252を他のジオメトリに構成できることは容易に理解されよう。
【0022】
チャンネル290が、上側板208と下側板210との間に形成されている。一般的には、チャンネル290は、基体支持体202を通ってシャドウリング258と支持体202との間に限定されているプレナム266までのパージガスのための通路を与える。パージガスは、プレナムから基体の縁上を流れて基体の縁への堆積を防ぐ。
【0023】
典型的には、チャンネル290は上側板208内に形成される。オプションとして、チャンネル290の一部分または全てを完全に下側板210内に配置することができる。オプションとして、チャンネル290の若干または全ては、少なくとも部分的に上側板208内に、そして少なくとも部分的に下側板210内に配置することも、またはこれらをいろいろに組合わせて配置することもできる。これらの実施の形態に共通するのは、上側板208及び下側板210の表面の係合がチャンネル290を限定し、流体の走行をそれに閉じ込めることである。
【0024】
図3Aは、上側板208の第2の表面232Aの一実施の形態を示している。一実施の形態においては、第2の表面232Aは、その中に形成された複数のチャンネル290を含んでいる。チャンネル290は、複数の出口304を中央起点306に流体的に結合するように構成されている。流体源(図示せず)は流体(例えば、パージガス)を、中央起点306からチャンネル290を通して出口304へ供給する。出口が第2の表面232Aの周縁の周りに等間隔に離間されている場合には、各出口304における圧力を実質的に同一に維持することが好ましいので、この目的を達成するために、ジオメトリ(即ち、断面積)はチャンネル290の各“脚”毎に調整される。当分野に精通していれば理解されるように、チャンネル290の各脚の断面は、その脚の下流の出口304における所望圧力、及びそれらの間で遭遇する流れ損失に依存する。流れ損失は、脚の表面粗さ及びジオメトリ、脚の下流の出口の数、各下流脚の長さ、流体の流れ特性等のような要因を含む。
【0025】
例示した実施の形態においては、チャンネル290は、上側板208の中心からずらせて位置決めされている山形の主チャンネル308を含んでいる。起点306は、山形の中点に位置している。主チャンネル308の各端は、第1の副チャンネル310、第2の副チャンネル312、及び第3の副チャンネル314に分岐している。副チャンネル310、312、及び314は、主チャンネル308を出口304に結合する。第1の副チャンネル310及び第2の副チャンネル312は一直線をなすように配向され、同一の断面を有している。第3の副チャンネル314は、第1及び第2の副チャンネル310、312と実質的に直角に配向されている。第3の副チャンネル314の長さは第1及び第2の副チャンネル310、312より短いから、出口304を通過するパージガスの流れをバランスさせるために、第3の副チャンネル314の断面積は、第1及び第2の副チャンネル310、312の断面積よりも小さくしてある。オプションとして、流れをバランスさせるために、流れ制限器を出口304内に、またはそれ以外のチャンネル内に配置することができる。
【0026】
代替として、出口304は、第2の表面232Aの周りに距離を変化させて位置決めすることができる。このような配向では、以下に説明するように、基体の縁におけるパージガスの流れをバランスさせるためには、出口304からのパージガスの流れを非均一にすることが望まれる。ガスの流れは、特定の応用に対してガス流を望ましく調整するように種々のチャンネルの断面及び長さを制御することによってバランスさせることができる。
【0027】
図3Bは、上側板208の第2の表面232Bの別の実施の形態を示している。チャンネル328は、上側板208の第2の表面232B内に形成され、パージガスを中央起点320から複数の出口322へ分配する。一実施の形態においては、4つの出口322が第2の表面232Bの周縁の周りに等間隔に配置されている。中央起点320に最も近い出口322は、中央起点と関連出口との間に配置され、パージガスのための導管になっている通路324を有している。中央起点320から最も遠い出口322は、中央起点と関連出口との間に配置され、パージガスのための導管になっている通路326を有している。第2の表面232Bの周縁にパージガスを均一に分配するために、通路324、326間の合計流制限をバランスさせる。一般的には、これは、通路326の断面積を通路324の断面積より大きくすることによって達成することができる。
【0028】
図3Cは、上側板208の第2の表面232Cの更に別の実施の形態を示している。チャンネル342は、上側板208の第2の表面232C内に形成され、パージガスを中央起点330から複数の出口へ分配する。一実施の形態においては、3つの出口332、334、及び336が第2の表面232Cの周縁の周りに間隔を異ならせて配置されている。中央起点330に最も近い出口332は、中央起点と関連出口との間に配置され、パージガスのための導管になっている通路338を有している。中央起点330から最も遠い出口334、336は、中央起点と関連出口との間に配置され、パージガスのための導管になっている通路340を有している。基体の周りにパージガスを均一に分配するためには、出口322を通るパージガスの流れを出口334及び336の何れかを通る流れより大きくして、基体の周縁へのパージガスの流れをバランスさせなければならない。一般的には、これは、通路338の断面積を通路340の断面積より大きくすることによって達成することができる。
【0029】
図2Aに戻って、下側板210は窒化アルミニウムのようなセラミック製である。好ましくは、純度が約95%の窒化アルミニウムを使用して、下側板210の熱伝導度を高める。下側板210は、下側板210の第2の側214から外に伸びている第1のリード236及び第2のリード238を有する、埋込み電極234のような少なくとも1つの加熱素子を含んでいる。リード236、238は電源(図示せず)に結合される。電源は、電極234に電力を供給し、支持体202が基体140を約300−550℃の温度まで加熱できるようにしている。
【0030】
下側板210は更に、真空通路240、パージガス通路242、及び板を通して伸びる複数のリフトピン通路244を含む。リフトピン通路244は、一般に真空通路240及びパージガス通路242から半径方向外側に配置されている。リフトピン通路244は、下側板210から上側板208を通って伸び、シールリング218の内側をそれと同一面まで伸びるタブ219を通って開いている(図2B参照)。真空通路240及びパージガス通路242は、一般的に、下側板210の中心線の両側に位置決めされている。
【0031】
下側板210は、上側板208を越えて伸びる段付き周縁260を有している。段付き周縁260は、シャドウリング258を支持する。シャドウリング258は一般に環状の形状であり、窒化アルミニウムのようなセラミックからなっている。シャドウリング258は、第1の側270及び第2の側262を有している。第1の側270は、周縁260によって支持される。第2の側262は、半径方向内向きに伸びるリップ264を有している。リップ264及び下側板210は、出口304を出るパージガスを受けるためのプレナム266を取り囲んでいる。パージガスは、リップ264と上側板208との間に限定されているプレナム266と通じている間隙268を通って、基体140の周縁の周りに配置される。クリップ組立体272は、リング258を基体支持体202に保持するために使用される。クリップ組立体272の例が、Yudovskyの米国特許第09,504,288号(代理人ドケット第4501号)に開示されている。
【0032】
上側板208及び下側板210は、互いに接合されている。一実施の形態においては、板208及び210は焼結されている。接合の完全性を高めるためには、熱膨張の差を最小にするように、板208及び210は類似材料(例えば、類似パーセンテージの窒化アルミニウム)からなるべきである。上側板208及び下側板210を接合させるとチャンネル290は、1×10-9Torrにおける約1×10-9sccmのヘリウムに対する漏洩に耐えるようになる。
【0033】
図4は、ステム204を断面で示している。ステム204は、一般的に、窒化アルミニウムのようなセラミックで製造される。支持体202とステム204との間の熱伝達を最小にするために、典型的には純度が約99%の窒化アルミニウムが好ましい。ステム204の断面は、一般的に管状である。ステム204は、中央通路404を限定している環状区分402を有している。第1の突起406及び第2の突起408が環状区分402から伸びている。第1の突起406は、それを通るパージガス通路410を、第2の突起408はそれを通る真空通路412をそれぞれ有している。環状区分402、及び第1及び第2の突起406、408の壁の厚みは、それを通る熱伝導度を最小にするように選択される。
【0034】
図2Aに戻って、ステム204は第1の端246及び第2の端248を有している。ステム204の第1の端246は、下側板210の第2の側214に接続されている(例えば、接合、接着、または焼結により)。リード236、238はステム204の中央通路404を通り、電源(図示せず)に結合される。ステム204と下側板210とを結合することにより、ステム204内のパージガス通路410と上側板208のチャンネル290とが流体的に通じるようになる。パージガス源(図示せず)から供給されるパージガスはステム204を通して送られ、基体支持体202内の出口304から出て基体の縁への堆積を最小にすることができる。同様に、ステム204と下側板210とを結合することにより、ステム204内の真空通路414と下側板210の真空通路240とが流体的に通じることができるようになる。真空源(図示せず)は、処理中に基体140と段付き表面220との間の容積をステム204を通して排気することによって、基体140と段付き表面220との間に真空を維持し、基体140を保持する。ステム204の制御された断面は、ステム204と基体支持体202との間の熱伝達を最小にする。
【0035】
熱絶縁体254がステム204の第2の端246に配置され、ステム204からの熱伝達を最小にしている。熱絶縁体254は、典型的には、処理環境と両立可能なポリマーのような熱絶縁材料からなっている。一実施の形態においては、熱絶縁体254は、例えばVESPEL(登録商標)のようなポリイミドからなる。
【0036】
熱伝達ブロック256が、ステム204をリフトシステム144に結合している。一般的に、熱伝達ブロック256は、システム100から熱を除去するために使用される。流体温度は、支持体202の所要の熱均一性を達成するために、ステム204から熱伝達ブロック256への熱伝達(即ち、上昇、維持、または降下)を制御するように指定することができる。熱伝達ブロック256は、一般的には、アルミニウムのような熱的に伝導性の材料である。熱伝達ブロック256は、支持組立体138に伴う高温からベロー146及びリフトシステム144を絶縁する。
【0037】
図5は、ステム204の第2の端248、熱絶縁体254、及び熱伝達ブロック256の分解図である。ステム204のベース、即ち第2の端248は、複数の取付け孔520を含んでいる。典型的にはINCONEL(登録商標)またはHASTELLOY(登録商標)のような合金製の取付けねじ522が、クランプリング524、ステム204内の取付け孔520、及び熱絶縁体254を通って熱伝達ブロック256内の対応ねじ孔526内にねじ込まれる。クランプリング524は、組立てを容易にするために1つより多くの部品に分離することができる。
【0038】
熱絶縁体254は、熱伝達ブロック256とステム204との間に配置されるシール508のジオメトリを受入れるようにパターン化された内径を含んでいる。シール508は全体的には環状であり、CHRMREZTM、KALBEZTM、KERREZTM、INTERNATIONAL SEALのような高温エラストマーからなる。シール508は、中央リング534から伸びている2つの一体化されたタブ530を含んでいる。各タブ530は、それを通って形成されていて通路410及び412と通ずるようになっているアパーチャ532を有している。
【0039】
熱伝達ブロック256は全体的には環状の形状であり、軸方向に心合わせされた通路536を有している。熱伝達ブロック256は、それから伸びる外側突起504及び内側突起506を有する第1の表面を有している。突起504及び506は、それらの間にシール508を収容するように構成されている。オプションとして、突起504と506との間の第1の表面502から、2つのボス512を伸ばすことができる。
【0040】
熱伝達ブロック256は、パージガス通路514及び真空通路516を更に含んでいる。通路514及び516は、熱伝達ブロック256の中心線に平行に熱伝達ブロック256を通って伸びている。通路514及び516は、ボス512を通って熱伝達ブロック256から出て、ステム204の通路410及び412とそれぞれ通ずるようになっている。シール508は、通路514と410、及び通路516と412との接合における漏洩を防ぐ。
【0041】
1つまたはそれ以上の通路510が、熱伝達ブロック256内に設けられている。これらの通路510は流体源(図示せず)に結合されている。脱イオン水のような熱伝達流体が通路510を通過し、熱伝達ブロック256の温度を調節する。熱伝達ブロック256の突起514及び516、及びボス512によって実質的に囲まれているシール508は、熱伝達ブロック256の温度を制御することによって、熱が基体支持体202からステム204を通って伝播するのを保護している。
【0042】
動作中、図1に示す半導体基体140は、支持組立体138との間に真空を与えることによって支持組立体138に確保される。真空ポート250の拡張部分252は、局部圧力降下、及び真空ポート250内に引き込まれるガスの対応する温度変化を最小にし、従って、真空ポート250の直上の基体の部分に対する局所化された冷却を防ぐ。
【0043】
基体140の温度は、主として電極234に電力を供給することによって所定の処理温度まで上昇する。段付き表面220は、基体140の中心の温度が高くなるという傾向に対抗する可変間隙を与えている。堆積プロセス中、基体140は安定状態温度に加熱される。蓋110及び支持組立体138の両者の熱制御を使用することによって、基体140は300−550℃の温度に維持される。
【0044】
一実施の形態ではシラン及び六フッ化タングステンを含むことができるガス状成分は、ガスパネルから混合ブロック134及びシャワーヘッド118を通して処理チャンバへ供給され、ガス状混合体を形成する。ガス状混合体は基体140と反応して基体140上にタングステンの層を形成する。基体の縁への堆積と、基体140の支持組立体138への考え得る付着とを防ぐために、パージガスがチャンネル290からプレナム266内へ流入され、シャドウリング258と支持体202との間の間隙268を通して基体140の周縁へ分配される。
【0045】
以上に本発明を詳細に説明したが、当分野に精通していれば、本発明の範囲及び思想から逸脱することなく、本発明を組み入れた他の実施の形態を容易に考案することができよう。
【符号の説明】
【0046】
100 化学蒸着システム
102 チャンバ
104 ガス源
106 チャンバの壁
108 チャンバの底
110 チャンバの蓋
112 処理容積
114 ポンピングリング
116 排気ポート
118 シャワーヘッド
120 チャンバの壁の内側
122 シャワーヘッドの中央部分
124 周縁取付け区分
126 取付け孔
128 ねじ
130 チャンバの蓋内の孔
132 有孔領域
134 混合ブロック
136 ブロック板
138 支持組立体
140 基体
144 リフトシステム
146 ベロー
202 基体支持体
204 ステム
208 第1の(上側)板
210 第2の(下側)板
212 下側板の第1の側
214 下側板の第2の側
216 上側板の第1の(支持)表面
218 シールリング
220 上側板の段付き表面
222 段付き表面の中央部分
224 段付き表面の中間部分
226 段付き表面の外側部分
228 ポスト
232A 上側表面の第2の表面
234 埋込み電極
236、238 リード
240 真空通路
242 パージガス通路
244 リフトピン通路
246 ステムの第1の端
248 ステムの第2の端
250 真空ポート
252 真空ポートの拡張部分
254 熱絶縁体
256 熱伝達ブロック
258 シャドウリング
260 下側板の段付き周縁
262 シャドウリングの第2の側
264 シャドウリングの第2の側のリップ
266 プレナム
268 間隙
270 シャドウリングの第1の側
272 クリップ組立体
290、328、342 チャンネル
304、322、332、334、336 出口
306、320、330 起点
308 主チャンネル
310 第1の副チャンネル
312 第2の副チャンネル
314 第3の副チャンネル
324、326、338、340 通路
402 ステムの環状区分
404 ステムの中央通路
406、408 ステムの突起
410 ステムのパージガス通路
412 真空通路
504 熱伝達ブロックの外側突起
506 熱伝達ブロックの内側突起
508 シール
510 熱伝達ブロックの通路
512 熱伝達ブロックのボス
514 熱伝達ブロックのパージガス通路
516 熱伝達ブロックの真空通路
520 取付け孔
522 取付けねじ
524 クランプリング
526 ねじ孔
530 シールのタブ
532 シールのアパーチャ
534 シールの中央リング
536 熱伝達ブロックの通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工片を支持するための支持組立体であって、
第1の側を有する第1のセラミック板と、
前記第1の板の第2の側に接続されている第1の側、及び埋込まれた電極を有する第2の板と、
前記第1の板の第2の側と前記第2の板の第1の側との間に限定されているチャンネルと、
を備えていることを特徴とする支持組立体。
【請求項2】
前記チャンネルは、少なくとも部分的に前記第1の板内に限定されていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項3】
前記チャンネルは、少なくとも部分的に前記第2の板内に限定されていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項4】
前記第2の板は、更に、
前記第2の板を通過し、前記チャンネルと通じている孔、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項5】
前記チャンネルは複数の通路を更に備え、前記各通路は中央起点を出口に結合していることを特徴とする請求項4に記載の支持組立体。
【請求項6】
前記通路は、
1つまたはそれ以上の短めの通路と、
1つまたはそれ以上の長めの通路と、
からなり、
前記長めの通路の断面は前記短めの通路よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の支持組立体。
【請求項7】
前記チャンネル及び出口は、前記第2の板内に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の支持組立体。
【請求項8】
前記出口の少なくとも1つは、その中に配置されている流れ制限器を更に備えていることを特徴とする請求項5に記載の支持組立体。
【請求項9】
前記チャンネルは更に、
前記中央起点と一致する中点を有する主チャンネルと、
前記主チャンネルの各端から分岐している第1の副チャンネル、第2の副チャンネル、及び第3の副チャンネルとからなり、
前記第1の副チャンネル、第2の副チャンネル、及び第3の副チャンネルは各々、前記主チャンネルを前記出口に結合している、
ことを特徴とする請求項5に記載の支持組立体。
【請求項10】
前記第1の板は更に、
前記基体を支持するようになっている第2の表面と、
少なくとも部分的に前記第2の表面内に設けられている真空ポートと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項11】
前記第1の板は更に、
前記基体を支持するようになっている第2の表面と、
前記第1の板を通して設けられている真空ポートと、
少なくとも部分的に前記第2の表面内に設けられている前記真空ポートの拡大部分と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項12】
前記第1の板は更に、
前記第1の板の第1の側とは反対側に設けられている段付き表面、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項13】
前記段付き表面は更に、
中央部分、中間部分、及び外側部分を含み、前記中央部分は前記第1の板の第1の側の下を最も離れて伸びている、
ことを特徴とする請求項12に記載の支持組立体。
【請求項14】
前記段付き表面は更に、
外側部分と、
前記外側部分から0.001インチ離れて伸びる中間部分と、
前記中間部分から0.001インチ離れて伸びる中央部分と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の支持組立体。
【請求項15】
前記段付き表面は更に、
前記段付き表面から伸びている複数のポスト、
を備えていることを特徴とする請求項12に記載の支持組立体。
【請求項16】
前記第2の板は、窒化アルミニウムからなることをも特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項17】
前記第2の板に接続されているセラミックステムを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項18】
前記ステムは更に、
中央の、軸方向通路と、
前記中央通路と同軸に配置されている第1のガス通路と、
前記中央通路と同軸に配置されている第2のガス通路と、
を備えていることを特徴とする請求項17に記載の支持組立体。
【請求項19】
前記ステムは更に、
中央の、軸方向通路と、
前記中央通路と同軸に配置されている第1のガス通路と、
前記中央通路と同軸に配置されている第2のガス通路と、
を備え、
前記第2のガス通路及び前記第1のガス通路は、前記中央通路の両側に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の支持組立体。
【請求項20】
第1の端及び前記第2の端を有し、前記第1の端が前記第2の板に接合されているセラミックステムと、
前記第2の端に結合されて配置されている熱伝達ブロックと、
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項21】
前記熱伝達ブロックは更に、
複数の突起を有する第1の表面と、
前記突起間に配置されているシールと、
を備えていることを特徴とする請求項20に記載の支持組立体。
【請求項22】
前記熱伝達ブロックと前記ステムとの間に配置されている熱絶縁体、
を更に備えていることを特徴とする請求項21に記載の支持組立体。
【請求項23】
前記熱伝達ブロックは更に、
前記熱伝達ブロック内に設けられている複数の熱伝達通路、
を備えていることを特徴とする請求項20に記載の支持組立体。
【請求項24】
前記第1の板は更に、
前記基体を支持するようになっている段付き表面を限定する中央部分、中間部分、及び外側部分を含み、前記中央部分は前記第1の板の第1の側の下を最も離れて伸び、
前記第1の板は更に、
前記段付き表面から伸びている複数のポストと、
前記第1の板を通して設けられている真空ポートと、
を備え、
前記真空ポートの拡大された部分は前記中央部分内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の支持システム。
【請求項25】
前記第2の板上に配置されているリングと、
前記リングと前記第1の板との間に限定され、前記チャンネルと通じているプレナムと、
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持組立体。
【請求項26】
加工片を支持するための支持組立体であって、
第1の側及び第2の側を有する第1の板と、
前記第1の側上に設けられているリングと、
前記第1の側上の前記リングの半径方向内側に形成されている段付き表面と、 前記第1の板の前記第2の側に接続されている第2の板と、
を備えていることを特徴とする支持組立体。
【請求項27】
前記第1の板の第1の側と、前記第2の板の第2の側との間に限定されているチャンネルを更に備えていることを特徴とする請求項26に記載の支持組立体。
【請求項28】
前記第2の板内に埋込まれているヒーターを更に備えていることを特徴とする請求項26に記載の支持組立体。
【請求項29】
前記段付き表面から伸びている複数のポストを更に備え、 前記各ポストは、前記リングと実質的に面一である先端を有している、
ことを特徴とする請求項26に記載の支持組立体。
【請求項30】
前記段付き表面は更に、
中央部分、中間部分、及び外側部分を含み、
前記中央部分は前記第1の板の第1の側の下を最も離れて伸びていることを特徴とする請求項26に記載の支持組立体。
【請求項31】
前記段付き表面は更に、
外側部分と、
前記外側部分から0.001インチ離れて伸びる中間部分と、
前記中間部分から0.001インチ離れて伸びる中央部分と、
を含むことを特徴とする請求項30に記載の支持組立体。
【請求項32】
加工片を支持するための支持組立体であって、
第1の側を有する第1のセラミック板と、
前記第1の板の第1の側に接合されている第1の側、及び埋込まれた電極を有する第2のセラミック板と、
前記第1の板の第1の側と前記第2の板の第2の側との間に限定されているチャンネルと、
中央通路、パージガス通路、及び真空通路を有し、前記第2の板に接合されているセラミックステムと、
前記ステムに結合されている冷却ブロックと、
を備えていることを特徴とする支持組立体。
【請求項33】
半導体処理チャンバであって、
処理容積を限定している側壁及び蓋を有するチャンバと、
前記処理容積内に配置されている第1の側を有する第1のセラミック板と、
第1の側及び埋込まれた電極を有し、前記第1の側が前記第1の板の第1の側に接合されている第2のセラミック板と、
前記第1の板の第1の側と前記第2の板の第2の側との間に限定されているチャンネルと、
中央通路、パージガス通路、及び真空通路を有し、前記第2の板に接合されているセラミックステムと、
前記ステムに結合されている冷却ブロックと、
を備えていることを特徴とする半導体処理チャンバ。
【請求項34】
前記チャンバは、化学蒸着チャンバであることを特徴とする請求項33に記載の半導体処理チャンバ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228745(P2011−228745A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168064(P2011−168064)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2001−184912(P2001−184912)の分割
【原出願日】平成13年6月19日(2001.6.19)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】