説明

セルフロック装置を備える伝動装置・駆動装置ユニット

本発明に係る伝動装置・駆動装置ユニット(10)、特に自動車内の可動な部分を調節するための伝動装置・駆動装置ユニット(10)は、駆動モータ(12)と、該駆動モータ(12)により駆動される伝動装置(14)とを備え、該伝動装置(14)が、被動部材(70)と、ロック部材(63,55)を備えるセルフロック装置(60)とを備え、該ロック部材(63,55)が前記伝動装置(12)を、前記被動部材(70)から前記伝動装置(12)に導入されるトルクのためにロックする形式のものにおいて、前記伝動装置(12)が、該伝動装置(12)の伝動装置噛合部(47)及びモータ軸支承部(32,28)でもって効率最適化されて最小の摩擦を備えて形成されており、かつ前記駆動モータ(12)が、界磁磁石として、帰磁路を形成するポールポット(16)内に配置されているスリーブ状の環状磁石(18)を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念部に記載の、セルフロック装置を備える伝動装置・駆動装置ユニット、特に自動車内の可動な部分を調節するための、セルフロック装置を備える伝動装置・駆動装置ユニットに関する。すなわち、本発明は、伝動装置・駆動装置ユニット、特に自動車内の可動な部分を調節するための伝動装置・駆動装置ユニットであって、駆動モータと、該駆動モータにより駆動される伝動装置とを備え、該伝動装置が、被動部材と、ロック部材を備えるセルフロック装置とを備え、該ロック部材が前記伝動装置を、前記被動部材から前記伝動装置に導入されるトルクのためにロックする形式のものに関する。
【0002】
従来技術
ドイツ連邦共和国特許第19753106号明細書において、負荷トルクロック(Lastdrehmomentsperre)が公知である。この公知の負荷トルクロックは、パワートレーン内に組み込まれており、駆動装置の停止時に自動的に、被動部から導入されるトルクを遮断する。これに対して、駆動側から導入されるトルクは、両回転方向で伝達される。このために、駆動軸は被動軸の付設部材により貫通される。これらの互いに回動可能な両軸間には、半径方向のウェブ及びクランプ部材あるいはロック部材が配置されている。クランプ部材あるいはロック部材は、トルクの駆動側又は被動側の導入に基づいて、クランプリングユニットに対する回転を許可したり、阻止したりする。このような負荷トルクロックは、多数の個別部品からなり、個別部品は、手間をかけて組み立てられねばならず、かつ多くの構成スペースを必要とする。これにより、この伝動装置・駆動装置ユニットは、比較的大型に、かつ重く形成されており、これにより、相応に高出力の電動モータが駆動のために必要である。
【0003】
発明の開示
発明の利点
独立請求項1の特徴部に記載の特徴を有する、本発明に係るセルフロック装置を備える伝動装置・駆動装置ユニット、すなわち、伝動装置・駆動装置ユニット、特に自動車内の可動な部分を調節するための伝動装置・駆動装置ユニットであって、駆動モータと、該駆動モータにより駆動される伝動装置とを備え、該伝動装置が、被動部材と、ロック部材を備えるセルフロック装置とを備え、該ロック部材が前記伝動装置を、前記被動部材から前記伝動装置に導入されるトルクのためにロックする形式のものにおいて、前記伝動装置が、該伝動装置の伝動装置噛合部及びモータ軸支承部でもって効率最適化されて最小の摩擦を備えて形成されており、かつ前記駆動モータが、界磁磁石として、帰磁路を形成するポールポット内に配置されているスリーブ状の環状磁石を備えることを特徴とする、伝動装置・駆動装置ユニットは、減じられた摩擦を有する伝動装置の安価な構成により、同じ用途において、同時に、より軽い重量を有する駆動モータが使用可能であるという利点を有する。これに加えて、電動モータの界磁磁石は、巻線コイルを備えるアーマチュアコアを包囲する、比較的小型で軽量の環状磁石として形成されている。負荷モーメントロックが別個のセルフロック装置により形成されていることによって、効率最適化された伝動装置が、伝動装置が被動側の負荷入力時に、例えば窓昇降駆動装置、可動式ルーフ駆動装置、払拭器駆動装置又は座席駆動装置等で必要であるようにロックされるべき、作動駆動装置のためにも使用可能である。
【0004】
従属請求項に記載の手段により、独立請求項に記載の装置の有利な発展及び改良が可能である。好ましくは、前記環状磁石が周方向で2つ又は複数の、有利には4つの磁極を備える。好ましくは、前記環状磁石が、0.5〜3mm、有利には0.5〜1.5mmの半径方向の壁厚さ、及び/又は15:1〜40:1の前記壁厚さに対する外径の比を有する。好ましくは、前記環状磁石が、高エネルギ磁石として形成されており、希土類元素を含み、特に焼結されたか、又はプラスチック内で結合されたNdFeBから形成されている。好ましくは、前記ポールポットが、約25〜33mmの円形の外径を有する深絞り加工部品として形成されており、1〜2mmの半径方向の壁厚さを有する。好ましくは、前記駆動モータが、電気的なワイヤ巻線のための薄片積層体を備えるロータを備え、薄片が、1.0mmより小の軸方向の材料厚さを有する。好ましくは、前記伝動装置が、ウォーム伝動装置として形成されており、該ウォーム伝動装置のウォーム噛合部が、減じられた圧力角、特に4°〜8°の減じられた圧力角、及びほぼ0.025の摩擦係数を有する。好ましくは、駆動軸が、滑り軸受、特に焼結青銅ブシュとして製造されている滑り軸受により、前記ポールポット内に支承され、かつ玉軸受により伝動装置ハウジング内に支承されている。好ましくは、前記駆動軸が、前記伝動装置ハウジング及びポールポット内に、軸方向で専ら、固定側軸受として形成される玉軸受により支承されている。好ましくは、前記駆動軸の直径が、5〜7mm、特に6mmであり、前記ウォームが、前記駆動軸上にローレット加工されており、かつ前記駆動軸の直径より大きな外径を有する。好ましくは、前記伝動装置が、ウォームホイールを有しており、該ウォームホイールが、プラスチックからなる支承ドーム又は支承ピンに支承されている。好ましくは、円環状に前記駆動軸周りに配置されるブラシ支持体に、軸方向でハンマーブラシが延在しており、該ハンマーブラシが、有利には、周方向に関してほぼ90°ずらされて配置されている。好ましくは、前記ポールポットが、材料の塑性変形部により前記伝動装置ハウジングに結合されており、特に該伝動装置ハウジングのスリーブ状の軸方向の延長部に被せ嵌められている。好ましくは、前記ロック部材が、ラップスプリングとして形成されており、該ラップスプリングが、特に半径方向で、前記ウォームホイールと前記伝動装置ハウジングとの間に配置されている。好ましくは、前記ラップスプリングが、該ラップスプリングの外径で前記伝動装置ハウジングの内壁に当接し、該ラップスプリングの端部で、特に直接、前記ウォームホイール及び前記被動部材に結合されている。駆動モータの出力密度は、上述のように、電動モータの永久界磁磁石が2つより多くの磁極を有していてもよいことによって増大可能である。有利には、偶数の磁極数、例えば2,4,6,8個の磁極数が使用される。磁極を4つに形成すると、出力密度の増大と、このモータサイズのための環状磁石の磁化可能性との間の最適な折り合いが達成される。
【0005】
環状磁石の壁厚さを0.5mm〜3mmに形成すると特に有利である。0.5mm〜1.5mm、例えばほぼ1.0mmの比較的小さな壁厚さにおいて、電動モータの特に有利な出力電流密度が達成可能である。駆動装置全体の重量削減のために、環状磁石の外径と環状磁石の壁厚さとの比がほぼ15:1〜40:1であると、特に有利である。
【0006】
有利には、このような環状の磁石の製造のために、高エネルギの磁石材料、有利には希土類元素が使用される。この材料は、特に安価に焼結又はプラスチック内で結合されて、環状の磁石に形成可能である。NdFeBは、特に有利な高エネルギ磁石材料である。
【0007】
環状磁石を、有利には深絞り加工により製造される円形のポールポット内に配置すると有利である。ポールポットの外径は、例えば25mm〜33mmであり、壁厚さは、帰磁路にとって十分な約1mm〜2mmである。有利には、ポールポットの壁厚さは、柱状の領域において約1.5mmである。
【0008】
電動モータの出力密度を高めるために、アーマチュアコアの薄片は、高価値の鉄材料、特に(市販の標準薄片と比較して)より薄い薄片から製造されている。その結果、薄壁の環状磁石と協働して、電動モータの効率は明らかに改善される。
【0009】
伝動装置・駆動装置ユニットの伝動装置がウォーム伝動装置として構成されると、駆動軸に配置されるウォームと、対応するウォームホイールとの間の噛合部は、特に低摩擦に構成可能である。加えて、ウォーム噛合部は、例えば4°〜8°の減じられた圧力角(Eingriffswinkel)を有しており、かつ噛合部の表面は、低い摩擦係数(摩擦係数=約0.025)を有して、特に効率最適化されて構成可能である。加えて、効率最適化された潤滑剤、例えばTopas L32が使用可能である。
【0010】
伝動装置・駆動装置ユニットの摩擦を最小化するために、駆動軸は、一方では、直接伝動装置ハウジング内に、有利には伝動装置ハウジングの軸方向の柱状の延長部内に配置されている玉軸受により支承されている。これに対して、ポールポット内では、有利にはポールポットの底面内で、駆動軸が滑り軸受により支承されている。滑り軸受は、有利には焼結青銅から形成されている。
【0011】
玉軸受は、駆動軸の作用するすべての軸方向力を受容可能である。その結果、ポールポット内の滑り軸受は、自由側軸受として形成されており、これにより、伝動装置・駆動装置ユニットの摩擦は、付加的に減じられる。
【0012】
ウォームは、製造技術的に特に有利に転造法(Rollverfahren)又はローレット法(Rollierverfahren)により直接駆動軸に材料の塑性変形により一体形成される。ウォームの外径は、駆動軸の、ウォームに隣接する領域における直径よりも明らかに大きい。この方法のために、特に、約5〜8mmの駆動軸の直径が適している。特に好ましくは、6mmの軸が使用される。ウォームの領域における駆動軸は、好ましくは薄片積層体の領域におけるアーマチュア軸と一体的に形成可能であるものの、択一的な態様では、例えば継手により結合されている別体の構成部分として形成されていてもよい。
【0013】
ウォームホイールの支承のために、伝動装置ハウジングの底面には、支承ドームが形成されている。支承ドームは、ウォームホイールのボスに係合する。支承ドームは、例えば伝動装置ハウジングの底と一体的にプラスチックから製造されている。択一的には、支承ピンが別の材料(例えば金属)から、伝動装置ハウジング内にウォームホイールを収容するために配置されていてもよい。
【0014】
電動モータの通電のために、カーボンブラシが有利にはハンマーブラシ(Hammerbuerste)として形成されている。ハンマーブラシのばね舌片は、軸方向で駆動軸に沿って延在している。特に有利なのは、周方向で90°ずらされて配置されている2つのカーボンブラシの配置である。ブラシ支持体は、環状に形成されており、伝動装置ハウジングの環状の延長部内に挿嵌されている。
【0015】
駆動軸に作用するすべての軸方向力が、伝動装置ハウジング内に配置されている玉軸受によって受容されるので、ポールポットと伝動装置ハウジングとの間のインターフェースに、大きな引張り力が作用することはない。それゆえ、ポールポットは、有利には形状結合(Formschluss:形状による束縛)、例えばかしめ又はその他の材料変形により高信頼性に互いに結合可能である。このために、ポールポットは、有利には伝動装置ハウジングの延長部の柱状の外壁に配置される。ポールポットと伝動装置ハウジングとの間には、例えばシールとしてOリングが配置されている。Oリングは、やはり伝動装置ハウジングの柱状の延長部に被せ嵌められる。
【0016】
セルフロック装置は、ロック部材として有利な態様ではラップスプリング(Schlingfeder)を備える。ラップスプリングは、ウォームホイールと連行子との間に挿嵌されている。ばねのブレーキドラムは、伝動装置ハウジング内にか、若しくはそのキャップ内に、又は別体の構成部材内に収容されている。
【0017】
特に省スペースに、ラップスプリングは半径方向で伝動装置ハウジングに当接しており、付加的な別個の構成部材の使用なしに、一方ではウォームホイールに係合し、他方では連行子あるいは被動部材に係合する。
【0018】
ロック部材を備えるセルフロック装置は、可動な部分の調節システム内に、例えば座席部材又は窓昇降機構の構成部材として組み込まれていてもよい。伝動装置は、直接駆動モータにかつ/又は調節システム内に配置可能である。駆動モータ及び/又は伝動装置の少なくとも一部は、常に効率最適化されて形成されている。有利には、駆動モータは、伝動装置の少なくとも一部とともに、統合されたコンパクトな構成ユニットとして形成されている。この構成ユニットは、調節したい部分あるいはその調節システムに対する所定のインターフェースを形成している。セルフロック装置は、好ましくは、分離可能(配送可能)な駆動モータ・伝動装置ユニット内に配置されているものの、調節したい部分又はその調節システム内に配置されていてもよい。いずれの場合でも、好適に、可動な部分から伝動装置・駆動装置ユニットに入力する負荷モーメントが、有効に遮断される。
【0019】
本発明の実施の形態を図面に示し、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る伝動装置・駆動装置ユニットの分解立体図である。
【図2】ポールポットの横断面図である。
【図3】セルフロック装置としてラップスプリングを備える別の実施の形態を示す図である。
【0021】
図1には、駆動モータ12と伝動装置14とを備える伝動装置・駆動装置ユニット10が示されている。駆動モータ12は、モータハウジング15としてポールポットあるいはポールハウジング16を備える。ポールポット16内には、界磁磁石として環状磁石18が配置されている。環状磁石18は、本実施の形態では高エネルギ永久磁石として形成されている。高エネルギ永久磁石は、希土類材料としてNdFnBを含む。環状磁石18内には、複数の薄片21を備える薄片積層体20が配置されている。薄片積層体20は、駆動軸22に固定されており、電気的な巻線24を備える。電気的な巻線24は、整流子26に接続されている。駆動軸22は、ポールポット16内に滑り軸受28により支承されている。滑り軸受28は、本実施の形態では焼結青銅ブシュ29として形成されている。滑り軸受28は、自由側軸受として形成されており、これにより、駆動軸22は、滑り軸受28内で軸方向23で摺動可能である。駆動軸22のほぼ中央の領域には、玉軸受32が配置されている。玉軸受32は、組立の完了後、固く伝動装置ハウジング36内に固定されている。玉軸受32は、内輪33で駆動軸22上に固定され、外輪34で伝動装置ハウジング36内に固定されている。これにより、玉軸受32は、固定側軸受として形成されており、軸方向で駆動軸22に作用するすべての力を受容する。駆動軸22の自由端30は、伝動装置ハウジング36の柱状あるいは円柱状の延長部38を通して、伝動装置ハウジング36内に突入する。駆動軸22は、伝動装置ハウジング36に当接部を形成しない。駆動軸22には、伝動装置ハウジング36の領域において、ウォーム40が配置されている。ウォーム40は、例えば材料の塑性変形により直接駆動軸22から、有利にはローレット加工により形成される。ウォーム40の外径42は、駆動軸22のその他の領域における駆動軸22の外径44より大きい。ウォーム40はウォームホイール46と噛み合う。ウォームホイール46は、ボス45で支承ドーム48あるいは支承ピン49に支承されている。支承ドーム48は、例えば伝動装置ハウジング36の底面50に一体的に形成されている。伝動装置ハウジング36は、円形の半径方向の壁52を備える。壁52は、ウォーム40に向かって貫通孔53を備える。ウォーム40は、ウォームホイール46とともにウォーム噛合部47を形成する。ウォーム噛合部47は、特に効率最適化されて形成されている。それゆえ、ウォーム噛合部47は、減じられた圧力角(4°〜8°)を有しており、かつ約0.025の減じられた摩擦係数を有している。
【0022】
さらに、伝動装置噛合部47には特別な潤滑剤が配置されている。潤滑剤は、ウォーム噛合部47の摩擦を明らかに減じる。また、ウォームホイール46は、特別な潤滑剤により支承ドーム48に支承されている。
【0023】
図1に係る実施の形態では、伝動装置・駆動装置ユニット10が、セルフロック装置60を有している。セルフロック装置60は、レリーズロック(Ausruecksperre)61としてウォームホイール46の支承ピン49に沿って可動に形成されている。このために、クラッチ部材62が、ウォームホイール軸線58に沿って備え、ウォームホイール46の対応する表面輪郭66に載着する。ウォームホイール46に対するクラッチ部材62の相対的な回転運動に基づいて、クラッチ部材62は、ウォームホイール軸線58に沿った運動を実施する。ばね弾性的な戻し部材68は、相応の反力をクラッチ部材62のレリーズに抗して印加する。クラッチ部材62は、相対回動不能に被動部材70に結合されている。被動部材70はトルクを、例えば自動車の調節したい部分に伝達する。被動部材70は、本実施の形態では、クランプリング73により支承ピン49に軸方向で固定されている。レリーズされた状態で、クラッチ部材62は、ウォームホイール46とともに駆動モータ12により自由回転可能である。しかし、負荷モーメントが被動部材70から伝動装置・駆動装置ユニット10に入力すると、クラッチ部材62は、ウォームホイール46及びこのウォームホイール46の表面輪郭66に対する相対運動に基づいて、ウォームホイール軸線58に沿って伝動装置ハウジング36に対してミートされる。これにより、形状結合部72がクラッチ部材62と伝動装置ハウジング36との間に形成される。この形状結合部72は、負荷モーメントの作用時にロックする。本実施の形態では、形状結合部72は、例えばクラッチ部材62の環状の歯列74として形成されている。歯列74は、伝動装置ハウジング36の、例えば円形の伝動装置壁52に設けられる対応する相手側形状部76に係合する。被動部材70は、外歯列を備える被動ピニオン71として形成されている。被動ピニオン71は、例えば窓昇降装置の昇降機構に作用結合されている。
【0024】
ポールポット16は、伝動装置ハウジング36に伝動装置ハウジング36の柱状の延長部38を介して結合されている。その際、ポールポット16の内面17は、半径方向で柱状の延長部38の外側の表面39に支持される。柱状の延長部38は、例えば、リングシール80、例えばOリングが当接する鍔78を備える。リングシール80は、ポールポット16により鍔78に圧着される。ポールポット16は、材料の塑性変形部94により形状結合式に柱状の延長部38に結合されている。例えば、ポールポット16は、ラム工具により柱状の延長部38の外側の表面39に対してかしめられる。柱状の延長部38の内部には、ブラシホルダ82が配置されている。ブラシホルダ82は、駆動軸22を環状に包囲する。ブラシホルダ82には、カーボンブラシ84が配置されている。カーボンブラシ84は、本実施の形態ではハンマーブラシ85として形成されている。ハンマーブラシ85は、駆動軸22に沿って延在するばねレバー83を備え、整流子26に当接する。ブラシホルダ82には、別の電子的な構成素子86、例えば雑音防止部材87(チョーク、コンデンサ、ダイオード)及び熱保護スイッチ88が配置されている。付加的に、電磁放射を遮蔽するための遮蔽金属薄板89(ファラデーケージ)がブラシホルダ82に配置されていてよい。また、磁気センサ90が配置されており、磁気センサ90は、駆動軸22の回転位置を検出するために、センサ磁石92の磁気的な送信信号を検出する。センサ磁石92は、例えば環状に駆動軸22に配置されている。玉軸受32は、ウォーム40の比較的近傍で駆動軸22に固定されており、組立の際には、柱状の延長部38内に導入した後、固定部材31により柱状の延長部38内に固定される。
【0025】
ブラシホルダ82から出たコネクタピン96は、伝動装置ハウジング36から導き出されており、例えば伝動装置ハウジング36の射出成形時に埋設されている。コネクタピン96を介して、電流及び/又はセンサ信号の伝達が保証される。伝動装置ハウジング36の外周には固定ドーム108が一体成形されている。固定ドーム108により、伝動装置・駆動装置ユニット10は、例えばボデー、特に車両のドアに螺設される。
【0026】
図2には、ポールポット16及び環状磁石18の外径100,101の大きさの関係及び壁厚さ102,103を規定するために、環状磁石18を備えるポールポット16の横断面図が示されている。環状磁石18とポールポットとの間には、結合手段として例えば接着剤105が配置されている。
【0027】
図3には、択一的な実施の形態が示されている。この択一的な実施の形態では、セルフロック装置60がロック部材としてラップスプリング55を有している。ラップスプリング55は、ウォームホイール46と伝動装置ハウジング36との間に配置されている。ラップスプリング55は、円形に、ウォームホイール46に対して同軸的に形成されており、伝動装置14のロックされた状態において、円形の伝動装置壁52の内面に圧着される。その際、ラップスプリングのばね端部56は、ウォームホイール46又は連行子70との形状結合を形成するために、半径方向内方に屈曲されていてよい。本実施の形態では、伝動装置ハウジング36内に、支承ピン49ではなく、貫通開口51が底面50に配置されている。ウォームホイール46は、直接、一体成形された支承ドーム48に支承されている。
【0028】
図面及び明細書に記載の実施の形態に関して、個々の特徴相互の多様な組み合わせ可能性が可能であることに言及しておく。例えばラップスプリング55は、その幾何学的な形状及びその材料特性に関して任意に変更可能であり、例えば、伝動装置ハウジング36の表面に対する摩擦に影響を及ぼす被覆を有していてよい。また、巻数及びばね端部56の配置及び構成は、適当に調整可能である。伝動装置14内での本発明における負荷トルクロック60の配置は、やはり変更可能である。最後の被動部材70とウォームホイール46との間での配置は、伝動装置噛合部47を過剰な負荷から保護するために、特に有利である。クラッチ部材62は、直接被動部材70として、又は被動部材70に作用結合した連行子部材として形成されていてよい。また、ラップスプリングの当接面の具体的な構成は、ラップスプリング54、ウォームホイール46及びクラッチ部材62の構成に基づいて多様に変更可能である。有利には、伝動装置・駆動装置ユニット10は、車両内の可動な部分、例えば窓、可動式ルーフ、払拭器、座席部分又は駆動部品を調節するために使用される。
【0029】
伝動装置14の少なくとも一部は、これによりセルフロック装置60も、調節したい部分あるいはその調節システムの構成部材として形成されていてよい。駆動モータ12と調節システムとの間のクライアント接続インターフェース(Kundenanschluss−Schnittstelle)は、セルフロック装置60が、調節したい部分の調節システム内に組み込まれているか、又はポールポット16に直接結合されている伝動装置ハウジング36内に配置されているように選択可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置・駆動装置ユニット(10)、特に自動車内の可動な部分を調節するための伝動装置・駆動装置ユニット(10)であって、駆動モータ(12)と、該駆動モータ(12)により駆動される伝動装置(14)とを備え、該伝動装置(14)が、被動部材(70)と、ロック部材(62,55)を備えるセルフロック装置(60)とを備え、該ロック部材(62,55)が前記伝動装置(12)を、前記被動部材(70)から前記伝動装置(12)に導入されるトルクのためにロックする形式のものにおいて、前記伝動装置(12)が、該伝動装置(12)の伝動装置噛合部(47)及びモータ軸支承部(32,28)でもって効率最適化されて最小の摩擦を備えて形成されており、かつ前記駆動モータ(12)が、界磁磁石として、帰磁路を形成するポールポット(16)内に配置されているスリーブ状の環状磁石(18)を備えることを特徴とする、伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項2】
前記環状磁石(18)が周方向で2つ又は複数の、有利には4つの磁極(19)を備える、請求項1記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項3】
前記環状磁石(18)が、0.5〜3mm、有利には0.5〜1.5mmの半径方向の壁厚さ(102)、及び/又は15:1〜40:1の前記壁厚さ(102)に対する外径(100)の比を有する、請求項1又は2記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項4】
前記環状磁石(18)が、高エネルギ磁石として形成されており、希土類元素を含み、特に焼結されたか、又はプラスチック内で結合されたNdFeBから形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項5】
前記ポールポット(16)が、約25〜33mmの円形の外径(101)を有する深絞り加工部品として形成されており、1〜2mmの半径方向の壁厚さ(103)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項6】
前記駆動モータ(12)が、電気的なワイヤ巻線(24)のための薄片積層体(20)を備えるロータを備え、薄片(21)が、1.0mmより小の軸方向(23)の材料厚さを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項7】
前記伝動装置(14)が、ウォーム伝動装置(14)として形成されており、該ウォーム伝動装置(14)のウォーム噛合部(47)が、減じられた圧力角、特に4°〜8°の減じられた圧力角、及びほぼ0.025の摩擦係数を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項8】
駆動軸(22)が、滑り軸受(28)、特に焼結青銅ブシュ(29)として製造されている滑り軸受(28)により、前記ポールポット(16)内に支承され、かつ玉軸受(32)により伝動装置ハウジング(36)内に支承されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項9】
前記駆動軸(22)が、前記伝動装置ハウジング(36)及びポールポット(16)内に、軸方向(23)で専ら、固定側軸受として形成される玉軸受(32)により支承されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項10】
前記駆動軸(22)の直径(44)が、5〜7mm、特に6mmであり、前記ウォーム(40)が、前記駆動軸(22)上にローレット加工されており、かつ前記駆動軸(22)の直径(44)より大きな外径(42)を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項11】
前記伝動装置(14)が、ウォームホイール(46)を有しており、該ウォームホイール(46)が、プラスチックからなる支承ドーム(48)又は支承ピン(49)に支承されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項12】
円環状に前記駆動軸(22)周りに配置されるブラシ支持体(82)に、軸方向(23)でハンマーブラシ(85)が延在しており、該ハンマーブラシ(85)が、有利には、周方向に関してほぼ90°ずらされて配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項13】
前記ポールポット(16)が、材料の塑性変形部(94)により前記伝動装置ハウジング(36)に結合されており、特に該伝動装置ハウジング(36)のスリーブ状の軸方向の延長部(38)に被せ嵌められている、請求項1から12までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項14】
前記ロック部材(62,55)が、ラップスプリング(55)として形成されており、該ラップスプリング(55)が、特に半径方向で、前記ウォームホイール(46)と前記伝動装置ハウジング(36)との間に配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。
【請求項15】
前記ラップスプリング(55)が、該ラップスプリング(55)の外径で前記伝動装置ハウジング(36)の内壁(52)に当接し、該ラップスプリング(55)の端部(56)で、特に直接、前記ウォームホイール(46)及び前記被動部材(70)に結合されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の伝動装置・駆動装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−526777(P2011−526777A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515359(P2011−515359)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057845
【国際公開番号】WO2010/000650
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】