説明

セルロースフィルム用改質剤、セルロース組成物、それを用いた光学用セルロースフィルム、偏光板保護膜、偏光板および液晶表示装置

【課題】熱揮散しにくくドープ安定性に優れ、かつ、セルロースフィルムの光学異方性を小さくすることができるセルロースフィルム用改質剤を提供する。これを用いた、光学異方性の小さいセルロースフィルムを提供する。光学異方性の小さいセルロースフィルムを用いて作製した偏光板保護膜、偏光板、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とするセルロースフィルム用改質剤。


(一般式(1)中、Rは水素原子、脂肪族もしくは芳香族アシル基を示す。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、脂肪族基または芳香族基を示し、R、RおよびRの少なくとも一つは、第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースフィルム用改質剤、セルロース組成物、それを用いた光学用セルロースフィルム、偏光板保護膜、偏光板および液晶表示装置に関する。詳しくは、熱揮散、析出することなく、光学異方性の小さいセルロースフィルム形成に用いられる改質剤、それを用いた光学用セルロースフィルムおよび、該セルロースフィルムを用いた偏光板保護膜、偏光板および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いこと、および、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として特に優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向から見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
【0003】
液晶表示装置のための部材のひとつである偏光板には、偏光子の少なくとも片側に、偏光子の保護フィルムが貼り合わされている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光子の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができるセルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。そして、この偏光子の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。
【0004】
一方で、セルロースアシレートフィルムは、一般的に他の支持体、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムに比べて高温、高湿下での透湿性が著しく上昇し、性能が悪化するため、可塑剤と呼ばれる化合物がしばしば添加される。セルロースアシレートに添加される主な可塑剤としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステルなどが知られている(例えば、特許文献1)。この他にもN−エチルトルエンスルホンアミドのようなスルホンアミド化合物も知られており、これらの可塑剤の含有量を増加すると透湿性が低下し、フィルム性能が改善されることが知られている。
【0005】
しかしながら、可塑剤を増量することによって、セルロースアシレートフィルムのガラス転移点がますます低下し、フィルムの軟化によって寸法安定性が悪化するという問題があった。また、可塑剤を単純に増量するだけでは、可塑剤がセルロースアシレートフィルムと相溶せずに、フィルムが白濁したり、フィルムの光学異方性(例えば、厚み方向のレターデーション値Rth)を大きくするなどの問題がある。また、低分子可塑剤は、低分子量のため熱揮散性が高く、製造時の乾燥工程で揮散するという問題があり、工程汚染の主要因として問題視されていた。
【0006】
セルロースアシレートフィルムを光学材料に用いる場合、使用用途によってはフィルムの光学異方性を小さくすることが好ましい。上述の可塑剤と呼ばれる化合物の中にはセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる効果を有するものが知られており、例えば特定の多価アルコールの脂肪酸エステルやアミド化合物が開示されている(例えば、特許文献3、4、5および6参照)。しかしながら、このような可塑剤は添加量を増量することにより相溶性が損なわれ、しばしばフィルムの白化故障を発生する。さらに、製造時の熱揮散による工程汚染が問題となっている。また、偏光板加工時に,可塑剤が鹸化液に溶出したりする問題もあった。
【0007】
例えば、前述の熱揮散性の課題に対し、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂およびトルエンスルホンアミド樹脂のような高分子化合物を用いることで揮散性を抑制し、透湿性の低いセルロースアシレートフィルムを得る技術が知られている(例えば、特許文献7)。しかしながら、高分子可塑剤であることから相溶性が十分ではなく、低分子可塑剤ほどの相溶性が得られない。
【0008】
そこで、セルロースアシレートとの相溶性が良好であり、流延乾燥時に揮散、析出することなく、けん化液への溶出がなく、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を小さくできる改質剤の開発が切望されている。
【0009】
その例として、クエン酸エステルが提案されているが(例えば特許文献8)、光学異方性の低下が不十分であること、ドープ安定性が不十分であることの問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開平9−95557号公報
【特許文献2】特開2004−315613号公報
【特許文献3】特開2001−247717号公報
【特許文献4】特開2000−63560号公報
【特許文献5】特開平11−246704号公報
【特許文献6】特開2006−30937号公報
【特許文献7】特開2002−146044号公報
【特許文献8】特開平11−092574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の目的は、熱揮散しにくくドープ安定性に優れ、かつ、セルロースフィルムの光学異方性を小さくすることができるセルロースフィルム用改質剤を提供することである。
本発明の第2の目的は、上記のセルロース用改質剤をセルロース化合物に含有させたセルロース組成物とそれを用いて作製した光学異方性の小さいセルロースフィルムを提供することである。
本発明の第3の目的は、光学異方性の小さいセルロースフィルムを用いて作製した偏光板保護膜、偏光板、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、下記手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とするセルロースフィルム用改質剤。
【0013】
【化1】

(一般式(1)中、Rは水素原子、脂肪族もしくは芳香族アシル基を示す。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、脂肪族基または芳香族基を示し、R、RおよびRの少なくとも一つは、第二炭素(第二級炭素原子をいう。)で結合する脂肪族基を示す。)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする(1)項に記載のセルロースフィルム用改質剤。
【0014】
【化2】

(一般式(2)中、R11は水素原子、脂肪族アシル基を示す。R12、R13およびR14はそれぞれ脂肪族基を示し、R12、R13、R14の少なくとも一つは第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)
(3)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする(1)項に記載のセルロース体フィルム用改質剤。
【0015】
【化3】

(一般式(3)中、R21は水素原子、脂肪族アシル基を示す。R22、R23およびR24はそれぞれ水素原子、又は分岐構造もしくは環状構造を有する脂肪族基を示し、R22、R23およびR24の少なくとも一つが第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)
(4)セルロース化合物と(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム用改質剤を少なくとも1種含有することを特徴とするセルロース組成物。
(5)セルロース化合物に対し(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセルロースフィルム用改質剤を少なくとも1種含有させたことを特徴とする光学セルロースフィルム。
(6)前記セルロースフィルムに含まれるセルロース化合物がセルロースアシレートであることを特徴とする(5)項に記載の光学セルロースフィルム。
(7)前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.60〜3.00である(6)項に記載の光学セルロースフィルム。
(8)前記セルロースアシレートにおいて、炭素原子数3〜22のアシル基で置換されている置換度が0.00〜0.80である(5)〜(7)のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルム。
(9)波長590nmにおけるRe値が0nm以上20nm以下、波長590nmにおけるRth値が−10nm以上15nm以下であることを特徴とする(5)〜(8)に記載の光学セルロースフィルム。
(10)波長480nmと630nmとのRth値が下記式(1)の関係であることを特徴とする(5)〜(8)に記載の光学セルロースフィルム。
式(1) |Rth(630)−Rth(480)|≦20
(11)前記セルロース化合物と、当該セルロース化合物の2〜30質量%の量の上記一般式(1)〜一般式(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種とを含む(5)〜(10)のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルム。
(12)(5)〜(10)のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルムを有する偏光板保護膜。
(13)偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が(12)に記載の偏光板保護膜であることを特徴とする偏光板。
(14)液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が(13)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
(15)(5)〜(10)のいずれか1項に記載のセルロースフィルムを有するハロゲン化銀写真感光材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明のセルロースフィルム用改質剤は、フィルムの流延乾燥時に熱揮散、析出することなく、けん化液への流出がなく、セルロース化合物に添加してセルロースフィルムの光学異方性を小さくすることができる。また、本発明のセルロースフィルムは、例えば、偏光板保護膜、偏光板、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料などに好ましく使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0018】
本発明のセルロース組成物とは、セルロース化合物、およびセルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物(セルロース体)を含む組成物である。セルロース化合物の中でもセルロースエステルが好ましく、セルロースアシレートがより好ましい。
【0019】
[セルロースフィルム用改質剤]
本発明では、上記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、セルロースフィルム用改質剤(ドープ安定剤、レターデーション制御剤)として使用する。
以下、本発明の前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)の化合物はコハク酸のエステルであり、Rは水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族アシル基または置換若しくは無置換の芳香族アシル基を表し、水素原子または脂肪族アシル基であることがより好ましい。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。芳香族アシル基は、芳香族炭化水素アシル基でも芳香族ヘテロ環アシル基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素アシル基である。芳香族炭化水素アシル基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。脂肪族アシル基および芳香族アシル基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
、RおよびRはそれぞれ水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基がより好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、分岐または環状であることがより好ましく、環状であることが特に好ましい。ただし、R、RおよびRのうちの、少なくとも一つが、好ましくは二つが、より好ましくは全てが第二炭素で結合する脂肪族基である。脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。芳香族基は、芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。脂肪族基および芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0020】
また、上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(2)中、R11は水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族アシル基を表し、好ましくは水素原子または無置換の脂肪族アシル基である。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。R12、R13およびR14はそれぞれ水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族基を表し、好ましくは脂肪族基である。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、分岐または環状であることがより好ましく、環状であることが特に好ましい。ただし、R12、R13およびR14のうちの少なくとも一つが、好ましく二つが、より好ましくは全てが第二炭素で結合する脂肪族基である。脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
【0021】
また、上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(3)で表される化合物であることがさらに好ましい。
上記一般式(3)中、R21は水素原子、または置換若しくは無置換の脂肪族アシル基を表す。脂肪族アシル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが最も好ましい。R22、R23およびR24はそれぞれ水素原子、または分岐構造若しくは環状構造を有する脂肪族基を示す。ただし、R22、R23およびR24のうちの少なくとも一つが、好ましくは二つが、より好ましくは全てが第二炭素で結合する脂肪族基である。第二炭素で結合する脂肪族基としては、1−エチルプロピル、1−エチルブチル、1−プロピルブチル、1−メチル−3−ブテニル、1,3−ジメチルブチル、1−メチルヘキシル、1−フェニルヘプチル、1−メチルプロピル、1−メチルノネニル、シクロヘキシル、
【0022】
【化4】

1,3−ジメチルブチルなどが挙げられる。
脂肪族基の炭素原子数は、5〜24であることが好ましく、5〜15であることがより好ましく、5〜12であることが最も好ましい。
【0023】
以下に前述の置換若しくは無置換の脂肪族アシル基について説明する。脂肪族アシル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。脂肪族アシル基の具体例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、トリメチルアセチル基、2−メチルブチリル基、ヘキサノイル基、2−エチルブリチル基、2,2−ジメチルブリチル基、t−ブチルアセチル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、ヘプタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、オクタノイル基、2−プロピルペンタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウリル基などが挙げられ、より好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基であり、さらに好ましくは、アセチル基である。
【0024】
以下に前述の置換若しくは無置換の芳香族アシル基について説明する。芳香族アシル基の具体例としては、例えば、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基などが挙げられ、好ましくは、ベンゾイル基である。
【0025】
以下に前述の置換若しくは無置換の脂肪族基について説明する。脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数5〜24のものが好ましく、5〜15のものがより好ましく、5〜12のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
【0026】
以下に前述の芳香族基について説明する。芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
【0027】
また、以下に前述の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
【0028】
アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
【0029】
アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、
【0030】
アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0031】
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(2)及び式(3)よりRthを算出することもできる。
【0032】
【数1】

【0033】
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d ―――式(3)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアセテート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0034】
前記の一般式(1)〜(3)で表される化合物のなかでは、特に化学式(4)で表される2級のアルコールのエステルが、エステル基の加水分解性が小さくなり好ましい。
【0035】
【化5】

一般式(2)中、R31、R32はそれぞれ脂肪族基を示し、その具体例は前記の一般(1)〜(3)において説明したものから適宜に選ぶことができる。R31及びR32は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0036】
一般式(1)ないし(4)で表される化合物の分子量は、350以上が好ましく、更に400以上が好ましい。分子量が多くなると、つまり一般式(1)におけるRの炭化水素基が増えることになり、疎水性が大きくなるとセルロースアシレートとの相溶性が悪くなることがある。その分子量は550以下が好ましく、更に500以下が好ましい。
【0037】
また、一般式(1)ないし(4)で表される化合物の添加量は、セルロース化合物に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが最も好ましい。
【0038】
一般式(1)ないし(4)で表される化合物の好ましい例を一般式(1)に基づいて下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。例えば下記式においてR2、R3、R4が同一である方が合成しやすいが、R2、R3、R4が表1の例の中でそれぞれが異なった組み合わせのものでもよい。
【0039】
【化6】

【0040】
[組成物]
本発明の組成物は、本発明の一般式(1)ないし(4)で表される化合物を少なくとも1種と、セルロース化合物、好ましくはセルロースアシレートとを含む組成物である。
また、本発明の別の実施形態は、この組成物からなるフィルムである。なお、本発明の組成物は、液体(例えば、セルロースアシレートを含む溶液)であっても、固体(例えば、セルロースアシレートを主原料とするフィルム)等様々な形態とすることができる。
【0041】
本発明に用いられるセルロース化合物の代表的な例としてセルロースアシレートに関して詳細に説明する。
【0042】
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料から得られるセルロースでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
【0043】
前記の特定のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基をアセチル基及び炭素原子数が3以上のアシル基で置換して得られたセルロースの混合脂肪酸エステルであって、セルロースのグルコース単位の水酸基への置換度が下記数式(4)及び数式(5)を満足するセルロースアシレートであることが好ましい。
数式(4):2.0≦A+B≦3.0
数式(5):0≦B
上記式中Aは、セルロースの水酸基に置換されているアセチル基の置換度を表し、Bはセルロースの水酸基に置換されている炭素原子数3以上のアシル基の置換度を表す。
【0044】
セルロースアセテート(Bが0の場合)では、置換度は2.5以上が好ましく、2.8以上がより好ましく、2.9以上が更に好ましい。
【0045】
[セルロースアシレートの重合度]
本発明におけるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度を700以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を180以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)は、1.0〜4.0であることが好ましく、更に2.0〜3.0であることが好ましい。
【0046】
また、本発明におけるセルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、7頁〜12頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載のものを好ましく採用できる。
【0047】
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレート溶液には、上記一般式(1)で表される化合物のほか、種々の添加剤(例えば、光学特性調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子等)を加えることができる。また、一般式(1)で表される化合物および他の添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
【0048】
これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。具体的には、特開2001−151901号公報に記載の方法を採用できる。
【0049】
[光学特性調整剤]
上記の高分子添加剤でフィルムのRthを小さくすることが出来るが、セルロースアシレートのRthは波長により変化し、長波長側と短波長側の値が大きく異なる場合があり、波長480nmと650nmとのRth値が下記式(6)の関係であることが好ましい。
式(6) |Rth(630)−Rth(480)|≦20
上記の関係を満足させるために、光学特性の波長分散を変化させる化合物を合わせて使用することが好ましい。
【0050】
波長分散を変化させる化合物としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、シアノアクリレート、トリアジン骨格を主体とする化合物が好ましく、各種置換基で置換されても良い。以下に好ましい例を示すが、これらに限定されない。下記構造式中、Rは有機置換基、R’はH、OHあるいは有機置換基を示す。有機置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、アリル基などが挙げられる。これらの化合物は200〜400nmの紫外領域に吸収極大があることが好ましく、無色のためには可視領域には吸収が無いことが好ましい。
【0051】
【化7】

【0052】
【化8】

【0053】
【化9】

【0054】
【化10】

【0055】
化合物3の例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6,テトラヒドロフタルアミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシとC7−9の側鎖及び直鎖アルキルエステル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
化合物4の例としては、2−ヒドロキシ−4−n−ヘクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメチトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチトキシベンゾフェノン、などが挙げられる。
化合物5の例としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、(2−エチルヘキシル)−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、デシル−2−シアノ−3−(5−メトキシ−フェニル)アクリレートなどが挙げられる。
化合物6の例としては、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
その他の化合物としては、フェニルサリシレート、トリルサリシレートなどのサリチル酸エステル、(2,4−ジ−t−ブチル)フェニル−(4−ヒドロキシ、3,5−ジ−t−ブチル)ベンゾエートなどのエステルなどの挙げられる。
ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系がより好ましい。
光学特性の波長分散を変化させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート100質量部に対して0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%含むことによって光学フィルムのRthの波長分散を調整することができる。可視部の着色や|Rth(630)−Rth(480)|の値の観点から、添加量は上記範囲が好ましい。
【0056】
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
前述の光学特性調整剤は紫外線領域の吸収があることから紫外線吸収剤を兼ねることも出来る。
【0057】
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。特に好ましい紫外線吸収剤は、上述のベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不用な着色が少ないことから、好ましい。
【0058】
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
【0059】
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%以上であれば添加効果が十分に発揮されうるので好ましく、添加量が5質量%以下であればフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
【0060】
また紫外線吸収剤は、セルロースアシレート溶解時に同時に添加してもよいし、溶解後のドープに添加してもよい。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
【0061】
[劣化防止剤]
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
【0062】
[可塑剤]
可塑剤としては、リン酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
【0063】
[剥離促進剤]
金属バンドやドラムを使用する場合、剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
[赤外吸収剤]
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
【0064】
[染料]
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
【0065】
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えてもよい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、ケイ素を含むものが濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0066】
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。1次/2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとした。
【0067】
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0068】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0069】
本発明において2次平均粒子サイズの小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化ケイ素微粒子の分散性がよく、二酸化ケイ素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%がさらに好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1mあたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
【0070】
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0071】
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
本発明のセルロースアシレートフィルムはソルベントキャスト法により製造することが好ましい。Re、Rthのばらつきを低減する観点から、セルロースアシレート溶液の濃度は16質量%乃至30質量%が好ましく、18質量%乃至26質量%であることが望ましい。用いられる有機溶媒は特に限定されないが、塩素系溶剤、アルコール類、ケトン類、エステル類を混合したものが好ましく用いられる。塩素系溶剤としては、メチレンジクロライド、クロロホルムが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エステル類としては酢酸メチル、ケトン類としては、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが特に好ましく用いられる。
【0072】
セルロースアシレート溶液を調製するために、室温下でタンク中の溶剤を撹拌しながら上記セルロースアシレートを添加することで膨潤をまず行う。膨潤時間は10分以上であると不溶解物が残存しないため好ましい。また、溶剤の温度は0から40℃が好ましい。膨潤速度が低下せず、不溶解物が残存しないため0℃以上が好ましく、膨潤が急激に起こらず、中心部分が十分膨潤するため40℃以下好ましい。セルロースアシレートの溶解法は、冷却溶解法、高温溶解法のいずれか、あるいは両方を用いても良い。冷却溶解法、高温溶解法に関する具体的な方法は、発明協会公開技法2001−1745等に記載されている公知の方法を用いることができる。上記で得られたセルロースアシレート溶液は場合により、より低い濃度で溶解した後に濃縮手段を用いて最適な濃度に濃縮する方法で調製することも好ましく行うことができる。
本発明で好ましい溶解方法の一例は加圧高温溶解である。特開平5−163301に記されているように、セルロースアシレートを溶剤中に投入し、常圧10〜35℃で20〜180分間撹拌した後、この溶液をギアポンプで熱交換器に送り60℃以上に加熱加圧し完全溶液化し、更に冷却熱交換機で室温まで冷却する方法である。加熱温度は60から120℃が好ましく、70から100℃が更に好ましい。その際溶解温度における溶剤の蒸気圧分の圧力がかかる。加熱時間は1分以上が必要であり、5分〜6時間加熱することが好ましく、10分〜3時間加熱することがさらに好ましい。溶液中のセルロースアシレートの濃度は15から24質量%が好ましく、16から22質量%が更に好ましい。濃度を高くすると溶解が難しくなり、濃度が低いと粘度が低くて流延が難しくなったり、濃縮に負担がかかったりして好ましくない。
【0073】
本発明のセルロースアシレートフィルムを製膜する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解タンクから調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)をストックタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体(バンドやドラム)の上に均一に流延させ、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップやピンテンターで幅保持しながらテンターで搬送しながら、必要に応じて巾方向の拡張、収縮を行いつつ、乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせ、それぞれの温度およびそれぞれ時点の残留溶剤量はその目的により変化させることが出来る。
【0074】
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、30乃至250℃で行うことが好ましく、40乃至180℃がさらに好ましく、40乃至140℃で行うことが最も好ましい。乾燥はいくつかの分割したゾーン毎に温度を変化させて行うことが好ましい。
【0075】
本発明の出来上がり(乾燥後)のセルロースアシレートフィルムの厚さは、30〜100μmの範囲であることが好ましく、更に40〜80μmの範囲が好ましい。フィルムの所望の厚さにするためには、ドープの固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し流量、圧力、金属支持体速度等の制御により調節することが出来る。
【0076】
以上のようにして得られた、セルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
【0077】
〔セルロースアシレートフィルムの光学特性〕
本発明において、光学異方性とは、前述のフィルムの面内および厚み方向のレターデーションによって表現されるパラメータであり、「光学異方性が小さい」とは、すなわち、「レターデーション値が小さい」ことを意味する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは波長590nmにおけるRe値が0nm以上20nm以下、波長590nmにおけるRth値が−10nm以上15nm以下と光学異方性が小さく、波長480nmと630nmとのRth値の差|Rth(630)−Rth(480)|が20nm以下と波長分散が小さい。
【0078】
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特にIPS方式の液晶表示装置に使用することが好ましく、斜めから見たときの、光源側の偏光板を通過した偏光の方向と前方の偏光板の吸収軸の方向がずれることによる光漏れ、視野角色味変化を小さくすることが出来る。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
前記光学補償フィルムの光学異方性層は液晶性化合物やポリマーフィルムから形成される。液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
【0079】
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
【0080】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
【0081】
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0082】
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
【0083】
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を本発明のセルロースアシレートフィルムを基材として塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明のセルロースアシレートフィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
[機能層]
【0084】
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護膜をこの部分に用いることが得に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、また、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、帯電防止フィルムに好ましく用いることができる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層、導電性層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、54頁〜57頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
【0085】
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは特に偏光板保護膜用として有用である。偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の表示モードが挙げられる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても用いることができる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
【0086】
[写真フィルム支持体]
さらに、本発明のセルロースフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用できる。具体的には、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載に従って、本発明のセルロースフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法に従って、作製することができる。
【0087】
(透明基板)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持たせることもできることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO等を蒸着したり、塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法を適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報に記載の方法を用いることができる。
【実施例】
【0088】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0089】
<合成例1>
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark管、冷却管、滴下ロートをつけた1000mlの三ツ口フラスコに96gのクエン酸、158.4gの3−ペンタノール、トルエン500mlを量り取り、室温で攪拌することで混合溶液を調整した。混合溶液に5mlの濃硫酸をゆっくりと滴下した後、混合溶液を加熱して還流させ、水が留出しなくなるまで反応させた。残液に炭酸カルシウム25gを加え、アスピレーターを用いて反応系をそのまま濃縮し、油状生成物を得た。得られた油状生成物を酢酸エチル1000mlへ溶解させ、逐次水1000ml、飽和重曹水1000mlで2回ずつ分液・洗浄を行い、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別した後、エバポレーターにより濃縮し、さらに室温で真空乾燥することで目的の化合物A−1を180.9g得た(収率93%)。化合物がA−1であることはH−NMRの測定により同定できた。
【0090】
3−ペンタノールの代わりにそれぞれのアルコールに変えることにより、同様の操作を行い、化合物A−2、4、6および比較例化合物C−1を合成し、同定した。
【0091】
<合成例2>
A−12の合成
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark管、冷却管、滴下ロートをつけた300mlの三ツ口フラスコに44.4gの合成例1で得られたA−6、トルエン150ml、濃硫酸0.1mlを量り取り、室温で攪拌することで混合溶液を調整した。水冷下、混合溶液に20.4gの無水酢酸を反応温度が100℃を超えないように注意しながらゆっくりと滴下した後、混合溶液を100℃で2時間反応させた。残液に炭酸カルシウム10gを加え、アスピレーターを用いて反応系をそのまま濃縮し、油状生成物を得た。得られた油状生成物を酢酸エチル300mlへ溶解させ、逐次水300ml、1N塩酸水300ml、飽和重曹水300mlで2回ずつ分液・洗浄を行い、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別した後、エバポレーターにより濃縮し、さらに室温で真空乾燥することで目的の化合物A−13を45.0g得た(収率98%)。化合物がA−12であることはH−NMRの測定により同定できた。
【0092】
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
アセチル置換時の触媒量、反応濃度、反応温度、反応時間等の条件を変化させることで表1に示すようなアセチル置換度、分子量を変化させ作製したセルロースアセテートを用い、下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0093】
(セルロースアセテート溶液組成)
セルロースアセテート 100.0質量部
(置換度=2.92,GPCによる重量平均分子量=250,000)
メチレンクロライド(第1溶媒) 348.0質量部
メタノール(第2溶媒) 52.0質量部
【0094】
光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤などについては下記表1に示すものを表1に示す添加量になるように調整し、ミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解したものを上記セルロースアセテート溶液に混合し、それをさらに固形分濃度が20質量%になるように調整したものをドープとした。
【0095】
[添加剤の加熱溶解時の安定性]
加圧容器に表1の組成のドープを投入し、密閉し、95℃で1時間加熱放置し、冷却後ドープをガスクロマトグラフィーを用いて、添加剤の分解の有無を評価した。
安定性(%)=加熱後の添加物量/未処理のドープ中の添加物量×100
【0096】
[セルロースアセテートドープを用いた透明フィルムの作製]
上記セルロースアセテートドープを濾過後、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、テンター延伸、135℃で残留溶剤量が0.2質量%以下になるように乾燥させ、冷却、巻き取り、本発明の透明フィルム試料1〜8および比較試料9,10を作製した。
【0097】
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
なお、フィルムからの揮散量は、150℃10時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出することができる。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
【0098】
[フィルムの光学特性の測定]
波長λにおけるRe(λ)、Rth(λ)は、測定環境で一時間放置したのち、KOBRA 21WR(王子計測機器(株)製)を用いて測定を行った。
【0099】
<セルロースアセテートフィルムの評価>
得られたセルロースアセテートフィルムについて、透湿度、揮散量、Rthの評価を行った。本実施例において、これらの試験は前述の[フィルムの透湿度]、[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]および[セルロースアシレートフィルムの光学特性]に記載の方法に従って行った。
【0100】
【表1】

【0101】
【化11】

【0102】
表1中の比較化合物TPP、BDP、C−1およびC−2のそれぞれの構造について下記に示す。
【0103】
【化12】

【0104】
表1より、本発明の化合物A−1、2、3、5を添加することにより、汎用に使用されているTPP/BDPや、本発明の改質剤と類似する(但し、本発明の規定の範囲外である)骨格を有するC−1及びC−2よりも、ドープ安定性や揮散性が著しく小さく、さらに光学異方性(Rth)が小さいセルロースアセテートフィルムが作製できることがわかった。
【0105】
[実施例2]
試料5、7、9を保護膜として用いて偏光板、液晶表示装置を作製した(図1)。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜:H1、偏光子:P1、保護膜:A1)、液晶セル(位相差フィルムA:L1、液晶層:L2、位相差フィルムB:L3)、下偏光板(保護膜:A2、偏光子:P2、保護膜:H2)を積層し、さらにバックライト光源(図示しない)を配置した。
【0106】
<保護フィルム H1、2>
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を保護フィルムH1、2とした。
<偏光フィルム>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させた偏光フィルムを製作し、採用した。
【0107】
(偏光板の作製)
前記の透明フィルム試料5、7、9を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリケン化した透明フィルム試料と保護フィルムとで偏光膜を間にして貼り合わせ、偏光板を作製した。発明のセルロースアシレートフィルムにより得られた偏光板の光学特性は優れたものであった。また、経時での耐久性も特に問題なかった。
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769および誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマティック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
【0108】
(液晶表示装置)
作製した偏光板を、IPSモード液晶セルの両側に本発明のフィルムが液晶セル側に配置されるように粘着剤で積層した。視認側の偏光板は電圧無印加時に液晶セル内の液晶組成物の異常光屈折率方向と偏光板の吸収軸が直交するように積層した。またバックライト側の偏光板の吸収軸は視認側の偏光板の吸収軸と直行するように配置した。
【0109】
(評価)
このIPSパネルの黒表示の斜め45°方向での漏れ光と、色味の変化を観察した。保護膜A1に、試料5や7を用いた表示装置は、試料9や通常のフジタックTD80UF偏光板を用いた表示装置に比較して漏れ光が小さいこと、斜めから見たときの色味の変化が小さいことが一目で確認できた。これは保護フィルムのReとRth値が小さいことによる効果である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の液晶表示装置の好ましい実施形態を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0111】
H1、H2 保護膜
P1、P2 偏光子
A1、A2 保護膜
L1 位相差フィルムA
L2 液晶層
L3 位相差フィルムB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とするセルロースフィルム用改質剤。
【化1】

(一般式(1)中、Rは水素原子、脂肪族もしくは芳香族アシル基を示す。R、RおよびRはそれぞれ水素原子、脂肪族基または芳香族基を示し、R、RおよびRの少なくとも一つは、第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1項に記載のセルロースフィルム用改質剤。
【化2】

(一般式(2)中、R11は水素原子、脂肪族アシル基を示す。R12、R13およびR14はそれぞれ脂肪族基を示し、R12、R13、R14の少なくとも一つは第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1項に記載のセルロース体フィルム用改質剤。
【化3】

(一般式(3)中、R21は水素原子、脂肪族アシル基を示す。R22、R23およびR24はそれぞれ水素原子、又は分岐構造もしくは環状構造を有する脂肪族基を示し、R22、R23およびR24の少なくとも一つが第二炭素で結合する脂肪族基を示す。)
【請求項4】
セルロース化合物と請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースフィルム用改質剤を少なくとも1種含有することを特徴とするセルロース組成物。
【請求項5】
セルロース化合物に対し請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースフィルム用改質剤を少なくとも1種含有させたことを特徴とする光学セルロースフィルム。
【請求項6】
前記セルロースフィルムに含まれるセルロース化合物がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項5項に記載の光学セルロースフィルム。
【請求項7】
前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.60〜3.00である請求項6項に記載の光学セルロースフィルム。
【請求項8】
前記セルロースアシレートにおいて、炭素原子数3〜22のアシル基で置換されている置換度が0.00〜0.80である請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルム。
【請求項9】
波長590nmにおけるRe値が0nm以上20nm以下、波長590nmにおけるRth値が−10nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項5〜8に記載の光学セルロースフィルム。
【請求項10】
波長480nmと630nmとのRth値が下記式(1)の関係であることを特徴とする請求項5〜8に記載の光学セルロースフィルム。
式(1) |Rth(630)−Rth(480)|≦20
【請求項11】
前記セルロース化合物と、当該セルロース化合物の2〜30質量%の量の上記一般式(1)〜一般式(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種とを含む請求項5〜10のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルム。
【請求項12】
請求項5〜10のいずれか1項に記載の光学セルロースフィルムを有する偏光板保護膜。
【請求項13】
偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が請求項12に記載の偏光板保護膜であることを特徴とする偏光板。
【請求項14】
液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が請求項13に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−29887(P2009−29887A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193896(P2007−193896)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】