説明

セラミック焼成体の製造方法、ハニカム構造体の製造方法、排ガス浄化装置の製造方法及び乾燥装置

【課題】本発明は、クラックの発生を抑制すると共に、短時間でセラミック成形体を乾燥させることが可能なセラミック焼成体の製造方法並びに該セラミック焼成体の製造方法を用いるハニカム構造体の製造方法及び排ガス浄化装置の製造方法を提供することを目的とする。また、該セラミック焼成体の製造方法に用いることが可能な乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】セラミック焼成体の製造方法は、水を含むセラミック原料組成物を成形してセラミック成形体Cを作製する工程と、セラミック成形体Cに、1kPa以上50kPa以下の減圧雰囲気下で、マイクロ波を照射して、セラミック成形体Cを乾燥させる工程と、乾燥したセラミック成形体Cを焼成してセラミック焼成体を作製する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック焼成体の製造方法、ハニカム構造体の製造方法、排ガス浄化装置の製造方法及び乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排ガスを浄化するシステムの一つとして、アンモニアを用いて、NOxを窒素に還元するSCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。
【0003】
また、SCRシステムにおいて、アンモニアを吸着してNOxを窒素に還元する触媒として、ゼオライトが知られている。
【0004】
特許文献1には、ゼオライトと、無機バインダを含み、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカムユニットを有するハニカム構造体が開示されている。また、ハニカム構造体を製造する際に、ゼオライトと、無機バインダと、水を含む原料ペーストを押出成形することによりハニカム成形体を作製した後、マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第09/141897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥させると、水を含むハニカム成形体の温度は上昇するが、ハニカム成形体の周囲に存在する雰囲気の温度が上昇しにくいため、ハニカム成形体の外周部の熱が雰囲気に放熱される。このとき、ゼオライトと、無機バインダを含むハニカム成形体は、熱伝導率が小さいため、ハニカム成形体の内部の熱が効率的に外周部に伝導せず、内部と外周部の温度差が大きくなって、ハニカム成形体にクラックが発生しやすいという問題がある。また、ハニカム成形体の内部と外周部の温度差を小さくするために、マイクロ波乾燥機の出力を小さくすると、ハニカム成形体を乾燥させるのに長時間を要し、生産効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、クラックの発生を抑制すると共に、短時間でセラミック成形体を乾燥させることが可能なセラミック焼成体の製造方法並びに該セラミック焼成体の製造方法を用いるハニカム構造体の製造方法及び排ガス浄化装置の製造方法を提供することを目的とする。また、該セラミック焼成体の製造方法に用いることが可能な乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセラミック焼成体の製造方法は、水を含むセラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する工程と、該セラミック成形体に、1kPa以上50kPa以下の減圧雰囲気下で、マイクロ波を照射して、該セラミック成形体を乾燥させる工程と、該乾燥したセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を作製する工程を有する。
【0009】
前記セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥装置を用い、前記乾燥装置は、前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を有することが望ましい。
【0010】
前記乾燥装置は、連続式であることが望ましい。
【0011】
前記セラミック成形体は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されていることが望ましい。
【0012】
前記セラミック原料組成物は、ゼオライトと、無機バインダを含むことが望ましい。
【0013】
前記セラミック原料組成物は、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことが望ましい。
【0014】
前記ゼオライトは、リン酸塩系ゼオライトであることが望ましい。
【0015】
前記セラミック成形体に前記マイクロ波を照射しながら、前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射することが望ましい。
【0016】
前記赤外線を照射する際に、ランプヒーター、ハロゲンヒーター又は遠赤外線ヒーターを用いることが望ましい。
【0017】
前記セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥装置を用い、前記乾燥装置は、前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射する赤外線照射手段を有することが望ましい。
【0018】
前記乾燥装置は、連続式であることが望ましい。
【0019】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、本発明のセラミック焼成体の製造方法を用いてセラミック焼成体を製造する工程を有する。
【0020】
本発明の排ガス浄化装置の製造方法は、本発明のハニカム構造体の製造方法を用いてハニカム構造体を製造する工程を有する。
【0021】
本発明の乾燥装置は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されているセラミック成形体を乾燥させる装置であって、前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射する赤外線照射手段を有する。
【0022】
前記赤外線照射手段は、ランプヒーター、ハロゲンヒーター又は遠赤外線ヒーターであることが望ましい。
【0023】
本発明の乾燥装置は、連続式であることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、クラックの発生を抑制すると共に、短時間でセラミック成形体を乾燥させることが可能なセラミック焼成体の製造方法並びに該セラミック焼成体の製造方法を用いるハニカム構造体の製造方法及び排ガス浄化装置の製造方法を提供することができる。また、該セラミック焼成体の製造方法に用いることが可能な乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明で製造されるハニカム構造体の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の乾燥装置の一例を示す側面図である。
【図3】本発明の乾燥装置の一例を示す上面図である。
【図4】本発明で製造される排ガス浄化装置の一例を示す断面図である。
【図5】本発明で製造されるハニカム構造体の他の例を示す斜視図である。
【図6】図5のハニカム構造体を構成するハニカムユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0027】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一例として、ハニカム構造体10(図1参照)の製造方法について説明する。
【0028】
まず、水、ゼオライト及び無機バインダを含む原料ペーストを用いて押出成形し、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されている円柱状のセラミック成形体を作製する。
【0029】
原料ペーストに含まれるゼオライトとしては、特に限定されないが、β型ゼオライト、Y型ゼオライト、フェリエライト、ZSM−5型ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ゼオライトA、ゼオライトL、リン酸塩系ゼオライト等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、NOxの浄化性能に優れるため、リン酸塩系ゼオライトが好ましい。
【0030】
リン酸塩系ゼオライトとしては、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−34等のSAPO、MeAPO、MeAPSO等が挙げられる。
【0031】
ゼオライトは、NOxの浄化性能を考慮すると、銅イオン及び/又は鉄イオンによりイオン交換されていることが好ましい。
【0032】
銅イオン及び/又は鉄イオンによりイオン交換されているゼオライトは、イオン交換量が1.0〜5.0質量%であることが好ましい。ゼオライトのイオン交換量が1.0質量%未満であると、NOxの浄化性能が不十分となる。一方、ゼオライトのイオン交換量が5.0質量%を超えると、イオン交換されたサイトを起点に水及び熱の影響でゼオライトの骨格構造が壊れ、イオン交換された金属イオンが金属酸化物になり、NOxの浄化性能が不十分となる。
【0033】
なお、ゼオライトは、上記以外の金属イオンによりイオン交換されていてもよい。
【0034】
ゼオライトの一次粒子又は二次粒子の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。ゼオライトの一次粒子又は二次粒子の平均粒径が0.5μm未満であると、ゼオライトの充填効果によりハニカムユニット11の気孔率が小さくなるため、排ガスが隔壁11bの内部まで浸透しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ゼオライトの一次粒子又は二次粒子の平均粒径が10μmを超えると、ハニカムユニット11の表面積が小さくなるため、排ガスとゼオライトが接触する面積が小さくなり、NOxの浄化性能が不十分となる。
【0035】
ハニカムユニット11は、見掛けの体積当たりのゼオライトの含有量が230〜360g/Lであることが好ましい。ハニカムユニット11の見掛けの体積当たりのゼオライトの含有量が230g/L未満であると、NOxの浄化性能が不十分となる。一方、ハニカムユニット11の見掛けの体積当たりのゼオライトの含有量が360g/Lを超えると、ハニカムユニット11中の無機バインダの含有量が小さくなって、ハニカムユニット11の強度が不十分になったり、ハニカムユニット11の開口率が小さくなって、圧力損失が大きくなったりする。
【0036】
原料ペーストに含まれる無機バインダとしては、特に限定されないが、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等に含まれる固形分が挙げられ、二種以上併用されていてもよい。
【0037】
ハニカムユニット11中の無機バインダの含有量は、5〜30質量%であることが好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。ハニカムユニット11中の無機バインダの含有量が5質量%未満であると、ハニカムユニット11の強度が低下する。一方、ハニカムユニット11中の無機バインダの含有量が30質量%を超えると、ハニカムユニット11中のゼオライトの含有量が小さくなって、NOxの浄化性能が不十分となる。
【0038】
原料ペーストは、ハニカムユニット11の強度を向上させるために、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことが好ましい。
【0039】
原料ペーストに含まれる無機繊維としては、ハニカムユニット11の強度を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0040】
無機繊維のアスペクト比は、2〜1000であることが好ましく、5〜800がさらに好ましく、10〜500が特に好ましい。無機繊維のアスペクト比が2未満であると、ハニカムユニット11の強度を向上させる効果が小さくなる。一方、無機繊維のアスペクト比が1000を超えると、ハニカムユニット11を押出成形する際に金型に目詰まりが発生したり、無機繊維が折れて、ハニカムユニット11の強度を向上させる効果が小さくなったりする。
【0041】
鱗片状物質は、扁平な形状の物質を意味し、厚さが0.2〜5μmであることが好ましく、最大長さが10〜160μmであることが好ましく、厚さに対する最大長さの比が3〜250であることが好ましい。
【0042】
原料ペーストに含まれる鱗片状物質としては、ハニカムユニット11の強度を向上させることが可能であれば、特に限定されないが、ガラス、白雲母、アルミナ、シリカ等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0043】
テトラポット状物質は、針状部が三次元に延びている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが好ましく、針状部の平均径が0.5〜5μmであることが好ましい。
【0044】
テトラポット状物質としては、単結晶体、ウィスカー等が挙げられる。
【0045】
原料ペーストに含まれるテトラポット状物質を構成する材料としては、特に限定されないが、酸化亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0046】
三次元針状物質は、針状部同士がそれぞれの針状部の中央付近でガラス等の無機化合物により結合されている物質を意味し、針状部の平均針状長さが5〜30μmであることが好ましく、針状部の平均径が0.5〜5μmであることが好ましい。
【0047】
また、三次元針状物質は、複数の針状部が三次元に連なっていてもよく、針状部の直径が0.1〜5μmであることが好ましく、長さが0.3〜30μmであることが好ましく、直径に対する長さの比が1.4〜50であることが好ましい。
【0048】
原料ペーストに含まれる三次元針状物質を構成する材料としては、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ベーマイト、酸化亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0049】
ハニカムユニット11中の無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上の含有量は、3〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%がさらに好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。ハニカムユニット11中の無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上の含有量が3質量%未満であると、ハニカムユニット11の強度を向上させる効果が小さくなる。一方、ハニカムユニット11中の無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上の含有量が50質量%を超えると、ハニカムユニット11中のゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0050】
また、原料ペーストには、有機バインダ、分散媒、成形助剤等を、必要に応じて、適宜添加してもよい。
【0051】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、有機バインダの添加量は、ゼオライト、無機バインダ、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質の総質量に対して、1〜10%であることが好ましい。
【0052】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0053】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0054】
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが好ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0055】
次に、本発明の乾燥装置を用いて、得られたセラミック成形体を乾燥させる。
【0056】
図2及び図3に、本発明の乾燥装置の一例を示す。乾燥装置100は、連続式であり、バッファ室110、減圧室120、乾燥室130、復圧室140及びバッファ室150が、セラミック成形体Cが搬送される方向に、順次設置されており、セラミック成形体Cは、治具160に固定された状態で、コンベア170により搬送される。このとき、減圧室120、乾燥室130及び復圧室140は、減圧装置(不図示)により、減圧することができる。また、乾燥室130の上部には、セラミック成形体Cにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置131が設置されている。さらに、乾燥室130の両側部には、セラミック成形体Cの長手方向の両端面に赤外線を照射する赤外線照射装置132が設置されている。
【0057】
なお、バッファ室110、減圧室120、乾燥室130、復圧室140及びバッファ室150の間には、減圧室120及び乾燥室130の減圧を維持するために、セラミック成形体Cが通過する際に開閉することが可能な扉(不図示)が設置されている。
【0058】
減圧装置としては、特に限定されないが、真空ポンプ等が挙げられる。
【0059】
マイクロ波照射装置131としては、マイクロ波を照射することが可能であれば、特に限定されない。
【0060】
赤外線照射装置132としては、特に限定されないが、ランプヒーター、ハロゲンヒーター、遠赤外線ヒーター、LTヒーター、コルツヒーター、カーボンヒーター、コルチェヒーター、石英管ヒーター等が挙げられる。中でも、ランプヒーター、ハロゲンヒーター、遠赤外線ヒーターが好ましい。
【0061】
次に、乾燥装置100を用いて、セラミック成形体Cを乾燥させる方法について説明する。まず、バッファ室110において、セラミック成形体Cの長手方向がコンベア170により搬送される方向に対して、水平面上で略垂直となるように、セラミック成形体Cを治具160に固定する。次に、セラミック成形体Cは、コンベア170により、減圧装置(不図示)により減圧されている減圧室120を経由して、減圧装置(不図示)により減圧されている乾燥室130に搬送される。
【0062】
このとき、乾燥室130内の圧力は、1〜50kPaであり、2〜50kPaが好ましく、2〜20kPaがより好ましく、3〜10kPaがさらに好ましい。乾燥室130の圧力が1kPa未満であると、放電しやすくなる。一方、乾燥室130の圧力が50kPaを超えると、セラミック成形体Cの内部と外周部の温度差が大きくなって、セラミック成形体Cにクラックが発生しやすくなる。
【0063】
また、乾燥室130は、通常、加熱されないが、必要に応じて、加熱してもよい。
【0064】
さらに、乾燥室130内の雰囲気は、通常、大気であるが、必要に応じて、窒素ガス等の不活性ガスで置換されてもよい。
【0065】
次に、セラミック成形体Cが乾燥室130内の乾燥位置に搬送されると、コンベア170によるセラミック成形体Cの搬送が所定時間停止される。この間に、マイクロ波照射装置131及び赤外線照射装置132により、セラミック成形体Cにマイクロ波が照射されると共に、セラミック成形体Cの長手方向の両端面に赤外線が照射される。
【0066】
セラミック成形体Cにマイクロ波が照射されると、セラミック成形体Cの温度が上昇し、セラミック成形体Cに含まれる水が蒸発する。このとき、ハニカム成形体Cの外周部の熱が雰囲気に放熱されるため、セラミック成形体Cの内部と外周部で温度差が生じる。しかしながら、乾燥室130内の圧力が1〜50kPaであるため、水が蒸発する温度が低下し、セラミック成形体Cの内部と外周部の温度差を小さくすることができる。その結果、セラミック成形体Cにクラックが発生することを抑制できる。
【0067】
なお、セラミック成形体Cの外周部は、セラミック成形体Cの長手方向の両端部を含む。
【0068】
一方、セラミック成形体Cの長手方向の両端部は、セラミック成形体Cの長手方向の中央部よりも放熱される熱量が大きいが、セラミック成形体Cの長手方向の両端面に赤外線が照射されると、セラミック成形体Cの長手方向の両端部の温度が上昇するため、セラミック成形体Cの長手方向の中央部と両端部の温度差をさらに小さくすることができる。
【0069】
なお、マイクロ波及び赤外線の照射量は、セラミック成形体Cを構成する材料、セラミック成形体Cのサイズ、乾燥室130内の圧力等に応じて、適宜調整することができる。
【0070】
また、コンベア170によるセラミック成形体Cの搬送を複数の乾燥位置において所定時間停止して、セラミック成形体Cを乾燥させてもよい。
【0071】
さらに、セラミック成形体Cの長手方向の両端面に赤外線を照射しなくても、セラミック成形体Cの長手方向の内部と外周部の温度差を小さくすることができる場合は、赤外線を照射しなくてもよい。
【0072】
以上のようにして乾燥したセラミック成形体Cは、コンベア170により、減圧装置(不図示)により減圧されている復圧室140を経由して、バッファ室150に搬送され、回収される。
【0073】
さらに、回収されたセラミック成形体Cを脱脂する。脱脂条件は、特に限定されず、セラミック成形体Cに含まれる有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、400℃で2時間であることが好ましい。
【0074】
次に、脱脂されたセラミック成形体を焼成することにより、円柱状のハニカムユニット11が得られる。焼成温度は、600〜1200℃であることが好ましく、600〜1000℃がさらに好ましい。焼成温度が600℃未満であると、無機バインダを介した縮合反応が進行せず、ハニカムユニット11の強度が低くなる。一方、焼成温度が1200℃を超えると、ゼオライトの焼結が進行しすぎて、ゼオライトの反応サイトが減少する。
【0075】
次に、円柱状のハニカムユニット11の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0076】
外周コート層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0077】
また、外周コート層用ペーストは、有機バインダをさらに含んでいてもよい。
【0078】
有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0079】
次に、外周コート層用ペーストが塗布されたハニカムユニット11を乾燥固化することにより、円柱状のハニカム構造体10が得られる。このとき、外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、脱脂することが好ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、700℃で20分間であることが好ましい。
【0080】
なお、ハニカムユニット11を銅イオン及び/又は鉄イオンを含む水溶液中に浸漬することにより、ゼオライトをイオン交換することができる。また、銅イオン及び/又は鉄イオンによりイオン交換されているゼオライトを含む原料ペーストを用いて、ハニカムユニット11を作製してもよい。
【0081】
ハニカム構造体10は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設されている単一のハニカムユニット11の外周面に外周コート層12が形成されている。
【0082】
ハニカムユニット11は、気孔率が25〜40%であることが好ましい。ハニカムユニット11の気孔率が25%未満であると、排ガスが隔壁11bの内部まで浸透しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニット11の気孔率が40%を超えると、ハニカムユニット11の強度が不十分となる。
【0083】
ハニカムユニット11は、長手方向に垂直な断面の開口率が50〜75%であることが好ましい。ハニカムユニット11の長手方向に垂直な断面の開口率が50%未満であると、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。一方、ハニカムユニット11の長手方向に垂直な断面の開口率が75%を超えると、ハニカムユニット11の強度が不十分となる。
【0084】
ハニカムユニット11は、長手方向に垂直な断面の貫通孔11aの密度が31〜140個/cmであることが好ましい。ハニカムユニット11の長手方向に垂直な断面の貫通孔11aの密度が31個/cm未満であると、排ガスとゼオライトが接触しにくくなって、NOxの浄化性能が低下する。一方、ハニカムユニット11の長手方向に垂直な断面の貫通孔11aの密度が140個/cmを超えると、ハニカム構造体10の圧力損失が増大する。
【0085】
ハニカムユニット11の隔壁11bの厚さは、0.10〜0.50mmであることが好ましく、0.15〜0.35mmがさらに好ましい。隔壁11bの厚さが0.10mm未満であると、ハニカムユニット11の強度が低下する。一方、隔壁11bの厚さが0.50mmを超えると、排ガスが隔壁11bの内部まで浸透しにくくなって、ゼオライトがNOxの浄化に有効に利用されなくなる。
【0086】
外周コート層12は、厚さが0.1〜2mmであることが好ましい。外周コート層12の厚さが0.1mm未満であると、ハニカム構造体10の強度を向上させる効果が不十分になる。一方、外周コート層12の厚さが2mmを超えると、ハニカム構造体10の単位体積当たりのリン酸系ゼオライトの含有量が低下して、NOxの浄化性能が低下する。
【0087】
ハニカム構造体10(図1参照)は、円柱状であるが、特に限定されず、角柱状、楕円柱状等であってもよい。また、貫通孔11a(図1参照)の形状は、四角柱状であるが、特に限定されず、三角柱状、六角柱状等であってもよい。
【0088】
なお、ハニカム構造体10は、外周コート層12が形成されていなくてもよい。
【0089】
また、ハニカム構造体10の外周部に保持シール材20を配置した状態で、金属管30にキャニングすることにより、排ガス浄化装置1000(図4参照)が得られる。排ガス浄化装置1000には、排ガスの流れる方向に対して、ハニカム構造体10の上流側に、アンモニア又は分解してアンモニアが発生する化合物を噴射する噴射ノズル等の噴射手段(不図示)が設けられている。これにより、排ガスにアンモニアが添加されるため、ハニカムユニット11に含まれるゼオライトにより、排ガス中に含まれるNOxが還元される。
【0090】
分解してアンモニアが発生する化合物としては、排ガス中でアンモニアを発生させることが可能であれば、特に限定されないが、貯蔵安定性を考慮すると、尿素水が好ましい。
【0091】
なお、尿素水は、排ガスにより加熱されて、加水分解し、アンモニアが発生する。
【0092】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の例として、ハニカム構造体10'(図5参照)の製造方法について説明する。まず、ハニカムユニット11と同様にして、四角柱状のハニカムユニット11'を作製する。次に、ハニカムユニット11'の両端面を除く外周面に接着層用ペーストを塗布して、ハニカムユニット11'を順次接着させ、乾燥固化することにより、ハニカムユニット11'の集合体を作製する。
【0093】
このとき、四角柱状のハニカムユニット11'の集合体を作製した後に、円柱状に切削加工し、研磨して、円柱状のハニカムユニット11'の集合体を作製してもよい。また、長手方向に垂直な断面が扇形状、正方形状等に成形されているハニカムユニット11'を接着させて、円柱状のハニカムユニット11'の集合体を作製してもよい。
【0094】
接着層用ペーストとしては、特に限定されないが、無機バインダ及び無機粒子の混合物、無機バインダ及び無機繊維の混合物、無機バインダ、無機粒子及び無機繊維の混合物等が挙げられる。
【0095】
また、接着層用ペーストは、有機バインダを含んでいてもよい。
【0096】
有機バインダとしては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0097】
次に、円柱状のハニカムユニット11'の集合体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布する。
【0098】
外周コート層用ペーストは、特に限定されないが、接着層用ペーストと同じ材料を含んでいてもよいし、異なる材料を含んでいてもよい。また、外周コート層用ペーストは、接着層用ペーストと同一の組成であってもよい。
【0099】
次に、外周コート層用ペーストが塗布されたハニカムユニット11の集合体を乾燥固化することにより、円柱状のハニカム構造体10'が得られる。このとき、接着層用ペースト及び/又は外周コート層用ペーストに有機バインダが含まれている場合は、外周コート層用ペーストが塗布されたハニカムユニット11の集合体を脱脂することが好ましい。脱脂条件は、有機物の種類及び量によって適宜選択することができるが、700℃で20分間であることが好ましい。
【0100】
ハニカム構造体10'は、複数の貫通孔11aが隔壁11bを隔てて長手方向に並設されているハニカムユニット11'(図6参照)が接着層13を介して複数個接着されている以外は、ハニカム構造体10と同様である。
【0101】
ハニカムユニット11'は、長手方向に垂直な断面の断面積が5〜50cmであることが好ましい。ハニカムユニット11'の長手方向に垂直な断面の断面積が5cm未満であると、ハニカム構造体10'の圧力損失が増大する。一方、ハニカムユニット11'の長手方向に垂直な断面の断面積が50cmを超えると、ハニカムユニット11に発生する熱応力に対する強度が不十分になる。
【0102】
なお、ハニカムユニット11'の長手方向に垂直な断面の断面積以外の特性は、ハニカムユニット11と同様である。
【0103】
接着層13は、厚さが0.5〜2mmであることが好ましい。接着層13の厚さが0.5mm未満であると、ハニカムユニット11の接着強度が不十分になる。一方、接着層13の厚さが2mmを超えると、ハニカム構造体10'の圧力損失が増大する。
【0104】
また、ハニカム構造体10'の外周部に位置するハニカムユニット11'を除くハニカムユニット11'の形状は、四角柱状であるが、特に限定されず、例えば、六角柱状等であってもよい。
【0105】
なお、ハニカム構造体10'は、外周コート層12が形成されていなくてもよい。
【0106】
以上、セラミック焼成体として、ハニカムユニット11又は11'を製造する場合について説明したが、セラミック焼成体の形状としては、特に限定されない。また、セラミック焼成体を構成する材料としては、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、ムライト、ゼオライト、コージェライト、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0107】
本発明の乾燥装置は、このような材料を用いて、セラミック焼成体(ハニカムユニット)を製造する場合に有効であり、ゼオライトを含むセラミック焼成体(ハニカムユニット)を製造する場合に特に有効である。
【実施例】
【0108】
本実施例において、部は質量部を意味する。
【0109】
[実施例1]
3000部の一次粒子の平均粒径が3μmのSAPO−34、ベーマイト840部、平均繊維径が6μm、平均繊維長が100μmのアルミナ繊維650部、メチルセルロース330部、オレイン酸330部及びイオン交換水1800部を混合混練して、原料ペーストを作製した。
【0110】
次に、押出成形機を用いて、原料ペーストを押出成形し、正四角柱状のセラミック成形体を作製した。そして、乾燥装置100を用いて、乾燥室130内の圧力を6.7kPaとし、乾燥室130を加熱せず、乾燥室130内の雰囲気を大気として、セラミック成形体を15分間(0.25時間)乾燥した。このとき、各マイクロ波照射装置131の出力を6kWとした。また、赤外線照射装置132としては、赤外線ヒーターを用い、各赤外線ヒーターの出力を150Wとした。
【0111】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が2.5℃であり、クラックの発生率が0%であった。
【0112】
なお、セラミック成形体の内部と外周部の温度差は、セラミック成形体の端面近傍の中心付近と端面近傍の角付近に光ファイバー温度計(Neoptix社製)を入れて、乾燥室130内で温度を測定して算出した。
【0113】
また、セラミック成形体のクラックの発生率は、バッファ室150に搬送された100個のセラミック成形体のクラックの発生の有無を目視で評価することにより求めた。
【0114】
次に、乾燥したセラミック成形体を400℃で5時間脱脂した後、700℃で2時間焼成し、一辺が38mm、長さが150mmの正四角柱状のハニカムユニット11'(図6参照)を作製した。ハニカムユニット11'は、貫通孔11aの密度が62個/cm、隔壁11bの厚さが0.28mmであった。
【0115】
次に、平均繊維径が0.5μm、平均繊維長が15μmのアルミナ繊維767部、シリカガラス2500部、カルボキシメチルセルロース17部、固形分30質量%のシリカゾル600部、ポリビニルアルコール167部、界面活性剤167部及びアルミナバルーン17部を混合混練して、耐熱性の接着層用ペーストを作製した。
【0116】
接着層の厚さが2mmになるように接着層用ペーストを塗布して、ハニカムユニット11'を16個接着させた後、接着層用ペーストを150℃で10分間乾燥固化して、正四角柱状のハニカムユニット11'の集合体を作製した。次に、ダイヤモンドカッターを用いて、正四角柱状のハニカムユニット11'の集合体を長手方向に垂直な断面が略点対称になるように円柱状に切削加工し、円柱状のハニカムユニット11'の集合体を作製した。
【0117】
さらに、ハニカムユニット11'の集合体の外周面に、外周コート層の厚さが1mmになるように接着層用ペーストを塗布した後、マイクロ波乾燥機及び熱風乾燥機を用いて、接着層用ペーストを150℃で10分間乾燥固化し、400℃で2時間脱脂して、直径143.8mm、高さ150mmの円柱状のハニカム構造体10'(図5参照)を作製した。
【0118】
次に、ハニカム構造体10'の外周部に保持シール材(無機繊維からなるマット)20を配置した状態で、金属管(シェル)30にキャニングし、排ガス浄化装置を作製した(図2参照)。
【0119】
[実施例2]
セラミック成形体を乾燥させる際に、赤外線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体10'及び排ガス浄化装置を作製した。
【0120】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が14.8℃であり、クラックの発生率が5%であった。
【0121】
[実施例3]
乾燥室130内の圧力を2.0kPaとした以外は、実施例2と同様にして、ハニカム構造体10'及び排ガス浄化装置を作製した。
【0122】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が1.2℃であり、クラックの発生率が0%であった。
【0123】
[実施例4]
乾燥室130内の圧力を50.0kPaとした以外は、実施例2と同様にして、ハニカム構造体10'及び排ガス浄化装置を作製した。
【0124】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が20.4℃であり、クラックの発生率が8%であった。
【0125】
[比較例1]
セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥室130内の圧力を101.3kPaとした以外は、実施例2と同様にして、ハニカム構造体及び排ガス浄化装置を作製した。
【0126】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が35.0℃であり、クラックの発生率が100%であった。
【0127】
[比較例2]
セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥室130内の圧力を86.7kPaとし、各マイクロ波照射装置131の出力を60Wとし、各赤外線ヒーターの出力を10Wとし、24時間乾燥した以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体及び排ガス浄化装置を作製した。
【0128】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が10.4℃であり、クラックの発生率が0%であった。
【0129】
[比較例3]
セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥室130内の圧力を86.7kPaとした以外は、実施例2と同様にして、ハニカム構造体及び排ガス浄化装置を作製した。
【0130】
このとき、セラミック成形体は、内部と外周部の温度差が32.1℃であり、クラックの発生率が100%であった。
【0131】
表1に、乾燥条件と、セラミック成形体の評価結果を示す。
【0132】
【表1】

表1より、実施例1〜4のハニカムユニット11'を製造する場合、セラミック成形体を乾燥させる時間が15分間(0.25時間)であっても、セラミック成形体の内部と外周部の温度差が小さくなって、セラミック成形体にクラックが発生することを抑制できることがわかる。また、実施例1のように、セラミック成形体を乾燥させる際に、セラミック成形体の長手方向の両端面に赤外線を照射すると、セラミック成形体の内部と外周部の温度差がさらに小さくなって、セラミック成形体にクラックが発生することをさらに抑制できることがわかる。
【0133】
一方、比較例1、3のハニカムユニットを製造する場合、セラミック成形体を乾燥させる時間が15分間(0.25時間)であると、乾燥室130内の圧力が50kPaよりも大きいため、セラミック成形体の内部と外周部の温度差が大きくなって、セラミック成形体にクラックが発生しやすくなると考えられる。
【0134】
また、比較例2のハニカムユニットを製造する場合、乾燥室130内の圧力が50kPaよりも大きいため、セラミック成形体にクラックが発生することを抑制するためには、マイクロ波照射装置131の出力を低下させると共に、セラミック成形体の長手方向の両端面に赤外線を照射して、24時間乾燥させる必要があることがわかる。
【0135】
実施例1〜4より、クラックの発生を抑制すると共に、短時間でセラミック成形体を乾燥させることが可能なセラミック焼成体の製造方法並びに該セラミック焼成体の製造方法を用いるハニカム構造体の製造方法及び排ガス浄化装置の製造方法を提供できることがわかる。また、該セラミック焼成体の製造方法に用いることが可能な乾燥装置を提供できることがわかる。
【符号の説明】
【0136】
10、10' ハニカム構造体
11、11' ハニカムユニット
11a 貫通孔
11b 隔壁
12 外周コート層
13 接着層
20 保持シール材
30 金属管
100 乾燥装置
130 乾燥室
131 マイクロ波照射装置
132 赤外線照射装置
1000 排ガス浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含むセラミック原料組成物を成形してセラミック成形体を作製する工程と、
該セラミック成形体に、1kPa以上50kPa以下の減圧雰囲気下で、マイクロ波を照射して、該セラミック成形体を乾燥させる工程と、
該乾燥したセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を作製する工程を有することを特徴とするセラミック焼成体の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥装置を用い、
前記乾燥装置は、前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を有することを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項3】
前記乾燥装置は、連続式であることを特徴とする請求項2に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項4】
前記セラミック成形体は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項5】
前記セラミック原料組成物は、ゼオライトと、無機バインダを含むことを特徴とする請求項4に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項6】
前記セラミック原料組成物は、無機繊維、鱗片状物質、テトラポット状物質及び三次元針状物質からなる群より選択される一種以上をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項7】
前記ゼオライトは、リン酸塩系ゼオライトであることを特徴とする請求項5又は6に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック成形体に前記マイクロ波を照射しながら、前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項9】
前記赤外線を照射する際に、ランプヒーター、ハロゲンヒーター又は遠赤外線ヒーターを用いることを特徴とする請求項8に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項10】
前記セラミック成形体を乾燥させる際に、乾燥装置を用い、
前記乾燥装置は、前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射する赤外線照射手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項11】
前記乾燥装置は、連続式であることを特徴とする請求項10に記載のセラミック焼成体の製造方法。
【請求項12】
請求項4乃至11のいずれか一項に記載のセラミック焼成体の製造方法を用いてセラミック焼成体を製造する工程を有することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のハニカム構造体の製造方法を用いてハニカム構造体を製造する工程を有することを特徴とする排ガス浄化装置の製造方法。
【請求項14】
複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されているセラミック成形体を乾燥させる装置であって、
前記セラミック成形体を乾燥させる乾燥室と、
前記乾燥室内を減圧する減圧手段と、
前記乾燥室内の前記セラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記乾燥室内の前記セラミック成形体の前記長手方向の両端面に赤外線を照射する赤外線照射手段を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項15】
前記赤外線照射手段は、ランプヒーター、ハロゲンヒーター又は遠赤外線ヒーターであることを特徴とする請求項14に記載の乾燥装置。
【請求項16】
連続式であることを特徴とする請求項14又は15に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106484(P2012−106484A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209933(P2011−209933)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】