説明

セラミック素子内部電極の引出し電極及びその製造方法

【課題】静電チャックなどのセラミック素子の内部電極に対する引出し電極は、セラミック体と電極部のメタライズ層との熱膨張率の差異や、焼成時の熱収縮の差異などによって、交差部に高い残留応力が発生し、セラミック体が薄くなるとクラックなどが発生していた。
【解決手段】セラミック体中に、吸着などの外部の作用面にほぼ平行で、面状に広がった状態に内装された薄膜の内部電極を有し、一部が作用面の反対側からセラミック体中に延在して内部電極の端縁に沿ってかど継手状に繋がり、反対側の他端が、セラミック体の端面の外部端子位置に表出する導体薄膜の引出し電極とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャック、セラミックヒータ、または酸素センサ等に用いられるセラミック素子の内部電極に、その一端が接続され、そこからセラミック体の外部表面に導出する引出し電極、その構造及びその形成乃至は製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
斯種のセラミック素子は、ブロック状セラミック体の外表の一面を静電吸着、ガス浸透等の作用面として、この作用面の表層近くに面に平行に、板状の導体内部電極を有し、一端がこの内部電極に繋がる引出しリード電極を、前記作用面と反対側のセラミック体に設けた穴等を介して引き出し、外部端子へ接続する如く為されているものである。
【0003】
さらに具体的には、例えば、静電チャックのビアホール構造として、前記作用面と反対側のセラミック体(基板)の外部端子取り出し箇所に、予め外部端子の途中迄の挿入固定孔と、その挿入固定孔に挿通し他端が内部電極に連通するビアホール多数個を夫々開孔し、このビアホールに導体ペーストを埋設しておき、これを、印刷等で形成された導体層を有する作用面側のセラミック体と積層して積層体を形成し、この積層体を焼成して静電チャックの基板を得るものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、例えば、酸素センサ等に用いるセンサ素子のスルーホール構造として、内部に通電路を有してその電極端子部が外面に露出して形成される。この電極端子部に短冊板状の導線(リード線)が重ねられ、かつ絶縁板を介して環状のリング金具が圧入されることにより、導線はリング金具とは電気的に絶縁された状態で、セラミック素子の電極端子部に圧着されて伝記的に接続される。そして、このような組立て体に、ハウジング、リード線等が組み付けられて酸素センサ等のセラミック素子となることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、例えば、半導体支持装置内部電極への給電端子直接接続構造として、端子の接合前の構成が設置面と背面を有し、背面側に端子を収容する収容孔が形成されているサセプタの基体であって、端子は金属、導電性セラミックス、または金属マトリックス−セラミックス複合体から成り、基体中には所定の電極が一部が収容孔へ露出するように設けられている。また、端子にはねじ孔と凹みとが設けられ、端子の底面と収容孔の底面との間に金属マトリックス−セラミックス複合体から成るシート状の結合材と中間材が設けられている。
【0006】
そして、前述の構成配置で加熱処理を行うことにより、端子の底面が収容孔の底面に対して、結合材および接合層によって接合され、接合材は熱処理前の接合材の微構造をほぼ留めているが、結合層は熱処理前の中間材溶融によって生じている。そして、結合材を構成する金属マトリックスの一部は下方へと向かって流出し、結合層の方へ流入し、両者の継ぎ目が消失し、接合層の金属マトリックスは、セラミックスに対しても、ろう付け作用により結合するが、電極の露出部に対して、より強固に結合した構成のサセプタ素子となることが知られている(例えば、特許文献3に参照。)。
【0007】
また、例えば、静電チャック装置の内部電極へのその他の給電端子接着構造として、貫通孔が形成された金属基板と、2枚の絶縁層に挟まれた導電層を有し、貫通孔の上端を塞ぐように金属基板上に積層された電極シートと、先端部から後端部にわたってガイド孔が形成され、先端部と電極シートとの間に間隙が形成されるように金属基板の貫通孔内に設けられた絶縁部材と、絶縁部材の後端部の凹部に設けられた給電端子と、絶縁部材のガイド孔に挿入されて、上端が電極シートの導電層に接した状態で導電層にはんだで固定され、下端が給電端子にはんだで固定された裸線から成る導電とを具備する構成のものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開昭62−264638号公報
【特許文献2】特開2001−296269号公報
【特許文献3】特開2000−106391号公報
【特許文献4】特開2003−115529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように引出し電極と反対方向の内部電極に接するセラミック体、即ち、被吸着体を当接させて吸着する外部の作用面を形成するセラミック体は、静電チャックにおいては吸着力を大きくするために、セラミックヒータや酸素センサにおいては応答速度を速くするために、そのセラミック体を薄くするほど性能が向上するので、所要の絶縁耐力や機械的強度が得られる範囲でより薄く(通常50〜500μm厚程度)製作、使用されるものである。
【0009】
しかるに、従来の各種のセラミック素子の引出し電極の内部電極との接触接続構成、及び接触接続部から外部への引出し部分の構成は上述した構成であるから、その各セラミック素子のセラミック体と電極部のメタライズ層との熱膨張率の差異や、焼成時の熱収縮の差異等によって、内部電極と引出し電極の交差部には高い残留応力が発生しており、セラミック体が薄くなるとクラック等が発生しやすくなる。さらに、給電端子の接合や接着の応力や、機械加工応力が加わり、薄く作られたセラミック体やこれに焼き付いているメタライズ層等は亀裂、割れ等が生じやすい。
【0010】
この発明の課題は、静電チャック、セラミックヒータ、酸素センサー等に用いるセラミック素子において、引出し電極と反対方向の内部電極に接するセラミック体を薄くしても、クラック等が発生しない引出し電極構造と及びその製造方法の改良技術を提供することにある。
【0011】
前述の本発明の目的は、(1)セラミック素子のセラミック体中に、該セラミック素子の外部作用面にほぼ並行で、面状に広がった状態に内装された薄膜状の内部電極を有し、一端が前記作用面の反対側からセラミック体中に延在して前記内部電極の端縁に沿ってかど継手状に繋がり、前記反対側の他端がセラミック体の端面の外部端子位置に表出する導体薄膜から成る外部端子への引出し電極を有するセラミック素子内部電極の引出し電極とすることにより達成される。
【0012】
また、前述の本発明の目的は、(2)前記引出し電極は全体として筒状で、その前記一端が前記内部電極に形成した孔の内縁に前記かど継手状に繋がり内部の充填セラミックが前記セラミック体と同一のセラミックで前記孔部でセラミック体と一体の構成である前記(1)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極とすることにより達成される。
【0013】
また、前述の本発明の目的は、(3)前記薄膜状の内部電極に対する前記引出し電極のかど継手状の繋がりが、垂直交差構造である前記(1)または(2)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極とすることにより達成される。
【0014】
また、本発明の目的は、(4)焼成によりセラミック体となる加圧圧縮した粉末成形体から製作されるセラミック素子であって、作用面側の粉末成形体と反対側の粉末成形体とを両者間に薄膜状の内部電極を挟んで積層し一体化する製造方法において、
前記反対側の粉末成形の外部端子取付け位置の引出し電極位置に前記積層面を貫通して孔を設け、該貫通孔の内面に薄膜引出し電極となる導電ペーストを塗布すると共に、積層する粉末成形体の少なくとも一方の積層面に薄膜状の内部電極となる導電ペーストを所定のパターン形状に塗布し、前記貫通孔に前記粉末成形体と同種の粉末成形体の軸を嵌設し、前記作用面側の粉末成形体と積層して焼成し一体化するセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【0015】
また、前述の本発明の目的は、(5)前記貫通孔の内面及び粉末成形体の積層面への導電ペーストの塗布後に乾燥工程を設け、前記貫通孔への粉末成形体の軸の嵌設を前記乾燥工程後に行うことを特徴とする前記(4)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【0016】
また、前述の本発明の目的は、(6)前記貫通孔へ粉末成形体の軸を嵌設して作用面側の粉末成形体を積層後、該積層体を弾性体の袋に入れ冷間等圧プレス(CIP)して一体化した後、焼成する前記(4)または(5)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【0017】
また、前述の本発明の目的は、(7)前記貫通孔を設ける粉末成形体の圧縮成形圧力が、前記粉末成形体の軸の圧縮成形圧力、及び前記積層する粉末成形体の圧縮成形圧力よりも小さい値に設定されている前記(4)、(5)または(6)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【0018】
また、前述の本発明の目的は、(8)前記積層面への導電ペーストの塗布が貫通孔を設けた反対側の粉末成形体に対してのみ行われ、前記貫通孔部分への塗布は除外されている前記(4)、(5)、(6)または(7)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【0019】
また、前述の本発明の目的は、(9)前記導電ペースト塗布により形成される内部電極及び引出し電極の薄膜電極焼付け厚さが2〜150μmである前記(4)、(5)、(6)、(7)または(8)に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法とすることにより達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前記引出し電極は、セラミック素子のセラミック体から成る絶縁体に埋没されている内部電極に交差し、円筒の全周にわたって溶接のかど継手状に接続し、同じ絶縁体に埋没され、一端が素子内部の引出し電極と反対方向の内部電極に接する薄いセラミック体に、一端が素子表面に露出している薄い板状構造の引出し電極が内部電極に前記かど継手状で繋がる構造とすることにより、内部電極と引出し電極の交差部の残留応力が、分散緩和され、クラック等が発生しなくなる。
【0021】
そして、この内部電極と引出し電極構造の模式側断面を図1に、セラミック素子表面に引出された電極を素子下面からみた模式図を図2に示した。
【0022】
後述するように本発明によれば、引出し電極がセラミック体に埋没されているため、セラミック体と電極部のメタライズ層との熱膨張率の差異や、焼成時の熱収縮の差異等によって発生する応力によっても、そり等の変形が起こらず、応力集中がない。
【0023】
また、本発明によれば、引出し電極と反対方向の内部電極に接する作用面を形成する薄いセラミック体が、内部電極と引出し電極の交差部で、セラミック体同士の接合となっているため、熱膨張率の差異や、焼成時の熱収縮の差異等による応力が発生しない。
【0024】
本発明の電極構造では、内部電極と引出し電極のすべてが薄膜であり、且つ周囲を全てセラミック体に覆われる構造になっており、セラミック体と電極部のメタライズ層との熱膨張率の差異や、焼成時の熱収縮の差異等によって発生する応力によっても、そり等の変形が起こらず、応力集中がないため、クラック等が発生しなくなる。
【0025】
また、引出し電極が円筒状であり、内部電極に垂直に交差していると、より応力が均一となる。
【0026】
本発明の電極構造は、セラミック体焼成前の粉末成形体の時に形成される。焼成後にセラミック体となる粉末成形体に貫通する孔を設け、この孔の内面に導電ペーストを塗布、乾燥後、孔に嵌合する同一粉末で圧縮成形された軸を挿入し、再度圧縮加圧し、焼成によりにセラミック体に覆われた引出し電極が前記孔への塗布導電ペーストから形成されることになる。
【0027】
前述した孔を設ける粉末成形体の成形圧力は、孔に嵌設する軸の粉末成形圧力及び最後の作用面を有する薄いセラミック粉末成形体と積層した積層体を一体化のためにCIPで再度の圧縮加圧するときの加圧力より小さくして成形しておくと、電極層とセラミック体とが隙間無く密着できる。
【0028】
そして、前述した再度の圧縮加圧の際、前述のように、2体以上の粉末成形体を積層し、その積層間の粉末成形体表面に導電ペーストで内部電極を所望のパターン形状に塗膜し、前記貫通孔の導電ペースト塗膜とこの内部電極塗膜との各端縁が前述かど継手状に接していることによって電気導通の電極が形成される。
なお、積層する粉末成形体の模式図を図3に示す。
【0029】
前述した電極焼付け厚さが薄いと残留応力が小さいが、導通が切れてしまう危険がある。厚さが厚いと導通は安定するが、残留応力が大きい。 スクリーン印刷や塗布で形成される膜厚は、10から20μm程度が製造に適しているが、本発明の電極構造は機械的安定性が向上しており、2〜150μmの間でも製造できる。
【0030】
本発明の電極構造及びその製造方法によれば、クラック等が発生させずに、引出し電極と反対方向の内部電極に接するセラミック体を薄くすることが可能である。これによって、静電チャックにおいては、吸着力を大きくでき、
セラミックヒータや、酸素センサーにおいては、応答速度を早くでき、性能向上をはかることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1乃至図4において、セラミック素子1は、セラミック体1a、1b中に、該セラミック素子1の外部表面に有する作用面1Aにほぼ平行で面状に広がった状態に内装された薄膜の内部電極2を有し、一端3eが前記作用面1Aの反対側からセラミック体1bに延在して前記内部電極2の端縁2eに沿ってかど継手4状に繋がり、前記反対側の他端3dがセラミック体の端面の外部端子位置に表出する導体薄膜から成る外部端子への引出し電極3を有する。
【0032】
該引出し電極3は、図示実施例の場合、セラミック体1bの部分で水平方向に横断し、下方から見た平面図の図2からも判るように円筒状であり、前記他端3dは、セラミック体1bの下面の図示しない外部端子を設置する位置に下端面から形成した拡大穴1Bの底面に臨んでいる。前記引出し電極3は、後述するように、セラミック体1bと同一のセラミック体1cが詰まった状態にあり、先端側でセラミック体1aと一体の状態にある貫通孔1Cが円形のため円筒状であるが、異形の例えば、四角ならば四角、又は4辺の一部のみに対する長方形の薄膜状であっても良く、何れの場合も、内部電極2の端縁と繋がるかど継手部4は、互に垂直に交差する構成とすることが好ましい。
【0033】
セラミック素子1は、焼結助剤などを添加したセラミック粉末を金型等を使用して所定の寸法、形状に、所定の圧力で圧縮成形した粉末成形体や同様なセラミックグリーンシートを必要に応じ複数枚積層成形等した粉末成形体であって、焼成により所要のセラミック体に粉末成形体1a、1b(図2参照)から、製作されるものである。
【0034】
即ち、前述吸着等の作用面1Aを形成するように造られる側の粉末成形体1aと、該粉末成形体1aと積層一体化して基板となる粉末成形体1bとを用意し、後者の粉末成形体1bの外部端子取付け位置部分に、引出し電極3の給電電気容量を考慮した寸法で貫通孔1Cが設けられ、該貫通孔1Cの内面に、焼成により焼付きの薄膜引出し電極となる導電ペーストを塗布すると共に、粉末成形体1a、1bの両又は一方、図示の場合粉末成形体1bの他の粉末成形体1aとの積層会合面1Dに、前記貫通孔1Cの開口を含み、焼成により薄膜の内部電極2となる導電ペーストを所定の寸法、パターンで塗布し、乾燥させる。
【0035】
所定の乾燥処置後、前記粉末成形体1bの貫通孔1Cに、予め用意した粉末成形体1a、1bと同一種類の粉末成形体の軸1cを嵌設する。この場合、嵌設する軸1cの粉末成形体の方が粉末成形体1a、1bよりも所定に高い圧力で微密に圧縮成形された関係のものとすると、粉末成形体の軸1cの先端と粉末成形体1a間、或いは導電ペーストの貫通孔1C内壁への塗布の仕方によっては、軸1cの外周の一部と粉末成形体1bの貫通孔1C内壁間との一体化結合が緻密で確実となる。
【0036】
前述のようにして、粉末成形体の軸1cを貫通孔1Cへ嵌設した後、粉末成形体1aと1bとを重ね合わせて積層体とし、之をCIP(冷間等圧プレス)用の弾性袋に入れて、或いは、必要に応じさらには粉末型用の粉末を廻りに充填し、前記軸1cの圧縮成形圧力と同等以上の圧力でCIP圧縮成形する。
【0037】
次いで、積層して接合した粉末成形体1a、1bを取り出し、使用セラミックの焼成条件に合った条件で焼成し、焼成体を機械加工により所定の寸法、形状に研削、加工及び外部端子取付け拡大1Bの加工等をしてセラミック素子1を得るものである。
【0038】
そして、図4は、セラミック素子1の中間電極の具体例を示すもので、2つの櫛歯状の中間電極2A、2Bが粉末成形体1bにスクリーン印刷により塗着され、各中間電極2A、2Bに対する引出し電極を形成する貫通孔1CA、1CBの位置が示してある。
【実施例】
【0039】
以下静電チャックにて本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。主成分をアルミナとし、シリカ、マグネシア、カルシア等の焼成助剤と、PVA、グリセリン、アクリル酸等のバインダーを添加し、粉砕混合後、スプレードライヤーにて顆粒状の粉体を得た。この粉体をラバーに充填し、面圧500Kg/cmでCIP(冷間等圧プレス)成形し、約500ラ500ラ100mmの成形体を得た。成形体から機械加工によって、表面が平滑な約200ラ150ラ10mmの2枚の平板を製作した。1枚は直径約5mmの貫通孔を2箇所設けた。面圧1000Kg/cmの成形体から機械加工によって、直径約5mmラ長さ10mmの軸を製作した。
【0040】
孔を設けた平板に、パラジュームペーストにて櫛歯の電極をスクリーン印刷した。この状態の模式図を図4に示す。絵筆を用いて孔の内面にパラジュームペーストを塗布し室内にて1日自然乾燥した。もう1枚の平板を電極印刷した面に重ね合わせ、孔に軸を挿入し、ラバーに袋つめし、再度面圧1000Kg/cmでCIPを行った。得られた積層接合体を、LPGを燃料とした焼成炉にて、1450で焼成した。ダイヤモンド砥石にて、引出し電極と反対方向の内部電極に接するセラミック体を約0.4mm厚さ、反対面を6mmに機械加工した。
【0041】
切断観察したところ、孔を設けた部分には、直径約4.5mm、厚さ約5μmの円筒状の電極が形成され、セラミック体に隙間無く密着しており、クラックは観察されなかった。
【0042】
電極がひきだされた部分に、直径約10mm厚さ5〜10μmの無電解ニッケルメッキを施し、外部端子用に金属端子を取り付け、±5KVの電圧を印加した。ITO膜付きガラス等の基材が強く吸着し、充分な機械的強度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、静電チャックなどのセラミック素子の内部電極にその一端が接続され、そこからセラミック体の内部を通って反対側の外部へ引出すための引出し電極及びその形成方法として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例を説明するためのセラミック素子の模式側断面図。
【図2】同じく素子を下面から見た平面図。
【図3】同じく実施例の製作方法を説明するための斜視図。
【図4】具体例の印刷された中間電極のパターン図。
【符号の説明】
【0045】
1、セラミック素子
1a、1b、粉末成形体
1c、粉末成形体の軸
1A、作用面
1B、拡大穴
1C、貫通孔
2、中間電極
2e、端縁
3、引出し電極
3e、端縁
4、かど継手状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック素子のセラミック体中に、該セラミック素子の外部作用面にほぼ並行で、面状に広がった状態に内装された薄膜状の内部電極を有し、一端が前記作用面の反対側からセラミック体中に延在して前記内部電極の端縁に沿ってかど継手状に繋がり、前記反対側の他端がセラミック体の端面の外部端子位置に表出する導体薄膜から成る外部端子への引出し電極を有することを特徴とするセラミック素子内部電極の引出し電極。
【請求項2】
前記引出し電極は全体として筒状で、その前記一端が前記内部電極に形成した孔の内縁に前記かど継手状に繋がり内部の充填セラミックが前記セラミック体と同一のセラミックで前記孔部でセラミック体と一体の構成であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極。
【請求項3】
前記薄膜状の内部電極に対する前記引出し電極のかど継手状の繋がりが、垂直交差であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極。
【請求項4】
焼成によりセラミック体となる加圧圧縮した粉末成形体から製作されるセラミック素子であって、作用面側の粉末成形体と反対側の粉末成形体とを両者間に薄膜状の内部電極を挟んで積層し一体化する製造方法において、
前記反対側の粉末成形の外部端子取付け位置の引出し電極位置に前記積層面を貫通して孔を設け、該貫通孔の内面に薄膜引出し電極となる導電ペーストを塗布すると共に、積層する粉末成形体の少なくとも一方の積層面に薄膜状の内部電極となる導電ペーストを所定のパターン形状に塗布し、前記貫通孔に前記粉末成形体と同種の粉末成形体の軸を嵌設し、前記作用面側の粉末成形体と積層して焼成し一体化することを特徴とするセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。
【請求項5】
前記貫通孔の内面及び粉末成形体の積層面への導電ペーストの塗布後に乾燥工程を設け、前記貫通孔への粉末成形体の軸の嵌設を前記乾燥工程後に行うことを特徴とする請求項4に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。
【請求項6】
前記貫通孔へ粉末成形体の軸を嵌設して作用面側の粉末成形体を積層後、該積層体を弾性体の袋に入れ冷間等圧プレス(CIP)して一体化した後、焼成することを特徴とする請求項4または5に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔を設ける粉末成形体の圧縮成形圧力が、前記粉末成形体の軸の圧縮成形圧力、及び前記積層する粉末成形体の圧縮成形圧力よりも小さい値に設定されていることを特徴とする請求項4、5または6に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。
【請求項8】
前記積層面への導電ペーストの塗布が貫通孔を設けた反対側の粉末成形体に対してのみ行われ、前記貫通孔部分への塗布は除外されることを特徴とする請求項4、5、6または7に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。
【請求項9】
前記導電ペースト塗布により形成される内部電極及び引出し電極の薄膜電極焼付け厚さが2〜150μmであることを特徴とする請求項4、5、6、7または8に記載のセラミック素子内部電極の引出し電極製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−5295(P2006−5295A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182505(P2004−182505)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000132725)株式会社ソディック (197)
【Fターム(参考)】