説明

セラミック基板およびその製造方法

【課題】セラミックからなる基板本体の表面および裏面に個別に形成された導体層同士間の位置ずれが少ないセラミック基板、および該基板を確実に製造できる方法を提供する。
【解決手段】複数のセラミック層を積層し、主面3に形成された第1導体層5と、主面4に形成され且つ第1導体層5よりも平面視の直径d2が小さい第2導体層6と、第1・第2導体層5,6に接続された導体柱7,8と、耳部(周辺部)9に形成された複数の位置決め部10aと、を備え、該位置決め部10aは、セラミック層s1a〜s2を個別に貫通し、断面積が異なる第1貫通孔h1aと第2貫通孔h2aが軸方向に沿って連なって形成された連通孔であり、セラミック層s2を貫通する第2貫通孔h2aの断面積は、第1貫通孔h1aの断面積よりも小さく、主面3側から第2貫通孔h2aの内周面11の周縁11aの少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、セラミック基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックからなる基板本体の表面および裏面のそれぞれに形成された導体層の相対的な位置ずれが少なく、且つ高い位置精度をもって形成された上記導体層を有するセラミック基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセラミックグリーンシートの層間のずれを少なくし、各層間の配線パターンのずれによる電気特性の低下を抑制するため、追って最下層となるセラミックグリーンシートに複数の印刷位置決め読み取り用の認識孔を形成する第1工程と、該認識孔を基準に画像処理で印刷位置を検出し、上記グリーンシートの表面に配線パターンの印刷を行う第2工程と、上記グリーンシートの上に予め上記認識孔の位置に対応する位置に該認識孔よりも大きい窓孔を備えた次層となるセラミックグリーンシートを仮接着する第3工程と、上記窓孔を介して上記認識孔を基準に画像処理で印刷位置を検出し、次層となる上記グリーンシートの表面に配線パターンの印刷を行う第4工程とを有し、更に、上記第3工程と第4工程とを繰り返して必要枚数のセラミックグリーンシートに配線パターンの印刷を行うセラミック多層配線基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記セラミック配線基板の製造方法によれば、複数のグリーンシート間ごとの配線パターンの印刷位置を高い精度で設定できる反面、複数のセラミック層を積層した基板本体の表面と裏面との双方における平面視で所定の位置ごとに導体層をそれぞれ精度良く形成することは、著しく困難であった。
例えば、上記基板本体の表面と裏面との双方における平面視同じ位置に導体層を位置精度良く形成することは、前記製造方法では、著しく困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−339160号公報(第1〜7頁、図1(1)〜(5))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、セラミックからなる基板本体の表面と裏面との導体層同士間の位置ずれが少ない、即ち表・裏面の各導体層のパターンずれが少ないセラミック基板、および該基板を確実に製造できる方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、セラミックからなる基板本体の表面と裏面とに対し、大きさの異なる導体層を表面と裏面とに個別に形成する際し、同じ位置決め部を基準とする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1のセラミック基板(請求項1)は、複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、前記一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、上記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、上記位置決め部は、上記各セラミック層を個別に貫通し、断面積が異なる第1貫通孔および第2貫通孔が軸方向に沿って連なって形成された連通孔で構成され、上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第2貫通孔の上記主面側から見た際の該第2貫通孔の断面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第1貫通孔の断面積よりも小さいと共に、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第2貫通孔の内周面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体における一対の主面に個別に位置し且つ前記導体柱と個別に接続される第1導体層および第2導体層は、かかる第2導体層が形成されるセラミック層の主面側から、第1貫通孔を介してあるいは直に視覚可能な複数の位置決めごとの第2貫通孔における内周面の中心または重心、あるいは該内周面の少なくとも一部により特定される中心または重心を基準にして形成されている。従って、複数のセラミック層からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体に含まれていても、該基板本体における一対の主面(表裏面)ごとに個別に形成された第1導体層と第2導体層との位置ずれが少なくなっている。即ち、第1導体層および第2導体層の位置精度がそれぞれ高くなっている。更に、前記基板本体の内部に形成され且つ端部が主面に露出した導体柱との導通や、基板本体のセラミック層間に位置する内部導体層との導通も安定して取れるセラミック基板とされている。
【0008】
尚、前記セラミック基板には、多数個取りのほか、1個取りの形態も含む。
また、前記基板本体は、一対の主面を個別に有する少なくとも2層のセラミック層からなる形態のほか、最外層となる一対のセラミック層間にさらに単数または複数のセラミック層を挟持している形態も含む。上記一対の主面は、基板本体の表面および裏面の何れか一方を指す相対的な呼称である。
また、前記基板本体の周辺とは、個々のセラミック配線基板の周辺、あるいは複数のセラミック配線基板が縦横に隣接している製品領域の周囲を囲む多数取り用のセラミック基板の耳部が含まれる。
更に、平面視の最短長さが互いに異なる前記第1導体層と第2導体層とは、例えば、平面視が矩形(正方形および長方形)の形態では、正方形の一辺または長方形の短辺の長さの差により区分される。
また、前記セラミックには、例えば、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミック、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックが含まれる。
更に、前記導体柱には、例えば、ビア導体やスルーホール導体が含まれる。
また、前記第1貫通孔は、平面視で該第1貫通孔の内周(円周)面の少なくとも一部が視覚可能となるサイズを有する平面視が円形、長円形、楕円形、正方形以上の正多角形、または変形多角形により前記セラミック層を貫通する孔である。
加えて、前記第2貫通孔の内周面の少なくとも一部とは、平面視で該第2貫通孔の円形または円弧部の中心を視認できる50%超の円弧形状の周縁である。
【0009】
また、本発明には、前記第2貫通孔の内周面は、平面視が円形の周縁あるいは多角形の周縁である、第1のセラミック基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、複数の位置決め部における第2貫通孔ごとの中心または重心を基準として、基板本体における一対の主面ごとにおける所定の位置に形成された第1導体層と第2導体層との間の位置ずれが少ないセラミック基板とされている。
尚、前記多角形は、正三角形以上の正多角形や、長方形以上の変形多角形を含む。
【0010】
更に、本発明による第2のセラミック基板(請求項3)は、複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、該一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、上記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、前記位置決め部は、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視における切取部の面積が異なる第1切欠部および第2切欠部が各セラミック層の厚み方向に連なって形成された連通切欠部であり、上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第2切欠部の前記主面側から見た際の該第2切欠部の切取部の面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第1切欠部の切取部の面積よりも小さいと共に、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第2切欠部の縁面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、前記基板本体における一対の主面に個別に位置し且つ前記導体柱と個別に接続される第1導体層および第2導体層は、かかる第2導体層が形成されるセラミック層の主面側から、第1切欠部を介してあるいは直に視覚可能な複数の位置決めごとの第2切欠部における縁面の中心または重心、あるいは該縁面の少なくとも一部により特定される中心または重心を基準にして形成されている。従って、複数のセラミック層からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体に含まれていても、該基板本体における一対の主面(表裏面)ごとに個別に形成された第1導体層と第2導体層との間の位置ずれが少なくなっている。換言すれば、第1導体層および第2導体層の位置精度がそれぞれ高くなっている。更に、前記基板本体の内部に設けられ且つ端部が主面に露出した導体柱との導通や、基板本体のセラミック層間に位置する内部導体層との導通も安定して取れるセラミック基板とされている。
尚、前記セラミック基板には、多数個取りのほか、1個取りの形態も含む。
また、前記第1切欠部は、平面視で前記第2切欠部の円弧辺の一部が視覚可能となるサイズを有し、且つ平面視で開口部が上記切欠部の開口部と重複しており、平面視が半円形、半楕円形、あるいは三角形以上の正多角形または変形多角形を呈して前記グリーンシートの一辺に開口する部分である。
更に、前記第1切欠部と第2切欠部とは、前記グリーンシートの一辺あるいはコーナに開口しており、平面視における両者の幅および奥行き寸法が相違することで、前記平面視における両者の切取部の面積が相違している。
また、第2切欠部の前記縁面は、セラミック層ごとの外側面に開口する一対の平行状な平坦面ごとの中央側に挟まれた円弧面、前記一対の平行状な平坦面と該一対の平坦面の中央側に挟まれた垂直面との3つの面、あるいは互いに斜めに交差する2つの垂直面を指している。
加えて、第1切欠部の平面視における形状は、セラミック層の外側面に開口しており、且つ第2切欠部の縁面の少なくとも一部が視認覚可能であれば、特に限定されない。
【0012】
また、本発明には、前記第2切欠部に含まれる縁面は、平面視でベースとなる円形の少なくとも6分の1以上である円弧形の縁辺、半長円形の縁辺、または半楕円形の縁辺、あるいは平面視で互いに交差する2辺以上の縁辺を示す、第2のセラミック基板(請求項4)も含まれる。
これによれば、複数の位置決め部における第2切欠部ごとの縁面の中心または重心を基準として、基板本体における一対の主面ごとにおける所定の位置に、第1導体層と第2導体層が個別に精度良く形成されたセラミック基板とされている。
尚、縁面が円弧形である形態において、平面視でベースとなる円形の6分の1以上である円弧形を含むとしたのは、少なくともかかる範囲以上であれば画像処理などにより、上記円弧面の中心を特定し得るためであり、望ましくはベースとなる円形の4分の1以上の円弧形である。また、第2切欠部は、上記縁面が奥側に位置する円弧形であるU字形状の形態に限らず、平面視が直線となり且つ互いに交差する2辺以上の平坦面を有して、平面視でV字形を呈する形態や、あるいは平面視で矩形(正方形または長方形)の3辺または2辺を形成する形態でも良い。
【0013】
加えて、本発明による第3のセラミック基板(請求項5)は、複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、該一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、前記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、前記位置決め部は、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視の切取部の断面積と平面視の断面積とが異なる切欠部と貫通孔とが各セラミック層の厚み方向に連なって形成された孔付き段部であり、上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する貫通孔の前記主面側から見た際の該貫通孔の断面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する切欠部の切取部の面積よりも小さいと共に、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する貫通孔の内周面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、ことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前記第1のセラミック基板と同様に、第1導体層および第2導体層は、かかる第2導体層が形成されるセラミック層の主面側から、切欠部を介してあるいは直に視認可能な複数の位置決めごとの貫通孔における内周面の中心または重心、あるいは該内周面の少なくとも一部により特定される中心または重心を基準にして形成されている。従って、複数のセラミック層からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体に含まれていても、該基板本体における一対の主面(表裏面)ごとに個別に形成された第1導体層と第2導体層との間の位置ずれが少なくなっている。換言すれば、第1導体層および第2導体層の位置精度がそれぞれ高くなっている。更に、前記基板本体の内部に設けられ且つ端部が主面に露出した導体柱との導通や、基板本体のセラミック層間に位置する内部導体層との導通も安定して取れるセラミック基板とされている。
尚、前記セラミック基板には、多数個取りのほか、1個取りの形態も含む。
また、第3のセラミック基板の切欠部には、前記第2のセラミック基板の第1切欠部を適用でき、第3のセラミック基板の貫通孔には、前記第1のセラミック基板の第2貫通孔を適用することができる。
【0015】
一方、本発明によるセラミック基板の製造方法(請求項6)は、セラミックからなり、一対の主面を有する基板本体と、前記一対の主面に個別に形成され、平面視の直径または最短長さが互いに異なる第1導体層および第2導体層と、上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板の製造方法であって、一対の主面を有するグリーンシートの該主面ごとにおいて、平面視が可能な複数の上記位置決め部ごとの貫通孔の中心または重心、あるいは切欠部の縁面の中心または重心を基準として、上記主面ごとに平面視の直径または最短長さが異なる第1導体層および第2導体層を所定の位置に形成する工程を含む、ことを特徴とする。
【0016】
これによれば、基板本体となるグリーンシートにおける一対の主面のうち、追って第2導体層が形成される主面側から視認可能な複数の上記位置決め部ごとの貫通孔の中心または重心、あるいは切欠部の縁面の中心または重心を基準として、各主面(表裏面)ごとの所定の位置に第1導体層と第2導体層とを、それぞれの位置精度を高くして形成し、且つ互いの位置ずれを少なくして形成することができる。更に、グリーンシートの内部に形成される導体柱と確実に接続された第1導体層および第2導体層を一対の主面に個別に有するセラミック基板を提供することが可能となる。
尚、前記貫通孔の中心または重心は、仮想の位置であり、前記切欠部の縁部の中心または重心も、仮想の位置である。
また、前記第2貫通孔の中心または重心、あるいは第2切欠部の縁面の中心または重心は、前記グリーンシートの主面を指向ないし撮像する光センサまたはCCDカメラなどによって上記第2貫通孔または第2切欠部を検出することで認識され、複数(少なくとも3箇所以上)の上記中心を基準として、主面ごとにおける所定の位置に前記導体層がスクリーン印刷などによって形成される。
【0017】
また、本発明には、前記基板本体は、複数のセラミック層を積層して形成されており、前記位置決め部は、上記各セラミック層となる複数のグリーンシートを個別に貫通し、断面積が異なる第1貫通孔および第2貫通孔が軸方向に沿って連なって形成された連通孔、上記各セラミック層となる複数のグリーンシートに個別に形成され、平面視における切取部の面積が異なる第1切欠部および第2切欠部が各グリーンシートの厚み方向に連なって形成された連通切欠部、あるいは、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視の切取部の断面積と平面視の断面積とが異なる切欠部と貫通孔とが各セラミック層の厚み方向に連なって形成された孔付き段部である、セラミック基板の製造方法(請求項7)も含まれる。
これによれば、前記基板本体となる複数のグリーンシートごとに、第1貫通孔と第2貫通孔とを連ねた連通孔、第1切欠部と第2切欠部とを連ねた連通切欠部、あるいは、切欠部と貫通孔とを連ねた孔付き段部の位置決め部を形成でき、これらの第2貫通孔または第2切欠部の中心または重心を基準として、基板本体の表・裏面における所定の位置ごとに第1・第2導体層を形成できるので、前記第1、第2、および第3のセラミック基板の何れをも確実に製造することが可能となる。
【0018】
更に、本発明には、前記第1貫通孔よりも内径または断面積が小さい第2貫通孔、あるいは前記第1切欠部の切取部の面積よりも該面積が小さい第2切欠部は、前記複数のセラミック層となる何れかのグリーンシートのうち、平面視の直径または最短長さが前記第1導体層よりも小さい第2導体層が主面に形成される基準層のグリーンシートに形成される、セラミック基板の製造方法(請求項8)も含まれる。
これによれば、第1導体層よりも面積が小さい第2導体層が主面に形成される基準層となるグリーンシートに、上記各導体層の位置決めの基準となる中心または重心を含む第2貫通孔または第2切欠部が形成される。その結果、比較的狭い面積の第2導体層と第2貫通孔または第2切欠部との間の距離を正確に設定できるので、第2貫通孔の内周面または第2切欠部の縁面の中心あるいは重心を基準として、第1貫通孔または第1切欠部が位置する反対側の主面において、比較的広い面積の第1導体層を形成すべき位置を精度良く設定することが容易となる。
【0019】
また、本発明には、前記第2貫通孔または第2切欠部は、前記導体柱を形成するためのスルーホールと同時に前記基準層のグリーンシートに形成される、セラミック基板の製造方法(請求項9)も含まれる。
これによれば、前記第2貫通孔または第2切欠部を、第2導体層と接続される導体柱が追って形成されるスルーホールと同時に同じ基準層のグリーンシートに形成するので、第2貫通孔または第2切欠部の中心や重心を基準として形成される第2導体層と上記導体柱との接続を所定の位置で一層精度良く行うことができる。
【0020】
加えて、本発明には、前記基準層のグリーンシート以外のグリーンシートには、該基準層のグリーンシートと積層した際に、前記第2貫通孔の内周面の少なくとも一部あるいは第2切欠部の縁面の少なくとも一部が、平面視で視覚可能な内径または断面積が大きい第1貫通孔、あるいは、平面視で切取部の面積が大きい第1切欠部を形成する工程が施される、セラミック基板の製造方法(請求項10)も含まれる。
これによれば、基準層以外である単数または複数のグリーンシートには、第1導体層が形成される主面側から前記第2貫通孔の内周面の少なくとも一部あるいは第2切欠部の縁面の少なくとも一部が、平面視で視覚可能な第1貫通孔、あるいは第1切欠部が形成される。その結果、該第1貫通孔あるいは第1切欠部から平面視で視覚可能な第2貫通孔あるいは第2切欠部の中心または重心を基準として、複数のグリーンシートを積層したグリーンシート積層体における一対の主面ごとにおける所定の位置ごとに、第1導体層と第2導体層とを個別に位置精度良く形成することが容易となり、引いては第1導体層と第2導体層との間の位置ずれが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による第1のセラミック基板を示す平面図。
【図2】図1中のX−X線の矢視に沿った部分を拡大した垂直断面図。
【図3】上記基板にて異なる形態の位置決め部を示す周辺部の拡大平面図。
【図4】上記基板にて更に異なる形態の位置決め部を示す周辺部の拡大平面図。
【図5】上記基板にて別異な形態の位置決め部を示す周辺部の拡大平面図。
【図6】本発明による第2のセラミック基板を示す平面図。
【図7】上記セラミック基板の周辺部のコーナ付近を拡大した部分平面図。
【図8】図7中のY−Y線の矢視に沿った部分垂直断面図。
【図9】上記基板の周辺部に位置する位置決め部を示す部分拡大平面図。
【図10】上記基板にて異なる形態の位置決め部を示す部分拡大平面図。
【図11】上記基板にて更に異なる形態の位置決め部を示す部分拡大平面図。
【図12】第1のセラミック基板を得るための一製造工程の概略を示す断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図16】(a)〜(c)は複数のグリーンシートの積層時の形態を示す概略図。
【図17】図15,16に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図18】図17に続く製造工程と第1の前記基板を示す概略を示す断面図。
【図19】第2のセラミック基板を得るための一製造工程の概略を示す断面図。
【図20】図19に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図21】図20に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図22】(a)〜(c)は複数のグリーンシートの積層時の形態を示す概略図。
【図23】図21,22に続く製造工程を示す概略を示す断面図。
【図24】図23に続く製造工程と第2の前記基板を示す概略を示す断面図。
【図25】本発明による第3のセラミック基板を示す平面図。
【図26】上記基板の周辺部を拡大した部分平面図。
【図27】上記基板にて異なる形態の位置決め部を示す周辺部の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1のセラミック基板1aを示す平面図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った部分を拡大した垂直断面図である。
第1のセラミック基板1aは、多数個取り用の基板であり、図1,図2に示すように、基板本体2と、該基板本体2における表面(一方の主面)3に形成された第1導体層5と、上記基板本体2における裏面(他方の主面)4に形成され、上記第1導体層5の直径d1よりも平面視の直径d2が小さい第2導体層6と、第1導体層5および第2導体層6に個別に接続され、上記基板本体2の内部に形成されたビア導体(導体柱)7,8と、上記基板本体の耳部(周辺部側)9のコーナ付近ごとに形成された複数(4つ)の位置決め部10aとを備えている。
尚、上記セラミック基板1aおよび後述する第2,3のセラミック基板1b,1cは、1個取りの形態でも良い。
【0023】
前記基板本体2は、図1,図2に示すように、平面視が長方形(矩形)を呈する複数のセラミック層s1a〜s1d,s2を積層してなり,一対の表面(主面)3および裏面(主面)4を有する。図1に示すように、上記基板本体2は、複数のセラミック配線基板領域paを縦横に隣接してなる製品領域PAと、その周囲を囲む矩形枠状の耳部(周辺部)9とを備えている。隣接するセラミック配線基板領域pa,pa間、および製品領域PAと耳部9との境界は、破線で示す仮想の切断予定面cfによって区画されている。尚、上記セラミック層s1a〜s1d,s2は、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックからなる。
また、個々のセラミック配線基板領域paは、例えば、表面3と裏面4とに4個ずつの第1導体層5および第2導体層6を個別に有しており、該第1導体層5および第2導体層6は、基板本体2の内部に形成されたビア導体(導体柱)7,8と個別に接続されている。平面視がそれぞれ円形を呈する上記第1導体層5の直径d1は、上記第2導体層6の直径d2よりも大である。
【0024】
更に、図1に示すように、耳部9のコーナ付近ごとには、合計4つの位置決め部10aが個別に配置されている。該位置決め部10aは、図2に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に貫通する断面円形の第1貫通孔h1aと、平面視でこれらの断面積よりも断面積が小さい断面円形の第2貫通孔h2aとが軸方向に沿って連なって形成された連通孔である。このうち、第2貫通孔h2aの内周面11は、図1,図2に示すように、平面視で円形の上周縁(周縁)11aが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該第2貫通孔h2aの中心cpも基板本体2の表面3側から視覚可能である。
尚、比較的小径の第2貫通孔h2aと比較的大径の第1貫通孔h1aとの間には、円環形の段部12aが位置している。
【0025】
また、図3は、前記セラミック基板1aに適用され得る異なる形態の位置決め部10bを示す部分平面図である。かかる位置決め部10bは、図3に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に貫通する四隅にアールを付けた断面ほぼ正方形の第1貫通孔h1bと、平面視で該第1貫通孔h1bの断面積よりも断面積が小さい断面正方形の第2貫通孔h2bとが同心で且つ軸方向に沿って連なった形成された連通孔である。このうち、第2貫通孔h2bの内周面11は、図3に示すように、平面視で正方形の上周縁11bが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該第2貫通孔h2bの重心Gも基板本体2の表面3側から視覚可能である。尚、比較的小径の第2貫通孔h2bと比較的大径の第1貫通孔h1bとの間には、ほぼ四角枠状の段部12bが位置している。
【0026】
更に、図4は、前記セラミック基板1aに適用され得る更に異なる形態の位置決め部10cを示す部分平面図である。かかる位置決め部10cは、図4に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に貫通する四隅に斜辺を有する断面ほぼ長方形の第1貫通孔h1cと、平面視で該第1貫通孔h1cの断面積よりも断面積が小さい断面正方形の第2貫通孔h2cとが長・短辺の向きを揃え且つ軸方向に沿って且つ連なった形成された連通孔である。このうち、第2貫通孔h2cの内周面11は、図4に示すように、平面視で長方形の上周縁11cが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該第2貫通孔h2cの重心Gも基板本体2の表面3側から視覚可能である。尚、上記第2貫通孔h2cと第1貫通孔h1cとの間には、ほぼ矩形枠状の段部12cが位置している。
【0027】
加えて、図5は、前記セラミック基板1aに適用され得る別異な形態の位置決め部10dを示す部分平面図である。かかる位置決め部10dは、図5に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に貫通する断面が正八角形の第1貫通孔h1dと、平面視で該第1貫通孔h1dの断面積よりも断面積が小さい断面が正八角形の第2貫通孔h2dとを同じ向きで且つ軸方向に沿って連なった形成した連通孔である。このうち、第2貫通孔h2dの内周面11は、図5に示すように、平面視で正八角形の上周縁11dが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該第2貫通孔h2dの重心Gも基板本体2の表面3側から視覚可能である。尚、上記第2貫通孔h2dと第1貫通孔h1cとの間には、八角形枠状の段部12dが位置している。
【0028】
以上のような位置決め部10a〜10dの何れかを前記耳部9の各コーナ付近ごとに有する第1のセラミック基板1aによれば、前記基板本体2における表面3および裏面4に個別に位置し且つ前記導体柱7,8と個別に接続される第1導体層5および第2導体層6は、該第2導体層6が形成されるセラミック層s2の裏面4側から、第1貫通孔h1a〜h1dを介してあるいは直に視覚可能な複数の位置決め部10〜10daごとの第2貫通孔h2a〜h2dにおける内周面11の中心cpまたは重心G、あるいは該内周面11の少なくとも過半部(一部)により特定される中心cpまたは重心Gを基準にして形成されている。
従って、複数のセラミック層s1a〜s1d,s2からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体2に含まれていても、該基板本体2の内部に設けたビア導体7,8と、該基板本体2における表面3および裏面4ごとに個別に形成された第1導体層5および第2導体層6との位置精度がそれぞれ高くされている。これに伴って、基板本体2のセラミック層s1a〜s1d,s2間に配設される内部導体層との導通も安定して取ることが可能となる。
【0029】
図6は、本発明による第2のセラミック基板1bを示す平面図、図7は、該セラミック基板1bの周辺部における1つのコーナ付近を拡大した部分平面図、図8は、図7中のY−Y線の矢視に沿った部分垂直断面図、図9は、図7中のコーナ付近の更なる拡大平面である。
第2のセラミック基板1bは、図6〜図8に示すように、前記同様の基板本体2、第1導体層5、第2導体層6、ビア導体7,8、複数のセラミック配線基板領域paを有する製品領域PA、耳部9、仮想の切断予定面cf、および該耳部9のコーナ付近ごとに形成された複数(4つ)の位置決め部20aとを備えている。
【0030】
上記位置決め部20aは、図8,図9に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に形成された平面視がU字形状の第1切欠部13と、平面視で該第1切欠部13の切取部の面積よりも切取部の面積が小さい平面視がU字形状の第2切欠部16aとが軸方向に沿って連なった形成された連通切欠部である。
このうち、第1切欠部13は、基板本体2の外側面に直角で且つ互いに平行な平坦面15と、これらの奥側に位置する平面視が半円形の円弧面14とからなる。また、第2切欠部16aも、上記同様の一対の平坦面17と、これらの奥側に位置する平面視が半円形の縁面18とからなる。該縁面18は、図9に示すように、平面視で半円形の上縁辺(縁辺)18aが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該縁面18の中心cpも基板本体2の表面3側から視覚可能である。上記上縁辺18aは、平面視で直径d(半径r)の半円形である。
尚、比較的小さい第2切欠部16aと比較的大きい第1切欠部13との間には、ほぼU字形の段部19が位置している。
【0031】
また、図10は、前記セラミック基板1bに適用し得る異なる形態の位置決め部20bを示す前記同様の部分平面図である。
位置決め部20bは、図10に示すように、前記同様の第1切欠部13と、平面視で該第1切欠部13の切取部の面積よりも切取部の面積が小さい平面視がU字形状の第2切欠部16bとが軸方向に沿って連なった形成された連通切欠部である。上記第2切欠部16bは、前記同様の一対の平坦面17の奥側に位置する平面視が円弧形の縁面18を含んでいる。該縁面18は、平面視でベースとなる円形の約3分の1(θ)の角度の円弧形を呈する縁辺18bが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該縁面18の中心cpも基板本体2の表面3側から視覚可能である。尚、上記第2切欠部16bと第1切欠部13との間には、ほぼU字形の段部19が位置している。
【0032】
更に、図11は、前記セラミック基板1bに適用し得る更に異なる形態の位置決め部20cを示す前記同様の部分平面図である。
位置決め部20cは、図11に示すように、前記セラミック層s1a〜s1dを個別に形成された平面視がU字形状の第1切欠部13cと、平面視で該切取部13cの切取部の面積よりも切取部の面積が小さい平面視が正方形の第2切欠部16cとが軸方向に沿って連なった形成された連通切欠部である。
このうち、第1切欠部13cは、基板本体2の外側面に直角で且つ互いに平行な平坦面15と、これらの奥側で直交する平面視が直線の平坦面14cと、これらの間に位置する一対のアール面からなる。一方、第2切欠部16cは、一対の平坦の縁面17aと、これらの奥側で直交する平面視が直線の縁面18とからなる。各縁面17aと縁面18とは、平面視で同じ長さである。該縁面17a,18は、図11に示すように、平面視で直線の上縁辺(縁辺)17a,18cが基板本体2の表面3側から視覚可能であり、且つ該縁面18と一対の縁面17aとの3辺が形成する平面視が正方形(仮想)の重心Gも基板本体2の表面3側から視覚可能な基準である。
尚、上記第2切欠部16cと第1切欠部13cとの間には、ほぼU字形の段部19が位置している。また、平面視において、縁面17aの長さは、縁面18の整数分の1(例えば、2分の1や4分の1)とし、これらに囲まれた長方形の重心Gを基準としても良い。あるいは、前記縁面18を1辺とする架空の正方形または長方形の重心Gで且つ前記基板本体2の側面付近あるいは外側に位置する重心Gを基準とするようにしても良い。
【0033】
以上のような位置決め部20a〜20cの何れかを前記耳部9の各コーナ付近ごとに有する第2のセラミック基板1bによれば、前記基板本体2における表面3および裏面4に個別に位置し且つ前記ビア導体7,8と個別に接続される第1導体層5および第2導体層6は、第1導体層5が形成されるセラミック層s1aの表面3側から、第1切欠部13を介してあるいは直に視覚可能な複数の位置決め部20a〜20cごとの第2切欠部16a〜16cに含まれる縁面18の中心cpまたは第2切欠部16c全体(縁面17a,18)の重心G、あるいは該縁面18や第2切欠部16cの少なくとも過半部(一部)により特定される重心Gを基準にして形成されている。
従って、複数のセラミック層s1a〜s1d,s2からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体2に含まれていても、該基板本体2の内部に設けたビア導体7,8と、該基板本体2における表面3および裏面4ごとに個別に形成された第1導体層5および第2導体層6の位置精度がそれぞれ高くされている。これに伴って、基板本体2のセラミック層s1a〜s1d,s2間に配設される内部導体層との導通も安定して取ることが可能となる。
【0034】
以下において、前記第1のセラミック基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図12に示すように、5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2を製作した。
次に、図13に示すように、追って前記セラミック層s1a〜s1dとなるグリーンシートg1a〜g1dの周辺部のコーナ付近ごとに内径が比較的大きな円形の第1貫通孔h1aを、打ち抜き加工またはレーザー加工によって形成した。また、グリーンシートg1a〜g1dの中央側における所定の位置においても前記ビア導体7などを形成するための比較的小径のスルーホールh3などを丸く打ち抜くかレーザー加工によって形成した。
一方、追って前記セラミック層s2となるグリーンシートg2の周辺部のコーナ付近ごとに内径が比較的小さな丸い第2貫通孔h2aを打ち抜くと同時に、中央側における所定の位置においても前記ビア導体8を形成するための比較的小径のスルーホールh4を打ち抜いて形成した。
尚、追って裏面4に上記ビア導体8と接続され、且つ最上層のグリーンシートg1aの表面3に形成される第1導体層5の直径よりも小径な直径の第2導体層6が形成される最下層のグリーンシートg2を基準層とした。
【0035】
次いで、図14に示すように、最外層のグリーンシートg1a,g2の前記スルーホールh3,h4に対し、W粉末またはMo粉末などを含む導電性ペーストを充填して、未焼成のビア導体(導体柱)7,8を形成した。尚、中層となるグリーンシートg1b〜g1dにおいて打ち抜いた図示しない上記同様の貫通孔にも上記と同じ導電性ペーストを充填して、未焼成のビア導体を形成した。また、上記グリーンシートg1b〜g1dの表面および裏面の少なくとも一方に対し、上記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷して、図示しない未焼成の内部導体層を形成した。
更に、図15に示すように、前記5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2を厚み方向に沿って積層した後、圧着した。その結果、図示のように、未焼成の基板本体2、複数の配線基板領域paを含む製品領域PA、耳部9、および複数の位置決め部10aを併有するグリーンシート積層体GS1が形成された。
【0036】
上記積層工程では、図16(a)で例示するように、位置決め部10aごとにおいて、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1貫通孔h1aの中心と、グリーンシートg2に設けた第2貫通孔h2aの中心cpとが一致するように、5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2の間に積層ずれが生じていないことが望ましい。
但し、各種の技術的な不可抗力などに起因して、図16(b)で例示するように、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1貫通孔h1aの内側に、中心cpを含むグリーンシートg2に設けた第2貫通孔h2aの上周縁11aの全体が表面3側から視覚可能でありつつ、僅かな積層ずれを伴っている場合もある。
更に、図16(c)で例示するように、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1貫通孔h1aの内側に、中心cpを含むグリーンシートg2に設けた第2貫通孔h2aの上周縁11aの過半部(一部)が表面3側から視覚可能に位置するように、若干の積層ずれを伴っている場合もある。
【0037】
しかし、本発明では、図16(b),(c)で例示した形態の積層ずれを含むグリーンシート積層体GS1であっても、次述するように何ら支障とはならない。
次いで、図17中の垂直な矢印で示すように、基板本体2の表面3側から位置決め部10aごとにおける最下層のグリーンシートg2に設けた第2貫通孔h2aの中心cpの位置を、図示しない光センサまたは該センサを含むCCDカメラおよび画像処理によって検出した。更に、3箇所以上の位置決め部10aごとにおける上記中心cpの位置を基準として、基板本体2の表面3と裏面4とにおける所定の位置に、前記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷し、あるいは露光および現像による薄膜加工を行うことによって、未焼成の第1導体層5と第2導体層6とを個別に表面3および裏面4における所定の位置に個別に形成した。この際、上記第2導体層6の形成は、裏面4を上向きの姿勢にして行った。
【0038】
その結果、得られた直径が相違する第1導体層5および第2導体層6は、設定した通りの所定の位置に殆んど精度良く形成されていたので、予め基板本体2の内部に設けた前記ビア導体7,8と確実に接続されていた。
そして、前記グリーンシート積層体GS1を所定の温度帯において焼成した。
その結果、図18に示すように、前記セラミック層s1a〜s1d,s2からなる基板本体2、複数の配線基板領域paを含む製品領域PA、耳部9、および複数の位置決め部10aを併有し、且つ焼成された第1導体層5、第2導体層6、およびビア導体7,8を有する多数個取り用のセラミック基板1aを得ることができた。
【0039】
以上のようなセラミック基板1aの製造方法によれば、基板本体2となる複数のグリーンシートg1a〜g1d,g2に、第1貫通孔h1aと第2貫通孔h2aとを連ねた連通孔の位置決め部10aを形成できると共に、第2貫通孔h2aの中心cpを基準として、基板本体2の表面3および裏面4の所定の位置ごとに第1・第2導体層5,6をビア導体7,8との接続を確保しつつ形成できるので、前記第1のセラミック基板1aを確実に製造することができた。しかも、位置決め部10aの第2貫通孔h2aと、第2導体層6が接続されるビア導体8用のスルーホールh4とは、基準層のグリーンシートg2において同時に形成したので、第2導体層6とビア導体8との位置精度が高く、両者の接続も一層確実であった。
尚、前述した各工程と同様の製造工程を施すことにより、位置決め部10aに替えて、前記位置決め部10b〜10dの何れかを耳部9の各コーナ付近ごとに有するセラミック基板1aを製造することも可能である。
【0040】
以下において、前記第2のセラミック基板1bの製造方法について説明する。
図19に示すように、前記同様の方法によって、前記同様である5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2を用意した。
次に、図19に示すように、追って前記セラミック層s1a〜s1dとなるグリーンシートg1a〜g1dの周辺部のコーナ付近ごとに平面視での切取部の面積が比較的大きなU字形状の第1切欠部13を、打ち抜き加工または切断加工によって形成した。また、グリーンシートg1a〜g1dの中央側における所定の位置においても前記ビア導体7などを形成するための比較的小径のスルーホールh3などを前記同様に形成した。一方、追って前記セラミック層s2となるグリーンシートg2の周辺部のコーナ付近ごとに平面視の切取部の面積が比較的小さなU字形状の第2切欠部16を打ち抜くと同時に、中央側における所定の位置においても前記ビア導体8を形成するための比較的小径のスルーホールh4を形成した。
尚、追って裏面4に上記ビア導体8と接続され、且つ最上層のグリーンシートg1aの表面3に形成される第1導体層5の直径よりも小径な直径の第2導体層6が形成される最下層のグリーンシートg2を基準層とした。
【0041】
次いで、図20に示すように、最外層のグリーンシートg1a,g2の前記スルーホールh3,h4に対し、W粉末などを含む導電性ペーストを充填して、未焼成のビア導体(導体柱)7,8を形成した。尚、中層となるグリーンシートg1b〜g1dにおいて打ち抜いた図示しない上記同様の貫通孔にも上記と同じ導電性ペーストを充填して、未焼成のビア導体を形成した。また、上記グリーンシートg1b〜g1dの表面および裏面の少なくとも一方に対し、上記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷して、図示しない未焼成の内部導体層を形成した。
更に、図21に示すように、前記5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2を厚み方向に沿って積層した後、圧着した。その結果、図示のように、未焼成の基板本体2、複数の配線基板領域paを含む製品領域PA、耳部9、および複数の位置決め部20aを併有するグリーンシート積層体GS2が形成された。
【0042】
前記積層工程では、図22(a)で例示するように、位置決め部20aごとにおいて、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1切欠部13における円弧形の縁面14の中心cpと、グリーンシートg2に設けた第2切欠部16における円弧形の縁面18の中心cpとが一致するように、5層のグリーンシートg1a〜g1d,g2の間に積層ずれが生じていないことが望ましい。
但し、各種の技術的な不可抗力などに起因して、図22(b)で例示するように、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1切欠部13の内側に、中心cpを含むグリーンシートg2に設けた第2切欠部16における縁面18の上縁辺(縁辺)18aの全体が表面3側から視覚可能に位置するように、僅かな積層ずれを伴っている場合もある。
更に、図22(c)で例示するように、グリーンシートg1a〜g1dに設けた第1切欠部13の内側に、中心cpを含むグリーンシートg2に設けた第2切欠部16における縁面18の上縁辺18aの過半部(一部)が表面3側から視覚可能に位置するように、若干の積層ずれを伴っている場合もある。
【0043】
しかし、本発明では、図22(b),(c)で例示した形態の積層ずれを含むグリーンシート積層体GS2であっても、次述するように何ら支障とはならない。
次いで、図23中の垂直な矢印で示すように、基板本体2の表面3側から位置決め部20aごとにおける最下層のグリーンシートg2に設けた第2切欠部16の縁面18の中心cpの位置を、図示しない光センサまたは該センサを含むCCDカメラおよび画像処理によって検出した。更に、3箇所以上の位置決め部20aごとにおける上記中心cpの位置を基準として、基板本体2の表面3と裏面4とにおける所定の位置に、前記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷し、または露光および現像による薄膜加工を行うことによって、未焼成の第1導体層5と第2導体層6とを個別に表面3および裏面4における所定の位置に、個別に形成した。この際、第2導体層6は、裏面4を上向きの姿勢にして形成した。
【0044】
その結果、得られた直径が相違する第1導体層5および第2導体層6は、設定した通りの所定の位置に殆ど精度良く形成されていたので、予め基板本体2の内部に設けた前記ビア導体7,8と確実に接続されていた。
そして、前記グリーンシート積層体GS2を所定の温度帯において焼成した。
その結果、図24に示すように、前記セラミック層h1a〜h1d,h2からなる基板本体2、複数の配線基板領域paを含む製品領域PA、耳部9、および複数の位置決め部20aを併有し、且つ焼成された第1導体層5、第2導体層6、およびビア導体7,8を有する多数個取り用のセラミック基板1bを得ることができた。
【0045】
以上のようなセラミック基板1bの製造方法によれば、基板本体2となる複数のグリーンシートg1a〜g1d,g2に、第1切欠部13と第2切欠部16とを連ねた連通孔の位置決め部20aを形成できると共に、第2切欠部16における縁面18の中心cpを基準として、基板本体2の表面3および裏面4の所定の位置ごとに第1・第2導体層5,6をビア導体7,8との接続を確保しつつ形成できるので、前記第2のセラミック基板1bを確実に製造することができた。
しかも、位置決め部20aの第2切欠部16と、第2導体層6が接続されるビア導体8用のスルーホールh4とは、基準層のグリーンシートg2において同時に形成されるので、第2導体層6とビア導体8との位置精度が高まり、両者の接続も確実であった。
尚、前述した各工程と同様の製造工程を施すことにより、位置決め部20aに替えて、前記位置決め部20b,20cの一方を耳部9のコーナ付近ごとに有するセラミック基板1bを製造することも可能である。
【0046】
図25は、本発明による第3のセラミック基板1cを示す平面図、図26は、該セラミック基板1cの左上部を拡大した部分平面図である。
第3のセラミック基板1cは、図25に示すように、前記同様の基板本体2、第1導体層5、第2導体層6、ビア導体7,8、複数の配線基板領域paを有する製品領域PA、耳部9、仮想の切断予定面cf、および該耳部9のコーナ付近ごとに形成された複数(4つ)の位置決め部30aとを備えている。
【0047】
上記位置決め部30aは、図26に示すように、前記各セラミック層s1a〜s2に個別に形成され、平面視における切欠部13の切取部の断面積と平面視における貫通孔h2aの断面積とが異なり、且つ平面視でU字形状の切欠部13と平面視で円形の貫通孔h2aとが各セラミック層s1a〜s2の厚み方向に連なって形成された孔付き段部である。前記第2導体層6が形成される主面4を有する最下層のセラミック層s2に位置する貫通孔h2aの前記主面4側から見た際の該貫通孔h2aの断面積は、前記第1導体層5が形成される主面3を有する最上層のセラミック層s1aに位置する切欠部13の切取部の面積よりも小さい。
図26に示すように、上記第1導体層5が形成される主面3を有する最上層のセラミック層s1aの該主面3側から、前記第2導体層6が形成される主面4を有する最下層のセラミック層s2に位置する貫通孔h2aの中心cpが視認できる範囲において、該貫通孔h2aの内周面11の平面視による上周縁11aの少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている。
【0048】
更に、図27は、異なる形態の位置決め部30bを示す前記同様の部分平面図である。位置決め部30bは、図27に示すように、前記各セラミック層s1a〜s2に個別に形成され、平面視における切欠部13の切取部の断面積と平面視における貫通孔h2eの断面積とが異なり、且つ平面視でU字形状の切欠部13と平面視でほぼ正方形(各隅部にアールを有する正方形)の貫通孔h2eとが各セラミック層s1a〜s2の厚み方向に連なって形成された孔付き段部である。前記第2導体層6が形成される主面4を有する最下層のセラミック層s2に位置する貫通孔h2eの前記主面4側から見た際の該貫通孔h2eの断面積は、前記第1導体層5が形成される主面3を有する最上層のセラミック層s1aに位置する切欠部13の切取部の面積よりも小さい。尚、図27中の符号Gは、貫通孔h2eの(内周面11の)重心である。。
図27に示すように、上記第1導体層5が形成される主面3を有する最上層のセラミック層s1aの該主面3側から、前記第2導体層6が形成される主面4を有する最下層のセラミック層s2に位置する貫通孔h2eの内周面11の平面視による上周縁11eの少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている。
【0049】
以上のような位置決め部30a,30bの何れか一方を有する第3のセラミック基板1cによれば、前記基板本体2における表面3および裏面4に個別に位置し且つ前記導体柱7,8と個別に接続される第1導体層5および第2導体部6は、これらが形成されるセラミック層s2の裏面4側から、切欠部13を介してあるいは直に視覚可能な複数の位置決め部30aごとの貫通孔h2aにおける内周面11の中心cpまたは貫通孔h2eの重心G、あるいは複数の位置決め部30bごとの貫通孔h2aの内周面11や切欠部h2eの少なくとも過半部(一部)により特定される中心cpまたは重心Gを基準にして形成されている。
【0050】
従って、複数のセラミック層s1a〜s1d,s2からなり、これらの間に若干の積層ずれが基板本体2に含まれていても、該基板本体2の内部に設けたビア導体7,8と、該基板本体2における表面3および裏面4ごとに個別に形成された第1導体層5および第2導体層6の位置精度がそれぞれ高くなっている。これに伴って、基板本体2のセラミック層s1a〜s1d,s2間に配設される内部導体層との導通も安定して取ることが可能となる。
尚、切欠部13に替えて、前記切欠部13cを用いたり、貫通孔h2a,h2eに替えて、前記h2b〜h2dを用いて位置決め部30xを形成することも可能である。
また、上記位置決め部30xや前記位置決め部30a,30bを有する第3のセラミック基板1cは、前記第1および第2のセラミック基板1a,1bの製造方法における各製造工程を適宜併用することにより、製造することが可能である。
更に、前記貫通孔h2eは、前記第1のセラミック基板1aにおける第2貫通孔に適用することも可能である。
【0051】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板本体2は、少なくとも上下2層のセラミック層からなる形態でも良い。
また、前記基板本体2を形成するセラミック層は、ムライトや窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミック、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるものとしても良い。
更に、前記第1導体層および第2導体層は、平面視で矩形(正方形または長方形)を呈するものであっても良い。このうち、正方形の形態では何れか一辺の長さが前記最短長さとなり、長方形の形態では短辺の長さが前記最短長さになる。
また、前記位置決め部は、多数個取りのセラミック基板における周辺部の前記耳部に限らず、個別のセラミック配線基板ごとの周辺部に配置しても良い。
更に、前記第1貫通孔は、第2貫通孔よりも平面視の面積が大きければ、平面視で前記形状以外の五角形や六角形など、あるいは長円形や楕円形などでも良い。
【0052】
また、前記第2貫通孔も、第1貫通孔よりも平面視の面積が小さく且つ重心の特定が可能であれば、五角形、六角形などや、長円形や楕円形などでも良い。
更に、前記第1切欠部は、第2切欠部よりも平面視における切取部の面積が大きければ、奥側の縁面による縁辺の形状を前記形状以外の任意としても良い。
また、前記第2切欠部は、第1切欠部よりも平面視における切取部の面積が小さく、且つ奥側の縁面あるいは複数の縁面による縁辺の形状を平面視で中心または重心が特定できる任意の形状としても良い。
更に、前記第2切欠部における1つまたは複数の縁面の中心や重心は、平面視において前記基板本体の側面よりも外側に位置していても良い。
加えて、製品であるセラミック配線基板は、表面3にキャビティを有する箱形状のパッケージタイプのものや、Siウェハに形成された多数の電子部品の電気的特性を検査する電子部品検査用配線基板であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、セラミックからなる基板本体の表面および裏面に互いの位置ずれが少なく、且つ高い位置精度による導体層を個別に有するセラミック基板を確実に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1a………………………第1のセラミック基板
1b………………………第2のセラミック基板
1c………………………第3のセラミック基板
2…………………………基板本体
3…………………………表面(主面)
4…………………………裏面(主面)
5…………………………第1導体層
6…………………………第2導体層
7,8……………………ビア導体(導体柱)
9…………………………耳部(周辺部)
10a〜10d…………位置決め部
11………………………内周面
11a〜11d…………上周縁(周縁)
13,13c……………第1切欠部
16a〜16c…………第2切欠部
18………………………縁面
18a〜18c…………上縁辺(縁辺)
20a〜20c…………位置決め部
30a,30b…………位置決め部
s1a〜s1d,s2…セラミック層
g1a〜g1d,g2…グリーンシート
h1a〜h1d…………第1貫通孔
h2a〜h2d…………第2貫通孔
h2e……………………貫通孔
h4………………………スルーホール
cp………………………中心
G…………………………重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、
上記一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、
上記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、
上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、
上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、
上記位置決め部は、上記各セラミック層を個別に貫通し、断面積が異なる第1貫通孔および第2貫通孔が軸方向に沿って連なって形成された連通孔で構成され、
上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第2貫通孔の上記主面側から見た際の該第2貫通孔の断面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第1貫通孔の断面積よりも小さいと共に、
上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層を貫通する第2貫通孔の内周面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、
ことを特徴とするセラミック基板。
【請求項2】
前記第2貫通孔の内周面は、平面視が円形の周縁あるいは多角形の周縁である、
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック基板。
【請求項3】
複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、
上記一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、
上記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、
上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、
上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、
上記位置決め部は、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視における切取部の面積が異なる第1切欠部および第2切欠部が各セラミック層の厚み方向に連なって形成された連通切欠部であり、
上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第2切欠部の前記主面側から見た際の該第2切欠部の切取部の面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第1切欠部の切取部の面積よりも小さいと共に、
上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する第2切欠部の縁面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、
ことを特徴とするセラミック基板。
【請求項4】
前記第2切欠部に含まれる縁面は、平面視でベースとなる円形の少なくとも6分の1以上である円弧形の縁辺、半長円形の縁辺、または半楕円形の縁辺、あるいは平面視で互いに交差する2辺以上の縁辺を示す、
ことを特徴とする請求項3に記載のセラミック基板。
【請求項5】
複数のセラミック層を積層してなり、一対の主面を有する基板本体と、
上記一対の主面における一方の主面に形成された第1導体層と、
上記一対の主面における他方の主面に形成され、且つ上記第1導体層よりも平面視の直径または最短長さが小さい第2導体層と、
上記第1導体層および第2導体層の少なくとも一方に接続され、上記基板本体の内部に形成された導体柱と、
上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板であって、
上記位置決め部は、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視の切取部の断面積と平面視の断面積とが異なる切欠部と貫通孔とが各セラミック層の厚み方向に連なって形成された孔付き段部であり、
上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する貫通孔の前記主面側から見た際の該貫通孔の断面積は、上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する切欠部の切取部の面積よりも小さいと共に、
上記第1導体層が形成される主面を有するセラミック層の該主面側から上記第2導体層が形成される主面を有するセラミック層に位置する貫通孔の内周面の少なくとも一部が平面視で視覚可能とされている、
ことを特徴とするセラミック基板。
【請求項6】
セラミックからなり、一対の主面を有する基板本体と、前記一対の主面に個別に形成され、平面視の直径または最短長さが互いに異なる第1導体層および第2導体層と、上記基板本体の平面視における周辺部に形成された複数の位置決め部と、を備えたセラミック基板の製造方法であって、
一対の主面を有するグリーンシートの該主面ごとにおいて、平面視が可能な複数の上記位置決め部ごとの貫通孔の中心または重心、あるいは切欠部の縁面の中心または重心を基準として、上記主面ごとに平面視の直径または最短長さが異なる第1導体層および第2導体層を所定の位置に形成する工程を含む、
ことを特徴とするセラミック基板の製造方法。
【請求項7】
前記基板本体は、複数のセラミック層を積層して形成されており、
前記位置決め部は、上記各セラミック層となる複数のグリーンシートを個別に貫通し、断面積が異なる第1貫通孔および第2貫通孔が軸方向に沿って連なって形成された連通孔、上記各セラミック層となる複数のグリーンシートに個別に形成され、平面視における切取部の面積が異なる第1切欠部および第2切欠部が各グリーンシートの厚み方向に連なって形成された連通切欠部、あるいは、上記各セラミック層に個別に形成され、平面視の切取部の断面積と平面視の断面積とが異なる切欠部と貫通孔とが各セラミック層の厚み方向に連なって形成された孔付き段部である、
ことを特徴とする請求項6に記載のセラミック基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1貫通孔よりも内径または断面積が小さい第2貫通孔、あるいは前記第1切欠部の切取部の面積よりも該面積が小さい第2切欠部は、前記複数のセラミック層となる何れかのグリーンシートのうち、平面視の直径または最短長さが前記第1導体層よりも小さい第2導体層が主面に形成される基準層のグリーンシートに形成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のセラミック基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2貫通孔または第2切欠部は、前記導体柱を形成するためのスルーホールと同時に前記基準層のグリーンシートに形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のセラミック基板の製造方法。
【請求項10】
前記基準層のグリーンシート以外のグリーンシートには、該基準層のグリーンシートと積層した際に、前記第2貫通孔の内周面の少なくとも一部あるいは第2切欠部の縁面の少なくとも一部が、平面視で視覚可能な内径または断面積が大きい第1貫通孔、あるいは、平面視で切取部の面積が大きい第1切欠部を形成する工程が施される、
ことを特徴とする請求項8または9に記載のセラミック基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−102035(P2013−102035A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244427(P2011−244427)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】