説明

センサ・カメラ連動型侵入検知装置

所定の設定エリア内に不法に侵入した物体Qを誤作動少なく確実に検知できるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置を提供する。検知エリアA0〜Anからの検知線の受信量変化により物体Qを検知するセンサ部1と、カメラ2で撮影した特定エリアAC1からの映像信号MSの変化により物体Qを検知する画像処理部4と、カメラ2に接続されたモニタ画面6上で前記特定エリアAC1を設定するエリア設定部3と、前記センサ部1からの検知信号PDと画像処理部4からの検知信号MD1の両方を受けて物体検出信号DE1を発生する検出信号発生部5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサとカメラとを用いて不法に侵入した物体を検知するセンサ・カメラ連動型侵入検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセンサ・カメラ連動型侵入検知装置は、監視カメラと侵入検知センサとを備え、この検知センサが侵入した物体を検知したとき、その検知方向に前記カメラを向けて侵入物体を撮影する(特開2003−44965号公報)。
【発明の開示】
【0003】
しかし、以上のセンサ・カメラ連動型侵入検知装置では、所定の検知エリア内に侵入した物体を確実に検知できない場合がある。つまり、前記検知センサは広い領域を検知し、例えば検知エリア外の自動車のライトなどでも反応するため、検知エリア外の映像を撮影するなどの誤作動が多くなる。前記検知センサによる検知領域を所定のエリアに設定すれば、誤作動は少なくなるが、検知センサの検知線は、目では確認できず、検知エリアの正確な設定に長時間を要する。
【0004】
そこで、本発明は、所定の設定エリア内に不法に侵入した物体を確実に検知できるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置を提供することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するため、本発明にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置は、検知エリアからの検知線の受信量変化により物体を検知するセンサ部と、カメラで撮影したエリアのうち、前記検知エリアと重複する部分を有する特定エリアからの映像信号の変化により物体を検知する画像処理部と、カメラに接続されたモニタ画面上で前記特定エリアを設定するエリア設定部と、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの検知信号に基づいて物体検出信号を発生する検出信号発生部とを備えている。
【0006】
この構成では、前記エリア設定部で設定されたエリア内に物体が侵入したとき、前記カメラで撮影されて画像処理部に送られる特定エリアの映像信号が変化し、前記センサ部による検知線の受信量も変化して、これらセンサ部と画像処理部の両方からそれぞれ検知信号が出力される。これら両検知信号に基づき前記検出信号発生部から物体検出信号が出力されて、侵入物体を検知する。ここで、検知領域となる第1の特定エリアはモニタ画面上で設定されるから、画面を見ながら検知したいエリアを正確に設定できるので、この侵入物体の検知が誤作動少なく確実になされる。
【0007】
本発明の好ましい実施形態では、前記特定エリアは第1および第2の特定エリアを含み、前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方または画像処理部からの第2の特定エリアにおける検知信号を受けて物体検出信号を発生する。
【0008】
この構成では、前記エリア設定部で2つの第1および第2の特定エリアが設定され、(1)第1の特定エリアにおいて映像変化により物体を検知し、かつ、前記センサ部からの検知線の受信量変化により物体を検知したときに、このセンサ部からの検知信号と前記画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方に基づき、前記検出信号発生部から物体検出信号が出力されるか、または、(2)前記画像処理部からの第2の特定エリアにおける検知信号によって前記検出信号発生部から物体検出信号が出力される。このため、前記第1および第2の特定エリア内における侵入物体の検知を広域にわたって確実に行える。第1の特定エリアを特に正確な検知が要求される領域としておけば、この領域では第1と第2の両方の検出信号を受けて初めて物体検出信号が出力されるので、正確な侵入者検知がなされる。また、検知領域となる第1および第2の特定エリアはモニタ画面上で設定されるから、画面を見ながら検知したいエリアを正確に設定できるので、この侵入物体の検知が誤作動少なく確実になされる。
【0009】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方を受けて第1の物体検出信号を発生し、画像処理部からの第2の特定エリアにおける検出信号を受けて第2の物体検出信号を発生する。
【0010】
この構成では、前記エリア設定部で2つの第1および第2の特定エリアが設定され、この第1の特定エリアにおける映像変化により物体を検知し、かつ、前記センサ部からの検知線の受信量変化により物体を検知したときに、このセンサ部からの検知信号と前記画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方に基づき前記検出信号発生部から第1の物体検出信号が出力される。また、第2の特定エリアにおける映像変化により物体を検知したとき、前記検出信号発生部から第2の物体検出信号が出力される。このため、第1および第2の特定エリア内における侵入物体の検知を別々に広域にわたって行え、各特定エリアでの検知により段階警備が可能となる。しかも、検知領域となる第1および特定エリアはモニタ画面上で設定されるから、画面を見ながら検知したいエリアを正確に設定できるので、この侵入物体の検知が誤作動少なく確実になされる。
【0011】
本発明の実施形態では、さらに、前記カメラの撮影エリアの輝度が所定輝度以下となったとき、前記画像処理部を不作動にして前記センサ部からの検知信号のみにより検出信号発生部から第1の物体検出信号を発生させる夜間調整部を備えている。この構成によれば、周囲が暗くなって、前記カメラの撮影エリアの輝度が所定輝度以下となったときには、前記センサ部の検知信号のみに基づき前記検出信号発生部から出力される第1の物体検出信号によって、侵入物体の検知が確実に行える。
【0012】
本発明の実施形態では、前記検出線が赤外線であり、さらに、前記検知エリアの温度が所定温度以上となったとき、前記センサ部を不作動にして前記画像処理部からの検出信号のみにより検出信号発生部から第1の物体検出信号を発生させる温度調整部を備えている。この構成によれば、夏期などに周囲の温度が高くなって侵入物体の赤外線による正確な検知ができなくなったときにも、前記画像処理部の検知信号のみに基づき前記検出信号発生部から出力される第1の物体検出信号によって、侵入物体の検知が確実に行える。
【0013】
本発明の他の実施形態では、前記特定エリアは第1および第2の特定エリアを含み、前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方を受けたとき、および前記センサ部からの検知信号を受け画像処理部からの第2の特定エリアにおける検知信号を受けなかったときに物体検出信号を発生する。この構成によれば、例えば、監視したい敷地が道路に面している場合、第2の特定エリアを外側の道路に設定しておくことで、第1の特定エリア内の進入物体のみを検知し、第2の特定エリア内の車や人の往来を検知しない、安定したセンサ・カメラ連動型侵入検知装置が得られる。
【0014】
本発明の実施形態では、前記センサ部が、検知エリアからの遠赤外線を検知する受動型赤外線検知器を有している。この構成によれば、前記センサ部による物体の検知が簡単な構成で確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一部分を示す。
【図1】本発明の第1実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の設置状態を模式的に示す斜視図である。
【図2】同装置の回路を示すブロック図。
【図3】同装置に用いるモニタ画面の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図である。
【図5】同装置に用いるモニタ画面の正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図である。
【図8】本発明の第5の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図である。
【図9】本発明の第6実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の視野を示す平面図である。
【図10】同装置の回路を示すブロック図。
【図11】同装置に用いるモニタ画面の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の設置状態の光学的構成を模式的に示す斜視図である。この装置は、例えば一般住宅や工場のような建物の壁や柱Pなどに取り付けられて、建物の屋外に設定する所定の検知領域内に不法に侵入する人体や動物などの物体Qを検知するものであって、建物の屋外に複数の検知エリアA0〜Anを設定し、この検知エリアA0〜Anを移動するときに侵入物体Qからの検知線の受信量が変化することにより物体Qを検知するセンサ部1と、物体Qを撮影するCCDカメラ2とを備えている。
【0017】
前記センサ部1としては、例えば受動型赤外線(PIR)方式が採用され、ケース10の中に、前記検知エリアA0〜An内の侵入物体Qが発する検知線である遠赤外線を検知する焦電素子からなる受動型赤外線検知器11と、その前方に配置されて前記検知エリアA0〜Anを設定するフレネルレンズ12と、信号発生回路13などを収納している。このセンサ部1は、前記検知エリアA0〜An内に侵入した物体Qが発する遠赤外線を前記フレネルレンズ12により集光して受動型赤外線検知器11に入射し、この集光量、つまり受信量が一定以上変化したとき、前記信号発生回路13から侵入物体Qの検知信号を出力する。このように、受動型赤外線検知器11を採用することによって、侵入物体Qの検知が簡単な構成で確実に行える。
【0018】
図2は前記センサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図である。この装置は、前記センサ部1およびCCDカメラ2に加えて、後述するように、カメラ2に接続されたモニタ画面6と、モニタ画面6上で第1の特定エリアAC1を設定するエリア設定部3と、このエリア設定部3を手動操作するためのキーまたはマウスのような操作部30と、前記第1の特定エリアAC1内での映像信号MSの変化により物体Qを検知する画像処理部4と、前記センサ部1からの検知信号PDと画像処理部4からの検知信号MD1の両方を受けて第1の物体検出信号DE1を出力する検出信号発生部5とを備えている。この実施形態では、前記検出信号発生部5として、不要に物体検出信号を出力したりすることなく、不法侵入物体の確実な検知を行うために、前記画像出力部4に接続される第1の遅延回路51と、前記センサ部1に接続される第2の遅延回路52と、これら両回路51,52からそれぞれ出力信号が出力されたときに前記第1の物体検出信号DE1を出力するアンド回路53とを設けている。センサ部1およびカメラ2は警戒現場に設置されるのに対し、エリア設定部3、画像処理部4、検出信号発生部5および操作部30は、例えば、警戒現場から離れた警備室内に配置される。
【0019】
図3は前記PCのモニタ画面6を示している。このモニタ画面6上において、前記操作部30の操作でカメラ2による映像の座標軸を指定することにより、つまり、モニタ画面6上の4点61〜64を指定することにより、エリア設定部3からエリアの輪郭線を設定する設定信号AS1が画像処理部4に出力され、画像処理部4内に第1の特定エリアAC1が設定されるとともに、このエリアAC1がモニタ画面6に表示される。画像処理部4はこの第1の特定エリアAC1内における映像信号の変化を検知する。
【0020】
ここで、図1に示すように、センサ部1による検知エリアA0〜An、つまりセンサ部1の視野V1は、正確な設定が面倒であることから、おおまかに設定されており、カメラ2の視野V2はこれよりも幅が狭く奥行きが深く設定されている。前記第1の特定エリアAC1は、カメラ2の視野V2内の一部分であり、この第1の特定エリアAC1の中に、センサ部1の全検知エリアA0〜Anの一部分であるエリアA1〜A4が含まれる。つまり、前記特定エリアAC1と全検知エリアA0〜Anは重複部分を持つ。この第1特定エリアAC1内に含まれるA1〜A4の検知エリア内に物体Qが侵入したときに、図2の検出信号発生部5から第1の物体検出信号DE1が出力(発報)される。
【0021】
以上の第1の実施形態によれば、図1のセンサ部1による全検知エリアA0〜Anの中で、前記カメラ2の映像領域におけるエリア設定部3で設定された第1特定エリアAC1内の所定の検知エリアA1〜A4に物体Qが侵入したとき、前記検出信号発生部5から侵入物体Qの検知を示す第1の物体検出信号DE1が出力される。つまり、図2のように、侵入物体Qにより、前記センサ部1から矩形波信号からなる検知信号PDが出力され、また、第1の特定エリアAC1内での映像信号MSの変化により、画像処理部4から検知信号MD1が出力される。画像処理部4は、例えば、映像信号MSに含まれた輝度信号が一定時間内に一定幅以上変化したときに検知信号MD1を出力する、一般的な画像処理技術を利用している。前記センサ部1と画像処理部4からの検知信号PD,MD1は、それぞれ前記検出信号発生部5の第1および第2遅延回路51,52により遅延されることで、エラー信号による誤作動が抑制されたのち、アンド回路53に送られ、このアンド回路53のオン動作により第1の物体検出信号DE1が出力されて、侵入物体Qを検知する。この信号DE1に基づいて警備室での報知、警戒現場での音声および/または光の発生などの動作が行われる。
【0022】
このように、前記カメラ2による映像領域を前記エリア設定部3により第1の特定エリアAC1に設定し、この特定エリアAC1内におけるセンサ部1およびカメラ2の両方による侵入物体Qの検知により、物体検出信号を出力するから、誤作動が少なくなって、侵入物体Qの正確な検知が可能となる。ここで、検知領域となる第1の特定エリアAC1はモニタ画面6上で設定されるから、警戒現場にセンサ部1とカメラ2を設置しておけば、その後に警戒現場まで出向く必要はなく、警部室内でモリタ画面6を見ながら検知したいエリアを正確に設定できる。したがって、侵入物体の検知が誤作動少なく確実になされるうえに、警戒エリア設定の操作が容易になる。
【0023】
図4は本発明の第2の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示すブロック図であり、図5はこれに使用されるモニタ画面6を示している。この装置は、第1の実施形態に対し、図5のように、前記エリア設定部3からの第1および第2の設定信号AS1,AS2により、カメラ2による映像領域を第1の特定エリアAC1と、これの外側に当たる第2の特定エリアAC2とを設定し、これら特定エリアAC1,AC2において、図4に示すカメラ2からの映像信号MSが変化したとき画像処理部4からそれぞれ第1および第2の検知信号MD1,MD2を検出信号発生部5に出力するようにした点が異なる。例えば、第1の特定エリアAC1は、侵入者の正確な検知が必要とされる建物の出入り口の外側近傍であり、第2の特定エリアAC2は出入り口から若干離れた領域も含むエリアである。検出信号発生部5としては、前記第2の検知信号MD2が入力される第3の遅延回路54を追加し、この第3の遅延回路54の出力信号と前記アンド回路53の出力信号が入力されるオア回路55を追加して設けている。
【0024】
この第2の実施形態によれば、前記エリア設定部3からの設定信号AS1,AS2により、画像処理部4に第1および第2の特定エリアAC1,AC2が設定される。画像処理部4において、これら特定エリアAC1,AC2内で映像信号MSの変化を検知したとき、画像処理部4からそれぞれ第1および第2の検知信号MD1,MD2が出力される。第1検知信号MD1は遅延回路51に、第2検知信号MD2は遅延回路54に、それぞれ入力される。また、前記第1遅延回路51からの第1検知信号MD1と前記センサ部1からの検知信号PDは、第1の実施形態の場合と同様に、前記検出信号発生部5のアンド回路53に入力される。さらに、このアンド回路53からの出力信号と前記第3遅延回路54からの出力信号とが前記オア回路55に入力され、このオア回路55から第1物体検出信号DE1が出力されて、侵入物体Qを検知する。
【0025】
したがって、第1の特定エリアAC1ではセンサ部1とカメラ2の両方による検知があったときのみ物体検出信号DE1が出力されるので、誤作動が少なくなって、侵入物体Qの正確な検知が可能となる。他方、第2の特定エリアAC2では、カメラ2による検知のみで物体検出信号DE1が出力されるから、この第2の特定エリアAC2をセンサ部1による検知可能領域よりも、例えば奥行きの深い広い領域に設定できるので、警戒領域を容易に拡大できる。また、やはり、検知領域となる第1および第2の特定エリアAC1,AC2はモニタ画面6上で設定されるから、モニタ画面6を見ながら検知したいエリアを正確に設定できるうえに、警戒エリア設定の操作が容易になる。
【0026】
図6は本発明の第3の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示している。この装置は、第2の実施形態に対し、前記検出信号発生部5のアンド回路53から出力される第1の物体検出信号DE1とともに、第3の遅延回路54から第2の物体検出信号DE2をそれぞれ個別に出力するようにした点が異なる。
【0027】
この第3の実施形態によれば、前記画像処理部4からの第1検知信号MD1と前記センサ部1からの検知信号PDとが検出信号発生部5の第1および第2遅延回路51を経てアンド回路53に入力されて、これから第1の物体検出信号DE1が出力される。また、前記画像処理部4からの第2検知信号MD2に基づき第3遅延回路54から第2の物体検出信号DE2が出力される。このようにすれば、前記第1および第2の特定エリアAC1,AC2内における侵入物体Qの検知を区別できるから、例えば、警戒現場にスピーカーと発光器を設置しておき、第2の特定エリアAC2での検知により第2の物体検出信号DE2を受けて、スピーカーから侵入者Qに注意を促す音声を発生し、第1の物体検出信号DE1を受けて、スピーカーからの威嚇音と発光器からの光の両方を発生して侵入者Qを退却させるような段階警備が可能となる。
【0028】
図7は本発明の第4の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示している。この装置は、周囲が暗くなったときのカメラ2の能力低下を補償するもので、図2に示した第1の実施形態において、検出信号発生部5の第1遅延回路51の出力側に、輝度設定部70と輝度比較部71とを含む夜間調整部7を追加して設け、前記輝度比較部71において、第1遅延回路51から送られる前記画像処理部4の画像の輝度と、輝度設定部70で設定された所定の設定輝度とを比較する。また、輝度比較部71および第1遅延回路51からの信号が入力されるオア回路54と、このオア回路54の出力信号および前記センサ部1に接続する第2遅延回路52の出力信号が入力されるアンド回路53を設けている。
【0029】
この第4の実施形態によれば、カメラ2で撮影される第1の特定エリアAC1内の輝度と、前記輝度設定部70による設定輝度とが輝度比較部71で比較され、夜が近づいたり、天候の影響により、周囲が暗くなって前記第1の特定エリアAC1内の輝度が設定輝度以下になったとき、前記輝度比較部71からオア回路54にハイレベル信号を出力し、これに伴い、オア回路54から常時ハイレベル信号をアンド回路53に出力する。したがって、画像処理部4からの検知信号が存在しない場合でも、センサ部1からの検知信号PDのみにより、アンド回路53から第1の物体検出信号DE1を出力する。このようにすれば、周囲が暗くなって、画像処理部4からの検知信号MD1が出力されなくなったとき、センサ部1の検知信号PDのみに基づき侵入物体Qの検知が確実に行える。周囲が明るいときは、センサ部1からの検知信号PDと、カメラ2からの画像信号に基づく検知信号MD1の両方がアンド回路53に入力されたときに、物体検知信号DE1が出力される。
【0030】
図8は本発明の第5の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置の回路を示している。この装置は、周囲の温度上昇によるセンサ部1の検知能力低下を補償するもので、図2に示した第1の実施形態において、検出信号発生部5に、センサ部1による検知エリアA0〜Anの温度を検出する温度センサ81と、所定の温度を設定する温度設定部82と、これら温度センサ81による検出温度と温度設定部82による設定温度とを比較する温度比較部83とを含む温度調整部8を追加して設けている。また、温度比較部82の出力信号とセンサ部1に接続された第2遅延回路52からの信号がそれぞれ入力されるオア回路56と、このオア回路56の出力信号および前記第1遅延回路51の出力信号が入力されるアンド回路53とを設けている。
【0031】
この第5の実施形態によれば、前記センサ部1による検知エリアA0〜Anの温度が温度センサ81で検出され、その検出温度と温度設定部82による設定温度とが温度比較部83で比較され、前記検知エリアA0〜Anの温度が設定温度以上になったとき、前記温度比較部83からオア回路56にハイレベル信号を出力し、これに伴いオア回路56から常時ハイレベル信号をアンド回路53に出力する。したがって、センサ部1からの検知信号PDが存在しない場合でも、画像出力部4からの検知信号MD1のみにより、アンド回路53から第1の物体検出信号DE1を出力する。このようにすれば、前記センサ部1として赤外線検知器11を用いる場合、夏期などにセンサ部1の検知エリアの温度が高くなったとき、赤外線による侵入物体Qの検知が不正確となり易いのに対し、前記温度センサ81で検出される温度が所定温度以上となったときは、画像処理部4からの検知信号MD1のみに基づき侵入物体Qの検知が確実に行える。設定温度以下のときは、センサ部1からの検知信号PDと、カメラ2からの画像信号に基づく検知信号MD1の両方がアンド回路53に入力されたときに、物体検知信号DE1が出力される。
【0032】
つぎに第6の実施形態を図9〜図11にしたがって説明する。この実施形態では、図9に示すように、センサ部1の視野V1に対し、カメラ2の視野V2が広く設定されている。カメラ2の視野V2内には敷地内35と敷地外36とを区画するフェンス37が設置されており、敷地外36は例えば道路になっている。この場合、センサ部1の視野V1は敷地外36にも達しているが、敷地外36は進入する意図のない車や人が行き来するので、敷地外36の移動物体をセンサ部1が検知しても物体検出信号を出力(発報)させないようにする。他方、敷地内35は近距離であるから、センサ部1による進入物体Qの検知の信頼度が高いので、センサ部1のみの検知によって物体検出信号を出力させても誤報は少ない。そこで、図10に示したエリア設定部3により、図11に示すように、モニタ画面6上で、フェンス37を境として、敷地内35を第1の特定エリアAC1に、敷地外36を第2の特定エリアAC2に、それぞれ設定しておく。
【0033】
図10に示すように、第6の実施形態にかかるセンサ・カメラ連動型侵入検知装置は、第1および第2の特定エリアAC1,AC2において、カメラ2からの映像信号MSが変化したとき画像処理部4からそれぞれ第1および第2の検知信号MD1,MD2が検出信号発生部5に出力される。検出信号発生部5は、第2の検知信号MD2の論理否定をとるノット回路57、第1の検知信号MD1を遅延させる第1の遅延回路51、センサ部1からの検知信号PDを遅延させる第2の遅延回路52、前記ノット回路57からの信号を遅延させる第3の遅延回路54A、第1および第3の遅延回路51,54Aからの出力信号が入力されるオア回路58、および、前記オア回路58の出力信号と第2の遅延回路52の出力信号が入力されるアンド回路59を備えている。これにより、検出信号発生部5は、センサ部1からの検知信号PDと画像処理部4からの第1の特定エリアAC1における検知信号MD1の両方を受けたとき、およびセンサ部1からの検知信号PDを受け画像処理部4からの第2の特定エリアAC2における検知信号MD2を受けなかったときに、物体検出信号DE1を発生するようになっている。
【0034】
この第6の実施形態によれば、センサ部1から検知信号PDが出力された状態で、外側の第2の特定エリアAC2における検知信号MD2が画像処理部4から出力されていないとき、すなわち、カメラ2が敷地外36の車や人の往来を検知していないとき、ノット回路57の出力信号がハイレベルとなってオア回路58の出力信号もハイレベルとなり、アンド回路59から物体検出信号DE1が出力(発報)される。この状態では、内側の第1の特定エリアAC1に居る進入物体Qをセンサ部1が検知したと判断される。逆に言えば、センサ部1から検知信号PDが出力された状態であっても、検知信号MD2が出力されているときは、ノット回路57の出力がローレベルとなるので、物体検出信号DE1は出力されない。したがって、敷地外36で進入する意図のない車や人の往来があって、カメラ2がこれを検知しているときは、センサ部1から前記車や人の検知信号PDが出力されても、発報しない。
【0035】
他方、センサ部1から検知信号PDが出力された状態で、カメラ2が内側の第1の特定エリアAC1における進入物体Qを検知して、検知信号MD1が画像処理部4から出力されたとき、オア回路58の出力信号がハイレベルとなるから、アンド回路59から物体検出信号DE1が出力(発報)される。したがって、外側の第2の特定エリアAC2で車や人がカメラ2により検知されてノット回路57の出力信号がローレベルであっても、内側の第1の特定エリアAC1に侵入物体Qが存在すれば、これをセンサ部1とカメラ2の両方が検知することで、物体検出信号DE1が出力される。したがって、第1の特定エリアAC1の侵入物体Qを確実に検出できる、安定したセンサ・カメラ連動型侵入検知装置となる。
【0036】
以上の実施形態では、前記センサ部1として、PIR方式の受動型赤外線検知器11を用いたが、検知線として近赤外線を投光し、物体から反射する近赤外線を検出するAIR方式を採用してもよい。また、超音波または電波を検知線として送受信する送信素子と受信素子を備えた超音波式または電波式の能動型センサを用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリアからの検知線の受信量変化により物体を検知するセンサ部と、
カメラで撮影したエリアのうち、前記検知エリアと重複する部分を有する特定エリアからの映像信号の変化により物体を検知する画像処理部と、
カメラに接続されたモニタ画面上で前記特定エリアを設定するエリア設定部と、
前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの検知信号に基づいて物体検出信号を発生する検出信号発生部とを備えたセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記特定エリアは第1および第2の特定エリアを含み、
前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方または画像処理部からの第2の特定エリアにおける検知信号を受けて物体検出信号を発生するセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記特定エリアは第1および第2の特定エリアを含み、
前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方を受けて第1の物体検出信号を発生し、画像処理部からの第2の特定エリアにおける検出信号を受けて第2の物体検出信号を発生するセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項4】
請求項1において、さらに、前記カメラの撮影エリアの輝度が所定輝度以下となったとき、前記画像処理部を不作動にして前記センサ部からの検知信号のみにより検出信号発生部から第1の物体検出信号を発生させる夜間調整部を備えたセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項5】
請求項1において、前記検出線は赤外線であり、さらに、前記検知エリアの温度が所定温度以上となったとき、前記センサ部を不作動にして前記画像処理部からの検出信号のみにより検出信号発生部から第1の物体検出信号を発生させる温度調整部を備えたセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記特定エリアは第1および第2の特定エリアを含み、
前記検出信号発生部は、前記センサ部からの検知信号と画像処理部からの第1の特定エリアにおける検知信号の両方を受けたとき、および前記センサ部からの検知信号を受け画像処理部からの第2の特定エリアにおける検知信号を受けなかったときに物体検出信号を発生するセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。
【請求項7】
請求項1において、前記センサ部は、検知エリアからの遠赤外線を検知する受動型赤外線検知器を有しているセンサ・カメラ連動型侵入検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【国際公開番号】WO2005/024746
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513702(P2005−513702)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012995
【国際出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】