説明

センサ付き転がり軸受装置

【課題】低速時における荷重検出の応答性を向上させることができるセンサ付き転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】車体側に固定される外輪と、この外輪と同心に且つタイヤ側に固定される内輪と、これらの内外輪の間に転動自在に配設される転動体と、前記外輪側に配設され前記転動体に作用する荷重を検出するセンサ装置と、を有するセンサ付き転がり軸受装置。前記転動体の数が奇数個であり、前記センサ装置は、前記軸受装置の軸心に関して互いに対向する位置に配設された一対の超音波センサを少なくとも含んでいる。Aを定数、nを転動体数、Vを車速、rをタイヤ半径、Daを転動体直径、θを接触角、dmをピッチ半径としたときに、fo=A・n・V/r(1−Da・cosθ/dm)で表される転動体外輪通過周波数foが、V≦40(km/h)において50Hz以上である。前記センサ装置は、一対の超音波センサのうち、荷重増加側の超音波センサの出力と荷重減少側の超音波センサの出力とを千鳥状に用いて荷重演算をするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ付き転がり軸受装置に関する。さらに詳しくは、軸受装置を構成する固定軌道輪(外輪)に配設されたセンサにより車輪に作用する荷重を検出するセンサ付き転がり軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車において、走行の際の運転制御を行うために車輪に作用する荷重や車輪の回転速度などといった種々の情報が必要とされている。そして、このような情報を得るために、自動車の車輪が取り付けられる車輪用転がり軸受装置にセンサ装置を付設することが提案されている。
【0003】
かかるセンサ装置としては、例えば固定軌道輪に設けられた磁気インピーダンスセンサと、回転軌道輪において前記磁気インピーダンスセンサと対向するように設けられた着磁部とからなるものが提案されている(例えば、特許文献1)が、このセンサ装置では、磁気インピーダンスセンサによる検知が、被検知部の材料、形状などの影響を受けるため、転がり軸受の材料の選択に制約があったり、着磁部の加工や別部材の追加が被検知部に要求されるという問題があった。
【0004】
そこで、このような材料選択の制約が少なく、追加の加工が不要になるものとして、固定軌道輪に超音波センサを配設して、転動体と固定軌道輪との間に作用する力をエコー比として検知することが提案されている(例えば、特許文献2)。
この特許文献2記載のセンサ付き転がり軸受装置は、固定側軌道部材の周方向に所定間隔を置いた少なくとも2カ所に設けられかつ転動体荷重をエコー比として検知する超音波センサと、各超音波センサの出力から転がり軸受に作用する荷重の3方向成分のうち少なくとも上下方向成分及び左右方向成分を求める処理手段とからなるセンサ装置を備えている。そして、3方向成分だけでなく、X軸、Y軸、及びZ軸回りのモーメントを求めることも可能とされている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−45370号公報
【特許文献2】特開2006−177932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、超音波エコーによる転動体荷重、すなわちタイヤ接地荷重の検出方法においては、超音波センサ設置箇所を転動体が通過することで前記エコー比の検出が可能になることから、センサ装置による荷重算出の応答性は、軸受装置の内輪の回転による転動体の外輪通過周波数に依存している。換言すれば、荷重算出の応答性は軸受装置が搭載される車両の速度に依存しているので、低速時には応答性が低下することがある。
【0007】
一方、車両運動制御のためのタイヤ接地荷重検出の応答性は、一般的なラジアルタイヤの固有振動数が90〜110Hzであることから遅くとも100Hzが必要であり、従来の超音波センサを用いた方法では、低速時における荷重検出の応答性に課題を残していた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低速時における荷重検出の応答性を向上させることができるセンサ付き転がり軸受装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセンサ付き転がり軸受装置は、車体側に固定される外輪と、この外輪と同心に且つタイヤ側に固定される内輪と、これらの内外輪の間に転動自在に配設される転動体と、前記外輪側に配設され前記転動体に作用する荷重を検出するセンサ装置と、を有するセンサ付き転がり軸受装置であって、
前記転動体の数が奇数個であり、
前記センサ装置は、前記軸受装置の軸心に関して互いに対向する位置に配設された一対の超音波センサを少なくとも含んでおり、
Aを定数、nを転動体数、Vを車速、rをタイヤ半径、Daを転動体直径、θを接触角、dmをピッチ円径としたときに、fo=A・n・V/r(1−Da・cosθ/dm)で表される転動体外輪通過周波数foが、V≦40(km/h)において50Hz以上であり、且つ、
前記センサ装置は、一対の超音波センサのうち、荷重増加側の超音波センサの出力と荷重減少側の超音波センサの出力とを千鳥状に用いて荷重演算をするように構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明のセンサ付き転がり軸受装置では、転動体外輪通過周波数fo、すなわち転動体が、超音波センサが配設された外輪部分を通過する周波数foがV≦40(km/h)において50Hz以上となるようにされている。また、転動体の数が奇数個であり、且つ、軸受装置の軸心に関して互いに対向する位置に配設された一対の超音波センサのうち、荷重増加側の超音波センサの出力と荷重減少側の超音波センサの出力とを千鳥状に用いて荷重演算をするように構成されている。転動体の数が奇数個とすることで、前記一対の超音波センサの出力を交互に現出させることができ、この出力を後述するように千鳥状に用いると荷重演算の機会を各超音波センサの出力数(転動体外輪通過周波数fo)の2倍にすることができる。したがって、V≦40(km/h)においても、演算応答性を50Hz×2=100Hz以上とすることができ、低速時における応答性を向上させることができる。
【0011】
転動体数n及び転動体直径Da(mm)が、
Da=5.6、
Da=an+b、及び
Da=cn+dn+e
で表される直線又は曲線により囲まれる範囲内で選定されるのが好ましい。この範囲内で、転動体数n及び転動体直径Daを選定することにより、軸受のサイズを所定範囲内に保つとともに当該軸受の規定寿命を確保しつつ、転動体外輪通過周波数foを、V≦40(km/h)において50Hz以上とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセンサ付き転がり軸受装置によれば、低速時における荷重検出の応答性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のセンサ付き転がり軸受装置(以下、単に「軸受装置」ともいう)の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る軸受装置Hの軸方向断面説明図である。なお、図1において、右側が車両アウタ側(車両の外側)であり、左側が車両インナ側(車両の内側)である。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態の軸受装置Hは、筒状の外輪1と、この外輪1の内部に回転自在に挿通されている内軸2と、この内軸2の車両インナ側端部に外嵌された内輪部材3と、前記外輪1に設けられたセンサ装置4と、周方向に並ぶ複数の玉(ボール)からなる複列の転動体5、5とを備えたものであり、これらにより複列アンギュラ玉軸受部が構成されている。転動体5、5としての各列の玉は保持器6によって周方向に所定間隔で保持されている。
【0015】
なお、本明細書において、軸受装置Hの中心線Cに沿った方向をY軸方向とし、これに直交する紙面貫通方向の水平方向をX軸方向とし、Y軸方向及びX軸方向に直交する鉛直方向をZ軸方向と定義している。従って、X軸方向は車輪の前後水平方向となり、Y軸方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z軸方向は上下方向となる。
【0016】
本実施の形態の軸受装置Hにおいて、前記外輪1は車体側に固定される固定軌道輪とされている。他方、前記内軸2と内輪部材3とが車輪側の回転軌道輪(内輪)とされており、この固定軌道輪(外輪)と回転軌道輪(内輪)との間において前記複列の転動体5、5が転動自在に介在されている。これにより、固定軌道輪と回転軌道輪とは互いに同軸状に配置され、固定軌道輪に対して回転軌道輪が車輪(図示せず)とともに回転自在となっている。
【0017】
回転軌道輪を構成する内軸2は、径方向外方へ延びるフランジ部7を車両アウタ側に有しており、このフランジ部7が車輪のタイヤホイールやブレーキディスクの取付部分となっている。このタイヤホイールなどは取付ボルト14によって当該フランジ部7に取り付けられる。内輪部材3は内軸2の車両インナ側に形成された段差部分に外嵌され、内軸2の車両インナ側端部に螺合したナット8によって内軸2に固定されている。そして、内軸2の外周面と内輪部材3の外周面とに、転動体5、5の内側軌道面9、9がそれぞれ形成されている。
【0018】
固定軌道輪を構成する外輪1は、転動体5、5の外側軌道面10、10が内周面に形成された円筒状の本体筒部11と、この本体筒部11の外周面から径方向外方へ伸びるフランジ部12とを有している。このフランジ部12は、車体側部材である懸架装置が有するナックル(図示せず)に固定され、これによって当該軸受装置Hが車体側に固定されるようになっている。
外輪1の車両アウタ側端部内周面と、これと対向する内軸2の外周面との間にはシール装置20が設けられており、また、外輪1の車両インナ側端部の内周面には、カバー21が圧入されている。
【0019】
前記センサ装置4は、外輪1と転動体5との間に作用する力を検出する超音波センサ41と、この超音波センサ41と図示しないリード線により接続されており当該超音波センサ41の出力を処理する処理手段(図示せず)とを備えている。
超音波センサ41は、図1に示される外輪1の最上部(頂部)及び最下部(底部)のほかに、外輪1の上下の中間部の前側及び後側にもそれぞれ設けられている。換言すれば、外輪1の周方向において90°間隔で配設されており、軸受装置Hの軸心に関して互いに対向する位置に配設された対の超音波センサ41が2対配設されている。
【0020】
前記超音波センサ41は、外周面に雄ねじ部が形成された筒状のケース及び当該ケース内に配設された振動子を有しており、転動体5と外側軌道面10との接触面に垂直の方向から臨まされている。外輪1には、有底の雌ねじ部が形成されており、前記ケースのねじ込み量が調整できるようになっている。ケースの先端面と雌ねじ部の底面との間には、超音波センサ41の先端面を保護するためのゴム製クッションシート42が介在させられている。また、ケースの雄ねじ部の基端側部分には、当該ケースの回り止めのためのナット43が螺合されている。
【0021】
前記超音波センサ41は、転動体5と外側軌道面10との接触部に向けて送受信面から超音波を発信し、かつ当該接触部で反射した反射波を送受信面で受信することで、転動体5に作用する力を以下に示すエコー比として検知する。
エコー比=100×(H0−H1)/H0
H0:転動体5が超音波センサ41から半ピッチ離れて位置するときのエコー強度
H1:転動体5が超音波センサ41の直下に位置するときのエコー強度
このエコー比は、転動体5に作用する力と比例関係を有しており、この関係を利用して当該エコー比から転動体5に作用する力を求めることができる。転動体5に作用する力が大きくなると、転動体5と外側軌道面10との接触面積が大きくなってエコー強度が小さくなる。従って、転動体5に作用する力が大きい場合には大きいエコー比が出力される。
【0022】
走行する車両の速度変化や姿勢変化に伴ってタイヤに作用する荷重が変動すると、この荷重の変動に応じて内軸2に対する外力が変わり、転動体5に作用する力の大きさが変化する。また、タイヤに作用する荷重のうち前後方向、左右方向、及び垂直方向の成分ごとに内軸2に対する力の加わり方が異なる。そのため、各方向の成分ごとに、各超音波センサ41が検知する転動体5に作用する力への影響度が異なっている。
【0023】
従って、タイヤに前後方向の荷重が作用した際の転動体5に作用する力及びこれに対応する各超音波センサ41で出力されるエコー比、左右方向の荷重が作用した際の転動体5に作用する力及びこれに対応する各超音波センサ41で出力されるエコー比、及び垂直方向の荷重が作用した際の転動体5に作用する力及びこれに対応する超音波センサ41で出力されるエコー比を求めておくことにより、各超音波センサ41で得られたエコー比によりタイヤに作用している荷重の三方向の成分を求めることができる。なお、センサ装置4の処理手段には、前記のエコー比を求める式や同エコー比から各超音波センサ41の位置に対応する転動体5に作用する力を求める式、転動体5に作用する力からタイヤに作用する前後荷重、左右荷重、及び垂直荷重を求める式等が記憶された記憶部、これらの式を演算する演算部等が設けられている。
【0024】
本発明の特徴は、荷重検出、特に車両が低速走行しているときの荷重検出の応答性を向上させるために、fo=A・n・V/r(1−Da・cosθ/dm)で表される転動体外輪通過周波数foが、V≦40(km/h)において50Hz以上となるようにしたことである。前記式において、Aは定数、nは転動体数、Vは車速、rはタイヤ半径、Daは転動体直径、θは接触角、dmはピッチ円径である。定数Aは10/(120・π)である。
【0025】
また、本発明では、転動体の数を奇数個にするとともに、軸受装置Hの軸心に関して互いに対向する位置に配設された一対の超音波センサのうち、荷重増加側の超音波センサの出力と荷重減少側の超音波センサの出力とを千鳥状に用いて荷重演算をするように構成されている。荷重増加側とは、荷重が相対的に増加している側のことであり、荷重減少側とは、荷重増加側と比べて相対的に荷重が減少している側のことである。例えば、内軸2に上向き(Z軸方向)の荷重が作用している場合、外輪1の最上部(頂部)が荷重増加側となり、最下部(底部)が荷重減少側となる。同様にして、走行時にブレーキをかけ、内軸2に車体後ろ向き(X軸方向)の荷重が作用している場合、外輪1の上下の中間部の前側が荷重減少側となり、中間部の後側が荷重増加側となる。
【0026】
図2は、超音波センサにより検出されるエコー比の時間変化の例を示しており、(a)は転動体の数が偶数個の場合、(b)は転動体の数が奇数個の場合である。前述したように、転動体に作用する荷重は、予め求めておいた式により、荷重増加側及び荷重減少側のそれぞれについて検出されたエコー比を用いて求めることができる。また、超音波センサを軸受装置Hの上下に配置する場合、荷重増加側のエコー比h1及び荷重減少側のエコー比h2の2つのエコー比を用いて、軸受装置Hに作用する荷重分力のうち、左右荷重と垂直荷重を求めることができ、さらにタイヤに作用する左右荷重と垂直荷重は当該軸受装置Hに作用する荷重分力との幾何学的関係から求めることができる。すなわち、左右荷重Fy=a(h1+h2)+bで求まり、垂直荷重Fz=a´h1+b´h2+c´で求めることができる。ここで、a、bは軸受諸元によって定まる定数であり、a´、b´、c´はタイヤ接地面座標と軸受装置座標の変換係数である。
なお、エコー比を2つ用いる場合、2分力しか演算することができず、軸受装置Hの上下に配置するときは、前記2分力(左右荷重及び垂直荷重)が求められ、軸受装置Hの前後に配置するときは、前後荷重と左右荷重を求めることができる。換言すれば、前後、左右及び上下の3分力を検出するためには、4つのエコー比が必要となる。
転動体の数が偶数個の場合、図2の(a)に示されるように、荷重増加側の超音波センサと荷重減少側の超音波センサとを同時に転動体が通過し、その結果、同時にエコー比のピークが検出される。そして、図において上下のエコー比を用いてタイヤに作用する荷重が演算される。以下同様にして、これに隣接する上下のエコー比を用いてタイヤに作用する荷重が順次演算される。しかしながら、転動体数が偶数個の場合の荷重演算は、荷重増加側(荷重減少側)の超音波センサ近傍を次の転動体が通過するまで行うことができず、転動体の移動が遅くなる車両の低速走行時においては、応答性の低下が問題になる。
【0027】
これに対し、転動体数が奇数個の場合、図2の(b)に示されるように、荷重増加側のエコー比のピークと、荷重減少側のエコー比のピークとが交互に検出される。したがって、荷重増加側のエコー比Aと、荷重減少側のエコー比aとを用いてタイヤに左右する荷重を演算し、つぎに荷重減少側のエコー比aと、荷重増加側のエコー比Bとを用いてタイヤに左右する荷重を演算するというように、荷重増加側のエコー比と荷重減少側のエコー比を「千鳥状」に演算することができる。その結果、荷重演算間の時間間隔Ibを転動体数が偶数個の場合の時間間隔Iaに比べて、半分にすることができる。このことと、前述した、転動体外輪通過周波数foをV≦40(km/h)において50Hz以上にすることにより、V≦40(km/h)においても、演算応答性を50Hz×2=100Hz以上とすることができ、低速時における応答性を向上させることができる。
【0028】
なお、外輪通過周波数foを表す式fo=A・n・V/r(1−Da・cosθ/dm)より、当該外輪通過周波数foを大きくするためには、例えば転動体の数を増やしたり、転動体の直径を小さくしたりすればよいが、軸受のサイズや寿命などを考慮すると、転動体の数や直径にも好ましい範囲が存在する。図3は転動体(ボール)の数と転動体の直径の好ましい範囲の例を示す図であり、3つの直線又は曲線で囲まれた範囲で転動体の数や直径を選定すると、軸受のサイズを所定範囲内に保つとともに当該軸受の規定寿命を確保しつつ、転動体外輪通過周波数foを、V≦40(km/h)において50Hz以上とすることができる。図3において、転動体数をX、転動体直径をYとすると、直線Lは、軸受の規定寿命を確保する接触面圧以下となる転動体直径(約5.6mm)を表すY=5.6を示している。また、直線Mは、任意の転動体数における、PCD(ピッチ円径)が現行の車両用軸受装置のPCD(最大約70mm)以下となる転動体直径の最大値(限界値)を示している。さらに、曲線Nは、任意の転動体数における、車速40km/hでのタイヤ接地荷重の計測周波数が100Hz以上となる転動体直径の最大値(限界値)を示している。以上の3つの直線又は曲線で囲まれる略三角形の範囲内で転動体の数及び転動体の直径を選定すると、軸受の規定寿命を確保する接触面圧以下となり、PCDが現行の車両用軸受装置のPCD(最大約70mm)以下となり、車速40km/hでのタイヤ接地荷重の計測周波数が100Hz以上となる。
【0029】
図3に示されるような図を予め作成しておくと、転動体の数や直径を容易に選定することができる。なお、図3は一例にすぎず、軸受装置の仕様に応じて同様の図を適宜作成することができる。
【0030】
図4は実施例と比較例の演算応答性を示す図であり、実施例及び比較例に係る軸受装置の主な仕様は表1に示される通りであった。
【0031】
【表1】

【0032】
図4より分かるように、同一車速に対して実施例は比較例の約2倍の演算応答性を示している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の軸受装置の一実施の形態の軸方向断面説明図である。
【図2】超音波センサにより検出されるエコー比の時間変化の例を示しており、(a)は転動体の数が偶数個の場合、(b)は転動体の数が奇数個の場合である。
【図3】転動体の数と転動体の直径の好ましい範囲の例を示す図である。
【図4】実施例と比較例の演算応答性を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 外輪
2 内軸
3 内輪部材
4 センサ装置
5 転動体
10 外側軌道面
41 超音波センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に固定される外輪と、この外輪と同心に且つタイヤ側に固定される内輪と、これらの内外輪の間に転動自在に配設される転動体と、前記外輪側に配設され前記転動体に作用する荷重を検出するセンサ装置と、を有するセンサ付き転がり軸受装置であって、
前記転動体の数が奇数個であり、
前記センサ装置は、前記軸受装置の軸心に関して互いに対向する位置に配設された一対の超音波センサを少なくとも含んでおり、
Aを定数、nを転動体数、Vを車速、rをタイヤ半径、Daを転動体直径、θを接触角、dmをピッチ円径としたときに、fo=A・n・V/r(1−Da・cosθ/dm)で表される転動体外輪通過周波数foが、V≦40(km/h)において50Hz以上であり、且つ、
前記センサ装置は、一対の超音波センサのうち、荷重増加側の超音波センサの出力と荷重減少側の超音波センサの出力とを千鳥状に用いて荷重演算をするように構成されていることを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。
【請求項2】
転動体数n及び転動体直径Da(mm)が、
Da=5.6、
Da=an+b、及び
Da=cn+dn+e
で表される直線又は曲線により囲まれる範囲内で選定される請求項1に記載のセンサ付き転がり軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175785(P2008−175785A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11850(P2007−11850)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】