説明

センサーデバイスおよび電子機器

【課題】小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができるセンサーデバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】センサーデバイス1は、角速度センサー711が実装された第1のリジッド基板21と、角速度センサー712が実装された第3のリジッド基板23とを有する実装基板2と、実装基板2を固定する台座3とを有している。また、台座3は、x軸およびy軸に沿う第1固定面を有する基部31と、基部31上に設けられ、且つ、x軸およびy軸に沿う第2固定面およびy軸およびz軸に沿う第3固定面の少なくとも一方を有した突出部41〜44と、を含み、リジッド基板21、22、23の各々は、第1固定面、第2固定面または第3固定面に支持され、角速度センサー711、712は、検出軸が互いに交わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているようなセンサーユニット(センサーデバイス)が知られている。特許文献1に記載のセンサーユニットは、直方体形状をなし、互いに直交する3つの面を有する固定部材(mounting member)と、3つの面それぞれに実装されたセンサー素子(sensor devices)とを有している。
【0003】
このようなセンサー素子を回路基板等に実装する場合、センサー素子を回路基板に直接実装することは困難であり、台座と蓋部材とからなるケーシングに収容した状態で実装するのが一般的である。しかし、このようなケーシングに収容すると、センサー素子が大型化する問題がある。また、センサー素子がケーシングに対して傾いて固定されると、センサー素子の検出軸が傾いてしまい、検出精度が低下するという問題もある。すなわち、小型化を図りつつ、センサー素子の位置決めが正確に行われたセンサーデバイスが待ち望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7040922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができるセンサーデバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサーデバイスは、センサー部品が実装されている複数の実装基板と、
前記複数の実装基板の各々を固定する台座と、を有し、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたときに、
前記台座は、前記第1軸および前記第2軸に沿う第1固定面を有する基部と、
前記基部上に設けられ、且つ、前記第1軸および前記第3軸に沿う第2固定面および前記第2軸および前記第3軸に沿う第3固定面の少なくとも一方を有した突出部と、を含み、
前記複数の実装基板の各々は、前記第1固定面、前記第2固定面、または前記第3固定面に支持され、
前記センサー部品は、検出軸が互いに交わることを特徴とする。
これにより、小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができるセンサーデバイスを提供することができる。
【0007】
本発明のセンサーデバイスでは、前記突出部は、少なくとも一対設けられ、
前記複数の実装基板の少なくとも1つは、一対の前記突出部により支持され、且つ、前記センサー部品が一対の前記突出部の間に位置するように支持されていることが好ましい。
これにより、少なくとも1つの実装基板を、位置決めしつつ安定的に台座に固定することができる。
【0008】
本発明のセンサーデバイスでは、前記基部は、前記第1軸および前記第2軸に沿う面に凹部が設けられていることが好ましい。
これにより、小型化を図ることができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1固定面は、前記凹部の周縁に設けられていることが好ましい。
これにより、実装基板を第1固定面に安定的に固定することができる。
【0009】
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1固定面に支持された前記実装基板は、前記センサー部品の実装面が前記凹部側を向くように支持されていることが好ましい。
これにより、凹部内にセンサー部品を収納でき、装置の小型化を図ることができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記凹部には、充填剤が充填されていることが好ましい。
これにより、センサー部品の不本意な破損等を防止することができる。
【0010】
本発明のセンサーデバイスでは、前記突出部は、前記第1固定面よりも上方に位置し、且つ、前記第1軸および前記第2軸を含む第4固定面を有していることが好ましい。
これにより、2つの実装基板を第3軸方向に重ねて配置できるため、装置の小型化を図ることができる。
本発明のセンサーデバイスでは、アナログ回路を有するアナログ回路基板と、デジタル回路を有するデジタル回路基板と、を含み、
前記第1固定面および前記第4固定面の一方には前記アナログ回路基板が支持され、他方には前記デジタル回路基板が支持されていることが好ましい。
これにより、アナログ回路とデジタル回路を比較的大きく離間させることができるため、ノイズの伝達を抑制することができる。
【0011】
本発明のセンサーデバイスでは、前記複数の実装基板は、それぞれ、折り曲げ可能な連結部によって接続されていることが好ましい。
これにより、実装基板の固定が簡単となる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記センサー部品は、角速度センサーおよび加速度センサーの少なくとも一方であることが好ましい。
これにより、角速度または加速度を検出することのできるセンサーデバイスとなる。
本発明の電子機器は、本発明のセンサーデバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のセンサーデバイスの好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すセンサーデバイスが有する実装基板の展開図である。
【図3】図1に示すセンサーデバイスが備える角速度センサーの一例を示す平面図である。
【図4】図1に示すセンサーデバイスが有する台座の斜視図である。
【図5】図4に示す台座の平面図である。
【図6】図4に示す台座に実装基板を固定した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のセンサーデバイスおよび電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.センサーデバイス
図1は、本発明のセンサーデバイスの好適な実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示すセンサーデバイスが有する実装基板の展開図、図3は、図1に示すセンサーデバイスが備える角速度センサーの一例を示す平面図、図4は、図1に示すセンサーデバイスが有する台座の斜視図、図5は、図4に示す台座の平面図、図6は、図4に示す台座に実装基板を固定した状態を示す斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図1に示すように、互いに直交する3軸をx軸(第1軸)、y軸(第2軸)およびz軸(第3軸)とする。z軸は、台座3の法線方向と平行な軸であり、x軸は、台座の平面視にて、台座の対向する1組の辺の延在方向と平行な軸であり、y軸は、台座の対向する他の1組の辺の延在方向と平行な軸である。また、x軸と平行な方向を「x軸方向」とし、y軸と平行な方向を「y軸方向」とし、z軸と平行な方向を「z軸方向」とする。また、x軸とy軸とで形成された平面を「xy平面」とし、y軸とz軸とで形成される平面を「yz平面」とし、z軸とx軸とで形成される平面を「xz平面」とする。
【0014】
図1に示すセンサーデバイス1は、角速度センサー711、712、713を備え、互いに直交するx軸、y軸、z軸まわりの角速度を検出することのできる3軸ジャイロセンサーデバイスである。このようなセンサーデバイス1は、利便性に優れ、例えば、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等に好適に利用することができる。
【0015】
図1に示すように、このようなセンサーデバイス1は、電子部品7が実装された実装基板2と、実装基板2を支持する台座3と、実装基板2を覆うように台座3に固定された蓋部材8とを有している。なお、図1(b)は、図1(a)から蓋部材8を省略した図である。
以下、これら各部材について順次説明する。
【0016】
[実装基板2]
実装基板2は、硬質で変形し難いリジッド基板と、軟質で変形し易い可撓性を有するフレキシブル基板とを組み合わせたリジッドフレキシブル基板である。このような実装基板2としては、例えば、フレキシブル基板の両側にガラスエポキシ基板等の硬質層を貼り付け、この部分をリジッド基板として用いるもの等、公知のリジッドフレキシブル基板を用いることができる。
【0017】
図2(a)は、展開した状態の実装基板2を一方の面側から見た平面図であり、図2(b)は、展開した状態の実装基板2を他方の面側から見た平面図である。図2に示すように、実装基板2は、互いに離間して配置された第1のリジッド基板(実装部)21、第2のリジッド基板(実装部)22、第3のリジッド基板(実装部)23、第4のリジッド基板(実装部)24および第5のリジッド基板(実装部)25と、これらを連結するフレキシブル基板26とで構成されている。
なお、以下では、説明の便宜上、各リジッド基板21〜25の図2(a)にて図示されている面を「表側実装面」と言い、図2(b)にて図示されている面を「裏側実装面」と言う。
【0018】
フレキシブル基板26は、第1のリジッド基板21と第2のリジッド基板22とを連結する第1の連結部261、第1のリジッド基板21と第3のリジッド基板23とを連結する第2の連結部262、第1のリジッド基板21と第4のリジッド基板24とを連結する第3の連結部263および第2のリジッド基板22と第5のリジッド基板25とを連結する第4の連結部264を有している。第1の連結部261、第2の連結部262、第3の連結部263および第4の連結部264は、それぞれ、可撓性を有しており、面方向への曲げ変形を容易に行うことができる。
【0019】
また、第1のリジッド基板21の縁部(対角関係にある両角部)には孔21a、21bが形成されており、第2のリジッド基板22の縁部(対角関係にある両角部)には孔22a、22bが形成されており、第3のリジッド基板23の一方の端部には孔23aが形成されており、第4のリジッド基板24の一方の端部には孔24aが形成されており、第5のリジッド基板25の両端部には孔25a、25bが形成されている。これらの孔は、第1〜第5のリジッド基板21〜25を台座3にネジ止めし、固定するのに用いられる孔である。
【0020】
実装基板2は、フレキシブル基板26の各連結部261〜264を曲げることで、リジッド基板21〜26同士の姿勢を変化させることができる。具体的には、各リジッド基板21〜25の表側実装面211〜251が内側を向くように連結部261〜264を曲げることで、隣接するリジッド基板同士が直交する直方体状に変形させることができる。この状態では、第1のリジッド基板21が下面をなし、第2のリジッド基板22が上面をなし、第3、第4、第5のリジッド基板23、24、25が側面をなしている。実装基板2は、このように変形した状態で台座3に固定される。
【0021】
このように、実装基板2をリジッドフレキシブル基板で構成することにより、実装基板2を容易に変形させることができるため、実装基板2の台座3への固定が簡単となる。また、連結部261〜264によって各リジッド基板21〜25がひとまとまりに連結されているため、この点でも、実装基板2の台座3への固定を簡単かつ円滑に行うことができる。また、複数のリジッド基板を備えることによって、電子部品7の配置の自由度が増す。
【0022】
また、硬質なリジッド基板に電子部品7を実装することにより、電子部品7(特に、角速度センサー711〜713)の不要な振動を抑制でき、センサーデバイス1の検出精度が向上する。また、実装基板2に電子部品7を実装し易い。また、電子部品7の平行度が取り易く、特に、角速度センサー711〜713を簡単に所望の姿勢とし、かつその姿勢を維持することができる。また、電子部品7を高密度実装することもできる。
【0023】
ここで、本実施形態では、第1のリジッド基板21は、その縁(外周)に開放する第1の欠損部21c、第2の欠損部21d、第3の欠損部21eを有している。第1の欠損部21cは、第1のリジッド基板21の図2(a)中右側の辺に対して段差を付けて形成されており、この第1の欠損部21cから第1の連結部261が延出している。また、第2の欠損部21dは、第1のリジッド基板21の図2(a)中上側の辺に対して段差を付けて形成されており、この第2の欠損部21dから第2の連結部262が延出している。また、第3の欠損部21eは、第1のリジッド基板21の図2(a)中左側の辺に対して段差を付けて形成されており、この第3の欠損部21eから第3の連結部263が延出している。
【0024】
第1のリジッド基板21に第1の欠損部21cを形成することにより、第1の連結部261を、第1のリジッド基板21との接続部付近(より第1のリジッド基板21側)にて簡単に曲げ変形させることができ、また、曲げ変形させたときの曲率半径を比較的大きく保つことができる。また、第1の連結部261の過度な突出が抑制され、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。第2の欠損部21dおよび第3の欠損部21eについても同様の効果が得られる。
【0025】
また、本実施形態では、第2のリジッド基板22は、その縁(外周)に開放する第4の欠損部22cおよび第5の欠損部22dを有している。第4の欠損部22cは、第2のリジッド基板22の図2(a)中左側の辺に対して段差を付けて形成されており、この第4の欠損部22cから第1の連結部261が延出している。同様に、第5の欠損部22dは、第2のリジッド基板22の図2(a)中下側の辺に対して段差を付けて形成されており、この第5の欠損部22eから第4の連結部264が延出している。
【0026】
第2のリジッド基板22に第4の欠損部22cを形成することにより、第1の連結部261を、第2のリジッド基板22との接続部付近(より第2のリジッド基板22側)にて簡単に曲げ変形させることができ、また、曲げ変形させたときの曲率半径を比較的大きく保つことができる。また、折り曲がった部分の、第2のリジッド基板22の外周からの過度な突出が抑制され、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。第5の欠損部22dについても同様の効果が得られる。
以上、実装基板2について説明した。なお、実装基板2の各リジッド基板21〜25およびフレキシブル基板26には、図示しない導体パターンが形成されており、この導体パターンを介して複数の電子部品7が適切に電気接続されている。
【0027】
また、実装基板2には、図示しないグランド層が形成されており、このグランド層が外部磁場を遮断する機能を発揮する。そのため、台座3に固定された状態にて、実装基板2より内側にある電子部品7(すなわち、表側実装面211〜251に実装されている電子部品7)については、センサーデバイス1の外部からの外部磁場(外来ノイズ)による影響を排除することができる。
【0028】
[電子部品7]
図2(a)、(b)に示すように、実装基板2には複数の電子部品7が実装されている。
実装基板2には、電子部品7として、1軸検出型の3つの角速度センサー(センサー部品)711〜713と、3軸検出型の加速度センサー(センサー部品)72と、各種電子部品を駆動するための電源回路73と、前記センサー部品(711〜713、72)からの出力信号を増幅する増幅回路74と、増幅回路74で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路75と、所望の制御を行うマイクロコントローラー76と、EEPROM等の不揮発性メモリー77と、方位を検出する方位センサー(磁気センサー)78と、信号を出力するためのコネクター(インターフェースコネクター)79とが実装されている。なお、実装する電子部品7としては、これに限定されず、その目的に応じたものを適宜実装すればよい。
以下、これら電子部品7の配置について詳細に説明する。
【0029】
(第1のリジッド基板21)
第1のリジッド基板21の表側実装面211には、電源回路73、増幅回路74およびアナログ/デジタル変換回路75が実装されており、裏側実装面212には、角速度センサー713および加速度センサー72が実装されている。
アナログ/デジタル変換回路75は、表側実装面211に実装されている他の電子部品7(電源回路73および増幅回路74)に対してサイズが大きい。そのため、アナログ/デジタル変換回路75を表側実装面231の中央部に配置するのが好ましい。これにより、アナログ/デジタル変換回路75を第1のリジッド基板21の強度を補強する補強部材として効果的に用いることができる。そのため、第1のリジッド基板21の撓み変形に起因する不本意な振動が抑えられ、角速度センサー711〜713に不要な振動が伝わらず、角速度センサー711〜713(特に第1のリジッド基板21に実装されている角速度センサー713)による角速度の検出精度が高まる。
【0030】
また、角速度センサー713および加速度センサー72は、表側実装面211の角部付近に配置するのが好ましい。後述するように、第1のリジッド基板21は、接着剤を介して四隅が台座3に固定される。そのため、第1のリジッド基板21の角部は、変形し難く、不要な振動が発生し難い。よって、このような場所に、角速度センサー713および加速度センサー72を配置することで、より高精度に角速度および加速度を検出することができる。
【0031】
また、角速度センサー713および加速度センサー72を裏側実装面212に実装することにより、実装基板2が台座3に固定された状態にて、マイクロコントローラー76との距離をより離間させることができる。また、角速度センサー713および加速度センサー72とマイクロコントローラー76との間に、第1のリジッド基板21の前記グランド層を位置させることができる。そのため、マイクロコントローラー76から発生する放射ノイズが、角速度センサー713および加速度センサー72に悪影響を及ぼすのを防止でき、角速度センサー713および加速度センサー72の検出精度を向上させることができる。
【0032】
(第2のリジッド基板22)
第2のリジッド基板22の表側実装面221には、マイクロコントローラー76が実装され、裏側実装面222には、不揮発性メモリー77および方位センサー78が実装されている。
マイクロコントローラー76は、第2のリジッド基板22に実装された他の電子部品7(不揮発性メモリー77および方位センサー78)に対してサイズが大きい。そのため、マイクロコントローラー76を表側実装面221の中央部に配置するのが好ましい。これにより、マイクロコントローラー76を第2のリジッド基板22の強度を補強する補強部材として効果的に用いることができる。そのため、第2のリジッド基板22の撓み変形による不要な振動が抑えられ、角速度センサー711〜713に不要な振動が伝わらず、角速度センサー711〜713による角速度の検出精度が高まる。
【0033】
また、方位センサー78をマイクロコントローラー76と反対の実装面に実装することにより、マイクロコントローラー76から発生する放射ノイズを第2のリジッド基板22の前記グランド層によって遮断することができるため、放射ノイズ(磁場)が方位センサー78に達し、方位センサー78に悪影響を及ぼすことを効果的に防止することができる。そのため、方位センサー78の検出精度を向上させることができる。
【0034】
(第3のリジッド基板23)
第3のリジッド基板23の表側実装面231には、角速度センサー711が実装されている。
(第4のリジッド基板24)
第4のリジッド基板24の表側実装面241には、角速度センサー712が実装されている。
(第5のリジッド基板25)
第5のリジッド基板25の裏側実装面252には、コネクター79が実装されている。
以上、電子部品7の配置について詳細に説明した。
【0035】
実装基板2では、第1のリジッド基板21に電源回路73、増幅回路74、アナログ/デジタル変換回路75などからなるアナログ回路を形成し、第2のリジッド基板22にマイクロコントローラー76および不揮発性メモリー77等からなるデジタル回路が形成されている。このように、アナログ回路基板である第1のリジッド基板と、デジタル回路基板である第2のリジッド基板22と設け、アナログ回路とデジタル回路とをそれぞれ別のリジッド基板上に形成することにより、ノイズの発生および伝達を効果的に抑制することができ、センサーデバイス1の検出精度がより高くなる。
角速度センサー711〜713としては、角速度を検出することができれば、特に限定されず、公知の1軸検出型の角速度センサーを用いることができる。このような角速度センサー711〜713としては、例えば、図3に示すような振動片5を有するセンサーを用いることができる。
【0036】
振動片5は、水晶(圧電材料)で構成されている。また、振動片5は、基部51と、基部51の両側から紙面縦方向へ延出する一対の検出用振動腕52、53と、基部51の両側から紙面横方向へ延出する一対の連結腕54、55と、各連結腕54、55の先端部の両側から紙面縦方向へ延出する各一対の駆動用振動腕56、57、58、59とを有している。また、各検出用振動腕52、53の表面には検出用電極(図示せず)が形成されており、駆動用振動腕56、57、58、59の表面には駆動用電極(図示せず)が形成されている。
【0037】
このような振動片5では、駆動用電極に電圧を印加することにより、駆動用振動腕56、58および駆動用振動腕57、59を、互いに接近・離間を繰り返すように振動させた状態にて、振動片5の法線A(検出軸A)まわりの角速度ωが加わると、振動片5にコリオリ力が加わり、検出用振動腕52、53の振動が励起される。そして、検出用振動腕52、53の振動により発生した検出用振動腕52、53の歪を検出用電極で検出することにより、振動片5に加わった角速度を求めることができる。
以上のような構成の角速度センサー711〜713は、それぞれ、厚さ方向を検出軸とするように対応するリジッド基板に実装される。
【0038】
[台座3]
図4、図5および図6に示すように、台座3は、板状の基部31と、基部31に設けられた第1の支持部32、第2の支持部33、第3の支持部34、第4の支持部35および第5の支持部36とを有している。以下、台座3について図4〜図6に基づいて説明するが、図6では、説明の便宜上、一部の部材の図示を省略している。
【0039】
(基部)
基部31は、z軸方向を厚さ方向とし、x軸およびy軸により形成されるxy平面と平行な下面および上面312を有している。また、基部31は、上面312に開放する凹部313を有している。凹部313は、上面312の縁部を除く中央部に開放しており、基部31の側面には開放していない。すなわち、凹部313は、周囲が側壁により囲まれた槽状をなしている。
【0040】
このような凹部313は、台座3に実装基板2を固定した状態にて、第1のリジッド基板21の裏側実装面212に実装された角速度センサー711および加速度センサー72を収納する収納部として機能する。言い換えれば、凹部313は、台座3と角速度センサー711および加速度センサー72との接触を防止するための逃げ部を構成する。このような凹部313を形成することによって、台座3のスペースを有効活用でき、センサーデバイス1の小型化(薄型化、低背化)を図ることができる。
【0041】
(第1の支持部)
図5に示すように、第1の支持部32は、凹部313の周囲に設けられた4つの固定面321、322、323、324を有している。4つの固定面321〜324は、台座3に対する第1のリジッド基板21の位置決めを行いつつ、台座3に第1のリジッド基板21を固定するための面である。具体的には、固定面321〜324は、角速度センサー711の検出軸がz軸と平行となるように、台座3に対して第1のリジッド基板21を位置決めし、固定する機能を有している。
【0042】
固定面(第1固定面)321〜324は、第1のリジッド基板21の四隅に対応するように、凹部313の周囲に形成されている。このような固定面321〜324は、それぞれ、上面312で構成れている。このように、上面312を固定面321〜324として利用することにより、第1の支持部32を簡単かつ精度よく形成することができる。
固定面321〜324は、互いにxy平面と平行な同一平面上に位置しているため、図6に示すように、固定面321〜324に第1のリジッド基板21を載置すると、角速度センサー711の検出軸A1がz軸と平行となる。このように、固定面321〜324に第1のリジッド基板21を載置するだけで、簡単に、台座3に対する角速度センサー711の位置決め(検出軸A1の軸合わせ)を精度よく行うことができる。
【0043】
なお、固定面321〜324へ第1のリジッド基板21を固定する方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用している。具体的には、まず、接着剤によって、各固定面321〜324と第1のリジッド基板21とを固定する。この状態では、第1のリジッド基板21に形成された孔21a、21bが固定面321、323上に位置するため、孔21a、21bを介して、第1のリジッド基板21を固定面321、323(基部31)にネジ止めする。これにより、第1の支持部32への第1のリジッド基板21の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第1のリジッド基板21との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第1のリジッド基板21の不要な振動が抑制される。その結果、センサーデバイス1の検出精度がより向上する。
【0044】
なお、凹部313には、図示しない充填剤が充填されており、この充填剤によって、台座3と第1のリジッド基板21との隙間が埋められている。これにより、第1のリジッド基板21(角速度センサー711、加速度センサー72)や、第1のリジッド基板21から延出する連結部261、262、263が固定され、第1のリジッド基板21に不要な振動が発生するのを効果的に防止することができる。そのため、センサーデバイス1の検出精度が向上する。
【0045】
充填剤の構成材料としては、絶縁性を有するものが好ましい。このような材料としては、特に限定されず、例えば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
(第2の支持部)
図5に示すように、第2の支持部33は、台座3に対する第3のリジッド基板23の位置決めを行うとともに、台座3に第3のリジッド基板23を固定するための部位である。具体的には、第2の支持部33は、角速度センサー712の検出軸がx軸と平行となるように、台座3に対して第3のリジッド基板23を位置決めし、固定する機能を有している。
【0047】
このような第2の支持部33は、基部31の上面から突出し、y軸方向に離間して設けられた一対の突出部41、42と、これらの間に形成された空間61とを有している。突出部41、42には、それぞれ、台座3の外側に臨むとともに、yz平面と平行な面(第3固定面)411、421が形成されている。また、これら面411、421は、互いに同一平面上に位置している。そして、このような面411、421が第3のリジッド基板23を固定するための固定面(以下、「固定面411」および「固定面421」と言う)として機能する。
【0048】
固定面411、421は、互いにyz平面と平行な同一平面上に位置しているため、図6に示すように固定面411、421に第3のリジッド基板23を固定すると、角速度センサー711の検出軸がx軸と平行となる。すなわち、固定面411、421に第3のリジッド基板23を固定するだけで、簡単に、台座3に対する角速度センサー711の位置決め(検出軸の軸合わせ)を精度よく行うことができる。
【0049】
固定面411、421へ第3のリジッド基板23を固定する方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用している。具体的には、まず、接着剤によって、各固定面411、421と第3のリジッド基板23とを固定する。この状態では、第3のリジッド基板23に形成された孔23aが固定面411上に位置するため、孔23aを介して、第3のリジッド基板23を突出部41にネジ止めする。これにより、第2の支持部33への第3のリジッド基板23の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第3のリジッド基板23との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第3のリジッド基板23の不要な振動が抑制される。その結果、センサーデバイス1の検出精度がより向上する。
【0050】
第3のリジッド基板23が固定面411、421に固定された状態では、角速度センサー711は、一対の突起41、42の間の空間61内に位置している。このことから、空間61は、台座3と角速度センサー712との接触を防止するための逃げ部(以下、「逃げ部61」と言う)を構成していると言える。このような逃げ部61を形成することにより、角速度センサー712の破損を防止するとともに、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
【0051】
また、逃げ部61は、凹部313内の空間と繋がっており、凹部313は、xy平面視にて、固定面411、421よりも台座3の外周側へ突出する領域313aを有している。このような構成とすることにより、逃げ部61や領域313aの内側に、第1のリジッド基板21と第3のリジッド基板23とを連結する第2の連結部262を過度な変形をさせることなく配置することができる。そのため、過度な変形による実装基板2の破損が効果的に防止され、センサーデバイス1の信頼性が向上する。
【0052】
また、第3のリジッド基板23が固定面411、421に固定された状態では、角速度センサー711が第3のリジッド基板23よりも内側に位置している。そのため、例えばセンサーデバイス1の製造時などに、角速度センサー711と作業者や製造機器等との接触が抑制され、角速度センサー711の破損を効果的に防止することができる。また、前述したように、実装基板2が有するグランド層によって外部磁場を遮断することができるため、角速度センサー711の検出精度が向上する。
【0053】
(第3の支持部)
第3の支持部34は、台座3に対する第4のリジッド基板24の位置決めを行うとともに、台座3に第4のリジッド基板24を固定するための部位である。具体的には、第3の支持部34は、角速度センサー712の検出軸がy軸と平行となるように、台座3に対して第4のリジッド基板24を位置決めし、固定する機能を有している。
【0054】
このような第3の支持部34は、基部31の上面から突出し、x軸方向に離間して設けられた一対の突出部42、43と、これらの間に形成された空間62とを有している。突出部42、43には、それぞれ、台座3の外側に臨むとともに、xz平面と平行な面(第2固定面)422、431が形成されている。また、これら面422、431は、互いに同一平面上に位置している。そして、このような面422、431が第4のリジッド基板24を固定するための固定面(以下、「固定面422」および「固定面431」と言う)として機能する。
【0055】
固定面422、431は、互いにxz平面と平行な同一平面上に位置しているため、図6に示すように、固定面422、431に第4のリジッド基板24を固定すると、角速度センサー712の検出軸がy軸と平行となる。すなわち、固定面422、431に第4のリジッド基板24を固定するだけで、簡単に、台座3に対する角速度センサー712の位置決め(検出軸の軸合わせ)を精度よく行うことができる。
【0056】
固定面422、431へ第4のリジッド基板24を固定する方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用している。具体的には、まず、接着剤によって、各固定面422、431と第4のリジッド基板24とを固定する。この状態では、第4のリジッド基板24に形成された孔24aが固定面422上に位置するため、孔24aを介して、第4のリジッド基板24を突出部42にネジ止めする。これにより、第3の支持部34への第4のリジッド基板24の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第4のリジッド基板24との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第4のリジッド基板24の不要な振動が抑制される。その結果、センサーデバイス1の検出精度がより向上する。
【0057】
第4のリジッド基板24が固定面422、431に固定された状態では、角速度センサー712は、一対の突起42、43の間の空間62内に位置している。このことから、空間62は、台座3と角速度センサー712との接触を防止するための逃げ部(以下、「逃げ部62」と言う)を構成していると言える。このような逃げ部62を形成することにより、角速度センサー712の破損を防止するとともに、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
【0058】
また、逃げ部62は、凹部313内の空間と繋がっており、凹部313は、xy平面視にて、固定面422、431よりも台座3の外周側へ突出する領域313bを有している。このような構成とすることにより、逃げ部62や領域313bの内側に、第1のリジッド基板21と第4のリジッド基板24とを連結する第3の連結部263を過度な変形をさせることなく配置することができる。そのため、過度な変形による実装基板2の破損が効果的に防止され、センサーデバイス1の信頼性が向上する。
【0059】
また、第4のリジッド基板24が固定面422、431に固定された状態では、角速度センサー712が第4のリジッド基板24よりも内側に位置している。そのため、例えばセンサーデバイス1の製造時などに、角速度センサー712と作業者や製造機器等との接触が抑制され、角速度センサー712の破損を効果的に防止することができる。また、前述したように、実装基板2が有するグランド層によって、外部磁場を遮断することができるため、角速度センサー712の検出精度が向上する。
【0060】
(第4の支持部)
第4の支持部35は、第2のリジッド基板22を第1のリジッド基板21とz軸方向に対向するように台座3に固定するための部位である。第2のリジッド基板22を第1のリジッド基板21に重ねるようにして固定することにより、センサーデバイス1の小型化(特に、xy平面視での小型化)を図ることができる。
【0061】
なお、第2のリジッド基板22には、角速度センサー711〜713や加速度センサー72のような物理量センサーが実装されていないため、第4の支持部35には、前述したような第1〜第3の支持部32〜34ほどの位置決めに関する精密さを要求されていない。ただし、センサーデバイス1の小型化(薄型化、低背化)の観点から、第4の支持部35は、第2のリジッド基板22を第1のリジッド基板21と平行に支持、固定するよう構成されているのが好ましい。
【0062】
このような第4の支持部35は、基部31の上面から突出する4つの突出部41、42、43、44を有している。突出部41〜44は、第2のリジッド基板22の四隅に対応するように位置している。これら4つの突出部41、42、43、44の上面413、423、433、443は、xy平面と平行な面(第4固定面)であり、かつ互いに同一平面上に位置している。そして、これら4つの上面413〜443が第2のリジッド基板22を固定するための固定面(以下、「固定面413」、「固定面423」、「固定面433」および「固定面443」と言う)として機能する。
【0063】
固定面413〜443は、互いにxy平面と平行な同一平面上に位置しているため、図1に示すように、固定面413〜443に第2のリジッド基板22を固定すると、第2のリジッド基板22が第1のリジッド基板21とz軸方向に対向するとともにxy平面と平行となる。これにより、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
固定面413〜443へ第2のリジッド基板22を固定する方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用している。具体的には、まず、接着剤によって、各固定面413〜443と第2のリジッド基板22とを固定する。この状態では、第2のリジッド基板22に形成された孔22a、212が固定面413、433上に位置するため、孔22a、22bを介して、第2のリジッド基板22を突出部41、43にネジ止めする。これにより、第4の支持部35への第2のリジッド基板22の固定を確実に行うことができる。
【0064】
(第5の支持部)
第5の支持部36は、第5のリジッド基板25を固定するための部位である。なお、第5のリジッド基板25には、角速度センサー711〜713や加速度センサー72のような物理量センサーが実装されていない。そのため、前述の第4の支持部35と同様に、第5の支持部36には、前述の第1〜第3の支持部32〜34ほどの位置決めに関する精密さは要求されていない。ただし、センサーデバイス1の小型化の観点から、第5の支持部36は、第5のリジッド基板25をyz平面と平行となるように支持するよう構成されているのが好ましい。
【0065】
このような第5の支持部36は、基部31の上面から突出する突出部45を有している。突出部45は、第2の支持部33と凹部313を介して対向するように設けられており、かつy軸方向に延在しいている。このような突出部45には、台座3の外側に臨むとともに、yz平面と平行な面451が形成されており、当該面451が第5のリジッド基板25を固定するための固定面(以下、「固定面451」と言う)として機能する。図6に示すように、このような固定面451に第5のリジッド基板25を固定すると、第5のリジッド基板25がyz平面と平行となる。これにより、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
【0066】
固定面451へ第5のリジッド基板25を固定する方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用している。具体的には、まず、接着剤によって、固定面451と第5のリジッド基板25とを固定する。この状態では、第5のリジッド基板25に形成された孔25a、25bが固定面451上に位置するため、孔25a、25bを介して第5のリジッド基板25を突出部45にネジ止めする。これにより、第5の支持部36への第5のリジッド基板25の固定を確実に行うことができる。
以上、第1〜第5の支持部32〜36について説明した。
【0067】
台座3は、さらに、基部31の2つの対角関係にある角部から突出する突出部46、47を有する。突出部46は、突出部41よりも横断面積が大きく、突出部41と一体的に形成されている。これにより、突出部41の機械的強度が向上する。一方、突出部47は、突出部43よりも横断面積が大きく、突出部43と一体的に形成されている。これにより、突出部43の機械的強度が向上する。さらに、突出部47は、突出部44、45とも一体的に形成され、これにより、突出部44、45の機械的強度がそれぞれ向上する。このように、突出部46、47を設けることにより、第1〜第5の支持部32〜36が有する各突出部41〜45の機械的強度を向上させることができ、実装基板2をより確実に所望の姿勢にて固定することができる。
【0068】
このような台座3の構成材料としては、特に限定されないが、制振特性を有する材料であるのが好ましい。これにより、実装基板2の不要な振動が抑えられ、センサーデバイス1の検出精度が向上する。このような材料としては、特に限定されず、例えば、マグネシウム合金、鉄系合金、銅合金、マンガン合金、Ni−Ti系合金などの各種制振合金が挙げられる。
このような台座3によれば、実装基板2を所定位置に固定するだけで、角速度センサー711、712、713の検出軸をx軸、y軸、z軸の各軸と平行することができる。そのため、優れた検出精度を発揮することができるセンサーデバイス1が簡単に得られる。
【0069】
また、センサーデバイス1をマザーボード等の回路基板(対象物)に実装する場合には、台座3の直交する2つの側面3a、3bを基準とすることで、角速度センサー711、712の検出軸を簡単に所望の方向に向けることができる。具体的には、側面3aは、角速度センサー712の検出軸と平行な面であり、側面3bは、角速度センサー711の検出軸と平行な面である。そのため、これら側面3a、3bを基準に回路基板に対する位置決めを行うことにより、簡単かつ確実に、角速度センサー711、712の検出軸を所望の方向に向けることができる。
【0070】
[蓋部材]
蓋部材8は、実装基板2を覆うように台座3に固定される。これにより、電子部品7を保護することができる。また、蓋部材8の側面には、開口が形成されており、蓋部材8が台座3に固定された状態にて、この開口からコネクター79が外部に露出している。これにより、外部機器とコネクター79との電気接続を容易に行うことができる。台座3と蓋部材8との固定方法は、特に限定されず、嵌合、螺合、接着剤による接合を用いることができる。
【0071】
このような蓋部材8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
2.電子機器
以上のようなセンサーデバイス1は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、センサーデバイス1を搭載した本発明の電子機器について説明する。図7は、センサーデバイス1を搭載した電子機器500の構成の一例を示す図である。電子機器500としては、特に限定されず、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、モバイルPC、ロボット、ゲーム機、ゲームコントローラーなどが挙げられる。
【0073】
図7に示す電子機器500は、センサーデバイス1を含むセンサーモジュール510と、処理部520と、メモリー530と、操作部540と、表示部550とを有している。これらは、バス560にて接続されている。処理部(CPU、MPU等)520は、センサーモジュール510等の制御や電子機器500の全体制御を行う。また処理部520は、センサーモジュール510により検出された角速度情報に基づいて処理を行う。例えば、角速度情報に基づいて、手ぶれ補正、姿勢制御、GPS自律航法などのための処理を行う。メモリー530は、制御プログラムや各種データを記憶し、また、ワーク領域やデータ格納領域として機能する。操作部540は、ユーザーが電子機器500を操作するためのものである。表示部550は、種々の情報をユーザーに表示するものである。
以上、本発明のセンサーデバイスおよび電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0074】
また、前述した実施形態では、実装基板に3つの角速度センサーが実装された構成について説明したが、角速度センサーの数は、これに限定されず、1つでもよいし、2つでもよい。また、角速度センサーの数に応じて、リジッド基板の数も変更してもよい。
また、前述した実施形態では、実装基板がリジッドフレキシブル基板で構成されていたが、実装基板の構成は、これに限定されず、例えば、互いに連結していない複数のリジッド基板で構成されていてもよい。この場合には、各リジッド基板を台座に固定した後、コネクター等を用いてリジッド基板同士を電気的に接続することができる。
【符号の説明】
【0075】
1‥‥センサーデバイス 2‥‥実装基板 21‥‥第1のリジッド基板 211‥‥表側実装面 212‥‥裏側実装面 21a、21b‥‥孔 21c‥‥第1の欠損部 21d‥‥第2の欠損部 21e‥‥第3の欠損部 22‥‥第2のリジッド基板 221‥‥表側実装面 222‥‥裏側実装面 22a、22b‥‥孔 22c‥‥第4の欠損部 22d‥‥第5の欠損部 23‥‥第3のリジッド基板 231‥‥表側実装面 23a‥‥孔 24‥‥第4のリジッド基板 241‥‥表側実装面 24a‥‥孔 25‥‥第5のリジッド基板 251‥‥表側実装面 252‥‥裏側実装面 25a、25b‥‥孔 26‥‥フレキシブル基板 261‥‥第1の連結部 262‥‥第2の連結部 263‥‥第3の連結部 264‥‥第4の連結部 3‥‥台座 3a、3b‥‥側面 31‥‥基部 312‥‥上面 313‥‥凹部 313a、313b‥‥領域 32‥‥第1の支持部 321、322、323、324‥‥固定面 33‥‥第2の支持部 34‥‥第3の支持部 35‥‥第4の支持部 36‥‥第5の支持部 41、42、43、44、45、46、47‥‥突出部 411、413、421、422、423、431、433、443、451‥‥固定面 5‥‥振動片 51‥‥基部 52、53‥‥検出用振動腕 54、55‥‥連結腕 56、57、58、59‥‥駆動用振動腕 61、62‥‥空間 7‥‥電子部品 711、712、713‥‥角速度センサー 72‥‥加速度センサー 73‥‥電源回路 74‥‥増幅回路 75‥‥アナログ/デジタル変換回路 76‥‥マイクロコントローラー 77‥‥不揮発性メモリー 78‥‥方位センサー 79‥‥コネクター 8‥‥蓋部材 500‥‥電子機器 510‥‥ジャイロセンサー 520‥‥処理部 530‥‥メモリー 540‥‥操作部 550‥‥表示部 560‥‥バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー部品が実装されている複数の実装基板と、
前記複数の実装基板の各々を固定する台座と、を有し、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたときに、
前記台座は、前記第1軸および前記第2軸に沿う第1固定面を有する基部と、
前記基部上に設けられ、且つ、前記第1軸および前記第3軸に沿う第2固定面および前記第2軸および前記第3軸に沿う第3固定面の少なくとも一方を有した突出部と、を含み、
前記複数の実装基板の各々は、前記第1固定面、前記第2固定面、または前記第3固定面に支持され、
前記センサー部品は、検出軸が互いに交わることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
前記突出部は、少なくとも一対設けられ、
前記複数の実装基板の少なくとも1つは、一対の前記突出部により支持され、且つ、前記センサー部品が一対の前記突出部の間に位置するように支持されている請求項1に記載のセンサーデバイス。
【請求項3】
前記基部は、前記第1軸および前記第2軸に沿う面に凹部が設けられている請求項1または2に記載のセンサーデバイス。
【請求項4】
前記第1固定面は、前記凹部の周縁に設けられている請求項3に記載のセンサーデバイス。
【請求項5】
前記第1固定面に支持された前記実装基板は、前記センサー部品の実装面が前記凹部側を向くように支持されている請求項3または4に記載のセンサーデバイス。
【請求項6】
前記凹部には、充填剤が充填されている請求項3ないし5のいずれか一項に記載のセンサーデバイス。
【請求項7】
前記突出部は、前記第1固定面よりも上方に位置し、且つ、前記第1軸および前記第2軸を含む第4固定面を有している請求項1ないし6のいずれか一項に記載のセンサーデバイス。
【請求項8】
アナログ回路を有するアナログ回路基板と、デジタル回路を有するデジタル回路基板と、を含み、
前記第1固定面および前記第4固定面の一方には前記アナログ回路基板が支持され、他方には前記デジタル回路基板が支持されている請求項7に記載のセンサーデバイス。
【請求項9】
前記複数の実装基板は、それぞれ、折り曲げ可能な連結部によって接続されている請求項1ないし8のいずれか一項に記載のセンサーデバイス。
【請求項10】
前記センサー部品は、角速度センサーおよび加速度センサーの少なくとも一方である請求項1ないし9のいずれか一項に記載のセンサーデバイス。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載のセンサーデバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−19745(P2013−19745A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152731(P2011−152731)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】